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【艦これ】五十鈴「何それ?」 提督「ロードバイクだ」【2スレ目】

1 ◆9.kFoFDWlA:2017/08/13(日) 21:53:56 ID:XmBArZ8Y

※深海棲艦と仮初の和平を以て平和になった世界観における、とある鎮守府での一コマを描くほのぼの系

 艦娘がロードバイクに乗るだけのお話

 実在のメーカーも出てきます

 基本差別はしません

 メーカーアンチはシカトでよろしく


※以下ご都合主義
・小柄な駆逐艦や他艦種の一部艦娘もフツーに乗ったりする(本来適正サイズがないモデルにも適正サイズがあると捏造)
・大会のレギュレーション(特に自転車重量の下限設定)としては失格のバイクパーツ構成(※軽すぎると大会では出場できなかったりする)
・一部艦娘達が修羅道至高天
・亀更新

上記のことは認めないという方はバック推奨。
また、上記のことはOK、もしくは「規定とかサイズとかなぁにそれぇ」って方は読み進めても大丈夫です


【前スレ】

【艦これ】長良「なんですかそれ?」 提督「ロードバイクだ」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1454251122/

226 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/17(日) 21:32:17 ID:xJWa7uwU

 ホールを抜けた先、延々と続く白い廊下には等間隔で天吊りのシャンデリアが掛かっている。ガラス製のアンティーク調でありながらも主張しすぎない琥珀色を湛えたシックなデザインだ。

 厳かな光を放ち、左右の白い壁に飾られたいくつもの絵画を淡く照らし出す――――秋雲が描いた、世界中の海の絵画だ。

 一つ一つの絵に思い出がある。潜水艦娘の多くは、時折懐かしげにこれを眺め、これから加わる潜水艦達も先任艦娘に話を聞きながら、その海へ思いを馳せる。

 その廊下の先に繋がる扉の向こうには、潜水艦娘達が三食を共にするためのリビングルームがある。

 あるのだ。

 あるのだが――――。


 https://www.youtube.com/watch?v=_pyfH3oj_eg&feature=youtu.be&t=24s 


ゴーヤ「ぴっかぴかに磨き上げるでちぃー!! マ〇ア様でも油断して「ここならいいよね?」って思うぐれーに!!」

ろー「ですって! 見事にひり出させてやりますって!! マ〇ア様の! ×××から! ドス黒い魚雷を! ですって!」

イムヤ「げひィん!!? 本当にひり出させてどーするのよ!? 気概の話よ、気概の!! ちゃんとやんなさい!!」

ゴーヤ・ろー「「オーケイ、オリョクル!!」」b


 地獄の有様であった。マリア様もこの罰当たりどもからは目を背けるであろう。涙目で。気概というよりキ〇ガイの話である。


イムヤ「ホントに分かってんの!? この罰当たりコンビッ……!! そもそもリビング汚しっぱなしなのは二人でしょっ!! きっちり片す!」

227 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/17(日) 21:34:06 ID:xJWa7uwU

ゴーヤ「し、失敬な! ゴーヤはちゃんと片付けてるよ! ろーが散らかしっぱなしなんでち! お菓子も! 使ったお皿も! 普段からすぐ片付けねーからこうなるんです!」

ろー「うう……」

イムヤ「監督責任ってもんがあるでしょうが! ゴーヤもしっかり指導しなさい!」

ゴーヤ「ギギギ、中間管理職はつれーでち……おい、ろー。今回ばかりはゴーヤも手伝ってあげる。これからは一人でもしっかりできるように! みっちり教えてやるでち!」

ろー「が、がんばりますって!!」


 提督の前では無垢で清楚に振る舞っていても、その目がなければこの有様であった。

 大戦では十字を切って祈りつつ、放った魚雷が直撃すればピュウと口笛を鳴らして「Direkter Einschlag!」とか「きたねえ花火でち!」と嘲笑い、沈んでくる残骸に中指を立てて舌を出す二人である。

 ――――深海棲艦は全て肥溜めよりも薄汚い臓物をまき散らしながら沈むべし、慈悲はない。

 どうあがいても オ リ ョ ク ル ズ 。

 原罪はきっと立川あたりでルームシェアしてるジョ〇ー・デップ似のお兄さん二人、その片割れが勝手に背負ってくれるからヘーキヘーキと思っている。


 オーリョクールズ
 閑話休題。


 ――――『第一次ロードバイクショック』と呼ばれる事件当日、ヒトゴーマルマル。

 提督による身の毛もよだつような説得により、ひたひたと寮へと戻った潜水艦たちは、斯様な感じで自寮の浄化作業に精を出していた。

228 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/17(日) 21:50:09 ID:xJWa7uwU

イク「汚物は消毒なの〜〜〜〜〜っ!!」


 きゃっきゃと笑いながらも床をモップ掛けしていくイクの手つきは非常に丁寧だった。


まるゆ「たいちょーが潜水艦寮にお越しになるのは、実に二十一日とんで三時間四十一分ぶりのことです! はりきっていきましょー!」

イムヤ「おっと、忘れてた! アロマを焚かなきゃ! 配合どうしようかな……!? ゼ、ゼラニウムがなくなってる!? 由良さん……は、今いない!?」

しおい「しおいが行ってくるよー! 叢雲ちゃんならきっと持ってるからお願いしてくるね!」


 せわしなく動き回る彼女たちは、西へ東で大奔走――――彼女たちは「綺麗にすること」が得意だった。特にオリョール海とかバシー沖とか。


ニム「ん〜………? 提督なら、もうちょっと薄味の方がいいかな?」

はち「どれ、味見します……うん、そうね。もう少し薄い方がいいかな? 煮込むとこれから味が染みますから、少しブイヨンで伸ばしてみましょう」

ニム「わっかりました! よーし、それじゃあブイヨン投下! このまま煮込んでいくよ! そっちはどう?」

はち「こっちもリンゴがいい感じで煮えてきました。生地は、と……よし。提督がお越しになるの、何時ごろかな? あっ、間宮さんのところでアイスも買ってこなきゃ……」


 一方、別室のキッチンではオリョール、もといお料理組が御馳走を用意している。大きめの鍋でぐつぐつと煮込まれる具材は、後は煮込み続けて仕上げを残すばかり。

 アプフェルシュトルーデル――――ドイツ風のアップルパイのアイスクリーム添えも、後は生地を極薄に伸ばしてリンゴを巻き上げ、焼き上げる段階になっている。

229以下、名無しが深夜にお送りします:2017/12/17(日) 22:36:48 ID:7cI7Cshs
>>1
乙?

230 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/17(日) 23:21:23 ID:xJWa7uwU

 そうして時間は過ぎていき、二時間後――――ヒトナナマルマル。


イムヤ「…………」ツー


 小姑よろしく窓枠に指を添わせ、その指を見つめるイムヤを、緊張した面持ちで眺める面々。


イムヤ「―――――よし」

イク「!」


 めでたく了承が降り、お掃除完了である。埃はおろかチリ一つ落ちていないリビングルーム。

 開放的なホールも、仄かにアロマオイルが薫る空間へと変わっていた。

 歓声を上げる潜水艦たちの声を合図にしたように、リビングの電話機が鳴り響く。


まるゆ「はい! 潜水艦寮のまるゆです! あっ、たいちょー!?」


 提督からの入電に、ぴくりと潜水艦たちの耳が動く。


まるゆ「は、はい……かしこまりました。少々お待ちください……みなさん! 執務室のたいちょーより入電! たいちょーは本日フタマルマルマルに我らが寮にお越しになります!」

231 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/17(日) 23:22:45 ID:xJWa7uwU

イムヤ「今から三時間弱……?」

イク「てーとく、すっごく時間かかってない? ロードバイク組み立て、明石さんが一緒だったんじゃないの?」

まるゆ「諸々の事情がかみ合った結果、明石さんが組み立て作業班から離脱したそうです!」

ニム「えっ!? じゃあ手伝いに行った方がいいかな?」

まるゆ「はい、いいえ! それで、本当はもっとかかるはずだったみたいなんですけど、実は―――――」


 時を同じくして、執務室。 


提督「……うん、このままのペースで行けば余裕で残業回避できるな。ありがとう―――」


 明石らが退室してから数十分後、一人黙々とバラ組みを続けていた提督の素に訪れた艦娘がいる。


提督「――――龍鳳」

龍鳳「いいえ、大したことは」


 淡い笑みを浮かべながら、ロードバイクフレームにケーブルを通す――――明石に請われて執務室を訪れたのは、まさかの龍鳳であった。

232 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/17(日) 23:25:33 ID:xJWa7uwU

まるゆ「代わりに大鯨さ……龍鳳さんが手伝ってくれているそうです!」

イムヤ「龍鳳さんが? へぇー……ロードバイク、組めるんだ! ホントに手先器用だなあ……いいなぁ」

ニム「大鯨……龍鳳さんが……そっかあ、感謝だね! ね、ね、龍鳳もお食事会に招待しようよ! ニムの馬鈴薯カレー、ご馳走したい!」

はち「そうですね。ニムちゃんと私の料理の腕、改めて見てもらいましょうか。いっぱいありますし、祥鳳さんと瑞鳳さんもお誘いしましょう」

イク「それがいいの! 賑やかなのは楽しいの! イクもたまごやき作るの!」

まるゆ「わかりました! まるゆ、たいちょーにお伝えしますね! ………たいちょー、お待たせしました! その、相談なんですが、龍鳳さんに……」


 龍鳳――――かつて大鯨と呼ばれた潜水母艦は、この潜水艦寮の寮母兼、地獄の猟犬たちの首輪であった。

 祥鳳――――かつて剣埼(つるぎざき)と呼ばれた潜水母艦である。直接オリョクルズ達を指導したことこそないものの、龍鳳との繋がりで交流があった。

 瑞鳳――――龍鳳は空母としては瑞鳳型と呼ばれることもあるため、同じくそのつながりで潜水艦とは交流があった。潜水艦達に美味しいたまごやきの作り方を教えたのはもちろん彼女である。


 なお祥鳳と瑞鳳がここに訪れることはない。祥鳳は二日酔いでグロッキー状態、その面倒を瑞鳳が見ているが故に。



……
………

233 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/17(日) 23:29:33 ID:xJWa7uwU

………
……



 そして再び場面は執務室へと戻り、


提督「――――ん、分かった。声かけておくよ………行く? ………ああ、OKだって。一緒にご馳走になるよ。それじゃまたな、まるゆ。皆にもよろしくな」


 電話口で元気いっぱいに返事をするまるゆの明るい声に、口元を優しげに緩めながらスマホの通話ボタンを押下し、


提督「ってわけで、この作業終わらせたら、潜水艦寮に行こうか。あ、その前に風呂か? 俺も結構汚れちゃったし」

龍鳳「す、すいません、私も御呼ばれしちゃって」

提督「俺に言うこっちゃない。あいつらが是非とも龍鳳にも来てほしいってさ。俺からはまた別に、何かお礼させてもらうよ」

龍鳳「え、えっと、それじゃあ、ロードバイクを、その、今度……私にも」

提督「それは勿論だ。バラ組み希望だったら、是非とも俺に組ませてほしい」

龍鳳「ほ、ホントに? やったぁ!」


 両手を掲げて喜びを露わにする龍鳳に、提督もまた微笑む。素直な感情表現のできる龍鳳のそんな一面を、提督は実に好ましく思っていた。

234 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/17(日) 23:37:24 ID:xJWa7uwU

提督「しかし器用だな、君は。手順を一通り教えただけなのに、ここまで綺麗に仕上げるか」


 感心したように提督が、龍鳳の手掛けたロードバイクを一台ずつチェックしていく。

 文句の付け所のない仕上がりであった。フレームに通されたケーブル・ワイヤーは、適切な張りでフロント・リアのディレーラーへと繋がっている。


龍鳳「で、電気溶接の難易度に比べれば、このぐらいは、ホントに……ひ、歪み……歪みが……艦首と、船尾を、切断……こむらがえり的な何かが……!!」

提督「すまん、今のは俺の失言だ。俺が悪かった。思い出さなくていい」


 手先が器用なのは、鎮守府では周知のとおりである。

 おっとりとした性格の中に確かな芯を感じさせる気丈な面を持ち合わせ、潜水母艦としての面倒見の良さから潜水艦たちの信頼厚く、もともと空母予備艦として建造されたこともあるためか、多岐に渡っての平行作業が大得意である。

 かつて潜水艦寮の寮母としては庭師としての手入れに、オリョクルズ達への『躾』、炊事・洗濯・掃除、総務部としては仕入れに書類整理とパーフェクトなマルチプレイヤーである。

 創造性豊かでありながらも、黙々と同じ作業をこなすことも得意という、鎮守府にとって稀有な人材であった。そんな彼女は前世的な意味で歪みにトラウマを持っているのか、きっちりしていないと落ち着かないらしい。


提督「この調子なら今から二時間……19時前後に調整終わらせて、風呂入ってから20時には潜水艦寮に行ける。本当にありがとう、龍鳳」

龍鳳「い、いえ。本当に、私……これぐらいなら、いつだって」


 少しだけ、憂いに揺れた瞳。それを見逃すほど、提督は鈍ってはいなかったし、その憂いが何に起因することなのかも、提督にはおおよそ分かっていた。

235 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/17(日) 23:42:00 ID:xJWa7uwU

提督「………………そうか。じゃあ頼まれついでに、もう一つ頼んでいいか?」

龍鳳「え? あ、は、はい! 私で良ければ!」


 自らがどんな顔をしていたのかという自覚もなく、龍鳳は明るく笑みを浮かべて背筋を伸ばす。


提督「女性に身支度を急がせるのは少しばかり情けない話なんだが、これから準備して、先に潜水艦寮へ向かってくれないか? あいつらのことだ、きっと大いに悩んでる」

龍鳳「ふぇ?」

提督「ああ。さっき君には教えたけれど、ロードバイクのコンポーネントには種類があってな――――例えばシマノは……」

龍鳳「あ、そう、そうですか、なるほど……わかりました、私が先に行って説明しておきますね!」

提督「重ね重ね、助かる。凄いの組んでやるから、君も候補を絞っておくといい」

龍鳳「分かりましたぁ。では、失礼しますね、提督! お待ちしてます!」



 そう言って退室していく龍鳳の笑顔は、かつて知ったる潜水艦寮の寮母としての笑みだった。




……
………

236 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/17(日) 23:44:40 ID:xJWa7uwU
※さて、次回は生臭いお話である。コンポ選択……使い心地まで言及すると主観が入るから大変だ

 なお>>1は電デュラ派だったが、今ではRed-eTapも好きだし、カンパのウルトラシフトももともと好き

 ところでここの初期艦は誰ザマショ

 遅くても来週末には、続きを

237以下、名無しが深夜にお送りします:2017/12/18(月) 00:18:08 ID:3EzsUnOE
更新おつです

初期艦は漣かな?

238以下、名無しが深夜にお送りします:2017/12/18(月) 00:18:48 ID:FaEHHiko
>>1
ここの初期艦は漣かな

239以下、名無しが深夜にお送りします:2017/12/18(月) 08:33:08 ID:JlQ4AyBo
オリョクルコンポ編待ちわびていたぜ
そしてSRAMのレバー高杉なんですが

240以下、名無しが深夜にお送りします:2017/12/18(月) 11:52:06 ID:IoE6sSEQ
>>1乙、細々とオリョクルでダジャレを挟むとか、おちょくってんのか!?


ふむ、初期艦らしきセリフは>>244が初出っぽいけど、漣か吹雪っぽいかな?

241以下、名無しが深夜にお送りします:2017/12/19(火) 15:26:13 ID:bwauLZEQ
未来に生きてんな

242以下、名無しが深夜にお送りします:2017/12/19(火) 18:59:23 ID:JpUODbb6
>>244への熱いネタフリ

243 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/19(火) 22:51:50 ID:1Inh7GHg

>>237-238

 さーて、誰でしょうネー



>>239

 パーツ単位で見ると極めて高価ですよね。フルセットの合計価格をデュラDi2やスパレコEPSと比較して見てみるとそうでもなかったりする。


>>240-242

 ンモー、イジメはよくない。よくないなー

 >>244だな?

 見た目は可憐な駆逐艦、海の上では修羅道至高天!

 真実はいつも一つとは限らない(冷酷)――――君にこの謎が解けるか!

 >>244の中に! 初期艦がいる!

244 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/19(火) 22:52:23 ID:1Inh7GHg

吹雪「特型駆逐艦・吹雪です! 脚質はオールダメンダー……って司令官ひどい!!? メインコンポはシマノ105、愛車はオルベアです! ま、まだまだへたっぴデ、転んでばっかりで、レース用なんて怖くて乗れないけれど……私、頑張ります!」


 大器晩成型ブッキー。要領が悪い。七転び八起き。トライ&エラーを恐れぬブッキーは成長限界がおっそろしく高い。雑草などという名の草はない。ソフトボールみたいなコロッケを作る子。憧れの艦娘は扶桑さん! 扶桑さんです! 赤城さん? 舞風が尊敬してる艦娘ですねえ。


叢雲「特型駆逐艦・叢雲よ。脚質はルーラー。ま、TTも山岳もイケるけどね。メインコンポはスーパーレコードEPS、愛車はフランスのルックよ。何? ウィリエールにしろって? 私の勝手でしょ!」


 「斧槍(ウィリエール)使えよ」と色んな所でツッコミ入れられるルック乗り叢雲。龍田は誰にも言われないし誰も言えない。そうよね、だって怖いもん!(小島風感) 嗅覚がヤバい。とある初春型駆逐艦と乗るバイクがダダ被りして大喧嘩(傍目には殺し合いにしか見えないが喧嘩の範疇)する。チームレースは代理戦争に近い。


漣「特型駆逐艦、もとい綾波型駆逐艦・漣ですよ! 脚質はスーパーアルティメットブラボーファンタスティックビバクライマークイーン、メインコンポはスラムe-Tap! 愛しのバイクはスペシャライズド・エスワークス(゚∀゚)キタコレ!! ご主人様ったら漣の事好きすぎじゃね!? 可愛すぎてすまんの! あじゃーっす!」


 そんな脚質も事実もありませんねえ。伊語・仏語・英語をミックスしすぎ。でもクライマーとしては特級だ。ところでお調子者な気質が災いしてしょっちゅう提督の怒りを買いゴルゴダ風味に磔刑される駆逐艦がいるらしい。ゲェーッ、ごしゅじんたま!?


電「特型駆逐艦・電です。電の脚質はルーラー、メインコンポは『電』動式のアルテグラなので……ッ、だ、駄洒落じゃないのです! 乗っているのはアンカーですよ! とってもかっこいいのです!」


 言われてはじめて気づく電動式を使う電という微妙な微笑ましさにほっこりする提督の笑みに、鬼怒が物陰から嫉妬。ギギギ、鬼怒と何が違うのか。艦種かな? 天龍や阿武隈にとても懐いているのです。エースを護り抜く名アシストになるか、はたまた主役に躍り出るのか。


五月雨「白露型駆逐艦・五月雨って言います! 脚質はオールラウンダーなんですよ! メインコンポは機械式のアルテグラで、大切なバイクはピナレロ! もうドジッ子なんて言わせませんから!」


 大天使五月雨。史実でメシマズ艦だったのを気にしていたのか奮起し、今では駆逐艦内で漣や磯波に並ぶお料理上手勢の一人。活けスズキを余裕で捌ける。夕張が大好き。ドジ故に提督にフォローしてもらうラブい役得が発生しがち。万能脚質でサポートも主役もなんでもござれです!

245以下、名無しが深夜にお送りします:2017/12/20(水) 13:28:47 ID:di2Jw2hg
回収乙w
さみちゃんオールラウンダーかいな

246 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/24(日) 21:57:24 ID:gKbQMtME

>>235からの続き
………
……


 ――――ヒトナナサンマル。場面は再び潜水艦寮。

 掃除を終え、料理も仕上げを待つばかりとなった彼女たちは、二手に分かれて入浴となった。

 ゴーヤ、ろー、はち、ニムが風呂に入っている間に、残るメンバーは先にカタログを読んでおこうという目論見である。

 目論見だったのだが――――。


イムヤ「さぁ、四人がお風呂行ってる間に、カタログに目を通しておくわ! その後は私たちがお風呂よ!」

イク「キレーなお部屋にキレーな体で、てーとくをお迎えするのね! イクたちのロードバイクを決めちゃうの! すーっごく楽しみなの!!」

まるゆ「まるゆ、上手に乗れるかなぁ」

しおい「大丈夫だよきっと! ね、ね! 早く読もうよ! しおい、もうわくわくしてきちゃって!」

イク「こ、これがロードバイクなの……いろんなバイクがあって目移りしちゃうのね〜!」パラッ

しおい「うん! わっ、すごい! きれいだね! イクちゃん、もうちょっとこっち寄せてよー」

まるゆ「ま、まるゆにも見せてよぉ……わぁ………まるゆたち、こんな綺麗な自転車に乗れるの? 嬉しいなぁ」

イムヤ「うーん、いろんな国のバイクがあって、目移りしちゃうわね」

247 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/24(日) 22:03:50 ID:gKbQMtME

しおい「そーだねー。あ、でも提督言ってたよ! 「自分一人で解決できる問題なら、悩んだ時こそ自分がこれがいいって思ったのが一番いい」って! だから、しおいはこれっ!」

まるゆ「そうなんだ。じゃあまるゆは一目見て気に入ったこれにします―――――って」

しおい「? どうしたの?」

まるゆ「ふ…………ふぅれむ販売?」

イク「フーレム? ハーレムの親戚か何かなの? …………って、フーレムじゃなくてフレームなの。ところでフレーム販売って、なんなの?」



 問題に対峙する時、自分一人で解決できる問題ではないという見極めこそがまず大事である。



しおい「え、あ、あれ? しおいのもよく見たら……? え? コンポーネントは別売り……? ペダルは付属しない……?」

イムヤ「でもホラ、写真だとちゃんと完成して……あ、あら? そういえばペダルはついてないような……ん? んんん??????」


 それが分からない状態で一人思い悩むことこそがドツボなのだ。既に相談必至の案件である。

 そんな感じで――――まず、しおいとまるゆが落とし穴に落ちた。


イムヤ「あれ? そういえばこっちのカタログ……」

イク「あれ? そんなカタログもあったの? そういえば二冊貰ったのよね?」

248 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/24(日) 22:09:08 ID:gKbQMtME

しおい「これ、バイクのカタログじゃないよ? えーっと、あれだ、こん、こん……えっと、なんだっけ………そう、コンポ! これか! これがコンポーネントのカタログだ!」

まるゆ「ロードバイクの部品………あ、そうか。フレームで選ぶと……えっと、部品? 部品は別で選ばないといけないんです、よね?」

イク「そうなるみたいなのね。ハンドルやステムは付属されてたりされてなかったりなの………って、イクが欲しいロードバイクもフレーム販売なの!?」

しおい「イムヤちゃんは?」

イムヤ「ま、まだ決めかねてるけど……むしろこれ、完成車でいいの? なんだか、高い奴はみんなフレーム販売とかバラ売りって書いてあるような……」

イク「そ、そんなことないの! こ、こっちはハイエンドモデルだけど、完成車、で………し、仕様スペック?」


 そしてイムヤとイクもまた落ちる。


まるゆ「……バラ組み? 完成車? バラ組みって、フレームだけってことですよね? 完成車は……………………えっと、こ、コンポ…………こん、ぽ……?」


 まるゆがじっと見つめるカタログの項目に並ぶ文言を、他の三人も注視する。


 シマノ、カンパニョーロ、スラム。

 レッド、コーラス、ソラ、アルテグラ、スーパーレコード、105、ポテンツァ、ティアグラ、レコード、フォース、デュラエース、ケンタウル、レッドe-Tap、アテナ、ライバル、ヴェローチェ、アペックス。

249 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/24(日) 22:22:13 ID:gKbQMtME

イク(…………呪文? ハイエイシェント的な? カイザード・アルザード的な? それともモビルスーツの名前?)


 「なんでも横文字を魔法の名前に見立てたり、ガ〇ダムを頭に付ければそれっぽく見える不思議」という香ばしい思考にイクは陥った。


イムヤ(ぽ、ぽて、ぽてん……ポテンツァ? ポテンヒット? ……アテナって何……音速や光速で拳を振るったりするあの……?)


 それは野球用語である。そしてそんな速度で走れるロードバイクがあったらこのSSは終わりだ。


まるゆ(れこーど……? すーぱーが付いてるからこっちの方が強いんでしょうか?)


 プッツンして強くなったり速くなったりする輩は夕立や綾波を始めいないわけではない。だが根本的に着眼点が違う。


しおい(ふぉーす……ゆーうぇあーざちょーずんわん?)


 四人が四人ともロードバイクのダークサイドに堕ちかけているという点においては共通している。

 大いに混乱している四人であった。何が何だかわからない。見た目で選んでいいものかがまずわからない。

 機構の違いこそ説明書きを読めばなんとなくわかるものの、理屈で分かってもまるで実感がない。

250 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/24(日) 22:38:21 ID:gKbQMtME

 グレードの違いもまた同様である。

 三社の中で値段が最も安いものと、最も高いものを比べると二十倍以上の価格差があるのはどういうことか。

 そこまで違うのか? そんなにも違うものか?

 仮にそこまで違うのならば、選択次第では誤りがあるのではないか?

 考えれば考えるほど、読めば読むほどドツボに嵌っていく。落とし穴の底には底なし沼が用意されているという念の入れようである。


イムヤ(クラリスってあれだ。泥棒さんに心盗まれちゃったあの子……私が司令官に心奪われたような……)

イク(こっちは穴だらけなの……なんで穴だらけの方が高いの……? おかしいのね、乗り物と言うものは須らく穴が開いてない方が希少価値がある筈なの……!)

まるゆ(105? 波号第百五潜水艦? それともハサウェイ的な……?)

しおい(Di2って、何……? ESPって……機械? 電動? 無線? 何が違うの……?)


 それでもまだ慌てない。慌てるような時間ではなかった。

 彼女たちは頭が悪いわけではない。

 ただ前述の通り、実感がないのだ。

 乗ったことも触ったこともないものを、その機構やお値段だけを見て性能を計れというのは無理がある。

251 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/24(日) 22:47:52 ID:gKbQMtME

イク「だ、ダメなの……ホイールはメーカーが多すぎて何が何だかわからないの……!」

しおい「あ、よく見たらEPSだ……いーぴーえす……いーえすぴー……えす、ぴー、いー……かんぱ……かんぱ……ちねりれ……こっぴどく……」

イムヤ「しっかりしなさいしおい!」

まるゆ「うう、たいちょーに聞いた方がよさそうですよこれ……なんとなくで決めたら後悔する予感がします……!!」

しおい「や、やめてよ!? まるゆちゃんの予感ってかなり当たるじゃない!?」

イムヤ「こ、こんな、こんなの、どうしろっていうの……す、スマホ! スマホで調べるわ! こんな時こそインターネットの出番よ!」


 十数分後に「日本シマノ党vs熱狂的カンパ教団vsスラム街の悪夢」という構図を悟り、偏向した意見が交錯するインターネットの闇を垣間見るイムヤであった。

 何気にまるゆが大正解である。

 「司令官(提督)が選んだものなら間違いはない」と即断即決した長良や天龍、金剛、そして鬼怒。彼女たちは正解だ。なんせ何一つ疑ってないからだ。

 「天龍ちゃんと御揃いがいーなー♪」で受動的に決めた龍田。彼女もまた正解。天龍と御揃いと言うのが至上である故に。

 「カッコいいからこのカンパニョーロっていう奴でお願いします!」で直感を信じた比叡。結果的には大正解だった。手が小さめの比叡には使用感が合ったという。

 「やっぱり統一感は大事だと思うんですよね!」という質実剛健な理由で、和製フレームのパナソニックと揃えて親方日の丸のシマノにした青葉。凄く正解の一つだ。そもそもどのコンポもみんな良くてみんな好きと言う稀有なタイプである。

 そう、誤りなどない。だが疑ったまま選ぶとなんであれ誤りとなるのがコンポーネント選択という罠である。

 アレにすればよかった。コレにすればよかった。なんでこれを選んでしまったんだ。どうしてどうして――――知らなかったからである。

252 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/24(日) 23:04:23 ID:gKbQMtME

 そんな彼女たちはともかく、五十鈴らや大淀をはじめ、コンポーネントの吟味には相応の時間をかけた。


大淀(シマノの変速性能もいいですが……やはりトマジーニはイタリアンフレームですし、カンパの方がルックス面でも……あ、このアテナ、銀色が映えていいですね)


 市場からアテナシルバーが消えたのは大淀の仕業という噂が立つ。


五十鈴(スラムは惜しかったけれど……カンパニョーロのブレーキフィーリングは好き。試用した際の感触からこれは確定。問題は機械式か電動式か……軽量性か確実性か……うーん)


 求める外観と使用感のマッチングが極めて良好だった五十鈴が、最後に求めるのがまさかの性能というのはなんとも皮肉な話であった。


名取(シマノ、かな……このカブトガニみたいな見た目はちょっと、その……だけど、Di2の滑らかな変速は、すごく……ああ、でもやっぱりスーパーレコードEPSも……レッドE-Tapも……ううううう)


 悩みに悩んだ後、親指スイッチの変速時に頭の中で何かがハジケる感覚が決め手となり、スパレコEPSを用いることとなる。


由良(うーん、悩ましいなあ……試乗会に行ってみようかな……提督さんに聞いてみちゃおっかな。うん……)


 自分で弄ることにも楽しみを見出した由良は、整備面でも優秀な機械式のシマノデュラエースを選択するに至った。

253 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/24(日) 23:18:12 ID:gKbQMtME

阿武隈(か、軽さを考えれば絶対にスラム……で、でも、あのクリック感はあたし的にはイヤ! それにイタリアンフレームには絶対にカンパの方がキレイ……で、でも変速ならやっぱりシマノ……超悩みどころなんですけどぉ! ふぇえん)


 シフトレバーの握り心地を重要視した結果、機械式スーパーレコードを選択する阿武隈である。


榛名(変速の確実な管理を考えれば、電動か無線の二択に絞れますが……やはりここはもう一度、試乗会に行きましょう。今度はコンポーネントの差を意識して……)


 独特のエアロポジションを保ったままに変速ができることを考えた時、小指でシフトチェンジが確実に行えるデュラエースDi2を選ぶことになる榛名はとても大丈夫です。


霧島(コンポーネントチェックー、ワン、ツー……まずは資料、資料、と―――――レースにおけるコンポーネント使用率……実績……各社の株価と、ハイエンドコンポの性能比較表を作って……よし、と)


 増設可能なスプリンタースイッチやその他諸々の情報を精査した結果、榛名と同じくデュラエースDi2を選択した霧島は流石ね。

 各自が様々な価値観から吟味する中で、例外が二人。


島風(電動デュラ。だって速いもん)

夕張(電動スパレコ。だって島風をあとちょっとまで追い詰められたもの)


 白熱したレースを魅せつけた二人は、プレゼントされたバイクに最初から搭載されているコンポーネントにお熱であった。

 一目惚れ同然である。

254 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/24(日) 23:39:52 ID:gKbQMtME

 オーリョクールズ
 閑話休題。


 ヒトハチマルマル――――潜水艦寮のエンタランス、ホールへとつながる扉が開く。


ゴーヤ「艦隊戻ったよ! 今日もいいお湯だったでち……やっぱり広いお風呂は最高です」

はち「うん。特にアロマ風呂のオイル配合といい量といい、絶妙でしたね」

ろー「ですって! そろそろ暑い時期だから、さっぱりミントなお風呂はいいですって!」

ニム「はぁ、ほっこりなのにすーすーする……おーい、イクお姉ちゃん! ニムたち、帰投したよー! 今日のお風呂はすーすーだったよ! おーい!」


 元気いっぱいに声を張り上げるが、返ってくるのはニム自身の声が反響する音ばかり。


はち「……? 返事がないわね。どうしたんでしょう……?」

ゴーヤ「きっと夢中になってロードバイクカタログ読んでるだけです。ろー、フルーツ牛乳飲むでち」

ろー「ですって! ろー、取ってきますって!」


 とてとてと廊下を走ってリビングへの扉を開けるろー――――その扉の先に広がっている光景は、

255 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/24(日) 23:50:44 ID:gKbQMtME

ろー「………で」

ゴーヤ「でち? どしたんで……」

ニム「どしたの、ゴーヤちゃん、ろーちゃん? ニムにもフルーツぎゅうにゅ……」

はち「はっちゃんはコーヒー牛乳がい………」


 四者四様、言葉が止まり硬直する。


ろー「で、で、で………」


 蒼ざめたろーが指さす先、そこには先ほどまで元気いっぱいに先行入浴組を見送った四人の、

256 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/24(日) 23:55:51 ID:gKbQMtME

https://www.youtube.com/watch?v=_pyfH3oj_eg&feature=youtu.be&t=24s


まるゆ「カンパのシフトレバーにシマノの正確無比なディレーラー変速が加わり、更に明石さんの魔改造を経て無線化したレッドE-Tapが加わることによりハンドル周りの軽量化がまさに究極それはきっと最強のMOGURAとして木曾さんも気に入ってくれるわけでつまりシマのもかんパもすラむもみんなもぐらになれだれですかいままるゆのことをもぐらってイッたひと」

しおい「あ〜、いいね、いいとおもいます! ところでまるゆちゃん正気? しおい? しおいはね……どぼーん! どぼーん! どぼーーーーん!」

イムヤ「オーケイ、オリョクル………質問に答えて………この世で最も正解なコンポーネントはなあに? …………なによ、なんで答えてくれないのよ……イムヤのこと嫌いになった……?」

イク「い、いくぅ……」


 無残な姿があった。

 瞳の中がぐるぐるしているまるゆ。正気度が無くなっているしおい。病んでるイムヤ。曖昧になっているイク。

 もぐもぐ、どぼーん、わぁおわぁお、イクイクイクの――――煉獄の有様である。オリョール海のように。


ろー「で―――――DEATHって!!」

ゴーヤ「うめーこと言ったつもりでちか!?」

ニム「イクお姉ちゃんが!? お姉ちゃんがぁあああああ!!」

はち「」


 この数分後、龍鳳が到着するまで惨状は続いた。

257 ◆9.kFoFDWlA:2017/12/24(日) 23:57:55 ID:gKbQMtME
※深く考えると死ぬ

258以下、名無しが深夜にお送りします:2017/12/25(月) 07:30:15 ID:w5WY2Sv6
>>1

259以下、名無しが深夜にお送りします:2017/12/26(火) 15:34:26 ID:.vydBxOY
BASTARD!の七鍵守護神の呪文なんて今時誰がわかんだよw

260以下、名無しが深夜にお送りします:2018/01/08(月) 23:39:15 ID:1MD2aJx2
にゃしぃ

261以下、名無しが深夜にお送りします:2018/01/20(土) 17:33:54 ID:hb8KMpBE
初走り

262198:2018/01/23(火) 15:16:27 ID:Fw336yTQ
一月空くと不安になる…
保守!

263以下、名無しが深夜にお送りします:2018/01/23(火) 17:38:37 ID:cM.XlR/6
あっちのスレで近況言ってるだろう
無茶を言っちゃいけない

264以下、名無しが深夜にお送りします:2018/01/23(火) 18:38:55 ID:UiFaEfMw
あっちってどっちだよ!教えてよ!

265以下、名無しが深夜にお送りします:2018/01/23(火) 18:45:16 ID:6cybomjk
他にも書いてるのか!
知らなかった…

266以下、名無しが深夜にお送りします:2018/01/23(火) 21:25:05 ID:lbxcjeVQ
ここで満足してるなら知らなくてもいいかも

267以下、名無しが深夜にお送りします:2018/01/23(火) 23:12:09 ID:I17DWGvE
身内の不幸が重なって洒落にならんくらい多忙状態らしいからしゃーないさ
「ゴタゴタが解決したら復活する、1月くれ」ってあちらでは言ってたし
こっちのことも一応触れてたからまったり保守しながら待とうや

268以下、名無しが深夜にお送りします:2018/03/01(木) 23:13:57 ID:8BUikDgU
保守

269以下、名無しが深夜にお送りします:2018/03/17(土) 22:55:34 ID:K1OFtqTM
まだかなー

270以下、名無しが深夜にお送りします:2018/03/18(日) 17:54:46 ID:G6Oq13Ng
お待ち申し上げております

271以下、名無しが深夜にお送りします:2018/03/21(水) 16:46:51 ID:pNGqAgVk
保守&支援
他スレ知らないからわからないけれど、大丈夫なのでしょうか……

272以下、名無しが深夜にお送りします:2018/03/21(水) 19:50:19 ID:DF2QE9UI
生存報告だけでも欲しいよねえ

273 ◆9.kFoFDWlA:2018/03/21(水) 20:05:44 ID:GtlaovE2
※他のスレ? 知らない子ですね。生きとったんやワシィ。

 ほぼ書き終えてますが平日は投下の余裕がないデース

 身内と艦これと仕事でイベントラッシュなのデース

 オリョクルズ編の続きは今週末には投下行きます。

 >>1ね、このイベントが終わったらね、サイクルジャージ姿の海防艦たちをカルガモの親子の如く単縦陣で曳きながらほのぼのサイクリングする短編も書きたい

274以下、名無しが深夜にお送りします:2018/03/22(木) 18:51:58 ID:zGlOF3gw
生きとったんか青葉ァ!
楽しみに待っとるで

275 ◆9.kFoFDWlA:2018/03/25(日) 00:36:00 ID:4jt4w35I


………
……


 ヒトハチサンマル―――夜の帳が落ち始めた鎮守府内道路にバンを走らせ潜水艦寮に到着したのは、軽空母・龍鳳だ。

 勝手知ったる他人の寮――――血よりも濃い絆で結ばれた――――潜水艦寮へと合流した龍鳳は、かつて面倒を見ていたオリョクルズ達の有様に目も当てられないといった表情で、静かに呟いた。


イムヤ「オリョクル……オリョクル……オリョクル……あの時、私たちが撤退させられたのは深海棲艦の策略……謀った喃、謀ってくれた喃……」

イク「狂ほしく血のごとき月はのぼれりなの……秘めおきし魚雷いずこぞや、なの……」

まるゆ「木曾さん、木曾さん……まるゆはこんなにも、こんなにも上手にもぐれるようになったんですよ、ねえ、ねえ……? 敵だって、たくさん沈めたんです、いっぱい、たくさん、やまほど……」

しおい「どぼーん、どぼーん、あはは、どぼーん! ヲ級改Flagship……その機関部、もらい受けるよ! 生まれてきた意味も知らずにぃ!! どぼーんするといいよぉ!!」

ゴーヤ「おめーら正気に戻るでち!! 木曾さんはおらんでち! そしてここにおわすはヲ級じゃなくて龍鳳さんです! とっとと風呂入ってきてね!」

イムヤ「龍鳳、さん……? ああ、龍鳳さん……龍鳳さんだ!!」

龍鳳「―――――成程……『なまじ生真面目な子たちほど、この罠にはまる』……提督の仰っていた通りになりましたね」


 その表情には苦笑が滲んでいる。こうなることが分かって私を呼んだとしたら、やはりあの人は切れ者だなと思う。

276 ◆9.kFoFDWlA:2018/03/25(日) 00:40:32 ID:4jt4w35I

イムヤ「おかしいの、おかしいのよ龍鳳さん……このばかスマホ、答えてくれないの。イムヤのことがきっと嫌いなのよ……こんなに一番すごいコンポを教えてって頼んでるのに、デジタルプレイヤーしか表示させてくれないの……」

龍鳳「イムヤちゃん、貴女はそれでもオリョクルズリーダーですか。私の渡したバトンはそれほどまでに重いものですか? 長たる者に相応しい冷静さを身に付けなさい。それと『ロードバイク』を検索ワードに組み込まないと。それではオーディオ機器しか出てきませんよ……!」

しおい「あー、龍鳳さんだ! 聞いて聞いて! あのね、しおいね、考えたんだ! もうね、何が何だかわからないってことが分かったの!! こんなんじゃ提督に嫌われちゃう、嫌われちゃうよぉおおおお!!」

龍鳳「大丈夫、大丈夫よしおいちゃん。提督はしおいちゃんのことを大事に大切に、大好きだと思っていらっしゃる。安心していいのよ」

まるゆ「りゅーほーさんりゅーほーさん、カンパとシマノを合体するんですよ!! スラムもですよ! なんかイイって言われてるところ全部ごちゃまぜでいいとこどりにしてしまえばまるゆのかんがえたさいきょーのろーどばいくが! ああ窓に! 窓に!!」

龍鳳「落ち着きなさいまるゆちゃん。戦艦並みの砲撃に空母並みの航空運用力を備えたところで、出来上がるのはあの謎のSF時空に突入している航空戦艦というキメラだったことを忘れましたか」

イク「くるほしく ちのごとき イクはのぼれり」

龍鳳「秘めおきし魚雷を放つのは今宵でもこの場でもありません。ええ、左様ですとも。さ、お風呂に入ってオリョール脳を平時脳に戻してきなさい、みんな」

イムヤ「うん……わかりました……」


 龍鳳の有無を言わさぬ号令と共に、幽鬼の如く怪しげでぬるりとした動きで立ち上がった四人。


龍鳳「後程、提督も此処へいらっしゃいます。それまでに今抱えている疑問は深く考えずにおいて、素直に提督に聞きましょうね」


 その背に優しく声をかける。こくりと四人は首肯し、のろのろと大浴場へ向かって行くのであった。

 潜水母艦であった龍鳳。彼女はこの地獄の猟犬たちの首輪がわりであった大半の潜水艦から絶対の信頼を得ていた。母のように、姉のように。そして鬼のように。

277 ◆9.kFoFDWlA:2018/03/25(日) 01:07:21 ID:4jt4w35I

龍鳳「さて、それではゴーヤちゃん、ニムちゃん、はっちゃん、ろーちゃん。ちょっとお外に出てくれますか?」

ゴーヤ「ぴぃっ!? お、お許しを、お許しを……!! オリョクルもバシクルもカレクルも行けと言われれば行って殺ってやるでち! でも、訓練だけはいやでち!!」

ろー「も、もう対潜訓練の的にされるのは嫌ですって……!」

はち「あの四人に責を問われるのであれば、このはちに……何卒、何卒、他の子達には寛大な処置を……!!」

ニム「!? は、はっちゃんだけが悪かったんじゃないです! 怒るならこのニム、ニムを!」

龍鳳「……何を勘違いしているのかは知りませんが、別にお説教に来たわけではないですよ?」


 龍鳳は苦笑しつつ部屋の外へと指先を向けて、言った。


龍鳳「外に車を停めてあるのだけれど、ロードバイクを積んであるわ。八台ね。それをここへ運んでほしいのよ」

ゴーヤ「えっ! そうなんですか!?」

龍鳳「やはり実物をその目にしながら体感してもらうのが一番だと提督は仰りました」

ろー「やった! やりましたって、でっち! ろーちゃんたち、ロードバイクに乗れるんですって!! 取ってきますって!」

ゴーヤ「でっち言うな! 龍鳳さん、ありがとうございまち! はっちゃん、ニム、おめーらも手伝いなさい!」

ニム「が、がってんしょうちー!」

はち「よ、よかったぁ……」

278 ◆9.kFoFDWlA:2018/03/25(日) 01:09:22 ID:4jt4w35I

龍鳳「慌てちゃ駄目ですよ、まずは予習ですよ。提督もいずれここに……食事の後に本格的な説明はしてくれますが、ええ、とりあえず私から軽く触りを教えて差し上げましょう」


 先の四人と比べれば足取りも軽く寮の外へ走っていく。

 その背中に向けて声をかけると、はーいと力強く返事が返ってきた。

 龍鳳はますます笑みを深め、


龍鳳(後であの体たらくについては叱りはしますが)


 刃の如く刺々しい威を放つ笑みであった。


龍鳳(とはいえ、私自身も触りだけの突貫理論武装を済ませた程度。ならば話すのは最低限のことでいいでしょうね)


 かくして、ロードバイクコンポーネント説明と相成った。



……
………

279以下、名無しが深夜にお送りします:2018/03/25(日) 05:59:39 ID:Ft15uxGs
>>1


280以下、名無しが深夜にお送りします:2018/03/25(日) 11:17:00 ID:/DttgwJM
いいところで切りやがって……乙ぅ

281 ◆9.kFoFDWlA:2018/03/25(日) 21:06:45 ID:4jt4w35I

………
……


 ヒトキュウサンマル。すっかり日が落ちて夜の帳に包まれた鎮守府。

 入浴を済ませた四人も合流し、集結したオリョクルズの八名は、龍鳳の指示で運び出されたロードバイク八台を各々の傍に携え、リビングの大広間で龍鳳の説明に耳を傾けていた。


龍鳳「では予習と行きましょう。ロードバイクには完成車とフレーム販売というものがあります」

ニム「完成車と……」

イク「フレーム販売なの……さっきはこれにしてやられたの」

龍鳳「皆さんに先ほどお貸ししたロードバイクを見てください。それは既に走れる状態にあります。いわばこれが完成車の状態です。あ、ペダルは別売りという場合が大半ですよ?」

イムヤ「ペダルは別売り……!? あ、頭が痛くなってきた……!!」

しおい「今は考えない方がいいと思うな!」

龍鳳「ええ、その通りです。そちらには今フラットペダルを装着していますし。(私もよくわからないですし)

   対してフレーム販売は、ロードバイクのフレームとフォークのセット。中にはシートポストも付属するものもあります。

   フレーム販売とはこのようにまだ自転車として走ることができないフレームの状態での販売形態を指すもので、BBやクランク、変速機、ブレーキといった部品は別途購入して使う必要があります。

   一般的には購入したお店でそうした部品も一緒に購入し、組み上げて貰うのが主流だそうですが、中には自分で組み上げてしまう方もいらっしゃるとか」

282 ◆9.kFoFDWlA:2018/03/25(日) 21:13:06 ID:4jt4w35I

ニム「う、うぐぐ……ど、どっちが正しいんですか? 完成車と! フレーム販売!」

龍鳳「正しいというか好みと言うか……提督が仰るには、やはり完成車の方が別途部品を購入して組み立てて貰うより安く上がるそうです。好みの構成が揃ってるなら完成車の方が予算を抑えやすいとか。

   ですが、フレーム販売にもメリットはあります。完成車を構成するパーツは一つずつ選択することはできません。カタログ通りの構成で気に入れば購入すればよい、と」

まるゆ「やはりシマノとカンパニョーロとスラムを合体することで究極のロードバイクが?」

龍鳳「いいえ、まるゆちゃん。提督曰く、それは原則としてかなり調整がシビアでお勧めしないとのことです。

   話を戻しますが、こうしたロードバイクの部品をコンポーネントと言い、これらの主要パーツを同一ブランドの同一グレードで揃えて販売されているものをグループセットと言うんです」

ゴーヤ「グループセット……や、ややこしいでち」

ろー「こんぽーねんと……奥が深いですって」

龍鳳「ロードバイクコンポーネント市場、そのグループセットのシェアは三社が占めており、三大コンポーネントメーカーと呼ばれています。

   ひとつは日本が誇る大阪は堺に本拠を構えるシマノ。

   ひとつはイタリアの走る芸術品カンパニョーロ。

   ひとつはアメリカはMTB界を席巻したスラムです。

   原則として同一のメーカーでコンポーネントを揃えるのが主流です」

はち「シマノと、カンパニョーロと、スラムですね……」

まるゆ「そっかぁ、メーカーを統一するのが主流……」

283 ◆9.kFoFDWlA:2018/03/25(日) 21:16:52 ID:4jt4w35I

龍鳳「そして各メーカーで販売されているグループセットにはグレードがあります。こちらのホワイトボードに記載した通りです」


〇Shimano(シマノ)機械式

 CLARIS(クラリス)⇒SORA(ソラ)⇒TIAGRA(ティアグラ)⇒105(イチマルゴ)⇒ULTEGRA(アルテグラ)⇒DURA-ACE(デュラエース)

〇Campagnolo(カンパニョーロ)機械式

 CENTAUR(ケンタウル)⇒POTENZA(ポテンツァ)⇒CHORUS(コーラス)⇒RECORD(レコード)⇒SUPER RECORD(スーパーレコード)

〇Sram(スラム)機械式

 Apex(エイペックス)⇒Rival(ライバル)⇒Force(フォース)⇒Red(レッド)

〇Shimano(シマノ)Di2(電動式)

 ULTEGRA-Di2(アルテグラDi2)⇒DURA-ACE-Di2(デュラエースDi2)

〇Campagnolo(カンパニョーロ)EPS(電子式)

 CHORUS(コーラスEPS)⇒RECORD(レコードEPS)⇒SUPER RECORD(スーパーレコードEPS)

〇Sram(スラム)無線式

 Red E-Tap


龍鳳「シマノならばクラリスが下位、デュラエースが最上位グレードとなりますね」

284 ◆9.kFoFDWlA:2018/03/25(日) 21:33:11 ID:4jt4w35I

イク「で、出たの!? 呪文なの!!」

イムヤ「あ、あれ? アテナがないわよ? アテナっていうやつがあった筈よ?」

龍鳳「あ、あら? そんなのあるの? 後で提督にお伺いしますね(カタログにはあるけれど、これってひょっとして……)」


 2018年現在ではとっくに廃盤である。


しおい「こ、この機械式と電動式と電子式と無線式って、なんなんですか……?」

龍鳳「変速の方式ですね。お手元のロードバイクを確認してください。ハンドルレバーのところにスイッチがあるでしょう?」

はち「あ、はっちゃんの借りたこのバイクに装備されてるのは、カンパニョーロの……レコードですね。翼が生えた車輪のデザインですか……いいですね」

まるゆ「まるゆのもカンパニョーロです。レコードESP!」

ろー「ろーちゃんのはシマノですって! えっと、えっと……アルテグラ? ですって!」

ゴーヤ「ゴーヤのもシマノでち。ゴーヤのもアルテグラって書いてありますが……これ、Di2?」

ニム「ニムはスラムだね。えっと、レッド?」

イク「イクのもスラムなの。レッドEタップって読むの?」

285以下、名無しが深夜にお送りします:2018/03/25(日) 22:05:58 ID:lpB8y60g
ここまでかな?
乙です

286 ◆9.kFoFDWlA:2018/03/25(日) 22:06:23 ID:4jt4w35I

イムヤ「イムヤのは……ほえ? これ、なんか全然違う?」

しおい「しおいのも、なにこれ……?」

龍鳳「イムヤちゃんとしおいちゃんのはダブルレバー……機械式です。STIレバーと呼ばれるハンドル部分にある機構で操作するものとは違い、よりクラシックなクロモリバイクに見られる、ダウンチューブに装備されたレバー操作のものです。

   ダブルレバーを除けば、各社で操作方法は異なりますが、原理は同じ。まず機械式は手の力でワイヤーを引っ張ることで、ディレーラーを動かして変速する方式です。

   ワイヤーのテンションの張り方などの調整一つで渋くも滑らかにもなりますが、より操作している実感を楽しめる変速方式とのことですよ」

はち「なるほど……あ、あれ? 変速しませんけど?」

ろー「ですって!? こ、壊れてる……?」

ニム「い、いきなり壊しちゃった……!? お、怒られる、怒られる……」

龍鳳「ち、違います。クランクを回しながらでないと変速できませんよ。固定ローラー台も持ってきたんですから、せっかくですからみんな回してみてください。

   リアのギアを重くすることをシフトアップ、軽くすることをシフトダウン」


 やたらと落ち度を気にするオリョクルズである。

 極端にミスを恐れるのは、リーダーのイムヤを始め、多かれ少なかれ彼女たちに共通している点であると言えよう。


はち「お、おお……こ、これは……成程、動力を与えないとディレーラーが動かないのですね。

   カンパは右手の親指でリアのシフトアップ、レバーを押すとシフトダウンする……フロント側は左手で操作、シフト操作は右手の真逆になる……はっちゃん、覚えました」

287 ◆9.kFoFDWlA:2018/03/25(日) 22:13:45 ID:4jt4w35I

ろー「た、楽しい! 右手をかちかちしてると、後ろの車輪がカチョンカチョンって変速していきま――――ぴぃっ!? ぶ、ブレーキレバーがぁ!? こ、壊しちゃった!?」

龍鳳「大丈夫ですろーちゃん。シマノのハンドルはブレーキレバーごと押し込むことでリアがシフトダウンします。左手はフロント操作ですが、右手とは逆の操作になります」

ニム「よ、良かった。壊れてな………こわれてるぅうううう!? シフトアップしたりシフトダウンしたりするよぉおおお!? 同じレバー押してるのにぃいいいい!?」

龍鳳「落ち着いてニムちゃん。スラムのレッドはダブルタップレバー方式を採用しています。右手のレバーを軽くタッチするとリアシフトアップ、深く押し込むとリアシフトダウンします」

ニム「ひ、冷や汗が出てくる……で、でもこれ、面白い! 面白いよ!」

イムヤ「成程。ダブルレバーってシンプルね。右側のレバーを手前に倒すとシフトアップ、奥に倒すとシフトダウン……左はやっぱり逆になるんだ? あ、クラシックってひょっとして……」

しおい「そっか、変速するのにいちいち手をハンドルから放さないといけないから……」

龍鳳「最速を競うレースにおいて、このダブルレバー方式が廃れた理由がそれですね。提督が仰るには調整しやすいからホビーで使う分にはとても面白くて良い、とのことです」

イムヤ「確かに……」

しおい「うん、いいね! いいと思います!」

龍鳳「続いて電動式・電子式……これは呼び方が異なるだけで、原理は同じ。

   バッテリーによるエレクトリックな変速方式……要はスイッチ一つでギアを切り替えるための、いわばリモコンです。

   操作性は言うに及ばずストレスフリーですが、値段が高価になりがちで、バッテリーで動く故に電池切れすればたちまち動かなくなります。たまの充電は必須ですね」

ゴーヤ「お……! これは、なかなか面白いでち! スイッチを押すとチュインチュインと……あ、電動式だとブレーキレバーは押し込めないんですね?」

まるゆ「わ、わ……うん。面白いです。操作方法は、機械式と変わらないのかぁ……」

288 以下、名無しが深夜にお送りします:2018/03/25(日) 22:15:50 ID:3qX/pBsM
リアルタイム更新が見られるとは思わなかった
いいぞもっとやってください

289以下、名無しが深夜にお送りします:2018/03/25(日) 22:16:16 ID:lpB8y60g
久々のまとまった更新で嬉しい

290 ◆9.kFoFDWlA:2018/03/25(日) 22:23:15 ID:4jt4w35I

イク「ねえねえ、イクのは? これ、無線式っていうの?」

龍鳳「ええ、最後に無線式ですが、現在では最新の変速方式で、文字通り通信方式が無線タイプになっています。

   現在はレッドEタップだけがこの方式ですね。前述の電動式との違いは、通信方式が無線のため、配線の必要がないという点です」

イク「はっ!? 確かにイクのバイク、ハンドルから配線が伸びてないの!? すっごくハンドル周りがスッキリしてるの!」

龍鳳「また操作方法が機械式のレッドとはやや異なります。左手のスイッチを押すとシフトアップ、右手でシフトダウン、左右を同時に押し込むとフロント変速です。

   より直観的に操作できる点が高く評価されているようですね」

イク「こ、こいつぁ面白い玩具なの……!!」

ニム「い、イクお姉ちゃん! 交代! 次、私がそれ弄ってみたい!」

イク「OKなの! 取り換えっこして色々試してみるのね〜♪」

はち「まるゆちゃんの電子式も試してみたいなあ」

まるゆ「あ、はい! まるゆも機械式のカンパ、使ってみたいです」

ろー「でっちー、でっちー、ろーちゃんも電動式を試してみたいですって」

ゴーヤ「でっち言うなと言ってるサル!!」

イムヤ「ちょ、ちょっと、私としおいにも貸してよね! ダブルレバー同士だから交換しても同じなのよ!」

しおい「そうだそうだー!」

291 ◆9.kFoFDWlA:2018/03/25(日) 22:26:21 ID:4jt4w35I
※ごめん、誤記

○:龍鳳「〜(中略)右手のスイッチを押すとシフトアップ、左手でシフトダウン、左右を同時に押し込むとフロント変速です。

×:龍鳳「〜(中略)左手のスイッチを押すとシフトアップ、右手でシフトダウン、左右を同時に押し込むとフロント変速です。

292 ◆9.kFoFDWlA:2018/03/25(日) 22:32:03 ID:4jt4w35I

 こうして各メーカーのコンポーネントの操作方法を実感したオリョクルズである。


龍鳳「とりあえずこの三社のメーカーのグループセットの、いずれかのグレードから選んでおけば、楽しい自転車ライフは確約される――――提督はそう仰っていました」

ろー「なるほどですって! 似たようなものってことですか?」

龍鳳「違います」

ゴーヤ「それ、見方を変えたらこの三社以外のメーカーは地雷ってことでち?」

龍鳳「初心者向けではないという意味では冒険でしょうね。結果が出なければ『次』がありませんから」

イムヤ「次がない?」

龍鳳「では問いますが、売れないという結果が出てしまった商品に次をと望む多くの声はありますか?」

イムヤ「世知辛すぎるわ」

まるゆ「…………なるほど。需要がなければ供給はありませんね。当たり前のことでした」


 例えばローターやオーシンメトリックといったメーカーの楕円形チェーンリングは、一定のユーザーから指示を受けているが、初心者向けとは言い難い。形状からしてお察しである。

 初心者からすれば間違いなく地雷であるが、まず選択することはないだろう。

 なんせこの三社に対して我こそは四社目よと名乗りを上げたはいいものの、数年足らずで廃れるメーカーは後を絶たない。廃れるということは後発がないということだ。

 各メーカーは数年のスパンで商品は最新のものへと切り替える。マイナーチェンジであれ大幅なバージョンアップであれ、そこには確かな変化があるが、他のメーカーを選ぶということはその商品が廃盤になった時に心中する覚悟を持たねばならない。

293 ◆9.kFoFDWlA:2018/03/25(日) 22:46:15 ID:4jt4w35I

 70年代のコンポーネントセットの概念がなかった時代ならいざ知らず、今やコンポは各メーカーでまとめるのが主流。しかし例外はある。

 ミックスコンポだ。効率的なペダリングを行うというメリットを得るために楕円形チェーンリングに変えるのとは違い、完成車として購入した時点でミックスコンポである場合だ。

 完成車の値段をより安く抑える点では理に適っているが、同じメーカーで統一したいというある種のコンプリート願望を持つ乗り手にとってはイマイチな組み合わせである。

 オーリョクールズ
 閑話休題。


イムヤ「それじゃあ龍鳳さん……結局のところ、どれを選べば正しいのかしら?」

龍鳳「それは……」


 龍鳳が口を開こうとした時――――ホビーで乗る分にはどれ選んでもいいぞ。好みでいいんだ好みで――――と、そんな声が割り込みをかけた。

 声の主を求めて龍鳳が振り返った先にはやはり、


龍鳳「あ、て、提督!」

提督「龍鳳、ご苦労だった。悪いな、覚えたてなのに説明任せちまってよ」

イムヤ「!! 司令官! いらっしゃいませ!!」

提督「や、イムヤ。すっかり遅くなって済まなかったな。八時回っちまったよ」

イク「そうなの、てーとく! とってもおそいの! イクたち、首を長〜くして待ってたの!」

294 以下、名無しが深夜にお送りします:2018/03/25(日) 22:50:31 ID:3qX/pBsM
しょっぱな突然の航空戦艦ディスりで笑ってしまった

295 ◆9.kFoFDWlA:2018/03/25(日) 23:00:34 ID:4jt4w35I

提督「そう詰ってくれるな。俺もここに来れるのを楽しみにしてたよ」

はち「もう、相変わらずお上手ですね……お待ちしておりました、提督。はっちゃん、もうおなかぺこぺこです」

ニム「あっ、そうだ! ニム、カレー温めてくるね!」

提督「お、夕飯はニムのカレーかァ。久々だなあ。大盛でよろしく!」

ニム「うん、ニムに任せておいて! ほら、まるゆちゃんたち、提督をご案内して!」

まるゆ「ようこそお越しくださいました、隊長! さあ、どうぞこちらへ!」

提督「ん。まず手を洗わんとな。おまえたち、ロードバイク弄ってたろ? 俺も一応外から来たし……洗面台に連れて行ってくれ」

ゴーヤ「はっ!? それもそうです!」

ろー「洗面所はこっちで……ああああああ!?」

ゴーヤ「どうしたんでち、ろー」

ろー「せ、洗面所はダメですって……まだお洗濯してないから、洗い物籠に、みんなのお洋服や下着が……」

しおい「それはだめだよ!?(乙女的な意味で)」

提督「それはいかんな(風紀的な意味で)。しゃーねえ、イムヤ、おしぼり作ってきてくれ」

イムヤ「はい、ただいま!」

提督「相変わらず、賑やかだなここは」

296 ◆9.kFoFDWlA:2018/03/25(日) 23:27:25 ID:4jt4w35I


龍鳳「お、お恥ずかしい限りです……」

提督「元気があるのはいいことだよ――――重ねてご苦労だった、龍鳳。どこまで説明してくれたか、後で報告を頼むよ。夕食の席でな」

龍鳳「は、はい!」


 ほっとしたように笑う龍鳳に、提督もまた微笑み返す。

 イムヤはそんな二人を、おしぼりを取りに行く後ろ目で――――否、後ろ耳で聞いていた。




……
………

297 ◆9.kFoFDWlA:2018/03/25(日) 23:29:40 ID:4jt4w35I
※久々の投下で案外投下に時間がかかるのを思い出した

 次回は提督の生臭い(ロードバイクコンポーネント選択の)お話である。

298 以下、名無しが深夜にお送りします:2018/03/25(日) 23:36:27 ID:3qX/pBsM
お疲れさまでした
これからも楽しみにさせていただきます

299以下、名無しが深夜にお送りします:2018/03/26(月) 05:10:58 ID:6.QV7JPE
>>1


300以下、名無しが深夜にお送りします:2018/03/26(月) 17:39:51 ID:gfnPEibs
シマノあかんことになってる

301以下、名無しが深夜にお送りします:2018/03/26(月) 20:01:25 ID:WfH4fJzI
乙した


あまり航空戦艦を虐めないでやってくれ、ウチの日向は対潜旗艦なんだ

302以下、名無しが深夜にお送りします:2018/03/28(水) 02:00:36 ID:J0gs5N.M

待ってたんだよ貴方のことを!
昔買ったopera盗まれてもうロードバイク乗らないかなと思ってたけどまた欲しくなってきたよ
まとめから入った勢だけど面白い、夕張vs島風は本当に涙ぐんでしまった
プライベートが忙しそうですが、次回投下をお待ちしてます

303以下、名無しが深夜にお送りします:2018/03/30(金) 21:36:26 ID:S7hhRIrk
生きとったんかワレェ!
たのしみにしてます!!

304 ◆9.kFoFDWlA:2018/04/02(月) 00:18:24 ID:BwCo/bVk

………
……


 かくして待望のお食事タイムであった。提督はもちろん、オリョクルズたちもお腹を可愛らしくくぅくぅと鳴らしている。

 長手のテーブルの中央上座に座る提督に対し、輪を作る様に卓を囲っていくオリョクルズ。提督の左隣はゲストの龍鳳。

 オリョクルズリーダーのイムヤは、右隣……ではなく、提督の正面である。実質、潜水艦寮の主故にゲストには机を挟んで対峙する。これが礼儀である。

 寄り添えることはなくとも、真正面から提督と見つめ合えるこの位置取りは、かつて龍鳳が大鯨であった頃の定位置である。この位置を、イムヤはとても気に入っていた。

 提督の右隣でニコニコ笑顔で食事を楽しみにしているのはまるゆであった。事前に決めていた純粋なくじ引きの結果である。二位のゴーヤと三位のろーが表現しがたい表情でまるゆを睨んでいる。

 龍鳳を恨むことはないが、龍鳳が来なければ提督の隣に座っていたのはゴーヤであった。並々ならぬ葛藤の末、行き場をなくした感情の矛先はまるゆへと向けられていた。それは八つ当たりという。

 されど、まるゆもまた立派なオリョクルズ。刃の切っ先のようなゴーヤの視線を豪胆にも柳に風とばかりに受け流し、横目で提督の顔をちらちらと見上げながら、時折提督と視線がかち合うと、嬉しそうにえへへと笑う。

 提督は思う――――なんて平和なんだと。空母寮ではこうはいくまい。その感慨深い思いが中断された。料理が運ばれてきたのだ。

 ニムとはちが手にしたトレイの上に並ぶメニューはもちろん――――。


ニム「ニム特製! フィリピン風のココナッツミルクを使ったチキン馬鈴薯カレーなの!! 新作だよ!」

提督「フィリピン風……オリョール海か」


 オリョール海のモデルはフィリピンのオーモック海と言われている。

305 ◆9.kFoFDWlA:2018/04/02(月) 00:22:50 ID:BwCo/bVk

 フィリピンのカレーと言えばココナッツミルクカレーだろう。だが、その常道から少しばかり外れたものだと、提督の視覚と嗅覚は感じ取っていた。

 まず色が赤い。フィリピンカレーは使われる香辛料次第であるが、黄色いものが多い。

 そして香り。ココナッツのふんわりとしたミルキーな香りに纏われる香辛料の香りは、ほのかな酸味を帯びている。

 しかし提督は慌てない。慌てるのは戦艦寮における金剛型の部屋と、駆逐艦寮における陽炎型の部屋だけだ。

 常道から外れようとカレーは期待を裏切らない。人の本能に根付く渇望、それを潤すための存在である故にだ。

 一部例外があるが、それは往々にして作り手側に問題がある。


提督「では、いただきます」


 提督の礼に合わせ、オリョクルズや龍鳳もまた唱和する。それが終われば、待ちきれないとばかりにスプーンを手に魅惑の赤い液体をライスに絡めてはむとほおばるゴーヤとイク。


ゴーヤ「あ、あれ? 赤っぽい色合いから覚悟決めて口に入れたけど……辛くないでち? っていうか、これ……」

イク「ちょっと酸っぱい……かな? でもおいしいの! とろとろの鶏肉によく絡むの〜♪」


 さらさらの汁気が強い黄色い液体に、くったりと蕩けた具材が浮かんでいる。


まるゆ「カレーっぽくないのにちゃんとカレーですねコレ……」

306 ◆9.kFoFDWlA:2018/04/02(月) 00:26:55 ID:BwCo/bVk

ニム「あはっ、提督、どうどう? わかるわかる?」

提督「……ん、この酸味と甘みは……トマトとタマリンドを加えたのか。成程、ベースはフィリピン『風』の南インドのエッセンスを取り入れたのか。これは旨い」

ニム「ホント? やったぁ!」

提督「ブイヨンで伸ばしてサラサラ仕立てなのがいいな。盛り付けもきれいだし」

はち「あ、盛り付けははっちゃんですよ。上手になったでしょう?」

提督「おお、味といい盛り付けといい、腕上げたな二人とも……うん、うん、旨い。パクパクいける」

ろー「てーとく、食後にははっちゃん特製のアプフェルシュトルーデルもありますから……お腹いっぱいにはしないでくださいって」

まるゆ「あ、はい! まるゆもアイスクリン、作るの手伝ったんです!」

提督「ほう、はちとまるゆが? それは楽しみだ。ちゃんと腹八分目にして期待してるぞ」

イムヤ「あ、あの、司令官? お飲み物、どうぞ」

提督「お? カットライムを添えた……炭酸水か? ペリエ? ゲロルシュタイナー?」

ゴーヤ「ペリエでち! てーとくは炭酸水好きなんですよね?」

しおい「うん! イムヤちゃんから教えてもらったんだ!」


 炭酸には疲労物質たる乳酸を排除する効能がある。代謝を加速し、運動に対するパフォーマンスを上げる効果や血流量の増加などいいことが多い。

307 ◆9.kFoFDWlA:2018/04/02(月) 00:31:24 ID:BwCo/bVk

 提督が愛飲する飲み物の一つであった。

 談笑しながら食事は進んでいく。じっくりと染みたさらさらのルーは食べやすく、空腹も手伝ってかあっという間にみんなの皿はからっぽになった。


提督「ごちそうさま……さて、龍鳳からはコンポーネントの主要三社について聞いているらしいが」


 デザートのアプフェルシュトルーデルをパクつきながら、提督が龍鳳に話を振る。


龍鳳「はい。実際にコンポーネントにも触れてもらいましたが……こちらのホワイトボードに」

提督「ふむ……シマノのターニーを除いたのは?」

龍鳳「クラリスからデュラエースまではシフトチェンジ機構は同じだが、このターニーだけは違います。カンパニョーロに近い機構の親指シフトです。

   比較対象とするには微妙過ぎるかと……クラリスとの価格差も誤差のレベルですし」

提督「実機としてアルテグラ、レコード、レッドの各二種のグレード、そしてダブルレバーを選定した理由は?」

龍鳳「はっ! ……まずアルテグラとレコードですが、機械式と電動式、もとい無線式の違いを最も肌で知れるグレードです。

   かつレースパフォーマンスにおいて十二分な性能を有しているものと説明してくださったのは提督です。

   スラムにおいてはフォースもまた性能面においては足るものではありますが、無線式との比較ならばやはり同グレードのレッドが適切かと。

   また、ダブルレバーは懐古主義的ではありますが、クラシックバイクを用いる上では避けては通れないコンポーネントです」

308 ◆9.kFoFDWlA:2018/04/02(月) 00:42:26 ID:BwCo/bVk

提督「シマノのデュラエース、カンパニョーロのコーラス、あるいはスーパーレコードを選ばなかった理由は?」

龍鳳「ロードバイクのコンポーネントは上位に行くほど不可逆的な感覚が襲ってくると教えて下さったのもまた提督です。下を知ってから上を知るのはともかく、上を知れば下では満足できぬようになると」

提督「愚問だったな。ダブルレバーに使ったのはどこだ? シマノか? シュパーブプロか?」

龍鳳「ダブルレバーとしての性能を追求したダブルレバー式のデュラエースに、古き良き時代の変速感を味わうことを狙いとしたシュパーブプロで組み上げられた逸品です」

提督「………」

龍鳳「………」


提督「――――パーフェクトだ龍鳳」

龍鳳「感謝の極み」


 男くさい笑みを浮かべて頷く提督に、花開き感極まったように深くお辞儀をする龍鳳。

 ある種の様式美であった。


イムヤ「………」


 それを面白くなさそうな目で見ているのは、イムヤだった。

 オリョクルズのリーダーになった。だけど、提督と楽しそうにお話している龍鳳を見ていると、実質のリーダーはきっとまだ龍鳳の――――大鯨のままなのだと、思い知らされたようで。

309 ◆9.kFoFDWlA:2018/04/02(月) 00:43:55 ID:BwCo/bVk
※おしごと、おしごと、おしごと……

310以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/02(月) 23:15:22 ID://U.dsCc
>>1


311 ◆9.kFoFDWlA:2018/04/15(日) 22:46:45 ID:ktmRztdM
※よっしゃ来週末は間違いなく書けるでぇ

312以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/16(月) 09:47:04 ID:fC56NOqY
よっしゃこれで1週間戦えるわ
マジチンの方も楽しみにしてる

313 ◆9.kFoFDWlA:2018/04/22(日) 22:33:34 ID:KQZZm5WE

 大鯨が改装を経て龍鳳となった時のことを覚えている。

 彼女は潜水艦寮から離れ、空母寮へと住まいを移した。

 隠し切れぬ寂しさに表情も昏く俯いたイムヤに、龍鳳は言った。


 ――――潜水艦隊を頼みましたよ、と。


 後日、正式な辞令が下り、イムヤは潜水艦たちのリーダーとして龍鳳から業務の引継ぎを行い、すぐに重要な作戦会議や鎮守府運営にかかわる議案にも関わるようになった。

 それはきっと喜ばしい事なのだろう。しかし沸き立った心に冷静さが戻った頃、『なぜ自分なのか』という疑惑がイムヤの心中に浮かび上がった。

 リーダーとしての業務は苛烈を極めたが、それに忙殺されることはなかった。

 当時の潜水艦隊にニムはいなかったが、イムヤは己がリーダーとして適正であるとは思えなかった。管理職として潜水艦隊をまとめる日々が続くにつれ、その疑念はますます強まっていく。


イムヤ(あの時、大鯨さんはこんなに大変なことを、苦労なんておくびにも出さずにこなしてたのね……)


 大鳳には足を向けて眠れないと新たに尊敬の念を深めると共に、イムヤは改めて己の価値を検分する。

 果たして、自分には何があるのだろうかと、いつだってベストを求めてきた。ベストを尽くしたって安心できなかった。

 だって、イムヤは―――――イムヤ自身をこそ、何よりも信用できなかった。

314 ◆9.kFoFDWlA:2018/04/22(日) 22:40:48 ID:KQZZm5WE

 イムヤは旧型の潜水艦である。史実においてこそ大戦果を挙げたものの、スペックひとつとっても他の潜水艦達には劣っていた。


 破格の砲火力に冷静沈着な判断力を持ち、土壇場では腹を据えた苛烈さと勇猛さをも持ち合わせたはち。

 雷撃のみならず、航空機運用に砲撃・防空と隙のない戦術の幅広さを持つマルチプレイヤーのしおい。

 神がかり的な予見と勝負勘を頼りに敵の作戦を読み切り、多くの戦果を挙げてきたイク。

 隙の無いスペックにここぞという決定力を持つ純粋な強さならばゴーヤ。夜戦における敵の撃沈率は、ゴーヤが魚雷を放つ=撃沈数という、潜水艦内の撃沈王だ。

 この四人は、潜水空母への改装を経て、水上機まで運用できる。

 当時は着任していなかったニムもまた、今は潜水空母だ。彼女たちに負けず劣らずのポテンシャルを持っている。未熟なれど前向きな頑張り屋で、姉のイクに負けじと強さに貪欲なひたむきさを見せた。

 ではろーは? その頃はまだ艦隊に加わっていなかったが……呂500に改装する以前から、ろーは――――ゆーはイムヤでは及びもつかない性能を誇っている。彼女もまたギフテッドであった。

 ではまるゆは? 純粋なカタログスペックを問わぬ心の強さという意味では、イムヤはまるゆ以上の艦娘を知らない。事実、まるゆは潜水艦隊にとって欠かせぬ、立派な戦力を備えるに至った。


 翻って、イムヤにあるものはなんだろう。近代化改修を済ませた結果、火力も装甲も増えエンジン放射音を極限まで抑えた防音性を有した。

 だがそれは全員がそうだ。ならばイムヤにあるものは、なんだろう。真面目さか? 負けん気か?

 イムヤは否だと思う。ならばきっと、自分が選ばれた理由は『それ』意外に考えられなかった。

 そして『それ』を考えれば考えるほど―――自分は、ただの提督にとって便利な『いい子』に過ぎないのではないかと思えた。

 客観的に己という存在を、旧型の潜水艦たる自分に価値を見出すとすればそれしかありえないと思うようになって、漠然とした不安はどんどん大きくなっていった。

315 ◆9.kFoFDWlA:2018/04/22(日) 22:44:37 ID:KQZZm5WE

 ――――嫌な『音』が聞こえた。いつもの『音』だ。鉛色の音。はじまりの音だ。

 不安を抑えきれなくなって、すぐに提督に問いを投げた。返ってきた答えは呆気にとられるぐらいシンプルで、とても嬉しい言葉だった。


イムヤ(覚えてる。今でも、一言一句違わず、音程一つ間違えず、頭の中で再生できる)


 その時の声を思い返すたびに、『音』は消えた。天にも舞い上がるような気持ちになる。嬉しくて嬉しくて、涙が出そうになる。

 だけど、あの時の提督は、どんな『音』をしていただろう。それが、喜悦の彩で塗りつぶされている。

 イムヤの心中では、今頃になってそれが不安に思えてきていた。

 また、『音』が聞こえだした。


イムヤ(…………いやだ)


 イムヤは初めて提督という存在を知覚した瞬間に、恋に落ちた。

 提督の采配の下で戦い続けた。しゃにむに戦った。深海棲艦の補給線を破壊し、時に資材を奪い、脅威となる敵を無音潜航で秘かに沈めて行った。

 帰投した時には温かく出迎えてくれる提督のことがどんどん好きになった。

 闘いの日々は辛く厳しいものだったが、それでも楽しかったと思える。一航戦と二航戦――――あの飛龍とも再会を喜び合い、少しずつ増えていく潜水艦の仲間達と親睦を深められるのは、有難い事だった。

 それに、こうして提督と交流できる時間は、イムヤにとって掛け替えのないものだ。

316 ◆9.kFoFDWlA:2018/04/22(日) 22:47:02 ID:KQZZm5WE

 その一瞬一瞬が宝物のように煌めいている。

 好きな人のちょっとした仕草やクセ、色んな表情が分かっていく。知って幻滅することなんて、イムヤには一つもなかった。提督のことがますます好きになっていく。

 出撃中の提督に会えぬ日々は辛いものだったが、増えていく仲間と共に戦場の海を泳げることは心強かった。

 過ぎゆくとともに、想いは募り焦がれて、もう鉛色の音を忘れかけた。そんな日のことだった。

 待ちに待っていたはずの『あの日』は、イムヤにとって―――。


提督「イムヤ」

イムヤ「っ、え?」


 心音と共に視線が跳ね上がる。そこにはじっと心配そうにイムヤの顔を見つめる、提督の両目があった。その両隣では、まるゆや龍鳳も同様の視線を向けている。


提督「これからコンポーネント市場の主要三社のより詳細な説明しようと思うんだが……」

まるゆ「顔色が悪いですよ? 大丈夫、ですか?」

イムヤ「っ!? だ、大丈夫。大丈夫よ! イムヤ、元気いっぱいだから!! ちょっと考え事してて……」


 嘘だ、とイムヤは思った。自分自身の言葉が嘘だと。きっと今、イムヤはひどい顔色をしている。それを自覚していた。

317 ◆9.kFoFDWlA:2018/04/22(日) 23:12:59 ID:KQZZm5WE

 気づけば、提督だけではなく、誰もがイムヤに視線を向けている。ある者は心配そうに、ある者は不安げに、ある者は苦虫をかみつぶしたような表情で、一様にイムヤの様子を見ていた。


イムヤ「ご、ごめんなさい、みんな! 本当に大丈夫だから……司令官! お話を続けてください……」


 日を改めることすら考慮に入れ始めた提督の思考に割り込んだのは、イムヤの悲痛さすら感じさせる声だった。


提督「…………ん、そうか。体調悪いなら、あんまり無理しちゃ駄目だぞ」


 提督はきっと、困った顔をしている。それがイムヤには分かった。顔を見なくても、俯いたままにそれが分かった。

 自分自身さえ納得させることができない言葉では、この場の誰も欺けない。

 もちろん龍鳳もだ。その横で静かに瞳を細める龍鳳だったが、あえて言葉はかけなかった。

 追及はすまいと、無言のままに、誰もがそう思っていた。


提督「さて、では改めて………コンポーネントの選定。まずシマノ・カンパニョーロ・スラムの三社から一社を決定するためには、何を重要と捉えるかが肝だ」

イムヤ「そ、そうなんだ。それで、どのメーカーのどのグレードを選ぶのが正解なの?」

提督「ぶっちゃけるぞ――――まずグレードを後回して、ただ三社を選ぶだけなら好みでいい」

イムヤ「…………え?」

318 ◆9.kFoFDWlA:2018/04/22(日) 23:21:57 ID:KQZZm5WE

 イムヤは、己の胸の中心から、何かが跳ねる音を聞いた。


はち「……あら。それはどうしてですか? 好み……というのも、少し漠然としている気がします」

提督「純然たる好みという意味でもいいんだが、要は嗜好や事情、そこに利便性や自転車に乗る目的を絡めての『好み』だ。

   そういう意味じゃあシマノは断然オススメだぞ。なんせ日本製だ。ロードバイクを扱うショップならばどこでだって入手が容易だ。まず間違いはないってメーカーだよ。優等生よな。

   カンパニョーロはイタリアンバイクが似合うって風潮がある。人間的な……エルゴノミクスに配慮した直観的な操作感覚はクセになる。他のメーカーと比すれば少しお高いがね。ブランド志向も強めだ。

   スラムもまた独特の変速性能はやみつきになる魅力を備えている。カチンッ、カツンッと来る刺激的な変速の快感は、とても言葉にできん。より感性や本能を刺激する攻撃力があるな」


 提督にしては、言葉を重ねてなお曖昧な表現であると言わざるを得ない――――はちは胸中で少し微笑んだ。可愛いところもあるんだなと。

 しかし、成程、案外そういうものなのかもしれない――――そうも思った。

 あくまで感性の話である。いかな提督とて個々の持つ感性を完璧に表現する言葉は持ち合わせてはいまいと、はちはそう結論付けた。


提督「変速方式が使ってみて気に入ったとか、使用感が好きとか、見た目が好きとか、イタリアンバイクに乗りたいからカンパにするとか、アメリカンだからスラムとか、日本製だからシマノにするとか、そういうこだわりでイイのだ」

提督「そこからグレードを選ぶわけだが、財布の中身と相談ってのが最も多い。グレードが高い方がもちろん性能はいいよ」

しおい「むむむ……あの、提督、その上でどれが一番性能がいいんです? シマノ? カンパニョーロ? スラム?」

イク「そ、そう! それなの! イクたちが知りたいのは、まさにそれなの!」

319 ◆9.kFoFDWlA:2018/04/22(日) 23:25:41 ID:KQZZm5WE

提督「それ聞いちゃうか。地雷を踏みたがるというか、もとい機雷にぶつかっていきますね君たち」

ゴーヤ「は?(殺意)」

はち「機雷? 大嫌いです……」

まるゆ「たいちょー……いくらたいちょーでも、言っていい事と悪い事があります。まるゆ、知ってますよ。それこそが、まさに地雷っていうんです」

提督「そ、そうだったな……じゃ、じゃあここからは生臭い話だ。ホワイトボード借りるぞ」


 先刻の龍鳳と同じように、提督もまたホワイトボードに情報を書き連ねていく。


提督「大体こんなところだろう。()内は備考だ」


 1.値段(予算に相談)

 2.整備性・維持費(メーカーやグレードごとに違うものもあるので自分で整備するなら勉強必須。乗るのが目的なら維持費の計算まで入れておいた方が吉)

 3.取り回しの良さ(まさに好み)

 4.変速性能(予算が潤沢でかつコスパを大事にするとか、面倒なのは嫌いなら電動か無線。整備の腕に自信があるとか軽い方がいいなら機械式)

 5.マッチングとフィーリング(価値観次第。美意識。えこひいきとも言う)


提督「以上の要素で、自分にとって何が最も重要なポイントとなるかで、正解は枝分かれして分岐する」

320 ◆9.kFoFDWlA:2018/04/22(日) 23:32:04 ID:KQZZm5WE

ニム「えと、じゃあ提督のオススメは?」

提督「色んな意味でシマノ」

イク(もうシマノでいいんじゃないの?)

ゴーヤ(てーとくのロードって、ひょっとして全部シマノさんかな……?)


 ゴーヤもイクも提督はシマノ贔屓かと思った。合っているが、微妙に違う。提督としてはカンパもスラムも好きだ。むしろこのロードバイクにはスラムだろ、こっちはカンパニョーロだと思ってるものもある。

 しかし、提督はフレーム素材を乗り比べるのも好きだが、ホイールを使い分けるのも好きだ。

 同じシマノ製の同じグレードに纏めることで、ホイール交換の互換性を重視した結果、やむなく同じメーカーに統一しているというのが正確である――――ホイールのスプロケットは、グレードやメーカー次第で互換性がないものがあるのだ。


提督「ちなみに上記の点は重要だが、それらを冷徹に判断した上で、この中にはそうして出た結論をひっくり返しうる要素がある。項番の5……マッチングとフィーリングだ。これ以外に重要なものはないと断言する猛者もいるね」

ろー「まっちんぐ?」

しおい「フィーリング?」


 何故しおいの方が流暢に喋るのか? 提督は訝しんだが、話が逸れるのでそのうち聞いてみようと思った。

321 ◆9.kFoFDWlA:2018/04/22(日) 23:36:41 ID:KQZZm5WE

提督「己の欲すべきところをまず見定める――――好み。やはりこの一言に尽きる。つまり正解はない。あえて言い換えるとすれば、美意識だ」

ニム(美?)

イク(意?)

ろー(識?)

提督「例えばさっき話したイタリアンバイクにカンパニョーロコンポを至高とする教団のことだ。彼らはホイールもカンパニョーロにすることを絶対の正義とする」

はち「……ああ! なんというか、少しわかる気がしますね。統一感というか、同じお国で同じパーツを使うと、ふしぎな安心感があるっていうか」


 はちは納得した。几帳面な性質故か、そうした『きっちり』したものを好む傾向がある。

 だがその一方、


しおい(えー……)

まるゆ(ちっともわかんない)

ゴーヤ(せ、正解が、ない? なんでちそれは……っていうか生臭いところがどこにあるんでち?)

ろー(コクゴの問題かなあ。えっと確か、かい、かい……カイシャク、次第? カイシャク、シモス? だっけ?)


 微妙に違う上に残虐薩摩風味だが、ろーの感想はとても的を得ていた。

322 ◆9.kFoFDWlA:2018/04/22(日) 23:37:45 ID:KQZZm5WE

イク「は、話変わってないの!! 結局『好み』ってなんなの!?」

提督「いいや、変わってるよ。ここからは感想ではなく、価値観だ……冷徹な評価に基づいた話になる。その上で、その結果をどう見るかは、やはり本人の好みとなるわけだ」

はち「結果、評価…………成程、レースですか」

提督「そう。レースにおける最速を、より純粋に目指すのならば、各社のトップグレードを選ぶべきだ。だがそのどれかを選ぶのは乗り手次第……ところがプロとなると機材を選べん」

ニム「? 選べない?」

提督「えり好みできんということだ。レース機材ということは結果が求められる。レースリザルトはメーカーにとって見逃せない商売材料になる。フレームメーカーは無論、コンポーネントメーカーもな……故にこそ、どれを選んでも正解だが不正解、つまり正解がない」

ゴーヤ「………ああ! そういうことだったんでちか!!」

はち「時節と結果、求められる性能はそこから来るという訳ですか……はっちゃん、よくわかりました」

イク「い、いくぅ……」

ニム「て、提督! もっと、もっともっと簡単にお願い! イ、イクお姉ちゃんが曖昧に!」


 ――――イクはしばしば曖昧になり、精神の均衡を崩す時があった。

 昂ぶる感情を上手く処理できない時や、難しい話を聞いた時、魚雷を外した時……提督の意を理解できぬ己に不甲斐なさを感じた時など……その兆候が顕著になる。

 ただし仲間が傷つけられた時は一転して、秘めおきし魚雷による、およそ一切の潜水艦において見たことも聞いたこともない雷撃を放ち、射程距離内にいる深海棲艦を艦種の区別なく轟沈させる魔神と化すのだ。

 『オリョール海の魔神』と呼ばれた伊19の真骨頂である。

323 ◆9.kFoFDWlA:2018/04/23(月) 00:02:19 ID:n0kedviA

提督「……優勝したレーサーは注目される。要はメチャクチャ目立つんだ。観客が沸く。島風と夕張のレースを見た時、お前たちも心が躍っただろう?

   では、あのレーサーが使っていたロードバイクはなんだろう? 用いていたフレームは? アイウェアは? ヘルメットは? コンポーネントは?

   レースの結果が劇的であり、より輝かしい勝利を得た選手の用いた機材ほど光り輝いて見える。

   こうして購買層への訴求力が高まることで……「あれ欲しいのー☆」って気持ちが来るわけだ。わかるな、イク?

   その奈落の底みたいな目も可愛いが、俺はいつものキラキラしたイクの目の方が好きだぞ」

イク「イク、とってもすごくよくわかったのー♪」


 即座に精神の均衡を取り戻すイクであった。

 最後の言葉が特に効いているのもあるが、イクは悪く言えばミーハー、よく言えば流行に敏感なところがあった。


龍鳳(さす提)


 龍鳳は提督のペラ回しに絶対の信頼を置いていた。大鯨だった頃にもイクへの教導には手を焼いた。焼かれたのは手だけではなく、脳髄にまでこびり付くような香ばしい記憶である。


提督「分かりやすいのは、やっぱりあこがれの選手が使うロードバイクのあれこれだろうよ。ファン心理はわかるだろ?」


 こくこくと頷くオリョクルズ達と龍鳳。イムヤだけは未だに顔色が悪く俯いたままだったが、提督は『あえて』無視した。

324 ◆9.kFoFDWlA:2018/04/23(月) 00:12:59 ID:n0kedviA

提督「では目的を定め、メーカー選んだ上で、いよいよコンポーネントを選ぶ――――グレードを選ぶわけだが」

イムヤ「………」

提督「多くの初心者ロードバイク乗りにとってネックとなるのは値段だろう。初心者はそもそもロードバイクってのがどんなものかキチンと理解できているかも怪しい。

   ホビー嗜好の消費者観点から性能面を見ると、シマノなら105、カンパならコーラス、スラムならライバルのグレードが欲しいところだ。

   これらは日常乗り回しても遠乗りでもレースでも充分な性能を備えており高級感があっていい。

   だがホビーならば、金を積めるなら何でも構わん。性能に不満が出ることを恐れる、言わば安物買いの銭失いを避けるなら上位のグレードを買うのが良いだろう。

   ――――ほら、これは好みではないか?」

ゴーヤ「い、いやいや、確かに好みですけど、イチマルゴもコーラスも、それってミドルグレードでち。そもそも下位のグレードでも高いでちよ? コンポだけでママチャリが買えます。上位グレードだと10台以上買えちゃうレベルです!」

はち「ええ……物凄く高い買い物だと思います……」

提督「ごもっとも。ところがロードバイクには、ロードバイク乗りにしかわからぬ不思議な法則があってな……」

まるゆ「ほ、法則って……」

提督「大袈裟じゃあねんだなぁこれが。続けていくと金銭感覚が麻痺していくんだ。金銭感覚の麻痺、即ち価値観の麻痺だ――――重度になると「デュラ組のフラッグシップ完成車が税込80万以下」というだけで「あら! お買い得!」と感じるようになる」

しおい「病気だよゥッッッ!!」

提督「そして見栄と言う厄介なシロモノが心を支配してくる。あいつは総額いくらのバイクに乗ってやがる、畜生負けてたまるか! とな」

ろー「何と争ってるんですって……」

325 ◆9.kFoFDWlA:2018/04/23(月) 00:17:36 ID:n0kedviA

提督「プライド? じゃね? そもそもレースに出ないならハイエンドモデルは乗り回そうと宝の持ち腐れってのは、皮肉にも一般ユーザーにとって大多数の意見よ」

イク(あ、なんか、分かったの)

ニム(ニム、それすごく分かる)


 二人は各々がより強い魚雷装備を求めて、それを与えられた時の優越感を思い出していた。

 多分、それと似たようなものだろうと。そしてどれだけ凄い魚雷でも、近海への輸送任務で用いるには勿体ないということも。使うべきは命を懸けて戦う難敵であるべきだ。

 提督が言いたいのは、まさにそういうことである。適材適所だ。

 要は入りたての新入社員なのだ。何が分からないかが分からないという、フレッシュで何色にも染まっていない状態である。

 それに何かを与えるとすれば、即戦力ならまだしも、仕事道具より先にルールや仕組みを徹底して覚えさせる。


提督「フレームからのバラ組みというのは予算が潤沢ならば何も言うことはないんだが、予算が限られている場合となると、これは必然的にシマノへ傾向する」

ゴーヤ「なんでです?」

提督「はい、ここからとても生臭い話その1――――この中ではシマノが一番安いが、コストに対して一番精度が高く整備性が良好でパーツ入手しやすいのもシマノというツッコミどころの多いお話。親方日の丸は馬鹿に出来んよ」


 日本のものづくり、手作りであろうと工業製品であろうと、比類なきクォリティを誇る。

 特に後者の製品に対する一律した精度の高さは誰もが納得の変態性である。


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