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神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」 4社目

1 ◆8YCWQhLlF2:2017/12/18(月) 00:50:43 ID:8s/TCYA6

神様「前スレだ!」

http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1455635965/
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1471198434/
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1486059614/

神使「読まなくても良いと思います」

神様「長い!」

478 ◆8YCWQhLlF2:2018/06/01(金) 21:22:12 ID:4LGehj.I

?「こんにちは」ニコッ

神使「神様にそっくり・・・」

女神「全く同じはずですが、違いが分かるのですか?」

神使「私が神様と他の方を間違えるわけありません」

女神「そうですか」

神使「それで、神様は一体!?」

女神「もし、どのような形でもというのなら願いを叶えましょう」

神使「どのような形でも? というのは・・・」

女神「言葉の通りです」

神使「・・・・・・」

女神「先ほども言ったとおり、神は肉体を失うと再び神として生を与えることが出来ません」

神使「・・・・・・」

479 ◆8YCWQhLlF2:2018/06/01(金) 21:23:12 ID:4LGehj.I

女神「しかし、あなたは最高神の身を捧げ、完全とは言えないまでもその願いを叶える事が出来ます」

神使「構いません。 それで神様がまた皆と楽しく暮らせるのであれば!」

女神「分かりました。 短い間でしたが、あなたは最高神を終えその力を次の相応しい人物に移します」

神使「はい」


女神「力を楽にして」ポワポワ

神使「」

女神「最後に、何か言い残すことはありますか?」

神使「神様がこの先ずっと幸せに過ごせるようお願いします」

女神「ずっと・・・。 分かりました、その願い聞き入れましょう」

神使「ありがとうございます」フカブカ


ピカー


女神「お幸せに〜」

480 ◆8YCWQhLlF2:2018/06/01(金) 21:24:09 ID:4LGehj.I


女神「・・・・・・」


ミカエル「終わったみたいです〜ね」テクテク

女神「ミカエルですか。 ここに来るなんて珍しいですね」

ミカエル「こんな時でなければお会いできませんから」

女神「教会で何かやっていた途中ではないのですか?」

ミカエル「そう言えばそうで〜すね。 急に消えたからビックリしているかも知れませ〜んね」

女神「あなたも長くこの場所にいられません。 お戻りなさい」


ミカエル「良いので〜すか?」

女神「何がです?」

ミカエル「最後の言霊は1回の願いとの引き換えで〜すよね?」

女神「そうですね」

ミカエル「叶えすぎじゃないで〜すか?」

481 ◆8YCWQhLlF2:2018/06/01(金) 21:25:02 ID:4LGehj.I

女神「・・・ミカエル、あなたはどこまでこの件に関わっているのです?」

ミカエル「私は成り行きで動いているだけで〜す」

女神「800年前、あなたは何故あの子に最後の言霊の読み方を教えたのですか?」

ミカエル「さぁ? 覚えていませ〜んね」

女神「初対面で裸に剥かれたことは覚えているのに?」

ミカエル「・・・・・・」

女神「まぁ、良いです。 些細なことですから」

ミカエル「それでは、私は下界に戻ってコーヒーを飲んできま〜す」

482 ◆8YCWQhLlF2:2018/06/01(金) 21:25:40 ID:4LGehj.I

女神「あっ、ミカエル」

ミカエル「?」


女神「今度ここに来ることがあれば、牡蠣とやらを持ってきて下さい」

ミカエル「分かりま〜した」


女神「出来れば“鬼牡蠣”を!」

ミカエル「気長にお待ち下さ〜い」



───
─────
──────

483 ◆8YCWQhLlF2:2018/06/01(金) 21:26:44 ID:4LGehj.I

──────
─────
───



─── 時は流れて……


A子「ふぃ〜 もう歩けないよー」テクテク

お付き「ここに来たいと行ったのはA子さんじゃないですか・・・」

A子「言ったけどさぁ〜」

お付き「あっ! あれじゃないですか?」

A子「どこどこ?」キョロキョロ

お付き「丘の上です。 ほら、人もいますよ?」

A子「!!」タッタッタッ

お付き「ちょ、A子さん!」

484 ◆8YCWQhLlF2:2018/06/01(金) 21:27:25 ID:4LGehj.I


─── 丘の上の小さなお店


女性「どうもね〜」

客「美味しかったよ。 また来るね」テクテク

男性「ありがとうございました」


女性「・・・・・・。 さてと、じゃぁ今日は終わりにしちゃいましょうか」

男性「そうだね」


 A子「あの!」


女性・男性「?」クルッ

485 ◆8YCWQhLlF2:2018/06/01(金) 21:28:18 ID:4LGehj.I

A子「あの! まだ・・・ まだ、開いてますでしょうか!?」

女性「・・・・・・。 ごめんね、今日はもうおしまいなの」

A子「そんな・・・」

女性「今日は大切なお客様が来る予定でね」

A子「・・・・・・」


女性「どうします? あなた」

男性「販売用の牡蠣はもう無くなってしまいましたが、確か取れたての最高級の物があったよね」

女性「そういえば」

男性「最高神様にお出しするにはもってこいだと思うよ? なにせ鬼牡蠣だから」

女性「確かに。 神宮美食クラブきっての食通ですからね」

A子「・・・・・・」ウルウル

女性「久しぶりだね。 A子ちゃん」

A子「お久しぶりです」フカブカ

486 ◆8YCWQhLlF2:2018/06/01(金) 21:29:29 ID:4LGehj.I

男性「そちらの方は?」

お付き「神宮の者です。 大宮司のご両親様にお目にかかれて光栄です」ペコリ

男性「神宮の方ですか。 いつも息子がお世話になっております」ペコリ

女性「迷惑掛けてない? あの子、昔から勢いだけで生きている節があるから」

お付き「そんな事は・・・ 多少やんちゃなとことがあるのは事実ですが・・・」

女性「やっぱり?」フフッ


A子「うっ・・・ うっ・・・」ポロポロ

お付き「ちょ、A子さん!? どうされたんですか?」オロオロ


A子「神ちゃん、神使さん・・・」ポロポロ

神使「噂は聞いています。 立派な神になったみたいですね」

A子「そんなこと・・・ ない・・・」グスッ

神様「あの神宮をここまで変えるなんて、さすが私の認めたA子ちゃん」ニコッ

A子「うっ・・・ 私・・・ 神ちゃんみたいな・・・ 神になりたくて・・・ 一生懸命頑張った」ポロポロ

487 ◆8YCWQhLlF2:2018/06/01(金) 21:30:11 ID:4LGehj.I

お付き「えっ!? 神?」

神様「元だけどね。 今はただの牡蠣小屋の陽気なおばちゃん」

A子「そんな事ない。 今なら分かる・・・ 神ちゃんがどんなに凄い最高神だったかが」

神使「おや、私も最高神だったんだけどね」

神様「1日だけ、いや半日だけ?」

お付き「え!? 最高神!?」アワアワ


神使「お付きの方は、神使さんですか?」

お付き「は、はい! A子神のお付きで狛犬の神使と申します!」フカブカ

神様「あら、狛犬だって。 あなたと同じ」

神使「元だけどね」

お付き「この国の礎を築いた最高神様にお目にかかれて光栄です!」フカブカ

神様「私達はもう神や神使じゃないんだから、そんなに気を遣わないで?」

488 ◆8YCWQhLlF2:2018/06/01(金) 21:30:55 ID:4LGehj.I

お付き「まさか大宮司のご両親様が元最高神様だったなんて・・・」

神様「あの子には内緒にしておいてね?」


A子「神ちゃん! 会いたかったよー!」ダキ

神様「おっと〜 今日はお付きの神使と二人だけでここまで来たの?」

A子「うん。 最高神が自由に外出できるようになるまでこんなに時間と労力が必要だったなんて・・・」

神様「頑張ったね」ナデナデ

A子「やっぱり神ちゃんは凄い・・・ 凄いよ」

神様「でも、事前に神宮から連絡があったから完全に自由になるまではもう少し先みたいだけど」クスッ

A子「だね」クスッ

489 ◆8YCWQhLlF2:2018/06/01(金) 21:31:31 ID:4LGehj.I

神使「でも、そんな貴重な時間を使ってまでどうしてこんな所へ来たんです?」

A子「今日はお二人にお願いがあって参りました!」

神様「あら、私達なんかに最高神様からお願い?」

神使「これは断るわけにはいかなそうだね」


A子「えっと・・・ その〜」

神様・神使「?」




A子「二人とも、神にならない?」ニコッ

490 ◆8YCWQhLlF2:2018/06/01(金) 21:32:08 ID:4LGehj.I


─── 夜・丘の上


神様「・・・・・・」

 神使「ここにいたのか」スタスタ

神様「?」クルッ

神使「何してるんだい?」

神様「何も。 ただ空を」


神使「隣、座っても?」

神様「どうぞ」

神使「じゃぁ、失礼して」

神様「・・・・・・」

491 ◆8YCWQhLlF2:2018/06/01(金) 21:32:48 ID:4LGehj.I

神使「今日は晴れていて月が綺麗だね」

神様「そうね」


神使「ふふっ」

神様「?」

神使「すまない。 ちょっと思い出し笑いを」



神様「ねぇ、あなた」

神使「なんだい?」

神様「私、間違ってなかったみたい」

神使「そうだね」

492 ◆8YCWQhLlF2:2018/06/01(金) 21:33:44 ID:4LGehj.I

神様「二人を見て思い出しました。 あなたと歩んできた旅を・・・」

神使「私もだ」


神様「毎日がとても楽しくて、毎日がとても幸せで」

神使「あぁ。 でも・・・」

神様「?」

神使「神宮の神柱封印の件だけはいただけなかったな」

神様「まだ怒っているんですか?」

神使「まさか」

神様「でも・・・ 確かに無謀な賭けでした」

神使「君からもらったお守り、あの時気がつかなかったらと思うと今でもゾッとするよ」

神様「私は信じていましたよ?」


神使「今も昔も、君は変わらないな」

神様「?」

神使「君といると毎日とても楽しい旅をしているようだ」

493 ◆8YCWQhLlF2:2018/06/01(金) 21:34:32 ID:4LGehj.I

神様「もう少しだけ、二人の旅を続けさせて下さい」

神使「もちろん。 まだまだ先は長そうだけどね」

神様「ふふっ」クスッ


神使「これも予定通りなのかい?」

神様「さぁ?」


神使「やっぱり君は・・・」




神使「神様だ」ニコッ

神様「神力ゼロですが」ニコッ





神様「神様だ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
── おしまい

494 ◆8YCWQhLlF2:2018/06/01(金) 21:35:24 ID:4LGehj.I

#18 「我☆偽神」 >>1-129
20年に一度神の立ち寄りの風習がある村へ来た神様は偽神として捉えられて・・・

#19 「神宮美食クラブ」 >>147-258
にゃんにゃん島を再び訪れた神様、すこへ黒ずくめの客が現れ不穏な様子に・・・

#20 「未来へ託して」 >>264-493
神様が過去に神宮地下へ封印した物、それは国を崩壊させる力を持っていた・・・

495 ◆8YCWQhLlF2:2018/06/01(金) 21:36:05 ID:4LGehj.I

長々とお付き合いありがとうございました!

496以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/01(金) 21:57:05 ID:Zqs/aroA
>>495
あなたが神か…
乙、今までありがとう!(フカブカー

497以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/01(金) 22:25:17 ID:5sCrzLQQ
神ちゃぁぁぁぁん(大号泣)

498以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/01(金) 22:33:13 ID:5sCrzLQQ
>>495
素敵な物語ありがとうございました〜フカブカ

499以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/02(土) 00:06:39 ID:20P/Vxuo


500以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/02(土) 00:17:26 ID:WaK/ccSA
素晴らしい作品でした!!

乙!!!!!

501以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/02(土) 02:00:01 ID:aqXCw1z2
そうか、神ちゃんも神使いさんもお疲れ様でした。
私たちと共に歩める未来があるなら、それも見てみたいかな

502以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/02(土) 05:08:23 ID:02p690TU
お疲れ様でした。

番外編があれば書いてくれてもいいが…

503以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/02(土) 06:32:09 ID:ppsvJPSk
長い間素敵なスレをありがとうよ

504以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/02(土) 06:49:29 ID:Fou/jM4w
いろんなSSを読んだけど
科学の神様と、神ちゃんが一番好きでした
ありがとうございました、乙!

505以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/02(土) 11:14:57 ID:QQlVotmQ
素敵な話しありがとう、そしてお疲れ様でした。

おまるの話しが番外編で有ったらいいなぁ。

506以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/02(土) 16:10:19 ID:swRghPpg
おつ
とても素敵なお話でした!

507以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/02(土) 19:41:39 ID:/icGAIBA
長い間ありがとう!
とっても面白かった

もし、次にまったく新しい物語とか書く気になったら教えてもらえると嬉しい
喜んで読みに行くから

508以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/03(日) 13:25:24 ID:SRhGy4Jg

そして楽しい時間をありがとうございました

509以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/09(土) 05:50:24 ID:LW1760Ig
オマルの話しを頼む

510以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/20(水) 15:02:41 ID:mpmZxSJY
来ないかなぁ

511以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/25(月) 09:49:42 ID:IdodUWG2
続き希望っす。待ってるよー

512以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/25(月) 23:43:37 ID:CrSO9YtE
久しぶりに見つけたら丁度完結したところだったのね
素晴らしい物語をありがとう

513以下、名無しが深夜にお送りします:2018/07/08(日) 10:30:38 ID:3iGT/PSI
自然は恐ろしいな
神ちゃんお見舞いに来てよ

514以下、名無しが深夜にお送りします:2018/07/14(土) 10:07:37 ID:UlyGvnco
神ちゃん来ないかなぁ

515以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/04(土) 13:40:27 ID:OPgbFP62
神ちゃん暑いよ

516神ちゃんファン:2018/08/05(日) 20:17:28 ID:cjt5EClE
神ちゃんファン『遂に完結かぁ〜心に残る話をありがとう!人生で一番の大作でした』

神ちゃんファン神使『おや?今日は随分素直ですね』
神ちゃんファン『うるさい!!』ゲシゲシッ

517以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/06(月) 10:48:21 ID:lFXTgNqk
もう少しでお盆だよ

518以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/11(土) 20:36:59 ID:uYnAyY0I
短くてもいい
神ちゃんを読みたい

519以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/12(日) 08:04:54 ID:acOGC4DU
俺も見たい

520以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/23(木) 19:02:04 ID:ry8nONkU
来ないかな

521以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/07(金) 17:38:44 ID:3Z5jVOO.
神ちゃんが旅をしなくなったら日本全国災害だらけになってるぞ!
早く旅を再開してくれよ

522 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/09(日) 02:53:38 ID:soVEIZkM
完結しているので続けるのは難しいかなぁと。
書き切った感もありますし。

でも、スレが余っているのは勿体ないか……

523 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/09(日) 02:54:55 ID:soVEIZkM

■ 神様「神様だ!」 神使「神力ゼロですが・・・」 番外編・2018年夏


ガタンゴトン


神様「」ゲシ ゲシッ

神使「・・・・・・」

神様「」ゲシ ゲシッ

神使「神様、さっきから痛いんですが・・・」

神様「何でこの電車は冷房がついてないんだよ!」

神使「今時珍しいですよね」

神様「今は2018年だぞ? あり得ないだろ!」

神使「神様? 一応は日本の神なんですから西暦でなく和暦を使いましょう」

神様「グローバルに生きる私は常に世界基準なんだよ! あと一応は余計だ」ゲシッ

神使「しかし、本当に暑いですね・・・」


ガタンゴトン

524 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/09(日) 02:55:34 ID:soVEIZkM


─── 1時間後・とある田舎の駅


プシュー


神使「ホーム低いので気をつけて下さいね」

神様「はいよ」ガクッ

神使「・・・・・・」

神様「うん。 思ったより低かったね」

神使「ちゃんと下を見て確認しないからです」

神様「私は常に上を見て歩む。 決して下は見ない」

神使「そういう意味ではありません」

神様「しっかし、ビックリする位何もないな」キョロキョロ

神使「凄いですね、見渡す限り一面の緑です」

神様「見える範囲に人工物がないんだけど。 ここに駅は必要なのか?」

525 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/09(日) 02:56:09 ID:soVEIZkM

神使「さて、それでは行きましょうか」

神様「ちょい待ち」

神使「?」

神様「私が次に言いたいことは分かるよね?」

神使「要調査神社です」

神様「帰る。 あとはよろぴこ」トテトテ

神使「仕事です」グイッ

神様「何の調査だよ〜」ジタバタ

神使「これから行く神社は予算が足りなく、このままでは廃社になってしまうそうなんです」

神様「そんな神社腐るほどあるだろ」

神使「主神の居られる神社というのが問題なんです」

神様「そんなの神宮で予算付けてやれよ。 神がいれば最低限の金は出すだろ」

526 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/09(日) 02:56:54 ID:soVEIZkM

神使「神宮の資料によると寄付金を断っているようで」

神様「は? お金くれるのを断るなんてあり得ないじゃん、何で?」

神使「それを調べるのが私達の仕事です」

神様「はは〜ん、売り上げの大半を給料にして、神社の財布と個人の財布は別です! とか言うパティーンね」

神使「どうしてそんな悪知恵ばかり知っているんですか・・・」

神様「ちなみに、その神社運営が下手な神って?」

神使「この先にある大神之神社の主神様です」

神様「大神之神社?」

神使「はい、狼之神様こと、大神様です」

527 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/09(日) 02:57:29 ID:soVEIZkM


─── 田舎道


テクテク


神使「見えました。 あれが大神之神社のようですね」

神様「鳥居の横にあるのは社務所か?」

神使「売店のようですが」

神様「こんなド田舎に売店なんか作っても誰も来ないんじゃない?」

神使「随分と寂れていますね」

神様「ちょっと寄ってこーぜ、オシッコしたい」トテトテ

神使「またそんなはしたない事を・・・」

528 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/09(日) 02:58:44 ID:soVEIZkM


─── 売店


ガラガラ


神使「ごめんくださ〜い」

神様「誰もいないね」キョロキョロ

神使「これは・・・ 駄菓子屋さんのようですね」

神様「すげー くじとか安っぽいオモチャも置いてる。 ホコリ被ってるけど」トテトテ

神使「神様、勝手に入っちゃダメで───」


ダダダダダ


神使「?」

529 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/09(日) 02:59:16 ID:soVEIZkM

巫女「いらっしゃいませー!」ズサァー


神使「あっ、勝手にすいません」

巫女「いえ大丈夫です!」ハァハァ

神使「お忙しいようでしたら後ほどお伺いいたしますが」

巫女「気にしないで下さい! 全然忙しくないです!」

神使「?」


神様「これと〜 あっ、これも」ゴソゴソ

神使「ちょっと神様、買うんですか?」

神様「当たり前だよ、餅飴は青リンゴと・・・ おっ、コーラもあるじゃん」

530 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/09(日) 02:59:51 ID:soVEIZkM

巫女「・・・・・・」ソワソワ

神使「失礼ですが、大神之神社の巫女さんでしょうか?」

巫女「え? 私ですか?」

神使「はい。 巫女さんの格好をしているもので」

巫女「あぁ。 まぁそんなもんです」

神使「? ということはこちらの駄菓子屋さんも神社が運営を?」

巫女「そうなりますね」

531 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/09(日) 03:00:27 ID:soVEIZkM

神様「私これ買う」ドサッ

巫女「!? こ、こんなに沢山・・・」

神使「あんまり無駄遣いしちゃダメですよ?」

神様「私の全財産を投入だ!」

巫女「全部で180円です!」

神様「はい」ジャラジャラ

神使「それが全財産なんですか・・・」


巫女「嬉しー!」キャッキャッ

神様・神使「はい?」

巫女「売れたの久しぶりなんです!」

神様・神使「・・・・・・」

巫女「今日はおかげで贅沢できそうです」ニヘラ

532 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/09(日) 03:01:11 ID:soVEIZkM

神使「えっと・・・」

神様「し、神使君も何か食べたいんじゃない?」

神使「そ、そうですね。 では、私は・・・ これを頂けますか?」

神様「いいねぇ〜 酢イカ。 私も好き」

神使「1本おいくらですか?」

巫女「20円です」

神使(安い・・・)

神様「神使君金持ってんだろ? ここは大人買いだろ〜」ウリウリ

神使「で、では全部頂きます」

巫女「え!?」

神使「この容器ごと・・・ でも何本入っているんでしょうか」

巫女「100本です!」

神使「あっ、1本も売れていないんですね・・・ では2000円で」スッ

巫女「あ・・・ ありがとう・・・ ございます・・・」ウルウル

533 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/09(日) 03:01:50 ID:soVEIZkM

神様「じゃ、またね〜」トテトテ

神使「ちょっと、神様」グイッ

神様「グヘッ!」

神使「駄菓子を買いに来たんじゃないですよ」

神様「あ? そうか、オシッコをしに来───」

神使「すいません、私達こちらの神社に用がありまして」

巫女「神社に・・・」ピクッ

神使「社務所は横の鳥居から入っていけば良いんでしょうか?」

巫女「遊び半分で参拝に来たのであれば、今すぐ立ち去った方が身のためですよ?」

神使「そういう訳では・・・ 狼之神様とお会いしたく」

巫女「!?」

神使「申し遅れました。 私達、神宮の者です」

巫女「神宮?」キョトン

534 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/09(日) 03:02:37 ID:soVEIZkM


─── 大神之神社・参道


テクテク


巫女「先ほどは失礼しました。 大神様のお知り合いとは知らず・・・」

神様「かなりご無沙汰だけどね」


神使「木々が凄いですね。 だいぶ気温が低く感じます」

巫女「無造作に生えているように見える木も、気温を下げるために手入れをして配置しているんです」

神使「へぇ〜 参拝者思いな作りなんですね」

巫女「はい。 神社に踏み入れたら一気に気温が低くなった方が怖さが増しますからね」ニコッ

神使「怖さ・・・ ですか?」

535 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/09(日) 03:03:17 ID:soVEIZkM

巫女「あっ、こちらが本殿です」

神使「これは随分と・・・」

神様「壊れ〜かけの〜神社〜♪」


神使「主神様はこちらに?」

巫女「はい。 ただ、今はあまりお見せできる状態ではなく」

神様「大丈夫だって。 そういうの馴れてるし」

巫女「そうですか? では」


ギィ


巫女「大神様、お客様です」

大神「フンッ! フンッ! あ? 客ってだ───」


ギィー バタン

536 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/09(日) 03:03:58 ID:soVEIZkM

神様・神使「・・・・・・」

巫女「どうされたんです? 急に閉めて」

神様「ねぇ、真っ裸の女が竹刀振ってたんだけど・・・」

神使「神様にもそう見えましたか」

巫女「最近暑いですし」

神様「いや、まぁ何となく言いたいことは理解できるし気持ちも分かるけど・・・」


バンッ


大神「おい、騒々しいぞ!」

神様「お巡りさ〜ん! 露出狂の痴女がいます〜」

大神「露出なんかしとらんわ! 褌とサラシを巻いているだろうが!」

神様「服着ろよ! 服!」

神使(神様がそれを言いますか)

大神「まさか・・・ 神ちゃんか!?」

537以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/09(日) 08:03:31 ID:1ddUmrEM
まさかの外伝乙なのよ

538以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/09(日) 17:00:57 ID:6X3PSa6U
まさかまさかの、神ちゃんが戻ってきた!

539以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/09(日) 17:12:29 ID:q57cYVvw
神ちゃーーーーん

540以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/09(日) 18:13:12 ID:Sr5R03Bw
乙神
ここが更新されてると安心する

541以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/09(日) 21:51:27 ID:5zq5chqA
保守をずっとしながら待ったかいがあった。
来てくれてありがとう。

542以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/09(日) 23:35:40 ID:dblHUwAs
さすが神ちゃん!信じる者の味方だね!!

543 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/10(月) 00:31:41 ID:1JKUSx3.


─── 社務所


巫女「お水です」コトッ

神様「ありが、えっ!? 水?」

巫女「どうぞ」コトッ

神使「あ、ありがとうございます」


神様「お茶請け、いや水請けとかないの?」

神使「水請けって・・・ 先ほど買った酢イカならありますが」パカッ

神様「水と酢イカって合うか?」

巫女「頂きます」クチャクチャ

神様「売ったお前が食うんかい・・・」

544 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/10(月) 00:34:02 ID:1JKUSx3.

大神「それより、どうしたんだ神ちゃん。 随分と久しぶりじゃないか」クチャクチャ

神様「仕事だよ。 ってお前も食うのかよ」

大神「土産だろ? そんな事よりこんな田舎に仕事なんかあるのか?」

神様「お前の神社が参拝者もなく赤字続きの借金まみれで潰れそうだから調べに来たんだよ」

神使「そんなぶっちゃけなくても・・・」


大神「えーと、君は神ちゃんの連れか?」

神様「あ〜 これは犬ころ」

神使「神様のお付きで狛犬の神使と申します」フカブカ

大神「ほぉ〜 狛犬の神使とは珍しいな」

545 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/10(月) 00:35:17 ID:1JKUSx3.

巫女「わぁ〜 私以外の神使って初めてお会いしました!」キラキラ

神使「よろしくお願いいたします」ペコリ

巫女「神使さんは、その・・・ お一人なんですか?」モジモジ

神使「え!? いや・・・ まぁ・・・」

神様「これは私の犬ころだから。 狛犬はワシントン条約で保護されてる希少種だから交尾はダメ」

神使「そんな物で保護されていません。 あと、はしたない言葉を使わないで下さい」


巫女「確かに人や神と少し違う匂いがしますね」クンクン

神使「うっ・・・///」

神様「悪魔に魂を売り渡した極悪邪道腐れ犬ころだし腐臭とか漂ってるんじゃない?」

神使「失礼な・・・」

巫女「とても良い匂いです。 心が安らぐような気分が落ち着くような」クンクン

546 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/10(月) 00:36:23 ID:1JKUSx3.

大神「これは、ラベンダーだな」

神様「狛犬ってラベンダーの匂い発するの?」

神使「発しません。 ラベンダーの香りの匂い袋をもっているもので」

神様「相変わらずオシャレさんですね〜」

神使「ほんの少しだけなのですが、よくお分かりになりましたね」

巫女「鼻には自信がありまして」


神様「ちなみに私はどんな匂いする?」

巫女「そうですね・・・ 草木の香りと言いますか、大地の香りと言いますか・・・」

大神「正直に言ってやれ。 雑草と土の匂いだ」

神様「・・・・・・」

547 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/10(月) 00:37:43 ID:1JKUSx3.

神使「ちなみに巫女さんは何の神使さんなのですか?」

巫女「私は───」

大神「まてまて、今こそ名乗りの成果を見せるときじゃないのか?」ニヤッ

巫女「!? 確かに!」

神様・神使「?」

神様「まぁ、狛犬には負けるかもしれんがな。 全力でいけ」

巫女「はい!」


大神「こいつは別嬪じゃぞ? オスなら皆イチコロだ」

神様「ほぉ〜ん。 私の美貌には足下にも及ばないと思うけどね!」


大神「さぁ、我が使いにしてこの地を守りし巫女よ! お前の真の姿を見せるが良い!」

548 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/10(月) 00:38:48 ID:1JKUSx3.

巫女「ウゥ・・・」グルルル

神様・神使「!?」

巫女「グォ グガーー!!」メキメキ


ボキボキ ミシミシ


巫女「グギャーーー!!」グルルル


神様・神使「・・・・・・」

大神「うんうん、良い変身っぷりだ」

巫女「ありがとうございます!」


大神「どうだ神ちゃん、うちの神使は」

神様「う、うん。 立派な狼娘さんなのね・・・ なんか、生々しい変身だったね・・・」

神使「そ、そうですね。 ホラー映画のようでした・・・」

549 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/10(月) 00:40:54 ID:1JKUSx3.

大神「随分とありきたりな評価だな」

狼娘「少し拍子抜けですね。 大抵の人は泣き喚くか失神しますから」

大神「変身途中で涎をまき散らした方が良いんじゃないか?」

狼娘「なるほど。 最後に舌を垂らしてボタボタと涎がしたたり落ちれば更に怖いですね」

神様「いやいや、今ので十分怖いから」

神使「私も、腰が抜けて立てない位ビックリしました」

神様「犬ころもまだまだだな。 私を見ろ、オシッコ漏らしたぞ」ジワッ

神使「・・・・・・」


大神「お〜 95点! 合格点だ」

狼娘「ありがとうございます! 歴代3位の高得点です!」

大神「それより神ちゃん、あんまり汚さないでくれよ」


狼娘「大丈夫ですか?」ズイッ

神様「きゃー! 大丈夫! 怖いから変身解いて!」ジュワッ〜

550以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/10(月) 22:53:36 ID:IZ9ECo32
結局漏らしたんかい

551 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/11(火) 01:31:44 ID:N4fvY2DA


─── 10分後


ガチャッ


神使「あっ、神様お風呂上がりました? って、また素っ裸で・・・」

神様「・・・・・・」ブルブル

大神「体くらい拭いてこい」

神様「み、水風呂なんですけど・・・ 冷え冷えなんですけど・・・」ブルブル

大神「暑いし水でも大丈夫だろ」

狼娘「湧き水って気持ち良いですよね。 お清めにも丁度良いですし」

神様「水なんかで何が清まるんだよ」ブルブル

神使「神がそんな事言わないで下さい」

552 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/11(火) 01:32:55 ID:N4fvY2DA

神様「神使君、早く着る物!」

神使「神様が着る物をねだるなんて珍しいですね」

神様「こんなん風邪引くわ!」

大神「鍛え方が足りないんじゃないのか?」

神様「どう鍛えりゃあんな冷たい水風呂に耐えられるようになるんだよ!」

神使「Tシャツと短パンは洗濯中なので巫女服でも良いですか?」ゴソゴソ

神様「ん」イソイソ

大神「ほぉ〜 神ちゃんの巫女姿なんて初めて見るな」

神使「そうなんですか? 神様は巫女服以外Tシャツとジャージ、後は小学生みたいな服しか持っていないので」

神様「」ゲシッ

553 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/11(火) 01:34:18 ID:N4fvY2DA

大神「昔はもっとゴテゴテした動きにくそうな服を着てたよな」

神様「装束だよ、いつの話してんだよ。 それを言うならお前だっていっつも鎧着てたじゃないかよ」

神使「鎧って・・・ いつの時代ですか・・・」

大神「流石に今の時代にあんな物着てても役に立たないしな」

狼娘「・・・・・・」


大神「あ〜 そんな事より、ココへは何をしに来たんだ?」

神様「さっき言っただろうが。 廃社寸前の経営状態だから調べに来たんだよ」

大神「そんな事言われてもなぁ〜 人が来ないんじゃどうしようもないだろ」

神使「休日なのに参拝者の方が1人も来ていないようですね」

大神「もう何ヶ月も鳥居から奥に来た奴はいないな」

554 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/11(火) 01:36:47 ID:N4fvY2DA

狼娘「威嚇が足りないんでしょうか?」

神様「威嚇してんのかよ・・・」

大神「畏れは大事だろ」

神使「失礼ですが、地元の方や氏子さん達は?」

大神「年に一度ある祭儀の時だけだな」

狼娘「それも年々人が来なくなり去年はゼロでしたね」

神様「祭儀って?」

狼娘「大神様と私で参列者を徹底的に恐怖へ陥れるんです」

神様・神使「・・・・・・」

神様「もしかして、さっきのホラー映画ばりのやつを披露したり?」

狼娘「はい! でも最後に本殿までたどり着いたのは10年位前でしたね」

555 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/11(火) 01:37:32 ID:N4fvY2DA

神使「何でそんなことを?」

大神「神としての威厳を示す。 畏れは大事だろ?」

神様「この神社に人が寄りつかず破産寸前な理由が分かった気がするよ」ハァ

神使「そうですね」

大神・狼娘「え!?」

神様「え? じゃねーよ! 気付よ!」

大神「狼娘、分かるか?」

狼娘「う〜ん、やっぱりヨダレをまき散らさなかったのがいけないんでしょうか」

神様「ちげーよ! 逆だよ、逆!」

大神・狼娘「?」キョトン

神様「はぁ〜・・・ これは面倒くせーな・・・」

556以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/11(火) 23:18:14 ID:H5ThPis.
大変だぁ

557 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/12(水) 01:40:13 ID:lsHExe6s


─── 夕方・神社近くの田舎道


テクテク


神様「暇だから散歩に出たは良いものの、ビックリする位何もない村だな」

神使「でも長閑で良い雰囲気です」


神様「おっ、ようやく第一村人発見」

神使「畑のお手入れでしょうか?」


神様「こんちわ〜」

村人「ん?」クルッ

神使「立派なトウモロコシですね」

558 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/12(水) 01:41:09 ID:lsHExe6s

村人「見かけん顔ですな。 旅行かい?」

神様「まぁそんな感じ」

村人「残念だけど、この村には何もないで?」


神様「・・・・・・」ジーッ


村人「モロコシが気になるのか、食べるけ?」ポキッ

神様「いいの!?」

神使「すいません、何か催促したような感じで・・・」

村人「えぇって、今年は余るほど収穫があってな」

神様「甘い!」モグモグ

神使「生で食べるんですか・・・」

559 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/12(水) 01:42:06 ID:lsHExe6s

村人「このモロコシは生でもいけるで」

神様「イケルで」モグモグ

神使「・・・では私も」パクッ

村人「どうだ?」

神使「本当ですね。 生でもこんなに美味しいと動物に持って行かれたり大変じゃないですか?」

村人「あ〜 ここらの畑はそういうのがないんだよ」

神様「猿とかいないの?」

村人「猿もイノシシも沢山いるがな。 でも畑の作物は絶対荒さんのだわ」

神使「珍しいですね」

村人「良かったらもう少し持っていくか?」

神様「マジで! 頂戴頂戴」

560 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/12(水) 01:43:16 ID:lsHExe6s


 ワオーン


村人「!?」ピクッ

神使「遠吠え?」

村人「あ、すまん。 用事思い出したからワシは帰るわ」

神使「え? あ、はい。 ごちそうさまでした」

村人「あんたらも日が落ちる前に村出てはよ帰れよ。 モロコシは好きなだけ持っていってええから」スタスタ


神使「急にどうしたんでしょう」

神様「ねー」ポキポキッ

神使「日も傾いていますし、暗くなる前に戻りましょうか」

神様「もう少し」ポキポキッ

神使「それ以上はダメです。 持っていくのは2〜3個にして下さい」

561 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/12(水) 01:44:04 ID:lsHExe6s


─── 10分後


テクテク


神様・神使「・・・・・・」

神様「神使君?」

神使「・・・はい」

神様「気付いてる?」

神使「えぇ。 あまり良い感じではなさそうですね・・・」

神様「せーの、で振り向いてみようか」

神使「分かりました」

神様「せーの!」

神様・神使「」クルッ

562 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/12(水) 01:45:01 ID:lsHExe6s


グルルル


神様「な〜んだ・・・ 野生のチワワが唸ってるだけじゃ〜ん」

神使「どう見ても立派な狼さんだと思います・・・」


狼「グルルル」ノシッ ノシッ


神様「こっちに来るんですけど・・・ お前仲間なんだから私達は無害ですって通訳しろよ」

神使「狼さんの言葉なんて分かりませんよ・・・」

神様「使えねー犬ころだな。 ヤベーな、逃げるか?」

神使「目を反らすと襲ってくると思いますが・・・ 神様の持っているトウモロコシを餌にするというのは?」

神様「それはあり得ない。 絶対にダメだ、これだけはダメだ」ギュッ

神使「しかし、狼さんがトウモロコシをガン見てますが」

563 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/12(水) 01:46:05 ID:lsHExe6s

狼「グオー!!」

神様・神使「ひえぇ〜!」


?「こら! アンタは何吠えてるの!!」ペシッ

狼「キャウ〜ン!」


神使「狼娘さん!」

狼娘「大丈夫でしたか? 本当に申し訳ありません!」ペコペコ

神様「助かった〜」ストン


狼娘「このお二人は大神さまの客人です! 匂いで分からないんですか!」

狼「」プイ

狼娘「きちんと謝りなさい!」

564 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/12(水) 01:47:04 ID:lsHExe6s

狼「グルル」

狼娘「大神さまの右腕である私にまで牙を見せるとは良い度胸です! お前は反省するまでご飯抜きです!!」

狼「!?」ペコリペコリ

狼娘「今更謝っても無駄です! 私が本気で怒る前に早くお山に帰りなさい!!」

狼「」タッタッタッ


狼娘「大丈夫ですか? 立てます?」

神様「うん・・・ ちょっとだけ漏れたけど」

神使「またですか・・・」

神様「に、2滴だけだよ」ジュワ〜

神使「全部出し切ったように見えますが・・・」

565以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/12(水) 22:47:03 ID:0e/ClooY
あちゃー!ビショビショ!

566 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/13(木) 00:27:59 ID:Qvq90ftc


テクテク


神様「犬ころ、疲れたからおんぶ」

神使「・・・・・・。 すいません、今日はちょっと・・・」

狼娘「本当に申し訳ありませんでした。 後でキツく叱っておきますので」

神様「この地の守護も担ってるんだから、ちゃんと管理しておかないとダメだと思うの」

神使「確かに野生の狼さんが現れると、村人の方もビックリするかも知れませんね」

狼娘「村の方達の臭いは全員教えているので、絶対牙を剥いて危害を加えることはないのですが・・・」

神使「人里まで降りてきて、お腹でも空いていたんですかね」

狼娘「いえ・・・ ちょうど見回りの時間なんです」

神様「見回り?」

狼娘「はい。 村の作物を荒らす猿やイノシシを追い払ったり部外者が侵入しないようにと」

神使「なるほど、私達の匂いを部外者だと思ったわけですね。 しかも神様はトウモロコシを持っているせいで余計に」

神様「これは盗んでないし!」ギュッ

567 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/13(木) 00:29:59 ID:Qvq90ftc

狼娘「どちらかというと、お二人に付いた大神さまの匂いが原因かと」

神使「大神さまの匂い?」

狼娘「はい。 大神さまは村の狼たちにとって雲の上のような存在ですから」

神様「でも唸られたけど」

狼娘「大神さまと決闘をした凄腕と思い、自分も決闘したいと思ったようです。 大神さまと決闘することは皆の憧れですから」

神様「なにその危険な関係・・・」

神使「でも、どうして狼さん達が村を守るお仕事をされているんですか?」

狼娘「この村の作物を守るためです。 昔は作物の出来不出来が村人の死活問題でしたから」

神様「なるほどね〜 その代わりに村人から神社に作物の献上があったとか?」

狼娘「」コクッ

神使「持ちつ持たれつですね。 山の狼さん達の食事は献上から賄っているのですか?」

狼娘「・・・いえ」

神様「今の時代に献上とか概念ないだろ〜」

神使「え!? それではタダ働きじゃないですか」

狼娘「・・・・・・」

568 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/13(木) 00:30:52 ID:Qvq90ftc

神様「大神は何て?」

狼娘「見回りだけは絶対に手を抜くなと。 それが私達の勤めだと」

神様「ふ〜ん・・・」

神使「参拝のない神社運営に狼さん達の餌、それは赤字が続きますよね・・・」

神様「しかも駄菓子屋にも客は来ず、と」

狼娘「う〜・・・」

神使「大神さまはどうされるつもりなんでしょう」

神様「さ〜ね〜」


狼娘「あの!」

神様・神使「?」

狼娘「神社を・・・ 大神様を助けてあげて下さい!!」

神様「・・・・・・」

569 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/13(木) 00:31:35 ID:Qvq90ftc


─── 駄菓子屋


ガラガラ


狼娘「どうぞお入り下さい」

神様「おじゃま〜」

神使「失礼します」

狼娘「よろしければ好きな駄菓子を取って食べて下さい」

神様「いいの!?」

神使「ダメです。 売り物なんですから」

狼娘「気にしないで下さい。 置いておいてもお客さん来ませんから」ニコッ

神使「・・・・・・」

狼娘「お茶持ってきますので中に入ってお待ち下さい」スタスタ

570 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/13(木) 00:32:26 ID:Qvq90ftc

神使「神様、何とかならないですかね?」

神様「ふもふ、ふぁふもむ」モグモグ

神使「・・・・・・」

神様「ふもふぉ、ふもぉもむ」モグモグ

神使「・・・・・・食べた分はお金払って下さい」

神様「ふもっ!?」

571 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/13(木) 00:33:36 ID:Qvq90ftc


─── 駄菓子屋・奥


テクテク


神様「あれ? 下に行く階段がある」

神使「地下室でもあるんですかね?」


狼娘「あぁ、倉庫です」スタスタ


神使「倉庫ですか?」

狼娘「元々この場所には道場がありまして、駄菓子屋を作るときに地下に移したんですけど今は倉庫として使っています」

神様「ふ〜ん」

狼娘「さっ、どうぞお入り下さい」

572 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/13(木) 00:34:29 ID:Qvq90ftc


─── 駄菓子屋・奥の部屋


狼娘「どうぞ」コトッ

神様「あっ! お茶だ!」

狼娘「私のへそくり茶ですが。 神使さんもどうぞ」コトッ

神使「ありがとうございます。 そんなに大事な物を良いんですか?」

狼娘「せめてものお詫びです。 こんな物がお詫びになるとも思っていないですが・・・」

神使「そのお気持ちで十分です。 いただきます」ズズッ


神様「神社の運営が厳しい?」

狼娘「」コクッ

神使「失礼ですが月の売り上げはどのくらいでしょうか」

狼娘「ここ数年ゼロです・・・」

神様・神使「・・・・・・」

573 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/13(木) 00:35:22 ID:Qvq90ftc

狼娘「あっ、今日2100円の売り上げがありました」

神使「それは私達ですね・・・」

狼娘「貯金を切り崩して何とかしのいでいるのですが、多分長く持ちません」


神使「実は、神宮から神社運営の寄付金の話がありまして」

狼娘「本当ですか!?」パァ

神使「はい。 それも20年前から」

狼娘「え?」

神様「大神の奴が寄付金を断ってんだってよ」

狼娘「何で・・・」

神使「もしよろしければ、神社の運営帳簿を見せて頂けますか?」

狼娘「はい。 今持ってきます」スタスタ

574 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/13(木) 00:36:22 ID:Qvq90ftc


神使「狼娘さんは寄付金のことを知らなかったようですね。 どういう事でしょうか?」

神様「別に金があるのか、それとも・・・」


狼娘「お待たせしました」スタスタ

神使「あっ、ありましたか?」

狼娘「はい。 こちらが帳簿です」スッ

神使「拝見します」ペラッ

神様「どう?」ニョキッ

神使「酷い赤字ですね・・・ これでは破綻も時間の問題かと」

狼娘「・・・・・・」

575 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/13(木) 00:37:23 ID:Qvq90ftc

神使「ん? 20年前に結構な入金があるようですが」

神様「おいくら万円?」

神使「2000万です」

神様「なんだ、金持ってんじゃん」

神使「でも、それも毎月の補てんで食い潰して残っていないようですが」

狼娘「そのお金は・・・ 大神様がご自身の鎧をお売りしたお金でして・・・」

神使「鎧?」

神様「・・・もしかして大神之武神鎧?」

狼娘「」コクッ

神様「・・・・・・」

576 ◆8YCWQhLlF2:2018/09/13(木) 00:38:25 ID:Qvq90ftc

神使「その大神之武神鎧というのは?」

神様「あいつが命より大事にしていた特注の鎧。 武神大神のトレードマークだ」

神使「武神?」

神様「そう、あいつは武神だからな。 昔は将軍やら全国の城主から絶大な信仰があったんだよ」

神使「それって国宝級じゃないですか! それをこんな値段でお売りに?」

狼娘「あの時は参拝者も減り本当にお金がなく・・・ 山の狼たちの餌もろくに出せない位困窮してまして・・・」

神使「そんな状況でなぜ寄付金をお受けにならなかったんでしょうか?」

神様「・・・・・・」

神使「神様?」

神様「アイツらしいな」

神使「どういう意味です?」

神様「不器用は変わらず、か」

577以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/13(木) 10:08:57 ID:8zPLJJ46
ふむふむ


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