したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」

1Mii:2018/08/04(土) 23:26:40 ID:Mx6gHZLQ
マリオ「隠しキャラ、もとい隠しゲストとして任天堂から依頼が来てる。
    ギャラクシーと連動して、ミステリアスな女性ドライバーとして
    ブレイクしてほしいとのことだが…どうする?」テガミポイー

ロゼッタ「…ふむふむ。
     レースごとに観客の皆さんの投票で参戦するか否かが決まって、
     その時点で少なくない給料が発生。
     上位に入ったり総合成績が良ければ更に追加給金。
     至ってシンプルな給料体系ですね」

マリオ「…………」

275Mii:2018/10/08(月) 20:43:26 ID:p37/bHQA
ピーチ「まあ、予定通りだけどね。
     
     じゃあ、マリオとルイージに体中を操られる作戦、題して『マリオネット作戦』を断念しまして――」

ロゼッタ(ホッ)





ピーチ「これより、『催眠ループ作戦』を始めます」

ロゼッタ「……え?」





ピーチ「マール、お願い!」

マール「オッケーよピーチちゃん。『ママの子守唄』!」♪〜

ロゼッタ「え、いきなりなんd」

ロゼッタ(スヤァ)バタリ

276Mii:2018/10/08(月) 20:45:07 ID:p37/bHQA
ピーチ「続けてチョール、お願いします!」

チョール「ほいや。『すっきり爽快』!」パアァァァ

ロゼッタ「…あ、あれ?私、今寝てました?」ムクッ

ピーチ「さあさあロゼッタ、まだ料理が残ってるから食べなさい?」

ロゼッタ「…ですから、まだお腹一杯になったばっかりで…あら?妙に…お腹が空いている?
      確かに、これならもう少し食べられそうですが。一体何をしたのです?」モグモグ

チョール「快眠状態で体の組織が活動をしやすいところに、結果として消化促進効果を重ねて効かせたのじゃよ。一瞬で消化完了じゃ!」

マール「おまけに、快眠状態って普通は連続では限度があるけど、チョールの技の効果には覚醒効果もあるから、
     メリハリ効かせて半永久的にループが可能なのね!…まあ、どこかしらに精神摩耗はあるだろうけど」

ロゼッタ「ご、強引すぎませんか?」

277Mii:2018/10/08(月) 20:48:23 ID:p37/bHQA
ピーチ「さあ、限界まで食べなさい。そしたらまた催眠掛けるから」

ロゼッタ「…え、そ、そんな!人権無視もいいところではないですか!?」

デイジー「サヤカちゃんと明日遊べなくなってもいいのー?」

ロゼッタ「…!!」

デイジー「今のままだと、ピーチはロゼッタを隔離して別の対策を探しかねないよー?
      サヤカちゃん悲しむだろうな、1日でママに裏切られるなんて。

     それに、ロゼッタが体力を付ければ、それだけまともにサヤカちゃんと遊べて
     ママの役割をこなせるんじゃないのかなー?」

ロゼッタ「……わかりました。やります、やればいいのでしょう!
     開き直りますよ、よろしくお願いしますっ!」

ピーチ「その言葉を聞きたかった」ニヤリ

278Mii:2018/10/08(月) 20:50:09 ID:p37/bHQA
ピーチ「よし、じゃあ再開しましょう!食べて食べて!」

ロゼッタ「はいっ!」パクパク

マール「『ママの子守歌』!」♪〜

ロゼッタ(くー)バタリ

チョール「『すっきり爽快』!」パアァァァ

ロゼッタ「」シャキーン

ピーチ「料理No. 02『キノコソテー』。びりびりキノコを使うことで、同じ炒め物でもキノコ炒めとは違う旨みを醸し出すわ!」

ロゼッタ「旨みだけでなく、ピリッとした辛さもアクセントになっていて美味しいですね。
      使うキノコでこうも変わってくるものですか」パクパク

マール「『ママの子守歌』!」♪〜

ロゼッタ(スゥー)バタリ

チョール「『すっきり爽快』!」パアァァァ

ロゼッタ「」シャキーン

デイジー「……」

279Mii:2018/10/08(月) 20:51:46 ID:p37/bHQA
ピーチ「まだ残ってる!」

ロゼッタ「は、はいっ!」モグッ

マール「『ママの子守歌』!」♪〜

ロゼッタ(スヤァ)バタリ

チョール「『すっきり爽快』!」パアァァァ

ロゼッタ「」シャキーン

ピーチ「料理No. 03『キノコステーキ』。キノコと緊急キノコを絶妙な配分でカットしてこんがり焼く!
     染み出した成分が混ざり合うことで、まるで高級ステーキのような味わい!
     腕さえあれば極めて安価で済む、庶民の味方よ!」

ロゼッタ「…!これは、キノコを食べているというより、確かに肉のよう!目を瞑って食べれば、一層区別が付きませんね。
      信じられない味の変貌です」パクパク

マール「『ママの子守歌』!」♪〜

ロゼッタ(フラァ)バタリ

チョール「『すっきり爽快』!」パアァァァ

ロゼッタ「」シャキーン

デイジー「……………………」

280Mii:2018/10/08(月) 20:54:01 ID:p37/bHQA
ピーチ「まだ残ってる!」

ロゼッタ「言われなくても、分かっていますっ!」モグッ

マール「『ママの子守歌』!」♪〜

ロゼッタ(グゥ)バタリ

チョール「『すっきり爽快』!」パアァァァ

ロゼッタ「」シャキーン

ロゼッタ「……すっきり爽快という割に、少しずつ倦怠感が出てきたのですが」

ピーチ「強制的に組織を動かす以上、諦めて!」

ロゼッタ「……ですよね、知ってました」トオイメ

デイジー「…………私、見てるだけ?お腹空いてきたんだけど」

281Mii:2018/10/08(月) 20:57:26 ID:p37/bHQA
ピーチ「デイジーは…これ!」サッ

デイジー「…『ナカマモネガーウ』バッジ?なにこれ?」

ピーチ「スターパワーが全然足りないわ!ひたすら願っておいてちょうだい!」

デイジー「ええええー…殺生だよ…」



ピーチ「料理No. 04『ハニーキノコ』!火を通したキノコにハニーシロップを掛けるとあら不思議、
     手間は少ないのに絶妙なマリアージュが…」

ロゼッタ「っ!?」ピタッ

ピーチ「……」

ロゼッタ「…………………」

ピーチ「チッ、『失敗料理』に引っ掛からなかったわね」

ロゼッタ「『チッ』ってなんですか!?フェイントやめてくださいよ!」

282Mii:2018/10/12(金) 06:02:57 ID:8HL4SOHU
〜次の日〜

ピーチ「うーん、まあこんなところかしら。10皿も平らげれば上出来ね。
    じゃあ私は仮眠を取るわ、もしかしたら今日からケーキ作りに入るかもしれないし。あのカメックたちの気合の入りようならね。
    そのときはキノじいに行動方針を書いた手紙を渡しておくから、昼に読んでちょうだい」

デイジー「無茶するなあ。本当に大丈夫?」

ピーチ「大丈夫、だと思う。まあ、なんとかなるでしょ。お休みなさい…すぅ」バタン

デイジー「そのままベッドに倒れ込んじゃったよ。大丈夫かなホントに。
      …じゃあロゼッタ、私たちは今日もサヤカちゃんと一杯遊ぶことにしよっか。
      なんでもピーチが言うには、変に筋トレメニューを沢山与えるより、
      日常行動でロゼッタのやる気を引き出しつつ運動させたほうがよっぽどいいらしいから」

ロゼッタ「…………お腹が一杯でないのに、まるで腹部をねじられているかのような…
     凄まじい不快感と共に胃もたれと吐き気がぁ…満身創痍なんですがぁ…」タエダエ

283Mii:2018/10/12(金) 06:05:18 ID:8HL4SOHU
デイジー「日頃使ってない組織をフル稼働させたからね、しゃーない。あ、ピーチから書置きがあるんだった。えーっと…

      『私が寝た後、星の精たちに出力2割くらいのピーチフラッシュをロゼッタに掛けてもらってちょうだい。
       つまり、行動の2割分を基礎体力で何とかしなくちゃいけない状態ね。もちろん杖はデイジーが預かっておいてね。
   
      護衛は引き続きデイジーにお任せするわ。行動としては自由行動でOKよ。ただ、とりあえず部屋の壁から壁まで往復させてみるとかして、
      状況を始めのうちに自覚させておいて』

      だって。みんな、お願いできるかな?」

星の精たち「了解」パアアアアアアア!

ロゼッタ「ぐっ!?か、体が重い…!」ガクッ

ロゼッタ「…な、なんとかゆっくりとなら、歩けないことも…くぅっ!」ヨロヨロ

デイジー「おーい。右足と右手が同時に出てるよー。…まあ、この負荷が現状だと限界っぽいね。
      外見だけじゃなくて内臓とかにも負担は掛かってるだろうし、安全に行こうか。
      じゃあ、この状態でサヤカちゃんに怪しまれないように今日も一日頑張ろう!」オー

284Mii:2018/10/12(金) 06:06:56 ID:8HL4SOHU
ロゼッタ「は、はいぃ……」ヨロヨロ

ロゼッタ「……」

ロゼッタ「あの、すいません。お花を摘みに参りたいので一度解除していただけませんか」

デイジー「あー、お城のすぐそばに立派な植物園があるよ。一緒に行ってみようか!」

ロゼッタ「…………」

デイジー「ん?どうしたの?」

ロゼッタ「えっと、デイジー姫。お手数なのですが。化粧直しをしたいので一度解除していただけませんか」

デイジー「化粧道具、ピーチから適当にくすねてくるから、ここですれば?」

ロゼッタ「……………………大変恐縮なのですが、お手洗いに参りたいので一度解除していただけませんか」

デイジー「扉出て右、たった30メートル先だよ。さあ、今日も一日頑張ろう!」ニコッ





ロゼッタ「なんでもしますからどうかお願い致しますデイジー様」ドゲザ

デイジー「…あ、うん、調子乗ってごめん」

ロゼッタ(あ。…どうでもいいことですが、土下座の姿勢の方が楽でいいですね)

285Mii:2018/10/12(金) 06:09:02 ID:8HL4SOHU
デイジー「はい、杖ね。でも…今日の昼食夕食はともかく明日からはトイレにも自力で行かせろって
      ピーチからのメッセージがあったから…頑張ってね、ご愁傷さま」

ロゼッタ「鬼ですか!……ちょっと待ってください、昼食に夕食…!?」サアッ

デイジー「うん、その時間になったら一度お城に戻れってさ。
      さっきまでの食事はとりあえず朝食と認めるとしても、しばらく一日三食のまっとうな生活が続くから
      覚悟しておきなさい、ってことだよ」

ロゼッタ(不快感に加えて絶望感と眩暈までいらっしゃったようです…)

ロゼッタ「まっとうな、とはおっしゃいますが食事量が尋常ではないでしょう!」

デイジー「確かに一般市民からすると尋常じゃない量だけど…
      残念ながら、スポーツやその他イベント事でエネルギー消費しまくる分の補填として、
      私やピーチでも楽々平らげる量なんだよなあ、これが。毎日食べるとは言わないけどさ。

      大体、パーティで体より大きいフードの早食い競争とかもやってきたし」

ロゼッタ「……………………考えるのはやめました……とりあえずお手洗いに行ってきます……」

286Mii:2018/10/12(金) 06:12:29 ID:8HL4SOHU
〜キノコ城 城下〜

サヤカ「ねえママ、あっちの店に行ってみようよ!」

ロゼッタ「…え、ええ、そうね。一体何があるのかしら」ギギギギギ

デイジー(油が切れたロボットみたいだなぁ)

サヤカ「わあ、金魚すくい!ママ、どっちが多く捕まえられるか勝負しよっ!」

ロゼッタ「う、うわー。サヤカ、掬うの上手ね!ママ、手先がふ、震えて全然捕まえられないわ」ブルブル

サヤカ「はいっ、タコ焼き買ってきたから半分こね!
     『お嬢ちゃんカワイイねグヘヘヘ』とか褒められて、1パック分サービスしてもらっちゃった!
     だから1人1パック食べられるよ!」サッ

ロゼッタ「」

ロゼッタ(サヤカには申し訳ないのですが、後で地獄が待っているのに、余計な物を食べたくありません……!
      ……デイジー姫、どうか、お助けを…!)

ポンッ

デイジー「安心して、ロゼッタ。不審者は私がきっちり成敗してくるから。
      というわけで、心おきなくタコ焼きを食べておきなさい」サムズアップ

ロゼッタ「」

287Mii:2018/10/12(金) 06:14:14 ID:8HL4SOHU
サヤカ「一回、屋台巡りはやめて、キャッチピースの続きをしようよ!」

ロゼッタ「そ、そーれ」ポイッ

テン、テン、テン。

飛距離:2m

サヤカ「…………」

ロゼッタ「えっと、サヤカ、これは、その」

サヤカ「ママ…私と遊ぶの、嫌になっちゃった…?」ジワァ

ロゼッタ「」

288Mii:2018/10/12(金) 06:15:42 ID:8HL4SOHU
デイジー「サ、サヤカちゃん!ちょっとこれには深いわけがあってね!ロゼッタは全力を出せなくなってるのよ!
      …あれ、こっちが素だって表現した方がいいのかな?と、とにかく、決して遊ぶのが嫌になったわけじゃないから!」

サヤカ「…昨日の、今日で?」

デイジー「そう、そうなの!第一、このロゼッタの顔がサヤカちゃんを嫌ってるように見える?見えないよね!?
      ってか、むしろサヤカちゃんに嫌われたに違いないと蒼白になってる顔だねこれ!」

ロゼッタ「」

サヤカ「…わかった。ママを信じる。だって私のママなんだから。
     疲れてるみたいだし、ベンチでおしゃべりなら…してくれるよね!」ニヘラ

ロゼッタ「サヤカぁーーー!!」ガバッ

サヤカ「え、え、ええ!?どうしてそんなに泣いてるの!?」

デイジー「色々と辛いことがあったんだよ、うん」メソラシ

289Mii:2018/10/12(金) 06:17:56 ID:8HL4SOHU
サヤカ「というわけで、膝枕がいい!」

ロゼッタ「グスッ…ええ、そのくらいなら喜んでやらせてもらうわ」

サヤカ「とうっ」グイッ

ロゼッタ「わぷっ」

サヤカ「ママ、軽―い!」ケラケラ

デイジー「…………ロゼッタが寝るんかーい!」

ロゼッタ「さ、流石に親が娘に膝枕をしてもらうわけには!」

デイジー「ロゼッタさんや、思いの外に楽な姿勢であることを脳が知覚して、
      全身が抵抗を諦めてまっせ」

ロゼッタ「…仕方ないじゃないですか」

290Mii:2018/10/12(金) 06:19:57 ID:8HL4SOHU
ロゼッタ(サヤカは、身の回りで起きた出来事を、面白おかしく話してくれました。
      特に力がこもったのが、キャッチピースについての話。

      サヤカの地元では野球というスポーツが盛ん。子供たちは小さいころから野球選手に憧れて、
      野球のボールを買ってもらうまではスターピースを投げ合って、
      キャッチボールや野球の真似ごとをして遊ぶようです。なるほど、それで投げ方を鍛えられたのですね)

サヤカ「…でね、こんな握りの形から投げるとストレート!…これならカーブ!
     …こっちならスライダー!…そんでもって、こうするとフォーク!
     まあ、握り方をとりあえず覚えてるだけで、実際に投げられるわけじゃ全然ないけどね」

ロゼッタ「へえ!面白いわね!」キラキラ

デイジー「……握ってるのがスターピースだけど、ロゼッタ理解できるの?
      実際の野球のボールにはある縫い目の空気抵抗がうんぬんかんぬん、って話なんだけど…」

ロゼッタ「握り方、縫い目への指の掛け方によってボールに掛ける回転ならびに進行面を絶妙に変え、
      球速との兼ね合いを考えつつ打者付近で大きく変化するように工夫するのですよね!
      私の頭の中には、スターピースの表面に縫い目がしっかりイメージできています」

デイジー「スピン力学のちからってすげー!」

291Mii:2018/10/12(金) 06:22:31 ID:8HL4SOHU
サヤカ「ママ、こんなにすぐわかるなんてすごい!カーブくらいならすぐ覚えられるんじゃないの!?」

ロゼッタ「そうかもしれないわね!ちょっと試してみましょう!」スクッ

デイジー「おいちょっと待った、それはカーブを凄まじく冒涜した発言だし、スターピースじゃ勝手が違う
      …っていうか、ロゼッタを変に調子に乗らせないでサヤカちゃーん!!」




〜昼食タイム、キノコ城〜

ロゼッタ「…………手首がグキッといきました…」ジワァ

デイジー「うん、知ってた。頭で理解するのと実際に体が動くのとは別だよね。特に今のロゼッタの体力だと…。
      よくサヤカちゃんにばれないように我慢したね、えらいえらい。
      一旦杖を返してあげるから治しておいでー」

ロゼッタ「はい…」グズッ

292Mii:2018/10/12(金) 06:24:27 ID:8HL4SOHU
キノじい「おっと、デイジー姫。姫様から手紙を預かっておりますのじゃ」

デイジー「ありがとー。さて、なになに…?」




手紙「ケーキ作りに掛かり切りになっちゃった。ロゼッタの昼食と夕食、デイジーが作ってあげて。
    明日の朝食にはなんとか戻れるようにするから。    ピーチ」

デイジー「……えっ」





デイジー「よし、なんとかなるものね。料理No. 15『キャシーディナー』!
      凄腕料理人キャシーさんの考案した、キノコをパスタと一緒に炒めた豪華な逸品!」

失敗料理「やあ」

ロゼッタ「……は、はい(やっぱりデイジー姫、怒っていますね…うう…)」パク

293Mii:2018/10/12(金) 06:26:07 ID:8HL4SOHU
デイジー「できたっ!料理No. 16『キャシースペシャル』!
      木の実の甘さと素朴な芋の味が見事に融和し、濃厚な味を醸し出す!」

失敗料理「しっかり別々に味を主張しておくぜ」

ロゼッタ「……………………」パク

デイジー「まだまだ行くよ!料理No. 17『キャシーデラックス』!
      ポテトとキノコステーキを混ぜ合わせて、どうしてこんな料理ができるのか私にもさっぱりわかんないやアハハ!
      達人の発想は理解できないなー」

失敗料理「また会ったな」

デイジー「私もちょっと味見してみよっと!…………マズゥイ!!」グハッ

ロゼッタ(…………あ、違った。単に、凝った料理を作るにはデイジー姫の料理の腕が足りなすぎるだけですね)

294Mii:2018/10/12(金) 06:28:26 ID:8HL4SOHU
デイジー「…うう、ごめんね。ピーチみたいに料理上手じゃなくて。作り直すよ…」

ロゼッタ「大丈夫です。既に食べ始めてしまったがために気付きましたが、
      味のまずさくらい、量に比べれば些細なことですから。無心になればなにも怖くありません」シンダメ

デイジー「それは現実逃避とか諦めの境地とか、満足の境界線を低次元に落とし込めただけじゃないかなあ」

ロゼッタ「とりあえず、言えることは……サヤカのためなら、頑張れます!」バクバクッ

デイジー「お、おう。母親って大変なんだね。じゃあ引き続き、失敗料理を生産してくるよ…」

ロゼッタ「あんまり応援はしたくありませんが、応援しておきます」フフッ








デイジー「なんだかよくわからないけど、こんなものができちゃった!
      料理No. 49『かみなりドッカン』!威力5の全体攻撃ぃっ!」

かみなりドッカン「さあ食え」

ロゼッタ「私が食べたら即死するものに限ってなんで上手にできるんですか!?」

295Mii:2018/10/23(火) 19:25:12 ID:1fjcNIyA
〜クッパ城〜

オーライオーライィー! ピピーッ!
カメック(クッパシップが延々と往復し、ケーキの材料がひっきりなしに下ろされていく…)

カメック「お、おいどうした、さっさと運べ!ピーチ姫に何を言われるかわからんぞ!」

カメック「お、おう」



ブオオオオオオオオオッ!
ピーチ(巨大)「ハアアアアアアアアアアアアアアアーっ!!」シャカシャカシャカシャカ

カメック「うおっ、すごい風圧っ!?iいいか、くれぐれも材料を落とすんじゃないぞ!」

カメック「ラジャー!…ピーチ姫―、こちらに届いた材料、置いておきますよ!」

ピーチ(巨大)「ありがと!ちゃんと、ロット指定通りの分量ずつにしてる?ダブルチェックやったわね?
         間違えると1ロット無駄になるわよ!!」シャカシャカシャカシャカ

カメック「もちろんですとも!というか、こんな作業増やしてたまるものですか!」フンス

296Mii:2018/10/23(火) 19:27:54 ID:1fjcNIyA
ピーチ(巨大)「あなたたちが用意してくれた器具、丈夫なうえにとっても使い勝手がいいわ!
         容器や殻を自動で外してタンクに貯めてくれる機器まで作ってくれたし!
         さっすがクッパが誇る魔法使い部隊ね!…あ、きょだいキノコ切れそう。1個お願い!」シャカシャカシャカシャカ

カメック「ほいさっ!」ヒョイ

ピーチ(巨大)「(バクッ)よし、助かるわ!じゃあ続けてやっていきますか!炉の方の準備はどう!?」シャカシャカシャカシャカ

カメック「最新鋭の機器に魔法制御も駆使し、繰り返しテストで空間全域において設定温度の±1℃以内に収めています!
     実際にスポンジを焼くときの温度ムラも±5℃以内となっております!」ビシッ

ピーチ(巨大)「上出来よ!でも油断しないで、どこか1か所でも異常が発生してストップすると全工程がホールドになっちゃうからね!
         おまけに規模が規模だから、作り貯めしておくスペースがないわ!
         魔法で異次元収納とか恐ろしく高度で疲労するようなことをやりたくなかったら、メンテナンス欠かさずにっ!」シャカシャカシャカシャカ

カメック(我々は100人以上総動員で3交代制でヒイヒイ言ってるのに…歴戦の姫は次元が違いますねえ、やれやれ)

297Mii:2018/10/23(火) 19:31:01 ID:1fjcNIyA
〜一方、どこぞのギャラクシー〜

マリオ「パワースター、150枚目ゲーット!!」グリーンスター ダケドナ!

ルイージ「やったね兄さん!」

ヨッシー「……でもマリオさん、なんだかペース落ちてませんか?」

クッパ「そうだぞ!このままでは3日間で間に合うかヒジョーに怪しい!
    もっとカリカリ急ぐのだ!」

マリオ「大丈夫大丈夫、ピーチとの連絡で期限延びたから。というか延ばさざるをえなくなったから。
     ロゼッタの体力づくりをちょっと優先させたいんだと」

ルイージ「あー、基礎体力をつけ直すっていうやつ?大変そうだね、ロゼッタ大丈夫かなぁ」ポン

298Mii:2018/10/23(火) 19:32:49 ID:1fjcNIyA
リオ「それに、1日120枚ペースはやっぱりしんどいからな。ペースを落とせるなら落としておきたいだろ?」

ルイージ(兄さんは少なくとも全く疲れてないよね)

マリオ「というわけで、適当なギャラクシーをステージにしてスマブラごっこやろうぜ。初期ライフ3で、ライフ0になったら負けな」

クッパ「おっ、いいな!道中で残機も結構増えてきたことだし!」

ヨッシー「いいですね!」

ルイージ「えええええ…」

――ピーチたちの計画の遅れを見越して遊んでいた。

299Mii:2018/10/23(火) 19:35:18 ID:1fjcNIyA
〜夜、キノコ城〜

ロゼッタ「」チーン

デイジー「サヤカちゃんとの午前・午後の触れ合いに、昼食・夜食の完食!お勤めご苦労様っしたー!」ケイレーイ

ロゼッタ(事前にトイレに向かっていたため事なきを得ましたが…お腹の感覚が…相変わらず…絶不調です……うぷ)

デイジー「あはは、面白い顔をしてるね。どう、少しは体の動かし方に慣れてきた?」

ロゼッタ「……まあ、多少は」

デイジー「それはよかった!じゃ、もう少し『ピーチフラッシュ』の効力を強めても大丈夫そうかな!30%くらい、行っとく?」

ロゼッタ「そそそそれはまだ、早いのではないでしょうか!?当分、20%でよいかと!無理はいけません、はい!」

デイジー「えー…」

300Mii:2018/10/23(火) 19:37:52 ID:1fjcNIyA
ロゼッタ(オモシロクナーイ、と口を尖らせながらも、デイジー姫は諦めてくれました。
      …お気持ちにお応えしたいのはやまやまですが、お腹だけではなく、既に体の節々が悲鳴を上げている状態。
      スターの精たちの技の副産物で眠くはないのですが、少しでも早くベッドに倒れこみたい状況です)

デイジー「じゃあまあ、今日はこのまま寝ることにしよっか。ピーチの部屋のベッド譲ってあげるからさ。
      眠くはないだろうけど、しっかり体を休ませておくのよ!じゃあね!」スタスタ

ロゼッタ「え、勝手にベッドを使わせて頂くというのはちょっと…」

デイジー「ピーチなら許してくれるって。それにちょくちょく遊びに来てる私は、専用の部屋ひとつ貰ってるし―!」ヒラヒラ

ロゼッタ「そ、そういう問題なのでしょうか…(バタン)ああ、行ってしまいました」

301Mii:2018/10/23(火) 19:41:02 ID:1fjcNIyA
視界に映る、鮮やかな絵画に彫刻。
なるほど、ベッドから改めて部屋全体を見渡してみれば、この部屋も思いのほか趣にあふれていたのですね。
それでいて、決して華美すぎず派手すぎず。棚などの調度品との融和もしっかり図られています。


ーーこれは、覚醒効果が作用していなくとも、中々寝付きたくなくなる環境ですね。
そんなことを、ゴロンと背中から倒れこんで、考えます。

カチカチ、と無機質な時計の針の音だけが、僅かながら耳に入ってきます。
枕もとの小さな明かりだけを付けた状態で、ボーッと時計を見やりました。



カチカチ。
カチカチカチ。
カチカチカチカチカチカチ――――。



ロゼッタ(…わかっていましたが。本当に眠れませんね…)

1時間経過。

2時間経過。

3時間経過。

そろそろ、横になったままというのも、少々馬鹿らしくなってきました。
…もう少し早く気付けばよかったですね。

302Mii:2018/10/23(火) 19:45:07 ID:1fjcNIyA
ふと、悪戯心が働いて、ベッドから身を起こします。
全体の照明は消したまま、童心に帰って…薄暗い部屋を探検することにしました。

探検とは大げさだなぁって?いえいえ、この部屋の広さをなめてはいけません。
さすがはピーチ姫の寝室。壁伝いに1周するだけで150…いえ、200メートルは優にありそうです。
そんな中を、目新しい物を訪ねて、のそのそと彷徨って回る。
私からすれば立派な探検と言ってよいでしょう。


今にも動き出しそうな、躍動感に満ち溢れた銅像。
…近づいたら目が赤く光って剣を振りかざそうとしたなんて馬鹿な話が、
ああああるわけありませんよね、あ、はは、ははは。

中から何か飛び出てきそうな絵。
…触れようとしたら表面が波打っていたのはきっと気のせいです。目の錯覚です。

デイジー姫がお菓子箱を取り出したガラス棚。
…いかにも貴重なトロフィーや盾が飾られているようでしたが、それよりも
「絶対にロゼッタを絶命させるスイッチ」とかが仕込まれていそうで、
まともに見ることができませんでした、はい。…トラウマって怖いですね。

303Mii:2018/10/23(火) 19:48:28 ID:1fjcNIyA
眺めるたびに口を小さくポカンと開けつつ、へぇ、とかほぅ、とか月並みの感想とため息しか出てこない自分に苦笑いしていたところで、
到着したのは衣裳棚。これがまた、本当に大きいこと。引き出しが何十個あるのでしょうか、数える気にもなりません。

試しに、大変無礼ではありますが一つ開けてみました。

暗がりで、はっきりと見えたわけではないのですが、
如何なる社交場に出ても恥ずかしくないこと請け合いの立派なドレスばかりです。

こ、ここまでするのが普通なのでしょうか。ちょっと眩暈がします。
…き、きっと来賓対応回数が尋常でないピーチ姫だからこそなのでしょう。そういうことにしておきましょう。





情けなくも現実逃避をしつつ視線を泳がせて…ふと、目に入った小さな引き出しがありました。

304Mii:2018/10/23(火) 19:52:32 ID:1fjcNIyA
気付いたのは本当に偶然。何せ、ほぼ反対側にあった隅っこの引き出しですから。
非常に些細なことなのですが、数センチだけ閉まり切っていなかったのです。

閉めておいてあげましょう…そんな、軽い気持ちで私は近づいていきました。




取っ手に指を掛けた…その時です。





ロゼッタ(……?この感触…術式が仕込まれている?)

興味が勝ってしまった私は、閉めるはずの引き出しを
ゆっくりと…ゆっくりと開けて、中にあった袋を取り出してみました。

…私の解析が正しければ…どうやら、『固定化』の魔法が掛けられているようです。
何故?という気持ちが渦巻きます。

305Mii:2018/10/23(火) 19:58:07 ID:1fjcNIyA
固定化魔法の使い道は、主に2つ。

一つは、ケーキ作りの時にもピーチ姫が漏らした通り、
「本来柔らかい・脆い物体の強度、硬度を高めて破壊されないようにする」というもの。

もう一つは、「物体の状態を保存して、時間による腐敗、風化、劣化を防ぐ」というものです。

どちらの使い方にせよ、一般に衣服について固定化を掛けるのは無駄としか言いようがありません。

強度のためならば、普通の服を固定化するよりも、最初から魔法の力を編み込んだ戦闘服を用意した方がよほど頑丈で長持ちするものを作れます。
そして、魔法の力を編み込んだ服については固定化が発動しない、という歯がゆいことになる始末。
「どうしても本来は頑丈にできないもの」を無理やり強化するときのみ、固定化が意味をなすと言っていいでしょう。

状態保存のためというのもおかしな話です。衣服なのですから、速やかに服屋に修繕してもらうか、
修復不可能なほど損傷が激しければ捨ててしまえばよいのです。
「国宝級のアイテムが傷ついた、専門家が到着するまで是が非でも保全しなければならない」みたいな、
ごく限られた状況下でのみ価値が出てくる。その程度の魔法なのです。



どうしても、どうやっても結論が出なかったので…失礼に失礼を重ねて、袋を開封してみることにしました。
私にしては、かなり大胆な行動かもしれません。

306Mii:2018/10/23(火) 20:03:26 ID:1fjcNIyA
と、その時です。



ーーヤメナサイ。
ロゼッタ(…え?)



ーーーーソレ、アケテハ ナラナイ!
ロゼッタ(…っ!!)ビクッ




身の毛もよだつ恐怖感と共に…
どこからともなく聞こえる声に、思わず手を放しました。
取り返しのつかないことをしでかしたのでは、とパニックに。



盗もうとする輩へのトラップが仕込まれていたのでしょうか。
もう瀕死になるのはこりごりと、ぶわっと汗を噴き出しながら遮二無二、後ずさります。

307Mii:2018/10/23(火) 20:07:29 ID:1fjcNIyA
五秒。十秒。三十秒。
ロゼッタ(…………何も、起こらない)

ほっとして、へたりとその場に座り込みました。
…しかし、落ち着いて考えてみれば、どこか変な話です。
警告の段階で諦めれば回避できるトラップなど、ピーチ姫の部屋にまで侵入した不届き者への仕打ちにしては
…これまた随分と手緩くはないでしょうか。

ロゼッタ(…………)スッ

血迷った…かどうかはわかりませんが、もう一度近づき、落とした袋を再び抱えます。




ーーアケテハ ナラナイ!



ロゼッタ「…………感情のこもっていない人工知能の声…というわけではないですね」



何故でしょう、どこか警告者自身が震えている気がします。



ロゼッタ「かといって、ピーチ姫の声、でもない」

こんなに気弱そうなピーチ姫はちょっと想像できないですしね。

308Mii:2018/10/23(火) 20:08:51 ID:1fjcNIyA
ああ、そうですか。








ロゼッタ「…これは、私の心の声ということですか」










第六感というものか、はたまた虫の知らせというものか。
時計の秒針が二回りほどする間、考えて…意を決して、開けてみることにしました。

309Mii:2018/10/23(火) 20:13:32 ID:1fjcNIyA
ファサッ…。


ロゼッタ「……なんでしょうか、これ?」



「ソレ」を広げてみたものの、最初はいまいちピンと来ませんでした。
そんなに警告を発するようなものには思えないのですが…。


青と赤が半分ずつくらい…いえ、青い下地が今にも赤に浸食されようとしている、
という方が正しいでしょうか。視る者全てを遠ざけてしまうような…禍々しい、酷い有様のドレスです。

ロゼッタ「というより、まさかこれって…夥しい量の血ですか!?痛々しいですね、一体どういう状況でこんなことに…」





そこで、ようやく私は気づく。



…このドレス、どこかで、見たことがないでしょうか。それも頻繁に、日常的に。
ああ、そうでした。血の部分がなければ、私が日頃身に着けているドレスそのもーー

310Mii:2018/10/23(火) 20:15:41 ID:1fjcNIyA
ドクン。


視界が、ぼやける。


ドクン。


なぜでしょう、息が苦しくなる。動悸が、激しくなる。


ドクン。



全く理解できないまま、津波のように押し寄せてくる感情。フラッシュバック。
激痛。
嘔吐感。
後悔。
絶望。



ナニモ カンガエラレナイ。



気付けばドレスは手をすり抜けてカーペットに落ち、体は抵抗もなく横倒しとなり――
ほどなくして、私の意識も失われていたのでした。

311Mii:2018/10/23(火) 20:19:16 ID:1fjcNIyA
「――――っ!――――っ!!」



ロゼッタ(…誰かが、私を、呼んで、いる?)


その人が、とっても悲しんでいる気がして…静かに、瞼を開けました。

ピーチ「ロゼッタ、ロゼッタ!目を覚まして!お願い!」ボロボロ

ロゼッタ「……………………」パチッ

ロゼッタ「…………ピーチ…姫…?」

ピーチ「……ああ、ロゼッタ!よかった……!!」

ロゼッタ「…すいま、せん。私、昨日寝付けずに。部屋を探索していて、それであのドレスを見つけて、それで…」


ピーチ「もういいの、わかったから。話さなくても大丈夫。大丈夫、だから……っ!!」ダキッ




泣き腫らしたピーチ姫にソファにて待つように言われ、待つことしばし。

荒れていた私の精神も少しずつ安定してきたところで、ハーブティーの淹れたカップをお盆に、ピーチ姫が戻ってきました。
私が黙ってそれを一口飲むのをきっかけに、ぽつぽつと言葉を紡ぎ始めました。

312Mii:2018/10/23(火) 20:21:13 ID:1fjcNIyA
『今』の私の記憶にはないけれど、マリオカート参戦にあたって、『未来』の私が、
筆舌に尽くしがたい、とてもつらい思いをしたこと。

状況全てを把握しているわけではないにせよ、『未来』の私が病室のごみ箱に…汚れきったドレスを捨てたらしいこと。

病院関係者からそれを受け取り、一時は捨ててしまおうとしたけれども、どうしても捨てられなかった、というピーチ姫の想い。



ピーチ姫は、時たま嗚咽を漏らしながら…赤裸々に語ってくれました。



ピーチ「…はは、ここまで血が染み付いて赤黒くなってると、キノコ王国の技術を以ってしても、元の状態に戻すのは無理なんだって。
     強引に漂白しようとすれば、元の透き通る青い色まで台無しにしちゃう。

     惰性で固定化まで掛けて、これ以上ボロボロにならないように…不衛生にならないようにはしてみたけど、
     いつか解決策が見つかるわけでもないのに…我ながら女々しいわよね、全く…」

ロゼッタ「……………………」

313Mii:2018/10/23(火) 20:27:45 ID:1fjcNIyA
ピーチ「おそらく、悲惨な状態のドレスを見ることで、断片的ながら記憶が繋がったのね。
     それも、まるで知りようのないはずのロゼッタの心の奥底に眠っている恐怖が、悲しみが暴走して。
     …ふう、もはや、百害あって一利なしの代物になっちゃったみたい。
    
     ようやく今度こそ、捨てる決心がついたわ。このことは、綺麗さっぱり忘れなさい」




ピーチ姫は立ち上がって、座ったままの私の頭を優しく撫でる。
私はただ…撫でられるがまま。




そして一呼吸おき、ピーチ姫は改めて、ドレスを前にして両手をかざす。

きっと、今から魔法で焼き尽くそう、滅しようとでもしているのでしょう。
手が眩く輝きだしています。




ロゼッタ「…………」

ロゼッタ「……………………っ!」サッ

私はーー思わず、ドレスをテーブルから掴み上げ…胸元に抱え込んでいました。

314Mii:2018/10/23(火) 20:30:47 ID:1fjcNIyA
ピーチ「…え、ロゼッタ、どうしたの?」

魔法の向ける先を失ったピーチ姫が、困惑してこちらを見やります。



ロゼッタ「…………正直言いますと、今でも…このドレスを見るだけで吐き気がします。
      …ですが、初見時のような激しい嫌悪感、というものはありません。

      それよりも…ピーチ姫との絆を…信頼関係を…感じて、とても嬉しいのです。
      …私に、向き合う時間を、いただけませんか?」



特訓の疲労と合わせて、辛さは倍に。それでも、ほのかに感じるこの暖かさ、心地よさを捨て去るのは…惜しいと、感じてしまいました。

ピーチ「……で、でもまた発作が起きたら…!」

ロゼッタ「大丈夫です、そもそも吐き気や嫌悪感は食事の方で慣れっこになっていますから、不本意ながら!
      …今ここで、このドレスが失われることの後悔の方が、大きい気がするのです。
      どうか、私の我儘、お許しいただけませんか…?」

ピーチ「……ハア、わかったわよ。一度言ったら、ロゼッタって案外頑固だものね」フフ

ピーチ姫の顔に若干ながら笑みが戻って、私としてもうれしい限りです。

315Mii:2018/10/23(火) 20:35:11 ID:1fjcNIyA
ロゼッタ「……ピーチ姫」

ピーチ「ん、なぁに?」

ロゼッタ「私、頑張りますから。今まで以上に、一刻も早く記憶を取り戻せるように」

ピーチ「…そう、わかったわ!私ものんびりしてられないわね!明日の朝ごはんも覚悟しておいてちょうだいよ!」

ロゼッタ「あ、はは、はい。お手柔らかにお願いいたしまーー」ビクッ

ピーチ「……ロゼッタ?」







ロゼッタ「…………」プルプル

ロゼッタ「すいませんとりあえず今は吐きそうですいや吐きます」ウプッ

ピーチ「えっあっちょっと待ちなさい私に向かって倒れ込んでこないでえええええ!!!」



ーーとりあえず、とっさにピーチ姫がドレスを投げ飛ばしてくれたおかげで、血濡れのドレスは汚れずにすみました。

え?その他?ノーコメントでお願いします。
何事かと今更駆け込んできたデイジー姫に、ピーチ姫が腹いせで回し蹴りを食らわせたのも、たぶん私のせいではありません。

316Mii:2018/10/23(火) 20:39:20 ID:1fjcNIyA

ズラズラッ…


ピーチ「さあ食べなさいロゼッタ、限界に挑戦よ」ユラァ

デイジー「コノ恨ミ晴ラサデオクベキカァ…」ユラァ

ロゼッタ(うわぁい、お二方とも目がマジです、睨み殺されそうです。
      保身のためにも、料理を全部平らげなければならない模様です)ガクブル



ーーまあ、でも。
頑張ろうという思いが沸々と湧き上がってきて、
私はフォークとナイフをせっせと動かし続けたのでした。

317Mii:2018/10/28(日) 12:42:08 ID:RX8TEHWE
ピーチ「…焚きつけた私たちが言うのもなんだけど、かなり食べたわね。ひぃ、ふぅ、みぃ…15皿も。
    すごいじゃない!これで私も、心置きなくケーキ作りに向かえるわ!じゃあ行ってくる!」ダッ

デイジー「やれやれ…ピーチ、タフだなあ。じゃあ、私たちも行こうか!
      星の精さーん、とりあえずピーチフラッシュを25%くらいで…」

ロゼッタ「…いえ。今日は30%に挑戦してみようと思います。昨日からの体力増強など微々たるものですが、
      余裕を捨てればこのくらいはカバーできるはずですから」

チョール「…え、いいの?ほいっと」パアアァァァァァ

ロゼッタ「ぐっ…………!さすがに、辛い、ですねえ…!!でも、気力次第でなんとかして…みせますっ!」ギチギチ

デイジー「お、おおーっ!なんかロゼッタ燃えてるねー!必死に歩いてていつの間にか疲労骨折とかやめてよねー、キャハハ」

ロゼッタ「いざとなったらスーパーキノコでごまかします!」キリッ

デイジー「うん、私ね、ロゼッタの持ち味のおしとやかさも好きだよ?あんまり打算的にならないでね…?」

318Mii:2018/10/28(日) 12:44:33 ID:RX8TEHWE
ロゼッタ「サヤカ、ママが荷物持ってあげるわ。手がふさがってたら不便でしょう?」

サヤカ「…手が震えてるけど、だ、大丈夫なの?」

ロゼッタ「だ、大丈夫よ!…たぶん」

サヤカ「そ、そう……?」



サヤカ「ちょっとトイレ行ってくるー!待っててね!」

ロゼッタ「ええ、わかったわ。…さてと」スクッ スッ・・・ スッ・・・

デイジー「ええっとロゼッタさん。何をやっていらっしゃるのかな?」

ロゼッタ「はい。サヤカが戻ってくるまで、スクワットをして少しでも体を鍛えようと。
      大したスピードではありませんが…時間を有効活用ですっ」ノロノロ・・・

デイジー「私含めてすっごく恥ずかしいからやめなさい」

319Mii:2018/10/28(日) 12:46:13 ID:RX8TEHWE
射的屋「お、なんでい。また来てくれたのかい?」

ロゼッタ「投げ方もなんとなく学びましたし、今度はしっかり投げて景品を手に入れて見せますっ!
      サヤカ、これはリベンジ戦なの。応援していてね!」

サヤカ「ママ、頑張れー!」

デイジー「(事前に魔法の杖を一度回収したと思ったら、スターピースの引き出しをやってたのか…)
      いいカモだなー。おー、がんばれー(棒)」











射的屋「……なんだ、その。流石に良心が痛むから、景品どれでも1個持ってけよ。
    散々スターピース恵んでもらったし」

デイジー「前回と合わせて、200個超えたんじゃないかなあ」

ロゼッタ「」ズーン

サヤカ「よしよし」ナデナデ

320Mii:2018/10/28(日) 12:48:47 ID:RX8TEHWE
デイジー「ねえねえ、私もちょっとだけやってみていい?見てるだけってのもつまんないし」

ロゼッタ「…はい、では残り少ないですが差し上げます…まだ非常用の第3倉庫以降がありますし…」

デイジー(一体いくつスターピースの備蓄があるんだってばよ)

デイジー「んーと。握りやすい、このスターピースでいいや。狙い定めて…えーい!」




ヒュゥー……ガコンッ!!





デイジー「あ、普通に当たった」

ロゼッタ「」

射的屋「うおっ、そっちのお嬢さんはとんでもなく上手いじゃねぇか!
     しかも、侵入禁止のラインから体を全く乗り出さない正々堂々っぷり、惚れ惚れするぜ!
     ほれ、景品どうぞっと」

デイジー「ありがとー!じゃあロゼッタもご厚意に甘えて、景品選びなよ!」

ロゼッタ「……はい」グズッ

ロゼッタ(もっともっと…強くならなければ…!)

321Mii:2018/10/28(日) 12:51:36 ID:RX8TEHWE
〜夜〜

デイジー「くー」スヤァ




ロゼッタ「――――――――97」

ロゼッタ「――――――――98」

ロゼッタ「――――――――99」

ロゼッタ「――――――――100」

ロゼッタ「――――――――101」



マール「…こんなに夜遅く、何をやっているの?照明も付けずに。
     百鬼夜行の真似ごと?お百度参り?」

ロゼッタ「ハァ……ハァ……は、話しかけないで、くださいよ。どうせ寝られないので、
      体を鍛えるために『しゃとるらん』なるものをやっているだけですから。
      この部屋、おあつらえ向きな広さをしていますし」

チョール(思いっきり歩いている時点で本来ならリタイア扱いじゃがのー。
      まあ、運動すること自体に意義があるから立派なことじゃ)

322Mii:2018/10/28(日) 12:53:05 ID:RX8TEHWE
マール「まあ、必要なら『すっきり爽快』で補助できるけどね、何度も言うように精神摩耗には効果がないのよ。
     ストレス貯め込み過ぎないようにね」

ロゼッタ「まだまだ、です。とりあえず100往復するまでは終われません」

マール「100往復なら今さっき終わったじゃない」

ロゼッタ「…あ、そうでした!…確かに疲労がたまっているようですね、終わりにしましょう」

マール「はい、引っ掛かった。片道ごとにカウントしてるから、まだ51往復目ー。
     ……本当に疲れてるじゃない」

ロゼッタ「」







ロゼッタ「…………なら、のこり半分もこなすまでですっ!」テクテク

マール「…ピーチちゃんに怒られるかもだし、強制的に眠らせようかな」

チョール「やめてあげなさい」

323Mii:2018/10/28(日) 12:55:11 ID:RX8TEHWE
―――30%、35%、40%。

自分の限界を見定めつつ、少しずつピーチフラッシュの効果を高めていく。



―――40%、45%、20%、20%。

時には限界を見誤り、内臓の方が深刻なダメージを受けていてドクターストップ。
お腹を押さえて身悶えながら、ベッドで1日寝たきり、なんてことも。



…それでも、めげない、投げ出さない。



今までとは比べ物にならない量の栄養素よ、筋力と健康の糧となれ。
昨日より、百歩…いえ、千歩多く足を踏み出せる自分を目指せ。

ロゼッタ「ピーチ姫がケーキを作り終えるまでに、
      自分の力だけで体をカンペキに動かせるようになりますよ…!」





デイジー「それはペースを考えてもあまりにも無謀で不可能な話なんだけど」

ロゼッタ「ですよねー」ガックリ

324Mii:2018/10/28(日) 12:56:59 ID:RX8TEHWE
〜ギャラクシー〜

マリオ「よっしゃあー!240枚目のスター、ゲットだぜ!」

ルイージ「あっといっちまい!あっといっちまい!」ルンルン

ヨッシー「明日はクッパの誕生日ですし、ケーキできてるでしょうからさっさと食べに行きましょうよ!
      (さっそく、最後の一枚も油断せず取りに行きましょう!)」

クッパ「心の声と逆になってるぞー」

マリオ「しっかし、ちょいと先読みして『241枚集めきったぞ』ってメールをピーチに送ったんだが、
    全然返事がないな…何かリアクションが欲しいんだが…」

ルイージ「ケーキ作りに精根尽き果ててグロッキー状態になってるとか」

マリオ「はっはっは、まさか。ピーチに限ってそれはない」

ヨッシー「ないない」

クッパ「ないわー」ガハハ

325Mii:2018/10/28(日) 12:59:47 ID:RX8TEHWE
〜クッパ城〜
ピーチ「…………」フラフラ

デイジー「……」ジーッ

ピーチ「右を見ても、ケーキ。左を見ても、ケーキ。

     前を見ても、ケーキ。後ろを振り返っても、ケーキ。

     上を見上げても、ケーキ。下には片づけ損ねて踏ん付けた廃棄ケーキ…

     口の中も、寝る所も、みんなケーキ…」ウワゴト

ロゼッタ「」

326Mii:2018/10/28(日) 13:01:58 ID:RX8TEHWE
ピーチ「飴にも負けず、風邪にも負けず――
    氷にも焼成炉の熱さにも負けぬ丈夫な体を持ち――
    欲はなく怒る暇もなく、いつも無表情に働いている――

    一日にケーキ40ホール分とクリームと余りのフルーツを食べ――
    あらゆる工程を、自分の感情を挟まずに――
    よく指導し状況把握し、そして忘れず――
    ケーキとケーキの間の陰の小さな仮眠スペースにいて――


    東に腐りかけのフルーツあれば、行って勿体ないと自分で食べるしかなく――
    西に疲れたカメックあれば、行って回復魔法を掛けてやり――
    南に死にそうなノコノコあれば、行ってもう働かなくてもいいと言い――
    北に不注意による配分ミスがあれば、作り直しにすぐさま取り掛かりつつ、
    お願いだからやめてと言いながら、味の悪い大量の不良品を頬張り――」ブツブツブツブツ

デイジー「……ピーチがここまでなるなんて。なんて魔境なの…!」

ロゼッタ「あわわわ…」

327Mii:2018/10/28(日) 13:03:57 ID:RX8TEHWE
ピーチ「大体、カメックたちったら酷いのよっ!交代制で働いて、負担は遥かに小さいくせに、
    ちょっと感心したり褒めたりしたら、すぐにミスをするんだからっ!
    超特大ボウルを頭上から落とされたときとか、
    きょだいキノコと毒キノコを間違えられたときなんかは殺意を覚えたわ!」

カメック「で、ですからー、何かの間違いじゃないですか?流石にそんな素人は我らカメック部隊に居ませんって」

ピーチ「実際に気絶したり毒に苦しんだりしたでしょうが!言い訳無用!」

カメック「ひいいいいいいいい!」

デイジー「どうどう、抑えて抑えて」

328Mii:2018/10/28(日) 13:05:39 ID:RX8TEHWE
ピーチ「……ふ、ふふ、ふふふふ。オーッホッホッホッホ!でも安心しなさい、デイジーにロゼッタ。
     紆余曲折あったけれど、まもなくケーキは完成するわ!クッパの驚く顔が今から楽しみで仕方がないわ!」

デイジー「……そのこと、なんだけどさ。やっぱり、作ったケーキ、クッパが心停止するくらい大きすぎるんじゃあ…」

ロゼッタ「そ、そうですよ!」アタフタ



ピーチ「今から楽しみで仕方がないわ…!」ゾクゾク

デイジー「だから、ちょっと頭を冷やしてだねー」




ピーチ「ああ、今から楽しみで仕方がないわぁ……っ!
     仕上げに取り掛かるから、貴方たちは首を長くして待っておきなさい!」グヘヘ

デイジー「ソウデスネー、ワカリマシター」

ロゼッタ「タノシミデスネー」

329以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/28(日) 20:44:58 ID:eBTnyVLY
修羅場だなあ…

330以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/31(水) 18:47:24 ID:C5iFu53I
ディアボロ「あれ.....ここは.....どこだ....レース場?」
ディアボロ「ッ!」
ロゼッタ「今のところ一位だし猛スピードでゴールだッ!」
ディアボロ「おれのそばに近寄るなーーーーーッ!!!!!」
ロゼッタ「あれ?なんか轢いた?....まぁいいや♪」

今日のボス「ロゼッタに轢かれ死亡」

331Mii:2018/11/01(木) 23:02:59 ID:G5zCGrJU
ロゼッタ(ああ、そうだ。忘れずに、伝えておかないと)




――クッパの誕生日が来る、ということは。
マリオ達がパワースターを集め切る、ということ。





それは、星くず祭の終わりを…私の帰還を意味するのだから。

332Mii:2018/11/01(木) 23:03:45 ID:G5zCGrJU
サヤカ「…ええーっ!今夜で星くず祭、終わっちゃうの!?」

ロゼッタ「……ええ、そうよ」

サヤカ「…………嫌、嫌だ!それって、ママとお別れしないといけないってことでしょ!絶対絶対、反対なんだから!」

前もって理解はしているはずのサヤカ。しかし…気持ちの整理がそう簡単に付けられるはずもありません。
私でもこんなに辛いのです、幼いサヤカにとってはなおのことでしょう。
それだけサヤカにママとしての役割をこなせていたのだ、と嬉しくもありますが――。

あちこち回って、キャッチピースをして、いろいろな話で盛り上がって。
本当に楽しいひと時でしたが、終わりの時が近付いてきたようです。

333Mii:2018/11/01(木) 23:05:46 ID:G5zCGrJU
サヤカ父「こらサヤカ、ロゼッタさん…いや、ママを困らせるんじゃない!」

ロゼッタ「…心配しないで、サヤカ。お別れしても、ママの心の中に、サヤカはずっといるから。
     サヤカの心の中にも、ちゃんとママがいて――これからずっと、見守っていてあげるから。……ね?」スッ

サヤカの頭を優しく撫でようとします…が、サヤカ自身の手によって、乱暴に跳ね除けられてしまいました。
パシン、という高い音が響きます。そのまま泣きながら走り去っていくサヤカを…私は、すぐに追いかけることはできませんでした。



ロゼッタ「申し訳、ございません…」

サヤカ父「一体全体、どうしてあなたが謝るんですか。感謝してもしきれないくらいのものを頂いたというのに…。
      本当に、ありがとうございました」フカブカ

ロゼッタ「いえ、私は大したことは…」

サヤカ父「サヤカが別れをあんなに惜しんでいるというのが、大したことをしてのけた何よりの証拠ですよ。
      …さてっと、よそは祭の終了時期を知らないみたいですが、私は店じまいの段取りに移らせてもらいますか。
      仕込をやめてキリ良く在庫を売り払って、最大の利益を叩きだして見せますよ!」ニヤリ

サヤカの父親に元気をもらって、体の制約に逆らいゆっくりと…しかし確実な足取りで、ようやくサヤカを追いかけ始めるのでした。

334Mii:2018/11/01(木) 23:08:16 ID:G5zCGrJU
デイジー「綿飴にそれほど仕込要素ってないんじゃあ…無理に安く売り払うくらいなら、
      なんなら今日の最後に定価で私たちが残り全部買い取るよ?仲間たちに配って食べてもらうからさ!
      だから気にせず日が暮れるまで仕込を続けて、売り上げの限界に挑戦したらいいのよ。はい、前金のコイン!」ドサッ

サヤカ父「おお、こんなに大金を軽々と…いや、そこまで贔屓にしてもらっては、流石にズルいというものですよ。
      受け取れません。 叩き売り価格でなら喜んで売らせて頂きますが」

デイジー「むう、頑固な人ねー。じゃあ、泣きついてくるのを待ちましょうか、なんてね」

サヤカ父「それにしても…前々から思っていましたが、貴方たち一体何者なんですかねえ」

デイジー「ひっみつー!気になるなら、今度『大会』があるときに観光に来るといいよ!
      じゃあ、私もロゼッタの護衛しに行きまーす!」

サヤカ父「……護衛?」ハテ

335Mii:2018/11/01(木) 23:10:10 ID:G5zCGrJU
サヤカ(ママがいなくなるだなんて、そんなの、嫌だよう)



――公園の奥にある、一本の大きな木。たぶん、公園の中で一番大きい木だと、思う。



お日様ポカポカ状態で、幹にもたれ掛かって目をつぶると、あたたかくてすっごく安心できた。



――まるで、ママに抱きしめられているみたいで。




残念ながら、30分もしないうちに、はだ寒い、雨でも降りそうなくもり空になって――
いまのわたしの気持ちみたいで、また涙がこぼれてきた。



さらに30分くらい…経ったかな。
ママ…ううん、ロゼッタさんが、落ち着いたというか、疲れ切ったというか…ゆっくりと現れたの。

336Mii:2018/11/01(木) 23:11:59 ID:G5zCGrJU
ロゼッタ「ハァ、ハァ……くっ、2週間近く経つというのに、
      50%を克服するのに四苦八苦しているというのですか、我ながら情けないですね…っ!」

――ロゼッタさんと、バッチリ目が合っちゃった。
今さらながら、慌てて木の裏側に隠れたの。意味なんか、ないのに。

サヤカ「ロゼッタ…さん。どうして、ここがわかったの?」





ロゼッタ「…ねえサヤカ、そのまま…隠れたままでいいから聞いてちょうだい」

サヤカ「……」

ロゼッタさんが、優しく、静かに語り掛けてくる。







ロゼッタ「ママはね…本当は、もはや、この惑星の住民ではないの。だから、星くず祭が終わったら、
      サヤカと一緒にサヤカの故郷に帰ることはおろか、キノコ王国に…この星に留まるすら許されないのよ」

サヤカ「……っ!?」

337Mii:2018/11/01(木) 23:13:36 ID:G5zCGrJU
ロゼッタ「そして…ママには、サヤカみたいに私のことを待ってくれている者が、星がたくさん…たくさんいるの。
      その子たちの行く末を見届けてあげることが、ママの使命であり責任であるのよ」

サヤカ「…………」

ロゼッタ「ちょっと難しかったかしら。でもこれだけは言っておくわ。
     ママは、サヤカのママになれてとても幸せだったし、いつまでもサヤカにママと思われたいと願っている。

     さっきは『ロゼッタさん』なんて呼び方をされて、すごく悲しかったわ。
     今夜お別れするときは、今まで通り、『ママ』って呼んでくれることを期待しているわ」

サヤカ「……」





ロゼッタさん…ううん、ママが立ち去る音が聞こえる。
でも、どうしても勇気が出せなくて…わたしは、じっとしているだけだった。

338Mii:2018/11/01(木) 23:16:03 ID:G5zCGrJU
ザッ…。

サヤカ父「よっ、サヤカ」

サヤカ「うひゃあ!?お父さん、いきなり頬っぺたを突っつかないでよ!それに、お商売は!?」

サヤカ父「お前が泣き去る姿が目に焼き付いて、居ても立っても居られなくなってな、一旦探しに来ちまった。
      ……結婚の妄想が恐れ多くなるくらいのママじゃないか、こんな別れ方でいいのか?サヤカは満足なのか?」

サヤカ「…だって」





サヤカ父「バッカモーン!そんなメソメソする子に、お父さんは育てた覚えがないぞ!情けない!
      感謝の印にプレゼントを送ってママをビックリさせるくらいの気持ちでいないでどうする!」

サヤカ「え、えええーっ!?そういう流れなの!?」

サヤカ父「…あー、コホン。もちろん、お金がかかるプレゼントはナシだ。
      そんな余裕はないし、あの人たち…相当なお金持ちっぽいからな、
      大してありがたくも無いだろう。

      いいか、サヤカ自身の気持ちをこめたプレゼントを探し当てること、
      それが今日のサヤカの宿題だ!期限は今日の夕方までっ!よーい、スタートゥ!」ババーン

サヤカ「そ、そんなぁーーーっ!」ダッ

でも…パパ、背中を押してくれて、ありがとう。ちょっぴり勇気が出てきたの。

339Mii:2018/11/01(木) 23:18:10 ID:G5zCGrJU
〜キノコ城〜

ピーチ「……ZZZ」グー

デイジー「戻ってくるなりパタリと寝ちゃったよ…まあ、ケーキ完成したならいいの、かな。
      あーあー、PC付けっ放しにしてー!…ああ、マリオのメールを読み損ねてる!
      …スター集め切った!?超重要事項なんですけど!起きろー!」ゲシゲシ

ロゼッタ「まあまあ、酷く疲れている様子ですし…」

デイジー「そんなこと分かってるけどさ、ピーチに指示してもらわないと私たちも動けないでしょ!」

ロゼッタ「今夜に星くず祭の終了を宣言してもらって、クッパの誕生日を祝って、明日の朝にはクッパシップでこの惑星を発つ。
      それだけ分かっていればなんとかなりますよ」ペロッ

340Mii:2018/11/01(木) 23:21:38 ID:G5zCGrJU
デイジー「しかもそれだけじゃないよ、他のメールもワンサカ、リアルタイムで来てる!
      さすがピーチ、この量を普段は読み切ってるのか…!なになに…?

      『ご当選おめでとうございます!厳選なる抽選のうえ、貴方は選ばれました!
      クリックして進んで、すぐに会員登録を…』
      
       …え、何?お姫様に詐欺メール送る、怖いもの知らずがいるの?


      『体の節々が痛むそこの貴方!今ならこの健康青汁が、なんと毎月10コインで届きます!』
      
      …十分ピーチは健康だよ!?一時的に不調に陥ってるけど!


      『ニンテンドーからのお知らせ【次回作の打合せについて】』
   
      …これは保護だね、絶対。消すなよ?絶対に消すなよ?


      『(本文がありません)』
      
      ……悪戯かしら?差出人…『なっちゃん』って誰よ…あれ、じゃあ悪戯じゃないのかな?
      ううむ、さっぱりわからん…


      『ピーチ姫、こんにちは!私たち、フェアリーランドの妖精なの!
       キノコ王国と友好を深めたくてメールを出させてもらったわ!ついては条約を結びたいんだけれど…』
     
      軽っ!?内容に対して砕け過ぎじゃないかしら、この文面!?国家間のやりとりがこんなんでいいの!?」

341Mii:2018/11/01(木) 23:23:53 ID:G5zCGrJU
ロゼッタ「……」ペロペロ

デイジー「ふう…ところで、何食べてる…というか舐めてるの?自分から間食するなんて珍しい」

ロゼッタ「ふふ、ピーチ姫が、余った材料でキャンディをいくつか作ってくれたんです。
     今舐めているのはココナツキャンディというものらしいですよ。甘い物をたべてばっかりだと太りそうですが。
     デイジー姫もおひとつどうですか?」

デイジー「へー、食欲が出てきたのは凄くいいことよ。じゃあ遠慮なく。
      …あ、これはびりびりキャンディだね。ピリッとした刺激がたまらないんだよねー。
      じゃあ、いただきまー…」チラッ

ロゼッタ(1本目を舐め終わって、2本目に移ろうとしている)

342Mii:2018/11/01(木) 23:25:35 ID:G5zCGrJU
デイジー「……ロゼッタ。私、やっぱりそっちのキャンディの方がいいなあ。交換してくれないかしら?」

ロゼッタ「目移りするのはわかりますが、駄目ですよ、いくらデイジー姫の頼みと言えども。
      この綺麗な赤い色を見た時から、食べようと決めていたのですから」フフン

デイジー「いや、ロゼッタが食べるとあんまりよろしくない気が…」

ロゼッタ「ピーチ姫が手ずから渡してくれたお菓子に、流石に致死トラップが仕掛けられているはずはないでしょう。
      それでは、どんな味か確かめてみましょう」ペロッ

デイジー「致死じゃないけどさぁ…」







ロゼッタ「アツゥイ!!」 HP -1

デイジー「うん、ファイアキャンディだからねー」

343Mii:2018/11/01(木) 23:29:37 ID:G5zCGrJU
サヤカ「…ママへのプレゼント、間に合うかなあ」

あれこれ迷ったあげく、四つ葉のクローバーの花冠に決めたはいいけれど。
公園のどこを探しても、三つ葉のクローバーしか見つからない。
まだ夕方まで時間はあるけれど、さすがにこのままじゃまずいかも…!

「お、おやおや?お嬢ちゃん、こんなところで何をしているのかなあ?」

不意に、声を掛けられちゃった。

サヤカ「…えーっと、誰だっけ?」

タコ焼き屋「酷いなあ、タコ焼き1パック、サービスしてあげた仲じゃないかー…グフフ」

サヤカ「あ、タコ焼き屋のおじさん!あの時は、ありがとうございました!
     お店の方は放っておいていいの?」

タコ焼き屋「いいのいいの、道楽でやってることだし、儲けなんて気にしないよ。
       そんなことより、俺のロリコ…いや迷子センサーが発動してね。何か困りごとかい?」キリッ

サヤカ「迷子じゃないよ?でも、四つ葉のクローバーを探してるのに、全然見つからないの…」

タコ焼き屋「それは困ったね…よし、俺も一緒に探してあげようじゃないか。
        そ、そそそそのかわり、キミの写真、1枚取らせてもらって構わないかな!?
        それさえあればおじさん、百人力だよっ!」

サヤカ「えっ?」

344Mii:2018/11/01(木) 23:32:00 ID:G5zCGrJU
タコ焼き屋「よし、一眼レフの準備オッケー!さあ、さあさあ」

サヤカ「え、えええ……?」ヒキッ


ボカッ!!



タコ焼き屋「ぐふっ……」バターン

「やれやれ、危ない危ない。危うく変態の毒牙に掛かるところだったよ〜?」

サヤカ「…この人、変態さん?」

「そうだね…おっと、四つ葉のクローバーを探しているんだっけ〜。
 どれどれ…お、これなんか、どうだろう?」サッ

サヤカ「…ああっ!四つ葉だ、こんな一瞬で見つかるなんて、凄い!お兄さん、何者?」

「フフッ、『幸運』の花言葉を持つ四つ葉のクローバーだもの、
クローバー側としてもそうやすやすと見つけさせるわけにはいかないと思っている。
見つけるにはコツがあるのさ。植物の気持ちになって、相手の警戒心を解くことが大事なんだ。

サヤカ「な、なんだかすごいね」ゴクリ

「まあ、初心者には難しいよね。でも大丈夫!植物に成り切れる、すごいアイテムがあるんだ。
ちょっと試してみるかい?」スッ

サヤカ「うん、お願いします!」

345Mii:2018/11/01(木) 23:34:23 ID:G5zCGrJU
「どうだい、順調に四つ葉のクローバー、探せてる?」



サヤカ「ウン!」



「それはよかった。…ところで。クローバー、もといシロツメクサの花言葉って、
葉の数で変わる上に、同じ枚数でも真逆の意味を併せ持ってたりして、複雑で興味深いんだよね〜。

例えば、平凡な三つ葉のクローバーにも、『約束』とか『私を思い出して』とかがある一方、
コワーイ花言葉があるんだけど、知ってる?」

サヤカ「ンー、ワカラナイ」





「そっか。答えはねえ……………………『復讐』だよ」





サヤカ「ヘー。ヨツバ、ヨツバ」

346Mii:2018/11/01(木) 23:35:48 ID:G5zCGrJU
ロゼッタ「…………」ジーッ

サヤカ父「…こうして貴方に綿飴づくりを見せられるのも、今日で最後ですか。
      私としてはあくまで商売道具であって、それ以上でもそれ以下でもないですが…
      ここまで気に入って貰えると、ちょっとむず痒いですね」

ロゼッタ「……そう、ですね。すっかり気に入ってしまいました」

デイジー(ピーチに頼めば、綿飴機の一つや二つ簡単に調達してくれるだろうけど…
      まあ、野暮ってもんだよね。…あはは、童心丸出しで覗き込み続けるロゼッタが自然と客引きになって、
      ますます繁盛してるや。でも正直、私はちょっと退屈かなあ、ふあああ)

347Mii:2018/11/01(木) 23:37:41 ID:G5zCGrJU
〜夕方〜

ロゼッタ「……サヤカ、遅いですね…」

デイジー「確かに、遅いなあ」

サヤカ父「大丈夫ですよ、サヤカならきっと今頃、ロゼッタさんへのプレゼントのため駆け回っていることでしょう。
      おっと、ばらしたことは内緒にしておいてくださいね?」

ロゼッタ「え、プレゼントですか!それは楽しみですね!ふふふ…………」





ロゼッタ(……………………おかしい。喜ぶべきはずなのに、妙な不安が拭いきれずにいる。
      …何か、嫌な予感が…する)

デイジー「あ、あれって…クッパシップ!マリオ達、キノコ王国に戻ってきたんだ!
      よし、迎えに行きましょう!…って、あれ?ロゼッタ、どうしたの?そっちじゃないよ?」

ロゼッタ「すいません!私、やっぱりサヤカを探しに参ります!デイジー姫はそちらに向かわれても構いませんよ!では!」ダッ

デイジー「ええ!?そんなこと言われても…」ポリポリ

デイジー「しょうがないなあ、私も付いてくー!」ダダッ

348Mii:2018/11/01(木) 23:39:28 ID:G5zCGrJU
サヤカ、サヤカ。



あちこち、あてもなく駆け回る。




サヤカ、どこにいるの!?




…現在、ピーチフラッシュの効果は50%。正直、中々キツイ負荷ですが。
ここまであちらこちらへ動き回ったのは、今日の中で初めてかもしれません。


今日の昼前、サヤカに語り掛けた場所から、更に奥。
ピリッとした違和感――『ナニカ』を察知して、公園の奥にやってきました。
私の後ろを、デイジー姫がピッタリ付いてきています。心強いですね。

349Mii:2018/11/01(木) 23:41:02 ID:G5zCGrJU
右へ曲がり、左へ曲がり、左へ曲がり、前へ突っ切り、右へ曲がり。



前へ突っ切り、左へ曲がり、右へ曲がり、右へ曲がり、左へ曲がり。



デイジー「あっれー?この公園、こんなに広かったっけ?ハッ、もしや幻術!?」

ロゼッタ(…デイジー姫も、気付きましたか。しかし、これは五感を狂わされているわけではない、と思います。

      何者かによって、実際に『空間が歪められている』という説明が妥当ですね)




――デイジー姫。速やかに、私に杖を戻してください。緊急事態です。




そう、言おうとした矢先でした。




目の前に広がる、一面のクローバー畑。
その中央に倒れ伏す、サヤカ。

350Mii:2018/11/01(木) 23:43:51 ID:G5zCGrJU
デイジー「サ、サヤカちゃん!!」ダッ

ロゼッタ「!!!」

デイジー姫がサヤカに真っ先に気付き、駆け寄っていく。
すぐさま、私も可能な限り全力で…全力で駆けていく。

ぐったりしたサヤカを抱き寄せ、オロオロするデイジー姫を…





ロゼッタ「…はああっ!」ドンッ




なけなしの勢いを以てして、突き飛ばす。




デイジー「……え」

思わずサヤカを放してしまい体勢を崩していきながら、驚き目を見開くデイジー姫。
その視線の先には、『誰も映っていない事でしょう』。

デイジー「え、嘘、なんで?サヤカちゃんは?ロゼッタは?どこに行ったの!?」マッサオ

351Mii:2018/11/01(木) 23:46:21 ID:G5zCGrJU
ピーチ「ZZZ…」

ピーチ「ZZZ…」

ピーチ「ムニャ…あ、ちょっと、マリオ、何やってるのよ…みんな見てるわよ…むしろ凝視してるわよ…」

ピーチ「ぐぅ…まだやるの?…え、そ、そんな回数まで?正気?この…変態!」

ピーチ「…ああ、ちょっと!もう無理!壊れる、壊れちゃうからぁ!やめてぇ!」




ピーチ「これ以上速度貯められたら鍵扉どころかキノコ城全壊するわあっ!!」ガバッ






ピーチ「……ゼェ、ゼェ…なんだかおっそろしい夢を見ていた気がするわ…」

352Mii:2018/11/01(木) 23:49:07 ID:G5zCGrJU
ドンドンッ!

デイジー「大変よ、ピーチ!サヤカちゃんとロゼッタが攫われたのっ!ウワーン!」

ピーチ「……なんですって!?詳細を手短にっ!!」カクセイ

デイジー「ご、ごめんなさい。わ、私、なんにもできなかった。それどころか、ロゼッタに庇われちゃったっぽいの…」ポロポロ

ピーチ「詳細って言ったのに…え、庇われた?基礎体力で圧倒的に上回るあなたが?」

デイジー「グズッ…えっと、倒れたサヤカちゃんが目に入ったから、2人で駆けこんだんだけど…
      一番乗りしたばっかりの私を、ロゼッタがドンッて押しのけて…
      それで、気が付いたらサヤカちゃんもロゼッタも視界から消えてて…」

ピーチ「…その説明から推測するに、ロゼッタは最初からあなたを突き飛ばす目的で駆け込んだっぽいわね。
     …罠のネタが分かってた?…………ロゼッタが得意な魔法って、確か」

デイジー「…………空間系の魔法」





ピーチ(…………っ!)

デイジー「ど、どうしたの急に?」

353Mii:2018/11/01(木) 23:50:31 ID:G5zCGrJU
ピーチ「デイジー!私が眠りこけてた間、メールを盗み見たりした!?」

デイジー「あ、うん、ごめん」

ピーチ「今は許すわ。それで、意味深なメールが飛んでこなかったかしら?」

デイジー「…うーん、詐欺メールと通販と任天堂と妖精と…あ、『なっちゃん』って人から空メールが送られてたよ」

ピーチ「……っ!ビンゴじゃ、ないのっ!!デイジー、現場へ案内して、いますぐっ!」ダダダッ!

デイジー「りょ、了解っ!!」ダッ

354Mii:2018/11/01(木) 23:53:33 ID:G5zCGrJU
マリオ「……あ、ピーチから電話だ」Prrrr

マリオ「おー、寝てたのか?こちとら無事にパワースターを241枚集めて、まもなくキノコ王国に着陸…」

マリオ「……………………」

マリオ「はああああああああああっ!?マジか!
    おう、わかった、場所の案内をすぐ頼む!それじゃっ!」ピッ



クッパ「どうしたのだ、そんな大層な剣幕で」

ルイージ「い、一体何があったの?」



マリオ「かなり確証の高い推測、という段階だが。…………

    ロゼッタが――
    ディメーンの野郎に空間転移で攫われたらしい」


クッパ「なんだとぉ!?」

ルイージ「なんだって!!?」

ヨッシー「…??」

355Mii:2018/11/01(木) 23:55:04 ID:G5zCGrJU
デイジー「ディメーン?って誰のことよ!」ダダダッ

ピーチ「割と新参の敵よ!現実に絶望し、予言書に従い世界を作り替えようとしたノワール伯爵っていう奴の手下…
     というのが表の顔だったんだけど、実は伯爵をも利用して、ピュアハートの力で世界を征服しようとしていた極悪非道な奴!
     倒し切ったはずなのだけど…!」ダダダッ

デイジー「強いの?」ダダダッ

ピーチ「戦闘力的には私たちの足元にも及ばないけど、次元を超えた転移魔法で好き勝手移動できる厄介者ね。
     人の心を操る魔法も持ち合わせているみたいだし、ゲリラ戦法に出られたらどうしようもないわ。
     油断した隙を衝いて一撃で葬らないと、人質取られ放題よっ!」ダダダッ

デイジー「厄介極まりないねっ…!そいつがそこまで賢くないことを祈るよ!」ダダダッ

356Mii:2018/11/01(木) 23:57:21 ID:G5zCGrJU
ユサ、ユサ。
誰かが、倒れている私の体を乱暴に揺さぶる。

ロゼッタ「…………うぅ」ムクッ

「ようやく目が覚めましたか。呑気なんですから、全く」

視界には天井…では、ありません。
緑のような、青のような、赤のような…定まらない色、距離感の隔壁。
その光景は、横にも、前にも、地べたにさえも広がっています。
平衡感覚がおかしくなりそうです。


どうして、自分はこんなところで倒れているのか。
…いえ、その前に。そうだ、あの子を、救い出さないと!



ロゼッタ「サヤカっ!どこ、どこにいるの!?」

「…その『サヤカ』というのが、ここに迷い込んだ小さな女の子で合っているのなら…
ほら、そこに寝かせてあります。幸い、気絶しているだけのようですね」

女性の言葉にハッと振り返ると…そこには、無機質な地面を枕にして、すぅすぅと寝息を立てるサヤカの姿。
…間違いない、今度は『先ほどのように』幻覚ではありません。
感極まって、涙ぐみながら抱きしめます。

357Mii:2018/11/01(木) 23:59:34 ID:G5zCGrJU
「…感動の対面であるのは重々承知の上ですが、我々には、とにかく時間がありません。
あなたにも、強制的に協力して頂きますよ」



……ああ、いけない。こちらの女性のことを、すっかり忘れてしまっていました。
今さらですが、敵ではないと願いたいですね。


ロゼッタ「あなたは…ええと、どちら様、ですか?」

実は、記憶を失う前の私の知り合い…という線もなくはなかったのですが、杞憂だった模様です。
問うと、彼女は左手で眼鏡をくいっと持ち上げ、しっかりと掛け直し…

ナスタシア「わたくし、ナスタシアと申します。
       …まあ色々あって、ピーチ姫のサポートの元、ディメーンに関する諜報活動を行っておりました。
       結局、後手に回ってしまっている有様ですが、この通り…」




そう自嘲するナスタシアの右腕は…肘から先が、ありませんでした。

358Mii:2018/11/02(金) 00:01:47 ID:MuNJghdo
ロゼッタ「…た、大変ですっ!はやく治療を…いえ、杖がなければ無理な話でしたか…」ガックリ

ナスタシア「ご心配なく。最低限の治療と痛み止めは済ませました。…少しは魔法の知見があるようですね」

ロゼッタ「…む、ちょっといいですか?この傷跡…
      通常の衝撃、斬撃では有り得ないほどスパッと斬られています。
      まるで、空間ごと『無くなった』ようですね」

ナスタシア「…っ!失礼しました、かなりの魔法の使い手と見受けられます。一瞬でそこまで読み取るとは…!
       その通りです。辛うじてメールのボタンを押すことはできましたが、
       次の瞬間には肘の先がPCごと消し飛ばされていました。
       あと1秒、腕を引っ込めるのが遅ければ…体ごと消し飛んでいたかも知れません」

ロゼッタ「…いえ、たまたま私の得意分野であっただけですよ」





――して、対峙しなければならない敵とは。

359Mii:2018/11/02(金) 00:05:10 ID:MuNJghdo
ナスタシア「…この異空間の製作者、『ディメーン』。かつてマリオ達に負け、滅ぼされた存在。
       …厳密には私も滅ぼされるべき存在だったのですが、恩赦を頂きました。

       用心深いピーチ姫は、キノコ王国の災いとなり得る強大な、あるいは特異体質の敵と戦った場合、
       仮に倒したとしても、一定期間は生存・潜伏を疑い続けて、調査を惜しまないようですね。
       私も、ノワール伯爵亡き今、ピーチ姫の元で情報収集にあたっておりました。

       さすがにもう大丈夫でしょう…と高を括っていたところに、このありさま。
       …しかし、自分の不甲斐なさを悔やむのは後で結構。
       …ここで、伯爵様が『守って見せた』世界を傷付け、滅ぼしてしまっては…
       悔やむことすら、一生許されなくなってしまう」

そう、強い口調で言い切る彼女には、疲労と焦りが垣間見えました。



ロゼッタ「そもそも、マリオ達によって滅ぼされたといいながら復活しているのはなぜなのですか?」

ナスタシア「…わかりません。もともと幻影や分身体を使って神出鬼没な行動を取る男でしたから。
       咄嗟に入れ替わって、本体は生き延びていたのかもしれません。
       一応、転移魔法を行使できるのは本体だけ…というのは分かっているのですが」

それはそうでしょう。分身体まで転移魔法を好きに使えるならば、
本体が寝ている間に世界征服など楽にできそうです。

360Mii:2018/11/02(金) 00:14:25 ID:MuNJghdo
ナスタシア「…今は、何故復活できたのかは後回しです。それよりも都合が悪いのが、
       以前よりもかの道化師の転移能力が上がっているらしいことです。
       本当に、一刻も早くなんとかしなければ…!」



「それは、無理な相談だね〜」



空間把握に長けている私は、すぐに気付きましたが…やや遅れたナスタシアは、大層驚いたのか、
後ずさって尻もちをついてしまいました。



おどけた表情の仮面と、ひょうきんな服装。なるほど、この道化師が…。

ディメーン「ボンジュール、マドモアゼル ロゼッタ。 ボクは不死身の道化師、ディメーンさ。以後、お見知りおきを。
       戻って来てみたら、ボクについて噂しているものだから驚いたよ〜」

ロゼッタ「私の名前を何故知っているのかはさておき…私たちを、ここに捕らえる目的は一体なんですか?
      …まあ、十中八九、交渉材料なのでしょうけど」

ディメーン「分かってるなら、話が早くて助かるよ。この数年で、ボクもケッコー、チカラを付けたけど…
       確実に勝つためには必要だからね〜。

       絆の力とか、一致団結とか、ボクは大っ嫌いなんだけど…芋ズル式に崩壊していく綻びになってくれるなら、
       ちょっとは好きになってあげてもいいかな」

ロゼッタ「…………戯言を」

361Mii:2018/11/02(金) 00:17:49 ID:MuNJghdo
ディメーン「それにしても、ロゼッタ。キミには驚いたよ!
       色々観察してて、デイジーって子より圧倒的に劣る能力しかないことがわかった。
       そのくせ、デイジーって子をまず転移させようとしたら、
       罠に『ギリギリで』気付いて捨て身で助けちゃうんだから。
       興味を惹かれたのと、その勇気に免じて、デイジーがキノコ城に駆けていくのは見逃しておいてやったよ」

ロゼッタ「…それはありがとうございました」

ディメーン「…おっと。ピーチ姫ご一行がご到着だ。ちょっと表の世界に行ってくるね〜。
       キミたちは、そこで遠慮なく寛いでいるといいよ。お茶は出せないけどね、んっふっふ」シュンッ


――――ピーチ姫。どうか、無事でいてください。

362Mii:2018/11/02(金) 20:54:06 ID:MuNJghdo
シュパッ。

ディメーン「やあ、お久しぶり…」


ピーチ「ヒステリック・ボムゥーーっ!!」カッ!



ドドドドドドドカアァァーン!!



ピーチ「これにて一丁上がり!……と、行ってくれればよかったんだけれどね」

ディメーン1「そうは問屋が卸さない、ってね!残念でしたー!」ケラケラ

ディメーン2「でしたー!」

ディメーン3「でしたー!」

ルイージ「わわ、分裂したよ兄さん!気持ち悪い!」

ディメーン1「失礼だね、芸術的と言ってくれないか?」

363Mii:2018/11/02(金) 22:42:01 ID:MuNJghdo
マリオ「…どうしたよディメーン、今回はルイージに執着してないのか?」

ディメーン1「あーんな予言書、もはや何の未練もないね。そしてそこのトゲトゲくん、キミには御礼を言うよ。
        確かに、預言書を盲信するより、我が身を信じて信じ切る方が遥かにエレガントだと分かったのさ。

        そう…我が身を極限の境地に、真の頂に持って行ける最高の『参考書』を…ボクは手にしたんだよね〜!
        まさに天啓!いや、むしろ天命!世界は、ボクを見捨ててはいなかった!」

クッパ「最高の…参考書、だと!?」

ディメーン2「この世の理、全てが記された古文書さ。ボクが言えるのは、ここまで。後は勝手に想像したらどうだい?

        

        ああ、そうだ。キミたちもやきもきしてるだろうから、本題に入ろうか。
        薄々気付いている通り、ナスタシアとロゼッタ…あ、あと一人女の子がいたっけ。
        まあ、餌の役割は果たしたから、もうどうでもいいか。
        
        彼女たちは、ボクによって異空間に捕らえられている。
        生かすも殺すも、キミたちの態度と…ボクの気分次第だね〜」

364以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/03(土) 00:25:18 ID:zJ5CkE7.
おおこわ

365以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/03(土) 04:45:18 ID:zJ5CkE7.
ロゼッタがマスターオブギャラクシーを生身でクリアできる日は来るんだろうか

366Mii:2018/11/03(土) 17:36:06 ID:H.lk9j0s
デイジー「…な、何が望みなのよ!!」

ディメーン3「そうだなあ…たとえばここで、『主要メンツ、全員自ら命を絶て』と命令したところで、
       流石に人質に対して重すぎる命令だから、命令が意味をなさないでしょ?」

ピーチ「まあ、当然ね。そこをはき違える私たちではないわ」

ディメーン3「というわけで、ボクからはただ1つ。『何もするな』」

デイジー「…え?それって、どういう…」

マリオ「…………要するに、どんな破壊活動も、攻撃も、ひたすら黙って…されるがままにしろってことか。
     こちらがブチ切れて抵抗した時点で、彼女たちの命は尽きる。…我慢さえしておけば、とりあえず生き永らえると。
     時間稼ぎの抜け道をあえて与え、思考を鈍らせ、己の鬱憤晴らしを兼ねて戦意を吸い取ろうとする…ありがちな作戦だな
   
     (頃合いを見計らって、どうせ何か仕掛けてくるだろうがな)」

ディメーン1「なんか耳障りな言い方だけど…ピンポンピンポン、だーいせーいかーい!
        さっすがヒゲヒゲくん。抵抗1回につき、もれなく御一人様、三途の川へご招たーい!

        ほらほら、ボクの方が先にバテて、御免なさいもうしませんって土下座して謝るかもしれないよ?
        可能性があるっていいことだよね〜!」

マリオ(趣味も手癖も悪いぜ、まったく)

367Mii:2018/11/03(土) 17:39:59 ID:H.lk9j0s
デイジー「」ブチィ

ピーチ(癪に障ることこの上ないけど、先手を取られた以上…仕方ない。
     なんとか解決策を考えないと…)ギリッ

クッパ「…フン。面白いじゃないか、ワガハイは別に構わんぞ?受けて立つのだ!
     せいぜい楽しませてもらおう!」

ルイージ「そりゃないよ、見損なったよクッパ!
      そりゃ、クッパにしてみればキノコ王国のことなんてどうでもいいかもしれないけどさあ…!」

クッパ(…黙って耐え切ってやるわ!って意味で啖呵切ったんだけどなー)ションボリ

マリオ(俺は分かってるぞ)ポンポン

ピーチ(私も私も)フフ

ピーチ「…分かったわよ、じゃあそれd」








ダダダダッ…

デイジー「お嬢様打法――――ハリセンビンタァ!!!!」バチコーーン!!

368Mii:2018/11/03(土) 17:49:28 ID:H.lk9j0s
ディメーン1「…………」キンッ

デイジー「チッ。普通に、変な壁で防がれちゃったか。でも、こいつが本物みたいね!」





ディメーン1「…ハァ。マドモアゼル デイジー…なにやってくれちゃってるのかなあ?」




ピーチ「ちょっと、馬鹿っ!何勝手に攻撃してるのよっ!?」

デイジー「まだピーチ、OKの返事出し切る前じゃない。取り決めの違反行動には当たらないもんねーだ!」

ピーチ「大馬鹿者っ!」バシンッ

デイジー「…痛っ――ちょっと、なにするのよ!」

ピーチ「そういう言葉の綾で済む問題じゃない!!」

デイジー「…へ?」

ピーチ「あんな危険行動をする奴に、迂闊に言質を取らせたら…
     どんなことをされるか、想像くらい付くでしょう!?」

369Mii:2018/11/03(土) 17:53:01 ID:H.lk9j0s
ディメーン1「……フライングかあ、いけないなあ。はーい、全員オリジナルに戻ってね〜」

ディメーン2「おー」シュバッ・・・

ディメーン3「りょーかい」シュバッ・・・


ディメーン「……さってと。まあ、1回は…1回だね。ちょっと――用ができたよ。
       いやいや、面白くなってきたね〜。帰ってきたとき、どんな顔してくれるかな〜」シュン!




デイジー「…あ」サァッ

370Mii:2018/11/03(土) 17:56:57 ID:H.lk9j0s
ディメーン「…ふふふ、想定外の出来事だけど、ますます面白くなってきたね…!
       ワクワク、ゾクゾクが溢れてくるよ〜!」シュン!


ロゼッタ「今ですっ!」



シュッ!!



ディメーン「……っ!」クルッ



ロゼッタ(何があちらであったのか知りませんが、今はおいておき。
      空間が歪むのを感知して、思い切り投げた…残り少ないスターピース。
      事前に引き出しておいたのは不幸中の幸いでした。


     …しかし。


      あまりに弱い。弱すぎる勢い。コツンという音がして、終わり。
      10メートルほど先のディメーンに当たりこそしましたが、まるでダメージがありません。
      所詮、私の腕力と投球技術ではこの程度です。

371Mii:2018/11/03(土) 17:59:57 ID:H.lk9j0s
ディメーン「うーん、本当にキミ、空間移動に対して勘が冴えてるね〜。
       なんなら、弟子にしてあげようか?なーんちゃって」

そんなことを言われたところで、慰めにもなりません。
――おまけに。

ディメーン「でもね、どんなにお粗末な攻撃だろうと、ボクを狙ったのはいただけないな。
       そんないけない事をする愚か者には、相応の罰が、報いが必要だよね〜」



――あまりにも不吉な言葉を吐き出させる原因としてしまったようでした。

372Mii:2018/11/03(土) 18:02:36 ID:H.lk9j0s
ディメーン「ちょーっと、その子、起こさせてもらうよ?」

――掲げられた両腕が光り、サヤカに投げかけられる。
単なる覚醒魔法のよう――魔法が行使されて、しばし。
サヤカが、ゆっくりと両目を開けていきます。


サヤカ「……あれ?ここ、どこ?…………ママっ!?どうして、何がどうなってるの?
     …あ、クローバーを見つけてくれたお兄さん!」

ディメーン「ははは、子供は単純でいいよねえ。ちょっと親切にするだけで、あっさり人を信じるんだから。
       でも、おかげで色々と計画が捗ったよ、ありがとう」

サヤカ「…お兄、さん?」

――どんな誑かし方をしたのか知りませんが、その時とはおそらく…打って変わって冷えた口調に、
サヤカは困惑しているのでしょう。…あんな輩をサヤカに見せてはいられません。
手を引っ張り、私の体の陰に隠れさせます。

373Mii:2018/11/03(土) 18:05:54 ID:H.lk9j0s
ロゼッタ「…あの人に、何をされたか覚えてる?」

サヤカ「……えっと、四つ葉のクローバーを集めやすくなるアイテムだよって言われて、
     変な葉っぱを頭に付けることにしたの。

     本当にどんどん見つけられたんだけど、なんだか意識がぼんやりしてきて、
     体が勝手に動き続けて…あんまり、何をして何をされたか、覚えてない……」

ロゼッタ「……そう。怖い思いをさせちゃって、ごめんね」


抱きしめて安心させてあげたいのはやまやまですが、警戒を怠らず、道化師を睨み続けます。
効果があるかどうかはすこぶる怪しいものですが。

サヤカ「それと…結局、プレゼント間に合わなくて…ごめんなさい」ションボリ

ロゼッタ「……いいのよ、十分」

敵を見据えながらも、少し震えているサヤカを後ろ手で…撫でてあげます。

374Mii:2018/11/03(土) 18:11:41 ID:H.lk9j0s
ディメーン「いやあ、実はさっき、ピーチ姫と我慢対決をすることになってね?」

――ディメーンは、絶対的な立場から、面白そうに顛末を語って聴かせます。
その内容に、私も、ナスタシアも、凍り付いてしまいました。
どうしてそこまで、堕ちることができるのか。
サヤカは現実離れしすぎているのか、ポカンとするのみ。



…理不尽な理由をでっち上げられ――誰か、1人が、殺される……!?



――更には。

ディメーン「まあ、ルールを知る由もなかったキミたちは可哀想だよね。そ・こ・で!
       生きるチャンスを、与えようじゃないか。イッツ、チャンスターイム!
       話し合いでも、多数決でも、殴り合いでもいいからさぁ。





        キミたちで、犠牲者一人決めて、該当者を始末してくれない?
        ボクも決定に従い、黙って観てるからさ!」


到底、受け入れがたい選択を、迫ってきたのです。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板