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妹「兄、どこ?」
50
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/25(月) 22:34:43 ID:6UK8acaw
【翌日】
兄「ふわとろオムレツサラダだ。一味とマヨネーズで召し上がれ」
妹「腕をあげたな」グッ
兄「ありがたきお言葉」
妹「今日は服を買いに行きたい」
兄「そうかそうか、行ってらっしゃい。3000円、いや5000円くらいあれば十分でしょうか、姫さま」スッ
妹「……?」
兄「……え、足りない?」サァ
妹「兄もついてくるでしょ?」
兄「マジで? 俺いらなくない?」
妹「妹友ちゃんも一緒」
兄「マジで俺いらなくない?」
51
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/25(月) 22:35:22 ID:6UK8acaw
【ショッピングモール】
妹「いつ来ても大きい」
妹友「ねー!」
兄「迷子になるなよ」
妹「そんなに子どもではない」
妹友「じゃあ、手つなご!」ギュ
兄「嫌じゃないならいいぞ」
妹「む……」
妹友「えへへ、恋人みたいだね!」ニパッ
兄「えっ、それはどうかな……?」
52
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/25(月) 22:36:08 ID:6UK8acaw
妹「……」ギュ
兄「お前もか」
妹「……妹を甘やかすのは兄の務め」
兄「その通りです」
兄(ちょっと周囲の目が辛いが……クラスの奴に会いませんように)
兄(あ、これフラグじゃね?)
53
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/25(月) 22:38:21 ID:6UK8acaw
【フィッティングルーム】
妹友「これはどう?」
兄「妹友ちゃんには早過ぎる気がするなあ」
妹「……ん」
兄「似合ってるけど、サイズはもう一つ小さい方がいいんじゃないか?」
妹「……これなら成長しても着れる」
兄「妹さま……」ホロリ
妹友「お母さんみたいなこと言うね」
兄「気持ちは嬉しいけどあまり気にしなくていいぞ。大した値段でも……なくもない」タカイナ…
妹「……もう少し安いところ行こ」
妹友「もっと可愛いお洋服を着てからにしようよ!」
店員(買わないから帰れよ)ニコッ
兄(……あの店員さんの目が怖い)
54
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/25(月) 22:39:38 ID:6UK8acaw
兄(結局、もう少し安いところで買ったから大した金額ではなかった)
兄(いやあ、やっぱり制服って楽だよな。買わなくていいからな)
妹友「あ、クレープだ」
妹「……!」
兄「お、買うか」
妹「い、いいの?」
兄「当たり前だろ! 妹友ちゃんにも奢ったる!」
兄(これは見栄でなく、妹の交友関係のためです……ほんとだよ?)
妹友「ほんと、お兄ちゃんありがとう!」
兄「はっはっは、それほどでも」
55
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/25(月) 22:40:42 ID:6UK8acaw
妹友「じゃあ、このデラックスストロベリー生クリームプリンアラモードデトックスエディション!」
兄「はっはっは、一番高いのとか遠慮がねえな」
妹「あ、わたしは……チョコバナナ」
兄「このデトックストロベリーなんちゃらを二つください」
妹「兄……?」
兄「ばーか、なに遠慮してんだよ。クレープくらい食べたいの食えよ」
妹「……うん、ありがとう」
56
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/25(月) 22:47:10 ID:6UK8acaw
妹友「おいしー!」
妹「……っ」アムッアムッ
兄「二人とも満足したようで良かった」
妹友「お兄ちゃんは食べないのー?」
兄「ん、あまりお腹空いてないからな」
妹友「じゃあ、一口あげる! あーん!」
兄「お、サンキュー!」ア-ン
妹「……む」
兄「お、美味い!」
妹友「でしょでしょ!」
57
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/25(月) 22:48:15 ID:6UK8acaw
妹「……兄」スッ
兄「え、いや、同じのだし……」
妹「ん!」
兄「い、いただきます」パクッ
妹「……」ニコッ
兄「うん、やっぱり美味い」
兄(……いやあ、楽しいな。平日の疲れが吹き飛ぶ)
58
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/25(月) 22:49:15 ID:6UK8acaw
女「……兄くん?」
兄(あー……フラグ回収しちゃったよ)
59
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/25(月) 22:50:15 ID:6UK8acaw
女「妹の服を買いに?」
兄「ああ……」
妹友「お兄ちゃん、わたしの他にも彼女がいるなんてー! 二股だー! 離婚だー!」
妹「しゅらば……」
女「……この娘たち兄くんの妹なの?」
兄「いや、この娘は妹の友達。あ、付き合ってないからな? 信じないでくれよ?」
女「え、ええ」
60
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/25(月) 22:50:50 ID:6UK8acaw
兄「こっちの借りてきた猫みたいに静かなのが俺の妹」
妹「……」ジッ
女「こんにちは」
妹「……」フイッ
女「……!」
兄「あー、ごめん、こいつ人見知りなんだ。失礼だからやめろって」
妹「……」ムスッ
61
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/25(月) 22:52:44 ID:6UK8acaw
女「……お兄ちゃんのことが好きなんだね」
妹友「好きだよー!」
兄「いや妹友ちゃんに言ったわけでは……なんにせよ、ありがとう」
女「ふふ……」
兄「どうかしたか?」
女「いや、 学校で見る兄くんと今の兄くん全然違うから」
兄「ああ……」
女「……ねえ、ちょっと二人だけで話したいことがあるんだけど」
兄「俺はないかな」
女「……きっと兄くんは今日私が見たことを学校で話されたくないとおもうんだけど」
兄「……二人とも、1000円あげるからゲーセンでも行ってきな」
妹友「ほんと!? 妹ちゃんいこー!」グイッ
妹「……」チラ
兄「……」ニコッ
62
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/25(月) 23:03:41 ID:6UK8acaw
今日はこのへんで
>>48
あざっす、どっちかというとコンスタントにやってきたいと思ってます
>>49
制約式から関数の最適解を導き出したいですね(数学弱者並の感想)
63
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/26(火) 19:53:40 ID:QOebbstc
>>62
数学が苦手すぎて全然わからないけど、この兄妹にはマジで幸せになって欲しい……
乙です
64
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/26(火) 23:32:46 ID:b6Pv5I2.
兄「さて、脅迫してまで話したいことってなんだ?」
女「そんなつもりはなかったんだけど……ごめんね?」
兄「俺は言葉と行動が一致してない奴はトップクラスに嫌いなんだ」
女「ごめん」
兄「……それで、話したいことって?」
女「先月の事件の話」
兄「……昨日も言ったけど、俺じゃないよ」
女「昨日も言ったでしょ、信じるよ」
兄「……女さんもたいがい変わってるな」
65
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/26(火) 23:35:03 ID:b6Pv5I2.
兄(――先月、クラス内で結構な人数の金品が放課後に盗まれた。貴重品を学校に置きっ放しにするヤツらもアホだが)
兄(……そして真っ先に俺が疑われた。小金持ちの家庭ばかりの中、とりわけ貧乏だから仕方ないといえば仕方ない)
女「それだったら濡れ衣を晴らそうよ。そうすれば――」
兄「そんなことしても徒労だ」
女「そんなことは……」
兄「何になるっていうんだ? あの事件は学校で揉み消された。おかげで犯人捜しは行われなくなった」
兄(だから、学校の方から俺に対して直接的な処置はなかった。その曖昧な対応がクラスメイト、そしてその周囲の人間を苛立たせたわけだが)
兄(被害者の親の中には『貧乏な犯罪者は私の子どもと区別しろ』なんて過激なヤツもいたとか何とか)
66
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/26(火) 23:39:09 ID:b6Pv5I2.
女「……でも、みんな兄くんが犯人だと思ってる」
兄「まあな。だが、悪口くらい何ともないよ」
兄(特待生で居続けたいから教師たちから嫌われるのは避けたいんだが)
女「でも、この前は教科書を隠されてたでしょう」
兄「……」
女「ごめんなさい。一緒に探さなくて」
兄「……ああ」
兄(別に行動主義者じゃないけど、そういう社交辞令も偽善も結構なんだよな)
67
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/26(火) 23:45:36 ID:b6Pv5I2.
女「もちろん今は注意喚起がされて前よりは防犯してるけど、もしもまた同じような事件が起きたら? 」
兄「……また揉み消されそうだがな」
女「でも、兄くんが疑われるかもしれない。そして今度は冤罪被害を食らうかもね」
兄「……あー、そうだな」
女「だから、真犯人の見つけ出して潔白を証明しようよ」
兄「……パス」
女「……どうして?」
兄「真犯人を見つけ出すなんて不可能だろうし、そんなことに時間を回すほど暇でもないんでね」
68
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/26(火) 23:47:17 ID:b6Pv5I2.
女「それなら見つけ出さなくてもいい」
兄「は?」
女「他の人たちが、兄くんの代わりにその人を疑うようになればそれで私たちの勝ちよ。もちろん、罪を立証できれば大勝利だけど」
兄「どちらにしろ非現実な話だな」
女「そうかな……」
兄「それよりもむしろ、疑われてもアリバイがある状態にした方がまだ楽だ」
女「うーん」
兄「明確な証拠がない限り、おそらく逮捕はもちろん退学にもならないと思う」
女「そんなに楽観視もできないんじゃないかな。退学や停学の条件に『校内の風紀を著しく乱す者』というのがあるから」
兄「……はは、俺の存在自体が風紀を乱してるってか」
女「そういうつもりじゃ……」
兄「冗談だよ……冗談かな?」
69
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/26(火) 23:49:24 ID:b6Pv5I2.
女「……来月の下旬に校舎の中に監視カメラが導入されるって」
兄「へえ?」
女「もしかしたらその前にもう一度盗難が起きるかもしれない」
兄「どうしてそう思う」
女「盗み癖のある人って何度も繰り返すらしいよ。条件が厳しくなる前にもう一度するかも」
兄「盗みをゲームか何かだと思ってるのかよ」
女「わりとメカニズムは似てるらしいよ。依存症みたいなもの」
兄「ふうん?」
女「母親が臨床心理士だからか、小さい頃から人の心に興味があってね」
70
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/26(火) 23:56:20 ID:b6Pv5I2.
兄「ふーん、なんか納得」
女「何が?」
兄「君の、俺に対する奇妙な自己開示……自己呈示の方が正確かな……は、そこに由来してるのかと思ってな」
女「そんはことはないと思うけど……」
兄「無理に心的な距離を詰めようとしてくるからさ」
女「……臨床心理士はそういうことしないらしいよ。むしろその人の鏡になるんだって」
兄「ふうん……じゃあ君は向いてないよ」
女「……そうかもね。なるつもりはないから良いけど。それで、犯人探しする気になった?」
兄「あんまり……忙しいんだよ」
71
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/27(水) 00:02:33 ID:tPVRhp1E
女「忙しい……バイトとか?」
兄「まさか」
女「男くんって嘘つくとき鼻がヒクヒクするよね」
兄「……そういう鎌かけは結構」
兄(……コイツ怖いな。俺がバイトしてるって実は知ってるのか、もしくは断片的な情報でもあるのか、ただの勘なのか)
兄「……仮に幸運なことに真犯人を見つけ出したとする。それが何になるんだ」
女「兄くんの誤解が解けるよ」
兄「それで? 『疑ってごめんちゃい、許してにゃん』なんて言われたら、受けた仕打ちをなかったことにして、仲良くしろと?」
女「それは……」
男「俺はそんなに寛大な人間じゃない。それよりも何もせずじっとして、そのうちシカト程度に落ち着くほうがマシだ」
72
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/27(水) 00:04:14 ID:tPVRhp1E
女「でも……」
兄「……女さんはどうして俺に関わろうとするわけ?」
女「……好きだから?」
兄「ありがとう。で、ホントは?」
女「兄くん、高校生っぽくないから。冷めてて……そういう態度を作る人は少なくないけど、兄くんは本当に冷めてるっていうか」
兄「そんなことないよ。俺は子どもらしく冷めたふりをして格好つけてるだけだ」
女「……そうは見えないけど」
兄「そうなんだよ。それに俺なんかに関わっても何の得もない。むしろ損する。だから、お互いに別の世界の住人として暮らしましょうよ」
女「……」
73
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/27(水) 00:05:26 ID:tPVRhp1E
兄「話は終わりか?」
女「うん、まあ……あ、連絡先交換しない?」
兄「悪い、ケータイ持ってないんだ」
兄(ほんとはバイト先とか妹と連絡つかないと不味いからガラケー持ってるけど、連絡先と住所は出来るだけ教えたくないんだよな)ブ-ブ-
女「……」
兄「……」ブ-ブ-
女「……出たら?」
74
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/27(水) 00:16:04 ID:tPVRhp1E
今日はこの辺で、明日はちょっと無理かも
>>63
数学は苦手でも好きになった方が絶対にいい、人類の宝物だもの
言いたいことは、整合性の取れてない展開やご都合主義はなるべく排除した上で、みんなが納得できる結末を目指したいということです
読んでいただきありがとうございます
75
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/27(水) 22:23:52 ID:cwa1e9JA
>>74
此方こそ素敵なSSをありがとうございます
ちょっと制約式について調べてみようかな
何はともあれ乙です
76
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/28(木) 01:23:09 ID:SrxvBvpw
方法が強引な上に「臨床心理士の娘」というのが不安しか感じないな…
つい一気読みした
乙
77
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/28(木) 03:58:20 ID:tevbrqp2
兄が聖人なんですが…
女も聖人だったらいいな、まだわからんけど
78
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/28(木) 23:26:37 ID:gj/mwoUM
大量でも少なくても投下があると嬉しいよね!
乙
79
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 00:55:47 ID:wMrYjxH6
兄「はい、もしもし。……妹友か。え、はいはい。わかった、今行く」
女「何だって?」
兄「ゲーセンに来いだって」
女「なるほどね」
兄「ごめん、連絡先はちょっと……使った分だけお金かかっちゃう料金プランだし」
女「交換するだけしようよ。いざという時に必要になるかもだし」
兄「……分かったよ」
80
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 00:56:31 ID:wMrYjxH6
【ゲーセン】
妹友「お兄ちゃん、このぬいぐるみ取ってー!」
妹「あと2回……ぐぬぬ……」
兄「あ、もうお金は入れちゃったのね……そんなにこれ欲しいんか」
女「たしかに可愛いね」
兄(クレーンの強度は何とかなりそうか……位置もまあ……)
兄「ふはは、兄に任せろ!」ポチッ
ウィ---ン
ウィ---ン
ガシッ
81
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 00:57:14 ID:wMrYjxH6
ウィ---ン
妹友「わ、わ、わ……!」
ボトンッ
妹友「とれたー!」
妹「よくやった」グッ
兄「おう!」グッ
女「上手だね」
兄「たまたまだよ」
妹「むふふ」モフモフ
82
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 00:58:03 ID:wMrYjxH6
妹友「お兄ちゃん、わたしの分もー!」
兄「取れるかなぁ……アソコだろ?」ポチッ
女「さすがに無理じゃない?」
ウィ---ン
ウィ---ン
ガシッ
妹「……」ドキドキ
83
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 00:59:15 ID:wMrYjxH6
ウィ---ン
妹友「……っ」ゴクッ
ウィ---ン
女「わっ……」
ボトンッ
妹友「お兄ちゃんすごーい!」モフモフ
妹「やるな」グッ
兄「ふはは! クレーンゲームの神に愛されている!」
84
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 01:07:10 ID:wMrYjxH6
女「私も欲しいな。なんかこのぬいぐるみ、兄くんに似てない?」
兄「え、どこが?」
妹友「あ、なんか分かるかも!」
兄「マジで?」
女「のんびりした脱力系の顔つきとか」
兄「そうかなぁ……」
妹「……全然似てない」
兄「妹さまがそう言うなら似てないな!」
妹友「しすこんめー!」
兄「この子ったら、どこでそんな言葉を覚えてくるのかしら?」
85
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 01:08:01 ID:wMrYjxH6
女「ねえ、私にもぬいぐるみを取ってくれない?」
兄「まずは自分でやってみるといいよ」
女「絶対無理でしょ……いやでもわりと取れるのかな」チャリン ポチッ
ウィ---ン
妹友「あ、ズレてる」
ウィ---ン
スカッ
妹「まだまだ未熟」
女「……もう一回、あ、500円だと6回できるのね」チャリン
兄「……女さんて実は負けず嫌い?」
86
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 01:09:15 ID:wMrYjxH6
妹友「もふもふー!」
妹「苦しゅうない」モフモフ
女「結局取ってもらっちゃった」モフモフ
兄「今日はとても運が良かった」
女「……ありがとね」
兄「気にすんな。服も買ったし、帰るかね。そういや、女さんは一人だったのか?」
女「いや、家族と来て別行動してたの。時間だし、そろそろ戻るね」
兄「おう、じゃあな」
87
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 01:11:00 ID:wMrYjxH6
【自宅】
妹「兄、昼のあの高校生は?」モフッ
兄「俺の同級生。関わりはほとんどないんだけどな」
妹「ふうん……何の話してたの」モフモフ
兄「むふふ、アダルティなお話だよ」
妹「気持ち悪い……」モフッ
兄「ぐすん」
妹「……」
兄「その蔑んだ目はやめてください」
88
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 01:15:47 ID:wMrYjxH6
妹「隠し事する兄なんか嫌い」
兄「別に隠してなんかないって。ちょっと妹さまの可愛らしいお耳には縁遠い話題だから控えてるだけさ」
妹「ほら、そうやって」
兄「まあまあ。それより明日の準備はしたか? バナナはおやつに入るのか?」
妹「……遠足じゃない。兄はいつもそうやってわたしを子ども扱いする」
兄(だって、子どもじゃん)
兄「明日は天気も良いみたいだしな、遊園地楽しんでこいよ」
妹「……うん」
兄「土産話を期待してるかんな。ジェットコースターに乗ってこいよ」
妹「……怖い」
兄「ふふ、ちょっとお子様には早いかな」
妹「む……」
89
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 01:16:42 ID:wMrYjxH6
【翌日】
兄(さて、今日は掃除と洗濯、それからスーパーの特売に行って、あとは勉強か)
兄「取り敢えず朝食の食器を洗う」
兄「そして洗濯」
兄「その間に整理して、掃除機とコロコロ、仕上げにクイックルワイパー」
兄「脱水が終わった洗濯物を干しす」
兄「そしてスーパーに行く」チャリンッ
兄「良い天気だ。妹も楽しんでるかな」
90
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 01:18:20 ID:wMrYjxH6
【スーパー】
兄(お、卵が安い。一人1パックまでなのが惜しいな……)
兄(んー、ひじきもちょっと安いな。買うか)
兄(鶏肉も安い! 今日は親子丼かなー)
兄(パスタか……作り置きには向かないよな……これに手を出したら手軽過ぎて妹の栄養を偏らせてしまうだろうな……)
兄(でも今日の昼飯と、いざという時のために買うか)
兄(後は……)ウロウロ
バスケ部「……っ」バタリ
兄「あっ」
91
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 01:42:04 ID:wMrYjxH6
今日はここまでです。
>>75
最適化問題に興味があるならやはり微積分学ですかね、制約式下での最適化ならラグランジュ未定乗数について調べてみるといいかもしれません(数学ⅡかⅢ程度の前提知識と偏微分を薄っすらとでも知っていれば理解は可能かと思います)
また『数学ガール』などを読んでみると数学全体に興味が湧くかもしれません。私もまだ一巻の半分を読んだだけですが、飛び級の友人がよく初学者に勧めています(かく言う私も勧められた1人です)し、始まりとしては悪くないのかな、と個人的に思います
私自身、決して他人にアドバイスできるような能力も知識もありませんが、一分でもお役に立てれば幸いです
できる限り更新の頻度は高くしたいと思っています
ご愛読、レスポンスありがとうございます
92
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 01:44:19 ID:ioVmhSLc
ちょうど更新されてた
乙
93
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 09:14:14 ID:RElGT6yE
バスケ部か
仲間が増えれば良いんだが
乙
94
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 23:50:46 ID:WiQ4ft8A
バスケ部「……よお」
兄「おう……」
兄(……挨拶してくるとは意外だな)
バスケ部「……」
兄(気まず……無言になるくらいなら立ち止まるなよ)
兄「今日は部活、休みなのか?」
バスケ部「ん、おう。普段は土日もあるんだけどな」
95
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 23:51:21 ID:WiQ4ft8A
兄「運動部は大変だな」
バスケ部「まあな。この貴重な一日中休みってのを噛み締めると、部活に行きたくなくなるよ」
兄「切実だなぁ……お疲れさん」
バスケ部「おう。お前も親の使いっ走りか?」
兄「まあ、そんな感じ。今は親がいないから正確には違うけど」
バスケ部「……そうなのか? じゃあ料理とか家事は全部自分で?」
兄「そうだな」
バスケ部「お前、すごいな」
兄「そんなことないって。手一杯だしな」
96
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 23:51:53 ID:WiQ4ft8A
バスケ部「だって、家事とかやった上で特待生だろ?」
兄(バイトも週3,4でやってるけどな)
兄「運動部に所属してる方が俺からしたらすごいと思う」
バスケ部「そんなことねえよ。練習嫌だ以外の感情を失ってるわ」
兄「ははっ!」
バスケ部「……んー」
兄「どうかしたか?」
バスケ部「いや、お前って思ったよりもずっと話しやすいヤツだなって」
兄「そう思ってもらえるなら嬉しいよ。俺もお前が挨拶してくるとは思わなかった」
バスケ部「クラスメイトにあんなバッタリと鉢合わせたら、とりあえず挨拶するだろ」
97
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 23:52:30 ID:WiQ4ft8A
兄「……そうかもしれないけど、それだけじゃなくてさ、ほら俺ってクラスでさ……」
兄(……なに言ってんだ俺? 女さんに毒されたか?)
バスケ部「……ああ。まあ、慣れてんだよ。中学時代も同じようなのがちょこちょこあったから」
兄(イジメが? 窃盗が? それとも両方か?)
バスケ部「まあ、そんで、そう言うことが起きるたびに容疑者が出てくるわけだ」
兄「あ、盗難の方ね」
バスケ部「ん?」
兄「なんでもない」
98
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 23:53:02 ID:WiQ4ft8A
バスケ部「だけど、そいつが犯人じゃないってことも多くてな。頭から決めてかからない方がいいと思ってな」
兄「……」
バスケ部「ま、そういうわけ」
兄「なるほどな」
バスケ部「まだクラスメイトがどういう奴かはっきり分かってないってのもあるな」
兄「そうだな」
兄(俺も女さんみたいな変わった人がいるなんて知らなかったし)
バスケ部「でも、他のやつらも気味悪いんだろうよ。クラスの中か何処かに犯人がいるわけだからな」
兄「ああ……」
99
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 23:53:33 ID:WiQ4ft8A
バスケ部「そろそろ行くわ。そんじゃな」
兄「あ、ちょっと待ってくれ」
バスケ部「……ん?」
兄「いやあ、ありがとう! お前のおかげで卵が2パック買えたよ!」
バスケ部「……おう。主夫みたいだな」
兄「そうだな」
バスケ部「じゃあ今度こそこれで。……俺にも体裁があるから学校ではあんまり話しかけないでくれ」
兄「……分かってるよ。卵ほんとサンキューな」
バスケ部「……おう」
100
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 23:54:25 ID:WiQ4ft8A
兄(まあ、バスケ部の反応が正しいよな。クラスから疎外されてるヤツとわざわざ仲良くするなんて不合理だし)
兄(いや、むしろ学校で気まずい事態が起きないよう、未然にはっきりと宣言してるだけ、好感がもてる)
兄(まあ、全く傷ついてないといえば嘘になるが、こんなことでいちいち凹んでたらキリがない)
兄(……女さんも何かしらの思惑があるのか? 俺を退学させたいとか? 別に女さんに何か悪いことした覚えはないけど)
兄(女さんが実際の窃盗犯で、俺に完全に罪をなすりつけて追い出そうとしてるとか? これはわりと腑に落ちる仮説だな)
兄(それとも他のクラスメイトに便乗、もしくは脅されてとか? 純粋に俺に興味があるという可能性もゼロではないかもだが、うーん……)
兄(何にせよ、情報が少な過ぎて仮説もロクに立てられないな。時間と糖分の無駄だ)
101
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 23:55:31 ID:WiQ4ft8A
兄(……しかし、バイト代の月平均が約7万。妹の給食費含む食費が約2万5千円。光熱水費電話代が1万円。種々の雑費が変動はあれどおおよそ1万円以下)
兄(家賃は唯一クソ母親に感謝したいところで、1年間の先払い契約だ。まあ、そうしないと信頼性のない一家に部屋を貸したりもしないしな。実際、男作って子ども捨てて半年もどっか行くような女だし)
兄(テスト期間とかでバイトが出来ない時に備えて2万円は貯金したい。そうすると交際費等にある程度気楽に使えるお金は5千円くらいか)
兄(貯金残高は5万ほど。蒸発したあの腐れビッチが俺の口座から勝手に抜き出してたのが辛いな。春休みの収入がパァになった時は本当に殺意が芽生えた)
兄(……まあ、俺の口座を作るのにかかった費用だと思うしかない)
兄(……正直、今回の遊園地は安くない出費だけど、妹には不自由な思いはさせたくない)
兄(今週は相当しんどかったが、シフトが増えたお陰で少しは余裕が出来たのも結果的には良かったな)
兄(……しかし、はやく大人になりてえ。さっさと完全に自立してしまいたい)
兄(卒業まであと2年弱……か。大きな不測の出費が出たら、もう余力はない)
兄(……不安になるな。何とかなるはずだ。何とかしなきゃいけないんだ)
兄(まあまあ、そんなことよりも妹さまたちは楽しんでらっしゃるかしらん)
102
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/29(金) 23:59:12 ID:WiQ4ft8A
今日はここまでです
ご愛読、レスポンスありがとうございます
103
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/30(土) 02:09:53 ID:KlXIf0Ag
バイト月7万とか頑張りすぎだ…
104
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/30(土) 08:44:35 ID:uW9bseB2
福祉相談受けに行けよ…体壊すぞ…
105
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/30(土) 13:28:17 ID:HMo2KSjo
兄頑張れ
106
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/30(土) 20:39:01 ID:vrKfgdhg
>>大きな不測の出費
フラグじゃないよな
フラグじゃないよな…家賃来年以降どうするんだよ…
107
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/30(土) 22:46:34 ID:mlb17mIk
【遊園地】
妹友「ねえねえ、今度アレに乗ろうよ!」
妹「うん」
少女A「それにしても、混んでるね」
少女B「ねー」
妹「さすが夢の国……遊園地というかテーマパーク?」
108
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/30(土) 22:51:44 ID:mlb17mIk
少女A「あ、マスコットキャラの○ッキーだ!」
○ッキー「芸能界に卒論提出しちゃったンゴwww」
少女B「一緒に写真撮ってもらおうよ!」
妹友「それじゃああそこのお姉さんに撮ってもらお!」
妹「うん」
少女A「あたしのスマホでいいよね」
109
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/30(土) 22:52:25 ID:mlb17mIk
スタッフ「それじゃあ撮るね。はい、ポーズ」
妹「……」ニコ
○ッキー「本当に申し訳ございませんでした」
パシャッ
妹友「ありがとうございます!」
妹「……」ペコ
スタッフ「どういたしまして! 楽しんでいってね」
○ッキー「ゲスの極み、乙女です」
110
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/30(土) 22:53:14 ID:mlb17mIk
少女A「じゃあ、グループラインに写真貼っておくからね」
少女B「はーい」
妹「あ……」
妹友「妹ちゃんには、後でプリントしてあげるね!」
妹「うん、ありがとう」
少女B「……それにしてもさ、今時スマホも持ってないってヤバくない」
少女A「ねっ、遅れてるよね」
妹「……っ」
妹友「で、でもでもクラスにだって持ってない人はいっぱいいるよ」
111
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/30(土) 22:54:04 ID:mlb17mIk
少女A「でも妹ちゃんのお家って貧乏なんでしょ? ママが言ってた」
少女B「あ、うちのお母さんも言ってた」
妹友「そんなこと言わなくてもいいじゃん……!」
妹「妹友ちゃん、いいから」
妹友「……っ」
妹「ね……?」ニコ
妹友「う、うん……」
112
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/30(土) 22:55:24 ID:mlb17mIk
妹友「お腹すいたなー」
少女A「あそこにチュロスの屋台あるよ」
少女B「あたし、ポップコーン食べーたい」
妹友「あのドーナツも食べたいな!」
妹(……全部高い。兄にもらったお金、できるだけ残したいな……)
113
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/30(土) 22:56:17 ID:mlb17mIk
妹友「コスモシャトルに乗ろうよ!」
少女A「えー、怖いからヤダ」
少女B「絶叫マシンとか乗りたがる人の気持ちがわかんない」
妹友「楽しそうじゃん! 妹ちゃんもそう思うでしょ!?」
妹「う、うーん……」
少女A「あたしはパス」
少女B「あたしもー」
妹友「むー」
114
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/30(土) 22:57:50 ID:mlb17mIk
妹友「わあ、このキーホルダかわいい!」
妹「うん。これ、兄へのお土産にする」
少女A「このぬいぐるみかわいいー」
妹「……かわいい」キラキラ
少女B「おっきいね!」
妹友「うん!」
妹「……でも、すごく高価」チラッ
妹友「大きいぬいぐるみってビックリするくらい高いよねー」
115
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/30(土) 22:58:31 ID:mlb17mIk
少女A「これ、買っちゃおー」
少女B「お金もちー。あたし、どうしようかなー」
妹友「えー、親もいないのに、こんな高いの買ったら怒られない?」
少女A「べつにー。パパもママも欲しいって言ったらどうせ買ってくれるし」
少女B「いいなー。うちのお父さん、ケチだもん」
少女A「これくらい普通買えるでしょ」
少女B「じゃ、じゃーあたしも買おうかな」
妹友「えー」
116
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/30(土) 22:59:05 ID:mlb17mIk
妹「……」ジ-
少女A「妹ちゃんみたいな貧乏人は買えないでしょ」
妹「……うん」
妹友「……」ムカムカ
少女B「かわいそー」
妹「……それはちがう」
少女A「は?」
妹「たしかにうちは貧乏だけど、わたしには兄がいる。だから可哀想なんかじゃない」
少女B「イミわかんない」
妹「……分からなくてもいい」
117
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/30(土) 23:00:11 ID:mlb17mIk
少女A「前から思ってたけど妹ちゃんってヘンだよね。いつもよく分からない本ばかり読んでるし」
少女B「ねー」
妹友「……いいかげんにしてよ! もう知らない! 妹ちゃんいこ!」グイッ
妹「あ……」
少女A「ちょっと! どこ行くの!」
妹友「べつこーどー! もういっしょにいたくない!」
少女B「はあ!? アタマおかしいんじゃないの!?」
妹友「わたし、バカだもーん!」ベ-
118
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/30(土) 23:01:44 ID:mlb17mIk
妹「いいの?」
妹友「だって、友だちがバカにされたらイヤじゃん!」
妹「……ありがと」
妹友「いいのいいの! さ、二人で遊ぼ!」ギュッ
妹「……うん」ギュッ
妹友「さあ、コスモシャトルにのろー!」
妹「えっ」
妹友「さあさあ!」
妹「う、うん……」
119
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/30(土) 23:04:49 ID:mlb17mIk
【コスモシャトル】
ヒュォォォ---ッッ!!
妹友「きゃーっ! きゃーっ!」
シュゥゥゥン--ッ!
妹「…………」シロメ
120
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/30(土) 23:31:41 ID:mlb17mIk
今日はここまでです。
>>103
因みに7万の計算は{(850円×4時間)+(1.25×850円×2時間)}=5525←1日のバイト代(1.25は深夜の割増率)
これに日数の12をかけたものと13をかけたものを足して平均を取ると69562円です
>>104
その辺りは本編でできる限りフォローしていきたいと思います
ご愛読、レスポンスありがとうございます
121
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 01:00:14 ID:/4NAHCWo
妹友良い奴過ぎつ
122
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 01:01:27 ID:ORcS/MeU
良い奴過ぎるだった
兄のイジメものちのち解決するのかしら
乙!
123
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 01:18:53 ID:/9Yp/y0o
>>120
乙
当然のように深夜っておい
高校生ェ
124
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 08:00:03 ID:z4aMSvmo
妹友ちゃん…ええ子や…
>>120
妹に惨めな思いをさせないというのが主要、かつ周りの貧困に対する態度がこの有り様なら
最近の生活保護に対するイメージからして、死にかけるぐらい窮まらなければ行かないかなとは思うんだけどな…
親が福祉職で自分も資格勉強中だからか、女が気になって仕方無い
長文すまん、期待してる
125
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 09:43:17 ID:O0TSK6iY
おつんつん
126
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 21:52:21 ID:RiilTRnE
兄「……んー、もう少し漸化式の練習問題を解いとくか」カリカリ
ブ-,ブ-
兄「着信……女さんからか」
ブ-,ブ-
兄「…………」
ピッ
兄「はい、もしもし」
女『もしもし兄くん? こんにちは』
兄「こんちは。どうかした?」
127
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 21:53:15 ID:RiilTRnE
女『家の電話からかけていい? あまり料金がかさむと怒られちゃうから』
兄「分かった」
女『ありがと。ちょっと待ってね』プッ
兄「……なんだ? まあ、電話なら受信側に料金かからないからいいか」
ブ-
ピッ
女『兄くん、ごめんね』
兄「別にいいよ。それで何の用?」
128
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 21:54:41 ID:RiilTRnE
女『特に用ってわけじゃないけど……今は何してたの?』
兄「少し勉強してたよ」
女『真面目だね』
兄「せざるを得ないんだよ。用がないなら切っていいかな?」
女『待ってよ。そんなに私のこと嫌いかな?』
兄「別に好きとも嫌いとも思ってないよ」
兄(不審には思ってるけど)
女『それなら会話くらいしてくれてもいいじゃない』
兄「話し相手は俺じゃなくてもいいだろ」
129
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 21:55:41 ID:RiilTRnE
女『兄くんがいいんだけどな』
兄「どうして? 別に俺は女さんが考えてるような人間でもないし、君が望んでいるようなものは恐らく何も提供できないと思うが」
女『……ふふ、やっぱり兄くんって面白いね。普通の男の子はそんなこと言わないよ、多分ね』
兄「俺みたいなのを面白いという女さんの感性が面白いよ」
女『そうかもね……妹さんは?』
兄「出かけてるよ」
女『そうなんだ』
130
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 21:57:19 ID:RiilTRnE
兄「……」
女『ご飯はもう食べた?』
兄「ああ」
女『何食べたの?』
兄「出来合いソースのパスタだよ」
女『育ち盛りなのにそれだけで足りるの?』
兄「ミートソースと白米って結構合うんだ」
女『炭水化物と炭水化物って……』
兄「カロリーが高いものは美味いという真理があってだな……」
女『それは本当に思うよ」
131
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 21:59:06 ID:RiilTRnE
兄『そして女子力は摂取カロリーに比例するんだ』
女『……その論理でいくと、一番女子力が高いのはお相撲さんだね」
兄「実際、力士って体も柔らかいし、女子力高そうだ」
女『あはは、そうかも。相撲はよく見るの?』
兄「前は結構見てたかな。最近は見ないけど」
兄(夕方からバイトがあるからなー)
女『スポーツとか好きなの? 運動は結構できるって聞くよ』
132
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 22:01:11 ID:RiilTRnE
兄「それほどでもないよ。中学の時は柔道やってた。おかげで耳の形がちょっと変になったかな」
女『あ、たしかに普通の人よりもちょっと出っ張ってるかも』
兄「まあ、そこまで目立つほど酷くないけどね。顧問とコーチが無茶苦茶スパルタで、何度体罰を受けたことか」
女『え、それは問題でしょ……?』
兄「問題だよ。なんど告発してやろうかと思ったことか。あの時期はほんと色々と鍛えられた。憂鬱で仕方なかったけど」
女『すごいね……』
兄「俺も自分で自分を褒めてやりたいよ」
兄(だから、バスケ部の気持ちもよく分かるんだよな)
133
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 22:04:24 ID:RiilTRnE
女『兄くんは忍耐強いんだね』
兄「そんなことないよ。基本的にサボりたいとしか考えてないけど、環境がそうさせてくれないんだ」
女『そうなの?』
兄「まあ母子家庭だし」
兄(その母親は水商売して、挙句に客と蒸発するっていう……世の中のどこに、親の滞納した国保を払ってかつ親の分まで国保を払う子どもがいるんだよ)
兄(そんな親孝行な息子の金を奪るっていうんだから……はあ、もうやめよ)
女『……大変だね。だから特待生で居続けるために勉強してるんだね』
兄「ああ……私立の授業料と施設代なんて払えないからな。一年ごとに継続できるかどうかの審査があるし」
134
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 22:05:14 ID:RiilTRnE
兄(逆に言えば、今年一杯頑張れば、そこまで頑張る必要もない。進学しないってのは、高校からすれば、特待生制度の無駄使いなんだろうけど)
女『そっか……修学旅行は行くんだよね?』
兄「そんなもん行かないよ』
女『えっ?』
兄「そんな余裕ないって。積立もしてないし』
女『……本当に行かないの?』
兄「ああ」
女『……』
135
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 22:07:30 ID:RiilTRnE
兄「ははっ、やっぱり俺が盗難の犯人な気がしてきた?」
女『そんなわけないでしょ。そんな悲しい笑い方しないでよ』
兄「……してたかな」
女『兄くんだって、私と同じでまだ子どもなんだよ。まだもう少し、子どもでいていいんだよ』
兄「……ごめん、切るよ」
女『兄く――』プツッ
兄「子どもでいていい、か」
136
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 22:13:46 ID:RiilTRnE
兄「はは、誰が望んでこんな生活してると思ってんだよ」
兄「持ってるヤツには持ってないヤツのことなんか分からないさ」
兄「俺だってもっと人を盲目的に信じられる子どもでいたかったよ。でも、もう無理だ」
兄「すう……はあ……」
兄「よしっ、やめやめ。俺は妹を幸せにできればいい。妹を幸せにできればそれでいいんだ」
兄(この言い方だと、まるで妹のせいにして自分の人生を犠牲にしてるみたいにも聞こえるな)
兄(だが、資源が有効である以上、優先順位をつけて適切に配分してくしかないだろ。それならば俺より妹を優先すべきだ)
兄(俺は男だ。最悪どうにかなる。その気になれば今みたいに働きながらでも学位を取る自信はある)
兄(だが妹は? 男女平等を唱えたって社会において格差は実在するし、これからもしばらく無くならないだろう。低学歴ならば尚更生き辛いはずだ)
兄(それにアイツはあまり体が強い方じゃない。過酷な労働なんてできない)
兄(それに結婚するにしろ学歴はある程度のフィルタになる。変な男に引っかかるリスクも減らせるはずだ)
兄(何よりも俺は自分の命よりも妹が大事だからな)
137
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 22:14:51 ID:RiilTRnE
【最寄駅】
妹「ただいま……」
妹友「ただいまー!」
兄「おう、お帰り。楽しめたか?」
妹「うん……でも疲れた」
兄「さよかー」
妹「兄、宇宙飛行士にはなるな」
兄「うん? いや、目指してもなれないと思うが」
138
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 22:16:17 ID:RiilTRnE
妹「重力が大きいと人間はあくまで物体だと思い知らされる」フッ
兄「小学生の発言とは思えないな……」
妹友「妹ちゃん、絶叫マシンが苦手みたい」
妹「そ、そんなことない。ちゃんと全部付き合った」
兄「おお、二人ともやるなぁ」
妹友「ただ、一緒に行った子たちとケンカしちゃった。ひどいんだよ!」
妹「そのはなしは……」
兄「もう暗いし、送ってくから歩きながら話そうか」
妹友「うん」
139
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 22:17:24 ID:RiilTRnE
妹友「じゃあねー! また明日ー!」ブンブンッ
妹「……また明日」フリフリ
兄「……帰るか」
妹「……うん」
スタスタ
兄「ごめんな」
妹「え?」
兄「お前に嫌な思いさせて」
妹「そんなこと……」
140
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 22:19:52 ID:RiilTRnE
兄「お前は何も悪くないからな。お兄ちゃんが悪いんだ。また嫌な思いをすることがあったらな、お兄ちゃんのせいだと思ってくれていいからな」
妹「違うよ」
兄「いいから。なっ?」ポンッ
妹「……」
兄「しかし、妹友ちゃんはいい子だよな」
妹「……うん」
兄「まあ、妹さまが一番可愛いけどな!」ギュッ
妹「うっ……はなせ」
兄「シスコンばんざーい!」
妹「きもちわるい……」
141
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 22:36:29 ID:RiilTRnE
今日はここまでです
困ったことに全然話が進まない
>>123
序盤で触れてるのでご容赦ください
ブラックバイト、ブラック企業は健全な経済活動のためにも消滅して欲しいものですね
>>124
実社会においてもスティグマのために生活保護を受けようとしない家庭もいるでしょう
NHKのドキュメンタリーでも困窮した男性が『他所様に迷惑をかけたくない』と申請を渋っている姿があったのを覚えています
私は貧困について非常に浅学ですし、実務的な福祉制度、社会保障制度に至っては知り合いの保健師やインターネットにて情報収集するに留まっているため、専門的に勉強している方からすれば論外な箇所も出てくるでしょうが、その時はご指摘くださると幸いです
勉強頑張ってください
142
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 22:37:14 ID:RiilTRnE
今日はここまでです
困ったことに全然話が進まない
>>123
序盤で触れてるのでご容赦ください
ブラックバイト、ブラック企業は健全な経済活動のためにも消滅して欲しいものですね
>>124
実社会においてもスティグマのために生活保護を受けようとしない家庭もいるでしょう
NHKのドキュメンタリーでも困窮した男性が『他所様に迷惑をかけたくない』と申請を渋っている姿があったのを覚えています
私は貧困について非常に浅学ですし、実務的な福祉制度、社会保障制度に至っては知り合いの保健師やインターネットにて情報収集するに留まっているため、専門的に勉強している方からすれば論外な箇所も出てくるでしょうが、その時はご指摘くださると幸いです
勉強頑張ってください
毎度ご愛読、レスポンスありがとうございます
143
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/01(月) 04:01:39 ID:Kg0qgS8Y
乙
頑張れシスコン…
144
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/01(月) 08:48:29 ID:nfgwAJUs
>>142
貧困分野に限らず、支援が必要な人ほど遠慮されたり嫌がったりするという例はよくあるそうですね
「家族で助け合え」という言葉が裏の意図が勘繰れて嫌いだと親は言います
男が抱えている問題の説明が丁寧なのと、女の意図が読んでる側からも分かりにくいのでつい続きが気になる罠
期待
145
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/01(月) 23:04:25 ID:Qj.5ld6.
【翌日・学校】
兄(あーあ、席が後ろでグチャグチャじゃん。まあ、机と椅子以外ないから楽だけどさ)
マダガッコウクンノカヨ
ハヤクシネヨ
『さっさと消えろ』
『死ねクソドロボー』
『腐れホモインポ』
兄(はいはい、机の落書きは消しましょうねぇ)キュッキュッ
兄(油性で書くのやめろよ。あの担任だと、俺が書いたとか言ってきかねないんだから)キュッキュッ
兄(アルコール消毒薬はさすがに隠さないよな。無くなったら先生に何か言われるしな)キュッキュッ
兄(引き出しには生ゴミか。腐敗具合からして金曜日に突っ込んだのか? これ、俺だけじゃなくて他にも迷惑じゃん。俺が一番迷惑だけどさ)ヒョイッヒョイッ
兄(靴に画鋲の古典的なものから始まったが、今朝はこんなものかね。中もアルコール消毒だな)キュッキュッ
146
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/01(月) 23:07:57 ID:Qj.5ld6.
兄(積極的なのはそのうち飽きるだろうが、陰口とシカトは続くだろうな)
兄(精神的に辛くないかと言われればもちろん辛い。警戒心を強め続けるのも普通に疲れるし……)
兄(でもこんなんで精神的疲労溜めるのもアホらしいし、ボーッとするか)ボケ-
兄(明日は雨予報かぁ……自転車移動が辛いよなぁ……。妹にちゃんと傘持ってくように言わないとなぁ)
ヒョイッ
兄(消しカス投げんな、小学生かよ)パッパッ
クスクス……
キモ-
兄(こんなんで笑えるとか、微笑ましい知能してんな、おい)
兄(うーん、やっぱりそういう言葉を使うと強がりに聞こえるな。なんか負けた気になる)
147
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/01(月) 23:08:52 ID:Qj.5ld6.
兄(……しかし、貧困って連鎖するよな。経路がいっぱいある)
兄(まず貧困家庭は親がろくでもない。虐待やネグレクトが多くなるだろうな。そうでなくても普通の母子家庭でも子どもと親の接する時間は少なくなるだろう。あとはお手本になるような人もいない)
兄(栄養状態も悪くなりがちだろうな。特に幼児期の栄養状態が子どもの認知能力に影響を与えるって実証分析もあるとか。俺の知能も他より劣ってんのかなぁ)
兄(病院とかもだな。国保は払ってるけど、そこまで気軽に行けるような所得じゃない。俺が払わなきゃ、国民健康保険だって滞納が続いたろうな。母親のヤツ、俺が高校に入るくらいから前の男と別れて荒んでたし)
兄(住んでるところも影響あるよなぁ。実際、今住んでるところもあまり治安が良くないし、妹を一人で登下校とか絶対にさせられない。借りてるアパートもボロいしな)
兄(何よりも勉強。現に俺は大学進学の道は絶たれてるし、特待生じゃなきゃ、私立の学校はもちろん、公立も厳しいくらいだ)
ポロッ
兄(だから消しカス投げてくんなっての)パッパッ
148
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/01(月) 23:10:55 ID:Qj.5ld6.
英語教師「それじゃあ、隣の人と一文ずつ交換で音読してください」
兄(出た、ぼっちといじめられっ子を殺す系のヤツ。仲良くない相手、特に異性でもキツいヤツだ)チラッ
クラ女C「……」ハァ
兄(はいはい、こっちを見向きともしないよね、当然だよね)
兄「じゃあ、俺最初に読んでいい?」
クラ女C「……ぇ」
兄「……小耳に挟んだけど、指定校推薦狙ってるんだろ? こんなくだらないことで評定落とすのは損だと思うぞ」ボソボソッ
クラ女C「……最初、どうぞ」
兄「おう――He was brought up in abject poverty……」
149
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/01(月) 23:12:35 ID:Qj.5ld6.
英語教師「じゃあ、どのグループか音読を発表してくれる人いませんか?」
兄「はい」
クラ女C「……ちょっ」
英語教師「お、兄、素晴らしいね。お願いします」
ヒソヒソッ
兄「ほら、立って立って」
クラ女C「……最悪」ボソッ
兄「Moonlight reflecting on the sea shimmered among the small fishing boats」
英語教師「はい、二人ともありがとう。かなり良かったですよ。クラ女Cももう少し声をはっきり出してくださいね」
クラ女C「……はい」
兄(隣の席が扱いやすいヤツでよかったわ。平常点稼いでおきたいからな)
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