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ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」

1Mii:2018/08/04(土) 23:26:40 ID:Mx6gHZLQ
マリオ「隠しキャラ、もとい隠しゲストとして任天堂から依頼が来てる。
    ギャラクシーと連動して、ミステリアスな女性ドライバーとして
    ブレイクしてほしいとのことだが…どうする?」テガミポイー

ロゼッタ「…ふむふむ。
     レースごとに観客の皆さんの投票で参戦するか否かが決まって、
     その時点で少なくない給料が発生。
     上位に入ったり総合成績が良ければ更に追加給金。
     至ってシンプルな給料体系ですね」

マリオ「…………」

42Mii:2018/08/21(火) 19:17:45 ID:eWe8Wey2

 ・
  ・
パンパン、パパパパーン!!

ワー、ワーーーー!!



シグナルジュゲム
「Ladies and Gentemen!大変長らくお待たせいたしました!
そして、割れんばかりの大歓声、誠に、誠にありがとうございます!
司会進行冥利に尽きるというものです!

それでは…

レースの数だけドラマがある。
コースの数だけ駆け引きがある。

マリオカート、第2008回大会の開幕を、私シグナルジュゲムが宣言いたしますっ!
今日は思う存分お楽しみくださいっ!!」


――ウオオオオオオオオオ!

43Mii:2018/08/21(火) 19:23:27 ID:eWe8Wey2
イイゾー!
マッテマシター!
ユウキュウ トッテキタシ トコトンサイゴマデ タノシムゼー!
シグナルジュゲムサン キョウモステキー!

シグナルジュゲム
「しかも、今日はただ大会が開かれるだけじゃありません!
ご存知の方はとっくにご存知でしょうが、念には念を押して――。
今大会から、新しいレーサーがこの大会に急遽参戦だあ!改めて紹介させて頂きましょう!
――それでは、ご登場願います!
――――ロゼッタさん、どうぞっ!!」

ワアアアアアア!




ロゼッタ(いよいよ、ですね)
――私は、立ち上がる煙幕に包まれながら、会場のど真ん中に、ゆっくりと躍り出た。

44Mii:2018/08/21(火) 19:31:23 ID:eWe8Wey2
〜大会前夜〜

ピーチ「・・・キノじいから連絡が入ったわ。参加延期の淡い期待もあったけれど見事に裏切られて、
    明日の大会からスタンバイしなきゃいけなくなったみたいよ」

デイジー「まあ、あれだけ告知して人気が高まってれば、運営側も暴動は起こしたくないよねー。
      私たちも人気を奪われないよう、レースもおめかしも頑張らなきゃ!」

ピーチ「うふふ、そうね。まあ、そう簡単に負けてあげる気なんてないけれど。トップクイーンの座は揺るがせないわ」

デイジー「ちょい待ち、何気に勝手に二番手にするなあ!」ウガー



マリオ「……さっきからロゼッタ本人抜きで駄弁ってるけど、ロゼッタはどこなんだ?」

ピーチ「ん」クイッ

マリオ「うん?」クルッ



ロゼッタだったもの「」チーン

マリオ「…あの黒く焦げた物体、ロゼッタだったのかぁ」

45Mii:2018/08/21(火) 19:37:47 ID:eWe8Wey2
デイジー「マリオったらひどーい、ヒーローの風上にも置けないわね。
      メイクがぐっちゃぐちゃになるの気にせず、人目も憚らず号泣してたよ。
      全身砕かれてマグマで爛れて肺を潰されかけて。
      『もうどこにもお嫁に行けません』って。
      …ブルル、過去の自分の経験まで生々しくフィードバックぅ…」

マリオ「ま、まあ繰り返し1UPキノコ使いすぎて治りが遅くなってるかもしれないが
    痣や後遺症含めて最終的に完治することは変わりないから大丈夫、だろ、うん」

デイジー「加担した私が言えた義理じゃないけれど、呑気な事言ってるんじゃないわよ…」

マリオ「いやいや、呑気なもんか。だいいち、俺だって無理やり特訓に付き合わされただろ」

デイジー「うぐぅ……」

46Mii:2018/08/21(火) 19:43:20 ID:eWe8Wey2
〜更に回想〜

ロゼッタ「ひいっ、やめ、やめてくだ―」ポロポロ

ピーチ「泣きじゃくりたい気持ちはよーっく分かるけど、大会本番で死ぬよりマシでしょ。
     私も心を鬼にするから頑張りなさい!最初はロゼッタも割と意気込んでたじゃない!」

ロゼッタ「お願いでずがら、他のことならなんでもじまずがら―」ポロポロ

ピーチ「そーれ、マグマ飛び込み58回目ー」ドンッ!

ロゼッタ「あっー」



―ボチャン

ロゼッタ「いやあああああああああああああああ!!死ぬ、死にますからああああ!」





マリオ(…様子を見に来たら地獄絵図が広がっていた件について)ガクブル

47Mii:2018/08/21(火) 19:57:16 ID:eWe8Wey2
マリオ「あのー、ピーチ?ピーチサン?」ガバッ

ピーチ「!?きゃあ!マリオ!?驚かさないでよ…ってか何やってるの!?」

マリオ「いや、デイジーがさぁ。
    『男のくせに、女の子が死にかけているのを気にも留めないなんて有り得なくない?
    せめて罪滅ぼしというか連帯責任というか、自分もおんなじ苦しみを味わいなさいよ。
    あ、女の子のあられもない姿を見ないように潜っとけやコラ』とかいうもんで。
    俺も暇じゃないんだがなあ」

ピーチ「…それで、馬鹿正直というか律儀というか、『マグマの中で潜水してる』の!?」

マリオ「ははは、何を言ってるんだピーチ!」ケラケラ

ピーチ「そ、そうよね。流石にマリオでもやりすぎというか、体が持たないわよね」

マリオ「これ、マグマだから、『潜水』じゃなくて『潜炎』だぞ。ピーチはうっかりさんだなあ」

ピーチ「」

マリオ「あとさ、初心者はまず部分的に炎に当たるファイアバブルやファイアバーで
    ゆっくり慣らしていった方がよくないか?30年前に初めてマグマに落ちた時の絶望感ったら…」

※現在のマリオさんは耐久値がカンストしており温泉に浸かる程度の影響しかありません。
  ダメージを受ける描写があったとしたらただの『ノリ』です。

48Mii:2018/08/21(火) 20:10:29 ID:eWe8Wey2
ピーチ「…私も責任があるから飛び込んでやるわよ。勝負よ、マリオ!」

マリオ「え、いや、これって勝負とかいう問題じゃないんじゃ…といってる間にムキになって飛び込んでるし」

ピーチ「……いやいや、やっぱりこれアッツイ!熱いわよ!なんで平気なの!?
     間違いなく30分も入ってれば『熱中症で倒れる』わよ!」

マリオ(そもそも俺たち、通常の暑さ程度じゃ熱中症も味わえない強さだけどな)



デイジー「やっほー、今のロゼッタどんな感じー?
      …………嫌ああああああ!?なんか全身溶けてない!?
      モロに目撃しちゃったんですけどぉ!?どうしてくれるのよ!
      確実に夢に出てうなされるわよコンチクショー!
      ロゼッタ、早く上がりなさい――って反応できるわけないよねー!
      ピーチ、はやく引き上げて1UPキノコを!!」

マリオ「タイミングよく 1UPキノコを 投げろ!」

ピーチ「ここは『タイミングよく 腕をつかんで 引き揚げろ!』じゃない?」

デイジー「アクションコマンドとか要らないから!!…ってツッコんでる場合じゃなぁああい!
      しょーがないなあああああああ!!」ドボン!

49Mii:2018/08/21(火) 20:16:36 ID:eWe8Wey2
ロゼッタ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「」シュウウウウウウウウ

ロゼッタ「……………………」ムクッ

ロゼッタ「あれ?なんでわたしいきてるの?」

デイジー「間一髪1UPキノコが間に合ったからに決まってんでしょうが!
      こらそこ!マグマ我慢大会とかいうアホな夫婦漫才してる暇があったら手伝えぇ!」

ロゼッタ「わぁい、わたし1UPキノコだいすきー!あはははは!」



〜回想終わり〜

デイジー「あれ?よくよく考えてみると、特訓に付き合ってるどころか邪魔してない?」

マリオ「…ソンナコトナイヨ」

50Mii:2018/08/21(火) 20:22:48 ID:eWe8Wey2
ロゼッタだったもの「…………」

ロゼッタ「マリオ、で、す、か?」ヨロッ

マリオ「ああ、とりあえずお疲れさん。あとは、天に運命委ねて明日を待つとするか」

ロゼッタ「…………ふふふふふ。明日、そう、明日ですか。
      実際のレースとなれば1UPキノコひとつ頂けない、どうしたらいいのかしら。
      ああ、生きているって素晴らしい!明日も明後日も生きているといいですね!」

デイジー「うわあ、色々と重症だあ」



ピーチ「あー、残念だけど、疲れた体に鞭打って、あともうちょっとだけ頑張ってもらわなきゃいけないわ。
     日付が変わる前に、何コースかこなしておきたいの」

ロゼッタ「ええ!?まだ、なにか、準備があるので、すか?」

ピーチ「…まあね」

51Mii:2018/08/24(金) 03:54:38 ID:SdZnBNWc

 ・
  ・
シグナルジュゲム
「さぁて!この大会、観戦は初めての方もいらっしゃるでしょう!
ベテラン観戦者にはごめんなさい!くどいようですが大会の進行方式を説明させて頂きます!
会場中央の特大スクリーンをご覧ください!」

パッ!(選手らの顔写真が表示される)

シグナルジュゲム
「映し出されていますように、会場にはロゼッタ選手をはじめ、総勢24名の強者・曲者レーサーが
出番はまだかと首を長くして待機しています!
レースは1コースごとに、観客の皆様に事前投票を受け付けます!

走りを観たいと思うレーサーに、お手元のボタンからこぞってご投票ください!
その結果により、参加者12人を決定いたします!
ただし、6コース走り切ったレーサーは応募を締め切らせて頂きますのでご了承ください!
また、参加者決定後に、実際に走ることになるコースを決めていきます!

登録者全員が最低4コース走るまで、レースを続けさせていただきます!
その間に投票受付中のレーサーが12人を切った場合、運営側のランダム抽選で
成績無関係を前提としてレーサーを補填します!

レース終了後、各コースでの順位に対応したポイントを平均処理し、
その点数を指標に総合順位を決定いたします!
順位とポイントとの対応表はお手数ですがパンフレットをご覧ください!」

52Mii:2018/08/24(金) 04:04:48 ID:SdZnBNWc
シグナルジュゲム
「なお、通常の大会ではランダムシャッフルによるコース決定となっておりますが…
初参戦のレーサーがいる場合、救済ハンデとして、重複しない範囲でのコース選択権が与えられます!
また、第4レース終了時点で応募を締め切ります!
ただし、本人の希望がある場合は補填レーサーとして抽選に掛かる場合はございます!
ロゼッタ選手、短い時間ですが第1コースの選択を考えておいてください!」



ピーチ(そう、これは大きい。ひとまず4コース分、穏やかなコースを走り込んでおいた甲斐があった。
     ひたすら選んで行けば、火傷を小さくできるはず!)

デイジー(ピーチ、考えたわね。過酷なコースでの異常特訓で耐性をある程度付けてからなら、
      洞察力も確保できて気持ちもだいぶ楽になること請け合いよ!)

ロゼッタ(ピーチ姫、デイジー姫、ありがとうございます。これならなんとか、戦えそうな気がします。
      さて、私がまず選択すべきコースは――――)

53Mii:2018/08/24(金) 04:18:37 ID:SdZnBNWc
>>52
×第4レース  ○第4コース

シグナルジュゲム
「それでは観客の皆さん!今から5分間、投票を受け付けます!!
誠に勝手ながら、それ以降の投票は無効となりますのでご注意ください!」

〜第1コース投票結果〜
ルイージ
マリオ
ワリオ
クッパ
デイジー
ヨッシー
ドンキーコング
ピーチ
キングテレサ
キノピオ
ベビィマリオ
+ロゼッタで計12名


ルイージ「見て、見てよ兄さん!僕が投票1位だって!兄さんに勝ったよ!やったー!」

マリオ(まあ、観戦歴の長い人たちは『第1コースはアレだな』って察しがついてるからな)

ピーチ(初参戦レーサーが捻くれてない限り『第1コースはアレだな』って察しがついてるもんね)

54Mii:2018/08/24(金) 04:22:52 ID:SdZnBNWc
デイジー「いつも思うけど、観客にキノコ王国の住民多いのにピーチってそんなに票集まらないよね」

ピーチ「逆よ、逆。『姫様に危険な目にあってほしくありません!』って人がほかのレーサーに流れちゃうから。
     支持率が高いのも困ったものね」

デイジー「そんなもんなんだ(じゃあ結局選ばれているのはいいんだろーか)」

ロゼッタ「…………」ジーッ

ベビィマリオ「わあーい、なんとか滑り込めたでちゅ!」キャッキャッ

ロゼッタ「ちょっとボク?どこから紛れ込んだの?駄目よ、子供…子供?というより赤ん坊?が
     こんな過酷で危険な場所にいちゃ!ママの所にお帰りなさい?」ヨシヨシ

ベビィマリオ「あ、新入りさん!だいじょーぶ、2人乗りデッドヒートまで出来ちゃうから
        こんなレースくらいおちゃのこさいさいでちゅ!体当たりでお化け沼に吹っ飛ばされたって
        根性で乗り切りまちゅよ!」

ロゼッタ「」ピシッ

マリオ「あー、ロゼッタ。この大会に必要なのは運転免許じゃない。
    生き抜くためのHPと気力があればそれでノープロブレム」

ロゼッタ「あ、はい」トオイメ

マリオ(むしろ赤ん坊の癖に冒険経験値やばいことになってるからな…)

55Mii:2018/08/24(金) 04:41:53 ID:SdZnBNWc
シグナルジュゲム
「それでは参加者も決まったところで。ロゼッタ選手、第1コースの選択をどうぞ!」

ロゼッタ(スゥー……)「ルイージサーキットでお願いします!」

観客(やっぱり)

観客(まあ鉄板だよな。初心者でも運転が非常にしやすいし)

ピーチ(うわあ、観客の皆さんもしたり顔だし…まあこれでいいのよ)

シグナルジュゲム
「なるほど、ルイージサーキットですね!それでは、『呼び出し』ましょう!ぽちっとな!」

ロゼッタ「えっ」

ポンッ!!ズゴゴゴゴゴ…!!

なにも なかったはずの だだっぴろい かいじょうに
ルイージサーキットが あらわれた!▼

ロゼッタ「…………会場にコースを呼び出すだなんて、何て無茶苦茶な…
      通りで観客がこんな街中の会場にのんびり構えているはずです」

ピーチ「さすがにレインボーロードとかのアップダウンや規模が尋常じゃないコースは
    実況中継でごまかすけどね。キノコ王国の技術力は世界一よ」

クッパ「それは聞き捨てならんな。クッパ軍団とて負けておらんぞ」

ロゼッタ「だったらカートにバリア機能くらい付けてほしかったですね(小声)」

56Mii:2018/08/24(金) 04:48:32 ID:SdZnBNWc
シグナルジュゲム
「さあ、レーサーたちがスタート地点にスタンバイ完了しました。
本当にレースが始まろうとしています、その瞬間を見逃すな!
それでは――レース、開始です!」

――ピィーッ、ピィーッ、ピィーッ、パアァーン!!


ビュン! ビュン! ビューン!



ロゼッタ「……結局ロケットスタートとやらを教わってないじゃないですか!!
      あああ、いきなり離されたんですけど!待ってください!」ブロロロロ

ピーチ(あ、ごめん)

57Mii:2018/08/24(金) 05:15:41 ID:SdZnBNWc
ロゼッタ(レースが…始まって、しまいました。
      私のことを応援して下さる観客の皆さんの声、しっかり届いています。
      こっそりチコたちまで駆けつけてくれているの、私にはお見通しですよ。

     ……なんてことになっていますが、正直、私は順位なんて気に留めず走破することだけで精一杯。
     ピーチ姫の策によって余裕はある。…あるはずなんですが、全然実感が湧かない。
     駆け込みで走り込んだはずのこのコースが、魔物が棲む初見コースに見えて仕方がない。

     体が、固い。本当に死んでしまわないか、ただただ、怖い)ガチガチ

58Mii:2018/08/24(金) 05:16:57 ID:SdZnBNWc
ロゼッタ(……ハッ!)

シグナルジュゲム
「おーっと、マリオ選手、クッパ選手に押し負けて珍しく砂地に乗り込んでしまったぞ!
今日は調子が悪いのか?大きくトップ集団から離されます!」

マリオ「やれやれ、砂地に乗り上げただけでこの叩かれっぷりとは
    優勝候補のプレッシャーとは恐ろしいな、まあわざとなんだが」

デイジー「私もいるよーん。いやはや、アンナトコロニバナナガアッタナンテ」

マリオ(とりあえずまあ、ロゼッタの少し前を走って、臭い所の障害物は掃除してやるか)

デイジー(私たちの責任もあるし、フォローしてやらないとね。場合によっちゃスリストもあげられるし)

ロゼッタ(マリオ、デイジー姫!助かります!
      …そうですね、ここまでお膳立てしてもらっていて、なんて我儘。
      下を向いている暇があったら前を向くべき、です!
      恐れていても何も――始まらない!)

59Mii:2018/08/24(金) 05:20:20 ID:SdZnBNWc
シグナルジュゲム
「おっと、ロゼッタ選手!どこかぎこちない運転でしたが、ようやく走りが安定してきたか!
そしてここでパワフルダッシュキノコをゲットした模様!一気に加速します!
後ろをチラ見しつつ前を走っていたマリオ選手、これは慌てたか!
前方不注意で流れ弾の緑甲羅を食らってしまった!」

マリオ(失礼な。加速中のロゼッタが食らうことになってただけだ。
    そのままこちらもキノコでリカバリ、と)

デイジー(おー、重量級だけあってMAXスピード維持できるとホント速いね。
      まあ私に追随される程度のコース取り・ドリフトは改善の余地が有るけど…
      細かいことは気にしない!どんどん先頭集団に接近できてるよ!)

シグナルジュゲム
「…そして今、ロゼッタ選手、ピーチ選手を抜いて7位に!」

ロゼッタ(集中、集中、集中っ!)

シグナルジュゲム
「甲羅やキノコの使用タイミングは必ずしも最適とは言えませんが、
猛追でひとまず5位に付けました、中々の健闘です!」

観客「ウオオオオオオ!」


ピーチ「…………うーん、どう思う?」ジーッ

クッパ「ふむ。このコースだけに関すれば気に留めるほどのことでないが、
    レース全体で見るとよろしくないな…」

60Mii:2018/08/24(金) 05:28:14 ID:SdZnBNWc
シグナルジュゲム
「デイジー選手、ロゼッタ選手の前を4位で走り…おっと、急加速してきたドンキーコング選手、
勢いそのままにデイジー選手を大きく横に押しやりました!

そのまま間髪入れずロゼッタ選手に対し、強者の洗礼とばかりに進路上にバナナ設置!
しかし!これはドンキーコング選手を狙ったマリオ選手の緑甲羅軌道上!奇しくも相殺されます!
ロゼッタ選手、漁夫の利で助かった!」

ドンキーコング「ぐぬぬ…」

デイジー「お・か・え・し」トンッ

ドンキーコング「ウホーッ!?」バァン

シグナルジュゲム
「おおっと!デイジー選手、素早いドリフトから態勢を取り戻していた!
ドンキーコング選手の前にしなやかにカートを差し入れて、設置したるや偽アイテムボックス!
これは避けられない!たまらずドンキーコング選手吹っ飛んだ!」

61Mii:2018/08/24(金) 05:35:01 ID:SdZnBNWc
ロゼッタ(あ、赤甲羅を引きました。…このまま使うと、デイジー姫を追尾してしまいますね。
     防御アイテムも持っていないようですし、ここは保持、と)

デイジー(何を甘ったるいこと言っとるか。とっとと撃ちなさい)

ロゼッタ(……え、直接脳内に!?えっと、そんなことできませんよ!)

デイジー(そこまで不干渉貫いちゃうと庇ってること丸わかりじゃないの!
      …いや、けっこー既に厳しいかもだけど。ピーチがジト目で私たち見てたし。
      とにかく、そっちからの攻撃は一切遠慮しないくらいでちょうどいいわ)

ロゼッタ(…………本当に、すいません)ヒュンッ

デイジー「わわ、赤甲羅が来るよ!外周のダッシュボードで振り切らなきゃー!
      あー、これ無理ゲーだわ。防御アイテムもないしぶつかるぅ、うーわー(棒)」ドカーン

ロゼッタ(お先に、失礼します)

マリオ「おうデイジー、漢だな。先に行くからすぐ追いつけよ」

デイジー「男じゃないよ!」

62Mii:2018/08/24(金) 05:41:57 ID:SdZnBNWc
ロゼッタ(えっと。このコースは加速系のアイテムがあれば砂地をショートカットして
      時間短縮が図れるんでしたっけ。先ほどまでは道路で使っていましたが。
      あ、あそこですね。ちょうどいい塩梅にトリプルダッシュキノコがあります!
      練習時間はそれほど確保できませんでしたが、一応成功もしましたし…
      やってみましょうか!)ダッ

マリオ「あ、緊張した状態でそれはちょっとフォローできないから待っ」

ロゼッタ「ヤッフゥ!」





ゴンッ!!

ロゼッタ「はうっ」

マリオ(いわんこっちゃない)

63Mii:2018/08/24(金) 05:58:29 ID:SdZnBNWc
ロゼッタ(…………痛い、すごく痛いです。
      ドカンに頭を盛大に擦って意識が一瞬飛びました。…あ、王冠がどこかに行った。
      まあいいです、この程度で済んだのなら!命の方が大事ですよ、ええ。  
      さて、再加速です!」チラッ



マリオ「ぶつかったドカンなんか気にしないで前見ろ前!!」

ロゼッタ「はい?」



目前のドカン「余所見すんなや」



ガンッ!!!!!!!!!

64Mii:2018/08/24(金) 05:59:41 ID:SdZnBNWc
シグナルジュゲム
「おおっとロゼッタ選手!ややキノコを贅沢に使いつつも…いや、むしろ
 不慣れを見越したキノコ確保と見れば聡明、賢明な判断か!
無事に砂地を抜け、とうとう3位にまで躍り出ました!素晴らしい活躍です!」

マリオ「なんかドレスがところどころ赤く染まってるが…だいじょぶ?」

ロゼッタ「……………………ええ、ええ、計画通りですよ。
      側頭部を激しく殴打されて生暖かい感触が頬を伝っていたところで、
      激痛が頭を駆け巡っていたところで、微妙に視界がぼやけていたところで、
      順位を上げたことは確かなのですから何も臆することはありません、はい。
      ここまで私としては完璧な走りなのです。何も臆することはないのよ、ロゼッタ。
      ここまで過保護なサポートを受けておいて愚痴を零すのは罰当たりにも程があるというものだわ、
      何も臆することはないのよふふふふふふふふふふふふふふ」ダラダラダラダラ

マリオ「よし、大丈夫だな(逃避)」

65Mii:2018/08/24(金) 06:08:53 ID:SdZnBNWc
ワァァ!

マリオ「っ!?この警告音は!!ロゼッタ止まるんだ!」



ワリオ「オラオラ、みんなまとめて吹き飛んじまえ!!」

シグナルジュゲム
「おおっとワリオ選手、不運な巻き込まれ事故で下位に甘んじていたかと思いきや!
起死回生、トゲゾーの甲羅をスロー!青い閃光が瞬く間に1位のキングテレサ選手めがけて猛進します!

おやおや!?地を這わなくなったトゲゾーですが、思いのほか先頭グループ固まっている!
これは誰が巻き込まれてもおかしくない状況です!慌てて2位以下の選手、減速!
キングテレサ選手も擦り付けようと慌てて減速!…おっと、ロゼッタ選手、接近音に気付いていないのか
減速しなーい!

トゲゾーの甲羅、結局キングテレサ選手に着弾!
ロゼッタ選手巻き添え!両者、大爆発で吹っ飛ばされたあ!」

ロゼッタ「がふぅ!?」

マリオ「」

66Mii:2018/08/24(金) 06:16:04 ID:SdZnBNWc
キングテレサ「ぐっ!…おのれ、タダでは済まさんぞ!」

ロゼッタ「……………………………………………」

シグナルジュゲム
「おや、どうしたことか。ロゼッタ選手、突っ伏したまま動きません!
脳震盪でも起こしたか、後続にどんどん抜かされていくままだ!」

ロゼッタ「……………………」

ロゼッタ「………………………………………まだ、はしれ、ます!」ユラリ

シグナルジュゲム
「なんとかロゼッタ選手持ち直した模様です!」

マリオ(ホッ)

67以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/02(日) 12:35:59 ID:76Xl7esk
ワクテカ

68Mii:2018/09/09(日) 17:39:04 ID:aK45zTCc
第1コース結果
1位 ルイージ
2位 ヨッシー
3位 キングテレサ
4位 マリオ
5位 ドンキーコング
6位 ロゼッタ
7位 デイジー
8位 ワリオ
9位 クッパ
10位 ピーチ
11位 ベビィマリオ
12位 キノピオ

シグナルジュゲム
「……はい、御覧の通りの成績となりました!観客の皆さん、贔屓のレーサーは活躍されたでしょうか、感嘆する走りを見せてくれたでしょうか!とにもかくにも、走り切ったレーサーたちに盛大な拍手をお願いします!」

パチパチパチ・・・!!

マリオ「ってか、見かけないと思っていたらルイージが1位だと!?凄いな!」

ルイージ「ふふ、トゲゾー様様だよ。…でも、まさかそこまで影が薄かったなんて喜びも半分だよー…」

ヨッシー「最後に投げられた赤甲羅を飲み込んで躱せたら私の勝ちだったんですけどね」

ピーチ「ちょっと待ちなさいそこの恐竜」

69Mii:2018/09/09(日) 17:41:31 ID:aK45zTCc
キノピオ「姫様!お怪我は、お怪我はございませんか!」

ピーチ「あなたは、私を気遣う暇があったら私に向かって甲羅でも投げなさいよ。
    おまけにカミナリ雲取っておきながら減速して擦り付けを諦めたでしょ?」

キノピオ「そそそ、そんなことできませんよ恐れ多い!そんなことする位なら棄権します!」

ピーチ「忠誠心と事なかれ主義は別物なのよ?…よし、決めた。上司命令よ。
     今日、私に向けて最低一回は攻撃を当てなかったら、あなたクビね」

キノピオ「えっ…ま、まあ姫様に攻撃しないで済むならレース人生を終える位…」

ピーチ「そうじゃなくて、城仕えをクビ」

キノピオ「」ガーン

70Mii:2018/09/09(日) 17:44:38 ID:aK45zTCc
クッパ「それは流石に可哀想だろう?いくらワガハイがピーチ姫を攫う度に毎度のごとく無能警備をさらけ出すとはいえ」

キノピオ「」グサッ

ピーチ「まあ最近は公務から逃げて羽伸ばそうっていう下心もあって、流されるまま攫われてる節もあるけどね」

クッパ「がっはっは!それは面白い冗談だ!……え、マジで?」

ピーチ「身の安全は確保してくれる上にじきにマリオが助けに来てくれるし、
     様変わりするお城で敵情偵察兼ねたレベルアップできるし、
     軍団のみんなに料理振る舞ったりクッパに洗剤ケーキ振る舞ったりできるし、
     割と楽しくなってきている自分がいたりして〜。
     あ、キノじい達にはヒミツね?」

マリオ「色々と初耳なんだが」

クッパ「大丈夫か、この王国 」

ピーチ「マリオブラザーズがいるから平気平気。いざとなったら私も出動するし」

ルイージ「そゆことそゆこと」

クッパ「めっさ開き直ってやがる。紐で吊るしても絵に閉じ込めても籠の中に捕えても懲りてないというのなら…
    今度は久しぶりに本気になって石にでもしてやろうか」グフフ

ピーチ「なにそれ楽しそう!解き甲斐がありそうね!」

クッパ「えええええ…ドンビキですわぁ…」

ロゼッタ(聞いているだけで頭が痛くなる会話ですね…)

71Mii:2018/09/09(日) 17:47:47 ID:aK45zTCc
???「……」


サワッ

ロゼッタ「キャ!?!?」サッ

ワリオ「よっ、新入り。いい結果、『出してもらえて』良かったな」

ロゼッタ「いいいい、今お尻撫でられたんですけど!」カァ

ワリオ「おいおい、言い掛かりはよしてくれよ。あんた長身だからな、振ってた腕がちょいと当たっちまっただけだぜ?」

ピーチ「結構肉付き良かったでしょ?」

ワリオ「どっちかっつーと女性っぽくない硬さだったな…ハッ!?」

デイジー「サイテー!」プンスカ

ピーチ「この女の敵が。殴るわよ」バコン!

ワリオ「痛ぇ!『たった今フライパンで殴ったわよ』の間違いだろうが!」

マリオ「…ワリオ。らしくないぞ。ワルで売ってるお前でも、ここまで露骨な嫌がらせは久しぶりじゃないか。
     それに、『出してもらえて』って…」

72Mii:2018/09/09(日) 17:50:15 ID:aK45zTCc
ワリオ「おー、イッテェ…あん?そんな事、お前が一番分かってんじゃねーのか、マリオ?
     むしろお前が『らしくねえ』んだよ」

マリオ「…………」

ワリオ「新入りが参戦してくる、それも女で重量級っていうんで、何気に楽しみにしてたんだぜ?どんな男勝りの奴に巡り合えるかってな。
     クッパ、お前もそうじゃないのか?」

クッパ「…いや別に、そこまでは…」

ワリオ「ケッ、日和やがって」ペッ

ロゼッタ「………………っ!」

ワリオ「それが、蓋を開けてみればどうだ。マリオとデイジーにおんぶに抱っこじゃねえか。これならまだ、びりっけつでもしっかり走ってくれた方がよかったってもんだぜ。
     観戦歴の長い奴なら八百長モドキだってすぐに気付くだろうぜ。――お前さんよぉ、やる気あんのか?」

デイジー「しょ、しょーがないじゃない!いろいろ問題があってロゼッタは経験が乏しすぎるんだから!慣れるまで大目に見てやってよ!」

73Mii:2018/09/09(日) 17:52:42 ID:aK45zTCc
ワリオ「…女々しいこと、この上ないな。そうやって気楽に構えている奴に、
    現に上の順位を取られているっつーのが何よりも気に食わねぇ。
    お遊戯か何かと勘違いしてるなら、とっとと退散してもらいたいもんだねえ。言いたいことはそれだけだ。
    あんまり繰り返すようだと…俺もなかなか、黙ってないぜ」スタスタ…

ロゼッタ「……」





ロゼッタ「……息が、詰まりました。すいません、そもそも私が最初からしっかりしていれば…」

デイジー「気にしない、気にしない!アイツの性格が悪いだけだからさ」

ロゼッタ「ワリオ、さんでしたっけ。どのような人なのですか?」

マリオ「まあ、とにかく勝負事は勝たないと、いい順位じゃないと気が済まない奴だ。
    運転は荒っぽいがのらりくらりとこなして、優勝候補に挙げられるくらいの実力は持ってる。
    というか、アイテムを使ってライバルを蹴落とすことにおいてはワリオの右に出る奴はいない、
    と言ってもいいかもしれん」

ロゼッタ「そ、そうなんですか!?」

74Mii:2018/09/09(日) 17:56:52 ID:aK45zTCc
ピーチ「また、厄介な奴に目を付けられたものね…でもねマリオにデイジー。
     さっきのコース、ワリオほどは批難しないけど、傍目から見て色々と庇いすぎよ。
     これで私まで周りをウロウロしていたら確実にペナルティを食らっていたわ」

マリオ「…は?ペナルティ?何のことだ?」

ピーチ「うわあ、呆れた。まさか知らなかったんだ。ほら、大会規約の……ココ。

    『特定のレーサーあるいはレーサーグループを、著しく利する、あるいは相互に援護する行動を継続的に取り続けた
     レーサーあるいはレーサーグループがいた場合、参戦中のレーサーならびに観客はコース終了から
     次のコースが開始されるまでの間に、外部あるいは内部からその行動を審判に告発することができる。

     その行動がカメラチェックで確認でき、かつ庇う側の意図的行為であると判断されたならば、
     運営は庇った側のレーサーについて、次の1コースあるいは2コース以上の参戦不可を通達することができる』

     って書かれてあるわ」

マリオ「…マジですか?」

ピーチ(コクッ)

デイジー「じゃ、じゃあどうすればいいの!?」

ピーチ「…別に慌てる必要は多分ないわ。ロゼッタを気にせず、自分の走りをすればいいのよ。
     できるわよね、2人とも」

75Mii:2018/09/09(日) 18:01:34 ID:aK45zTCc
マリオ「仕方ない、か」ヤレヤレ

ロゼッタ「わ、私も精一杯走らさせて頂きますので!
      マリオもデイジー姫も、私のことは気にせず本来の走りをぜひお願いします!」アタフタ

デイジー(そうは言ってもすっげー不安です)




――この時私は、1UPキノコを持ち込めない現状にため息を付きながらも、
あちこちに血の色が掛かった青色のドレスを恨めしげに見やりながら
『次からは自力で走ることになる、頑張らなきゃ』くらいの気持ちで佇んでいました。


中途半端に走れてしまった、いい成績を手にしてしまった私は――どこか、慢心の気持ちが蠢いていたのかもしれません。

76Mii:2018/09/09(日) 18:03:09 ID:aK45zTCc
ロゼッタ(第2コースには、ピーチビーチを選択。
     このコースもまた、段差・障害物ともにほとんどない、非常に走りやすいコースです。

     道があまり舗装されていないことに加えて水辺があるのが少し厄介ですが…。
     まあ、水辺があるということは逸れたアイテム攻撃がそのまま消え去ってくれるということでもあり、
     安全にも貢献しているとのこと――)


第2コース参戦レーサー
ワリオ
ドンキーコング
キングテレサ
クッパ
ヨッシー
キノピコ
マリオ
ベビィマリオ
ベビィルイージ
ピーチ
デイジー
+ロゼッタで12人


ロゼッタ(ルイージはしょげていましたが、マリオもピーチ姫もデイジー姫も外れていないことにとりあえず一安心。
     …しかし、他の3人の顔色が芳しくありません)

77Mii:2018/09/09(日) 18:05:43 ID:aK45zTCc
マリオ「…ピーチの言う通りだな」

ロゼッタ「え?」

マリオ「ロゼッタへの援護、消極的な走りを感じたのか、俺とデイジーの票がかなり下がってる。
    自慢じゃないが、優勝候補の俺が2コース目の投票結果でここまで順位を落とすケースはあんまり記憶にない。
    まあ、単に『優勝が遠ざかったから今回は諦めた』とかの理由ならまだマシなんだが。
    このままだと俺はともかくデイジーは圏外になりかねないな」

ロゼッタ「うっ……」

ピーチ(逆に、貪欲な走りを見せたワリオの票が急上昇してるわね)

デイジー「私は崖っぷちとかゆーな。…で、かといってロゼッタを見放して手助けしないんじゃ本末転倒だし…
      ど、どうすんのよ?」



マリオ「…大丈夫だ、まだ奥の手はある」キリッ

78Mii:2018/09/09(日) 18:10:19 ID:aK45zTCc
シグナルジュゲム
「さあ、レーサーたちがスタート地点にスタンバイ完了しました。
それでは――第2コースも、張り切ってまいりましょう!」

ロゼッタ(口頭で教わっただけですが…ロケットスタート、次のコースくらいで使ってみたいものです。
      今回は、皆さんのスタートをよく見ておきましょう。観察させて、もらいます!)ジーッ



――ピィーッ、ピィーッ、ピィーッ、パアァーン!!

ビュン! ビュン! ビューン!




ロゼッタ(…う、うーん。タイミング、わかったようなわからないような…
      トントントン…このくらいのタイミング?いえ、トン、トン、トン、このくらい?
      まあ、今悩むのはこのくらいにしておきますか…)ブロロロロ

ロゼッタ(このコースは、跳ね返りの緑甲羅は気にしなくていい。当たるとしたら赤甲羅。
      要するに避けようがないから当たったらその時、ということで走ればいいんですね、うん。
      防御アイテムがあればストックしておくとよいとのことです。

      また、水辺を突っ切る際に加速アイテムはぜひ欲しい、と。
      マリオは『そもそも水中でのペダル操作に慣れないうちはやめた方がいいんじゃあ…』と
      ぼやいていましたが、そうも言っていられませんね)

79Mii:2018/09/09(日) 18:13:24 ID:aK45zTCc
マリオ「悪いな、お先に」

デイジー「んもー、薄情だなあ。―それじゃ頑張って。死ぬのは、駄目よ?」

ロゼッタ「縁起でもない事言わないでください」



ロゼッタ(お二人とも、あっさりと私を抜かしていきました。
      最高速は私の方が断然速いとのことですが、微塵も感じさせない走りです。
      特にマリオは、凄まじい速さであっという間に見えなくなってしまいました。さすが優勝候補。
      観客のボルテージも上がっている気がします)

80Mii:2018/09/09(日) 18:17:22 ID:aK45zTCc
ピロロロロロロ…パン!

ロゼッタ(あ、トリプル赤甲羅。これはラッキーです、どんどん投げてしまいましょう)

ブン! ブン! ブン!



ワリオ「ぶっははは!こりゃケッサクだ!出たよ、素人丸出しの使い方!」

ロゼッタ「っ!?な、なんですか一体!レース中ですよ!
      それに、なんですか素人って!赤甲羅なのですから前を攻撃するのは当たり前でしょう!」

ロゼッタ(同じく重量級のワリオ。技量の差から、すぐ後ろにまで付かれていたのですか。
      相変わらず私って、まるで後方の状況確認、警戒がなっていませんね。悲しくなります)

81Mii:2018/09/09(日) 18:21:38 ID:aK45zTCc
ワリオ「おつむが弱いようだから、いい事教えてやるよ。俺って親切ー。
     そんな投げ方しても、前の奴には1発分の効果しかねーぞ」

ロゼッタ「…え?」

ワリオ「硬直時間中のアイテム攻撃はムダだからな。
    投げるなら、硬直が解けたと同時に次弾が当たるような時間差で投げろや。
    相手の防御アイテムを見越して2発撃つならまだ分からんでもないんだが、
    3発一斉に投げるのはただの阿呆だわ」

ロゼッタ「…そ、そう!相手が使いかけのトリプル防御アイテムを持っている可能性も…
      防御アイテム2個に対して3発投げるのなら無駄じゃありません!」

ワリオ「可能性の低いくっだらねえ賭けだな。というか、1発の着弾のために3発分消費するのが馬鹿だと言いてぇんだよ、俺は。
    効率悪すぎだろ、頭使えや。できれば3発着弾、最低でも2発着弾を狙うのがいいんだよ!
    それができないなら、時機を待ちつつ防御、更には付近のレーサーへの牽制に使った方が遥かに賢いんだけど、わかるぅ?
    それとも箱入りお嬢様には難しかったか?んん?」

ロゼッタ(そんな定石が、あるなんて。確かに、理にはかなって、いる。
      言い訳したくはありますが…勉強不足にも…程がある)

82Mii:2018/09/09(日) 18:26:41 ID:aK45zTCc
ワリオ「ま、あんたが馬鹿打ったおかげで俺は大助かりなんだけどな。イイもんやるよ」ポイッ

ロゼッタ「…ひっ、赤甲羅…!」

バァン!!

ワリオ「じゃ、お先―!よし、スターで一気に飛ばすぜー!」ブロロロロ

シグナルジュゲム
「ワリオ選手、ロゼッタ選手のマズイアイテム駆使を逃さなかった!結果として、
 最小のコストで最大の結果を得て見せました!これは、経験の差が如実に表れてしまったか!」



ロゼッタ「…いたい、です」ツー

ロゼッタ(砂地であることが幸いしましたが…咄嗟に庇った左腕が、そのまま吹っ飛んだ際に下敷きにまでなって…
      痺れるように痛い。折れた、かもしれません。そうか、甲羅の飛ぶ速度って腕力でも結構変わるんですね、
      正直…みじめで、泣きたいです)

83Mii:2018/09/09(日) 18:31:05 ID:aK45zTCc
ロゼッタ(…ですが、よし。そこそこ激痛が走りますが、なんとかハンドルに手は添えられる。
      意識も…しっかりしている、右手を主に使っていけば問題ない、問題ない…)イイキカセ

ポイハナ(トコトコトコトコ)

ロゼッタ「わ、わ、せめて確実に避けられるあなたに当たるわけには、まいりません!」ザザッ



ゴオオオオォォォーッ!!



ロゼッタ「…?」クルッ

ロゼッタ「ひいっ!?」サッ

キラー「ゴオオオオオォォォ!」ビュー!!

ロゼッタ「ハァ、ハァ、ハァーッ!し、心臓が止まるかと思いました!
      あ、あれがキラーという弾丸なのですね、あんなのに轢かれたらひとたまりもありませんよ!
      あ、でもあんなに速く走れて、いいなあ…」

84Mii:2018/09/09(日) 18:35:23 ID:aK45zTCc
ピロロロロロロ…パン!

ロゼッタ「…これは、えーっと、確か…きょだい、キノコ?」


ググググググ…!

ロゼッタ(巨大)「か、体に活力が…こ、これは!」

ポイハナ「でけえ」

ポイハナ「元々あの人ノッポだからな」

パリン!パリン!

ロゼッタ(巨大)「す、すごい!当たり判定が大きくなるので不安でしたが、
          甲羅やバナナも難なく破壊して走れるのですね!更に他の人を踏み潰すことができる、と!
          私にとってこれは中々利用価値の高いアイテムですね!」


ビュン!


ロゼッタ(巨大)(おまけに、ダッシュキノコほどの速度はありませんが、水辺でも減速しない!
      コース取りが下手な私にとっては非常に助かります!…むむっ)

85Mii:2018/09/09(日) 18:38:50 ID:aK45zTCc
ゴオオオオォォォ!

シグナルジュゲム
「おーっと、巨大化したロゼッタ選手の後方から、2体目のキラーが迫ってきたぞー!」

ロゼッタ(巨大)(とりあえず、キラーはこの体ではじくとして、次のアイテムボックスまでの距離は確か…)


シグナルジュゲム
「ロゼッタ選手、特にキラーを気にしていませんが大丈夫なのかー!」


ロゼッタ(巨大)「…………あれ?よもや、キラーに当たり負けする、んですか?」

ガツンッ!!

ロゼッタ(巨大)「いやぁー!!」



ベビィマリオ「おおー、やっと追いついてきたでちゅか?」

ベビィルイージ「んー、なんか轢いた気がするでちゅ。もし新人さん轢いてたら困りましゅ」

ベビィマリオ「救護義務なんてものはないでちゅから大丈夫でちゅよ」

ベビィルイージ「それもそうでちゅね。キラーは急に止まれない、でちゅ」

86Mii:2018/09/23(日) 19:57:51 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ(元)「あ、元の姿に戻りました…心なしか、血がにじんでいる面積が広がっている気が。
うん、考えないことにしましょう。むしろ、大きくなっていたからこれだけの怪我で済んだ、と
考えていかないとやってられませんね。加速、加速です!」ダッ

ロゼッタ「パワフルダッシュキノコ!」ビューン!

ロゼッタ「よし、スター!」キラキラキラキラ

ロゼッタ「そして…サンダー!!」ドッカーン



〜11 th/12〜
ロゼッタ「…あ、あれ?これだけ強いアイテムが出てるのに、1人しか追い抜けない?
…あ、あの遠くに見えている人が10位でしょうか…って、スター使用中でしたか。

――そうでした、私以外の下位集団の人も当然強いアイテムを手に入れているはず、
そう簡単に追い抜きを許してはくれないわけですか。おまけにスターでサンダーも回避された、と」

ロゼッタ「…詰んでいませんか?くっ、こうなったら……!」

87Mii:2018/09/23(日) 20:00:00 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ(スゥーーッ)

ロゼッタ「前の人たちが設置アイテムに引っ掛かって足止めされるのを祈りましょう。
あはは、混戦になっていないと走りやすくて、私としてはありがたいですね!!
おまけに、私が好むライン取りに障害物がほとんど落ちていませんし!きっと神様の思し召しです!」



ロゼッタ(結局。消極的極まりないけれども事故らず走ることをモットーに走った結果、
11位でコースを終了しました。後ろのキノピコさんにスター状態のキノコダッシュで
猛追されたときはもう駄目だと思いましたが…。軽量級なのが幸いしました。

今度こそ独力で走り切れましたね!文句は言わせません!)

88Mii:2018/09/23(日) 20:02:06 ID:0CPBUtO2
第2コース結果
1位 マリオ
2位 ワリオ
3位 クッパ
4位 ピーチ
5位 ドンキーコング
6位 ベビィマリオ
7位 デイジー
8位 キングテレサ
9位 ベビィルイージ
10位 ヨッシー
11位 ロゼッタ
12位 キノピコ

シグナルジュゲム
「今回のコースは、マリオ選手の素晴らしい走りが冴えわたりました!
まさに、非の打ちどころがない走りです!ワリオ選手、クッパ選手の攻撃を振り切ってのゴールなので
非常に価値も高いと言えるでしょう!」

89Mii:2018/09/23(日) 20:03:34 ID:0CPBUtO2
マリオ「ふふん、どんなもんだ」

クッパ「こしゃくな、トゲゾーをキノコでかわしてのけるとは…!」

マリオ「バナナガードを捨てた賭けに出て、確率の低いダッシュキノコを手に入れられたのが
    勝因ってこったな。これが俺の勝負運だ」

ピーチ「やるじゃない、マリオ!私も負けてられないわ!」

クッパ(というか周り重量級のところに軽量級で滑り込むピーチ姫も凄いとワガハイは思う。
     このコースが付き落としの危険性ないとはいえ)

マリオ(割と同感)

ピーチ(いやまあ砂地多かったし)

マリオ(あ、聞こえてたか)

90Mii:2018/09/23(日) 20:05:06 ID:0CPBUtO2
係員「マリオさーん、ちょっといいですかー?」ヒラヒラ

マリオ「ん?どうした?…なんかあったみたいだから行ってくるよ」スタスタ

デイジー「お疲れー。さてと、ロゼッタの様子を見に行きましょうか!」

ピーチ「そうね!」スタスタ

ワリオ「……」





そして。第3コース参戦レーサーの受付が終了した――。

91Mii:2018/09/23(日) 20:06:22 ID:0CPBUtO2
ピーチ「…え?」

デイジー「…な、なんで?」

ロゼッタ「…………嘘、ですよね?」





第3コース参戦レーサー
クッパ
ワリオ
ベビィマリオ
ワルイージ
ルイージ
ファンキーコング
キノピオ
ほねクッパ
ピーチ
キングテレサ
ベビィデイジー
+ロゼッタで12人

92Mii:2018/09/23(日) 20:07:59 ID:0CPBUtO2
クッパ「ああ、ワガハイとほね野郎が同時存在していることか。
     あれはパラレル的存在だから気にしなくてもよいぞ」

デイジー「違うわよ、バーカ。とうとう私が圏外になっちゃったことについてみんな驚いてるのよ。
      ほんと、酷い話よね!こうなったらベビィデイジーを全力で応援しようっと!」

ピーチ「違うわよアホンダラ!私もロゼッタも、

    マリオが、マリオが一気に圏外に追いやられたことがショックなのよ!」

デイジー「え?…あ、ほんとだ!?嘘でしょ!?さっきは1位だって取ったのに!」



クッパ「……なんだ、そのことか。ワリオのほくそ笑みを見て、なんとなくではあるが予想は付くぞ」

ピーチ「な、なんですって?」

93Mii:2018/09/23(日) 20:10:18 ID:0CPBUtO2
マリオ「…もう一度、言ってもらえるか?耳がおかしくなったみたいだ」

運営「ですからね。申し訳ありませんが次の2コース、大会規約により、
    あなたの参戦不可を通知させてもらいたいんですよ」

マリオ「ちょ、ちょっと待ってくれ!さっきのコース、俺が利他行為をいつ誰に働いたというんだ!」

運営「誰に、というのは先ほど11位で走り終えたロゼッタ選手ですよ」

マリオ「…正気か?1週目早々に追い抜かしてから、近くを走ったことは一切ないんだぞ。
    言い掛かりも甚だしい。話にならないな」

運営「…そうですね。1コース目のテコ入れは薄々気付いていましたが、まあ流しました。
   そして、2コース目はまったく気付きませんでした。…ワリオ選手に指摘されるまでは」

マリオ「……ワリオ、だと!?どういう、ことだ」

94Mii:2018/09/23(日) 20:13:17 ID:0CPBUtO2
運営「ワリオ選手が言ったんですよ。

    『アイツの走り方、なんか不自然なんすけどー。以前このコースを走ってた時と比べて、妙にフラフラしてるし、
     アイテム交換もなんか雑だし、珍しく後方への甲羅投擲が多い気がするんすよ』って」

マリオ(なん…だと…!?)

運営「ビデオ検証しても、最初は全く何もわかりませんでした。言い掛かりじゃないかと思ったくらいでしたけどね。
    何十回と繰り返しスロー再生しているうちに、驚くべきことがわかりました。


    マリオ選手。あなた、アイテムを設置しようとしたレーサーを、ロゼッタ選手のライン取りの外に誘導していますね」

マリオ「……」

運営「アイテム設置に絶好のポイントを前方あるいは後方のレーサーが通過しようとするたびに、
    超ピンポイントで攻撃を仕掛ける。前方への攻撃は自分が食らわないよう相殺する目的とも取りたくなりますが、
    常日頃のマリオ選手なら難なく直前で回避できるものばかりです。後続への攻撃は猶更。
    少なくとも、反撃を考慮しないでやっていい攻撃じゃないですよ。


    結局、狙われた選手は設置物を相殺されるか慌てて避難行動を取るしかない。
    そして、そういったポイントをロゼッタ選手のライン取りに対してプロットしたところ、
    適合率は驚異の98%でした。どうですか、行為を認めますか?」

95Mii:2018/09/23(日) 20:15:52 ID:0CPBUtO2
マリオ「……ハァ。こりゃまいったね、降参だよ。煮るなり焼くなり好きにしてくれ」

運営「あ、やけにあっさりですね」

マリオ「まさかそこまでワリオに見抜かれていたとは…いや、ロゼッタを孤立させること目的で
     駄目元で告発してみた線もあるか。所詮、一度走りを眺めただけでトレースするのは無謀だったようだな」

運営「あー、一度彼女の走りを視ただけでトレースしてのけたと。驚きを通り越して呆れますね」

マリオ「…で、俺の処分は?」

運営「ですから、次の2戦の参加不可、それ以上でもそれ以下でもありません」

マリオ「…え、それでいいのか?俺が言うのもなんだが…軽すぎやしないか?」

運営「まー、今後も繰り返されるようならその時は考えますが…
    我々もお気持ちは分かりますからね。彼女をひとり巣窟に放り込むのは気が気じゃないでしょう。
    お互い穏便に、ということで。では、もう戻って頂いても構いません。

    投票結果は2戦分、細工させてもらいますけどね」

マリオ「…りょーかい」

96Mii:2018/09/23(日) 20:17:33 ID:0CPBUtO2
マリオ「…というわけで、残り2戦は助太刀できなくなった、すまん」

デイジー「…奥の手ってそういうことかぁ。でもほんと、どうすんのよ?
      なんだか…嫌な予感がするんだけど」

ロゼッタ「…………大丈夫ですよ、少なくとも走り切るだけなら」

ピーチ(…なんだかロゼッタ、意気消沈してない?)

マリオ(余計なお節介、しちまったか…自分の力だけで走り切ったと一応満足したつもりが、
     結局は助けられていたっていう体たらくを突き付けられたからな)

ピーチ(あ、そうか。…この話、ロゼッタの前でしたのは失敗だったわね)

97Mii:2018/09/23(日) 20:19:52 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ(…酷く、自分が滑稽でした。己惚れも甚だしい)

ロゼッタ(そんな曇りがかった心地で…第3コースを、迎えるのでした)

ロゼッタ(そして、そんなときに…ワリオが、おもむろに近づいてきたのです)



ワリオ「へえぇ、次はマリオもデイジーも出ないのか。
     お守りもなしに、アンタ大丈夫かねえ、グヘヘヘ」

ロゼッタ(なんて白々しい…)キッ

ワリオ「なんて白々しい、って言いたそうな目だな。だが言っとくが、今回に限れば悪いのはあいつらだぜ?
     そこんとこ…間違えるなよ?」

ロゼッタ(そう、なのかもしれません。でも…納得はしたくありません)

ワリオ「まあ、そんなことはどうでもいーや。ちょいと聞きたいんだが、

     

     次のコース、どこを指名するつもりだ?」


ロゼッタ「え?」

98Mii:2018/09/23(日) 20:22:09 ID:0CPBUtO2
ワリオ「俺はよ、マリオカート64で初参戦したとき、ルイージサーキットやノコノコビーチは一切眼中になかった。
     しょっぱなからクッパキャッスルだのヒュードロ池だの、難コースを選んだもんだ。
     起伏も障害物もなーんもないコースなんて、面白くねーだろ?」

ロゼッタ「そ、それは人の勝手というものでは、ないですか?貴方の考えを否定する気はありませんし、
      貴方に私の考えを否定される気もありません」

ワリオ「…ほんと、ツマンネ―奴だな。じゃあ次はモーモーカントリーか?ヘイホービーチか?
     それともヨッシーフォールズで外周だけ走ると決め込んでるのか?」

ロゼッタ(……悔しいくらい的確に、候補を当てられてしまいました)

ワリオ「うーわー、図星かよ。心底がっかりだわ…。
     そりゃ初参戦で簡単なコースを主体に選ぶのはよくあることだがよぉ、
     全部が全部そればっかりってのはねーわ。お前さんよぉ、もう走る価値ねぇわ。
     これ以上大会を汚すようなら、とっとと帰ってくんねーかなあ?」ニヤニヤ

ロゼッタ「…………!!」



その言葉は、酷く私に、突き刺さったのです。

99Mii:2018/09/23(日) 20:24:46 ID:0CPBUtO2
ワリオ「…おっと、まあ俺の勝手な独り言だけどな、失敬失敬。
    そんじゃ、楽しみにしてるぜえ」ヒラヒラ

ロゼッタ「…………」



シグナルジュゲム
「さて!まさかのマリオ選手の一回休みという波乱がありましたが…気を取り直してまいりましょう!
さあ、ロゼッタ選手!――第3コースの指名を、お願いします!」



ロゼッタ「……………………キノコキャニオンで、お願いしますっ!」



ピーチ「えっ!?」

デイジー「ちょ!?」

マリオ(……ワリオの奴が、何か仕掛けやがったな…?いくらジャンプ訓練に走ったことがあるとはいえ、
    走り込んだわけじゃさらさらない!危険すぎるぞ!)



ワリオ(ニヤリ)

100Mii:2018/09/23(日) 20:28:07 ID:0CPBUtO2
シグナルジュゲム
「さあ、気を取り直しまして、第3コースはキノコキャニオン!
ここで一転して、起伏のあるジャンピングコースとなりました!
どんな戦いが繰り広げられるのか私も楽しみです!

それでは――第3コース、スタートォ!」



ロゼッタ(勢いで選んでしまいましたが…こうなっては、もう走り切るだけです。
      ああ、それと。ロケットスタート、やってみます)ジーッ



――ピィーッ、ピィーッ、ピィーッ、パアァーン!!

101Mii:2018/09/23(日) 20:29:49 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ(やりました!我ながら中々のタイミング把握、成功です!!)ビューン!

ロゼッタ(し、しかし結構なGが掛かりますね……っ!?



      目の前のワリオが…スタートして、ない!?
      よけないと…ま、間に合いませんっ!?)



ドゴンッ!!



ワリオ「うおっ、ビックリさせんなよコノヤロウ(無傷)」クルッ

ロゼッタ(顔面をハンドルに強かに打ち付けて悶絶中)

ワリオ「うわ、怒りも失せる間抜けっぷり。まあ、頑張れや」ブロロロロ

ロゼッタ(痛い……ワリオに、文句を言いたいですがぁ…!
      碌に制御もできないまま前方確認もせずダッシュを仕掛けた私が確かに一番問題です、ねぇ…!
      ひどく心配そうに、ピーチ姫が横を、通り過ぎていきました…)

102Mii:2018/09/23(日) 20:32:31 ID:0CPBUtO2
ブロロロロ…
ロゼッタ(ようやく走り出せましたが…よく考えると、なぜ、ワリオは初動が遅かったのでしょう?
      …ま、まさか最初から私の行動を読んでいて罠に嵌めるために!?
      だとしたらやっぱり、酷い話です…!こ、今後もマリオやデイジーがいないことを幸いに、
      罠を仕掛けられるのでしょうか…?)ビクビク

ピーチ(…なーんか、迷いがあるっぽいわね。あんまり考えあぐねていると命取りになるわよ、しっかりしなさい!)

103Mii:2018/09/23(日) 20:35:06 ID:0CPBUtO2
ドンキーコング「お、トリプルバナナ。俺のキャラには合ってるが、狭い道がないこのコースだと
          それほど旨みがないな。防御に使うのもいいが…アイテム交換率上げるために、
          ジャンプ台手前にテキトーにばら撒いとくウホ」



トン、トン、トン



ドンキーコング「…あちゃ、バカみたいに一直線に設置しちまった。誰が引っかかるんだよこんなバナナ…
          これならまだ、ジャンプ着地点に仕掛けといた方がよかったぜ…もっと精進せにゃ」ブロロロロ


ロゼッタ「あ、あからさまなバナナがあります。踏むと間違いなく即落下コース、避けなきゃ、絶対に避けなきゃ…!
      ドリフトをうまく利用して…」グググッ


グイイイィィ!

ロゼッタ(逆 ハ ン ド ル!?)



ロゼッタ「きゃあああああ!!」バナナフミー

フィッシングジュゲム(以下ジュゲム)「お、今回のレース初仕事か」

104Mii:2018/09/23(日) 20:39:12 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ(…だいぶ、他の人たちと離されてしまいました。連続の加速アイテムに頼るしかありませんね…
      ただ、ピーチ姫にも
      
      『キノコ足場の連続地帯で加速するのは相当のドライビングテクニックがないと自殺行為よ!』
      
      と釘を刺されましたし…それ以外の平坦と言えなくもない地形で、できるだけ使っていくしかなさそうです)



ピロロロロロロ…パン!



ロゼッタ(あ…キラーです!これならば話は別、早速使っていきましょう!)


ゴオオオオオォォォォォ!
ロゼッタ(…なんだか、変な感覚、です。自分ではあまり制御できませんが、
      しっかりとコースに沿って颯爽と前進していく。キラーの殻に包まれていますが、
      周囲の状況が頭で分かる。ああ、星船に近いものがあるかもしれませんね)

105Mii:2018/09/23(日) 20:41:55 ID:0CPBUtO2
キノピオ「うわぁ、キラーが追いかけてきました!ロゼッタさんですね!
      吹っ飛ばされるわけにはいかない…使いますっ!」

ロゼッタ(…前方のキノピオがスターを使用。勢いそのままぶつかりましたが、
      お互い少し弾かれるだけで、キラーとなった私が吹っ飛ばされることはありませんでした。
      よし、きょだいキノコと違って、今度こそは身の安全は保証されていそうですね!

      かなりの距離があったはずですが、12位から11位に上がれました!
      ちっぽけな差かもしれませんが、ここから先はそれほど前との距離はありません!
      ビリにならないよう、少しでも追い抜いておきたいとこr)



キラー「あ、すまん、11位に追い付いた時点で距離有りすぎや。時間切れ」ポンッ



ロゼッタ「――ジャンプ台直前で放り出さないでほしいんですけれどもっ!!
      ば、バランスがっ!?」フラッ

106Mii:2018/09/23(日) 20:43:57 ID:0CPBUtO2
キノピオ「あっ」スター使用中

ロゼッタ(キノピオがスターで近づいてくる!…あ、でもピーチ姫に攻撃を躊躇する
      ジェントルマンなキノピオなら、同じくお姫様の私は見逃してもらえるかm)

キノピオ「そりゃ」

シグナルジュゲム
「キノピオくんの強引なタックル!ロゼッタくん…じゃなかったロゼッタ選手、吹っ飛ばされた―!」

ロゼッタ「なんでですかーっ!?(ギャラクシーでも親切にさせていただきましたよねー!?)」ドッカーン

キノピオ「忠誠を誓ってるのはピーチ姫だけですし。お、都合よく谷底に落ちていきましたね♪」




デイジー「あとでキノピオシメる(観戦中)」パキポキ

マリオ「待て待て俺がやる(観戦中)」ゴゴゴゴ

107Mii:2018/09/23(日) 20:48:25 ID:0CPBUtO2
ジュゲム「大丈夫っすか?」

ロゼッタ「グズッ…満身創痍、です、が。走り切って、見せますよ」ボロッ




そのとき、ロゼッタに、電流走る――!




ロゼッタ「かはっ」ゴボッ

ジュゲム(あ、復帰直後にサンダー落ちた)

ロゼッタ「…これは、ちょっと、ほんかく、てきに、まずい、かも…」ボタボタ

108Mii:2018/09/23(日) 20:50:20 ID:0CPBUtO2
シグナルジュゲム
「おーっと!現在8位で走るルイージ選手、アイテムルーレット停止早々!
やや勇み足でサンダーを使用しましたっ!たまらず他の選手、アイテムをドロップ!
しかし致命傷にはなっていない!平坦なエリアで攻撃を貰ったことで影響を最小限に抑えられたか!
しかしトップ集団でキノコ連続地帯に差し掛かるクッパ選手、ファンキーコング選手、ワリオ選手は流石に…



おおおおっ!?ワリオ選手、なんということだ!
サンダー、あるいはトゲゾーを見越しての作戦か、この順位までスターを温存していたぁ!
やや賭けであったかもしれませんが、今回ばかりは使用タイミングの采配、大成功といったところでしょう!
クッパ選手とファンキーコング選手がモロに大減速するのを尻目に、サンダーの影響を一切スルーし、
単独1位に躍り出たあ!」

ファンキーコング「チックショー、追いつけねえぞ!」

クッパ「くっ、おまけに落下を防ごうと思わずブレーキを掛けてしまうとは…!」

109Mii:2018/09/23(日) 20:53:03 ID:0CPBUtO2
ワリオ「へんっ!驚くのは――まだ早いってもんだぜぇ!」ドンッ!

シグナルジュゲム
「こ、これはー!?ワリオ選手、1位にとって入手確率の低いダッシュキノコを見事獲得、これは僥倖!
キノコ地帯を越えた先のゴール手前で、迂回すべき谷を絶妙な角度から飛び越えるファインプレイ!
このショートカットにより、ラスト1週にして更に大きなアドバンテージ!」

ファンキーコング「調子に…乗ってんじゃ、ねえ!」シュバッ

シグナルジュゲム
「ファンキーコング選手、改めて手にした赤甲羅を、無防備状態となったワリオ選手目指して投げる!」

ワリオ「あらよっと!」ギュン!

シグナルジュゲム
「なんとワリオ選手!赤甲羅の行動をバッチリ読めていたか!
一見すると不可解なドリフトを効かせながら、通り過ぎた、設置されていたバナナを見事盾にしてのけました!
衝突直前に超近距離のバナナの陰に隠れるならともかく、10メートル以上も後方のバナナを
視えないレール上に『仕掛ける』という芸当、これはうまい!

今回だけでなく、ワリオ選手のあるときは優美な、あるときは狡猾なアイテム活用・逆用法は
観客の皆さんもご存知のことでしょう!惜しみない拍手が送られています!」

110Mii:2018/09/23(日) 20:56:14 ID:0CPBUtO2
マリオ「ロゼッタの奴、コンディションが最悪に近くなっているのか…走りがフラフラだな。……こ、これは」

デイジー「ね、ねえ、マリオ。これ、もしかすると…」



1st WARIO 3 / 3 LAP LAST SPART !
12th Rosalina 2 / 3 LAP



デイジー「ロゼッタ、ワリオがゴールする時点で周回遅れにされちゃったりしない!?
      というか、前半エリアでモタモタしてるし、その可能性かなり高いわよ!?
      ワリオ、独走状態だし!ど、どうしよう!?」

マリオ「…ま、まさかぁ。は、ははは」

111Mii:2018/09/23(日) 20:59:09 ID:0CPBUtO2
ワリオ「よしよし、このコースは貰ったも同然だな…お、赤甲羅か。
     1位にしちゃ珍しいアイテムばっか引くな、できればトリプルバナナがいーんだけど。
     だがアイテム交換して防御アイテム掴み損ねたら嫌だし保持しとくか…

     ん?あれ、まさか…ロゼッタ、か?マジかよ、超おっせーな。
     ……うっし、会場を盛り上げるためにも、目標を『周回遅れの選手を作る』にランクアップさせてやるか。


     …そうと決まれば、この甲羅くんの使いどころも、ちと変わってくるってもんだな」グフフ

112Mii:2018/09/23(日) 21:01:36 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ(体が、鉛のように重い。そして、意識を失いそうになるくらい、あちこち痛い。
      …しか、し。走り切って、みせますよ。既に、観客には、呆れ笑われているかも、しれませんが。
      レースを途中で棄権して、失望されることだけは、されたくない。
      
      私にも、多少なりとも誇りというものが、きっとある)

ブロロロロ・・・

ロゼッタ(マリオが教えてくれました。
     障害物が排除されているからこそ、私は走って来られたのだと。
     そして、障害物が一たび現れれば、酷く弱みを曝け出すのだと。
     …私に、状況を見て臨機応変にライン取りを選択する技量はまだまだない。
     とにかく今は、気付き次第先手先手で避けておくしかない!)


―ヒュー


ロゼッタ(幸い、断トツの最下位なら後ろは気にしなくていい、だから…)

113Mii:2018/09/23(日) 21:06:04 ID:0CPBUtO2
――ヒュー

ロゼッタ(…え?なんの、音?)クルッ

ロゼッタ(!?)



赤甲羅「ヒュゴオオオォォォ!!」



ロゼッタ「!?…な、なんで?どうして!?」

114Mii:2018/09/23(日) 21:07:33 ID:0CPBUtO2
〜ピーチの解説〜
皆、知ってる?
赤甲羅はね、前方に撃たれてから1秒にもならないくらいのタイムラグを経てから、
ターゲットをロックオンして追尾をし出すの。

1位に肉薄している2位の人が撃ったり、1位の人が撃ったりして
追尾をしようとした頃に前方のレーサーを索敵できなかった赤甲羅はね、
目標を見失って闇雲に走り去ってしまうのよね。

トゲゾーなら1位が撃った場合でも問答無用で引き返してきて自爆するのに。


この時の軌道は、本当に追尾スタイルではなく、コース中央を走るだけ。
1周もしないうちにどこかに消えるといわれているわ。


ただし、その間も当たり判定はしっかりあるから、設置物と互いに相殺し合ったり
――長い旅路を経て下位グループの誰かにとばっちりで当たったり、するのよね。

繰り返すけど、追尾はしないから、コースの端に寄ってしまえば避けられることは
避けられるんだけど…当然、ロゼッタは知る由もなかったのよね。

115Mii:2018/09/23(日) 21:10:33 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ(私の順位は、12位。これは間違いありません。赤甲羅が、追いかけてくるはずが、ない。

     げ、幻覚ですか!?なにが、なにや、ら…どうすれば!右、それとも左に!?)


――ドッカーン!!


ロゼッタ「…………っ!」ドサッ

ロゼッタ(……後ろから、誰か…ワリオ!?ああ……そういう、ことです、か。
     間抜けな私にもようやく呑み込めましたよ。どうやったのかは存じませんが、
     追尾しない赤甲羅を面白半分に当てられたのですね。なんて、酷い。


     そして…ワリオから見て、もはや私のカートは目と鼻の先。


     周回遅れに、される?


    それだけは、何としても、避けなければっ!)

116Mii:2018/09/23(日) 21:12:39 ID:0CPBUtO2
シグナルジュゲム
「ロゼッタ選手、流血具合から明らかにコンディションが悪いと思われますが、
なんとか持ちこたえて走り出しております!流石に周回遅れは御免被りたいという気持ちが強いか!
…しかし非情にも、ワリオ選手がどんどん差を詰めております!」


観客「オォイ!もっと真面目に走れよ、新人だからって何でも許されるわけじゃねえぞ!」

観客「そもそもそんなことくらいで怪我してるんじゃないわよ!」

観客「帰れー、帰れ!!」

ロゼッタ「…っ!」グサッ



デイジー「マリオ、止めないで!私、アイツラとちょっと拳で話を付けてくるだけだから!」ジタバタ

マリオ「気持ちは痛いほど分かるが我慢しろ!オーディエンスにとって、いまや怪我なんてしないのが
     常識になっちまってるだけなんだ!それでロゼッタが異常に虚弱だと錯覚しちまってるだけなんだ!
     誰も悪くない!」ガシッ

デイジー「はーなーせー!!」

117Mii:2018/09/23(日) 21:15:19 ID:0CPBUtO2
ワリオ(あーあー、雰囲気まで敵に回した絶望感で、俯いたまま走り出しちまったよ。
    視野広く持っとかねーと、思わぬアクシデントに見舞われるぜ?
   
    ――こんな風に、な!!)

シグナルジュゲム
「ワリオ選手、最後のキノコ地帯でとうとう…ロゼッタ選手を完全に捉えた!
ロゼッタ選手、ジャンプアクションが出せません!ライン取り自体がややふらついていたこともあり、
――とうとう横に並ぶに至ったぁ!

そして、なんと…跳ねて空中にいる間に、そのままカートを激しく接触させました!」

ワリオ「へへっ、重量級同士といえど、ここまで勢いに差がありゃ…」ガツン!



ロゼッタ「きゃああ!!」フラァ

ワリオ「…マジで?当たり負けが甚だしいなオイ」



シグナルジュゲム
「これはロゼッタ選手、どうしようもありません!
重心が安定していなかったところを大きく吹き飛ばされコースアウトだ!
必死の形相のロゼッタ選手、むしろカートから振り落とされないようにするので精一杯といったところか!
そして、ワリオ選手が颯爽とゴールに向かって行く!」

118Mii:2018/09/23(日) 21:17:11 ID:0CPBUtO2
――周回遅れに、されて、しまった。

ベテランと超初心者の差と言ってしまえばそれまでですが、
言いようのない無力感、絶望感に苛まれます。
滲み出てくる涙をゴシゴシと袖で拭い……



ファンキーコング「まだ勝負は、終わって、ねえぜ!!」 ビュン!

シグナルジュゲム
「これは2位のファンキーコング選手、強運!トリプル赤甲羅を確保、
最後の切り札になり得るかー!」

ワリオ「!!」



視界が、警戒が、明らかに疎かになりました。

119Mii:2018/09/23(日) 21:18:54 ID:0CPBUtO2
顔を上げ前を向いた私に、待っていたものは――
距離にして5 cmにも満たないところに広がる、一面の緑。



「えっ」と面食らう暇すらなく、一体何なのか認識することもできず。
全てがスローモーションに感じた後……



何かが砕ける鈍い音、耐えがたい激痛、そして浮遊感。
それらと共に、私は意識を失うことになりました。

120Mii:2018/09/23(日) 21:22:28 ID:0CPBUtO2
シグナルジュゲム
「こ、これはアクシデント!周回遅れとなったロゼッタ選手、
ワリオ選手がウイニングショットで後方に放った強烈な勢いの緑甲羅に顔を打たれたぁ!!
体勢を崩し、カートからも振り落とされてしまいました!無人のカートが、無情にも勢いそのまま去っていく!


…ロゼッタ選手、ど、どうやら意識がありません!
横を他のレーサーが通り過ぎて行っても、ピクリとも動かない!
深刻な状況である模様です!


――えっ。……た、たった今、大会運営から通達がありました!
運営判断で、ロゼッタ選手はコース棄権扱い!直ちにコース外へ搬送し、応急処置を施すとのことです!
救命チームが担架を持って、ロゼッタ選手のもとへ向かいます!
観客の皆さん、ロゼッタ選手はすぐに元気になりますのでご安心ください!」

121Mii:2018/09/23(日) 21:24:50 ID:0CPBUtO2
マリオ「…なにっ!?もう一度言ってみろ!」

運営「で、ですから。まさか、こんな怪我人が出るなんて最近は全く想像してなかったので、
    1UPキノコのストックがないんですよ…」

デイジー「何よ、それ!私たちだって、持ち込み禁止になってるから泣く泣く持ってこなかったのよ!?
      あんたたち、責任取りなさいよ!」

運営「ひええええ」

ピーチ「…ここで言い合っていても仕方ないわ。マリオ、とりあえず会場外から速攻で1UPキノコを持ってきて。
     私たちは私たちで、代案がないか考えてみるから!」

マリオ「よしきた!」ダッ

デイジー「ロゼッタぁ、死んじゃいやだよぉー!ウワーン!」

チコ「うわーん!」

チコ「うわーん!」

チコ「うわーん!」

122Mii:2018/09/23(日) 21:26:24 ID:0CPBUtO2
ピーチ(どうする。どうする、私。おそらく猶予は数分もない……ハッ!)

ピーチ「ねえチコ、貴方たち、観客席で観戦してた時、ロゼッタから魔法の杖預かってたりしてない!?」

チコ「…グズッ、こ、これのこと…?」スッ

チコ「でも駄目だよ、確かにママは回復魔法くらいこの杖で使えるけど、
   相当な高等魔法だし、だいいち杖は使用者を選ぶし…!
   誰かに、代わりに、使ってもらえばいいってものじゃないんだ…!
   だいたい、杖を携帯していいなら、こんな怪我だって負うことなかったのにぃ…」

ピーチ「いいから  貸 し な さ い 」バッ

チコ「!?」

123Mii:2018/09/23(日) 21:28:48 ID:0CPBUtO2
ピーチ「杖無しでも、できるはずなんだけどね。
     使うのは、ほんと、久しぶりだから…補助の魔法具が欲しいのよ」

ピーチ(スゥー…)



ピーチ「『みんなげんきになあれ』!!!」

クッパ「懐かしっ!」



ロゼッタの杖「えー、マスター以外の言うことききたくn」




ピーチ FP:9999 魔法Lv. 85

ロゼッタの杖「喜んで従わさせて頂きますぅ!!」パアアア

124Mii:2018/09/23(日) 21:30:25 ID:0CPBUtO2
FP 9995/9999
ピーチ「よし、問題なく魔法発動!これで…!」




ロゼッタには こうかがないみたいだ…▼




ピーチ「え、そんな…馬鹿な!?」

クッパ「あ、今の状態が戦闘不能だからじゃないか?」

ピーチ「そ、そっか。それなら…

    『おねがいカムバック』!!!」パアアア

ロゼッタ「」ピカーッ

125Mii:2018/09/23(日) 21:31:52 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ「――っ!ハァッ、ハァッ!!あ、あれ?私…」

FP 9993/9999
ピーチ「やった、大成功!!苦労した甲斐があったわ!!」

クッパ「…苦労ってなんだろうな」

ピーチ「ロゼッタ、大丈夫?」

ロゼッタ「…そうです。たしか、ワリオに抜かされたと思ったら目の前に緑、甲羅、が…」ガクガクブルブル

126Mii:2018/09/23(日) 21:35:30 ID:0CPBUtO2
〜ピーチ談〜
体力的には回復したロゼッタでしたが、その後に待っていたのは信じられない光景でした。
壊れかけのロボットの如く、のろのろと震えながら顔に手をやり完治していることを理解してからも、

震えは一切止まらず、挙動もろくに定まらず。顔はゾッとするほど青白く。
ペタンと力なく座り込んで――ただ、泣く。ひたすら、泣く。

周りの私たちや、救護班が唖然とするのには一切お構いなしに、子供のように泣きじゃくる。
時に肩を抱えながら、時に顔を手で覆いながら、時に虚ろな目で天井を見つめながら。

あのときの最後の攻撃を食らったことで…辛うじて積み上げてきた意地が、意気込みが、
ポッキリ折れてしまったのでしょうか。

私は、ロゼッタを宥めることに最大限気を配った。
あと1戦、どんなノロノロ走行でもいいから走破してみなさい、と励ました。

127Mii:2018/09/23(日) 21:37:10 ID:0CPBUtO2
――なんて、愚かなことをしたのでしょう。


私が目にしたのは…
コース開始からハンドルを持つ手が震え続け、
あからさまな設置アイテムを避けきれず、

しまいには横を『通り過ぎた』緑甲羅を視界に収めてしまっただけで…
激しい動悸、発作を起こして走行不能となり、
観客の怒号が飛び交う中を救護班の肩を借りて弱々と会場を後にするロゼッタの姿だった。

128Mii:2018/09/23(日) 21:38:38 ID:0CPBUtO2
〜王国病院の一室〜

医師「ふうむ。とりあえず、もう外傷は全く見当たりませんな。……精神的にはかなり参っているようですが。
    何をするにも目が虚ろで、会話はおろか、碌に相槌すら打ってくれません」

デイジー「そう……」

マリオ「…どうする?俺たちが今すぐ見舞ったところで逆効果っぽいぞ?
    今はそっとしといてやろうってのが俺の意見なんだが」

ルイージ「しばらく面会拒絶状態にしてもらうってこと、兄さん?」

マリオ「ああ。ついでに俺たちも大反省会&対策会議、だな。ロゼッタを振り回しすぎた。
    後悔先に立たずではあるんだが」

129Mii:2018/09/23(日) 21:40:40 ID:0CPBUtO2
ピーチ「……一応、幸か不幸か、ロゼッタはしばらく登録抹消ということで話が付いたわ。
     観客にも『やめたいなら止めないよ』的な雰囲気が漂っていたから、
     利害の一致で丸く収まると思う。このまま、完全に選手登録を外す段取りに入るわ」

ルイージ「それはそれで、すごく寂しいなぁ…ピーチ姫はそれで納得してるの?」

ピーチ「…納得してるわけ、ないでしょう!!」バンッ!

マリオ「…だな」コクッ

ルイージ「ご、ごめん」

ピーチ「これ以上無理強いさせてたら、本当に精神を崩壊させてしまうから、仕方ないのよ!
     …でも結局、マリオカート初、途中棄権っていう汚点は嫌でも残る。
     ロゼッタに、取り返しのつかない重荷を背負わせ、ちゃった。
     私が、もっと、しっかり判断していれ、ば」ボロボロ

130Mii:2018/09/23(日) 21:42:37 ID:0CPBUtO2
医師「ま、まあまあ。彼女もそこまで、ヤワじゃないと信じていますよ。まあでも、そうですね。
    今日の所はお引き取り下さい。数日すれば、会話もできるようになるでしょう、きっと」

マリオ「だ、だがな……」

チョイチョイ
マリオ「…ん、どうしたんだピーチ」コソコソ

ピーチ「実はさっき、コッソリ扉の隙間から様子見てきたんだけど。
    
    『帰りたい!帰りたいの!!ほうき星の上にある わたしの家に帰りたいの!』とか
     涙でぐしゃぐしゃになった顔で叫んでたわ……」コソコソ

マリオ(……トラウマ再発しとる、これはヤヴァイ)ダラダラ

マリオ「みんな、撤収!」

ピーチ「…そうね、そうしましょう――」グスン

131Mii:2018/09/23(日) 21:44:37 ID:0CPBUtO2
――無機質な病室で。
――――電灯は付けず、ただあるのはわずかな窓明かり。
――――――そして、とあるインタビュー画面を映し出す、備え付けのテレビが1台。

視点すら覚束ない私の前で、映像は無情にも動き出す。



『いやあ、酷いもんですよ。まさか4コースごとき完走できないだなんて。
もう俺、ロゼッタ選手のファンやめます』

『特訓に特訓を重ねたらしいけれど、どんどんボロが出る感じだったのよねー』

『所詮、ピーチ姫やデイジー姫とは鍛え方がまるで違う、箱入りお嬢様だったんですよ。
ま、来るところを間違えたってことっすね』



ロゼッタ「…………」

――どうして、こうなってしまったのでしょうか。

132Mii:2018/09/23(日) 21:46:40 ID:0CPBUtO2
――私は、本当に、テレビを眺めているのでしょうか。
意識があるようで、思考が、意思が、行方不明。
絶望からの現実逃避?幼児退行?はたまた精神崩壊?

肉体は一応回復…したはずなのですが、今の私の体にはあちこち包帯が巻かれています。


世の中には、幻肢痛という症状があるそうです。
事故などが原因で腕や脚を切断しても、脳が部位を失ったことを追記できていないため、
存在しないはずの部位に痛みを感じるという、対処の難しい症状とのこと。


私の場合、どういうわけか、その逆の兆候が見られるという判断でした。
五体満足のはずなのに、各部位に激しい損傷を受けたことを恐怖と共に脳に焼き付けてしまったため、
処置されていない腕や体を見るだけで猛烈な嫌悪感と不安感に襲われパニックに陥る。


ガタガタ震えていたところに自分で巻くための包帯を持たされると発作が和らいだあたり、
その通りということなのでしょう。これについては、伝言ではありますが、
『1UPキノコ乱用し過ぎも明らかに原因の1つだ、本当にすまない』とマリオから謝罪されました。

133Mii:2018/09/23(日) 21:48:29 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ「…………」

――――今後、どうなるのでしょうか。

ロゼッタ「…ふ、もうわかり切ったことでしたね」

ピーチ姫が既に動いてくれているようです。反対する気などありません。
実力も努力も碌にない新参者は用なし、戦場を去るのみです。

そもそも、私などには無理だったのです。
チコたちも大層心配してくれています、私たちの家に帰りましょう。
自業自得の汚名を背負いながらも、分相応の生き方をすればよいのです。

色々と投げやりになりながらも、そんな自分を気にも留めない。
どうして苦しみながら視ていたのだろうと若干苛つきながら、テレビを消す。

134Mii:2018/09/23(日) 21:50:14 ID:0CPBUtO2
ふと横を見ると、お見舞いの品。きっとマリオたちでしょう。
色とりどりのフルーツが入った籠に、少しだけ気が紛れます。
さらに視線を横にスライドさせ…。



ロゼッタ「ああ、これは」

『ソレ』を、乱暴に掴み。

ロゼッタ「汚れてしまいましたし、要りませんね。新調しましょう」



ポイ、と杜撰に投げつける。


――親切に畳んでおいてくれたのでしょうが、
元の蒼い色など見る影もなくなり血で汚れた、私のドレス。



ロゼッタ(ごめん、なさい)



我ながら素晴らしい軌道を描いて――やや大きめのゴミ箱に収まって、

ポスン、と音を立てました。

135Mii:2018/09/23(日) 21:51:46 ID:0CPBUtO2
壁に掛かった時計をみれば、既に日付が変わろうとしています。
一刻も早く元気になって、皆さんに安心してもらわなければ。
そのためには、やはり、十分に寝るに越したことはないでしょう。

簡単に身を整え、ベッドに横たわり、眼を閉じて眠りに入ろうとした、その時。


コンコン。


ロゼッタ(……!?)ビクッ

不気味な、ノック音が響き渡りました。

136Mii:2018/09/23(日) 21:53:30 ID:0CPBUtO2
もちろん、回診に来るような時間でないことは知っています。

マリオたちも、こんな夜中に改めて見舞いに来るわけがありません。

かといって、一般の方が探し当てられる病室というわけでもありません。
ピーチ姫が手を尽くしてくれたらしく、VIP扱いとなっているようですから。


――では一体、誰が?


扉の方を凝視するばかりで、身を隠すどころか、ベッドから起き上がることもままなりません。
金縛りのように体が動かない中、心拍数だけが上がっていきます。

そして。こちらの返答も待たず、ガシャッと扉が乱暴に開けられたとき。
私は、自分の運命を正直呪いました。

面会拒絶の札だなんてなんのその。そこに立っていたのは。



「うおっ、なんでいなんでい!お休み中でも着替え中でもなく、普通に起きてるじゃねえか!
とっとと返事しろよバーカ」


私の精神にトドメを刺した張本人の…ワリオ、だったのです。

137Mii:2018/09/23(日) 21:55:26 ID:0CPBUtO2
なるほど、無礼千万のこの来訪も、ワリオということなら納得ですね。


――みたいなことを考える余裕など、私にはありませんでした。


頭が、胸が、体の節々が、たちまち不調を訴えます。
顔がこの上なく青白くなっていることさえ、自分でわかってしまいます。
距離を取ろうにも、改めてベッドに寝転ぶことしかできません。
それが、何になるのでしょうか?


――何を、されるのでしょうか。
この期に及んで、おぞましい乱暴でも、されるのでしょうか。


結局のところ、力のない私は。
「いっしょう、のおねがい、で、す。…これ以上、私を苦しめないで、ください…!」ボロボロ


震えて目を瞑りながら、全てを天に委ねて泣くことしかできなかったのです。

138Mii:2018/09/23(日) 21:56:29 ID:0CPBUtO2
しかし、それを聞いた彼は我関せずと、私の口に無理やり毒物を放り込み、
更には、あろうことか口を抑え息の根を止めようと…!


















ワリオ「ニンニクだ、食え」ガシッ

ロゼッタ「ぶふぅっ!?」ジタバタ

139Mii:2018/09/23(日) 21:58:22 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ「きゅ、急に何するんですか!…って、途轍もなく息が臭いんですけれども!
      もしかして、ニンニクをまるごと1個、生で食べてしまったのですか!?嫌ああ!」

ワリオ「おうおう、元気になっただろ、ガハハハハ!俺が丹精込めて栽培した特級品だからな!」

ロゼッタ「……そういえば、少し体が軽くなったような(別な意味で死に掛けましたが)」

ワリオ「そうだろうそうだろう。マリオの野郎は馬鹿だから、弱ったら1UPキノコさえ使っときゃいい、
     みたいな発想をしてるみたいだが、気力アップにはガツンと刺激的な物を摂取しなきゃな!
     俺なんか、どうにもやる気が出なかったらニンニクに限るっていう生活を長らく続けているぜ!」

ロゼッタ「…でも今の場合って、継続的な摂取による効能およびブラシーボ効果とか関係なく、
      臭いで強制的に覚醒しているだけですよね!?」

ワリオ「……そうというかもしれないし、そうでないかもしれない」

140Mii:2018/09/23(日) 22:01:31 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ「……あの。本当に、どうしてこんな時間に、来られたのですか?」

想定しない斜め上の驚きがあると、却って落ち着くとはこのことでしょうか。
すこし恐怖と緊張は解けましたが、この人の意図がよくわかりません。
――恐る恐る、聞いてみました。

ワリオ「いや、緑甲羅に運悪く当たって棄権したっていうんでな。
     流石に人として見舞わなきゃ駄目だろーと判断しただけだ、言わせんな」



――本来ならば。
頬を掻いて逸らし目で佇むワリオに対し、認識を改めて

『ああ、そうだったのですか。わざわざありがとうございます。
夜分の来訪とはいえ、失礼なことをしました』とでも言えばよかったのでしょうか。

しかし、私は聞き捨てならないワードを耳にしたことで、
怯えから一転、怒りが、激昂が沸き起こったのです。




――緑甲羅に、『運悪く』当たった?

141Mii:2018/09/23(日) 22:03:23 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ「何が――」

ワリオ「ん?」

ロゼッタ「何が、運悪く当たった、ですかっ!」

一度火が付くと、私の口は止まることを知りませんでした。

ロゼッタ「あのタイミングで、あなたの1位は確定だった!
     
      後ろに緑甲羅を投げつける理由なんて、何もなかった!
  
      偶然ではありません、必然です!

      ワリオ、あなたの嗜虐心のせいで、私は心身共に深い傷を負うことになったのですよっ!
      ピーチ姫やマリオ達がいなければ、今頃本当に命を落としていたかも知れなかった!
      私があなたに、何をしたというのですか!」



ボロボロと再び泣きながら、喚きたてる。


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