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【艦これ】五十鈴「何それ?」 提督「ロードバイクだ」【2スレ目】

1 ◆9.kFoFDWlA:2017/08/13(日) 21:53:56 ID:XmBArZ8Y

※深海棲艦と仮初の和平を以て平和になった世界観における、とある鎮守府での一コマを描くほのぼの系

 艦娘がロードバイクに乗るだけのお話

 実在のメーカーも出てきます

 基本差別はしません

 メーカーアンチはシカトでよろしく


※以下ご都合主義
・小柄な駆逐艦や他艦種の一部艦娘もフツーに乗ったりする(本来適正サイズがないモデルにも適正サイズがあると捏造)
・大会のレギュレーション(特に自転車重量の下限設定)としては失格のバイクパーツ構成(※軽すぎると大会では出場できなかったりする)
・一部艦娘達が修羅道至高天
・亀更新

上記のことは認めないという方はバック推奨。
また、上記のことはOK、もしくは「規定とかサイズとかなぁにそれぇ」って方は読み進めても大丈夫です


【前スレ】

【艦これ】長良「なんですかそれ?」 提督「ロードバイクだ」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1454251122/

344以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/11(月) 06:36:10 ID:HTazOnVY
>>1

345以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/11(月) 18:40:58 ID:7cqbmlO.
舞ってた

346以下、名無しが深夜にお送りします:2018/07/01(日) 23:30:56 ID:nHnEnVgw
待ってる

347以下、名無しが深夜にお送りします:2018/07/03(火) 20:16:06 ID:Yn5SixSo
はやくしないとツール・ド・フランスはじまるぞ

348以下、名無しが深夜にお送りします:2018/07/30(月) 15:59:41 ID:cjNEl79Y
ツール・ド・フランスが終わってしまったな。

349以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/01(水) 09:49:07 ID:4hk6m.mI
夕張の代わりに秩父のダム巡りしてきました

350以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/03(金) 18:16:27 ID:nhVg87fU
ロード始めようと思って気が付いたら山登りがメインになりましたとさ

351以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/05(日) 01:06:41 ID:rMujIRvI
ロードで登山口まで行って、そこから徒歩で登山するのか?


登山と言えば、新しいイージス艦が「まや」様襲名したな

352以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/05(日) 18:18:16 ID:v2wXpYug
トライアスロンの為にロード始めたら膝壊してランニングさえまともに出来なくなった勢がここに

353以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/07(火) 22:16:05 ID:Wj4vL1rE
まってます

354以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/14(火) 23:14:04 ID:TNsSllP.
この人の文章はキャラがイキイキしてて好きだな。
提督にしても>>342の時の表情、ゴーヤからどう見えたのやらw

続きはのんびりと待ってますね

355 ◆B2mIQalgXs:2018/08/16(木) 08:00:09 ID:OZKgxPwo
てすと

356 ◆Yhb2JD.SmQ:2018/08/16(木) 08:00:41 ID:OZKgxPwo
しまった昔の酉だ。再テスト

357 ◆Yhb2JD.SmQ:2018/08/16(木) 08:01:11 ID:OZKgxPwo
しまった昔の酉だ。再テスト

358 ◆Yhb2JD.SmQ:2018/08/16(木) 08:04:18 ID:OZKgxPwo
※むぅ、酉忘れてしまったぞ……この酉で週末頃に再開します
 今週さえ乗り切れば夏休みぞよ

359以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/16(木) 08:04:56 ID:9FQVte/.
>>355
>>1か?無事で何より

360以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/22(水) 20:31:51 ID:GE3reID2
再開、お待ちしているのです…

361以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/25(土) 07:34:57 ID:qN5oOtF.
舞ってます

362以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/25(土) 17:02:47 ID:umscPDt.
再開宣言から一週間
ブエルタ・ア・エスパーニャはじまるぞおい

363以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/13(木) 08:18:31 ID:xN9eteUI
まってます(*´∀`*)

364以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/13(木) 19:44:26 ID:3ApHx5Hg
生存報告欲しい

365 ◆gBmENbmfgY:2018/10/28(日) 22:37:04 ID:u2OvN1Po
※さて、こっちもボチボチ再開していきたい
 私生活が落ち着いたとはいえまだまだ忙しいので投下速度はゆっくりです
 堪忍してつかあさい

366以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/30(火) 00:17:52 ID:9C0EvwfA
>>365
うっかりロードバイク買ってしまったぐらい楽しみにしてた

367以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/01(木) 11:27:27 ID:qkvAye.M
待ってました!

368 ◆gBmENbmfgY:2018/11/03(土) 23:45:39 ID:mwl41/FU

ろー「むーん……つまり、エントリーフレームには基本的にエントリーグレードのコンポが正解? ろーちゃん覚えましたって!」

提督「はっはっは――――ところがぎっちょん」

はち「またですか……イクちゃんの曖昧化が深刻になるので、色々と選択肢を増やすのはほどほどにしてほしいんですけど」

提督「何事にも例外があるということだよ、はっちゃん」

はち「あら、そういうものですか? ではその例外とは? 早く仰っていただきたいです――――なんせ既にイクちゃんが曖昧になりかけてますし、ニムちゃんまでもが」

イク「い……い、い、い」

ニム「……大きな艦載機が、飛んだり爆ぜたりしている……大きい……アーマード晴嵐ちゃんマークツーかな? い、いや、ちがう、ちがうな……」


 イクは魚雷に手をかけながら白目を剥きかけていたし、ニムは蒼海の空に飛び交う艦載機の輝きを見ていた。此処は屋内なのに。


提督「……こ、ここいらで時代に逆行するようなクロモリフレームはいかがかな?」

まるゆ「う? クロモリですか?」


 余談だが、提督がこのクロモリという選択肢を与えたことがきっかけで、後に鹿島の『なんでもしますよ事件』が起こる。

 更には後のアイオワ事件や、菊月事件へと繋がることになるのだが――――悲喜交々である。

369以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/03(土) 23:49:26 ID:NZbiV6lI
!! 待ってました!

370 ◆gBmENbmfgY:2018/11/04(日) 00:15:01 ID:Rn/P4k1U

 ニム ハ ニーナ ジャネエ!
 閑  話  休  題


提督「そそ、クロモリ。カタログで言えばコレだな。ほら、イク、魚雷なんか掴んでないでこっちこい」

はち「あら、これは……ほらほら、ニムちゃんも精神崩壊してる場合じゃないですから見てください」

イク「ぃ……あ、これってさっき乗った時に同じようなものがあったの」

ニム「――――ッはぁッ、も、戻れた……あ、これって機械式の、ほら、えっと、さっき乗った……ダブルレバーのやつ!」

提督「そうそう。クロモリってのはクロムモリブデン鋼な。言ってみれば鉄のパイプを溶接して作られてるフレームのことだ」

しおい「あ! レースでも大活躍してるメーカーさんも、クロモリを販売してるところがあるんですね! なんだか手作り感があってしおいは好きだな!」

提督「そう、この手作り感というのが大事だ。というか昔ながらのハンドメイドで、職人さんが一つ一つ溶接してるメーカーもあるんだぞ。ほら、イムヤも見てみ?」

イムヤ「う、うん……」

ろー「ぉおおおお……見て見て、でっちぃ! このパイプを繋いでるところ! すっごくキレイですって!」

ゴーヤ「だからでっちと……おお? これは……ありでち!!」


 ゴーヤが見たクロモリ製のラグフレームは、でっち呼ばわりされた怒りも思わず吹き飛ぶような美しさだった。

 カラフルな細身のパイプを、まるで丹念に削り出された彫刻のような白銀のラグが受け止め、見事なトライアングル形状を生み出している。

371 ◆gBmENbmfgY:2018/11/04(日) 00:34:16 ID:Rn/P4k1U

はち「……うん。はっちゃんとしても、これはアリですね」

ろー「はい! とってもステキですって!」

ニム「はー……カーボンバイクの近代的なカッコよさもいいけど、こういうのもいいね」

提督「うむ……俺が生まれる前の時代は、このクロムモリブデン鋼のラグフレームを駆るライダーたちがプロの世界でもアマチュアの世界でも溢れかえっていたという」


 誰もがコロンバス製のフレームに憧れた。ラグフレームの魅力に取りつかれ、クロモリバイクで山岳を力任せにこぎ続けることが正義の時代があった。

 第二次世界大戦の後に雄飛したファウスト・コッピは、今でもイタリアの英雄として名高い。

 フェデリコ・バーモンテス――――『トレドの鷹』と呼ばれた山岳王。

 フェリーチェ・ジモンディの『不死鳥』の如き活躍。更に時を経てベルナール・イノーの英雄譚。

 コンコルドTVT92と共にグレッグ・レモンがクロモリ全盛期に引導を渡すその時まで――――最前線で輝き続けた伝統のロードバイクフレームは、数十年の時を経ても色褪せない。


提督「わくわくすんだろ。こんな重いフレームで山岳を駆けあがって、何百キロって道を駆け抜けた。全力でだ。そこに――――」

イムヤ(古くて、重くて、でも、その時は最新鋭で……)

提督「かつて時代を席巻し、最上級クラスのレースを駆け抜けたこのクロモリフレームに、クラシックなダブルレバーを避け、あえて現代の最新鋭のコンポを乗せる。これもまたロマンよ」

しおい(わかる! これはしおいにもわかる! いいね! いいと思います!)

まるゆ(まるっとわかる!!)

372 ◆gBmENbmfgY:2018/11/04(日) 00:38:23 ID:Rn/P4k1U

 しおいとまるゆ――――この二人はいいとこどりが好きだ。

 しおいは器用であるが故に。まるゆは足りぬものを様々なもので補ってきた故に。

 意外性のある組み合わせが思いもよらぬ結果を生み出すことがあることを、経験から知っている故に。

 もちろんうまくいかないこともある。だからこそそれはきっと、ロマンと呼べるものなのだろう。


ゴーヤ(なるほど、わからんでち。美しさは認めます。でも提督指定の水着と違って、これはまるで機能的ではないでち)

はち(わ、わからない……古きよきものは、古きよきものと組み合わせた方が、はっちゃんとしてはいいかなって思います……)


 ゴーヤはワリとドライなところがあり、はっちゃんは前述の通り統一感を大事にしていた。


提督「まあ、こういう選択肢もありってこった。カンパのシルバーとかもほっそりしたラグフレームには合うんだぜ? 大淀も乗って……」

ゴーヤ「そうなんだ、大淀さんが………おおよど、さん、が……」

提督「ん? どうしたゴーヤ、なんか顔色が……」

ろー「ぁああああああああああああ!!!」

イク「はっ……!? い、いけないの! ゴーヤとろーちゃんにとって大淀さんと夕張さんはトラウマトリガーなの!!」

しおい「おお、ぶっだ!!」

373 ◆gBmENbmfgY:2018/11/04(日) 00:40:48 ID:Rn/P4k1U

提督(俺の知らないところで何やった、大淀)


 大淀と夕張に聞いても必死に『何もしてません! 信じてください!』と言うだろう。


大淀『ただ私は、私と夕張は――――提督が出張時の潜水艦隊との鎮守府内演習で、勝利を確実にするために対潜装備をガン積みにして飽和爆雷攻撃を敢行しただけです!!』


 と、悪びれることなく余計なことを言う。いわゆる4スロ軽巡こそがゴーヤとろーにとっての天敵であった。

 おわかりいただけるだろうか。

 海の中にいる。海面に見えるのは光。圧倒的な闇が視界の大部分を占める。音を頼りに敵の位置や動きを探りながら泳ぐ。

 五十鈴は恐ろしい対潜能力を持つ艦娘だ。だがその察知力すらゴーヤとろーは、確実とは言わぬもののすり抜けることができる。


大淀『雷装? 水偵?』イガイナコト!!

夕張『色々試す? 知るかバカ! 今は対潜演習だ!』バクライタメシテモイイカシラ!!


 メシマズが手当たり次第に鍋にモノを放り込むように、彼女たちは次々に爆雷を投げ込んだ。五十鈴が絶句する光景である。なんて無駄な資材の浪費を、と。もちろん五十鈴はこの演習後、大淀と夕張に対してブチギレした。

 ところがそれが偶然、よりにもよって幸運艦たるゴーヤとそれに追従するろーの乗る海流にジャックポットした。しかも浮上中に。これはそんな嫌な事件である。

374 ◆gBmENbmfgY:2018/11/04(日) 00:44:41 ID:Rn/P4k1U

 勘が良いイクならば近寄らなかっただろう。大淀と同じ眼鏡属性のあるはちも妙なシンパシーを感じ取り『嫌な予感がします』と近寄らなかっただろう。

 まるゆなら大淀と夕張より先に他の艦娘に近寄ってはもぐもぐアタックを敢行していただろう。しおいならば晴嵐さんを運用しつつ出方を伺っていただろう。

 イムヤならば――――そもそも『それ以前の話』で、近寄るという選択肢は論外だっただろう。つまり、運が悪かったのだ。


ろー「右を見ても左を見ても……上も!!」

ゴーヤ「―――――爆雷しかねえでちィ!? きゅ、急速潜こ……!!」


 もう一度言う――――浮上中である。下に逃げるにももはや時間切れであった。油断がなかったとは言わない。

 だからってこんなのアリか――――自分がもはや脱出不可能かつ時限爆弾付きの檻に監禁されているという恐怖を、ゴーヤとろーは光が爆ぜたことで思い知った。

 ろーとゴーヤはその光を見た。きっと瑞雲よりもヤバめの光である。


 ――――瑞雲、それはカ級が見た光。

 ――――ヨ級が見た絶望。

 ――――瑞雲、それは航巡のこころ。

 ――――幸せの赤緑白。


 パニックホラーも大パニックである。

375 ◆gBmENbmfgY:2018/11/04(日) 00:47:08 ID:Rn/P4k1U

ゴーヤ「こええよ……こええよぉ……!! なんなんでちあの鬼畜メガネと産地詐欺の未完熟メロンは……こんなの返品でち!

    クーリングオフでち! ナチュラルに殺意高すぎでち!! あんな脳筋戦法、米帝めいてやがる……クソッタレがぁ……!!」

ろー「ひんひん……怖いよぉ、怖いよぉ、でっちぃ……あのひとたちすっごくあたまがおかしいよぉ……ずのうちすうがひくいよぉ」

ゴーヤ「丁稚言うんじゃねえと言ってるでち爆ぜろ……それと知能指数でち……それこそずのうちすうが低くなるよーなことを言うんじゃねえでち……」

ろー「ぅえええん、うぇええん」

提督(どうしよう。話がブッた切られまくりで、まるで先に進まないゾ……沼地かなここは?)


 抱きしめ合って震える二人に、提督は「一番いいバイクをあげよう」と思った。

 そして後で大淀を呼び出さなくてはと思った。叱責ではないが軽い注意が必要である。

 「おまえ鬼畜メガネとか言われてたぞ」と。

 流石に大淀もこれには地味に傷つくことになるだろう。でも言わねばならなかった。なぜなら彼は司令官だからだ。

 なお夕張は後日だ。流石にあれだけのレースをした当日に呼び出しとかあまりにも空気が読めてない。

376 ◆gBmENbmfgY:2018/11/04(日) 00:50:29 ID:Rn/P4k1U

※やあ、よい子のロードバイク乗り諸君、また会ったね!

 明日(今日)はさいたまクリテリウムのお時間だよ!

 艦これプレイでダンケもいいけど、近場に住む人や見に行く人は、仲良くレースで応援しよう!

 具体的にはアレアレ、ベンガベンガ、ヴァイヴァイしよう!

377以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/04(日) 09:59:40 ID:qVtFg87o
>>1 乙、待ってた

378 ◆gBmENbmfgY:2018/12/16(日) 23:28:12 ID:3CmeTyrk
※スマン、zwiftに嵌り過ぎてた。近いうち復帰します

379以下、名無しが深夜にお送りします:2018/12/17(月) 12:59:23 ID:5mvsjj1k
zwiftなら文句も言えない……のかなぁ?


待ってます。

380以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/20(水) 00:51:41 ID:zA9x0Jn.
向こうには復帰してたからそのうち戻るはず

381以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/20(水) 01:05:10 ID:lRk3.Imo
向こうってのを教えてくれ死ぬ程更新を待ってる

382以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/20(水) 06:05:29 ID:E8O.u7nI
速報Rだよ 今ならさほど苦労せずに見つかるよ

とだけ言っておく

383以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 11:13:56 ID:YYiMyUNw
初書き込みなのでマナーなってなかったらすいません。

昨日車で一時間かけてバイクショップに行き、初めてクロスバイクとロードバイクに乗ってきました。
(島風ちゃんの乗ってるスペシャライズドの直営店?みたいなお店でターマック?というのに乗りました)
乗ったのは10分少々でしたが、速さ、ギアのパチンとはまる感じ、とても気持ちよかったです。
このSSを読んで自転車に興味をもち、実際に体験してみてもっと興味が沸きました!

投稿者の方、レスで興味深い記載をしてくださる読者の皆様、ありがとうございました!

384以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 12:01:02 ID:ngdqWRsQ
>>383
実際に自分のロードバイクを手に入れてみるとびっくりするほど楽しいぞ。


と、このスレの影響でロード沼にはまった先達として助言しておくわ。

385以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/23(火) 20:14:24 ID:oOeuaM5o
先日、シーパラまで20kmくらいなのでお散歩がてら走ってきた。
開園から閉園近くまでがっつり遊んだら筋肉痛になったw自転車での筋肉痛じゃないよな…

386以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/04(土) 23:05:20 ID:D.Xey2Lc
ロードバイクって車道走るの?
車に轢かれたりしないんか?圧倒的に車とスピード違うけど
ママチャリで歩道しか走ったことの無い俺には想像も出来ん世界だ

387以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/05(日) 04:20:16 ID:g5L9KCro
>>386
車道じゃないと速度出せないし逆に危ない
でもバイクや車には勝てないから、上手く譲ったり避けて走るよ
疲れるけど楽しい+トレーニングにもなる+移動費浮かせるetcと良いことは多い
ミラーもハンドルの端につけられるから、後方確認もミラー→直視と安全面に気を使えるぜ

388以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/05(日) 06:37:22 ID:mikBEF2g
車運転する側としてはこの上なく邪魔なんだけどな!

389以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/05(日) 12:20:39 ID:g5L9KCro
>>388
俺も車運転するから分かるよ。だからそこは側溝脇まで避けてどんどん譲るよ

390以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/05(日) 16:23:31 ID:NXmTzZR2
普段は譲るけど、冬に豪雪地帯でムチャやってた時は避ける場所が無いのと半端に避けると逆に引っ掛けられて死にそうになったから左轍を占拠してたなぁ
もろちん、大名行列になったタイミングで適宜脇道とかに逃げて、後続車両のヘイトを稼ぎ過ぎないように工夫してたけど

ついでに、そんなムチャやった経験ではアイスバーンに強いタイヤは、実はロード用の細いやつ

391以下、名無しが深夜にお送りします:2019/08/15(木) 21:25:11 ID:S9mlLr3g
台風で乗れぬ・・・

392以下、名無しが深夜にお送りします:2019/08/24(土) 09:22:01 ID:bbqRUO1I
今更ながら影響受けてクロスバイク買ってみたわ

ママチャリとは違いすぎて初めて乗ったときに笑ったわ

393以下、名無しが深夜にお送りします:2019/11/22(金) 15:20:41 ID:fyQmjrWA
もうこないのかねぇ

394 ◆gBmENbmfgY:2019/11/28(木) 23:36:37 ID:FmezigXg
※お久しぶりです

 流石に間が開きすぎたので土日にでも投下させていただきます

 内容が分からない人のためにあらすじ

395 ◆gBmENbmfgY:2019/11/28(木) 23:38:43 ID:FmezigXg

【大体合ってる1話目のあらすじ】

長良「いい物に乗っているではないか」

提督「おお長良、乗りたいのか? じゃあお前の奴を」

長良「司令官が乗っているそれがあるではないか……寄越せ」

提督「え? い、いや、サイズが大分違うし、これは俺のだし思い出もこれから……」

長良「――関係ない。それを寄越せ」

提督「」

396 ◆gBmENbmfgY:2019/11/28(木) 23:50:24 ID:FmezigXg
【大体合ってる2話のあらすじ】
 大淀が自転車に興味を持った。ただしそれがルック車(LOOKのことではない)だったことを知り提督がプッツン。共に自転車ショップまで二人連れだって自転車を走らせることになったのだ。

大淀「提督と自転車デート♪ 自転車デート♥」

青葉「デートと申したか」

大淀「!?」

長良「公道を走るとな? この長良に先んじて……」

大淀「わ、私はそのようなことは……」

 口は禍の元。大淀のどでかいつぶやきを聞いていたパパラッチと軽巡界覇者がお目見え。 共に河川敷を走った先には、見たかったものが見えた。戦い、戦い、戦い抜いて得た平和があった。人がいた。思い思いに励んでいる。遊んでいる――笑っている。

 このために戦ってきたことを実感した彼女たちは、

青葉「青葉、また司令官に、泣かされちゃった……」

大淀「私は、私は、このために戦ってきたんだって。これを知った以上、私はどこまでも強くなれるんだって、そう思いました」

長良「これからは私たちも、生きる場所……心が滾る。自由になっていく。なんてすばらしい心地なんだろう」

 感涙にむせびながら、彼女たちはいつまでも河川敷の光景を見つめていた。そして後日――。

397 ◆gBmENbmfgY:2019/11/28(木) 23:53:24 ID:FmezigXg

提督「おまえのDOGMA-F8が届いたぞ。流石のイタリア謹製、コンポは全て電動デュラ。ホイールもフルクラム! 直線じゃあちょっと他に負けない強さのあるいいフレームだぞ」

長良「一番気に入っているのは」

提督「なんだ?」

長良「(司令官との)お揃いだ」

提督(きゅん)

 泣いて帰って来たのは罪だから罰として、司令官は五十鈴やら衣笠やら明石やらにボコボコにされた。

398 ◆gBmENbmfgY:2019/11/28(木) 23:57:21 ID:FmezigXg
【大体合ってる3話あらすじ】

 五十鈴以下、長良型の姉妹たちは激昂した。必ずやかの容姿端麗にして才気煥発な提督におねだりせねばならなかった。
 五十鈴らにはロードバイクはわからぬ。だがそのロードバイクに長良だけが夢中になっているのは我慢ならなかった。
 「くれ」という申し出に対し、提督は即座に「いいよ!」と返す。
 好みのロードバイクが全てが純正イタリアンブランドだったりしたが、スムーズに受け渡しは終了。

 鬼怒が誰の股下が一番長いかなんてことを言いだすまでの話であった。平穏なんてものはすぐに崩れてなくなる、悲しいものなの。

399 ◆gBmENbmfgY:2019/11/29(金) 00:02:01 ID:FWsp9qxM
【大体合ってる4話のあらすじ】
 島風が挑んだ。生身で。
 夕張が受けた。ロードバイクで。
 提督の介入により、勝負の途中で島風がロードバイクを得た。
 夕張は滾っていた。これまでの悔しさ、劣等感を吹き飛ばすほどの島風の一言が、夕張を熱く燃え上がらせた。

 ――夕張は、速いね。

 どれだけ嬉しかったのだろう。
 絶対に認められるはずがないとあきらめていた人からの称賛は、夕張にとってはいかなる勲章にも勝る栄誉であった。
 そして島風もまた滾る。
 自分よりも前を走る存在がいる。本気で頑張っても追いつけないかもしれない、そんな存在は初めてだった。
 レースが始まる。
 初めてのレース。
 そして、これからも続く二人にとっては、まだ一回目のレースに過ぎなかった。

400 ◆gBmENbmfgY:2019/11/29(金) 00:05:23 ID:FWsp9qxM
【大体合ってる5話のあらすじ】
 雪風は初心者である。されどそのヒルクライム技術は初心者にして初心者を逸脱した恐るべきクライマーであった。
 島風と共に初体験となる山岳――ヒルクライムに挑むも、その脚質の違いを見せつけるようにするすると坂道を駆けあがっていく。
 そして雪風の一言が、提督の魂に火を点けた。

 上がるケイデンス、上昇し続ける体温と心音のビート。
 勝利の女神が山頂で微笑むのは、果たしてどちらか。

401 ◆gBmENbmfgY:2019/11/29(金) 00:06:15 ID:FWsp9qxM
※こんなところじゃね。明日明後日をお楽しみに

402以下、名無しが深夜にお送りします:2019/11/29(金) 01:19:41 ID:wYO5CWM.
待ってた
ずっと待ってた
お帰りなさい

403以下、名無しが深夜にお送りします:2019/11/29(金) 09:59:26 ID:RwEv3oU2
舞ってた

404以下、名無しが深夜にお送りします:2019/11/29(金) 11:41:49 ID:gLZSYS/6
まってたよ。潜水艦娘が提督選定のジャージ(ツルツルして空力的)を身に纏って輪になって「ワオーン」ってウルフパックごっこするのはまだですか?

405以下、名無しが深夜にお送りします:2019/11/29(金) 12:48:00 ID:Qh6iEEwE
待ってたよ

406 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 21:53:09 ID:hgJRyAx.

>>376の続き

提督(大淀も俺の知らんところでやらかしがあるんだな……普段はきっちり仕事を定時内に片づけ、他の艦娘達の規範となるべく振る舞っているデキる子の大淀が。

   …………かはは、なんだよ、そんなカワイイ一面もあるのかあいつ)


 何故か提督の好感度を上げる鬼畜メガネ。


提督(まあそれはそれとしてやってることはイカレなので、夕張ともどもきっちり叱るか)


 なお個人的な好悪は別として、司令官としての人格は明確に二人への罰則が必要だと訴えているので、きっちり締めるところは締める。

 それは古参の艦娘ならば、誰もが知っていることだった。


イムヤ(…………)


 もちろんそれは、イムヤも。

 また聞こえ出した。嫌な『音』が聞こえた。いつもの『音』だ。鉛色の音は、喪失の音。

 はじまりの音で、おわりの音。

407 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 21:54:45 ID:hgJRyAx.

提督「――まあ、そういうことで、だ」


 雑な話題転換の言葉を枕に、提督はぱんと手を打ち鳴らした。


提督「基本は押さえられただろう。コンポの違い、フレームとコンポのチョイス、クロモリという選択。フレームについてはそれこそ星の数ほどあるからな。明石のところで予約して他の試乗車に乗りながら決めてもいい」


 はーいと元気よく返事をする潜水艦の同僚たちの声。提督が会話の締めに入る気配を感じ、イムヤはびくりと肩を震わせた。

 このまま、提督を帰らせてしまってもいいのだろうかと思う。

 胸の内の不安を、彼に打ち明かすべきではないかと思う一方で、このまま杞憂と決め込んで抱えてしまった方がいいと思う自分がいた。


提督「さて、そろそろ俺はお暇するよ」


 ――どうすればいい。言うべきか、言わざるべきか。

 そんな葛藤が心を締め付けた時だった。


提督「――イムヤ」

408 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 21:56:02 ID:hgJRyAx.

 声が、意識に差し込まれる。


提督「少し、外を歩かないか? 見送ってくれ」


 イムヤの返答を待たず、提督は椅子を立った。有無を言わせぬ決定事項は、僅かに命令の『色』を帯びているのを察したイムヤは、粛々と頷き、同じように立ち上がる。


ろー「はいはいはい! それ、ろーちゃんも行きたいって――ごふっ」


 ぴょんぴょん跳ねながら立候補する無邪気な少女の首筋に容赦なく手刀を打ち下ろす軽空母がいた。


龍鳳「当て身」


 龍鳳だ。その胸部装甲は甘やかな顔立ちに似合わぬほど豊満であった。

 ぴくぴくと死にかけたGのように地べたを這うろーちゃんを一瞥すらせず、龍鳳はにこりと笑い。


龍鳳「では提督。ご一緒したいところではありますが、少しばかり個人的な要件がありますので、ここで失礼させていただきます」

提督「ん。あんまり遅くならないようにな。おやすみ、龍鳳。おやすみ、みんな」

409 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 21:57:16 ID:hgJRyAx.

 ひらひらと手を振って、イムヤと連れ立って潜水艦寮のリビングを出ていく提督に、各々がお休みの言葉を返す。ろーちゃん以外は。

 ばたん、とドアが閉められたところで、ろーちゃんは怨嗟の声を上げた。


ろー「な、なして……? なして今、ろーちゃんは龍鳳さんにぶたれたんですって……? でっち……おしえて?」

ゴーヤ「空気を読めてねーんでち。そしてまだ喋る余裕があるおめーのフザケた口がホザいた言葉によって、ゴーヤもおめーを殴らねばならなくなったでち。ゴーヤの拳が光って唸る」

ろー「お慈悲!」


 いつもの二人がいつもの様子でじゃれ合う中で、龍鳳や他の潜水艦娘たちは、静かに提督とイムヤが出て行ったドアを見る。


龍鳳「はっちゃん」

はち「はい、龍鳳さん」


 わずかに緊張した面持ちで、はちが龍鳳に向き直って敬礼する。


龍鳳「――もう、大丈夫でしょうか?」

はち「はい。この部屋はプライベートルームを除けば、比較的防音が効いている部屋です」

410 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 21:58:35 ID:hgJRyAx.

 そう前置きした後、龍鳳は深くため息をついた。


龍鳳「あの子の心配性や、自分に信を置けないところは……結局治らず仕舞いでしたか」

はち「……面目ありません。繊細なあの子を支えていかなきゃならなかったのは、私たちだったのに」

ニム「? ???」


 二人のやりとりに疑問符を浮かべるのは、この中では最も新参であるニムだった。空気を読んで黙っていたし、イムヤが何か思い悩んでいることは察していた。

 だがその真意は、未だに分かっていなかった。

 そんな様子を察したのだろう、龍鳳は柔らかく笑って、ニムへと伝えた。


龍鳳「ニムちゃんは知ってるかしら。あの子は――イムヤはね、先読みがすごいんですよ」

ニム「は、はい。それはもちろんあたしも知ってます」


 終戦も間際ではあった。だがニムは何度も出撃を経験している。その際に、何度も何度も先輩にあたる彼女たちの強さに驚かされた。

 特にイムヤの――敵の居場所を察知するあの能力には、瞠目に加え、畏敬すら覚えたほどだった。

411 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 21:59:29 ID:hgJRyAx.

龍鳳「そう。それじゃあこれは知っていましたか。あの子の耳が、とても良いことと――」


 言葉を区切り、居住まいを正す龍鳳の様子に、ニムもまた表情を引き締めて頷く。

 これはきっと、真面目に聞かねばならない話だと、彼女は察した。


龍鳳「――あの子は、元々はこの鎮守府の艦娘じゃあないんです」


 龍鳳の口から語られるのは、悲劇の物語だ。

 それは、とてもとても『嫌な音』の話。



……
………

412 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:00:04 ID:hgJRyAx.

………
……



提督「――昼間は少し暑いくらいだったのに、やっぱり夜はそれなりに冷えるな」

イムヤ「……はい」


 呟く声は遠いようで近く、中天の星をわずかに揺さぶらせた。

 夜の鎮守府は明るい。広大な面積を誇る鎮守府道路は、設置されているライトで足元がはっきりわかるほど照らされていた。

 それでもイムヤにとっては、まるで大雑把に煤を散らした画用紙の上みたいに感じられた。

 先行する提督の歩みはゆっくりだ。それに合わせてイムヤはその三歩後ろから、同じようにゆっくりと進む。

 それきり、提督は何も言わなくなった。沈黙が両者の間を包む。

 だけど、イムヤにとってそれは不快なものではなかった。気まずくなる要素など何もなかった。

 だって、『音』が聞こえるからだ。その『音』が知らせてくれる。司令官は別に怒っているわけでも、動揺しているわけでもないと。

 ただ、待ってくれている。

 そう、信じられている。

413 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:00:50 ID:hgJRyAx.

イムヤ「ねえ、司令官」

提督「なんだ」


 だから口を開いた。口火を切るとはよく言ったものだと、イムヤは思う。


イムヤ「覚えてる? 潜水艦隊……最初は、私とゴーヤだけだったよね」

提督「ああ、覚えてるとも。すぐに龍鳳が――大鯨が来た。ゴーヤのやんちゃっぷりに最初はあわあわしてたっけな」

イムヤ「うん、そう。そうだった」


 もう三年近く前になる。初夏を迎える直前の晩春の頃、イムヤはこの鎮守府に着任した。

 泳ぐには冷たい夜の海の底で、震えていた自分を救い上げてくれた人。


イムヤ「司令官、約束したこと、覚えてる?」


 イムヤは思い出す。嫌な『音』を、思い出す。


イムヤ「もう叶えてくれた約束よ」

414 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:02:02 ID:hgJRyAx.

 嫌な『音』は、いつだって聞こえていた。今ではもう、あまり大きくないけれど。

 それでも聞こえている。戦争が終わったあの日に、聞こえなくなったと思っていたのに。


イムヤ「司令官、イムヤはもう、ひとりぼっちじゃないわ」


 提督は立ち止った。背後のイムヤの足音が聞こえなくなったからだ。

 振り返った先で、イムヤは俯いていた。


イムヤ「司令官が、いっぱい仲間を連れてきてくれた。だから……」


 ゆっくりと見上げた、その顔は。


イムヤ「イムヤはもう、さびしくないわ」


 とても悲しげで、寂しそうだった。そんな顔で、イムヤは孤独じゃないと呟いた。


イムヤ「司令官、いっぱいイムヤとの約束をかなえてくれたよね。私、本当に嬉しかったのよ」

415 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:02:36 ID:hgJRyAx.

 大きな瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれた。


イムヤ「でもね、司令官。私、きっと弱くなっちゃった」


 先ほど提督は、春先の夜は冷えると言った。その寒さに凍えるほどのものはない。

 それでもイムヤは、己の身体を掻き抱いた。震える体を温めるように。


イムヤ「こわいの、こわいのよ」


 思い出すのは、戦争が終わった日の事。


イムヤ「あれだけ頑張ったのに、みんなが、みんなで、一生懸命がんばって、戦争が終わった。終わったの。やっと平和になったのに」


 あの時、イムヤが感じたのは、恐怖だった。漠然とした恐怖だった。今はそれが、明確な形を持っている。


イムヤ「イムヤ、こわいの。嬉しくないの、ないの、ない、のよ」


 戦争が終わった日に感じた思いの正体を、やっと理解した。そう思った理由までも。

416 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:03:41 ID:hgJRyAx.
http://www.youtube.com/watch?v=8CDMEUU_nTU


イムヤ「だって、戦争が終わっちゃったら、平和になっちゃったら」


 その恐怖の正体が、やっとわかった。


イムヤ「司令官はきっとイムヤのこと、いらなくなっちゃう――」


 自分でもよくわからなかった思いが、するりと言葉に出た。

 発露した思いを自覚した瞬間、イムヤは己の感じていた焦燥と恐怖の正体を理解した。

 イムヤには、何もない。

 何もない自分を救い上げてくれた。

 何もない自分を掬い上げてくれた。

 そんな彼の事が好きだった。好きで好きで、どうしようもないぐらい好きで、だけど自分は彼にふさわしい存在ではないことを、イムヤ自身が認めて諦めていた。 


イムヤ「司令官は、立派だもの。なんだってできる人だもの」

提督「そりゃ買い被り過ぎだ」

417 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:06:21 ID:hgJRyAx.

 そうかもしれない、とイムヤは思った。だけど、こうも思うのだ。


イムヤ「私がいなきゃ、できないってことは、ないでしょう?」


 あの日の事を思い出す。この鎮守府に来るきっかけを思い出す。


イムヤ「司令官に、必要とされなくなっちゃうって思うの。悪い子なのよ」


 あの日も、イムヤは何もできなかった。それでも司令官は来てくれたのだ。イムヤがいなくても、きっとできたのだろう。

 平和を迎えることが、できたのだろう。


イムヤ「だって、イムヤは………『聞こえる』だけだもの」


 ――――イムヤには、最初から聞こえていた。


イムヤ「敵がいっぱいいるところが聞こえるだけだもの。何をしようとしているのかが聞こえる、だけだもの……行こうとするところが分かるから、そこを張ってるだけ」


 ――――イムヤには、最初から聞こえていた。

418 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:07:06 ID:hgJRyAx.

イムヤ「なのに、司令官や友達のことが、わからないんだもの」


 ――――イムヤには、最初から聞こえていた。

 だけど、イムヤには何もできなかった。出来なかったのだ。


 イムヤは、海域で保護された艦娘だ。

 だが、ドロップ艦娘と呼ばれる深海棲艦が艦娘へと『反転』した存在ではない。


 イムヤは、別の鎮守府の艦娘だった。

 もう、今はどこにもない鎮守府の――――所属艦娘だった。



……
………

419 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:07:39 ID:hgJRyAx.
………
……

http://www.youtube.com/watch?v=E5GfV6nVrGA


 ――駄目だよ、そっちに行っちゃ駄目だよ。戻らなきゃ。鎮守府に戻らないと。


 イムヤは仲間たちに、そして自らの鎮守府の長たる司令官に、そう訴えた。


 ――敵が待ち伏せしてるんだよ。そっちに行ったら駄目だよ。いっぱいいるの。私たちの倍はいるの。迂回しなきゃ……『聞こえる』んだもの、そっちには、いっぱい敵がいるの。


 その日のイムヤは、連合艦隊の一員として、ある作戦に参加していた。


 ――だって、聞こえるじゃない。エンジン音が、艦載機のエンジン音が。


 必死に彼女は、自身の司令官にそう訴えた。


 ――声だって聞こえる。どうして、みんなには聞こえないの――!?


 通信が入る。彼女にとっての、当時の司令官の声だ。決して無能な人ではなかった。

420 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:08:50 ID:hgJRyAx.

『………艦隊の誰もが、そんなものは聞こえないと言っている。すまないが、その意見はとても受諾できない』


 此度の作戦は連合艦隊による任務。イムヤの司令官は、多くの鎮守府が合同で参加するその作戦に乗った。責任者は、彼女の司令官ではない。

 どうしようもなく、巡り合わせが悪かったと言えばそれまでだった。

 だがそれはイムヤにとって、死刑宣告にも似た声だった。ただし死刑が宣告されるのは、イムヤではなく――――。


 ――駄目だよ、駄目なのに、なんで、みんな死んじゃう。みんな死んじゃうよぉ……!!


 イムヤを除く、艦隊の仲間達だ。

 同じ艦隊にいたけれど、イムヤは諜報として別行動を取っていた。

 その異常な索敵能力を、イムヤはうまく説明できなかった。説明できていたとしても、理解してくれたかもわからない。それほどまでに信じがたい話だった。

 それでも、イムヤには聞こえていた――深海棲艦たちが待ち伏せを目論んでいる会話が。

 イムヤにはずっと聞こえていた。そしてもう一方で、ある鎮守府を襲撃しようとする二面作戦の内容が。

 最初からすべて――――イムヤには聞こえていたのだ。

 イムヤは決断を迫られた。連合艦隊を護りに行くか、鎮守府に襲撃をかけようとしている別動隊を叩くか。

421 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:11:00 ID:hgJRyAx.

 イムヤは後者を選択した。距離の問題があった。僅かに鎮守府に戻る方が距離が短い。

 命令違反と叱責を受けようと、最悪解体されることになっても、その方がマシだった。

 だが、時間と距離の残酷さが立ちはだかる。

 ――浮上してどれだけ急いで航行しても、鎮守府まで一日半はかかる距離に、イムヤはいた。

 それでも、イムヤは必死に泳いだ。


 一緒にご飯を食べた仲間。

 明日はどんな世界になるだろうと、夢を語り合った友達。


 ――ゴーヤちゃん。ゴーヤちゃんがいる。助けなきゃ、助けなきゃ。


 誰にも聞こえない全ての声と音が、イムヤにだけは聞こえていた。

 世界で自分だけが孤立しているような気分を味わい、そして、一日が経った。

 唐突に、暗い音がする。何かが爆発する音だ。


 ――あ。

422 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:11:58 ID:hgJRyAx.

 次いで音が響いた。何かが壊れていく音だ。


 ――ああ。


 聞こえたのは、鉛の音。

 もうそれしか、聞こえない。


 ――あああああああああああああああああ!!


 あふれる涙をそのままに、イムヤは泳いだ。泳ぎ続けた。ますます音は耳朶を打ち鳴らす。

 助けて、という言葉が聞こえた気がした。そんな気がした。気がしただけだ。イムヤには聞こえない。


『――――助けて、イムヤちゃん。いたいよぅ。いたいのいたいの、とんでかないよぅ』


 そんな悲痛な声が聞こえた……気がした。気がしただけのはずだ。だから、イムヤには聞こえない。

 だって、そんな声が聞こえるはずがないのだ。

423 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:12:37 ID:hgJRyAx.

 ――ああ、そうだ。司令官の言う通りだ。私がおかしいんだ。そんなの、聞こえるわけがない。


 イムヤが必死に危険を訴えた時、イムヤが潜航する海域は、彼女たちが出撃していった海域と――――600km以上も距離が離れていたのだ。

 もうイムヤは、泳ぐのをやめた。

 海の底で耳を塞いだ。必死に耳を塞ぎ続けた。


 そしてイムヤは――本当に、ひとりぼっちになった。


 海の底は、落ち着いた。

 嘘だ。

 何も聞こえない。

 嘘だ。

 自分の心音。

 そちらの方が、小さく聞こえた。

 どんどん苦しくなってきた。

424 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:13:53 ID:hgJRyAx.

 イムヤの存在に気付いた深海棲艦が、絶望する彼女を取り囲んで嘲笑する。

 もう、このまま死んでしまってもいいと思った。

 そんな折だった――今の鎮守府の司令官が――彼が、艦隊を率いて駆けつけてくれたのは。


 ――――あ。


 イムヤの瞳に、光が灯った。

 だってその人の心音が、とてもとても綺麗だったから。

 自信にあふれた音だ。生きている音だ。

 義憤に高鳴る鼓動は、猛々しいマジェンタの色。

 冷徹に凍てつく鼓動は、透明感のあるシアンの色。

 慈愛に溢れた鼓動は、お日様のようなイェロウの色。

 三原色の色合いが、奇跡のようなバランスで配置されていた。素晴らしい色を持つ音だった。

 
 だから、もう一度だけ、もう一度だけ縋ってみようと思った。

425 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:16:05 ID:hgJRyAx.

 ―――――初めてその心音を聞いたその時から、イムヤは提督に恋をした。


 海の中にいると、嫌な音が聞こえる。

 どうしようもなく、耳にこびりついて離れない。

 今も聞こえる。

 どうしようもなく聞こえる。

 どうすればいいのか、わからない。

 気付けばイムヤは、自分の心音が鉛色に聞こえるようになっていた。

 だけど司令官の音は、何一つ変わらない。

 変わらないまま、大きくなった。背丈も、そのスケールも、地位も、何もかも――――心音さえも。

 それを、あらためて実感できた。


提督「イムヤ」


 過去に沈んだ意識が、その声で引き揚げられた。

426 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:19:59 ID:hgJRyAx.

 察しの良い人だと、イムヤは知っている。

 イムヤが何を考えているのかも、察してくれたのだろう。


提督「イムヤがいなくなっちまったら、誰が俺を守ってくれるんだ?」


 提督の心音は変わらない。

 激情のマジェンタ。

 冷徹のシアン。

 慈愛のイェロウ。

 その配置は、イェロウの割合が強くなっていた。だから、イムヤは笑った。優しい人だから、笑えた。


イムヤ「あは、嬉しいなぁ……でも、イムヤがいなくなっても、いっぱいいるじゃない。司令官を護ってくれる子、いっぱいいるよ。イムヤよりずっと強くて、可愛くて、綺麗で……」

提督「イムヤ」


 色合いが、濃くなった――最初はそう思った。

 だけど違った。単純に、音が大きくなった。

427 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:22:53 ID:hgJRyAx.

提督「俺の『ここ』には、もうお前がいる」


 抱き締められていた。イムヤの耳に、司令官の胸が密着していた。


提督「イムヤがいなくなってしまう寂しさは、いったい誰が埋めてくれるんだ?」


 わずかに音が高鳴った。どうしてか、その色合いに鉛の色が混ざり出す。

 聞いたことのない音だった。


提督「俺が望む幸せの形の中には、もうイムヤがいるんだ」


 マジェンタの色は、怒りの色。ひときわに濃くなった。


提督「誰かがいなくなると、心にはその人の形と大きさの穴が開く。どんなに優しい人でも、どんなにきれいな人でも、その形にぴったりと嵌る人はいない」


 シアンの色は、悲しみの色。染みのように広がっていく。


提督「俺が嘘を言っているか?」

428 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:26:13 ID:hgJRyAx.

 イェロウの色は、優しさの色。その色で、司令官の音が溢れた。


提督「居なくなってしまった悲しさは、完全には埋まらない。時間が立てば、その人を形作っていた空白を色んなものが埋めてくれる。

   友達、仲間、兄弟、恋人――――それでも、隙間が残る。その人の形を取れるのは、その人だけだ。その人が居てくれなきゃだめなんだよ、イムヤ」


 その色に、どうしてか鉛の色が縁取る。

 ――ああ、そうか。この色は。この音は。


提督「前にも教えただろ、イムヤ。痛いなら、苦しいなら、声を出さなきゃだめだって。息をしなきゃだめだって」


 ――私の音だ。私の色だ。その色が、司令官の中で混ざって、ひとつになっている。


提督「お前ほど耳は良くないけれど」


 イムヤの身体を、太い男の腕がきつく抱きしめる。


提督「俺は痛いと声を上げてくれるなら、助けて欲しいという声が聞こえたなら、いつだって助けにやってくる」

429 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:30:57 ID:hgJRyAx.

イムヤ「ほ、んと、に?」

提督「もちろんだ」


 心が跳ねた。イムヤの心音がだ。

 ばくんばくんと、かつてない音で響く。

 その色合いが、鉛の色ではなくなっていくのを、イムヤは確かに感じた。


提督「お前が与えてくれるなら、痛みでも、悲しみでも、喜んでそれを受け入れよう」


 その色はどんどん提督の色と混ざっていく。


提督「俺だって痛いのは嫌だ。でも、イムヤが一人で痛いのは、それ以上に嫌だ。イムヤが喜びを与えてくれるなら、そっちのほうが嬉しいよ。

   でも、痛みを俺にくれるってことは――――それは信頼があるからこそだ」


 提督の色もまた変わっていく。


提督「イムヤがいない人生を考えるとな、もう辛い。信じられないぐらい辛いよ。そういうことは抱え込まずすぐに言えっての」

430 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:36:58 ID:hgJRyAx.

提督「イムヤがいなくなる? あーやだやだ、俺はとても寂しい。寂しくて死ぬ。そんなのは嫌だ。俺は嫌なのは嫌だ。だって、嫌なものは嫌じゃあないか」

イムヤ「なに、それ……ふふ」


 イムヤは笑った。嬉しかったからだ。彼としての彼も、司令官としての彼も。変わらず、イムヤを大切に思ってくれている。それが『色』で理解できた。


提督「イムヤのことがいらなくなるわけないだろう――俺がジジィになっても、例えイムヤが耳の遠いバァさんになったってだ。イムヤは俺の傍にずっといるんだ」

イムヤ「あはは、あははは、やめて司令官、やめて、あははは」


 泣きながら笑った。

 聞こえる音に、もう鉛色はなくなっていた。

 その代わりに、幸せの色が聞こえた。


 幸せの色は、とても淡くてきれいな――――桜の色をしていた。




……
………

431 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:47:20 ID:hgJRyAx.

………
……

https://www.youtube.com/watch?v=7VzzpzGleHI

龍鳳「――ということがあったんです」


 ――未来の鎮守府でも、その話は語り継がれていた。


イヨ「……ちょ、自分、涙いいすか」

ヒトミ「びぇええ、びぇええええ」

ごー「イムヤしゃん……」

しおん「……その、ゴーヤさんは」

ゴーヤ「ん? 呼んだでち?」

しおん「い、いえ。その……イムヤさんが元々着任していた鎮守府のゴーヤさんは……」


 その時のゴーヤは、今はもう―――。

432 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:50:40 ID:hgJRyAx.

ゴーヤ「え? だから呼んだでち?」


 提督が救い出し、もうこの鎮守府に馴染んでいる。


イヨ「えっ」

ヒトミ「えっ」

ごー「えっ」

しおん「えっ」

ニム(うっわー、すごいデジャヴが。デジャヴ)


 なおニムが説明された時もべえべえ泣いて、ゴーヤが生きてると知ったときにはゴーヤに抱き着いて更にべえべえ泣いていたのは内緒である。


龍鳳「――まあ、そういう話ですよ。つまりイムヤちゃんに内緒話はできないって事です」

イヨ「う、うん……? そんな雑な締め方でいいのかな?」

ヒトミ「だ、だけど、イムヤさん……今はとても楽しそうだし、それでいいんじゃない、かな……?」

ごー「ヒトにレキシありってこういうことを言うのね」

433 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 22:55:57 ID:hgJRyAx.

しおん(何かが違う気がします)


 それを口に出さないだけの優しさがしおんにはあった。


ゴーヤ「んなことより、さっさと昼練いくでち! オラッ、つまんねえ昔ばなしは終わりです!」

龍鳳(つまらない?)


 ゴーヤの檄が飛び、ひええと新人潜水艦達が悲鳴を上げる中、龍鳳は密かにゴーヤへの教育値を高めた。


イク「イクのー!! もう道路でイムヤちゃん待ってるの!」

はち「今月末の駆逐艦・潜水艦・海防艦クラスのレース、私たちがいただきです! 追い込んでいきますよ!」

ろー「ですって! げきあつですって!」

まるゆ「まるゆとしおいちゃんは今回は応援ですが、練習にはまるっとおつきあいです!」

しおい「うん! いっぱい応援するからね! 目指すは優勝だよ、優勝!!」


 夏が来る。一年前とは違う夏が来る。

434 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 23:01:24 ID:hgJRyAx.

 駆け出した潜水艦娘たちが向かう先には、オリョクルズのリーダーがいる。

 鉄の絆はそのままに。

 鉛の色は遠く消え。

 銀輪がアスファルトを切り裂く音が近く響く。

 春の温かな空気が、既に灼熱のそれに変わっていても。



イムヤ「さあ、今日も気合入れていこう!!」



 今日もイムヤの世界は、優しい桜の色で包まれている。


【4.5 鉄血のオリョクルズ】

【大成功!】



【続く!!】

435 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 23:02:27 ID:hgJRyAx.
https://www.youtube.com/watch?v=PiQpGzYMVos
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海大VI型 潜水艦:伊168改
【脚質】:パンチャー
 ――――奪え。

 鎮守府内で提督の七色ボイスを見破る、もとい聞き破ることのできる艦娘の一人。聴覚のギフトを持つ。
 『ほぼすべての海上艦の天敵』とまで呼ばれている『鉄血のオリョクルズ』リーダーにして、駆逐艦を含む最強のパンチャー。というか対潜能力を持たない深海棲艦にとっては悪夢以外の何物でもない。
 陸上型は魚雷無効? 残念、しおいの晴嵐さんと、はっちゃんのアハトアハト(レギュレーション違反)がある。もうやだこいつら。なお例の瑞雲狂いにとってはさほどの脅威でもないとか。日向マジ日向。
 当鎮守府最強の艦娘たる武蔵でも艦隊内演習で相手艦隊にイムヤがいると聞くと仮病を使ってまで出たくないと言い張る。五十鈴が相手艦隊にいると今度はイムヤが嫌そうな顔をする。
 色聴の共感覚を持っている。紛れもないギフトであるが、それを抜きにしても異常なまでに広い探知能力を持つ。それに磨きをかけて反響定位(エコロケーション)を物にしているのであった。
 その聴力は日常生活においても常人の数倍にも及び、艤装補助を受けて海の中に潜れば数百倍にも及ぶ。
 海中においては千キロ先の敵すら補足する。鯨か何か? 師は大鯨ですがなにか? 妙な説得力を付けるのはよしなされ。
 ロードバイク鎮守府で最も信用度の高い艦娘ソナーであり、敵艦隊の配置を丸裸にする。『音海の狩人(スナイパー)』とは良く言ったもの。なおその能力はS級秘匿事項であり、提督以外だと龍鳳およびオリョクルズメンバー、そして大淀を始めとする司令部メンバーや極一部の艦隊旗艦にしか知らされていない。
 駆逐艦で知ってるのは霞・初霜、それと卯月ぐらいである。最後の卯月っていうのが大問題であった。
 ロードレースにおいてもエコロケーションを活用。というか常時展開。路面状況の把握に、敵チームの心拍の乱れやギアチェンジの音でアタックタイミングを容易に察する。ヒソヒソ内緒話も聞こえちゃう。
 ヘタな駆け引きするだけ無駄。前提としてイムヤに勝る地力がないと勝負にもならない――――のだが。

卯月「…………」

 悪魔の頭脳の持ち主は、それを利用してくる。嘘ついてる時に心拍が変わらない奴がいるとは夢にも思わぬイムヤちゃん。
 提督に一目惚れ勢。正しくは一聴き惚れ勢。
 初めて提督の心音を聞いたときから好きだったというお話。この話を出すと茹蛸のようになって悶えるのであまり弄るとオリョクルズが怒る。弄っていいのは私たちだけだとばかりに。
 イムヤ曰く『透明感のあるコバルトブルーの内側でマジェンタが炎のように揺らめくように聞こえる』らしく『聞いていると安心する一方でとてもどきどきする』とか。成程、わからん。極めて特殊な才能を要する感覚の領域だ。

 閑話休題。その聴覚を活かした敵のアタックタイミングの察知に長ける。というか心音や呼吸音からフェイントかそうでないかまで100%バレる。敵への挑発なども心音からファンブル判定可能。ガチート。
 レースにおいても司令塔であり、潜水艦のみに伝わるハンドサインで言葉を介さず意思疎通可能。OK、オリョクル!

436以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/01(日) 23:03:35 ID:ZB/ohLIg

イムヤ嫁提督だからイムヤメインの話が読めて嬉しかった!
向こうのスレの方も期待してるね!

437 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 23:07:45 ID:hgJRyAx.
 そして敵チームの心音や呼吸音が聞こえるということは、完全に相手の疲労度を測ることができるということ。そしてイムヤはパンチャーだ。もうお察しであった。
 アップダウンコースにおけるイムヤの逃げ成功率は、100%である。逃げる時は成功が確約されている時。
 別の見方をすると、そこまでにアタック潰しの名手(特に大井)を潰しておかなければならないムリゲーめいた難易度を達成しなければならないのだが、それは別のオリョクルズに適任がいる。アタック潰しを潰すスペシャリストだ。

【使用バイク】:CUBE LITENING C:68 SL(Team Wanty)
 イムヤのバイクはドイツの新興ブランド・キューブ、そのフラッグシップのライトニング・C68よ!
 え、知らない? んー、まあそれならそれでいいけれど。
 日本じゃあ知名度のないバイクかもしれないけれど、あのツール・ド・フランスにもレース機材を供給したメーカーなんだからね!
 これで私は一番になるの! そ、そして、表彰台で、その、司令官に、えっと……だ、だめ! 言えないわ!

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438 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 23:08:56 ID:hgJRyAx.

【夜空を焦がす】


雷「ライトニングと聞いて飛んできたわ!」

電「あの稲光、なのです!」

提督「雷、電。ライトニングと言っても綴りはLightning(稲光)の方じゃなくて、Litening(照準ポッド)の方だ」

雷「あ、あら、先走っちゃった?」

電「な、なのです……だけど、来てよかったのです! イムヤさんのロードバイク、とても素敵なのです! 可愛いのです!」

イムヤ「海のスナイパー、イムヤにぴったりでしょ?」

雷「でも68だと、1が足りないわね」

電「妖怪1足りないの仕業なのです」

提督「あの野郎絶対許さねえ……!!」


 なおこの妖怪はこの鎮守府においても頻繁に出没するが、「うるせえ沈め」とばかりにルール違反のもう一発でゴリ押しする艦娘ばかりである。

 提督的に許せないのは「てめえらみたいな海の塵屑が無駄に生き汚い足掻きしたせいで弾薬一発分を余計に消費したぞ……!!」っていう慈悲なき怒りだ。

439 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 23:09:55 ID:hgJRyAx.

イムヤ「ふふ、そうよ。1はね、足りないの――――今はね」

ろー「??? どういう意味ですって?」

提督「このバイクで、レースで『1』番になったら?」

ろー「え? ……! おおー!? かしこい!!!」

イク「い、いくぅ……」

ニム「に、にむぅ……」

提督「ろーもかちこいぞ(ちゃんと察してくれる当たりが他の残念な子と比して特に)」

イムヤ「そ、それと、こ、恋の、結果でも、その、うん……」

雷(綺麗な顔してる)

電(こっちまでドキドキしてくるのです)


 イムヤは純粋に提督のお嫁さんになりたい。子供は五人ぐらい欲しい。

 そこまでは提督も知っている。というか初対面の時に知ってた。だが提督すら知らないことがあった。

440 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 23:11:19 ID:hgJRyAx.

イムヤ「司令官とくっつくと、なんだかドキドキするの。なんでかな……凄く気恥ずかしい気分になって、だけどもっとくっついていたいって気持ちになってさ……ちゅ、ちゅーとかしたくなっちゃったりして」

はち(ふむふむ)

イク(きゃっ)

ニム(いやーん)

イムヤ「ちゅ、チューしたら、あ、赤ちゃんできちゃうもんね。我慢我慢」


ゴーヤ・はち・イク・ニム((((それはひょっとしてギャグで言っているのか!?))))


 イムヤは子供の作り方までは――――知らない。スマホの使い方が下手だからだ。これを知った時は流石の提督も絶句であった。

 やはり性教育の導入は急務であると思う一方で、それによっていらぬトラブルが発生しそうな気がしていてならない。


しおい(そういえば赤ちゃんってどうやってできるんだろう?)

まるゆ(キャベツ? レタス? 白菜? でしたっけ? その権化らしいですよ、赤ちゃんって)


 サイバイマンかな? そのままでいて欲しい、しおいとまるゆ。

441 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 23:13:57 ID:hgJRyAx.

イムヤ「愛する人と一緒にキャベツ畑に行ってキスをする、その儀式を行うことで、抑止の輪より天秤の守り手たる黄金のコウノトリさんが荘厳なBGMと共に突如として飛来し、赤ちゃんを運んできてくれるって聞いたわ」


 なおこの説明をしたのは秋雲だ。純粋無垢にして性的な知識のない朧と共に、キラキラした瞳でそんなことを聞かれてしまったのが、折り悪く秋雲だったのである。

 秋雲は頑張った。頑張って言葉を濁したのだ。その背後で待機していた漣と朝霜は同意を示すように神妙に頷きながらも、内心では「笑いてぇよぉおおおwwウォオオンwwww」ってな具合で必死に腹筋を制御していたのだ。


しおい「そうなんだ! なんだか素敵だね!」

まるゆ「なるほどー!」

ゴーヤ(色々混ざってよくわからない異教の儀式と化してるでち)

ろー(ろ、ろーちゃん、流石にそれは知ってるって……保健体育のお勉強、でっちとがんばりましたって……)


 以前提督が入浴中の浴場に突撃したことがあるろーちゃんは、ゴーヤによってきっちり教育されていた。

 かくしてオリョクルズの絆は日々深まっていくのだ。相互理解はチームにおいてとても大切である。つまりはKENZENだ。

442 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 23:16:24 ID:hgJRyAx.

【一方その頃のOCHIDO】

不知火「赤子? フッ……舐めないで貰いたいわ。キスすればできるに決まっているでしょう?」

天津風「あっはっは、不知火姉ったら冗談ばっか………り……―――――ッ!? ッ……!! ッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」


 流石に冗談だろうと思ったが不知火がマジの顔をしていたので全てを察し、物凄く何か言いたげだが、何を言っても姉の顔を潰すことになるので言葉に詰まる天津風。


陽炎「……」


 オロついてる天津風の肩に手を置き、無言で首を左右に振る陽炎。彼女も頑張ったのだ。以前説明したことさえある。だが理解不能になった不知火はそのまま鼻血を噴いて気絶し、目覚めたときには性知識を失っていた。


親潮「」


 同じく察した結果、絶句する親潮。


雪風「さすが不知火おねえちゃんです! はっ!? ど、どうしましょう!? ゆきかじぇ、しょっちゅう幸運の女神のキスをかんじちゃってます!」

不知火「大丈夫よ雪風――――おでこやほっぺたで赤ちゃんはできません。ましてや女の子同士で、赤ちゃんはできないわ」

443 ◆gBmENbmfgY:2019/12/01(日) 23:17:23 ID:hgJRyAx.

雪風「さすがは不知火おねえちゃん! さすしぬ!」

不知火「褒めてくれるのは嬉しいのだけれど、その略し方はやめてくれますか、雪風。『流石に死ぬ』みたいに聞こえるわ」

雪風「さ、さすぬい!」

不知火「『刺して縫う』みたいなマッチポンプというか、長く楽しめるかのようなサイコパスを感じるからそれもちょっと……」

時津風(ま さ に 落 ち 度)

陽炎(どうしよう。一周回って酷く愛しいっていうか、尊いものを感じるわ)

黒潮(自分が酷く穢れた存在に思えてくるからやめーや)


 なんですか? 不知火に落ち度でも?


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