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ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」

1Mii:2018/08/04(土) 23:26:40 ID:Mx6gHZLQ
マリオ「隠しキャラ、もとい隠しゲストとして任天堂から依頼が来てる。
    ギャラクシーと連動して、ミステリアスな女性ドライバーとして
    ブレイクしてほしいとのことだが…どうする?」テガミポイー

ロゼッタ「…ふむふむ。
     レースごとに観客の皆さんの投票で参戦するか否かが決まって、
     その時点で少なくない給料が発生。
     上位に入ったり総合成績が良ければ更に追加給金。
     至ってシンプルな給料体系ですね」

マリオ「…………」

2Mii:2018/08/04(土) 23:32:32 ID:Mx6gHZLQ
マリオ「…その。特にお金には困ってないだろ?
    断って貰っても全然かまわないんだけd――」

ロゼッタ「いえ、ぜひ出たいです!
     お金が欲しいというわけではないんですが、
     非常に興味があるので!
     マリオファミリーに認められた証でもあるんでしょう?
     こんな光栄なことはありません!」

マリオ「そうきたかぁ…まあ本人がやる気なら、いいんだけど…
    一度登録しちゃうと、取り消せないぞ?」

ロゼッタ「そのようなこと、いたしません!」

マリオ「……それじゃあ、キノコ王国に連れていくから
    付いて来てくれ。
    手続きがあるみたいだから…」

ロゼッタ「はい!」ルンルン

3Mii:2018/08/04(土) 23:40:28 ID:Mx6gHZLQ
〜キノコ王国〜

キノじい「…はい。これにて契約は成立ですじゃ。
     早ければ1週間後には、観衆の前で正式に参戦することになりますぞ!
     ロゼッタどの、頑張って下され!
     その美貌と笑顔で王国中を虜にして下されば我々も鼻高々ですじゃ」

ロゼッタ「び、美貌だなんて、そんな…」

マリオ 「(…やっぱり強引にでも止めといた方がよかったかな…)
     じゃあ、ピーチ、デイジーたちに会いに行くぞ。
     女性同士、色々と教えてもらってくれ。
     運転のノウハウとか、コース取りとか…」

ロゼッタ「ええ、何から何まで有難うございます」





マリオ「…あと、命の守り方とか」ボソッ

ロゼッタ「……はい?マリオ、何か言いましたか?」

4Mii:2018/08/04(土) 23:45:37 ID:Mx6gHZLQ
ピーチ「……マリオったら、本当にロゼッタ連れてきちゃったんだ」

マリオ「まあ、依頼があった以上、聞きに行かなきゃならない立場だし…」

デイジー「こーんな箱入りお嬢様につとまるの?」ハアー

ロゼッタ「こんにちは、ピーチ姫、ロゼッタ姫。
     でも心配ご無用です、こう見えて割と動体視力はいい方なので。
     みなさんに負けないよう頑張ります!」

ピーチ「…マリオ、ちゃんと危険性は説明したかしら?」

マリオ「…キラキラ目を光らせたロゼッタにたじろいで何もしてません」

ピーチ「えええ……」

デイジー「えええ………」

ロゼッタ「??」

5Mii:2018/08/04(土) 23:56:04 ID:Mx6gHZLQ
ピーチ「ところでロゼッタ、一応聞いておくけど。
     マリオカートに対する知識ってどのくらいあるの?
     できるだけ詳しく答えて」

ロゼッタ「マリオカートについての知識、ですか?
     みなさんがカートに乗って、コースを何周かして、順位を競うんですよね?
     実際に見たことはないですが、録画した物なら何度か観たことがあります。
     最後の最後まで気が抜けない、白熱した試合展開に感動しました。
     私も実は、いつか自分も走ってみたいな、と思っていたのです」

デイジー「今回から、カートに加えてバイクも選択できるらしいけどねー。
      たしかに、こうして呼ばれて参加できるってのは嬉しいしワクワクするわ!
      頑張り次第でマリオやクッパにも勝てるってのもいいわ」

マリオ「むむ、俺もそうは負けていないつもりだが。
    …まあ、全勝なんてこともできないしな。そういった、下剋上や
    大逆転もマリオカートの醍醐味だ」

ロゼッタ「それに、何回滑っても転んでも吹き飛んでも、
     皆さんすぐに運転を再開するなんて……」

ピーチ「…やめて。慣れてしまった自分が悲しいけど、
     あんまり思い出したくない光景だから…」

6Mii:2018/08/04(土) 23:59:41 ID:Mx6gHZLQ
ロゼッタ「勝手に衝撃を最小限に抑えるバリアまで貼ってくれるなんて、
      すごく未来的で優秀なカートですよね!」



マリオ「えっ」

デイジー「えっ」

ロゼッタ「??」

ピーチ「あちゃあ…」

7Mii:2018/08/05(日) 00:09:36 ID:v/fL9lPs
ロゼッタ(ニコニコ)

ピーチ「…マリオ、悪いことは言わないわ。
     今ならまだ間に合う。ロゼッタを連れてキノじいの所に向かって
     契約を取り消しに行ってちょうだい」ズイッ

デイジー「…こんな知識しかない子をいきなり飛び込ませたら、
      最悪、1レース目の1周目で死んじゃうわよ!?」ヒソヒソ

マリオ「あ、ああ。そうだな。今なら何とか間に合う…
    いや、間に合わせてみせる!
    ロゼッタ、やっぱりこの話はなかったこt」

ダダダダ…!

ルイージ「おーい、兄さーん!
      キノじいが張り切っちゃって、大々的にロゼッタをPRしてるよー!
      すっごいよね、憧れちゃう人気ぶりだよー!
      もうファンクラブまでできたんだってー!」

ロゼッタ「あらあら、まあまあ!
      これはますます、挑戦し甲斐があるというものですね!」

マリオ「」

ピーチ「」

デイジー「(これ、死んだんじゃないの?)」

8Mii:2018/08/05(日) 00:25:44 ID:v/fL9lPs
ルイージ「そして!しかと見よ!これが――僕が苦労に苦労を重ねてゲットした、
      ロゼッタファンクラブ会員証、それもNo.0005のカードなのだ!
      すごいだろ兄さん!」ドヤア

デイジー「何やっとんじゃあああ!」スパコーン

ルイージ「グエッ」



マリオ「…マンマミーヤ」

ピーチ「ああもう!こうなったら、正式参戦までに死に物狂いで
    …いや、死んででも体に覚え込ませてロゼッタを鍛えるしかないじゃない!
    一刻の猶予もないわ!さっそく連れていくけど、構わないわね!?」ダダダッ

ロゼッタ「え、ちょ、ちょっとピーチ姫!?私をどこへ連れて行こうというのです!?」

ピーチ「コースに決まってんでしょうが!死にたくなかったら走る!」

デイジー「わ、私を置いてかないでよピーチ!付いてくからね!!」ダダダ

マリオ「……南無、ロゼッタ。
    そっちはまかせたぞ、ピーチにデイジー。
    ……さてと、念のため1UPキノコを乱獲しておくかあ」ダッ

9Mii:2018/08/05(日) 00:30:06 ID:v/fL9lPs
ルイージ「」チーン

ズシンズシン…

クッパ「ん?緑のヒゲの横にロゼッタファンクラブの会員証が落ちてやがる。
    1桁とは緑のヒゲの癖に生意気な奴だ、ワシが貰っといてやろう」スッ

ルイージ「」

ルイージは放置された。

10Mii:2018/08/05(日) 00:38:03 ID:v/fL9lPs
ピーチ「…さあ、着いたわ」ピタッ

ロゼッタ「はあ、はあ…ここは?」

ピーチ「一番レース頻度の高いキノコカップ、
     その中で『色々と』動きが大きいコースよ。
     そう、ここは――」

デイジー「…キノコキャニオンね。
      ピーチったら、いきなりとんでもないコースを選ぶわね…」

ロゼッタ「わあ、自然の地形を活かした爽やかなコースみたいですね」

ピーチ「…うん、過去作で慣れた私たちなら、そういった感想でも
     間違っちゃあいないんだけどね…」

デイジー(ピーチ、今更だけどメタいよ)

11以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/05(日) 00:53:40 ID:v/fL9lPs
コンチワー ハネブロックキュウビンッスー
ゴチュウモンノ カートイッシキ トドケニマイリマシタッスー

ガシャン!!

ピーチ「ありがとねー」

イエイエー ソレデハマタ ゴヒイキニー

ピーチ「とりあえず、スタンダードカートを3台用意しといたわ」ポン

デイジー「ピーチったら気が利くぅ!ありがとね!
      うわあ、スタンダートカートだ!
      初心者向けで最近乗ってないから超新鮮だったり!」

ロゼッタ(初心者向け?上級者向けのカートもあるということでしょうか?
      スピードが出やすい代わりに曲がりにくい、とか?)

ピーチ「悪いけど時間がないの。
     運転操作を説明するから、さっそく乗り込んでもらうわよ。
     覚悟はいい?しっかり付いて来てね」

ロゼッタ「はい!」グッ

12Mii:2018/08/05(日) 00:55:33 ID:v/fL9lPs
ピーチ「これがアクセルペダル。踏むとカートが加速していくわ。
     どのみち一定速度で加速は止まるから、
     基本的に走行中は目いっぱい押し続けてね」

ロゼッタ「はい」

ピーチ「これがブレーキペダル。踏むと急停止やバックができるわ。
     大抵の減速はアクセルペダルを踏まなくすることで行うから、
     あまり使わないといえば使わないけど…
     障害物に突っ込んだときとかは覚えておいて」

ロゼッタ「はい(へえ、ブレーキペダルってバックにも使えるんだ。
      知らなかったです、勉強になりました)」

13Mii:2018/08/05(日) 00:59:30 ID:v/fL9lPs
ピーチ「そしてハンドルに付いてるこれがジャンプボタン。
     押すとカートが少し  跳ねる  わ。
     その瞬間はハンドル片手持ちになっちゃうけど頑張ってね」

ロゼッタ「は……」





ロゼッタ「はい!?」

デイジー(ブフォ)

14Mii:2018/08/05(日) 01:06:16 ID:v/fL9lPs
ピーチ「…何か?」

ロゼッタ「…あのー、どうしてカートが跳ねるんですか?」

ピーチ「高低差のあるところで飛距離が少し増えるわ。
     テクニックがあれば障害物を躱せたりするし便利よ」

ロゼッタ「え?え?カートに…飛距離?」

デイジー「というかロゼッタ、あんた録画でレース内容見たは見たんでしょ?
      ならなんとなくわかるんじゃないの?」

ロゼッタ「え、あの、単に走行運動の結果跳ねていると思っていたのですが」

デイジー「だーかーらー、それを補助するのがジャンプなんだってば」

ロゼッタ「!?!?」

デイジー(目を白黒させてる、可愛い)

ロゼッタ「というより、カートの設置部分のタイヤにジャンプ機能を持たせられるとは
      思えないんですが…」

ピーチ「…キノコ王国の技術は凄いのよ」メソラシ

15Mii:2018/08/05(日) 01:12:33 ID:v/fL9lPs
ロゼッタ「…はい、わかりました。少し混乱していますが」

ピーチ「とりあえず、今の3つをしっかり使いこなせればひとまず走行はできるわ。
     じゃあ、カートに乗って。最初のセクションだけやってみましょう」

デイジー「んー?ピーチ、このコースってセクション制じゃないよー?」

ピーチ「そのうちわかるわ」

デイジー「それに、アイテムは?ロケットスタートの技術は?」

ピーチ「今は黙ってなさい」クワッ

デイジー「…うん、了解」ビクビク

16Mii:2018/08/05(日) 01:30:47 ID:v/fL9lPs
ロゼッタ「お二方は、どうされるのですか?」

ピーチ「万が一のことを考えて、左右を並走させてもらうわ。
     そのくらいの技術はあるから大丈夫よ、とりあえずコース取りは気にせず走って。
     じゃあ…いつでもどうぞ」

ロゼッタ「わかりました、お願いしますね」ブロロロロ…



ロゼッタ(よし、アクセル踏んで順調に加速。
      何気に運転免許くらい持っていますからね、フフン。
      お二人をびっくりさせてしまいましょー―)


ジャンプ台―奈落―キノコ―奈落―コース「やあ」

ロゼッタ(うっ、早速、レースに非現実な障害が現れました…!
      しかし!カートのバリアに守られている今の私に、恐れることなど――)

17Mii:2018/08/05(日) 01:32:01 ID:v/fL9lPs
ピーチ「あ、言うの忘れたけど」ブロロロロ

デイジー「衝撃の際に体を硬直させちゃダメよ!」ブロロロロ

ロゼッタ「えっ?」ビュン!


ドゴオオッ!!!


ピーチ「……」

デイジー「……」

ロゼッタ「……………………」

ロゼッタ「……………………カハッ」ゴフッ

デイジー「きゃあああ!なんか吐血したんだけどぉ!」

ロゼッタ「――――――――――」

デイジー「そしてそのまま失速して奈落に落ちたんですけどぉ!!
      ジュゲムぅ、はやくきてくれー!!」

ピーチ「あー、私もあんなことあったっけ…」ハイライトオフ

18Mii:2018/08/05(日) 01:47:23 ID:v/fL9lPs
ジュゲム「困りますねー、こんな初歩の初歩のジャンプで瀕死になるような人を
      コースに連れて来てもらっちゃ…」

ピーチ「あと1週間でなんとかまともなレーサーにするから!
    それまで大目に見て!お願いジュゲム!」

ジュゲム「…まあ、ピーチ姫がそこまでおっしゃるなら。
      あ、もう少しスタンバイしておいた方がいいですかね?
      なんだかまだまだ落ちそうな感じがありますし」フヨフヨ

ピーチ「あ、お願いするわ。ポケットマネーから特別手当出しておくわね」

ジュゲム「ありがとうございます」


オーイ 1UPキノコモッテキタゾー
アリガトー デモサスガニ スーパーキノコデモヨカッタワヨ
ドノミチ ヒツヨウニナルダロー?
…ソウネ



ロゼッタ「……ハッ!?今のは…夢!?」

デイジー「そんな訳ないでしょうが」スパコーン

ロゼッタ「痛い!?痛いです!」

19Mii:2018/08/05(日) 01:52:35 ID:v/fL9lPs
ロゼッタ「うっ、思い出すだけで吐き気が…
     どうして回復しているのか知りませんが、ありがとうございます。
     しかし、なぜあのようなダメージを受けたのでしょうか」

ピーチ「ハア…言いそびれていたけど、いい加減言っておくわ。
     このカート…いえ、用意されている全てのカートね。
     激しいレースに耐えるための耐久性は確かにあるけれど…
     搭乗者のバリア機能なんて…一切ないわよ?」

ロゼッタ「……」





ロゼッタ「What?」

マリオ(言っちゃったよ)

デイジー(というか、あんたが真っ先に言っておきなさいよ!)

20Mii:2018/08/05(日) 02:00:29 ID:v/fL9lPs
ロゼッタ「…いえいえ、ちょっと待ってください」オロオロ

ピーチ「……」

ロゼッタ「常識的に考えて、マリオやクッパはともかくとして
      ピーチ姫やデイジー姫があんな衝撃に耐えられるわけがないじゃないですか。
      おまけに甲羅や雷だってぶつけられるのでしょう!?
      私に冗談を言おうとしても、そうはいきませんよ!」

ピーチ「さらわれ慣れているうちに体力付いただけよ?
     クッパ城を彷徨うなか、間違ってマグマに落ちることもあったくらいだし。
     マリオと一緒にフライパン片手に冒険だってしたし」

デイジー「私も、ギャグ補正ありきとはいえビンタ1発でクッパ倒したこともあるし」

ロゼッタ「」

21Mii:2018/08/05(日) 02:11:58 ID:v/fL9lPs
ピーチ「まあ心配しないで、素質はあるはずだから」ガシッ

デイジー「死ぬのは仕方のないことって開き直れば、なんとでもなるよねー!」ガシッ

ロゼッタ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「マ、マリオ、私ですね、ちょっと考え直しm」

ピーチ「マリオなら1UPキノコを本格的に収穫しに行ったわよ?」

ロゼッタ「」


ピーチ「はい、続き続き。とりあえず今の箇所を繰り返すわ。
     経験値ためていきましょー」

デイジー「怖がると余計に舌を噛むからねー。女は度胸よ度胸!」

ロゼッタ「嫌です、死にたくないですー!……」ズルズルズルズル

〜マリオ談〜
重症10回、瀕死重体を64回経験したところで目の光を失ったため
チコに補助してもらうことにした。
スターの力をすこし貰って、なんとか耐えることができるようになりました。
チコの重さの分、重量級扱いになっちゃうよ?とからかったが
そんなこと気にしない、と涙を流して喜んでいました。めでたしめでたし。

22Mii:2018/08/05(日) 02:25:50 ID:v/fL9lPs
2日後・・・

ロゼッタ「……」ブロロロロ

ロゼッタ(車体重心を崩さず…この!角度で!連続で!飛ぶ!)ギン!


ダン!ダン!ダン!ダーン!!

ピーチ「よし!そのままゴールへ!」

ロゼッタ「はい!」


デイジー「グオオオオオオオオオルゥ!!
      とうとう、キノコキャニオンを3周走破したじゃない!
      なかなかの成長っぷりよ、ロゼッタ!」

ロゼッタ「は、はい!長く苦しい戦いでした。…本当に、本当に!」ウルッ

ピーチ(…………そう、長く苦しい戦い、だった。ロゼッタも相当頑張ったけど、
     あと5日しかないのに、1コースを完走しただけじゃ遅すぎる!
     アイテムの使い方、避け方すら全く教えていないのに!
     感動しているところ悪いけど、更にレベルの高いコースで特訓していかないと…!)

23Mii:2018/08/05(日) 02:32:13 ID:v/fL9lPs
ロゼッタ「ふふ、わかっていますよ、ピーチ姫」

ピーチ「え!?」

ロゼッタ「これでも、全然時間が足らないのでしょう?
      自分の実力不足は嫌というほどわかりました。
      すぐにでも、次のステップへ…!」

ピーチ「…駄目よ、今日はここまで。一回体を休ませた方がいいわ。
     回復アイテムでも気力までは回復できないんだから」

ロゼッタ「…はい。確かに、ボロボロですねえ」

ピーチ「あ、そうそう。当然だけど、HPを全回復させておきなさいよ。
     絶対に」

ロゼッタ「……はい?わかりました。それでは」スタスタ



デイジー「さあ、かえろー」

ピーチ「私たちはダメ」ガシッ

デイジー「ふみゅ!?」

24Mii:2018/08/05(日) 02:37:48 ID:v/fL9lPs
次の日・・・

ロゼッタ「…あの。本当にここでいいんですか?」

デイジー「う、うん。問題ないわ」

ロゼッタ「しかし、ここ…
      また、キノコキャニオンではないですか」

ピーチ「私、最初はより難しいコースを…って考えたわ。
     でも、間違ってることに気付いたの。
     先に、アイテムの使い方について教えておいた方が、万倍役に立つってことに」

ロゼッタ「はあ。そういえば、これまではアイテムボックスというものがコースにありませんでした」

デイジー「昨日のうちに、私たちで設置しておいたよー」

ロゼッタ「そこまでやってくれたのですか!助かります!」

デイジー「…すっごく良心が痛むけどねー」

ロゼッタ「??」

25Mii:2018/08/05(日) 02:46:11 ID:v/fL9lPs
ピーチ「まずは基本のおさらいから。
     アイテムを持っていない状態でコース上のアイテムボックスに触れると
     アイテムが1個手に入るの。どのアイテムかはランダムだけど、
     下位を走っているほど強力なアイテムが出やすいわ」

ロゼッタ「はい」

ピーチ「アイテムには、キノコやスターの加速系、甲羅やサンダーの攻撃系、
     バナナなどの設置系があるわ。使い方によって、あるいは効果範囲によって
     2つ以上の役割を果たせる場合もあるけれど。
     ちなみにアイテム使用はこのボタンで行うわよ」

ロゼッタ(変なボタンが左にあると思ったら…)

デイジー「でも、結局のところアイテム使用の意義はただ1つよ。
      自分を加速させたり他者を遅らせたりして自分の順位を上げるため。
      おのずと、どのような局面でどのアイテムが使えるか、使われやすいかは
      決まってくるんだよね」

ロゼッタ「なるほど…」

26Mii:2018/08/05(日) 02:53:44 ID:v/fL9lPs
ピーチ「たとえば、体験済みかとおもうけど、ジャンプ中にアイテム攻撃を食らうと
     単純にスピードロスするうえにジャンプ失敗でジュゲムの厄介になるから、
     ジャンプ成功時と比較して相当なビハインド状態になるわね」

デイジー「逆に言えば、効果的なアイテムの使い方ができるから
      ジャンプ中は攻撃を狙われやすいんだよね」

ロゼッタ「……ん?」





ピーチ「というわけで、前を走るロゼッタめがけて後続の私たちが甲羅を投げまくるから
     ダメージの受け流し方を学んでほしいの」

デイジー「打ち所が悪くなければ、きっと、いや多分、maybe死なないから。
      緑甲羅を躱す特訓にもなるし、ね!?」アセアセ

ロゼッタ「」

27Mii:2018/08/05(日) 03:07:32 ID:v/fL9lPs
〜ロゼッタの日記〜

今日は、ピーチ姫とデイジー姫にアイテムの使い方を教えてもらいました。

私が10〜20mくらい先を走っていると、後ろから緑甲羅や赤甲羅が飛んできます。

最初は平地でぶつけられてみましたが、5メートルくらい激しく吹き飛ばされた後
地面に叩きつけられました。どこにそんなエネルギーが詰まっているのでしょうか。
ちなみにこの段階で、チコに守られていたにもかかわらず気絶してしまいました。

ジャンプ中に甲羅を当てられたときは、もっと大変なことになりました。
せっかく培ってきた重心安定の心得も、吹き飛ばされては滅茶苦茶です。
酷い時には、意識のないまま頭から足場に叩きつけられたりしたそうです
ちなみに、そのあとどうなったのかは全く記憶がありません。

ただ、私は割と賢いので、ピーチ姫が持ってきた1UPキノコが
順調に減っていることをコッソリ確認して察しちゃいました。えへへ。

私が笑い出すようになってからピーチ姫とデイジー姫がブルブル震え出しましたが
その理由はよくわかりませんでした。えへへ。

とりあえず、わたくし、ろぜったは、まだしっかりいきています。
あしたもきっといきていることでしょう。                おわり

28Mii:2018/08/05(日) 03:14:10 ID:v/fL9lPs
ロゼッタ「…ハッ!危うく取り返しの付かない落ち方…いえ堕ち方をするところでした」

ピーチ「そそそそうね」

デイジー「ロゼッタさん、あなた天才よ」

ロゼッタ「ふふふふふふ」

ピーチ「あは、ははははは」

デイジー「ホホホホホホ」



ロゼッタ「とりあえず、ですね」

ピーチ「な、なに?」




ロゼッタ「緑甲羅の避け方を教えてください」

ピーチ「あ」

29Mii:2018/08/05(日) 03:21:56 ID:v/fL9lPs
〜ロゼッタの日記(続)〜

なるほど。後ろを一瞬振り返りながら軌道を確認すれば、
緑甲羅なら躱せなくもない、ということですか。凄いですね。



……聞いて5秒で諦めました。



ちなみに、「こんな感じよ?」とピーチ姫に実演してもらいました。
甲羅の軌道を読みながら巧みにかわす、
あるいは軌道が外れていることを見て取ってそのまま走る、
ということをあっさりやってのけるピーチ姫は尊敬してしまいます。

赤甲羅をぶつけた時も、経験の賜物か意識をしっかり保ったまま
凄いでしょ、と言わんばかりに手を小さく優雅に振りつつ
ジュゲムに引き上げられてきました。

デイジー姫は、「さすがに私はあそこまで余裕はないかなあ」と
羨ましそうに見つめていました。

もはや2人とも人間ではないと思います。

30Mii:2018/08/05(日) 03:32:29 ID:v/fL9lPs
〜ロゼッタの日記(続2)〜

驚きの事実です。驚きの事実です。驚きの事実です。
…大事なことなので2回…いえ3回書きました。

ジャンプ台でジャンプする瞬間にジャンプボタンとやらでジャンプすると、
ジャンプした分飛距離が伸びるとともに、ジャンプアクション成功ボーナスで
少し加速できるそうです。

よって、ある程度以上の腕なら、走行ルート中のジャンプ台は
全てジャンプアクションするのが当たり前だそうです。

どうしてジャンプすると加速するのでしょう?
というより、ノーコストの加速装置が備わっているのなら
常時加速すればいいのではないでしょうか。

まあ、そんなことはどうでもよく。
問題は、ジャンプ中は体を車体から大きく乗り出さなければならないことです。
ますます意味が分かりません。ただ加速するだけでは駄目なのでしょうか。
生身の体にも甲羅は容赦なくヒットするのですが。運営は馬鹿なのでしょうか。
とりあえず、その特訓もするということです。


明日まで生きている自信がなくなってきました。ごめんなさい。
そろそろ遺書を書きたいと思います。

31以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/05(日) 20:11:33 ID:1qIat7Eo
精神に異常をきたしてベビィ化するわけですね

32Mii:2018/08/07(火) 00:40:24 ID:VdCL75Jk
4日目・・・

ピーチ「とりあえずね、私考えたの。とにかく時間がないし、
     ジャンプアクションを鍛えるのにこのコース程うってつけのコースはないって」

ロゼッタ「はあ…」

デイジー「うん、ピーチの言いたいことは分かるよ?
      確かに、ここでジャンプアクションが完璧なら、きっと大抵のコースで大丈夫だろうね。
      それは、すっごく、わかるんだけどね?


      一言言わせて。鬼かあんたは」

ロゼッタ「気になる発言ですが…ここは、なんというコースですか?」





ピーチ「……DKマウンテンよ」

33Mii:2018/08/07(火) 00:46:36 ID:VdCL75Jk
ロゼッタ「マウンテン、というからには高低差が激しそうなコースですね、
      なるほど、あの火山に見守られながらのレースと言う訳ですか。
      レースに御加護がありますように」

デイジー「……」

ピーチ「何言ってるの?


    あの火山『を』まるごと使ったコースよ」

ロゼッタ「…………………………
      えっと、スタート地点、ここですよね?全然離れてるんですけど…」

デイジー「タル大砲でひとっ飛びだからねえ」

ロゼッタ「なるほど、タル大砲でひとっ飛び…………」

ロゼッタ「……………………」

ピーチ「……………………」

デイジー「……………………」

ロゼッタ「………………………………」ダラダラ

デイジー「…………(沈黙が怖い)」

34Mii:2018/08/07(火) 00:58:27 ID:VdCL75Jk
ロゼッタ「……つかぬことを伺いますが。
      どこまでタル大砲で飛ばされるのですか?」

ピーチ「ほぼ山頂、ざっと1 kmくらいね。時間にすると5秒程度、あっという間よ」

ロゼッタ「……バランスを途中で失うとどうなりますか?」

ピーチ「一応、失速突入してもジュゲムが拾ってくれるわ、大丈夫なはず。
     ただ、繰り返すけどカートがバリアを貼ってくれるわけじゃないから、
     風圧によって自分の体が潰れたり呼吸困難になったり…までは面倒見切れないわよ」

ロゼッタ「」

ピーチ「…あ、そうそう。関係ないって笑い飛ばしてほしいんだけどさ。
     ちょっとマリオになんとなしに聞いてみたの。


     生き物の体って、バラバラになるくらい損傷が激しいと1UPキノコでも復活できないんだって。
     ……………………本当に気を付けてね?」

ロゼッタ「」ガクガクブルブル

35Mii:2018/08/07(火) 01:08:20 ID:VdCL75Jk
デイジー「…さ、さーて!ここで、ジャンプアクションについて説明しちゃうぞー!
      ロゼッタちゃん、よーく聞いておいてねー?」ニコー!

ロゼッタ「…はい」

デイジー(あかん、黄昏モードに入っとる)

デイジー「私たち『お姫様』ポジションのジャンプアクションは、
      大きく分けて次の3パターンよ!ロゼッタなら簡単に覚えられるわ!」

ロゼッタ「…わかりました」

デイジー「よーし、人生諦めモードながらも耳を傾けてくれて嬉しいぞー。
      じゃあ、簡単な順に説明するわね!
      1つ目!
      
      ジャンプした瞬間に、
      『車体を1〜3回ほどキリモミ回転』させた後、
      『片手ないし両手でハンドルを持つことのみ』で体を支え、、
      『両足を後ろにピンと投げ出してうつ伏せ滑空姿勢』を取る!

      ね、簡単でしょ!」

ロゼッタ「ちょっと耳が遠くなったようです」

36Mii:2018/08/07(火) 01:16:59 ID:VdCL75Jk
デイジー「…え、聞こえなかった?だから(略) よ」

ロゼッタ「…………」プルプル

ピーチ「デイジー、それ、私たちの間隔が麻痺してるだけだから」

デイジー「えー?でも、キリモミ回転はカートが勝手にやってくれるし、
      あとは風圧に任せて体を後ろに投げ出せばいいだけだし、一番楽だと思うけどなー?
      おまけに任天堂さんのCERO:A的な計らいで、ドレスの中も自動で隠してくれるんだよ?
      覗かれる心配ないんだよ?」

ロゼッタ「(ポン!)ああ、やっぱり私は今日が命日なんですね」エガオ

デイジー「ちょ、待って待って!早まりすぎ」

37Mii:2018/08/07(火) 01:28:10 ID:VdCL75Jk
デイジー「続けて、ふたつめー。

      ジャンプした瞬間に、
      車体は特に回転させず、
      『片手でハンドルを持ったまま体を大きく投げ出し』、
      『完全に体が後ろを向くまで振り返る』!
      そのとき、『もう片方の手は真上方向に』ピンと向け、
      脚は『頭より高い位置までアクロバティックに持って行く』こと!

      これは結構難しいけれど、決まると観客にアピールできるよ!」

ロゼッタ「そんなアピールできなくてもいいです!許してください!」ウワーン

38Mii:2018/08/07(火) 01:42:10 ID:VdCL75Jk
デイジー「なんかグダグダになってるけれど、最後の3つ目ぇ!」

ロゼッタ「…もう、好きにしてくださいよぅ…」

デイジー「じゃあお言葉に甘えて。
      
      ジャンプした瞬間に、
      『車体を水平回転させ』、
      『くるりと優雅にスピンしつつ小ジャンプ』、
      『後ろを振り向いたら両手を上に広げつつ最高の笑顔で決めポーズ!』
      これが決まったときの大歓声ったら凄いのよ!」

ロゼッタ「…………あれ?失礼しますが、
      2つ目…いえ1つ目よりも簡単に聞こえるのですが」

デイジー「うん、アクションを決めるだけなら簡単だよ。
      ……決めるだけなら」

ロゼッタ「と、言いますと?」

ピーチ「よく考えなさいよ。このジャンプアクションは唯一、『体が完全にカートから離れる』アクションなの。
    カートとの相対速度をしっかり計算してスピンジャンプしないと、体とカートがぶつかって怪我をするわ。
    …それだけならまだマシだけど、下手をするとカートに乗り直し損ねて何十メートルも下に生身の体で真っ逆さまよ」

デイジー「あれは痛かったなあ、ははは」ハイライトオフ

ロゼッタ「…………もうゴールしてもいいですか?」ハイライトオフ

39Mii:2018/08/07(火) 01:55:53 ID:VdCL75Jk
ロゼッタ「…そういえば聞きそびれていました。
      わざわざ、このようなアクションをする必要性が感じられないのですが」

デイジー「そりゃ、このレースがエンターテイメントも兼ねてるからよ。身も蓋もない話だけどさ」

ピーチ(『他の集まり』で否応なしに鍛えられた人が参加するから、たまたま問題にならなかったのよね。
     ロゼッタは下地なしにいきなり挑戦させられてるから…ほんと、不幸というかなんというか)

ロゼッタ「そんなの…あんまりじゃないですか…」

ピーチ「…まあ、今となってはロゼッタに逃げの道は残ってないから。
     さあ、タル大砲に向かいましょう。
     その後の急斜面で、今伝えたジャンプアクションを少しずつこなしていくのよ?」

ロゼッタ「せめて最初の段階で体が持つといいですねえ…」





――Yahooooooo!

マリオ「流石にマジで死にかねないから、保険で『緊急キノコ』持ってきてやったぞ」ザザーッ

ピーチ「あら、私も一応アイテムボックスから『スター』は大量に確保してたんだけどね。ありがと」

ロゼッタ「そういうことは先に言ってくださいよ頼みますから!ありがたく頂戴しますよ!!」

40Mii:2018/08/07(火) 02:19:30 ID:VdCL75Jk
〜ロゼッタの日記(続3)〜

もしかしたらいらっしゃるかもしれない、この日記を盗み読んでいるそこの貴方。
必死に覚える、という言葉を『言葉通りに』使ったことはありますか?
すなわち、「何十秒後に死ぬんですね」といろいろ諦めてしまうような境遇に
突き落とされつつも、何かを得ようともがいてみる場面、です。

――自慢ではないですが、最近の私は掃いて捨てるほどあります。
ちなみに一切嬉しくありません。

まあ、瀕死状態で復活、をおおよそ確約されているだけでも御の字なのでしょうか。
現に、こうやってしぶとく特訓できているわけですし。
だんだん私も感覚がおかしくなってきてしまったのかもしれません。
いろいろと手遅れなのかもしれません。

4, 5日目が終了した時点で、生と死の境目が朧げになってきて、
悟りでも開けそうな気がする今日この頃です。



なお、ピーチ姫がレース順位よりも「生き永らえること」を最重要課題としてくれた結果、
6日目と7日目はドッスン耐圧我慢大会とエンドレスマグマ身投げと
宇宙旅行(僅かながらの空気はフローされてるから大丈夫!byマリオ)が
笑顔で待っているそうです。

わぁい。

41以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/17(金) 12:27:32 ID:YVXBzNWs
死んでしまったか…

42Mii:2018/08/21(火) 19:17:45 ID:eWe8Wey2

 ・
  ・
パンパン、パパパパーン!!

ワー、ワーーーー!!



シグナルジュゲム
「Ladies and Gentemen!大変長らくお待たせいたしました!
そして、割れんばかりの大歓声、誠に、誠にありがとうございます!
司会進行冥利に尽きるというものです!

それでは…

レースの数だけドラマがある。
コースの数だけ駆け引きがある。

マリオカート、第2008回大会の開幕を、私シグナルジュゲムが宣言いたしますっ!
今日は思う存分お楽しみくださいっ!!」


――ウオオオオオオオオオ!

43Mii:2018/08/21(火) 19:23:27 ID:eWe8Wey2
イイゾー!
マッテマシター!
ユウキュウ トッテキタシ トコトンサイゴマデ タノシムゼー!
シグナルジュゲムサン キョウモステキー!

シグナルジュゲム
「しかも、今日はただ大会が開かれるだけじゃありません!
ご存知の方はとっくにご存知でしょうが、念には念を押して――。
今大会から、新しいレーサーがこの大会に急遽参戦だあ!改めて紹介させて頂きましょう!
――それでは、ご登場願います!
――――ロゼッタさん、どうぞっ!!」

ワアアアアアア!




ロゼッタ(いよいよ、ですね)
――私は、立ち上がる煙幕に包まれながら、会場のど真ん中に、ゆっくりと躍り出た。

44Mii:2018/08/21(火) 19:31:23 ID:eWe8Wey2
〜大会前夜〜

ピーチ「・・・キノじいから連絡が入ったわ。参加延期の淡い期待もあったけれど見事に裏切られて、
    明日の大会からスタンバイしなきゃいけなくなったみたいよ」

デイジー「まあ、あれだけ告知して人気が高まってれば、運営側も暴動は起こしたくないよねー。
      私たちも人気を奪われないよう、レースもおめかしも頑張らなきゃ!」

ピーチ「うふふ、そうね。まあ、そう簡単に負けてあげる気なんてないけれど。トップクイーンの座は揺るがせないわ」

デイジー「ちょい待ち、何気に勝手に二番手にするなあ!」ウガー



マリオ「……さっきからロゼッタ本人抜きで駄弁ってるけど、ロゼッタはどこなんだ?」

ピーチ「ん」クイッ

マリオ「うん?」クルッ



ロゼッタだったもの「」チーン

マリオ「…あの黒く焦げた物体、ロゼッタだったのかぁ」

45Mii:2018/08/21(火) 19:37:47 ID:eWe8Wey2
デイジー「マリオったらひどーい、ヒーローの風上にも置けないわね。
      メイクがぐっちゃぐちゃになるの気にせず、人目も憚らず号泣してたよ。
      全身砕かれてマグマで爛れて肺を潰されかけて。
      『もうどこにもお嫁に行けません』って。
      …ブルル、過去の自分の経験まで生々しくフィードバックぅ…」

マリオ「ま、まあ繰り返し1UPキノコ使いすぎて治りが遅くなってるかもしれないが
    痣や後遺症含めて最終的に完治することは変わりないから大丈夫、だろ、うん」

デイジー「加担した私が言えた義理じゃないけれど、呑気な事言ってるんじゃないわよ…」

マリオ「いやいや、呑気なもんか。だいいち、俺だって無理やり特訓に付き合わされただろ」

デイジー「うぐぅ……」

46Mii:2018/08/21(火) 19:43:20 ID:eWe8Wey2
〜更に回想〜

ロゼッタ「ひいっ、やめ、やめてくだ―」ポロポロ

ピーチ「泣きじゃくりたい気持ちはよーっく分かるけど、大会本番で死ぬよりマシでしょ。
     私も心を鬼にするから頑張りなさい!最初はロゼッタも割と意気込んでたじゃない!」

ロゼッタ「お願いでずがら、他のことならなんでもじまずがら―」ポロポロ

ピーチ「そーれ、マグマ飛び込み58回目ー」ドンッ!

ロゼッタ「あっー」



―ボチャン

ロゼッタ「いやあああああああああああああああ!!死ぬ、死にますからああああ!」





マリオ(…様子を見に来たら地獄絵図が広がっていた件について)ガクブル

47Mii:2018/08/21(火) 19:57:16 ID:eWe8Wey2
マリオ「あのー、ピーチ?ピーチサン?」ガバッ

ピーチ「!?きゃあ!マリオ!?驚かさないでよ…ってか何やってるの!?」

マリオ「いや、デイジーがさぁ。
    『男のくせに、女の子が死にかけているのを気にも留めないなんて有り得なくない?
    せめて罪滅ぼしというか連帯責任というか、自分もおんなじ苦しみを味わいなさいよ。
    あ、女の子のあられもない姿を見ないように潜っとけやコラ』とかいうもんで。
    俺も暇じゃないんだがなあ」

ピーチ「…それで、馬鹿正直というか律儀というか、『マグマの中で潜水してる』の!?」

マリオ「ははは、何を言ってるんだピーチ!」ケラケラ

ピーチ「そ、そうよね。流石にマリオでもやりすぎというか、体が持たないわよね」

マリオ「これ、マグマだから、『潜水』じゃなくて『潜炎』だぞ。ピーチはうっかりさんだなあ」

ピーチ「」

マリオ「あとさ、初心者はまず部分的に炎に当たるファイアバブルやファイアバーで
    ゆっくり慣らしていった方がよくないか?30年前に初めてマグマに落ちた時の絶望感ったら…」

※現在のマリオさんは耐久値がカンストしており温泉に浸かる程度の影響しかありません。
  ダメージを受ける描写があったとしたらただの『ノリ』です。

48Mii:2018/08/21(火) 20:10:29 ID:eWe8Wey2
ピーチ「…私も責任があるから飛び込んでやるわよ。勝負よ、マリオ!」

マリオ「え、いや、これって勝負とかいう問題じゃないんじゃ…といってる間にムキになって飛び込んでるし」

ピーチ「……いやいや、やっぱりこれアッツイ!熱いわよ!なんで平気なの!?
     間違いなく30分も入ってれば『熱中症で倒れる』わよ!」

マリオ(そもそも俺たち、通常の暑さ程度じゃ熱中症も味わえない強さだけどな)



デイジー「やっほー、今のロゼッタどんな感じー?
      …………嫌ああああああ!?なんか全身溶けてない!?
      モロに目撃しちゃったんですけどぉ!?どうしてくれるのよ!
      確実に夢に出てうなされるわよコンチクショー!
      ロゼッタ、早く上がりなさい――って反応できるわけないよねー!
      ピーチ、はやく引き上げて1UPキノコを!!」

マリオ「タイミングよく 1UPキノコを 投げろ!」

ピーチ「ここは『タイミングよく 腕をつかんで 引き揚げろ!』じゃない?」

デイジー「アクションコマンドとか要らないから!!…ってツッコんでる場合じゃなぁああい!
      しょーがないなあああああああ!!」ドボン!

49Mii:2018/08/21(火) 20:16:36 ID:eWe8Wey2
ロゼッタ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「」シュウウウウウウウウ

ロゼッタ「……………………」ムクッ

ロゼッタ「あれ?なんでわたしいきてるの?」

デイジー「間一髪1UPキノコが間に合ったからに決まってんでしょうが!
      こらそこ!マグマ我慢大会とかいうアホな夫婦漫才してる暇があったら手伝えぇ!」

ロゼッタ「わぁい、わたし1UPキノコだいすきー!あはははは!」



〜回想終わり〜

デイジー「あれ?よくよく考えてみると、特訓に付き合ってるどころか邪魔してない?」

マリオ「…ソンナコトナイヨ」

50Mii:2018/08/21(火) 20:22:48 ID:eWe8Wey2
ロゼッタだったもの「…………」

ロゼッタ「マリオ、で、す、か?」ヨロッ

マリオ「ああ、とりあえずお疲れさん。あとは、天に運命委ねて明日を待つとするか」

ロゼッタ「…………ふふふふふ。明日、そう、明日ですか。
      実際のレースとなれば1UPキノコひとつ頂けない、どうしたらいいのかしら。
      ああ、生きているって素晴らしい!明日も明後日も生きているといいですね!」

デイジー「うわあ、色々と重症だあ」



ピーチ「あー、残念だけど、疲れた体に鞭打って、あともうちょっとだけ頑張ってもらわなきゃいけないわ。
     日付が変わる前に、何コースかこなしておきたいの」

ロゼッタ「ええ!?まだ、なにか、準備があるので、すか?」

ピーチ「…まあね」

51Mii:2018/08/24(金) 03:54:38 ID:SdZnBNWc

 ・
  ・
シグナルジュゲム
「さぁて!この大会、観戦は初めての方もいらっしゃるでしょう!
ベテラン観戦者にはごめんなさい!くどいようですが大会の進行方式を説明させて頂きます!
会場中央の特大スクリーンをご覧ください!」

パッ!(選手らの顔写真が表示される)

シグナルジュゲム
「映し出されていますように、会場にはロゼッタ選手をはじめ、総勢24名の強者・曲者レーサーが
出番はまだかと首を長くして待機しています!
レースは1コースごとに、観客の皆様に事前投票を受け付けます!

走りを観たいと思うレーサーに、お手元のボタンからこぞってご投票ください!
その結果により、参加者12人を決定いたします!
ただし、6コース走り切ったレーサーは応募を締め切らせて頂きますのでご了承ください!
また、参加者決定後に、実際に走ることになるコースを決めていきます!

登録者全員が最低4コース走るまで、レースを続けさせていただきます!
その間に投票受付中のレーサーが12人を切った場合、運営側のランダム抽選で
成績無関係を前提としてレーサーを補填します!

レース終了後、各コースでの順位に対応したポイントを平均処理し、
その点数を指標に総合順位を決定いたします!
順位とポイントとの対応表はお手数ですがパンフレットをご覧ください!」

52Mii:2018/08/24(金) 04:04:48 ID:SdZnBNWc
シグナルジュゲム
「なお、通常の大会ではランダムシャッフルによるコース決定となっておりますが…
初参戦のレーサーがいる場合、救済ハンデとして、重複しない範囲でのコース選択権が与えられます!
また、第4レース終了時点で応募を締め切ります!
ただし、本人の希望がある場合は補填レーサーとして抽選に掛かる場合はございます!
ロゼッタ選手、短い時間ですが第1コースの選択を考えておいてください!」



ピーチ(そう、これは大きい。ひとまず4コース分、穏やかなコースを走り込んでおいた甲斐があった。
     ひたすら選んで行けば、火傷を小さくできるはず!)

デイジー(ピーチ、考えたわね。過酷なコースでの異常特訓で耐性をある程度付けてからなら、
      洞察力も確保できて気持ちもだいぶ楽になること請け合いよ!)

ロゼッタ(ピーチ姫、デイジー姫、ありがとうございます。これならなんとか、戦えそうな気がします。
      さて、私がまず選択すべきコースは――――)

53Mii:2018/08/24(金) 04:18:37 ID:SdZnBNWc
>>52
×第4レース  ○第4コース

シグナルジュゲム
「それでは観客の皆さん!今から5分間、投票を受け付けます!!
誠に勝手ながら、それ以降の投票は無効となりますのでご注意ください!」

〜第1コース投票結果〜
ルイージ
マリオ
ワリオ
クッパ
デイジー
ヨッシー
ドンキーコング
ピーチ
キングテレサ
キノピオ
ベビィマリオ
+ロゼッタで計12名


ルイージ「見て、見てよ兄さん!僕が投票1位だって!兄さんに勝ったよ!やったー!」

マリオ(まあ、観戦歴の長い人たちは『第1コースはアレだな』って察しがついてるからな)

ピーチ(初参戦レーサーが捻くれてない限り『第1コースはアレだな』って察しがついてるもんね)

54Mii:2018/08/24(金) 04:22:52 ID:SdZnBNWc
デイジー「いつも思うけど、観客にキノコ王国の住民多いのにピーチってそんなに票集まらないよね」

ピーチ「逆よ、逆。『姫様に危険な目にあってほしくありません!』って人がほかのレーサーに流れちゃうから。
     支持率が高いのも困ったものね」

デイジー「そんなもんなんだ(じゃあ結局選ばれているのはいいんだろーか)」

ロゼッタ「…………」ジーッ

ベビィマリオ「わあーい、なんとか滑り込めたでちゅ!」キャッキャッ

ロゼッタ「ちょっとボク?どこから紛れ込んだの?駄目よ、子供…子供?というより赤ん坊?が
     こんな過酷で危険な場所にいちゃ!ママの所にお帰りなさい?」ヨシヨシ

ベビィマリオ「あ、新入りさん!だいじょーぶ、2人乗りデッドヒートまで出来ちゃうから
        こんなレースくらいおちゃのこさいさいでちゅ!体当たりでお化け沼に吹っ飛ばされたって
        根性で乗り切りまちゅよ!」

ロゼッタ「」ピシッ

マリオ「あー、ロゼッタ。この大会に必要なのは運転免許じゃない。
    生き抜くためのHPと気力があればそれでノープロブレム」

ロゼッタ「あ、はい」トオイメ

マリオ(むしろ赤ん坊の癖に冒険経験値やばいことになってるからな…)

55Mii:2018/08/24(金) 04:41:53 ID:SdZnBNWc
シグナルジュゲム
「それでは参加者も決まったところで。ロゼッタ選手、第1コースの選択をどうぞ!」

ロゼッタ(スゥー……)「ルイージサーキットでお願いします!」

観客(やっぱり)

観客(まあ鉄板だよな。初心者でも運転が非常にしやすいし)

ピーチ(うわあ、観客の皆さんもしたり顔だし…まあこれでいいのよ)

シグナルジュゲム
「なるほど、ルイージサーキットですね!それでは、『呼び出し』ましょう!ぽちっとな!」

ロゼッタ「えっ」

ポンッ!!ズゴゴゴゴゴ…!!

なにも なかったはずの だだっぴろい かいじょうに
ルイージサーキットが あらわれた!▼

ロゼッタ「…………会場にコースを呼び出すだなんて、何て無茶苦茶な…
      通りで観客がこんな街中の会場にのんびり構えているはずです」

ピーチ「さすがにレインボーロードとかのアップダウンや規模が尋常じゃないコースは
    実況中継でごまかすけどね。キノコ王国の技術力は世界一よ」

クッパ「それは聞き捨てならんな。クッパ軍団とて負けておらんぞ」

ロゼッタ「だったらカートにバリア機能くらい付けてほしかったですね(小声)」

56Mii:2018/08/24(金) 04:48:32 ID:SdZnBNWc
シグナルジュゲム
「さあ、レーサーたちがスタート地点にスタンバイ完了しました。
本当にレースが始まろうとしています、その瞬間を見逃すな!
それでは――レース、開始です!」

――ピィーッ、ピィーッ、ピィーッ、パアァーン!!


ビュン! ビュン! ビューン!



ロゼッタ「……結局ロケットスタートとやらを教わってないじゃないですか!!
      あああ、いきなり離されたんですけど!待ってください!」ブロロロロ

ピーチ(あ、ごめん)

57Mii:2018/08/24(金) 05:15:41 ID:SdZnBNWc
ロゼッタ(レースが…始まって、しまいました。
      私のことを応援して下さる観客の皆さんの声、しっかり届いています。
      こっそりチコたちまで駆けつけてくれているの、私にはお見通しですよ。

     ……なんてことになっていますが、正直、私は順位なんて気に留めず走破することだけで精一杯。
     ピーチ姫の策によって余裕はある。…あるはずなんですが、全然実感が湧かない。
     駆け込みで走り込んだはずのこのコースが、魔物が棲む初見コースに見えて仕方がない。

     体が、固い。本当に死んでしまわないか、ただただ、怖い)ガチガチ

58Mii:2018/08/24(金) 05:16:57 ID:SdZnBNWc
ロゼッタ(……ハッ!)

シグナルジュゲム
「おーっと、マリオ選手、クッパ選手に押し負けて珍しく砂地に乗り込んでしまったぞ!
今日は調子が悪いのか?大きくトップ集団から離されます!」

マリオ「やれやれ、砂地に乗り上げただけでこの叩かれっぷりとは
    優勝候補のプレッシャーとは恐ろしいな、まあわざとなんだが」

デイジー「私もいるよーん。いやはや、アンナトコロニバナナガアッタナンテ」

マリオ(とりあえずまあ、ロゼッタの少し前を走って、臭い所の障害物は掃除してやるか)

デイジー(私たちの責任もあるし、フォローしてやらないとね。場合によっちゃスリストもあげられるし)

ロゼッタ(マリオ、デイジー姫!助かります!
      …そうですね、ここまでお膳立てしてもらっていて、なんて我儘。
      下を向いている暇があったら前を向くべき、です!
      恐れていても何も――始まらない!)

59Mii:2018/08/24(金) 05:20:20 ID:SdZnBNWc
シグナルジュゲム
「おっと、ロゼッタ選手!どこかぎこちない運転でしたが、ようやく走りが安定してきたか!
そしてここでパワフルダッシュキノコをゲットした模様!一気に加速します!
後ろをチラ見しつつ前を走っていたマリオ選手、これは慌てたか!
前方不注意で流れ弾の緑甲羅を食らってしまった!」

マリオ(失礼な。加速中のロゼッタが食らうことになってただけだ。
    そのままこちらもキノコでリカバリ、と)

デイジー(おー、重量級だけあってMAXスピード維持できるとホント速いね。
      まあ私に追随される程度のコース取り・ドリフトは改善の余地が有るけど…
      細かいことは気にしない!どんどん先頭集団に接近できてるよ!)

シグナルジュゲム
「…そして今、ロゼッタ選手、ピーチ選手を抜いて7位に!」

ロゼッタ(集中、集中、集中っ!)

シグナルジュゲム
「甲羅やキノコの使用タイミングは必ずしも最適とは言えませんが、
猛追でひとまず5位に付けました、中々の健闘です!」

観客「ウオオオオオオ!」


ピーチ「…………うーん、どう思う?」ジーッ

クッパ「ふむ。このコースだけに関すれば気に留めるほどのことでないが、
    レース全体で見るとよろしくないな…」

60Mii:2018/08/24(金) 05:28:14 ID:SdZnBNWc
シグナルジュゲム
「デイジー選手、ロゼッタ選手の前を4位で走り…おっと、急加速してきたドンキーコング選手、
勢いそのままにデイジー選手を大きく横に押しやりました!

そのまま間髪入れずロゼッタ選手に対し、強者の洗礼とばかりに進路上にバナナ設置!
しかし!これはドンキーコング選手を狙ったマリオ選手の緑甲羅軌道上!奇しくも相殺されます!
ロゼッタ選手、漁夫の利で助かった!」

ドンキーコング「ぐぬぬ…」

デイジー「お・か・え・し」トンッ

ドンキーコング「ウホーッ!?」バァン

シグナルジュゲム
「おおっと!デイジー選手、素早いドリフトから態勢を取り戻していた!
ドンキーコング選手の前にしなやかにカートを差し入れて、設置したるや偽アイテムボックス!
これは避けられない!たまらずドンキーコング選手吹っ飛んだ!」

61Mii:2018/08/24(金) 05:35:01 ID:SdZnBNWc
ロゼッタ(あ、赤甲羅を引きました。…このまま使うと、デイジー姫を追尾してしまいますね。
     防御アイテムも持っていないようですし、ここは保持、と)

デイジー(何を甘ったるいこと言っとるか。とっとと撃ちなさい)

ロゼッタ(……え、直接脳内に!?えっと、そんなことできませんよ!)

デイジー(そこまで不干渉貫いちゃうと庇ってること丸わかりじゃないの!
      …いや、けっこー既に厳しいかもだけど。ピーチがジト目で私たち見てたし。
      とにかく、そっちからの攻撃は一切遠慮しないくらいでちょうどいいわ)

ロゼッタ(…………本当に、すいません)ヒュンッ

デイジー「わわ、赤甲羅が来るよ!外周のダッシュボードで振り切らなきゃー!
      あー、これ無理ゲーだわ。防御アイテムもないしぶつかるぅ、うーわー(棒)」ドカーン

ロゼッタ(お先に、失礼します)

マリオ「おうデイジー、漢だな。先に行くからすぐ追いつけよ」

デイジー「男じゃないよ!」

62Mii:2018/08/24(金) 05:41:57 ID:SdZnBNWc
ロゼッタ(えっと。このコースは加速系のアイテムがあれば砂地をショートカットして
      時間短縮が図れるんでしたっけ。先ほどまでは道路で使っていましたが。
      あ、あそこですね。ちょうどいい塩梅にトリプルダッシュキノコがあります!
      練習時間はそれほど確保できませんでしたが、一応成功もしましたし…
      やってみましょうか!)ダッ

マリオ「あ、緊張した状態でそれはちょっとフォローできないから待っ」

ロゼッタ「ヤッフゥ!」





ゴンッ!!

ロゼッタ「はうっ」

マリオ(いわんこっちゃない)

63Mii:2018/08/24(金) 05:58:29 ID:SdZnBNWc
ロゼッタ(…………痛い、すごく痛いです。
      ドカンに頭を盛大に擦って意識が一瞬飛びました。…あ、王冠がどこかに行った。
      まあいいです、この程度で済んだのなら!命の方が大事ですよ、ええ。  
      さて、再加速です!」チラッ



マリオ「ぶつかったドカンなんか気にしないで前見ろ前!!」

ロゼッタ「はい?」



目前のドカン「余所見すんなや」



ガンッ!!!!!!!!!

64Mii:2018/08/24(金) 05:59:41 ID:SdZnBNWc
シグナルジュゲム
「おおっとロゼッタ選手!ややキノコを贅沢に使いつつも…いや、むしろ
 不慣れを見越したキノコ確保と見れば聡明、賢明な判断か!
無事に砂地を抜け、とうとう3位にまで躍り出ました!素晴らしい活躍です!」

マリオ「なんかドレスがところどころ赤く染まってるが…だいじょぶ?」

ロゼッタ「……………………ええ、ええ、計画通りですよ。
      側頭部を激しく殴打されて生暖かい感触が頬を伝っていたところで、
      激痛が頭を駆け巡っていたところで、微妙に視界がぼやけていたところで、
      順位を上げたことは確かなのですから何も臆することはありません、はい。
      ここまで私としては完璧な走りなのです。何も臆することはないのよ、ロゼッタ。
      ここまで過保護なサポートを受けておいて愚痴を零すのは罰当たりにも程があるというものだわ、
      何も臆することはないのよふふふふふふふふふふふふふふ」ダラダラダラダラ

マリオ「よし、大丈夫だな(逃避)」

65Mii:2018/08/24(金) 06:08:53 ID:SdZnBNWc
ワァァ!

マリオ「っ!?この警告音は!!ロゼッタ止まるんだ!」



ワリオ「オラオラ、みんなまとめて吹き飛んじまえ!!」

シグナルジュゲム
「おおっとワリオ選手、不運な巻き込まれ事故で下位に甘んじていたかと思いきや!
起死回生、トゲゾーの甲羅をスロー!青い閃光が瞬く間に1位のキングテレサ選手めがけて猛進します!

おやおや!?地を這わなくなったトゲゾーですが、思いのほか先頭グループ固まっている!
これは誰が巻き込まれてもおかしくない状況です!慌てて2位以下の選手、減速!
キングテレサ選手も擦り付けようと慌てて減速!…おっと、ロゼッタ選手、接近音に気付いていないのか
減速しなーい!

トゲゾーの甲羅、結局キングテレサ選手に着弾!
ロゼッタ選手巻き添え!両者、大爆発で吹っ飛ばされたあ!」

ロゼッタ「がふぅ!?」

マリオ「」

66Mii:2018/08/24(金) 06:16:04 ID:SdZnBNWc
キングテレサ「ぐっ!…おのれ、タダでは済まさんぞ!」

ロゼッタ「……………………………………………」

シグナルジュゲム
「おや、どうしたことか。ロゼッタ選手、突っ伏したまま動きません!
脳震盪でも起こしたか、後続にどんどん抜かされていくままだ!」

ロゼッタ「……………………」

ロゼッタ「………………………………………まだ、はしれ、ます!」ユラリ

シグナルジュゲム
「なんとかロゼッタ選手持ち直した模様です!」

マリオ(ホッ)

67以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/02(日) 12:35:59 ID:76Xl7esk
ワクテカ

68Mii:2018/09/09(日) 17:39:04 ID:aK45zTCc
第1コース結果
1位 ルイージ
2位 ヨッシー
3位 キングテレサ
4位 マリオ
5位 ドンキーコング
6位 ロゼッタ
7位 デイジー
8位 ワリオ
9位 クッパ
10位 ピーチ
11位 ベビィマリオ
12位 キノピオ

シグナルジュゲム
「……はい、御覧の通りの成績となりました!観客の皆さん、贔屓のレーサーは活躍されたでしょうか、感嘆する走りを見せてくれたでしょうか!とにもかくにも、走り切ったレーサーたちに盛大な拍手をお願いします!」

パチパチパチ・・・!!

マリオ「ってか、見かけないと思っていたらルイージが1位だと!?凄いな!」

ルイージ「ふふ、トゲゾー様様だよ。…でも、まさかそこまで影が薄かったなんて喜びも半分だよー…」

ヨッシー「最後に投げられた赤甲羅を飲み込んで躱せたら私の勝ちだったんですけどね」

ピーチ「ちょっと待ちなさいそこの恐竜」

69Mii:2018/09/09(日) 17:41:31 ID:aK45zTCc
キノピオ「姫様!お怪我は、お怪我はございませんか!」

ピーチ「あなたは、私を気遣う暇があったら私に向かって甲羅でも投げなさいよ。
    おまけにカミナリ雲取っておきながら減速して擦り付けを諦めたでしょ?」

キノピオ「そそそ、そんなことできませんよ恐れ多い!そんなことする位なら棄権します!」

ピーチ「忠誠心と事なかれ主義は別物なのよ?…よし、決めた。上司命令よ。
     今日、私に向けて最低一回は攻撃を当てなかったら、あなたクビね」

キノピオ「えっ…ま、まあ姫様に攻撃しないで済むならレース人生を終える位…」

ピーチ「そうじゃなくて、城仕えをクビ」

キノピオ「」ガーン

70Mii:2018/09/09(日) 17:44:38 ID:aK45zTCc
クッパ「それは流石に可哀想だろう?いくらワガハイがピーチ姫を攫う度に毎度のごとく無能警備をさらけ出すとはいえ」

キノピオ「」グサッ

ピーチ「まあ最近は公務から逃げて羽伸ばそうっていう下心もあって、流されるまま攫われてる節もあるけどね」

クッパ「がっはっは!それは面白い冗談だ!……え、マジで?」

ピーチ「身の安全は確保してくれる上にじきにマリオが助けに来てくれるし、
     様変わりするお城で敵情偵察兼ねたレベルアップできるし、
     軍団のみんなに料理振る舞ったりクッパに洗剤ケーキ振る舞ったりできるし、
     割と楽しくなってきている自分がいたりして〜。
     あ、キノじい達にはヒミツね?」

マリオ「色々と初耳なんだが」

クッパ「大丈夫か、この王国 」

ピーチ「マリオブラザーズがいるから平気平気。いざとなったら私も出動するし」

ルイージ「そゆことそゆこと」

クッパ「めっさ開き直ってやがる。紐で吊るしても絵に閉じ込めても籠の中に捕えても懲りてないというのなら…
    今度は久しぶりに本気になって石にでもしてやろうか」グフフ

ピーチ「なにそれ楽しそう!解き甲斐がありそうね!」

クッパ「えええええ…ドンビキですわぁ…」

ロゼッタ(聞いているだけで頭が痛くなる会話ですね…)

71Mii:2018/09/09(日) 17:47:47 ID:aK45zTCc
???「……」


サワッ

ロゼッタ「キャ!?!?」サッ

ワリオ「よっ、新入り。いい結果、『出してもらえて』良かったな」

ロゼッタ「いいいい、今お尻撫でられたんですけど!」カァ

ワリオ「おいおい、言い掛かりはよしてくれよ。あんた長身だからな、振ってた腕がちょいと当たっちまっただけだぜ?」

ピーチ「結構肉付き良かったでしょ?」

ワリオ「どっちかっつーと女性っぽくない硬さだったな…ハッ!?」

デイジー「サイテー!」プンスカ

ピーチ「この女の敵が。殴るわよ」バコン!

ワリオ「痛ぇ!『たった今フライパンで殴ったわよ』の間違いだろうが!」

マリオ「…ワリオ。らしくないぞ。ワルで売ってるお前でも、ここまで露骨な嫌がらせは久しぶりじゃないか。
     それに、『出してもらえて』って…」

72Mii:2018/09/09(日) 17:50:15 ID:aK45zTCc
ワリオ「おー、イッテェ…あん?そんな事、お前が一番分かってんじゃねーのか、マリオ?
     むしろお前が『らしくねえ』んだよ」

マリオ「…………」

ワリオ「新入りが参戦してくる、それも女で重量級っていうんで、何気に楽しみにしてたんだぜ?どんな男勝りの奴に巡り合えるかってな。
     クッパ、お前もそうじゃないのか?」

クッパ「…いや別に、そこまでは…」

ワリオ「ケッ、日和やがって」ペッ

ロゼッタ「………………っ!」

ワリオ「それが、蓋を開けてみればどうだ。マリオとデイジーにおんぶに抱っこじゃねえか。これならまだ、びりっけつでもしっかり走ってくれた方がよかったってもんだぜ。
     観戦歴の長い奴なら八百長モドキだってすぐに気付くだろうぜ。――お前さんよぉ、やる気あんのか?」

デイジー「しょ、しょーがないじゃない!いろいろ問題があってロゼッタは経験が乏しすぎるんだから!慣れるまで大目に見てやってよ!」

73Mii:2018/09/09(日) 17:52:42 ID:aK45zTCc
ワリオ「…女々しいこと、この上ないな。そうやって気楽に構えている奴に、
    現に上の順位を取られているっつーのが何よりも気に食わねぇ。
    お遊戯か何かと勘違いしてるなら、とっとと退散してもらいたいもんだねえ。言いたいことはそれだけだ。
    あんまり繰り返すようだと…俺もなかなか、黙ってないぜ」スタスタ…

ロゼッタ「……」





ロゼッタ「……息が、詰まりました。すいません、そもそも私が最初からしっかりしていれば…」

デイジー「気にしない、気にしない!アイツの性格が悪いだけだからさ」

ロゼッタ「ワリオ、さんでしたっけ。どのような人なのですか?」

マリオ「まあ、とにかく勝負事は勝たないと、いい順位じゃないと気が済まない奴だ。
    運転は荒っぽいがのらりくらりとこなして、優勝候補に挙げられるくらいの実力は持ってる。
    というか、アイテムを使ってライバルを蹴落とすことにおいてはワリオの右に出る奴はいない、
    と言ってもいいかもしれん」

ロゼッタ「そ、そうなんですか!?」

74Mii:2018/09/09(日) 17:56:52 ID:aK45zTCc
ピーチ「また、厄介な奴に目を付けられたものね…でもねマリオにデイジー。
     さっきのコース、ワリオほどは批難しないけど、傍目から見て色々と庇いすぎよ。
     これで私まで周りをウロウロしていたら確実にペナルティを食らっていたわ」

マリオ「…は?ペナルティ?何のことだ?」

ピーチ「うわあ、呆れた。まさか知らなかったんだ。ほら、大会規約の……ココ。

    『特定のレーサーあるいはレーサーグループを、著しく利する、あるいは相互に援護する行動を継続的に取り続けた
     レーサーあるいはレーサーグループがいた場合、参戦中のレーサーならびに観客はコース終了から
     次のコースが開始されるまでの間に、外部あるいは内部からその行動を審判に告発することができる。

     その行動がカメラチェックで確認でき、かつ庇う側の意図的行為であると判断されたならば、
     運営は庇った側のレーサーについて、次の1コースあるいは2コース以上の参戦不可を通達することができる』

     って書かれてあるわ」

マリオ「…マジですか?」

ピーチ(コクッ)

デイジー「じゃ、じゃあどうすればいいの!?」

ピーチ「…別に慌てる必要は多分ないわ。ロゼッタを気にせず、自分の走りをすればいいのよ。
     できるわよね、2人とも」

75Mii:2018/09/09(日) 18:01:34 ID:aK45zTCc
マリオ「仕方ない、か」ヤレヤレ

ロゼッタ「わ、私も精一杯走らさせて頂きますので!
      マリオもデイジー姫も、私のことは気にせず本来の走りをぜひお願いします!」アタフタ

デイジー(そうは言ってもすっげー不安です)




――この時私は、1UPキノコを持ち込めない現状にため息を付きながらも、
あちこちに血の色が掛かった青色のドレスを恨めしげに見やりながら
『次からは自力で走ることになる、頑張らなきゃ』くらいの気持ちで佇んでいました。


中途半端に走れてしまった、いい成績を手にしてしまった私は――どこか、慢心の気持ちが蠢いていたのかもしれません。

76Mii:2018/09/09(日) 18:03:09 ID:aK45zTCc
ロゼッタ(第2コースには、ピーチビーチを選択。
     このコースもまた、段差・障害物ともにほとんどない、非常に走りやすいコースです。

     道があまり舗装されていないことに加えて水辺があるのが少し厄介ですが…。
     まあ、水辺があるということは逸れたアイテム攻撃がそのまま消え去ってくれるということでもあり、
     安全にも貢献しているとのこと――)


第2コース参戦レーサー
ワリオ
ドンキーコング
キングテレサ
クッパ
ヨッシー
キノピコ
マリオ
ベビィマリオ
ベビィルイージ
ピーチ
デイジー
+ロゼッタで12人


ロゼッタ(ルイージはしょげていましたが、マリオもピーチ姫もデイジー姫も外れていないことにとりあえず一安心。
     …しかし、他の3人の顔色が芳しくありません)

77Mii:2018/09/09(日) 18:05:43 ID:aK45zTCc
マリオ「…ピーチの言う通りだな」

ロゼッタ「え?」

マリオ「ロゼッタへの援護、消極的な走りを感じたのか、俺とデイジーの票がかなり下がってる。
    自慢じゃないが、優勝候補の俺が2コース目の投票結果でここまで順位を落とすケースはあんまり記憶にない。
    まあ、単に『優勝が遠ざかったから今回は諦めた』とかの理由ならまだマシなんだが。
    このままだと俺はともかくデイジーは圏外になりかねないな」

ロゼッタ「うっ……」

ピーチ(逆に、貪欲な走りを見せたワリオの票が急上昇してるわね)

デイジー「私は崖っぷちとかゆーな。…で、かといってロゼッタを見放して手助けしないんじゃ本末転倒だし…
      ど、どうすんのよ?」



マリオ「…大丈夫だ、まだ奥の手はある」キリッ

78Mii:2018/09/09(日) 18:10:19 ID:aK45zTCc
シグナルジュゲム
「さあ、レーサーたちがスタート地点にスタンバイ完了しました。
それでは――第2コースも、張り切ってまいりましょう!」

ロゼッタ(口頭で教わっただけですが…ロケットスタート、次のコースくらいで使ってみたいものです。
      今回は、皆さんのスタートをよく見ておきましょう。観察させて、もらいます!)ジーッ



――ピィーッ、ピィーッ、ピィーッ、パアァーン!!

ビュン! ビュン! ビューン!




ロゼッタ(…う、うーん。タイミング、わかったようなわからないような…
      トントントン…このくらいのタイミング?いえ、トン、トン、トン、このくらい?
      まあ、今悩むのはこのくらいにしておきますか…)ブロロロロ

ロゼッタ(このコースは、跳ね返りの緑甲羅は気にしなくていい。当たるとしたら赤甲羅。
      要するに避けようがないから当たったらその時、ということで走ればいいんですね、うん。
      防御アイテムがあればストックしておくとよいとのことです。

      また、水辺を突っ切る際に加速アイテムはぜひ欲しい、と。
      マリオは『そもそも水中でのペダル操作に慣れないうちはやめた方がいいんじゃあ…』と
      ぼやいていましたが、そうも言っていられませんね)

79Mii:2018/09/09(日) 18:13:24 ID:aK45zTCc
マリオ「悪いな、お先に」

デイジー「んもー、薄情だなあ。―それじゃ頑張って。死ぬのは、駄目よ?」

ロゼッタ「縁起でもない事言わないでください」



ロゼッタ(お二人とも、あっさりと私を抜かしていきました。
      最高速は私の方が断然速いとのことですが、微塵も感じさせない走りです。
      特にマリオは、凄まじい速さであっという間に見えなくなってしまいました。さすが優勝候補。
      観客のボルテージも上がっている気がします)

80Mii:2018/09/09(日) 18:17:22 ID:aK45zTCc
ピロロロロロロ…パン!

ロゼッタ(あ、トリプル赤甲羅。これはラッキーです、どんどん投げてしまいましょう)

ブン! ブン! ブン!



ワリオ「ぶっははは!こりゃケッサクだ!出たよ、素人丸出しの使い方!」

ロゼッタ「っ!?な、なんですか一体!レース中ですよ!
      それに、なんですか素人って!赤甲羅なのですから前を攻撃するのは当たり前でしょう!」

ロゼッタ(同じく重量級のワリオ。技量の差から、すぐ後ろにまで付かれていたのですか。
      相変わらず私って、まるで後方の状況確認、警戒がなっていませんね。悲しくなります)

81Mii:2018/09/09(日) 18:21:38 ID:aK45zTCc
ワリオ「おつむが弱いようだから、いい事教えてやるよ。俺って親切ー。
     そんな投げ方しても、前の奴には1発分の効果しかねーぞ」

ロゼッタ「…え?」

ワリオ「硬直時間中のアイテム攻撃はムダだからな。
    投げるなら、硬直が解けたと同時に次弾が当たるような時間差で投げろや。
    相手の防御アイテムを見越して2発撃つならまだ分からんでもないんだが、
    3発一斉に投げるのはただの阿呆だわ」

ロゼッタ「…そ、そう!相手が使いかけのトリプル防御アイテムを持っている可能性も…
      防御アイテム2個に対して3発投げるのなら無駄じゃありません!」

ワリオ「可能性の低いくっだらねえ賭けだな。というか、1発の着弾のために3発分消費するのが馬鹿だと言いてぇんだよ、俺は。
    効率悪すぎだろ、頭使えや。できれば3発着弾、最低でも2発着弾を狙うのがいいんだよ!
    それができないなら、時機を待ちつつ防御、更には付近のレーサーへの牽制に使った方が遥かに賢いんだけど、わかるぅ?
    それとも箱入りお嬢様には難しかったか?んん?」

ロゼッタ(そんな定石が、あるなんて。確かに、理にはかなって、いる。
      言い訳したくはありますが…勉強不足にも…程がある)

82Mii:2018/09/09(日) 18:26:41 ID:aK45zTCc
ワリオ「ま、あんたが馬鹿打ったおかげで俺は大助かりなんだけどな。イイもんやるよ」ポイッ

ロゼッタ「…ひっ、赤甲羅…!」

バァン!!

ワリオ「じゃ、お先―!よし、スターで一気に飛ばすぜー!」ブロロロロ

シグナルジュゲム
「ワリオ選手、ロゼッタ選手のマズイアイテム駆使を逃さなかった!結果として、
 最小のコストで最大の結果を得て見せました!これは、経験の差が如実に表れてしまったか!」



ロゼッタ「…いたい、です」ツー

ロゼッタ(砂地であることが幸いしましたが…咄嗟に庇った左腕が、そのまま吹っ飛んだ際に下敷きにまでなって…
      痺れるように痛い。折れた、かもしれません。そうか、甲羅の飛ぶ速度って腕力でも結構変わるんですね、
      正直…みじめで、泣きたいです)

83Mii:2018/09/09(日) 18:31:05 ID:aK45zTCc
ロゼッタ(…ですが、よし。そこそこ激痛が走りますが、なんとかハンドルに手は添えられる。
      意識も…しっかりしている、右手を主に使っていけば問題ない、問題ない…)イイキカセ

ポイハナ(トコトコトコトコ)

ロゼッタ「わ、わ、せめて確実に避けられるあなたに当たるわけには、まいりません!」ザザッ



ゴオオオオォォォーッ!!



ロゼッタ「…?」クルッ

ロゼッタ「ひいっ!?」サッ

キラー「ゴオオオオオォォォ!」ビュー!!

ロゼッタ「ハァ、ハァ、ハァーッ!し、心臓が止まるかと思いました!
      あ、あれがキラーという弾丸なのですね、あんなのに轢かれたらひとたまりもありませんよ!
      あ、でもあんなに速く走れて、いいなあ…」

84Mii:2018/09/09(日) 18:35:23 ID:aK45zTCc
ピロロロロロロ…パン!

ロゼッタ「…これは、えーっと、確か…きょだい、キノコ?」


ググググググ…!

ロゼッタ(巨大)「か、体に活力が…こ、これは!」

ポイハナ「でけえ」

ポイハナ「元々あの人ノッポだからな」

パリン!パリン!

ロゼッタ(巨大)「す、すごい!当たり判定が大きくなるので不安でしたが、
          甲羅やバナナも難なく破壊して走れるのですね!更に他の人を踏み潰すことができる、と!
          私にとってこれは中々利用価値の高いアイテムですね!」


ビュン!


ロゼッタ(巨大)(おまけに、ダッシュキノコほどの速度はありませんが、水辺でも減速しない!
      コース取りが下手な私にとっては非常に助かります!…むむっ)

85Mii:2018/09/09(日) 18:38:50 ID:aK45zTCc
ゴオオオオォォォ!

シグナルジュゲム
「おーっと、巨大化したロゼッタ選手の後方から、2体目のキラーが迫ってきたぞー!」

ロゼッタ(巨大)(とりあえず、キラーはこの体ではじくとして、次のアイテムボックスまでの距離は確か…)


シグナルジュゲム
「ロゼッタ選手、特にキラーを気にしていませんが大丈夫なのかー!」


ロゼッタ(巨大)「…………あれ?よもや、キラーに当たり負けする、んですか?」

ガツンッ!!

ロゼッタ(巨大)「いやぁー!!」



ベビィマリオ「おおー、やっと追いついてきたでちゅか?」

ベビィルイージ「んー、なんか轢いた気がするでちゅ。もし新人さん轢いてたら困りましゅ」

ベビィマリオ「救護義務なんてものはないでちゅから大丈夫でちゅよ」

ベビィルイージ「それもそうでちゅね。キラーは急に止まれない、でちゅ」

86Mii:2018/09/23(日) 19:57:51 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ(元)「あ、元の姿に戻りました…心なしか、血がにじんでいる面積が広がっている気が。
うん、考えないことにしましょう。むしろ、大きくなっていたからこれだけの怪我で済んだ、と
考えていかないとやってられませんね。加速、加速です!」ダッ

ロゼッタ「パワフルダッシュキノコ!」ビューン!

ロゼッタ「よし、スター!」キラキラキラキラ

ロゼッタ「そして…サンダー!!」ドッカーン



〜11 th/12〜
ロゼッタ「…あ、あれ?これだけ強いアイテムが出てるのに、1人しか追い抜けない?
…あ、あの遠くに見えている人が10位でしょうか…って、スター使用中でしたか。

――そうでした、私以外の下位集団の人も当然強いアイテムを手に入れているはず、
そう簡単に追い抜きを許してはくれないわけですか。おまけにスターでサンダーも回避された、と」

ロゼッタ「…詰んでいませんか?くっ、こうなったら……!」

87Mii:2018/09/23(日) 20:00:00 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ(スゥーーッ)

ロゼッタ「前の人たちが設置アイテムに引っ掛かって足止めされるのを祈りましょう。
あはは、混戦になっていないと走りやすくて、私としてはありがたいですね!!
おまけに、私が好むライン取りに障害物がほとんど落ちていませんし!きっと神様の思し召しです!」



ロゼッタ(結局。消極的極まりないけれども事故らず走ることをモットーに走った結果、
11位でコースを終了しました。後ろのキノピコさんにスター状態のキノコダッシュで
猛追されたときはもう駄目だと思いましたが…。軽量級なのが幸いしました。

今度こそ独力で走り切れましたね!文句は言わせません!)

88Mii:2018/09/23(日) 20:02:06 ID:0CPBUtO2
第2コース結果
1位 マリオ
2位 ワリオ
3位 クッパ
4位 ピーチ
5位 ドンキーコング
6位 ベビィマリオ
7位 デイジー
8位 キングテレサ
9位 ベビィルイージ
10位 ヨッシー
11位 ロゼッタ
12位 キノピコ

シグナルジュゲム
「今回のコースは、マリオ選手の素晴らしい走りが冴えわたりました!
まさに、非の打ちどころがない走りです!ワリオ選手、クッパ選手の攻撃を振り切ってのゴールなので
非常に価値も高いと言えるでしょう!」

89Mii:2018/09/23(日) 20:03:34 ID:0CPBUtO2
マリオ「ふふん、どんなもんだ」

クッパ「こしゃくな、トゲゾーをキノコでかわしてのけるとは…!」

マリオ「バナナガードを捨てた賭けに出て、確率の低いダッシュキノコを手に入れられたのが
    勝因ってこったな。これが俺の勝負運だ」

ピーチ「やるじゃない、マリオ!私も負けてられないわ!」

クッパ(というか周り重量級のところに軽量級で滑り込むピーチ姫も凄いとワガハイは思う。
     このコースが付き落としの危険性ないとはいえ)

マリオ(割と同感)

ピーチ(いやまあ砂地多かったし)

マリオ(あ、聞こえてたか)

90Mii:2018/09/23(日) 20:05:06 ID:0CPBUtO2
係員「マリオさーん、ちょっといいですかー?」ヒラヒラ

マリオ「ん?どうした?…なんかあったみたいだから行ってくるよ」スタスタ

デイジー「お疲れー。さてと、ロゼッタの様子を見に行きましょうか!」

ピーチ「そうね!」スタスタ

ワリオ「……」





そして。第3コース参戦レーサーの受付が終了した――。

91Mii:2018/09/23(日) 20:06:22 ID:0CPBUtO2
ピーチ「…え?」

デイジー「…な、なんで?」

ロゼッタ「…………嘘、ですよね?」





第3コース参戦レーサー
クッパ
ワリオ
ベビィマリオ
ワルイージ
ルイージ
ファンキーコング
キノピオ
ほねクッパ
ピーチ
キングテレサ
ベビィデイジー
+ロゼッタで12人

92Mii:2018/09/23(日) 20:07:59 ID:0CPBUtO2
クッパ「ああ、ワガハイとほね野郎が同時存在していることか。
     あれはパラレル的存在だから気にしなくてもよいぞ」

デイジー「違うわよ、バーカ。とうとう私が圏外になっちゃったことについてみんな驚いてるのよ。
      ほんと、酷い話よね!こうなったらベビィデイジーを全力で応援しようっと!」

ピーチ「違うわよアホンダラ!私もロゼッタも、

    マリオが、マリオが一気に圏外に追いやられたことがショックなのよ!」

デイジー「え?…あ、ほんとだ!?嘘でしょ!?さっきは1位だって取ったのに!」



クッパ「……なんだ、そのことか。ワリオのほくそ笑みを見て、なんとなくではあるが予想は付くぞ」

ピーチ「な、なんですって?」

93Mii:2018/09/23(日) 20:10:18 ID:0CPBUtO2
マリオ「…もう一度、言ってもらえるか?耳がおかしくなったみたいだ」

運営「ですからね。申し訳ありませんが次の2コース、大会規約により、
    あなたの参戦不可を通知させてもらいたいんですよ」

マリオ「ちょ、ちょっと待ってくれ!さっきのコース、俺が利他行為をいつ誰に働いたというんだ!」

運営「誰に、というのは先ほど11位で走り終えたロゼッタ選手ですよ」

マリオ「…正気か?1週目早々に追い抜かしてから、近くを走ったことは一切ないんだぞ。
    言い掛かりも甚だしい。話にならないな」

運営「…そうですね。1コース目のテコ入れは薄々気付いていましたが、まあ流しました。
   そして、2コース目はまったく気付きませんでした。…ワリオ選手に指摘されるまでは」

マリオ「……ワリオ、だと!?どういう、ことだ」

94Mii:2018/09/23(日) 20:13:17 ID:0CPBUtO2
運営「ワリオ選手が言ったんですよ。

    『アイツの走り方、なんか不自然なんすけどー。以前このコースを走ってた時と比べて、妙にフラフラしてるし、
     アイテム交換もなんか雑だし、珍しく後方への甲羅投擲が多い気がするんすよ』って」

マリオ(なん…だと…!?)

運営「ビデオ検証しても、最初は全く何もわかりませんでした。言い掛かりじゃないかと思ったくらいでしたけどね。
    何十回と繰り返しスロー再生しているうちに、驚くべきことがわかりました。


    マリオ選手。あなた、アイテムを設置しようとしたレーサーを、ロゼッタ選手のライン取りの外に誘導していますね」

マリオ「……」

運営「アイテム設置に絶好のポイントを前方あるいは後方のレーサーが通過しようとするたびに、
    超ピンポイントで攻撃を仕掛ける。前方への攻撃は自分が食らわないよう相殺する目的とも取りたくなりますが、
    常日頃のマリオ選手なら難なく直前で回避できるものばかりです。後続への攻撃は猶更。
    少なくとも、反撃を考慮しないでやっていい攻撃じゃないですよ。


    結局、狙われた選手は設置物を相殺されるか慌てて避難行動を取るしかない。
    そして、そういったポイントをロゼッタ選手のライン取りに対してプロットしたところ、
    適合率は驚異の98%でした。どうですか、行為を認めますか?」

95Mii:2018/09/23(日) 20:15:52 ID:0CPBUtO2
マリオ「……ハァ。こりゃまいったね、降参だよ。煮るなり焼くなり好きにしてくれ」

運営「あ、やけにあっさりですね」

マリオ「まさかそこまでワリオに見抜かれていたとは…いや、ロゼッタを孤立させること目的で
     駄目元で告発してみた線もあるか。所詮、一度走りを眺めただけでトレースするのは無謀だったようだな」

運営「あー、一度彼女の走りを視ただけでトレースしてのけたと。驚きを通り越して呆れますね」

マリオ「…で、俺の処分は?」

運営「ですから、次の2戦の参加不可、それ以上でもそれ以下でもありません」

マリオ「…え、それでいいのか?俺が言うのもなんだが…軽すぎやしないか?」

運営「まー、今後も繰り返されるようならその時は考えますが…
    我々もお気持ちは分かりますからね。彼女をひとり巣窟に放り込むのは気が気じゃないでしょう。
    お互い穏便に、ということで。では、もう戻って頂いても構いません。

    投票結果は2戦分、細工させてもらいますけどね」

マリオ「…りょーかい」

96Mii:2018/09/23(日) 20:17:33 ID:0CPBUtO2
マリオ「…というわけで、残り2戦は助太刀できなくなった、すまん」

デイジー「…奥の手ってそういうことかぁ。でもほんと、どうすんのよ?
      なんだか…嫌な予感がするんだけど」

ロゼッタ「…………大丈夫ですよ、少なくとも走り切るだけなら」

ピーチ(…なんだかロゼッタ、意気消沈してない?)

マリオ(余計なお節介、しちまったか…自分の力だけで走り切ったと一応満足したつもりが、
     結局は助けられていたっていう体たらくを突き付けられたからな)

ピーチ(あ、そうか。…この話、ロゼッタの前でしたのは失敗だったわね)

97Mii:2018/09/23(日) 20:19:52 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ(…酷く、自分が滑稽でした。己惚れも甚だしい)

ロゼッタ(そんな曇りがかった心地で…第3コースを、迎えるのでした)

ロゼッタ(そして、そんなときに…ワリオが、おもむろに近づいてきたのです)



ワリオ「へえぇ、次はマリオもデイジーも出ないのか。
     お守りもなしに、アンタ大丈夫かねえ、グヘヘヘ」

ロゼッタ(なんて白々しい…)キッ

ワリオ「なんて白々しい、って言いたそうな目だな。だが言っとくが、今回に限れば悪いのはあいつらだぜ?
     そこんとこ…間違えるなよ?」

ロゼッタ(そう、なのかもしれません。でも…納得はしたくありません)

ワリオ「まあ、そんなことはどうでもいーや。ちょいと聞きたいんだが、

     

     次のコース、どこを指名するつもりだ?」


ロゼッタ「え?」

98Mii:2018/09/23(日) 20:22:09 ID:0CPBUtO2
ワリオ「俺はよ、マリオカート64で初参戦したとき、ルイージサーキットやノコノコビーチは一切眼中になかった。
     しょっぱなからクッパキャッスルだのヒュードロ池だの、難コースを選んだもんだ。
     起伏も障害物もなーんもないコースなんて、面白くねーだろ?」

ロゼッタ「そ、それは人の勝手というものでは、ないですか?貴方の考えを否定する気はありませんし、
      貴方に私の考えを否定される気もありません」

ワリオ「…ほんと、ツマンネ―奴だな。じゃあ次はモーモーカントリーか?ヘイホービーチか?
     それともヨッシーフォールズで外周だけ走ると決め込んでるのか?」

ロゼッタ(……悔しいくらい的確に、候補を当てられてしまいました)

ワリオ「うーわー、図星かよ。心底がっかりだわ…。
     そりゃ初参戦で簡単なコースを主体に選ぶのはよくあることだがよぉ、
     全部が全部そればっかりってのはねーわ。お前さんよぉ、もう走る価値ねぇわ。
     これ以上大会を汚すようなら、とっとと帰ってくんねーかなあ?」ニヤニヤ

ロゼッタ「…………!!」



その言葉は、酷く私に、突き刺さったのです。

99Mii:2018/09/23(日) 20:24:46 ID:0CPBUtO2
ワリオ「…おっと、まあ俺の勝手な独り言だけどな、失敬失敬。
    そんじゃ、楽しみにしてるぜえ」ヒラヒラ

ロゼッタ「…………」



シグナルジュゲム
「さて!まさかのマリオ選手の一回休みという波乱がありましたが…気を取り直してまいりましょう!
さあ、ロゼッタ選手!――第3コースの指名を、お願いします!」



ロゼッタ「……………………キノコキャニオンで、お願いしますっ!」



ピーチ「えっ!?」

デイジー「ちょ!?」

マリオ(……ワリオの奴が、何か仕掛けやがったな…?いくらジャンプ訓練に走ったことがあるとはいえ、
    走り込んだわけじゃさらさらない!危険すぎるぞ!)



ワリオ(ニヤリ)

100Mii:2018/09/23(日) 20:28:07 ID:0CPBUtO2
シグナルジュゲム
「さあ、気を取り直しまして、第3コースはキノコキャニオン!
ここで一転して、起伏のあるジャンピングコースとなりました!
どんな戦いが繰り広げられるのか私も楽しみです!

それでは――第3コース、スタートォ!」



ロゼッタ(勢いで選んでしまいましたが…こうなっては、もう走り切るだけです。
      ああ、それと。ロケットスタート、やってみます)ジーッ



――ピィーッ、ピィーッ、ピィーッ、パアァーン!!

101Mii:2018/09/23(日) 20:29:49 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ(やりました!我ながら中々のタイミング把握、成功です!!)ビューン!

ロゼッタ(し、しかし結構なGが掛かりますね……っ!?



      目の前のワリオが…スタートして、ない!?
      よけないと…ま、間に合いませんっ!?)



ドゴンッ!!



ワリオ「うおっ、ビックリさせんなよコノヤロウ(無傷)」クルッ

ロゼッタ(顔面をハンドルに強かに打ち付けて悶絶中)

ワリオ「うわ、怒りも失せる間抜けっぷり。まあ、頑張れや」ブロロロロ

ロゼッタ(痛い……ワリオに、文句を言いたいですがぁ…!
      碌に制御もできないまま前方確認もせずダッシュを仕掛けた私が確かに一番問題です、ねぇ…!
      ひどく心配そうに、ピーチ姫が横を、通り過ぎていきました…)

102Mii:2018/09/23(日) 20:32:31 ID:0CPBUtO2
ブロロロロ…
ロゼッタ(ようやく走り出せましたが…よく考えると、なぜ、ワリオは初動が遅かったのでしょう?
      …ま、まさか最初から私の行動を読んでいて罠に嵌めるために!?
      だとしたらやっぱり、酷い話です…!こ、今後もマリオやデイジーがいないことを幸いに、
      罠を仕掛けられるのでしょうか…?)ビクビク

ピーチ(…なーんか、迷いがあるっぽいわね。あんまり考えあぐねていると命取りになるわよ、しっかりしなさい!)

103Mii:2018/09/23(日) 20:35:06 ID:0CPBUtO2
ドンキーコング「お、トリプルバナナ。俺のキャラには合ってるが、狭い道がないこのコースだと
          それほど旨みがないな。防御に使うのもいいが…アイテム交換率上げるために、
          ジャンプ台手前にテキトーにばら撒いとくウホ」



トン、トン、トン



ドンキーコング「…あちゃ、バカみたいに一直線に設置しちまった。誰が引っかかるんだよこんなバナナ…
          これならまだ、ジャンプ着地点に仕掛けといた方がよかったぜ…もっと精進せにゃ」ブロロロロ


ロゼッタ「あ、あからさまなバナナがあります。踏むと間違いなく即落下コース、避けなきゃ、絶対に避けなきゃ…!
      ドリフトをうまく利用して…」グググッ


グイイイィィ!

ロゼッタ(逆 ハ ン ド ル!?)



ロゼッタ「きゃあああああ!!」バナナフミー

フィッシングジュゲム(以下ジュゲム)「お、今回のレース初仕事か」

104Mii:2018/09/23(日) 20:39:12 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ(…だいぶ、他の人たちと離されてしまいました。連続の加速アイテムに頼るしかありませんね…
      ただ、ピーチ姫にも
      
      『キノコ足場の連続地帯で加速するのは相当のドライビングテクニックがないと自殺行為よ!』
      
      と釘を刺されましたし…それ以外の平坦と言えなくもない地形で、できるだけ使っていくしかなさそうです)



ピロロロロロロ…パン!



ロゼッタ(あ…キラーです!これならば話は別、早速使っていきましょう!)


ゴオオオオオォォォォォ!
ロゼッタ(…なんだか、変な感覚、です。自分ではあまり制御できませんが、
      しっかりとコースに沿って颯爽と前進していく。キラーの殻に包まれていますが、
      周囲の状況が頭で分かる。ああ、星船に近いものがあるかもしれませんね)

105Mii:2018/09/23(日) 20:41:55 ID:0CPBUtO2
キノピオ「うわぁ、キラーが追いかけてきました!ロゼッタさんですね!
      吹っ飛ばされるわけにはいかない…使いますっ!」

ロゼッタ(…前方のキノピオがスターを使用。勢いそのままぶつかりましたが、
      お互い少し弾かれるだけで、キラーとなった私が吹っ飛ばされることはありませんでした。
      よし、きょだいキノコと違って、今度こそは身の安全は保証されていそうですね!

      かなりの距離があったはずですが、12位から11位に上がれました!
      ちっぽけな差かもしれませんが、ここから先はそれほど前との距離はありません!
      ビリにならないよう、少しでも追い抜いておきたいとこr)



キラー「あ、すまん、11位に追い付いた時点で距離有りすぎや。時間切れ」ポンッ



ロゼッタ「――ジャンプ台直前で放り出さないでほしいんですけれどもっ!!
      ば、バランスがっ!?」フラッ

106Mii:2018/09/23(日) 20:43:57 ID:0CPBUtO2
キノピオ「あっ」スター使用中

ロゼッタ(キノピオがスターで近づいてくる!…あ、でもピーチ姫に攻撃を躊躇する
      ジェントルマンなキノピオなら、同じくお姫様の私は見逃してもらえるかm)

キノピオ「そりゃ」

シグナルジュゲム
「キノピオくんの強引なタックル!ロゼッタくん…じゃなかったロゼッタ選手、吹っ飛ばされた―!」

ロゼッタ「なんでですかーっ!?(ギャラクシーでも親切にさせていただきましたよねー!?)」ドッカーン

キノピオ「忠誠を誓ってるのはピーチ姫だけですし。お、都合よく谷底に落ちていきましたね♪」




デイジー「あとでキノピオシメる(観戦中)」パキポキ

マリオ「待て待て俺がやる(観戦中)」ゴゴゴゴ

107Mii:2018/09/23(日) 20:48:25 ID:0CPBUtO2
ジュゲム「大丈夫っすか?」

ロゼッタ「グズッ…満身創痍、です、が。走り切って、見せますよ」ボロッ




そのとき、ロゼッタに、電流走る――!




ロゼッタ「かはっ」ゴボッ

ジュゲム(あ、復帰直後にサンダー落ちた)

ロゼッタ「…これは、ちょっと、ほんかく、てきに、まずい、かも…」ボタボタ

108Mii:2018/09/23(日) 20:50:20 ID:0CPBUtO2
シグナルジュゲム
「おーっと!現在8位で走るルイージ選手、アイテムルーレット停止早々!
やや勇み足でサンダーを使用しましたっ!たまらず他の選手、アイテムをドロップ!
しかし致命傷にはなっていない!平坦なエリアで攻撃を貰ったことで影響を最小限に抑えられたか!
しかしトップ集団でキノコ連続地帯に差し掛かるクッパ選手、ファンキーコング選手、ワリオ選手は流石に…



おおおおっ!?ワリオ選手、なんということだ!
サンダー、あるいはトゲゾーを見越しての作戦か、この順位までスターを温存していたぁ!
やや賭けであったかもしれませんが、今回ばかりは使用タイミングの采配、大成功といったところでしょう!
クッパ選手とファンキーコング選手がモロに大減速するのを尻目に、サンダーの影響を一切スルーし、
単独1位に躍り出たあ!」

ファンキーコング「チックショー、追いつけねえぞ!」

クッパ「くっ、おまけに落下を防ごうと思わずブレーキを掛けてしまうとは…!」

109Mii:2018/09/23(日) 20:53:03 ID:0CPBUtO2
ワリオ「へんっ!驚くのは――まだ早いってもんだぜぇ!」ドンッ!

シグナルジュゲム
「こ、これはー!?ワリオ選手、1位にとって入手確率の低いダッシュキノコを見事獲得、これは僥倖!
キノコ地帯を越えた先のゴール手前で、迂回すべき谷を絶妙な角度から飛び越えるファインプレイ!
このショートカットにより、ラスト1週にして更に大きなアドバンテージ!」

ファンキーコング「調子に…乗ってんじゃ、ねえ!」シュバッ

シグナルジュゲム
「ファンキーコング選手、改めて手にした赤甲羅を、無防備状態となったワリオ選手目指して投げる!」

ワリオ「あらよっと!」ギュン!

シグナルジュゲム
「なんとワリオ選手!赤甲羅の行動をバッチリ読めていたか!
一見すると不可解なドリフトを効かせながら、通り過ぎた、設置されていたバナナを見事盾にしてのけました!
衝突直前に超近距離のバナナの陰に隠れるならともかく、10メートル以上も後方のバナナを
視えないレール上に『仕掛ける』という芸当、これはうまい!

今回だけでなく、ワリオ選手のあるときは優美な、あるときは狡猾なアイテム活用・逆用法は
観客の皆さんもご存知のことでしょう!惜しみない拍手が送られています!」

110Mii:2018/09/23(日) 20:56:14 ID:0CPBUtO2
マリオ「ロゼッタの奴、コンディションが最悪に近くなっているのか…走りがフラフラだな。……こ、これは」

デイジー「ね、ねえ、マリオ。これ、もしかすると…」



1st WARIO 3 / 3 LAP LAST SPART !
12th Rosalina 2 / 3 LAP



デイジー「ロゼッタ、ワリオがゴールする時点で周回遅れにされちゃったりしない!?
      というか、前半エリアでモタモタしてるし、その可能性かなり高いわよ!?
      ワリオ、独走状態だし!ど、どうしよう!?」

マリオ「…ま、まさかぁ。は、ははは」

111Mii:2018/09/23(日) 20:59:09 ID:0CPBUtO2
ワリオ「よしよし、このコースは貰ったも同然だな…お、赤甲羅か。
     1位にしちゃ珍しいアイテムばっか引くな、できればトリプルバナナがいーんだけど。
     だがアイテム交換して防御アイテム掴み損ねたら嫌だし保持しとくか…

     ん?あれ、まさか…ロゼッタ、か?マジかよ、超おっせーな。
     ……うっし、会場を盛り上げるためにも、目標を『周回遅れの選手を作る』にランクアップさせてやるか。


     …そうと決まれば、この甲羅くんの使いどころも、ちと変わってくるってもんだな」グフフ

112Mii:2018/09/23(日) 21:01:36 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ(体が、鉛のように重い。そして、意識を失いそうになるくらい、あちこち痛い。
      …しか、し。走り切って、みせますよ。既に、観客には、呆れ笑われているかも、しれませんが。
      レースを途中で棄権して、失望されることだけは、されたくない。
      
      私にも、多少なりとも誇りというものが、きっとある)

ブロロロロ・・・

ロゼッタ(マリオが教えてくれました。
     障害物が排除されているからこそ、私は走って来られたのだと。
     そして、障害物が一たび現れれば、酷く弱みを曝け出すのだと。
     …私に、状況を見て臨機応変にライン取りを選択する技量はまだまだない。
     とにかく今は、気付き次第先手先手で避けておくしかない!)


―ヒュー


ロゼッタ(幸い、断トツの最下位なら後ろは気にしなくていい、だから…)

113Mii:2018/09/23(日) 21:06:04 ID:0CPBUtO2
――ヒュー

ロゼッタ(…え?なんの、音?)クルッ

ロゼッタ(!?)



赤甲羅「ヒュゴオオオォォォ!!」



ロゼッタ「!?…な、なんで?どうして!?」

114Mii:2018/09/23(日) 21:07:33 ID:0CPBUtO2
〜ピーチの解説〜
皆、知ってる?
赤甲羅はね、前方に撃たれてから1秒にもならないくらいのタイムラグを経てから、
ターゲットをロックオンして追尾をし出すの。

1位に肉薄している2位の人が撃ったり、1位の人が撃ったりして
追尾をしようとした頃に前方のレーサーを索敵できなかった赤甲羅はね、
目標を見失って闇雲に走り去ってしまうのよね。

トゲゾーなら1位が撃った場合でも問答無用で引き返してきて自爆するのに。


この時の軌道は、本当に追尾スタイルではなく、コース中央を走るだけ。
1周もしないうちにどこかに消えるといわれているわ。


ただし、その間も当たり判定はしっかりあるから、設置物と互いに相殺し合ったり
――長い旅路を経て下位グループの誰かにとばっちりで当たったり、するのよね。

繰り返すけど、追尾はしないから、コースの端に寄ってしまえば避けられることは
避けられるんだけど…当然、ロゼッタは知る由もなかったのよね。

115Mii:2018/09/23(日) 21:10:33 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ(私の順位は、12位。これは間違いありません。赤甲羅が、追いかけてくるはずが、ない。

     げ、幻覚ですか!?なにが、なにや、ら…どうすれば!右、それとも左に!?)


――ドッカーン!!


ロゼッタ「…………っ!」ドサッ

ロゼッタ(……後ろから、誰か…ワリオ!?ああ……そういう、ことです、か。
     間抜けな私にもようやく呑み込めましたよ。どうやったのかは存じませんが、
     追尾しない赤甲羅を面白半分に当てられたのですね。なんて、酷い。


     そして…ワリオから見て、もはや私のカートは目と鼻の先。


     周回遅れに、される?


    それだけは、何としても、避けなければっ!)

116Mii:2018/09/23(日) 21:12:39 ID:0CPBUtO2
シグナルジュゲム
「ロゼッタ選手、流血具合から明らかにコンディションが悪いと思われますが、
なんとか持ちこたえて走り出しております!流石に周回遅れは御免被りたいという気持ちが強いか!
…しかし非情にも、ワリオ選手がどんどん差を詰めております!」


観客「オォイ!もっと真面目に走れよ、新人だからって何でも許されるわけじゃねえぞ!」

観客「そもそもそんなことくらいで怪我してるんじゃないわよ!」

観客「帰れー、帰れ!!」

ロゼッタ「…っ!」グサッ



デイジー「マリオ、止めないで!私、アイツラとちょっと拳で話を付けてくるだけだから!」ジタバタ

マリオ「気持ちは痛いほど分かるが我慢しろ!オーディエンスにとって、いまや怪我なんてしないのが
     常識になっちまってるだけなんだ!それでロゼッタが異常に虚弱だと錯覚しちまってるだけなんだ!
     誰も悪くない!」ガシッ

デイジー「はーなーせー!!」

117Mii:2018/09/23(日) 21:15:19 ID:0CPBUtO2
ワリオ(あーあー、雰囲気まで敵に回した絶望感で、俯いたまま走り出しちまったよ。
    視野広く持っとかねーと、思わぬアクシデントに見舞われるぜ?
   
    ――こんな風に、な!!)

シグナルジュゲム
「ワリオ選手、最後のキノコ地帯でとうとう…ロゼッタ選手を完全に捉えた!
ロゼッタ選手、ジャンプアクションが出せません!ライン取り自体がややふらついていたこともあり、
――とうとう横に並ぶに至ったぁ!

そして、なんと…跳ねて空中にいる間に、そのままカートを激しく接触させました!」

ワリオ「へへっ、重量級同士といえど、ここまで勢いに差がありゃ…」ガツン!



ロゼッタ「きゃああ!!」フラァ

ワリオ「…マジで?当たり負けが甚だしいなオイ」



シグナルジュゲム
「これはロゼッタ選手、どうしようもありません!
重心が安定していなかったところを大きく吹き飛ばされコースアウトだ!
必死の形相のロゼッタ選手、むしろカートから振り落とされないようにするので精一杯といったところか!
そして、ワリオ選手が颯爽とゴールに向かって行く!」

118Mii:2018/09/23(日) 21:17:11 ID:0CPBUtO2
――周回遅れに、されて、しまった。

ベテランと超初心者の差と言ってしまえばそれまでですが、
言いようのない無力感、絶望感に苛まれます。
滲み出てくる涙をゴシゴシと袖で拭い……



ファンキーコング「まだ勝負は、終わって、ねえぜ!!」 ビュン!

シグナルジュゲム
「これは2位のファンキーコング選手、強運!トリプル赤甲羅を確保、
最後の切り札になり得るかー!」

ワリオ「!!」



視界が、警戒が、明らかに疎かになりました。

119Mii:2018/09/23(日) 21:18:54 ID:0CPBUtO2
顔を上げ前を向いた私に、待っていたものは――
距離にして5 cmにも満たないところに広がる、一面の緑。



「えっ」と面食らう暇すらなく、一体何なのか認識することもできず。
全てがスローモーションに感じた後……



何かが砕ける鈍い音、耐えがたい激痛、そして浮遊感。
それらと共に、私は意識を失うことになりました。

120Mii:2018/09/23(日) 21:22:28 ID:0CPBUtO2
シグナルジュゲム
「こ、これはアクシデント!周回遅れとなったロゼッタ選手、
ワリオ選手がウイニングショットで後方に放った強烈な勢いの緑甲羅に顔を打たれたぁ!!
体勢を崩し、カートからも振り落とされてしまいました!無人のカートが、無情にも勢いそのまま去っていく!


…ロゼッタ選手、ど、どうやら意識がありません!
横を他のレーサーが通り過ぎて行っても、ピクリとも動かない!
深刻な状況である模様です!


――えっ。……た、たった今、大会運営から通達がありました!
運営判断で、ロゼッタ選手はコース棄権扱い!直ちにコース外へ搬送し、応急処置を施すとのことです!
救命チームが担架を持って、ロゼッタ選手のもとへ向かいます!
観客の皆さん、ロゼッタ選手はすぐに元気になりますのでご安心ください!」

121Mii:2018/09/23(日) 21:24:50 ID:0CPBUtO2
マリオ「…なにっ!?もう一度言ってみろ!」

運営「で、ですから。まさか、こんな怪我人が出るなんて最近は全く想像してなかったので、
    1UPキノコのストックがないんですよ…」

デイジー「何よ、それ!私たちだって、持ち込み禁止になってるから泣く泣く持ってこなかったのよ!?
      あんたたち、責任取りなさいよ!」

運営「ひええええ」

ピーチ「…ここで言い合っていても仕方ないわ。マリオ、とりあえず会場外から速攻で1UPキノコを持ってきて。
     私たちは私たちで、代案がないか考えてみるから!」

マリオ「よしきた!」ダッ

デイジー「ロゼッタぁ、死んじゃいやだよぉー!ウワーン!」

チコ「うわーん!」

チコ「うわーん!」

チコ「うわーん!」

122Mii:2018/09/23(日) 21:26:24 ID:0CPBUtO2
ピーチ(どうする。どうする、私。おそらく猶予は数分もない……ハッ!)

ピーチ「ねえチコ、貴方たち、観客席で観戦してた時、ロゼッタから魔法の杖預かってたりしてない!?」

チコ「…グズッ、こ、これのこと…?」スッ

チコ「でも駄目だよ、確かにママは回復魔法くらいこの杖で使えるけど、
   相当な高等魔法だし、だいいち杖は使用者を選ぶし…!
   誰かに、代わりに、使ってもらえばいいってものじゃないんだ…!
   だいたい、杖を携帯していいなら、こんな怪我だって負うことなかったのにぃ…」

ピーチ「いいから  貸 し な さ い 」バッ

チコ「!?」

123Mii:2018/09/23(日) 21:28:48 ID:0CPBUtO2
ピーチ「杖無しでも、できるはずなんだけどね。
     使うのは、ほんと、久しぶりだから…補助の魔法具が欲しいのよ」

ピーチ(スゥー…)



ピーチ「『みんなげんきになあれ』!!!」

クッパ「懐かしっ!」



ロゼッタの杖「えー、マスター以外の言うことききたくn」




ピーチ FP:9999 魔法Lv. 85

ロゼッタの杖「喜んで従わさせて頂きますぅ!!」パアアア

124Mii:2018/09/23(日) 21:30:25 ID:0CPBUtO2
FP 9995/9999
ピーチ「よし、問題なく魔法発動!これで…!」




ロゼッタには こうかがないみたいだ…▼




ピーチ「え、そんな…馬鹿な!?」

クッパ「あ、今の状態が戦闘不能だからじゃないか?」

ピーチ「そ、そっか。それなら…

    『おねがいカムバック』!!!」パアアア

ロゼッタ「」ピカーッ

125Mii:2018/09/23(日) 21:31:52 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ「――っ!ハァッ、ハァッ!!あ、あれ?私…」

FP 9993/9999
ピーチ「やった、大成功!!苦労した甲斐があったわ!!」

クッパ「…苦労ってなんだろうな」

ピーチ「ロゼッタ、大丈夫?」

ロゼッタ「…そうです。たしか、ワリオに抜かされたと思ったら目の前に緑、甲羅、が…」ガクガクブルブル

126Mii:2018/09/23(日) 21:35:30 ID:0CPBUtO2
〜ピーチ談〜
体力的には回復したロゼッタでしたが、その後に待っていたのは信じられない光景でした。
壊れかけのロボットの如く、のろのろと震えながら顔に手をやり完治していることを理解してからも、

震えは一切止まらず、挙動もろくに定まらず。顔はゾッとするほど青白く。
ペタンと力なく座り込んで――ただ、泣く。ひたすら、泣く。

周りの私たちや、救護班が唖然とするのには一切お構いなしに、子供のように泣きじゃくる。
時に肩を抱えながら、時に顔を手で覆いながら、時に虚ろな目で天井を見つめながら。

あのときの最後の攻撃を食らったことで…辛うじて積み上げてきた意地が、意気込みが、
ポッキリ折れてしまったのでしょうか。

私は、ロゼッタを宥めることに最大限気を配った。
あと1戦、どんなノロノロ走行でもいいから走破してみなさい、と励ました。

127Mii:2018/09/23(日) 21:37:10 ID:0CPBUtO2
――なんて、愚かなことをしたのでしょう。


私が目にしたのは…
コース開始からハンドルを持つ手が震え続け、
あからさまな設置アイテムを避けきれず、

しまいには横を『通り過ぎた』緑甲羅を視界に収めてしまっただけで…
激しい動悸、発作を起こして走行不能となり、
観客の怒号が飛び交う中を救護班の肩を借りて弱々と会場を後にするロゼッタの姿だった。

128Mii:2018/09/23(日) 21:38:38 ID:0CPBUtO2
〜王国病院の一室〜

医師「ふうむ。とりあえず、もう外傷は全く見当たりませんな。……精神的にはかなり参っているようですが。
    何をするにも目が虚ろで、会話はおろか、碌に相槌すら打ってくれません」

デイジー「そう……」

マリオ「…どうする?俺たちが今すぐ見舞ったところで逆効果っぽいぞ?
    今はそっとしといてやろうってのが俺の意見なんだが」

ルイージ「しばらく面会拒絶状態にしてもらうってこと、兄さん?」

マリオ「ああ。ついでに俺たちも大反省会&対策会議、だな。ロゼッタを振り回しすぎた。
    後悔先に立たずではあるんだが」

129Mii:2018/09/23(日) 21:40:40 ID:0CPBUtO2
ピーチ「……一応、幸か不幸か、ロゼッタはしばらく登録抹消ということで話が付いたわ。
     観客にも『やめたいなら止めないよ』的な雰囲気が漂っていたから、
     利害の一致で丸く収まると思う。このまま、完全に選手登録を外す段取りに入るわ」

ルイージ「それはそれで、すごく寂しいなぁ…ピーチ姫はそれで納得してるの?」

ピーチ「…納得してるわけ、ないでしょう!!」バンッ!

マリオ「…だな」コクッ

ルイージ「ご、ごめん」

ピーチ「これ以上無理強いさせてたら、本当に精神を崩壊させてしまうから、仕方ないのよ!
     …でも結局、マリオカート初、途中棄権っていう汚点は嫌でも残る。
     ロゼッタに、取り返しのつかない重荷を背負わせ、ちゃった。
     私が、もっと、しっかり判断していれ、ば」ボロボロ

130Mii:2018/09/23(日) 21:42:37 ID:0CPBUtO2
医師「ま、まあまあ。彼女もそこまで、ヤワじゃないと信じていますよ。まあでも、そうですね。
    今日の所はお引き取り下さい。数日すれば、会話もできるようになるでしょう、きっと」

マリオ「だ、だがな……」

チョイチョイ
マリオ「…ん、どうしたんだピーチ」コソコソ

ピーチ「実はさっき、コッソリ扉の隙間から様子見てきたんだけど。
    
    『帰りたい!帰りたいの!!ほうき星の上にある わたしの家に帰りたいの!』とか
     涙でぐしゃぐしゃになった顔で叫んでたわ……」コソコソ

マリオ(……トラウマ再発しとる、これはヤヴァイ)ダラダラ

マリオ「みんな、撤収!」

ピーチ「…そうね、そうしましょう――」グスン

131Mii:2018/09/23(日) 21:44:37 ID:0CPBUtO2
――無機質な病室で。
――――電灯は付けず、ただあるのはわずかな窓明かり。
――――――そして、とあるインタビュー画面を映し出す、備え付けのテレビが1台。

視点すら覚束ない私の前で、映像は無情にも動き出す。



『いやあ、酷いもんですよ。まさか4コースごとき完走できないだなんて。
もう俺、ロゼッタ選手のファンやめます』

『特訓に特訓を重ねたらしいけれど、どんどんボロが出る感じだったのよねー』

『所詮、ピーチ姫やデイジー姫とは鍛え方がまるで違う、箱入りお嬢様だったんですよ。
ま、来るところを間違えたってことっすね』



ロゼッタ「…………」

――どうして、こうなってしまったのでしょうか。

132Mii:2018/09/23(日) 21:46:40 ID:0CPBUtO2
――私は、本当に、テレビを眺めているのでしょうか。
意識があるようで、思考が、意思が、行方不明。
絶望からの現実逃避?幼児退行?はたまた精神崩壊?

肉体は一応回復…したはずなのですが、今の私の体にはあちこち包帯が巻かれています。


世の中には、幻肢痛という症状があるそうです。
事故などが原因で腕や脚を切断しても、脳が部位を失ったことを追記できていないため、
存在しないはずの部位に痛みを感じるという、対処の難しい症状とのこと。


私の場合、どういうわけか、その逆の兆候が見られるという判断でした。
五体満足のはずなのに、各部位に激しい損傷を受けたことを恐怖と共に脳に焼き付けてしまったため、
処置されていない腕や体を見るだけで猛烈な嫌悪感と不安感に襲われパニックに陥る。


ガタガタ震えていたところに自分で巻くための包帯を持たされると発作が和らいだあたり、
その通りということなのでしょう。これについては、伝言ではありますが、
『1UPキノコ乱用し過ぎも明らかに原因の1つだ、本当にすまない』とマリオから謝罪されました。

133Mii:2018/09/23(日) 21:48:29 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ「…………」

――――今後、どうなるのでしょうか。

ロゼッタ「…ふ、もうわかり切ったことでしたね」

ピーチ姫が既に動いてくれているようです。反対する気などありません。
実力も努力も碌にない新参者は用なし、戦場を去るのみです。

そもそも、私などには無理だったのです。
チコたちも大層心配してくれています、私たちの家に帰りましょう。
自業自得の汚名を背負いながらも、分相応の生き方をすればよいのです。

色々と投げやりになりながらも、そんな自分を気にも留めない。
どうして苦しみながら視ていたのだろうと若干苛つきながら、テレビを消す。

134Mii:2018/09/23(日) 21:50:14 ID:0CPBUtO2
ふと横を見ると、お見舞いの品。きっとマリオたちでしょう。
色とりどりのフルーツが入った籠に、少しだけ気が紛れます。
さらに視線を横にスライドさせ…。



ロゼッタ「ああ、これは」

『ソレ』を、乱暴に掴み。

ロゼッタ「汚れてしまいましたし、要りませんね。新調しましょう」



ポイ、と杜撰に投げつける。


――親切に畳んでおいてくれたのでしょうが、
元の蒼い色など見る影もなくなり血で汚れた、私のドレス。



ロゼッタ(ごめん、なさい)



我ながら素晴らしい軌道を描いて――やや大きめのゴミ箱に収まって、

ポスン、と音を立てました。

135Mii:2018/09/23(日) 21:51:46 ID:0CPBUtO2
壁に掛かった時計をみれば、既に日付が変わろうとしています。
一刻も早く元気になって、皆さんに安心してもらわなければ。
そのためには、やはり、十分に寝るに越したことはないでしょう。

簡単に身を整え、ベッドに横たわり、眼を閉じて眠りに入ろうとした、その時。


コンコン。


ロゼッタ(……!?)ビクッ

不気味な、ノック音が響き渡りました。

136Mii:2018/09/23(日) 21:53:30 ID:0CPBUtO2
もちろん、回診に来るような時間でないことは知っています。

マリオたちも、こんな夜中に改めて見舞いに来るわけがありません。

かといって、一般の方が探し当てられる病室というわけでもありません。
ピーチ姫が手を尽くしてくれたらしく、VIP扱いとなっているようですから。


――では一体、誰が?


扉の方を凝視するばかりで、身を隠すどころか、ベッドから起き上がることもままなりません。
金縛りのように体が動かない中、心拍数だけが上がっていきます。

そして。こちらの返答も待たず、ガシャッと扉が乱暴に開けられたとき。
私は、自分の運命を正直呪いました。

面会拒絶の札だなんてなんのその。そこに立っていたのは。



「うおっ、なんでいなんでい!お休み中でも着替え中でもなく、普通に起きてるじゃねえか!
とっとと返事しろよバーカ」


私の精神にトドメを刺した張本人の…ワリオ、だったのです。

137Mii:2018/09/23(日) 21:55:26 ID:0CPBUtO2
なるほど、無礼千万のこの来訪も、ワリオということなら納得ですね。


――みたいなことを考える余裕など、私にはありませんでした。


頭が、胸が、体の節々が、たちまち不調を訴えます。
顔がこの上なく青白くなっていることさえ、自分でわかってしまいます。
距離を取ろうにも、改めてベッドに寝転ぶことしかできません。
それが、何になるのでしょうか?


――何を、されるのでしょうか。
この期に及んで、おぞましい乱暴でも、されるのでしょうか。


結局のところ、力のない私は。
「いっしょう、のおねがい、で、す。…これ以上、私を苦しめないで、ください…!」ボロボロ


震えて目を瞑りながら、全てを天に委ねて泣くことしかできなかったのです。

138Mii:2018/09/23(日) 21:56:29 ID:0CPBUtO2
しかし、それを聞いた彼は我関せずと、私の口に無理やり毒物を放り込み、
更には、あろうことか口を抑え息の根を止めようと…!


















ワリオ「ニンニクだ、食え」ガシッ

ロゼッタ「ぶふぅっ!?」ジタバタ

139Mii:2018/09/23(日) 21:58:22 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ「きゅ、急に何するんですか!…って、途轍もなく息が臭いんですけれども!
      もしかして、ニンニクをまるごと1個、生で食べてしまったのですか!?嫌ああ!」

ワリオ「おうおう、元気になっただろ、ガハハハハ!俺が丹精込めて栽培した特級品だからな!」

ロゼッタ「……そういえば、少し体が軽くなったような(別な意味で死に掛けましたが)」

ワリオ「そうだろうそうだろう。マリオの野郎は馬鹿だから、弱ったら1UPキノコさえ使っときゃいい、
     みたいな発想をしてるみたいだが、気力アップにはガツンと刺激的な物を摂取しなきゃな!
     俺なんか、どうにもやる気が出なかったらニンニクに限るっていう生活を長らく続けているぜ!」

ロゼッタ「…でも今の場合って、継続的な摂取による効能およびブラシーボ効果とか関係なく、
      臭いで強制的に覚醒しているだけですよね!?」

ワリオ「……そうというかもしれないし、そうでないかもしれない」

140Mii:2018/09/23(日) 22:01:31 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ「……あの。本当に、どうしてこんな時間に、来られたのですか?」

想定しない斜め上の驚きがあると、却って落ち着くとはこのことでしょうか。
すこし恐怖と緊張は解けましたが、この人の意図がよくわかりません。
――恐る恐る、聞いてみました。

ワリオ「いや、緑甲羅に運悪く当たって棄権したっていうんでな。
     流石に人として見舞わなきゃ駄目だろーと判断しただけだ、言わせんな」



――本来ならば。
頬を掻いて逸らし目で佇むワリオに対し、認識を改めて

『ああ、そうだったのですか。わざわざありがとうございます。
夜分の来訪とはいえ、失礼なことをしました』とでも言えばよかったのでしょうか。

しかし、私は聞き捨てならないワードを耳にしたことで、
怯えから一転、怒りが、激昂が沸き起こったのです。




――緑甲羅に、『運悪く』当たった?

141Mii:2018/09/23(日) 22:03:23 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ「何が――」

ワリオ「ん?」

ロゼッタ「何が、運悪く当たった、ですかっ!」

一度火が付くと、私の口は止まることを知りませんでした。

ロゼッタ「あのタイミングで、あなたの1位は確定だった!
     
      後ろに緑甲羅を投げつける理由なんて、何もなかった!
  
      偶然ではありません、必然です!

      ワリオ、あなたの嗜虐心のせいで、私は心身共に深い傷を負うことになったのですよっ!
      ピーチ姫やマリオ達がいなければ、今頃本当に命を落としていたかも知れなかった!
      私があなたに、何をしたというのですか!」



ボロボロと再び泣きながら、喚きたてる。

142Mii:2018/09/23(日) 22:04:39 ID:0CPBUtO2
――ところが、ワリオは、というと。大層冷え切った目をしながら。




「…あぁん?そう解釈してんの、お前?だったら、見舞いに来るこたぁなかったかな、おい」

などと、言ってのけるのでした。

143Mii:2018/09/23(日) 22:05:46 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ「そういう解釈って……他に、何があるっていうんですか!」


売り言葉に買い言葉。私が更に激しく怒りの言葉を口にすると、
ワリオは少し…10秒ほどでしたか、考え込んだ後…


ワリオ「……おいロゼッタ、今から話す事、二度としゃべらねえからよぉく聞いとけ」

ロゼッタ「……え?」





――改まって、驚くべき言葉を紡ぎ出しました。










ワリオ「俺は…マリオカートが大して上手くない」

144Mii:2018/09/23(日) 22:09:12 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ「――はい?優勝候補の一角であるあなたが?何の冗談でしょうか?」

そう睨みつけると、ため息を吐いてワリオは淡々と語り出しました。



ワリオ「新入りのお前には分からんだろうがな。たとえば、マリオは俺の事、どう評価してたよ?
     どうせ何か聞いてるだろ?」

ロゼッタ「…『荒い運転だがのらりくらりとこなす、アイテム使用のエキスパート』との評価でした」

ワリオ「わりかし的を得てるな、くそぅ。…俺は、細かいライン取り計画とか、
    運転制御とかがどうも好きになれなくてな。優勝候補の中では断トツに運転が雑だ」

ロゼッタ「そうなのですか!?」

それは初耳、です。ワリオの様子は酷くバツが悪そうで、嘘を付いているようには思えません。

145Mii:2018/09/23(日) 22:10:59 ID:0CPBUtO2
ワリオ「分かりやすいのが、あくまで1人で走り抜いてタイムを競う、タイムアタック走行だな。
    悔しいことに、重量級ながらマリオに勝てた試しが一度しかない。
    それくらい走りに無駄があるってことだ。唯一勝ってた『ワリオスタジアム』のタイムアタックも、
    ショートカットの影響がデカすぎるってことで二度とコース候補に挙がらない始末」

ロゼッタ「ワリオ、スタジアム?」

ワリオ「おう、マリオカート64で初参戦が決まった時、有り金はたいてすっげぇコースを自分で用意して見せたんだぜ。
    本来のコースはかなり長いが、スタート直後のスーパーショートカットで1周10秒を切れるっていうトンデモなコースだ。

    …ネタがバレて出禁コースになった」

ロゼッタ「」

146Mii:2018/09/23(日) 22:12:58 ID:0CPBUtO2
ワリオ「ま、それはおいといて。前に言った通り、初参戦の頃から難しいコースにも果敢に立ち向かった俺だが、
    まあ戦績は悲惨なもんだった。だが、正しい走りとやらを身に付けようとする気はやっぱりなく、
    それでいて何が何でも勝ちたかった。いい順位をキープしたかった。

    だから俺は――打開勢になることを決心した」

ロゼッタ「だかい、ぜい?」

ワリオ「もともとは『走行テクそっちのけで、アイテム運ばかりに頼って苦境を打開しようとするセコイ奴ら』って
     意味合いだな。評判は悪い方に傾きがちだ。そこで俺は考えた。



     アイテム運すら凌駕するだけのアイテム捌きができれば、あとは走行テクが並程度まであれば、
     優勝争いに食い込める上に観客の受けも決して悪くないだろう…ってな」

ロゼッタ「……!」

147Mii:2018/09/23(日) 22:17:22 ID:0CPBUtO2
ワリオ「他人を叩き落とすってのは、俺のモチベーション的にも相性抜群だったみたいでな。
     どんな周囲状況で誰がどのコースを通りそうか、どんなアイテムを好むか、
     たちまち頭に描けるようになった。

     それに、どの順位でどのアイテムがどのくらいの確率で出るかって情報も、
     試行錯誤の上頭の中に保管済みだ。すげえだろ?」フフン

ロゼッタ「は、はい」アゼン

148Mii:2018/09/23(日) 22:19:13 ID:0CPBUtO2
ワリオ「今回の緑甲羅の場合を分かりやすく説明してやる。

    俺はゴール直前、あと3秒もあればゴールできる。
    一方、位置関係から、2位のファンキーコングが最後のアイテムボックスに
    到達した可能性が高いこともわかる。

    そして、2位の選手は、低確率ながら、トリプル赤甲羅を引くことができる。
    実際、引き当てていたみたいだしな」

ロゼッタ「待ってください。その状況ならば、やはり1位確定ではないですか。
     1発目の赤甲羅すら、届く前にゴールできる。
     おまけに防御アイテム所持状態なら、2発目が来なければ食らわないのでは」

ワリオ「ロゼッタよう、お前、全体を考えろ。下位がサンダー撃ってくるかもしれねぇだろうが。
     サンダーで減速食らいながら防御アイテム手放したところに、
     ファンキーコングがサンダー食らう直前にぶん投げてた赤甲羅が飛んで来たらギリギリ間に合っちまう」

ロゼッタ「…あ」

149Mii:2018/09/23(日) 22:21:29 ID:0CPBUtO2
ワリオ「サンダー、そして間隔を空けて放たれた3つの赤甲羅。あとは、サンダー食らったファンキーコングのリカバリ、運転技能次第。
     これらが噛み合うと、俺の頭の計算では、超低確率ながらも逆転されちまうんだなこれが。
     もっと言うと、サンダー食らった瞬間に手放したアイテムってな。ごくまれに自分に当たり判定持って追加クラッシュしちまうんだよ。

     つまり、『サンダー+赤甲羅2発までなら確実に逆転されない』って確信が持てた段階で…」

ロゼッタ「……手持ちの緑甲羅は僅かながらリスクを孕むので、速やかに自分の意志で捨てておきたい。
      それも、前に投げるのではなく、万が一の赤甲羅を1個相殺できるならそれに越したことはない。

      ――緑甲羅を後ろに投げるのが…『最適解』!?」

ワリオ「おお、よくできましたー」パチパチ

ロゼッタ「そ、そこまで深い読みがあったなんて。……微妙に屁理屈っぽいですが」

ワリオ(ま、レース中に手酷く攻撃してきた奴が後ろを走ってたら、腹いせにワザと当てたりはするけどな。
     観客も喜ぶし。流石に周回遅れの初心者には意図的にやらねーわ)

150Mii:2018/09/23(日) 22:23:46 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ「…………」

ワリオ「で、どうするよ、お前」

ロゼッタ「……えっ?」

ワリオ「もうピーチが登録抹消に動いてるんだって?俺も賛成だわ。
    だが、勘違いするなよ。俺の場合、お前の体が心配とかいう話じゃない。
    無難に走ろう無難に走ろうという思いばかりで、
    ちっとも勝利欲がない奴は要らんというだけのことだ」

ロゼッタ「……」

ワリオ「逆に、どんなに下手な奴でも、死に物狂いで上位を目指そうとする奴がいたら俺は応援する。
    …まあ俺を追い抜かそうとしたら痛い目に遭わせるけどな」

ロゼッタ「上位を、目指す…」

151Mii:2018/09/23(日) 22:26:41 ID:0CPBUtO2
ワリオ「そうだな…例えば、俺が2コース目終了時にお前を焚き付けて、
     結果としてキノコキャニオンが選択されたじゃん?
    
     もしあの時、お前が
     
     『どれだけ挑発しようと、そんなこと知りませんよ。私、勝ちたいんで。
      地味で面白みがなかろうと、走り慣れたコースを選択させて頂きますよ』

     みたいなセリフを返していたら、むしろ評価を上げてたぜ」

ロゼッタ「……それは…ワリオらしい、ですね」フフ

ワリオ「さて、と。オレ的にも恥ずかしいし、内緒話はここまでだ。
    おそらく、マリオカートwiiシーズンで戦うことはもうないだろーな。
    そんでもって、オレが下しているお前の評価は最底辺だ。

    お前さんが気概を見せれば、次のシーズンはどうなるか分からんが。
    あんまり失望させてくれるなよー?んじゃ、バーイ」

ガチャッ。 バタン――。

152Mii:2018/09/23(日) 22:27:59 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ「…………」

ロゼッタ「……私は、どうすれば」





私は、悩む。いつまでも。
でも…不思議と、窓に映る満月のように、気は晴れやかになっていました。

153Mii:2018/09/23(日) 22:29:15 ID:0CPBUtO2
ピーチ「本当に、大丈夫なのね?」

ロゼッタ「はい。お見送りありがとうございます」


久しぶりに手に取る、魔法の杖。周囲にはたくさんのチコたち。
見送ってくれるのは、ピーチ姫たち。



マリオ「今回は、本当に済まなかった。きっと心の傷はそう簡単には癒えないだろうが…」

ロゼッタ「そうかも、しれません。でも、きっと大丈夫」

そう、きっと。



デイジー「ほんとに、ほんとぉ!?もう少し、入院しておいた方がいいんじゃないの?
      なんだったら、キノコ城で静養するとかでもいいのよ!」

ピーチ姫も頷いてくれますが、そこまで甘えるわけにもまいりません。

ルイージ「誰がなんと言おうと、僕はロゼッタのファンさ!
      悪く言う奴は、僕がチョチョイとぶっ飛ばしてやる!」ブンブン

マリオ「ルイージにできるかなぁ」

ルイージ「酷いよ兄さん!」プンスカ

154Mii:2018/09/23(日) 22:31:31 ID:0CPBUtO2
…と、そこに。

ロゼッタ「ひゃっ!?」

ワリオ「あ、悪い、手が滑った」

ピーチ「アンタは、もーーーーっ!!ちっとも懲りてないみたいね!」



突然現れたワリオ、しでかした行為に怒り心頭のピーチ姫。



ワリオ「ガッハッハ、ロゼッタ喜べ。俺も見送りにきてやったぞ。感謝しろぃ」

ピーチ「マリオ、この不届き物、フォーメーション4-2でぶちのめすわよ」バッ

マリオ「よしきた」バッ

ワリオ「な、なんかヤバめな雰囲気…?」タジッ

155Mii:2018/09/23(日) 22:33:13 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ「……あ、すいません。お二人とも、手を降ろして頂けないでしょうか」


――ちょっと、勇気を出してみます。


ピーチ「どうしてよ!?飽き足らず女性のヒップを触るような輩は消えてなくなればいいのよ!
     ロゼッタにトラウマまで植え付けておいて!!」

ロゼッタ「いえ、それには及びません」

ザッ。

ワリオの元に、ゆっくりと歩み寄る。

ワリオ「…なんだよ?」





ロゼッタ「私、絶対に、この戦場に帰ってきますから。
      そのとき、ぜひ勝負していただけますか?



      正々堂々と、『お返し』させていただきますので」

156Mii:2018/09/23(日) 22:35:31 ID:0CPBUtO2
一同(ポカーン)

ワリオ「……ハッハッハ、こりゃあいい!なかなかどうして、面白い奴じゃねぇか!
     いいぜ、その時は相手になってやるよ!」サッ

屈託ない笑みを浮かべ、握手のための手を差し伸べてくるワリオ。
彼も、決して悪人ではないのかもしれません。

ロゼッタ「はい、よろしくおねがい致し…」



グッ……ボキィっ!!!

ワリオ「あ」



ロゼッタ「」ダラダラ

ロゼッタ(うわぁい、手の甲の骨が折れたみたいです)

ロゼッタ「スーパーキノコでいいので1つくださぁい……」グズッ



前途多難ではありますが――頑張っていきたいと、思います。

157Mii:2018/09/23(日) 22:38:16 ID:0CPBUtO2
〜第2章〜




ロゼッタ、記憶喪失になる

158Mii:2018/09/23(日) 22:39:33 ID:0CPBUtO2
???「グハハハ…とうとう、この時がやってきたのだ――。

    さしものワガハイも、待ちわびていたところなのだ――!

    それでは皆の者、豪快で、恐ろしく、かつエレガントな進軍を期待しているぞ!
  
    かかれ!」



「「「「イエッサー!!!」」」」

159Mii:2018/09/23(日) 22:41:09 ID:0CPBUtO2
〜キノコ城〜

――マリオです。
ロゼッタ騒動の件から、やや時は過ぎ。
突然ルイージ、ヨッシーと共に、キノコ城にお呼ばれしました。
ヨッシーを呼ぶということは食べ物関連か?…安直か、流石に。


最奥の部屋に招かれてみれば、ドレス姿のままベッドにうつ伏せに寝転がり、
足をバタバタさせているお姫様が1人。

だらしない、ああだらしない、だらしない。


そして、腕をブンブン振り回しつつ、いきなりこんな爆弾発言をした。


ピーチ「野球大会に出るわよ!」

マリオ「そのセリフは色々とマズクナイ?」

160Mii:2018/09/23(日) 22:42:55 ID:0CPBUtO2
ルイージもヨッシーもポカーンとしてるじゃないか。というか、何故に野球?

ルイージ「どうして野球?」

ピーチ「だって!テニスもゴルフもバスケットボールも、おまけにバレーボールとかもやってきたけど、
     野球だけやってないんだもの!…あ、サッカーもだった!この2種をやらずして、
     スポーツ選手とは呼べないわ!」

ヨッシー「マリパのミニゲームとか」

ピーチ「あんなのノーカン!というわけで、野球場とサッカー場の建設を計画してるんだけど、
     耐久性バツグンのフィールド作成を業者に頼むとお金はともかく完成に何年もかかるのよ!



     というわけで私たちで造っちゃいましょう!」

マリオ「えっ」

ルイージ「ちょっ」

ヨッシー「わぁお」

161Mii:2018/09/23(日) 22:45:50 ID:0CPBUtO2
キノじい「先ほどから話を聞いていれば…姫様、いけませぬ!息抜きにマリオ殿たちと歓談されるくらいならともかく、
      長丁場工事に付きっ切りで公務を放置するなど以ての外でございますぞ!」

ピーチ「ふっふっふ、甘いわよキノじい。私がそんなヘマをすると思う?これを、見なさい!」バサッ

キノじい「…なんと!?」ペラッ ペラッ ペラッ

ピーチ「公務に縛りつかせようと、年単位のスケジュール表を先に渡したのが仇になったわね。

    この通り、数度の接見の場を除けば、向こう半年分のお仕事は処理済みなのよ!
    文句を言われる筋合いはないわ!このために一心不乱で頑張ったんだから!」ムフー

キノじい「それは物事の判断タイミング的に意味がないのでは…いえ、今回はじいの負けですな。
      好きになさってください、はぁ…」ガックリ

162Mii:2018/09/23(日) 22:48:29 ID:0CPBUtO2
マリオ「……まあ時間はあるし、別にいいけど。でも、せっかくなら、
     個人的にはちょっと行きたいところがあったんだがなぁ」

ピーチ「え?」

ルイージ「いやさ、久しぶりにロゼッタの様子を見に行かないかってことで、
      今回はヨッシーも交えて旅行計画練ってたんだけど。
      今日も、ピーチ姫を誘う話を持ち出そうとだね」

ピーチ「そういうことはまず私に話を通しなさいよ!着替えとかの準備してくるわ!」ダッ

マリオ(ズコーッ)

ルイージ「変わり身はやっ!」

ヨッシー「…お腹すいた」グゥゥ

163Mii:2018/09/23(日) 22:50:46 ID:0CPBUtO2
〜ほうき星〜

ロゼッタ(あれから、1年くらいになるでしょうか)

ロゼッタ(惑星との距離をものともしない通信網により、ときどきピーチ姫とのメールのやりとりは行えています。
      ありがたいことです。みなさん、お元気なようで。

      そして、嬉しいニュースが飛び込んできました。
      なんでも、3日後に皆さんが遊びにきてくださるそうで。
      本当に楽しみですね!

      そして、今私は何をしているかというと…)



ロゼッタ「ふんっ……ハァ、ハァ、腕立て伏せ、終わりました!」

ロゼッタ(絶賛、体力増強のため筋トレ中です)

164Mii:2018/09/23(日) 22:52:36 ID:0CPBUtO2
ピーチから勧められるがまま行っていますが、中々大変ですね。
しかし、レーサー復帰のためには努力はしなければなりません!
……いまいち、効果を実感できていないのがちょっと悲しいですが…)

ロゼッタ(それだけではありません。

     かつてワリオは、勝利のために思い切って自分のコースを作ってしまったそうです。
     凄い、ですよね。そこで、ちょっとアイデアをもらうことにしました。

     ほうき星のあちこちにある、広大な氷の地面、複雑な地形。
     これを使って、私だけのコースを作ってみたい、と思い立ったのです。
     とりあえず、『ロゼッタプラネット』という名前にしておきました。

     幸い、魔法の杖さえ使えば、コースを掘ったり整えたりするのはそれほど苦ではありません。何百年と似たようなことはやってきていますからね。



ロゼッタ(簡単すぎず、難しすぎず、そして私の個性が出るコースにできたらいいですね)


まだ外観すらできていませんが、少しずつ、少しずつ形にしていこうと思います。

165Mii:2018/09/23(日) 22:55:17 ID:0CPBUtO2
と、その時。

外にいたチコたちが、なにやら騒いでいます。
気になって、私も外に飛び出してみました。

どこからともなく、いつしか見たような軍艦が、のっそりと上空に現れました。

ロゼッタ「ほ、砲撃されているのですか!?大変です!」

そして。よく見ると、本当に見覚えのある飛行船。



ロゼッタ「……クッパ、シップ?一体どういうことですか!?」

166Mii:2018/09/23(日) 22:57:55 ID:0CPBUtO2
ガッシャーン!!

キノピオ「何事ですか!?」

ルイージ「破壊音、そして地響き!どうせこういうのは、アイツの仕業だよ!」

ヨッシー(出されたクッキー爆食い中)パクパク

クッパ「ガッハッハ、マリオにルイー…じゃなかった、緑のヒゲ!
泣く子も黙るクッパ様が来てやったぞ!」

ルイージ「なんでわざわざ言い直したのさ!」ウガー



ヨッシー「マリオさんのお菓子も食べていいですか?」

マリオ「しょうがないな。そのかわりよく味わって食べろよ?ピーチのことだから、
    場合によっちゃ家ひとつ建つくらいの超高級菓子が混ざってることもあるからな?」

ヨッシー「わーい!」

クッパ「…………」

167Mii:2018/09/23(日) 22:59:34 ID:0CPBUtO2
マリオ「あ、クッパじゃないか。というか、なんか体がデカくないか」

クッパ「(反応が)おそいぞ マリオ!」

マリオ「キノコ城並みの大きさじゃなかっただろ、そりゃ。今度は何をしでかしたんだ?
    きょだいキノコか?カメックパワーか?はたまたスターの杖とかの封印されていた神器アイテムか?」

クッパ「ワガハイもついにスターのパワーを身に付けた!!ガーッハッハッハッハ!」

ピーチ(クッパの左手の上に立ちすくんでいる)

キノピオ「姫様!」

キノじい「これ、クッパ!姫様を放すのじゃ!」

クッパ「ワガハイが素直に返すはずがなかろう!ピーチ姫は頂いていく!」

168Mii:2018/09/23(日) 23:01:58 ID:0CPBUtO2
ピーチ「……………………」

ピーチ「巨大化には巨大化よね」ニヤリ


ムクムクムク…!



クッパ「ピーチ姫にはワガハイのために…っ!?」


ズドーン!!


マリオ「…あ、ペパマリの『巨大スター』」

ドット巨大ピーチ「クッパ、よくもお城を壊してくれたわねー?」

クッパ「ふ、ふん!これでもまだ、ワガハイの方が数倍大きい!
     力負けするワガハイではないわ!」ブンッ




ドット巨大ピーチ「こっちは『無敵補正』あるんだけどー?」キンッ

クッパ「すんませんでした」

169Mii:2018/09/23(日) 23:05:46 ID:0CPBUtO2
ピーチ「まったくもう!なんなのよ、時間が押してるときに!」ガミガミ

クッパ「いや、あの…ピーチ姫攫って、ワガハイのために
     スーパーサイズの誕生日ケーキを焼いてもらおうと…ハイ…」ボロッ

ピーチ「…なんだ、そういうこと。ケーキくらい、言ってくれれば焼いてあげるわよ」

クッパ「マジでか!?」

ピーチ「た・だ・し!人件費はキノコ王国、というか私が全部持つとして、
    材料費や設備費は折半だからね!」

クッパ「お、おう。洗剤ケーキとかいう落ちはないよな!?」

ピーチ「いや、さすがに誕生日ケーキでそこまで性根腐ってないわよ…」

クッパ「いやっほう!それはよかったのだ!」

170Mii:2018/09/23(日) 23:07:24 ID:0CPBUtO2
マリオ「よかったじゃないか、クッパ。でも今後はキノコ城襲うような大ごとにするなよ?」

クッパ「うむ、そうだな。今後は気を付けるとしよう。
    侵略行為がちょいと無駄になってしまったが、致し方あるまい」

マリオ「……侵略行為?」クワッ

クッパ「…あ」

マリオ「詳しく、教えてもらおうか」

クッパ「えー、えーとだな。こんなにスムーズに交渉が終わるとは思っていなかったから、
    人質というか王国質というか、クッパ軍団に適当に侵攻を任せておいたのだ。うむ」

マリオ「……はああああああぁぁぁぁぁぁぁ」

ルイージ「面倒事が増えただけじゃないか…」

ピーチ「よしんばその人質作戦が成功してケーキを私に作らせたとして、
     後で私やマリオ達に制裁食らうだけじゃないの」

クッパ「うぐぅ」

171Mii:2018/09/23(日) 23:09:35 ID:0CPBUtO2
ピーチ「…それで?どこに侵攻したというの?」

クッパ「ぶっちゃけ、ワガハイも把握しとらん。
     『ピーチ姫が慌てる程度には素早く広範囲に動け』とは言ってあったが…
    ちょいと確認してみるのだ」



クッパ「それで、カメック。一体、どこを攻撃したのだ?」

カメック「…申し訳ありません。他の業務に多忙でして、
     ハンマーブロス軍に全権委任しておりまして…
     ちょっとテレパシーで確認取ってみます」ホワンホワン

クッパ「そ、そうか」




カメック「応答せよ、ハンマーブロス軍隊長、ブロタロウ。
     今、どこにいる?状況を伝えよ」

ブロタロウ「それがですねえ…」

172Mii:2018/09/23(日) 23:10:21 ID:0CPBUtO2

・・
・・・
〜作戦決行前〜
ハンマーブロス「おいどうするよ、こんな短期間で暴れ回るのって難しくないか?」

ハンマーブロス「そうだよな、でもクッパ様の誕生日ケーキはぜひ完成してほしいし…」

ブロタロウ「やはり、ターゲットが決まらないよなぁ。相手側に地の利があると、あまりにも侵略しにくい」

ハンマーブロス「…あ!いい事考えた!この際、時間稼ぎさえできればいいんだからさ!
        一度侵攻した所を再侵攻すればいろいろと楽じゃないか?」

ブロタロウ「!!お前、天才だな!よし、じゃあもう一回宇宙侵略してみっか!」

ハンマーブロス「「はーい」」

・・・
・・

ブロタロウ「というわけで、またギャラクシーを荒らしてます」

カメック「…だそうですが」

クッパ「」

173Mii:2018/09/23(日) 23:12:22 ID:0CPBUtO2
〜ほうき星〜

ハンマーブロス「というわけで、またパワースター奪わせて頂きました」シレッ

ロゼッタ「ええっ!?ちょっと、困りますよ!!なんて勝手なことをするのですか!!」

ハンマーブロス「まーまー。あ、そうだ。ロゼッタ姫、こちらにどうぞ」

ロゼッタ「え、え、ええ?何処へ連れて行こうというのですか!!誰か、助けて下さーい!!」

チコ「あわわわわ……大変なことになった、どうしよう…!!」

174Mii:2018/09/23(日) 23:14:11 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ「…………?」チョコン

ハンマーブロス「すいませんねー。今回の台本ですと、ロゼッタ姫にはここでマリオ達を出迎えて頂きたいんですよ。
          というわけで、マリオ達がやってくるまでに、ここの居心地をちょいと確かめてもらいたいなぁ、と」

ロゼッタ「はあ…?普通に出迎えてはいけないのですか?」

ハンマーブロス「『全部のパワースターを集めてくれてありがとう』とミッションコンプリートを宣言する支配人の役ですから。
           あ、もちろん、マリオ達に見つからない範囲でならこちらの特製ワープブロックでいつでも帰宅されて構いませんよ」

ロゼッタ(そんなまどろっこしいことをせず、普通に会いたいのですが…時間もすごく勿体ないですし、はぁ…)

175Mii:2018/09/23(日) 23:16:18 ID:0CPBUtO2
ブロタロウ「おーい!コースのスタート地点へのスターリングを設置しに行くぞ、早く持ってこーい!」

ハンマーブロス「すいません隊長、まだ休憩中なんであと5分だけ待ってくださーい!」

ブロタロウ「ならしかたない、しっかり休んどけー!」

ハンマーブロス「ありがとうございます隊長!…ふいぃ」



ロゼッタ「……なんだか、大変そうですね。私も手伝いましょうか?
      非力ですが、魔法なら結構自信があります」

176Mii:2018/09/23(日) 23:18:52 ID:0CPBUtO2
ハンマーブロス「いえいえ、我々のことはお気になさらず。
          ただ、間違っても、準備中のスターリングに触れないでくださいね」

ロゼッタ「スターリング…はて、どこかで見たような」

ハンマーブロス「飛翔物等『甲種』取扱者でないと、触れた瞬間に意思とは関係ナシに一方通行で大きく飛ばされてしまいますからね。
          おまけに今回のスターリングの行き先は…ブルル、考えただけで眩暈がする。本当に、絶対に触っちゃいけませんよ!」クルッ



ロゼッタ「あ、もしかしてこれのことですか?」ヒョイ



ハンマーブロス「」

シュルルルルルル……!!

ロゼッタ「心配なさらずとも、スターリングはチコの化身。これまでも何度か触れたことがありますが、
      星の力が宿った杖を持つ私には影響ありま…」チラッ

ロゼッタ「…あれ?」

177Mii:2018/09/23(日) 23:20:55 ID:0CPBUtO2





〜天文台〜
筋トレの際に机の上に置かれた杖「」ポツーン

178Mii:2018/09/23(日) 23:22:05 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ「きゃあああああああああああああ!!!」ドッカーーーーーン!!

ハンマーブロス「うわああああああああああ!?やべえええええええ!」

179Mii:2018/09/23(日) 23:24:35 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ「嫌あああああああああああああ!?
どこまで、飛ばされるんですかーーーーーーーーー!!?」


――ケーコク! ケーコク!

ロゼッタ(な、何?何の音?)

――ステージセンタク シタモノニ ツグ!
――キノコオウコクノ データベースニテ ユウコウナ ショウゴウデータ ナシ!
――シッコウシテイルカ ミトウロク!
――『ザンキシンセイ』ガ カクニン デキマセン!

――セイトウナ チョウセンシャデハ ナイモノト ハンダンシマス!
――『ザンキセイド』ガ テキヨウ サレマセンノデ ゴリョウショウ クダサイ!

ロゼッタ(い、一体全体どういうことなのか…ザンキシンセイってなんですか!?…って、
      そう言っているうちに、みるみる地面が近付いてくるっ!?)


ドッシャーン!!!!!

ロゼッタ「」ベチィッ


〜チャンピオンシップギャラクシー〜
マスター オブ ギャラクシー

Wecome to the Galaxy!

180Mii:2018/09/23(日) 23:27:18 ID:0CPBUtO2
ロゼッタ「……ゴホッ、ゴホッ!!……結局こちらでも吐血沙汰ですか…!?」

ロゼッタ「……ゼェ、ゼェ…それで、一体ここは?」






ヒュウウウウウウゥゥゥ……
ロゼッタ「……なに、ここ」





ロゼッタ(狭い、狭すぎる足場。下を覗くと、地面すら確認できない眩暈のする高さ。
      思わず仰け反ってしまいました。

      ……私にも流石にわかります。落ちると…死ぬんだと。杖がなくては、浮遊することもできません。


ロゼッタ「どどどどうやら、難関コースの入口に来てしまったようで、すね。対策をかかか考えなければ。
      …あら?藁が敷かれてありますよ?なんでしょう?」


風吹く浮遊島の上を、足をガクガク震わせながら這って移動してみます。
その先にあったものは。

181Mii:2018/09/23(日) 23:29:39 ID:0CPBUtO2
カンペ「ここにヨッシーを待機させ、舌を使ったアクションで先に進ませるように。
 
    流石の超人マリオもヨッシー無しではこのセクションは死ぬしかないから仕方ない。

    逆にヨッシーがいると楽勝とか言われそうだがなアッハッハ!
                                                ブロタロウ」



ロゼッタ「…………………………………………………………………………………………
      ………………………ヨッシーさん、いないんです、が」ガクガクブルブル

182Mii:2018/09/23(日) 23:34:04 ID:0CPBUtO2
そして、今頃になって、先ほど聞こえた天の声(?)の重要性を察知する。


冷や汗が止まらない。確認したくない。認めてしまいたくない。


勘違いであってくれと願いながら、俯いた状態から、少しずつ、少しずつ、上を見上げる。





なぜ見えるのかは、さっぱりわかりませんが。その数字が、ハッキリと脳裏に焼き付き。


これは嘘の情報ではない、と頭が理解してしまい、私はたちまち放心しました。






Rosalina ×1
LIFE 1 キケン!!!


ロゼッタ(ママ。…本当に、終わってしまったかも、しれません)

183Mii:2018/09/29(土) 19:18:06 ID:qcpS.xR6
〜クッパシップ本艦〜

クッパ「ガハハ、どうだ速いだろう!ワガハイの最新鋭の軍艦ならば、こんなチンケな距離など1日で跨ぐのだ!
    お前らの旅行計画を2日も短縮してやるぞ!特別に乗せてやったことに感謝するのだ!」

ピーチ「はいはい、ありがとうね。でも着いたら真っ先にロゼッタ達に謝って、問題が起きてたら回復に努めるのよ?
     それまではケーキの話もなしだからね。パワースター集め直しは…
     さすがにあなたの誕生日まで間に合わないだろうし、深刻な問題になってない限り猶予してあげるから」

184Mii:2018/09/29(土) 19:19:57 ID:qcpS.xR6
クッパ「なーに、それならば楽勝なのだ!誕生日まで2週間も余裕はある!」

マリオ「それにしてもルイージ、よくビビらず戦艦に乗り込めたな?」

ルイージ「なんだか、躊躇してもクレーンで強制回収される未来が見えたんだもん…」

ヨッシー「ペロッ。この砲台は……っ!食べられる。

     ペロッ。この設備は……っ!食べられないことはないけど、まずい。

     ペロッ。この食事は……っ!青酸カリが入ってるけど、美味!いただきまーす!」

クッパ「待てい、特に最後、いやホントに」

185Mii:2018/09/29(土) 19:23:14 ID:qcpS.xR6
クッパ「…原因が分かったのだ。懐かしのゲドンコ星人の残党が現代に潜んでいて
    無差別テロを仕掛けていたのだ。とりあえず毒キノコの姿焼きの刑に処しておいたのだ」

ルイージ「そ、それって大丈夫なの!?」

クッパ「まあワガハイたちと奴らとでは、もはやレベル差甚だしいし大丈夫だろ。
    だからこその陰湿な作戦なのだろうが…

    まあ酸の沼に落ち慣れているワガハイたちを倒したければ仕込量がまるで足らん。
    せめて青酸カリ99%入りとかにしろ。下痢ぐらいは起こせるぞ」
    
ルイージ「それってただの青酸カリの山盛りだよね」

186Mii:2018/09/29(土) 19:25:30 ID:qcpS.xR6
ピーチ「やることが陰湿ねー(モグ)……ん、確かに美味しい。
     でもレディとしてトイレに篭りたくないから一口ずつに留めておきましょ」

マリオ「残すの勿体ないから(モグ)……ある程度俺たちで食って(モグ)……
    残りはヨッシーに食べてもらおうか」

ヨッシー「やれやれ、しょうがないですねー(パクパクパクパク)」

クッパ「なんかすまんな(パク)」

ピーチ「酸の沼に落ちるきっかけを作った第一人者が今更何を言っているのかしら」ウフ

マリオ「そうだそうだ」アハハ



ヨッシー「一応言っときますけど、私の場合はマリオさん笑ってられませんからね。
     今じゃ気にしてませんけど」パクパク

マリオ「あ、はい、乗り捨てまくってすいません」

187Mii:2018/09/29(土) 19:28:44 ID:qcpS.xR6
〜ほうき星〜

マリオ「…………」

ルイージ「…………」

ヨッシー「…………」

クッパ「…………」

ピーチ「……………………ロゼッタって」








ロゼッタ(スヤァ)








ピーチ「石畳の道の上で寝る趣味でもあるのかしら?」ユサユサ

188Mii:2018/09/29(土) 19:31:15 ID:qcpS.xR6
ロゼッタ「……ん」

ロゼッタ「…んーーー」ノビー

ロゼッタ「…あら?どうして私、こんなところで寝ていたのでしょう?」

マリオ「なんかあったのかな。…おい、大丈夫か?」

ロゼッタ「……?」パチクリ

ロゼッタ「きゃっ!?こ、これは失礼しました!こんなところで寝転んでいるのをお見せするなんて、恥ずかしい!」

ピーチ「寝転ぶというか寝入ってたけどね。どういう神経してるのよ、ロゼッタ」





ロゼッタ「……え?あ、チコたちからお聞きしたんですね、私の名前を。
     知らぬ間に仲良くなってくれたようでなによりです!」

ピーチ「……はい?」

189Mii:2018/09/29(土) 19:33:37 ID:qcpS.xR6
ロゼッタ「既にご存知のようですが、改めまして。

     私、このほうき星にてチコたちと共に暮らしております、ロゼッタと申します。
     宇宙飛行中に運命の巡り合わせで、立ち寄られたということでしょうか?

     恐縮ながら、皆さんを楽しませることができるような大したものはないかもしれませんが、
     ゆっくりしていってくださいね。私たちは歓迎いたします」


マリオ「!?」

ルイージ「!?」

ヨッシー「!?」

ピーチ「!?」

クッパ「あ、なんだか凄いヤバイ予感がする」

190Mii:2018/09/29(土) 19:35:45 ID:qcpS.xR6
ルイージ「えー!!記憶喪失ぅー!?」

ヨッシー「そうとしか、考えられませんよ!」

チコ「うわーん!」

チコ「うわーん、ママに何をしたのー!?」

ルイージ「い、いやいや。チコたちのことは覚えてるみたいだったじゃないか。
      とりあえず、主治医の診断結果を待とうよ、ねっ!」ナデナデ



バタン。



Dr.マリオ「診察終了っと」

ピーチ「…………」

ロゼッタ「……えっと、終わり、ました、けど?」

ルイージ「先生!ロゼッタの具合はどうなんでしょうか!」ガシッ

ヨッシー「先生!治るんでしょうか!」

191Mii:2018/09/29(土) 19:38:01 ID:qcpS.xR6
Dr.マリオ「こらこら、いっぺんに聞くんじゃない。ちゃんと説明するから落ち着け。

     まず、状況から。
     どうやら患者は、前回クッパがギャラクシーを侵攻しパワースターを奪った時以前の…というより、
     俺がロゼッタと初めて対面した時以前の記憶しか持っていないようだ。
     ごく最近住み着くようになった新入りチコのことなんかも忘れているみたいだな。

     ここ数年、あるいは10年くらいの記憶が完全に失われている」

ルイージ「なん…だと…!?」

Dr.マリオ「体調自体は全く問題なさそうだ。問診でも、特に痛みや辛さの発覚はなかった。
      あと、チコたちが言うには、昨日ハンマーブロスに連れ去られてからはロゼッタの姿を全く見なかったそうだ」

ヨッシー「げ、原因は?」

Dr.マリオ「うむ。実は先ほど、そのハンマーブロスたちに事情聴取もしてきた。
 
      その内容、万全な体調。記憶の喪失、そして俺たちが先ほど見た、地面で寝転んだ…いや、まるでどこかから『飛ばされてきた』ような姿。

      


      これらのことを総合すると…思い当たるものが、一つだけある」ビシッ

192Mii:2018/09/29(土) 19:39:31 ID:qcpS.xR6
クッパ「そ、それは!?」

Dr.マリオ「うむ。十中八九、ロゼッタが罹ってしまったものは…





  『ゲームオーバー症候群』だ」




ピーチ「なんて、こと」フラァ

193Mii:2018/09/29(土) 19:40:29 ID:qcpS.xR6
ルイージ「げーむおーばー、しょうこうぐん?ヨッシー、聞いたことある?」

ヨッシー「いえ、全くないです」

Dr.マリオ「そうだな…」ポンッ



マリオ「それを説明するためには、すこし昔話をする必要があるな。
    なにせ…知り得る唯一の患者が、俺自身だからな」


ルイージ「え…!?」

194Mii:2018/09/29(土) 19:42:44 ID:qcpS.xR6
マリオ「今は笑い話にもならない何十年も昔…あの頃の俺は、マリオカート参戦時のロゼッタみたいな状態だった。
    いや、お助け情報もないからそれ以上かもな。

    チビの状態でクリボーやノコノコに体当たりされると命を失うこと、
    奈落の底やマグマに落ちると命を失うこと、
    とにかく身の回りの致死要因に恐れおののいていた。
    正直、ピーチを助けるのを諦めかけた事だってあったさ。

    ダメージを受けると痛い。死ぬときはもっと痛い何かを感じる。
    なんか『自分の命はあと何個ある』ってことを理解できて、
    緑色のキノコを食べると命が増えることを知った時は驚いたうえで大層有難がったもんだ」

ルイージ「…ははは、よくわかるよ」

マリオ「だが、繰り返すが、当時の俺はちょっと運動神経がいい程度の男、それだけだ。
    クッパの仕掛ける罠が多く、激しくなるにつれ、どんどん命は削り取られた。
    …で、あるとき、全部の命がなくなった」

ルイージ「…!!」ゴクリ

195Mii:2018/09/29(土) 19:45:26 ID:qcpS.xR6
マリオ「そうしたら、どうなったと思う?…何故か、自宅前で寝てたんだよ。
    おまけに、クッパがピーチを攫ったこと、助けるために冒険に出た事、一切合財忘れていた。
    ぼけーっとしている俺を発見したキノピオの一人が、

    『こんなところで何をやっているんですか、ピーチ姫を助けに行ってくださいよ!!』と
    
    若干無責任にまくしたてるもんで、しどろもどろになりながらも冒険を再開したが」

クッパ「そう、だったのか…てっきり、難なく突破しているものだと」

マリオ「あはは、あの罠の量で、冗談きついぜクッパさんよ」

196Mii:2018/09/29(土) 19:57:10 ID:qcpS.xR6
マリオ「ただ…なにかがおかしい。そう思った俺は、キノピオを宥めつつ、あることを依頼した。
    
    『常に誰かに自宅前を見張らせて、異常があったら状況を書き留めておいてくれ。
    あと、声を掛けた時の俺の発言も記録に残しておいてくれないか』と。

    俺は、残りの命の数を注視しながら、冒険を続けつつ…
    だいぶ確信が持てたところで、最終実験をした。

    1-1から1-4まで突破した後、自分の意志で帰宅して、キノピオと会話をした。
    その後、今度は1-4であえてマグマに飛び降り続けて自宅に飛ばされてみた。
    ――マジで嫌な思い出だったけどな。
    というか、飛び降りている時点では自宅に飛ばされるトリガーなんてわかってなかったわけだから
    やっぱり博打もいいとこだったよなぁ。

    実は他に原因があって、『仮説を試してみたら本当に死んでマリオさよなら』の
    可能性も捨てきれなかったわけだし。

    自宅に飛ばされたとき…

    俺は――この地点でジャンプした、ダメージを受けた、立ち止まった…みたいな、自分の行動を、まるっきり忘れていた。
    キノピオに渡しておいたコースの注意点が書かれた紙を返してもらったところ、その通りの攻略ができた。
    あのときの衝撃は…忘れられん」

197Mii:2018/09/29(土) 19:59:35 ID:qcpS.xR6
マリオ「今俺たちが生活して、カートに乗って、スポーツで汗を流して、パーティを楽しんで…っていう空間を『現実空間』、
    ひとたび突入してみればワールド構成の冒険が待っている空間を『ステージ空間』と俺は勝手に呼んでる。

    前者の空間で命を失うと、本当に死んで二度と生き返らない。瀕死状態までなら1UPキノコでなんとかなるがな。

    後者の空間は、それよりは挑戦者に優しい。1UPキノコの事前ストックが効くし、
    ストックが切れて『ゲームオーバー』になっても現実空間に飛ばされるだけだ。

    ただ、そのときに少なくない記憶を失う。そのことを、俺はキノコ王国の住民で最初に理解した」

ルイージ「なんだって…!?」

クッパ「そんなことが…」

198Mii:2018/09/29(土) 20:02:19 ID:qcpS.xR6
ルイージ「……ってことは、兄さんは何回かぶんの冒険については、
      今でも一切記憶を持ってないんだ…悲しいなあ…」

マリオ「いや?持ってるぞ?」

ルイージ「え!?」

マリオ「というか、それに関連する今からの話がロゼッタの記憶を戻す特効薬だしな。

    
    …あるステージでゲームオーバーになった場合、
    一定期間の記憶を失って現実空間に飛ばされる。

    …そして、あるステージが原因で失った記憶は
    躓いたステージをクリアすることで完全に元に戻る。

    さっきの場合だと、キノピオに返してもらった攻略のためのメモ書きを利用して
    楽々1-4をクリアし直した瞬間、さきほど1-4でマグマに落ち続けた記憶が
    猛烈な勢いでフラッシュバックしてきたわけだ。さすがに軽く吐いた」

ヨッシー「こ、怖いですねえ…」ブルブル

199Mii:2018/09/29(土) 20:06:13 ID:qcpS.xR6
マリオ「ここまで判明したら、やることはただ一つだ。

    めんどくさいことこの上ないのは承知で、新しいステージを1つクリアするたびに
    傾向と対策を纏めて自宅に持って帰った。ついでに、飛ばされる自宅前にはご丁寧に
    『ゲームオーバーでこういうことが起こってるぞ、部屋の攻略本(自作)見ろや』と看板を立てておいた。

    この虱潰しな攻略法で、たびたびのフラッシュバックに悶え苦しみながらも、
    なんとかピーチ救出にこぎつけた訳だ」

ルイージ「で、でもそれだったら、僕に起こってもよさそうなものだけど…」

マリオ「ルイージは割と自宅待機が多かった。それこそ、今言ったような現象、
    立てられた看板にすら気付いていないほどの引きこもり状態でな。

    いざ冒険に出ても、難しいステージをこなすのは基本俺。
    おまけにマリオワールドで残機大量にくれてやっただろ。
    ここまでしたらさすがにゲームオーバーになる方が難しいっての」

ルイージ「本当にありがとうね、兄さん」グズッ

200Mii:2018/09/29(土) 20:09:15 ID:qcpS.xR6
ピーチ「…そして、『残機』っていう概念をマリオから初めて聞き、重要性をさんざん説かれて対策に乗り出したのは、
     クッパ城で囚われていた私よ」

クッパ「な、なに!?」

ピーチ「今のキノコ王国には、命のストックを管理する銀行みたいなもの…残機バンクが備わっているわ。
     マリオが余らせた残機は、私の魔法を駆使すれば価値を損なわずプールしておけるみたいなの。
     もちろん、余らせた人の提供意思があって初めてできることだけれどね。

     ステージに挑戦したい人は、残機制度を利用すれば、初期残機数がある程度与えられる。
     そのうえ、仮にゲームオーバーになったとしても、その直前にバンクから残機が補填されて、
     記憶の欠落がごくわずかで済む。つまり『本来の意味でのゲームオーバー』には成り得なくなったのよ。

     この素晴らしいシステムがなきゃ、ステージを一般公開して観光地化するなんてこと、絶対にできないわよ」

ルイージ「残機バンクって、残機が湧き出る打ち出の小槌じゃなかったの!?」

マリオ「ピーチと一部キノピオ以外は知らないトップシークレットだったとはいえ、勘違いも甚だしいな。
    俺の苦労あってこそなんだぞ」ポンッ

201Mii:2018/09/29(土) 20:11:27 ID:qcpS.xR6
Dr.マリオ「…で、残機申請の存在すらきっと知らなかったロゼッタは、
      残機バンクの保護から漏れたってことだ。
      失われた記憶の期間が長いのは、おそらくだが年齢に対して
      割合的に効いているからだろうな」←年齢2桁

ルイージ「あ」←年齢2桁

ヨッシー「え」←年齢2桁?

クッパ「ふぁ?」←年齢2桁

ピーチ「女性に年齢の話は禁句よ」←年齢2桁





ロゼッタ「ほとんど会話の意味はわかりませんでしたが、何か納得いきません」←年齢3桁

202Mii:2018/09/29(土) 20:25:38 ID:qcpS.xR6
ルイージ「…話を纏めると、ロゼッタがミスしたステージをロゼッタ自身にクリアしてもらえれば、
      ロゼッタの記憶は戻るんだね?」

Dr.マリオ「…まあ、そういうことになる、な。話は非常に簡単なんだ。
      問題は、徐々に難しくなるステージ群のあるポイントで苦汁を舐めたかつての俺とは違い、
      いきなり相当に難しいステージを選んでしまった上でゲームオーバーになったことだ。
      正直言って、ハードルが高すぎる。いつになったらクリアできるやら…!」

ピーチ「それでも、やるしかないじゃない!行きましょう、そのステージへ!
     まず私たちが挑んでみて、しっかり対策を伝授して、それから…!
     マリオ、ハンマーブロスでも誰でもいいから、案内させて!」

マリオ「そうだな!」

ルイージ「ロゼッタの記憶のため!僕も頑張るぞ!!」

ヨッシー「私もです!」

クッパ「ワガハイの失態だからな。しかたない、協力してやろう!
    …あ、いや、ゼヒ協力サセテクダサイ。そんな目で睨まないでピーチサン」

ロゼッタ「状況はあまりつかめていませんが…本当に、感謝いたします」フカブカ

203Mii:2018/09/29(土) 20:29:02 ID:qcpS.xR6
ブロタロウ「あ、えっと、その。

       マリオがこの星に降り立ったと同時にステージロックが掛かる様、
       プログラム設定しておりましたので。

       パワースターを規定枚数集めないと、もう誰も挑戦できません」

マリオ「」

ピーチ「」

クッパ「」

ロゼッタ「パワースターを散らせたのですか!?」

204Mii:2018/09/29(土) 20:32:52 ID:qcpS.xR6
クッパ「そ、それで、今回の場合、規定枚数は何枚なのだ?
    10枚か?20枚か?」

マリオ(聞いちゃだめだ聞いちゃだめだ聞いちゃだめだ)










ブロタロウ「241枚です」

クッパ「」

ロゼッタ「」ガーン

205Mii:2018/09/29(土) 20:47:27 ID:qcpS.xR6
ガシッ

クッパ「!?」

ピーチ「うふ、ふふふふ、ふふふふふ。ねえ、クッパ?」

クッパ「はい、なんでせうか」

ピーチ「ちょっと、クッパシップ借りていい?いまからとんぼ返りでキノコ王国に引き返して、
     あなたの誕生日ケーキを作っておいてあげるから。
     あ、ロゼッタもこれ以上ゴタゴタに巻き込まれないよう、一度連れていくわね」ニコッ

クッパ「は、はい。思う存分使い倒してやってください」ビクビク

ピーチ「そして、マリオ、ルイージ、ヨッシー、クッパ。あなたたちは…」

マリオ「お、おう」




ピーチ「1週間…いえ、3日以内にパワースター241個集めた報告をしなさい!
     約束破った場合は二度とケーキ作ってあげないし食べさせないから!」

クッパ「はあああ!?あまりにもひどいのだ!唐突にやりなさいと言われても限度がある!」

ルイージ「僕たちに至っては巻き添えなんだけど!?」

206Mii:2018/09/29(土) 20:49:23 ID:qcpS.xR6
ピーチ「やれ」ギロッ

クッパルイージ「「やらせていただきます」」

マリオ「やれやれ…」

ヨッシー「ケーキぃ…」







ロゼッタ「ノリについて行けません…」

チコ「ついて行かなくて全然いいと思うよ」

207Mii:2018/09/29(土) 20:58:43 ID:qcpS.xR6
クッパ「という訳でぇ!

    これより、パワースター回収作戦を開始する!
    1人あたりのノルマは60個程度となっている!

    なあに、クッパシップはまだまだある、物量攻めで行けば楽勝だ!
    ワガハイに任せておけ、とカッコよく宣言しておきたいところだが、
    諸君らのプライドを保たせてやる上でもやめておいてやろう!

    ともかく諸君!後れを取らぬように!」バン!

マリオ「はい、指揮官。ステージには個人あるいは数人のグループ単位でしか突入できません。
    あんな馬鹿デカい船ごとなんて夢のまた夢であります」ビシッ

クッパ「そそそそそんなことは分かっておるわ!ジョークだジョーク!」

ルイージ「あわわわ、僕まったく、そんなにスピーディに回収していける自信がないよぉ」

ヨッシー「そんな、いまから弱気じゃいけませんよルイージさん」

208Mii:2018/09/29(土) 21:09:21 ID:qcpS.xR6
マリオ「あと、1人当たり60個と言ってたな。ちょっと修正していいか?
    2人あたり大体120個、ということにしておこう。俺とクッパ、ルイージとヨッシーで固定ペアを組む」

クッパ「なに?どういうことだ?」

マリオ「なに、ジャンプ力はあるが防御力が心配なルイージと、死角を補うサポートに長けるヨッシーを組ませたい。
    それだけだ。一方のこちらは、2人がそれぞれスター先で独立して暴れ回るって感じだな」

ヨッシー「わかりました。ルイージさんのお守りはまかせてください」

ルイージ「お守りってのは言いすぎだって!でもヨッシーが居れば心強いよ、よろしく!」



マリオ「そして、今は緊急時だからな。
    旅行バッグに詰め込んできたもの、惜しみなく配らせてもらう」

ルイージ「うん!」

ヨッシー「ありがとうございます!」

クッパ「おいおい…」

マリオ「……じゃ、頑張るとしますか!」

209以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/30(日) 14:18:53 ID:01Z6hjKY
果たして杖があるとどこまでできるんだろうか

210Mii:2018/10/02(火) 20:45:25 ID:uK3hRn5.
〜空島ギャラクシー〜

マリオ「よしクッパ、スターの力とやらで巨大化してくれ」

クッパ「いいだろう…ふんっ!」



グググググ…!!



マリオ「うはっ、便利だなー。で、俺もきょだいキノコで巨大化っと」グイーン

クッパ「で、どうするのだ?」

巨大マリオ「ルイージとヨッシーにはもう伝えてあるが…
        俺たちのペアは『水平特化ペア』、あっちのぺアは『垂直特化ペア』だ」

クッパ「はあ?」

211Mii:2018/10/02(火) 20:49:35 ID:uK3hRn5.
巨大マリオ「すぐに意味がわかるさ。おれはこっちにありそうなパワースターを超スピードで取りに行く。
        …クッパはあっちね」クイッ

クッパ「え?その作戦、巨大化する必要…あったか?巨体になったぶん、動きはもっさりになるんだぞ?」



チッチッチ

巨大マリオ「その体の方が障害物を吹っ飛ばしやすいだろ?
        それに言ったじゃないか。1人あたり60個じゃなくて、2人あたり120個って」

クッパ「だから、どう取りに行くのだと聞いている!」

巨大マリオ「だーかーらー…」ガシッ

クッパ「……え、ちょ」


巨大マリオ「スターリングを逐一っ!探すなんてっ!かったるくてやってられない、から!
        こうやって!お前をまず!遠方の!スターのポイントまで!
        ジャイアントスイングでとばすんだよぉ!」ブオオォ!!

クッパ「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁーーーーー…」キラーン

212Mii:2018/10/02(火) 20:52:47 ID:uK3hRn5.
巨大マリオ「ふう…お次は、俺だな!」

パパパパパパーン!

マントマリオ「じゃあひとっ飛びするか。…よし、押しのける空気くらいはあるな!」フワー




マントマリオ「はーやーいーぜー!!」ビュゥゥ!!

マネック「マ、マッテ…」ゼェゼェ

213Mii:2018/10/02(火) 20:54:27 ID:uK3hRn5.
ディノパックンJr.(くっくっく、誰か来ないかなぁ。卵を少しでも叩いたら、たちまち卵ひび割れて、オレっちドドーンと登場!
          驚き固まる奴らを一飲みなのさ、ああ楽しみだなぁー♪)




クッパ「ぐわあああああああ!…おおおおおお、ちょうどいい所に足場がある!
    ええい、着地だ着地!ボディプレースッ!!」

ディノパックンJr.(よっしゃ、卵の殻に待望のひびがでk)



ドッズーーーーゥン!!!……プチッ。



クッパ「ふう、ようやく止まったか。
    …お、おおおお!パワースターが落ちているのだ、これはラッキー!
    やはり日頃の行いがよいということだな!」

214Mii:2018/10/02(火) 20:56:37 ID:uK3hRn5.
〜ヨースターギャラクシー〜

看板「ヨッシーに乗り続けながらⒶを押し続ければふんばりジャンプ!」

ルイージ「Ⓐボタンって…なんだろう?」

ヨッシー「なんでしょうね?まあ、そんなことは気にせず…」パクッ

看板「いつもよりちょっと高く跳べて便r…」





ヨッシー「青コウラ咥えて羽根ヨッシィー!!」ブワーーー!!

ルイージ「消化しそうになったら一度吐き出して即回収。
      実質無限飛びできるよね、ほんと便利だよねー」

看板「」

フラワーマーク「」

215Mii:2018/10/02(火) 20:57:58 ID:uK3hRn5.
〜ほりほり鉱山ギャラクシー〜

マネック「「「ギャアア!アイツニ アタルト メッチャイタイ!ニゲロォー!」」」

マリオ「なんか雑音が聞こえるなあ…まあいっか。
     USAで鍛えたボーリングスキルなめんなやぁー!!」ザクッザクッザクッ

ドリル「」



【クッパは逆方向へ飛ばされている】

216Mii:2018/10/02(火) 21:00:36 ID:uK3hRn5.
〜もくもくけいこくギャラクシー〜

――オマエ 雲 のれるカ?

ルイージ「ヨッシーが飛べるし、別に雲ルイージ?になる必要ないよね」

ヨッシー「3つまで雲の床が作れるだけとか…で?っていう」ハン

雲フラワー「」



マネック「「「オオッ コイツハ ヨワソウダ!フクロダタキ!」」」ダッ

ルイージ「ぎゃああ、お化けぇ!こうなったらオバキュームゥ!!」ギュイーーーン

マネック「「「エッ アッ ソノッ マッテクダs」」」シュウウ・・・

ヨッシー「ああ、おいしそうだったのにぃ…」ガッカリ

217Mii:2018/10/02(火) 21:03:57 ID:uK3hRn5.
マリオ「順調だな!」パワースター ゲット!

ルイージ「順調だね!」パワースター ゲット!

ヨッシー「順調ですね!」パワースター ゲット!

クッパ「…そりゃお前たちは順調だろうなコノヤロウっ!」パワースター ゲット!

218Mii:2018/10/02(火) 21:06:58 ID:uK3hRn5.
〜キノコ王国〜

ワー、ワー!!

キノピオ「わーい、七夕祭りだ―!」

キノピオ「違うぜバーカ!100年に1度の星くず祭の開幕だって!
      しかも姫様のお触れによると、今回は、期間がずっと延びて開催されるそうだぞ!
      ほんと楽しみだな!」

キノピオ「…星くず祭って、ちょっと前にやらなかったっけ?」

キノピオ「1000年に7日間しか起きない設定のくせに、しょっちゅう現れる幻ポ○モンとかもいるから、
      細かいことは気にすんな!」


〜キノコ城テラス〜
ピーチ(ほうき星の支配人であるロゼッタが招かれている以上、星くず祭の意義的に、
     期間を延ばすことになんにも問題ないわよね、うんうん、めでたいめでたい)シレッ

219Mii:2018/10/02(火) 21:10:29 ID:uK3hRn5.
デイジー「びええええ、今度は記憶を失うなんて…!ロゼッタ可哀想すぎるよ…!
      グズッ、わたし、デイジーっていうの。よろしく…ね」ボロボロ

ロゼッタ「ロゼッタです。…きっと、本当はとても良い親友関係だったと推測します。
      本当に…本当に…ごめんなさい」シュン

デイジー「…!いいっていいって!絶対なんとかしてみせるから!」ニコッ



ピーチ「とりあえず、私はカメックたちとケーキ作りの打合せに行くけど…2人はどうする?
     付いてくる、それとも休んでおく?もちろん、星くず祭を楽しんできてもいいわよ?
     まあ、いずれの選択肢も、私かデイジーの少なくとも1人はロゼッタの傍にいることが前提になるけど」

デイジー「うーん、ケーキ作りは手伝える腕前ないけど…最初の打合せくらいは、よかったら聴いておきたいかな。
      ピーチがどんな誕生日ケーキを作るのか興味があるし。ロゼッタもそれでいいかな?」

ロゼッタ「はい、全然問題ありません。こちらからお願いしたいくらいです。よろしくお願いしますね」

220Mii:2018/10/02(火) 21:12:59 ID:uK3hRn5.
カメック「え?今、なんと?」

ピーチ「だからー。あなたたち、まさか…

     『キノコ王国あるいはクッパ城に備え付けのキッチンで作ればいいや』

     とか考えていないわよねー?」

カメック「…それで、よろしいのでは?」

ピーチ(フゥー)




バンッ!




ピーチ「甘い!甘すぎる!砂糖で埋もれて原型を留めていないケーキより甘いわ!
    いーい?クッパは、『スーパーサイズの誕生日ケーキを作ってくれ』と言ったのよ!
    自分の上司を軽く見てるんじゃないの?」

カメック「で、ですから。ウエディングケーキくらいの大きさがあれば十分d」

ピーチ「聞いて呆れるわね…それでもクッパの側近?」

カメック「ムカッ。どういうことです!」

221Mii:2018/10/02(火) 21:16:04 ID:uK3hRn5.
ピーチ「フリップを用意したわ。実際にご覧ください」サッ





カメック「…これは、NEWスーパーマリオブラザーズWiiの一幕ではないですか」

ピーチ「ご名答。このときクッパは、私の誕生日にケーキを送り込んできた。
     それも、1段当たりの高さがコクッパ7人衆を上回るほどのケーキを用意して見せたわ。
     …誰が作ったのかは知らないけれど。

     そして、それが『あのケーキ、すごく大きかっただろう!ガッハッハ』みたいに特に取り沙汰されることはなかった。

     つまり、クッパの認識だと、身長の2倍分くらいのケーキは『ビッグサイズ』の範疇に入らないのよ」

カメック「そのりくつはおかしい…あれ、おかしくない?」

カメック「ま、まさか…」

カメック「な、なんだってー!」

222Mii:2018/10/02(火) 21:18:07 ID:uK3hRn5.
カメック「で、では10メートルくらいのケーキをこしらえることに致しましょうか。
     さすがにこれなら、クッパ様も満足して…」

ピーチ「ふぅ、あなたたち、なーんにもわかってないわね。

    クッパはわざわざ、『巨大化した状態で』ビッグサイズのケーキをご所望したのよ?
    巨大化状態を基準として考えなきゃ話にならないでしょ!」

カメック「「「えっ」」」

ピーチ「わたしなりに軽く計算した結果…クッパを満足させるのに必要な大きさは…




 



     ざっと、高さ100メートル!!」バーン!!

カメック「「「な、なんだってぇーーーーーーーーーー!!」」」

デイジー「」

ロゼッタ「」

223Mii:2018/10/02(火) 21:21:33 ID:uK3hRn5.
カメック「そ、そんな大きさのケーキ、作れるわけがありません!」

ピーチ「心配ご無用。帰還途中にちょっと図面解説に起こしてきたから。みんな、よく眺めるように」



カメック「……クッパ城前に、我々カメック部隊で専用の巨大キッチンを…作成?」ゲッ

カメック「……ピーチ姫が巨大化状態で混合、撹拌、運搬できる特殊器具・設備・操作盤の設置?」ヒキッ
 
カメック「……横幅80メートル、高さ10メートル、全長1キロメートルのベルトコンベア付き超巨大多段式連続焼成レーン?」マッサオ

ピーチ「本当は全体を一気に焼けたらよかったんだけど、さすがに温度ムラが避けられないから。
     とりあえず、厚さ1メートルを限界として、90段分のスポンジをせっせと焼きまくるのよ。
    
     あとで、更にスライスして何百枚となったスポンジ間にクリームやフルーツを散りばめつつ、
     大型クレーンで慎重に慎重に積み重ねていって100mにするわ」

ロゼッタ「」バタリ

デイジー「あ、ロゼッタが泡吹いて倒れた」

224Mii:2018/10/02(火) 21:24:15 ID:uK3hRn5.
デイジー「……じ、自重で潰れちゃうから、これ幸いと、見えない内側部分を土台で稼ぐってのは?」

ピーチ「そんな手抜きしなくても、固定化の魔法を私かカメックが掛けるわよ」

デイジー「ざ、材料がぜんぜん集まらないんじゃない?」

トゥルルルル
ピーチ「あ、キノじい?そう、ピーチよ。実はお願いがあって…
    卵と牛乳と砂糖とバターと小麦粉と洋酒とチョコレートと、あとフルーツなんでも。流通近況どうなってたかしら?
    …オール過剰で値崩れ気味?よろしい。

    各生産者に、『昨年度の出荷量の1.1倍よりも過剰に抱える分について、
    キノコ城のクッパシップ停留所に持ってきた全量を王国が適正価格で買い取る』というお触れを今から1時間以内に出しなさい。
    順次クッパ城に向けて送るから。いいわね?」ピッ

ピーチ「というわけで、材料の問題も解決したわ」

ロゼッタ「強引すぎますっ!?」

デイジー(…あれ?聞くところによると材料費って折半じゃなかったっけ…)

225Mii:2018/10/02(火) 21:36:59 ID:uK3hRn5.
ピーチ「それではカメック部隊!各部の製作を今日、明日中に終わらせてね!
     それ以降は私だけ戦地に飛び込むわけだから…無理とは言わせないわよ?
     ああ、腕が鳴るわぁ…」フフフ

カメック「」

カメック「」

カメック「――――うおおおおおおおおおおお、こうなりゃヤケだぁ!
     我らカメック部隊の本領発揮といこうではないか、明日と言わず今日中に、
     キッチンの完成品をピーチ姫にまざまざと見せ付けてやるのだ!」メラメラメラメラ

カメック「うおおおおおおおお!その通りだぁー!」ダダダダ

カメック「クッパ様ばんざーい!!!!」ダダダダダ




ピーチ「用は済んだことだし…じゃあ、帰りましょ」ラン ララン

デイジー「せ、せやな」

ロゼッタ「」ボウゼン

226Mii:2018/10/04(木) 21:36:23 ID:K0epO.mA
〜キノコ城 城下〜
星くず祭の 真っ最中!!

デイジー「ピーチったら『念のため図面チェックに入るから私お留守番ね』だなんて…
      つまんないのー。ちょっとは付き合いなさいよ」ブツブツ

ロゼッタ「ピーチ姫が現れては城下も大騒ぎになってお祭りどころではなくなってしまうでしょうし、
     仕方がないのでしょうか…。せっかくのご厚意ですし、私たちは楽しむことに致しましょう」

デイジー「……今さら、マリオカート騒動でロゼッタを嫌ってる人がイチャモン付けてきたりしないでしょうね(小声)」ミワタシ

ロゼッタ「はい?」

デイジー「あー、何でもない何でもない。じゃあ、そうしよっか!適当に見て回ろ!資金は大量にもらってきたし!」

ロゼッタ「はい!ほうき星とは逆の立場から接近イベントを知り得ることはこれまでなかったので…
      実は、期待に胸が膨らんでいます!」ワクワク

デイジー「あはは、今のロゼッタの記憶の中じゃ、最近の接近イベントと言ったら100年近く前の話なんだよねぇ。スケール大きいなあ」

227Mii:2018/10/04(木) 21:39:32 ID:K0epO.mA
焼きそば屋「いらっしゃい、やきそばだよー!スターピース5個付きで、お値段なんとたったの10コイン!
       18コインなら焼きそば・スターピースともに倍増しするよー!」

リンゴ飴屋「リンゴ飴作り続けて15年!培ってきた技術使って、見てくれよこの、精巧な星型の飴を!
       そんじょそこらの陶芸師にも負けない芸術性!これが、たったの15コインで貴方の手に!
       ……え?リンゴ飴売ってないのかって?いいじゃねえかそんなこと、味はしっかりリンゴだぜ!」

かき氷屋「ウチのかき氷は、天然氷を切り出してその日のうちに使い切る超限定物さ!
      細かすぎず粗すぎず、心地よい冷たさ・口溶けと、自然の甘さを提供するよ!
      蜜はドドンと、迷ってしまう64種類!蜜の追加は1コインだから気軽に申し出てね!」

ロゼッタ「わあ…すごい活気と行列ですね」

デイジー「うんうん!どれもこれも、みんなおいしそう!」

228Mii:2018/10/04(木) 21:42:00 ID:K0epO.mA
デイジー「そうだなぁ…おじさん、すいませーん!リンゴ味の星型の飴くださーい!はい、15コイン」

リンゴ飴屋「はい、毎度」ズイッ

デイジー「…あっまーい!でもなぜだかしつこくない甘さでいつまでも舐めていられそうね!
      …ねえねえ、ロゼッタも何か食べてみない?」

ロゼッタ「……うう、すいません。なんだか、ボリュームを見ているだけでお腹いっぱいになってきて…」ゲプッ

デイジー「えー?そんなに量あるかなあ…ペロッと。じゃあ、飲食系はやめて遊戯系にしようか」テクテク









くじ屋「外れ無しのくじだよ、1等はなんと!シャインとパワースターのセットだよ!」

ロゼッタ「!?」

デイジー「どうどう、落ち着いてロゼッタ、あれレプリカ」

229Mii:2018/10/04(木) 21:45:14 ID:K0epO.mA
ロゼッタ「あら、これは一体、何ですか?」ハテ

射的屋「おう、別嬪さん2人ね。ここはいわゆる、射的屋だ。
     そこの線の位置から、自分が持ってるスターピースを景品に向かって投げつけてくれ。
     景品を奥に落としたら、お嬢さんたちのものになるってわけさ。

     ただし、横や前に倒しても無効。
     あと、挑戦にお代は要らないが、投げた分のスターピースはこの屋台のモンになる。
     ああ、それと。屋台荒らしを防ぐため、景品を1個手に入れた人は今回の祭の中で再挑戦できない。

     …ルールは以上だな」

デイジー「へえ、ロゼッタやってみる?…あ、でもスターピース持ってたっけ?」



ポワワワーン…ドサッ…



ロゼッタ「チコのおやつ用に、100個ほど異次元空間に常備してあります」ドヤァ

デイジー「…杖があるだけでロゼッタ活き活きしてるなあ」

ロゼッタ「それでは…面白そうなので、やってみたいと思います」サッ

230Mii:2018/10/04(木) 21:48:08 ID:K0epO.mA
ロゼッタ「」ズーン

射的屋「それじゃ、スターピースは貰っとくぜ、ありがとさん!大漁大漁!!」ホクホク





デイジー(信じられないくらい…すさまじくノーコンだった!?
      あれれー?ほうき星の主だよね!?スターピースの使いこなしスキルがそれでいいの!?)アングリ

デイジー(…いや、そもそもからして、まぐれ当たりしたスターピースにしても、後ろに倒すだけの勢いが全然ないよ!
      もしかしてロゼッタ、体つきの割に、凄まじい運動音痴!?)

ロゼッタ「」ズーン

デイジー(そういや、マリオカートの時も…どうもバナナや甲羅を投げる力が弱弱しかったな…。
      追尾を勝手に行う赤甲羅はともかくとして、緑甲羅を投げるときとか、
      前のカートに引き離される始末だったもんね…あの時は単に運転しながらの投擲に
      慣れてないからと思ってたけど…)

ロゼッタ「…なんだか、自分にイライラしてきました。スターピースが…」

デイジー「あわわわ!考え込み過ぎだって!さあさあ、忘れて次に行きましょ!」サササッ

231Mii:2018/10/04(木) 21:50:45 ID:K0epO.mA
テクテク

ロゼッタ「…あら?」

女の子「つまんないつまんない、つーまーんーなーいー!!」ジタバタ



ロゼッタ(10歳にも満たないでしょうか…女の子が1人、遊歩道の段差に腰掛けて、愚図っています。
     恰好こそ、お面にフランクフルトに水風船に、とあちこちの出し物を手にしている状態。
     ですが、いかにも、退屈極まりない、という顔をしています)

デイジー「ロゼッタ、あの子が気になるの?お人よしだなあ。せっかくだから声かけてみよっか。
      それじゃあ…おーい、そこのあなたー。不満タラタラな顔をしてどうしたのー?」

232Mii:2018/10/04(木) 21:52:41 ID:K0epO.mA
女の子「…?おねーさんたち、誰?」パチクリ

デイジー「通りすがりの、ただの観光客よ。それよりもあなた、お祭りを満喫しているように見えるけど?
      何がそんなにつまらないって言うの?」

女の子「パパが屋台にかかりっきりで、ぜんぜんあそんでくれないの!
    おこづかいだけ、ポンとわたされて『回ってきていいぞ』とか言うけど、
    一人で回ったって、つまんないの!」

デイジー「…あちゃー、商売に夢中過ぎてパパから放置されちゃったか。ママはどうしたの?」









女の子「………………………………ママ、いないもん。
    わたしが小さい時に、病気で死んじゃったんだって」

ロゼッタ「…!!」

233Mii:2018/10/04(木) 21:57:54 ID:K0epO.mA
デイジー「え、あ、ごめんなさい!」ペコッ

女の子「ううん、いいよ…でも、こういうにぎやかな所に来ると、他の人はいいなーって思うの。
     だって、パパかママの片っぽが働いている間だって、
     もう片っぽは一緒におしゃべりしたり遊んだりしてくれるでしょ?

     パパはママのびょうきを最後までなおそうとがんばって、いっぱい借金しちゃったの。
     お金をかせげている間はパパもうれしそうだから、お祭りはすきなの。
     …でも、自分が楽しむぶんには…あんまり、すきじゃないの」ショボン





ロゼッタ「……」

ロゼッタ「……」

ロゼッタ「あの、提案なのですが。私があなたのママになるというのはどうでしょうか」

デイジー「ちょっ!?」

234Mii:2018/10/04(木) 22:00:17 ID:K0epO.mA
女の子「…?どういう意味?パパとけっこんするってこと?」

ロゼッタ「あ、そ、そういう意味ではなくてですね。私も、星くず祭の間は
     このあたりで生活していると思うのですが…その間だけでも、
     あなたのママ代わりになって、おしゃべりしたり遊んだりしてあげられたらな、と」

ガバッ

女の子「ほんとに!?いっしょに屋台回ってくれる!?」

ロゼッタ「ええ」

女の子「それにあきたら、いっしょに公園であそんでくれる!?」

ロゼッタ「はい」ニコッ

デイジー「ちょちょちょちょっと待ったあ!ロゼッタ、あなたはやるべきこと、心配すべきことが
      ワンサカあるでしょ!寝泊りは当然キノコ城だし!」

女の子「え、キノコ城!?…もしかして、え、偉い人なの?」アトズサリ

ロゼッタ「いえ全然」フッ

デイジー「おい」

235Mii:2018/10/04(木) 22:02:17 ID:K0epO.mA
ロゼッタ「…とにかくですね、夜になったら一旦お別れしないといけませんが、
      次の日になったらまた会えるということですよ。それだけで十分です」

サヤカ「わああぁーい!!わたし、サヤカっていうの!よろしくね!」ピョン ピョン

ロゼッタ「ロゼッタといいます。よろしくお願いしますね、サヤカ」

サヤカ「ママって呼んでいい!?」

ロゼッタ「ええ、いいわよ」ホホエミ

デイジー「うおぅ、お母さんになり切ってるし…お人よしすぎるんだから、もう…」ハァ

236Mii:2018/10/04(木) 22:04:51 ID:K0epO.mA
〜公園〜
ロゼッタ「あらあら、サヤカったら、最初から屋台には飽きてしまっているの?」

サヤカ「屋台はまた明日から行けばいいもん!それよりもね、私、
    ママがいたら…ずっとやってみたいなーって思ってたことがあるの!
    とりあえず今日お別れする前に、やっておきたいなって!」

ロゼッタ「…やってみたいこと?」

サヤカ「うん!『キャッチピース』!あるていど離れたら、
    まず、ママがスターピースを私に向かって投げて、私が落とさず受け取るの!
    そしたら、今度は私が投げ返して、ママがキャッチするの!」

デイジー「あー、要するにキャッチボールのスターピース版ね。
      まあ、スターピースだけ使って遊べる事って言ったら、そのくらいしかないか。
      …ロゼッタ、大丈夫?あんまり(凄まじく)コントロールよくないけど…」

ロゼッタ「任せてください…じゃあサヤカ、いくわよー!」キリッ



ぽんっ



デイジー(飛距離…じゅ、十メートルくらい?いや、8メートルくらいかな。
     なんだかさっきよりは、距離も精度も格段に上がってる。なんでだろう?
     気持ちをパワーに乗っけてる、とか?まさかねぇ。
     …まあ、体格にしてはしょっぱいのは変わらないけど…)

237Mii:2018/10/04(木) 22:08:40 ID:K0epO.mA
サヤカ「じゃあ、今度はわたしのばんー!」



ぼすっ…テン テン テン。



サヤカ「ちょっとママ、そのくらい落とさないで捕ってよー!」

ロゼッタ「そ、そうね、失敗しちゃった」

デイジー「…………む」




サヤカ「あのー、あんまり言いたくないんだけど、ママってスポーツ苦手?」

ロゼッタ「そ、そんなことないわよ?現にほら、サヤカよりスターピースを遠くに投げられてるじゃないの」

サヤカ「そうかなあ…」

ロゼッタ「それにほら、受け止めるときの音の大きさが違うじゃないの。…ですよね、デイジー姫」

デイジー「あー……誠に残念だけど、ロゼッタ、あなた恐ろしいくらい大間違い。
     サヤカちゃんの認識が圧倒的に正しいよ」

ロゼッタ「…え!?」

238Mii:2018/10/04(木) 22:11:20 ID:K0epO.mA
デイジー「十何往復見てりゃ流石に分かったけどさ。
      ロゼッタは我流で勢いよくスターピースを投げてるだけよ。

      腕、腰、脚の動きがバラバラ、重心も不安定、全然『線』の動きができてない。
      このままだといくら続けても成長しないんじゃないかなあ…厳しいようだけど」

ロゼッタ「」

デイジー「…サヤカちゃんには、正直驚いたよ。子供の体格のせいで見かけの飛距離こそないけど、
      全身が連携で躍動して、ビシっとしなるバネの力を余すことなく、かつ力むことなくスターピースに伝えてる。
      スタミナをほとんど浪費しないから、このまま百球以上投げ続けられるだろうね。
      コントロールもかなりいい。…正しい形の反復練習で相当努力したんだろうね。

      ロゼッタは、サヤカちゃん…いや娘に技術を教えてもらうべきだよ」

ロゼッタ「そんなに!?」

サヤカ「へっへーん」

デイジー(そーだよ、まさに名案じゃない?ママ役のためなら、ロゼッタのモチベーションにも繋がるし)

239Mii:2018/10/04(木) 22:14:56 ID:K0epO.mA
オーイ サヤカー

サヤカ「あ、パパが呼んでる。今日の販売、終わったのかな?
    ねえ、いっしょにきてよ、私の分は、のこしておいてくれてるはずだから!」グイグイ

ロゼッタ「え、残すって…何を?」




サヤカ父「いやあ、サヤカの母親代わりになってくれるなんて、感謝しても仕切れないですよ、
       本当にありがとうございます。お祭り中は好きなだけ、食べてってくださいな」グズッ

ロゼッタ「……」ジーッ


クルクルクル…
サヤカ父「ほい!できたぞ!」

サヤカ「わーい!パパ、ありがとう!…おいしー!ぜっぴんだね!ママもどうぞ!」

240Mii:2018/10/04(木) 22:16:48 ID:K0epO.mA
デイジー「にゃるほど、綿飴か。ベタつくのが難点だけど、これぞお祭りって感じがする逸品だよね!
      …あ、それとも見るの初めてだったり?」

ロゼッタ「……」ジーッ

デイジー「あ、うん、聞くまでもない凝視振りだね。
      不思議だよね、なんでこんな形状になるのかなぁ?原料は砂糖だけらしいよ?」

ロゼッタ「…ふむ。加熱してザラメを溶融させながら釜を高速回転させ、遠心力でザラメを吹き飛ばし、
      非常に小さな孔を通して受け皿側に糸状の冷却ザラメを発生させているのですね。
      単純明快な機構ながらよく考えられています」

デイジー「見ただけでわかったの!?」

ロゼッタ「私、スピン力学にはちょっとばかりウルサイんで」

デイジー「そういう問題かなあ…っていうかスピン力学って何さ…」

サヤカ「ねえママ、半分こ!はい!」サッ

ロゼッタ「ふふ、ありがとう。では、いただくわ」パクッ





ロゼッタ(素朴で…奥深い甘さが、芸術的な形状とともに、脳内を駆け巡り…)

241Mii:2018/10/04(木) 22:19:27 ID:K0epO.mA
〜キノコ城〜

ピーチ「へえ、なるほどね。よかったわねロゼッタ、娘との団欒を楽しんだ上に、初めての綿飴を堪能できて。
     星くず祭を満喫してもらえて、私、とってもうれしいわ」ニコッ

ロゼッタ「……はい」

ピーチ「で、ロゼッタは。綿飴は美味しく頂けるけど…
    時間を割いて私が丹精込めて作って見せた料理は、一口も食べられないっていうんだ、へえー」ピキピキ

ロゼッタ「……」ダラダラ

デイジー「(パクッ)…悔しいけど完敗。美味しいよ、ほんと。
      いくらお腹いっぱいだからって、これを食べたくないだなんて…どうかしてるよ、ロゼッタ」プンプン

ロゼッタ「も、申し訳ありません…でも限界で…」

242Mii:2018/10/04(木) 22:23:48 ID:K0epO.mA
ピーチ「……なーんてね。食べられないものを、無理に食べてもらおうとは思ってないわよ、心配しないで。
     …意外に小食なのかしら?食事風景みたことないから気付かなかったわ。次からは気を付けるわね?」

ロゼッタ「……はい」

ピーチ「それじゃ、デイジーがロゼッタの分も食べ終わったら、仲良くお風呂でも入りましょうか」

デイジー「ピーチは食べないの?働きづめはエネルギー持たないよ?」

ピーチ「フッ。間もなく、ケーキの味見をエンドレスですることになる私に、その必要があると思う?」

デイジー「あー、うん。ないね。こんなおいしい料理なら喜んで平らげるよ。
      そして、お風呂待ってました!

      ロゼッタ、ここの…というかピーチの浴場はすっごいんだよ!
      100人は余裕で入るだろうっていうお風呂を、スイッチ一つでありとあらゆる種類に瞬時に切り替えられるの!
      アロマ風呂、ワイン風呂、牛乳風呂に電気風呂、砂風呂に天然温泉!上がった時には気分サイコーよ!」

ロゼッタ「聞いているだけで圧倒されますね…」

ピーチ「最近、温度が物足りなくて高圧ルームの120℃熱湯風呂をバリエーションに加えてみたわ。入ってみる?」

デイジー「謹んでお断りいたします」

243Mii:2018/10/04(木) 22:26:12 ID:K0epO.mA
〜脱衣場〜

キャイキャイ
ピーチ「……」ヌギッ

デイジー「…よしっ、まだ勝ってる」チラッ

ピーチ「」グサグサッ

デイジー「まーまーピーチさん。才能でいろいろ勝ってるんだから、
     胸 の 大 き さ  くらい負けたっていいじゃないのー
     そのうちいいこと あ る さ♪」トントン

ピーチ「……フフフ、オモシロイコトイウワネ、デイジー。ジョウトウジャナイノ」ユラァ

デイジー「ふふん、今度ばかりは負ける要素ないんだなあ、これが」ニヤニヤ

ピーチ「わかってない、わかってないわよデイジー。むしろ…今度ばかりは、あなたも…!
     敗北者として名を連ねることになることを…!」ニタァ

デイジー「…あ、しまった。そういうことか。うわぁ…」クルリ

ロゼッタ「…え?え?ええ?」

244Mii:2018/10/04(木) 22:28:14 ID:K0epO.mA
ピーチ「さあ脱げ。早く脱げ。いますぐ脱げ。
     デイジーの高笑いをこの場から消し去っておやりなさい」

デイジー「自分に至っては目の光を失いかねないことを放置してまで私を苦しめようとするなんて、
      ピーチ、なんて恐ろしい子…!でもまあ、なんでもいいや!ぬーげ!ぬーげ!」キャハハ!

ロゼッタ「えええええ!?そ、それは、急かされなくても脱衣所ですから脱ぎます、けど…。
      言いようのない恥ずかしさがあるのですが…!」





スルリ





ロゼッタ「そ、その、あんまり見ないでください…」カアア

ピーチ「………………………」

デイジー「………………………………………あれ?」

245Mii:2018/10/04(木) 22:30:08 ID:K0epO.mA
ロゼッタ「あ、あの、なんでしょう?」

ピーチ「…おかしいわね。確かに私より少し胸は大きいけど」

デイジー「『だいぶ』の間違いなんじゃないk」

ピーチ「フライパンの刑」ベゴンッ!

デイジー「」チーン

ピーチ「…おかしいわね。確かに私よりほんの少し胸は大きいけど…
    デイジーと同じくらいというか…覚悟、じゃなかった、想定していたより小さいというか。
    ……………………いえ、ちょっと待ちなさい。違和感の原因に気付いたわ。

    ロゼッタ、あなた、体の線、細すぎじゃない?体重、何kgくらい?」

246Mii:2018/10/04(木) 22:31:14 ID:K0epO.mA
ロゼッタ「ええ!?そ、それは言わなければなりませんか!?」

ピーチ「言いなさい」

ロゼッタ「…………えっと、その。すごく恥ずかしくて、あまり知られたくないので…
      特に男性陣には、絶対にばらさないでくださいね?」

ピーチ「わかってるわよ、口は堅いから!」フフ

ロゼッタ「その、実は……






            64 kg、なんです…!」カアアアァァ

ピーチ「」

デイジー「なんだってぇ!?」ガバッ

247Mii:2018/10/04(木) 22:34:55 ID:K0epO.mA
ピーチ「……ねえデイジー、あなたは何kgくらい?ロゼッタが64 kgなら、40 kgぐらい?」

デイジー「いやいやいや!どこのアイドルよ!体力、筋力付けまくらなきゃならないのに、
      そんなヒョロッとしていいわけないじゃない!60 kg手前にコントロールしてるわよ!
      だいたい、ピーチと同じくマリオカートWiiで『重さ補正のない(やや軽い)中量級』だったでしょ!?」

ピーチ「えーっと、確か…区分は…
        重さ補正なし軽量級・・・40 kg未満
        重さ補正 +1軽量級・・・40〜45 kg
        重さ補正 +2軽量級・・・45〜50 kg
        重さ補正 +3軽量級・・・50〜55 kg

        重さ補正なし中量級・・・55〜60 kg
        重さ補正 +1中量級・・・60〜65 kg
        重さ補正 +2中量級・・・65〜70 kg

        重さ補正なし重量級・・・70〜85 kg
        重さ補正 +1重量級・・・85〜100 kg
        重さ補正 +2重量級・・・100 kg以上
    だったわね。

    ロゼッタは確か…重さ補正なし重量級だから、70 kgはないとおかしいんだけど」

248Mii:2018/10/04(木) 22:42:45 ID:K0epO.mA
ロゼッタ「70 kgだなんて…太り過ぎですよ!
      風の噂で耳にしました、自制して体重を50 kg以下に抑えてこそ大人の女性なのだと。
      だというのに、私は50 kgどころか60 kgも越えていて、悲しくなってくるのです…」グスン

デイジー「んなアホな。体格のこともちっとは考慮してあげなさいよ…
      というか50 kgなら私たちだって余裕で越えてるって宣言したばっかりじゃない」

ロゼッタ「そ、そうなのですか?…ええっと。先ほどのものは、失われた記憶の間に挑戦したという、
      マリオカートとやらの話、ですか?話に聞くには、チコを含めてその重さだったとかいう…」

ピーチ「…あ、そうか、そうだったわね。チコのこと忘れてたわ」

ロゼッタ「標準的なチコって、体重40 kgくらいありますからね」フフ

ピーチ「なるほど、それで」









ピーチ「…………………………………ちょっとまってけいさんがあわない」ブルブル

249Mii:2018/10/04(木) 22:44:50 ID:K0epO.mA
デイジー「そこの体重計に乗れぇ!!」グイッ

ロゼッタ「きゃっ!?」



体重計「42.0 kgですね」

ピーチ「」

デイジー「」

ロゼッタ「…あれ?痩せてます、やった!」

ピーチ「(100年で更に痩せたってことなのね!)ロゼッタ、身長何cmよ!!」

ロゼッタ「え?えーっと、確か…205 cmくらいだったと思いますけど」





体重計「BMI 9.99ですね」

デイジー「痩せスギィ!!!」ガガーン

250Mii:2018/10/04(木) 22:54:09 ID:K0epO.mA
ピーチ「どういう、ことなの…」フラフラ

デイジー「というか、どんな食生活送ってたらそんなことになるの!?」

ロゼッタ「え、食生活ですか?私の場合…まず、水」

デイジー「食生活を聞かれて最初に水って答える人、初めて見たよ…」

ピーチ「…奇遇ね、私もよ…」

ロゼッタ「水は大事ですよ?水がないと、紅茶も淹れられないんですよ?」

ピーチ「水が大事なのは知ってる。そして、
    決して『紅茶が淹れられないから』って理由じゃないことも知ってるわ

ロゼッタ「あとは、ライ麦パンとミルク、ラズベリージャム、
     そしてアプリコットの香りのする紅茶ですね」

デイジー「ふむふむ」

251Mii:2018/10/04(木) 22:55:45 ID:K0epO.mA
ピーチ「ふうん…優雅ではあるけど、正直言うと、まるで栄養が足りてないわね。で、お昼ご飯は?」

ロゼッタ「はい?」

ピーチ「はい?って何よ」









ロゼッタ「今ので普段の1日の食事は全てですが…
      たまにチコたちとパーティを開いて追加で星くずパンを食べる以外では」

ピーチ「」

デイジー「そりゃあ綿飴半分でお腹いっぱいになるよっ!」

ロゼッタ「ほ、星くずはミネラルが豊富なんですよ?」

デイジー「ビタミンは!?脂肪は!?炭水化物は!?」

252Mii:2018/10/04(木) 23:01:03 ID:K0epO.mA
デイジー「ハーッ!ハーッ!信じられない!」

ピーチ「ちょっと頭を整理するわ。とりあえず…お風呂に、入りましょう、か…」

ロゼッタ「…は、はい」





ロゼッタ(チャポン、と静かに入った浴槽。デイジー姫が言う通り、素晴らしい心地でした。
      全ての疲れが、汚れと共に洗い流されていくようです。
      ただ…2人が深刻そうな顔で黙りこくるのが、少し気懸りでしたが。



      …訂正。2人がブツブツ何かを呟いているのが、かなり気懸りでしたが)

253Mii:2018/10/04(木) 23:13:18 ID:K0epO.mA
〜ベッドルーム〜

ピーチ「とりあえずロゼッタ、今のロゼッタの体、おかしいわ。おかしすぎる。
    普通の人の体は、そんな栄養失調状態じゃまともに動けないもの」

ロゼッタ「で、ですが私は」

ピーチ「うん、能力が高いわけではないけど、割と普通に動いているわよね。
     で、ちょっと試したいことがあるの。――そこのベッドに寝転んでくれるかしら?」

ロゼッタ「……?別に構いませんが…」ゴロン


ガチャッ



デイジー「ほい、持ってきたよピーチ。今更、1UPキノコなんて何に使うの?
      それも、こんなにたくさん」ドサッ

ピーチ「ちょっと、ね。デイジー、今からちょっと実験をするから、
     ロゼッタが死にそうになったら1UPキノコが尽きるまで
     与え続けてちょうだい。いい?」

ロゼッタ「ええ!?実験!?死にかける!?どういうことですか!?」

254Mii:2018/10/04(木) 23:15:31 ID:K0epO.mA

デイジー「なんかよくわからないけど、ピーチが言うんなら何か理由があるんだよね、わかった。
      油断せずスタンバイしておくね」スッ・・・




ロゼッタ(ピーチ姫は不吉な言葉を口にした後…何かに、誰かに、祈りを捧げ始めました…
      1分ほど経ったでしょうか。すると、ピーチ姫の頭上を星々が輝きながら旋回し出し…!!)

255Mii:2018/10/04(木) 23:20:48 ID:K0epO.mA
ピーチ「天空にて世界を守りし星の精たちよ、
     どうかその強大なる力と、万人との絆を以て
     神器の衣を砕き給え…!」




 

パアアアアアアアアア!!!!








ピーチ「……『ピーチフラッシュ』っ!!!!」カッ――!!!






ロゼッタ(私の体が、一条の明るすぎる光に、包まれました)

256Mii:2018/10/04(木) 23:31:56 ID:K0epO.mA
デイジー「な、なに?なにが起こったの!?」

チョール「ほっほっほ、マリオパーティ5依頼じゃな!」

マール「急に呼び出されるから、すわ一大事かと焦っちゃったわ〜」

ハール「やれやれ、TPOをわきまえてほしいものだね」

ニール「まあ、困った時ならいつでもボクたちのこと、遠慮なく呼んでほしいね」

ネール「いつでも優雅に美しく、私たちは駆けつけますから」

テール「それで、僕たちがなにをやったかというとですね」

ダール「私たちの力を使って、ロゼッタ殿の強化を完全解除したのですな」

ティンク「つまり、能力アップが全部なくなって初期状態にされたってことだね!」

ピーチ「そういうこと。わかった?デイジー」

デイジー「だから、それが何だっていうn」チラッ



ロゼッタ(全身が痙攣したまま白目を剥いている)チーン

デイジー「」

ピーチ「…やっぱり」

257Mii:2018/10/04(木) 23:47:33 ID:K0epO.mA
デイジー「えいえいえいっ!!……なにこれ!?なにこれ!?
1UPキノコを使ったそばから、元の状況に悪化するんだけど…!?

      これ、すっごくまずくない!?というか、なんでこんなことに!?」

ピーチ「…かつてクッパがスターの杖を奪った時、杖の傍にいるだけで
     杖の力に影響されて、クッパは力を付けていったわ。
     それと同じことが、より悪い方向に起きているの」

ロゼッタ「」ピクピク

デイジー「悪い方向!?」セッセ

ピーチ「ロゼッタはね、魔法なら私をも超すくらいの技術を持ってる。
    さっき専用の機械で魔法Lvを図ってみたら、Lv128だったわ。
    私はまだLv85なのに…まあ、FPは圧勝だったけど。

    問題は、それが災いして、ありとあらゆる行動で
    『基礎体力が足りない?魔法の力で補え!』ってことを無意識に続けてきたことよ。
    …杖を直接には触っていない状態でも、ね」

デイジー「基礎体力を無意識に補うですって!?」

258Mii:2018/10/04(木) 23:51:24 ID:K0epO.mA
>>257
×図って  ○測って


ピーチ「100の力を出したいけれど、80しか持っていないから、
     魔法で30補って、余裕を持って力を発揮する。
   
     それが続くと、体が衰えて力を70までしか用意しなくなる。
     いままでと同じ行動を取ろうとして、魔法で40補う。

     …こういうことが繰り返された結果、今のロゼッタがあるみたい。
     つまり、『基礎体力は低いけど魔法は強い』んじゃなくて、
     『魔法が強すぎるせいで、0同然のはずの基礎体力がちょっとはあるように見える』のよ!」

デイジー「なんと。じゃあ、今の状況は…」

ピーチ「その魔法の援助を断ち切ってみたわ。自重で死にそうになってる」

デイジー「なるほど、これはわかりやすい」

259Mii:2018/10/05(金) 00:02:50 ID:yXo3Tobk
ピーチ「クッパ含む私たちの場合は、
     『なんか強くなってる気がするな!よし、特訓を倍にするか!』みたいに
     負荷をより掛けて自分を追い込めるから問題はなかった。

     ロゼッタの場合、基本的にほうき星の管理とチコたちとの触れ合いで
     やることが終わっちゃうっていう生活を何百年と続けてきたから…
     …ああ、本当にロゼッタって記憶を戻せるのかしら…!?」

デイジー「とりあえずさ、状況はわかったから、ロゼッタ回復してあげようよっ!」

ピーチ「ロゼッタの杖を、寝転ぶロゼッタの体の上にでも置けば一発で治るわよ?
     …こんなふうに」ポン

ロゼッタ「…ハッ!?」ガバッ

デイジー「早く言ってよ!!」

260Mii:2018/10/08(月) 00:59:33 ID:p37/bHQA
〜ピーチ説明中〜

ピーチ「…というわけで、ロゼッタ。あなたは無意識に魔法に頼り続けてきた結果、
    魔法無しだと生命活動を維持するという最低限のことも出来なくなっている状態よ。
    
    記憶を取り戻すよりも、まず先にこっちをどうにかしないと冗談抜きにまずい。
    さっきみたいにいつ何時、ブーストリセットの魔法や仕掛けに掛かるかわかんないんだから」

ロゼッタ(杖に触れたことで、体中に再び魔法の力が巡り、体調を取り戻しました。しかし、私の体が、
     まさかそんなことになっていようとは。俄かには信じられません)

ロゼッタ「本当に本当なのですか?私もかつては魔法も知らずに草原を駆け回っていた遠い過去がありますし、
      実感が湧かないのですが…勘違い、ということは」

ピーチ「……えい」バッ

ロゼッタ「あ、杖をどこへやるのですか…え、ちょっと、まさか」



ピーチ「『ピーチフラッシュ』おかわり」パアアアアアア

星の精たち「はーい」

ロゼッタ「――――――――っ!?――――――――っ――――!!」モガキ

261Mii:2018/10/08(月) 01:01:31 ID:p37/bHQA
ピーチ「はい、杖返すわね。…信じ切るまで何回でもやるわよ?」

ロゼッタ「ええ信じますよ、信じますとも、信じますから。
      しかし、そんなに私の生活に問題があったのでしょうか…」ボロッ

ピーチ「…………ロゼッタ、今からいくつか質問するから、『はい』か『いいえ』で答えてちょうだい」

ロゼッタ「…?わかりました」



ピーチ「質問その1、『特に汗を流すような運動は最近やっていない』」

ロゼッタ「はい」



ピーチ「質問その2、『ちょっと重い物を動かそうとするとき、抱えて運ぼうとする前に杖の方に手が伸びる』」

ロゼッタ「…は、はい」



ピーチ「質問その3、『椅子に座っている状態で、本棚の本を取ろうと思った。
     この程度のことでも、取りに行くことはなく魔法の力で手元に引き寄せる』」

ロゼッタ「…………はい」

262Mii:2018/10/08(月) 01:03:58 ID:p37/bHQA
ピーチ「質問その4、『そもそも、浮遊移動するばかりで、滅多に歩こうとしない』」

ロゼッタ(そ、そんなことは流石に――)


・・
・・・
ロゼッタ「はい、星くずパンの完成よ。みんな、テーブルに集まって!」スィー

ロゼッタ「紅茶を淹れようとしたら、ポットの水が足りませんね。泉から(魔法で)汲んできた水が、たしかあちらに…
      よし、(念動力で)持ってきて、(魔法で)浄化して、追加しておきましょう。

      …ああ、水が足りなくなったら、今の一連の作業を自動処理してくれる魔法をポット自身に掛けておきましょうか。
      本を読んで待っている間にカップに注ぐところまでやってくれれば便利ですね!
      どうして今まで気付かなかったのでしょう!」フフフ

ロゼッタ「今日も無事にほうき星の管理をこなせました…そろそろ就寝ですね。
      チコ、おやすみなさい。明日も平和であるといいですね」フヨフヨ

チコ「寝ながら魔法の力でベッドまで漂っていけるって、いつ見ても便利だよね。さすがママ!」

チコ「おやすみなさーい!」
・・・
・・

ロゼッタ(…………あれー?)

263Mii:2018/10/08(月) 01:07:38 ID:p37/bHQA
ロゼッタ「え、でも、まさか、流石に…」ダラダラ





ピーチ「認めたくないのなら…質問を言い換えましょう。
    10秒以内に自信を持って『右手』か『左手』で答えてね。
    間違えたらあと10回はピーチフラッシュを食らわすわ。


    『歩くとき、右足と一緒に前に出すのは?』」

ロゼッタ「…………」フッ

ロゼッタ「すいません、歩いていないことを認めるので寛大なご措置をお願いします」

デイジー「うわあ…そういや、ロゼッタって某忍者アニメみたいに両腕を横に伸ばしたまま移動してばっかりだっけ。
      そうか、地面を足で蹴るって動作がないなら、基本的に腕を振る意義ないもんね。
      私たちも気付いてあげるべきだったかな、うん…」

264Mii:2018/10/08(月) 01:14:46 ID:p37/bHQA
ピーチ「…ハアァ、ここまでとはね。半ばお手上げ状態よ」バンザーイ

デイジー「どうするの?ピーチはピーチで、まもなく忙しくなるでしょ?
      私も一応考えてはみるけど…ぶっちゃけ自信ないよ?」

ロゼッタ「すいません…」

ピーチ「…とりあえず、マリオに連絡を取ってみるわ。何かアドバイスをくれるかもしれないし、
     ついでにパワースター獲得状況も確認できるしね!電話、電話っと」







マリオ「おう、パワースターか?とりあえず今日だけで120枚集めといたぞ。
    まあ、ステージ入ってすぐパワースターを献上してくれるクッパJr.とかも居たし。
    これでだいたい折り返し地点だな!」

ピーチ「」

265Mii:2018/10/08(月) 01:19:06 ID:p37/bHQA
マリオ「4人で協力したら本当に捗ってな…っておい、クッパ、暴れるんじゃない!
    …え?納得いかないだぁ?もともとは自業自得だろ!落ち着け!」


コレガ オチツイテ イラレルカァ! ウガー!

ザザーッ・・・



マリオ「悪い悪い、邪魔が入った。…で、なんだ?もう一個の要件って」

ピーチ「あ、ああ、それなんだけどね。ロゼッタのことで…」カクカクシカジカ




マリオ「……なるほど、状況は把握した。大変なことになってるみたいだな」

ピーチ「そうなのよ…何か、解決策ないかしら?ちょっと思い浮かばなくて…」

マリオ「ああ…配管工としての提案だが。
    ロゼッタが本当に本気で体質を何とかしたいなら、特効薬がないこともないぞ?」ウーン

ピーチ「嘘!?本当に!?……ロゼッタ、あなたが本気になれるなら、マリオがなんとかしてくれるって!」

ロゼッタ「本当ですか、こんなにあっさりと!?ありがとうございます!」

266Mii:2018/10/08(月) 01:21:26 ID:p37/bHQA
ピーチ「…で、何をすればいいの?……まず、キノコ城にワープ土管を置く?それで?」

ロゼッタ(ワープ土管ですか…あまり話が見えませんが…深い意味があるのでしょうか)



ピーチ「…なるほど。きょだいキノコで大きくなったロゼッタにワープ土管を飲み込んでもらって、
    相互に行き来できるようにするのね!飲み込んだ後に体が元の大きさに戻っても害はない、と!
    それでそれで?」キラキラ

ロゼッタ「えっ」



ピーチ「…ふむふむ!マリオとルイージが土管を使ってロゼッタの体の中に入り、
     無駄な組織を破壊したり、失活している組織に刺激を与えて活性化させたりして、
     健康な体を取り戻すのね!完璧でエレガントな作戦じゃないの!」

ロゼッタ「」

267Mii:2018/10/08(月) 01:24:55 ID:p37/bHQA
ピーチ「必要に応じて水をがぶ飲みしてもらったり、冷気を吸い込んでもらったりするかもしれないし、
     脳を弄るかもしれない?まあ、ロゼッタも本気だから許してくれるでしょう。この作戦で決まりね!
     妄想も捗るわ!CMを作るとするなら・・・・・・」



〜ロゼッタのお腹の中で、マリオとルイージが大冒険!〜
 
    キノコ王国を襲う(かもしれない)ナゾの病、ゲッソリ病の調査に乗り出した、マリオとルイージ!
    だけど、兄弟揃って、ロゼッタに吸い込まれちゃった!

    マリオとルイージは ロゼッタの体の中を! そしてロゼッタは キノコ王国を大冒険!
    それぞれを切り替えながら 道を切り開いていく!

    2人が体内を刺激すると…ロゼッタが底力を発揮!
    ロゼッタが水を飲むと…マリオ達の行動範囲が広がる!

    マリオとルイージで ブラザーアクション!
    ロゼッタでパワフルアクション!

     でっかいロゼッタが大暴れする 巨大化バトルも一新!
     豪快アクションで 敵をぶっ飛ばせ!





ピーチ「ゲーム化したら間違いなく流行る!CERO上がりそうだけど!」

ロゼッタ「ちょっと待ってくださいぃーー!!!」ガバッ

268Mii:2018/10/08(月) 01:29:05 ID:p37/bHQA
ロゼッタ「えっと、本気ではありますが、もうちょっと、ですね。
      穏便な作戦をぜひ、ぜひにお願い致します」ガクブル

ピーチ「我儘なんだから、もう…あ、マリオ?
     もうちょっと乙女のプライバシーが保護される作戦の方がいいんだって」

マリオ「まあ、そんな反応が返ってくることは分かってたけど。じゃ、基本を貫くくらいしかないだろ。
     ほどほどに『ピーチフラッシュ』で魔法の力を抑えて、よく食べよく運動しよく寝る。
     それで少しずつ基礎体力を取り戻すんだ」

ピーチ「…本気?何年かかるか分からないわよ?」

マリオ「俺たちの域まで急成長させるのは夢のまた夢だが、ごくごく普通の域まででとりあえず良しとするなら…
    なんとかならんでもない。…ちょうどいいや、そこにマールいるんだよな?」

ピーチ「ええ、呼び出したばかりだから居るけど…それが?なになに…ふむふむ…」メモメモ

269以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/08(月) 05:17:02 ID:XxNQSRSE
クッパのRPG3でもCERO上がってないの不思議なレベルなんだよなあ

270Mii:2018/10/08(月) 20:27:14 ID:p37/bHQA
ーチ「ちょっと料理作ってくるから、暇ならガラス棚の中のお菓子でも食べといてー!」バタバタ

ロゼッタ(マリオから何か聞き出したピーチが、颯爽とキッチンに去っていきました。
      一体何が始まるというのでしょう。日付も変わろうというときに、不安一杯です。
      明らかに、今から寝させてくれる雰囲気ではありません…)

デイジー「よいしょっと。へえ、ピーチが作る料理に負けず劣らず、ほっぺたが落ちそうなお菓子ばかりじゃない。
      それじゃ、遠慮なくいただきまーす!…うん、絶品!」パクッ

ロゼッタ「あ、あの。そんなに食べて、太りませんか?」

デイジー「…いい加減学習しなさいよ。この程度、ちょっと走れば消費できるカロリーなんだってば。
      ロゼッタにとっては一食にも値するかもしれないけどさ」

ロゼッタ「……見ているだけで胸焼けしてきます」

デイジー「そう?まあ、ロゼッタが食べることはないわよ。ピーチが作ってくれる料理を期待しましょ?」パクパク

271Mii:2018/10/08(月) 20:28:45 ID:p37/bHQA
【修正】

ピーチ「ちょっと料理作ってくるから、暇ならガラス棚の中のお菓子でも食べといてー!」バタバタ

ロゼッタ(マリオから何か聞き出したピーチが、颯爽とキッチンに去っていきました。
     一体何が始まるというのでしょう。日付も変わろうというときに、不安一杯です。
     明らかに、今から寝させてくれる雰囲気ではありません…)

デイジー「よいしょっと。へえ、ピーチが作る料理に負けず劣らず、ほっぺたが落ちそうなお菓子ばかりじゃない。
     それじゃ、遠慮なくいただきまーす!」パクッ

ロゼッタ「あ、あの。そんなに食べて、太りませんか?」

デイジー「…いい加減学習しなさいよ。この程度、ちょっと走れば消費できるカロリーなんだってば。
     ロゼッタにとっては一食にも値するかもしれないけどさ」

ロゼッタ「……見ているだけで胸焼けしてきます」

デイジー「そう?まあ、ロゼッタが食べることはないわよ。ピーチが作ってくれる料理を期待しましょ?」パクパク

272Mii:2018/10/08(月) 20:30:30 ID:p37/bHQA
ロゼッタ(…あ)

菓子箱の中のスターピース「」チョコン

ロゼッタ(星くずですか!こちらでも食用にされているのですね、ちょっと嬉しくなります!
      …こちらでは、どのような味がするのでしょうか?)ソワソワ

デイジー「…お?ロゼッタ、このスターピースに興味津々?
      私もまさか、こんな風に見ることになるとは思わなかったけど」

ロゼッタ「ちょ、ちょっとだけ食べてみても構わないでしょうか?」ソワソワ

デイジー「くくく、好奇心が勝っちゃったか。そりゃあ、いいに決まってるじゃない。
      …あ、ピーチが呼んでる。料理運んでくれってことかな?

      じゃあ、ロゼッタはここで待ってて。感想聞かせてね!」ダッ

ロゼッタ「……本当に、綺麗」ツマミ

ロゼッタ「…ふふっ」パクッ

273Mii:2018/10/08(月) 20:35:27 ID:p37/bHQA
デイジー「呼ばれて、やってきたよー。それにしても、キノコ王国でもスターピース食べるんだね!
      高級菓子にまでなってるなんて!ロゼッタも喜んでるみたいだったよ!」

ピーチ「スターピース…?入ってた覚えがないのだけれど…」

デイジー「え?私もちゃんと、この目で確認したよ?」



ピーチ「……………………それ、スターピースじゃなくて、はじける食感が癖になる『こんぺいとう』よっ!
     しまった、ロゼッタのHPで1粒食べたら…!」


    こんぺいとう:威力6(=キラキラおとし)  ロゼッタ(杖無し・魔力あり)最大HP:5


ピーチ「瀕死よ!」ダッ

デイジー「」



チュドーン!!

ピーチ「…遅かったか」

ロゼッタ「」チーン

デイジー「もう1UPキノコ係、誰かに代わってほしいんだけど…」ガクッ

274Mii:2018/10/08(月) 20:40:19 ID:p37/bHQA
ロゼッタ「……………………生きているって、いいですね」シンミリ

ピーチ「記憶をなくす前のあなたも、似たようなことを度々口にしていたわ。
     まあそれはともかく、さっさと席についてちょうだいね」

ロゼッタ「……」ノロノロ

デイジー「…はい、暗い話はやめやめ!で、ピーチ?これから何をするの?
      料理を食べてもらうってことはわかるんだけど」

サッ
ピーチ「はい、料理No. 01『キノコ炒め』。キノコだけを使った、シンプルながら味わい深い一品よ。食べてみて」

ロゼッタ「…はい、それではいただきます。
     ……なるほど、調味料の使用を最低限に留め、キノコ本来の味を最大限主張させている。
     さっぱりしすぎている感があり主役にはなれませんが、どんな料理とも引き立て役としてマッチすること請け合いでしょうね。
     それに、工夫する箇所が少ないからこそ、料理人の腕が如実に表れる。さすがピーチ姫といったところでしょうか」

ピーチ「うん、感想および賛辞、有難く頂戴するわ。…たった三くちでフォークを置いたのは頂けないけれど」

ロゼッタ「うう…」

275Mii:2018/10/08(月) 20:43:26 ID:p37/bHQA
ピーチ「まあ、予定通りだけどね。
     
     じゃあ、マリオとルイージに体中を操られる作戦、題して『マリオネット作戦』を断念しまして――」

ロゼッタ(ホッ)





ピーチ「これより、『催眠ループ作戦』を始めます」

ロゼッタ「……え?」





ピーチ「マール、お願い!」

マール「オッケーよピーチちゃん。『ママの子守唄』!」♪〜

ロゼッタ「え、いきなりなんd」

ロゼッタ(スヤァ)バタリ

276Mii:2018/10/08(月) 20:45:07 ID:p37/bHQA
ピーチ「続けてチョール、お願いします!」

チョール「ほいや。『すっきり爽快』!」パアァァァ

ロゼッタ「…あ、あれ?私、今寝てました?」ムクッ

ピーチ「さあさあロゼッタ、まだ料理が残ってるから食べなさい?」

ロゼッタ「…ですから、まだお腹一杯になったばっかりで…あら?妙に…お腹が空いている?
      確かに、これならもう少し食べられそうですが。一体何をしたのです?」モグモグ

チョール「快眠状態で体の組織が活動をしやすいところに、結果として消化促進効果を重ねて効かせたのじゃよ。一瞬で消化完了じゃ!」

マール「おまけに、快眠状態って普通は連続では限度があるけど、チョールの技の効果には覚醒効果もあるから、
     メリハリ効かせて半永久的にループが可能なのね!…まあ、どこかしらに精神摩耗はあるだろうけど」

ロゼッタ「ご、強引すぎませんか?」

277Mii:2018/10/08(月) 20:48:23 ID:p37/bHQA
ピーチ「さあ、限界まで食べなさい。そしたらまた催眠掛けるから」

ロゼッタ「…え、そ、そんな!人権無視もいいところではないですか!?」

デイジー「サヤカちゃんと明日遊べなくなってもいいのー?」

ロゼッタ「…!!」

デイジー「今のままだと、ピーチはロゼッタを隔離して別の対策を探しかねないよー?
      サヤカちゃん悲しむだろうな、1日でママに裏切られるなんて。

     それに、ロゼッタが体力を付ければ、それだけまともにサヤカちゃんと遊べて
     ママの役割をこなせるんじゃないのかなー?」

ロゼッタ「……わかりました。やります、やればいいのでしょう!
     開き直りますよ、よろしくお願いしますっ!」

ピーチ「その言葉を聞きたかった」ニヤリ

278Mii:2018/10/08(月) 20:50:09 ID:p37/bHQA
ピーチ「よし、じゃあ再開しましょう!食べて食べて!」

ロゼッタ「はいっ!」パクパク

マール「『ママの子守歌』!」♪〜

ロゼッタ(くー)バタリ

チョール「『すっきり爽快』!」パアァァァ

ロゼッタ「」シャキーン

ピーチ「料理No. 02『キノコソテー』。びりびりキノコを使うことで、同じ炒め物でもキノコ炒めとは違う旨みを醸し出すわ!」

ロゼッタ「旨みだけでなく、ピリッとした辛さもアクセントになっていて美味しいですね。
      使うキノコでこうも変わってくるものですか」パクパク

マール「『ママの子守歌』!」♪〜

ロゼッタ(スゥー)バタリ

チョール「『すっきり爽快』!」パアァァァ

ロゼッタ「」シャキーン

デイジー「……」

279Mii:2018/10/08(月) 20:51:46 ID:p37/bHQA
ピーチ「まだ残ってる!」

ロゼッタ「は、はいっ!」モグッ

マール「『ママの子守歌』!」♪〜

ロゼッタ(スヤァ)バタリ

チョール「『すっきり爽快』!」パアァァァ

ロゼッタ「」シャキーン

ピーチ「料理No. 03『キノコステーキ』。キノコと緊急キノコを絶妙な配分でカットしてこんがり焼く!
     染み出した成分が混ざり合うことで、まるで高級ステーキのような味わい!
     腕さえあれば極めて安価で済む、庶民の味方よ!」

ロゼッタ「…!これは、キノコを食べているというより、確かに肉のよう!目を瞑って食べれば、一層区別が付きませんね。
      信じられない味の変貌です」パクパク

マール「『ママの子守歌』!」♪〜

ロゼッタ(フラァ)バタリ

チョール「『すっきり爽快』!」パアァァァ

ロゼッタ「」シャキーン

デイジー「……………………」

280Mii:2018/10/08(月) 20:54:01 ID:p37/bHQA
ピーチ「まだ残ってる!」

ロゼッタ「言われなくても、分かっていますっ!」モグッ

マール「『ママの子守歌』!」♪〜

ロゼッタ(グゥ)バタリ

チョール「『すっきり爽快』!」パアァァァ

ロゼッタ「」シャキーン

ロゼッタ「……すっきり爽快という割に、少しずつ倦怠感が出てきたのですが」

ピーチ「強制的に組織を動かす以上、諦めて!」

ロゼッタ「……ですよね、知ってました」トオイメ

デイジー「…………私、見てるだけ?お腹空いてきたんだけど」

281Mii:2018/10/08(月) 20:57:26 ID:p37/bHQA
ピーチ「デイジーは…これ!」サッ

デイジー「…『ナカマモネガーウ』バッジ?なにこれ?」

ピーチ「スターパワーが全然足りないわ!ひたすら願っておいてちょうだい!」

デイジー「ええええー…殺生だよ…」



ピーチ「料理No. 04『ハニーキノコ』!火を通したキノコにハニーシロップを掛けるとあら不思議、
     手間は少ないのに絶妙なマリアージュが…」

ロゼッタ「っ!?」ピタッ

ピーチ「……」

ロゼッタ「…………………」

ピーチ「チッ、『失敗料理』に引っ掛からなかったわね」

ロゼッタ「『チッ』ってなんですか!?フェイントやめてくださいよ!」

282Mii:2018/10/12(金) 06:02:57 ID:8HL4SOHU
〜次の日〜

ピーチ「うーん、まあこんなところかしら。10皿も平らげれば上出来ね。
    じゃあ私は仮眠を取るわ、もしかしたら今日からケーキ作りに入るかもしれないし。あのカメックたちの気合の入りようならね。
    そのときはキノじいに行動方針を書いた手紙を渡しておくから、昼に読んでちょうだい」

デイジー「無茶するなあ。本当に大丈夫?」

ピーチ「大丈夫、だと思う。まあ、なんとかなるでしょ。お休みなさい…すぅ」バタン

デイジー「そのままベッドに倒れ込んじゃったよ。大丈夫かなホントに。
      …じゃあロゼッタ、私たちは今日もサヤカちゃんと一杯遊ぶことにしよっか。
      なんでもピーチが言うには、変に筋トレメニューを沢山与えるより、
      日常行動でロゼッタのやる気を引き出しつつ運動させたほうがよっぽどいいらしいから」

ロゼッタ「…………お腹が一杯でないのに、まるで腹部をねじられているかのような…
     凄まじい不快感と共に胃もたれと吐き気がぁ…満身創痍なんですがぁ…」タエダエ

283Mii:2018/10/12(金) 06:05:18 ID:8HL4SOHU
デイジー「日頃使ってない組織をフル稼働させたからね、しゃーない。あ、ピーチから書置きがあるんだった。えーっと…

      『私が寝た後、星の精たちに出力2割くらいのピーチフラッシュをロゼッタに掛けてもらってちょうだい。
       つまり、行動の2割分を基礎体力で何とかしなくちゃいけない状態ね。もちろん杖はデイジーが預かっておいてね。
   
      護衛は引き続きデイジーにお任せするわ。行動としては自由行動でOKよ。ただ、とりあえず部屋の壁から壁まで往復させてみるとかして、
      状況を始めのうちに自覚させておいて』

      だって。みんな、お願いできるかな?」

星の精たち「了解」パアアアアアアア!

ロゼッタ「ぐっ!?か、体が重い…!」ガクッ

ロゼッタ「…な、なんとかゆっくりとなら、歩けないことも…くぅっ!」ヨロヨロ

デイジー「おーい。右足と右手が同時に出てるよー。…まあ、この負荷が現状だと限界っぽいね。
      外見だけじゃなくて内臓とかにも負担は掛かってるだろうし、安全に行こうか。
      じゃあ、この状態でサヤカちゃんに怪しまれないように今日も一日頑張ろう!」オー

284Mii:2018/10/12(金) 06:06:56 ID:8HL4SOHU
ロゼッタ「は、はいぃ……」ヨロヨロ

ロゼッタ「……」

ロゼッタ「あの、すいません。お花を摘みに参りたいので一度解除していただけませんか」

デイジー「あー、お城のすぐそばに立派な植物園があるよ。一緒に行ってみようか!」

ロゼッタ「…………」

デイジー「ん?どうしたの?」

ロゼッタ「えっと、デイジー姫。お手数なのですが。化粧直しをしたいので一度解除していただけませんか」

デイジー「化粧道具、ピーチから適当にくすねてくるから、ここですれば?」

ロゼッタ「……………………大変恐縮なのですが、お手洗いに参りたいので一度解除していただけませんか」

デイジー「扉出て右、たった30メートル先だよ。さあ、今日も一日頑張ろう!」ニコッ





ロゼッタ「なんでもしますからどうかお願い致しますデイジー様」ドゲザ

デイジー「…あ、うん、調子乗ってごめん」

ロゼッタ(あ。…どうでもいいことですが、土下座の姿勢の方が楽でいいですね)

285Mii:2018/10/12(金) 06:09:02 ID:8HL4SOHU
デイジー「はい、杖ね。でも…今日の昼食夕食はともかく明日からはトイレにも自力で行かせろって
      ピーチからのメッセージがあったから…頑張ってね、ご愁傷さま」

ロゼッタ「鬼ですか!……ちょっと待ってください、昼食に夕食…!?」サアッ

デイジー「うん、その時間になったら一度お城に戻れってさ。
      さっきまでの食事はとりあえず朝食と認めるとしても、しばらく一日三食のまっとうな生活が続くから
      覚悟しておきなさい、ってことだよ」

ロゼッタ(不快感に加えて絶望感と眩暈までいらっしゃったようです…)

ロゼッタ「まっとうな、とはおっしゃいますが食事量が尋常ではないでしょう!」

デイジー「確かに一般市民からすると尋常じゃない量だけど…
      残念ながら、スポーツやその他イベント事でエネルギー消費しまくる分の補填として、
      私やピーチでも楽々平らげる量なんだよなあ、これが。毎日食べるとは言わないけどさ。

      大体、パーティで体より大きいフードの早食い競争とかもやってきたし」

ロゼッタ「……………………考えるのはやめました……とりあえずお手洗いに行ってきます……」

286Mii:2018/10/12(金) 06:12:29 ID:8HL4SOHU
〜キノコ城 城下〜

サヤカ「ねえママ、あっちの店に行ってみようよ!」

ロゼッタ「…え、ええ、そうね。一体何があるのかしら」ギギギギギ

デイジー(油が切れたロボットみたいだなぁ)

サヤカ「わあ、金魚すくい!ママ、どっちが多く捕まえられるか勝負しよっ!」

ロゼッタ「う、うわー。サヤカ、掬うの上手ね!ママ、手先がふ、震えて全然捕まえられないわ」ブルブル

サヤカ「はいっ、タコ焼き買ってきたから半分こね!
     『お嬢ちゃんカワイイねグヘヘヘ』とか褒められて、1パック分サービスしてもらっちゃった!
     だから1人1パック食べられるよ!」サッ

ロゼッタ「」

ロゼッタ(サヤカには申し訳ないのですが、後で地獄が待っているのに、余計な物を食べたくありません……!
      ……デイジー姫、どうか、お助けを…!)

ポンッ

デイジー「安心して、ロゼッタ。不審者は私がきっちり成敗してくるから。
      というわけで、心おきなくタコ焼きを食べておきなさい」サムズアップ

ロゼッタ「」

287Mii:2018/10/12(金) 06:14:14 ID:8HL4SOHU
サヤカ「一回、屋台巡りはやめて、キャッチピースの続きをしようよ!」

ロゼッタ「そ、そーれ」ポイッ

テン、テン、テン。

飛距離:2m

サヤカ「…………」

ロゼッタ「えっと、サヤカ、これは、その」

サヤカ「ママ…私と遊ぶの、嫌になっちゃった…?」ジワァ

ロゼッタ「」

288Mii:2018/10/12(金) 06:15:42 ID:8HL4SOHU
デイジー「サ、サヤカちゃん!ちょっとこれには深いわけがあってね!ロゼッタは全力を出せなくなってるのよ!
      …あれ、こっちが素だって表現した方がいいのかな?と、とにかく、決して遊ぶのが嫌になったわけじゃないから!」

サヤカ「…昨日の、今日で?」

デイジー「そう、そうなの!第一、このロゼッタの顔がサヤカちゃんを嫌ってるように見える?見えないよね!?
      ってか、むしろサヤカちゃんに嫌われたに違いないと蒼白になってる顔だねこれ!」

ロゼッタ「」

サヤカ「…わかった。ママを信じる。だって私のママなんだから。
     疲れてるみたいだし、ベンチでおしゃべりなら…してくれるよね!」ニヘラ

ロゼッタ「サヤカぁーーー!!」ガバッ

サヤカ「え、え、ええ!?どうしてそんなに泣いてるの!?」

デイジー「色々と辛いことがあったんだよ、うん」メソラシ

289Mii:2018/10/12(金) 06:17:56 ID:8HL4SOHU
サヤカ「というわけで、膝枕がいい!」

ロゼッタ「グスッ…ええ、そのくらいなら喜んでやらせてもらうわ」

サヤカ「とうっ」グイッ

ロゼッタ「わぷっ」

サヤカ「ママ、軽―い!」ケラケラ

デイジー「…………ロゼッタが寝るんかーい!」

ロゼッタ「さ、流石に親が娘に膝枕をしてもらうわけには!」

デイジー「ロゼッタさんや、思いの外に楽な姿勢であることを脳が知覚して、
      全身が抵抗を諦めてまっせ」

ロゼッタ「…仕方ないじゃないですか」

290Mii:2018/10/12(金) 06:19:57 ID:8HL4SOHU
ロゼッタ(サヤカは、身の回りで起きた出来事を、面白おかしく話してくれました。
      特に力がこもったのが、キャッチピースについての話。

      サヤカの地元では野球というスポーツが盛ん。子供たちは小さいころから野球選手に憧れて、
      野球のボールを買ってもらうまではスターピースを投げ合って、
      キャッチボールや野球の真似ごとをして遊ぶようです。なるほど、それで投げ方を鍛えられたのですね)

サヤカ「…でね、こんな握りの形から投げるとストレート!…これならカーブ!
     …こっちならスライダー!…そんでもって、こうするとフォーク!
     まあ、握り方をとりあえず覚えてるだけで、実際に投げられるわけじゃ全然ないけどね」

ロゼッタ「へえ!面白いわね!」キラキラ

デイジー「……握ってるのがスターピースだけど、ロゼッタ理解できるの?
      実際の野球のボールにはある縫い目の空気抵抗がうんぬんかんぬん、って話なんだけど…」

ロゼッタ「握り方、縫い目への指の掛け方によってボールに掛ける回転ならびに進行面を絶妙に変え、
      球速との兼ね合いを考えつつ打者付近で大きく変化するように工夫するのですよね!
      私の頭の中には、スターピースの表面に縫い目がしっかりイメージできています」

デイジー「スピン力学のちからってすげー!」

291Mii:2018/10/12(金) 06:22:31 ID:8HL4SOHU
サヤカ「ママ、こんなにすぐわかるなんてすごい!カーブくらいならすぐ覚えられるんじゃないの!?」

ロゼッタ「そうかもしれないわね!ちょっと試してみましょう!」スクッ

デイジー「おいちょっと待った、それはカーブを凄まじく冒涜した発言だし、スターピースじゃ勝手が違う
      …っていうか、ロゼッタを変に調子に乗らせないでサヤカちゃーん!!」




〜昼食タイム、キノコ城〜

ロゼッタ「…………手首がグキッといきました…」ジワァ

デイジー「うん、知ってた。頭で理解するのと実際に体が動くのとは別だよね。特に今のロゼッタの体力だと…。
      よくサヤカちゃんにばれないように我慢したね、えらいえらい。
      一旦杖を返してあげるから治しておいでー」

ロゼッタ「はい…」グズッ

292Mii:2018/10/12(金) 06:24:27 ID:8HL4SOHU
キノじい「おっと、デイジー姫。姫様から手紙を預かっておりますのじゃ」

デイジー「ありがとー。さて、なになに…?」




手紙「ケーキ作りに掛かり切りになっちゃった。ロゼッタの昼食と夕食、デイジーが作ってあげて。
    明日の朝食にはなんとか戻れるようにするから。    ピーチ」

デイジー「……えっ」





デイジー「よし、なんとかなるものね。料理No. 15『キャシーディナー』!
      凄腕料理人キャシーさんの考案した、キノコをパスタと一緒に炒めた豪華な逸品!」

失敗料理「やあ」

ロゼッタ「……は、はい(やっぱりデイジー姫、怒っていますね…うう…)」パク

293Mii:2018/10/12(金) 06:26:07 ID:8HL4SOHU
デイジー「できたっ!料理No. 16『キャシースペシャル』!
      木の実の甘さと素朴な芋の味が見事に融和し、濃厚な味を醸し出す!」

失敗料理「しっかり別々に味を主張しておくぜ」

ロゼッタ「……………………」パク

デイジー「まだまだ行くよ!料理No. 17『キャシーデラックス』!
      ポテトとキノコステーキを混ぜ合わせて、どうしてこんな料理ができるのか私にもさっぱりわかんないやアハハ!
      達人の発想は理解できないなー」

失敗料理「また会ったな」

デイジー「私もちょっと味見してみよっと!…………マズゥイ!!」グハッ

ロゼッタ(…………あ、違った。単に、凝った料理を作るにはデイジー姫の料理の腕が足りなすぎるだけですね)

294Mii:2018/10/12(金) 06:28:26 ID:8HL4SOHU
デイジー「…うう、ごめんね。ピーチみたいに料理上手じゃなくて。作り直すよ…」

ロゼッタ「大丈夫です。既に食べ始めてしまったがために気付きましたが、
      味のまずさくらい、量に比べれば些細なことですから。無心になればなにも怖くありません」シンダメ

デイジー「それは現実逃避とか諦めの境地とか、満足の境界線を低次元に落とし込めただけじゃないかなあ」

ロゼッタ「とりあえず、言えることは……サヤカのためなら、頑張れます!」バクバクッ

デイジー「お、おう。母親って大変なんだね。じゃあ引き続き、失敗料理を生産してくるよ…」

ロゼッタ「あんまり応援はしたくありませんが、応援しておきます」フフッ








デイジー「なんだかよくわからないけど、こんなものができちゃった!
      料理No. 49『かみなりドッカン』!威力5の全体攻撃ぃっ!」

かみなりドッカン「さあ食え」

ロゼッタ「私が食べたら即死するものに限ってなんで上手にできるんですか!?」

295Mii:2018/10/23(火) 19:25:12 ID:1fjcNIyA
〜クッパ城〜

オーライオーライィー! ピピーッ!
カメック(クッパシップが延々と往復し、ケーキの材料がひっきりなしに下ろされていく…)

カメック「お、おいどうした、さっさと運べ!ピーチ姫に何を言われるかわからんぞ!」

カメック「お、おう」



ブオオオオオオオオオッ!
ピーチ(巨大)「ハアアアアアアアアアアアアアアアーっ!!」シャカシャカシャカシャカ

カメック「うおっ、すごい風圧っ!?iいいか、くれぐれも材料を落とすんじゃないぞ!」

カメック「ラジャー!…ピーチ姫―、こちらに届いた材料、置いておきますよ!」

ピーチ(巨大)「ありがと!ちゃんと、ロット指定通りの分量ずつにしてる?ダブルチェックやったわね?
         間違えると1ロット無駄になるわよ!!」シャカシャカシャカシャカ

カメック「もちろんですとも!というか、こんな作業増やしてたまるものですか!」フンス

296Mii:2018/10/23(火) 19:27:54 ID:1fjcNIyA
ピーチ(巨大)「あなたたちが用意してくれた器具、丈夫なうえにとっても使い勝手がいいわ!
         容器や殻を自動で外してタンクに貯めてくれる機器まで作ってくれたし!
         さっすがクッパが誇る魔法使い部隊ね!…あ、きょだいキノコ切れそう。1個お願い!」シャカシャカシャカシャカ

カメック「ほいさっ!」ヒョイ

ピーチ(巨大)「(バクッ)よし、助かるわ!じゃあ続けてやっていきますか!炉の方の準備はどう!?」シャカシャカシャカシャカ

カメック「最新鋭の機器に魔法制御も駆使し、繰り返しテストで空間全域において設定温度の±1℃以内に収めています!
     実際にスポンジを焼くときの温度ムラも±5℃以内となっております!」ビシッ

ピーチ(巨大)「上出来よ!でも油断しないで、どこか1か所でも異常が発生してストップすると全工程がホールドになっちゃうからね!
         おまけに規模が規模だから、作り貯めしておくスペースがないわ!
         魔法で異次元収納とか恐ろしく高度で疲労するようなことをやりたくなかったら、メンテナンス欠かさずにっ!」シャカシャカシャカシャカ

カメック(我々は100人以上総動員で3交代制でヒイヒイ言ってるのに…歴戦の姫は次元が違いますねえ、やれやれ)

297Mii:2018/10/23(火) 19:31:01 ID:1fjcNIyA
〜一方、どこぞのギャラクシー〜

マリオ「パワースター、150枚目ゲーット!!」グリーンスター ダケドナ!

ルイージ「やったね兄さん!」

ヨッシー「……でもマリオさん、なんだかペース落ちてませんか?」

クッパ「そうだぞ!このままでは3日間で間に合うかヒジョーに怪しい!
    もっとカリカリ急ぐのだ!」

マリオ「大丈夫大丈夫、ピーチとの連絡で期限延びたから。というか延ばさざるをえなくなったから。
     ロゼッタの体力づくりをちょっと優先させたいんだと」

ルイージ「あー、基礎体力をつけ直すっていうやつ?大変そうだね、ロゼッタ大丈夫かなぁ」ポン

298Mii:2018/10/23(火) 19:32:49 ID:1fjcNIyA
リオ「それに、1日120枚ペースはやっぱりしんどいからな。ペースを落とせるなら落としておきたいだろ?」

ルイージ(兄さんは少なくとも全く疲れてないよね)

マリオ「というわけで、適当なギャラクシーをステージにしてスマブラごっこやろうぜ。初期ライフ3で、ライフ0になったら負けな」

クッパ「おっ、いいな!道中で残機も結構増えてきたことだし!」

ヨッシー「いいですね!」

ルイージ「えええええ…」

――ピーチたちの計画の遅れを見越して遊んでいた。

299Mii:2018/10/23(火) 19:35:18 ID:1fjcNIyA
〜夜、キノコ城〜

ロゼッタ「」チーン

デイジー「サヤカちゃんとの午前・午後の触れ合いに、昼食・夜食の完食!お勤めご苦労様っしたー!」ケイレーイ

ロゼッタ(事前にトイレに向かっていたため事なきを得ましたが…お腹の感覚が…相変わらず…絶不調です……うぷ)

デイジー「あはは、面白い顔をしてるね。どう、少しは体の動かし方に慣れてきた?」

ロゼッタ「……まあ、多少は」

デイジー「それはよかった!じゃ、もう少し『ピーチフラッシュ』の効力を強めても大丈夫そうかな!30%くらい、行っとく?」

ロゼッタ「そそそそれはまだ、早いのではないでしょうか!?当分、20%でよいかと!無理はいけません、はい!」

デイジー「えー…」

300Mii:2018/10/23(火) 19:37:52 ID:1fjcNIyA
ロゼッタ(オモシロクナーイ、と口を尖らせながらも、デイジー姫は諦めてくれました。
      …お気持ちにお応えしたいのはやまやまですが、お腹だけではなく、既に体の節々が悲鳴を上げている状態。
      スターの精たちの技の副産物で眠くはないのですが、少しでも早くベッドに倒れこみたい状況です)

デイジー「じゃあまあ、今日はこのまま寝ることにしよっか。ピーチの部屋のベッド譲ってあげるからさ。
      眠くはないだろうけど、しっかり体を休ませておくのよ!じゃあね!」スタスタ

ロゼッタ「え、勝手にベッドを使わせて頂くというのはちょっと…」

デイジー「ピーチなら許してくれるって。それにちょくちょく遊びに来てる私は、専用の部屋ひとつ貰ってるし―!」ヒラヒラ

ロゼッタ「そ、そういう問題なのでしょうか…(バタン)ああ、行ってしまいました」

301Mii:2018/10/23(火) 19:41:02 ID:1fjcNIyA
視界に映る、鮮やかな絵画に彫刻。
なるほど、ベッドから改めて部屋全体を見渡してみれば、この部屋も思いのほか趣にあふれていたのですね。
それでいて、決して華美すぎず派手すぎず。棚などの調度品との融和もしっかり図られています。


ーーこれは、覚醒効果が作用していなくとも、中々寝付きたくなくなる環境ですね。
そんなことを、ゴロンと背中から倒れこんで、考えます。

カチカチ、と無機質な時計の針の音だけが、僅かながら耳に入ってきます。
枕もとの小さな明かりだけを付けた状態で、ボーッと時計を見やりました。



カチカチ。
カチカチカチ。
カチカチカチカチカチカチ――――。



ロゼッタ(…わかっていましたが。本当に眠れませんね…)

1時間経過。

2時間経過。

3時間経過。

そろそろ、横になったままというのも、少々馬鹿らしくなってきました。
…もう少し早く気付けばよかったですね。

302Mii:2018/10/23(火) 19:45:07 ID:1fjcNIyA
ふと、悪戯心が働いて、ベッドから身を起こします。
全体の照明は消したまま、童心に帰って…薄暗い部屋を探検することにしました。

探検とは大げさだなぁって?いえいえ、この部屋の広さをなめてはいけません。
さすがはピーチ姫の寝室。壁伝いに1周するだけで150…いえ、200メートルは優にありそうです。
そんな中を、目新しい物を訪ねて、のそのそと彷徨って回る。
私からすれば立派な探検と言ってよいでしょう。


今にも動き出しそうな、躍動感に満ち溢れた銅像。
…近づいたら目が赤く光って剣を振りかざそうとしたなんて馬鹿な話が、
ああああるわけありませんよね、あ、はは、ははは。

中から何か飛び出てきそうな絵。
…触れようとしたら表面が波打っていたのはきっと気のせいです。目の錯覚です。

デイジー姫がお菓子箱を取り出したガラス棚。
…いかにも貴重なトロフィーや盾が飾られているようでしたが、それよりも
「絶対にロゼッタを絶命させるスイッチ」とかが仕込まれていそうで、
まともに見ることができませんでした、はい。…トラウマって怖いですね。

303Mii:2018/10/23(火) 19:48:28 ID:1fjcNIyA
眺めるたびに口を小さくポカンと開けつつ、へぇ、とかほぅ、とか月並みの感想とため息しか出てこない自分に苦笑いしていたところで、
到着したのは衣裳棚。これがまた、本当に大きいこと。引き出しが何十個あるのでしょうか、数える気にもなりません。

試しに、大変無礼ではありますが一つ開けてみました。

暗がりで、はっきりと見えたわけではないのですが、
如何なる社交場に出ても恥ずかしくないこと請け合いの立派なドレスばかりです。

こ、ここまでするのが普通なのでしょうか。ちょっと眩暈がします。
…き、きっと来賓対応回数が尋常でないピーチ姫だからこそなのでしょう。そういうことにしておきましょう。





情けなくも現実逃避をしつつ視線を泳がせて…ふと、目に入った小さな引き出しがありました。

304Mii:2018/10/23(火) 19:52:32 ID:1fjcNIyA
気付いたのは本当に偶然。何せ、ほぼ反対側にあった隅っこの引き出しですから。
非常に些細なことなのですが、数センチだけ閉まり切っていなかったのです。

閉めておいてあげましょう…そんな、軽い気持ちで私は近づいていきました。




取っ手に指を掛けた…その時です。





ロゼッタ(……?この感触…術式が仕込まれている?)

興味が勝ってしまった私は、閉めるはずの引き出しを
ゆっくりと…ゆっくりと開けて、中にあった袋を取り出してみました。

…私の解析が正しければ…どうやら、『固定化』の魔法が掛けられているようです。
何故?という気持ちが渦巻きます。

305Mii:2018/10/23(火) 19:58:07 ID:1fjcNIyA
固定化魔法の使い道は、主に2つ。

一つは、ケーキ作りの時にもピーチ姫が漏らした通り、
「本来柔らかい・脆い物体の強度、硬度を高めて破壊されないようにする」というもの。

もう一つは、「物体の状態を保存して、時間による腐敗、風化、劣化を防ぐ」というものです。

どちらの使い方にせよ、一般に衣服について固定化を掛けるのは無駄としか言いようがありません。

強度のためならば、普通の服を固定化するよりも、最初から魔法の力を編み込んだ戦闘服を用意した方がよほど頑丈で長持ちするものを作れます。
そして、魔法の力を編み込んだ服については固定化が発動しない、という歯がゆいことになる始末。
「どうしても本来は頑丈にできないもの」を無理やり強化するときのみ、固定化が意味をなすと言っていいでしょう。

状態保存のためというのもおかしな話です。衣服なのですから、速やかに服屋に修繕してもらうか、
修復不可能なほど損傷が激しければ捨ててしまえばよいのです。
「国宝級のアイテムが傷ついた、専門家が到着するまで是が非でも保全しなければならない」みたいな、
ごく限られた状況下でのみ価値が出てくる。その程度の魔法なのです。



どうしても、どうやっても結論が出なかったので…失礼に失礼を重ねて、袋を開封してみることにしました。
私にしては、かなり大胆な行動かもしれません。

306Mii:2018/10/23(火) 20:03:26 ID:1fjcNIyA
と、その時です。



ーーヤメナサイ。
ロゼッタ(…え?)



ーーーーソレ、アケテハ ナラナイ!
ロゼッタ(…っ!!)ビクッ




身の毛もよだつ恐怖感と共に…
どこからともなく聞こえる声に、思わず手を放しました。
取り返しのつかないことをしでかしたのでは、とパニックに。



盗もうとする輩へのトラップが仕込まれていたのでしょうか。
もう瀕死になるのはこりごりと、ぶわっと汗を噴き出しながら遮二無二、後ずさります。

307Mii:2018/10/23(火) 20:07:29 ID:1fjcNIyA
五秒。十秒。三十秒。
ロゼッタ(…………何も、起こらない)

ほっとして、へたりとその場に座り込みました。
…しかし、落ち着いて考えてみれば、どこか変な話です。
警告の段階で諦めれば回避できるトラップなど、ピーチ姫の部屋にまで侵入した不届き者への仕打ちにしては
…これまた随分と手緩くはないでしょうか。

ロゼッタ(…………)スッ

血迷った…かどうかはわかりませんが、もう一度近づき、落とした袋を再び抱えます。




ーーアケテハ ナラナイ!



ロゼッタ「…………感情のこもっていない人工知能の声…というわけではないですね」



何故でしょう、どこか警告者自身が震えている気がします。



ロゼッタ「かといって、ピーチ姫の声、でもない」

こんなに気弱そうなピーチ姫はちょっと想像できないですしね。

308Mii:2018/10/23(火) 20:08:51 ID:1fjcNIyA
ああ、そうですか。








ロゼッタ「…これは、私の心の声ということですか」










第六感というものか、はたまた虫の知らせというものか。
時計の秒針が二回りほどする間、考えて…意を決して、開けてみることにしました。

309Mii:2018/10/23(火) 20:13:32 ID:1fjcNIyA
ファサッ…。


ロゼッタ「……なんでしょうか、これ?」



「ソレ」を広げてみたものの、最初はいまいちピンと来ませんでした。
そんなに警告を発するようなものには思えないのですが…。


青と赤が半分ずつくらい…いえ、青い下地が今にも赤に浸食されようとしている、
という方が正しいでしょうか。視る者全てを遠ざけてしまうような…禍々しい、酷い有様のドレスです。

ロゼッタ「というより、まさかこれって…夥しい量の血ですか!?痛々しいですね、一体どういう状況でこんなことに…」





そこで、ようやく私は気づく。



…このドレス、どこかで、見たことがないでしょうか。それも頻繁に、日常的に。
ああ、そうでした。血の部分がなければ、私が日頃身に着けているドレスそのもーー

310Mii:2018/10/23(火) 20:15:41 ID:1fjcNIyA
ドクン。


視界が、ぼやける。


ドクン。


なぜでしょう、息が苦しくなる。動悸が、激しくなる。


ドクン。



全く理解できないまま、津波のように押し寄せてくる感情。フラッシュバック。
激痛。
嘔吐感。
後悔。
絶望。



ナニモ カンガエラレナイ。



気付けばドレスは手をすり抜けてカーペットに落ち、体は抵抗もなく横倒しとなり――
ほどなくして、私の意識も失われていたのでした。

311Mii:2018/10/23(火) 20:19:16 ID:1fjcNIyA
「――――っ!――――っ!!」



ロゼッタ(…誰かが、私を、呼んで、いる?)


その人が、とっても悲しんでいる気がして…静かに、瞼を開けました。

ピーチ「ロゼッタ、ロゼッタ!目を覚まして!お願い!」ボロボロ

ロゼッタ「……………………」パチッ

ロゼッタ「…………ピーチ…姫…?」

ピーチ「……ああ、ロゼッタ!よかった……!!」

ロゼッタ「…すいま、せん。私、昨日寝付けずに。部屋を探索していて、それであのドレスを見つけて、それで…」


ピーチ「もういいの、わかったから。話さなくても大丈夫。大丈夫、だから……っ!!」ダキッ




泣き腫らしたピーチ姫にソファにて待つように言われ、待つことしばし。

荒れていた私の精神も少しずつ安定してきたところで、ハーブティーの淹れたカップをお盆に、ピーチ姫が戻ってきました。
私が黙ってそれを一口飲むのをきっかけに、ぽつぽつと言葉を紡ぎ始めました。

312Mii:2018/10/23(火) 20:21:13 ID:1fjcNIyA
『今』の私の記憶にはないけれど、マリオカート参戦にあたって、『未来』の私が、
筆舌に尽くしがたい、とてもつらい思いをしたこと。

状況全てを把握しているわけではないにせよ、『未来』の私が病室のごみ箱に…汚れきったドレスを捨てたらしいこと。

病院関係者からそれを受け取り、一時は捨ててしまおうとしたけれども、どうしても捨てられなかった、というピーチ姫の想い。



ピーチ姫は、時たま嗚咽を漏らしながら…赤裸々に語ってくれました。



ピーチ「…はは、ここまで血が染み付いて赤黒くなってると、キノコ王国の技術を以ってしても、元の状態に戻すのは無理なんだって。
     強引に漂白しようとすれば、元の透き通る青い色まで台無しにしちゃう。

     惰性で固定化まで掛けて、これ以上ボロボロにならないように…不衛生にならないようにはしてみたけど、
     いつか解決策が見つかるわけでもないのに…我ながら女々しいわよね、全く…」

ロゼッタ「……………………」

313Mii:2018/10/23(火) 20:27:45 ID:1fjcNIyA
ピーチ「おそらく、悲惨な状態のドレスを見ることで、断片的ながら記憶が繋がったのね。
     それも、まるで知りようのないはずのロゼッタの心の奥底に眠っている恐怖が、悲しみが暴走して。
     …ふう、もはや、百害あって一利なしの代物になっちゃったみたい。
    
     ようやく今度こそ、捨てる決心がついたわ。このことは、綺麗さっぱり忘れなさい」




ピーチ姫は立ち上がって、座ったままの私の頭を優しく撫でる。
私はただ…撫でられるがまま。




そして一呼吸おき、ピーチ姫は改めて、ドレスを前にして両手をかざす。

きっと、今から魔法で焼き尽くそう、滅しようとでもしているのでしょう。
手が眩く輝きだしています。




ロゼッタ「…………」

ロゼッタ「……………………っ!」サッ

私はーー思わず、ドレスをテーブルから掴み上げ…胸元に抱え込んでいました。

314Mii:2018/10/23(火) 20:30:47 ID:1fjcNIyA
ピーチ「…え、ロゼッタ、どうしたの?」

魔法の向ける先を失ったピーチ姫が、困惑してこちらを見やります。



ロゼッタ「…………正直言いますと、今でも…このドレスを見るだけで吐き気がします。
      …ですが、初見時のような激しい嫌悪感、というものはありません。

      それよりも…ピーチ姫との絆を…信頼関係を…感じて、とても嬉しいのです。
      …私に、向き合う時間を、いただけませんか?」



特訓の疲労と合わせて、辛さは倍に。それでも、ほのかに感じるこの暖かさ、心地よさを捨て去るのは…惜しいと、感じてしまいました。

ピーチ「……で、でもまた発作が起きたら…!」

ロゼッタ「大丈夫です、そもそも吐き気や嫌悪感は食事の方で慣れっこになっていますから、不本意ながら!
      …今ここで、このドレスが失われることの後悔の方が、大きい気がするのです。
      どうか、私の我儘、お許しいただけませんか…?」

ピーチ「……ハア、わかったわよ。一度言ったら、ロゼッタって案外頑固だものね」フフ

ピーチ姫の顔に若干ながら笑みが戻って、私としてもうれしい限りです。

315Mii:2018/10/23(火) 20:35:11 ID:1fjcNIyA
ロゼッタ「……ピーチ姫」

ピーチ「ん、なぁに?」

ロゼッタ「私、頑張りますから。今まで以上に、一刻も早く記憶を取り戻せるように」

ピーチ「…そう、わかったわ!私ものんびりしてられないわね!明日の朝ごはんも覚悟しておいてちょうだいよ!」

ロゼッタ「あ、はは、はい。お手柔らかにお願いいたしまーー」ビクッ

ピーチ「……ロゼッタ?」







ロゼッタ「…………」プルプル

ロゼッタ「すいませんとりあえず今は吐きそうですいや吐きます」ウプッ

ピーチ「えっあっちょっと待ちなさい私に向かって倒れ込んでこないでえええええ!!!」



ーーとりあえず、とっさにピーチ姫がドレスを投げ飛ばしてくれたおかげで、血濡れのドレスは汚れずにすみました。

え?その他?ノーコメントでお願いします。
何事かと今更駆け込んできたデイジー姫に、ピーチ姫が腹いせで回し蹴りを食らわせたのも、たぶん私のせいではありません。

316Mii:2018/10/23(火) 20:39:20 ID:1fjcNIyA

ズラズラッ…


ピーチ「さあ食べなさいロゼッタ、限界に挑戦よ」ユラァ

デイジー「コノ恨ミ晴ラサデオクベキカァ…」ユラァ

ロゼッタ(うわぁい、お二方とも目がマジです、睨み殺されそうです。
      保身のためにも、料理を全部平らげなければならない模様です)ガクブル



ーーまあ、でも。
頑張ろうという思いが沸々と湧き上がってきて、
私はフォークとナイフをせっせと動かし続けたのでした。

317Mii:2018/10/28(日) 12:42:08 ID:RX8TEHWE
ピーチ「…焚きつけた私たちが言うのもなんだけど、かなり食べたわね。ひぃ、ふぅ、みぃ…15皿も。
    すごいじゃない!これで私も、心置きなくケーキ作りに向かえるわ!じゃあ行ってくる!」ダッ

デイジー「やれやれ…ピーチ、タフだなあ。じゃあ、私たちも行こうか!
      星の精さーん、とりあえずピーチフラッシュを25%くらいで…」

ロゼッタ「…いえ。今日は30%に挑戦してみようと思います。昨日からの体力増強など微々たるものですが、
      余裕を捨てればこのくらいはカバーできるはずですから」

チョール「…え、いいの?ほいっと」パアアァァァァァ

ロゼッタ「ぐっ…………!さすがに、辛い、ですねえ…!!でも、気力次第でなんとかして…みせますっ!」ギチギチ

デイジー「お、おおーっ!なんかロゼッタ燃えてるねー!必死に歩いてていつの間にか疲労骨折とかやめてよねー、キャハハ」

ロゼッタ「いざとなったらスーパーキノコでごまかします!」キリッ

デイジー「うん、私ね、ロゼッタの持ち味のおしとやかさも好きだよ?あんまり打算的にならないでね…?」

318Mii:2018/10/28(日) 12:44:33 ID:RX8TEHWE
ロゼッタ「サヤカ、ママが荷物持ってあげるわ。手がふさがってたら不便でしょう?」

サヤカ「…手が震えてるけど、だ、大丈夫なの?」

ロゼッタ「だ、大丈夫よ!…たぶん」

サヤカ「そ、そう……?」



サヤカ「ちょっとトイレ行ってくるー!待っててね!」

ロゼッタ「ええ、わかったわ。…さてと」スクッ スッ・・・ スッ・・・

デイジー「ええっとロゼッタさん。何をやっていらっしゃるのかな?」

ロゼッタ「はい。サヤカが戻ってくるまで、スクワットをして少しでも体を鍛えようと。
      大したスピードではありませんが…時間を有効活用ですっ」ノロノロ・・・

デイジー「私含めてすっごく恥ずかしいからやめなさい」

319Mii:2018/10/28(日) 12:46:13 ID:RX8TEHWE
射的屋「お、なんでい。また来てくれたのかい?」

ロゼッタ「投げ方もなんとなく学びましたし、今度はしっかり投げて景品を手に入れて見せますっ!
      サヤカ、これはリベンジ戦なの。応援していてね!」

サヤカ「ママ、頑張れー!」

デイジー「(事前に魔法の杖を一度回収したと思ったら、スターピースの引き出しをやってたのか…)
      いいカモだなー。おー、がんばれー(棒)」











射的屋「……なんだ、その。流石に良心が痛むから、景品どれでも1個持ってけよ。
    散々スターピース恵んでもらったし」

デイジー「前回と合わせて、200個超えたんじゃないかなあ」

ロゼッタ「」ズーン

サヤカ「よしよし」ナデナデ

320Mii:2018/10/28(日) 12:48:47 ID:RX8TEHWE
デイジー「ねえねえ、私もちょっとだけやってみていい?見てるだけってのもつまんないし」

ロゼッタ「…はい、では残り少ないですが差し上げます…まだ非常用の第3倉庫以降がありますし…」

デイジー(一体いくつスターピースの備蓄があるんだってばよ)

デイジー「んーと。握りやすい、このスターピースでいいや。狙い定めて…えーい!」




ヒュゥー……ガコンッ!!





デイジー「あ、普通に当たった」

ロゼッタ「」

射的屋「うおっ、そっちのお嬢さんはとんでもなく上手いじゃねぇか!
     しかも、侵入禁止のラインから体を全く乗り出さない正々堂々っぷり、惚れ惚れするぜ!
     ほれ、景品どうぞっと」

デイジー「ありがとー!じゃあロゼッタもご厚意に甘えて、景品選びなよ!」

ロゼッタ「……はい」グズッ

ロゼッタ(もっともっと…強くならなければ…!)

321Mii:2018/10/28(日) 12:51:36 ID:RX8TEHWE
〜夜〜

デイジー「くー」スヤァ




ロゼッタ「――――――――97」

ロゼッタ「――――――――98」

ロゼッタ「――――――――99」

ロゼッタ「――――――――100」

ロゼッタ「――――――――101」



マール「…こんなに夜遅く、何をやっているの?照明も付けずに。
     百鬼夜行の真似ごと?お百度参り?」

ロゼッタ「ハァ……ハァ……は、話しかけないで、くださいよ。どうせ寝られないので、
      体を鍛えるために『しゃとるらん』なるものをやっているだけですから。
      この部屋、おあつらえ向きな広さをしていますし」

チョール(思いっきり歩いている時点で本来ならリタイア扱いじゃがのー。
      まあ、運動すること自体に意義があるから立派なことじゃ)

322Mii:2018/10/28(日) 12:53:05 ID:RX8TEHWE
マール「まあ、必要なら『すっきり爽快』で補助できるけどね、何度も言うように精神摩耗には効果がないのよ。
     ストレス貯め込み過ぎないようにね」

ロゼッタ「まだまだ、です。とりあえず100往復するまでは終われません」

マール「100往復なら今さっき終わったじゃない」

ロゼッタ「…あ、そうでした!…確かに疲労がたまっているようですね、終わりにしましょう」

マール「はい、引っ掛かった。片道ごとにカウントしてるから、まだ51往復目ー。
     ……本当に疲れてるじゃない」

ロゼッタ「」







ロゼッタ「…………なら、のこり半分もこなすまでですっ!」テクテク

マール「…ピーチちゃんに怒られるかもだし、強制的に眠らせようかな」

チョール「やめてあげなさい」

323Mii:2018/10/28(日) 12:55:11 ID:RX8TEHWE
―――30%、35%、40%。

自分の限界を見定めつつ、少しずつピーチフラッシュの効果を高めていく。



―――40%、45%、20%、20%。

時には限界を見誤り、内臓の方が深刻なダメージを受けていてドクターストップ。
お腹を押さえて身悶えながら、ベッドで1日寝たきり、なんてことも。



…それでも、めげない、投げ出さない。



今までとは比べ物にならない量の栄養素よ、筋力と健康の糧となれ。
昨日より、百歩…いえ、千歩多く足を踏み出せる自分を目指せ。

ロゼッタ「ピーチ姫がケーキを作り終えるまでに、
      自分の力だけで体をカンペキに動かせるようになりますよ…!」





デイジー「それはペースを考えてもあまりにも無謀で不可能な話なんだけど」

ロゼッタ「ですよねー」ガックリ

324Mii:2018/10/28(日) 12:56:59 ID:RX8TEHWE
〜ギャラクシー〜

マリオ「よっしゃあー!240枚目のスター、ゲットだぜ!」

ルイージ「あっといっちまい!あっといっちまい!」ルンルン

ヨッシー「明日はクッパの誕生日ですし、ケーキできてるでしょうからさっさと食べに行きましょうよ!
      (さっそく、最後の一枚も油断せず取りに行きましょう!)」

クッパ「心の声と逆になってるぞー」

マリオ「しっかし、ちょいと先読みして『241枚集めきったぞ』ってメールをピーチに送ったんだが、
    全然返事がないな…何かリアクションが欲しいんだが…」

ルイージ「ケーキ作りに精根尽き果ててグロッキー状態になってるとか」

マリオ「はっはっは、まさか。ピーチに限ってそれはない」

ヨッシー「ないない」

クッパ「ないわー」ガハハ

325Mii:2018/10/28(日) 12:59:47 ID:RX8TEHWE
〜クッパ城〜
ピーチ「…………」フラフラ

デイジー「……」ジーッ

ピーチ「右を見ても、ケーキ。左を見ても、ケーキ。

     前を見ても、ケーキ。後ろを振り返っても、ケーキ。

     上を見上げても、ケーキ。下には片づけ損ねて踏ん付けた廃棄ケーキ…

     口の中も、寝る所も、みんなケーキ…」ウワゴト

ロゼッタ「」

326Mii:2018/10/28(日) 13:01:58 ID:RX8TEHWE
ピーチ「飴にも負けず、風邪にも負けず――
    氷にも焼成炉の熱さにも負けぬ丈夫な体を持ち――
    欲はなく怒る暇もなく、いつも無表情に働いている――

    一日にケーキ40ホール分とクリームと余りのフルーツを食べ――
    あらゆる工程を、自分の感情を挟まずに――
    よく指導し状況把握し、そして忘れず――
    ケーキとケーキの間の陰の小さな仮眠スペースにいて――


    東に腐りかけのフルーツあれば、行って勿体ないと自分で食べるしかなく――
    西に疲れたカメックあれば、行って回復魔法を掛けてやり――
    南に死にそうなノコノコあれば、行ってもう働かなくてもいいと言い――
    北に不注意による配分ミスがあれば、作り直しにすぐさま取り掛かりつつ、
    お願いだからやめてと言いながら、味の悪い大量の不良品を頬張り――」ブツブツブツブツ

デイジー「……ピーチがここまでなるなんて。なんて魔境なの…!」

ロゼッタ「あわわわ…」

327Mii:2018/10/28(日) 13:03:57 ID:RX8TEHWE
ピーチ「大体、カメックたちったら酷いのよっ!交代制で働いて、負担は遥かに小さいくせに、
    ちょっと感心したり褒めたりしたら、すぐにミスをするんだからっ!
    超特大ボウルを頭上から落とされたときとか、
    きょだいキノコと毒キノコを間違えられたときなんかは殺意を覚えたわ!」

カメック「で、ですからー、何かの間違いじゃないですか?流石にそんな素人は我らカメック部隊に居ませんって」

ピーチ「実際に気絶したり毒に苦しんだりしたでしょうが!言い訳無用!」

カメック「ひいいいいいいいい!」

デイジー「どうどう、抑えて抑えて」

328Mii:2018/10/28(日) 13:05:39 ID:RX8TEHWE
ピーチ「……ふ、ふふ、ふふふふ。オーッホッホッホッホ!でも安心しなさい、デイジーにロゼッタ。
     紆余曲折あったけれど、まもなくケーキは完成するわ!クッパの驚く顔が今から楽しみで仕方がないわ!」

デイジー「……そのこと、なんだけどさ。やっぱり、作ったケーキ、クッパが心停止するくらい大きすぎるんじゃあ…」

ロゼッタ「そ、そうですよ!」アタフタ



ピーチ「今から楽しみで仕方がないわ…!」ゾクゾク

デイジー「だから、ちょっと頭を冷やしてだねー」




ピーチ「ああ、今から楽しみで仕方がないわぁ……っ!
     仕上げに取り掛かるから、貴方たちは首を長くして待っておきなさい!」グヘヘ

デイジー「ソウデスネー、ワカリマシター」

ロゼッタ「タノシミデスネー」

329以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/28(日) 20:44:58 ID:eBTnyVLY
修羅場だなあ…

330以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/31(水) 18:47:24 ID:C5iFu53I
ディアボロ「あれ.....ここは.....どこだ....レース場?」
ディアボロ「ッ!」
ロゼッタ「今のところ一位だし猛スピードでゴールだッ!」
ディアボロ「おれのそばに近寄るなーーーーーッ!!!!!」
ロゼッタ「あれ?なんか轢いた?....まぁいいや♪」

今日のボス「ロゼッタに轢かれ死亡」

331Mii:2018/11/01(木) 23:02:59 ID:G5zCGrJU
ロゼッタ(ああ、そうだ。忘れずに、伝えておかないと)




――クッパの誕生日が来る、ということは。
マリオ達がパワースターを集め切る、ということ。





それは、星くず祭の終わりを…私の帰還を意味するのだから。

332Mii:2018/11/01(木) 23:03:45 ID:G5zCGrJU
サヤカ「…ええーっ!今夜で星くず祭、終わっちゃうの!?」

ロゼッタ「……ええ、そうよ」

サヤカ「…………嫌、嫌だ!それって、ママとお別れしないといけないってことでしょ!絶対絶対、反対なんだから!」

前もって理解はしているはずのサヤカ。しかし…気持ちの整理がそう簡単に付けられるはずもありません。
私でもこんなに辛いのです、幼いサヤカにとってはなおのことでしょう。
それだけサヤカにママとしての役割をこなせていたのだ、と嬉しくもありますが――。

あちこち回って、キャッチピースをして、いろいろな話で盛り上がって。
本当に楽しいひと時でしたが、終わりの時が近付いてきたようです。

333Mii:2018/11/01(木) 23:05:46 ID:G5zCGrJU
サヤカ父「こらサヤカ、ロゼッタさん…いや、ママを困らせるんじゃない!」

ロゼッタ「…心配しないで、サヤカ。お別れしても、ママの心の中に、サヤカはずっといるから。
     サヤカの心の中にも、ちゃんとママがいて――これからずっと、見守っていてあげるから。……ね?」スッ

サヤカの頭を優しく撫でようとします…が、サヤカ自身の手によって、乱暴に跳ね除けられてしまいました。
パシン、という高い音が響きます。そのまま泣きながら走り去っていくサヤカを…私は、すぐに追いかけることはできませんでした。



ロゼッタ「申し訳、ございません…」

サヤカ父「一体全体、どうしてあなたが謝るんですか。感謝してもしきれないくらいのものを頂いたというのに…。
      本当に、ありがとうございました」フカブカ

ロゼッタ「いえ、私は大したことは…」

サヤカ父「サヤカが別れをあんなに惜しんでいるというのが、大したことをしてのけた何よりの証拠ですよ。
      …さてっと、よそは祭の終了時期を知らないみたいですが、私は店じまいの段取りに移らせてもらいますか。
      仕込をやめてキリ良く在庫を売り払って、最大の利益を叩きだして見せますよ!」ニヤリ

サヤカの父親に元気をもらって、体の制約に逆らいゆっくりと…しかし確実な足取りで、ようやくサヤカを追いかけ始めるのでした。

334Mii:2018/11/01(木) 23:08:16 ID:G5zCGrJU
デイジー「綿飴にそれほど仕込要素ってないんじゃあ…無理に安く売り払うくらいなら、
      なんなら今日の最後に定価で私たちが残り全部買い取るよ?仲間たちに配って食べてもらうからさ!
      だから気にせず日が暮れるまで仕込を続けて、売り上げの限界に挑戦したらいいのよ。はい、前金のコイン!」ドサッ

サヤカ父「おお、こんなに大金を軽々と…いや、そこまで贔屓にしてもらっては、流石にズルいというものですよ。
      受け取れません。 叩き売り価格でなら喜んで売らせて頂きますが」

デイジー「むう、頑固な人ねー。じゃあ、泣きついてくるのを待ちましょうか、なんてね」

サヤカ父「それにしても…前々から思っていましたが、貴方たち一体何者なんですかねえ」

デイジー「ひっみつー!気になるなら、今度『大会』があるときに観光に来るといいよ!
      じゃあ、私もロゼッタの護衛しに行きまーす!」

サヤカ父「……護衛?」ハテ

335Mii:2018/11/01(木) 23:10:10 ID:G5zCGrJU
サヤカ(ママがいなくなるだなんて、そんなの、嫌だよう)



――公園の奥にある、一本の大きな木。たぶん、公園の中で一番大きい木だと、思う。



お日様ポカポカ状態で、幹にもたれ掛かって目をつぶると、あたたかくてすっごく安心できた。



――まるで、ママに抱きしめられているみたいで。




残念ながら、30分もしないうちに、はだ寒い、雨でも降りそうなくもり空になって――
いまのわたしの気持ちみたいで、また涙がこぼれてきた。



さらに30分くらい…経ったかな。
ママ…ううん、ロゼッタさんが、落ち着いたというか、疲れ切ったというか…ゆっくりと現れたの。

336Mii:2018/11/01(木) 23:11:59 ID:G5zCGrJU
ロゼッタ「ハァ、ハァ……くっ、2週間近く経つというのに、
      50%を克服するのに四苦八苦しているというのですか、我ながら情けないですね…っ!」

――ロゼッタさんと、バッチリ目が合っちゃった。
今さらながら、慌てて木の裏側に隠れたの。意味なんか、ないのに。

サヤカ「ロゼッタ…さん。どうして、ここがわかったの?」





ロゼッタ「…ねえサヤカ、そのまま…隠れたままでいいから聞いてちょうだい」

サヤカ「……」

ロゼッタさんが、優しく、静かに語り掛けてくる。







ロゼッタ「ママはね…本当は、もはや、この惑星の住民ではないの。だから、星くず祭が終わったら、
      サヤカと一緒にサヤカの故郷に帰ることはおろか、キノコ王国に…この星に留まるすら許されないのよ」

サヤカ「……っ!?」

337Mii:2018/11/01(木) 23:13:36 ID:G5zCGrJU
ロゼッタ「そして…ママには、サヤカみたいに私のことを待ってくれている者が、星がたくさん…たくさんいるの。
      その子たちの行く末を見届けてあげることが、ママの使命であり責任であるのよ」

サヤカ「…………」

ロゼッタ「ちょっと難しかったかしら。でもこれだけは言っておくわ。
     ママは、サヤカのママになれてとても幸せだったし、いつまでもサヤカにママと思われたいと願っている。

     さっきは『ロゼッタさん』なんて呼び方をされて、すごく悲しかったわ。
     今夜お別れするときは、今まで通り、『ママ』って呼んでくれることを期待しているわ」

サヤカ「……」





ロゼッタさん…ううん、ママが立ち去る音が聞こえる。
でも、どうしても勇気が出せなくて…わたしは、じっとしているだけだった。

338Mii:2018/11/01(木) 23:16:03 ID:G5zCGrJU
ザッ…。

サヤカ父「よっ、サヤカ」

サヤカ「うひゃあ!?お父さん、いきなり頬っぺたを突っつかないでよ!それに、お商売は!?」

サヤカ父「お前が泣き去る姿が目に焼き付いて、居ても立っても居られなくなってな、一旦探しに来ちまった。
      ……結婚の妄想が恐れ多くなるくらいのママじゃないか、こんな別れ方でいいのか?サヤカは満足なのか?」

サヤカ「…だって」





サヤカ父「バッカモーン!そんなメソメソする子に、お父さんは育てた覚えがないぞ!情けない!
      感謝の印にプレゼントを送ってママをビックリさせるくらいの気持ちでいないでどうする!」

サヤカ「え、えええーっ!?そういう流れなの!?」

サヤカ父「…あー、コホン。もちろん、お金がかかるプレゼントはナシだ。
      そんな余裕はないし、あの人たち…相当なお金持ちっぽいからな、
      大してありがたくも無いだろう。

      いいか、サヤカ自身の気持ちをこめたプレゼントを探し当てること、
      それが今日のサヤカの宿題だ!期限は今日の夕方までっ!よーい、スタートゥ!」ババーン

サヤカ「そ、そんなぁーーーっ!」ダッ

でも…パパ、背中を押してくれて、ありがとう。ちょっぴり勇気が出てきたの。

339Mii:2018/11/01(木) 23:18:10 ID:G5zCGrJU
〜キノコ城〜

ピーチ「……ZZZ」グー

デイジー「戻ってくるなりパタリと寝ちゃったよ…まあ、ケーキ完成したならいいの、かな。
      あーあー、PC付けっ放しにしてー!…ああ、マリオのメールを読み損ねてる!
      …スター集め切った!?超重要事項なんですけど!起きろー!」ゲシゲシ

ロゼッタ「まあまあ、酷く疲れている様子ですし…」

デイジー「そんなこと分かってるけどさ、ピーチに指示してもらわないと私たちも動けないでしょ!」

ロゼッタ「今夜に星くず祭の終了を宣言してもらって、クッパの誕生日を祝って、明日の朝にはクッパシップでこの惑星を発つ。
      それだけ分かっていればなんとかなりますよ」ペロッ

340Mii:2018/11/01(木) 23:21:38 ID:G5zCGrJU
デイジー「しかもそれだけじゃないよ、他のメールもワンサカ、リアルタイムで来てる!
      さすがピーチ、この量を普段は読み切ってるのか…!なになに…?

      『ご当選おめでとうございます!厳選なる抽選のうえ、貴方は選ばれました!
      クリックして進んで、すぐに会員登録を…』
      
       …え、何?お姫様に詐欺メール送る、怖いもの知らずがいるの?


      『体の節々が痛むそこの貴方!今ならこの健康青汁が、なんと毎月10コインで届きます!』
      
      …十分ピーチは健康だよ!?一時的に不調に陥ってるけど!


      『ニンテンドーからのお知らせ【次回作の打合せについて】』
   
      …これは保護だね、絶対。消すなよ?絶対に消すなよ?


      『(本文がありません)』
      
      ……悪戯かしら?差出人…『なっちゃん』って誰よ…あれ、じゃあ悪戯じゃないのかな?
      ううむ、さっぱりわからん…


      『ピーチ姫、こんにちは!私たち、フェアリーランドの妖精なの!
       キノコ王国と友好を深めたくてメールを出させてもらったわ!ついては条約を結びたいんだけれど…』
     
      軽っ!?内容に対して砕け過ぎじゃないかしら、この文面!?国家間のやりとりがこんなんでいいの!?」

341Mii:2018/11/01(木) 23:23:53 ID:G5zCGrJU
ロゼッタ「……」ペロペロ

デイジー「ふう…ところで、何食べてる…というか舐めてるの?自分から間食するなんて珍しい」

ロゼッタ「ふふ、ピーチ姫が、余った材料でキャンディをいくつか作ってくれたんです。
     今舐めているのはココナツキャンディというものらしいですよ。甘い物をたべてばっかりだと太りそうですが。
     デイジー姫もおひとつどうですか?」

デイジー「へー、食欲が出てきたのは凄くいいことよ。じゃあ遠慮なく。
      …あ、これはびりびりキャンディだね。ピリッとした刺激がたまらないんだよねー。
      じゃあ、いただきまー…」チラッ

ロゼッタ(1本目を舐め終わって、2本目に移ろうとしている)

342Mii:2018/11/01(木) 23:25:35 ID:G5zCGrJU
デイジー「……ロゼッタ。私、やっぱりそっちのキャンディの方がいいなあ。交換してくれないかしら?」

ロゼッタ「目移りするのはわかりますが、駄目ですよ、いくらデイジー姫の頼みと言えども。
      この綺麗な赤い色を見た時から、食べようと決めていたのですから」フフン

デイジー「いや、ロゼッタが食べるとあんまりよろしくない気が…」

ロゼッタ「ピーチ姫が手ずから渡してくれたお菓子に、流石に致死トラップが仕掛けられているはずはないでしょう。
      それでは、どんな味か確かめてみましょう」ペロッ

デイジー「致死じゃないけどさぁ…」







ロゼッタ「アツゥイ!!」 HP -1

デイジー「うん、ファイアキャンディだからねー」

343Mii:2018/11/01(木) 23:29:37 ID:G5zCGrJU
サヤカ「…ママへのプレゼント、間に合うかなあ」

あれこれ迷ったあげく、四つ葉のクローバーの花冠に決めたはいいけれど。
公園のどこを探しても、三つ葉のクローバーしか見つからない。
まだ夕方まで時間はあるけれど、さすがにこのままじゃまずいかも…!

「お、おやおや?お嬢ちゃん、こんなところで何をしているのかなあ?」

不意に、声を掛けられちゃった。

サヤカ「…えーっと、誰だっけ?」

タコ焼き屋「酷いなあ、タコ焼き1パック、サービスしてあげた仲じゃないかー…グフフ」

サヤカ「あ、タコ焼き屋のおじさん!あの時は、ありがとうございました!
     お店の方は放っておいていいの?」

タコ焼き屋「いいのいいの、道楽でやってることだし、儲けなんて気にしないよ。
       そんなことより、俺のロリコ…いや迷子センサーが発動してね。何か困りごとかい?」キリッ

サヤカ「迷子じゃないよ?でも、四つ葉のクローバーを探してるのに、全然見つからないの…」

タコ焼き屋「それは困ったね…よし、俺も一緒に探してあげようじゃないか。
        そ、そそそそのかわり、キミの写真、1枚取らせてもらって構わないかな!?
        それさえあればおじさん、百人力だよっ!」

サヤカ「えっ?」

344Mii:2018/11/01(木) 23:32:00 ID:G5zCGrJU
タコ焼き屋「よし、一眼レフの準備オッケー!さあ、さあさあ」

サヤカ「え、えええ……?」ヒキッ


ボカッ!!



タコ焼き屋「ぐふっ……」バターン

「やれやれ、危ない危ない。危うく変態の毒牙に掛かるところだったよ〜?」

サヤカ「…この人、変態さん?」

「そうだね…おっと、四つ葉のクローバーを探しているんだっけ〜。
 どれどれ…お、これなんか、どうだろう?」サッ

サヤカ「…ああっ!四つ葉だ、こんな一瞬で見つかるなんて、凄い!お兄さん、何者?」

「フフッ、『幸運』の花言葉を持つ四つ葉のクローバーだもの、
クローバー側としてもそうやすやすと見つけさせるわけにはいかないと思っている。
見つけるにはコツがあるのさ。植物の気持ちになって、相手の警戒心を解くことが大事なんだ。

サヤカ「な、なんだかすごいね」ゴクリ

「まあ、初心者には難しいよね。でも大丈夫!植物に成り切れる、すごいアイテムがあるんだ。
ちょっと試してみるかい?」スッ

サヤカ「うん、お願いします!」

345Mii:2018/11/01(木) 23:34:23 ID:G5zCGrJU
「どうだい、順調に四つ葉のクローバー、探せてる?」



サヤカ「ウン!」



「それはよかった。…ところで。クローバー、もといシロツメクサの花言葉って、
葉の数で変わる上に、同じ枚数でも真逆の意味を併せ持ってたりして、複雑で興味深いんだよね〜。

例えば、平凡な三つ葉のクローバーにも、『約束』とか『私を思い出して』とかがある一方、
コワーイ花言葉があるんだけど、知ってる?」

サヤカ「ンー、ワカラナイ」





「そっか。答えはねえ……………………『復讐』だよ」





サヤカ「ヘー。ヨツバ、ヨツバ」

346Mii:2018/11/01(木) 23:35:48 ID:G5zCGrJU
ロゼッタ「…………」ジーッ

サヤカ父「…こうして貴方に綿飴づくりを見せられるのも、今日で最後ですか。
      私としてはあくまで商売道具であって、それ以上でもそれ以下でもないですが…
      ここまで気に入って貰えると、ちょっとむず痒いですね」

ロゼッタ「……そう、ですね。すっかり気に入ってしまいました」

デイジー(ピーチに頼めば、綿飴機の一つや二つ簡単に調達してくれるだろうけど…
      まあ、野暮ってもんだよね。…あはは、童心丸出しで覗き込み続けるロゼッタが自然と客引きになって、
      ますます繁盛してるや。でも正直、私はちょっと退屈かなあ、ふあああ)

347Mii:2018/11/01(木) 23:37:41 ID:G5zCGrJU
〜夕方〜

ロゼッタ「……サヤカ、遅いですね…」

デイジー「確かに、遅いなあ」

サヤカ父「大丈夫ですよ、サヤカならきっと今頃、ロゼッタさんへのプレゼントのため駆け回っていることでしょう。
      おっと、ばらしたことは内緒にしておいてくださいね?」

ロゼッタ「え、プレゼントですか!それは楽しみですね!ふふふ…………」





ロゼッタ(……………………おかしい。喜ぶべきはずなのに、妙な不安が拭いきれずにいる。
      …何か、嫌な予感が…する)

デイジー「あ、あれって…クッパシップ!マリオ達、キノコ王国に戻ってきたんだ!
      よし、迎えに行きましょう!…って、あれ?ロゼッタ、どうしたの?そっちじゃないよ?」

ロゼッタ「すいません!私、やっぱりサヤカを探しに参ります!デイジー姫はそちらに向かわれても構いませんよ!では!」ダッ

デイジー「ええ!?そんなこと言われても…」ポリポリ

デイジー「しょうがないなあ、私も付いてくー!」ダダッ

348Mii:2018/11/01(木) 23:39:28 ID:G5zCGrJU
サヤカ、サヤカ。



あちこち、あてもなく駆け回る。




サヤカ、どこにいるの!?




…現在、ピーチフラッシュの効果は50%。正直、中々キツイ負荷ですが。
ここまであちらこちらへ動き回ったのは、今日の中で初めてかもしれません。


今日の昼前、サヤカに語り掛けた場所から、更に奥。
ピリッとした違和感――『ナニカ』を察知して、公園の奥にやってきました。
私の後ろを、デイジー姫がピッタリ付いてきています。心強いですね。

349Mii:2018/11/01(木) 23:41:02 ID:G5zCGrJU
右へ曲がり、左へ曲がり、左へ曲がり、前へ突っ切り、右へ曲がり。



前へ突っ切り、左へ曲がり、右へ曲がり、右へ曲がり、左へ曲がり。



デイジー「あっれー?この公園、こんなに広かったっけ?ハッ、もしや幻術!?」

ロゼッタ(…デイジー姫も、気付きましたか。しかし、これは五感を狂わされているわけではない、と思います。

      何者かによって、実際に『空間が歪められている』という説明が妥当ですね)




――デイジー姫。速やかに、私に杖を戻してください。緊急事態です。




そう、言おうとした矢先でした。




目の前に広がる、一面のクローバー畑。
その中央に倒れ伏す、サヤカ。

350Mii:2018/11/01(木) 23:43:51 ID:G5zCGrJU
デイジー「サ、サヤカちゃん!!」ダッ

ロゼッタ「!!!」

デイジー姫がサヤカに真っ先に気付き、駆け寄っていく。
すぐさま、私も可能な限り全力で…全力で駆けていく。

ぐったりしたサヤカを抱き寄せ、オロオロするデイジー姫を…





ロゼッタ「…はああっ!」ドンッ




なけなしの勢いを以てして、突き飛ばす。




デイジー「……え」

思わずサヤカを放してしまい体勢を崩していきながら、驚き目を見開くデイジー姫。
その視線の先には、『誰も映っていない事でしょう』。

デイジー「え、嘘、なんで?サヤカちゃんは?ロゼッタは?どこに行ったの!?」マッサオ

351Mii:2018/11/01(木) 23:46:21 ID:G5zCGrJU
ピーチ「ZZZ…」

ピーチ「ZZZ…」

ピーチ「ムニャ…あ、ちょっと、マリオ、何やってるのよ…みんな見てるわよ…むしろ凝視してるわよ…」

ピーチ「ぐぅ…まだやるの?…え、そ、そんな回数まで?正気?この…変態!」

ピーチ「…ああ、ちょっと!もう無理!壊れる、壊れちゃうからぁ!やめてぇ!」




ピーチ「これ以上速度貯められたら鍵扉どころかキノコ城全壊するわあっ!!」ガバッ






ピーチ「……ゼェ、ゼェ…なんだかおっそろしい夢を見ていた気がするわ…」

352Mii:2018/11/01(木) 23:49:07 ID:G5zCGrJU
ドンドンッ!

デイジー「大変よ、ピーチ!サヤカちゃんとロゼッタが攫われたのっ!ウワーン!」

ピーチ「……なんですって!?詳細を手短にっ!!」カクセイ

デイジー「ご、ごめんなさい。わ、私、なんにもできなかった。それどころか、ロゼッタに庇われちゃったっぽいの…」ポロポロ

ピーチ「詳細って言ったのに…え、庇われた?基礎体力で圧倒的に上回るあなたが?」

デイジー「グズッ…えっと、倒れたサヤカちゃんが目に入ったから、2人で駆けこんだんだけど…
      一番乗りしたばっかりの私を、ロゼッタがドンッて押しのけて…
      それで、気が付いたらサヤカちゃんもロゼッタも視界から消えてて…」

ピーチ「…その説明から推測するに、ロゼッタは最初からあなたを突き飛ばす目的で駆け込んだっぽいわね。
     …罠のネタが分かってた?…………ロゼッタが得意な魔法って、確か」

デイジー「…………空間系の魔法」





ピーチ(…………っ!)

デイジー「ど、どうしたの急に?」

353Mii:2018/11/01(木) 23:50:31 ID:G5zCGrJU
ピーチ「デイジー!私が眠りこけてた間、メールを盗み見たりした!?」

デイジー「あ、うん、ごめん」

ピーチ「今は許すわ。それで、意味深なメールが飛んでこなかったかしら?」

デイジー「…うーん、詐欺メールと通販と任天堂と妖精と…あ、『なっちゃん』って人から空メールが送られてたよ」

ピーチ「……っ!ビンゴじゃ、ないのっ!!デイジー、現場へ案内して、いますぐっ!」ダダダッ!

デイジー「りょ、了解っ!!」ダッ

354Mii:2018/11/01(木) 23:53:33 ID:G5zCGrJU
マリオ「……あ、ピーチから電話だ」Prrrr

マリオ「おー、寝てたのか?こちとら無事にパワースターを241枚集めて、まもなくキノコ王国に着陸…」

マリオ「……………………」

マリオ「はああああああああああっ!?マジか!
    おう、わかった、場所の案内をすぐ頼む!それじゃっ!」ピッ



クッパ「どうしたのだ、そんな大層な剣幕で」

ルイージ「い、一体何があったの?」



マリオ「かなり確証の高い推測、という段階だが。…………

    ロゼッタが――
    ディメーンの野郎に空間転移で攫われたらしい」


クッパ「なんだとぉ!?」

ルイージ「なんだって!!?」

ヨッシー「…??」

355Mii:2018/11/01(木) 23:55:04 ID:G5zCGrJU
デイジー「ディメーン?って誰のことよ!」ダダダッ

ピーチ「割と新参の敵よ!現実に絶望し、予言書に従い世界を作り替えようとしたノワール伯爵っていう奴の手下…
     というのが表の顔だったんだけど、実は伯爵をも利用して、ピュアハートの力で世界を征服しようとしていた極悪非道な奴!
     倒し切ったはずなのだけど…!」ダダダッ

デイジー「強いの?」ダダダッ

ピーチ「戦闘力的には私たちの足元にも及ばないけど、次元を超えた転移魔法で好き勝手移動できる厄介者ね。
     人の心を操る魔法も持ち合わせているみたいだし、ゲリラ戦法に出られたらどうしようもないわ。
     油断した隙を衝いて一撃で葬らないと、人質取られ放題よっ!」ダダダッ

デイジー「厄介極まりないねっ…!そいつがそこまで賢くないことを祈るよ!」ダダダッ

356Mii:2018/11/01(木) 23:57:21 ID:G5zCGrJU
ユサ、ユサ。
誰かが、倒れている私の体を乱暴に揺さぶる。

ロゼッタ「…………うぅ」ムクッ

「ようやく目が覚めましたか。呑気なんですから、全く」

視界には天井…では、ありません。
緑のような、青のような、赤のような…定まらない色、距離感の隔壁。
その光景は、横にも、前にも、地べたにさえも広がっています。
平衡感覚がおかしくなりそうです。


どうして、自分はこんなところで倒れているのか。
…いえ、その前に。そうだ、あの子を、救い出さないと!



ロゼッタ「サヤカっ!どこ、どこにいるの!?」

「…その『サヤカ』というのが、ここに迷い込んだ小さな女の子で合っているのなら…
ほら、そこに寝かせてあります。幸い、気絶しているだけのようですね」

女性の言葉にハッと振り返ると…そこには、無機質な地面を枕にして、すぅすぅと寝息を立てるサヤカの姿。
…間違いない、今度は『先ほどのように』幻覚ではありません。
感極まって、涙ぐみながら抱きしめます。

357Mii:2018/11/01(木) 23:59:34 ID:G5zCGrJU
「…感動の対面であるのは重々承知の上ですが、我々には、とにかく時間がありません。
あなたにも、強制的に協力して頂きますよ」



……ああ、いけない。こちらの女性のことを、すっかり忘れてしまっていました。
今さらですが、敵ではないと願いたいですね。


ロゼッタ「あなたは…ええと、どちら様、ですか?」

実は、記憶を失う前の私の知り合い…という線もなくはなかったのですが、杞憂だった模様です。
問うと、彼女は左手で眼鏡をくいっと持ち上げ、しっかりと掛け直し…

ナスタシア「わたくし、ナスタシアと申します。
       …まあ色々あって、ピーチ姫のサポートの元、ディメーンに関する諜報活動を行っておりました。
       結局、後手に回ってしまっている有様ですが、この通り…」




そう自嘲するナスタシアの右腕は…肘から先が、ありませんでした。

358Mii:2018/11/02(金) 00:01:47 ID:MuNJghdo
ロゼッタ「…た、大変ですっ!はやく治療を…いえ、杖がなければ無理な話でしたか…」ガックリ

ナスタシア「ご心配なく。最低限の治療と痛み止めは済ませました。…少しは魔法の知見があるようですね」

ロゼッタ「…む、ちょっといいですか?この傷跡…
      通常の衝撃、斬撃では有り得ないほどスパッと斬られています。
      まるで、空間ごと『無くなった』ようですね」

ナスタシア「…っ!失礼しました、かなりの魔法の使い手と見受けられます。一瞬でそこまで読み取るとは…!
       その通りです。辛うじてメールのボタンを押すことはできましたが、
       次の瞬間には肘の先がPCごと消し飛ばされていました。
       あと1秒、腕を引っ込めるのが遅ければ…体ごと消し飛んでいたかも知れません」

ロゼッタ「…いえ、たまたま私の得意分野であっただけですよ」





――して、対峙しなければならない敵とは。

359Mii:2018/11/02(金) 00:05:10 ID:MuNJghdo
ナスタシア「…この異空間の製作者、『ディメーン』。かつてマリオ達に負け、滅ぼされた存在。
       …厳密には私も滅ぼされるべき存在だったのですが、恩赦を頂きました。

       用心深いピーチ姫は、キノコ王国の災いとなり得る強大な、あるいは特異体質の敵と戦った場合、
       仮に倒したとしても、一定期間は生存・潜伏を疑い続けて、調査を惜しまないようですね。
       私も、ノワール伯爵亡き今、ピーチ姫の元で情報収集にあたっておりました。

       さすがにもう大丈夫でしょう…と高を括っていたところに、このありさま。
       …しかし、自分の不甲斐なさを悔やむのは後で結構。
       …ここで、伯爵様が『守って見せた』世界を傷付け、滅ぼしてしまっては…
       悔やむことすら、一生許されなくなってしまう」

そう、強い口調で言い切る彼女には、疲労と焦りが垣間見えました。



ロゼッタ「そもそも、マリオ達によって滅ぼされたといいながら復活しているのはなぜなのですか?」

ナスタシア「…わかりません。もともと幻影や分身体を使って神出鬼没な行動を取る男でしたから。
       咄嗟に入れ替わって、本体は生き延びていたのかもしれません。
       一応、転移魔法を行使できるのは本体だけ…というのは分かっているのですが」

それはそうでしょう。分身体まで転移魔法を好きに使えるならば、
本体が寝ている間に世界征服など楽にできそうです。

360Mii:2018/11/02(金) 00:14:25 ID:MuNJghdo
ナスタシア「…今は、何故復活できたのかは後回しです。それよりも都合が悪いのが、
       以前よりもかの道化師の転移能力が上がっているらしいことです。
       本当に、一刻も早くなんとかしなければ…!」



「それは、無理な相談だね〜」



空間把握に長けている私は、すぐに気付きましたが…やや遅れたナスタシアは、大層驚いたのか、
後ずさって尻もちをついてしまいました。



おどけた表情の仮面と、ひょうきんな服装。なるほど、この道化師が…。

ディメーン「ボンジュール、マドモアゼル ロゼッタ。 ボクは不死身の道化師、ディメーンさ。以後、お見知りおきを。
       戻って来てみたら、ボクについて噂しているものだから驚いたよ〜」

ロゼッタ「私の名前を何故知っているのかはさておき…私たちを、ここに捕らえる目的は一体なんですか?
      …まあ、十中八九、交渉材料なのでしょうけど」

ディメーン「分かってるなら、話が早くて助かるよ。この数年で、ボクもケッコー、チカラを付けたけど…
       確実に勝つためには必要だからね〜。

       絆の力とか、一致団結とか、ボクは大っ嫌いなんだけど…芋ズル式に崩壊していく綻びになってくれるなら、
       ちょっとは好きになってあげてもいいかな」

ロゼッタ「…………戯言を」

361Mii:2018/11/02(金) 00:17:49 ID:MuNJghdo
ディメーン「それにしても、ロゼッタ。キミには驚いたよ!
       色々観察してて、デイジーって子より圧倒的に劣る能力しかないことがわかった。
       そのくせ、デイジーって子をまず転移させようとしたら、
       罠に『ギリギリで』気付いて捨て身で助けちゃうんだから。
       興味を惹かれたのと、その勇気に免じて、デイジーがキノコ城に駆けていくのは見逃しておいてやったよ」

ロゼッタ「…それはありがとうございました」

ディメーン「…おっと。ピーチ姫ご一行がご到着だ。ちょっと表の世界に行ってくるね〜。
       キミたちは、そこで遠慮なく寛いでいるといいよ。お茶は出せないけどね、んっふっふ」シュンッ


――――ピーチ姫。どうか、無事でいてください。

362Mii:2018/11/02(金) 20:54:06 ID:MuNJghdo
シュパッ。

ディメーン「やあ、お久しぶり…」


ピーチ「ヒステリック・ボムゥーーっ!!」カッ!



ドドドドドドドカアァァーン!!



ピーチ「これにて一丁上がり!……と、行ってくれればよかったんだけれどね」

ディメーン1「そうは問屋が卸さない、ってね!残念でしたー!」ケラケラ

ディメーン2「でしたー!」

ディメーン3「でしたー!」

ルイージ「わわ、分裂したよ兄さん!気持ち悪い!」

ディメーン1「失礼だね、芸術的と言ってくれないか?」

363Mii:2018/11/02(金) 22:42:01 ID:MuNJghdo
マリオ「…どうしたよディメーン、今回はルイージに執着してないのか?」

ディメーン1「あーんな予言書、もはや何の未練もないね。そしてそこのトゲトゲくん、キミには御礼を言うよ。
        確かに、預言書を盲信するより、我が身を信じて信じ切る方が遥かにエレガントだと分かったのさ。

        そう…我が身を極限の境地に、真の頂に持って行ける最高の『参考書』を…ボクは手にしたんだよね〜!
        まさに天啓!いや、むしろ天命!世界は、ボクを見捨ててはいなかった!」

クッパ「最高の…参考書、だと!?」

ディメーン2「この世の理、全てが記された古文書さ。ボクが言えるのは、ここまで。後は勝手に想像したらどうだい?

        

        ああ、そうだ。キミたちもやきもきしてるだろうから、本題に入ろうか。
        薄々気付いている通り、ナスタシアとロゼッタ…あ、あと一人女の子がいたっけ。
        まあ、餌の役割は果たしたから、もうどうでもいいか。
        
        彼女たちは、ボクによって異空間に捕らえられている。
        生かすも殺すも、キミたちの態度と…ボクの気分次第だね〜」

364以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/03(土) 00:25:18 ID:zJ5CkE7.
おおこわ

365以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/03(土) 04:45:18 ID:zJ5CkE7.
ロゼッタがマスターオブギャラクシーを生身でクリアできる日は来るんだろうか

366Mii:2018/11/03(土) 17:36:06 ID:H.lk9j0s
デイジー「…な、何が望みなのよ!!」

ディメーン3「そうだなあ…たとえばここで、『主要メンツ、全員自ら命を絶て』と命令したところで、
       流石に人質に対して重すぎる命令だから、命令が意味をなさないでしょ?」

ピーチ「まあ、当然ね。そこをはき違える私たちではないわ」

ディメーン3「というわけで、ボクからはただ1つ。『何もするな』」

デイジー「…え?それって、どういう…」

マリオ「…………要するに、どんな破壊活動も、攻撃も、ひたすら黙って…されるがままにしろってことか。
     こちらがブチ切れて抵抗した時点で、彼女たちの命は尽きる。…我慢さえしておけば、とりあえず生き永らえると。
     時間稼ぎの抜け道をあえて与え、思考を鈍らせ、己の鬱憤晴らしを兼ねて戦意を吸い取ろうとする…ありがちな作戦だな
   
     (頃合いを見計らって、どうせ何か仕掛けてくるだろうがな)」

ディメーン1「なんか耳障りな言い方だけど…ピンポンピンポン、だーいせーいかーい!
        さっすがヒゲヒゲくん。抵抗1回につき、もれなく御一人様、三途の川へご招たーい!

        ほらほら、ボクの方が先にバテて、御免なさいもうしませんって土下座して謝るかもしれないよ?
        可能性があるっていいことだよね〜!」

マリオ(趣味も手癖も悪いぜ、まったく)

367Mii:2018/11/03(土) 17:39:59 ID:H.lk9j0s
デイジー「」ブチィ

ピーチ(癪に障ることこの上ないけど、先手を取られた以上…仕方ない。
     なんとか解決策を考えないと…)ギリッ

クッパ「…フン。面白いじゃないか、ワガハイは別に構わんぞ?受けて立つのだ!
     せいぜい楽しませてもらおう!」

ルイージ「そりゃないよ、見損なったよクッパ!
      そりゃ、クッパにしてみればキノコ王国のことなんてどうでもいいかもしれないけどさあ…!」

クッパ(…黙って耐え切ってやるわ!って意味で啖呵切ったんだけどなー)ションボリ

マリオ(俺は分かってるぞ)ポンポン

ピーチ(私も私も)フフ

ピーチ「…分かったわよ、じゃあそれd」








ダダダダッ…

デイジー「お嬢様打法――――ハリセンビンタァ!!!!」バチコーーン!!

368Mii:2018/11/03(土) 17:49:28 ID:H.lk9j0s
ディメーン1「…………」キンッ

デイジー「チッ。普通に、変な壁で防がれちゃったか。でも、こいつが本物みたいね!」





ディメーン1「…ハァ。マドモアゼル デイジー…なにやってくれちゃってるのかなあ?」




ピーチ「ちょっと、馬鹿っ!何勝手に攻撃してるのよっ!?」

デイジー「まだピーチ、OKの返事出し切る前じゃない。取り決めの違反行動には当たらないもんねーだ!」

ピーチ「大馬鹿者っ!」バシンッ

デイジー「…痛っ――ちょっと、なにするのよ!」

ピーチ「そういう言葉の綾で済む問題じゃない!!」

デイジー「…へ?」

ピーチ「あんな危険行動をする奴に、迂闊に言質を取らせたら…
     どんなことをされるか、想像くらい付くでしょう!?」

369Mii:2018/11/03(土) 17:53:01 ID:H.lk9j0s
ディメーン1「……フライングかあ、いけないなあ。はーい、全員オリジナルに戻ってね〜」

ディメーン2「おー」シュバッ・・・

ディメーン3「りょーかい」シュバッ・・・


ディメーン「……さってと。まあ、1回は…1回だね。ちょっと――用ができたよ。
       いやいや、面白くなってきたね〜。帰ってきたとき、どんな顔してくれるかな〜」シュン!




デイジー「…あ」サァッ

370Mii:2018/11/03(土) 17:56:57 ID:H.lk9j0s
ディメーン「…ふふふ、想定外の出来事だけど、ますます面白くなってきたね…!
       ワクワク、ゾクゾクが溢れてくるよ〜!」シュン!


ロゼッタ「今ですっ!」



シュッ!!



ディメーン「……っ!」クルッ



ロゼッタ(何があちらであったのか知りませんが、今はおいておき。
      空間が歪むのを感知して、思い切り投げた…残り少ないスターピース。
      事前に引き出しておいたのは不幸中の幸いでした。


     …しかし。


      あまりに弱い。弱すぎる勢い。コツンという音がして、終わり。
      10メートルほど先のディメーンに当たりこそしましたが、まるでダメージがありません。
      所詮、私の腕力と投球技術ではこの程度です。

371Mii:2018/11/03(土) 17:59:57 ID:H.lk9j0s
ディメーン「うーん、本当にキミ、空間移動に対して勘が冴えてるね〜。
       なんなら、弟子にしてあげようか?なーんちゃって」

そんなことを言われたところで、慰めにもなりません。
――おまけに。

ディメーン「でもね、どんなにお粗末な攻撃だろうと、ボクを狙ったのはいただけないな。
       そんないけない事をする愚か者には、相応の罰が、報いが必要だよね〜」



――あまりにも不吉な言葉を吐き出させる原因としてしまったようでした。

372Mii:2018/11/03(土) 18:02:36 ID:H.lk9j0s
ディメーン「ちょーっと、その子、起こさせてもらうよ?」

――掲げられた両腕が光り、サヤカに投げかけられる。
単なる覚醒魔法のよう――魔法が行使されて、しばし。
サヤカが、ゆっくりと両目を開けていきます。


サヤカ「……あれ?ここ、どこ?…………ママっ!?どうして、何がどうなってるの?
     …あ、クローバーを見つけてくれたお兄さん!」

ディメーン「ははは、子供は単純でいいよねえ。ちょっと親切にするだけで、あっさり人を信じるんだから。
       でも、おかげで色々と計画が捗ったよ、ありがとう」

サヤカ「…お兄、さん?」

――どんな誑かし方をしたのか知りませんが、その時とはおそらく…打って変わって冷えた口調に、
サヤカは困惑しているのでしょう。…あんな輩をサヤカに見せてはいられません。
手を引っ張り、私の体の陰に隠れさせます。

373Mii:2018/11/03(土) 18:05:54 ID:H.lk9j0s
ロゼッタ「…あの人に、何をされたか覚えてる?」

サヤカ「……えっと、四つ葉のクローバーを集めやすくなるアイテムだよって言われて、
     変な葉っぱを頭に付けることにしたの。

     本当にどんどん見つけられたんだけど、なんだか意識がぼんやりしてきて、
     体が勝手に動き続けて…あんまり、何をして何をされたか、覚えてない……」

ロゼッタ「……そう。怖い思いをさせちゃって、ごめんね」


抱きしめて安心させてあげたいのはやまやまですが、警戒を怠らず、道化師を睨み続けます。
効果があるかどうかはすこぶる怪しいものですが。

サヤカ「それと…結局、プレゼント間に合わなくて…ごめんなさい」ションボリ

ロゼッタ「……いいのよ、十分」

敵を見据えながらも、少し震えているサヤカを後ろ手で…撫でてあげます。

374Mii:2018/11/03(土) 18:11:41 ID:H.lk9j0s
ディメーン「いやあ、実はさっき、ピーチ姫と我慢対決をすることになってね?」

――ディメーンは、絶対的な立場から、面白そうに顛末を語って聴かせます。
その内容に、私も、ナスタシアも、凍り付いてしまいました。
どうしてそこまで、堕ちることができるのか。
サヤカは現実離れしすぎているのか、ポカンとするのみ。



…理不尽な理由をでっち上げられ――誰か、1人が、殺される……!?



――更には。

ディメーン「まあ、ルールを知る由もなかったキミたちは可哀想だよね。そ・こ・で!
       生きるチャンスを、与えようじゃないか。イッツ、チャンスターイム!
       話し合いでも、多数決でも、殴り合いでもいいからさぁ。





        キミたちで、犠牲者一人決めて、該当者を始末してくれない?
        ボクも決定に従い、黙って観てるからさ!」


到底、受け入れがたい選択を、迫ってきたのです。

375Mii:2018/11/03(土) 18:17:22 ID:H.lk9j0s
固まって動けない3人の足元に、フッと…1本のナイフが転移されてきました。

ディメーン「ルールせつめーい!今から10分以内に、誰か一人の息の根を止めること!
      使いたかったらそのナイフ、使ってもいいよ〜!
      んっふっふ、ボクに効かない魔法を施した特製ナイフだけどね!

      10分以内に決着が付かない、付けようとしない場合は、
      仕方ないけど全員お陀仏になってもらうから、そこんとこよろしくね〜!
      どのみち、全滅してることすら、表の世界にはばれないからね〜!
      まだ、逃げ道を用意してあげているんだから感謝してよ〜?


      それじゃあ…計測、開始しまーす!サイコーのショーを見せてくれ!」


ディメーンが、猟奇的に、満面の笑みでこちらを眺めています。
私は、何も考えられず、指一本動かせません。



――ナスタシアが、ため息を一つ付いて、確かな足取りで…
隻腕でナイフをしっかりと握り締めました。

狙うは…私――――の後ろでビクッと震えた、サヤカ。

376Mii:2018/11/03(土) 18:21:54 ID:H.lk9j0s
サヤカは、状況を飲み込むことができず、ただただ呆然としています。

ロゼッタ「何のつもりです、ナスタシア!協力し合うと言ったばかりではないですか!」

ナスタシア「だからこそ、ですよ。自分の命が惜しいとか、そんな世俗的判断ではありません。
       単純に、どう考えても、私と貴方の2人が生き残った方が、戦力となるだけの話です。
       サヤカには…運がなかったと諦めてもらうよりほかにありません。

       そもそも、私か貴方かどちらか1人でも退場した時点で、サヤカも確実に死にますよ?
       何を躊躇うというのです?一時の情で戦局を見誤ってはなりません」


サヤカはようやく危機を理解して――理解してしまって、
口をパクパクさせながらどんどん蒼白になっていきます。

ロゼッタ「でもっ!」

ナスタシア「お黙りなさい!この男は、やるといったらそれ以上でもそれ以下でもないことを
       平然としでかす男です!私が一番知っています!」

確かに、正論そのもの、かもしれません。
私には、反論に使える具体的な材料などありません。
でも……。

377Mii:2018/11/03(土) 18:28:06 ID:H.lk9j0s
ロゼッタ「……………………一つ、聞かせてください。
      確かにサヤカは非力ですが、それを言うなら私も戦う術を全く持たない。
      …貴方だってそうでしょう、一体何の能力があるというのです?」

ナスタシア「…暗示、催眠術などの精神操作を少々。
       体力も、片腕のみとはいえ…少なくとも子供よりはあるつもりですが?」

ロゼッタ「精神、操作…」

ディメーン「ま、僕にはバレバレ!おまけに全然効かないけどね〜!」

ナスタシア「分かっているから暴露したんですよ!それに、弱った時になら効くかもしれないでしょう、
       寝首を掻かれないことですね」

ディメーン「油断しても戦力差甚だしいことを理解してる、ナスタシア?
       己惚れるのもいい加減にしてほしいものだね」

ディメーンは嘲笑するだけ。
そんな中、私は…考え、考え、考える。




…そして、どうしようもない絶望の結論に至り…全てを割り切ったのです。
それしか、策はないのだと、分かってしまったので。

378Mii:2018/11/03(土) 18:33:00 ID:H.lk9j0s
サヤカをやや乱暴に振り払い。ゆっくり、ナスタシアの方に歩いて行き。




ロゼッタ「なるほど…そういうことなら、ナスタシアを死なせるわけには参りませんね。
      そのナイフで刺す役目、せめて私にさせてください。
      …あ、不意打ちでナスタシアを刺すとかはしないのでご安心を」







え、と固まるナスタシアの手から――指を引きはがし優しくナイフを貰い受け。
鋭い切っ先を、サヤカに向ける。

379Mii:2018/11/03(土) 18:35:53 ID:H.lk9j0s
サヤカ「…ママ?嘘…だよね?」

この世の終わりという表情のサヤカ。しかし、動じてはなりません。
しっかりと、言い聞かせなければ。

ロゼッタ「ほーら、左右に動いちゃ駄目よ。怖がって避けられると、上手く心臓に刺さらないでしょ?
      却って痛いことになっちゃうのよ?」

サヤカ「……………………っ!」

絶望して、足がすくんで逃げ出すこともできず、大粒の涙を流すサヤカ。



ロゼッタ「大丈夫、何も考えなければ痛くない、痛くないわ。
      痛かったとしても一瞬で済むから、さあ」

サヤカ「いつものママに戻って!お願い!」ボロボロ



3メートル、2メートル、1メートル。
サヤカとの距離が、ほぼ0になって――。

ナイフを、心臓に、違うことなく突き刺しました。

380Mii:2018/11/03(土) 18:40:48 ID:H.lk9j0s
サヤカ(ああ、もう…どうでも、いいや。
     わたし、悪い子だったから、やっぱりママに嫌われたのかな。
     パパも、ごめんなさい――さよなら……)






サヤカ(…あれ、…………痛くない。ここは、天国?)





思わず目を瞑ってしまったけれど、どこも痛くない。
恐る恐る目を開けたら……






ママの振り上げたナイフは、そのまま腕を捻られて…
ママの胸に、深々と…刺さってた。

381Mii:2018/11/03(土) 18:42:30 ID:H.lk9j0s
時が、止まったみたい。


ロゼッタ「ディメーン、ピーチ姫に伝えてください。
      私は、邪悪な脅しなどに屈することなく…勇敢な最期を遂げた、と」



――怖い思いさせて、ごめんね。
そんな声が聞こえた、かもしれない。

ママはニコッと笑って…笑ったように見えて…
次の瞬間、ドバっと血を吐いて倒れ込んだ。




ナニガ オコッテイルノカ、ワカラナイ。



ナスタシアさんとかいう女の人が、絶叫しながらも必死に駆け寄ってくる。
私は、体中に浴びちゃった赤い血で、一瞬なんにも考えられなくなって……
たちまち泣きじゃくって、ママにすがりついていたの。

382Mii:2018/11/03(土) 18:45:07 ID:H.lk9j0s
サヤカ「ママ、ママ!」ボロボロ

必死に、何度も何度もママを呼ぶけれど、目を閉じたまま…全然返事がない。
ナスタシアさんが、へなへなと座り込んでしまった。

ディメーン「ほいほーい、空間把握で心停止かくにーん。
       これにて、チャンスタイムしゅうりょー!

       いやいや、泣ける話じゃないか。即興にしては上出来だよ!
       じゃあ、僕は一旦あちらの様子を伺ってくるかな、アデュー!」シュンッ




サヤカ「あああああああああ!」ボロボロ

ナスタシア「…これが…これが、貴方の出した答えというのですか。
      理解不能、です。理解したくも…ありません」

383Mii:2018/11/03(土) 18:49:06 ID:H.lk9j0s
サヤカ「ナスタシアさんっ!魔法使いなんでしょ!
     魔法で、ママを蘇らせてよ!一生のお願い!」ボロボロ

ナスタシア「…あいにく、そのような技術もなければ、魔法の力もまるで足りません…」

サヤカ「うええぇぇぇん!!!」ガバッ

ナスタシア「いくらせがまれても、不可能な物は不可能です!分かりなさい!」グズッ



クイクイッ。



ナスタシア「ですから、私には無理だと言っているでしょう!」クルッ





ロゼッタ「……あのー」ドクドク





サヤカ「……えっ」

ナスタシア「えっ」

384Mii:2018/11/03(土) 18:50:54 ID:H.lk9j0s
ロゼッタ「倒れた体勢なので代わりに教えてほしいのですが。ディメーン、いなくなりました?
      見張りの分身体とかもいないですね?」ドクドク

ナスタシア「……は、はい」

ロゼッタ「そうですか…………」フゥ

ロゼッタ「………………………………………」

ロゼッタ「痛い痛い痛い痛いっ!?現在進行形で吐き気千万、死んじゃいますっ!なんですかこの痛みゴホッ!?
      ってまた血を吐いてしまいましたか!?何が痛みが一瞬で終わるですか、
      そんな無責任なことを宣った人は出て来て反省してくださいよーーーっ!!!!
      ナスタシア!早く、早く暗示で鎮痛を、鎮痛をお願いします!」ドクドクドクドク

サヤカ「」

ナスタシア「」


――びっくり。ママが生きていました。

385Mii:2018/11/03(土) 18:54:58 ID:H.lk9j0s
ピローン。

ナスタシア「…は、は、はい。暗示を掛けました。……しかし、ど、どうして!?心臓が再び動き始めて…!?
        いや、そもそもナイフの軌道は、心臓を的確に破壊したはず!」


ロゼッタ「ゴホッ…口の中も血だらけなので、背景説明もせず言葉少なに解説するとですねゴホッ、
      今の私の体、50%…半分は魔法の力で動いているのですよ。

     要するに、心臓がズタズタに破壊されて血液循環が停止し、ATP機構やらが働かなくなろうが、
     各組織は出力50%確保…生存ラインぎりぎりで動き続けるくらいならできるみたいですね。
     一か八かの賭けだったのですが、上手くいきました。今だけは特異体質に感謝ですね」

サヤカ「え、じゃあママって不死身なの!?」

ロゼッタ「…残念ながら、全ての力を生命維持に費やすから、まともに歩くこともできないわ。
      それに、重要臓器の機能不全で死ぬことはないけど、ちょっとタイムラグを作れただけで、
      このままだと出血多量によるHP切れで死ぬわね」

サヤカ「……っ!それじゃ、意味がないよ!!」


…涙が引っ込んだのもつかの間。
やっぱり、ママは死んじゃうんだ。それを知り、再び涙があふれてくる。
…でも、ママは――口元から血を流すことも気にせず、優しく語り掛けてきた。

386Mii:2018/11/03(土) 19:00:17 ID:H.lk9j0s
ロゼッタ「ねえサヤカ、今でもママのこと、好きでいてくれている?」

こく、と小さく頷いた。

ロゼッタ「ありがとう。ママも、サヤカのこと大好きよ。
      ――このピンチを切り抜けるために、ママの命をサヤカに預ける。
      だからサヤカも、ママの言うことを信じて…言う通りに動いてほしいの。
      できる、かしら?」

サヤカ「…………わかった。私、頑張る」



ママは、私をしっかり抱きしめてくれた。血の匂いはきついけど…あったかい。



ロゼッタ「と、いうわけでですね。ナスタシア。
      あと一回だけ、私の大博打に、付き合って頂けないでしょうか?」

ナスタシア「…わかりましたよ。どうやら、貴方たちと心中するしかなさそうですね」



やれやれと呆れた感じで、ナスタシアは肩をすくめて苦笑いする。
…そう。脱出するなら、3人揃って、一人も犠牲者を出さないで。

387Mii:2018/11/03(土) 19:07:13 ID:H.lk9j0s
ロゼッタ「とりあえず、確証があるわけではないのですが。

      『警戒無くこちらに戻ってきたディメーンに大きなダメージを与えることができれば、
      異空間が崩壊して元の世界に戻れる』ことを大前提としますが、よろしいですか?」

ナスタシア「異議ありません。行使者が弱れば魔法の維持力も連動して弱まるのは道理に適っていますし、
       そもそもその前提がなければ我々は本当に詰んでいますから。希望的推定もやむなしです」

ロゼッタ「そして、相手の魔法防御の高さや、こちらの魔法行使の制約を考えて、魔法による攻撃は論外。
      一方で、物理防御は低そうです。

      先ほど、自分では手を下さず離れたところから私たちで仲違いさせようとしたのも、
      わざわざ特製ナイフを調達したのも、肉弾戦の万が一を恐れていることの証左…
      物理的なダメージを与えるほかに道はない」


――空間把握だけで死亡を確認するあたり、ズボラな所まで私と似通っていますね。
全然嬉しくありませんが。これは是が非でも体力を付けないと。


ナスタシア「…残念ながら、その通りです。しかし、遠方に現れるディメーンを物理的に攻撃するなど…
       さきほどのようにスターピースを投げる位しか術がない。他に策があるのですか?
       言っておきますが、私でも貴方の投擲に比べて少しはマシ、という程度ですよ?
       いえ、片腕というバランスの取れていない状態では負ける可能性すらあります」

388Mii:2018/11/03(土) 19:12:52 ID:H.lk9j0s
ロゼッタ「…いえ。また、スターピースを投げてみようと、思います。
      先ほどコツンと弱弱しく当てた時、僅かながら…ディメーンが条件反射で慌てて躱そうとしていました。
      つまり、一度転移したら数秒は待機時間が必要になる、みたいに、連続の空間転移には制約がある。
      速度さえ十分なら、スターピースを叩き込めるはずです。

      おまけに先ほどの一発で…威力を過小評価している可能性も大です。
      もう馬鹿な真似はしないだろう、とでも考えて、防御壁を張られたりはしないでしょう」




そして、温めていた作戦をサヤカとナスタシアに披露します。





サヤカ「……そんなこと、できるの?」

さすがのサヤカも、半信半疑。いえ、二信八疑くらいでしょうか?

ナスタシア「冗談じゃ、ないのですか?そんな意味不明で無謀な作戦、聞いたことがない!」

――いえいえ、ところがどっこい、大真面目な作戦なのですよ。



題して…「マリオネット作戦」という作戦名は、どうでしょうか。
おかしくなって、小さく笑うのを、2人は不思議そうに見ていました。

389Mii:2018/11/03(土) 19:16:36 ID:H.lk9j0s
ピーチ(――ああ、ああ)

何が、サイコーのショーだ。こんなの、最低、最悪だわ。



戻ってきたディメーンが持っていたもの。――血濡れのナイフ。



ディメーン「いやあ、実に…実に素晴らしい寸劇が繰り広げられたよ。キミたちにも見せてあげたかったね、ふふ」

デイジー「……ロ、ロゼッタは?サヤカちゃんは?も、もちろん生きているわよね!?」

ディメーン「あー、うーん。どうだったっけな。
       …あ、そうそう。ピーチ姫、ロゼッタから伝言があるんだった。
       一字一句違えずに伝えるから、よーく聞くといいよ」ニヤリ



――『ピーチ姫に伝えてください。
――私は、邪悪な脅しなどに屈することなく…勇敢な最期を遂げた、と』だって。
――うん、間違いないね!



皆の目が、見開かれる。
デイジーの目から、一筋の涙が…こぼれ落ちていく。

390Mii:2018/11/03(土) 19:18:25 ID:H.lk9j0s
デイジー「嘘よ…そんな、の」

ディメーン「そうかもね、そうじゃないかもね?
       さあさあ、どうする〜?もはや守るべき者がいなくなったと開き直って、
       一気に反撃し出すかい?
       まだ全員死んだわけじゃないから、我慢を続けてみるかい?
       はっはは、究極の選択だねー!好きな方を選ぶといいよ!」


――狂っている。こんなことが、許されていいの!?


私たちのモチベーションは、もはや総崩れ。
ただただ、無気力、無抵抗。
あのマリオが、クッパでさえも、言葉を一言も発せず俯くまま。


キノコ王国のトップとして、時には少数を捨てなければならないのは分かっている。
でも、それでも…っ!

391Mii:2018/11/03(土) 19:22:14 ID:H.lk9j0s
ディメーンは本当に、好き勝手に爆撃をしてくれている。あたり一面、焼け野原。
…いえ、私たちが動かないでいるから、まだ周辺住民には手を出さないでいる、と考えればマシか。

特に、今もしも城下に目を付けられでもしたら、どれだけの民が犠牲になることか。
星くず祭が開催中で、避難も一切済んでいないというのに。

戦闘力としては、いくら開きがあるとはいえ…
こちらの攻撃は当たらず当てられず、攻撃されるまま。ジリ貧ね。

――と、思った矢先。



マリオ「ピーチ、かわせっ!」


一瞬の隙を衝かれ、思いもよらぬ激痛が、頭を襲う。
ぐわん、ぐわんと脳が直接ハンマー攻撃でも食らい、揺さぶられるような感覚。

激しい発作に見舞われ膝をつきながらも、自分の体を確かめる。

ピーチ「……な、何?今、何が起こったの?マリオ、見えた?」

マリオ「よくわからんが…通常の魔法で、そうはダメージは受けないはずだ。
     転移魔法を利用して、何かやろうとしたな?」

ディメーン「んー、60点だね。せっかく、余所見している間に頭部を切り離して痛みも感じさせず即死させようとしたのに…
       頑丈だなあ、腹が立ってくるよ」ムカッ

――何よ、その反則行為。

392Mii:2018/11/03(土) 19:26:23 ID:H.lk9j0s
ピーチ「…へえ、ずいぶんと器用なことができるようになっているじゃない。
     馬鹿に凶器を持たせるといいことがまるでないわね」

ディメーン「褒め言葉と受け取っておくよ〜。
       …そう!これまで、物体全体の境界面が魔法行使の分解能だったボク!
       しかし、偉大な古文書のおかげで、さらに細分化して、切り離しての操作が可能となった!
       いやあ、僕って天才!?」

ピーチ「結局あなたって物に頼ってるじゃない。
    そんなことができるのなら、陰からコソッと私たちを始末すればよかったのじゃないの?」

ディメーン「甘い甘い。これは『復讐』なんだよ?そんなの、何の意味もないじゃないか。
       敵は分かっているのに為すすべもなく蹂躙される、そんな気持ちを味わってもらわなくちゃ!」



ピーチ(そんな気持ちなら、ロゼッタの訃報を聞いた段階で、なっているわよ…っ!
     これなら曖昧なままのほうがどれだけよかったことか…っ!)

393Mii:2018/11/03(土) 19:29:24 ID:H.lk9j0s
………ふと、違和感。
何か、つじつまが合わなく、ないかしら。
いえ、気のせいか。



…気のせいじゃ、ない。




……ロゼッタの訃報が嘘か否か?それは関係ないわ。
あの夥しい血、誰かが致命傷を負ったことは疑いない。
つまりどう転んでも、胸をなでおろす状況は有り得ない。



そうじゃ、なくて。
そもそも、壮絶な最期を遂げた、みたいな回りくどいことを、ロゼッタが意味もなくディメーンに語らせるかしら?
伝われば当然こちらの指揮は下がる、それはロゼッタも重々承知のはず。
その仰々しさで言わしめた、意味……。

394Mii:2018/11/03(土) 19:32:38 ID:H.lk9j0s
ハッと、気付いた。
ロゼッタが死んでいるのではなく、『ディメーンを騙し通せて、生きている』としたら?
言葉に隠された意味も、ガラリと変わってくるのではないかしら…?



…そういう、ことね。




だとしたら、ロゼッタは『待っている』。




タイムリミットがあることも確実。
でも……一本の、細い、細い、光明が見えた。

395Mii:2018/11/03(土) 19:40:46 ID:H.lk9j0s
気付かれないように、感付かれないように、自然に振る舞え、私。
どんな会合よりも、演説よりも、気を引き締め過ぎてしすぎることはない。

ピーチ「…もう、アッタマに来たわ、マリオ。
    生きているかも分からない人と天秤にかけて、現実世界を危険にさらすわけにはいかない。打って出るわよ!」

マリオ「…っ!?いいのか!?」

ピーチ「仕方のない、ことよ。…じゃないと、ロゼッタが浮かばれないわ」ポロポロ



慌てず急げ。拍を調節しなさい。態度の急変を悟られないように。

396Mii:2018/11/03(土) 19:42:09 ID:H.lk9j0s
ピーチ「それに、よく考えたら、人質たちが危害を加えられてるわけないじゃない。
     そんなことしたらディメーンにとって、交渉材料を失うだけなんだから。違う?
     あぁ、馬鹿な真似をしちゃったわ」

ディメーン「へえ?ナイフの件はどうなってるの?」

ピーチ「さっきの血はブラフ、どうせただのギミックよ。
     悔しかったら、遺体の一部でも見せてみなさいよ」ハン

ディメーン「ふーん、そんなこと言っちゃう?案外薄情だね、お姫様」

ピーチ「ペテン師の言葉を聞くだけで信じるなんて馬鹿だもの。
     私、現物を見て確かめるまで信じない性質だから」

ディメーン「あ、そう。じゃあ、言われた通り、死体を持ってこようか。待っててね」

ピーチ「……え、ま、まさか。……ううん、どうせハッタリよ!有り得ないっ!」

ディメーン「もう、おそーい!」シュンッ



ピーチ(…うん。こんなところ、かしら。あとは神に祈るのみね。
ロゼッタを信じるなら……ディメーン、『もう、おそい』のよ)

397Mii:2018/11/03(土) 19:44:45 ID:H.lk9j0s
表世界から、異空間へと、世界が、繋がる。


空間が、歪み始める。


――ディメーンのお出ましですか。
チャンスは、たったの、一度きり。



そして……私、ロゼッタは……地に伏すことなく。
止め処なく血を垂れ流しながらも…人形のように生気を失った状態でありながらも…
ナスタシアに支えられ、しっかりと立っている。



『ディメーンの再度の転移の兆候を掴む瞬間まで、一切の感情、発奮を捨て、
HP保持に努めなさい』



ナスタシアの暗示が効きました、と、暗示が切れた瞬間に理解しました。
――ディメーンが現れるまで、あと3秒。

398Mii:2018/11/03(土) 19:46:06 ID:H.lk9j0s
ロゼッタ「距離15、高さ3!」ビシッ

サヤカ「はいっ!」

サヤカの手には、やや小さめのスターピース。



『いい?私が指差しとともに距離と高さをメートルで指示するから、
転んでもいい、くらいの気持ちで、全力、最高速で…投げ切りなさい!』

『うん!一球にぜーんぶ込める!』

399Mii:2018/11/03(土) 19:49:06 ID:H.lk9j0s
サヤカが、投球モーションに入ろうとする。
小さい体ながらも、狙い見極め、無駄の全くないフォームが見られるはず。

『でも、わたしの力じゃ、とても遠い距離まで勢いが出ないよ?』

『ふふ。サヤカの持つスターピースは、あくまで感覚をずらさないため。
敵に当てる必要はないの。……というより、サヤカの投擲が完璧なら、『絶対に当たらない』わ。


――ママの空間把握能力、信じなさい』

400Mii:2018/11/03(土) 19:55:15 ID:H.lk9j0s
ナスタシアが、声高らかに……新たな暗示を。
私の脳は、命令を速やかに書き換える。

ナスタシア「ロゼッタ!この暗示宣言後、
       『1秒間、生命活動維持をカット!サヤカの身体動作の完全相似模写を最優先とせよ!』」

ロゼッタ「ハイ」スッ・・・


サヤカが、脚を振り上げる。
私も、脚を振り上げる。

サヤカが、胸を張り、全身を躍動させ、スターピースに勢いを与える。
私も、胸を張り、全身を躍動させ、大きなスターピースに大きな勢いを与える。

サヤカの拳の中で、スターピースは…加速する。
私の拳の中で、大きなスターピースは…たちまち加速する。


サヤカに全てのモーションをクイックにしてもらって、更に相似拡大効果を上乗せ。
私の体は、サヤカに操られ、鈍い音を立てながらも、傷口を広げつつも、動く、動く。

『無意識に魔法の力を使って』、自分のまるで意図しない方向に、意図しない速さで、
セーブもなしに動くものだから、鎮痛暗示が意味をなさないほどに、痛い、痛い、痛すぎる。
組織の停止、無酸素状態の襲来までも。涙を堪え、歯を食いしばる。
――お手本があれば、動かすことは、できるっ!

ディメーンが現れる、1秒前。
でも、これで、届く――。

401Mii:2018/11/03(土) 19:57:55 ID:H.lk9j0s
――しかし、大きな誤算に気付き、愕然としました。




――このままでは…勢いはあっても、当たらないっ!?




サヤカとの位置関係から、補正した距離情報を手短に伝えましたが、不十分だった…?

体格差を考慮した補正が間違ってしまっていた…?

いえ、サヤカが狙って投げるには高低差がありすぎる不慣れさが原因…?。

モーションを早めてしまったために、リリースポイントが狂った…?

身体動作にガタが来た、あるいは模写が不完全…?



とにかく、このまま投げては…当たらない事だけは、直感で分かってしまいました。
微妙にずれた、そっぽの方向に飛んで行って、終わりでしょう。

402Mii:2018/11/03(土) 19:59:43 ID:H.lk9j0s
ロゼッタ(……万事休す、ですね)



――まあ、博打は博打なりに、最善は尽くしました。潮時というものでしょうか。
――最後の最後で、結局サヤカを裏切ることになってしまいましたが、許してくれるでしょう。




……なーんて諦めができるほど、人間、できてはいないのです。





なんとしてでもマリオやピーチと合流し、にっくき敵を叩きのめし。
ケガなんてどこへやらと全身完治させ。


また、サヤカと一緒に笑いながらキャッチピースをして。
一緒に綿飴を半分こするのです。







ロゼッタ(……………………わた、あめ)

403Mii:2018/11/03(土) 20:03:17 ID:H.lk9j0s
ロゼッタ「……っ!」キッ

暗示が解けた、直後。スターピースが手元を離れる、直前。
神経を研ぎ澄まし、集中、集中、集中っ!!

生命活動さんは、1回じゃなくて2回お休み。
組織へ注がれようとした全身の魔力を奔流とし、投げる右手に萃(あつ)める。
耐え切れず、手首が腫れ、血を流し、どんどん裂けて行きますが、あとで何とでもなるでしょう。



血飛沫まで巻き込みながら、スターピースの周りが光り、空間が渦を巻く。





ロゼッタ「はあああああああああああぁぁぁーっ!!」




とうとう、私の体から離れた、スターピースは。

ゴオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!

自分でも信じられないくらいの高速で、うなりを上げて飛んで行き…
出現したばかりのディメーンの腹部に、しかと、突き刺さったのです。

404Mii:2018/11/03(土) 20:07:38 ID:H.lk9j0s
ディメーン「か、はっ!?」

一条の弾丸に、気付いたころには、もう遅し。


――馬鹿な、何が起きた!

――まずい、空間が、割れていく!?

ボクの行動に、不備などなかった。なのに、どうしてアイツは皮一枚繋がって生きている!?
いや、生きていたところで、このスターピースの勢いはなんだ!?



景色はたちまち、表世界へ。



あの3人は墜落、しかしすぐさまピーチ姫が駆け込んでいく。
確実に助けられ回復を施されるだろう。



ディメーン「何故だ…何故だ!許さない許さない許さないっ!ふざけるな!」

初めて事が上手く運ばなかったことに、煮えたぎる湯のように怒りが込み上がってきた。

405Mii:2018/11/03(土) 20:10:17 ID:H.lk9j0s
ピーチ「ロゼッタ!!やっぱり生きてたのね!」ポロポロ

デイジー「うわーん!」ダキッ



ロゼッタ「ぎゃふ(吐血)」チーン



ピーチ「…って、とんでもない重体じゃない!!
     『みんなげんきになあれ』!『おねがいカムバック』!10連打ァ!!!!」パアアアアアアアアアアア



ロゼッタ「…ふう。なんとか、生き永らえちゃいました」パアアァァァ

ルイージ「びえええええ、よかったよおおおお」

デイジー「顔ぐっちゃぐちゃじゃん、気色悪いよ」グズッ

ルイージ「なんか理不尽だよぉ!」ビェェ




ピーチ「ナスタシアも。お疲れさま、そして本当に…ありがとう」

ナスタシア「ふふ、こちらこそ、意外性の塊の彼女に助けられました。本当に、いい友人をお持ちですね。
       …ああ、やはり両手があると安心します」ホッ

406Mii:2018/11/03(土) 20:15:26 ID:H.lk9j0s
サヤカ「ママ、ありがとう!うわーん!」ダキツキ

ピーチ「ああ、この子が噂のロゼッタの子供ね。本当に…本当によく、耐え抜いたわ。
     ロゼッタに似たのかしらね」

ピーチ姫が、微笑みます。

ロゼッタ(サヤカが、血濡れではありますが満面の笑み…いえ、涙。ええ、これで一安心。
      さあ…形勢逆転、反撃の狼煙と行きたい所!
      …まあ、私の出る幕はないでしょうが!)グッ

サヤカ「…でも、さっきのボール…じゃなくてスターピース、周りに風を纏って、物凄い速さで飛んで行ったね。
     一体、何をしたの!?わたし、あんなことやってないよ!?」

ロゼッタ「……どうしても、最後の最後でスターピースの軌道がずれることに気付いたのよ。
      だから、体中の魔力を振り絞って、強烈なスピンを掛けながら強引に軌道修正したの。

      回転体は、物理的に回転軸方向を保とうとする復元力が働くから…
      回転軸方向が進行方向に一致すれば、おそらくブレを抑えられると思って。
 
      まあ、体の限界も考えずに行き当たりばったりで試したから、
      腕が雑巾みたいに千切れる寸前までダメージを受けたけどね」

407Mii:2018/11/03(土) 20:24:05 ID:H.lk9j0s
サヤカは、一瞬息を飲み…ますます目を輝かせました。

サヤカ「凄い、凄いよ!ママ!物理?とか、理論は難しすぎて、よくわかんないけど!」ピョンピョン

ロゼッタ「ええ、まさか綿飴機から連想して機転を利かせられるとは。本当によかったわ!」

サヤカ「そうじゃなくて!…あ、えっと、それもそうだけど!



    ママが投げたの、きっと『ジャイロボール』……

    いや、それどころじゃない。『ハイスピンジャイロボール』だよ!」





ロゼッタ「…じゃいろ、ぼーる?」

サヤカ「一流の野球投手でも、投げられるのがほーんの一握りしかいない、すっごく強力な投球法だよっ!
     初速からの減速を極限まで抑えられて、ストレートが物凄く伸びるボールになるの!

     ママはそれをいきなり投げられたんだよ!」キラキラ

ロゼッタ「まあ、まあ!それは喜ばなければならないわね!」

…まあ、ズルをしているのだけれど。せっかくサヤカが飛び上がらんばかりに喜んでいるのだもの、
言わないでおきましょう。

408以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/04(日) 08:20:49 ID:cLCKkdKU
スピン力学SUGEE

409Mii:2018/11/15(木) 22:21:39 ID:ziBygO06
と、そのとき。


ふたたびピリッとした空間のざわめきを感じ取り、慌ててそちらを見やります。
何事か、と不思議がっていたピーチ姫たちも、私に釣られて。



――分かりきってはいましたが、倒し切ったというわけでは…さらさらなさそうですね。
中空にクルクルッ…と空間を割って、ディメーンが現れました。


今度はしっかり防御壁を引っ提げて現れる徹底ぶり…流石に警戒したのでしょう。
苦悶の表情…というよりは、憤怒、激怒の感情がありありと伺えます。
目に入ったもの全て、焼き払って灰にしてしまいたい、といわんばかり。

410Mii:2018/11/15(木) 22:26:11 ID:ziBygO06
ディメーン「ふざけるな…ふざけるなっ!今のボクは最強、無敵なんだ!お前らごときに負けるはずがない!
       …もういい、出し惜しみなどしないでフルパワーを出してやる!後悔しても、遅いからな!」

マリオ(いつものニヤケ節はどこへやら、か。すっかり逆上して隙を作ってくれてるのはいいが…『スーパージャンプ(RPGver.)』!)

ルイージ(かといって、無茶苦茶に暴れられるってのも困るんだよね!『スーパージャンプ(スペマリver.)』だっ!)

マリオとルイージが、それぞれ別々の死角方向からジャンプ攻撃を仕掛けます。
しかし、マリオの強烈な踏みつけも、ルイージの大砲のような叩き上げも、空間転移によって難なく避けられてしまいました。

あの2人ですら、スピードで追いつかないなんて。

あわやぶつかる、というタイミングで、2人はひらりと体をそらし、そのまま見事着地。
拍手喝采の動きですが、警戒しながら戻ってきた本人たちは不満そうです。

マリオ「…やばいな、今ので速度不足だと、もう転移後のまぐれ当たりに賭けるくらいしかないぞ。
    そもそも当たったところで、防御壁を壊せるかもよくわからん。あれがなけりゃ、一撃なんだが」

ピーチ「…こうなったら、ロゼッタ。貴方にも戦ってもらうわよ。いいわね?…デイジー、杖を返してあげて」

デイジー「わかった!はいっ!」

ロゼッタ「…は、はい。出る幕、ありましたか…」

気力的に、かなり限界なのですが……。傷こそ完治していますが体中血だらけで、いざ戦ってやろう…という気概も中々見せられません。
…しかし、緊急事態は未だ続いているので仕方がないでしょう。久しぶりに、杖をしっかりと手にします。
キラリ、と杖が輝きました。よろしくお願いしますね。

411Mii:2018/11/15(木) 22:29:09 ID:ziBygO06
ピーチ「手短にロゼッタの攻撃魔法の威力、効果範囲を教えて。作戦を立てるわ。
     私よりも魔法Lvが高いんだもの、期待しているわよ!」

ロゼッタ「…ええっ!?きゅ、急にそんなこと言われて、も…!」



――ま、まずいです。なんだか、ハードルをかなり高く設定されている気がします。
そんなに大したことはできません。幻滅されそうなのですが…!

ロゼッタ「…………すいません、そういうことなら、ご期待には沿えません。
     ――――実は私、『回復魔法』と『空間魔法』以外は一切使えないんです。
     そもそも、敵と対峙するなんで経験がまるでなかった、もので」

私の声は、尻すぼみ。
耳にしたピーチやマリオは驚天動地。魔法使いとして有り得ない、という顔を思い切り向けてきます。

ピーチ「……はああああああっ!?何よそれ!?」

ロゼッタ「それに加えて…ピーチ姫も薄々気付かれていると思いますが。
      私は最大FPが貧弱なせいで、まるで魔法Lvの高さを活かせない体たらく…本当にすいません」シュン




空間魔法は、FP燃費が唯でさえ凄まじく悪いのに。
行使すること自体は 『簡単』 なのですが…。

412Mii:2018/11/15(木) 22:34:09 ID:ziBygO06
ピーチ「…私も悪かったわ、いきなり実践投入は難しいもんね。気を落とさないでちょうだい。
     …じゃあ、回復はお願いできるかしら?」


…それが、それすらも容易ではないのです、私の場合。


ロゼッタ「……えっと、私の回復魔法はFPを最大値近く消費するので、
      杖が戻ったとはいえ今はちょっと…だいぶ体の枯渇領域に還元してしまいましたし…」ビクビク

ピーチ「どうしてよっ!?回復魔法ってそんなにFP使わないでしょ!?本当に魔法Lv高いの、ロゼッタ!?」

ロゼッタ「す、すいません、全然お役に立てず…」グズッ


――やはり、魔法使いとして未熟者もいいところです、よね。


デイジー「ま、まあまあ落ち着いてよピーチ。ロゼッタ、じゃあどういうことならできる?
      きっと役に立てる場面もあるはずだよ!」

ロゼッタ「…………ディメーンの攻撃を食らいそうなとき、私の空間転移で緊急避難させる、くらいなら」

ピーチ「…よし。じゃあそれだけは頼むわよ。
    でもね、この件が片付いたら、ロゼッタはちょっと魔法の覚え直しね」

ロゼッタ「…はい!そのときはぜひ、ご教授願います!」

――よかった、少しは役に立てて。
でも、ピーチ姫に失望されないよう、精進しなくては。

413Mii:2018/11/15(木) 22:37:02 ID:ziBygO06
ピーチ姫は、私を戦力に考えるのは難しいと捉えたのか、私およびサヤカのことをデイジー姫に任せて戦闘態勢に入りました。
私は私で、サヤカをしっかり庇いつつ、付近の様子を伺い続けます。


デイジー「…………ねえ、ロゼッタ。ちょっと聞いていい?」


と、そこに。デイジー姫が耳打ちしてきました。


ロゼッタ「はい、なんでしょう?」

デイジー「ロゼッタって、ほうき星を管理する中で、星の表面をいろいろ開拓していったんだよね。
      自分よりずっと大きくて重い物だって沢山あったでしょうに、どうやって動かしたの?
      今の話聞いてると、ロゼッタ1人じゃ何百年もの時間があったとしても無理そうなんだけど…」

ロゼッタ「チコたちのおかげです。私の魔法の杖は少し特殊でして、周囲の星々やチコから少しずつ魔力をおすそ分けしてもらい
      集積することができ、私にそれを還元してくれるのですが…。

      大勢のチコたちが集い、住み着くほうき星は、それ自体が魔力の聖域。
      チコやほうき星から魔力を供給される限り、最大値こそ定まれど、私は繰り返しFPを使用することができます」

デイジー「へえ、でもやっぱり一度に行使できるFPは限られるんだ…」

ロゼッタ「…いえ。本当の本当に一大事、という場合では、何千ものチコたちに集まってもらい、
      直接FPを転送してもらって問題に立ち向かう、ということができなくもありません。
      その場合、限界値を大幅に超えた出力で魔法を繰り出すことができます」

414Mii:2018/11/15(木) 22:40:00 ID:ziBygO06
デイジー「…………ねえ、ロゼッタ。仮に…仮にだよ?
      FPが使い切れないくらい潤沢にあったとしたら、どのくらいのことができるの?」


ロゼッタ「そうですね…昔話になってしまいますが。
      ほうき星を管理しているとき、何千ものチコたちにFPを借り受けて、一致団結して――。






      このままでは衝突を免れないような直径数百キロの巨大隕石をやり過ごしたことなら、
      三百年くらい前にありますよ。一週間ほど目を覚まさない副作用付ですが」



デイジー姫は、何故かあんぐりと口を開けていましたが…今はどのみち関係がないことでしょう。
ここにはチコたちもいないのですから。

さあ…集中しなければ。
なけなしの勇気を、もう一度振り絞ってみます。

415Mii:2018/11/15(木) 22:44:36 ID:ziBygO06
――ディメーンが、現れました。

右に。左に。上に。前に。後ろに。

肩車をしながら。
高笑いしながら。
リズミカルに踊りながら。
フヨフヨと漂いながら。
木々の陰に隠れながら。
屋根の上に腰掛けながら。



「「「「「さぁ〜て、ボクがどこにいるか、わかるかな〜?」」」」」

推定、百体以上。頭がおかしくなりそうです。




そんな中でもマリオ、そしてクッパは不敵に笑って、腕をポキポキと鳴らせてみせます。

マリオ「ここから本物を探し当てるのはしんどそうだが…とりあえず片づけるか。
    時間稼ぎに付き合う気はない、全体攻撃を駆使して一気に行くぞ」

クッパ「…だな。ディメーンの魔力を削ぎつつ、撃墜数勝負でも洒落こむとするのだ!」

さすが、我らがヒーロー、そしてそのライバル。心強い限りです。

416Mii:2018/11/15(木) 22:47:51 ID:ziBygO06
ピーチ「油断しないでよ、どうせ本体はどこかから不意打ち仕掛けてくるんだから!」

司令塔のピーチ姫が警戒を呼びかける中、マリオとクッパが主体となって薙ぎ払い始めます。

マリオ「ツギツギジャンプ!」バキッ

クッパ「ファイアブレス!」ゴォォォ

マリオ「ウルトラジシーン!」グラグラッ

クッパ「衝撃波なのだっ!」ビシャーン!

ルイージ「た、高い所から手あたり次第ファイアボール撃っておこうっと…」

クッパ「ルイージ、真面目にやれ!スマブラ初心者か!」



それでも分身体は減った傍から増え続け、中々数を減らしてくれません。



マリオ「めんどくさいから『ヤッツケーレ』で体当たりしまくるか」ポコッ ポコッ

クッパ「ううむ、それは真面目…なのか?」

ルイージ「兄さんだけバッジ効果ずるいよー…」

417Mii:2018/11/15(木) 22:49:42 ID:ziBygO06
そのとき、炎が私に目がけて迫ります。

とっさにサヤカを庇いつつ後ろへ…身をそらす必要もなく、横から伸びてきた長い舌に絡めとられました。

ロゼッタ「ありがとうございます! 助かりました!」

ヨッシー「まあ、お安い御用ってことで。デイジーに護衛を任せられたからには守り切って見せますよー。
      後でお菓子の一つでも下さいね」

ロゼッタ「はい、そんなことでいいなら喜んで!……え、デイジー姫に頼まれた?」



どうしたことかと振り返ると、何やらデイジー姫が身振り手振りも交えながらピーチ姫に嘆願中。
策でも浮かんだのでしょうか…?ここからではよく聞き取れません。

418Mii:2018/11/15(木) 22:54:55 ID:ziBygO06
ピーチ「…へえ。大して有効策もないし、それが本当なら、試してみる価値はありそうね。
     わかった、デイジーは別行動を許す。その間はカバーするから」

デイジー「うん!」

ピーチ姫が、おもむろにポケットから電話を取り出し――。

ピーチ「ああ、カメック。急ぎ、クッパ城にて待機中のクッパシップを、残りの積荷そのままで全速力でキノコ王国の外れの公園まで誘導して。
     …え、理由?いいから急いでっ!

     30分以内に着いたら、ケーキの材料費全額こっちで負担してあげる。
     1時間超えたらクッパ城焼き払う!オーケー!?分かったらとっとと動きなさいっ!」

ロゼッタ「い、一体どうしたというので……」



大声の命令にたまらず驚き、口を挟もうとしたところ、これまた突然に待ったが掛かりました。
声の主のナスタシアは、妙に差し迫った様子です。

ナスタシア「ちょっと、待ってください!何をするのか知りませんが、大変なことになりました!
       速やかに場所を移してくださいっ!」

――今度は一体、何が。

419Mii:2018/11/15(木) 22:57:53 ID:ziBygO06
ピーチ姫が、咄嗟に電話を保留しナスタシアに注目します。

ピーチ「ナスタシア、何か感付いたのっ!?」

ナスタシア「本体はどこかに潜んで分身体を作り続けていると勘違いしていましたが、どうも違います!

       分身生成間際のディメーンをマリオが殴り倒してみれば同じく分身体であった、というケースが見られます!
       私が知り得ていた過去の情報からすれば信じられませんが、
       そのくらいの芸当は分身体にもできるようになっている!

       だったら…本体がここにいる必要、ないでしょう!?」

ピーチ「…まさかっ!」


ピーチ姫が、顔を真っ青にします。


ルイージ「どういうこと、兄さんっ!」

マリオ「そうか…こいつらおそらく、全員が分身体だ!本体はとっくに離脱してる!
     そんでもって、アドを取るために、おそらく新たな人質確保に躍起になってるぞ!」

クッパ「お、おい…じゃあ、まさか向かった先は…!?」




――まだまだ往来盛んな、キノコ城、城下っ!

420Mii:2018/11/15(木) 23:02:06 ID:ziBygO06
ピーチ「助かったわナスタシア、全員、城下に向かうわよっ!悪いけどこっちは放置!」

分身体はワラワラ居続けますが、幸い人気はない。
後ろ髪を引かれつつも、全員、ピーチ姫に釣られて駆け出します。
…私はピーチ姫に、サヤカはデイジー姫に速やかに担がれて。

…いやまあ、サヤカをこんなところに取り残すのは論外なのですが、
なんとも恥ずかしい絵ですね。




しかし、ナスタシアの機転もむなしく。
判断の遅れは如何ともし難かったようで。


すこしばかり…遅かったようでした。

421Mii:2018/11/15(木) 23:03:44 ID:ziBygO06
ピーチ「なんて…こと」



既にキノコ城前の広場には、ディメーンの魔法に囚われの身となっている人々が集められ、
ひしめいていたのです。

無傷というわけでもなく、抵抗したのか負傷者、重傷者も多数出てしまっている…なんということでしょう。


その数は、軽く三桁にのぼります。


ディメーン「んっふっふ!これでまた、形勢逆転だねっ!
       いやいや、こーんなお祭りを呑気に開いてくれているなんて、大助かりだよ!」



「姫様!お助け下さい!」

「うわーん、死にたくないよー!」

「このままじゃ、うちの子が死んじゃう!」

「痛い…痛いよう…!」



聞こえてくる悲鳴、鳴き声。慟哭。
ぎりっ、とピーチ姫が唇を噛み、血が滴り落ちました。

422Mii:2018/11/15(木) 23:06:33 ID:ziBygO06
ディメーン「さ〜てと、今度はしくじらないよ、マドモアゼル ピーチ。
       少しでも抵抗すれば、1人ずつ、1人ずつ、あの世に送っていくからね。

       どうあがいても、1人や2人ならともかく、全員を同時に助けることなんて夢のまた夢だしね!
       …いやあ、最初からこうしておけばよかったかな」


ナスタシア「まったく、どうしてそう、無駄に実力を付けているのですか!
       ここまで同時並行で術式展開することなど、とてもできなかったはず!」



ああ、どうしたらよいのでしょう。事態が好転した、などと考えていた過去の私を叱りたい。
思う存分魔法を発揮するディメーンを、ただ呆然と眺めるばかり。





ただ……同じ、空間魔法の使い手として。



ロゼッタ「羨ましい、なあ」


そんな言葉が、口から出てしまいました。

423Mii:2018/11/15(木) 23:09:42 ID:ziBygO06
ピーチ「ロゼッタ、羨ましいってどういうこと?不謹慎よ」

ロゼッタ「…あ、大変申し訳ございません!ですが…
      私も、あれだけ自由に空間魔法を使い倒せたら少しはお役に立てたのに、と思いまして。

      何百年もの間――空間魔法について色々と研究・考察し、頭の中や紙の上ではそれなりの数の空間魔法を
      仕立て上げてきたのですが、FPが少ないばかりにどれもこれも使えずじまいで…
      
      たとえば、ディメーンが今行使している空間魔法も、FPがありさえすれば私にもおそらくできる程度のものです」



私の渇望が耳に入ったのか、ディメーンはケラケラと笑い出しました。

ディメーン「はははっ!頭が狂ったのかな?
       こんな高等な魔法が凡人にできるわけないだろう、マドモアゼル ロゼッタ!」

ピーチ「何よ!どうせ、さっき自慢してた『参考書』とやらの賜物でしょ!
     自分じゃ編み出せもしなかったくせに偉そうに!」



ディメーンが、囚われた1人のキノピオに爆撃を仕掛け、内壁に叩きつけました。
完全に意識が無くなり、流血も。一刻を争う状況です。
たちまちピーチ姫も口をつぐみ、涙を堪えて怒りに震えるしかありませんでした。

424Mii:2018/11/15(木) 23:13:05 ID:ziBygO06
ディメーン「確かに参考書のおかげ…しかし、それを活かせるのは、ボクの実力あってこそ!
       さっき言わなかったっけ?

       というより、常人じゃその凄さ、真意、存在意義にすら絶対に気付けないんだよね!相当に狂気ものの書物だし!」



そう言って、ポン、と古ぼけた一冊の本を異空間から取り出します。



マリオ「狂気もの…?どういうことだ?」

ディメーン「執筆者は相当な切れ者のようでね…まあ、既にそいつを超えているだろうけど。
       どうにも『選ばれた者のみに空間魔法の極意を伝えたい』という想いから、
       カモフラージュを散りばめている。ページが引き千切られていたり、所々黒く塗り潰されていたりね。

       中でも初見で面食らったのが、一見して魔術書とはまるで無縁な…
       フィクション小説の体裁をとっているところさ」

ピーチ「フィクション、小説…!?意味が分からないわ」

ピーチ姫が話を促しつつ、隙を必死に伺います。
それを知ってか知らずか、ディメーンは大層得意そうに続けます。

425Mii:2018/11/15(木) 23:21:27 ID:ziBygO06
ディメーン「そう…表の顔は内気な少女、しかし裏では平和な世界を脅かす悪意に魔法を駆使して人知れず立ち向かう暗躍者。
       時には意中の男性に正体がバレかけたりしてあたふたする、板挟みに遭う複雑な恋愛事情。
       ここまで言うと興味が湧くかもしれないが、傑作なのが文才なんて一切なくて…
       
       いや、わざとか、流石にマジ書きでこれはない。
       そんなこと、ボクが許したとしても宇宙が許してくれないな。
       大昔に、あまりの黒歴史創造に血反吐を吐きながら改悪に改悪を重ねて執筆したに違いない。

       全てが稚拙で素人の書き殴りっぷり。ワンパターンで先が読め過ぎる勧善懲悪ものの展開。
       ボクもうわぁ、とドン引きしながら読み進めたけどね。
       合間合間に超重要な術式のヒントが、数式が散りばめられているのだもの。
       どんなに馬鹿丸出しな書物でも、ボクにとっては聖書だよ」

ピーチ「まるであなたみたいな趣味の悪さね…」







ロゼッタ「……………………ん?」

426Mii:2018/11/15(木) 23:22:57 ID:ziBygO06
ディメーン「そして、これがその代物…
       『星に願いし亜空の魔女 〜おたすけウィッチ、三日月に舞う〜』だね。
       いやあ、タイトルもふざけ過ぎて逆に天才と思わせないかい!?」

ピーチ「星に願いし亜空の魔女……なんて厨二設定なの…!」





ロゼッタ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「……は?」

マリオ「…………ロゼッタ?どしたの?」ユサユサ

427Mii:2018/11/15(木) 23:26:50 ID:ziBygO06
ディメーン「それに、一緒についてたメモ用紙があったんだけどさー。


       『シリーズ累計150万部突破の超大作!書店にて全10巻、好評発売中!
        ① おたすけ☆ウィッチ、その名はロゼりん!
        ② 古の遺跡と風を司りし巫女
        ③ おたすけ☆ウィッチ、三日月に舞う
        ④ 激闘!紅蓮の使者現る
        ⑤ 内気な魔女の恋愛事情
        ⑥ 挫折と涙と、シューティング☆スター!
        ⑦ 星降る夜の舞踏会
        ⑧ スターダスト・ラブソディ
        ⑨ 響け!疾風の協奏曲
        ⑩ おたすけ☆ウィッチと空中庭園!            』


       だってさ。第3巻執筆時点で第10巻までのタイトル付けの皮算用までするなんて、
       素面だとしたら頭のネジが緩んでいないか気になる思考回路だね」

ロゼッタ「えっちょっ待って」ガクガク

ピーチ「…本当にそれ、参考書たりえるの?」

ルイージ「……………………」

428Mii:2018/11/15(木) 23:31:01 ID:ziBygO06
ディメーン「性的知識もないのに官能めいたことを無理やり書こうとしてさ。
       こそあど言葉で誤魔化すわ、ますます稚拙さが露わになるわ、急に場面が飛んで逃げるわ、
       いつの間にか距離が縮まってるわ、そのくせ強引に三角関係とか描写しようと空回りするわ…

       知的なボクですら…いやボクだからこそ顔が強張る展開が目白押しだったよ、うんうん」

ロゼッタ「ゴフッ(吐血)」

ピーチ「うわあ、それはないわー…」

クッパ「…………………………………………」

429Mii:2018/11/15(木) 23:35:31 ID:ziBygO06
ディメーン「極めつけにさ、隕石が落ちてきたときに、フィクションにありがちなご都合展開で回避するんだけど、
       その時の主人公が

        『この顛末がまぐれではないかって?違うわ、私は真に驚くべき魔法を編纂して見せた。
        でも、ここで語ることはできないわ。だって、私の人生という限られた日記に記すには、
        余白が狭すぎるんだもの(キリッ)』

         って独り言で締めくくるんだよ。もう大うけで大うけで。――あー、語れてすっきりした。
         少しは誰かに共感して貰いたかったんでね。

         こんな内容のくせして、空間魔法の極意を散りばめた一冊なんだからamazing!」

ロゼッタ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

ピーチ「さっきからうるさいわよロゼッタ!?ってか、なんで吐血してるの!?」

マリオ「うわあ」

ルイージ「うわあ」

クッパ「うわあ」

430Mii:2018/11/15(木) 23:37:31 ID:ziBygO06
マリオ「…なあディメーン、その本、どうやって入手した?」

ディメーン「宇宙空間に漂っていたところを偶然拾ったよ?」

マリオ「…ロゼッタ、負の遺産であることに気付いてちゃんと焼却処分した?」

ロゼッタ「ちゃんと原本除いてブラックホールに放り込みましたよっ!!」グズッ

マリオ「きっと奇跡的にホワイトホールから無傷で出てきちゃったんだな……
     ってか原本は現存する上に複製までしたのかよ」

ピーチ「…え?」

ルイージ「」

クッパ「」

ロゼッタ「……すいません、今のなしで」

ディメーン「???」

ピーチ「ロゼッタ……………………あなた、まさか」


ロゼッタ「そんな目で私を見ないでくださいぃーーーーーーっ!!」

431Mii:2018/11/15(木) 23:41:06 ID:ziBygO06
ロゼッタ「死にたいです…いっそ殺してください…」orz

サヤカ「私はママに生きていてほしいよ!?死にたいなんて言わないで!」

茶化す気持ちなど全くないサヤカだけが、唯一の救い……っ!




サヤカ「だから、頑張って!ロゼりん!」




ドグシャァアアアア!!
立ち上がろうとして言葉の刃に切り裂かれ、地に倒れ伏しました。

マリオ「大変だ!ロゼりんがまた血を吐いてるっ!」

ルイージ「頑張れロゼりん!負けるなロゼりん!」

ピーチ「わ、私は信じてるからね!ろ、ロゼりんは強い子だって……!」

クッパ「ロゼりんロゼりんしつこいぞ!いい加減にしてやれ!全く酷い奴らだ、なあロゼりん」

ロゼッタ「」

ナスタシア「…が、頑張って、ください?」アセ

ロゼッタは めのまえが まっくらに なった▼

432以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/16(金) 04:54:20 ID:gNkIg74s
ロゼりんかわいそう

433以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/18(日) 06:08:59 ID:xpY81W4Q
やっぱロゼ作だったか…と思ったら中身がひどかった

434Mii:2018/11/21(水) 06:03:56 ID:Jyf9E9g2
公開処刑されたところで…黒い影が広場を覆います。
虚ろな目で上空を見やると…プロペラが轟音を立てて高速で向かってくる塊ひとつ。



カメック「ピーチ姫―!…クッパ様!?一体どういう!
     ええい、とりあえず急遽の行き先変更もこなして、クッパシップ持ってきましたよー!」

ピーチ「来た…っ!話に興味がある振りをして時間稼ぎした甲斐があったわ!」

ロゼッタ「なんだ、時間稼ぎだったのですか…って絶対違いますよねっ!
     でも怖いのでそういうことにしておいてくださいオネガイシマス!」

ピーチ「デイジー、さっさと降りてきなさいっ!!」

デイジー「もう飛び降りてまーす!!」シュバッ



いつの間に、飛行船と合流していたのでしょうか。
デイジー姫を見かけないと思っていたら、飛行船に用事があったみたいです。

435Mii:2018/11/21(水) 06:06:09 ID:Jyf9E9g2
数十メートルの高さを、フラワーパラソルを使いながらほどよい速度で降下してきた、デイジー姫。
そのまま、なんと私に抱き着いて来ました。え?え?え?

というより、なんでしょう。すごく、甘ったるい匂いがします。
見れば…デイジー姫の服が、あちこち…べっとり薄茶色の液体でべた付いています。

ロゼッタ「一体、何をしてきたのですか?凄まじく甘い香りがするのですが…」

デイジー「ロゼッタ、話は後!背中、向けて!!ちょっと…気張りなさいよっ!」

な、なんだかよく分からないうちに、体を反転させられます。
私の視線の先には、いまいちよくわからず、手を下しかねているディメーンの姿。




と、その時です。
私の背中の中央が、ポッと熱くなりました。





デイジー「おっちょこちょいで突っ走りすぎることもある、迷惑かけてばっかり、
      だけど………………だけどっ!」

背中に手を置かれているのですか――そう、思った矢先――!

436Mii:2018/11/21(水) 06:08:27 ID:Jyf9E9g2
次の、瞬間。



デイジー「――――サラサランドの花の紋章を、舐めるなぁーっ!!
      

       『花々の祝福《フラワーギフト》』、発動っ!!」ゴオオォォォ!



ロゼッタ「……っ!」

背中から感じる、強烈な光、光、光――!!そして、燃え盛るような激しい熱。



何が、起こっているのか。
ただただ、背中が、熱い。熱い。突然のことに目を見開く。
ドレスの背中の部分が焼け焦げ、手のひら分の円形に背中が露出する感触。



しかし、最高に……心地よい。
ぽかぽかとした春の日差しの真っただ中にいるような感覚。
自然と目を瞑り、身を委ねていく――。

437Mii:2018/11/21(水) 06:10:06 ID:Jyf9E9g2
ピーチ「どう、デイジー!?作戦の方は上々!?」

FP 9999/9999
デイジー「うぷっ…ハニーシロップ!メイプルシロップ!!ローヤルゼリーっ!!
      吐きかける直前まで、材料余りを腹に収めたっての!
      確実にFP満タンになってるわ!細工は流々!仕上げを御覧じろってね!

      
      ――――持ってけ、ドロボーっ!!!」ピカァァーーーーーッ!



FP 64/128
ロゼッタ「……………!」パアア



FP 【1000】 / 128  デンッ!
ロゼッタ「……力が………」パアアアア



FP【3000】 / 128 デデンッ!
ロゼッタ「ああ――」




FP【6000】 / 128
ロゼッタ「……力が、湧いて、きます――!」ゴゴゴゴゴゴ・・・!

438Mii:2018/11/21(水) 06:12:06 ID:Jyf9E9g2
薄目を開けてみれば、ディメーンは、あっけに取られているよう。
…いえ、ようやく我に返って、人質を攻撃する素振りで牽制を掛けてきました。

しかし、相当動転しているのが幸い。
どのみちデイジー姫の大魔法は中断できないようなので、ディメーンの提示したルールに従うならば
人質の命を奪われてもおかしくなかったのですが。

あくまで『泣き叫ばせるような負傷を与えられる』に留まり、ぎりぎり犠牲者を出さずに済みました。
…もちろん、負傷者当人からしてみればどちらにせよたまったものではないでしょうが。





デイジー姫が魔法の行使を終えたらしく、背中の感触が弱まっていき…そして、無くなります。
そのまま、ぺたんと座り込んでしまったデイジー姫。



ロゼッタ「………………………」



私は…俯いたまま、微動だにしません。

439Mii:2018/11/21(水) 06:13:35 ID:Jyf9E9g2
デイジー「…………ハァ、ハァ……………………ロゼッタ!?」


おそらく、FPを注ぎ過ぎて、異常をきたしているのではないかという心配があるようですが――
その心配には、及びません。



穏やかに、ゆっくりと――顔を上げていき…

ロゼッタ「…………デイジー、姫」

FP 0 /9999
デイジー「……う、うん。ロゼッタ、なに?」





FP 【10063】 / 128
ロゼッタ「―――――感謝、致しますっ!貴方に最大級の称賛と祝福を!」ゴオオオオオオォォォッ!!




魔力開放。

私の体は、実体化して溢れだす青色の魔力に幾重にも包まれ、勝利を確信させたのです。

440Mii:2018/11/21(水) 06:15:35 ID:Jyf9E9g2
マリオ「……なんだ、一体」ポカーン



マリオですら、この超常現象に唖然としています。
私も、あまり詳しいことは理解できていないのですが。この魔力の衣を纏った状態の私…
自称「おたすけウィッチ」状態は、体質が最高に「空間魔法向き」になっているようなのです。
ちょっとやそっとでは負けません!



ディメーン「…ほう、これは。なるほど、キミがこの戦局のジョーカー足り得たということだね〜」

敵は、好敵手を見つけたとばかりに微笑んでいますが…
あいにく、交戦は既に始まっているのです。

まずは、万が一にも犠牲者を出さないためにも…っ!
空間魔法より先んじて――回復魔法をっ!



ロゼッタ「Starlit Wish《星に願いを》――!」


杖を一振り。優雅に華麗に、されど控えめに美しく。

441Mii:2018/11/21(水) 06:18:51 ID:Jyf9E9g2
FP 【9943】/128 ガクンッ
ロゼッタ「これで、どうしょうか…!」

ディメーン「あっはは、なんだか猛烈にFPを消費してない?腕が悪いんじゃないの?
       回復魔法ってせいぜいFPを10消費する程度だろ?」



パアアアアアァァァ!!
ロゼッタの 願いが 叶った!


ロゼッタ(EX)のHPが 50 %回復した!
サヤカのHPが50%回復した!
マリオのHPが50 %回復した!
ルイージのHPが50%回復した!
ピーチのHPが50%回復した!
クッパのHPが50%回復した!
デイジーのHPが50%回復した!
ヨッシーのHPが50%回復した!
ナスタシアのHPが50%回復した!

マリオ「おお、ダメージがすっかりなくなったぞ!」ブンブン!

ピーチ「ほ、ほんとだわ!」

442Mii:2018/11/21(水) 06:20:50 ID:Jyf9E9g2
ディメーン「……ぐっ、な、中々に厄介な回復力じゃないか。
       まあ、消費FPに見合う強さはあるといったところかな」


キノピオ1「ロゼッタ姫―!そんな奴に負けないでください!私はまだまだ大丈夫であります!」

障壁貫通!キノピオ1のHPが50%回復した!



ディメーン「……ん?」




障壁貫通!キノピオ42人のHPがそれぞれ50%回復した!
障壁貫通!商売人197人のHPがそれぞれ50%回復した!
障壁貫通!観光客2961人のHPがそれぞれ50%回復した!
障壁貫通!通行人1105人のHPがそれぞれ50%回復した!
障壁貫通!警備員360人のHPがそれぞれ50%回復した!
回復領域はまだまだ広がっていく!

ディメーン「えっ」

ピーチ「えっ」

デイジー「えっ」

443Mii:2018/11/21(水) 06:22:29 ID:Jyf9E9g2
キノコ王国の住民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
クッパ帝国の戦闘員全員のHPがそれぞれ50%回復した!
サラサ・ランドの住民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
マシュマロ王国の住民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
マメーリア王国の住民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
ワッフル王国の住民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
ヨースター島の島民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
ドルピック島の島民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
草原の国と砂漠の国と海の国と巨大の国と空の国と氷の国と土管の国の
住民全員のHPがそれぞれ50%回復した!

ディメーン「」

ピーチ「ファッ!?」

デイジー「ファッ!?…おっそろしいログが頭の中に流れ込んできたんだけど!?」

444Mii:2018/11/21(水) 06:24:28 ID:Jyf9E9g2
マリオ「…………!」ボウゼン

マリオ「お、おいクッパ。あれ、見えるか?」

クッパ「あ、ああ……なんじゃ、こりゃ」

ピーチ「な、なに2人して上を見上げてるのよっ!?」

マリオ「ああ…さすがのピーチも、『説明画面』を見るには実力が足りないかー」

ピーチ「なんのことよ!」

マリオ「あー…今、ちょっと効果説明が浮かんでるんだけどな?


      『星に願いを』 回復系  スキルランク:S++  基本消費FP:120
      自分が明確に『敵』と認識した対象を除き、効果範囲内全員のHPを50%回復させる。

      効果範囲:   自分を中心とした “半 球 全 体(星表面の50%)”



                     ってあるんだが」

ピーチ「はああああぁぁ!!!!!??」

ロゼッタ「そのかわり消費FPがやたら大きいのが問題になるのですが…」

ピーチ「そういう次元じゃないわよ!?」

445Mii:2018/11/21(水) 06:26:55 ID:Jyf9E9g2
ロゼッタ「…さて。憂いが無くなったところで…第二楽章で一気に畳みかけます。
     さあ、華麗に踊りましょう……」


ディメーンが仕掛ける前に、こちらから仕掛けますっ!

目を閉じ、深く息を吸い、両手を大きく広げて…さあ!



ロゼッタ「我、この空間を制する者なり――



          空中庭園《スカイガーデン》っ――――!!  」



刹那。
辺りの風がたちまち止み、世界は静寂に包まれる。
制空権は、まさに私の手の中に…転がり込んできました。

446Mii:2018/11/21(水) 06:29:53 ID:Jyf9E9g2
ディメーンは、防御壁を何重にも張ったままあたりを慎重に慎重に伺った後…
どうしたことか、たちまち大笑い。

ディメーン「くくく、ま、まさか風を止めるだけっていうのが渾身の大技だって?
       心配して損したよ、これがなんになるというんd」

別に、今の私が完全無敵、というわけではありません。
仮にマリオやクッパと対峙すれば、あっさり負けることでしょう。

…しかし。非常に運のいいことに。
ディメーンに関してだけは…私は、無敵になれるのです。

大笑いを遮って、パチン、と手を1回叩きます。
ええ、それだけ。




キノコ王国に スカイガーデンが 展開されている!▼  シィーン・・・!

下位の空間魔法は 全て無効化され 再展開もできない!▼
ディメーンの 隔離壁と 防御壁は きれいさっぱり なくなった!▼ シュウウウウウ・・・
ディメーンが 所有している 異空間は 存在を 許されなくなった!▼ パリーン!

ディメーン「…は?…は?………はあああああ!?」

FP【7943】/ 128 ガクーン!
ロゼッタ「…さあ、これにてチェックメイト、です」

そう宣告しながら、いまだ体を包み込む青い衣越しにディメーンに杖を向ける…!

447Mii:2018/11/21(水) 06:32:51 ID:Jyf9E9g2
回復で体力を持ち直したうえに、隔離壁から開放された人々が、喜びの声を上げてこちらに駆け込んできます。
ええ、もう心配はありませんっ!

さらに。ドンガラガッシャン、と音を立てて。
あちこちの空間が割れ、ポタポタ落ちてくる影。

ロゼッタ「なるほど、そういうことでしたか…ディメーン」

ディメーン「なん…だと…!」ワナワナ

ルイージ「え?え?どうしてディメーンが何体も降ってくるのさ!?分身体!?」

ロゼッタ「いえ。…これが、前回の復活の絡繰りですよ。

      ディメーンはそもそも、『人数制限がありながらも本体が複数いる、ストックしておける』存在のようですね。
      分身体を繰り出す場面を見せることで、あたかも本体は1体、と思わせていた。

      もし本体が倒された場合は、記憶を引き継ぎつつ次の本体が稼働し始める、という具合でしょうか。
      ――まあ、みんなまとめて倒してしまえば、一件落着ということですね」

448Mii:2018/11/21(水) 06:35:22 ID:Jyf9E9g2
ディメーン「おのれぇーっ!!」バッ

ディメーンが、怒りに我を忘れて攻撃を仕掛けようとしますが…。


Error!
マスター権限がないため空間魔法を展開できません!

ディメーン「…っ!」

Error!
マスター権限がないため空間魔法を展開できません!
Error!
マスター権限がないため空間魔法を展開できません!
Error!
マスター権限がないため空間魔法を展開できません!


スカイガーデンのおかげで存在をばらされた本体たちまで、悪あがき。
しかし、一切意味など、ないのです!


ロゼッタ「そんなに空間魔法を使いたいなら……
      代わりに使って差し上げます!」

一辺50 メートルはあろうかという立方体状に、隔離壁をお返しっ!
一網打尽にして閉じ込めてしまいます。
こんな大きさですが、基礎の基礎なので、杖はやはりひと振りで大丈夫。

449Mii:2018/11/21(水) 06:37:34 ID:Jyf9E9g2
マリオ「おおおおっ!!もう一息じゃないか!頑張れ!」

クッパ「…ちょっと待て、空間魔法を使えないディメーンなど、唯のゴミだろ。
    壁をどかせて普通に攻撃するだけでフィナーレではないのか?」

ロゼッタ「いえ。この者たちは滅しても構わないのでしょう?
      ならば、私が引導を渡してやるのが筋という物」ジッ

ピーチ(あ、何気に黒歴史暴露に対して相当キレてる)

デイジー「で、でもロゼッタって攻撃魔法、使えないんでしょう?」

ロゼッタ「………………………………」

ピーチ「…ロゼッタ?」



すうぅ、ととつぜん深呼吸。胸に手を添え、息を整えて。

ロゼッタ「……ちょっと、お話をさせてください。
     恥ずかしいですが、聞いてもらいたいことなのです。




          ――転章、『空間』――」

450Mii:2018/11/21(水) 06:39:29 ID:Jyf9E9g2
――女の子が「ずっとチコたちのそばにいよう、ママになってあげよう」と決意してから、
しばらくたったある日のこと。

日課の星うらないで「たいへんなことが起こる」という結果が出てしまい、
女の子は不安でしかたがありませんでした。


「何が起こってしまうのかしら。」


ゆううつそうに夜空をながめていると、とつぜん、空間に裂け目ができ、
そこから4メートルは超すかという、四つ足の大きな体が姿を現しました。
自分ではとても敵いそうにないくらい、強そうです。

でも、現れたそばから、体が大きくふらついています。

451Mii:2018/11/21(水) 06:41:01 ID:Jyf9E9g2
「もしかして、ケガをしているのかしら。ちょっとこわいけれど、回復してあげなくっちゃ!」



しかし、その生き物は、近づいた女の子を敵と判断し、すかさず切り裂いたのです。



弱っていても、力の差は歴然。
女の子は、たちまち倒れてしまいました。
それでも、相手のケガを治してあげたくて。

必死に止めるチコたちの言うことも聞かず、ゆっくりと、また、その生き物に近づきます。

「だ、だいじょうぶ。あなたのケガを、治せるなら治したいだけ、だから」

チコたちにチカラを分けてもらいながら、女の子は傷付いたまま回復を続けます。
今度は、切り裂かれたり、突き飛ばされたりすることは、ありませんでした。

452Mii:2018/11/21(水) 06:43:27 ID:Jyf9E9g2
いつ、眠ってしまったのでしょうか。
目を覚ますと、さっき回復させた生き物が、じぃっと女の子を見つめていました。

「ようやく、目覚めたのか。」

女の子は、驚いて立ち上がりました。

「あなた、会話ができるのね。それともテレパシーかしら。」

「なぜ、余計なことをした。お前がやったことは、ほとんど意味がないことだ。
 放っておいて、勝手に回復した分の方が、はるかに多いぞ。」

「じゃあ、ほんのちょっとは意味があったってことね。それなら、ちっとも後悔はないわ。
それに、あなた本当は二足で動けるのね。さっきは四つ足だったのに。
きっと、相当弱っていたんじゃない?

それと、あなたが私を回復してくれたのかしら。だったら…ありがとう。」

そう、小さく笑うと、生き物は一瞬固まった後、バツの悪そうな顔をしました。
かんちがいで攻撃してしまった、申し訳のなさもあるみたい。

453Mii:2018/11/21(水) 06:45:25 ID:Jyf9E9g2
と、そこに。
1人のチコが、あわてた様子でやってきました。



「ママ!たいへんだよ!おっきな隕石が、近づいて来てる!このままだと、ぶつかっちゃうよ!」

「それは、たいへん!」



てっきり、この生き物との遭遇が「たいへんなこと」とばかり思っていたのに。
顔を真っ青にして、女の子は言われた方向を見やります。

大きい、大きすぎる球体が、確かにせまってきています。
昨日までは、全然見当たらなかったのに。ものすごい速さです。

ほうき星にぶつかってしまったら、一体どうなるのでしょう。



どうしようもなく、立ちすくんでいたところに、先ほどの生き物が一歩前に歩み寄りました。

「助けてもらった借りもある。ここは、私に任せなさい。」

「駄目よ。どうするのか知らないけれど、あんなに大きい物、たとえ強いチカラで砕いたとしても、
数えきれない破片が降り注ぐだけだわ!」

454Mii:2018/11/21(水) 06:47:07 ID:Jyf9E9g2
しかし、その生き物は余裕しゃくしゃくで隕石に立ち向かったと思うと…
腕を、たったのひと振り。

紫色の鋭い衝撃波が、ものすごい速さで飛んで行き…隕石に当たってみれば…

まばゆい光とともに、隕石をどこかへと消し去ってしまったのです。



「すごい!すごいわ!何をやったの!?」

「ふん。空間ごと、隕石を切り裂いてやっただけだ。私にとっては朝飯前である」

「……!きっとあなたは、神さまか何かなのね!
 お願いします、今の魔法、教えてください!
 また、いつ隕石が落っこちてくるかわからないんだもの。」

455Mii:2018/11/21(水) 06:48:32 ID:Jyf9E9g2
神さまは、軽く鼻で笑いました。

「お前には、1000年掛かっても使いこなせまい。
 空間をつかさどる、想像を絶する難しさの魔法だからな。」

「だったら、私なら100年あれば、きっとできるわ。
 だって、私、空間魔法は得意なんだもの。」

「そんなに言うなら、駄目もとで、使う所を存分に見せてやろう。100年後が楽しみだ。」



神さまは、全然期待していなさそうでしたが、丸1日女の子に付き合って、
魔法をあちこちの空間に向けて使って見せた後、どこかへと去っていきました。

456Mii:2018/11/21(水) 06:49:45 ID:Jyf9E9g2
5年後。
神さまは、暇だったのか、ほうき星に様子を伺いにきてみました。


女の子はすこし成長していましたが、『その魔法』は失敗してばかり。
いえ、形になる予兆すらみられません。
当然だ、とため息をつきました。



10年後。
再び、神さまはやってきました。

女の子は、あいかわらず特訓を欠かさないようでしたが、
得られるものは特になかったようでした。

「もう、やめたらどうだ。力の差がありすぎる。同じように真似しようとしても、
できるわけがないのである」

多少冷たい言い方になってしまいましたが、神さまはそう諭しました。



「…そうよね。そんなこと、できっこないのよ」

女の子は、力なく肩を落としました。

457Mii:2018/11/21(水) 06:51:24 ID:Jyf9E9g2
100年後。

みたび、神さまはやってきました。
今度は、特訓のほどを見に来たわけではありません。
なんと、隕石がまたもや降ってくることを察知して、助けてやろうとしたのです。
…それだけのはずでした。



ところが、神さまは驚きました。



必死の形相をした女の子のまわりに、数えきれないチコが群がり、
同じく必死に女の子に力を送っています。

そして、女の子が杖をひと振り。

すると、ほうき星全体が、はるか上空含めて、女の子の制する空間となったのです。


女の子は、杖をふた振り。


前回ほどではないとはいえ、ほうき星よりはるかに大きい隕石は、
さらにおおきい『空間』に包まれました。

458Mii:2018/11/21(水) 06:52:53 ID:Jyf9E9g2
女の子が…杖をみ振り。



女の子の頭上に、バチバチと、目がつぶれそうなほど輝く光の剣が作られていきます。
その大きさは、2メートル…5メートル…10メートルを超えました。



そして、最後に。




女の子は、杖を持っていない方の手で剣を握り、杖に見立てて、えいやっと振り下ろしました。
魔法で動かしているらしく、剣は滑らかに振り下ろされました。



剣の先から出た衝撃波は、かつて神さまが女の子に見せたものにそっくりでした。
その衝撃波は、隕石を包む空間ごと、隕石を消し去ってのけたのです。



チコたちが大喜びする中、女の子は力を使いすぎて、バタリと倒れてしまいました。

459Mii:2018/11/21(水) 06:54:52 ID:Jyf9E9g2
女の子が目を覚ましたのは、七晩過ぎたときでした。

女の子は神さまに気付くなり、興奮冷めやらんようすで話しました。

「私には、神さまみたいに一瞬で隕石を消すことはできなかったわ。
どうやっても、力がなさすぎるもの。

でも、いったん自分の制御する空間で切り取ってから、その空間ごと崩壊させるっていう手順を踏めば、
なんとかなることがわかったの!」


神さまは、なんともいえない気持ちになりました。

460Mii:2018/11/21(水) 06:56:18 ID:Jyf9E9g2
去り際に、神さまは言いました。

「大したものだ。手間は違っても、お前のやったことは私と同じ。
…そのチカラ、弱きを助け、悪を挫くために使う限り、
私の魔法と同じ魔法名を使うことを許そう」



魔法使いにとって、上級の者から魔法名を借り受けられることはとてつもない名誉です。

女の子は、飛び上がらんばかりに喜びました。

そして、より一層、空間魔法を極めていこうと、心に誓ったのです。

461Mii:2018/11/21(水) 06:58:16 ID:Jyf9E9g2
私は、『絵本』の物語を語り終わる。

そしてその頃には。
物語と同じく、光り輝く巨大な剣が、左手にしっかり、握り締められている――!



ディメーンたちに、私の物語が聴こえたかどうかは定かではありませんが。
私の作った空間から逃げられない彼らは、今度こそ本当に危険であることを理解し、
叫びながら遮二無二暴れようとしています。


剣を天空に向けたまま、すこし、後ろを、振り向く。


マリオもピーチも、固唾をのんで見守ってくれているよう。

ルイージはただひたすら、あわわわわ、と驚いています。

ヨッシーは、勝ちを確信できたのかガッツポーズ。

クッパは、むすっと腕組みをした状態で…静かに、頷く。

そして、微笑んだデイジー姫とナスタシアに促されて――
サヤカが、満面の笑顔で叫びました。

サヤカ「ママ、いっけー!!」

462Mii:2018/11/21(水) 07:00:17 ID:Jyf9E9g2
――「では、私の魔法の、魔法名を伝えようか。その名は…」
――「……っ、その名は…!」




ロゼッタ(一気に、空間に、振り下ろすッ!!!!)






ロゼッタ「    Spacial Rend《亜 空 切 断》っ!!    」






衝撃波が、ディメーンたちを閉じ込めた檻に、当たる。
空間は、一気に、ディメーンを逃がすことなく、轟音とともに収縮崩壊し始めます。

ディメーン「ちくしょおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

ディメーンの断末魔が、聞こえた気がしました。
そして……空間が、砂粒よりも小さくなった後。
パァン、と小さくはじけて、光の粒とともに消えていきました。

同じく消えゆく光の剣を満足そうに眺めて…私は、意識を落としたのです。

463以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/22(木) 00:23:58 ID:6BzF9llQ
まさかのクロスオーバー

464以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/24(土) 21:38:11 ID:qvTWrikU
神様ってティアルガかな?

465以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/25(日) 08:52:21 ID:.AnKWnx6
「デ」ィアルガじゃなくてパルキアでは

466以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/27(火) 17:32:35 ID:3KAW6mBc
スマブラとかいう異世界の英傑勢揃いの超人レスリングの新作に参戦決まったからなぁロゼッタ…

467Mii:2018/11/30(金) 06:14:51 ID:ccoR/GVA
――――ぽたり。ぽたり。



閉じていた目を、すっと、開く。
何もない空間、何も見えない空間に、かすかに水滴の落ちるような音が聞こえる。

…ここは、夢の中でしょうか。きっとそうに違いありません。
杖はどこかに行ってしまいましたが、フヨフヨと浮遊感があるのですから。
ドレスに付いていたはずの赤色も、見る影もありませんし。


…あ、ちなみに。
おたすけウィッチ状態はとっくに解除されています。
まあ、あの超大技にはFPを 5000 くらい消費するので
これだけでは夢の中かどうかは判断できないんですがね。
自分が締めたばっかりにFPの無駄極まりない?き、聞こえません聞こえません。

キョロキョロと周りを見やっても、暗い空間がただただ広がるばかり。
夢なら、もう少し明るくて楽しいものが好みなのですが。

468Mii:2018/11/30(金) 06:16:10 ID:ccoR/GVA
そう思っていたら、急に、周りの景色が様変わりして、色鮮やかになりました。


ロゼッタ(あ……とても澄んだ空がどこまでも…)



遠くに見える、いくつもの浮遊島。
風そよぎ、思わず背伸びしたくなるような秘境の地。
いい演出ではないですか!


ところが。
体の自由が、急に利かなくなりました。夢だからでしょうか?
意思に反して、勝手に視線を足元に向けてしまいます。

そして、どこからともなく、誰かがすすり泣く声が聞こえてきます。
こんな最高の気分を味わえないなんて、一体どなたなのでしょう?

469Mii:2018/11/30(金) 06:17:30 ID:ccoR/GVA
ぽたり。ぽたり。



ロゼッタ(…………ん?何か、滴が足元に?)



そういえば…目元に違和感があるような…。



ロゼッタ「……ひぐっ、ひぐっ!死にたくない、死にたくありません…っ!誰か、助けてぇ……!!」

ロゼッタ(……………………私ですか!?)



これは驚きました。自分が泣いている夢など、見たくもなんともないですが。

状況を理解すると、たしかに「私」が泣いていることが知覚できます。
理由はさっぱりわかりません。…まあ、夢の出来事に因果を求めるのはナンセンスかもしれませんが。
あと、当然ながら私はちっとも悲しくありません。ややこしいですね。

470Mii:2018/11/30(金) 06:20:45 ID:ccoR/GVA
夢は、醒めることなく、まだまだ途切れず続きます。



ロゼッタ「マリオが私を助けに来る、助けに来ない、来る、来ない…」



死んだ目になっているのでしょうか、抑揚のない、蚊の鳴くような声で呟きながら、花占いを始めました。
助けとかなんとか、よくわかりませんが、「来ない」で決着するたびに絶望度が上がったような顔の強張り方をして、
嗚咽を漏らしつつ、次の花に移ります。次の花へ、また次の花へ…。

ロゼッタ(いやいや、ちょっと待ってくださいよ私!ここに咲き誇ってる花、同じ花ばっかりのせいで
      どれもこれも花びらが偶数枚しかないんですけど!気付きなさいよ!)



自分の体の中にいて、自分の周りを冷静に観察できるのに。
行動だけが自分の思うようにいかない。もどかしいったらありません。



ロゼッタ「…………はは、駄目、ですかあ」ポロポロ



ロゼッタ(なんと、結局何時間もかけて、確認できる限り全ての花びらをちぎってしまいました。
     暇人ですね!というより見ている私の身にもなってくださいよ、クタクタなんですけどっ!
     ほら、ちぎられた花びらも、風でどこかに飛んで行って…………)

471Mii:2018/11/30(金) 06:23:22 ID:ccoR/GVA
視線が、「足場」の外へ、下へと向けられます。

ロゼッタ(……!?ひっ!な、なんですか、ここ!?)



奈落の、底。いえ、景色的には青い青い空間が広がっているのですが、とにかく地表が見えません。


これは、落ちたら一巻の終わりでしょう。なるほど、どうあがいても生き延びる手立てが探し当てられずに、
絶望していたということですか。

「ロゼッタ」は、何分間くらい涙を流して放心していたでしょうか…おもむろにゴシゴシと涙をぬぐいました。
涙の跡は、きっとくっきり残ったまま。

そのまま空元気全開で、明るい声で叫び始めます。



ロゼッタ「……なーんて、ね。大丈夫です、早々に絶望して飛び降り自殺するなんてことをせず、
      何日でも何週間でも足場にへばり付いて、齧りついて…待って、待って、待ち続ければ!
     絶対に、マリオやピーチ姫が助けにきてくれるはずですっ!

      あと数日もすれば、マリオたちがほうき星に到着して事情を把握します!
      きっと即座に、このコースのスタート地点へのスターリングに飛び込み、
      『待たせたな』と声をかけてくれるに…そうに違いありません!

      他力本願ですが…彼らを信じて待ち続けましょう!そうすれば、私は100%助かるのですからっ!」

472Mii:2018/11/30(金) 06:25:18 ID:ccoR/GVA
間違いなく、自分に言い聞かせている。
確かに、彼らならこんな私をいつまでも放置はしないでしょう。
じきに助けに駆けつけてくれるはず。

最後の最後で、頭を冷やすことができたようで…最悪の決断をしなかったようで何よりです。



ロゼッタ(よかった。いくら夢だからといって、
      流石に自分が死ぬところは見たくありませんよ、絶対に。ふふ)



――――しかし、この状況。どこかで、マリオやピーチ姫に聞かせてもらったことが、
あるようなないような…。


「私」は空元気のまま、すっくとおもむろに立ちあがって、



ロゼッタ「エイエイ、オーッ!」



と拳を突き上げる。柄にない振る舞いをしてのけます。

ロゼッタ(私らしくないですが…中々カッコいいじゃ、ないですか)

473Mii:2018/11/30(金) 06:26:55 ID:ccoR/GVA
…ええ。本当に、本当に私にとって、柄にない振る舞いでした。



その結果。



ロゼッタ「あっ、急に立って立ち眩み」フラッ

ビュゥウウウウウ!!

ロゼッタ「あ、しまっ…」ヨロッ ツルッ

風にも煽られ、足場から足を滑らせました、まる。



ロゼッタ()

ロゼッタ()

ロゼッタ(ええええええええええええええ!?超絶にカッコ悪いですよぉ!?
      超低体力の癖にこんな足場の端で急に立ち上がらないでくださいよ馬鹿ぁっ!?
      
      落ちてる、落ちてるんですけどーっ!?)

474Mii:2018/11/30(金) 06:28:36 ID:ccoR/GVA
落ちる。

落ちる。

ひたすら、頭を斜め下にして、落ちる――っ!



ロゼッタ(あ、れ)

加速する風圧で、呼吸が、できない。どんどん、体が、苦しくなる。



ロゼッタ(夢じゃ、ない?)



え、もしかして、このまま、死ぬ?



ロゼッタ「ああああああああああああああああああ!!!!!!」ボロボロ

ロゼッタ(風圧と涙で酷い顔になりながら泣き叫ぶあなたは本当にうるさいので黙っておいてくださいっ!?
      いや私ですけどっ!?どこまで落ちていくんですか、これぇーーーっ!?)

475Mii:2018/11/30(金) 06:32:27 ID:ccoR/GVA
1分くらい、落ち続けたでしょうか。

きらり、と。
視界一面、はるか下が、光った気がします。

ハッと目を見開くと、相変わらずの無限の奈落。
……気のせい、と思いかけました。


きらり、と。また光り輝く。
その光景に…私は目を疑い――知識の棚を引っ掻き回し…状況を把握します。

――ああ、空間の果てにある「特異面」、というものですね。知っていますよ。
存在を理解していただけで、実物を見るのは初めてですが。

――当たると粉々になって消えてなくなります。
生命体なら当然死にます。いやあ単純明快ですね。

ロゼッタ(……………………)ヒュウウウウウ

ロゼッタ「じーにーだーぐーなーいーでーすぅーーーーー!!」ポロポロ

ロゼッタ(死にたくなーーーーいっ!?)



グシャッ…………………

476Mii:2018/11/30(金) 06:34:04 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「」ガバッ!



ピーチ「あ」

マリオ「おっ」

デイジー「ロゼッタが起きたわ!!そろそろ起きる頃合いと集まってて大正解だったわね!」

ルイージ「よかったよかった!心配したよ!」

クッパ「ふん、ワガハイに心配を掛けさせるとはいい度胸なのだ!」



ロゼッタ「………………………」

ロゼッタ「………………………」ウプッ

ピーチ「はい、袋。男性陣、回れ右ぃ!!」

477Mii:2018/11/30(金) 06:35:55 ID:ccoR/GVA
マリオ(それもそうだ)クルッ

クッパ(紳士だからな)クルッ

ヨッシー(まあ男性陣ってことで)クルッ

ルイージ「え、なんd」

デイジー「回せ右ぃ!」バチコーン

ルイージ「」チーン





〜しばらくお待ちください〜






ロゼッタ「……もう、大丈夫、です。お水、いただけますか」ゲッソリ

ピーチ「はい」サッ

ロゼッタ(ゴクゴク)

ロゼッタ(……なんとか、戻って、来られた、みたい、です)

478Mii:2018/11/30(金) 06:37:40 ID:ccoR/GVA
ピーチ「吐けるもの全部吐いたわね…お疲れさま。気は確か?4+8は?」

ロゼッタ「…12」

デイジー「64÷4は?」

ロゼッタ「……16です」

マリオ「マリオカート参戦時、最初に選んだコースは?」

ロゼッタ「ルイージサーキットです……………ハッ?」

マリオ「……よしっ!!記憶、戻ってるな!!」ハイタッチ

ルイージ「やったね、兄さん!」ハイタッチ

デイジー「やったぁぁああああああ!おめでとぉーーー!!」ガバッ

マリオとルイージがハイタッチの後ガッツポーズをし、デイジー姫が泣きながら抱き着く現状。
もちろん、誠に嬉しいのですが、どうして…!?
なんというか、こう、大事な、大事な場面が飛んでいる気がするのですが!

ロゼッタ「え、どうしてですか!?私、あの超難関コースを一人でいつクリアしたというのですか?
      その記憶が全くないのですが!?…まさか、これも副作用の一環…!?」

ピーチ「あ、あはははは…」

マリオ「実は、だなー…」

479Mii:2018/11/30(金) 06:39:30 ID:ccoR/GVA

・・
・・・
ロゼッタ「すぴぃ」スヤァ



デイジー「ディメーンを完全消滅させて万事解決っと!!
      …ロゼッタの過去語りが本当なら、一週間ばかり目を覚まさないのよね?」

ピーチ「そのようね…とりあえず、キノコ城で寝かせておきましょうか」



マリオ「あ、いや。今のうちに、とっとと242枚目のスターを取って貰いに行こう」



ピーチ「…………は?」

マリオ「サヤカちゃん、だっけ。世界平和に大変貢献してくれたお礼に、特別に一週間後のパーティにご招待しよう。
    それまでの滞在費、およびパーティ後予定より遅れての帰り旅のお金も全て出そうじゃないか(出すのはピーチだけど)。

    その代わりと言っては何だが、一週間ばかりママと離れ離れになってしまうことを許してくれないかな?」ニコッ

480Mii:2018/11/30(金) 06:42:21 ID:ccoR/GVA
サヤカ「あ!そういえばうっかりしてたけど、もしかして、マリオ!?すっごい!マリオに会えるなんて!!
     …わかった!一週間ね!きっと大事な用事がママにはあるんだよね!パパに伝えてくるよ!
     あんまりよくわかってないけど…パーティ楽しみだぁ!」

マリオ「ははは、追って連絡するよ!じゃあ…行くぞー!ロゼッタ運搬役はピーチかデイジーに任せた!」ダダダッ

ヨッシー「はーい!」ダダダッ

クッパ「仕方がないのだ!」ダダダッ

ピーチ「説明、してくれるんでしょうね!?(ロゼッタ背負いつつ)」ダダダッ

デイジー「ちょ、どういうことよー!付いていくけどさーっ!」

ロゼッタ「」スヤァ

481Mii:2018/11/30(金) 06:44:50 ID:ccoR/GVA
ブロタロウ「…あれ?言ってませんでしたっけ。
       何人もコースに入ったり、下手にアイテム持ち込んだりってのはイレギュラー扱いになって
       記憶奪還とやらの支障になるでしょうが…

       ステージ仕様として、チャレンジャー1人に加えて ヨッシーの手助け までなら
       確実に正規挑戦・正規クリア扱いになりますよ?」

マリオ「な?」

ピーチ「」

マリオ「241枚目のスターゲット時におっかしーなー、怪しいなーってと思ったんだよ。
     241枚目および242枚目のスターってヨッシー前提じゃないと『普通は』クリア不可コースじゃね?って」

ピーチ「…ロゼッタとヨッシーのペアでクリアすれば、ロゼッタの記憶回復条件を満たせるってこと!?」

マリオ「そゆこと」コクコク

482Mii:2018/11/30(金) 06:47:16 ID:ccoR/GVA
ピーチ「…ヨッシー、クッパの誕生会のケーキの取り分、10倍にしてあげるから…
    簀巻きにしたロゼッタ背負って、ゴールまで無限踏ん張りジャンプで駆け抜けなさい。
    最後に、スターをロゼッタに触らせてクリアすることを絶対に忘れちゃ駄目よ?」

ヨッシー「その使命、確実にこなして見せましょう」キリッ

ロゼッタ「くー…」グルグルマキー
・・・
・・




マリオ「という訳なのさあ。あ、行き帰りの時間は十分にあったから、ここはまたキノコ城だけどな」



ロゼッタ「色々と台無しじゃないですかーーーーーっ!!!感謝はしますけどっ!しますけどっ!!
      なんだか色々と思い出してきましたけどっ!!」

というより、筋トレしても効果が実感できなかったのって、
力不足を魔法で補おうとする私の特異体質のせいってことですよね!?
むしろ1年近く逆効果なことをやってしまっていたのですか!?頭を抱えたくなります!

483Mii:2018/11/30(金) 06:50:07 ID:ccoR/GVA
ピーチ「ま、まあまあ。全てが無事に済んで万々歳なのだから、喜びましょう。ね?
     さ、さあ!ロゼッタも起きたことだし、明日はいよいよクッパの誕生日を祝うわよ!
     メインゲストとして、精一杯おめかししてもらうからね!」アセアセ

ロゼッタ「はぁ、もうそれでいいですよぉ…
      あれ?私が寝入ってしまったおかげで、一週間も過ぎてしまったはずなのですが。
      まだ開催されていないのですか?」

デイジー「うふふ。クッパがね。
    
      『ワガハイのせいで参加できるはずの者が参加できなくなるというのは頂けないのだ。
       涙を飲んで日程を先送りにしてやるから、精一杯ワガハイを崇め奉るがよい』

      って、ロゼッタが目を覚ますのを待っててくれたのよ。クッパ城にも帰らずにね」コソコソ

クッパ「何か言ったか?」

マリオ「ツンデレめ」ニヤニヤ

ピーチ「ツンデレね」ニヤニヤ

クッパ「……ピーチ姫はともかく、殴るぞマリオ」

ロゼッタ「それは、ありがとうございます!クッパ、心より感謝申し上げますね」

クッパ「う、うむ」

デイジー(まー、そのせいで結局『巨大ケーキ』の存在をまだ知らないんだけどねー。
      明日、どんな顔をするのやら。ご愁傷さま……)

484Mii:2018/11/30(金) 06:52:23 ID:ccoR/GVA
〜キノコ城、城下〜

ロゼッタ「う、うーん…」

ドタバタ騒ぎもひと段落…なのでしょうか。

一応、空間をちょっと探って、ディメーンの気配を念のため確認。
…どうやら、完全に征伐できた模様。めでたしですね。

あと、道行く人々の中には、びしっと改まって深々と頭を下げる方がちらほら。
すごく…心がくすぐったいです。

ほっと一息ついた私に、絶賛降りかかっている難題が、こちら。



デイジー「さあさあ、選びましょう!ピーチも太鼓判を押す、最高級のドレスたちよ!」



超高級ブティックに連れて行かされて、デイジー姫に急かされて、あれやこれやと服を選び試着し始めたはいいのですが。
恥ずかしながら雰囲気に飲まれてというか、服に着られてというか、全然落ち着くことができません。


…この値札、桁を一つか二つか、間違えていませんか…?
あとで試着代とか請求されないでしょうか?
そして、こんなものを購入してしまったら、汚すのを怖がり過ぎて逆に着られなくなってしまいそう。

ピーチ姫やデイジー姫には理解してもらえないでしょうが、心の中はいつもいつでも庶民なのです。

485Mii:2018/11/30(金) 06:54:53 ID:ccoR/GVA
デイジー「これとか、どうかな。ロゼッタのイメージカラーの青色を基調にした、
      とてもいいカラーとデザインだと思うんだけど!」

ロゼッタ「こ、こんなに背中が露出したドレス、私には着られませんよ!」

デイジー「このくらいどうってことないじゃない。背の高いロゼッタ向きだと思うよ。
      …言っておくけど、いつものドレスとは違ったドレスを最低一着用意するまで、開放してあげないからね。
      早めに音を上げた方が身のためだよー!」



頼みます。どうか、指先でヒラヒラさせている、その未記入の小切手をしまってください。



デイジー「さあさあ、次はどれを着てもら――」キョロキョロ

ロゼッタ「…あ、これにしますっ!まだ他より安いですから!これにてノルマ達成です!
      さあさあ買って帰りましょう!」サッ

デイジー「子供かっ!?音を上げろとは言ったけど、そんな決め方やめてよぉ!?」

486Mii:2018/11/30(金) 06:56:20 ID:ccoR/GVA
デイジー「信じられない…ドレスに対する冒涜よ…」ズーン

ロゼッタ「信じられません…このドレス一着買うお金で、何千年分の紅茶が買えるのでしょうか…勿体ない…」ズーン

デイジー「時間がないから仕方がないけど…本当はオーダーメイドで一から作ってもらうべきなんだよ。
      そのドレス含めて、最高級とはいえど出来合いがゆえに格安なの、わかってる?」

ロゼッタ「わかりたくありません」

デイジー「頭が痛いわ…ところで、試着もせずに買っちゃったけど、ちゃんと着られるの?
      私もあんまり確認できなかったよ?」

ロゼッタ「ふふっ、私の空間把握能力を信じていませんね?」

デイジー「あー、それもそうかぁ」

487Mii:2018/11/30(金) 06:58:54 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「…………」

まずい、です。

キノコ城に宛がわれた個室に戻ってきましたが…
ドレスの背丈が全く足りません。

なんだかもう、誤魔化しようのない大きさのズレです。
展示状態の地形で段差一つ、見過ごしたという感じでしょうか。

ロゼッタ「なるほど、本当にどうでもいいや状態で、全然能力が発揮されていなかったのですね、てへ☆」

ロゼッタ「………………………」ダラダラ

即刻店に舞い戻ればよいのですが――。

ロゼッタ(お店の注意書きに

      『当店は、最高級の品質をお客様に提供し続けます。
      そのため、お客様のご都合による商品の返品・交換には一切応じられませんのでご了承ください』

      ってあったような…)



ピーチ姫かデイジー姫に頭を下げ、ドレス一着分のコインを無駄にして次のドレスを買えと?
…お二人なら大笑いして許してくれそうですが、できませんよそんなこと!!?
自分自身を許せません!

488Mii:2018/11/30(金) 07:00:21 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「ええと、ええと。とにかく、明日までにドレスを調達しないと。
      この際、ピーチ姫にお借りして…って、サイズの問題が解決しないじゃないですか!」アワアワ



ロゼッタ「いっそ、いつもの私のドレスを着こなして…でも、お二人ともガッカリしてしまいそうですし…」アタフタ



考え、考え、考え抜いて。



その晩、私は、キノコ城を抜け出して、『ある場所』へ向かったのでした。
ピーチ姫の衣装棚から拝借した…血濡れのドレスを、抱きしめながら。

489Mii:2018/11/30(金) 07:01:46 ID:ccoR/GVA
〜クッパ様誕生パーティ、クッパ城〜

ワーワー!
クッパサマ―!
タイヘン オメデタイコトデ ゴザイマスー!

クッパ「」

ピーチ「ふふふ、クッパったら。皆に祝ってもらって、感無量と言ったところね!」

マリオ「ケーキ、でけぇー!!城の中に入れることもできないなんて、何十メートルあるんだ一体!?」

ルイージ「すっごーい!!もう見ただけで美味しそうだけど、全く持って食べ切れる気がしないよ!?」

ピーチ「フフン♪」ドヤァ





デイジー「最善を尽くした結果がこれだよ!」

ナスタシア「もう意味不明の領域ではないですか!?」

ロゼッタ「ほ…本当に、大きなケーキですね…ふわぁ……!感激です!」

ヨッシー「ゴクリッ(大量の涎)」

490Mii:2018/11/30(金) 07:05:04 ID:ccoR/GVA
クッパ「…………ピーチサン、ナニコレ?」

ピーチ「ご所望のスーパーサイズのケーキに決まってるじゃない!!
    私の実力じゃ、この程度の大きさが限界だったけど…許してね。
    美味しくできたと思うから、ぜひとも味わって食べてほしいの!
    …というか、残しちゃダメヨ?私が死に物狂いで作ったケーキなんだからウフフ。
    全体の0.01%を大多数のみんなが、5%をヨッシーが。残る94.99%をあなたが食べるって感じかしら」

クッパ「」

ヨッシー「ちょっと待ってください!私の取り分は10倍になるはずです!」フンス

ピーチ「あ、ごめんなさい。じゃあ、50%をヨッシーが、残る49.99%をあなたが食べる、が正しいわね。
    残念ね、ヨッシーより少ない量で」

クッパ「」



ロゼッタ(そうして始まった誕生パーティ。
      開会スピーチも人任せにして、涙を流しながら黙々とケーキを頬張り始めるクッパの姿がありました。
      『美味しいぞ、ほっぺたが落ちる位…美味しい、けどさあ…涙が止まらないのだ…』とつぶやきながら。
      その傍らで、触れたもの全て消し飛ばす勢いで、いヨッシーがケーキを平らげていきます。舌の動きが見えません…!
      まるで幸せ一杯で無敵になっているかのようです。

      なお、クッパのお触れで、基本量の3倍以上のケーキを食べて経費削減…いえケーキ削減に貢献したクッパ軍団員は、
      臨時ボーナスが出るそうです。良かったですね、頑張ってください!
      私は、間違っても白羽の矢が立たないように隠れてこそこそ食べていきます!)

491Mii:2018/11/30(金) 07:07:30 ID:ccoR/GVA
ピーチ「ロゼッタ、楽しんでるかしら!…でも、結局いつものドレスを着てきたのは大減点ね…
     ドレスを買いに行かせたのは無駄になったのかしら」

ロゼッタ「す、すいません…ちょっと間に合わなかったもので…」

ピーチ「…間に合わない?どういうこと?」

あまりつつかれても答えようがないので、しどろもどろに笑って誤魔化します。



ピーチ姫はため息を付いて、ようやく許してくれました。

ピーチ「それにしても、大きさはともかく、立派なケーキね。自画自賛しちゃうわ。
    …私もいつか、あんなケーキで祝われてみたいわね」ボソッ

ロゼッタ「……ほほう。それは」キラーン

おもむろに耳元に近づき。

ロゼッタ「マリオとの結婚式で、ということですか?」コソッ

ピーチ「ごふっ!?ち、違うわよ!……そ、そうよ。誕生日にって意味だから!」カアァ

ロゼッタ「…………」キラキラ

ピーチ「……ロゼッタの癖に生意気よ、何よその目は!」ヒソヒソ

492Mii:2018/11/30(金) 07:09:25 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「あ、マリオ、ちょうどいい所に!ちょっと来ていただけますか!」ヒラヒラ

ピーチ「ちょっ!?」

マリオ「おー、ロゼッタ。俺ですらビシッと決めてきたって言うのに、
    相変わらずの服装だが楽しんでるかー?俺は絶賛楽しんでるぞ。
    で、何をニヤニヤしているんだ?ロゼッタにしちゃあ珍しい(ワイン片手)」

ロゼッタ「いえいえ。実はですね、ピーチ姫がさきほど『こんなケーキで結婚式を祝われたい』と零していたので。
      マリオとしては気になる情報じゃないかなぁと」ニヤニヤ

ピーチ「そ、そんな事言ってないわよ!そ、それにマリオは関係ないでしょ!?」



――なんだか、ピーチ姫に対して押せ押せモードになるのは初めてかもしれません!
すごく新鮮です!頭の中を、イケイケトラックが鳴り響きます!
……はて、イケイケトラックってなんでしょう?

493Mii:2018/11/30(金) 07:12:20 ID:ccoR/GVA
マリオ「おいおい、マジかよ。流石に、ピーチが祝われる立場だったら、
    ピーチに作らせるわけにいかないしな…その時は、俺がキャシーさんやナンシーさんを雇うとするか」

ピーチ「か、彼女たちなら安心できるわよね。任せて、適正な対価を用意させてもらうわ」

マリオ「いやいや、だから祝われる立場のピーチが負担するなって。
     いくら無尽蔵にお金が湧き出るとはいえ。俺に任せとけって」

ロゼッタ「ふふ、その理屈なら、新郎のマリオが負担するのもおかしい話じゃないですか?」

ピーチ「ちょ、ちょっとロゼッタ!?いや、え、ちょっと!」カアァ



おとめな ロゼッタは ちょうしに のってしまった!▼
ロゼッタの かいしんの いちげき!▼

494Mii:2018/11/30(金) 07:13:27 ID:ccoR/GVA
マリオ「…へ?なんで俺がピーチと結婚することになってんの?
    全然そんな気ないんだけど、ひょっとして厨二病期間延長中か?
    ピーチにも失礼だぞ、あはは」



ロゼッタは いきおいあまって じらいげんを ふみぬいた!▼



クッパ「えっ」

キノじい「えっ」

キノピオ達「「「「「えっ」」」」」

クッパJr.「えっ」

デイジー「えっ」









ピーチ「……えっ」ガッシャーン

495Mii:2018/11/30(金) 07:14:52 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「…………」ダラダラダラダラ

マリオ「で、結婚相手って誰?……まさかクッパ?
    全否定する気はないが、あんまり趣味がいいとは言えないなあ。
    流石に違うよな?」

ロゼッタ「い、いやいやいや!ちょっと待ってください!」

マリオ「どうどう、なんだかよくわからんが落ち着け」

ロゼッタ「この上なく落ち着いていますよ!誰もが認める相思相愛、
     救い救われ続けた仲なのでしょう!?
     公式でもベストカップルズってよばれているじゃないですか!」

ルイージ(メタいよロゼッタ…)

マリオ「なんだ突然。うーん…。
    そりゃ、初めてクッパから救い出した頃は満更じゃなかったよ?
    ピーチ姫といえば、容姿端麗で頭脳明晰、キノコ王国の住民だれもが
    頭を垂れるような立派なお方…って俺だって思っていたし。
    『うわ、一国の姫、憧れのピーチ姫を救い出しちゃったよ。
    結婚して自分が次期の王になるフラグ立ったな!』ってさ。
    
    …でも、実際は『これ』だぞ?
    やんちゃはするし、遊びのために仕事をするスタイルだし、
    案外我儘な所はあるし、しっかりしているようで程よく手を抜くし」

ピーチ「」

496Mii:2018/11/30(金) 07:16:27 ID:ccoR/GVA
キノピオ「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!結婚する気、ないんですか!?
     今更、それは酷いんじゃないですか!?」

マリオ「いや、お前らが言うなよ…自分たちがやってきたこと、忘れたん?」


・・
・・・
ルイージ「へえ、8-4まで進んで、とうとうクッパを倒して、ピーチ姫を救い出したんだね!
      凄いや兄さん!きっと、ものすごい褒賞が貰えるよ!生活も楽になるかな!」

マリオ「ああ、そうだな。そしてお前は、たまには外に出ろよ」

ルイージ「…だって、出歩くたびに言われるんだもん。『兄と違って出来損ないの弟』って。
      配管工としてコソコソ生きていけるなら、ボクはそれでいいや」

マリオ「そんなことを言う奴は俺がぶっ飛ばしてやるからさ」



ガサッ



マリオ「ん?誰かが手紙を入れていったか?」

ルイージ「きっと、褒賞を与えるから城まで来たれしってことだよ!行ってきなよ!」

マリオ「どれどれ…ほう、本当に城に来いと書いてあるな!よし、行ってくる!」

497Mii:2018/11/30(金) 07:17:50 ID:ccoR/GVA
〜スーパーマリオブラザーズ2〜
キノピオ「ピーチ姫がまた攫われました!すぐに助けに行ってくださいマリオさん!」

マリオ「」



キノピオ「どうしたのです、早く、早く!」

マリオ「…ちょっと待ってくれ。俺にも時間をくれ。一旦家に帰って落ち着いて考えてから回答する」

キノピオ「何を悠長なことを!」

マリオ「…じゃあ、せめて前回の冒険の褒賞を先にくれよ。
    こちとら、『土管に詳しい、ちょっと強い男』ってだけで招集されて、
    そのおかげで配管工として殆ど働けなかったんだぞ。
    貯金を切り崩して持ちこたえている現状…生活が崩壊しかけてるんだけど」

キノピオ「姫様を救える役目を担えるというだけで大層名誉なことではないですか。
      これ以上何を望むのです?」

マリオ「」イラッ

498Mii:2018/11/30(金) 07:19:25 ID:ccoR/GVA
キノピオ「だいたい、コインなら前回の冒険の道中で散々拾ったはずでしょう?
     冒険の終わりに王国に渡すものだから、お金には困っていないとばかり思っていました」

マリオ「…へ?あれ、王国に返さなくていいの?不労所得になるかなーって思って律儀に返したんだけど。

    …ふーん、へぇー。よし了解、そういうことなら助けに行くよ」

キノピオ「そうでしょう、そうしてください」

マリオ(そういやピーチ姫にも、キスしていただいたくらいでその後一切ご無沙汰無しだな。
    普通、感謝の手紙とか謁見許されるとか…いや、王国の危機を救ったんだから位を貰ってもいいくらいじゃね?
    なーんか軽く見られてるなー…それならこっちも、コイン稼ぎのついでに助けるか。
    自分の食い扶持は自分で稼ごう。それがいいそれがいい)アッケラカーン

499Mii:2018/11/30(金) 07:21:08 ID:ccoR/GVA
マリオ「99コイン貯まったか。あと1コインでなぜか残機に変換されちゃうから、一旦家に戻ろう。
    どうせ残機はピーチ姫に管理していただいているし。
    なにより、敵を踏み続ける方法で残機増やせるからな。…なんでだろう」ダッ

マリオ「99コイン貯まったか。あと1コインでなぜか残機に変換されちゃうから(ry」ダッ

マリオ「99コイン貯まったか。あと(ry」ダッ





ピーチ「マリオさん、遅いですね…」グズッ




ピーチ「また助けてくれてありがとうございます!」

マリオ「いえいえ、お気になさらず。光栄でございます。そして、ありがとうございます」ホクホク

ピーチ「…???」クビカシゲ

500Mii:2018/11/30(金) 07:22:23 ID:ccoR/GVA
〜スーパーマリオブラザーズ3〜
マリオ(自国じゃないとはいえ、友好国のピンチにアイテム出し惜しみするなよ…。
    せめて、宝箱のアイテム全部くれよ、どうせお前たちアイテム使えないだろ…。
    自分でどうにかしろってか、酷い扱いだなあ)

キノピオ「どうかしましたか?」

マリオ「なんでもないっす。出張ご苦労様っす。それと、今回はピーチ姫を誘拐されないよう気を付けてる?」

キノピオ「あったりまえです!三度目の正直ですよ!失礼ですねえ」

マリオ「ほーん」





――二度あることは三度ある。ピーチ姫は暗黒の国に攫われました。

501Mii:2018/11/30(金) 07:23:44 ID:ccoR/GVA
〜スーパーマリオワールド〜
マリオ「むむむ………ほいっ!!」ザンッ



Mario ×99 → 5
Luigi ×5 → 99



マリオ「よし、大成功!」

ルイージ「な、何をやったの、兄さん!?」

マリオ「お前の残機を増やした。これでまず安全だ。
    さあ、しっかり鍛えるから覚悟しとけよ!」

ルイージ「う、うん!兄さんがここまでやってくれたのなら…頑張ってみるよ!」

マリオ「まずはこの甲羅を頭上100 メートルの高さまで放り投げます」ブオォォ!

ルイージ「えええええ……」





ピーチ「マリオ、おーそーいー」ジタバタ

クッパ(ヨースター島で1か月もうろちょろして…何やっとるんだろうなぁ)

502Mii:2018/11/30(金) 07:25:16 ID:ccoR/GVA
〜クッパ城〜
ピーチ姫「これで四度目…あなたに助けられてばかりですね。
      何か、望みの物はありませんか?可能な限り叶えて差し上げたいと思います」

マリオ「…では一言。クッパから聞いたんですが、猫かぶりやめてください。いや、やめろ。
    こっちもピーチって呼び捨てにして、ため口で話すんで」



ピーチ「えっ…はい、構いません。じゃなくて、構わないわ」

マリオ「うんうん」



ピーチ(私と馴れ馴れしくしたいだなんて…も、もしかして)ドキドキ

マリオ(お偉いさんを助けるんじゃなくて、『友人を助ける』って建前なら納得もしやすいよな、気持ちが楽だわ。
    あと、やっぱり攫われても楽しそうじゃん。今度はもうちょっと助け遅らせても大丈夫そうだなあ)

503Mii:2018/11/30(金) 07:26:34 ID:ccoR/GVA
〜スーパーマリオRPG〜
大臣「マリオどの、ピーチ姫を救って頂いてありがとうございます!
    それでは、この後もスターピース集めに勤しんで下され!」

キノピオ「応援します!」

キノピオ「応援します!」

キノピオ「応援だけしておきます!」

ピーチ「お願い致しますね。それでは私は部屋に戻ります」ニコッ

マリオ「…………」



ガシッ



ピーチ「!?」

マリオ「いつもいつも頼りっぱなし…たまには自分で動いてみないか。
    マグマに落ちたりして、ちょっとは体力あるだろ!さあ、冒険に出発だお姫様!」

ピーチ「きゃああああああああ!?」ズルズルズルッ

大臣「」

キノピオ「」

504Mii:2018/11/30(金) 07:28:22 ID:ccoR/GVA
数か月後――
ピーチ「…フライパン片手に、なんとかなったわ」パンパカパーン!

大臣「えええ!?」

ピーチ「冒険も、案外悪くないわね!」

・・・
・・


キノピオ「…………」ダラダラダラダラ

マリオ「お前ら、事あるごとに尻拭いだけ押し付けて、その対価を貰おうとしたらしたで
    『姫様に取り入ろうとしている、けしからん』ってスタンスで動いたじゃん?

    その結果、『じゃあ絶対に取り入らねえよ、こっちは勝手に稼ぐから』ってスタンスをとることになるじゃん?
    まあ、最近はちょっとは落ち着いてきたみたいだけど」

キノピオ「…ええ、と。あの頃はまだどのキノピオも若かったもので…」

マリオ「いや、別にそれが悪いとは言ってない。
    おかげでwin-winの関係に落ちつけたわけだし」シレッ

505Mii:2018/11/30(金) 07:29:36 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「は、初恋は大事にしましょうよ!」

マリオ「その理屈だとポリーンと付き合うべきじゃないか?」

ロゼッタ(誰ですかそれ!?)

ロゼッタ「ほ、ほら!救い救われたというのも評価点!」

マリオ「…だとすると、デイジーやロゼッタまで対象になっちゃうんですが」

ロゼッタ「よ、世継ぎ!どうせいつかはピーチ姫も結婚して子を残す以上、
      ヒーローのマリオが伴侶となるのが至極当然かつ妥当かと!」

マリオ「ロゼッタ、今のキノコ王国の政治状況知らないな?
    ピーチの王国運営力舐めんなよ、8〜9割を動かしてるんだぞ。
    そのせいでキノピオ達の手腕が一向に育たんというデメリット効果付きだ。

    いま、ピーチが出産や育児で数年鈍ってみろ。この王国潰れるぞ?
    幸い、俺たちって老化を止めておけるからな。このまま何百年と頑張ってくれ。
    もちろん俺も協力させてもらう」

デイジー「これはひどい」

506Mii:2018/11/30(金) 07:31:42 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「き、キスされたって相当なことでしょう!?社交辞令だなんて酷いでしょう!
     キスされた回数は断トツで」

マリオ「『応援キッス』のクリスチーヌ、次点で『お姉さんのキス』のネールだぞ。
     1シリーズで1回こっきりのピーチ姫なんか3位に入れたらいい方だぞ。

     おまけに、彼女たちの場合は魔法効果を込めるために頑張れって想いも伝わってくるし、
     そういった情熱面でも負けてるんじゃないかな」

ロゼッタ「」

ピーチ「」

マリオ「あ、言っとくがピーチが酷いやつだ、と言いたいんじゃない。むしろ逆だ。
     友人として、腐れ縁として付き合うと、ピーチは凄くいい奴なんだ。
     金銭面だなんて下世話な話だけじゃなく、統率力は高いし人を飽きさせないし、
     戦闘力としても背中を預けるに値する女性なんだ。…なんか恥ずかしいな。

     ま、ともかくこれからもずっと親友でいような、ピーチ!
     …じゃ、俺はあっちの料理を堪能してくるよ」トンッ

ロゼッタ「……………………」

デイジー「……………………」

ピーチ「ふえぇ…」グズッ

クッパ「ワガハイはケーキを片づける人形、人形っと」ソソクサ

ルイージ「…あれ、もしかしてみんな、知らなかったとか?」

507以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/30(金) 13:29:51 ID:Oa3UCVPc
かなしいなあ

508Mii:2018/12/02(日) 16:50:14 ID:IZCffDa2
ロゼッタ「……ちょっとお花を摘みに参ります」フッ

デイジー「元凶が逃げるなあ!」ガシッ

ロゼッタ「ごめんなさいごめんなさいっ!それでも逃げますー!」タタタッ

デイジー「くぉらぁあああ!!」ガオー!



デイジー姫も、全くもって本気で怒っているわけではないようで。簡単に撒くことができました。
…私にとっては全力疾走で、呼吸困難に陥っておりますが。

巨大ケーキの置かれた敷地から、建物の中へ…ではなく、
出口にあたるクッパ城の正門まで、一目散に駆けてきてしまいました。

ハァハァゼェゼェと息を乱しながら、パンドラの箱を空けてしまったことを後悔。
さあ、どうしたらよいのでしょう…!この空気!







会場の空気を一変させる、起爆剤なんて、どこかに転がっていないですか――

509Mii:2018/12/02(日) 16:52:04 ID:IZCffDa2
スイマセーン!ダレカ モン アケテクダサーイ!



ロゼッタ「…え?…あ!」

つい昨日、聞いたばかりの声に気付けたのは、とても幸運でした。





――これはこれは、ロゼッタ様でしたか!
――なんとか、最高の出来で仕上がったので…
――はっちゃけて、クッパ城まで持ってきちまいやした!!









ありました、起爆剤。
…私がそう思っているだけかもしれませんが。

510Mii:2018/12/02(日) 16:54:13 ID:IZCffDa2
デイジー「ほらほらー、元気出して元気出してー」



ピーチ「…………(テーブルに突っ伏している)」ジワァ



デイジー「だいじょーぶだいじょーぶ、
      とりあえず一番チャンスがあるのがピーチってのは動かぬ事実だしさ。
      いつまでもめそめそしてたら、周りにクッパ軍団員がいくらでも湧いてきて
      誰が泣かした出てこいやーって大騒ぎになっちゃうよ」

ピーチ「…………」

デイジー「泣く暇あったら、キノピオ達の折檻…じゃなかった、再教育でもしたほうが有意義じゃないかな。
      …それはもうテッテーテキに」

キノピオ「!?」

ピーチ「…………」ムクッ

ピーチ「…ソウネ、ソレハジュウヨウネ。ワタシトシタコトガ、アマヤカシスギタカシラ」ユラァ

デイジー「いっそのこと、マリオに連行してもらって冒険でもさせればどうかな、にひひ」

キノピオ「冒険しましたよ!もうあんな目に遭うのはこりごりです!!」

511Mii:2018/12/02(日) 16:56:08 ID:IZCffDa2
デイジー「…そうなの、ピーチ?」

ピーチ「…ウフフフ、キノピオ〜?」

キノピオ「(ビクッ)な、なんでございましょう姫様」

ピーチ「一応は、いつものごとく攫われた私を助ける冒険だったはずなのよ〜?
    なのに、マリオとルイージから聞いた話じゃ、ほとんど役に立たないで
    シャボンの中で高みの見物をしていただけって、本当なの〜?」

キノピオ「え、えっと、あの」

ピーチ「せっかくパワーアップの機会を得られたというのに……私は悲しいわ。
     これまでの分も含めて…すこーし、お話が必要みたいね〜」

キノピオ「」ガクガクブルブル

デイジー「あ、あんまりやり過ぎちゃ駄目だからね、ピーチ?」

デイジー(これはアカン、焚き付け過ぎた。ピーチに有るまじき負の感情がキノピオに向けて爆発しそう。
     自業自得だからいいのかな…うーん、ちょっとやりすぎになっちゃうかも…!)

512Mii:2018/12/02(日) 16:58:21 ID:IZCffDa2
――姿見の前で、着替え終わって。
――くるりと、一回転。

――思いの外、ゆっくりとした回転になりました。

ロゼッタ「…………うう、なんだか重くなっていますね…スピンの勢いが弱まっている気がします。
      ――まあ、いいでしょう」

――ふたたび、姿見に映る自分を眺めて。
――あともう一つくらい、アクセントが欲しいですね。



ロゼッタ「アクセサリー類の手持ちなど当然ないので…
      まあ、いじるとすれば髪形くらい、ですか」シュッ



――うん、できました。
――あとは野となれ山となれ…ですね!



ロゼッタ「では、杖もありますし華麗に空間転移で…!
      じ、自分1人くらいの体重なら…FP補助なしでもできます…えいっ!」キラッ

513Mii:2018/12/02(日) 17:00:32 ID:IZCffDa2
デイジー(と、そのとき!)



シュンッ!!

ロゼッタ「あ…へぶっ!」ドンッ!

ピーチ「!?」

キノピオ「!?」

デイジー「わっ!?」

デイジー(ロゼッタが、空間転移を使って、戻ってきた。

      酷く体勢を崩して、2メートルくらいの空中から降ってきて、
      地面に叩きつけられたっていうのが正しい、かな。
      むなしく手から離れてカランと音を立てた杖がシュール)



ロゼッタ「あいたたた…以前やった時は平然とできたのですが…!
      私としたことが、ドレスの重量増加、計算に入れていませんでしたっ……!」サスリ

デイジー「突然出てくるなんて、ビックリさせないでよ!


      ……って、あれ?なんというか…いや、明らかに服装、変わってない!?
      ど、どうしたのそのドレス!?」

514Mii:2018/12/02(日) 17:02:22 ID:IZCffDa2
ロゼッタ(ピーチ姫含め、周囲の皆さんは、まずは私のインパクトある登場に驚き…
      続いて、私の姿に驚いている模様です。

      予定外のアクシデントはありましたがっ!…まあ、いいでしょう。
      埃を叩いて、ちょっと間を取って)



ロゼッタ「――ようやく、この誕生パーティにふさわしい格好になりました。

     改めまして。私、彷徨えるほうき星からやってきました、ロゼッタと申します。
     お招き下さり、誠にありがとうございます――」ペコリ



ドレスの裾を持って、時間をかけてお辞儀して見せます。
…こんな感じでよかったでしょうか。あんまり作法を知らないのですが。



最初からいた、ピーチ姫、デイジー姫、ルイージ。

クールに軍団員たちと談笑しながら、舌鼓を打っていたナスタシアにキノじい。

ケーキをひたすら食べていた、クッパにヨッシー。

案外の大食漢で、あちこち回って食べて飲んで笑っていたマリオ。

みんなみんな、何事かと私に駆けよってきました。

515Mii:2018/12/02(日) 17:04:30 ID:IZCffDa2
さすがのピーチ姫も先ほどのことなど忘れたかのように、私に詰め寄ります。



ピーチ「ど、どうしたのロゼッタ!?結局、新しいドレス持っていたの!?」

ロゼッタ「いえ…奇跡的に先ほど、親切な染物屋の店員さんに、届けていただきました」

ピーチ「……染物屋?」



ロゼッタ「…ピーチ姫。――あの『血染めのドレス』、ありましたよね。
     あのときピーチ姫は言いました。

     『キノコ王国の技術を以ってしても、元の状態に戻せない。
     強引に漂白しようとすれば、元の透き通る青い色まで台無しになる。
     とりあえずの固定化で、これ以上ボロボロにならないように…
      不衛生にならないようにはしておいた』と」



ピーチ「え?――ええ、あったけれど――!?ま、まさか!」

516Mii:2018/12/02(日) 17:06:41 ID:IZCffDa2
そう。

私の今、身に付けているドレスは、いつものドレスと…ある一点を除いて、全く同じ。

特に豪華になっているわけでも、派手になっているわけでも、
ましてや色気が増しているわけでもありません。ただ…。

赤い…いえ、『紅い、朱い』のどちらかの表現の方が、よろしいでしょうか。
あの青空の色は一切なく、真紅に染まっているのです。



ロゼッタ「キノじい殿にお尋ねして、手当たり次第に城下の染物屋に打診してみたのです。
      ――さすがはキノコ王国ですね、すぐに見つかりました。

      『ひっでえ血濡れのドレスですねぇ、元の青色を取り戻すなんて土台無理な話さね。
       ――でも逆に、赤黒さを目立たなくしつつ真っ赤に染めることくらいなら
       お安い御用ですよ』

       って回答してくれる、腕の立つお店が。
       ドレスを1日で染めてしまえるだなんて、本当に驚きです」



キノじい「いやはや、こういうことだったのですか。聞かれたときは何事かと思いましたぞ、ロゼッタ殿!」

517Mii:2018/12/02(日) 17:08:26 ID:IZCffDa2
ピーチ「…!!」

ピーチ姫は、またもや驚いているみたい。

ロゼッタ「…ええっと。一応私のドレスということで、断りもせずこんな色に染めてしまいましたが……
     できれば許して頂けると嬉しいのですが」

ピーチ「え、あ、それは大丈夫よ?……へえ、不思議なものね!
     見れば見るほど、中々に似合っているじゃない!

     ロゼッタと言えば青色ってイメージが先行していたのは盲点、迂闊だったわ!」

ルイージ「うんうん、すっごく似合ってるよ!いつものロゼッタが美しいなら、
      こっちのロゼッタは凛々しいっていうかなんていうか!」

デイジー「そうだね!(あれ?今更だけど、買った服は…じゃあいずこに?あっれー?)」

ロゼッタ(コインの代わりになればと、染物屋さんに対価として渡しました。
      なんだか受け取った瞬間に泡を吹いてひっくり返りそうになっていましたが)

デイジー(いつぞやの仕返しで直接脳内に…!?)

518Mii:2018/12/02(日) 17:11:12 ID:IZCffDa2
マリオ「いやあ、本当に似合ってるな!正直驚いたぞ!」

キノじい「それに、私はその髪型もいいと思いますぞ!
      ロゼッタ殿の快活さが見事に表現されておりますのじゃ。

      頑張ろうと意気込みなさるロゼッタ殿…
      いわば、『がんばロゼッタ』といったところですな!」

クッパ「その表現はどうかと思うんだが…」







マリオ「んー、俺だったら素直に『ファイアロゼッタ』って名前の方がしっくりくるんだけどなあ…」







ピーチ「もう、何言っているのよ、こんなときに――――」

ピーチ「……………………」

ピーチ「……………………」ハッ

519Mii:2018/12/02(日) 17:14:38 ID:IZCffDa2
ピーチ「ひ ら め い た!ひらめいたわ!!

    ……ごめん、私とクッパ、ちょっとパーティ抜けるわ!!
    今日は一日、お疲れさまぁっ!!」ダダダダダダッ!!!

クッパ「ぬおおおおお!?な、なにをするのだぁー!
    (あ、ケーキ食べなくていいことになるなら逆らえないフリしとこ)」ズルズル

ロゼッタ「え?え?ええーっ!?」

デイジー「なんで!?」

ルイージ「」

ヨッシー「ということは私が99.99%…
      あ、クッパが食べた分を考えて99.97%を食していいということですね?
     まったく、仕方がありませんねー」キリッ





マリオ「…俺、何かしたのか?」

520Mii:2018/12/02(日) 17:18:58 ID:IZCffDa2
結局、ピーチ姫は、パーティに戻ることはありませんでした。
何処に行ってしまったのでしょうか。

一方の私は、真っ赤なドレスに包まれて、最高にパーティを堪能しました。
きょろきょろ探し回って、サヤカ親子を見つけたときはほっと一息。

ロゼッタ「…どうされたんですか?こんな隅っこで」

サヤカ父「ロロロロゼッタさん!?いや、ロゼッタ様!?なんですかこのパーティ!?
     連れられて来てみればクッパ城で、おまけにお偉いさんばっかりで!?
     私らなんか、場違いにも程があるんですけれども!」

サヤカ「ママ!わたしはママの所にはやく行きたかったんだけれどね、
     パパがちょっと待てちょっと待てって震えて言うばっかりで…
     あんまり料理を取りにも行けないし…

     あ、ママのドレス、シンプルだけどとっても似合ってるよ!」ニパー

サヤカ父「サヤカ、失礼一つで言葉通り首が飛ぶかもしれないんだぞ!」ガクガク

ロゼッタ「…ま、まあ、気持ちは分からないでもありません。
      でも、クッパ軍団員含めて、皆さん親切にしてくれていませんか?」ウンウン

サヤカ父「それが却って怖いんですよぉ!
      こっそり死の宣告までの無礼ポイントとかカウントされてるみたいで!」

521Mii:2018/12/02(日) 17:20:34 ID:IZCffDa2
サヤカ「綿飴売ってる、いつものパパはどこに行ったの?」

サヤカ父「状況が全然違うじゃないか…!」

ロゼッタ「あ、それいいですね。そのフォーマルな姿恰好でも綿飴って作れますか?
     ここで皆さんに振る舞うというのはどうでしょう」

サヤカ父「あ、ははは。面白い冗談です、ねえ」ビクビク

ロゼッタ「ねえ、サヤカ。綿飴機も、クッパシップに乗せているのね?持ってこられるのかしら?
      砂糖なら一杯…いえ 無尽蔵 にあるのだけど」

サヤカ「全く問題ないよ、ママ!やってみようか!」パァァ

サヤカ父「」

522Mii:2018/12/02(日) 17:22:09 ID:IZCffDa2
ロゼッタ「おひとつ綿飴、どうですかー?」

サヤカ「どーですかー?」



クリボー「おお、これが綿飴ってやつか!もふもふじゃないか!」

ノコノコ「いやー、ケーキも美味しいけど、これもなかなかイイっすね!
     こっちは割と作りやすいみたいだし、カメック様に製造機を導入していただきたいな!」

トゲノコ「むう、防具が邪魔で食べにくいな…親方、すこし食べやすく加工してもらえないだろうか」

ハンマーブロス「いやあ、一仕事終えた後の甘いものはいくらでも食べられる」

マリオ「ううむ、キャシーさんに作ってもらうとしたら…お菓子のもと、は要らないな。
    一体何があればいいんだ…?さっぱりわからん…!」

ルイージ「いや、普通に砂糖でいいんじゃ」

マリオ「それはピーチ専用のアイテムだからなあ…」



ロゼッタ(サヤカのお父さんのHPをゴリゴリ削りながらも…とても好評でした)

523Mii:2018/12/02(日) 17:25:57 ID:IZCffDa2
すっかり天は暗くなり、宴も幕引きの時を迎えます。

そんななか、すこし抜け出して――
朱いドレスの私と、可愛らしい白いドレスのサヤカは、
敷地の隅っこで、最後の…最後のキャッチピースをすることにしました。



ぱしっ。ぱしっ。



小気味よいキャッチの音が、小さく響き渡ります。



サヤカ「…………」

ロゼッタ「…………」

このスターピースのように。伝えたい気持ちは、おのずと伝わったかしら。
サヤカは徐々に涙ぐんでいきますが…あえて、見て見ぬふりをしてあげます。

524Mii:2018/12/02(日) 17:27:16 ID:IZCffDa2
サヤカ「……本当に、本当に楽しかったよ。――忘れない」パシッ

ロゼッタ「……ええ。ママも――楽しかった。絶対に忘れないわ」パシッ

サヤカ「……いろいろ、言いたいことが、あったはずなんだけど。
    言うと、本当にお別れになっちゃいそうだから、やめとく。
    またいつか、会えるって信じてるもん」

ロゼッタ「そうね。じゃあ、また会うこと、指切りしましょうか、サヤカ?」

サヤカ「……うんっ!」

指切り、げんまん。
2人の指が、しっかりと結ばれます。

サヤカ「ジャイロボールの方も、しっかりものにしてね!ママならきっとできるよ!」

ロゼッタ「そ、それはちょっと、指切りできないかな…?」アセ

――あれから、一球たりとも投げられていないので。
ズルと奇跡が重なっただけの代物のような気が、しないでもありません。

サヤカ「…………」ウルウル

ロゼッタ「わ、わかったから!それも、指切りげんまん、ね!」

サヤカ「えへへ…」

525Mii:2018/12/02(日) 17:28:45 ID:IZCffDa2
そうして。抱きしめ合ったあと。
特別に用意された、小さな飛行船に乗せられて。
サヤカとサヤカの父親は…この地を、離れていきました。



私は…パーティ会場から、いつまでも、いつまでも飛行船を見上げ続けます。



デイジー「ロゼッタ……大丈夫?」

ロゼッタ「悲しくない…と言ったら、大嘘になってしまいます、が。
     ほんの少しは、涙が滲むかもしれませんが。
     ――大丈夫ですよ。

     今世の別れではないと、信じていますから!」

デイジー「…そうだよね!それでこそロゼッタだよ!

     ささ、まだまだケーキは残ってるよ!
     ちょっとはクッパを助けてあげるとしようか!」

ロゼッタ「…正直、割とお腹は一杯なのですが。
     仕方ありませんね、お供いたしましょう」フフ

さあ、また新しい「私」の……スタートです。

526Mii:2018/12/02(日) 17:31:20 ID:IZCffDa2





ジャイロボールの コツを つかんだ!▼

ハイスピンジャイロボール習得に必要な基礎体力レベル・・・Lv.50
       ジャイロボール習得に必要な基礎体力レベル・・・Lv.20

                 【現在の基礎体力レベルは Lv.1 です】





ロゼッタ「…?デイジー姫、何か言いましたか?」

デイジー「???何も言ってないよ?」

ロゼッタ「……???」

527Mii:2018/12/02(日) 17:35:28 ID:IZCffDa2
〜とある暗い一室〜

任天堂スタッフ「……なんですと!?
          貴方を、更にはデイジーとロゼッタをプレイアブル…じゃなくて冒険に参加させろ、と?
          突然呼ばれてみてみれば…どういうことです?」

ピーチ「冒険は最高の経験値ですから。
     マリオとルイージは固定として、キノピオ…彼だけだと手を抜きそうなので監視役に私も付けて、
     そして更にデイジーとロゼッタを差し込みたいのですが。

     男性3女性3、バランスは取れているでしょう?
     必要なシナリオのプロットは、クッパと相談してなんとかしますから」

クッパ(そういうことか。ピーチ姫、面白いことを考えたな)

任天堂スタッフ「ううむ…ふむぅ。
          確かに、ロゼッタ姫がしっかり力を付けてくれるのならば有意義ではある、のかもしれません。
          そこまで希望するなら、一応上には声をかけておきますか。

          しかし、それだと『クッパがピーチを攫う』いつものシナリオが使えないわけですが」

クッパ「シナリオって言わんでください」

528Mii:2018/12/02(日) 17:37:51 ID:IZCffDa2
ピーチ「そこで……ゲストを連れてきたわ」

任天堂スタッフ「……むむ?」



妖精「なんなの、なんなのよ!いきなり呼び出して、こんなところに連れて来て!」



ピーチ「あなたがメールを送ってきたわけじゃないでしょうけど…
     あなたたち妖精が送ってよこしたメールに対する返答、返事よ。
     代表として、案をしっかり理解して持ち帰ってね。

     フェアリーランドに、クッパ軍団員によるステージ作成、および継続の許可を。
     あと、一時的に代表者数人に囚われ役として拘束されてもらう、くらいかしら。

     見返りは、向こう99年間、ステージで得られたコインの50%を。
     あとは、副次効果で得られた観光業利益…というのでどうかしら」

529Mii:2018/12/02(日) 17:39:15 ID:IZCffDa2
妖精「……拘束っていうのが腑に落ちないけど…私たちは、何もしなくてもいいの?
   土地を貸せばいいだけ?」

ピーチ「ええ、すべてキノコ王国によるサポートとクッパ帝国による建設で賄えるわ」

妖精「言ってみれば、各地にテーマパーク作って貰って、それを維持するだけでコインざっくざくってことよね。
    うーん、うますぎる話のような…まあ、いっか!私は支持するわ!」

任天堂スタッフ「やれやれ…しんどい仕事になりそうだ」

クッパ「いつもお疲れ様です」




一体、どうなることやら。

530Mii:2018/12/02(日) 17:41:00 ID:IZCffDa2
〜ほうき星〜

貰ってきた重力補正済体重計「54 kgですね」



ロゼッタ「…………」ダラダラ

ロゼッタ「……12 kg増えてる…ほ、本当に適性値はもっと上なんですよね!?
     し、信じていいんですよねぇ!」





……本当に、どうなることやら。

531以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/02(日) 20:58:47 ID:3S8AdVBg
wii(U?)と3dワールドの間だったのかあ

532Mii:2018/12/06(木) 22:11:56 ID:XUi5qVu.
〜第3章〜




      ロゼッタ、変態になる

533Mii:2018/12/06(木) 22:15:06 ID:XUi5qVu.
クッパの誕生日から、さらに8か月ほど過ぎたころ。
私、ロゼッタは、今日も今日とて……



ロゼッタ「あと、すこしっ……!」ブロロロロロ

キイイイイイィィィン!!

チコ「ゴーール!」

チコ「ごーる!!」

チコ「ごおおおおる!!」

……観客に満員のチコを収容し(改めて考えると滑稽かもしれませんが)、
ひとり『ロゼッタプラネット』のタイムアタックをおこなっておりました。
ようやく…最近、完成させてのけたのです!!

カートはピーチ姫に送って頂きました。
また、コースアウト用にメカニカルジュゲムさんを1体貸して頂きました。
本物のジュゲムにくらべて救助が遅いけれども、最悪の事態を免れる程度には使えるらしいです。

…なんでもありですね、キノコ王国の技術力。

このコースに限っては、チコたちも…えっさほいさと私を拾ってくれる、
緊急時は体力を分けてくれるので、万全の態勢です。

こ、怖くなんてありませんよ!?
谷底に落ちて救助されないまま冷たくなるとか…危惧していませんから!

534Mii:2018/12/06(木) 22:16:57 ID:XUi5qVu.
さて。さすがに、ここ2か月の間ひたすら走り続けただけのことはあります。
もう、ほとんどコースアウトはしない状態にまで持ってくることができました。
コース取りも安定、ふらついたりなどいたしません。

チコたちにダミーの置き石を設置してもらって、
障害物を想定した咄嗟のコース変更も練習してきました。努力のたまものですね!

そして、本日はピーチ姫とデイジー姫が遊びに来るそうです。
なんでも、このコースを見学しにくるのだとか。

そして、なんとこれは視察も兼ねているそうなのです。
極端なショートカットがない、問題なく周回できる、技量の差を順位に反映できる…などの
項目をすべて満たす出来ならば、既に白熱の模様を見せているシーズン…
「マリオカート7」の正式コースとして認定されるよう、申請して頂けるそうです!

あの会場に…「ロゼッタプラネット」が呼び出されるところを想像すると…胸が熱くなりますね!

535Mii:2018/12/06(木) 22:18:50 ID:XUi5qVu.
ワクワクドキドキを隠さずにそわそわしていると…とうとう来てくれました!
あのクッパシップがそうでしょう!やはり、1日で到着とは相変わらず速いですね!
さっそく出迎えに参りましょう!



…ケーキの材料費、結局折半したんですよね。
もちろん設備費は、カメック達がそれなりに使い込んでいたのですが…
材料費には到底及びませんでした。

おまけに、カメック部隊の全消費MP<ピーチ姫の消費MPだったらしく
「MP消費も金銭評価してください」という主張も通りませんでした。

代金の代わりに、一番小さいクッパシップを格安で貰い受けたピーチ姫は…
ちゃっかりしてます。…ピーチシップと呼んだ方がいいのでしょうか。
まあ、それはさておき。



ピーチ「元気にしてた?ロゼッタ!」

デイジー「おひさー!どんなコースが誕生したのか、ワクワクが止まらないよ!
      さっそく見せて見せて!」

ロゼッタ「はい!喜んで案内させて頂きます!」

それでは、私の走りとともに、このコースをくまなく見て頂くことに致しましょう!
3人だけの…まだアイテムボックスは置かれていない、純粋な勝負です!

536Mii:2018/12/06(木) 22:21:47 ID:XUi5qVu.
〜レース結果〜

ピーチ    1st × 7回 2nd × 3回 3rd × 0回
デイジー  1st × 3回 2nd × 7回 3rd × 0回
ロゼッタ   1st × 0回 2nd × 0回 3rd ×10回

ピーチ「知ってた」

デイジー「…ごめん、手抜くのはどうかと思って。で、でもいいコースだね!
      とくに、ロゼッタらしからぬ後半のダッシュ板配置!最後まで気の抜けない戦いができそうだよ。
      問題なく申請は通ると思うよ、うんっ!」

ロゼッタ「……試走すらされていないお二方に、まるで歯が立たないなんて」ズーン



ピーチ「…あのね、いくらロゼッタの基準では安定して走れている気になっても、
    私たちが最低限とする安定度にまだまだ及ばないの。
    ダッシュ板に向かうにしろ、位置を『置きに』行ってるでしょう?
    それじゃあ、周りへの警戒も出来ないわ。

    おまけに、刻一刻と動くコース状況は、ついついパターン化されがちな
    チコたちの障害物だけじゃ練習しきれないわ。
    私たちにぶつかられただけであたふたして、いとも簡単にコースアウトしたもの。

    これがアイテム飛び交う実戦になったらどうなることか…。
    まだまだ修行の余地あり、よ」

ロゼッタ「…身に、染みております…」ショボン

537Mii:2018/12/06(木) 22:24:03 ID:XUi5qVu.
ピーチ「というより、やっぱり基本体力のなさは如何ともしがたいわ。
     走りの安定性に如実に表れてくるもの」

ロゼッタ「はい…」

ピーチ「…うん。このコースの申請は、問題なく出しておくけど。
     というより、本当にいいコースね。早速使わせてもらいたいくらいだわ。

    …でも、ロゼッタの復活戦は、まだまだ先みたいね。ある意味、予定通り」



ピーチ姫の宣告に、悲しみが溢れてきます。
まだまだ、先が遠すぎる。一体、いつになったら…!



ピーチ「焦らないで、ロゼッタ。
    私には、計画があるの。ロゼッタのための面白い計画が、ね」



そう言って、ピーチ姫は悪巧みの顔をして笑ってのけます。
その、計画とは…?

538Mii:2018/12/06(木) 22:25:45 ID:XUi5qVu.
ピーチ「おそらく、『マリオカート7』シーズンは2年ちょっと続く。
     そして、あなたは…最終節に、参加しなさい」

ロゼッタ「最終節…?」

ピーチ「とうとう忘れられそう、予想だにしていないという誰もが驚くタイミングで颯爽と登場し、
     好成績を収めるの。華麗な復活デビューを果たして観客のスタンディングオベーションを浴び、
     次のシーズンを貫禄を持って意気揚々と迎えるのよ。ステキだと思わない?」

ロゼッタ(確かに、その通りに事が運べば素晴らしいことですが…)



そんな自信、全然ありません。2年先のことだろうと。…いえ、たった2年程度では。
絵に描いた餅、ではないでしょうか。

539Mii:2018/12/06(木) 22:29:32 ID:XUi5qVu.
ピーチ「そういえば、体力づくりの方は、どう?」

ああ、やはり確認しておきたいだろうな、とは思っていました。



ロゼッタ「…なんとか、自分の意志で魔法の力を抑制できるようになりました。
     今はほぼ、自分の筋肉だけで動いています」

デイジー「おお、ようやくスタートラインに立ったってところかな」

ロゼッタ「…頑張ります!」グッ

拳を握りしめ、気合いを入れ直します。
経験上、気合いを入れておかないと死ぬような気がしたので。

ピーチ「じゃあ話は早いわ。さあ、クッパシップに乗って乗って!
     キノコ王国までとんぼ返りよ!
     …あ、あの朱いドレスを忘れずにね!」

ロゼッタ「え?…わわっ!毎度毎度、クッパシップ使いが荒くないですか!?」ズルズル

チコ「ええー、もう帰っちゃうのー?」

540Mii:2018/12/06(木) 22:31:48 ID:XUi5qVu.
ロゼッタ「ここ、は」



キノコ城の隅の方。一般の方も含め、列をなして、なにかの手続きを行っています。
そういえば、この辺りは近付いたことがありませんでした。
一体、何をやっているのでしょう。
私もピーチ姫に促され…最後尾に並びます。

前の人が何気なしに私の方を振り返り、



ロゼッタ「あ、どうも」

前の人(コクリ)



軽く会釈をして再び前を向いた彼は、3秒ほど後にピシッと固まり、
ギギギ、とぎこちない動きで再び私の方を振り返りました。
…もしかして、私って有名人になってしまっているのでしょうか。
不本意です。せめて悪い噂ではないことを祈ります。

541Mii:2018/12/06(木) 22:34:00 ID:XUi5qVu.
ロゼッタ(というより、これってピーチ姫を見てしまって驚き慌てているのでは?
      そうですよね、それならこの驚き方も納得です)クルッ



メガバッテン軍団員「わたくしは名もない軍団員です」



ロゼッタ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「ピーチ姫がいない!?」キョロキョロ

デイジー「ほんとだ!?いつの間に!」

軍団員「ピーチ姫なら、ロゼッタさんのことはデイジーさんに任せると言ってどこかに行きましたよ?
     なんでしたら、私もお供しましょう。ここのことは詳しいですから」

ロゼッタ「本当ですか!何処のどなたか存じ上げませんが、ありがとうございます!」

デイジー「ありがとうね!」

軍団員「ふふ、気にしないでください」

542Mii:2018/12/06(木) 22:36:45 ID:XUi5qVu.
ロゼッタ「…『残機申請窓口』?」

確かに、看板にはそう書かれています。



デイジー「うふふ、懐かしいなあ…私もだいぶ前に来たっけ。
      …申請こそ通ったものの、残機制度を利用しないまま今に至るけど」ズーン

ロゼッタ「残機申請…ああ、以前聞いたことのある、あれですか。
     ここで申請を受け付けているのですね。
     なるほど、並ばれている皆さん、活き活きとしています。
     根っからのチャレンジャーたちなのですね」

デイジー「私たちくらい強くなると、そのチャレンジもなっかなかできないのよ。
     他の人たちが委縮、遠慮しちゃうから、原則、古くなったステージへの挑戦はナシってことらしいわ。
     冒険者として招集されたステージしかチャレンジできないのよね…」

ロゼッタ「それで、私がここに並ぶのはなぜなのですか?」



デイジー「またまたぁ、分かってる癖にー。
      いや、分かってなかったとしても、いい加減察しなさいよ!

      …そりゃ、冒険者の資格を得たからに決まってるじゃない!」

ロゼッタ「……え?」

ど、どういうことですか!?青天の霹靂です!

543Mii:2018/12/06(木) 22:39:37 ID:XUi5qVu.
デイジー「喜びなさい、ロゼッタ。私とあなた、なんと次の冒険に内定もらったんだって!
      ピーチがかなり動いてくれたらしいわよ!やったね!これで強化ばっちり!」

ロゼッタ「え、ええっ!?いつの、まに!?」



喜べ、と言われても。正直、寝耳に水過ぎて、何が何やら。



…というより、けたたましいくらいの「死へのカウントダウン」警告が
頭の中を鳴り響いているのですがっ!?

544Mii:2018/12/06(木) 22:42:24 ID:XUi5qVu.
受付「はい、次の方―」

ロゼッタ「は、はい」



とうとう、私の番が回ってきました。
待っている間に必要事項を記入した紙を、受付の人に渡します。
…記入し切るのに30分掛かりました。物凄く疲れました。厳格にも程があります。

ついでに言わせてもらうと、物騒な質問が多かったです。
「これまで死にそうになった回数は何回くらいですか?」みたいな質問には、
あんまり答えたくありませんでしたよ、目が点になりました。
でも正直に「100回以上。1000回を超えているかもしれません」と回答しておきました。
受け取った係の人が、今度は目が点になりました。わぁい。



――それでもこの人気ぶり、凄いですね。



まだまだ、終わりではありません。

親切な軍団員さんに促され、先へ進みます
身長、体重、肺活量、握力、血液検査、聴力検査、そして…。

545Mii:2018/12/06(木) 22:44:55 ID:XUi5qVu.
受付「はい、続いて視力検査でーす。ではこちらの機械を覗いてください…
    あ、右目が隠れているので髪は払ってくださいね」

ロゼッタ「…え」



付き添いのデイジー姫が、私が終わるのを待っています。…待っているのですが。

ロゼッタ「…えっと――なしということには、できませんか」

デイジー「何言ってるのよ、ロゼッタ?」

受付「別に、視力が悪いから審査不合格というわけでは全くないですよ?
    合格時のアドバイスが変わってくる、くらいに思って頂ければ」

ロゼッタ「そ、そういうことではないのですが…あの、その、ええと」オロオロ

デイジー「そういえば、ロゼッタの右目ってなんだかんだ見た事なかったっけ?
      お風呂に一緒に入った時でさえ、絶妙に髪に隠れてたもんね。
      なになに!?邪気眼!?それとも写○眼でも持ってたり!?
      あの黒歴史に関係あったり!?」

ロゼッタ(――あの黒歴史には関係ありませんよ!)

ロゼッタ「………………………わかりました。覚悟を…決めます」

そうです、ここでデイジー姫を信用しないで、どうするというのです。
醜さに…嫌われることなんて、あるはずがないのですから。

546Mii:2018/12/06(木) 22:46:51 ID:XUi5qVu.
スッと、手を右目にやります。



長らく掛かり続けていた髪の房が…今、退けられました。



デイジー「……えっ」

デイジー姫が、驚きの余り…両手で口を覆います。




ロゼッタ「…………これで、よろしいですか?」





デイジー「ど、どうした…の、その…眼」

私の右目は…まるで人工物かのような、無機質で冷たい色をしています。
光など…宿っておりません。

547Mii:2018/12/06(木) 22:48:40 ID:XUi5qVu.
震える声で、デイジー姫に尋ねられ――
できるだけ、できるだけ心を落ち着かせて、返します。



ロゼッタ「ふふふ…怖いくらいに、光を失っているでしょう?
      恥ずかしくて…見せたくなかったのですけれどね。
      …ほとんど見えていないのですよ、これ。

      …何百年前になりますか…不慮の事故で、酷く傷ついてしまいました。
      回復も手遅れで、腐らないだけ御の字という状態です。
      我ながら、泣きたくなります…」
    


デイジー姫が、たちまち涙模様。

デイジー「ごめん…ごめんなさい!ごめんなさいっ!」

受付の人まで、一緒になって泣き始めてしまいました。



ロゼッタ「具体的には……………………」

548Mii:2018/12/06(木) 22:53:59 ID:XUi5qVu.

・・
・・・

女の子「ああ、とうとう望遠鏡が壊れてしまったわ。
     もう、遠くの星を観察することはできないのかしら?

     …そうだわ!目に魔力を込めたら、視力が上がって
     もっと遠くの星を肉眼で見ることができるんじゃないかしら!」

チコ「そんなことをして、大丈夫?」

女の子「大丈夫よ、痛くなったらやめればいいのだもの!いくわよ!」



女の子「…わあ、見える、見えるわ!思ったとおりね!」ググッ

チコ「すごい!何が見える!?」

女の子「そうねえ、あの星の表面の、山と谷の数までわかるわ!」

チコ「なあんだ、岩の形まではわからないんだ」

549Mii:2018/12/06(木) 22:56:26 ID:XUi5qVu.
女の子「そのくらい、見えるわよ。まかせなさい…うん、岩だって見えるわ!
     なんだったら、小石の形だって説明できるわよ!」グググググ

チコ「あ、ママ?そろそろ、右目に魔力を込めるのをやめた方がいいんじゃあ」ビクビク

女の子「わあ、凄い凄い!どんどん拡大していけるわ!!
    もっともっと速く!もっともっと遠くまで!!」ググググググ

ブシュッ!

女の子「あ」

チコ「」

女の子「いやああああああああああ!!!目が、目がぁーー!!」

チコ「回復、はやく回復っ!!」

・・・
・・


ロゼッタ「あまりにもあんまりな自業自得といいますか、
      思い出すたびに馬鹿さ加減に泣けてくるのです…」ウルウル

デイジー「結局は黒歴史だったんかーい!?
      ごめん、なんだかあんまり可哀想に思えなくなったっ!!」ビシィッ!

550Mii:2018/12/06(木) 22:59:34 ID:XUi5qVu.
ロゼッタ「あ、でも完全な失明状態じゃないですよ!
      というより、まさに魔眼に近いですね。魔力を注げば注いだだけ、
      遠見効果を発揮するのです!デイジー姫のFPを貸して頂ければ、
      視力10000.0も夢じゃありませんよ!」

デイジー「…あー、FPが勿体ないのでやだ」

ロゼッタ「あ、はい」ショボン



ロゼッタ「右」

ロゼッタ「左下」

ロゼッタ「上」

ロゼッタ「下」

ロゼッタ「右上」

受付「左目2.0。
    …右目は10.0ですね」


ロゼッタ「よし。…まあ、自分のFPだけなのでこのくらいにしておいてあげましょう」ググ

デイジー「右目が怪しく光っとる…
      秘密を教えてもらったのにあんまりうれしくない…」

551Mii:2018/12/06(木) 23:02:36 ID:XUi5qVu.
――結局。申請に丸一日、掛かってしまいました。
私も、付き添いのデイジー姫も…疲れ気味。建物を出て、ググッと伸びをします。

デイジー「今日は色々とありがとうね、軍団員さん!」

軍団員「いえいえ、お気になさらず」

ニヒルに笑って、彼は一礼して去っていきました。ステキな方ですね。



デイジー「あっとは、招集がかかるのを待つばかりー!楽しみだなー!」

ロゼッタ「それで、いつ頃になるのでしょうか?」

ピーチ「はっきりとしたことは言えないけれど、数か月以内ってところじゃないかしら。
     あ、集合場所も含めてメールで教えるから、メールチェックは毎日欠かさずすること。
     
     特にロゼッタ、この冒険は貴方を鍛えるためのもの、と言っても過言ではないのだから…
     集合に遅れたら、私、怒るわよ?気を付けなさい」

ロゼッタ「ぴ、ピーチ姫。い、いつのまに背後に…ホッ。ある程度の猶予はあるということですね。
      ええ、わかりました。ご心配なく、最近は日課になっていますから」

ピーチ「デイジーもね?ようやく冒険参戦となったことに喜び過ぎて、確認を怠らないように」

デイジー「そんなヘマはしないよーだ!」

ピーチ「不安だわ…」

552Mii:2018/12/06(木) 23:04:33 ID:XUi5qVu.
その他、いくつかの注意事項をピーチ姫から教わり…クッパシップで、ほうき星へ帰りました。
…さて、ますます体力づくりに励む必要がでてきましたね。頑張らなければ!



…あ。大事なことを忘れていました。



望むなら、パワーアップ状態の服装を登録してもよいそうです。
登録すると、アイテムを取った瞬間に早着替えできるとか。どういう原理なのでしょうか。

当然、ファイア状態に…持ってきた、朱いドレスをしっかり登録しておきました。
あとは、デフォルトで勝手に執り行ってくれるそうです。

553Mii:2018/12/06(木) 23:06:59 ID:XUi5qVu.
〜11月19日〜



『各位

初霜の候、皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。


さて、 私が妖精の国を侵略し(形式的に)
ワールドステージを展開するという『例の』準備が一通り完了致しました。

つきましては、11月21日、各ステージを開放致します。
急なこととなりましたが、皆様の参加、挑戦を心からお待ち申し上げております。


                                クッパ城城主     クッパ』



ピーチ「……来たっ!!よし、マリオとルイージには届いているだろうし、
     デイジーとロゼッタにメールを…!」カタカタカタカタッ!

554Mii:2018/12/06(木) 23:08:56 ID:XUi5qVu.
メールダヨ!メールダヨ!

デイジー「…よし!よし!来た来た来たぁー!!待ってましたぁ!
     それでは、さっそく準備しなくっちゃ!!」ガバッ



デイジー「フンフンフフーン♪荷物は手提げ一つでじゅうぶーん!
      集合場所は割と遠そうだし、早めにしゅっぱーつ!」タッタッタッ

大臣「これはこれは、デイジー様。そんなに軽い足で、一体どちらへ?」

デイジー「これから、初冒険に行ってくるわ!後のことはよろしくね!」

大臣「ほっほっほ、それはそれは…」

デイジー「それじゃ!お土産一杯買ってくるね!」






大臣「是が非でも止めなければなりませんな」ピッ

デイジー「!?」ピョン!

555Mii:2018/12/06(木) 23:11:15 ID:XUi5qVu.
デイジー「…うひゃあ!?急に足元の床が無くなった!なにこれ!?」トンッ

大臣「ちっ、無駄に勘が鋭いですな。しかし、まだまだ参りますぞ!」

デイジー「ちょちょちょ、なんでこんな事するのよ!酷いじゃない!」

大臣「その言葉、そっくりそのままお返し致しますぞ!
   最近のデイジー様ときたら、碌に政務を執っていらっしゃらないではないですか!」

デイジー「…うぐっ、そんなに怒らないでよ金融大臣さん」

大臣「私は防災大臣ですぞっ!どこぞの姫様の不手際で、
   何故か警務大臣と復興大臣も兼ねていますがね!
   役職すら把握していないとは嘆かわしい!

   既に今年も10か月経ちましたが…
   一体、何日サラサ・ランドでお務めを果たしたというのです!」ピキピキ

556Mii:2018/12/06(木) 23:13:40 ID:XUi5qVu.
デイジー「…えっと、50日くらい?」

大臣「たったの5日ですぞ5日!
    それ以外は、朝と晩ちょっと城にいるくらいで、城下で遊び呆けている…
    あるいはキノコ王国などへ放蕩の旅に出ているだけ!

    戻ってきてみれば『ちょっと着替え取りに帰ってきたよ』…ですと!
    『ほらほら、大会で優勝してトロフィ―貰ってきたよ!飾っておくから好きなだけ眺めていいわ』…ですと!?
    ふざけないでいただきたい!堪忍袋の緒が切れましたぞ!

    私たちという超優秀な部下がいなければ、とっくにこの国は潰れておりますぞ!」

デイジー「あ、はは、はは。…ごめん!ほんとごめん!でも、今回ばかりは見逃して!
      次から気を付けるから!ね?私だって、やるときはやるのよ?知ってるでしょ?」

大臣「ええ、知っておりますとも。確かに本気モードのデイジー様は、かのピーチ様にも劣らないくらい…
   それはそれは神々しい威圧感、カリスマ、威厳に溢れておりますぞ。
   …しかし、その頻度があまりにもあんまりな低さですのじゃ!

   そして、我らは…次にお会いした時には、一致団結して、
   デイジー様をひっ捕らえるべし、と結論付けましたのじゃ!!」ダッ

デイジー「えええ!?そんな、やめてよ!あ、争いは何も生まないと思います!」アワワ

557Mii:2018/12/06(木) 23:15:53 ID:XUi5qVu.
大臣「どの口がそれを言うかぁー!皆の衆、出遭え出遭えーっ!」



(地方創生+雇用改革+環境保全)大臣「うおおおおお!!俺は今から怒るぜ!」ダッ

(外交+軍事+治水)大臣「一か月くらいカンヅメにしてまともに働かせるぞぉ!」バッ

(観光+遊興+歴史編纂)大臣「喝を入れてやらねば!お覚悟をっ!」ダッ

(金融+物流+電子通信)大臣「ヒャッハー!」ダッ

(科学+教育+福祉)大臣「社畜にも限度というものがある!
                 これ以上好き勝手にさせてたまるかー!」ドーン!

オオオオオオオオーーー!!!ズドドドドド…!!



デイジー「わわ、何十人も寄ってたかってわらわらと…!
      よーし、そっちがその気なら私だって本気で行くからね!
      止められるものなら止めてみなさーい!
      
      お姫様の力を舐めるなあ!強行突破ぁー!!」ドドドッ

558Mii:2018/12/06(木) 23:17:57 ID:XUi5qVu.
――30分後。

デイジー「ばたん、きゅー…」ボロボロ



大臣「やりましたな!我々は遂に成し遂げたっ!」

大臣「敵は流石に強大であった…しかし!
   我々のダイヤモンドよりも堅い結束力が!
   用意周到に仕掛けられた捕縛用の仕掛けの数々が!
   料理人から一介のメイドに至るまでの、一糸乱れぬ追跡、情報リレーが!
   不可能に見えたことを、可能にしたのですぞ!」

大臣「おっと、油断している暇はない!のんびりしている暇はもっとない!!
   裁可してもらわなければならぬ書類は、それこそ山ほどある!
   すぐさまデイジー様を執務室へ!
   更衣室も風呂トイレも飲食提供も、全て一室で完結できるように改造してある!
   
   いいか、どのような理由を並べ立てようと、絶対に部屋から出すな!
   文句を言うようなら、メイドたちよ!
   素っ裸にして、リードと首輪で机に括りつけてでも仕事をさせるぞとでも脅しておけ!」

メイド「「「「「承知いたしました!!」」」」」ビシッ!

デイジー「」
   

――サラサ・ランドの部下たちのステータスは…
――デイジーを反面教師にして、恐ろしく高かった。

559Mii:2018/12/06(木) 23:20:15 ID:XUi5qVu.
〜11月23日、フェアリーランド〜

マリオ「…………」

ルイージ「…………」

キノピオ「…………」

デイジー『…グズッ。グズッ。……そんなわげで、わだじ、ぼうげんに、いげなぐ、なっだの。
      いぎだがっだのに、いぎだがっだのにっ!!ウワーン!!』



ピーチ「ようやく電話が掛かってきたと思ったら…なにやってんのよ!自業自得じゃないの!
     せっかくのチャンスをフイにしてっ!馬鹿じゃないの!?」

デイジー『ぞんなにおごらないでよぉ…!ようやぐ、でんわだげはゆるじで、もらえだのにぃ…!!』ダバー



マリオ「…ちょっとピーチ、代わってくれるか?今のピーチじゃ、纏まる話も纏まりにくいだろ」

ピーチ「…はい、どうぞ!ふんっだ!」プンスカ

560Mii:2018/12/06(木) 23:22:04 ID:XUi5qVu.
マリオ「俺だ、マリオだ。デイジー、まあ今回は諦めろ。きっと次があるさ。
    …あと、ピーチの機嫌が最悪だが…これは、デイジーだけのせいじゃないから
    気にしなくていいぞ」

デイジー『…え?どういう、ごど?』グズッ

マリオ「…それがだなー。







          ロゼッタが、連絡もなく未だに合流しない」



デイジー『…………はいぃーーーー!?なんで!?』

マリオ「ほっ、ちょっとは元気になれたか…もう、World 3の途中なんだけどな…」

ピーチ「……」ブツブツ

561Mii:2018/12/06(木) 23:24:49 ID:XUi5qVu.
〜11月18日夜、ほうき星〜

ロゼッタ「今日も、特にメールは来ていませんね」

少しの期待と、大きな不安が混ざり合った心理状態です。

私などに…冒険が、勤まるのでしょうか。
常人の体力すら怪しいレベルなのですが。
ふう、とため息を付いてしまいました。幸せが逃げていきそうですね。



と、そこへ。



チコ「ママ、大変だよっ!
   久しぶりに、巨大隕石がっ!!今までで一番おっきいかも!」

ロゼッタ「何ですって!!わかったわ、すぐに皆を集めてちょうだい!
     いつものやり方で対処するわよ!」

チコ「わかったっ!!」ピューッ



ほうき星を、みんなを、守らなければ!

562Mii:2018/12/06(木) 23:28:23 ID:XUi5qVu.
チコ「いっ」

チコ「せー」

チコ「のー」

チコ「で!」

チコ「「「「「「「「「「「「「「「「わーーーー!!」」」」」」」」」」」」」」」」ゴゴゴゴゴゴ

ロゼッタ「FP集積、異常なしっ!……参りますっ!
     はああああああああああああっ!!!」ビッシャーーーーン!!!!

シュウウウウ…。
予定通り、想定通り。だから慌てなど、しません。
巨大隕石は、私の必殺技で、跡形もなく…消えていきました。
ふふ、前回よりたとえ大きくなろうとも、私たちの絆の前では消し去ってしまえるのです!

ロゼッタ「体が、ふらつく…というわけで、私は…寝ます――」

チコ「わかったママ、お疲れさま!1週間、ボクたちが責任を持ってほうき星を守るよ!」

チコ「「「「「「「おー!」」」」」」」

ロゼッタ「ふふ、ありがとう。…おやすみなさい」



――何か、忘れているような…気のせい、でしょう。

563Mii:2018/12/06(木) 23:30:33 ID:XUi5qVu.
〜11月25日〜

猫クッパ「ふはははは!よくぞここまでやってきたな!
      お前らみんな、まとめてやっつけてやるのだ!
      ファイナルバトルと行こうではないか!



      …え?まだロゼッタ合流してないの?ここ最終ステージだぞ!?」



マリオ「まあエクストラステージはあるみたいだけど…調子に乗ってクリアしすぎたかな」

猫クッパ「せっかく今回はWorld 1から出張して登場するくらい、
      ワガハイ意気込んでたんだが…残念極まりないのだ」ハァ



ルイージ「そんなことよりピーチ姫の機嫌がヤバイんだけど!?」ガクブル

キノピオ「」ガクガクガクガクガクガクガクガク

ピーチ「…………………………………………」イライライライライライライライラ

564Mii:2018/12/06(木) 23:32:38 ID:XUi5qVu.
〜11月26日朝〜

チコ「ほうき星に、異常はぜんぜんなかったよ!
   あ、変な箱は届いたけど!」

ロゼッタ「………………………………」





ピーチ『いい?このメールの後すぐに、速達(クッパシップ)でワープブロックを送るわ。
     触れるだけで、集合場所に一瞬で付ける代物よ。

     だから、距離の遠さを言い訳にしないで約束通り、11月21日に来るのよ?
     あんまり遅かったら先に進んでるけど、その時は…わかってるわね?』





ロゼッタ「不可抗力なんですけど…」ガクガクブルブル

565Mii:2018/12/06(木) 23:35:05 ID:XUi5qVu.
〜WORLD ☆-2  スーパーギャラクシー〜

ピーチ「…………」

マリオ「…………」

ルイージ「…………」

キノピオ「…………」



ロゼッタ「は、はろー?」ニコッ



ピーチ「」イラッ

ピーチの ヒップドロップ!▼

ロゼッタ「いやああああああああ!!!」プチッ



ちびロゼッタ「うわああああぁぁぁぁん!ごめんなさいぃー!!!」ビェーン

マリオ「泣ーかした、泣ーかしたー!」

ピーチ「うるさい!」ウガー!

566以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/09(日) 14:55:29 ID:TyqiFGJY
デイジーさん…

567Mii:2018/12/11(火) 22:22:47 ID:OxfDQ/p6
マリオ「ほい、スーパーキノコ」

ちびロゼッタ「ありがとうございます」

ロゼッタ「…ほっ」グィーン



パワーダウンだと、こうなるんですね。勉強になりました。
精神年齢も少し引き摺られて幼くなるみたいです。
あ…でも、低い視界というのもちょっと新鮮でした。
机の下の落とし物とかに気付きやすくて、便利かもしれません。



マリオ「ちなみに、ロゼッタがいるということで…ピーチが色々頑張ってな。
    死亡すると『スーパー』状態で復活するゆとり仕様にしてもらったぞ。
    いやあ、残機制度もここまでセーフティガードを効かせられるまでになったか、感慨深いなあ。
    俺としては消化不良は否めないが」シミジミ

キノピオ「その何が悪いんですか!いいことじゃないですか!」

568Mii:2018/12/11(火) 22:25:06 ID:OxfDQ/p6
ルイージ「…キノピオ、ごめん。僕でも、流石にぬる過ぎると思ってた。
      リトライ直後のアイテムがフラワーとかベルとか、緊張感ないでしょ。
      まさか僕がシャボン縛りして死亡回数2桁行かないとは思わなかった」

キノピオ「ルイージさんらしからぬ強気な発言ですね」

ルイージ「なんだとぉ!キノピオはシャボンを相変わらず使いすぎなんだよ!
      ミスして落ちるときは潔く落ちようよ!」

キノピオ「はあぁ、聞いて呆れます。全くもって馬鹿げていますよ、そんなこと」






ピーチ「要するにキノピオは、潔く28回死んだ私が大馬鹿だと言いたいのね?」

マリオ「ついでに言うと、俺の死亡回数5回のうち1回がピーチを、
    残る4回ともがお前を救うための捨て身の作戦だったわけなんだが。
    押しつけがましいことを言うつもりはなかったが、流石にキレていいか?」

キノピオ「」

569Mii:2018/12/11(火) 22:27:18 ID:OxfDQ/p6
ピーチ「よし、次の即死ポイントで私が責任を持ってキノピオを突き落とすわ」

マリオ「おお、助かる!俺たちがやると文句タラタラだからな、どうせ」

キノピオ「」

ロゼッタ「……ご愁傷さまです」

なんだか、死の概念が良く分からなくなって参りました。
…あ、元からですか。これは失礼。

ロゼッタ「それで、私は一体どう参加すればよろしいのでしょうか。
     今からさっそく攻略に加わって…?」

マリオ「それは絶対に許容できないな」

マリオに、一瞬で否定されてしまいました。

マリオ「すでにエクストラステージ、ロゼッタには残念だが荷が重すぎる。
    こういうときこそ、シャボンの出番だ。
    どんな感じか、安全圏で眺めておいてくれないか」

ロゼッタ「で、では後で最初の方のWorldに戻ったうえで、ということですか?」

570Mii:2018/12/11(火) 22:29:20 ID:OxfDQ/p6
ピーチ姫が、苦虫を噛み潰したような顔をしました。

ピーチ「…あのねロゼッタ、私たち、冒険に来たからには最後の最後までステージをクリアしたいの。
    流石の私たちでも、やり応えのあるステージは出て来てるし。それは分かってくれるわよね?」

ロゼッタ「…?はい」

ピーチ「…それでね。ロゼッタには酷な話なんだけど。
    今回はちょっと、全員イベントが立て込んでいてね。それでもどうにかやりくりした期間だったのだけれど…。
    おそらく見学してもらいながら、ラストステージまでこなすだけで時間的に精一杯なのよ。
    そこで解散して、冒険は終わり」

ロゼッタ「え、でも、それでは…!私の参加意義、が」



――無くなってしまうのではない、でしょうか。
――それはとても、悲しいです。不可抗力でも、悲しすぎる顛末です。

571Mii:2018/12/11(火) 22:31:26 ID:OxfDQ/p6
ピーチ「…仕方がないの。そのかわり、私たちが帰った後…
     解放されたステージをロゼッタ1人で挑戦して…己を鍛えて行ってちょうだい。
     
     あのワープブロックは、今のところ、世界で一つしかない耐久性バツグンのワープブロックでね。
     ひとまず、ほうき星とフェアリーランドを自由に行き来できるわ。

     ロゼッタの実力じゃ、World 1も難しいかも知れないけど…
     いつか、クリアできるようになるわ。

     他の人たちの挑戦は、ちょっと待ってもらえないか掛け合ってみる。
     一人だけで寂しいかも知れないけれど、頑張り抜きなさい」

ロゼッタ「…………」



私、1人で。
不安が、胸をよぎります。



思わず沈黙して俯いてしまいましたが、
マリオが元気づける(?)言葉を投げかけてくれました。



マリオ「勿論、そのまま投げっぱなしにはしないぞ。
    とりあえず、無限増殖の仕方を教えておくからさ」

ロゼッタ「…………はい?」

572Mii:2018/12/11(火) 22:36:27 ID:OxfDQ/p6
とりあえず、「ムゲンゾウショク」ってなんでしょう、と首をかしげつつ、エクストラステージの先へ。
私は最初から「シャボン」と呼ばれる泡に入って、ふわ、ふわり。



ロゼッタ(きっと、この4人ならば…抜群のコンビネーションで、
      どんな難ステージもいともあっさりとクリアしてしまうのでしょうね…)







マリオ「よーし、じゃあ改めて冒険を再開するか。
     設定は今まで通り『フレンドリーファイア:あり』でいいな?」

ピーチ「全くの無問題よ!」グッ

ルイージ「やれやれ、どうせ反対しても聞いてくれないでしょ?」

キノピオ「ああ…」ガクッ




ロゼッタ「……ふれんどりー、ふぁいあ?」

573Mii:2018/12/11(火) 22:38:15 ID:OxfDQ/p6
〜WORLD☆―3 回せ!つみ木のアスレチック〜

マリオ「ウォー!ウォー!ヤー!フォー!ヤー!ヤー!ヤー!ウィヒー!
    ヤー!フォー!ウィヒー!ヤー!ウォー!ウォー!ウィヒー!
    ヤー!ウォー!ヤー!フォー!ヤー!」SPEED:MAX

ルイージ「ワッハー!ハッ!イェーイ!イェーイ!ワッハー!ワッハー!
     ホッホー!ホッホー!ハッ!イェーイ!」SPEED:MAX

ピーチ「ホーゥ!ホーゥ!イエィ!イエィ!イヤァ!ホーゥ!ハッ!ヤーッ!
    ホーゥ!イエィ!ホーゥ!ハッ!ヤーッ!」SPEED:99%

キノピオ「オワホゥ!オワホゥ!ヤーィ!ヤーィ!ハィッ!ハィッ!
     ハィッ!ホッ!オー!ホッ!…あっ(ツルッ)」SPEED:84%

ピーチ「キノピオ、私たちの中で一番速いくらいのつもりでいなさいよ!
じゃないと、約束通り落とすわよ!」

キノピオ「オワホゥ!ヤーィ!」ナミダメ



ロゼッタ「」

ロゼッタ「協力は!?」

マリオ「そんなものは、ない!あるのはゴールまでの競争のみだ!」

574Mii:2018/12/11(火) 22:40:02 ID:OxfDQ/p6
ルイージ「コイン1枚につき、タイム1秒と等価!
     グリーンスターorハンコor 1UPキノコ1個につき、タイム10秒と等価!
     残機を減らしたら、タイム100秒ペナルティ!
     
     駆け引きも大事になってくるんだよ!
     僕の場合、ジャンプ力の高さを活かさなきゃね!」

ピーチ「もちろん、物を投げたりして妨害するのもありよ…痛いっ!」ガンッ!

マリオ「はっはっは、棒立ちの敵とごっつんこ!油断大敵だな!」

ちびピーチ「やったわね!ゆるさないんだから!かくごしなさい、そこのてき!」

ツッコンドル「いや、知らんがな」



ルイージ「ブーメランいっけー!」シュッ

ちびピーチ「あ、がっ……」グサッ

ちびピーチ「」チーン

キノピオ「姫様あああああああぁぁぁぁ!!」

575Mii:2018/12/11(火) 22:43:59 ID:OxfDQ/p6
残機―1
ピーチ「…ふっかーつ!やったわねルイージィ!!」シャキーン!

ルイージ「ジャンプでかわすよっ!」

マリオ「不安定な足場の上でみだりにジャンプするなよー!」マチカマエ

ルイージ「え、ちょ、押さないで…わあああああああああ!」ヒュー

残機―1
ルイージ「いたたたた…やったなー、兄さん!」

ピーチ「マリオっ!あなたを倒して、私も死ぬぅ!」ダダダッ

マリオ「受けて立とうじゃないか!」ビシッ


 
ロゼッタ「皆さんっ!!もうちょっと命を大事にしましょうよっ!?
     これはゲームじゃないんですよ!?」

576Mii:2018/12/11(火) 22:45:22 ID:OxfDQ/p6
マリオ「だって」

ルイージ「スマブラごっこ」

ピーチ「楽しいもの」

※3人のテンションは非常にクレイジーな状態になっています。

ロゼッタ「」

マリオ「ちなみにさっき話した『死亡回数』はフレンドリーファイア分はカウントしてないから、
    実際はもっともっと死んでるんだけどな」

ロゼッタ「」

キノピオ「もう嫌だぁ…」グズッ

577Mii:2018/12/11(火) 22:46:51 ID:OxfDQ/p6
〜WORLD☆―4 飛びつけ!ゴールポール〜

マリオ「待てやコラ!ゴールポールの癖に、逃げるとは生意気だぞ!」ダダダダダダッ!!

ルイージ「ある意味斬新だねー!」ダダダダダッ!!

ピーチ「とっ捕まえて、微塵切りにしてあげるわ!」ダダダダッ!!

ゴールポール「ひえええええええ」ダッ!

ロゼッタ「」

キノピオ「…ゴールポールさん」ジワァ

578Mii:2018/12/11(火) 22:47:54 ID:OxfDQ/p6
〜WORLD☆―6 星空ロッカクロード〜

マリオ1「パタテンテンが一杯だな!みんな残らず駆逐してやる!」

マリオ2「お前がでしゃばるなよ、1人の攻撃じゃないと得点が増えないだろ!」

ルイージ1「そうだそうだ!というわけで僕が行くよ!」

ルイージ2「え、ここは兄さんに任せようよー」

ピーチ1「私が華麗にブーメラン一投で蹴散らしてみせるわ!」

ピーチ2「私が倒すんだから、しゃしゃり出ないで!」

マリオ1「こうなったら、早い者勝ちだよな!とっととブーメランをお見舞いだー!」

パタテンテン「ぎゃああああああ」

ファイアパックン「ぐわああああああ」



ロゼッタ「わあ、なんと綺麗な星空なのでしょうー(現実逃避)」

キノピオ「ダブルチェリー取らなくてよかった」ホッ

579Mii:2018/12/11(火) 22:50:42 ID:OxfDQ/p6
〜WORLD茸―3 真夜中ジャングルツアー〜

マリオ「出た、美味しそうなファンタグレープの沼っ!」

ロゼッタ「ふぁんた、ぐれぇぷ?飲めるのですか?」

マリオ「飲めないことはない」ゴクゴク

ロゼッタ「…へえ、ちょっと私も指に付けてみて、それを舐め――」



ジュッ!!



マリオ「ロゼッタの酸耐性でチャレンジすると即死だぞ」

ちびロゼッタ「ゆびがいっしゅんでとけたんですけどぉ!?いやあああ!」

マリオ「はは…あれ、電話か。もしもし?あ、任天堂さん?
    『残機減らしておきなさい』?しょうがないな…」

残機―1
マリオ「これでいいか」

ちびロゼッタ「いいかげんにしてぇーっ!あたまおかしくなるぅ!」

ピーチ「習うより慣れろ、よ。はい、キノコ」

580Mii:2018/12/11(火) 22:53:51 ID:OxfDQ/p6
〜WORLD花―12 ボスパラダイス〜

ボスたち「「「「「「降参するので虐めないでください」」」」」」

マリオ「え?フルパワーで戦ってほしいって?OK」ブンブンッ!

ピーチ「笑止」

ルイージ「賽は投げられたんだよね」

ボスたち「「「「「「」」」」」」

ピーチ「あ、電話だ。ちょっと待って……え、また任天堂から?
     はい、はい…ロゼッタですね、代わります。…ロゼッタ、ちょっと出て」

任天堂『ロゼッタさん、実は来年3月のイベントであるマリオパーティアイランドツアーに
     ぜひとも参戦して頂きたいのですが…可能でしょうか?』

ロゼッタ「私めなどでは絶対に務まらないので辞退させてください、断固として」

任天堂『えっ』

ロゼッタ「お願いします…」ボロボロ

任天堂『(どうしたんだろう…)で、では司会進行くらいならどうでしょうか!?』

ロゼッタ「……………………はい、わかり、ました」

蚊の鳴くような声で、返答するのが精一杯でした。
沈み込む私の気分などどこ吹く風で、マリオ達は…ようやく、駒をWORLD 1に、進めたのです。

581Mii:2018/12/11(火) 22:56:57 ID:OxfDQ/p6
〜WORLD 1-2 ノコノコ地下洞窟〜

マリオ「じゃあノコノコ、ちょっと甲羅借りるぞ」フミッ

ノコノコ「ちぇっ、すぐ返してくださいよー?」シブシブ

そう言って甲羅を半ば強引に手に入れたマリオは…唐突に、私に甲羅を渡します。
…なんだか、マリオカートのときよりずっと重くないですか!?

ロゼッタ「……あ、あの、この甲羅をどうしろとっ!」ギギギッ

ルイージ「そこに1マス分の通路があるでしょ?
     ひたすら跳ね返り続けるよう、投げ入れてみて!」

わけもわからず…言われた通りに、甲羅を投げ…ようとして、

ロゼッタ「あっ」

とうとう腕が持たなくなって落としてしまい…。

ちびロゼッタ「いたいぃ…!」グズッ

ピーチ「かわいい」

マリオ「かわいい」

ルイージ「かわいい」

ちびロゼッタ「そんなことどうでもいいですよぉ!?」

582Mii:2018/12/11(火) 22:58:42 ID:OxfDQ/p6
結局、マリオが甲羅を拾い直して、人ひとり通れるくらいの隙間に投げ入れてくれました。
最初からやってください…。

ちびロゼッタ「それで、これをどうするんですか?」

ピーチ「踏みなさい、ひたすらに」

ちびロゼッタ「なんで!?」

さっぱりわけが分からないまま、とりあえずおぼつかない足取りで踏んでみます。
激しくバウンドする甲羅を踏むと、甲羅を停止させつつ反動で小ジャンプ。
ほどなく、再び体は下降し始め…甲羅を蹴り出しつつ、反動で小ジャンプ。

ポフッ! ポフッ! ポフッ! ポフッ!
ガツンッ!!ガツンッ!! ガツンッ!! ガツンッ!!

ひょうきんな踏む音と、甲羅が激しく両壁にぶつかる音が規則的に鳴り続けます。

ちびロゼッタ「だから、これがなんになるんですか!?」ピョン ピョン

ピーチ「すぐわかるから」ニヤニヤ

ちびロゼッタ「わかるって、なにが――」



ふと、上を見上げました。
かつて、あの超難コースで絶望した時のように。

583Mii:2018/12/11(火) 23:00:00 ID:OxfDQ/p6
All × 98 1UP !
All × 99  1UP !
All × 100 1UP !
All × 101 1UP !
All × 102 1UP !
All × 103  1UP !
All × 104 1UP !
All × 105 1UP !
All × 106 1UP !




ちびロゼッタ「なにこれこわい」

わあ、てきをふみつづけるといのちがふえるんだあ。
よのなかってふしぎですねー。

584Mii:2018/12/11(火) 23:02:28 ID:OxfDQ/p6
猫マリオ「へーんしん!ここで、豆知識ターイム!よく聞き給え、猫ピーチくん」

猫ピーチ「はい!教官!」

猫マリオ「この冒険では、ノコノコが出るステージは本当に少ない。
     出るステージは1UPの稼ぎ処とも言える!
    
     しかし!君は知っていたかね、
     これらのコースがハイスコアの聖地でもあることを!」

猫ピーチ「どういうことですか!?」

猫マリオ「うむ。甲羅をしっぽ状態で跳ね上げると、連続で踏んだ時のように
     得点がどんどん増えていくのは知っているな?
     ちょこちょこ甲羅の動きに合わせつつ、甲羅を跳ね上げたこともあるだろう。
     1UPに到達した段階で甲羅はポワン、と消えてしまうから、
     あんまり価値がないワザにも思えるが…

     逆に言うと、8000点表示が出た段階でワザと跳ね上げを止め、
     地面に落としてから再び跳ね上げを開始する…という愚直サイクルを続けることで、
     非常に効率よく得点を稼ぐことができるのだ!」

猫ピーチ「えーっ!すごいわ!どのくらい得点を稼げるの!?」

猫マリオ「ステージに入ったら、速やかに甲羅を確保し、
      部屋の隅のような『甲羅をまっすぐ跳ね上げられる嵌め場所』にセット!
      あとはひたすらサイクル、サイクル!

      この『W1-2』の場合、どのキャラを使っても、安定して999999点…
      すなわちカンストが可能だ!スコアに載ると気持ちがいいぞ!」

585Mii:2018/12/11(火) 23:04:21 ID:OxfDQ/p6
猫ピーチ「すごーい!」

猫マリオ「『W5-2 サンサンビーチ』でも、カンストが可能だぞ!
      ただし、こちらは条件が色々とシビアだ!

     ブルたちが集まっている右側の隅っこまで甲羅を運んで、
     黙々とと跳ね上げサイクルしなければならん!

     鍵コイン回収ステージだから、何回か跳ね上げをミスするとやり直し、
     というくらい余裕がない!

     おまけに、仮に得点稼ぎが順調に進んでも、切り上げた時から
     ゴールまでの道のりが長いから時間計算もヒジョーに難しい!
     足の(本来)速いキノピオを強く推奨するぞ!」

猫ピーチ「大変なのね…!ごくり」

586Mii:2018/12/11(火) 23:08:17 ID:OxfDQ/p6
猫マリオ「極めつけは、『W城―6 シュモックのなわばり』だ!」

猫ピーチ「ええっ?ノコノコなんて居たかしら?
      それに、甲羅を嵌められるような隅っこもなかったような」

猫マリオ「それが、1体だけいるのだよピーチくん。
      中間ポイント、池に囲まれた島、その先の土管…といえば分かるかな?
      そして、土管を囲む窪みの壁が嵌めポイントだ!」

猫ピーチ「な、なるほど!」

猫マリオ「もっとも、このコースについてはカンストは無理だ。
     大部分が水中操作で時間の計算がとにかく絶望的、
     窪みの壁が案外跳ね上げミスを誘う、そしてやっぱり時間が足りなすぎる。

     スレ主はキノピオでひたすら1か月くらい試行錯誤して65万点が限界だったらしい。
     上手い人でも80万点は絶対に行かないだろうな」

猫ピーチ「メタいついでに質問です教官!そこまで苦労してハイスコア目指してなんになるの?」

猫マリオ「カンスト記録を残せる可能性があるステージだけは本気でやる性分らしい」

猫ピーチ「……あ、そう」

587Mii:2018/12/11(火) 23:10:16 ID:OxfDQ/p6
猫マリオ「また、ミステリーボックス系は、
      ワンフロアクリアからワープブロックに触れるまでのタイマーが働かないことを利用して…
      地蔵ベルを持ち込んで、ひたすらジャンプor壁登りからの地蔵落下でコインを稼ぎ続けることで
      簡単にカンストができる。

      そこまで時間かけておいて最後まで突破できなかったら一大事だから、
      最終フロアのひとつ前のフロアで得点稼ぎするといい感じだぞ」

猫ピーチ「心底どうでもいいです」









ちびロゼッタ「ロゼッタが375人、ロゼッタが376人、ロゼッタが377人…」ブツブツ

588Mii:2018/12/11(火) 23:30:31 ID:OxfDQ/p6
クッパ「この度は、わがクッパ軍が設計したステージをこなしてくれて
    まことにありがとうございました、なのだ!終わりよければすべてよし、としよう!」ガハハ

マリオ「いやあ、中々面白かったぞ。やらせの冒険ではあったが、肝を冷やすような局面もそれなりにあったしな!
    今回ばかりはクッパに感謝だ! 」

ピーチ「ロゼッタのための残機も稼ぎまくったし、これで安全ね!
     この残機は、ぜーんぶロゼッタに預けるわ。心置きなく一人旅をさせられるわ!
     それでも残機が減ってきたら、また自分で無限増殖を使うのよ!なーんてね」

ルイージ「さすがにもう要らないでしょー!」アハハ

ロゼッタ(ジーッ)ミアゲ





Rosalina × 👑👑👑(1110機)

ロゼッタ(わけがわかりません)

589Mii:2018/12/11(火) 23:33:37 ID:OxfDQ/p6
ルイージ「全クリも果たしたし、言うことなしだね!」

キノピオ「わわ、グリーンスターが380個、ハンコが84個もあります!
      本当にたくさん集めましたね!

      ……姫様。この度は、不甲斐ない所ばかりお見せしてしまい、誠に申し訳ありませんでした。
      今後は、物事に勇敢に立ち向かっていきたいと思います」

ピーチ「ええ、その意気よ。キノピオならそうなってくれると信じていたわ。
    World1からWorldフラワーまでの長い長い旅だったけれど、
    ロゼッタよりはキノピオが一番の成長株だったわね。

    ……さあ、今度はロゼッタの番よ!応援してるわ!」

ロゼッタ「は、はいっ!頑張ってみます!」

あんまり自信はありませんが、昨日の自分を超え続ける覚悟で。
力を付けていきたいです!

590Mii:2018/12/11(火) 23:42:57 ID:OxfDQ/p6
ピーチ(意気込むロゼッタ。まあ、一旦は実家に帰りたいらしく、
     ワープブロックで颯爽と帰って行っちゃった。…頑張りなさい、期待してるから)


妖精「あ、あのー!無事に、冒険は終了しましたか!?」

ルイージ「あ、妖精さん!もちろんだよ、君たちも、囚われ役とかいろいろとお疲れ!
      今後も、いい関係をキノコ王国と持てたらいいね!」

マリオ「そうだな」

ピーチ(そう言うと、おどおどしていた状態から…途端にほっとした雰囲気に。
     頭脳明晰そうな彼女だけど、何が心配だったのかしら)

ピーチ「何か、不安事項でもあったの?」

妖精「…ええと、その、お恥ずかしい話なのですが…
   フェアリーランドの妖精たちは、気まぐれというか衝動的というか、
   必ずしも全員の仲が常にいいわけじゃないんです。
   なかなか一枚岩になって政策を施行できなくて。

   今回も、『フェアリーランドをキノコ王国の属国としたいのか!』って
   ステージ設置に猛反対したグループも少数ながらありまして。
   何か、妨害行為や嫌がらせをしていやしないかと…」

ピーチ「あら…内政干渉をするつもりはないけど、大変そうね」

妖精「はい…」

591Mii:2018/12/11(火) 23:49:54 ID:OxfDQ/p6
クッパ「仮に不穏なことをたくらめば、クッパ帝国が…
    ついでにキノコ王国も黙っていないのだ。
    フェアリーランドなぞ、ひとひねりである!」フンッ

妖精「ひ、ひええええええ…」ビクビク

ピーチ「やめなさいよクッパ!
    ……まあ、フェアリーランド全体に何かすることはないわ。
    仕掛けた加害者に対しては『お返し』するかもだけどね。
    ちゃんと国を纏めておいてくださいな」

妖精「は、はい!かしこまりました!」ピューッ

ルイージ「…行っちゃった。よっぽど心配事が尽きないんだろうな」

マリオ「まあ、俺たちに危害を加えられるとは思わないけどなあ…」

マリオ(加えられるとしたら)

マリオ(ロゼッタくらいだろうなあ)

ピーチ(ロゼッタくらいでしょうね)

クッパ(ロゼッタくらいだろうな)

592Mii:2018/12/12(水) 00:02:01 ID:pBOaurfA
〜数日後〜

ロゼッタ「さあ、それでは朝食も済みましたし…さっそく参りますか」

チコ「ママ、頑張ってね!行ってらっしゃい!」

ロゼッタ「ええ、行ってくるわ。夕方までには戻るわね」ニコッ



ワープブロックさん、よろしくお願いします!
私の挑戦が、いま、始まろうとしています!



〜フェアリーランド〜

ロゼッタ「とりあえず、どのステージから挑戦しましょうか…
     残機は山ほどあるので、ある程度の無茶は利くはずですよね。
     …でも、死ぬのは怖いですし、うーむ。

     そもそも、残機があるときに死ぬ感覚がどんなものか、
     私は知らないんでした。安全に行きましょう、か」

ネエ、ネエー!


――誰かが、呼んでいる声がします。
妖精、でしょうか?そうみたいですね。

593Mii:2018/12/12(水) 00:09:42 ID:pBOaurfA
妖精「貴方、呼ばれたら返事くらいしなさいよ!」

ロゼッタ「すいません、まさか呼び止められるとは思っていなかったもので」

妖精「全く…アンタ、もしかして前に来たマリオとかいう人の一味じゃなかったっけ?
   それで慌てて呼び止めたのよ。急いでこっちにきてちょうだい!」

ロゼッタ「一味とは言い得て妙ですね…?わ、わかりました。
     付いて行きますから引っ張らないでください!」アタフタ








WORLD2-🏠
妖精「はいっ!ハンコ貰い忘れよ、おっちょこちょいなんだから!」

ロゼッタ「え?ええっ!?あ、ありがとうございます…?」

なんと。あれほどステージ中のハンコを集められたというのに、
唯もらうだけのハンコをゲットし損ねていたなんて。
マリオ達にしては、うっかり大失態、ですね。
ちょっと、人間味を感じて笑ってしまいました。

それでは、ありがたく受け取ることに致しましょう。

594Mii:2018/12/12(水) 00:20:54 ID:pBOaurfA


フェアリーランド、各所

ブーメランブロス「あっれー?取得済みグリーンスターって、
          白くなるけど残り続けるんじゃなかったっけ?」

ブーメランブロス「…それで合ってるだろ?」

ブーメランブロス 「でも見ろよ、あそこにあったはずのグリーンスターか
           完全に消え去ってるぞ」

ブーメランブロス「ははは、まさかニセモノだったとか言うんじゃないだろうなー?」

ブーメランブロス「うーん、考えすぎかなー?」




妖精(善)1「ハ、ハンコが!なんか変!?」

妖精(善)2「どうしたの、そんなに慌てて?」

妖精(善)1「ピーチから送られてきたメールに、渡していないヘンテコなハンコが押されてるの!
        明らかにフェアリーランドで作られたっぽいのに!」

妖精(善)2「誰かが偽物を本物とすり替えたってこと!?一体、何の目的で!?」

妖精(善)1「わ、わかんない!でも、なんか嫌な予感がする!」

595Mii:2018/12/12(水) 00:37:54 ID:pBOaurfA
グリーンスター × 380  ハンコ × 85 〜Completed !! 〜

パンパカパーン!

ロゼッタ「きゃっ!?」

妖精「おめでとうございまーす!…なんと、このハンコをもちまして!
   あなた様は、全グリーンスターを!全ハンコを!完全網羅致しました!

   その栄誉を称え、ステキなステキな、とっくべつなステージにごあんなーい致します!!」

妖精「「「「おめでとう!」」」」

ワーワー!!

ロゼッタ「あ、ありがとう…ございます?」

妖精「さあさあ、ロケットに乗って乗って!」

ロゼッタ「は、はい。わかりました」

ロケット「グリーンスター342コ、ハンコ81コ…イエ76コアリマスカ?」

妖精「ありまーす!問題なく乗れまーす!」

ロケット「…カクニンイタシマシタ!シュッパツシマス!」

ロゼッタ(…あれ?)

596Mii:2018/12/12(水) 00:56:31 ID:pBOaurfA
ロゼッタ「ここが…すてきな、ステージですか」

妖精「ええ、そうよ!ドキドキハラハラ、ワクワクがとまらないステージなの!
    お姉さん、さっそく挑戦してみない!?きっと喜んでくれると思うわ!」

――そこまで、言うのなら。まあ、駄目だったら引き返しましょうか。気楽に行きましょう、気楽に。
――どんなステージなのか、胸がときめいています。

ロゼッタ「それでは、行ってきますね!」シュンッ

妖精「…………」

妖精「ハッ!」パリーン!!

ニセモノの グリーンスターと ハンコが くだけちった!▼

ロケット「グリーンスター、ハンコ、カクトクスウニイジョウハッセイ!
     サイケイサン、サイケイサン!!

     グリーンスター ゲンショウリョウ 39!ケッカ、341コ!
     ハンコ ゲンショウリョウ 10! ケッカ、75コ!

    フセイジョウシャト ハンダン! ワタシ カンカン!
    カエリノ ジョウシャ モウゴメン!スリープモードニ ハイリマスッ!」

妖精(悪)「ま、クリアできるもんなら残機が尽きるまで頑張ってねー」

何かが、壊れる、音がした。

〜WORLD 👑-👑 ファイナル!チャンピオンシップロード〜

597以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/12(水) 21:14:20 ID:Eml80zYg
広報もこなす二人もすごいがスコアラーもすごいなあ
ロゼッタさんはすごい(不憫)

598Mii:2018/12/16(日) 04:30:32 ID:dPGHwQFY
〜ほうき星〜

チコ「ママ、遅いなあ」

チコ「遅いねー」

チコ「遅い、おそいー」



ママが、フェアリーランドっていう国に冒険に出発して、あっという間に、もう夕方。
…あ、ほうき星に毎日、日が昇って沈んでるわけじゃないからね。
マリオ達が住んでる星に倣って、時刻で管理しているだけだから。

…それで、ママが帰ってくるって言ってた夕方になったわけだけど。
特に、その気配がないんだよね。
みんなも心配してきて、いろいろ話し合っているよ。

599Mii:2018/12/16(日) 04:31:52 ID:dPGHwQFY
チコ「ママもきっと、ステージをこなすのに夢中になって、時間を忘れてるだけだよ。
   問題ない、問題ない」

チコ「それも、そうだね!」

チコ「はやく夜ごはんが食べたいな!
   最近はママが1日3回もご飯を作ってくれるから、ぜいたくだよね!
   …肉とか野菜とかは、どうにも好きになれないけど」

チコ「それって、ママのお皿だけに入ってるのを珍しがって勝手に食べただけじゃん」

チコ「あはははは」



ボクは、ちょっと不安になりながらも、年長者として(?)みんなをなだめようと頑張ってる。
…はやく、帰ってこないかな。

600Mii:2018/12/16(日) 04:33:04 ID:dPGHwQFY
――とうとう、日付が変わった。
――ママはいまだに、帰ってこない。



チコ「お腹すいたー」グー

チコ「お腹すいたよー」グウー

チコ(…………)グゥ



みんな、まちくたびれちゃった。
3食生活に慣れ過ぎて、お腹の音があちこちで鳴り響く。

まあ、餓死することなんてないんだけどね。
最悪、ほうき星の表面をかじってればお腹が膨れるし。おいしくないけど。

一応、非常用に用意してくれている星くずパンが台所にあるけど、
誰も手を付けようとはしない。ご飯はママといっしょに食べたいもの。
ボクもすっかりお腹がすいた。早く帰ってきて、ママ…。

601Mii:2018/12/16(日) 04:34:39 ID:dPGHwQFY
――更に、お昼過ぎになった。
――ママは……一向に、帰ってこない。



流石に、いくら呑気なボクたちでも、非常事態ってことが呑み込めてきた。
ぐうぐう鳴いてるお腹のすき具合なんて、とても気にしてる場合じゃない。

チコ「ママに、何かあったんだ!どうしよう!」

チコ「こうなったら、みんなでワープブロックに飛び込んでママを探しに行こう!」

チコ「それがいいよ!」

そう言って、みんながボクの方を振り向く。
…え?ボクが最終判断出すの?……別に、いいけど。

チコ「じゃ、じゃあ…行きたいチコは、10分後にワープブロックの所に集合!
   ボクたち1人ひとりは弱いんだから、一斉に飛び込むよ!
   勝手に飛び込まないでね!」

チコ「わかった!」ピュー

チコ「はーい!」ピュー

602Mii:2018/12/16(日) 04:36:22 ID:dPGHwQFY
〜フェアリーランド〜

星の子、数十人……ごあんなーい。

飛んできたところはWorld1とかいう…一番さいしょのワールドみたい。
ママの言っていたことが確かなら、このあたりでステージを攻略しているはずなんだけど。

おかしいなぁ、ママの気配が全然感じられない。
まさか、ステージが簡単すぎて、もっと先のワールドに進んじゃったのかな。

とりあえず、少しでもママの情報が欲しくて。
見かけた人たちに手当たり次第、話を聞いてみた。



ブル「おっとここは通さねえ…え、チャレンジじゃない?なんだよ…。
   あん?青い服を着た背の高い女の人を見かけなかったかって?
   さあな、知らないぞ」

チコ「そっかあ、ごめんなさい」



でかクリボン「さあ、よくわかんないな。…いや待てよ?
        あー、なんか妖精に慌ただしく急かされて、女の人が
        どこかへ連れていかれていた気がするな」

チコ「ほんと?ありがとう!」

603Mii:2018/12/16(日) 04:38:51 ID:dPGHwQFY
カメック「ああ、ロゼッタ姫か。少なくともこのWorld3では見てないぞ。
     ただ…昨日、空の彼方からロケットが飛んできたな。妙に気になる」

チコ「…ロケット?」

カメック「ああ。そして、どこかに着陸した後しばらくして…
また轟音を上げて飛び去って行ったぞ。
方向からして、World1か2に一時着陸したんじゃないか?」



なんだろう、ものすごく怪しい。
それにママが乗せられたとしたら、行方不明の辻褄があうんじゃ?



チコ「ねえねえ、今回の冒険で、一番てっぺんにあるワールドってどこ?」

カメック「Worldフラワー、指差すとすれば…あちらの天空のさらに上だな。
     が、それがどうかしたか、星の子?」

チコ「ありがと!みんな、ちょっと大変だけど向かってみるよ!」ビュン!

チコ「おー!」ピュー

チコ「おー!」ピュー

カメック「おいおい、距離がありすぎるぞ…って、もう行っちゃったし…」

604Mii:2018/12/16(日) 04:41:27 ID:dPGHwQFY
〜WORLD花〜

空を駆け上がるなんて、ボクたちには朝飯前。
…もう、おやつの時間もとっくに過ぎたけどね。

ただ、距離が長いと、それだけ時間は掛かるし、体力も使う。
お腹がすいてることもあって、すっかりヘトヘト、ゲッソリ。
それでも、ようやくたどり着いた。

はるか下にフェアリーランドを見下ろすワールド。
フィールドが、ピカピカと輝いていて…とても綺麗だな。
おっと、そんなことよりママを探さないと…!

チコ(あれ?おかしいな?)

ママがいることは、なんとなく確信できてきた。
気配がかすかに感じられるもの。伊達に何百年と一緒に暮らしていないよ。
でも、その方向が…。

他のみんなも、戸惑っている。
ここ、カメックさんが言うには、頂上の…てっぺんのワールド、のはずなんだけど。

――どういうわけか、ママの気配を「更なる天空」から感じる。

チコ「…まだ、上に何か、あるのかな?」

目を凝らすと、かすかに何かが、浮かんでいる、ような…。

チコ「まあ、ママの気配を感じられる以上…行くしかないね!」

605Mii:2018/12/16(日) 04:43:16 ID:dPGHwQFY
〜WORLD👑〜

何十キロくらい飛んできただろう、まあ大したことは…割とある、しんどい。
ぽつんと浮かぶ浮島を、とうとう見つけた。
一気に、その上まで高度を上げて、一面を見下ろす。

その浮島の中央に、ママの気配!
ようやく…ようやく、見つけたんだ!

チコ「ママー!」

チコ「やったー!」

チコ「心配したよー!」

新参者のチコたちでも流石にわかったのか、気が滅入りそうだったみんなが一気に元気になって、
スピードをグングン上げる。やれやれ、ようやく笑顔が戻ったかぁ。



…ううん、違うか。何よりも、ボクが一番、ほっとしているんだ。
みんなを颯爽と追い抜いて…ママのところまで、ひとっとび!



チコ「ママ―!!やっと会え――」

606Mii:2018/12/16(日) 04:45:35 ID:dPGHwQFY
涙目になりながら、シュタッと降り立ったボクが、見たものは。






ロゼッタ「―――――――――」



チコ「……マ、マ?」




横倒れになり。

何か吐いたのか、口元と服をひどく汚して。

涙の跡がくっきりと残ったまま、焦点の定まらない目を、
のろのろとこちらに向ける、ママの姿だった。

607Mii:2018/12/16(日) 04:48:59 ID:dPGHwQFY
時間が、止まる。

チコ「ママ――!?どうしたの、しっかりして!?」

動転しつつ、ママの体をユサユサと揺するけれど。

ロゼッタ「――――――――――――」

ママの目に、光が全然灯っていない。無気力、無表情。
一体、何があったというの!?

それでも、一生懸命に、ユサユサと揺すっていると…
ゆっくりとした動作で、ママが起き上がる。
ああよかった、とりあえず命に別状はないんだ…と思った、次の瞬間。



むんず、と頭に掴まれた感触。
――あ、これってママの手か。



そう、理解すると同時に……



ロゼッタ「――――――――っ!!」

ボクは、冷え切った眼をしたママによって――あまりにも無造作に、
地面に叩きつけられていたんだ。

608Mii:2018/12/16(日) 04:50:56 ID:dPGHwQFY
うん、知ってる。ママって、力弱いもんね。
ボクって頑丈だし、このくらい全然ダメージはないよ。

でも…ボクは。
心にぽっかりと穴を空けられてしまった気がして。
生まれて初めて、ママに拒絶されてしまった気がして。
みるみるうちに痛くて、痛くて、苦しくなって。

チコ「……………………うわあああああああああん!!!!

たちまち大粒の涙が、次から次へと溢れてきた。



ママが、一瞬、ビクッとする。
ボクを見て、数秒。電流が走ったように物凄い速さで、ママ自身の手を見て、数秒。



ロゼッタ「――――っ!?あ、あぁぁ――――私は一体、何をっ――――!?
      嫌、いやあああああああああああ!!!」ポロポロ



取り乱して、ただひたすら取り乱して、頭を抱えたまま激しく泣いてる。
ボクは、みんなは、ますます悲しくなっちゃう。

でも、よかった。いつもの、ボクたちが知ってる、優しいママだ。
きっと、なんとかなる、はず。あの、マリオカート騒動の時も、なんとかなったんだから。

609Mii:2018/12/16(日) 04:52:33 ID:dPGHwQFY
そぅっと近づいて、ママの手にボクの手をポンと乗せる。

チコ「グズッ…へへへ、ボクは大丈夫だよ、この通り!
   だから、泣き止んでよ、ママ!そして、いっしょにほうき星に帰ろう?」

ロゼッタ「――――っ!ごめん、ごめんね、チコ……!こ…こんな、酷いママで…っ!」ポロポロ



強く、強く抱きしめられる。とっても温かい。ママの気持ちが。





――それに反して……物理的なママの体温は、恐ろしく低い。
どんな辛い目に遭ったら、ここまで追い込まれるの!?

610Mii:2018/12/16(日) 04:53:55 ID:dPGHwQFY
キャハハハハ!

周囲から一斉に、笑い声が聞こえる。

チコ「誰なの!?」

ボクの驚きに対して、数人のお客さんが姿を現した。妖精、だったっけ。

でも、様子が変だ。ボクが噂で聞いた妖精は、
こんなに人を馬鹿にしてあざ笑うような生き物じゃない。

妖精「ほんと、ブザマね!母親でありながら、子供たちに慰められるだなんて!」

妖精「愉快愉快!妖精を舐めてるから、こういうことになるのよ!
   まあこれで、私たちの怒りと憎しみが分かったでしょ!」ケラケラ

ロゼッタ「――――っ!」



ボクを抱きしめてるママの体が、強張る。

611Mii:2018/12/16(日) 04:56:53 ID:dPGHwQFY
妖精「私たち独自でコッソリ、ステージを仕上げておいてよかったわね!
   クッパ軍団員も報連相が上手くできていないおかげで、
   でっち上げの指示書でまんまと駆り出せたわ!
   あいつら、本来の配置と違ってることすら気付いてないだなんてお間抜けね!」

妖精「所詮、その程度ってことよ、キノコ王国もクッパ帝国も。
    こんなポンコツを冒険者に推薦する位だもの!
    お姫様はお姫様らしく、お城に篭って扇でも振るっていればいいのに」

ロゼッタ「――っ!」ポロポロ

ママは――たちまち俯いて、僕の頭の部分に顔をうずめて、泣き続けるばかり。
頭が濡れる感触が不快かって?まさか、ありえないよ。

……でも、あの妖精たちは不快でたまらない。

妖精「最初のセクションすら突破できないだなんてねー!」

妖精「動きは素人だし、体力はゴミだし、冒険者として終わってるわね!」

妖精「這いつくばって、1-1からやりなおせー!」



ロゼッタ「あ、あ、ああああ――――――――!」ポロポロ

たまらず、座り込んでしまうママ。一層激しく泣き腫らしたあと…
プツリと、糸が切れた人形のように、意識を失って倒れ込んじゃった。

612Mii:2018/12/16(日) 04:59:24 ID:dPGHwQFY
チコ「おまえたち、一体、ママに何をしたの!きっと乱暴したんでしょ!」

妖精「そんなことしないってば。私たち、弱いもんねー」

妖精「ねー」

妖精「私たちは、ちょーっと難しいステージに、彼女を案内しただけだよー?
   直接にはなーんにも手を出してない、これホント。
   
   まあ、ロケットを停止させて、『クリアしないと帰れない』ようには差し向けたけど?

   彼女ったら、陥った状況に気付いたとたん、すごく怒ってね?
   その後、私たちに土下座してまで頼んだのよ、『帰してください』って。
   それを無視したら、死に物狂いになってステージをクリアしようとしたんだけどね?
   なんと、本当に死にまくっちゃうんだから笑えるわ!

   落下死して、接触死して、撃墜死して。
   死んで、死んで、とにかく死んで。
   
   度重なる痛みに加えて、徐々にあとがなくなっていったこともあって、
   精神崩壊しちゃったみたい」ニヤリ

チコ「そんな…酷い、酷すぎるよっ!
   で、でも聞いたところによれば、残機がたっくさん…!」ミアゲ



Rosalina × 3 ピンチ!

チコ「」

613Mii:2018/12/16(日) 05:01:50 ID:dPGHwQFY
チコ「みんなっ!ママを…ママを、ほうき星まで運ぶよ!
   お腹がすいてると思うけど、頑張って、お願い!!」

チコ「……わかった!」グズッ

チコ「……もちろんだよっ!」グズッ

みんなで力を合わせて、ママの体を持って浮き上がる。
行き以上にしんどいけれど、ママには代えられないというみんなの気持ちは一つ。



ピーチ姫の話によれば、仮に残機が0になったとしても、残機バンクから残機がとっさに貰えるようになった。
だから、そこまで深刻に記憶を失っちゃうことはなくなったんだっけ。

それでも、ママはボクたちとの思い出を少しでも確実に残そうと、
必死に頑張ってくれたんだよね、きっと。ありがとう、ママ。



みんなに一言断っておいて、ちょっとママの元から離脱。
妖精たちに怒りの言葉をぶつける。

チコ「こんなことして、唯で済むと思ってるの?マリオやピーチ姫が黙ってないよ!
   もちろん、ボクだって怒ってる!こんなに腹が立ったのは初めてだよ!
   ただでさえママは冒険初心者なのに、マリオ専用みたいなステージに閉じ込めて!」

すると、妖精たちはますますおかしそうに笑った。
ボクの怒りは、ますます膨れ上がってくる。

614Mii:2018/12/16(日) 05:04:37 ID:dPGHwQFY
妖精「マリオ専用、ですって?何を馬鹿な事言ってるの?
   このステージ、マリオだってクリアできっこないわよ?
   難所を詰め込めるだけひたすら詰め込んだステージなんだから!
   ズルなしに、このステージをクリアできる人なんて存在しないわ」

チコ「…え?ちょ、ちょっと待ってよ!ってことは、おまえたちもクリアしてないの!?」

妖精「しないしない、できっこないしー。
   まあ、ゴールまで飛ぶのが有りならできないことはないけどね」

妖精「まともに挑むなんて馬鹿のやることよね!」

チコ「」

チコ「」

チコ「なんだって…!」ブチィッ

615Mii:2018/12/16(日) 05:09:20 ID:dPGHwQFY
チコ「……………………もう、怒った。ちょうどママの電話があるし、制裁、受けてもらうよ。
   ピーチ姫にこの前、直通電話を教えてもらったんだ」ピピピッ

妖精「生意気な星の子ね!私たちがノンビリ待ってあげると思う?」

チコ「もしもし……うん、実は。自分たちでクリアしてもいないのに、ステージを公開して
   ママを1000回以上も苦しませ続けた、極悪非道な奴がいるの。
   おしおきしてあげてください!どうか、お願いしますっ!」グズッ

妖精「私たちのフットワークは軽いのよ!ま、このあたりでトンズラさせていただくわ!
   それじゃ、さようならー!!」

妖精「バイバーイ、キャハハ!マリオやピーチが来たところで、もぬけの殻よ!」



シュバババババババッ!!  タッチッ!!!!

妖精「何よ、非力な貴方たちが何をしたところで、どうしようも……」







マリオメーカー企画中スタッフ達「「「「「「「抵抗するな。デリートするぞ」」」」」」」タッチペン

妖精「」

616Mii:2018/12/16(日) 05:13:48 ID:dPGHwQFY
スタッフ1「やれやれ、あぶないとこだった」

スタッフ2「こんなところで不祥事を表沙汰にされたら、2年後の計画がパーになるからな!」

スタッフ3「光の速さで駆けつけて正解でしたね。チコくん、通報ありがとう」

チコ「ど、どういたしまして(すっごく速いよ!)」

スタッフ4「そういや、3Dワールド企画スタッフから咄嗟に瓶を頂いてきたぞ」ホイ

スタッフ5「あ、これって本来クッパが囚われ役の妖精を捕獲しておく予定だった瓶じゃないか?
      いち、に、さん…全部で7本あるな」

スタッフ6「クッパが

       『囚われ役だからといって、そんなのは可哀想なのだ!』

       って拒否ったから、使われずじまいだったんだよな」

スタッフ7「ちょうどいいや、こっちの悪戯妖精も7人だしさ。
       罰として、こいつら閉じ込めて、筋書き通りお城ステージに配置しておこうぜ」

スタッフ1「いいね!救い出されるまで何年かかるか分からんがな!」

妖精「「「「「「「ちょ」」」」」」」

スタッフ7「いけっ! モンスターボトルー!」シュッ

妖精「「「「「「「うわあああ」」」」」」」

617Mii:2018/12/16(日) 05:16:17 ID:dPGHwQFY
瓶詰妖精「「「「「「「 」」」」」」」ダセー! ウワーン!

スタッフ1「よぅし、じゃあ1人ずつ受け持って城まで置いて来たら出張終了、
      各々帰宅するって流れでお願いします。

      …あと、チコくん。さっきのステージだがな。
      厳正な調査の結果、一応はクリア可能であることがわかったから。
      ステージまで消去する必要はないみたい」

チコ「え、そうなの?」

瓶詰妖精「「「「「「「 」」」」」」」ナンデスッテ! ダッタラ ダシテクレタッテ イイジャナイ! オニー!

スタッフ4「馬鹿言うんじゃない、勝手に未検証ステージを公開したっていうことが大問題なの!
      わかる!?しばらく瓶の中で反省してなさい!」

スタッフ1「それでは……散っ!」

シュバッ!!



チコ「……………………さ、さってと。ボクも急いでママやみんなと合流しなきゃ」ビューン!

618Mii:2018/12/16(日) 05:20:56 ID:dPGHwQFY
ママは、心に深い傷を負ったみたい。
急いで大量の星くずパンを作ってくれたはいいけれど、
作りがなんだか雑になっちゃってる。

でも、別に構わないから。はやく、元気になってほしい、ただそれだけ。


でも、ボクたちの想いとは裏腹に、ママの精神は優れない。
料理をして、突然泣いて、ときたま吐いて、死んだように眠るだけ。
見ていてつらいけど、ママが一番つらいんだから、我慢しないと…!



そして…1週間後。



チコ「ふわあぁ。おはよう、ママ。…起きてる?あれ、いない。
   なんだろう、机の上に、置手紙…」

619Mii:2018/12/16(日) 05:22:12 ID:dPGHwQFY










『旅に出たいと思います。しばらく帰ってきません。
 ピーチ姫から連絡が有ったら、できるだけ誤魔化しておいてください。

                                     ママより』






チコ「」

チコ「……ママァ!?」

ほうき星は、しっちゃかめっちゃかの大騒ぎになっちゃいました。

620Mii:2018/12/16(日) 05:23:44 ID:dPGHwQFY
〜WORLD 1-1 スーパーベルの丘〜

クリボー「――それでさ、俺はこう言ってやったんだ、
      『俺の拳を受けてみな、このザコが』って!」

猫クリボー「かっこいー…ってお前、拳ないだろーが!
       どうせ尻尾まいて逃げ出したんだろ!」

クリボー「尻尾だってねーよ、お前と違ってな!あっはっはー」



トテッ トテッ トテッ…。



クリボー「ん?」

猫クリボー「ん?」



ロゼッタ「ハアアアァァァァァ――!!」トテッ トテッ トテッ

クリボー「」

猫クリボー「」

621Mii:2018/12/16(日) 05:25:41 ID:dPGHwQFY
ロゼッタ(ええ!もう、吹っ切れましたよ!!
     そっちがその気なら、言われた通り1-1からこなしてみせますよ!
     愚直、愚直が私のモットーです!馬鹿にしないでくださいっ!
     寝泊りセットまで持ってきて、しばらくフェアリーランドで野宿生活ですよ!

     1-2で、100機ほど…当面の残機は確保してきました!
     タイムアップで死んじゃいましたけどね!
     ふわっと意識が遠のく、あの感覚は、気持ち悪いったらありません!
     でも、激痛よりはまだマシですっ!…うぷっ、また吐き気が…!

     と、ともかく!不運タイムとはいい加減にオサラバしますっ!
     World1をなるべく早くクリアして見せますからね!)





クリボー「…………なにあれ?」

猫クリボー「恐ろしく無駄な動きをしてるけど、新種の健康法かな?」

622Mii:2018/12/16(日) 05:29:33 ID:dPGHwQFY
ロゼッタ「ハアアアアァァァ――!!」トテッ トテッ トテッ


時計「残り300秒ッス」


ロゼッタ「ハァッ、ハァッ、ハァッ…」トテッ… トテッ… トテッ…


時計「残り200秒ッス」


ロゼッタ「ゼェ、ゼェ、ゼェッ…」トコ トコ トコ


時計「残り100秒ッスよ!」


ロゼッタ「ゼェ……ゼェ……ら、ラスト、スパートをば……!」トテッ…… トテッ……



時計「残り10秒ッス!!!」



ロゼッタ「……う、うそ、そん、な……!…ああっ!旗が、旗が見えてまいりましたっ!
      惜しい、本当に惜しかっ――」トテッ……… トテッ………

623Mii:2018/12/16(日) 05:30:55 ID:dPGHwQFY


中間フラッグ「ん?」





ロゼッタ「」

ロゼッタ「……せめて、そこまではぁ!!」



TIME UP!



ロゼッタ「あっ…………きゅぅ」バタリ





クリボー「だせぇ」アチャァ

猫クリボー「だっさいなあ」ウワァ

624Mii:2018/12/16(日) 05:33:26 ID:dPGHwQFY
残機―1、ステージの外へ
ロゼッタ「……………………」グズッ

ロゼッタ「はは、あのイジワル妖精の言った通りじゃないですかぁ。
     私、1-1すらまともにクリアできないじゃないです、か……」グズッ

ロゼッタ「……死にたい」ツー

ロゼッタ「いや、既に一杯死んでますか」



ゴシゴシッ…。



ロゼッタ「…………はははははははははははははははっ!
     …上等です、やってやりますよ!ええ!
     意地でもクリアして見せますから!!

     『1-1』さん!今日からあなたは私のライバルです!
     覚えておいてくださいよ!
     泣いたって許してあげませんからね!
     うおおおおおおおおおおおお!」ゴオオオオオオオオオ



妖精(善)「ねえねえ、あの人、何やってるの?」

妖精(善)「シッ!見ちゃいけません!おかしい人だから!」

625Mii:2018/12/16(日) 05:35:06 ID:dPGHwQFY
ロゼッタ「ハアアアアァァァァ!!」トテッ トテッ トテッ

MISS!



ロゼッタ「ハアアァァァ!」トテッ トテッ トテッ

TIME UP!



ロゼッタ「ハアアアアァァ…」トテッ トテッ トテッ

TIME UP!




ロゼッタ「……………………残機、増やしに行かねばなりませんね…」ショボン

626Mii:2018/12/16(日) 05:36:13 ID:dPGHwQFY
かれこれ1週間になりますが。
未だに、1-1が中間ポイントすら到達できません。うわぁい。



どうしましょう。
どす暗い感情が、どんどん増している気がします。
ちょっと、諦めたくもなります。

草地に手を付いて、バタリと倒れ込む。
そのままゴロンと転がって、仰向けに。
滲む涙を、風に乾かしてもらいます。



ロゼッタ「一生、クリアできないのでしょうか…」

「かもなあ」

ロゼッタ「!?」



慌てて飛び起きると、クリボーと…猫クリボー、でしたっけ。
ここまで接近していることに、まるで気付けませんでした。

ただ、敵意というものは感じられなかったので、殺伐とした雰囲気はありません。

627Mii:2018/12/16(日) 05:38:28 ID:dPGHwQFY
クリボー「1週間前から見てるけど、そんな動きじゃ、そりゃあクリアは無理だぜ。
     というか、アンタの素性が知りたい。冒険者って感じが全然しないんだが」

猫クリボー「そうだな。アンタ以外にチャレンジャーも来ないし、なんか訳アリなのか?」

ロゼッタ「えっと、どう説明したらいいのやら…」

クリボー「…なーんか、緊張してるのか固くなってるな。
     よーし、それじゃあ自己紹介タイムだ。
     名前、好きなもの、嫌いなもの、そして夢。
     これをお互いに言って行こうじゃないか」

猫クリボー「なるほど、コミュニケーションの基本は親近感、だよな!」

ロゼッタ「え…そんな、急に言われても」

タイマーだって、動いて……まあ、1回くらい、いいですか。
どのみち、この挑戦でゴールには間に合いません。TIME UP確定なのですから。
我ながら悲しくなりますが…。

628Mii:2018/12/16(日) 05:39:51 ID:dPGHwQFY
クリボー「俺はクリボー、1年くらいこのステージに赴任することになった。よろしくな!
     好きなものは甘くておいしいチョコレート、
     嫌いなものはヨッシーかな。…食われるの怖い。
     俺の夢は、踏まれても甲羅をぶつけられてもへっちゃらな体を手に入れることだ!」

ロゼッタ「わあ、素直でステキな夢ですね!」 

へへん、とクリボーが得意そうに胸を張ります。



猫クリボー「俺は猫クリボー、同じく1年くらいステージに配置されるな。
      好きなものはイチゴケーキ、嫌いなものはムササビ。
      夢、かあ。とりあえず、100メートルくらい優雅に滑空できる遊び場を手に入れることかな!」

ロゼッタ「いいですね、とても楽しそう!どんなに気持ちよいことでしょう!」

猫クリボー「だろ!姐さん、分かってるな!」

クリボー「そんじゃ、つぎは姐さんの番だぞ!」

ロゼッタ「は、はい」



――あんまり、考えた事なんてなかったですが。私の夢、なんて。

629Mii:2018/12/16(日) 05:44:19 ID:dPGHwQFY
ロゼッタ「私の名前は、ロゼッタ。

     嫌いなもの…というより、苦手なものなら沢山あるんですが、
     好きなものといったらほうき星での生活、親しい友人との関わり、
     あとは空間魔法の研究をしている瞬間くらいですか」

クリボー「十分あるじゃん、それだけあったら幸せだぜ」

ロゼッタ「ふふ、ありがとうございます」



クリボーにちょっと感謝。――いいえ、かなりの感謝。



ロゼッタ「それから――夢なんて言葉で終わらす気はありませんが、野望なら有ります。
     ほうき星とチコたちを、いつまでもいつまでも守り続けることと――



     とある妖精たちを、必ず――
     1人1発ずつ、ぶん殴ることですね」ニコーッ



クリボー「お、おう」

猫クリボー(…イタイ人なのかな?)

630Mii:2018/12/16(日) 05:46:14 ID:dPGHwQFY
クリボー「ま、まあ。そんな、でっかい?野望を持ってるロゼッタ姐さんに、
     一つ聞きたいんだけどさぁ」

ロゼッタ「はい、何でしょう?」











クリボー「姐さん、『ダッシュ』って知ってるか?」

ロゼッタ「……だっしゅ?」

631Mii:2018/12/16(日) 05:47:59 ID:dPGHwQFY
ロゼッタ「……………………!」タッ タッ タッ

ロゼッタ「凄い、凄いです!走り方を変えただけで、こんなに速く走れるだなんて!
      なるほど、歩く時とは骨格の動き、重心移動の様式を大きく変えればよかったのですね!」パァァァ



クリボー(やっぱり知らなかったかー)

猫クリボー(これまでどうやって生活してたんだろう)



クリボー「どうだい、これでこのステージはクリアできそうか?」

ロゼッタ「もちろんですっ!本当に、本当にありがとうございました!」ダバー

猫クリボー「いくらなんでも泣くことないだろ!」

ロゼッタ「泣きますよぉ!!」ウワーン

クリボー(幅跳びとか、ヒップドロップとか、壁キックはどうなんだろう?)ジトー

猫クリボー(やめてやれ)

クリボー(転がり幅跳びとかしゃがみジャンプとかクルクルジャンプって
     全クリした人でも知らない場合があるよね)

猫クリボー(やめてやれ!)

632以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/16(日) 12:23:14 ID:AeF3TfXc
今のロゼッタのパンチで妖精を害せるのか…?

633以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/18(火) 16:25:39 ID:TjaG2lmA
スマブラに参戦できるのはいつになるやら…

634Mii:2018/12/19(水) 08:44:44 ID:xxiSmmrk
〜さらに、1週間後〜

クリボー「姐さん、ガンバ!」

猫クリボー「今更よろけたりするなよー!」



ロゼッタ「もう、ちょっとぉ……たぁっ!」タッ… タッ… タッ…



ガシッ!ピュルル…!!



COURSE CLEAR!
マイベストタイム 483! ――NEW RECORD!

635Mii:2018/12/19(水) 08:45:51 ID:xxiSmmrk
ロゼッタ「……!!や、やりました!とうとう、とうとう1-1をクリアしましたよ!
     しかも、中間ポイントを使わずに!」

クリボー「それは当たり前やがな」

猫クリボー「これからも中間ポイントは使わないぞーって気持ちの方がいいんじゃないか?」

ロゼッタ「うっ……そう、ですね。2パートに分けてクリアしたところで、
     マリオたちにも笑われてしまいます、よね。わかりました、
     今後も中間ポイントはなるべく使わないように致します」

クリボー「その意気だぜ!いやあ、結構長い付き合いになったな。
     なんだかんだ言ってこの1週間…いや、2週間楽しかったぞ!
     次からのステージでも張り切っていけよ!」

猫クリボー「応援しといてやるぜ!」

ロゼッタ「ありがとうございます!では!」シュイン!

636Mii:2018/12/19(水) 08:47:33 ID:xxiSmmrk
〜WORLD1マップ〜

ロゼッタ「さて!それでは、次のステージへ!
     順当に行くのならば1-2ですが…まあ、そうしましょうか。
     新鮮味がないのはいいことなのか、悪いことなのか…では!」



〜WORLD 1-2 ノコノコ地下洞窟〜

ロゼッタ「とりあえず、これまでは無限増殖しか気にしていませんでしたが…」



ファイアフラワー「やあ」

ロゼッタ(ごくり)



ロゼッタ「何気に、ファイア状態にはなったことがありませんでした。
     …なって、みましょうか」

637Mii:2018/12/19(水) 08:48:56 ID:xxiSmmrk
不思議な形をした、赤い花にそっと、触れます。

たちまち私の体は、朱い服に包まれました。……ええ、登録した、あの。
髪形まで一瞬でポニーテールになるなんて、サービス精神がいいですね。

ちなみに、登録した服は…パワーアップ変身のたびに、何度でも…
新品同様に復活して、朽ちることがなくなるそうです。
そのかわり、登録状態のロックは一生外されず…通常生活で着ることはできなくなるらしいのですが。
まあ、ステージに潜れば何度でも着替えられるのですからいいですよね。



深呼吸をして――それでは、いざ。
右手に力を加え、炎のチカラを込め…!
ああ、なんだかワクワクしてきます!



ファイアロゼッタ「……ファイアッ!!」ボウッ!



直径30 cmくらいの、火の球が右手から飛び出しました!
バウンドしながら、壁の方へ飛んで行きます!

638Mii:2018/12/19(水) 08:50:32 ID:xxiSmmrk
ファイアロゼッタ「やった、やりまし――」



ジュウウゥゥゥ!



バックファイア!
ロゼッタは わざのはんどうで ダメージをうけた!▼

ロゼッタ「熱いっ!?」ティウン ティウン ティウン



突然のことに大層驚き、激痛の元となる右手の手のひらを見ます。
そこには――黒く、そして酷く爛れた火傷の跡が……!
右腕全体にも猛烈な痛みを感じ、痛みを堪えて袖をめくってみれば…
どこかに叩きつけられてしまったかのように血が滲んでいます。

炎のチカラの行使によって、魔力回路が。
炎との接触によって直接、手が。ダメージを受けてしまったようです。



世の中、そうは甘くないようです。
容赦なく実力不足の現実を突き付けてきます。

ロゼッタ(ファイア状態って、炎適性や炎耐性があるわけではないのですか…!?)

639Mii:2018/12/19(水) 08:52:34 ID:xxiSmmrk
予想だにしていませんでした。クラッと絶望しかけます。

ロゼッタ「とりあえず、またファイアフラワーを取らなければ…
     前と同じならば…取れば、怪我からも、回復できるはず…!」



そのとき。私は、ちっとも前を見ていませんでした。
そして――。





マリオがどう設定したのかは知りませんが。
『フレンドリーファイア:あり』が解除されていない、らしいのです。





ファイアボール「壁で跳ね返って戻ってきたぞ」ピョン ピョン

ロゼッタ「ぎゃふっ!?」

ちびロゼッタ「…………」プスプス

踏んだり蹴ったり、とはこのことですね。
このステージにいるノコノコのことだろ、とか言っちゃいけませんよ。

640Mii:2018/12/19(水) 08:53:51 ID:xxiSmmrk
ちびロゼッタ「…………」プスプス

たまらなく、痛くて、かなしい。
次のハテナブロックを早く見つけたくて、
私は一目散に走り始めました。

ちびロゼッタ「はやく、はやくファイアフラワーを…!いえ、スーパーキノコを…!」

ノコノコ「あ、ちょっと!そんなに走ると危ないぞ!
     その先、雲リフトで渡る奈落の底が…!」

ちびロゼッタ「あ」ツルッ

ノコノコ「あ」

ちびロゼッタ「いやああああぁぁぁぁぁ――!」ヒュー

641Mii:2018/12/19(水) 08:55:20 ID:xxiSmmrk
ロゼッタ「再挑戦ですっ!」フンッ

ロゼッタ「スタートしてすぐのハテナブロックからファイアフラワーを取り出し!」

ファイアロゼッタ「取得して、ファイア状態になって!」ググーン!

ファイアロゼッタ「集中して…壁とは逆方向に、ファイアを撃つ!」ボウッ!



ノコノコ「そしてダメージを受けてパワーダウンする!」

ロゼッタ「熱いっ!!それは要らないです!」ティウン ティウン ティウン



このステージには、フラワーが出るハテナブロックがいくつかあるみたいですが…
スーパー状態をなんとか維持してたどり着いたところで、
ひとつにつき1発限りというのは、練習するのにあまりにも効率が悪い…!
マリオたちは、ポンポンと矢継ぎ早に繰り出せるというのに…!

642Mii:2018/12/19(水) 08:57:01 ID:xxiSmmrk
ロゼッタ(あ、それならば…せめて!)

ファイアロゼッタ(ファイア状態で先にフラワーを回収し、ストックしましょう!
          こうしておけば、連続して練習できるうえに
          幾分安全になって気持ちが楽になり――)タッ



ボウッ!



ロゼッタ「熱いっ!?なんでですか!?」ティウン ティウン ティウン





※ファイア状態でダッシュしようとすると初動で必ず1発ファイアを撃ってしまいます。
 文句は任天堂に言いましょう。

643Mii:2018/12/19(水) 08:59:38 ID:xxiSmmrk
ロゼッタ「…はぁ」



透明土管をいくつもいくつも潜りながら。
とりあえず、ゴールにたどり着きました、が。
ファイアの練習は、あんまりできませんでした。

フラワーを取得できる最序盤ステージということで
もうすこし練習していきたいのはやまやまなのですが…
疲れたので、一旦は次に進みましょう。
どうせしょっちゅう、帰ってくることになりますし。



残機としては、死んだ以上に増やしました。無限増殖のおかげで。
まだまだ死ぬのは痛くて怖いですし、
悪夢にうなされて飛び起きることも頻繁にありますが。

644Mii:2018/12/19(水) 09:01:01 ID:xxiSmmrk
〜WORLD1-A とおせんぼ!ブル・・・のステージ前〜

ブル「ん?勝負するのか?ああ?ちなみにコンクリまでなら粉砕できるぜ」ギロッ

ロゼッタ「…………」

ロゼッタ「無理ですっ!」

ブル「いきなり逃げるな!この臆病者め!」ダダッ

ロゼッタ「ひぃっ、追いかけてきました!私では力が足りません!」タッ タッ

ブル「逃げる奴を追い打ちするのも楽しいよなあ――!そうは思わんか!」ダダッ

ロゼッタ「あわわわわ!怖いです――っ!」タッ タッ



敵を倒す方法の基本は、踏みつけることですがっ!
残念ながら、いまの私の実力では、あんなに巨体の、それも俊敏な敵に対して
十分上を取るジャンプを的確にすることができません!
壁に叩きつけられ続ける未来が容易に見えます!

ロゼッタ「ああ、ジャンプを鍛えられるステージとか、ないでしょうか……!」



1-3「ここにあるぞー!」

ロゼッタ「!?」

645Mii:2018/12/19(水) 09:03:07 ID:xxiSmmrk
〜WORLD1-3 てっぺんめざせ!ノッポ山〜

ロゼッタ「ハァ、ハァ、ハァ…………!」ノロノロ

ロゼッタ「1-1とは比べ物にならないくらいの高低差、なん、です、がぁ…!
私にはきつ過ぎる登山コースですっ…!
至る所に、危険な高山植物(パックンフラワー)が生えていますし!」

え?スーパーベルを取って猫状態になり、壁を登っていけばいいのではって?
もちろん、試してみましたよ。…無理でした。
というより、私と「スーパーベルによる猫状態」がこの上なく相性が悪いです。



……なんで運動能力向上効果がないんですか!
登っていくどころか、自重を支えられないんですけど!
壁との接着効果、だけじゃあ意味がないんですよ!!
普通に道なりに登っていったほうがよっぽどマシですよ!

引っ掻き攻撃にしたってそうですよ!
私の腕力だとろくにダメージを与えられていないんですけど!
踏んで1回で倒せる敵を、どうして5回も6回も引っ掻かなきゃならないんですか!

646Mii:2018/12/19(水) 09:05:12 ID:xxiSmmrk
ふと見上げると、ハンコがありました。
……あれ?白くないですね。取得されて…いない!?

ああ、もしかして。あの悪戯妖精たちのトリックが解除されて…
不足分の本物が、本来の場所に戻ってきたのですか!これは取っておかないと!

ロゼッタ「しかし、どうやって取るのでしょう…。
     一度上に上がってから、飛び降りて取るしかないのでしょうか。着地が痛そう……」

ハンコ「それでもまあええけど、壁キックでとるんやで」

ロゼッタ「そういえば、聞いたことがあります。
     投げつけた物でも、ハンコやグリーンスターを取得できる、と。甲羅を探してみましょうか」

ハンコ「ないで」

ロゼッタ「…ないです、ね。仕方がありません、
     とりあえず登って行って、それから考えましょう」

ハンコ「…これは忘れられるパターンやな」

647Mii:2018/12/19(水) 09:07:39 ID:xxiSmmrk
50機ほど、TIME UPで失って。
登って、登って、ひたすらに登ったところで。

足場が急に悪くなり、下には雲海。
いつぞやのトラウマが蘇る、一刻も早く通り過ぎたいところですね。

しかし…S字状の道の途中に、1体のパックンフラワーが陣取っています。
さらにその奥の行き止まりエリアには、巨大なパックンが…!
もしかして、中ボス、というやつでしょうか?…え、違う?



――さあ、困りました。いわゆる、難所というものです。
――私に、とっては。

648Mii:2018/12/19(水) 09:09:22 ID:xxiSmmrk
まず、手前のパックンフラワー。
マリオなら目を瞑りながらでも倒せそうな敵ですが、
私はここまで、噛みつかれるのが怖くてビクビクしながら倒してきたので…
狭い道に出て来られると、ちょっと……。

ダメージ1回で済むなら、最初から体当たり突貫を決め込んで突撃しても構わないのですが。
ちび状態で、奥の巨大パックンに勝てるかと言われると、
全く自信がありません。理由はブルさんと同じです。

ロゼッタ「こういうときこそ、ファイアフラワーが欲しい…です。
     ストックしてこられれば、よかったのに」

考えあぐねている間にも、時間はどんどん過ぎていく。
仕方なく、行動開始です。

ロゼッタ(奥の巨大パックンは、おそらく倒さなければゴールへの道が開かれない。
     そちらに全力を注げるように…とりあえず、手前のパックンフラワーは倒すことは考えない。
     できる限り高くジャンプして、飛び越える方針で行きましょう)





……後になって考えてみると。一見合理的そうなこの考えが、
あまりにも無策無謀だったのかもしれません。

649Mii:2018/12/19(水) 09:11:52 ID:xxiSmmrk
ロゼッタ(まずは、手前のパックンを!落下死にも気を付けて…!)ピョン

パックンフラワー「…!カブッ!」スカッ

ロゼッタ(よしっ、ギリギリでしたが、かわせた――!?)



――目の前には、青く広がる、奈落。



辛うじて着地したものの、落ちそうになるほど前につんのめり、慌てて体を後ろに戻す。
…後ろに、戻す。転倒を防ぐため、右脚を後ろに出して踏ん張って…。



激痛が、私を襲いました。



ちびロゼッタ「――――っ!?痛い、痛いっ!!」



骨まで達するか、と思えるくらい、右脚を強く、かまれた。
肉が喰いちぎられ、血がドクドクと。焼けるように…あつい。

650Mii:2018/12/19(水) 09:13:09 ID:xxiSmmrk
ちびロゼッタ「いたい、よぅ…」ポロポロ

考えてみれば、「進んじゃった」のが最悪手だった、かも。
戻っておけば、猫クリボーに体当たりするとかでMISSして
穏やかにステージ外に放り出されることができた、のに。



ちびロゼッタ「もう…巨大パックンを倒すしか、ない」ドクドク



――愚かにも、TIME UPを待つという行動を、取れませんでした。



血を流しながら、巨大パックンを時間ぎりぎりまで観察。
ゆっくり少しずつ近づいて、行動パターンを見る。

…そうか、ある程度近づいたら噛みついてくるから、
すぐに引いてから舞い戻って、踏みつければいいんだ。
うん、かんたん。かんたん、だよね。

時間もないし、やるしかない。

651Mii:2018/12/19(水) 09:14:30 ID:xxiSmmrk
敵の攻撃範囲まで近づく。巨大パックンが噛みついてくる。

すぐに、1、2歩下がる。巨大パックンの牙が空を切る。

体を翻して、巨大パックンの方向へ。巨大パックンは動けない。

さあ、ジャンプして踏みつけて、見事やっつけて……。



その夢物語は、弱り切った右脚のせいでバランスを崩して、終わりました。



地面に這いつくばって、痛みを堪えて顔を上げてみたら。
目の前に、大きく口を開けた巨大パックンがいて――。

652Mii:2018/12/19(水) 09:17:25 ID:xxiSmmrk
ブル「あんにゃろー、どこに行きやがった?
…ああっ!見つけたぞ!これ以上逃げるようなら、本当にギッタギタに――!?」キョロキョロ

ロゼッタ「――――――――」ポロポロ

ロゼッタ「よかった、からだ、つながって、る」ポロポロ

ロゼッタ「よかった、なあ。あは、はははははははは」ポロポロ

ブル「」

ブル「」



――すぐ近くに、ダレカガ、イルキガスル。
――ちらっとそちらを振り向き目を合わせると、相手はたちまち固まってしまいました。
――よく認識できませんが、一体、どなたでしょうか。



ブル「……………………居た堪れないから帰ります…」スゴスゴ

653Mii:2018/12/19(水) 09:18:52 ID:xxiSmmrk
どう歩いて、向かったのか…覚えていません。

とりあえず、私は、1-2に戻ってきました。
あと、近くにいた妖精(善)さんに、何か書くものを所望しました。
眼を赤く腫らした私に驚きながらも…ちょっと考えた後、どこかに一旦飛んで行って…

妖精「これでいいですか?」

と、書道用の大筆と長半紙を渡されました。からかっているのでしょうか。



――ああ、すごくピンポイントに、大歓迎ですね。
ちょっとしたノートに書き込んでおく、くらいのつもりでしたが。

654Mii:2018/12/19(水) 09:20:39 ID:xxiSmmrk
妖精のことはきれいさっぱり頭から除外し、
平らな地面を探して…おもむろに紙を広げます。
体中の水分がなくなってしまうのではないかと思えるくらい、
とめどなく涙を流し続けながら。

長半紙にも涙がぽたぽたと垂れ落ちる中、
達筆に…いえ、一心不乱に、書き殴りました。



妖精「わあ、綺麗な字ですね!でも……

    『ファイア完全習得まで進むべからず』……?

    どういう意味ですか、これ?」



どうせ、チャレンジャーは私だけなのですから、気にすることはないでしょう。
妖精が何か話していましたが…ステージの入口の掲示板に、
でかでかと張り付けて、飾っておきました。私自身に、見せ付けるために。





――精神崩壊など、してやるものか。
――絶望を上回る昇華と不屈の精神で、乗り越えて見せます。

655以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/20(木) 14:50:01 ID:9.Nrwsc.
衣装に耐熱手袋とか設定しておけば…

656Mii:2018/12/22(土) 16:56:18 ID:TsYlcl4U
ヒュウウウウウ……。



ここは、キノコ王国に属さない…
いや、どの国にも、どの自治区にも属さない、共営のエリア。

ここを理由もなく侵した者は、たとえキノコ王国の姫様といえどタダでは済まない。
もっとも、公平性を保ちながらボランティア精神で管理運営しているのはキノコ王国だが。

小国ならば余裕で収まるほどの土地に、
海が。川が。山が。谷が。平地が。崖が。

夏ならば緑の大地を太陽がさんさんと照らしつけ。
冬ならば一面白銀の世界、天然の氷のリンクが顔を出す。



季節ごとに千変万化する、ありとあらゆる地形が散りばめられる。

657Mii:2018/12/22(土) 16:58:04 ID:TsYlcl4U
その昔、一人の兵士が、過酷な峠道を越えて故郷へ舞い戻り、
自軍勝利の伝令を果たしたとともに命を落としたという。
その距離、現在の測量にして42.195 km。

この故事を偲んだある国の代表が言った。

「うちの国の兵士なら余裕で帰れたのに」と。



若干心無い言葉であったが、負けじと、他の国の代表も言った。

「うちの国の兵士こそ楽々帰れただろう」と。



あれよあれよと、同じような過酷なフィールドで争わせて決着を付けよう、ということになった。





これが、マラソ…ではなく、ここ『オリンピック地方』の生い立ちである。

658Mii:2018/12/22(土) 16:59:10 ID:TsYlcl4U
ピーチ「……以上を持ちまして、拙いですが開会の言葉とさせていただきます。
    それでは皆さん、スポーツマンシップに則り、正々堂々、白熱したファイトを!」



パン! パン! パパーン!
ワー、ワー!



ソニック「目指せ、世界一!今年もこのときがやってきたぜ!」

マリオ「久しぶりだなソニック!…あれ、そうでもないか?今回のオリンピックのタイトルは何なんだ?」

ソニック「なんと…ソチ・オリンピックだ!」

マリオ「ソチか!」

クッパ「ソチだと!」

ルイージ「ソチなんだね!」



4人(ソチってなんだろう…)

659Mii:2018/12/22(土) 17:00:52 ID:TsYlcl4U
ピーチ「…あなたたち、絶対分かってないでしょ?前回までもそうだったようにねっ!
    ペキンもバンクーバーもロンドンも、伝承に残る有名な都市の名前でしょうが!
    ちょっとは下調べしておきなさいよ、なんで毎回私が解説しなきゃならないのよ!」

マリオ「じゃあ、昔どのあたりにあったか教えてくれよ」

ピーチ「うぐっ…伝承しか、残ってない、けど」

マリオ「ほらみろ。頭脳明晰なピーチですら断片的な知識しか持ってないんだろ?
     これは理解しろというほうが無理でしょー」

ピーチ「普通は伝承でも興味を持って調べるものなの!
     ニュースに掲示にパンフレットに…知る機会は色々とあったでしょ!」

ソニック「俺は熱い勝負ができれば何でもいいぜ!」

クッパ「過去には拘らない主義なのだ!」

ルイージ「そうそう、後ろ向きの人生はつまらないよね!」

660Mii:2018/12/22(土) 17:02:40 ID:TsYlcl4U
ピーチ「もういいわよ…私も競技に出るし、切り替えていかないとやってられないわ…」

ヨッシー「ラージヒル!モーグル!バイアスロン!スケルトン!カーリング!!」

ピーチ「ええ!どれもこれも、度胸と技術が試される、とても――」

ヨッシー「とっても美味しそうな名前ばっかりですね!」ジュルリ

ピーチ「そのりくつはよくわからない」



デイジー「ふふふふふふふふ」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ルイージ「そして赤いオーラが見えるデイジーさん」

デイジー「違うわ…私は…超デイジーよ――!」シュインシュインシュイン

クッパ「かませってことか?」

デイジー「あ゛あ゛ん!?」

マリオ「解放されたはいい物の…よっぽど監禁生活で鬱憤が溜まってたみたいだな」

661Mii:2018/12/22(土) 17:14:15 ID:TsYlcl4U
ルイージ「反省して、日頃からしっかり政務こなせばいいのに…」

デイジー「何よ!ピーチだって割と遊んでるじゃない!どうして私だけ!!」

ピーチ「こさなきゃならない最低限の仕事量を100とするわよ?

    『私が片づけた方が早いわ!』って思った仕事が100、
    周りのトラブルを引き受けざるを得なくなって増えた仕事が100、
    合わせて300。これを、本来の期間の半分でテキパキ終わらせて、
    残り半分を趣味や遊びに使う。これが私。

    仕方ないからやっておきますよ、と部下にやってもらう仕事が25、
    指示を的確にしないおかげで有耶無耶になってしまう仕事が25、
    減った結果が50。これすらも、あれこれ先延ばし先延ばしにして
    10くらいしかやらない。これがあなた」

デイジー「すいませんでした、ぐうの音もでません」

ピーチ「わかればよろしい」

ルイージ「あ、そういえばロゼッタは呼ばなかったの?」

ピーチ「…一応、消極的な文面ではありながらも参加お誘いのメールは出しておいたけど。
    メールが返ってこないってことは、ロゼッタも自粛したのね。
    まあ、妥当だと思うわ。自信を無くすだけだもの。2年後に期待ね」

マリオ「まあ、な」

マリオ(今頃、どうしてるかなあ)

662Mii:2018/12/22(土) 17:18:34 ID:TsYlcl4U
〜WORLD1-2 ノコノコ地下洞窟〜

ロゼッタ「…………………………………………」

ロゼッタ「…………………………………………」

ロゼッタ「…………………………………………」



ノコノコ「……あれ、なにやってるんだろう」ヒソヒソ

ノコノコ「一見、おかしなことをやってるように見えるけど…
     不思議と、近寄りがたい神秘性があるよな」ヒソヒソ



――私、ロゼッタは、朝早くから。
――すこし凸凹が痛いかもしれない石畳の上で、靴だけ脱いで。
――正座をして目を瞑り、無心になって、瞑想中。
――呼吸は静かに、大きく、ゆっくりと。

周りのノコノコたちは、その気になればいくらでも攻撃できるでしょうが。
静観してくれているのか、特に動きは有りません。ちょっとした気配くらいなら…まあ、わかりますからね。

ロゼッタ(しかし、どういうわけかTIME UPになりませんね。
     …ありがたいので、そのまま利用させてもらいますが…
     ステージって…謎が本当に多いです)

時計(無意識だろうけど、アンタがPAUSE掛けてるからな!)ピタッ!

663Mii:2018/12/22(土) 17:22:23 ID:TsYlcl4U
ぴちょん。ぴちょん。
どこかで地下水の滴り落ちる音がします。
その音すら、穏やかな心に取り込むつもりで。
さあ、2時間くらいたったところで…問題解決の禅問答を、始めましょう。





問題は、何か。

全体的に実力が足りず、ちょっと数が多かったり強かったりする敵を倒せない。





――全面的な解決は難しいと判断。問題の噛み砕きと妥協を要求します。

664Mii:2018/12/22(土) 17:23:27 ID:TsYlcl4U
問題は、何か。

敵を倒す手段が、踏みつけの他は回数や威力に制約がありすぎる。





――猫化は完全に物理攻撃に頼ることになるので望み薄。



――分類上は魔法攻撃であり、まだ制御の余地があるファイアを、第二の攻撃手段にすべき。



――ファイアを使用するにも、バックファイアが辛すぎてまともに扱えない。
   問題の噛み砕きと妥協を要求します。

665Mii:2018/12/22(土) 17:24:32 ID:TsYlcl4U
問題は、何か。

私にとって、今のファイアは実用にも練習にも反動が大きすぎるため、工夫をしなければならない。





――魔法ならば、火球の大きさ、速度、温度などを適宜調整して負担軽減を試みるべき。



――具体性を持たない。問題の噛み砕きと妥協を要求します。

666Mii:2018/12/22(土) 17:26:05 ID:TsYlcl4U
問題は、何か。

ファイアについて、敵にまともなダメージを与えられるだけの威力を持たせながら、
パワーダウンしない程度のバックファイアに留めるようにしなければならない。





――まず、試し撃ちしながらファイアボールの大きさを微調整していき、
   魔法回路の損傷や手への熱的負担が許容範囲内になるポイントを探す。



――おそらく威力を下げ過ぎることになるため、今度は速度を持たせて物理的に威力を上げ、
   十分な攻撃力を確保する。



――それほどまで速度を持たせることができるとは思えない。解決案の提示を要求します。



――ファイア状態には拘らず、体力作りを最優先させる。
   たとえば、死なずにタイムアタックをひたすら行っていれば、頻繁に死ぬより効率もよい。



――ファイアの練習時間を失い、本末転倒。解決案の提示を要求します。

667Mii:2018/12/22(土) 17:27:48 ID:TsYlcl4U
――サヤカによれば、一流の野球選手でも、何千球もの投げ込みは続けないし続かない。


――つまり元々、休養日が必要。その日にたとえば「走り込み」を充てればよい。


 
――それに、体力が付くことは、ファイアボールによるヒットアンドアウェイを狙う上でも、
   ジャンプを織り交ぜた多彩な攻撃パターンを構築する上でも、決して無駄にはならない。

668Mii:2018/12/22(土) 17:28:39 ID:TsYlcl4U
ロゼッタ「…………………………………………」

ロゼッタ「…………………………………………」
    
ロゼッタ「…………………………………………」
    





ロゼッタ「どうやら、方針が決まりましたね」パチッ

669Mii:2018/12/22(土) 17:30:25 ID:TsYlcl4U
まず、これまでのようにファイア状態になります。

次に、込めるチカラに細心の注意を払いつつ、そーっとファイアーボールを形作ります。
もやもやと空間が燃え出した瞬間、魔法回路を制御……っ!

ファイアロゼッタ「ぐ、ぐぐぐっ……思った通り、大変な作業、ですがっ!
          魔法Lv.が高くて、助かりました、ねっ!」

一発で成功した自分を褒めてあげたいところです。
繰り返しますが、炎魔法の適性自体は私にはありません。
しかし、魔法全般の共通項にあたるテクニックならば、それなりに応用できるみたいです。

手のひらから、数ミリほど浮いた状態で――直径5cmくらいの大きさの火の球が現れました。



…そのまま、キープ。



魔法回路、無視できるほどの微々たるダメージ。
しかし、熱さによる手のダメージはそれなりに入ってきています。
チリチリと、手のひらが炙られている。放り投げたくなるのを、歯を食いしばって、なんとか堪えます。

30秒ほど維持したところで、「ダメージ1つ分」となったのか、ファイア状態が解けてしまいました。

670Mii:2018/12/22(土) 17:32:21 ID:TsYlcl4U
ファイアフラワーを取って仕切り直し。
お次は、先ほどの大きさのファイアボールを作り…すぐに、投げてみます。
投げたそばから、新しいファイアボールを製造し、また投げることを繰り返します。



…いい感じです。次の炎を呼び出すまでに手は十分に冷めてくれるらしく、
異常に熱くなることはありませんでした。半永久的に投げ続けられそうです。



しかし、繰り出すファイアボールは…とても威力がある様には見えません。
実際、ノコノコたちは…すこし慌てながらも、逃げるどころか踏みつけて遊んでいます。
…ねずみ花火扱いですか、すこし傷つきます。

671Mii:2018/12/22(土) 17:34:49 ID:TsYlcl4U
少し魔法の制御を弱めて、元の威力に近づけてみます。



――このくらい、でしょうか。

火の球は…直径20 cmくらいまで大きさを戻します。
威力が上がったのは確かでしょうが、5秒もキープしないうちにダメージを受けてしまいました。

また、最低でも30秒は間を空けないと、急激に温度が上がった手が冷め切る前に次の炎を呼び込んでしまうらしく。
とても使い勝手がいいとはいえません。

672Mii:2018/12/22(土) 17:36:37 ID:TsYlcl4U
――ならば。



直径を、少しだけ小さくし直します。直径…10 cmといったところでしょうか。
スターピースと同じくらい。私にとって、握りやすさで言うならかなり優れた大きさです。



25秒キープでダメージ。
半永久的に投げ続けるための、最低限必要なインターバルは10秒。
――おお、割とバランスがいいのではないでしょうか。



問題は威力、ですね。
ノコノコに頭を下げて、避けないでいてもらうことにしました。

ノコノコ「まあそのくらいなら、お安い御用ですよ」アハハ

――微妙に諦めモードも入ってませんか?マリオで慣れているのでしょうか。

673Mii:2018/12/22(土) 17:38:08 ID:TsYlcl4U
とりあえず……1発、投げてぶつけてみます。
バウンドしていく炎の球が、ノコノコに当たり…

ノコノコ「ぐっ…あ、でもなんとか耐えられるな」



2発目、3発目。4発目。

ノコノコ「あつっ!す、ストップストップ!」



さすがにダメージを受けたらしく、甲羅が外れてしまいました。
…なるほど。このくらいの威力ですか。把握しました。

ノコノコに礼を言うと、苦笑いしながら甲羅に入り直して去っていきました。
さあ、また一人で頑張ってみましょう。

674Mii:2018/12/22(土) 17:40:40 ID:TsYlcl4U
……それにしても、本当に投げやすかったですね。というより……。

ロゼッタ「ここまで投げやすいなら、バウンドさせる必要もないんじゃないでしょうか」

もともとファイアボールをバウンドさせて撃つのは、
予備動作が楽だとか狭い所でも投げやすいだとか、理由があるのでしょう。
マリオ達がそのように撃っているので、私も真似してきましたが。
まあ、そもそもファイアボールが大きいと、バウンド前提でしか投げられなかったんですけどね。

でも、整備された球場の芝とかならともかく、凸凹な地面が至る所にある中で。
こんな小さなファイアボールを投げようものなら…たちまち影響を受けて、
あらぬ方向に進んでいってしまう気がします。

では、純粋にぽーんと放り投げることにしましょうか。



ファイアロゼッタ「それっ!」

かつて模倣したサヤカの投げ方を必死に思い起こしながら、投げてみます。

ファイアボールは、5,6メートルほど飛んで、そのままバウンドしていきました。
――あんまり強く握れないこともあり、こんな飛距離になりましたが。



ロゼッタ「ほう、割としっくりきますね。これならば、私の努力次第で改善できそうですね!」

675Mii:2018/12/22(土) 17:43:44 ID:TsYlcl4U
〜オリンピック地方〜

デイジー「……ハアアアアアッ!!」クルクルクルクルクルクルクルクル

キノピオ「おおっと!デイジー選手の47回転半アクセル、見事に成功!
      これはかなりの高得点が期待できますね!」

キノピコ「ええ、さきほどのピーチ選手は回転不足評価でポイントを落としましたし、
     逆転したかもしれません!」

キノピオ「…あっ」

電光掲示板に、得点結果が表示され――!

ワアアアアアァァァ!

デイジー「よっしゃああああああああ!」ガッツポーズ

キノピコ「おお、やはり!デイジー選手、ピーチ選手の得点を越え…単独3位に躍り出ました!
      これで、銅メダルはほぼ確定か!ピーチ選手、惜しくも表彰台から滑り落ちました!」

キノピオ「…………」



キノピコ「あ、ピーチ選手から電話が入りました。
     『未だに公私混同するキノピオは後で罰ゲームね』とのことです。
     よかったね、キノピオ!」

キノピオ「!?」

676Mii:2018/12/22(土) 17:45:35 ID:TsYlcl4U
キノピコ「それにしても、マリオ選手とルイージ選手は凄いですねー!」

キノピオ「」

キノピコ「なんと、前人未到の128回転スピンと64回転スピンですよ!
     マリオワールドで鍛えられている人は違いますね!

     巷では『アイツら出禁にしろ』という冗談すら飛び出るほどですよ!」



観客(冗談じゃねえよ)

677Mii:2018/12/22(土) 17:48:11 ID:TsYlcl4U
〜WORLD1-2 ノコノコ地下洞窟〜

ファイアロゼッタ「えいっ」ボウッ! ポンッ!

ファイアロゼッタ「えいっ」ボウッ! ポンッ!

ファイアロゼッタ「えいっ」ボウッ! ポンッ!

ファイアロゼッタ「えいっ」ボウッ! ポンッ!

ファイアロゼッタ「えいっ」ボウッ! ポンッ!

ファイアロゼッタ「えいっ」ボウッ! ポンッ!

ファイアロゼッタ「えいっ」ボウッ! ポンッ!



ファイアロゼッタ(まあ、サヤカに投げ込みの常識範囲までは教えてもらわなかったので。
          数千球は多いらしいので、とりあえず――1日500球くらいにしておきましょう!
         それに、FPや精神疲労は無理ですが、HPならばTIME UPで死ねば元通りですからね!

         投げ込みをやった次の日は、腕を休めて骨、筋組織の増強に充て…1-1を走破し尽くす!
         とりあえず、300秒を切ることを目指しましょうか!

         こんな感じに、ひたすら交互にこなしていきましょう!
         しんどい、ですがっ。努力有るのみ、ですねっ!)

ファイアロゼッタ「えいやっ」ボウッ! ポンッ!

678Mii:2018/12/22(土) 17:50:43 ID:TsYlcl4U
〜オリンピック地方〜

キノピオ「レディー…  ゴー!」パンッ

ソニック「うおおおおおおおぉぉぉぉ!」ダダダダダダダダ

マリオ「なんのおおおおおおおおおおおぉぉぉ!」ダダダダダダダ

キノピコ「ゴーーーール!」



スピードスケート500 mリザルト!

1 st SONIC 0:03.290
2 nd MARIO 0:04.942



マリオ「だあぁ!また完敗だ、ちくしょう!加速もMAXスピードも全然勝てないぞ!」

ソニック「へんっ、実力が違うぜ!欠伸が出るぜ、まったく!」

マリオ「くっそー!」ジタンダ



キノピコ「リングが損傷激しくなったので氷を張り替えまーす。
     しばらくお待ちくださーい!」

679以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/22(土) 23:47:38 ID:5a1ly9w.
強い人が強すぎる

680以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/23(日) 23:20:24 ID:Ynrpad2g
優勝する人完全に固定化されてそう

681Mii:2018/12/24(月) 23:10:05 ID:Wq1m5AmM
〜夜、フェアリーランド〜

ロゼッタ「くー…」スヤァ

ロゼッタ「……」

ロゼッタ「……………………ふわぁ?」





ズキンッ!!





ロゼッタ「……!?」ガバッ

ロゼッタ「…がっ――――くぅっ!?」

ロゼッタ「ああ、あああ!?右腕が……いた、いたたっ!?
     ……どうしてしまったのですか、私の腕は!?」

ロゼッタ「がああっ――!!」ゴロゴロ

682Mii:2018/12/24(月) 23:11:25 ID:Wq1m5AmM
〜翌朝〜

ロゼッタ「…………」



きっと今の私は、魂が抜けたような顔をしていることでしょう。



ロゼッタ「……………………は、ははは。
     涙目になりながら右腕を抑えてうずくまるばかりで
     結局あれから一睡もできませんでした。
     これがかの有名な『筋肉痛』なるものですか。

     アスリートの皆さんは、冒険者の皆さんは――日頃からこのような痛みと戦っているのですね。
     本当に頭が下がります、ははは……」ズキズキ





――とりあえず、予定は遂行、しましょう。さあ、1-1へ。
――腕を振る動作などに影響がなければいいのですが。ほんとうに。

683Mii:2018/12/24(月) 23:14:22 ID:Wq1m5AmM
〜WORLD1-1 スーパーベルの丘〜

クリボー「それで戻ってきたのか……事情は分かったけど、300秒切るって姐さんには無理じゃね?」

ロゼッタ「無理でもやるのです!その心意気こそが大事なのです!」グッ

猫クリボー「じゃあ、幅跳びくらい覚えないとな!」

ロゼッタ「……幅跳び、ですか。そういえば。
      マリオ達が物凄い速さで幅跳びを繰り返しているのを見たことがあります。
      速すぎてよく連結動作が分からなかったのですが、どのようにするのか知っていますか?」

クリボー「えーっと、走って、シュッとしてドン、じゃなかったっけ」

猫クリボー「いや、走って、ザザーッとしてバーン、だろ?」

ロゼッタ「……無理言ってすいませんでした。自分で頑張ってみます」アハハ



――マリオ達に連絡をすれば一発解決するかもしれませんが、
――それだと現状がバレて…ちょっと面白くないですからね。

なんでしょう。こう……成長を見て驚いてほしい、という変な欲が出ていますね。
我が強くなったのでしょうか、あるいはふてぶてしくなったのでしょうか。

684Mii:2018/12/24(月) 23:15:51 ID:Wq1m5AmM
連絡と言えば。あまりほうき星を空けておくのもよろしくありません。
とりあえず、400秒を切ったら一度帰りましょうか。
…我ながら、酷い管理者ですね、ごめんなさい。



ロゼッタ「とにかく、最初に走るのは確定みたいですし…
     ひたすらゴールまでたどり着きながら、ちょっとずつ実験していきますか」

ロゼッタ「…………」タッ タッ タッ

ロゼッタ(右腕は痛いですが、なんとか持ってくださいよ…!)ズキズキ







スーパーベル「そんなアナタにパワーアップを!」リリーン

ロゼッタ「あ、ハートアップです!貰っておきましょう!」

スーパーベル「」

685Mii:2018/12/24(月) 23:18:02 ID:Wq1m5AmM
猫ロゼッタ「いっきますよー!」ニャー!

猫ロゼッタ「…………」タッ タッ タッ



猫ロゼッタ「……………………あー」ピタッ



猫ロゼッタ「基礎固めしようというときに、これはない、ええ。
      四つん這いとか…いつもと走り方が違いすぎますよね、うん。
      腕を痛める方針ともまるで合致していません。

      すいませーん!クリボーさん、
      ちょっと体当たりして猫状態解除してもらえませんかー!」

クリボー「…お、おう」トッ トッ トッ

ロゼッタ「どうもありがとうございます!
     今後は取らないように気を付けなければなりませんね」ティウン ティウン ティウン

クリボー「一部ファンがすっげー悲しむな」

猫クリボー「このシリーズ全否定だな」

ロゼッタ「???」ハテ

686Mii:2018/12/24(月) 23:21:03 ID:Wq1m5AmM
ロゼッタ「さあ、仕切り直しと行きましょう!」

クリボー「意気込んでるとこ、悪いんだが…
     もたもたしてる間にタイム進んでるぞー?諦める?」

ロゼッタ「ああっ!?しまった!」タッ タッ



時計「あと10秒ッスよ!!!」

ロゼッタ「ゴール、ポールへっ!飛びつきますっ!!」ピョンッ!

ゴオオオォォォォン…………!  COURSE CLEAR!



クリボー「おお、間に合ったのか!やったな!」

ちびロゼッタ「うあああああぁぁ…頭が割れるぅ……」ドクドク

ちびロゼッタ「あ、このままひどい状態だと継続ダメージ、があ…!」

ちびロゼッタ「」チーン

クリボー「…………」

猫クリボー「これ、クリアなのかな?MISSなのかな?」

クリボー「フラグ順番的にクリアでいいんじゃないかな?」

687Mii:2018/12/24(月) 23:23:22 ID:Wq1m5AmM
ロゼッタ「…………」タッ タッ タッ

COURSE CLEAR!



ロゼッタ「…………」タッ タッ タッ

COURSE CLEAR!



ロゼッタ「…………」タッ タッ タッ

MISS!



ロゼッタ「…………」タッ タッ タッ

COURSE CLEAR!

クリボー「凄い形相で淡々とこなしてるな」

猫クリボー「微妙に完璧じゃないのは御愛嬌ってやつかな」

ロゼッタ「とりあえず、1-1の死亡率0%も目指しますよぉーっ!!!はあああああぁぁっ!」タッ タッ タッ

クリボー「…やけっぱち?」

688Mii:2018/12/24(月) 23:25:20 ID:Wq1m5AmM
〜次の日〜

ロゼッタ「……困りました」



両脚が筋肉痛になったのは、まあ想定内として。
…あれ。これ、立てますかね…?が、頑張れば、なんと、か!



右腕の痛みが…少しは収まりましたが、治り切っていません。



も、もしかして…言いたくありませんが、言ってて悲しくなりますが、年なのでしょうか。
…あれ、年齢と共に遅くなるのは、治癒時間ではなく発症開始でしたっけ?

ともかく、このままではファイアボールをとても投げられそうにありません。
なんとか立つことは出来ましたが、走り込みも当然出来そうにありません。

689Mii:2018/12/24(月) 23:27:10 ID:Wq1m5AmM
ロゼッタ「もう、鍛えられるところなんて…」





ロゼッタ(…………)ジーッ

左手くらいしか残ってないですね。
鍛えたところで特に意味などない気もするので――。



……いや、ちょっと待ってください。その考えは早計かもしれません。



ファイアを第二の、そしてかなりのウェイトを持つ攻撃手段とする以上、
万が一右腕を負傷した時などの場合に備えて……
左腕でもファイアボールを撃てるよう鍛えておくのは、
それなりに…いえ、かなり意味があるのではないでしょうか。

体の左右バランスを保つ上でも、同じくらい鍛えておいて損はなさそうです。

そういうことなら、左手でも投げるようにしましょう。
右手、左手、走り込みの順でサイクルを回してやるといいかも知れませんね。

どうしてもきついなら、走り込みのあとに完全休養日を設けて4日サイクルとすればよいのです。
投球自体にも足腰は当然使いますからね。

690Mii:2018/12/24(月) 23:29:53 ID:Wq1m5AmM
あまりよくわかりませんが、ここで、人によってはツッコミを入れたくなるのでしょうか。

「左利きでもないのに、練習もしていないのに。そんなに簡単に左で投げられるようになるかよ!」と。





はい。
簡単ですよ?





ファイアロゼッタ「空間イメージング…『左右反転』だから…こんな感じですか?」



空間把握しながら、全ての動作を左右逆にして。振りかぶって…左手で、ぽーん。

ファイアロゼッタ「…………♪」ニヘラ

いまのところ、左右の筋力はほぼ同じですし。鏡像を再現する位なら楽勝です。



ファイアロゼッタ「では、今日は左手で500球投げますか!
           ――せぇーのー!」サッ

691Mii:2018/12/24(月) 23:39:48 ID:Wq1m5AmM










テーレッテレー!

ロゼッタの 基礎体力レベルが Lv.2に 上がった!▼







ロゼッタは スイッチピッチャーに なった!
利き腕とは 逆側で投げた場合でも 球速が落ちない!▼

692Mii:2018/12/24(月) 23:41:45 ID:Wq1m5AmM
〜3か月後〜

チコ「急がなきゃ、急がなきゃ!」



ママは旅に出る、と言ってたけど。
結局は、フェアリーランドでひたすら修業するってことだよね。
第一、ワープボックスで移動するしかないんだから。

慌てふためいていた僕たちも、そのことに気付いてからはようやく落ち着きを取り戻した。
チコの中には、ワープボックスを潜り抜けてママに会いに行こうとするコもいたけれど。
ママの集中力を削いじゃあ駄目だよ、と言って、我慢してもらった。

――僕だって、本当は会いたいよ。



でも、都合がいいというか、悪いのか。
ママにどうしても会いに行かなきゃならない用事ができたから、仕方ない。
急がないと、大変なことになっちゃうかも!

693Mii:2018/12/24(月) 23:43:58 ID:Wq1m5AmM
ワープブロックさんの先は、相変わらずのWorld1。
何処までママは進んでしまったんだろう…。



あ、こっちからママの強い気配がする!とりあえず元気そうでなによ――。





1-2「よっ」

チコ「…………」

チコ「…………へっ!?まだ1-2なのぉ!?」



――ママったら、そんなに苦労してるの、かな。
死にそうな目に遭い続けるよりは、よっぽどいいけど。



えっと、僕は「ザンキシンセイ」ってやつをしてないんだけど、ステージに入っちゃって大丈夫かな?

…きっと大丈夫だよね!えいっ!!

694Mii:2018/12/24(月) 23:48:35 ID:Wq1m5AmM
チコ「あ、ママー!元気にしてt」パァァ



ファイアロゼッタ「はあああぁぁっ!!」ボウッ! ブンッ!

ビュンッ!…ゴンッ!



チコ「……えっ」



ファイアロゼッタ「次は左手ぇっ!!」ボウッ! ブンッ!

ビュンッ!…ゴンッ!



ファイアロゼッタ「右手ぇっ!!」ボウッ! ブンッ!

ビュンッ!…ゴンッ!



ファイアロゼッタ「まだまだぁっ!!」ボウッ! ブンッ!

ビュンッ!…ドゴンッ!

695Mii:2018/12/24(月) 23:50:23 ID:Wq1m5AmM








テーレッテレー!

ロゼッタの 基礎体力レベルが Lv.9に 上がった!▼








ファイアロゼッタ「よし!安定して左右とも時速105 kmくらいは出てますねっ!いい感じですっ!
           しかし、先はまだまだ長いですよっ!この勢いで参りますっ!」サッ

チコ「」

696Mii:2018/12/24(月) 23:52:38 ID:Wq1m5AmM
チコ「マ、ママなの!?」

ファイアロゼッタ「はい?」

チコ「…………」

ファイアロゼッタ「チ、チコ!?一体どうしてここに…!?」

チコ「えっと、ママにどうしても伝えなきゃならないことがあって、それで…」

ファイアロゼッタ「……っ!いけないわ!このままだと、TIME UPで――
          残機申請していないチコの記憶が消えちゃう!?

          チコッ、ママに早く捕まりなさいっ!ゴールに向かうからっ!」

チコ「え、う、うん!…勝手にステージに入ってきちゃって、ごめんなさい!」ガシッ

ファイアロゼッタ「反省しているならいいわ。ママも今まで、ごめんね。…さあ、行くわよ!」タタタッ!



チコ(ママ、速くなってる!)パアァ

697Mii:2018/12/24(月) 23:54:44 ID:Wq1m5AmM
クリボー「仕事なんでな、邪魔するぞー!」トコ トコ トコ

ファイアロゼッタ「手投げファイアっ!」ポーン

クリボー「いてっ!」

ファイアロゼッタ「怯んだ隙に振りかぶって…っ!はあぁっ!」ビュンッ!

クリボー「ぐわぁ、やられたー!」コイーン

チコ「凄い、凄い!!」

ファイアロゼッタ「一杯、一杯特訓したのよ?ふふふ…」タタタッ





タワークリボー「「「「「「「それが油断に繋がるかもな!」」」」」」」

ファイアロゼッタ「っ!?」

チコ「クリボーが7体も!ぶつかるっ!?」

698Mii:2018/12/24(月) 23:56:34 ID:Wq1m5AmM
ファイアロゼッタ「…とみせかけ、てっ!イエェイ!」クルッ シュタッ

タワークリボー「「「「「「「おおー!」」」」」」」



チコ「……横宙返り!?」

ファイアロゼッタ「なんだか、ダッシュ反転直後に少しでも離れようとジャンプしたら…
          偶然使えるようになったわ!……ときたま失敗して頭から落ちるけど(ボソッ)」

タワークリボー「「「「「「「あはははは」」」」」」」

ファイアロゼッタ「そこ、笑わないっ!死にたくなかったら笑わないっ!
           ファイアボール撃ちますよ!
          
           …ああ、もう!とりあえずゴールを優先しますので!『また後で!』」

タワークリボー「「「「「「「おう!」」」」」」」

699Mii:2018/12/24(月) 23:58:36 ID:Wq1m5AmM
COURSE CLEAR!



ファイアロゼッタ「……ふう」

チコ「クリアできてよかったね!」

ファイアロゼッタ「ええ、そうね。じゃあチコは、ちょっとステージの外で待っていてくれる?」

チコ「……あれ、どうして?」

ファイアロゼッタ「私もそろそろ帰ろうと思っていたところだけど、『これ』を配ってからね?
           みんな、楽しみにしてくれてるから。うふふ…」サッ



ファイアロゼッタ「というわけで、はい、お待たせしました!
           沢山ありますから好きなだけ食べてくださいね!
           種類はちょっと少ないですが!」

クリボー「わーい!今日はサンドイッチか!」

クリボー「ムシャ…何度食べても飽きないな、姐さんのパン料理!すっかり虜になっちまったぜ!」

ファイアロゼッタ「パン料理くらいしかレパートリーがないんですけどね、ははは…
          む、そもそもサンドイッチって料理に入るんでしょうか」

ノコノコ「当たり前だよ!そもそもからして、パン自体が手作りなんだろ!いやあ美味い!
     食べ出したら止まらなくなるんだよな!」パクパク

700Mii:2018/12/25(火) 00:01:13 ID:ZJRkWJ8A
ノコノコ「あ、俺のやつ、トーストお願いします!」

ファイアロゼッタ「お任せください!…えいっ!」ボウッ!

ノコノコ「おお!見事な焼き加減!……うめぇ!
     すっかりファイアボール使いこなしてるじゃないっすか!」

ファイアロゼッタ「あ、よかったらマスタード使ってください。それと、こちらの…
          ホイップクリームと3種ベリージャムのスイーツサンドイッチも召し上がってくださいね」ハイッ

ノコノコ「うおおおおおお!さっすがぁ!」

ファイアロゼッタ「色々と皆さんにはお世話になっていますからね。
           無限増殖とかファイアボールの特訓とか」

クリボー「お互いさまってやつさ!うおお、俺、ここに配属されて本当に良かったぜ!」ムシャムシャ

ノコノコ「全くだな!」パクパク

701Mii:2018/12/25(火) 00:03:55 ID:ZJRkWJ8A
ワイワイ ガヤガヤ…!



ファイアロゼッタ「…あ!すいません、そろそろ行かないとTIME UPになるのでっ!
         あと、ちょっとしばらく来れなくなりそうです!」

軍団員「「「「えええええー!?」」」」

ファイアロゼッタ「ま、またそのうち顔を出しますから!それではっ!」タタタッ



チコ「ふふ、さすがママ。敵さんにも分け隔てなくご飯を振る舞っているなんて!
   すっごく優しくて、僕もすっごく誇りに思うよ!表情も明るいし、安心しちゃった!
   1-1のクリボーや猫クリボーたちにも配りに行くっていうし、僕の用事は待っててあげようっと!

   あれ…………僕の、用事?……………………えっと――」





ファイアロゼッタ「ふう。配り終えて、無事ステージクリアも間に合いました。
          さて、では1-1にも行きましょうか。チコ、あと500秒…いえ400秒だけ待っていてね?」

チコ「あわわわわ!あの、その、えーと!ちょっと急いだ方がいいんじゃないかなあ!?
   …って、ママったらステージに入って行っちゃったよ!あわわわわ…!」

702Mii:2018/12/25(火) 00:09:33 ID:ZJRkWJ8A
ファイアロゼッタ「さあ、全部終わりましたよ。それでチコ、何があったのですか?
         まさか、また隕石が…なんてことはないでしょう?」

チコ「えっと、そこまでのことじゃあ、ないんだけどね!?い、いや、そこまでのこと、なのかな!?
    と、とにかくはやく、ほうき星に帰ってきて!これがメールを印刷したやつ!」

ファイアロゼッタ「…???ええ、わかったわ」ペラッ





     『ロゼッタ…貴方、司会進行だけはやるって回答したらしいのに、
      日程が近付いてきたからアイランドツアーのパーティ会場に連れ出そうとしたら、
      ほうき星がもぬけの殻っていうのは…どういう了見かしら?
      リハーサルも終わって、観客も既に続々と集まってきてるのよ!
      せめて本番までには間に合わせるために、早く帰ってきなさいよっ!

           事と次第によっては シ・メ・ル♪
                                         ピーチ』



ロゼッタ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「…………ワープブロックまで全力疾走ぉー!!」タタタタタッ

チコ「お、おー!」フヨフヨ

703以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/25(火) 20:22:45 ID:HQB9nruU
発売順だとするとスマブラ参戦まで半年切ってるけどとても間に合いそうにないな

704以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/26(水) 00:34:19 ID:.hCbHifQ
デイジーってどこで鍛えたんだろ

705Mii:2018/12/31(月) 23:19:22 ID:uMisqVDs
〜アイランドツアーボードマップ ロケットレースギャラクシー〜

ワー ワー!
サッサト ハジメロー! オクレテルゾー!

キノピオ「う、宇宙を駆け抜ける、ロケットレースギャラクシーへようこそ!
     このボードのルールはズバリ、最初にゴールした人の勝ち!
     なお、ブースターを使えばサイコロの数字がパワーアップ!
     使う数を増やすほどたくさん進めるので、有効活用していきましょう!

     あ、ちなみに。ゴールは250マス先となっております。
     ゴールに近づくほど、止まると危険なマスが増えていくので、ブースターは変に序盤で使わず、
     どんどん溜めておいた方がいいかもしれませんね!

     ……はて、『25マス先じゃないの』ですって?なんのことでしょう?」



マリオ(控室)「ゲームの根幹を揺るがすから『サイコロ使うな』とは言わないけどさ。
         マス移動なんてちょっとしたことにロケットやブースター使うくらいなら、走った方が早くね?
         轢いたやつからアイテム奪えるとかの特殊能力があるわけでもないんだろ?」

ルイージ(控室)「シィーッ!」

706Mii:2018/12/31(月) 23:22:08 ID:uMisqVDs
ワリオ(控室)「遅刻するとは…相変わらずロゼッタの奴、抜けてんなぁ。
        おいマリオにルイージ、結構面倒見てやってんだろ?
        最近のあいつ、どうよ?本当に頑張ってるのか?」

マリオ「ああ、結構頑張ってるぞ。ま、楽しみにしておいてくれ」ニヤリ

ワリオ「そいつぁよかった、信用しといてやるよ、ガハハハハ」



クッパJr.(控室)「このボードのギャラクシーアレンジBGMって凄くいいよな!
           アイランドツアーの価値の3分の1くらいを占めていると言っても過言じゃないぜ!」

ヨッシー(控室)「やっぱりそう思いますよね!ほんと壮大で!『永遠のスター』を思い出しますよ!」

707Mii:2018/12/31(月) 23:24:51 ID:uMisqVDs
〜ゴール地点〜

ロゼッタ「ゼェ、ゼェ……な、なんとか間に合いました……ゼェ、ゼェ…
     ……いえ、普通にアウトですよね。

     司会進行のはずが、ゴール地点のお出迎え役に甘んじているということは、
     明らかに間に合っていませんね、とほほ…。
     ……ああ、ピーチ姫の怒りが……怖い……です」ガクブル

アシスタント『カメラに向けて優雅に手を振る 笑顔で』カンペ

ロゼッタ(は、はい!)ヒラヒラ



参加者の順番決定!

1番 ピーチ
2番 テレサ
3番 ワルイージ
4番 デイジー

ロゼッタ(……よりにもよってピーチ姫が参加してるじゃないですか…!
     ここ現実世界なんですけど…!命を失うとそれっきりなんですけど…!)


ピーチ「真っ先に到着してロゼッタに肉体言語で説教してあげるわ…」メラメラ

デイジー「アカン、とりあえずピーチを止めなきゃ…!やるぞー…!
      ロゼッタの命が懸かってるんだ…!」アワワ

708Mii:2018/12/31(月) 23:26:20 ID:uMisqVDs
〜ボーナスミニゲーム プールでフラッグ集め〜

ピーチ「はああああああっ!!!」ゴロゴロ ジャバジャバ

デイジー「ブースター3個取らせてたまるかー!その3ポイントフラッグはわたさーん!」ゴロゴロ

ピーチ「邪魔するのなら容赦しないわよ、デイジー!」クワッ

デイジー「こここ怖くなんてないもん!」ゴロゴロ



ワルイージ「1ポイントフラッグを堅実に集めて2位目指すぜ、俺って賢い」

テレサ「3ポイントフラッグをピーチかデイジーが取った瞬間に俺の能力で奪えばいいんだナ?」

ワルイージ「……ミニゲームに勝てたとしても後で殺されるからやめとけ」

テレサ「確かニ。お化けながら怖いからやめとコ」ブルブル

709Mii:2018/12/31(月) 23:29:10 ID:uMisqVDs
チコ「え、えーっと!ママに付いてきちゃったチコです!
   好きなものはママと、ママが作ってくれた星くずパンで…
   え、自己紹介タイムじゃない?ご、ごめんなさい!

   ぶ、ブースターゲットの大チャンス!
   バトルミニゲームでーす!
   みなさんから、1こずつブースターを集めミニゲームで勝負します!
   1位になれば、なんと全部もらえますよ!

   …それでは、ブースターを集めますね」チラッ

      残り 231マス  ピーチ     ブースター ×12
      残り 196マス  テレサ     ブースター × 0
      残り 175マス  ワルイージ  ブースター × 0
      残り 224マス  デイジー    ブースター ×10

ピーチ「私の旨味が少ないんだけど」ピキピキ

デイジー「それは運が悪かった、とか作戦が下手だった、でお互い諦めようよ…」

710Mii:2018/12/31(月) 23:31:09 ID:uMisqVDs
〜バトルミニゲーム よくみて!宝石マンホール!〜

ピーチ「本当に運ゲーじゃないの!!」ガンッ

デイジー「マンホールの中の宝石が、今から飛び込もうとする私たちに見えるわけがないのである」

キノピオ「か、観客は内部構造を見ることができているので、リアクションで判断するとかどうでしょう!?」

デイジー「それって、もはや競技としてどうなんだろう…まあ、いいや。適当にえーらぼっと!」

ピーチ「何か策が…音響?超音波?いえ、周囲の足跡から設置者が抱えた重量を読み取って……」ブツブツ



――フィニッシュ!



デイジー「わーい、いっちばーん!ピーチ、ブースターは貰っちゃうね!」ホックホク

ピーチ「こんのLUCK全振りっ娘がぁ!」

デイジー「観客は喜んでるからいいんだもんねー!」エヘヘ

711Mii:2018/12/31(月) 23:33:24 ID:uMisqVDs
〜ボーナスミニゲーム 回してフィギュアカプセル〜

キノピオ「ロボットアームを操作し、フィギュアを回転させて見本通りにしてください!
     ただし、X, Y, Z軸回転それぞれについて、許容誤差2°以内に収めて
     2秒キープしないと成功と認められません!問題は全部で3問あります!

     …え?90°ごとの制御が可能な機能?そんなものありませんよ?」



ピーチ「くっ、回転の仕組みもおおよその必要回転量もなんとなくわかるけど、操作がシビアね…!」ウィーン

デイジー「えっと、こっちがそっちで、上、じゃなくて右?えっと…!?訳がわかんないよー!」ウィーン



ワルイージ「そーっとそーっと…フッ、お先にしつれーい!伊達にルービックキューブ1級の免状持ってないぜ!」シュパッ… シュパッ…

ピーチ「なんですって…!?」

デイジー「意外なところに伏兵が…!?」

キノピオ「これは想定外だ!ワルイージさんの操作技量に観客が拍手を送っています!」

テレサ(揃いかけのカプセルを奪うとかダメかナ?)ウィーン

712Mii:2018/12/31(月) 23:36:25 ID:uMisqVDs
1 st ワルイージ  1:43.321 /3問 最大誤差 1.56°
2 nd ピーチ    2:36.484 /3問 最大誤差 1.89°
3 rd テレサ     4:59.301 /3問 最大誤差 1.65°
4 th デイジー   5:58.086 /3問 最大誤差 1.45°

デイジー「…いいもん。慎重にやったから最大誤差は小さくて済んだもん」グズッ

ピーチ「ふふ、いい気味ねえ」

デイジー「なにおー!」

ワルイージ「弱い者同士の争いは醜いねえ、ヤレヤレだぜ」フッ

713Mii:2018/12/31(月) 23:40:10 ID:uMisqVDs
キノピオ「おっと、ここでゴール地点のロゼッタさんと中継が繋がっているようですね。
     ちょっと様子を確認してみましょう!どうぞ!」



〜ゴール地点〜

カメラマン「…………」サツエイチュウ

ロゼッタ「えっと…このイベントに関するトークなどをしないで、私は大丈夫なのでしょうか。
      というより、こんな私の姿を撮っているばかりで、いいのですか?」

カメラマン「い、いえいえ!ぜひともそのまま続けちゃってください!
      随分楽しんでいるようですし!気に入ってくださいましたか?」

ロゼッタ「はい!最初はナニコレって感じでしたが、すごく楽しいです!
      暇つぶしに貸してくださったアシスタントさんに感謝ですね!
      アームの応答もすごくいいですし!」シュパパパババババ

カメラマン「こ、これは映えるぞ…!みなさん、ご覧ください!」ゴクリ

観客「」ポカーン

714Mii:2018/12/31(月) 23:41:41 ID:uMisqVDs
ロゼッタ「次の見本は…

         X軸方向に  34.68°
         Y軸方向に  126.31°
         Z軸方向に  -64.09° といったところでしょうか!」シュババババババ

アシスタント(全方向に1回ずつの入力で終わらせ続けている…だと…!?)



       ロゼッタ 0:09.085 /3問  最大誤差0.02°(50回平均)



ワルイージ「」

テレサ「スゲー」

デイジー「空間把握能力MAXの人は違うなあ」

ピーチ「…誰がこの記録塗り替えられるのかしら」

715Mii:2018/12/31(月) 23:44:04 ID:uMisqVDs
〜ボーナスミニゲーム のぼってハシゴレース〜

キノピオ「スタッフさん曰く『宇宙のボードということで…ハシゴの長さも銀河級に大きくしてみました!』とのことです…」

ピーチ「……えっと、頂上が見えないんだけど」

キノピオ「『星々を渡り歩いて、切り立った崖を、わざわざ必死になって探した』とのことです…」

デイジー「……何mくらいあるの?」

キノピオ「『10 kmくらい』とのことです…」
     
デイジー「!?」

ピーチ「秒速10 mで登るとして、16分40秒ね。とっとと始めるわよっ!」

ワルイージ「しょうがないなー!」ヤケクソ

デイジー「本当にやっちゃうの!?棄権しないの!?馬鹿じゃないの!?」

キノピオ「あと、ガボンからの伝言で『鉄球がとんでもない速度で落下するけど大丈夫?
      まあ遠慮なく落としまくるけど』とのことです…」

ピーチ「」

デイジー「」

ワルイージ「」

テレサ「」

716Mii:2018/12/31(月) 23:46:17 ID:uMisqVDs
1 st  テレサ
2 nd デイジー
3 rd ワルイージ
4 th ピーチ

キノピオ「壮絶かつ地味な戦いを制したのはテレサさんだ!
     ハシゴ移りも非常に軽々と行っていました!
 
     ……なんだか何度か鉄球がすり抜けていたのは目の錯覚でしょうか?」

ピーチ「ゴホッ…ゴホッ…ああ――半ばで王冠を落としていなければ――っ!」ボロッ

デイジー「実質一人だけ20 km分を課せられたピーチが1位でいいよ、もう」アキレ

ピーチ「ルールは守るわ」キリッ

ワルイージ「お、おう」ヒキッ

717Mii:2018/12/31(月) 23:49:53 ID:uMisqVDs
〜ボーナスミニゲーム 隙間へ逃げろ!〜

ピーチ「……まずいっ!移動方向間違えたっ!?ブロックに潰される!ふんぬぅーーーー!!!」グググググッ

デイジー「ここは協力するわ!ペラペラになるなんて御免よ!」グググググッ

ピーチ「デイジー、あなた――!ありがとっ!」

デイジー「いいってことよ。どのみち私も潰されかけないし、ねっ!」ギチギチ

観客「す、すっげー!プレスブロックに潰されそうになりつつも、
    無理やり押しのけて空間を作って生き延びようとしてるぞ!」

観客「なんて怪力なんだ!ハシゴレースの後とはとても思えねえ!」

ワルイージ「オイコラ司会者、あいつら2人とも失格だろうが!さっさとジャッジしろよ!
       必死こいて逃げ延びてる俺が馬鹿みたいじゃねーか!」

キノピオ「は、はいぃ!」

ワルイージ「チッ…みんな、お姫様2人の乱舞っぷりを喜ぶばかりでさー。
      俺の存在感、どこにいっちまったんだ全く」

テレサ「俺の存在感も薄いから気にするナ!フヨフヨだゾ、フヨフヨ!」

ワルイージ「お化けのお前は当たり前だろうが!…やっぱりルイージの対ってのがインパクト薄いのか?
       いやいや、今更ライバルをマリオってことにするのもなんだかなー。
       せめて主役を張れる物語が欲しいぜ」

718Mii:2018/12/31(月) 23:52:39 ID:uMisqVDs
〜ゴール地点、時間がかかっているのでトークショー展開中〜

解説「――ところでロゼッタさんは、クッパタワーに挑戦されるおつもりですか?」

ロゼッタ「クッパタワー?…すいません、あまりよくわかりません。どのような施設なのですか?」

解説「挑戦者やライバルたちの分身を作り上げてミニゲームで戦わせ、
     挑戦者を無理なく鍛えてくれる訓練施設のことですよ。クッパも粋なことをしますよねー」

ロゼッタ「……あの、えと。たぶん…挑戦しないと、思います。すいません…」

ロゼッタ(仮にクッパの感覚で弱く設定されていても、私などでは勝てない可能性の方がずっと高いですからね…
      仕方がありません。もっとフェアリーランドで鍛えなくては、話になりません)

解説「そうですか。いや、残念ですね」



ロゼッタ「…………」

ロゼッタ(挑戦者の、分身…………………………………………)

ロゼッタ(…………何かこう、特訓のヒントが、隠されている気が、します。
     このイベントが終わったら、ちょっと検討してみましょうか)ポン

719Mii:2018/12/31(月) 23:55:00 ID:uMisqVDs
キノピオ「白熱した戦いもいよいよ大詰め!
      おっと、ここでビリであった姫さ…ピーチさんが、溜めていたブースターを一気に開放するつもりだ!

      …え?一度に使用可能な数は4個まで?そんなルールありませんよ?」

ピーチ「最後の勝負よ!途中のバッドイベントなんて、全部飛び越えてあげるわ!」



――ブースター53個使用!
――54倍サイコロ!!



キノピオ「ピーチさんは…残り157マスです!現在のサイコロの目は0, 54, 108, 162, 216, 270であるため、
      50%の確率でゴールインということになりますっ!」

デイジー「はっはっは、ピーチくん。あなたの運の悪さなら、ここで0を出して
      観客の大爆笑をもたらしてくれると信じているよ!」ノコリ 109マス

ワルイージ「…俺、今は一応トップだけど、デイジーもテレサもブースターをかなり持ってるからなぁ。
       ここでピーチがゴールして、俺は2位で終了するってのも悪くはないのか?
       …いや、なんか後ろ向きな発想な気がするな、ううむ」ノコリ 59マス

テレサ「ケケケ、ゴールしちゃったりしたら呪ってやるゾー」ノコリ 94マス

720Mii:2018/12/31(月) 23:57:01 ID:uMisqVDs
〜ゴール地点、互いに中継状態〜

ロゼッタ(…………)ドキドキ

ロゼッタ(0か54か108 0か54か108 0か54か108 0か54か108…)



ピーチ「そりゃっ!」ポーン



キノピオ「運命の結果は……162だぁー!!」

デイジー「うそおおおおおお!?」ガーン

ピーチ「やったわ!全力前進っ!!私の……優勝よ!」ゴオオオオオオオオオッ



ロゼッタ「な、なんということでしょう!終わってしまいました!
     あああ、ピーチ姫が、ものすごい速さでどんどん、近づいてきます!
     こ、こないでくださぁい!!拒絶します!」ポワーン

アシスタント「…えっ」



私は恐怖から、無意識に、持ってきていた杖を振るってしまいました。
…それが、事態をひどく悪化させることにも気づけずに。

721Mii:2019/01/01(火) 00:00:11 ID:C4qo13Wo
ピーチ「さあロゼッタ、覚悟しなさ――」ゴオオオオオオオッ





ロゼッタの ピッタリゲート!
ピッタリ とまらないと ゴールあつかいに ならない!
ピーチは はねかえされて 5マス もどされた!▼





ロゼッタ「あ」

ピーチ「きゃあっ!」ゴツンッ オリカエシ!

カメック「私の魔法が!?ボードマップが違うんですけどぉ!」



ポチッ。  ――だれかのところへワープ!

キノピオ「る、ルーレットの結果……デイジーさんのいる場所へワープします!!」

ピーチ「…は?」

シュインッ!

722Mii:2019/01/01(火) 00:02:14 ID:C4qo13Wo
ワルイージ「…………」1 st

テレサ「…………」2 nd

デイジー「や、やあ」3 rd

ピーチ「」3 rd



キノピオ「あわわわわわわわわわわわわわわわわ…
      うううううう後ろにワープしちゃいました。どうか気を落とさないで…くださいねっ!」ガクガクブルブル

ピーチ「…………ふふふふふふふふふふふふふふふ、タンコブできちゃったぁ」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

デイジー「般若がおるでぇ」ガクガクブルブル

ロゼッタ「あ、あ、ああああああああああああ!?」ガクガクブルブル



マリオ「」

ルイージ「」

ワリオ「ぎゃははははははははははははははは!こりゃケッサクだぜ!腹いてぇ!」

723Mii:2019/01/01(火) 00:05:32 ID:C4qo13Wo
〜ボーナスミニゲーム ガッポリ横取りブースター〜

デイジー「ちょっと待ったぁ!!こんなミニゲームないでしょ!?」ビシィッ

ピーチ「ブースター寄越しなさいゴラァ!!」

デイジー「ぐふぅ」バタリ

テレサ「ギャァー!成仏されるゾー!!」ボロッ

ワルイージ「ア、ハイ。俺が持ってるブースター全部差し上げます」スッ

ピーチ「チッ、これ以上持てないのね、残りは捨てるわ」



――ブースター 9 9 個使用っ!!
――1 0 0 倍サイコロっ!!!



キノピオ「サイコロの目は……500だぁ―――――っ!!
     ロケットがけたたましい轟音を上げてゴールに突撃してゆきますっ!!」

ロゼッタ「」

ピーチ「ツラヌキィ――――ナグーゥリィィィ――!!!」ドグシャッ!

ツラヌキこうかの フライパンで
ピッタリゲートは こなごなに くだけちった!▼

724Mii:2019/01/01(火) 00:08:11 ID:C4qo13Wo
ピーチ「まあ、FPに限りのある状態のロゼッタの魔法程度じゃ、こんなものよね」ズシン ズシン

ロゼッタ「」ガチガチ

ピーチ「さぁてロゼッタ、何か言いたいことはあるのかしら?私はいーっぱいあるのだけど?うふふふふ」ゴゴゴゴゴゴ

ロゼッタ「――――なんでもしますから命だけは勘弁してください」ドゲザ

ピーチ「……ん?今、なんでもしますって言ったわね?」

ロゼッタ「はっ!このロゼッタ、ピーチ様のためならば、物理的に不可能であることや致命傷を被りかねないこと、
     あと破廉恥なことでなければ全力で努めさせていただきます!」

ピーチ「……ほう?二言はないわね?」ゴゴゴゴゴ

ロゼッタ「……はい」ブルブル

ピーチ「……………………………………………」

ピーチ「よし♪許す!」ニコッ

ロゼッタ(ホッ)

デイジー(いかん!アッサリすぎるっ!そこで安心しちゃいかんよロゼッタァ!!)



マリオ「あーあ…知らんぞー」

ルイージ「相当な罰ゲームを思いついた顔だよね…」

725Mii:2019/01/01(火) 00:12:10 ID:C4qo13Wo
もともと、「ロケットレースギャラクシー」のボードマップはイベントの終盤のボードだったらしく。
私の出番はもちろんのこと、ピーチ姫やデイジー姫もお役御免…すなわち抜け出してよい状態である、とのことでした。
あとはマリオが「アベコベ!クッパ火山」ボードにて、クッパとの対決で場を持たせてくれるみたいです。

私は、2人に連れられて、キノコ王国に向かうことになりました。
一体、何を命令されるのでしょうか…………。



連れられてきたところは、どこかの立派なスタジオでした。
あれよあれよと着替えさせられて…………連れてこられたのは…撮影現場。



ロゼッタ「あのー、この衣裳、なんなんですか?
      …破廉恥なことは駄目っていう私の条件に引っ掛かりそうなんですが」

デイジー「…コスプレ?」



何故だか知りませんが。

キャピキャピした装飾の変身ステッキの玩具を持たされ、
露出度合いがあるようであまりないようで、やっぱり少しある感じの少女服を着せられ。
年不相応の、ゴスロリミニスカート魔法少女の出来上がり。



――――ものすっごく恥ずかしいんですが!辱めじゃないですか!

726Mii:2019/01/01(火) 00:14:49 ID:C4qo13Wo
すると、ピーチ姫の口から――とんでもない言葉が、飛び出しました。

ピーチ「ささ、昔の自分を思い出して――
     『亜空の魔女ロゼりん 此処に見参!』って感じでポーズ取ってみて!
     最新鋭カメラでしっかり撮らせてもらうから!セリフとかがあると尚良し!
     
     …あ、撮影した写真に関する著作権・肖像権その他、各種権利は私に属するものとすることを念頭においてね」

デイジー「エ、ナニソレ」

ロゼッタ「ごふぅっ!」グサッ





ロゼッタ(酷い罰ゲームですね……!何も知らないデイジー姫がキョトンとしています。
     …………で、でもピーチ姫には既に知られていることですし!

     そうですよ、開き直ってしまえば!ま、まだマシだと、思いますっ!痛くないですし!
     ピーチ姫の気が変わらないうちに…!こうなったら恥を捨てるのよ、ロゼッタっ!)

727Mii:2019/01/01(火) 00:18:48 ID:C4qo13Wo
ピーチ「さあ、早く!日が暮れるわよ?」

デイジー「え?え?ええ?」アタフタ

ロゼッタ「――わかり、ました」ゴゴゴ

ロゼッタ(スウゥ…)







ロゼッタ「おたすけ☆ウィッチ ロゼりん、此処に見参!観念しちゃえ☆悪党どもよ!」ビシィッ






デイジー「」ピシッ

ピーチ「」ピシッ ガシャーン

ロゼッタ「……ピ、ピーチ姫?」カアァ

ピーチ「……あ、な、ナンデモナイナンデモナイッ!うん、そんな感じ!
    さあ、終わりたかったら私をさっさと満足させてみなさい!ポーズをとり続けるのよ!」カシャッ

728Mii:2019/01/01(火) 00:20:23 ID:C4qo13Wo
ロゼッタ「受けてみなさい、星々の怒りを!とんでけ、シューティング☆スター!」ブンッ

ピーチ「いいわよ!」カシャッ





ロゼッタ「天に代わって、亜空の魔女が――お仕置きよ☆」ウインク

ピーチ「――っ、いいわ、すごくいい!ロゼッタもノリノリじゃないの!(震えながら)」カシャッ



ロゼッタ「敵は凶悪、味方は皆無……それでも私、諦めないんだからっ!」ガバッ

ピーチ「這いつくばりながらも敵に立ち向かおうとするその出で立ち…最高よロゼッタ!
     最高にヒロインしてるじゃないの!」カシャッ





デイジー「なにこれ」プルプル

デイジー「ナニコレ」プルプル

デイジー「な ん だ こ れ !?」プルプルプルプル

729Mii:2019/01/01(火) 00:21:45 ID:C4qo13Wo
〜1時間後〜

ピーチ「はい、ストップ。お疲れさまでした!
    いや、本当に素晴らしい写真が撮れたわ!ありがとうロゼッタ!」スッキリ

ロゼッタ「顔から火が出ると思うくらい、恥ずかしかった、ですがっ…」カアアァァ

ロゼッタ「どうせ、ピーチ姫のことですから、真剣にやらなければ納得していただけないと思いまして……っ!」カアアァァ



デイジー「あっれー、いつまでたっても痛みが発生するなー。
     この夢、いつになったら覚めるのかなぁ、アハハハハ」ゴンッ ゴンッ



ロゼッタ「デ、デイジー姫?泣きながら壁に頭をぶつけ続けて、何をやっているのですか!?」

デイジー「…はい?」ウツロメ

ピーチ「現実逃避をしているだけよ、気にしなくていいわ」

730Mii:2019/01/01(火) 00:24:10 ID:C4qo13Wo
ロゼッタ「はあ。…では、着替えてきますね。いい加減、いつもの服に戻りたいので」

ロゼッタ(ああ…一時の大恥でしたが、これにて終了です。よしとするしかないでしょう…)



ピーチ「ええ、そうしてちょうだい。そのあと、すぐにほうき星の天文台に向かうから」

ロゼッタ「……え?どうしてですか?」








ピーチ「じゃないと、表紙に乗せる画や挿絵を撮影した意味がないじゃないの、おバカさんねー。
    まあ、多少は画像修正を行うけれどね」








ロゼッタ「…………………………………………………………………………は?」マッサオ

731Mii:2019/01/01(火) 00:26:21 ID:C4qo13Wo
〜ほうき星〜

チコ「あ!」

フヨフヨ フヨフヨッ!!

チコ「僕は一足先に帰ってきてたけど…ようやくママの乗ったクッパシップが到着だ!ママお帰り――」






ロゼッタ「い゛や゛でずぅ゛――――――っ!!ぞれ゛だげば、ぞれ゛だげばご容赦を゛――――っ!!」ポロポロ

ピーチ「なんでもするって言ったじゃない。二言はないんでしょー?」ズンズン

チコ「」






チコ「ママ、号泣しながらピーチ姫の脚に縋り付いたりしてどうしたの!?そのまま引き摺られてるけど!
   ……ピーチ姫、ママに何をやったの!?乱暴でもしたの!?」

732Mii:2019/01/01(火) 00:28:16 ID:C4qo13Wo
ピーチ「別に、大したことはしてないわよ?ただ、これから…




    ロゼッタ著の『星に願いし亜空の魔女』シリーズをちょーっと校正して読むに堪えるようにして、
    ロゼッタの魔法少女決めポーズも客寄せのために中に散りばめて、
    学術文献とライトノベルを併せ持つ形で、キノコ王国完全バックアップで出版しようとしてるだけだから」

ロゼッタ「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」ポロポロ

チコ「」



ピーチ「大丈夫よ、ロゼりんって名前は頻繁に登場しても、ロゼッタの名前は一切出さないから。
     もちろん絵のモデルがロゼッタであることも隠しておくし」

ロゼッタ「わ゛がる゛びどに゛ばわ゛がりまずよお゛お゛お゛お゛!!」ポロポロ

ピーチ「あ、あと…原本についてはね、ロゼッタが誤って廃棄処分したりしないよう、
     王国国会図書館で シ ッ カ リ 管理させてもらうから。ああ、素晴らしいわ!
     これでキノコ王国の空間魔法技術は100年分は加速できるわね!」ホクホク

ロゼッタ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」ポロポロ

チコ「」

733Mii:2019/01/01(火) 00:31:33 ID:C4qo13Wo
ピーチ「デイジー、ロゼッタをちょっとばかり拘束しておいてちょうだい!私一人で探し出すわ!!」ダダダッ

デイジー「了解。……ごめん、ロゼッタ」ガシッ

ロゼッタ「ばーな゛―じーでーぐーだーざーい゛――――っ!」ジタバタ

チコ(発奮状態のピーチ姫は、探し回ること1時間…
   ママがため込んだ『お話』の原本を…本棚の隅っこから見事探り当て。

    『全10巻どころか続編が53巻も出てるじゃないの……!なんてこじらせ方をしているの…
    これも徴収ねっ!素晴らしいわ!写真が足りないくらいだわ!』

    と呆れと喜びの絶叫を上げながら。ホクホク顔でほうき星を去っていったよ)

チコ「……ママ?」ユサユサ



ロゼッタ「」チーン



チコ「(精神的に)死んでる……!」

――ママは、涙の跡を残し、部屋の隅で体育座りをしたまま、二日後の朝までピクリとも動きませんでした。
――僕たちは……今回ばかりは心配しても意味がないかとママをそっとしておいて、ワイワイガヤガヤ、
   星くずパンを食べて過ごしました。
――え?ほったらかしだなんて酷いって?……ヒドクナイヨ?アハハハハ。

734Mii:2019/01/01(火) 00:37:32 ID:C4qo13Wo
〜数日後、WORLD1-2 ノコノコ地下洞窟〜

ファイアロゼッタ「はああああああああああああああぁぁっ!!」ボウッ! ブンッ!

ビュンッ!…ドゴンッ!



ファイアロゼッタ「命、爆発ゥ――ッ!!」ボウッ! ブンッ!

ビュンッ!…ドゴンッ!



ファイアロゼッタ「フルパワァ――――ッ!!」ボウッ! ブンッ!

ビュンッ!…ドゴオオォォンッ!



ノコノコ「…………姐さん、戻ってきたのはうれしいんだけど」

クリボー「……………………どうして涙でぐしゃぐしゃなんだろうな」

ファイアロゼッタ「修行三昧で全部――忘れてしまいます――――っ!
          後生ですから、忘れさせて、ください――っ!」グズッ

735Mii:2019/01/01(火) 00:39:40 ID:C4qo13Wo
〜キノコ城〜

ピーチ「――こ、これは読む側もなかなか、苦痛だわ……
     私はここまで酷くなくて本当に、本当によかった…!今だけはディメーンに同情するわ…!

     あと何回、顔を強張らせればいいのかしら…!?早く読み終えて校正に回したいのだけれど――っ!」ピクピク





ピーチ(この時の私は、知る由もなかった。
    本筋を弄らないまま、ちゃんとした凄腕執筆者に手直しさせ、
    ちゃんとした体裁で世に送り出したこれらの本が数年後……

     表紙に惹かれた学生から数式に惹かれた研究者までが読み漁る年間ベストセラーになることを。
     キノコ王国にちょっとした技術革命を起こすことになることを。
   
     …そして、印税を一応持って行ったときにロゼッタが泡を吹いて倒れる、ということを)

736Mii:2019/01/01(火) 00:42:13 ID:C4qo13Wo
月日は暫し、巡り……。

〜8月、WORLD1-1 スーパーベルの丘〜



ロゼッタ「反復横宙返りっ!」クルッ シュタッ クルッ シュタッ

ロゼッタ「連続ヒップドロップっ!」クルリン ドシンッ! クルリン ドシンッ!

ロゼッタ「走り幅跳びっ!」ピョーン



ロゼッタ「ふむ、まだまだ神経は尖らせなければなりませんが、一通りこなせるようになりましたね!」

時計「スタート地点からあんまり動いてないッスけど、残り300秒ッスよ」

ロゼッタ「…ああ、そろそろ向かいますか」



COURSE CLEAR!
タイム:451



ロゼッタ「ほっ、いい汗かきました!もう、250秒くらいあればゴールできますね!」ルンルン

737Mii:2019/01/01(火) 00:44:29 ID:C4qo13Wo
〜WORLD1-2 ノコノコ地下洞窟〜

ファイアロゼッタ「ハッ!!」ボウッ! ブンッ!

ゴオオオッ! ズバーン!!



ファイアロゼッタ「フンッ!!」ボウッ! ブンッ!

ゴオオオッ! ズバーン!!



ファイアロゼッタ「ハァーッ!!」ボウッ! ブンッ!

ゴオオオッ! ズバァーン!!



テーレッテレー!

ロゼッタの 基礎体力レベルが Lv. 17に 上がった!▼



ファイアロゼッタ「……うん。左右とも、時速145 kmくらいは出ていますね。
          …そろそろ、1-3に向かってもいいのではないのでしょうか」

738Mii:2019/01/01(火) 00:47:52 ID:C4qo13Wo
ファイアロゼッタ(今度は9月にスマブラがイベントに控えているようです。ええ、あの大乱闘で有名な。
          今度は遅刻しないように…忘れないようにしましょう。

          もっとも、私は観戦、応援をするだけで、参戦するつもりなどさらさらないんですけれどね。
          一応残機制ではあるということですが…まだまだ実力不足ですし。
          歴戦のファイター達に直に攻撃されるなど、あまりにも怖い。パスです、パス!

         そんなわけで、あと1カ月のうちに。
         せめてWorld1はクリアしておきたいなあ、と思うのですよ。
         ぼーっとしていると、1年経ってしまいそうですからね…。
      
         ピーチ姫の方は、本当に私のことを「時たま挑戦しに行くくらい」と考えているようですが。
         うん、勘違いさせておきましょう。その方がいい気がします)フウ

ファイアロゼッタ「それではっ!いざ!現在状態に加えて、更にファイアをストックしておいて――
           1-3へ、まいりましょう!」オーッ

739Mii:2019/01/01(火) 00:52:56 ID:C4qo13Wo
〜WORLD1-3 てっぺん目指せ!ノッポ山〜

ファイアロゼッタ「えいっ」ピョン



ファイアロゼッタ「それっ!」ボウッ!

パックンフラワー「ギャア!」バタリ



ファイアロゼッタ「ここをこう登って…」タタタッ



パックンフラワー「!!」カプッ

ファイアロゼッタ「引いてかわして、踏みつけるっ!」ポコッ

パックンフラワー「キュー…」バタリ



ファイアロゼッタ「あの場所まで着きました!!」

ファイアロゼッタ「……………………あら?何か違和感が…」

MISS回数:0回

740Mii:2019/01/01(火) 00:55:13 ID:C4qo13Wo
ファイアロゼッタ「出ましたね、狭い道にパックンフラワー…
          そしてその奥に、巨大パックン!」ブルッ



――あのときの恐怖が、引き裂かれた自分が、ありありと蘇る。
――鍛えたはずなのに、足が中々動かない。



――まだ、ダメなのですか。





ファイアロゼッタ(どうしましょう)



涙ぐみながらも、早まる鼓動を収めつつ…じっと、じいっと、遠くの巨大パックンを眺める。

流石に私には気付いていない巨大パックンは、余裕っぽそうに、
ガチガチと歯を噛み合わせていて踊っていて…。踊っていて…。

741Mii:2019/01/01(火) 00:57:16 ID:C4qo13Wo
ファイアロゼッタ「……あれ?よくよく考えてみると。素朴な疑問が。




  
           ここから巨大パックンまで、『たかだか』50メートル。
           …ファイアボール届きますよね?ここから投げては駄目なのでしょうか。

            よし、念のため右目のチカラを開放して――――ロック、オン」グググ



ロゼッタは あいてに ねらいを さだめた!▼



ロゼッタ「――――ハッ!!!」ボウッ! ブンッ!



ファイアボールが、綺麗な軌跡を描いていき…

巨大パックン「ギャッ!?」ボンッ!

パックンフラワー「!?」

742Mii:2019/01/01(火) 01:02:18 ID:C4qo13Wo
ファイアロゼッタ「いやいや、そんな…………」

ファイアロゼッタ「いやいや、まさか…………」

ファイアロゼッタ「――――ハッ!――――ハッ!――――ハッ!!」



――ボンッ! ――ボンッ! ――ボンッ!



巨大パックン「ぎゃあああああ」バタリ

パックンフラワー「」



距離のせいで勢いが減衰したため一撃、というわけには行きませんでしたが…
無事、ゴールまでの道のりが開かれました。

ついでに手前で怯えるパックンフラワーにも1発。
近いおかげで一撃です、嬉しいですね。のんびりゴールへと向かいましょう。

ファイアロゼッタ「…………あれ、なんだか拍子抜けなんですけど…こんなに弱い敵、でしたっけ…」

――つまり、ファイアが効く敵、特に位置が固定された敵に関しては…
   数十メートル手前の安全圏からファイアボールを投げまくればいいのですね、把握しました。

ファイアロゼッタ「……すっごく楽じゃないですか!ファイアボールを鍛えておいてよかったですね!」パアアア

743以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/01(火) 15:22:01 ID:DmzroeaA
スマブラでパックンと共演するの大丈夫なんだろうか…

744以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/02(水) 16:37:30 ID:1wJkGJkU
ピーチも似たような時期あったのか…

745Mii:2019/01/03(木) 22:30:45 ID:73vyrrfQ
〜WORLD1-4 プレッシーのザブンリバー〜

プレッシー「振り落とされないようにするんじゃぞー!」ジャバッ ジャバッ

ファイアロゼッタ「わわ……!このステージは、いわゆる――滑り降りるのみ、
           コースアウトしたら即終了のスライダーステージ、というものですね!

           し、慎重に進路制御の指示を出さなければっ!
           ――ここは、ひとつっ!」サッ



――ボンッ!! ――ボンッ!! ――ボンッ!!



ファイアロゼッタ「数十メートル先の水上に――ファイアボールの水しぶきで誘導線を描きます!」

プレッシー「危なっ!?首元に炎びゅんびゅん飛ばすのをやめるんじゃ!」ワワワ

746Mii:2019/01/03(木) 22:33:56 ID:73vyrrfQ
〜WORLD1-5 オン!オフ!スイッチサーカス〜

ファイアロゼッタ「わあ、サーカスというだけあって、とっても華やかな電飾と仕掛けですね!
         …この青いフリップパネルを踏んで、どんどん黄色に変えていけばいいのでしょうか?」フミッ フミッ

カメック「…おや?ロゼッタ姫ではありませんか。私、クッパ様の誕生会でお世話になったカメックの1人です。
     ようやく、こちらまで到着したんですね。待ちくたびれました」

ファイアロゼッタ「あ、ははは…遅くなってしまい、誠に申し訳ありません」ペコリ

カメック「しかし、ここに来たからには、にっくき敵と思い…しっかりお相手させてもらいますよ。
      お手並み拝見です――魔法攻撃っ!」ポワポワーン



ファイアロゼッタ(ステージに杖を持ち込めて、いいなあ。
         挑戦者の私の場合、ステージに『一時預かり』されるらしく手元に置いておけないんですよね…。
         まあ、咄嗟にズルしてしまいそうですし、ある意味良かったんですけど…)

747Mii:2019/01/03(木) 22:36:20 ID:73vyrrfQ
ファイアロゼッタ「とりあえず魔法速度はないので、落ち着いて横に避けて……!」ヒョイ

カメック「…むむ!思いのほか素早いですね…!」

ファイアロゼッタ「とても嬉しい褒め言葉をありがとうございます。
          さあ、次はこちらの番です。……ハァッ!」ブンッ

ゴオオオオッ!!

カメック「――!?なんとっ!」シュインッ



バシーーン!



――惜しいっ!私の一撃は、テレポートでギリギリかわされてしまいました。
――誰もいない空間へファイアボールは突撃し、そのまま壁に跳ね返って奈落に落ちていきました。
――しかし、カメックは大層驚いている様子。ちょっぴりテンションが上がります。

748Mii:2019/01/03(木) 22:38:50 ID:73vyrrfQ
カメック「なるほど、なるほど。ここまでファイアボールを昇華しているとは、たいしたものです、ロゼッタ姫。

     しかし、それでは。私のような俊敏な相手には当たりませんよ!
     モーションに時間を掛けすぎているうえに、一度動作し始めたら
     方向はほぼ調整できないようですからね!」



ぎくっ…。ええ。それは、かねてからの課題でした。
はるか手前から一方的に投げつけられるのなら、それに越したことはないのですが。

いざ対峙してお互いに射程圏内、みたいな状態では…
早々と方向を定める上に何秒も掛かってしまう投球動作は、致命的なビハインドとなります。

今のところは、動作が短くて済む…手投げのファイアボールを織り交ぜることでなんとかするしかありません。

749Mii:2019/01/03(木) 22:42:00 ID:73vyrrfQ
ファイアロゼッタ(あとは…幸い今回については、相手の移動方法が『空間転移』であるということですねっ!)

ファイアロゼッタ「はあっ!」ブンッ

カメック「なんの!」シュイン



――見切りましたっ!



ファイアロゼッタ「先読みですっ!!」ブンッ



ヒュー……



カメック「――ぎゃっ!?」

ファイアロゼッタ「怯んだ隙に、追撃っ!」ブンッ

カメック「お、おみご、と……」ボンッ バタリッ

ファイアロゼッタ「……ふう。問題は、相手の出現タイミングに間に合わせるため……
          手投げしか選択肢がなくなることですね。そのせいで一撃で倒せません…」

これは、後々問題になりそうです。対策を考えねば…いけませんね。

750Mii:2019/01/03(木) 22:44:45 ID:73vyrrfQ
〜WORLD1-城 対決!クッパのハイウェイ城〜

クッパ(偽)「ガッハッハ!キックボムをどんどん投下してやるぞ!
       ちなみにワガハイはキックボムを車に9回当てる……
       猫引っ掻きで直接ワガハイを狙えば3回当てるだけで倒せるぞー!」

ファイアロゼッタ「親切にありがとうございます!
          …よし、赤点滅していないキックボムを狙って……今です!」



グキィッ!!ボキッ!!



ロゼッタ「」ティウン ティウン ティウン

ロゼッタ「――っ……あ、ああ……………足首を……挫きました……っ!」ウズクマリ

ロゼッタ「……え、あれ!?普通、蹴れるだけの軽さになってくれているはずなのでは!?
     とてもこれ、蹴り上げられそうにないんですけれど!」ヨロヨロ

クッパ(偽)「だから、せいぜい50 kgくらいしかないぞ」

ロゼッタ「基準が酷い!」ガーン

751Mii:2019/01/03(木) 22:47:31 ID:73vyrrfQ
ロゼッタ(まずいです、キックボムを使えそうにありません!こうなったら!)サッ

ファイアロゼッタ「ストックフラワー、使用っ!ケガも回復っ!」ググーン

クッパ(偽)「ふむ?それで一体、どうすると…」

ファイアロゼッタ「噂で聞いたことがあります。
          クッパを倒す基礎の基礎は…ファイアボール連打だとっ!!」スッ

クッパ(偽)「えっ」





ファイアロゼッタ「ファイアーッ!」ブンッ ブンッ ブンッ ブンッ ブンッ

クッパ(偽)「ぎゃ!?ぐへえっ!?ぐわああああ!?」

752Mii:2019/01/03(木) 22:50:13 ID:73vyrrfQ
瓶詰妖精「」HELP!

ファイアロゼッタ「…………」

瓶詰妖精「」ア! イツゾヤノ オンナジャナイ! タスケナサイヨ!

ファイアロゼッタ(ニコーッ)

瓶詰妖精「」ナンカゲツ トジコメラレテルト オモッテルノ! タスケテッテバ!

ファイアロゼッタ「…………」

瓶詰妖精「」・・・タスケテ クレナイ?

ファイアロゼッタ「そのあと、1発殴ってもいいのなら助けてあげますよ?」ニコッ

瓶詰妖精「」ハア!? フザケテンノ!?

ファイアロゼッタ「えーっと、適当にマグマの海に放り込んでおきますか。
          どの辺がいいでしょうか…できるだけ熱くて、
          何かの拍子に沈んだ時のために深そうなところがいいですね」キョロキョロ

瓶詰妖精「」・・・・・・

ファイアロゼッタ「…………」

瓶詰妖精「」・・・タスケテ クダサイ

ファイアロゼッタ「わかりました」

753Mii:2019/01/03(木) 22:54:01 ID:73vyrrfQ
パリーン!

妖精「ふう、やっと出られたー!そして……トンズラよっ!べーだ!」ピューッ

ファイアロゼッタ「ふふふふ、そういうこと…」スッ

ファイアロゼッタ「すると…」カマエ

ファイアロゼッタ「――もっと、痛いことになります、よっ!」ブンッ

妖精「へっ?」クルリ



ゴオオオオオオッ!!



妖精「ぎゃあああああああ!?」ヒダルマ



ファイアロゼッタ「…というわけで、大変遅くなり申し訳ありませんが
         妖精をおひと方、救出いたしました。お返ししますね」

妖精(悪)「」プスプス

妖精(善)「…………あ、はい」ガクガクブルブル

ファイアロゼッタ(…ちょっとやりすぎてしまったでしょうか)

754Mii:2019/01/03(木) 22:58:30 ID:73vyrrfQ
ファイアロゼッタ「いろいろありましたが…3日足らずでWorld1をクリアしてしまいましたね…嬉しい予想外です!
          案外実力が付いているとか!…だと、いいですね。
          ではこの勢いで…World2に向かいましょう!          

          ……ただ、去年の11月のマリオの伝言に
    
               『絶対に2-2は挑むな』

          とあったのが気掛かりですが…そう言われると、却って気になる…」









〜WORLD 2-2 触って!吹いて!引き出し山脈〜

ファイアロゼッタ「…………」

プロペラリフト「…………」シーン

ファイアロゼッタ「…………え?あれ?あれれ?
         どこかに起動スイッチでもあるのでしょうか?探してみましょう」

755Mii:2019/01/03(木) 23:00:35 ID:73vyrrfQ
TIME UP!

TIME UP!

TIME UP!

TIME UP!

TIME UP!



2-2「ポイッ」

ロゼッタ「…………よぅし、このステージは無視しましょう!そうしましょう!
     ええ、それが賢明です!……マリオたちは一体どうやってクリアしたのでしょうか」ブルブル





〜マリオの家〜

マリオ「肩車からの仲間投げや仲間踏みで、残機犠牲にしつつ強引に突破したぞ。
    そのときの死亡は死亡回数にはノーカウントだ。
    あ、ちなみにからくり屋敷系統は単純に扉を蹴破った」

ルイージ「…いきなりどうしたの、兄さん?」

マリオ「いや、なんか呟かなきゃいけない気がしたんでな」

756Mii:2019/01/03(木) 23:02:59 ID:73vyrrfQ
〜WORLD2-5 ダブルチェリー峠〜

ファイアロゼッタ「…………」

ファイアロゼッタ「……………………」アトズサリ

ファイアロゼッタ「……………………」

ファイアロゼッタ「………………………………ひっ」アトズサリ



サワッ



ファイアロゼッタ(分身)「――!?ちょ、ちょっと何をするのですか!」

ファイアロゼッタ(本体)「え、わかっていますよね?あなたも私なのですから。
               では、引き続き……」

ファイアロゼッタ(分身)「わかっては、いますけど…頭では、理解していますけど…ううう…」カアァ

757Mii:2019/01/03(木) 23:04:47 ID:73vyrrfQ
ファイアロゼッタ(本体)「はい、顔」サワッ

ファイアロゼッタ(分身)「くすぐったいです…」

ファイアロゼッタ(本体)「次は胴体ですね」ペタペタ

ファイアロゼッタ(分身)「ひゃんっ!胸、触らないでください!」

ファイアロゼッタ(本体)「腕、脚――なるほど、順調に筋肉は付いていそうですね。
               中々自分では確かめにくいので」フニフニ

ファイアロゼッタ(分身)「――――っ!」カアァ

ファイアロゼッタ(本体)「では腰も……」ナデリ

ファイアロゼッタ(分身)「嫌…やめ、て……」カアアァァァ

ファイアロゼッタ(本体)「ふむ、この肉付きは…」ギュッ

ファイアロゼッタ(分身)「ストップ!ストップ!ストォーップですっ!!」カアアァァァ





ファイアブロス「なんかすごくエロい」

758Mii:2019/01/03(木) 23:07:09 ID:73vyrrfQ
ファイアブロス「あのー、さっきから何をやってるんですか?
          ステージの…いや、冒険のCERO上げたいんすか?」ジトー

ファイアロゼッタ(分身)「ううう、辱められましたぁ…」グッタリ ボワン

ファイアロゼッタ「…あ、消えてしまいました。よもやダメージ扱いとは、
          分かってはいましたが、よっぽど嫌だったんですね…尊い犠牲でした。

          中々、自分の体を詳細に、丹念にチェックすることって難しいので。
          でも、おかげで――だいぶ把握できました!」



ファイアブロス「…………変態?痴女?」ヒキッ

ファイアロゼッタ「違いますよっ!?改めて考えると説得力ないかもしれませんけど!

          …誤解を解くためにも、一度お見せした方がよいでしょうね。
          ディメーンが使っていた魔法の、応用版……!
          デイジー姫にお借りした漫画からヒントを得た、この魔法を…!
          形から入るために、印もしっかり、結んでですね…!」サッ



ファイアブロス「……印?」

759Mii:2019/01/03(木) 23:11:58 ID:73vyrrfQ
ファイアロゼッタ「いまは杖がないので、碌に強い状態にはなりませんが…参りますっ!

           Sランク空間魔法――
                  
                    実 分 身《リアルアバター》っ!」



ボカンッ!!





ファイアロゼッタ(副)「分身体、登場なのですっ!」シャキーン!

ファイアロゼッタ「……やりました!1発で成功です!」

ファイアブロス「おお!これって影分し」

ファイアロゼッタ「「実分身です」」

ファイアブロス「え、どうみても――」

ファイアロゼッタ「「実 分 身です」」

ファイアブロス「」

760Mii:2019/01/03(木) 23:16:41 ID:73vyrrfQ
ファイアロブロス「……じゃあ何が違うんですか?」

ファイアロゼッタ(副)「原作と違ってですね――」

ファイアブロス(原作とか言っちゃってるし)

ファイアロゼッタ「……ヒップドロップ!」クルリン ドシンッ!

ロゼッタ(副)「ふんぎゃぁ!痛いじゃないですか、いきなりっ!」ティウン ティウン ティウン

ファイアロゼッタ「まあまあ、これが一番説明が楽ですから」

ファイアブロス「はあ……………………」

ファイアブロス「…………!?」

ファイアブロス「あれ……!?ダメージを受けても、パワーダウンするだけ!?
         煙になって消えたりしないんですか!?」

ファイアロゼッタ「その通りです!この分身は、FPこそ本体に比べ削られていますが…
          本体とほぼ同等のHPを持ち、更に最大HP、最大FPは本体と全く遜色ありません!

          また、繰り返しの実分身を制限する…すなわち、同時に3人以上が存在することはないという制限こそありますが、
          基礎体力、魔法行使力などの行動制約も一切ありません!

          つまり、回復を欠かさないなどの措置をしてその気になれば…
          そのまま本体と同戦闘力の別個体として生き続けられるくらい頑丈です!
          一定時間の接触で本体と融合することもでき、その場合はそれまでの経験値を本体に還元できます!」ドヤァ

761Mii:2019/01/03(木) 23:20:27 ID:73vyrrfQ
…実は、若干誇張が入っています。

難解な数式の解法結果から導かれるため説明は割愛させていただきますが…
魔法の精度とは関係なしに、術式上…基礎体力レベルの終端点…成長限界があるため、
必ずしも同様に鍛えれば同戦闘力、とは限りません。

ただ、限界はLv.50くらいと考えられるため、私にとっては十分に余裕があると言えるでしょう。



ロゼッタ(副)「……あ、言ったそばから――消えちゃいますね、すいません」ポワン

ファイアブロス「…あれ?」

ファイアロゼッタ「……まあ、今の分身は杖がないせいで、生存最低限のHP、FPすら持たせられなかったので。
           時間で消えても仕方がありません。

           …しかし、杖さえ使える状況になれば!
           格好の特訓相手として、召喚することができるということです!
           中々便利だとは思いませんか?」

杖が使えて残機制でもある、というスマブラの舞台は、またとない機会です。
凄腕ファイターたちが戦う傍らで、応援がてらほんのすこしトレーニング会場をお借りして、
自分自身とひたすら戦えばいいのです!…………杖、使えますよね?

私としては、中々の作戦だと思っています。

762Mii:2019/01/03(木) 23:24:46 ID:73vyrrfQ
ファイアブロスは、少し思案した後、呟きました。

ファイアブロス「ふぅん…本体と分身のスペックは一緒、初期燃料の差だけってことですか。
        
         下手すると、分身体が本体を打ち負かして、なり替わりそうですね。
         この手の作戦のありきたりなオチだと思うんですけど…
         いやまあ、漫画やアニメの話なんですけどね?」

ファイアロゼッタ「!?」



ファイアブロス「せめて、区別はつくようにしておかないと…
        本体に従うことが馬鹿らしくなってきた分身体が、
        『自分が本体だ!あっちが偽物だ!』とか周囲に吹き込んで、
        大変なことになりかねませんよ?そのあたり、大丈夫ですか?
        いやまあ、漫画やアニメの話なんですけどね?」

ファイアロゼッタ「……………………だ、大丈夫ですよ!分身体は友達、怖くない!」ビクビク

ファイアブロス「大丈夫かなあ…」



とりあえず、他の人に紹介するとして…分身体ロゼッタ、では言いにくいでしょう。
フレンドロゼッタ?…なんだか、パッとしません。

仮案として、フランス語「友達」という意味を内包する…
「アミーボロゼッタ」と呼ぶことにしました。…かえって分かりにくかったでしょうか?

763Mii:2019/01/03(木) 23:28:18 ID:73vyrrfQ
〜WORLD3-4 ラブリーガーデン〜

ファイアロゼッタ「はあああああああああっ!」ガガガガガガガガガガッ

チャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリン……。
・・・・・・1 UP!

チャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリン……。
・・・・・・1 UP!

ファイアロゼッタ「私はっ!いつの間にかWorld3まで来ておいてっ!
         ゴール直前でっ!一体何をやっているのでしょうかっ!

         そこに無限コインがあるからっ!仕方がないですよねっ!
         なんだか――不思議なっ!魔力がっ!ありますっ!」ガガガガガガガッ

時計「残り10秒ッスよ!!!」

ファイアロゼッタ「何故かっ!すごく、愉しいのでっ!TIME UP覚悟で続けますっ!」

時計「!?」



TIME UP!

ファイアロゼッタ「うっ…でも、悔いなし…………わぁい、残機は増えた…」バタリ

764Mii:2019/01/03(木) 23:29:43 ID:73vyrrfQ
〜WORLD3-5 土管の入り江〜

ファイアロゼッタ「…………」キョロキョロ

水面「…………」

ファイアロゼッタ「……………………」スゥー



ザバーンッ!



ファイアロゼッタ「……………………」ブクブク

ファイアロゼッタ「…………………………………………」ブクブクブク

ファイアロゼッタ「――――――――っ!―――――――――っ!!」モガキ

ファイアロゼッタ「――――――――――――――――――っ!!!!」テンジョウ ナグル

ファイアロゼッタ「――――」ガハッ

ファイアロゼッタ「」チーン

765Mii:2019/01/03(木) 23:32:38 ID:73vyrrfQ
〜マリオの家〜

トゥルル トゥルル…。



マリオ「ん?こりゃあ珍しい、ロゼッタからじゃないか。……むしろ電話番号教えてから初めてかかってきたかな、はは。
     ……もしもし?マリオだが一体なんn」

ロゼッタ『マリオォ!お願いですっ!水の中で自在に泳ぎ回りつつ息を何分も持たせるには、
      どうすればよいのですかーっ!?お願いしますっ、ご教授ください!

      …あああ――水面恐怖症になりそうなのです!』ブルブル



マリオ「無酸素運動でも十分動けるだけの体力づくりと、気合と根性」ドーン

ロゼッタ『』

マリオ「あー、もう大丈夫か?悪いけど、ちょっとイベントが目白押しで、
     今もキノコ城に向かおうとしてたところなんだ。それじゃ!」ピッ



〜3-5ステージ前〜

ロゼッタ「…………………」

ロゼッタ「うわあぁん!!」ダダッ

766Mii:2019/01/03(木) 23:36:38 ID:73vyrrfQ
ロゼッタの 残機が 150 減った!▼



テーレッテレー!

ロゼッタの 基礎体力レベルが Lv. 18に 上がった!▼



ロゼッタの 残機が 95 減った!▼



テーレッテレー!

ロゼッタの 基礎体力レベルが Lv. 19に 上がった!▼



COURSE CLEAR!

ちびロゼッタ「ゴホッ! ゴホッ! …ふ、ふふ、水も滴る、いい、オンナ…
        じゃなくて、いい幼女、なのかな…

        ようやく、ゴール、ポストに、たどりつき、ました――
        溺死って苦しいなあ…脳に、ダメージ、残ってないかなあ……
        ファイアフラワー、ストックしなおそうっと…」ガシッ

767以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/04(金) 16:15:28 ID:3flpwl/I
謎の無限コインブロックほんとすき
3d出身だから水中で息できないのもしかたないね

768Mii:2019/01/06(日) 19:04:57 ID:La4Oau3Y
〜WORLD3-列車 突入!キラーエクスプレス〜

猫キラー「最近、ファイアボール撃ちまくって調子に乗ってるってぇ?
      奇遇だな、こっちも撃つのは得意だぜ、猫キラー砲台がなあ!」ゴオォォ

猫キラー「吹っ飛ばせー!かっ飛ばせー!」ゴオォォ

猫キラー「追尾するぜー!覚悟しやがれー!」ゴオォォ



ファイアロゼッタ(風切る高速列車という不安定な足場に、更にファイアの効かない猫キラーが多数――っ!?
           そして、高速列車である以上、ある意味当然ですが

           ここは『強制スクロール』…っ!

           こ、これはっ!?非常にまずい!今までの私のスタイルが全く通用しません!
           …仕方がありません、姑息な手段かもしれませんが…




            砲台ボックスの中に入って、身を潜めながら…ちまちまと進みましょう!
            よろしくお願いしますね、砲台ボックスさん!



            …ちょっと、重い、です、けど!)アセリ

769Mii:2019/01/06(日) 19:08:26 ID:La4Oau3Y
猫キラー「あり?アイツ、どこに行きやがった?」



ファイアロゼッタ(よし、こちらファイアロゼッタ!
          このまま、しゃがみ歩きする感じで列車先頭へ向かいます…)ソロリ ソロリ



猫キラー「なあ、あの砲台ボックス…歩いてねぇ?」ヒソヒソ

猫キラー「あぁ……青いボックスに紅いドレスがはみ出てるな」ヒソヒソ

猫キラー「身長が大きすぎて隠れきれないんだな」ヒソヒソ

猫キラー「阿呆だなあ、あっはっは」ヒソヒソ



猫キラー「「「「狙い撃ちだぁ」」」」ゴオオオォォ

砲台ボックス「!」ポロッ

ファイアロゼッタ「きゃああああああ!完璧な隠密作戦がどうして!?」タタタッ

770Mii:2019/01/06(日) 19:11:32 ID:La4Oau3Y
猫マグナムキラー「遊びは終わりだっ!」ゴゴオオオオオオォォォォ

ファイアロゼッタ「――っ!」



並行して走る列車から発射される巨体の弾丸に迫られ…心臓が止まりかけましたが、
なんとか段差を使ってやり過ごします。

…なにも障害物のない所で来られたら、避けようがなさそうですね。
…普通の猫キラーでダメージを受けるのなら、あれを正面から食らったら即死するのではないでしょうか。



思考を、5秒。

とりあえず、木箱の上にあらかじめ上がっておき、
迫り来たらタイミングよくジャンプして踏みつける、というのがベストでしょうか。

――よし、やってみましょう。

771Mii:2019/01/06(日) 19:15:27 ID:La4Oau3Y
猫マグナムキラー「食らえー!」ゴオオオオオォォォォォ

ファイアロゼッタ「えいっ」ポコッ



猫マグナムキラー「まだまだいくぜー!」ゴオオオオオォォォォォ

ファイアロゼッタ「えいっ」ポコッ



猫マグナムキラー「……諦めたら負けだー!」ゴオオオオオォォォォォ

ファイアロゼッタ「単体で襲ってくる分、却って楽ですね。それに…なぜか楽しい」ポコッ



猫マグナムキラー「……ちょっとは他の方法採ってくれない!?」ゴオオオオオォォォォォ

ファイアロゼッタ「猫キラーからの耐久アップもなしに倒されるパターンを作る方が悪いんですよ!?
          安全策があるなら貫くタイプなのでっ!」ポコッ

なんでしょう。最近、本当に体がしっかりしてきて。
多少俊敏なくらいな相手なら、しっかりジャンプ攻撃も決まるようになってきました。
案ずるより産むが易し、ですね。…まだまだ先駆者たちの背中は遠いですが。

そうこうしているうちに、列車の先頭はもうすぐです!

772Mii:2019/01/06(日) 19:24:53 ID:La4Oau3Y
土管を潜った先…六角形の畳が敷き詰められる部屋にいたのは、
リボン付きの刃鋭い武器が特徴の、カメ族の女性でした。



ファイアロゼッタ「あ、マリオ達から聞いて知ってます、貴方のこと!たしか名前は――」

プンプン「ウェンディですね…とか言ったらコイツで八つ裂きにするわよ」

ファイアロゼッタ「……………………さあ、いざ尋常に勝負と行きましょう!」

プンプン「図星なのね、あっそう!一応言っとくとプンプンだからね!」プンプン

ファイアロゼッタ「…それは名前が、という意味ですか?それとも怒りの表現…」

プンプン「名前が、に決まってるでしょーが!!」

ファイアロゼッタ「…はて。しかしですね、先日お会いしたブンブンは、
           激しく腕を振り回すからブンブンという名前なのでは」

プンプン「そこは突っ込まんでよろしい」キリッ

773Mii:2019/01/06(日) 19:27:23 ID:La4Oau3Y
彼女…いえ失礼、プンプンが改めて掲げたるや、赤くて大きな手裏剣。
対角線で言うなら1 m以上ある、かなり大振りの一品です。鋭い刃がキラリと黒光り。
ああ、すごく切れそうですね。

隠すようなこともせず、私に狙いを定めたぞ、と言わんばかりに翳して見せます。
牽制のつもりでしょうか。





とりあえず離れたところから様子を見て、手の内を探ろうとしたとき――

せっかく構えた手裏剣を一度しまって、印を結ぶプンプン。
……印、ですか!?なんだか、最近自分でも経験があるんですけれども!





プンプン「私の忍術に、付いて来られるかしら…

                         分身のぉ、術っ!」カッ

774Mii:2019/01/06(日) 19:30:35 ID:La4Oau3Y
ボワン!ボワン!

ファイアロゼッタ「おおおおー」パチパチ



彼女の術式は見事にその役目を果たし、彼女自身の分身を2体も作って見せました。

ファイアロゼッタ「これは素晴らしい出来です。
          作る前に、本人も煙と化して潜伏しつつ移動、
          ランダム性を相手に強いる所も何気に憎い評価点です!」

褒められて悪い気はしないのか、すこし嬉しそうな3人のプンプン。



なお、偽物の色が薄かったり、手裏剣の色が暗かったりして一目瞭然…なんてことは全くありません。
当たり前ですけれどね。…私は何を馬鹿なことを言っているのでしょう。

…もっとも、私は本物を見抜いているのですが。情報は隠しておきましょう。



計3人となったプンプンが包囲網を作り、私をじりじりと部屋の隅に追いやります。
う、ちょっと忍術に見とれてしまっていました。速やかに策を講じなければなりません。
とりあえず、いつものようにファイアボールで先制攻撃、と行きたい所!

775Mii:2019/01/06(日) 19:33:54 ID:La4Oau3Y
とりあえず、見抜けていないふりをして…振りかぶり、思いっきり投げてみます。



プンプン2「おっと。…これが、なんなの?」ニヤリ



ところが、なんということでしょう。
軽い身のこなしで、純粋な体術で…いとも簡単にかわされてしまいました。
…鼻歌が聴こえてきそうです。相性、最悪ではないですか。とうとう、現れてしまいましたか…!

ロゼッタ「うそ…………」

プンプン1「挑戦者がいない間の時間つぶしに、結構鍛錬してたんだから…」チッチッチ

プンプン2「ちょっとだけ本気を出すだなんて…悠長なことはしないわよ?
      最初からフルスロットルで行くから」

プンプン3「覚悟しておきなさい?…でないと、痛い目、見ちゃうかもね」

ファイアロゼッタ「…………」ジリッ

なんだか…空気に飲まれて、たちまち様子見モードに入ってしまった自分がもどかしい。



3人ともが、手裏剣を高らかに掲げて、そして後ろ手に、いよいよ投げのポーズに…。
完全に後手を引きました。こうなったら、開き直るしかありません。

776Mii:2019/01/06(日) 19:36:35 ID:La4Oau3Y
ファイアロゼッタ(とりあえず、1投…いえ3投、ですか。投げさせて情報を得てみましょうか…)

私はそう、身構えて――――。





ザンッ――――。







ファイアロゼッタ「」ツー

ロゼッタ「」ティウン ティウン ティウン

ちびロゼッタ「」ティウン ティウン ティウン

ちびロゼッタ「」チーン

プンプン「…なにそれ、詰まんないの」ガッカリ



――プンプンのつぶやきが、私に届くことは有りませんでした。

777Mii:2019/01/06(日) 19:41:13 ID:La4Oau3Y
3-列車「ポイッ」

ロゼッタ「…………」ウプッ



――とりあえず、一言。
脳天に手裏剣を深々と刺される疑似体験をして、
吐かない人がいたらぜひとも見てみたいと思いました。

私の場合は特に、目の前に凶器が飛んできてスロー体感を味わうのは…
いい加減こりごりです。



ロゼッタ「…………」ガクブル

ロゼッタ「…あれ、は。私では、避けられない」ガクブル



それとは別に、大問題。
ここにきて、速度インフレが、無慈悲にも起きようとしています。
時速150 km超えの飛び道具を繰り出されるとは…思いもしませんでした。
…いやまあ、今の私の球速も劣りはしませんが。
大きさが、威力が違いすぎるでしょうに。

あんな攻撃を、3方向から。
直線にしか飛ばないなどという事実は、慰めにもなりません。
途轍もない強敵であることを理解しました。

778Mii:2019/01/06(日) 19:43:15 ID:La4Oau3Y
ロゼッタ「……はは、どうしろと、いうのですか。
     まあ、World3なのですし、諦めればいいですよね――
     とうとう貯金を使い果たし、越えられない壁にぶつかった。
     それだけの、ことなのですから」ガク… ブル…



ロゼッタ「…………」

ロゼッタ「……………………」



ロゼッタ「…………………………………………この流れももう、うんざりですね」ハァ

ロゼッタ「…………というわけで、今日はさっさと寝て。
     気が向いたら、明日再挑戦しましょう」ケロリ






ロゼッタの 致死寛容レベルが Lv. 21に 上がった!
残機がある限り 致死・致命傷の精神負担に対し + 20%鈍感化!
用法・用量を守って 正しく レベル上げしてください▼

ロゼッタ「では夕食の支度をしますかぁ」トットットッ

779以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/07(月) 00:02:13 ID:ksQz0rgY
変な方向に成長したら残機がある限りの文字がなくなってマイナススキルになりそう…

780Mii:2019/01/09(水) 23:37:08 ID:sdRYBs0.
日を改めまして。

幸か不幸か、あんまり精神ダメージが残らなかったので…
ファイアフラワーを取ってきて、予定通り、もう一度挑戦です。

ベル?このは?そんなものに出番はありません。あしからず。



ここを突破して、意気揚々とスマブラ会場に向かうというのが
ベストではないでしょうか。ね?



数の多い猫キラーたちは、砲台ボックスの犠牲までで切り抜けて。
猫マグナムキラーは慌てず騒がず、パターンに嵌めこんで処理をして。
決戦の時までに、ダメージを受けているようではいけませんから。

プンプン「へえ、また手裏剣の錆になりに来たの?根性だけはあるみたいね」

ファイアロゼッタ「そう言っていられるのも今のうち…リベンジです!」グッ



プンプンが笑みを浮かべて、また印を結び始めて――バトル開始。

781Mii:2019/01/09(水) 23:40:26 ID:sdRYBs0.
しかし。私は、動けません……いや、動きません。



プンプン「分身の術っ!」



ファイアロゼッタ(1, 2, 3,…………)





なるほど。観察に徹することで――ちょっとだけ、わかってきました。
あくまで彼女の本当の強みは、鍛えられた肉体による俊敏な身のこなしと強肩。

そう。プンプンには大変失礼かもしれませんが、忍術に関しては…
扱いが器用ではありますが、決して高ランクの空間魔法ではありません。

それでいて、使用前後には動きが数秒、極端に鈍くなって隙ができる。
つまりスペックの限界近くをひねり出して、なんとか術を維持しているという感じです。



私ならば…数段ランクの高い実分身でも、宣言即発動、即行動再開ができます。
これはまさしく空間魔法の実力差というものですね、えっへん。
…じ、自慢じゃないですよ!?

782Mii:2019/01/09(水) 23:42:36 ID:sdRYBs0.
普通ならば本体の見極めを相手に強制させることで、
動きが鈍い時間をカバーできていることになるのですが。私には通じません。

つまり、分身の術が発動し始めたら速やかにファイアボールの準備に入って――
煙から本体が出現したのを察知し次第、手裏剣を投げる隙を与えず、思いっきり投げればよいのですね。
ええ、それでは…自分の考察を信じて、やってみましょう!!





――次の挑戦からは。
――とりあえず今回は観察に徹していたため、
   完全に手裏剣構えまでの動作をフリーにさせてしまいましたよ、うわぁい。



プンプン「「「てやっ!」」」シュッ!

ファイアロゼッタ「え、えいっ!」ブンッ!



幸い、手裏剣の軌道は直線。
ならば、ファイアボールで迎え撃ち、ちょっと逸らすくらいならば……!

783Mii:2019/01/09(水) 23:45:09 ID:sdRYBs0.
シュパッ!グサァッ!



あらあら、やっぱり無理でしたか。一瞬でかき消されちゃいましたよ。
質量差ありすぎですもんねー、手投げになちゃいましたし、ますます無理ですよー。
というより、なにより2つ分はそのまま食らいますしねー。
――ああ、意識が薄れて、くる、なあ。

ちびロゼッタ(どうして頭、ねらうか、なあ……
         それとも今回は、ファイアボールの軌道に、合わせただけ、かあ)チーン







ファイアロゼッタ「三度目の正直、ですっ!」ズサー!

プンプン「あ、アンタも中々タフね…ちょっと引くわ…。
     でもまぁ、返り討ちにしてあげるだけね」

ファイアロゼッタ(今度こそ…眼に物を、見せてくれます!)

784Mii:2019/01/09(水) 23:47:38 ID:sdRYBs0.
そう、今度はしっかり作戦があるのですから。
プンプンの分身に合わせ、狙い定めてファイアボールを……!



ところが、私の目論見は――

プンプン「運動神経がいいってことはね……こういうことも、できるのよ!」ダッ

ファイアロゼッタ「!?」



印を結び忍術を使うそぶりを見せて…フェイント!?
1人のまま、中々の速さでこちらに急接近。
頭が真っ白になりながらも、その場を飛び退いて辛うじてかわします。



――否。酷い体勢でバランスを崩したところに、今度は手裏剣が!?



ファイアロゼッタ「ひぃっ!」シャガミ

冷徹に頭を狙ってくるだろうとヤマを張って、しゃがみ込む。

…勘が正しかったですね。手裏剣は頭上をすり抜けていき、壁に深々と刺さりました。
ザクッ、と身の毛もよだつような音を出して。

785Mii:2019/01/09(水) 23:49:58 ID:sdRYBs0.
しめた。これはチャンスです。
手裏剣がなければ、直接攻撃だけ気にすればいい。
手投げファイアでもいいので、近づいてきたところを反撃です!



そう閃いて、振り返り――



プンプン「戻ってきなさーい!」バッ

手裏剣「はいよー」シュン

プンプンの手には、再び手裏剣が。





ファイアロゼッタ「…………は?」

プンプン 「はい、二度あることは三度ある」シュッ

ファイアロゼッタ「はぅわ」グサー

786Mii:2019/01/09(水) 23:51:58 ID:sdRYBs0.
プンプン「…………………………」

ファイアロゼッタ「ふふふふふ、ようやくわかりました!」ニコニコ

プンプン「……へえ、それで。四度目の正直とやらのために、一体どんな作戦を立ててきたの?」

ファイアロゼッタ「いえ、作戦と呼べるような作戦は、なーんにも」

プンプン「…へ?」



飛び道具の威力で負け。
直接対決のスピードで負け。
時間を掛ければ、人数の差で負け。
駆け引きをすれば応用力で負け。

要は、あれです。
1%くらいの、私が勝てる要素があるとするなら。



ファイアロゼッタ「思考停止を代償に怒涛のペースでファイアボールを最初から最後まで投げ続け、
          手数の差を主張すればいいのですよっ!行きますよっ!」ブンッ

ゴオオオオオッ!  ズバァーン!



うん。気持ちよいファイアボールの音を、うなりを、噛みしめます。

787Mii:2019/01/09(水) 23:54:48 ID:sdRYBs0.
プンプン「はああああ!?なによそれ!?おまけに私にばらすなんて馬鹿なの!?」

ファイアロゼッタ「いいんですよっ!作戦なんてないようなものですから!」

隙は作れないかもしれませんが…とりあえず、分身の術を使わせない効き目は有るでしょう。
あとは、「相手はいつでも接近戦を仕掛け得る」と頭に入れておくことが大事ですね。
手投げへの緊急変更を意識、意識!



ゴオオオオオッ!  ズバァーン!

プンプン「だーかーらー!」ヒョイッ



ゴオオオオオッ!  ズバァーン!

プンプン「こんな速度の攻撃、じゃあ……」ヒョイッ

ファイアロゼッタ(……くっ、本当に敏捷ですね!)



ゴオオオオオッ!  ズバァーン!

プンプン「避け放題、だっての!!」ヒョイッ

ファイアロゼッタ(一応、時速155 kmくらいは出てるんですけどね!)アセッ

788Mii:2019/01/09(水) 23:58:41 ID:sdRYBs0.
それでも、ひたすら、脳筋スタイルで投げ続けます。
誰だって完璧ではありません、見誤るかもしれないし、足を滑らせるかもしれない。
それを願って、ただひたすら。

…しかし、その行動は、却って――投球のタイミングを、
プンプンに完全に盗ませることになった、ようでした。

20球くらい投げたところで。目を細め、ニタリと笑うプンプンが手裏剣を構える。
――構えを解かせられるタイミングでは、ない!

慌てて危険を察知し、手投げで応戦するも。一向に構われず、投げられる――っ!
力ないファイアボールなどあっさりと消し去られて、手裏剣が迫り来る――っ!





ファイアロゼッタ(今度は、頭狙いでは――ないっ!?)





身を屈めようとするのを読まれたか、あるいは単に先ほど屈んだからなのか。
眼を見開くくらいしかできない。――避けようが、ありません。

腹部に手裏剣は深々と刺さり――
勢い止まぬまま、すぐ後ろの壁に、私をグサリと縫い付けたのです。

789Mii:2019/01/10(木) 00:01:37 ID:xEk7nrJ6
ロゼッタ「か、はっ……あ、あ――」ティウン ティウン ティウン



激痛とともに、鮮血が口から、腹部から。



プンプン「はい、三度あることは四度あるー!」

ロゼッタ「………………………くぅっ!」ブシュッ



――私は、ただ必死にもがいて踏ん張って、手裏剣をお腹から抜くだけ。
それがかえって災いし、さらに血は勢いを増し、ドクドクと流れ出します。
乱暴に投げ捨ててカランと音を立てた手裏剣は、ほどなくプンプンの手元に戻ります。

顔はみるみる青白く。目は光を失っていくことでしょう。



ちびロゼッタ「――――だめ、だったかあ」フラッ

790Mii:2019/01/10(木) 00:04:07 ID:xEk7nrJ6
プンプン「また来なさいよ、挑戦はいつでも受け付けるからねー!」クルリ

糸が切れたように――小さな私の体が前に倒れ込もうとするのを見て、
プンプンは踵を返し、手をヒラヒラと振って見せて……。





――私の右手に、掴むもの、有り。





ボンッ……!!





ファイアロゼッタ「ストックフラワァーッ!!」ダタダダッ!!





ボンッという音に驚いて、こちらを振り向いたプンプンが見たもの、それは。
真紅の衣装を再び身に纏い、助走を付けて大きく振りかぶる私、でした。

791Mii:2019/01/10(木) 00:07:02 ID:xEk7nrJ6
ゴオオオオオオオオッ!!!  ズバアアアアァァン!!



プンプン「きゃあああっ!?」ガンッ!



ファイアロゼッタ(当たった……当たりましたっ!しっかりダメージも与えています!
           やった、助走も付けると威力が違いますね!)



そうです。やはり、間違っていませんでした!

ファイアロゼッタ(あと、少し!あと少し、速度があれば、届くっ!)

そのことが、私に勇気を与えてくれます。



プンプン「やったわね!騙し討ちみたいなこと、してくれちゃって!もう許さないんだから!」プンプン



プンプンの言葉には耳を傾けず、ただ、ただ、投げる!!

792Mii:2019/01/10(木) 00:09:49 ID:xEk7nrJ6
ファイアロゼッタ「はっ!!」ブンッ

ゴオオオオオッ!!   ズバアァーン!!

プンプン「だから、同じこと言わせないでよ、もー」ヒョイッ



――ファイアボールを、怖がるな。
――もっとしっかり、燃え盛る火の球を、握り締めろ。
――熱いだなんて、言わせません。全身全霊、注ぎなさい!

――今までで一番強く握りしめたファイアボールは…不思議と、熱く感じませんでした。



ファイアロゼッタ「フンッ!!」ギュルッ ブンッ

ゴオオオオオオッ!!   ズバアアァーン!!

プンプン「そんな攻撃、何回やったってねぇ」ヒョイッ



ファイアロゼッタ「ハアァッ!!」ギュルルッ ブンッ

ゴオオオオオオッ!!   ズバアアァーン!!

――――もっと、もっと、速く!
――――――――まだまだ、速く!相手にしかと、当たるまで!

793Mii:2019/01/10(木) 00:13:36 ID:xEk7nrJ6
プンプン「効かないって言ってるでしょ?スタミナが勿体ないわよ!」ヒョイッ







ファイアロゼッタ「ハアアアアァァーッ!!」ギュインッ!!









テーレッテレー!

ロゼッタの 基礎体力レベルが Lv. 20に 上がった!▼

794Mii:2019/01/10(木) 00:14:43 ID:xEk7nrJ6
ゴオオオオオオオオオオオオッ!!!!





ファイアロゼッタ「――!?」





私の手から離れたファイアボール…いえ、「弾丸」は。





プンプン「どこ狙ってるのよ、すっぽ抜けたわよぉ?」ニヤニヤ





明後日の方向に、飛んで行き――
壁にめり込んで、プシュー、と煙を上げました。

795Mii:2019/01/10(木) 00:17:17 ID:xEk7nrJ6
プンプンの笑いなど、耳に入ってきません。
まじまじと、投げた右手を見やります。
少し赤くはなっていますが、大してケガ・火傷の様子はなく。





私はたった今、何をした?





ファイアロゼッタ「……………………」

ファイアロゼッタ「は、ははははははははは……そういう、ことなのね。
          いよいよ最低限の筋肉が、体力が付いたから…投げろってことね。
          あとは任せて、今度からは――外さない」

左手で、ポンポン、と右肩を労います。

プンプン「はあ?何を言っているの?」



私は…おもむろに振りかぶる。

796Mii:2019/01/10(木) 00:20:50 ID:xEk7nrJ6
――体捌き、腕の振り、握り方、リリースポイントを微調整。



ゴオオオオオオオオッ!!! ズバアアアァァーン!!!



プンプン「……!?」ビクッ


プンプンが、ギギギ、と振り返り、壁にめり込む火の球を信じられないように見やります。



ファイアロゼッタ「今のは、調整がてら速度を抑えました。
          ――我ながら、いいコントロールです。
   
         さあ、次を躱せるでしょうか」

プンプン「な、なんなの、今の!?」

たちまちプンプンが慌てていますが、後の祭り。

私は、再度振りかぶる。……できる限りの速度をもって――っ!
さあ、倒される準備、できましたか――

797Mii:2019/01/10(木) 00:22:47 ID:xEk7nrJ6












ファイアロゼッタ「Gyro Fire《ジャイロファイア》――ッ!!」ギュインッ!!

―――――速度 +30%ボーナス!
――――減速度  50%軽減!

ゴオオオオオオオオオオオオオオッ!!!

プンプン「きゃあああああああああああ!!」ドッカーン!!





「 2 回 分 」当たった!▼

798Mii:2019/01/10(木) 00:26:15 ID:xEk7nrJ6
ファイアロゼッタ「さ、さすがに肩が痺れますね…ですがっ!
          どうやら……時速208 kmくらい出ていますね。
          おまけに…凄く伸びています!」



――サヤカ。指切りした約束、どうやら守れたみたいですよ?
   そして…ありがとう。



天井がありますが、顔を上に向け、握りこぶしを小さく掲げてみせます。



ファイアロゼッタ「さあ、プンプン!
          ブンブンとの戦いで知っていますよ、3回ダメージを与えなければいけないことを!
          時計を気にしつつ、最後の1発も、当てて見せます!





          ……あれ?プンプンはどこですか?」キョロキョロ

799Mii:2019/01/10(木) 00:29:15 ID:xEk7nrJ6
こうして――私のWorld3の攻略は終了しました。



瓶詰になっていた妖精さんはまた逃げたので、
ジャイロファイアをお腹目がけて……投げるのは流石に可哀想だったので
普通のファイアボールを投げつけておきました。よかったですね。

…なんだか、1人目、2人目、3人目と経るに従って
黒焦げ度が格段に増している気がしますが、きっと気のせいでしょう。





1人目の悪戯妖精が「5人目あたりから死んじゃう…」とメソメソしていましたが
だったら普通に殴られればいいのに。うふふ。

800以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/10(木) 13:47:55 ID:QH5j22oU
ついにヒップドロップくらいの威力が出るようになったのか(3dワールドではヒップドロップでも1回分だった気がするけど)

801以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/10(木) 21:54:02 ID:vzhNs9Xw
2-6〜3-3はカット?

802Mii:2019/01/21(月) 23:02:31 ID:r7VXAmD2
さて。スマブラ会場に向かう前に。
当然一度は帰りましょう、私の…私たちの家へ。

…無責任な管理者に、みんな、愛想を尽かしていないことを祈って。
後ろめたい気持ちから、そーっと、そーっと。

でも、私の隠密行動はいい意味で終わりを迎えます。
ワープボックスをくぐって幾ばくも無いうちに…

ポスン、と頭に、胸に、背中に。どんどんチコたちが抱き着いてきます。



チコ「わあっ!ママだ!お帰りーっ!!」

チコ「おかえりー!!」

チコ「やったぁー!ママが、ママが帰ってきたぁー!!」

ロゼッタ「……ただいま。みんな、元気にしてたかしら?」

チコ「うんっ!」



感動の再会、いいものですね。
留守中、よくほうき星を守ってくれました。

803Mii:2019/01/21(月) 23:05:13 ID:r7VXAmD2
暫く抱き着いたチコを順番に撫でていると、チコたちがゆっくり離れていきます。
そんな、すぐに離れなくてもいいのに。クスクス…。



さぁて、久しぶりに、みんなに星くずパンをたくさん、たっくさん作ってあげましょう。
静かに微笑みながら、フェアリーランドに持ち込んでいたそれなりの量の手荷物片手に、
意気揚々とキッチンに向かおうとして――







チコ「ママ、ちょっと臭い」ススス

チコ「ほんとだ、なんか臭う」ススス

チコ「埃っぽいというか泥臭いというか。お風呂入ってた?」ススス

ロゼッタ「え゛」ガシャーン



荷物を手から滑らせるほどの…容赦ない言葉に襲われました。
え?ええ!?嘘ぉ!?
この格好で普通にテクテク歩いて帰ってきたんですけどぉ!?
そ、そういえば、すれ違う妖精たちが妙に顔を背けていたような!?

804Mii:2019/01/21(月) 23:06:46 ID:r7VXAmD2
ロゼッタ「…臭い、のね。自分じゃ分からなかったわ、そんなこと。
     そういえば…プンプンを倒してから今現在に至るまでの間は、
     1回も浄化の魔法で体を清めてなかったんだった…。
     女性として失格ね、あは、ははは…」ガクッ



浄化の魔法があれば野宿もへっちゃら!と偉そうにしていた過去の自分に
ジャイロファイアをクリンヒットさせてやりたい気分です。



ロゼッタ「…せっかくだし、お風呂、先に入ってくるわ」トボトボ

チコ「ボクもはいるー!」

チコ「ボクもー!」

ロゼッタ「別に構わないわよー……」トボトボ

805Mii:2019/01/21(月) 23:10:25 ID:r7VXAmD2
チャポン――

ロゼッタ「…ふう、浴槽の中はやはり違いますねー、休まります」

ひととおり体を洗い、湯に浸かる。眼を閉じて、こじんまりとした浴槽で鼻歌気分。
ピーチ姫の所有する湯船に比べれば大したものではありませんが、極楽です。



…おっと。変な描写でCEROは上げさせませんよ?ふふふふふ。



ロゼッタ「もう少し、熱くてもいいですね」

より心地よさを上げるため、ポチポチっと…設定温度を上げました。







ロゼッタ「……………………うーん」

チコ「おっふろー、おっふろー、おーふーろー……あれ?どうしたの?」

チコ「…??」

806Mii:2019/01/21(月) 23:11:46 ID:r7VXAmD2
ポチッ ポチッ ポチッ…。

ロゼッタ「…どうも、温度制御機能が壊れちゃったみたいだわ。
     あなたたちは触ったことがほとんどないから、よくわからないと思うけれど。
     ピーチ姫が導入してくれた機器がそうそう壊れるとは思えないのに」



――「人間はねえ、よりよい幸福を目指してこそ強くなるのよ!」
――以上、談:ピーチ姫でした。



チコ「お湯が熱くならないってこと?そんなに温いの?」

ロゼッタ「ええ、もうちょっと熱い方がいいのだけれど…我慢するしかないみたいね」チャプン

チコ「…へぇ――」チャプッ

チコ「どれどれ――」チャプッ

807Mii:2019/01/21(月) 23:16:17 ID:r7VXAmD2







ロゼッタ「表示だと『60℃』になってるのに…」






チコ「ぎゃー!?」ピョンッ

チコ「あっつぃ!?普通にあっつぃよ!?」ギャア

ロゼッタ「またまたー、そんなわけないじゃない」ウフフ

チコ「ホントにホント!!」

チコ「ただの熱湯だよこれ!?」





ロゼッタ「…………え?」

808Mii:2019/01/21(月) 23:18:13 ID:r7VXAmD2
お風呂から上がって、久しぶりの寝間着に着替えて、暖炉の元へ。

おっかなびっくり、手のひらを少しずつ近づけて――

静かに赤く燃えながらパチッとはじけている薪に、ピトッとタッチしてみます。



5秒。

10秒。

30秒。



ロゼッタ「……ちょっと、熱い」

――いつの間にか、炎耐性がちょっと付いたみたいです。
――ファイアボールを投げ続けたことからすれば、ある意味当然ではあるのでしょうか。

そんなこんなで、すこし嬉しくなりつつ、スマブラへの用意を着々と進めていくのでした。





ロゼッタ「……って、それでは今後どうやって熱いお湯に浸かればよいのですか!?
     私、もともと熱めのお湯が好きだったんですけど!?」

809Mii:2019/01/21(月) 23:20:27 ID:r7VXAmD2
〜9月1日   スマブラ開幕まで あと12日〜







さて 今日は・・・
『星へのねがい』のお話を しましょう

とお〜い とお〜い 空の上
その はるかはるか かなたに
ロゼッタという女性と星の子たちのすむ星が あるそうです

星のてっぺんの 天文台には
みんなのねがいを かなえる力をもった
『ロゼッタのつえ』という たからものがあり

ありがた〜い 7個のグランドスターによって
たいせつに たいせつに
まもられているといいます

810Mii:2019/01/21(月) 23:21:58 ID:r7VXAmD2
そして・・・おや!?
だれです? かってに はいりこんだのは!

クッパ「ハ〜イ ワガハイデース!ガッハッハッハッハッハッハ〜!!
    にっくき マリオを やっつけるため
    『ロゼッタのつえ』は ワガハイが いただくのだ〜!
    やれ〜!カメックババ!!」

ロゼッタ「あららら そんな!!」



クッパ「さっそく つえを つかわせてもらおうか!」

ロゼッタ「ああ! やめなさい クッパ!!
     つえを かってに つかわないでっ!」

クッパ「ガッハッハッハ!…む?」ピカッ…!



ドカーン!



クッパ「うわあぁぁっ!」

ロゼッタ「」

811Mii:2019/01/21(月) 23:23:49 ID:r7VXAmD2
クッパは すれちがいざま つえを ひったくったは いいものの
とりあつかいが ひじょうにむずかしく
ぼうはつさせて だいばくはつをおこしてしまいました



ロゼッタ「あっ・・・」



なんということでしょう
つえは クッパといっしょに おっこちて しまいました
ばくはつのせいで グランドスターまで ちりぢりばらばら
そして、ロゼッタほんにんも・・・



星の子が みんなのねがいを とどけにきましたが
もう ねがいは かなわなくなってしまいました

812Mii:2019/01/21(月) 23:26:12 ID:r7VXAmD2
いっぽう ここはキノコ王国
キノピオたちが せいかつしている 国です

1人の配管工が おさんぽ中
けさは とっても よい天気です



マリオ「んっ?」

ロゼッタ「ふぎゃっ!」ドッカーン



なんと そらから ロゼッタが
配管工の 目の前に おちてきました

星の子たちにまもられながらも まんしんそういでしたが
1 UPキノコのおかげでどうやら ロゼッタは ぶじなようす。
よかった よかった。

ロゼッタは 礼もそこそこに
起きたことをひっしに説明しはじめました。
どうやら これは“じけん”のようです。
みんなのねがいが かなわなくなってしまうかも?

だけど配管工、ちんぷんかんぷん。
なかまと そうだんすることにしました。

813Mii:2019/01/21(月) 23:29:40 ID:r7VXAmD2
なかまのところへ向かう配管工ですが
どうにかなるさと きらくなようす。

しかし クッパの手下のカメックたちは 王国じゅうで
つえの使い手であるロゼッタの ゆくえを追っています。

はたして配管工とそのなかまたちは
おたがいのきずなでたすけ合い とくちょうをいかしあって
ぶじ ロゼッタのつえとグランドスターを元のばしょに戻せるのでしょうか・・・

814Mii:2019/01/21(月) 23:32:17 ID:r7VXAmD2
(暗転)

「俺がいなくちゃ 始まらないでしょ!」
マリオ! ペラペラ、次元ワザ!           \MARIO!/

「高い壁でも ひとっ飛びさ!」
ルイージ! ビヨーン、ハイジャンプ!        \LUIGI!/

「浮いてりゃ どうにかなるものよ!」
ピーチ! フワフワ、宙浮遊!            \PEACH!/

「邪魔な敵は 排除しますね!」
ヨッシー! ペロリン、タマゴ投げ!         \YOSHI!/

「力こそが 正義だよな!」
ワリオ! バキボキ、ブルダッシュ!        \WARIO!/

「綺麗な薔薇には 棘があるのよ!」
デイジー! ヒラヒラ、花吹雪!           \DAISY!/

「悪いな 俺様アマノジャクで!」
ワルイージ! ジャジャーン、イリュージョン! \WALUIGI!/

「キラキラ落としを お返し致します!」
ロゼッタ! キラキラ、流れ星!         \ROSALINA!/

815Mii:2019/01/21(月) 23:33:18 ID:r7VXAmD2
仲間を増やして 先へと進め!

リーダーとサブは自由に選べる!

謎解き1人で、バトルは2人で!

28通りのタッグアタック!

勇気と知恵と優しさで 大魔王クッパに立ち向かえ!



〜PAPER MARIO GALAXY  20XX年12月3日発売予定!〜

早期購入特典は マリオストーリーとヨッシーアイランドのダウンロード版!









デイジー「…みたいなゲームがあったらバカ売れすると思わない!?」

任天堂スタッフ「…いきなり押しかけてきて何を言っとるんですかアンタは。
         ご丁寧に紙芝居まで作ってきて」

816Mii:2019/01/21(月) 23:36:03 ID:r7VXAmD2
デイジー「だってだってー!なんで、どうして!私、スマブラに出られないのよおぉぉ!
      もう…開き直って妄想して、貴方たち相手に時間を潰すくらいしかすることがないじゃない!!
      今回はしっかり仕事を終えてきたのよぉ!訴えてやる!」ジタバタ



スタッフ「3Dワールドで企画を蹴ったことに対するペナルティに決まってるでしょ」

デイジー「……やっぱり?」

スタッフ「ええ、やっぱり」





デイジー「あはは、そっかぁ……………………で納得できるかあ!!!!!」

スタッフ「自業自得でしょうに!」

デイジー「私、帰る!」ダダダッ

スタッフ「はいはい、さっさとお引き取り下さい」



デイジー(……こうなったら、何としてでも会場に潜り込んでやるんだから!)

スタッフ(…みたいなこと、どうせ考えてるんだろうなあ。やれやれだぜ。
     って、紙芝居は持って帰れよ!ワザとらしい主張しても捨てるだけだぞ!)

817Mii:2019/01/21(月) 23:38:00 ID:r7VXAmD2
〜サラサ・ランド〜

デイジー「……………………」モクモク

デイジー「……………………」チマチマ

デイジー「……………………」モクモク

デイジー「……………………」チマチマ



大臣「で、デイジー様が遊びにも行かず黙々と作業をされている、だと――」ガクブル

大臣「天変地異の前触れか……!?」ヒソヒソ

メイド「ただ――執務とは全然関係ないみたいですけれどね」

大臣「あ、やっぱりか。……いやいや、それでも!
   椅子に座っての集中力が5分と持たない今までに比べれば、大進歩だ!
   これを序章に、きっかけにして真面目に働いて頂けるかもしれん!」

メイド「そうでしょうか……?期待するだけ損なのでは…」

818Mii:2019/01/21(月) 23:42:40 ID:r7VXAmD2
〜3日後〜



大臣「デイジー様があれから一切お休みになられていないようだ」ガクガクブルブル

長官「」

占術師「」

料理人「」

教育係「」

庭師「」

医師「」

居合わせた泥棒「」

兵士「…サラサ・ランド、終わるのか?うそ、だよな!?
    なんだかんだ、俺、この国、好きだったのに……!ちくしょう……」ポロポロ

メイド「そうかもしれないわね…っ!私まだ、死にたく、ないっ…!」ポロポロ

819Mii:2019/01/21(月) 23:49:47 ID:r7VXAmD2
デイジー「くっくっくっくっく……フハハハハハ……!
     慣れない裁縫に四苦八苦し、苦難に苦難を乗り越え、完成した――
     正体を隠し、颯爽と登場できる、私の、私による、私のための衣装が…!」



ファサッ――



デイジー(覆面、奇抜な衣装、インパクトはバッチリ!観客の目を釘付けよ!)

???「アタシは サラサ・ランドに忠誠を誓う 期待のニューフェイス
    『ユズ色の貴婦人』こと…」





ミスD「『ミスD』ィ!」ババーン!





ミスD「おっと このキュートな名前を覚える必要はなくてよ?
     なぜなら貴方たちはここで宇宙のもずく…じゃなくて
     もくずになっちゃうんだからね! お覚悟をっ!」 シャキーン!

ミスD「……正直言って恥ずかしいけど、ばれなきゃいいか」

820Mii:2019/01/21(月) 23:52:07 ID:r7VXAmD2
ヌギヌギ…。



デイジー「…ぷはぁ、とりあえず仕舞って、会場で着替えようっと。
     いやあ、楽しみだなあ!



     ……にしても、3徹はちょっと……やりすぎた…かも……眠い…………

     ああ、寝過ごしなんて嫌だから出発しないと…向こうで寝よっと…
     今頃、会場には強者どもが続々と…………ふわぁ…………」ウツラ ウツラ





――間もなく、ゴングが、鳴らされる。

821以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/22(火) 12:48:37 ID:/k1IAlmU
そろそろ仲間増やしたマリオRPG、ペパマリ系がやりたいなあ…
熱いお湯は自分の感覚操作しかなさそう

822以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/23(水) 16:59:30 ID:HKGuy7Fk
デイジー…

823以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/29(火) 13:19:00 ID:cDbRSdXc
そもそも招待状なきゃつまみ出されそう

824Mii:2019/02/01(金) 06:19:53 ID:5I3.SDfA
〜天界〜



ジリリリリリリリ… カチッ。



ピット「……んー、朝かぁー!へへ、目覚まし時計を使うのも久しぶりだなー!」ノビー

ピット(いよいよ、スマブラの時期がやってきた!よーし、頑張るぞ!
    それに、今回はなんと!とうとうパルテナ様も参戦されるんだから…!
    これはもう、カッコいい所をお見せするためにも…燃えるっきゃないね!

    面倒くさいことに冥府軍がこんな時に攻めてきて、夜通し戦ってたけど!
    まさか、大事な時に寝過ごすわけにもいかないよ!目覚ましがあってよかった――」チラッ





目覚まし時計「午後8時です」

ピット「」

825Mii:2019/02/01(金) 06:22:13 ID:5I3.SDfA
ピット「パパパパパルテナ様―っ!?大変です!出発予定時刻を大幅に過ぎちゃってます!
    いいい急いでキノコ王国に向かわないとっ!」

パルテナ「あらあら、慌ただしいですね、ピット。慌てる天使は貰いが少ない、ですよ」

ピット「ノンビリ構えている暇、無いんですよ!?ご存知ですか!?
    パルテナ様が『ギリギリに到着すればいいでしょう?』って仰ったから、
    いつの間にか開幕30分前に到着する移動プランを立てざるを得なかったんですよ!?

    今日の昼前には出発しておかないと行けなかったのに!
    大変なことになりました!こんな時に限って目覚まし時計が壊れてるだなんて!」

パルテナ「あ、それ私です」

ピット「……へ?」

パルテナ「ピットは昨晩、浄化戦を本当によく頑張ってくれましたからね。
      ゆっくりぐっすり眠れるよう、目覚ましの時刻を12時間ずらしておきました。
      いわば『時の奇跡』ですね」

ピット「」

ピット「その気遣いは流石に要らなかったっ!?なんてことをしてくれたのですかーっ!?
    おまけにパルテナ様の初陣ですよーっ!?」

826Mii:2019/02/01(金) 06:25:19 ID:5I3.SDfA
パルテナ「まあまあピット、実は今回…私はあまり目立たない方がいいのです。
      せっかく参戦を許可してもらっておいて、図々しいかも知れませんが」

ピット「え、それは初耳です……な、何か深い理由が……!?」ゴクリ









パルテナ「だって、丁寧神々しい系のおっとりお姉さんだなんて、
      このSSの主人公のロゼッタと思いっきり被っちゃうでしょう?
      主人公の役を食う訳にはいかないのですよ」

ピット「……はい?」

パルテナ「純粋ミステリアスの元祖ロゼッタならまだしも、このSSのロゼッタは
      マリオカート系やらマリオパーティ系やらスポーツ・オリンピック系やらの…
      はっちゃけた要素を足して、更には主人公としてうっかりさん要素も継ぎ足されて…
      私の性格に近しくなってしまいましたからね。
      まあ、私のような素晴らしいネーミングセンスは持ち合わせていないようですが」

ピット「メタい!いつにも増してメタいですよパルテナ様!?
    ……ハッ!?そうか、読めたぞ……謎が全て解けた……!」テンッ!

パルテナ「ど、どうしたのですかピット?
      まるで体は子供、頭脳は大人の名探偵になったような口ぶりになって……?」

827Mii:2019/02/01(金) 06:27:42 ID:5I3.SDfA
ピット「スレ主は、ちょっと前の『新・光神話 パルテナの鏡』における私たちの会話が
    ことごとくメタ要素満載だったことをいいことに…





    パルテナ様と私を、このスマブラ編におけるメタ要素発言キャラかつ
    『○○の奇跡とか言っておけばなし崩し的になんでも解決してくれる的な事後処理キャラ』として
    姑息にも扱おうとしているんじゃないですか!?」







パルテナ「…………それはそれで、差別化を図れておいしいですね!」ワァ

ピット「そう言うと思ってましたよ、もうー!
    で・す・が!私は手抜きなどしませんからね!

    パルテナ様も、あのマリオを倒すくらいの意気込みで頑張ってくださいよ!
    ある程度は目立つことも大事です!」ガオー

828Mii:2019/02/01(金) 06:31:54 ID:5I3.SDfA
パルテナ「…マリオに勝つのは、無理じゃないでしょうか」

ピット「そんなことないですよ!パルテナ様の神の力、奇跡なら――」

パルテナ「そうじゃなくてですね。ちょっとスレ主について分析してみたのですが。

      このSSのキャラの純粋戦闘力は、大雑把に言って、
      『初登場作』発売から経過した時間に比例するらしいのです」

ピット「相変わらずメタいことを…!?で、でもそれならば私たちも決して引けを――」



パルテナ「あともう一つ。
   
      『冒険したor仲間になったor悪役になったor悪役に攫われた回数』をA、
      『レース、パーティなどのバラエティゲームにプレイアブルとして出演した回数』をBとしたとき
      『A×2 + B』をさっきの時間評価に掛けているっぽいですよ。

      もちろん、作品中のキャラの立場・強弱や努力補正、そして残機消費補正で色は付けるみたいですが。
      ロゼッタは努力補正や残機消費補正を大きく受けている期待の新人といったところですね」

ピット「キノコ王国のヒイキが酷いっ!?
    もうちょっと、なんとかならなかったんですか!?」

パルテナ「まーまー。その分、沢山苦労して沢山経験を積んできたということなのですから、
      不満を垂れるのは不謹慎という物でしょう?」

ピット「えーっと、そういうことになるのでしょうか…?」

829Mii:2019/02/01(金) 06:34:20 ID:5I3.SDfA
パルテナ「さーて、改めまして問題です。
     『光神話 パルテナの鏡』から『新・光神話 パルテナの鏡』の間の25年間…
     国内販売ソフトで、私たちの出演回数は何回でしょーうか?

     …はいっ!ピットのスマブラXへの出演が1回あるだけです!
     もっとメデューサに暴れてもらえばよかったですね!」ピンポーン

ピット「うがあああああああ!!?確かにマリオに全然歯が立ちませんでしたけど!?
    あ、いや、海外のみ販売されたGB版がごく最近にバーチャルコンソールで出たような…?
    更に前には、まわるメイドインワリオ……?うっ、頭が…」

パルテナ「そんなわけで、遅刻してもいいくらいの気持ちでのんびり構えましょう。
      何物にも縛られず囚われず。それが女神というものです」フフン

ピット「…………僭越ながらパルテナ様。残念ながら任天堂には女神だろうと縛られるし囚われちゃうんですよ」

パルテナ「…………マジなのですか?」

ピット「下手をするとスマブラ界で永久除名処分を食らいます」

パルテナ「……………………コホン。では、ちょっと慌てましょうか。
      『飛翔の奇跡』っ!」パアアアアア

ピット「いくらなんでもキノコ王国までは飛んでいけませんよ!
    ああ、急がなきゃ急がなきゃ急がなきゃ――!」アタフタ

830Mii:2019/02/01(金) 06:36:31 ID:5I3.SDfA
ピット(パニックになり掛けた、まさにその時。
    
    一機…いや、二機の戦闘機が、
    派手な音を立てて窓ガラスを割り、突如として滑り込んでくるっ!?

    操縦者の腕が素晴らしいのか、瞬時に減速を掛けて――
    僕とパルテナ様がいる石畳の広間に、フワッと穏やかに着陸したぞ。
    いやまあ、窓ガラスは割ってほしくなかったけど。
    あれ、見覚えのある、あのシルエットは……!?)





フォックス「呼ばれた気がしたから急遽ルートを変えて飛んできたぞ」シュゥゥ

ファルコ「一体何の騒ぎだあ?ははーん、さては会場までの乗り物を決めかねてやがるのか?
      しゃーねーな、乗ってけ」シュゥゥ

ピット「!?」

パルテナ「これぞ飛翔の奇跡!」ドヤア

ピット「フラグ立てって意味じゃなかったはずですよね!?」

831Mii:2019/02/01(金) 06:38:22 ID:5I3.SDfA
ガサッ。

ブラックピット「おう、出迎えご苦労。オレも乗せて行ってもらおうか」ニヤニヤ



フォックス「悪い、予約客のことも考えると、これ以上乗られると定員オーバーだ」

ピット「私などよりよほど優秀なブラピ様はどうぞ自力で会場まで飛んで行ってください」

ブラックピット「」



パルテナ「ふふふ。やはり、持つべきものは友ですね。助かりました」

ピット「友以前に、まともに会ったこともないじゃないですか…ま、まあいいや。
    ありがとうフォックス!もうダメかと思ったよ」

ファルコ(通信)『フォックスの方のアーウィンは一杯だな、じゃあ残りはこっちか』

フォックス「そうだな。…悪いなピット、もともとハイラル勢を送ってやる約束だったんだ。
       もうちょい、回り道していくことになるけど構わないな?」

ピット「僕たちは乗せてもらえるだけで御の字さ。
    それに、いくらハイラル王国が地球上でキノコ王国と真逆の位置にあるといっても、
    アーウィンの速度なら全然問題ないよ!」

フォックス「はは、そう言ってもらえると助かる」

832Mii:2019/02/01(金) 06:42:19 ID:5I3.SDfA
フォックス「…………よし、ハイラルの大地を目標に捉えた。
      お、幸先がいいことに早速向こうから通信を投げて来てくれたぞ!
      これで『時に迷わずに済む』な!」

ピット「そっか、最近は『時間振動が激しい』んだっけ。入国するのも一苦労だね」

ファルコ『……ちょっと待て。これは、唯の信号じゃあ、ねえ。
     …救援要請信号っぽいぞ!どうなってる!』

フォックス「なんだと!?」






〜ハイラル城〜

トゥーンリンク「大変だよ!ガノンドロフが、ゼルダ姫を攫って行ったんだ!」

フォックス「まさか!?」

ファルコ「こんな時にか!?……ったく、なんて太ぇ野郎だ!
     おい、リンクを急いで探すぞ!」

パルテナ「あらあら、何やら大変な所にお邪魔してしまったようですね♪」

ピット「パルテナ様、ワクワクするのは流石に不謹慎ですよ…」

833Mii:2019/02/01(金) 06:44:29 ID:5I3.SDfA
ハイラル王国。

地球において、キノコ王国のほぼ裏側にあり。
クッパシップは規格外として…アーウィンのような高速戦闘機でもなければ、
1日足らずで両王国を跨ぐことは難しい。

その規模はキノコ王国よりもさらに大きく、世界最大とされる。
文明にしても、キノコ王国に引けを取らない近代王国として有名である。

しかし、来るもの全てウエルカム、貿易も人の行き来も大盛況、のキノコ王国と異なり。
ハイラル王国は外部とのやりとりが極めて少ない、閉鎖的な王国である。
ただし、国民性などという感情的なものが理由ではサラサラない。



ハイラル王国は、世界でも極めて稀な「時間がブレる」領域なのである。



ハイラル王国には、トライフォースという聖三角に関わる英雄の物語…すなわち「勇者伝説」が、
定期的に紡がれ…そのたびに「伝説ごとの平行世界が生まれる」という、
理解しがたいトンデモ事象が発生しているのだ。

834Mii:2019/02/01(金) 06:48:33 ID:5I3.SDfA
平行世界という概念自体は他の国や地域にもあるが…大抵は
「未来は些細な行動の違いで無限大に分岐するね」といった、
意味があるようで何も実証していない机上理論に過ぎない。

ところがハイラル王国でいう平行世界は、こんな感じになってしまう。

    「今の世界から○○年経ち、あるいは△△年遡り、更には□□というイベントが起こり、
     明らかに異質として区別できる状態の『歴史』が突然誕生して重なってきたよ!」

具体的極まりない。そして、条件さえ整えば、狙った『歴史』にピンポイントで行ける、干渉できるのだ。
たとえば。ハイラル王国が栄えている歴史の裏側に、既に廃墟となったハイラル王国の歴史があり、
遊びに行けたりするのである。…やっぱり意味が分からない、と嘆く人も多いが。

正直な所、ハイラルの住人自体には、大して影響はない。
大多数の人間は時間移動…いや歴史移動の術を持たず、一つの歴史の中で生まれて死ぬ、それだけだ。

外部の人間はそうはいかない。
歴史移動の術を持たずに外界と内界との境界を潜った時、狙った『歴史』のもとに降り立てるかは基本的に運である。
貿易の交渉に来たら100年も文明がずれていた、とかでは交渉にも商売にもならない。

…いや、単に運が悪かったで済んで、愚痴を零しながら帰れるならまだいい。
ハイラル王国は戦乱の時期も割と長い王国だ。
いざ上陸してみたら歴史上の戦乱期間に特攻してしまい、
魔獣に襲われました、言葉通り流れ矢に当たりましたで命を落とすのではお粗末すぎる。
まあ、最近はそのような事象も「勇者」によって速やかに鎮圧されるけれども。

835Mii:2019/02/01(金) 06:50:58 ID:5I3.SDfA
そんなわけで、相互通信などで目標の歴史を特定できるだけの技術力ならびに信頼関係、
時間軸調整手段を持ちつつ、万が一の非常事態にも難なく対応できる屈強なファイターしか、
自ら好んで訪れようとはしない。

…言わずもがな、ハイラル王国のまともな関係を持つのは――
スマブラ関係者ならびにキノコ王国だけである。







なお、具体的にキノコ王国と交流がある「歴史」はどこかというと……
その時その時のご都合主義になってしまうのであしからず。

836Mii:2019/02/01(金) 06:53:41 ID:5I3.SDfA
〜トアル村〜

リンク「……………………」ジッ

自慢の装備を持ち、ただひたすら集中している、青年が一人。
神経を研ぎ澄ませ、いつ事態が急展開しても対応できるように覚悟している。

敵と対峙すること、かれこれ1時間。



リンク「――――っ!!!」グッ

いよいよ、試合の幕が今開かれ――



リンク「――フィーーッシュ!!」ザバァン

一瞬にして、けりが付いた。

リンク「来た来たぁっ!全長6メートル超え、ついに来たっ!
    ヌシかな!?ヌシだな!きっとそうに違いない!」ガッツポーズ

無邪気にも、取れた戦果に大喜びする、こちらの青年。
緑の衣、光る剣、王国の象徴の盾を身に纏う。
…剣と盾については、今は地面に置いているが。奪える者など、そうはいない。

名をリンク。「勇者」として数奇な運命を辿っている男である。

837Mii:2019/02/01(金) 06:56:31 ID:5I3.SDfA
数多くの伝説に登場するこの男について、ハイラル王国で噂を聞けば、
ある程度の知識を持ち合わせた人なら間違いなく、こんな感じに答えるだろう。

    「お会いしたことなどあるはずもないが。
     勇気のトライフォースを司る、三傑の1人である」と。

一方で。キノコ王国で噂を聞くとどうなるか。
ある程度の知識を持ち合わせた人ならおそらく、スマブラの戦績を見て、こう答えるだろう。

    「いつ見てもカッコいいお方ですね!
     マリオ、クッパと共に並び立つ、三強の1人です」と。



そう。見かけによらず…いや、見かけ通りというべきか。
この男、恐ろしく強い。今もなお、マリオ達と切磋琢磨する中で強くなり続けている。

よりにもよって、ハイラル王国ではあまり知られていないが…
あまりに強くなり続けすぎて、ハイラル王国で実質「一傑」状態になっている。
歴史間移動パトロールまでやってのけ、最近はどの歴史もすべからく平和そのもの。
王国民にとっては非常に幸せなことである。

…ただし、一部お姫様にとっては不幸かもしれないが。

838Mii:2019/02/01(金) 06:59:31 ID:5I3.SDfA
リンク「さってと、魚はお土産に持って行くか。
    ヨッシーかな、カービィかな、ははは……っと、トゥーンリンクから連絡?…もしもし?」

トゥーンリンク『あ、よかった、連絡取れた!』

リンク「…何っ!?ゼルダ姫がガノンドロフに攫われた!?
    今、こっちに俺を回収しにアーウィンで向かってるだって!?
    わかった、すぐ時間軸移動の支度をする!」

リンク「…………面倒くさいなあ」イソイソ



リンク「いやあ、ハイラルのゴタゴタに巻き込んじまって、本当に申し訳ない」ペコッ

ファルコ「いいってことよ。さあ、早く乗った乗った。
     …それにしても、なんで釣りなんかしてたんだ?勇者っぽくないな。
     食べるためとかではなく、本当にただの趣味なんだって?」

リンク「それは違うぞ、ファルコ。
    『俺の趣味である釣りが勇者として似合わない』んじゃない。
    『勇者らしさを失うために俺が趣味にしたものの1つに釣りがある』んだ」

ファルコ「はあ??」

フォックス『こら、ファルコ。失礼なことをリンクに言うなよ。
      …リンク、今回こそは勝ちをもぎ取って見せるぞ!
      正々堂々、勝負しような!』

839Mii:2019/02/01(金) 07:01:46 ID:5I3.SDfA
リンク(無線の声だけで、フォックスの喜々とした顔が容易に思い浮かぶ。
    そうだ、今の俺は、他のファイターから憧れられ挑戦を望まれる立場。
    なんでも、三強の一人…とか呼ばれてるんだっけな。





    ほんと、感慨深いな。
    というか、その昔『最弱』と呼ばれた頃からは考えられないよ。
    そう、あれは…15年、いや…もっと、前だったか――)シミジミ





今となっては、笑い話にもなるだろうか。
遥か昔に、想いを馳せる――。

840Mii:2019/02/01(金) 07:03:04 ID:5I3.SDfA

・・
・・・

――アリガトウ リンク アナタハ
――ハイラル ノ エイユウデス

リンク(…………)スヤスヤ



――たすけて… …
――たすけてください…
――私は、お城の地下ろうに
――捕えられています。

リンク(……………………)スヤ・・・



――おねがいです リンク
――その手で 闇をふりはらい
――この世界を まもってください!

リンク(………………………………)

841Mii:2019/02/01(金) 07:04:12 ID:5I3.SDfA
――わたし、夢を見たのです。
――このハイラルがまっ黒な雲におおわれて
――どんどん暗くなっていくのです…

リンク(…………やめろ)



――ネエ、サッキカラドウシタノ?
――ワタシノコトガ、ワカラナイノ?

リンク(……………………やめろ…!)







――ネエ、アナタッテ
――ナニモノナノ、ユウシャサン?

リンク(…………………………………やめて、くれ――――!)

リンク「うわあああああああああああぁぁ!!!」ガバッ!

842Mii:2019/02/01(金) 07:06:15 ID:5I3.SDfA
リンク「ハァッ、ハァッ、ハァッ――――」ガクガク

冷や汗だくだくになりながら、ひったくるようにして水の入った壺を机から掠め取り、
ひたすらに喉に流し込む。



既に幾度か世界を救った勇者リンク、もとい俺は――
満足に睡眠をとることすらままならず、疲弊しすぎた毎日を送っていた。



というのも、俺が、勇者という存在が――ハイラルで唯一。
伝説を紡ぎ終えるたびに、別の歴史へ…伝説の始まりへ転生する存在らしいからだ。

『ははーん、ハッピーエンドになったそばから歴史から追い出されるから、
 幸せを享受できずに人生に嫌になっちゃったんだな?』

――違う。そんな、ただの不満感程度が原因なら、全然大したことはなかったさ。

『幾度となく危険と巡り合わせて、戦いにウンザリしてきたんだろ?』

――違う。人の為になったならば、そのくらいの危険、屁でもない。



単純に、そう、非常に単純明快なことに。
転生するたびに記憶がどんどん重なって…脳がパンクし、精神崩壊しかけている。
自分でも現象を理解できていて、一切対策が分からないから性質が悪い…!

843Mii:2019/02/01(金) 07:08:09 ID:5I3.SDfA
ちょっと、たとえ話。

誰かの人生における過去の記憶の中で時を指定して、二択問題を出すとする。
その二択は、必ずどちらかが起きていて…同時に起こることはない出来事にしておく。
別に、人生を左右するほどの出来事じゃなくていい。
たとえば、「何年何月何日に、パンを食べたか食べなかったか」としよう。

日時が昨日とかなら、間違える人はまずいない。
1週間前なら、パンを食べるのが不定期な人は間違えるかもしれない。
1か月前なら、記録でも付けていない限り厳しいだろう。



さて、この場に100人の人間を用意して、こんな質問を出してみる。

「1年前はどうだった?」



さあ、回答を出してくれるのは何人だろうか。
50人?10人?もしくは2、3人いたらいい方だろうか?

844Mii:2019/02/01(金) 07:10:59 ID:5I3.SDfA








……正解は「100人」だ。なぜなら――

覚えていなくても、適当に答えるか、「わからない」とギブアップすればいいからだ。
屁理屈?いや、立派な理屈だよ。

誰でも、「どちらかは忘れたが、とにかく論理的にどちらかが起きただろう」ということは容易にわかる。
そういうふうに選択肢を作ったのだから。

1つしかないはずの思考結果を2つ以上持つと、脳ってのは混乱する。
だから、速やかに結論を収束させて――不確定要素を飲み込んででも、
結論を1つに修正する、あるいは棚上げすることで心の安定を図る。
それが自然の摂理って言う奴らしい。



――じゃあ、もし。
――どうしても否定できない、2つ以上の思考結果が脳に残り続けたら?
――それも、人生のあらゆる出来事において。

はい、俺という存在のできあがり。

845Mii:2019/02/01(金) 07:13:03 ID:5I3.SDfA
様変わりする、ダンジョン内容や攻略順、入手アイテム。



毎度変わっていく、生まれ故郷。



同じものなどない、ゼルダ姫との邂逅。



果てには、親代わりの人たちや、幼馴染すら……。





どんどん情報が変化する。
その全てが正しくて――同時に起きることなど、有り得ない。
そのことを受け入れられなくて…頭がどうにかなりそうだ。

846Mii:2019/02/01(金) 07:15:56 ID:5I3.SDfA
実は、2回目の「歴史」で苦しみ始めた俺は…ゼルダ姫に会って、淡い期待を持ったことがある。
細かい仕草の一致などから、姫も俺と同じく転生している確信がなんとなく持てたんだ。

    「『リンク』…!?まさか、あのときのリンク、なのですか!?
     ああ、なんということでしょう。あなたも運命に弄ばれている1人なのですね……」

みたいに反応してくれれば。
不幸なのは俺だけじゃなかったんだ、お互い頑張ろうってことで心を保てたかもしれない。



…だが、現実は非情だった。
リンクという名前に、僅かに反応されたとはいえ――それで終わり。
世界を脅かす存在に憂いている様子こそあれど、日常生活に支障、一切なし。
俺が修羅の道を辿って世界を救った後は、困ったことなど何にもないという満面の笑顔。

ハイラル家としての力が彼女を守っているか何かで、昔の歴史の記憶を
深層心理の更に奥底に沈み込ませていられるらしい。なるほど、ただの勇者には縁遠い話だなあ。
…まあ、このあたりは俺の憶測なんだけど。

藁にも縋る気持ちで…この際、愚痴を零し合えるならガノンドロフでもいいやと一瞬思ったが――
アイツの場合は封印と復活を繰り返す同一人物…いや同一魔物らしいから、
比較対象と言えるのか、そして精神負荷への耐性が同じなのか大層怪しい所だ。

結局、俺はまた一人になった。

847Mii:2019/02/01(金) 07:18:09 ID:5I3.SDfA
必死に医者を探してみたが、意味が分からないと首をひねられるばかり。

脳の負担を極力減らそうとするあまり、少なくなる持ち物に行動範囲。

幼馴染なんか、「おい」とか「ちょっといい?」で誤魔化し続けて
名前で呼ばなくなって久しい。悲しそうな顔をされるたび、俺の闇は広がっていく。



誰でもいいから、助けて、くれ。このままだと、俺は――――!



ゼルダ姫から、招集が掛かったのはそんな折だった。






〜ハイラル城〜

ゼルダ「リンク、よく来てくれました。
    ――あら?顔色が優れないけれども、大丈夫ですか?」

リンク「……大丈夫ですよ、ゼルダ姫」

リンク(全然、大丈夫じゃ、ないけどな…
    さて、このゼルダ姫とお別れするまで、あとどの位かな…
    前兆もなんにもなく、フッと違う歴史へと飛ばされるからな…)

848Mii:2019/02/01(金) 07:19:57 ID:5I3.SDfA
ゼルダ「実は、キノコ王国という遠い遠い王国で、
    歴戦の強者同士でその武を競い合う祭典が開かれるそうなのですが…。
    王国のトップであるピーチ姫というお方から、招待状を頂いたのです。

    『世界一を決めるという文言を使ってしまったので、
     もしも腕に自信のある者がいるのならばぜひ参戦してほしい。
     もちろん公平なジャッジを保証する』…とのことでした。

    問題なければ、ハイラル王国としてリンクを推薦したいのですが、どうでしょう。
    惜しむらくは、王国の安寧を取り戻したばかりで政務に追われていて…
    誰も応援に行けないことなのですが…」シュン

リンク「武を競い合う…祭典、ですか」



――俺の存在意義は、勇者としてその勇気を、強さを示す事。
――それだけは、譲るわけにはいかない。



リンク「……わかりました。ハイラル王国の名に恥じないよう、全力で挑ませて頂きます」

ゼルダ「ありがとう、そう言ってもらえると思っていました!」

ゼルダ(……最近、リンクの笑顔がめっきり減りましたね。
    これで少しは、元気になってくれるとよいのですが)

849Mii:2019/02/01(金) 07:22:10 ID:5I3.SDfA
俺は、ハイラルが認める勇者なんだ。どんな相手だろうと、負けるはずがない!

招待状片手に、キノコ王国が用意してくれた船に乗り、初めての王国外への旅。
ほんの少しだけ士気が上がって、会場に通されて。
ザンキシンセイとかいう、変な手続きがあって。
さっそく、バトルロイヤルが始まって。







リンク「あ…………れ…………?」

全然、勝てない。



むしろ、負けしかない。
自慢の剣捌きが、身のこなしが、一切通じない。
幾度となく、バトルフィールドから落とされる。撃墜される。



特にあの、マリオとかいう配管工は化け物だ。
マスターソードを真剣白羽取りされたときは目を疑った。
観客は大層湧いていたが、なんたる屈辱。実力の差がありすぎる。
俺が10人いても勝てないんじゃないかという絶望感をもたらしてくれる。

850Mii:2019/02/01(金) 07:24:22 ID:5I3.SDfA
開催期間内の勝敗数から順位付けを行うルールだったが、俺は突出して酷い成績。
0勝のまま、黒星だけが10個、20個、30個と増えていくんだから当たり前だよな。

司会者から、「初めての試みのせいで、人選を間違えちゃいましたかね」と毒を吐かれるほど。
俺のなけなしのプライドは、ズタズタになった。





マリオ「ようリンク、これで0勝99敗だな」

リンク「…………」



俺が絶望に打ちひしがれて、関係者用の食堂で昼食をとっているところに、マリオがやってきた。

リンク「……なんだよ。優勝まっしぐらのお方に話し掛けられていいような大層な人間じゃないぞ、俺は」





自虐しているだけで、涙が出てくる。
女々しいもんだ。こんな所…くるんじゃなかった。

851Mii:2019/02/01(金) 07:27:25 ID:5I3.SDfA
マリオ「…あ、いや。気を悪くしたならすまん。実は、お前に1勝くらいはさせてやろうと思ってな」

リンク「――っ!ふざけるなっ!!そんなお情けで俺が喜ぶとでも思ってるのか!」ドンッ

マリオ「いやいや、手を抜くっていう意味じゃなくて」

周りの選手たちもギョッとして思わずこちらを見る中、構わず俺は激昂する。

リンク「ちくしょう…ちくしょう!所詮、俺は井の中の蛙だったんだよ!
    ハイラルの勇者なんて、キノコ王国からしてみれば屑同然だったってことだろ!
    こんなに弱かっただなんて…あんまりだ……っ!!」







マリオ「ピーチ曰く『魂の混濁』が見られる上に、
    残機制度使わず『セーブ制度』だけに頼ってたんだから当然ですがな」

リンク「………………………はい?」



マリオ「ようしリンク。この祭典、その日ごとの参戦するか否かの判断は個々の自由だ。
    というわけで、3日…いや1週間ばかり参戦は置いといて、ちょっくら俺とピーチのカウンセリングを受けろ」

リンク「……???」

852Mii:2019/02/01(金) 07:29:37 ID:5I3.SDfA
さっぱり訳が分からないまま、会場を離れて、どこかの病院へ。
医者の姿のマリオと、ナース姿のピーチ姫が出迎えてくれた。一体、何が始まるんだ?

Dr.マリオ「とりあえず、そこの椅子に座って。じゃあ始めるぞ。

      目を瞑って、俺やピーチが出す質問に、素直にありのまま答えていってくれ。
      もちろん、答えたくない質問は飛ばしてもらって構わないからな」



とりあえず納得して、色々と答える。
複数の解を持つ質問には、頭と胸が苦しくなりながらも全部の解答を示す。
それをピーチ姫が書き留めているのか、静かに響くペンの音。





目を瞑っていたため時間がよくわからないが、1時間くらいは経っただろうか。

Dr.マリオ「ふむ、もう2時間も経ったか。色々と分かってきたぞ、お疲れさん。
     じゃあ、ちょっと踏み込んだ話をする。目を開けていいぞ」

リンク(そんなに経ってたのか)パチッ

853Mii:2019/02/01(金) 07:32:06 ID:5I3.SDfA
Drマリオ「リンク、お前は勇者として色々な歴史を冒険してきた。
      そのたびに記憶が上書きされるならまだよかったのに、
      どんどん同時存在するようになって脳がパンクしている。
      自分でも、非常に危険な状態だと感付いている」

リンク「だから、そう言ってるだろ」

Dr.マリオ「強さだけは譲らないと縋っていたのに、案外弱くて自身に幻滅した」

リンク「『案外』じゃなくて『恐ろしく』だけどな」

Dr.マリオ「強さに関しては、さっきチラッと言った通り残機制度を利用していないのがデカすぎるな。
      …基本、勇者ってセーブ制度なんだよな?キノコ王国でもほんのちょっと導入が進んでるが」

リンク「残機制度?セーブ制度?」

Dr.マリオ「死の極限まで追いつめられたとき、『命をストックしてあるから死んでもいいや』と
      開き直るのが…キノコ王国が編み出した残機制度。
      それに対してハイラル王国が編み出したとされるセーブ制度は、
      『自動発動型の招喚魔法で、自身を過去に同期させる』ものだな。
      それぞれにメリットとデメリットがあると、俺は睨んでいる。

      苦痛が圧倒的に少なくて済むのがセーブ制度なんだけど…
      同時に、せっかく得たはずの経験値を蒸発させてしまうのが痛すぎるよなあ。
      戦闘勘を鍛えるくらいならなんとかなるけど。    
      まあ、制度の違いについては後々、もっと詳しく教える。
      要するに、両方の制度を使い倒せってことさ」

リンク「はあ……」

854以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/01(金) 09:09:33 ID:VYPqJh02
スマブラ編?楽しみ

855Mii:2019/02/01(金) 23:35:58 ID:5I3.SDfA
Dr.マリオ「で、だ。本題の『魂の混濁』とやらに入るぞ。
      …もっとも、専門的なことは俺もお手上げだから…解説よろしく、ピーチ」

ピーチ「オッケー。リンクは、『魂と思考の一対一対応』っていう原則、知ってる?」

リンク「…いや、知らない」

全く知らない。キノコ王国だと常識なのだろうか。
それとも、博識なゼルダ姫なら知っているのだろうか。

ピーチ「通常状態なら、思考回路は1つのみ。
    誰かの魂に憑依されているなら、思考回路は2つまで。
    魔物同士が融合体を象ったとしたら、思考回路は構成要素の魔物の数まで。

    要するに、魂の数より思考の数が多くなることはありませんねっていう、
    それだけの原則よ」

リンク「……でも、俺は」

ピーチ「魂1つに対して思考回路が複数あるって思ってるなら、間違いよ?
    原則を破るわけには行かないから、疑うべきは魂の数。
    思考回路の数だけ、魂は『区別できる、分離できる』はずなの」

リンク「魂が…分離できる!?」



驚天動地とはこのことだろう。なんだか付いて行けなくなってきた。

856Mii:2019/02/01(金) 23:41:25 ID:5I3.SDfA
ピーチ「歴史1の自分がいて、対応する魂1がある。

     歴史2の自分がいて、対応する魂2がある。

     歴史3の自分がいて、対応する魂3がある。



     歴史4の今現在の自分がいて、対応する魂4がある。



     その都度その都度、1つの歴史にて生きているから、貴方は魂を1つに束ねようとしてる。無意識にね。
     でも思考回路は増えていくばかりだから、パンクするのは当たり前。

     

     リンク――。各々の歴史の自分を認めなさい。
     そして、歴史の数だけの独立した魂として扱ってあげるの。
     それが達成された瞬間、『1つのごちゃごちゃな塊』から
     『綺麗に折りたたまれた冊子』へと魂は変貌するわ。

     時間軸移動の手段があるなら、懐かしい歴史をちょっと訪れて当時を振り返るのもいいかもしれないわね」

リンク「……!!」ハッ

857Mii:2019/02/01(金) 23:47:44 ID:5I3.SDfA
ピーチ「始まりの町が複数あったっていいじゃない。
     ダンジョンが複数パターンあったっていいじゃない。
     それが貴方の世界の立派な『常識』なんだから。

     それに、言い換えれば…知識量が、戦闘経験が何倍もあるってことよ?
     これからだって、魂の分離さえできれば、魂ごとに経験値が入っていくの。
     成長曲線ぼろ儲けよ?

     あと、魂を慎重に、慎重に移し替えながら懐を探ることができるならば…たとえば。
     各々の歴史で使ってきた装備品やアクセサリーを好き勝手に…
     どこからともなく取り出せたりもするんじゃないかしら。
     勇者の特権ってことでワクワクしてこない?」

リンク「本当か!?」ババッ

ピーチ「…いきなりは無理よ。それができるようになるのを目指して頑張るんだって」

リンク「あ、ああ」ボウゼン




なんだろう。この気持ち。急展開にも程があるが…。
光明が見えてきた、のだろうか。

858Mii:2019/02/01(金) 23:50:47 ID:5I3.SDfA
Dr.マリオ「そうそう。あと、リンク自身の思考パターンについてちょっと思う所がある。
      簡単なテストをしよう。



     冒険でダンジョンに潜っているリンクの目の前に、宝箱が現れた。
     ちょっと特殊な宝箱で、キューブ状の箱に対して鍵穴が6つある。
     前にも後ろにも、右にも左にも、上にも…そして、地面に接した下にもだ。

     持っている鍵を使えば、どの鍵穴からでも一面開放して、宝物を回収できる。
     さて、リンクなら…どの鍵穴を開ける?」

リンク「そんなの、最短距離で到達できる前面の鍵穴に決まってるじゃないか」





Dr.マリオ「……本当に、そうか?」ニヤリ





リンク「え…まさか、前面あたりに留まっていると上からキースが襲ってくるとかの特殊条件があるのか?」

859Mii:2019/02/02(土) 00:01:40 ID:/.lNxzM6
Dr.マリオ「いや、そういう隠された条件はないぞ。ただ――
      最適解だけを妙に絞り出して他の選択肢を除去するのは…
      色々と勿体ないだろってことだ」

リンク「え……」

Drマリオ「気まぐれ、気分で横の鍵穴から開けてもいいじゃん。
      回り道して、後ろの鍵穴から開けてもいいじゃん。
      ひねくれて宝箱を持ち上げて、下の鍵穴から開けてもいいじゃん。
      いや、そもそも1つしか開けてはいけないとも決まってないぞ。
      全部開けて、我に返って『ブフォ、何やってんだ俺!』って笑い転げてもいいんだ。

      選べる自由があるうちは、選択肢は残しておいた方が人生楽しいぞ?
  
      勇者は休憩も娯楽もナシに世界を救うため奔走しなきゃならない?
      困った人がいたら、我が身を犠牲にしてでも助けなきゃならない?
      そんな押しつけがましい常識なんて捨てちまえ。

      自分と、自分に近しい人についての命と生活を、まずは最優先に守る。
      余裕が有ったら、現状維持するくらいには世界の為に戦う。
      更に余裕ができて初めて、世界の平和のために一気に攻め立てる。
      そんなもんで十分じゃないのか?」



リンク「…そんな考え、したこともなかった」

860Mii:2019/02/04(月) 22:22:37 ID:ARfOst1w
それから1週間みっちりと、カウンセリングは続いた。
何も謎解きを出されるだけ、質問されるばかりではない。

リラクゼーションの為に音楽を聴いたり。
座禅を組んで瞑想したり。
特効薬とはいかないまでも、自分で実践できる療法を座学で学んだり。

少しずつ、体がほぐれていくのを実感する。
手荒に扱っていた装備を、ふと手入れしてみて、愛着を思い出す。
まだまだ悪夢は見るけれど、吐き気に対して、打ち勝つ勇気が湧いてくる。



俺は、長いようで短い、カウンセリングを通じて、
自分のルーツの探求を行っていった――。








そして――。

861Mii:2019/02/04(月) 22:24:43 ID:ARfOst1w
リンク「体力満タンの復活し立てに…ソードビーム――ッ!」ブンッ

マリオ「おっとと!?なんだこの射程距離っ!?」

リンク「距離を取られたところを…ロングフックッ!!」シュルルルル

マリオ「げ、しまっ…」ガチャリッ

リンク「引き寄せて…メガトンハンマー!!」ゴオォッ!

マリオ「ぶっ!?」バビューン



実況「リンク選手、マリオ選手をまたもや撃墜!並んだ、また並びましたっ!
   ここにきてリンク選手、信じられない変貌っぷりです!
   開幕早々、優勝させまいとマリオ選手が周囲から狙われたという事情もあるとはいえ…
   リンク選手、大健闘の状況だ!」

マリオ「これならどうだ、ファイアボールを食らえっ!」

リンク「――――っ!」ビュン

実況「リンク選手、ファイアボールのほとんど全てを
   咄嗟のマジカルブーメランで撃ち落としたぁ――!」




ウオオオォォォォォ――!!

862Mii:2019/02/04(月) 22:26:37 ID:ARfOst1w
マリオ「やるじゃないかリンク、やっぱり見込み通りだな!
    道具の豊富さなんてものじゃない、見違えるくらい動きが良くなったぞ!」

リンク「ああ、マリオとピーチ姫のおかげさ!心の迷いがだいぶ消え失せたうえに、
    滞納されていた経験値が遅ればせながらまとめて入ったみたいなんだ!
    反則すれすれの装備ありきで拮抗している感じで悔しいけど…今は勘弁してくれな!
    とりあえず1勝して2人に感謝の気持ちを表すことにするさ!」

マリオ「言ったな?こちらもそうやすやすとは負けないさ!」ダッ

実況「観客の興奮も最高潮に達しているぞー!結果は如何にっ!」



ワアアアアアアアアアアアァァ――。

863Mii:2019/02/04(月) 22:27:56 ID:ARfOst1w
〜ハイラル王国〜

ゼルダ「…そう、ですか。1勝99敗…断トツの最下位に、終わった、と」

リンク「はい。ハイラル王国の名に泥を塗ってしまい…大変、申し訳ございません。
    罰は如何様にも…」

ゼルダ「…いえ、それは構いません。ですが、リンク。
     辛い思いをさせてしまい…こちらこそ大変、申し訳ありません」ウツムキ

リンク「そのことなら、大丈夫です。
    非常に有意義な遠征であったので」ニコッ

ゼルダ「え……?」





リンク(分かってる。最終戦で…やっぱりマリオは、手を抜いていた。
    でもそれは、俺を嘲り笑うための手抜きじゃない。
    おれを後押ししてくれる、反撃の狼煙を祝ってくれる最初で最後の餞別だ。
    これから俺は、本当の意味で強くなって見せる)



ゼルダ(ああ…こんなにリンクが穏やかな笑みを見せるのは、初めてかもしれないわ)

864Mii:2019/02/04(月) 22:29:52 ID:ARfOst1w
それから数年の月日が流れ。

悪夢に苛まれることなど、ほとんどなくなっている俺がいた。
マリオとピーチには感謝してもし足りないな。
今日もせっせと――





ハイラル城にお百度参り中。





リンク「お願いします、ゼルダ姫!
    ハイラル王国でも、大々的に強者を集めて競い合う祭典を設けるべきです!
    レースでも、ミニゲームパーティをするのでも、ジャンルは問いませんから!」

ゼルダ「…リンク。スマブラDXに参戦して、キノコ王国での戦いから醒め止まないのは分かりますが…
     繰り返しますが、私含めて王国の主要メンバーは日々忙しいのです。
     そのような無茶を言ってはなりません。第一、なんの意義があるというのですか?」

リンク「ですから!冒険がそうそう転がっているわけではないのですよ!
    王国が主導して、多くの人が経験を積むことのできるイベントを用意するべきなのです!
    キノコ王国では有効性が十二分に実証でき、積極的に取り入れている施策です」

865Mii:2019/02/04(月) 22:31:53 ID:ARfOst1w
暖簾に腕押し、糠に釘。
今回のゼルダ姫は…いや今回のゼルダ姫も、中々に真面目体質みたいだ。
それが災いして、俺の主観を語る程度では中々動いてくれない。
むしろ、「そんなことを考えている暇が有ったら鍛錬をした方がよいのでは」という思いすら、
ジト目から伝わってくる。

…いやまあ、ハイラルの常識からすればまるで素っ頓狂なことを言っていることは自覚している。
いきなり突っぱねられないだけマシなんだろう。

スマブラDXも、せっかく個人的に招待されておきながら
「別に戦いを好まないし、忙しいからパス(要約)」という内容の連絡をピーチ姫に送って…とうとう参加しなかった。
緊急時以外で殴り合いなんて以ての外、と考えるのはまあ分かるんだけどさあ。
…ちなみにピーチ姫は若干不満そうにしながら自分の参加登録をしていましたが何か?
行動派のお姫様は違うね。

なんとガノンドロフまで招待を受けたのだが、
「見知らぬ国のお祭り騒ぎに参加しろ、だと?くだらん!」と切り捨ててしまったらしい。
結局、ハイラル王国から参加したのはまたもや俺一人だ。酷くない?ねえ、酷くない?



え?俺の戦績?五分五分って程度までは力を付けたぞ。
強くなっていくことが実感できるって、本当に素晴らしいね。

866Mii:2019/02/04(月) 22:33:58 ID:ARfOst1w
ゼルダ「…リンク、王国を救って頂いたことには本当に感謝していますが。
    これ以上頻繁に嘆願に来られていると、要らぬ噂まで呼び込みます。
    政策の邪魔をしているのでは、とか。図に乗っているのでは、とか。
    私としても庇いきれなくなります。

    再考してもらえませんか、お願いします」ペコリ

リンク「…………はい、差し出がましい真似をしました。申し訳ありません」

ゼルダ「分かって貰えればよいのです。ふふ…。
     今のあなたはハイラル王国の誇れる勇者であって、
     キノコ王国の一介の戦士ではないのですから」

リンク「…………!!」ハッ!!



リンク「ありがとうございます、ゼルダ姫。
    おかげで、目が醒めました!」


ゼルダ「いえ、お気になさらず」ニコニコ

867Mii:2019/02/04(月) 22:40:34 ID:ARfOst1w
マリオ「さてと、明日のレースも頑張らなきゃなーっと。
    コースのおさらいをやっておくか……うん?」テクテク





リンク「おっす!久しぶりだなマリオ!」

マリオ「えっ」





〜キノコ城〜

ピーチ「『キノコ王国でアパート借りてしばらく生活する』ですって!?」

リンク「ああ。よくよく考えてみると、どのみち何処にいようと
    伝説が紡ぎ始めるたびに問答無用で転生するんだ。
    だったら環境が整っている上に、事情を把握してくれる人たちが揃っている所に
    住居を構えた方が絶対賢いだろ?」

868Mii:2019/02/04(月) 22:42:22 ID:ARfOst1w
ピーチ「あ、あのね!ハイラル王国の勇者を普通のアパートなんかに住まわせるわけにいかないでしょ!
     こっちでしっかり、ちゃんとしたところを手配するわよ!
     全く、急なんだから…!ゼルダは把握しているんでしょうね!?
     内政干渉とか言われるのはまっぴら御免なんだけれど!」

リンク「ゼルダ姫も背中を押してくれて、

    『今のままハイラル王国にいるとどうしても鍛錬しにくいと言うのなら、
     キノコ王国で初心に帰って一戦士として鍛えることが貴方のためになるということですね』

    みたいなことを言われたぞ?」

ピーチ「あ、そ、そうなの?…へえ、意外ね。まあ、それならいいけど…」

デイジー「あはは。ピーチ、対応間違えてゼルダと口論にならないようにねー」

ピーチ「頭が痛いわ…」

869Mii:2019/02/04(月) 22:44:33 ID:ARfOst1w
ピーチ「と、いうわけで!突然ですが、リンクの歓迎パーティを開きたいと思います!」バンッ

マリオ「よしきた」

ルイージ「賛成!」

リンク「……へ?」

マリオやルイージに連れられて、城下町を散策し。
キノコ城に戻って来てみれば、豪勢な料理がテーブルにビッシリ。

ピーチ「公務扱いにはできないから、楽団演奏とか下手に予算を使ったイベントにはならなかったけど。
     内々のお祝いで御免なさいね」

リンク「って、これピーチ姫が全部一人で作ったのか!?召使に作らせたとかでもなくて!?」

ピーチ「ざっとこんなもんよ」ドヤァ

マリオ「おお、あいかわらず美味そうだな!」

ルイージ「ヨッシー連れてきたよ!…全部食べたりしちゃ駄目だからね?」

ヨッシー「分かってますって」ジュルリ

ルイージ「すこぶる不安だ」

デイジー「ハイラル王国の土産話とか聞かせてほしいなー」ワクワク

リンク「…………」

870Mii:2019/02/04(月) 22:47:22 ID:ARfOst1w
歓談しながら、早速食べ始める。どれもこれも、本当に美味しい。
語られる話も、趣味のことやら専門的な話やら、失敗談やら暴露大会やら何でもありだ。
笑い、怒り、慌てる光景がそこにはあった。



リンク「…なあ、マリオ。割とこんな感じに、冒険や政務と関係ナシに集まることって多いのか?」

マリオ「割と多いぞー?そもそも、冒険からして、個人的な繋がりで食事会なり旅行なり誘ってもらって、
    遂行してたところを事件発生ってパターンが多いからな」

リンク「…………」

ピーチ「直接会ったことがほとんどないけれど、ゼルダってお堅いからねえ。
    100の仕事をテキパキと110の実力でこなすっていうか。
    
    余力はないが無難にこなせる現状に満足してしまっているがために、
    端折れるところを端折って娯楽要素を手掛けようなんて発想は
    持ち合わせているようには思えないわね。
    …あ、気を悪くしたかしら」

リンク「…いや、俺も分かる気がする」

871Mii:2019/02/04(月) 22:49:47 ID:ARfOst1w
デイジー「ピーチは遊びの時間をやりくりするために
      超パワーで仕事をするって感じだもんねー」

ピーチ「遊びの時間第一で仕事をしないアナタにだけは言われたくないのだけれど」ピキピキ

デイジー「イダダダダダダ!」

リンク「…………」

ピーチ「あ、でもね。お堅いおかげでゼルダは、
     パーティでリンクに踏みつけられることもなければ、
     カートでクラッシュさせられてマグマに突き落とされることもないのよ?
     ある意味で威厳を保ててるのよ?

     私とマリオはしょっちゅう、踏み合ったりハンマーで叩き合ったり、
     カート同士ぶつかり合ったりしてるけど」

リンク「…………」





何だろう。すっごく羨ましい。そうとしか言えないです。

872Mii:2019/02/04(月) 22:52:20 ID:ARfOst1w
キノコ王国で、マリオ達と特訓の日々。
1人より2人で、2人よりみんなで。やっぱり修業効率が違う。



しかし、今の俺は遊ぶことの大切さも忘れてない。



草原の国に遊びに行って、見覚えのある縦笛を紹介されて驚いたり。
マリオカートを観客席から観戦して、エキサイトしたり。
運も絡んで刻々と順位が入れ替わるパーティを観て大笑いしたり。
遊ぶネタはまるで尽きない。

――しかし、流石にそろそろ…。
――思った頃にドンピシャで、体が光に包まれた。
――げっ、転生を示す怪現象だ。

体が少しずつ、光に融けて消えていく。
新たな歴史を、新たな魂を感じ取る。





リンク(そういや、ここで増えようとする魂を分離…いや剥離するとどうなるんだ?
    …ペリッとな。我ながら器用な真似ができるようになったもんだ)ペリッ

873Mii:2019/02/04(月) 22:55:15 ID:ARfOst1w
ボンッ!

トゥーンリンク「やあ!僕、勇者リンク!さあ、冒険頑張るぞ!」

リンク「!?」

トゥーンリンク「あ、もしかして僕の本体さん?
        何故だかその情報と魂に関する知識だけは頭の片隅に持ってるよ。
        魂1つのときの本体さんと同じくらいの強さしかないから
        冒険は苦労すると思うけど…行ってきまーす!
        終わったら…じきに、本体さんの所に自動帰還するからねー!」シューン…

リンク「」

俺の体は再び実体を完全に取り戻し――
俺の分身…?が代わりに転生させられました。

リンク「…あ、でも。転生させられずに済むならちょうどいいのか。
…責任とって、帰還後に面倒見るくらいはしてやろう」ポンッ



――俺、今日…ちっこい分身を作ったよ。

図書館で座学を教わっているときに何気なく状況を説明したら、
教師役のピーチ姫がたちまち真っ青になって
『二度としないで』と肩をガクガクされました。…首がマジでもげそうです。
キノコ王国でハイラルの勇者の数を勝手に増やす(?)なんてことをしたら。
下手をすれば外交問題になりかねない、とのことです。そんなものなのか。
やっぱり勇者って面倒くさいな。

874Mii:2019/02/04(月) 22:58:20 ID:ARfOst1w
〜ふしぎのぼうし〜

ゼルダ「リンク、一緒にお祭りに行きましょうよ!」ワクワク

リンク(今回は幼馴染設定で始まるのか、なんか新鮮。
    …変装とかしなくていいんだろうか)ゴロゴロ

ゼルダ「…ちょっとリンク、どうして前転で進んでいくの!?
     …え、この方が速いって?嘘よね!?あれ、追いつけない!?待ってー!」





グフー「光の力を持つ姫…ハイラルの王女が持っているといわれるふしぎな力というヤツですか…
    そんな力を持った者をほうっておいて後々じゃまをされたら大変ですね…
    ワタシの魔人の呪いで石になるがいい!」ブウゥンッ

リンク「表彰式を使って律儀に正面から乗り込んでくるのは評価点だったけど
    そんなことさせないぞ…!」ワリコミ

875Mii:2019/02/04(月) 23:00:18 ID:ARfOst1w
ゼルダ「いけない、リンク!その小さな盾なんかじゃ防ぎきれない!
     私のことはいいから、よけてっ!」







リンク「時オカミラーシール…(小声)」







ゼルダ「えいっ!」ドンッ

リンク「え、ちょ」フラッ



ゼルダに おもいっきり つきとばされて
のろいのまほうを はねかえすことに しっぱいした!
ゼルダは いしに なった!▼



リンク(構えておけば跳ね返せたのに――っ!?)

876Mii:2019/02/04(月) 23:02:39 ID:ARfOst1w
グフー「それでは、フォースを探すことにしましょうか、フッフッフッフ――」シュンッ

リンク「……………………」

ゼルダ「」

リンク「これ、最後の最後まで石になったままってパターンじゃないか…
    いや、パターンなんて言っちゃいけないか…
    石の密度の相場が2〜3 g/cm3だから…100 kgはあるかな?
    うん、ちょうどいいハンデだな」





ハイラル王「こうなったら、リンクに全てを託すしか…!
      スミス、リンクはどうしたのじゃ!」

スミス「そ、それが…そのまま『ちょっくらグフーを倒してくる』と言って
    飛び出して行ってしまい…」

ハイラル王「折れたピッコルの剣も、戦闘用の剣もまだ与えていないのにか!?
      そ、そういえばゼルダはどうしたっ!見当たらんが!」

スミス「『ここに放置してたら、どうせグフーが隙を見計らって攫うだろうから
    連れていく、もとい背負っていくよ』とのことです」

ハイラル王「」

877Mii:2019/02/04(月) 23:04:28 ID:ARfOst1w
エゼロ「たすけてくれーい!」

ダダダダダッ…。
ドウシタ ドウシター?

エゼロ「ふう、やっと助けがきたよう――」



リンク「マスターソードの錆になりたい奴は出てこーい!
    …うーん、まだハンデが足りないかな。
    コキリの剣あたりに変更するかな」ズババババ

ゼルダ「」

エゼロ「何コイツヤバイ」

リンク「そこの…帽子?でいいのかな?石化した人の呪いを解くために、
    なんとかして聖なる力を秘めた聖剣を手に入れたいんだけれど、
    色々と試練を乗り越えなきゃいけない代物だと思うんだ。
    どうすればいいか知っていたりするか?教えてくれ!
    
    …あ、他の人には俺がマスターソードを持っていることは内緒な?」

エゼロ「お前は何を言っているんだ」

878Mii:2019/02/04(月) 23:06:16 ID:ARfOst1w
〜トワイライトプリンセス〜

ウルフリンク「……!」ガルルルルル

ミドナ「あ〜あ、残念だな〜。
    オマエの態度によっちゃあ助けてやろうと思ったのに――」
    


ウルフリンク(なにこれ凄いな!?獣になって戦闘力アップか!?
        うおぉ、ダッシュ速い!(鎖ブチッ!)当たり判定小さい!
        …あ、でも魔物に噛みつき攻撃はやだなあ。
        ちょっと剣を招喚して(ガラン)、前脚で…くそっ、厳しいか。
        グローブ系なら何とかなるかな?
      
        おーい、そこの獣人。
        何か獣専用のアクセサリとか持ってたりしないか!?
        爪の攻撃力が30%アップする、みたいなやつ!)ガルルルル

ミドナ「怒りじゃなくて感動してただけ!?適応速いなっ!?
    おまけにテレパシーに武器招喚って、いきなり何やってくれてるの!?」

879Mii:2019/02/04(月) 23:10:41 ID:ARfOst1w
〜キノコ城〜

ゼルダ「…………早速ですが本題に移りましょう」

ピーチ「……………………ど、どうしたのかしら、ゼルダ」

ゼルダ「いえ。なんでも最近、リンクがもっぱらキノコ王国で生活しているという噂を偶然耳にしたもので。
     興奮しずぎて、私自ら遠路はるばるやってきてしまいました」ピキピキ

ピーチ(怒ってる!物凄く怒ってる!何よリンク、全然許し得てないじゃないっ!?
    …あ、歴史が移ってゼルダも変わったから仕方ないのかあ)



※リンクが早合点しただけで、もとから許されていません。



リンク「あれ?ゼルダ姫じゃないですか。これは珍しいですね。
    キノコ王国まで来て、一体どうしたのですか?なにか事件ですか?」

ゼルダ「どうしたのですか、ではありませんっ!リンク、何をやっているのですか!
    貴方は、キノコ王国の勇者ではないでしょうっ!」

リンク「しかし、一向にハイラル王国がイベントを催してくれないじゃないですか…。
    強くなるためにも、精神面でも、キノコ王国の方がずっと環境がいいんですよ…
    それに、警備がてら自分の意志でハイラル王国には度々戻ってますよ?」

ピーチ(火に油を注がないでー!)ビクビク

880Mii:2019/02/04(月) 23:12:35 ID:ARfOst1w
リンク「…あ、そうです!そんなに疑うなら、今度のスマブラXで証明して見せますよ!
    いい加減、ゼルダ姫にも参戦していただければ、私の戦闘力の上がりっぷりを示すことができるはずです!」

ゼルダ「私に、そのような遊戯に参加する時間などありません」

リンク「…では、私もハイラルに戻ると時間がもったいないので戻りません」プイッ

ゼルダ「いい加減にしてください、リンク!
    何をピーチ姫に吹き込まれたのか知りませんがっ!
    ハイラル王国とキノコ王国、どちらが大切なのですかっ!」

リンク「それはもちろんハイラル王国に決まってるでしょう」

ゼルダ「そうでしょう、そうでしょう!
    …そ、その。私と、ピーチ姫とでも、どちらが大事かくらい、
    わかりきっていることでしょう」





リンク「……………………………………………………………………………………
    ゼ、ゼルダ姫に、決まってるでしょう」ピクッ ピクッ

ピーチ「」

ゼルダ「」ブチィ

881Mii:2019/02/04(月) 23:14:39 ID:ARfOst1w
ゼルダ「いいでしょう…こうなったら、私自ら、お灸を据えてあげましょう…
    スマブラXとやら、参戦しようではありませんか」

リンク「本当ですか!では、何度でも挑戦を受け付けるので、
    一度でも、素手の俺に『参った』と言わせたらゼルダ姫の勝ちということで!」

ゼルダ「フンッ!」ガチャッ・・・



ピーチ「…一応聞いておくけど、私のことが好きになった、とかではないわよね?」

リンク「はは、まさか。でも、親しい友人とは思ってるぞ」

ピーチ「…ゼルダのことは?」

リンク「私生活では取っ付きにくいけど有能な上司」

ピーチ(リンクのゼルダ好感度の低さのせいで私のストレスがマッハ!)ガクブル

882Mii:2019/02/04(月) 23:16:49 ID:ARfOst1w
スマブラXで、俺の実力は遂にマリオに並んだ、と思う。
観客の拍手を受けるのは、やっぱり気持ちがいい。



そうそう。ゼルダ姫に言われるままに、非公式戦でタイマン勝負することになった。



腕を大きく引っ張られながらも、光の弓矢を素手で掴み取って――
弱攻撃だけで100回ほど丁重に倒してみせたら



ゼルダ「リンクの馬鹿アアアアアアァァァァ!!」



と叫んで泣きながら去っていきました。
その後、ハイラル王国に戻って来いと言われることもなくなってめでたしめでたし。





ゼルダ「どうして、こんなことになってしまったの…」グスン

ゼルダ「私はリンクに、ハイラル王国に…傍にいてほしい、だけなのに…」

ゼルダ「何もかもが、ちぐはぐね…」ジワァ

883Mii:2019/02/04(月) 23:19:28 ID:ARfOst1w





「きゃあああああっ!」ドゴォッ

「ゼルダっ!!」

「ゴホッ…リンク、私の、ことは、もう、いいので、す…!
私の最後のお願いを、きいてください。
あの魔物を、たおし、て。ハイラルに、平和を、とりもど、し、て……
貴方なら、私の聖なる力がなくても、きっと――」ドクドク



「…………嫌だ」



「……リン、ク?」

「ハイラル王国とゼルダ、どっちかなんて…選ぶことなんか、できないっ!」



紫の薬が 緊急発動!
ハートが8個 回復して 一命を取り止めた!▼

884Mii:2019/02/04(月) 23:21:04 ID:ARfOst1w
「ああっ!何を、やっているのです!
 最後の薬は――貴方のために取っておいてほしかったのに!」





「海に、一緒に泳ぎに行くんでしょ?」

「えっ…」





「ゼルダを犠牲にして、世界平和なんて嘘だ。
 最後まで、2人であがいてみようよ」

「……!!」

「…なーんて、本来ならゼルダと一緒に遊びに行けるような身分じゃないけどさ、ははは」

「リンク……!はい。…はいっ!わかりました!
2人で、必ず生きて帰りましょう!そして、絶対に遊びに行きましょうね!」ウルウル

「ほんとに!?嬉しいなあ。…そうさ、僕たちは、最高の――」

「パートナー、なのですからっ!それでは、参ります!これが――――」

885Mii:2019/02/04(月) 23:23:05 ID:ARfOst1w












〜大地の汽笛〜

トゥーンゼルダ「最後のセッションです――――っ!」

トゥーンリンク「最終決戦だ――――っ!」

886Mii:2019/02/04(月) 23:24:51 ID:ARfOst1w
マラドー「小賢シイ真似ヲシテモ 無駄ダア!」

トゥーンゼルダ「リンクはマラドーを引きつけてください!
         わたしはその隙にこの光の弓矢でマラドーの光の紋章を狙います!」

トゥーンリンク「わかったっ!!」



――トゥーンリンクの果敢な動きに、魔王マラドーの注意が逸れる!



トゥーンゼルダ(今ですっ!……っく!?)ズキン

トゥーンリンク「外しちゃっても、まだチャンスだ!次の矢を放って!」

トゥーンゼルダ(こんな、ときに…!怪我、緊張、そして恐怖で狙いが定まってくれない!
         あ、ああああ!?)ブルブル

トゥーンリンク「やばいっ!……ぐっ!」ダッ

トゥーンゼルダ「リンク!私を、庇いに入ったせいで……ごめんなさいっ!
          私、最後の最後で、勇気が…」ボロボロ

トゥーンリンク「なーに、こんな怪我、舐めてりゃ治るって!気にしない気にしない!」テヘヘ

887Mii:2019/02/04(月) 23:27:47 ID:ARfOst1w
トゥーンゼルダ「…………リンク、お願いがあります。
         最後の最後の、お願いです。

         汽車の旅路で、貴方が聞かせてくれた数々の昔語り。
         その中で出てきた、『あれ』を。私に――」

トゥーンリンク「…え、いい、の?」

トゥーンゼルダ「はい。私はリンクを、信じます」ニコッ





マラドー「エエイ チョコマカト目障リナ!」グオォ

トゥーンゼルダ「…………」ジッ



トゥーンリンク(よし、ゼルダがフリーになった!
ここまで信用してくれたんだ、想いを、風に乗せて――!)

888Mii:2019/02/04(月) 23:28:53 ID:ARfOst1w





サッ サッ サッ サッ。
トゥーンリンク「←・→・」

トゥーンゼルダ「――――」ガクッ ブゥーン・・・







トゥーンリンクは 操りの唄を振った!
トゥーンゼルダの 意識を乗っ取った!▼ 





トゥーンゼルダ「――光の弓矢、食らえっ!」バシュッ!

マラドー「ガアァ!?」



トゥーンゼルダ(よし、なんとか扱える!ただ、問題は…!)

889Mii:2019/02/04(月) 23:30:51 ID:ARfOst1w
マラドー「フンッ!!」

トゥーンリンクは 操りを解いた!▼

トゥーンリンク「あっぶない!セーフ!
         わざわざ、棒立ちの僕を敵の目の前に曝け出しちゃうことかなっ!
         はは、かなりしんどいことになりそうだっ!」



トゥーンゼルダ「――2本目ぇ!」ビュンッ!

トゥーンゼルダ「――――3本目ぇ!」ビュンッ!

トゥーンゼルダ「――――ハァ、ハァ…4本目ぇ!」ビュンッ!




トゥーンゼルダ「――――――――――いい加減、倒れろぉー!」ビュンッ!



マラドー「グガアアァァ!」バタリ



トゥーンリンク(――――今だっ!)パチッ

トゥーンリンク「うおおおおおおおおっ!」

890Mii:2019/02/04(月) 23:33:24 ID:ARfOst1w
トゥーンリンク(マラドーは相当弱ってる!額のコアに剣を刺して、お仕舞いだ!
       
         …だと、いうのに。どうして、足が、もつれるんだ。
         やっぱり、何度も何度も意識を乗っ取るってきつすぎる――。
         今アイツを仕留め損ねたら、ヤバイの、に。
         ごめんゼルダ、僕、もう気力が残って――)フラッ



ガシッ!ザクッ!!

マラドー「GYAAAAAAAAAAA!!」



トゥーンリンク「ハッ……あれ?場面が…飛んでる?
         どうして僕は…ここまで駆けて来られてるんだ?
         どうして、剣を突き刺せているんだ…!?」





トゥーンゼルダ(霊体)「よかった、間一髪間に合いました!」





トゥーンリンク「ゼルダ!?どうしてまた、その姿に!?」

891Mii:2019/02/04(月) 23:35:03 ID:ARfOst1w
トゥーンゼルダ「リンクが倒れかけているのを見たとたん、思わず自分の体を放り出して
         意識を失ったリンクの体に入り込んでいました。
         おかげで、私の体は顔から盛大に地面に倒れ込んだじゃないですか、もう。
         
         …リンク、私がまた体に入って戻ってくるまで耐えてください。これで本当に、最後です」

トゥーンリンク「…………ああ!」グググッ



タッタッタッ…。

トゥーンゼルダ「お待たせしました。それでは――」





トゥーン「「はあああああああああっ!!!!」」ドンッ!!

892Mii:2019/02/04(月) 23:36:35 ID:ARfOst1w
トゥーンリンク(ぼーっ)



リンク「おいおい、どうしたよトゥーン。冒険から戻ってきてからというもの、
    ため息ばっかりついて、そんなに黄昏ちゃってさ」

トゥーンリンク「…………」チラッ

トゥーンリンク「はあぁ……約束、守れなかったなあ」シュン

リンク「お?なんだなんだ?どれどれ、お兄さんに話してみたまえ。
    冒険の中で好きな子でもできたか?」

トゥーンリンク「…………うん」

リンク「なーんてな、あはは…って何だとぉ!?
     トゥーン、恐ろしい子!色を知る歳か!?一体、どんな人なんだ!?」ガバッ

トゥーンリンク「…………えっと」モジモジ



リンク「えっ…」

リンク「……………………ふむ」

893Mii:2019/02/04(月) 23:40:02 ID:ARfOst1w
〜ハイラル城〜

ゼルダ「…ふう、今日の仕事はこのくらいにしておきましょう。
     いつまでも明かりを付けているとインパに怒られてしまうわ」

ゼルダ(まあ、枕元の本を少し読んでから寝るのだけれどね)



コン、コン。



ゼルダ(あら、いけない。寝たふり、寝たふり)



リンク「失礼しまーす」ガチャッ

ゼルダ「!?」

リンク「あれ?おかしいな、窓明かり的に起きてると思ったんだけど」

ゼルダ「」

リンク「まあいいや、寝てる方が好都合だし。貴方の心を盗みに参りました、なんてね!」

ゼルダ(夜這いっ!?まさか、夜這いなのっ!?リンクに限って!?
     あわ、わわわわわわわわわわ)

894Mii:2019/02/04(月) 23:41:55 ID:ARfOst1w
リンク「さってと、さっさと済ますか――」

ゼルダ(あれがこれで それがどれで これがそれで)プシュー





リンク「教えてもらった『操りの唄』」スイー

ゼルダ「――――」ガクッ



ゼルダ「――よし、大成功!じゃあ早速、頭に意識を集中させてっと……
  
     これか?いや、違う。

     こっちか?違うなあ。

    流石に他人の魂、それも休眠状態の魂の分離は一筋縄じゃ行かないか…
    でもまあ、トゥーンリンクの為に頑張ってみるんだけどな!」

895Mii:2019/02/04(月) 23:45:24 ID:ARfOst1w
〜1時間後〜

ゼルダ「…見つけたぞ!そおぉぉい!」シュパッ



ゼルダ(テトラ)の魂【風のタクト】を 取り出して
空きビンに 詰め込んだ!
ピーチに渡して 実体化の協力をしてもらおう!▼



ゼルダ(テトラ)の魂【夢幻の砂時計】を 取り出して
空きビンに 詰め込んだ!
ピーチに渡して 実体化の協力をしてもらおう!▼



ゼルダの魂【大地の汽笛】を 取り出して
空きビンに 詰め込んだ!
ピーチに渡して 実体化の協力をしてもらおう!▼



リンク「――――よし、じゃあ帰るか。
    ご協力ありがとうございましたー」ホクホク

ゼルダ「…………うっ、一体何が……記憶が混乱しています…」ヨロヨロ

896Mii:2019/02/04(月) 23:47:27 ID:ARfOst1w
リンク「…そうして、必要分の魂を集めて来て実体化させ、
    更に魂に関する知識をトゥーンリンク同様に与えたものが
    こちらになります」ババーン



トゥーンゼルダ「人を物みたいに扱わないでください!
          命を弄ぶだなんて、本当に酷い方ですね!」プンスカ

リンク「……じゃあ、ピーチに頼んで滅してもらおうか…?
    本人が『本体と分離して生きること』を望まないなら、受け入れるよ。
    勝手なことをして済まない…」

トゥーンリンク「えっ…………」



トゥーンゼルダ「それは駄目です」ギュッ

トゥーンリンク「ゼ、ゼルダ。苦しい苦しい」

トゥーンゼルダ「ダメ」



リンク(ニヤニヤ)

トゥーンゼルダ「わ、笑わないでください!!」カアァ

897Mii:2019/02/04(月) 23:49:36 ID:ARfOst1w
リンク「善きかな、善きかな。

    ただ、残念なことに。本体のゼルダの負担を極力減らすため、
    戦闘力をほとんど持ってこなかったんだ。
    歴史3つ分を合わせても、凄まじく弱っちい状態だな。

    これから地獄の特訓でリカバリする必要があるけど、
    その覚悟はあるか?」

トゥーンゼルダ「……………………もちろんです!」グッ

トゥーンリンク「頑張れゼルダ!」





デイジー「…ねえ。前にゼルダが乗り込んできたときもヤバイと思ったけど。
      そろそろ喧嘩を通り越して戦争しかけられそうなんだけど、大丈夫、ピーチ?
      逆の立場だったらピーチ、絶対黙ってないよね?」ヒソヒソ

ピーチ「………………………………………………………………
     もうあの3人に矢面に立ってもらって何とかしてもらうしかないわ」ダラダラ

デイジー「ピーチが珍しく匙を投げてる……」

898Mii:2019/02/04(月) 23:52:00 ID:ARfOst1w
〜スカイウォードソード〜

ゼルダ「ハープと衣装で今日のわたしは伝説の女神様!
    リンクに一番に見て欲しくて来てもらったの!
    ねえ似合ってる?」

リンク「ああ、よく似合ってるよ」

リンク(今度のゼルダ姫…いやゼルダは幼馴染かつ恋仲一歩手前の関係か。
    …まあ、転生した俺にとっては好感度がニュートラルに戻ってるんだけど…。
    向こうは俺の変化なんて露にも知らないだろうし、うまく騙し通さなきゃな。
   
    しかし、ハイラル王国すらできていない大昔…いや原初の話とは。
    姫様の肩書もないし、これなら普通に仲のいい関係を築けるかな?)





ゼルダ「あれは……黒い竜巻!?何、何なのこれ!?きゃあああああああっ!!」



リンク「…って、言ったそばから攫われてるし!
    そこは、スカイロフトで帰りを待つとか一緒に冒険するとかさぁ!
    くそっ、自由が利かないっ!」

899Mii:2019/02/04(月) 23:53:44 ID:ARfOst1w
ファイ「お待ち申し上げていました…我が創造主より選ばれし運命のお方…
    『ファイ』 …それがワタシに与えられし名。
    時の向こう…遥かな過去から大いなる使命を背負いしあなたの為に…
    ファイはその為だけに作られた存在なのです。

    どうぞこの剣をその手に…我が創造主に選ばれしお方、リンク」



リンク(無機質無表情の女性にいきなり導かれましたとさ。話の展開が速いぞ。
    …女神の剣、か。触った感じ、マスターソードの前身みたいだな。
    …マスターソード持ってるんだけどなあ。
    まあズルはせずに、でもサクサクと進めていくか)

ファイ「…承認完了しました、マスター。
    マイマスター リンク」

リンク「おう、よろしくな、ファイ」

900Mii:2019/02/04(月) 23:56:37 ID:ARfOst1w
リンク(ようやく…見つけた!)

――ゼルダに、割と早く出会えた!

互いに駆け寄ろうとする、ゼルダと俺。

しかし、待ったを掛ける女性が1人。
その女性…インパの諫めに従い、ゼルダはどこかへワープしてしまった。
後を追おうとするも、鋭い眼光のインパに止められてしまう。

…え、なんで?使命があるとしても俺と一緒でいいよな?
多分倍速で案内してあげられるぞ?おーい?

インパ「…思いのほか遅かったな。お前を見ていると女神さまは
     選ぶべき者を見誤られたのかと思うぞ。
    そんなザマでは到底あの御方を…ゼルダ様をお守りすることなどできない」





リンク「…………は?」





開いた口が塞がらない。え、あの、ちょっと?

901Mii:2019/02/04(月) 23:58:14 ID:ARfOst1w
インパ「私の物言いが気に入らんか?」

リンク「――っ!当たり前だろっ!?俺はここまで、ほとんど攻撃を受けることなく突き進んできたんだぞ!?
    これ以上はないっていうほど早く着いたはずだ!」

それこそ、特殊な事情もないただの『リンク』だったら、この5倍は時間を食っているはずだ。
ズルをしない前提であるが、なるべく早く助けたいという思いがあった。

インパ「ほう…?安全策を採ってノロノロと進んできた、の間違いではないのか?」

リンク「そんなことあるもんか!」

インパ「だが、私がここに来ていなければ…今頃ゼルダ様は奴らの手中だった。
    …はっきり言ってやろう。お前は間に合わなかった。
    ゼルダ様をお助けできなかったのだ」

リンク「それは俺のせいじゃない!」キッ

いくらなんでも、最善を尽くしたことを全否定されてまで笑っていられるほど、
俺は聖人君子じゃない。しかし、インパの表情が一層厳しさを増す。

902Mii:2019/02/05(火) 00:00:24 ID:nxJlbLPw
理不尽だ。 理不尽だ。 理不尽だっ!!
なんで、こうなるんだっ!

光の束が収まり、ゼルダとインパの気配が完全に失われるまで。
久しぶりの虚無感を味わった俺は、立ちすくむことしかできなかった。



リンク「…………なんだよ…………もういいよ…………」ブツブツ

ファイ「マスターの精神が酷く乱れていると推測。
    先ほどの会話が要因である確率、98%。
    ですが、ワタシは状況を理解しきれておりません」



ファイが何か言っているが、知るものか。



リンク「そんなに、早く来てほしいなら…やってやるよ……」





ガシャン!!ガラガラガラガラガラガラガラガラッ!

903Mii:2019/02/05(火) 00:03:57 ID:nxJlbLPw
ファイ「…マスターの周囲に、数々の装備品が突如として現れました。
    言動から、マスターの持つ隠された能力によるものである確率、94%。
    私の記憶にない物が多数存在、状況把握が困難となっております。
    特に、こちらに転がっている光り輝く剣たちは――」





        マスターソード(神々のトライフォース)
        マスターソード(時のオカリナ)
        マスターソード(大地の章/時空の章)
        マスターソード(4つの剣)
        マスターソード(トワイライトプリンセス)





ファイ「マスターソード……!?……………………理解不能、理解不能」

リンク「それだけじゃないぞ…。この際だ、マスターソードだって合成してやる…
    一度試してみたかったんだ…ふふ…」ブウゥゥン

シャキイィィィィン!!

5本のマスターソードを 合成して ネオ・マスターソードが 誕生した!
攻撃力5倍! カギ扉、ボスカギ扉も 一振りで破壊できるぞ!▼

ファイ「!?」

904Mii:2019/02/05(火) 00:07:22 ID:nxJlbLPw
リンク「……………………さぁて、他の装備も適当に合成していくか…」

ファイ「…マスター。今後はこちらの剣を使用されるおつもりですか?」

リンク「悪いか?別にいいだろ、女神の剣よりよほど切れ味がいい」

ファイ「…マスターがそう仰るのならば、ワタシは従います。
    こちらの剣なのですが、ワタシが宿っても問題ないでしょうか」

リンク「好きにしろ――」

ファイ「それでは…」ヒュン




リンク「……………………っ!ちょ、ちょっと待った!やっぱ駄目だっ!
    ファイ、急いで剣から離脱しろっ!!」



ファイ「――――――――――――――――――――――――!?
    ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
    アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
    アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
    アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」バリバリバリバリ

リンク「言わんこっちゃない!マスターソード5本分の戦歴が流れ込んで
    情報処理が追いついてないんだっ!このままだと死ぬぞっ!?」

905Mii:2019/02/05(火) 00:11:10 ID:nxJlbLPw
――ファイは剣から飛び出して…いや吹っ飛ばされて、そのまま受け身も取れず壁に叩きつけられ、
力なく倒れ込んた。霊体に成れていないうえに体が融けかけている、だと。どんだけダメージを受けたんだ!



ファイ「――――が――――ぁ――――」ピクピク



リンク「回復アイテム……って、不要だから持ってきてないんだった!
    回復ポイントまで運んでる余裕なんかないぞ!?
    どうすりゃいいんだ一体!?
    自分のハートは有り余ってるって言うのに!

    ……それだっ!一か八か…『ハートの器』錬成っ!!」ググググ

生命力を削って ハートの器を錬成した!
ハートの最大値が 1つ減る!
おまけに体力を削られる!▼



リンク「ぐぐっ、堪えるな…。でも俺のせいで死なせたら寝覚めがわるいし。
    ハートの器、ファイに投入ぅ!」

ファイのハートの最大値が1つ増える!
おまけに体力全回復!
しかしすぐに体力を削られ始めている!▼

リンク「ほう…やってやろうじゃないの。これまでの冒険で増やしたハートの数と…ガチンコ勝負だなっ!」

906Mii:2019/02/05(火) 00:15:58 ID:nxJlbLPw
〜5日後〜

リンク「Zzz…はっ」パチッ



ファイ「…………目が醒めましたか、マスター」



リンク「…あ、寝落ちしちゃってたか、俺。…ハァ。
    でも、寝ずの看病しながら30個ほど投入して、ようやく容体が安定したか。
    …体の調子はどうだ、ファイ?」

ファイ「マスターのおかげで問題、ありません。
    ご迷惑をお掛けし、本当に申し訳ございません。…本当に、ほ、んとうに」ポロポロ

リンク「いや、視野が狭まって正しい判断をし損ねた俺が悪かったよ。
    迷惑かけて済まなかったな…って、あれ?そんなに表情豊かだったっけ?」



水…じゃないんだろうが、涙を零すファイなんて初めて見たんですが。

907Mii:2019/02/05(火) 00:17:30 ID:nxJlbLPw
ファイ「ます、たーが。そこまで歴史を渡り歩いて苦労されているなんて。
    だというのに、ワタシは無責任にも新たな苦難をおしつけて、しまい…っ!」ポロポロ

リンク「いやいや、まあそこんところはもう割り切れてるし、ファイが気にすることじゃないよ――――って、ちょっと待った!?
    なんで俺の裏事情知ってるんだ!?」





ファイ曰く。マスターソードの戦歴とハートの器の中に。

これまでの俺の知識が、思考が、感情(絶望が主な負の感情)が――溶け込んでいたらしい。
それに中てられた、とのこと。同時に、意図せずして人間の感情について高速学習を行ったらしい。

マジか、昔の人を舐めていました。ファイ様ってすっごくハイスペック。



リンク「ま、まあ。気にせず先に進もうぜ、なっ?」

ファイ「……はい」

908Mii:2019/02/05(火) 00:20:21 ID:nxJlbLPw
インパ「今回も遅かったな、選ばれし者よ。
     ゼルダ様をお守りする気が本当にあるのか?」ジッ

リンク(あー、今回はまあ、言い逃れできないな。
    ファイの看病でロスしたうえに、ファイを気遣って行軍速度落としたからな。
    目の前のギラヒムを牽制しつつ、甘んじて説教を受けておこ――)

ファイ「…………」

ファイ「……………………」

ファイ「勝手なことを…言わないでください!」ヒュン



インパ「!?お前は…剣に宿りし精霊」

ギラヒム「ほう…?お前が」

ファイ「マスターは、十分に尽力なされています!
    弱き者だからといって、強き者に全てを委ね、
    全てを負わせることなど許されることではありません!

    行動を共にする、行程を十分にこちら側に伝達する工夫すらせず、
    緊急時に勇者は駆けつけて然るべき、というのは傲慢ではないのですか!」

リンク「……!!」

909Mii:2019/02/05(火) 00:23:40 ID:nxJlbLPw
ギラヒム「……ハッハッハッハ!いや、これはケッサクだ!
     まさか言い訳を剣に任せる勇者が居ようとは!
     もしかしてワタシを笑わせようと打ち合わせでもやってくれたのかい?」

リンク「ファイ…落ち着け」

ファイ「ですがっ!」

インパ「あり得ぬ…剣の精霊がここまで絆されるなど、有り得ぬ。
    リンクよ、お前は一体何をしたのだ。嘆かわしい。
    …いいか、次はないぞ。剣共々、すべて一からやり直せ」

ゼルダ「リンク……私は、気にしてないから…」

リンク(そう言う人が、気にしてないはずがないんだよな…………)



インパとゼルダが扉から転送されていく。

リンク「…………」

910Mii:2019/02/05(火) 00:26:03 ID:nxJlbLPw
ギラヒム「まあ、今回は余興に免じて許してあげるけど…。
     今度は!全治百年じゃ済まさない。
     永劫に続く苦しみをあげる。生き地獄を与えてあげ――」





リンク「お前ちょっと黙れ」アイスロッド

ギラヒム「」カキーン





リンク「アイスロッド!アイスロッド!アイスロッド!アイスロッド!アイスロッド!
    アイスロッド!アイスロッド!アイスロッド!アイスロッド!アイスロッド!
    アイスロッド!アイスロッド!アイスロッド!アイスロッド!アイスロッド!
    アイスロッド!アイスロッド!アイスロッド!……こんなもんでいいかな?」

ファイ「マスター……差し出がましい真似をして、申し訳ございません」

リンク「全くだ、おかげでどんどん俺の評価が下がっていくじゃないか」

ファイ「……」シュン

リンク「でも……ありがとな。スカッとした。言いたいこと言ってくれて、すっげー嬉しかった」

ファイ「マスター……!」

911Mii:2019/02/05(火) 00:27:33 ID:nxJlbLPw
リンク「さて、ファイ。新しい剣へは、十分に馴染んだか?」

ファイ「シンクロ率99%、マスターの真の剣捌きは未知数ですが
    支障はないものと思われます」



リンク「よし。というわけで、
    インパさんとやらに…とっておきの意趣返しをしたい。
    ……是非や、如何に」ニヤリ



ファイ「非常に興味深いタクティクスと考えます。仰せのままに」フフッ

リンク「とてもいい答えだ。行動開始と行きますか!」










直径50mの氷塊「」ポツーン

912Mii:2019/02/05(火) 00:29:54 ID:nxJlbLPw
ペガサスの靴を履いた!ダッシュ力が上がった!▼

サッサの実を使った!素早さが上がった!▼

赤い服を着用!ダメージをほとんど受けない!▼

鬼神の仮面を被った!全能力が強化されるとともに攻撃的になった!▼

リンク「うおおおおおおおおお!!斬られたくなかったら、道を開けやがれ!
    全滅時の出現アイテムを隠し持ってるなら、それも出せやぁ!」

ファイ「マスター!マスターが所持する装備品と似た存在をダウジングにより発見しました!
    この歴史で得られる同等の装備品と推測されます!」

リンク「よしきた、合成パーツ!そこまですぐに案内してくれ!」

ファイ「承知いたしました!」サッ

カギ扉が現れた!▼

リンク「剣の力で押し通す!!」バキッ!

カギ扉が現れた!▼

リンク「トウフかお前は!」ザクッ!

ボスカギ扉が現れた!▼

リンク「大差なしっ!!」ドゴォッ!

913Mii:2019/02/05(火) 00:33:24 ID:nxJlbLPw
インパ「ゼルダ様、どうぞこちらへ…」ガチャ・・・

ゼルダ「とうとう――この扉の先が、
     終焉の者の復活を阻止するための終着点となるのですね……」スゥッ・・・







リンク「おー、ゼルダにインパさん。遅かったですねー。
    やっぱりスカイロフトに比べて地上の肉は旨いなあ」モグモグ

ファイ「あむ…これがおいしい、という感情なのですね。
    栄養学だけでは測れないテンションの高揚を感じます。
    しっかり脳裏に刻んでおこうと思います」モグモグ

リンク「でも剣に栄養学って関係あるのかな」

ファイ「どうでしょうか」



インパ「」

ゼルダ「」

914Mii:2019/02/05(火) 00:35:44 ID:nxJlbLPw
リンク「1週間前には剣を鍛え終えて、時の扉潜ってやってきちゃいましたよー。
    あとはひたすらキャンプ生活っすねー」モグモグ

インパ「1週間前だと!?ちょっと待て…前にお前と会った日ではないか!?」

リンク「そーですよ。日付が変わる前に必要なノルマを消化しきりましたが何か?」

ファイ「どの遺跡も帰還時間含めて30分と攻略に掛かりませんでしたからね」

インパ「」

ゼルダ「…………えっと、リ、リンク!実は私、女神の生まれ変わりなのっ!」

リンク「うん、知ってる」

ゼルダ「……!?…………今のあなたには神の遺産を…
     あのトライフォースを手にするに足る力が宿っているのです!」

リンク「そうだな、勇気のトライフォースなら一杯持ってるぞ。
    3つ並べたら力と知恵のトライフォースの代用にならないかなぁ」

ゼルダ「……!!??……………………じ、じ、実は、話さなきゃならないことがあるの!」

リンク「うん、いいよ。事情を話してくれるのをずっと待ってたんだ。
    でも、ここまで来て『これから人身御供で永い眠りにつく、運命だもの』みたいなことを言われたら、
    流石に付き合いきれないよ」

ゼルダ「」

915Mii:2019/02/05(火) 00:38:57 ID:nxJlbLPw
リンク(結局ゼルダは、過去の世界で『永い眠りにつく』ことを選択した。
    悲しみながらというより、一刻も早く俺との会話から逃れたいって顔で、
    フラフラとした足取りで。それでいいのかゼルダさん)

リンク(そして――なんやかんやあって、現在の世界でゼルダを復活させることに成功し…)



リンク(…物陰にギラヒムがいるな)

ファイ(…隙を伺っているようですね。マスターに対して怯えているようにも見えます)

リンク(ムシャクシャしててアイスロッドで虐めたからなあ。
    むしろ、よくあの状態から抜け出せたものだ…って、
    言ってる傍から仕掛けてきたぞ!)

ギラヒム「この小娘と共に過去へ戻り、今貴様らが亡き者にした魔王様を甦らせてくれる!!
      散々俺の邪魔をしてくれたが…もうここまでだ!!」ガシッ



リンク「あ、そういうことね!頭が回ってなかったよ、教えてくれてサンキュー!
    じゃあ過去に行ってお前もろとも始末すればハッピーエンドだな!」ポンッ

ギラヒム「!?」

リンク「よーし、とっとと時の扉を潜って過去に行こうぜ!」ガシッ

ギラヒム「は、離せっ!?」

916Mii:2019/02/05(火) 00:40:56 ID:nxJlbLPw
リンク「ただいま」シュンッ

ゼルダ「…あ、れ?もう、終わったの?」

バド「お、おい!あの趣味悪い奴と、過去の世界の終焉の者はどうした!?」

リンク「どっちもフルパワーでスカイウォードぶっ放したら一撃で粉々に砕け散ったよ」

バド「」

ゼルダ「」

917Mii:2019/02/05(火) 00:42:53 ID:nxJlbLPw
ファイ「…マスター、お話があります」

リンク「なんだよ、急に?」

ファイ「人へと生まれ変わった女神様を守護し終焉の者を滅する若人…勇者リンク。
    マスターを導くファイの使命は、これで終わりました。
    ですからマスター…ここで、マスターとファイとの承認をお解き下さい。
    剣を台座に挿せば全てが終わり、ファイはこの剣の中で永遠の眠りにつきます」

リンク「……!!」ピタッ

ファイ「マスターは見事、使命を果たされました。どうぞ台座に剣を納め、
    女神様からの命を完遂してください。
    
    ではマスター、承認解除を」

リンク「…………おいおいなんだよ、いつぞやの無機質調になりやがって。
    ファイはそれで、納得してるのかよ?」

ファイ「……はい」

リンク「…そっか。まあ、ファイがそう言うなら仕方がないな。
    こんな能天気なマスターのしもべを務め続けさせるのは可哀想だし」

918Mii:2019/02/05(火) 00:44:28 ID:nxJlbLPw
俺は、マスターソードを、台座に、突き刺す。

ブゥンと鈍い音がして、そしてすぐに静まり返った。



ファイとの契約は、今、確かに切れたんだ。



壇を降りていく俺に、最後の言葉が投げ掛けられる。



ファイ「マスター…いえ、リンク。
    結局…ファイには、人間の心を解することはできないのです。
    ファイの使命は女神様の言葉に従い、あなたを勇者として導くこと、
    それ以上でもそれ以下でもありません。

    ですから…あなたと旅路を共にしたマスターソードの中で眠るとしても
    何の感慨も、喜びも湧き起こらない。
    承認解除が済まされた今、ファイはただ眠りにつく、それだけです」





リンク「…………なあ、ファイ。いい事を、教えてやろう」

ファイ「…なんでしょうか」

919Mii:2019/02/05(火) 00:46:14 ID:nxJlbLPw
リンク「ひとつ。聞いてもいないのに、自分が冷静ですとか何も寂しくありませんとかいきなり言い出すのは、
    気遣いってやつでな。相当に人の心を理解していないとできない芸当なんだ。知らなかったか?

    ひとつ。承認解除が済まされたうえであれこれ語り掛けてくるのは、未練がある証拠だ。

    

    ひとつ。……そんな涙顔だと、何言っても説得力ないぞ」







ファイ「……………………さい、ごに。この旅の、なかで。
    ファイが…記録した、言葉を。1つ、あなたに、贈りましょう――
    
    あり、が、とう。マイマスター、リンク。
    いつ、か、また。あなたの、魂と、共に――」ヒック





リンク「……ああ」

920Mii:2019/02/05(火) 00:50:06 ID:nxJlbLPw
インパの方にも、お別れの風が吹く。

インパ「ゼルダ様…ハイリア様の記憶をお持ちのあなたにはおわかりの筈です。
    私は元よりこの時代の人間なのです」

ゼルダ「…それは…そうだけど…」

インパ「お戻り下さい…あなた方の時代へ。私はゼルダ様達が去られた後、この扉を処理します」

インパが時の扉を開け、潜るように促す。俺たちは「過去」から「現在」に向けて、扉を潜る。
振り返ると、インパが向こう側で光の球をそっと落とし、扉を壊そうとしている。

バド「ああ、この扉ともお別れか…」

ゼルダ「さようなら、インパ…」

リンク「さよならだな、ゼルダ」

ゼルダ「なによ、リンクったら。それだとまるで、あなたがサヨナラするみた――」





リンク「ロング入れ替えフック」ビヨオォォォォン

リンクは 自分とインパの位置を入れ替えた!▼

ゼルダ「!?」

921Mii:2019/02/05(火) 00:54:12 ID:nxJlbLPw
インパ「」

バド「」

リンク「なんとか届いたっ!…すまんゼルダ!俺、勇者としてご神託を受けたんだ!
    インパさんに代わって、封印が解けないよう見張るべきっていうさ!(出鱈目)
    黙ってて本当に申し訳ない!というわけで俺が代わりに過去に残るよ!
    いやあ、運命って残酷だな…でも運命だから仕方がない!」

ゼルダ「リンク!?嘘でしょ!?いやっ、戻ってきてっ!!」

リンク「おいおい、インパさんが1000年独りぼっちでいるのは一応納得できたのに、
    俺が1000年残るのがダメって…そりゃインパさんが可哀想じゃないか!

    大丈夫、俺って勇者だから!肉体面でも精神面でも自信があるよ!
    ゼルダは、ハイラル王国っていう立派な王国を作り上げてくれよな!
    俺も遠くからゼルダのことしっかり見守ってるから!それじゃ、See You!」



時の扉は崩れ去った。

ゼルダ「リンクゥゥゥゥゥゥ!!」ポロポロ

922Mii:2019/02/05(火) 00:57:33 ID:nxJlbLPw
ファイ「お待ち申し上げていました…我が創造主より選ばれし運命のお方…」




リンク「やあ」



ファイ「…………ファイは夢を見ているのでしょうか」

リンク「他の人たちを撒いて、戻ってきたんだっての。
    とりあえず、とっととそのマスターソードから出て、
    こっちネオ・マスターソードの中に入り直せ。承認し直すぞ。
    もとのマスターソードはそのまま戻しておけばバレないバレない。
    どうせ、この歴史も俺が巡回して守るんだからな」

ファイ「……やはり、夢でも見ているようです。
    私などが、マスターに付いていくことを許されるなど…」オロオロ

リンク「あんなに取り乱すファイを見て放っておけるかよ。
    …それに、なんだ。俺も、ファイが傍にいてくれると、嬉しいし」ポリポリ

ファイ「……!!そ、それでは!お供させて頂きます、マイマスター!」パアアァァ


・・・
・・


923Mii:2019/02/05(火) 00:59:37 ID:nxJlbLPw
リンク「……という、波乱万丈の人生があったわけよ!」

ファルコ「くぅーっ!!おいおい、泣けるじゃねぇか!
     そんな暗い過去とドラマチックな展開が待ってるだなんてよぉ!!」グズッ

フォックス『…すまんピット、ちょっと目にゴミが入ったからハンカチを貸してくれ』

ピット「グズッ…う、ん。感動だぁ!でも、安全運転でお願いするね!」



パルテナ「…このSS、主人公誰でしたっけ…
      あれ?ということは、ゼルダ姫って不戦敗ってことですか?
      あらあらまあまあ、お気の毒に」

リンク「不戦敗って何のことだ?」

パルテナ「なんでもありません」

924以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/05(火) 23:17:51 ID:ZgYJq3qc
ゼルダさん負けヒロインになってしまったか…

925以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/07(木) 15:25:21 ID:50AFIns6
結局ゼルダはスマブラ出ないんだろうか?

926以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/10(日) 18:56:07 ID:epnMv.1M
――すこし時間は巻き戻り…。

〜9月6日   スマブラ開幕まで あと7日〜

ピーチ「フンフン、フーン♪」

マリオ「ピーチ、ご機嫌だなー」

ピーチ「そりゃそうよ、まもなくスマブラが開幕するんだもの!
    会場の準備は万全!スケジュールも完璧!宿泊施設の入りも上々!
    キノコ王国のトップとしては申し分のない状況ね!」

マリオ「はは、そうだな。…そういえば、ロゼッタは呼んでいるんだよな?
    まあ、呼ぶにしても参戦させちゃ絶対にまずいだろうけど。
    なんか俺の直感が、不運な事故が重なって参戦させられちゃうんじゃないかと訴えてるんだが」

ピーチ「まあね、流石に私も学習したわ。今から会場入り口に、その対策を施しに行くのよ。
    …ジャジャーン!このゴテゴテとしたメカをしかと見なさい!対策の1つ、『選手認証システム』!」

マリオ「へえ?」

ピーチ「役割は2つ!

    ひとつは、通行人物を認識して、ゲート先の振り分けを行うわ。
    もうひとつは、振り分けの結果、開幕までにスタッフ以外で選手控室に一度でも入室できた者を
    自動かつ不可逆的に選手登録するわ。面倒な手続きが要らないしね。

    ゲートから進んで行き着かない限り、控室に繋がる通路はない。
    そして、ロゼッタは残機申請時の登録情報から『選手除外』リストに指定しておいたから、
    選手控室に紛れ込むことを防止できるって寸法よ!技術班に作らせるの、苦労したんだから!」

927Mii:2019/02/10(日) 19:00:44 ID:epnMv.1M
マリオ「なるほど」

ピーチ「更に、1000以上のFP、あるいはそれに相当するMP/精神力等々の最大値を有しない者も、
    選手として弾くシステムを既に設置しているわ。

    今の所、参戦希望者でこの条件を満たさない者はいないことを確認済。
    一方のロゼッタは、以前に測定機器で見た限り…FP最大値がたしか128だったから全然足りない。
    
    ね?二重の安全策よ」

マリオ「おお、いい感じだな!よし、暇だったし…選手認証システムとやらの取付を手伝うぞ」

ピーチ「ふふ、ありがと」



ピーチ「……うーーーん!設置完了!…よし、起動開始ね!これであとは開幕をノンビリ待つのみ!
    まあ、ちょっとリハーサルはあるけれど。
    …あ、そうだ。とりあえず選手登録をしに、控室に行ってみない?」ノビー

マリオ「そうだな、後でもいいと思ってて忘れたりすると最悪だし。
    毎度のことだが、どんな設備が備わってるのか楽しみだな!快適空間なのか?」

ピーチ「食堂、仮眠室、エンターテインメント、リラクゼーション、なんでもござれよ。
    マリオもきっと気に入ると思うわ…ここよ!」ガラッ

928Mii:2019/02/10(日) 19:04:15 ID:epnMv.1M



ロゼッタ「カーブ!フォーク!スライダー!
     …うーん、流石に卓球のラケットでジャイロは無理ですか…」

チコ「ピピィーッ!ママの得点―!これでセット終了―!」

「ああっ!もう一回、もう一回です!今度は負けません!」

ロゼッタ「うふふ、また勝っちゃいました!…おや、ピーチ姫にマリオではないですか!
     お久しぶりです!」

ピーチ「」

マリオ「」



ロゼッタ「…ああ、その驚いた顔は…ふふふ、私も流石に学習しましたよ。
     今度こそ遅れてなるものかと、石橋を叩いて叩いて叩きまくって、
     8日前…昨日には現地入りしていました!

     時間を持て余して、ちょっと会場に来てみたら、こちらの部屋にたどり着いたのですが。
     非常に快適で、かつ面白いですね!温泉に浸かって、お風呂上りにコーヒー牛乳を飲んで、温泉卓球に勤しむ!

     掲示板に有った嗜み方のレクチャーを最初に見た時ははて?と思いましたが
     実際にやってみると…ここまで気分が爽快になるとは思いもしませんでした!」

ピーチ「」

929Mii:2019/02/10(日) 19:08:15 ID:epnMv.1M
ピーチ「お、遅かった…!?どうして、こんな時に限って…!!
    で、でも、ちょっと待ちなさい!ロゼッタ、FPの制限に引っ掛かるでしょ!
    ちょっと待ってなさいっ!」ダダダダッ

ロゼッタ「…はて?一体、どうしたというのでしょう」

「さあ……?」







測定機器「対象者:ロゼッタ  分析完了!
       基礎体力レベル  Lv. 020
       最大HP        00050
       魔法レベル     Lv. 129
       最大FP        00896     デス」

ピーチ「…………」ゴシゴシ

ピーチ「…………」ジッ

ピーチ「最大HPが10倍、最大FPが7倍になってる……」アゼン

マリオ「なんと」

ロゼッタ「なんと」

930Mii:2019/02/10(日) 19:11:51 ID:epnMv.1M
ピーチ「……いやいや!それでもFPが1000に足りないでしょ?一体どういうこと?
    わたしとしたことが調整ミス…?」

チコ「ねえねえ、ママ、まだー?はやく続きやろうよー!」ピョン

ロゼッタ「あ、えと、あともうちょっと待ってね?」

マリオ「あはは、色とりどりのチコたちだな。応援したいあまり付いてきちゃったのか」





測定機器「最大FP修正、+16! 00912 デス」

ピーチ「……!?」



チコ×8「はやくはやくー!」ピョンピョンピョン

ロゼッタ「よしよし、もうちょっとの辛抱ですからね、うふふ」ナデナデ

測定機器「基本値カラノ最大FP修正、+128! 01024 デス!
      ロゼッタ アンド チィコォー!選手登録モンダイアリマセン!」ドーン

ピーチ「抱き着いてた貴方たちが原因ねぇ!?なんてことをっ!!」

931Mii:2019/02/10(日) 19:18:00 ID:epnMv.1M
マリオ「…ところで、さっきから気になってたんだけど…いい加減に聞いていいか?
    …そこでコソコソ逃げようとしてるアンタ、誰さ?ここにいる時点で、すっごく嫌な予感しかしないんだけど」

「は、はいぃっ!わ、私は……
 ハイラルのゼルダッ!そう、ハイラルのゼルダと申しますっ!!」

マリオ「ほーん、そりゃあ驚いた、金髪じゃなくて黒髪だから気付かなかったよ」

「は、ははは。全く、知己を忘れるだなんて酷いお方ですね!」

マリオ「ははははは」

「ほ、ほほほほほ」

マリオ「…………」

「…………」







マリオ「ゼルダってそういや、ウルトラファイアで火達磨になるのが大好きだったよな。
    久しぶりに燃やしてやるよ、なぁに遠慮は要らん」サッ

ヒルダ「大変失礼いたしましたロウラル王国のヒルダです」ズサァ

932Mii:2019/02/10(日) 19:24:32 ID:epnMv.1M
ヒルダ「うう…ばれてしまいました…。ハイラル王国では大丈夫でしたのに…。
     ゼルダ姫本人に代わって、万が一のときのゼルダ姫の選手登録をするという
     リンクから依頼された大事な大事なミッションが…」

マリオ「……選手登録の代返?なんだ、そりゃ。遅れる用事でもできたのか?」

ヒルダ「…はい。私としても、今でも信じられないのですが…」ハァ

ピーチ「…聞いたことがあるわ。ハイラルの裏世界のロウラル王国の存在を。
    ただでさえ歴史関連でややこしいのに、ますますややこしいわね。
    それで、ロウラルのお姫様が一体どうしてキノコ王国に?詳しく事情を教えてくれる?」

ヒルダ「それが……今、ハイラル王国が大変なことになっていて――」

ピーチ「た、大変なこと……それって?」





ヒルダ「――実は……」

933Mii:2019/02/10(日) 19:29:02 ID:epnMv.1M
――街から遠く離れた森の奥深くで、ハイラルの魔女は代々…
――3つのトライフォースの均衡を見守っていました。
――彼女は、特別な魔法を使って…
――幾多の時空、幾多の人々の過去と未来を垣間見ることができました。

――ある日、魔女は1つの魂に目を留めます。
――まばゆいばかりに輝く、その魂の持ち主は…時代を越えて魔を打ち払い、
――ハイラルを悪しき者から守ってきました。
――人々は、彼を「勇者」と呼びました。

――魔女は、勇者に憧れをいだきます。
――けれども、彼のそばには、いつの時代も、美しい姫の姿がありました。
――姫をうらやむ気持ちが芽生えた彼女に、そっとささやく者がいました。
――それは、かつて勇者が封じられた魂の欠片に僅かに残された、悪しき者の思念でした。

――勇者を手に入れたいならば手を貸そう…そうささやいた悪しき者は、
――魔女が持っていた善の心を外に追い出して、かわりに、魔女の心の半分に居座りました。
――悪しき者の目的は1つ…
――トライフォースの力で復活を果たし、ハイラルを我が物にすること。

――善の心を失った魔女は、悪しき者に操られるまま…
――闇の世界とつながる「転生の扉」を開きました。
――扉から召喚される、様々な時代の魔物達。
――ハイラル王国に、再び災いが訪れようとしていました…………が。





――勇者「リンク」とその従者である剣の精霊「ファイ」によって半日で鎮圧されました。

934Mii:2019/02/10(日) 19:33:11 ID:epnMv.1M
――余裕綽々と、何万もの魔物を倒したリンク達。

――しかし、魔女はその隙をついて辛うじて、城に住む美しい姫に迫りました。
――けれどもやはり、たった1人で姫に打ち勝つことは、容易ではありません。
――せめて動揺を誘えればと、姫の中の眠っていた数々の魂を、全て覚醒させました。
――企みは見事に成功。姫は大いに動揺し、混乱しました。

ゼルダ「…あ、あ、あああああああ!?な、なんなのですか、この記憶はっ!?」ガハッ

魔女「フハハハハハハ!これで、形勢逆転だな!」


――そして、半狂乱になって泣き叫びました。

ゼルダ「……そ、そんな――リ、リンクが、他の女性を、え、ら、んだですって!?
    嫌ああああああああああああああああぁぁぁ!?」ポロポロ

魔女「フハハハハハハ……えっナニソレ初耳なんですけど」


――更には、混乱窮まった所に日頃のストレス解消不足も祟って、ヤンデレになりました。

ゼルダ「……そうよ、リンクったらファイに騙されているのよ。
    精霊と付き合うだなんて、どうかしてるわ、有り得ないわ。
    勇者はお姫様と一緒になるべきなのよ、うふふふふふふふ。
    私が、リンクを助けてあげないと、ふふふふふふふふふふ」ゴゴゴゴゴ

魔女「」

935Mii:2019/02/10(日) 19:42:43 ID:epnMv.1M
ゼルダ「アナタ、協力しなさい。それとも死を選びたいかしら」ゴゴゴゴゴゴ・・・

魔女「喜んで協力させて頂きます」ブルブル

――殲滅を終えてみると、王女ゼルダの姿が見えなくなっていました。
――インパとリンクは戦場を、トゥーンリンクとトゥーンゼルダは城の中を走り回って
――ゼルダを捜しましたが、見つけられませんでした。

――ちょうどその時、ロウラルという王国から、王女ヒルダとその従者が来訪しました。
――本来、両王国の行き来は非常に難しいのですが、ロウラルのトライフォースの力により、
――移動のためのアイテムの確保をついに果たせたのです。

――ハイラルへの大いなる感謝を伝えるために。
――そして、長らく政の経験が不足している自分の研修を兼ねて。
――彼女とその従者は、ハイラルにやってきたのです。

ヒルダ「あの時の恩は忘れません!何か、恩返しがしたいのですが!」

リンク「渡りに船とはこのことだっ!じゃあ、大臣たちに教わりながらゼルダの代わりやってくれ!
    政務にお目見えにスピーチに!ヒルダだけが頼りなんだ!
    大丈夫、『裏ゼルダDLCでしょうか、本日もお美しい!』って感じで納得してもらえるから!」

ヒルダ「」

――ゼルダがどこで何をしているかは分からないが、そのうち戻ってくるだろう…。
――リンクはそう言って、呑気に釣りに出かけてしまいました。

――王女の争乱…世の人々が、そう呼んだ時代のできごと……。

ピーチ「何やってんのよゼルダァー!?」ウガー

936Mii:2019/02/10(日) 19:58:30 ID:epnMv.1M
ヒルダ「おかげで、慣れない作業ばかりでヘトヘトです…
    おまけに、インパさんもトゥーンリンクも…トゥーンゼルダまで、
    魔物の残党狩りに参加するようになってしまい…手伝って頂けないというか…。
    逃げ出したいというのもあって、キノコ王国へ早めの便で着いてしまいました。
    ロゼッタとは昨日お友達となったのです。

    確かにロウラルは直接的な政ができる環境がまだないため、
    急ぎ帰らなければならない、というわけではないのですが…。
    さすがに周囲を心配させてしまうため、役割を終えたならば帰りたいのですが」グッタリ

ロゼッタ「…修羅場に巻き込まれたということですよね?
      リンクという人も、恋心に気付いていないだなんて罪な人ですねえ」ホワホワァ

ピーチ「…………あ、キノ爺?ちょっと確かめてほしいんだけど、至急に」トゥルル

マリオ「えっと、お二人さん。ハイラルのことは一旦置いといて。
    とりあえず、そんな悠長なことを言っていられない状況にあるの、
    わかってほしいんだけどなあ」

ロゼッタ「はて?」クビカシゲ

ヒルダ「なんでしょうか?」クビカシゲ

マリオ「カクカクシカジカ」

ピーチ「…え。キノ爺、やっぱり駄目?もう親元のコンピュータに送られて修正できない?
    そっかー、そうよね…そういうふうにしたのだからね…」

2人「「」」

937以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/11(月) 14:57:57 ID:9B6Xfel.
ああ除外リストでも振り分けされないだけなのか
かなしいなあ

938Mii:2019/02/15(金) 00:08:40 ID:flh2faPE
ピーチ「……ど、どうしようかしら。今更ながら、困ったわね…!」

ヒルダ「……ふ、ふん。そう恐れることでもないのでは?
    わ、私も、魔法なら多少腕の自信はありますよ。
    ひたすら防御に徹して時間稼ぎするくらいならできます」

ピーチ「…………」ピピピピピ



測定機器「対象者:ヒルダ  分析完了!
       基礎体力レベル  Lv. 008
       最大HP        00020
       魔法レベル     Lv. 060
       最大FP         03200
          (FP換算、トライフォース加護ニヨル+3000込ミ)   デス」



ピーチ「……なにを、偉そうにぃ」ハアァー

ヒルダ「なんです、そのため息は!?…え、これが私の強さですか?」

ピーチ「はい、マリオ、こっち向いてー。
    …さて、今キノコ王国で頂点の戦闘能力がこちらになりまーす」

ヒルダ「一体それがどうしたというので――」

939Mii:2019/02/15(金) 00:13:32 ID:flh2faPE
測定機器「対象者:マリオ  分析完了!
       基礎体力レベル  Lv. 160
       最大HP        99999
       魔法レベル     Lv. 064
       最大FP         08192    デス

       最大HP コレ以上 上ガリマセン!」



マリオ「この先のレベル上げが無茶苦茶しんどいんだ。
    いやぁ、一向にレベルが上がる兆しがなくて」

ヒルダ「」

ロゼッタ「す、すごいことになっています…!」

ピーチ「これでもマリオは、魔法苦手な方なんだけどねー。
    そうね、物理の方なら多分…もし貴方に対してマリオが本気になれば、
    5メートル離れた所からの『何の変哲もない』パンチの衝撃波だけで絶命だわ。

    そして、マリオと同等とは言いすぎだけど、数人掛かりならマリオと張り合える、
    くらいの力量のファイターなら山といるわよ、この戦場には」

ヒルダ「」ガクガクブルブル

ロゼッタ(…その衝撃波とやら、昔の私だったら原型留めないことになりませんか?
     べ、別に想像なんてしませんよ?)

940Mii:2019/02/15(金) 00:19:15 ID:flh2faPE
ヒルダ「死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない……
     わ、私にはロウラルに光明を与えるという大事な使命が…」グズッ

マリオ「ピーチが脅すから…しゃがみこんだまま頭抱えて泣き出しちゃったじゃないか」

ピーチ「とは言っても、登録しちゃったら最低回数は公式戦を行ってもらう必要があるし…
     それまではキノコ王国から出ることも出来ない仕様なのよ」

ロゼッタ「…あれ?私の…マリオカートの時は、選手登録を解除できましたよね?
      結果的に登録抹消という形でスムーズに」

ピーチ「正確には、途中棄権以降は最低得点扱いになったとはいえ、
     『レース1回分をこなしたうえで手続きを踏んだ』形をとったのよ?
     …最低1回分の大会リザルトを得てからでないと登録抹消はできないの。
     今回だと『規定回数以上戦った上で手続きを踏む』形になるわ」

ロゼッタ「あ……」

ピーチ「それにあの時は…ロゼッタも知っての通り『残機制度』適用外だからこそ、
    やむを得ぬ処置ということで途中棄権の判断そのものができた。
    今回の場合、『残機恵むから戦い続けろ』って方針になると思うわ。
    …まあ、そういう意味では本当に死ぬことはないのだけれど」

ヒルダ「」ガクガクブルブル

ピーチ「と、とりあえず。あ、安心して。以前のロゼッタの二の舞は御免だわ。
    肉弾戦ができるような強さも性格も、まるで持ち合わせていないでしょう?
    こっちでなんとかヤラセの対戦をでっち上げて、被害を最小限に食い止めるしか――」

941Mii:2019/02/15(金) 00:23:26 ID:flh2faPE
ロゼッタ「…………」カキカキ

ピーチ「……?」

ロゼッタ「……………………ううむ、期間がこれだけで、こうなって…」サラサラ

マリオ「どうしたロゼッタ、妙に落ち着いて手帳にペンを走らせて」

ロゼッタ「あ、いえ。なんだかピーチ姫の作戦ですと、またワリオ辺りに文句を言われそうなので――
     そうなったら、腹は立ちますが言い返すことができなさそうなので。





     乗り掛かった舟ということで、せっかくなので頑張って戦ってみようと思います。
     確かに殴り合いのノウハウはピンときませんけどね」

マリオ「!?」

ピーチ「!?」

ヒルダ「え…!?」

942Mii:2019/02/15(金) 00:27:03 ID:flh2faPE
ロゼッタ「とりあえず、昨日の時点でパンフレットは既に読ませてもらっていました。

      『今回の大会、開催期間は9月13日から12月6日までの約3か月。
       その間に、各選手は公式戦を10戦以上こなすこと。
       勝率ならびに評価ポイントを考慮し順位付けを行う』

                             …でしたよね、簡単にまとめると?」

ピーチ「え、ええ…」

ロゼッタ「大変恐縮なのですが、今からさっそく、適当なバトルフィールドを貸して頂けませんか?
      初心者用の…人気のないフィールドで構いません。むしろその方がありがたいですね。
      そこでずっと鍛えて、12月1日あたりにひょこっと登場して、10戦する。
      とりあえずそれまでに、そちらの測定機器でいう基礎体力レベルを30…いや35くらいに上げてですね…」カキカキ

ロゼッタ「うーむ……」ピタッ

ロゼッタ「まあスケジュール的には何とかなるのではないでしょうか。
     駄目だったら残機が減るだけですし。
     …あ、残機の恵まれ方って、前に頂いた残機とは別枠なのでしょうか?
     詳細を教えていただけませんか?」
     
ピーチ「え、あ、うん、わかったわ!スマブラの残機はちょっと特殊で、
    流動システムにより常に一定数を供給されるようになっていて…」

ロゼッタ「なるほど…」カキカキ

ヒルダ「ロゼッタ、あなた……!」

943Mii:2019/02/15(金) 00:41:47 ID:flh2faPE
マリオ「これは驚いたな。あのロゼッタが。どういう心境の変化かな。
    …………うん?目を凝らしていると、ロゼッタの背中あたりにぼんやりと…何のログだ?」ジーッ





    Rosalina  再チャレンジ数:3841回(3Dワールド)





マリオ「ブフゥッ!!?」

ロゼッタ「え、マリオ、一体どうしたのですか?急に噴き出して」クルリ

ピーチ「ジッとこっち見て…怪しいわね。まさか、ロゼッタの下着でも透けてた?なんてね」

マリオ「……まだその方が驚きが全然マシだったな」マッサオ

ピーチ「えっ」

ロゼッタ「」

マリオ「…ちょっと人生について考え直してくるわ……」トボトボ

ロゼッタ「ちょ、ちょっと待ってください、マリオ!意味深な台詞を残さないでください!
     一体何を見たのですか、見てしまったのですか!?」

944Mii:2019/02/15(金) 00:47:47 ID:flh2faPE
もしかしてとんでもないものを見られたのでしょうか?と赤面し。
ヒルダ姫に、さんざん「ドレス透けてないですよね!?」と問い質すこと、数分。
気を取り直して…さあさあ、善は急げ、です。早速バトルフィールドに向かいましょう。

ピーチ姫は多忙ということで一時お別れしました。そんなわけで、ヒルダ姫だけ連れて行きたいと思います。
ぜひとも一緒に特訓したいですよね。仲良くなったことですし。

あまり勝手はわかりませんが、適当にバトルフィールドを選択して入る。
まずは落ち着いて、パンフレットに書いてあったことを…ちょっとおさらいしておきます。



ロゼッタ「えっと…威力は低いけれども隙が最小限の弱攻撃、
      各方向へやや力の篭めた強攻撃、
      各方向へ大きなダメージを狙えるが隙の大きいスマッシュ攻撃、
      更には空中技、投げ技、そして必殺技……はぁ、覚えることが沢山ありますね」

えいっという掛け声と共に、目の前の何もない空間目がけて、魔法の杖を振って殴打の仕草。
当然、このままだと1秒後に相手に杖をへし折られるだけなので…
杖の周りに障壁を何重にも何重にも展開し、耐久性ならびに威力を底上げしておきます。
…正直、想定する相手が相手なので全然安心できませんが。

そのまま、ビュンビュンと連続で杖を振るう。
チコが真似をするかのようにパンチを繰り出して遊んでいます。

945Mii:2019/02/15(金) 00:53:27 ID:flh2faPE
ロゼッタ「登録したことになっているとはいえ、チコも私と一緒に戦ってよいのでしょうか…
     なんだかズルをしている気がするのですが…まあ、指摘されないのなら儲けものということで、うん。

     …あ、障壁は相手に接触する瞬間に改めて高速展開させたほうが斥力を発生させられて効果的かもしれませんね、
     せっかくですから検証してみましょう。FPがいつの間にか増えていることが、非常に有難いです」ササッ



ふと目をやると、ヒルダ姫が横で…眩しそうな目をしています。



ヒルダ「ロゼッタは……強いですね。身も、心も。…尊敬してしまいます」











ロゼッタ「……それは新手のギャグか何かですか?ちょっと引きます」

ヒルダ「なんでそうなるのですか!?」

946Mii:2019/02/15(金) 01:03:02 ID:flh2faPE
適当にというか、アドリブというか、声を出しつつ攻撃を練習。
…本当に適当です。蹴りとか回転とか足払いとか、指南を受けた覚えなどないですよ?
空間学的に、こうやったら人型体格は重心が崩れるな、と独学で予想しているだけです。
ヒルダ姫は呆けて感心してくれていますが、正直恥ずかしいです。



そして、フェアリーランドよ、本当にありがとうございます。
ここまで私としてはアクロバティックな動きができるのは、10割あの国の冒険のおかげです。



あと、掴み攻撃ですが。
こう、高身長を活かして…例えばマリオを掴んだ瞬間、ほくそ笑むマリオの頭突きかパンチが顔面にめり込み、
素っ頓狂な声を上げながら鼻血を噴き出してバタリと後ろにぶっ倒れる…ところまで読めました。
絶対やらないでおこうと誓いました。

ヒルダ「あの…必殺技、というものについてなのですが。ロゼッタの場合、どのようなものなのですか?
    駆け引きを促すため、無尽蔵に使ってはいけないということでしたが…自分で設定するのですか?」

ロゼッタ「パンフレットによれば…渡された端末に触れることで、無理なく実践できるものを自動選択してくれるようですよ。
      カスタマイズもできるらしいですが。ちょっと楽しみですね、さっそく見てみましょう。どれ…」ピッ

947Mii:2019/02/15(金) 01:10:46 ID:flh2faPE
端末「通常必殺:チートワープ   【240 F ダメージ判定無し】
          自分やチコ、他の選手、アイテム、障害物など、あらゆるものから1つ選んで
          離れた場所へ一瞬でワープさせる。フィールド上の任意の足場を行き先に指定できる。
          ただしとにかく発動が遅い。

    上必殺:ギャラクシージャンプ   【10 F ダメージ判定無し】
         筋力で上方向に大ジャンプ。通常必殺よりは出が遥かに速いのが強み。
         ただし、考え無しに跳躍するので、上に障害物があると頭を強打する。
         そのときの自傷ダメージは50〜60%程度のただの致命傷。ついでにピヨる。

    下必殺:アイテムキャプチャー   【1200 F ダメージ判定無し】
         近くにあるアイテムを、異空間に仕舞い込む。
         個数制限はなく、仕舞い込んだものはいつでも取り出せる。
         杖を振る→異次元への扉を開ける→物を放り込む→杖を振る→
         扉を閉めるという流れになるため、凄まじい時間がかかる。

     横必殺:剛速スターピース  【120 F レベルフラット時ダメ―ジ30〜28(減衰)%】
          振りかぶって、衝突するまで真横に飛んでいく星くずを剛速球で投げ飛ばす。
          なお、発動完了後に更に120 Fの硬直が生じるので注意。
  
      最後の切り札:亜空切断  【レベルフラット時ダメ―ジ∞%】
               フィールドの小空間1か所を指定して、一定時間後に5秒間発動。
               発動中に空間内に立ち入った選手の残機(ストック)を1減らす。
               発動完了後、レバガチャ無効のピヨリ状態が試合終了まで続く。

                           以上のようになっております」
  


ロゼッタ(予想していたものと違うんですがっ!)

948以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/16(土) 11:53:21 ID:l8riAs22
発生fの暴力(悪い意味で)

949以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/17(日) 11:17:14 ID:WZVml7EE
ロゼッタは毎度のことだからともかくチコは大丈夫なんだろうか…

950Mii:2019/02/17(日) 17:11:35 ID:9sFtPITM
ロゼッタ「……………………」

ヒルダ「えっと、ロゼッタ?見せて頂いておいてなんですが、変わっていますね?」オズオズ

ロゼッタ「…………」

チコ「…………」フヨフヨ

ヒルダ「…ああ、やっぱり。私など、『割り当てられる必殺技候補がありません』と表示されてしまいました。
    それに比べれば貴方は、十分に凄いのではないでしょうか」アセアセ



ロゼッタ「……特訓」



ヒルダ「え?」

ロゼッタ「速やかに特訓を開始します!準備体操は終わりです!
     どの魔法も使い始めで、使い慣れていないだけなのです!
     いいでしょう!私の魔法レベルに対する宣戦布告とみなしました!

     ヒルダ姫、準備はよろしいですかっ!」

951Mii:2019/02/17(日) 17:14:00 ID:9sFtPITM
ヒルダ「え、ええ。それでまず…何をするというのですか?」

キョトンとするヒルダ姫。私のとっておきの魔法で、驚いてもらいましょう。
前の時は杖が無かったのでひ弱でしたが…今度は中々強いはずですよっ!
自信を持って、杖を一振り。



ロゼッタ「 実分身《リアルアバター》!」サッ



ボカンッ!!

ロゼッタ(分身)「分身体、見参っ!」シャキーン!

ヒルダ「ふえっ!?」ビクッ!

ロゼッタ「よし!杖のおかげで強さも十分そうですね!
     特訓の効率アップ!更に、分身体の分も、後で経験値を頂きます!」

ロゼッタ(分身)「…仕方ないですね、そのかわり真面目に特訓してくださいよ?」



目を白黒させているヒルダ姫に、この魔法の仕様を説明。
聡明な彼女はすんなりと理解し、効果に驚愕しているようです。

952Mii:2019/02/17(日) 17:16:33 ID:9sFtPITM
ヒルダ「凄い……空間魔法をここまで高度に使いこなすとは…!

    …あ、あの!一つ、お願いがあるのですが。
    ロゼッタのその魔法で、私の分身を作り上げることって、できますか?
    私の特訓の手助けになると思うのですが」

ロゼッタ「…え?…そうですね。分身体が更に分身体を作ることはできませんが、
     本体が作る分身体の数は制約がないので…大丈夫だとは思います。

     でも…その場合、たとえヒルダ姫を象った分身体といえど、
     分身体の経験値をヒルダ姫が取り込むことはできませんよ?
     あくまで、分身体を生成した私の経験値になってしまうので。
     …なんだか成果を掻っ攫うようなことになるのですが、よいのですか?」

ヒルダ「ロゼッタは無欲なのですね。そのくらいの権利は、魔法の行使者として当然でしょう。
    よろしくお願いします!」フフッ

ロゼッタ「了解しました。……あー、ただ、ですねえ」

ヒルダ「……?」



ロゼッタ「ちょっと体を満遍なく触らせてください」

ロゼッタ(分身)「拘束しましょう、そうしましょう」

ヒルダ「」

953Mii:2019/02/17(日) 17:20:21 ID:9sFtPITM
ロゼッタ「はあっ!」ブンッ

ロゼッタ(分身)「なんの!シールドです!」

ロゼッタ「シールドには…仕方がないので、掴みっ!…って、後ろから!」サッ

ヒルダ(分身)「む、ばれてしまいましたか。このまま突撃を――」スカッ

ロゼッタ「チコ、お願い!…むっ!」

ヒルダ(分身)「――すると危なそうなので、一旦引きます!
         さあ、あなたの分身を無視できるものなら無視して、私に仕掛けたらどうですか?」

ロゼッタ(分身)「…………」スッ・・・

ロゼッタ「動くのは得策ではない、ですか。むむむ…牽制もできている、よい連携ですね!
     単に自分同士の戦いをするよりも戦況が変化しやすく、考えることが増えて、
     より学べるようになっています!1対2の虐められ状態ですがっ!

     …ヒルダ姫!そろそろ一緒に特訓、しませんかー!
     これでは私しか経験値が入っていませんよー!」





ヒルダ「グズッ…いっぱい辱められましたぁ……ひどい…お嫁に行けないぃ…
     ロゼッタのこと、信じていましたのに…」メソメソ

ロゼッタ「人聞きの悪いこと言わないでください!?」

954Mii:2019/02/17(日) 17:25:00 ID:9sFtPITM
〜ガノン城〜

ガノンドロフ「ガハハハハ!遅かったな、リンクその他烏合の衆よ!
        ゼルダ姫は既に我が手中にある!」

ゼルダ「ああ、ああリンク…申し訳ありません。
    体を既にガノンドロフに、意のままに操られ…私、で、は、どうすることも…!

    ガアァァッ!……ククク、フフ、ハハハハハア!
    魔物タチヨ、襲撃者タチヲ 迎エ撃ツノデス!」

ウオオオオオオォォォォォォォォォ!

魔物「ワー!」

魔物「キエロォー!!」

魔物「メニモノミセテヤルー!」



リンク「大回転切り」ズバァッ!

魔物「「「「「「「」」」」」」」チーン



ガノンドロフ「」

ゼルダ「マ、マダ終ワリデハアリマセン!幾ラデモ…幾ラデモ召喚シマス!!」

955Mii:2019/02/17(日) 17:28:12 ID:9sFtPITM
ウオオオオオオォォォォォォォォォ!

魔物「「「「「ブチカマセー!!」」」」」ワラワラ

ガノンドロフ「…フ、フハハ!ゼルダを討たない限り延々と波状攻撃が続くぞ!
       ゼルダを討てば、トライフォースの加護は失われハイラルは終わる!
       さてさて、お前らがどうするか見ものだな!
       当然、このガノンドロフ様も襲い掛かってくれるわぁ!」ドッ



リンク「はいはいネオ・マスターソード」サクッ

ガノンドロフ「」チーン



リンク「ガノンドロフ、ちっとはクッパを見習えよ…。
    お前はアイツのこと、悪役面してバラエティに参加するフ抜けた奴、って言うけどさ。
    結果としてはクッパはコツコツと経験値貯めまくって、今じゃもう…
    お前とは天と地ほどの戦闘力差を付けちゃってるぜ?

    キノコ王国にも割と受け入れられてて、交流の享受を存分に受けて喜んでるよ。
    『我が軍勢が幸せになり、ワガハイも強くなれる。なにが不満というのだガッハッハ』って。
    カッコいいと思わないか?

    まあ、既にキノコ王国を本気で侵略する気なんか失せてるクッパと違って、
    お前の場合は今でもハイラルを本気で脅かそうとしてるから、
    俺としては弱いままの方が都合がいいけど。ここまで弱いと、なんだかなあ…」ポリポリ

956Mii:2019/02/17(日) 17:34:20 ID:9sFtPITM
ゼルダ「……!? シア、ガノンドロフヲ速ヤカニ蘇生サセナサイ!」

シア「は、はいぃっ!」シュバババ

リンク「…ゼルダ姫」

ゼルダ「…ハッ!私は一体、なんということを…!!
    リンク!私のことはどうなってもかまいませんっ!
    はやく、はやく私を倒して終止符を打ってください、それだけが私の――」


リンク「あのー、フォックスに悪いんで。遊びは終わりにしてもらえませんか?
    操られている『ふり』をしているゼルダ姫?…というより何がやりたくてこんな騒動を?」

ゼルダ「……ソ、ソンナコトシテイマセンヨ!?」


パルテナ(操られるがままリンクを攻撃して鬱憤晴らし +
     悲運の王女を演じて大切さを認識してもらい好感度アップ!
     …みたいなこと考えていたんですかね…。残念、それ逆効果っぽいですよ?)

リンク「ああ、もしかして。前回ちょこっと参戦した時に…キノコ王国でさんざん
    『ゼルダって勇者様のことだよね?じゃああれは女装形態かな?』とか
    『違う違う、あれは…シーク姫っていうんだよ!』とか言われて
    トラウマになっているんですか?それで参戦したくないと?」

ゼルダ「」グサグサッ

パルテナ(そして容赦のない追撃がゼルダ姫を襲うっ!)

957Mii:2019/02/17(日) 17:40:07 ID:9sFtPITM
ゼルダ(私、負けませんっ!結局最後は、
     『お願いだからスマブラに出てほしい!』
     って頭を下げて嘆願することになるのですからっ!
     私の重要性、大切さに改めて気付かされるのです!)

リンク「…まあ本人が出たくないのなら、もう無理には勧めませんけど」

ピット「なぁんだ、ゼルダ姫の参戦って必須じゃなかったのか」

ゼルダ「!?」

リンク「でも、そうすると…ハイラル枠そんなに要らないんじゃないか?って
    今後、枠数減らす方向に動かれる可能性があるんだよな。
    代わりに誰かに参戦してもらわないと…そうだ!」

リンク「…もしもし、ミドナか?突然の電話申し訳ない。
    スマブラ参戦に興味ない?ゼルダ姫が参戦したくないんだって」トゥルル

ミドナ『いいのか!?わ、私でよければ喜んで参戦するぞ!』

リンク「獣の姿でも真の姿でも、どっちでもいいと思うぞ。ミドナがいれば、
    俺としてもウルフ変化が堂々と使えるから嬉しいと言えば嬉しい」

ミドナ『そうかそうか!嬉しいことを言ってくれるじゃないか!』テレテレ

ゼルダ「…!?どうして電話が繋がってるの!?」

リンク「(素に戻ってる…)今回の騒動に絡んで、飛ばされてきた被害者なんですけど。
    事情を説明して、ハイラルで魔物掃討に協力してもらってますよ。
    ミドナなら戦闘能力的にも全く申し分ないですし」

958Mii:2019/02/17(日) 17:43:29 ID:9sFtPITM
ミドナ「そういや、ファイはどうなんだ?
    むしろリンクなら真っ先に候補に挙げると思ったんだが…?」

リンク「…なんか、最初の殲滅戦のあと、『どうしても外せない用がある』とかで
    何処かに行っちゃったんだよな…。これまでこんなことなかったのに。
    任天堂がどうのこうの言ってたし、ちょっと心配だ。
    …よし、やっぱりファイを呼び出して、ミドナと話し合ってどっちが出るか――」

ゼルダ「はいはいっ!やっぱり私、出ることに致します!」ガバァ

リンク「……えええええー」

ミドナ『……えー、ずるーい』

パルテナ「……えええええ」

ゼルダ「なんですかそのため息は!もともと私が呼ばれていたのでしょう、何か文句があるので――」



ドゴオオオオォォン!



ゼルダ「」バタリ

ファントム「時間が押しているので。さっさとこの人を連れて行きましょう。
       リンク、私の体をお願いしますね」ズルズル

トゥーンリンク「わ、わかった。で、でも流石に引き摺って行くのは可哀想じゃないかな?」ヨイショ

959Mii:2019/02/17(日) 17:47:29 ID:9sFtPITM
ピット「魔女…に復活させられようとしている、ガノンドロフはどうするの?」

リンク「こうなったらバクダンで気絶させとくか」

ファルコ「なんだったら、俺のを使うか?」

リンク「あ、持ってるならありがたい。頼むよ――」

ファルコ「じゃあ全員、速攻で窓に向かって退避しろよ?いくぞ!」スッ

リンク「…え?」






ファルコ「スマートボム(スターフォックス64)」ポイッ





リンク「うわああああっ!ゼルダ姫とトゥーン達抱えて退避ぃーーー!」ダダダダダダッ

ピット「逃げろーー!!」ダダダダダッ

パルテナ「は、はいっ!!…あ、一応拾っておきますね!」ダダダダダッ

シア「うわっ…!?」ズルズルズルズル

960Mii:2019/02/17(日) 17:49:45 ID:9sFtPITM
ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
バラバラバラバラ…!



ファルコ「アーウィンの中で暴れられるとか、絶対に嫌だったから丁度いい。
     さあ、さっさとキノコ王国に向かうぜ!」

リンク「やり過ぎだぞファルコ!ガノン城が半壊したじゃないか!
    俺とフォックスとファルコ以外は割とやばかったんだけど!」

ファルコ「へっ、やっぱりスマブラのスマートボムの威力ってしょっぱいから
     こうもドカンと行くと気持ちがいいな!」

リンク「聞いてないし…」

トゥーンリンク「助かったぁ……」





パルテナ(ゴホゴホッ――!…ささ、今のうちに逃げた方がいいですよ、お大事に)コソコソ

シア(ど、どうもありがとうございます…)タタタッ・・・

ピット(見て見ぬふり、見て見ぬふり……)

961以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/18(月) 15:29:13 ID:tWxB8j.s
リンクは女装形態でも参戦していると思われてるはいいのか…

962Mii:2019/02/23(土) 17:51:57 ID:ImsXOrl2
〜9月12日、キノコ王国〜

ゼルダ(色々と、やってられません!)グズッ



意識すらないまま、いつの間にかアーウィンにてやってきたキノコ王国。
さすがアーウィン、なんだかんだ言って前日の昼に着くことができました。
意 識 す ら ありませんでしたがね、ふんっ!
忌まわしさを感じずには、いられません。

私のムカムカっぷりときたら、呆れ顔のピーチ姫から巻き添え貧乏くじを引いたヒルダ姫のことを聞いても
「へえ、それで?運が悪かったですね」と返したくなるくらい気が荒んでいました。
…後々振り返って、王女として失格もいいところだと猛省することになるのですが。

今回の大会で、負け続けて更に気が滅入る、なんてことになったら最悪です。
こうなったら、せめてヒルダ姫よりは…!

そういえば、ヒルダ姫はどこにいるのでしょうか。

皆と共に控室に向かって、自動登録完了。それでは…捜してみましょう、か。
ピーチ姫曰く、場所は知らないもののどこかのフィールドで特訓しているとかで…。
まあ、ほどなくして見つけることができました。



ゼルダ「ここかしら…入りますよ?」

一応ノックをしておいて…扉を抜けると、そこには――

963Mii:2019/02/23(土) 17:55:33 ID:ImsXOrl2
ロゼッタ(分身)「そこはこう、トントントンっとリズムよく拳を繰り出すといいのではないでしょうか」

ヒルダ「フッ!…こうですか?」トン トン トン

ヒルダ(分身)「ハッ!…こうですよ」トンドントン

ロゼッタ(分身)「うーん、どちらも微妙にずれているような…いや、私自身も大した熟練度はないんですよね。
         ちょっと組み手っぽいことをやってみましょう、1人ずつ掛かってきてください」

ヒルダ「「お願いします!」」

ゼルダ(…ヒルダ姫が2人いる!?)



ロゼッタ「……………………」ブンッ ブンッ

ゼルダ(こっちの女の人も、どういうわけか2人いますし…。
    それにしても、目を瞑ったまま杖を振る動作を繰り返して、
    一体何をやっているのでしょうか。行ってみましょう)





ロゼッタ「ワープッ!」シュンッ!

964Mii:2019/02/23(土) 17:57:55 ID:ImsXOrl2
ゼルダ「え……痛っ!」ゴツンッ

ロゼッタ「きゃあっ!?」ゴツンッ

ヒルダ「――ああっ、ゼルダ姫ではありませんか!
    よ う や く 問題を解決して、キノコ王国にいらしたのですね!」

ゼルダ「…ええ、おかげさまで。
    で、この…足元でうずくまってジタバタもがいている方はどなたですか?」

ヒルダ「キノコ王国の…正確にはそのはるか上空のほうき星に住まう魔女、ロゼッタです。
    縁あって友達になりました。とてもいい…………人でしたよ」フイッ

ゼルダ(…どうして過去形?)

ロゼッタ「あいたたたた…!魔法の発動速度ばかりに気を取られるあまり、
      ワープ先に侵入する物体があるときの緊急回避がすっかりおざなりになってしまいました…!
      私としたことが何をやっているのやら…!」ズキズキ

ゼルダ「…あら、ロゼッタはあまり魔法は得意でないのですか?
     魔法行使破棄という基礎も出来ていないだなんて」

ロゼッタ「たはははは、かたじけない…」

ヒルダ「え、あ、いえ、そんなことはこれっぽっちもなく…」

ゼルダ「実際に制御できていないでしょう?」

ヒルダ「……そうですね」

965Mii:2019/02/23(土) 18:03:23 ID:ImsXOrl2
ヒルダ「…ちょっとロゼッタ、もう一度端末に触れて頂けますか?」

端末「通常必殺:チートワープ   【120 F ダメージ判定無し】
          自分やチコ、他の選手、アイテム、障害物など、あらゆるものから1つ選んで
          離れた場所へ一瞬でワープさせる。任意の足場を行き先に指定できるが発動が遅い。

    上必殺:ギャラクシージャンプ   【9 F ダメージ判定無し】
         筋力で上方向に大ジャンプ。通常必殺よりは出が遥かに速いのが強み。
         ただし、考え無しに跳躍するので、上に障害物があると頭を強打する。
         そのときの自傷ダメージは45〜55%程度のただの致命傷。ついでにピヨる。

    下必殺:アイテムキャプチャー   【600 F ダメージ判定無し】
         近くにあるアイテムを、異空間に仕舞い込む。
         個数制限はなく、仕舞い込んだものはいつでも取り出せる。
         杖を振る→異次元への扉を開けながら物を放り込む→杖を振り扉を閉める
          という流れになるため、かなりの時間がかかる。

     横必殺:剛速スターピース  【118 F レベルフラット時ダメ―ジ30〜28(減衰)%】
          振りかぶって、衝突するまで真横に飛んでいく星くずを剛速球で投げ飛ばす。
          なお、発動完了後に更に118 Fの硬直が生じるので注意。
  
      最後の切り札:亜空切断  【レベルフラット時ダメ―ジ∞%】
               フィールドの小空間1か所を指定して、一定時間後に5秒間発動。
               発動中に空間内に立ち入った選手の残機(ストック)を1減らす。
               発動完了後、レバガチャ無効のピヨリ状態が試合終了まで続く」

ヒルダ(細かい制御こそ後回しにしているものの…ロゼッタったら、この6日間だけで……
    魔法系必殺技の発動までの時間、半分にしちゃったんですが…。
    天才、鬼才の域に達していますよ、恐ろしいことです…)ブルッ

966Mii:2019/02/23(土) 18:07:42 ID:ImsXOrl2
ロゼッタ「貴方がゼルダ姫ですか。初めまして、ロゼッタと申します。
     突然ですが、貴方の分身体を作っても構いませんかっ!
     必要な物は少々の戦闘観察と身体検査です!」

ゼルダ「ほ、本当に突然ですね。一体どうして?」ヒキッ

ロゼッタ「互いが相手の行動を読めるようになってきて、動きがマンネリ化してきたのですよ…。
     ただでさえ力任せに腕を振るう素人の動きなのに、これでは特訓効率が落ちてしまいます。
     サンプルは多いに越したことはないので…クシュンッ!」

ゼルダ「身も蓋も無い話ですね。おおよそ、分身体とやらの性能の目星がつきました」

ヒルダ「私からもお願いします、ゼルダ姫。貴方なら、私たちよりはるかに強い。
    『魔法行使者であるロゼッタ自身の戦闘力が分身体の頭打ち戦闘力になる』とは
    ロゼッタから聞いていますが、その高い戦闘センスは非常に役立つと思われるのです」

ゼルダ「ちょっと待ってください。貴方がたを強くしたところで、私にメリットがあるのですか?」シレッ

ヒルダ「えっと、ですね。今の所、私が鍛えやすいように…
    ロゼッタは私の分身体の強さを微調整しつつ用意してくれているのですよ」

ゼルダ「はあ…それがなんなのです?」

ヒルダ「むぅ…本調子ではないのか、勘が鈍っていませんか、ゼルダ姫。
    …私は、結果として貴方の尻拭いで1か月以上も…降って湧いたハイラルの政務をこなしてきました。
    その対価として、ロゼッタの指導役をゼルダ姫にお願いして、ロゼッタに報いたいのですが。
    
    ふふ、断ることは許しませんよ。自分の狭量を懺悔したいのなら別に構いませんが」

ロゼッタ「わぁ!ありがとうございます、ヒルダ姫!」パアァ

967Mii:2019/02/23(土) 18:11:25 ID:ImsXOrl2
ゼルダ「ぐっ、それを出されると断りにくい…仕方がありませんね。
     指導役でも分身モデルでもやってやろうではありませんか。
     言っておきますが、大会中いつでも、というわけではありませんよ」

ロゼッタ「本当ですか!よかった!」

ヒルダ「よかったですね、ロゼッタ」

ロゼッタ「はい!」





ヒルダ「そしてロゼッタに思い切り撫で回されてください。
    被害者ノ会ヲ増ヤスノデスフフフフフ」ユラァ

ゼルダ「……なんだか寒気がするので分身の許可は保留で」

ヒルダ「そんな、酷い!恥を知りなさい!」クワッ

ロゼッタ「ヒルダ姫も十分に酷いですからね!?」

968Mii:2019/02/23(土) 18:17:01 ID:ImsXOrl2
ゼルダ「マジカルカッター!」ブゥン

ヒルダ「魔法を纏った…手刀ですか」

ロゼッタ「くぅっ…!なるほど、物理防御一辺倒の者には魔法攻撃として刺さり、
     魔法防御に秀でた者には物理ダメージが物を言う、と。
     単純ながら、知恵を存分に働かせた技なのですね」ズズズ・・・

ゼルダ(あ、ええと。手刀単体だと威力が低すぎるから、ほぼ魔法なんですけど)



ゼルダ「ローキック!」ダンッ

ヒルダ「ドレスなのに、流れるような足さばきですね…。勉強になります。
    マネできる気はしませんが」

ロゼッタ「あわわっ!?おまけに発動まで早くて、私の目と体では反応が間に合いません、あはは…」



ゼルダ「ゼルダスピン!」クルクル

ヒルダ(何故に自分の名前を入れたのですか!?)

ロゼッタ(どうして自分の名前を入れたのでしょうか…あ、実は
     あの動きのどこかに伝説級の要素が隠されているとか…!)

ゼルダ「なんですかその目はっ!言いたいことは分かりますけど!
私のせいではありませんよ!?」

969Mii:2019/02/23(土) 18:20:06 ID:ImsXOrl2
ゼルダ「ネールの愛!」カキーンッ!

ロゼッタ「あがが…スターピースがぁ…!ピッチャー返しの対策は出来てませんっ!」ゴツン

ゼルダ「モーション見てから展開余裕でした」

ヒルダ「確かに」



ゼルダ「ディンの炎っ!」

ヒルダ「熱っ!熱いっ!!くっ、今の私では掠めただけでこんなにもダメージを…!」ヒリヒリ

ロゼッタ「アイタッ!…い、今のは顔面セーフですっ!それにしても避けることもままならないなんて…
     ファイアフラワーもなしに、凄いですね…!」ヒリヒリ

ゼルダ「…なかなかやるじゃないですか、ロゼッタ」



ゼルダ「ファントムアタック!」

【ファントム攻撃に関わる魂が奪われているので使えません】

ゼルダ「……あれ?私は一体何を?」

ヒルダ「何を使おうとしたのですか?」

ロゼッタ「……はて?」

970Mii:2019/02/23(土) 18:24:26 ID:ImsXOrl2
ロゼッタ「ゼルダ姫、流石の強さですね。噂通り…いえ、噂以上でした!
     手を抜かれていたのに、残機が通算で50機も減ってしまいましたね」サスリ

ゼルダ「ロゼッタ…貴方、中々面白い神経をしていますね…」ピクピク

ロゼッタ「もしかしなくても呆れていますよね、それ…クシュンッ!」

ヒルダ「どうしてなんともないのでしょう…いえ、先ほどからクシャミはしていますか。
    無茶をしすぎですよ、体を休めた方がよろしいのでは?」

ゼルダ「分身体を作るのにも、かなりの気力をつぎ込んでいるのでしょう?
    自慢ではありませんが、貴方よりよほど強い私の分身体なぞ作ろうものなら
    更に気力を削られることになりかねませんよ?
    …自分の限界としっかり相談できていますか?戦闘慣れしていないのでは」

ロゼッタ「確かに…そうですが。ですが、分身体を作ってみたいです…。
     戦闘チェックはできたので、あとは身体検査を…」

ゼルダ「絶対に嫌ですよ?諦めなさい」ニコッ



ヒルダ「あ、そういえばハイラル城でゼルダ姫の代わりを務めているときに
    健康診断結果を盗み見たのですが…。

    ゼルダ姫って、身長体重体脂肪率、スリーサイズまで私と同じみたいですね…
    能力は大きく違うのに。さすが表裏の世界です」

ゼルダ「ちょっと!?」

971Mii:2019/02/23(土) 18:27:41 ID:ImsXOrl2
ロゼッタ「………………………………………………………
     髪の色、服装等の微調整を行って…えいっ」



ボカンッ!

ゼルダ(分身)「…………」ジロッ

ゼルダ「」

ロゼッタ「わぁ、世界に拒絶されず存在し続けるということは
     本当に再現できたのですね、成功で――」





ゼルダ(分身)「天誅を下します」ドンッ

ゼルダ「加勢します」ドゴンッ

ロゼッタ「ぐはっ」チーン

ロゼッタ(分身)「……巻き、添えっ!?」チーン

ヒルダ「…………」ガクブル

ヒルダ(分身)「いいですか、触らぬ神になんとやらです」コソコソ

972Mii:2019/02/23(土) 18:32:43 ID:ImsXOrl2
〜9月13日〜

ピーチ「――全世界の強者が集う武の祭典。スマブラfor――これより開幕です!
    皆さん、大いに盛り上がって行きましょう!」バーン

ワアアアアアアアアアアアア――!

マスターハンド「それでは、これより私マスターハンドが司会進行をさせていただきます。
         3か月の間、よろしくお願い致します!
         とは言いましても、なにぶん私はバトル実況は不得手でして」

ピーチ「手なのに?」

マスターハンド「そうなんですよ、手なのに不得手…ってうっさいわ!
         …コホン。ご存知の方も多いように…前回までと同様、
         実況解説は『例のあの方』に委ねさせていただきます!」

実況「…コロシアムは熱気に包まれています!栄冠を手にするのは、果たしてどちらでしょうか!」

マッテマシター!
マスターハンドサンモ イツモドオリ マヌケカッコイイゾー!

マスターハンド「今大会も、迫力ある実況を楽しみにしておいてください!
         さあ、ファイターたちが手を振りながら一度下がっていきます!
         すぐに、第一試合が始まるので…その瞬間を見逃すな!」

ヒルダ(…………なんですかあの異形)

ロゼッタ(色々とツッコミ所があるような気がするのですが…手だけに。
     どうやって声を出しているのでしょう)

973Mii:2019/02/23(土) 18:35:23 ID:ImsXOrl2
ピーチ「ところでロゼッタ…一体どうしたの?微妙にフラフラしてない?
    …やだ、少し鼻水まで出てるじゃないのー。はしたない」

ロゼッタ「クシュンッ…それがですね、ちょっと体調を崩したみたいで…。
     昨晩から微熱と鼻水とクシャミが…クシュンッ!」

ゼルダ(ほら見なさい、案の定といったところですね)

ヒルダ(もうちょっと前から兆候があったような)

ピーチ「…?何かあったの?」

ロゼッタ「ななななんでもありません!」

ロゼッタ(2人とも、すいません!
     今ここでばらしてしまうと特訓禁止令とかを出されてしまうので!
     秘密の特訓の内容もばれてしまい、面白くないので!
     特訓に熱を上げ過ぎたことは黙っておいていただけませんか!?)

ゼルダ(…はいはい)

ヒルダ(わかりました、友達ですもの)ニコッ

ロゼッタ「ちょっと気疲れしただけなので、1日ぐっすり眠ればすぐに治りますよ…クシュンッ!」

ピーチ「ははーん…まあ、そういうことにしておいてあげる、フフッ。
    でも、体調の見極めはしっかりね?」

ロゼッタ「は、はい。肝に銘じておきます」

974Mii:2019/02/23(土) 18:39:48 ID:ImsXOrl2
マリオ「前回は辛勝って感じだったからな。今度はしっかり優勝してやるぞ!
    というわけで存分に負けてくれよ、クッパにリンク!」ブイッ

クッパ「ハッ!前回のワガハイは少し運に見放されただけなのだ。
    キノコ王国にクッパ様ありと知らしめてやる」

リンク「その言い方だとクッパがキノコ王国を代表する戦士みたいなニュアンスになるんだけど…」

クッパ「なぬっ!リンク、図ったな!揚げ足を取ってワガハイを侮辱するか!」

リンク「図ってねえよ!酷い言い掛かりだなっ!?」


パルテナ「さあさあピット、貴方もあの輪の中に入って宣戦布告してくるのです」

ピット「いいい嫌ですよそんなの!?
    対戦中に狙ってくれって言ってるようなものじゃないですか! 」

パルテナ「でもほら、ブラピはちょっとそその…激励したら向かって行きましたよ?」

ブラックピット「」

ピット(あ、一睨みされて固まってる。南無)

975Mii:2019/02/23(土) 18:45:21 ID:ImsXOrl2
スタッフ「おい、しっかりしてくれ!早く部下たちに周知させろ!」バタバタ

スタッフ「えっと、情報提供はどういう段取りで行えばいいのかしら!?」キョロキョロ



マリオ「…ん、どうした?スタッフたちの統率が取れてないのか?通るぞー」テクテク

受付「あ、はい、どうぞっ!」アセッ

ルイージ「なんだか慌ただしいね。無責任かもしれないけど…頑張って!」スタスタ

受付「あ、ありがとうございます!ええと、ええと…!」

ピーチ「トラブルが起こった時こそ、深呼吸をして冷静にね」フワリフワリ

受付「はい、分かっては、分かってはいるんですけどね…アハハハハ」

ミスD「お勤めご苦労」ダダダダッ

受付「いえいえ、これも私の仕事なので…!」

段ボール「…………」スイー

受付「…ハッ!貴方は今回参戦していないですよねっ!
   逆流して他のファイターの中に紛れ込もうとしても、そうはいきませんよ!」

段ボール「…………帰還する」ショボーン

受付「へっへん。どんなに慌ただしいと言っても、私の目は節穴ではありませんよ!」

976Mii:2019/02/23(土) 21:42:33 ID:ImsXOrl2
他のファイターたちは、いそいそと戦う準備。
あるいは、モニターの前で敵情視察というところ。
いえ、さっそくリラックスしようとする人、観光に洒落こむお気楽さんも。
選択肢は人それぞれのようですね。

私…いえ、私たち3人は、相も変わらず特訓といきましょう。
あ、ゼルダ姫としてはまだまだ特訓の範疇にありませんでしたね、失礼しました。

ちょくちょく経験値を還元している分身体を、ふたたび作り出します。



ロゼッタ(……何か、耳鳴りがする。呼ばれている、気がする)

がくん。

ボカンッ! ボカンッ! ボカンッ!

私と、ヒルダ姫と、ゼルダ姫の分身体。
同時生成したところで、意識がぼうっとするとともに…
あ、れ…。力が、抜けていく…?調子に、乗り過ぎてしまいました、かね…?

ロゼッタ「…うっ」フラッ

慌てて駆け寄ってきてくれたヒルダ姫とゼルダ姫に支えられ、なんとか転倒を免れます。

ヒルダ「ね、ねえ、ロゼッタ。やっぱりやめておきましょうよ。
    …酷く弱っているではありませんか!」

977Mii:2019/02/23(土) 21:45:44 ID:ImsXOrl2
ロゼッタ「ハァ…ハァ…でも…」

ゼルダ「…呆れましたね。せめて今日くらいは素直に眠っておかないと…
    後々酷いしっぺ返しを食らいかねませんよ?」

ロゼッタ(分身)「えっと、特訓…始めるのですか?だったら…さっさとしませんか?」

ロゼッタ「…………もち、ろんです!」ダッ



分身体が元気に待ってくれているのに、本体が音を上げるわけには参りません。
うっすら涙目のヒルダ姫と、怒り顔のゼルダ姫の制止もやんわりと振り切って、いざ!

ゼルダ「…本当にまずいと感じたら無理やりにでも止めますからね!」

ロゼッタ「ありがとうございます!…クシュンッ!」

ゼルダ姫という頼もしい監督のもと、私とヒルダ姫は、特訓を再開しました――。

978Mii:2019/02/23(土) 21:48:24 ID:ImsXOrl2
ロゼッタ(…視界が、狭い)

ロゼッタ(足元が、ふらついて仕方がない)

ロゼッタ(あれ…何分くらい、経ちましたっけ…)

ロゼッタ(分身)「…………あの。真面目にやってもらえませんかね」イラッ

ロゼッタ「す、すいません…分身の私は、元気ですね…」フラフラ

ゼルダ「…いけない!はい、そこまで!
    ロゼッタ、止まりなさい!当然分身体もね――」



ロゼッタ(分身)「ふぅん…もう、いいです」

――分身体の、様子が、すこぶる、おかしい。
――ゼルダ姫の制止も無視して…むしろ加速し。
――懐に、杖を突き刺して…。



ロゼッタ「――っ!?」



障壁展開を伴う激しい殴打とともに、私の意識を刈り取っていきました。

979Mii:2019/02/23(土) 21:51:47 ID:ImsXOrl2
ゼルダ「…!?」

ロゼッタ(分身)「…ああ、ついやりすぎちゃいました」クク



崩れ落ちる、ロゼッタの体。――分身体が、本体を、何故!?



ゼルダ「……貴方!なんてことをするのですか!
    …さては分身体として不完全だったのね、生かしておけない。
    私の全力、受けてみなさいっ!
    ヒルダ姫、緊急事態です!迂闊に動いてはなりませんよ!」

ヒルダ「は、はい!」

ゼルダ「残りの分身のお二人さんも、協力してください!」

ゼルダ(分身)「わかりました!」バッ!

ヒルダ(分身)「ロゼッタを助けるのです!」バッ!




ロゼッタ(分身)「ハ、ハ、ハハハハ――」ブゥゥン

ゼルダ「何をしようとしても、無駄ですっ!!」ダダッ

980Mii:2019/02/23(土) 21:54:48 ID:ImsXOrl2
ピーチ(ロゼッタったら、どこに行ってしまったのかしら、もう!)



妙な胸騒ぎがして、ロゼッタを捜す私。
まさか、あんな体調で更に特訓とやらを…?本当にどうしようもないんだから。

ようやく見つけた時、ロゼッタの様子は酷い物だった。
ゼルダとヒルダに肩を支えられ、ゼェハァゼェハァ苦しそうに息をしながら歩いている状態。
おおよそ生気が感じられないわ。



ピーチ「ロゼッタ、どうしたの!?」

ロゼッタ「う…すいません……」グッタリ

ゼルダ「特訓のしすぎとちょっとした不手際で、倒れ込んでしまって。
    監督役の私がもっとしっかりしていれば、こんなことには…ごめんなさい、ピーチ」

ヒルダ「ま、まあまあ。それよりも、一刻も早くベッドで寝かせるのが先決です!急ぎましょう!」

ピーチ「わ、わかったわ。部屋を手配する。
    ロゼッタ、あとでお説教が待ってるから、覚悟しておきなさいよ!」

981Mii:2019/02/23(土) 22:01:32 ID:ImsXOrl2
ロゼッタ「くー」スヤァ

Dr.マリオ「栄養剤、解熱剤、抗生剤。必要十分なだけしっかり投入したぞ。
      容体も安定した。もう大丈夫だろ。3日もすれば全快になるはずだ。
      重症化しないでよかったな」

ピーチ「よかった…」ホッ

ゼルダ「私はしばらく看病に付き添いますね」

ヒルダ「わ、私もです!」

Dr.マリオ「…そうか、そうしてくれるとロゼッタも喜ぶだろう。頼んだぞ」

ピーチ「ゼルダがそこまで心配してくれるなんてね」ニヤニヤ

ゼルダ「ほ、放っておいてください!」





ピーチ「でも…これで、ロゼッタの狙ってたレベル上げ作戦は難しくなったわね…。
    経過観察を欠かすわけにはいかないわ。ロゼッタ、残念がるでしょうね」トボトボ

キノじい「おお、姫様!こちらにいらっしゃいましたか!
     実はこのキノじい、会場のスタッフから耳寄りな情報を吐き出させることに
     成功いたしましてな…!ちょっと耳をお貸しくだされ!」ヒソヒソ

ピーチ「え、一体何事かしら……?」

982Mii:2019/02/23(土) 22:12:07 ID:ImsXOrl2
〜3日後〜

ロゼッタ「ロゼッタ、復活です!」シャキーン

ゼルダ「全く、世話が焼けましたね」

ヒルダ「おめでとうございます!これで一安心ですね!」



ロゼッタ「では早速特訓に…」

ピーチ「駄目に決まってるでしょうがアンポンタン。
     今、技術班が散布型のナノマシンワクチンを徹夜突貫で開発してくれてるから。
     あと1週間は様子をみなさい」

ロゼッタ「…はい、わかりました。…え?ナノマシン?なんのことですか?」

ピーチ「…実は、ロゼッタの体調悪化の原因がおおよそ分かったわ。
     変な残留思念が、会場全域に蔓延しているみたい」

ゼルダ「…残留思念?」

983Mii:2019/02/23(土) 22:13:10 ID:ImsXOrl2
ピーチ「3人は知らない…いや、ゼルダは本当なら知ってたはずなんだけどね。

    前の大会で、この世界を別空間に取り込もうとする『亜空の使者事件』っていう事件が起こったの。
    終わってみれば…なんとか『アトラクションの1つです』で観客は誤魔化せたけれどね。

    その主犯の悪役――『タブー』と我々は呼んでいるのだけれど――
    そいつの残留思念的な物が僅かに会場に残ってて…悪さをしているらしいわ。
    厳密にはウイルスじゃないけれど、分かりやすいから…『亜空ウイルス』と名付けたわ。

    …空間魔法に強く反応するらしくて、使えば使うほど症状が激しくなるみたいで。
    ロゼッタの症状が一番重くなるのも至極納得した」

ロゼッタ「……すごく、ピンポイントで被害を受けたということですね、うわあ」

984Mii:2019/02/23(土) 22:18:38 ID:ImsXOrl2
ゼルダ「…全く、キノコ王国の危機管理は適当なのですね」

ピーチ「アイツは亜空間でしか存在できないはずなのに…いえ、油断していた私のミスね。
     今回ばかりは謝罪の言葉しか見つからないわ…ごめんなさい」

ロゼッタ「まあまあ、ピーチ姫のせいではないですよ。
     その分、観戦・応援を頑張らさせて頂きますね!」

ピーチ「…そう言ってもらえると、少しは気持ちが楽になるわ、ありがとう」





ピーチ(そうして…ロゼッタを宥めつつ、戦いは続いていくのでありました。
    …この先、ひっきりなしにアクシデントが起こることになるとも知らず。
    波乱の武闘会は、始まったばかり――)

985以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/24(日) 17:32:13 ID:F8mivRug
入れ替わりでも起きたのか…?

986Mii:2019/03/31(日) 12:48:47 ID:iLEqj1bw
このスレはレス数が1000に近づいたため、次レスを用意したうえで更新停止となりました。
次スレは


    ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですね、是非!」


となります。よろしくお願いします。


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