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勇者「魔王を倒してから、あれから二十年!」

1以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 04:28:39 ID:yE6jxwRI

勇者「僕は元気にやってます!」

勇者「牢獄の中でなーっ!」

勇者「おはようございます!」

勇者「はい、おはようございます勇者様(裏声)」

勇者「微かに聞こえる雨音からして本日のお天気はやや小振りの雨日和ですね!」

勇者「お腹の減り具合からして大体今は午前十一時頃といったところですかね!」

勇者「不摂生はいけませんよ勇者様(裏声)」

勇者「そうですね気を付けます! 旅をしていた頃は日が出るより早く起きて日が沈む前に寝ていたのにすっかり今や」

勇者「嘘はいけませんよ勇者様」

勇者「はいスミマセンでした! 日が沈む頃に魔法使いとギシアンしはじめて日が出る所に精魂尽き果てる生活してました!」

勇者「おかげで旅のペースが遅れるの何のって! ハハハ!」

勇者「ヒャッホウ!」

勇者「ひゃっほう(裏声)」

116以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/17(日) 21:27:21 ID:J3FZMcS2

勇者「やめまっせん!」

勇者「それではまいりましょう! いきますよ! せーの!」

勇者「ヒャッホウ!」

勇者「ひゃっほう(裏声)」

勇者「Wonderful!!!!(軍団)」

117以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/17(日) 21:31:24 ID:J3FZMcS2
帰ってきた裏声さん、出しゃばってきた軍団さんを締めに今回はここまで。
続きはまたそのうち。

心配されている方々へ。大丈夫、裏声さんは最後の最後まで勇者と一緒です。終身雇用だからリストラなんてないよ!

118以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/17(日) 21:33:34 ID:eiJvVk1Y


119以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/17(日) 21:52:52 ID:5ptEDZTE
乙乙

120以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/17(日) 21:59:12 ID:4hq8xZIQ
おう更に狂気じみてきたな

121以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/17(日) 22:00:54 ID:HSKholrM
魔王起こしちまったな

122以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/17(日) 22:51:50 ID:aZLODOm.
まあやられた事考えると村娘攻撃しないだけでもマシな方なんだろうな
傭兵に村娘一人って組み合わせろくな事にならないだろうけど

123以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/17(日) 23:11:18 ID:gULWtxP2
まあ、こうなるよな、苦労して救ったのに苦痛以外何も与えず更に音も光も話し相手も奪えば絶望通り越して怒りにもなるし破滅思考にもなる。
勇者以外の全人類の自業自得、魔物は果てしなくとばっちりだけど

124以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/17(日) 23:37:43 ID:eWx2BR7Y
村娘の彼氏は残してもいいだろ・・・・

125以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/18(月) 00:20:43 ID:CPoUA2Qk
村ごと凪ぎ払うつもりだけど事情知らない助けてくれた本人だけは妥協して見逃すって程度だろうし仕方無かろう
村が何もしてなけりゃそこまではしなかったかもしれんが

126以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/18(月) 00:59:27 ID:7uOWYT7.
しかもやった方が覚えてないとか胸糞すぎんよ

127以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/18(月) 01:02:52 ID:VZVGvrdM
>>124
勇者幽閉の際に村娘以外の村人は既に居て忘れてるだけの可能性あるし………つまり幼い頃の彼氏君も勇者虐めに加担してたとか

128以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/18(月) 08:34:26 ID:5ihfuyW6
帰ってきた! 裏声さんだけじゃなくて軍団さんまで帰ってきた!!
もうずっといっしょだヒャッホウ!!

ひゃっほう!!(乙軍団)


村長さん村長さん報酬が明朗会計でよかったですね! 現ナマ一括払いできますよ!

129以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/21(木) 02:43:06 ID:PKu9H7PU
思ったが、村娘さんも自棄になった傭兵にゴニョゴニョされて最終的に『勇者と同じ』になるかも………絶望しか見えない話だなぁ

130以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 12:28:17 ID:eygWWnLw
ご声援が一杯! ご感想が一杯! ありがとう!
反応して頂けるたびに顔がニマァっと歪む私が今日も書き足しにきましたよ!

131以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 12:29:03 ID:FdgIJGeI
ヒャッホウ

132以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 12:30:43 ID:eygWWnLw

――勇者と村娘が出会ってから、五日後――

――王都、王宮――

133以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 12:33:45 ID:eygWWnLw

王様「やはり赤ぶどうはアッチ村、白ぶどうはソッチ村が一番かのう」

王様「うむ」モシャ

王様「うむ」モシャモシャ

王様「美味い」

王様「ぶどう酒にするならばまた別に良いものがあるが生食となればやはりこの二つの村が良い」

134以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 12:36:44 ID:eygWWnLw

王様「これからも良いものを造り良きものを頂きたいものよ」

王様「私は果物に目がなくてなぁ」

王様「おかげで果物作りにかけては国から予算を出しもするし」

王様「私自身が作業に加わることもある」

王様「良きもののためには苦労は惜しまぬし、それが高じてか果物の産地はあら方頭に入った」

135以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 12:39:14 ID:eygWWnLw

王様「……して、大臣よ」

大臣「……はっ」

王様「……ドッカ村がなんと申した。あすこはマンゴーが良いな、うむ、またあれから絞った果汁で以て果実酒など一杯、と、思っとった矢先なのだぞ」

王様「そのドッカ村が集団失踪、とな?」

136以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 12:42:08 ID:eygWWnLw

――勇者と村娘が出会ってから、五日後――

――どこかの村へ向かう街道の道中――

137以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 12:44:32 ID:eygWWnLw

勇者「……」チラッ

勇者「ッィヒ、ッヒ、フッ、ブッフッハハハハハハハハハ!」

勇者「アァァァッハハハハハハハハハッ!」

勇者「ハハハハハッ、ハハッ、ハヒッ、ヒヒッヒハハハハ!」

勇者「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」

勇者「ハハハハハァァァ……ハァ……ァー……ッヒ、ヒヒィ」

勇者「ヒァー……ァァー……」

勇者「アー。腹いってぇー」

勇者「うん!」

138以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 12:46:14 ID:eygWWnLw

勇者「やりましたね!」

勇者「やりましたね勇者様(裏声)」

勇者「疲れましたね!」

勇者「身体が鈍っている証拠ですよ、勇者様(裏声)」

139以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 12:48:17 ID:eygWWnLw

勇者「ゴブリンえーと何匹でしたっけ!?」

勇者「184匹です(裏声)」

勇者「184匹!」

勇者「24秒ほど掛かりましたね(裏声)」

勇者「24秒!?」

勇者「掛かり過ぎ! 鈍り過ぎ!」

勇者「鍛え直さないといけませんねコレは! 万が一魔法使いたちがあれからさらに強くなってたら今の僕だと次こそ死んじゃうかもしれませんからね!」

勇者「頑張りましょう(裏声)」

勇者「頑張ります!」

140以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 12:50:06 ID:eygWWnLw

勇者「しかしやってやりましたよ!」

勇者「しかしやってやりましたね勇者様(裏声)」

勇者「ドッカ村!」

勇者「皆殺し(裏声)」

141以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 12:52:16 ID:eygWWnLw

勇者「何故だー何故私達がこんな目にーって!」

勇者「ずっとおっしゃられておりましたね、皆さん最後の最後まで(裏声)」

勇者「二十年前の僕の顔知ってる人が何人か居ましたからもしかしたら思い当たるかなーなんて思ってたんですけど!」

勇者「最後の最後まで誰も思い付かなかったようで(裏声)」

142以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 12:54:04 ID:eygWWnLw

勇者「村長には特別コースなんてものまで用意してさしあげたというのに! ぷんすかですよ!」

勇者「ぷんすかですね勇者様。ゆっくり、ゆっくりと思い出す時間を作ってあげたというのに村長と来たら(裏声)」

勇者「村民を適当にバラしたあとに先ず娘夫妻を解体しましたよね!」

勇者「直ぐに死んでもらっては困りますから解体中も回復魔法を逐一かけてね(裏声)」

勇者「最後のほうはどっちが娘さんでどっちがお婿さんだか解んなくなっちゃって少し困りました! やりすぎた!」

勇者「お孫さんはまだ幼いですからお尻から頭まで突き刺して飾るだけに留めて(裏声)」

勇者「ちゃんと即死させてあげましたよ!」

143以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 12:59:37 ID:eygWWnLw

勇者「村長思い出すどころかマジギレ!(笑)」

勇者「よくもやってくれたなーこの恨み忘れんぞー七代先まで祟ってやるぞーって!」

勇者「恨み節吐くにしても古臭いんですよね! 七代先まで祟るとか僕はじめて聞きましたよ! あんな古臭い言い回し!」

勇者「大体まぁ?!」チラッ

勇者「まぁ(裏声)」チラッ

勇者「ブハハハハ!」

勇者「やれるものならやってみるといいですよね!」

勇者「出来たら感心してしまいます(裏声)」

144以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 13:00:08 ID:eygWWnLw

勇者「でもやっぱり慣れないことは大変でしたよ!」

勇者「魔王との大戦時代に散々見てきましたけどね! 見ているのと実際『造る』のは勝手が違うってもんで!」

勇者「一日がかりの大作業になりましたが滞り無く終われました、さすがは勇者様多芸多才であられる(裏声)」

勇者「あんもうハズカシイ!」

勇者「事実ですけれど面と向かって言われると照れちゃいますよ!」

145以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 13:01:17 ID:eygWWnLw

勇者「しかし何にしても結構!」

勇者「大変結構でございます!」

勇者「覚えていようが忘れていようが構いやしません!」

勇者「どうせやることは変わりやしませんから(裏声)」

146以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 13:02:04 ID:eygWWnLw

勇者「僕を二十年前あんな箱に叩き込んだ連中はとびきり惨たらしく!」

勇者「勇者様がそんな目に遭っているのに無関心だった世界は(裏声)」

勇者「むごたらしくは可哀想なので出来るかぎりサクッと始末します!」

147以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 13:03:06 ID:eygWWnLw

勇者「さすがは勇者様(裏声)」

勇者「あれだけのことがあっても尚未だ慈悲の心があられるとは世界平和賞を受賞しても可笑しくありません(裏声)」

勇者「褒めても何も出ませんよ!」

勇者「ていうか受賞しましたし!」

勇者「二十年前に! 受け取れなかったけど! 世界を救ったんだから受賞確実でしたし! 受け取れなかったけど!」

148以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 13:06:05 ID:eygWWnLw

勇者「おぉっと!?」

勇者「さぁ皆さん!」チラッ

勇者「次の村が見えてきましたよ! ん〜!? 良い香りがしますね!」

勇者「ブドウですかね! ここら一帯はフルーツ産業盛んですからね!」

勇者「皆さんもかつてはフルーツ産業に従事した方も多いでしょうから良心が咎めるかもしれませんが!」

勇者「勇者様のために、行きましょう(裏声)」

勇者「僕のために行ってらっしゃーい!」

勇者「僕が僕のために造った」

勇者「――元ドッカ村の村人衆!」

ゾンビ兵「あ゛―……」

勇者「ハハハハハハハハハハハッッッ!」

勇者「ヒャッホウ!」

勇者「ひゃっほう(裏声)」

149以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 13:09:01 ID:vO7ufoQE
ひゃっほう(軍団)

150以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 13:25:45 ID:eygWWnLw

本日はここまで。続きはまたそのうち。

補足。
ゾンビ兵とはゾンビを鎧やら剣やら武装させたもの、素材提供はドッカ村。

ドッカ村でほぼ唯一助かっている村娘が助かった理由はホントにただ単純に、勇者を塔から出してくれたから、その一点のみ。
もしそれがなかったら今頃村娘もゾンビ兵の仲間入り。傭兵衆はそのおこぼれに預かれて本当に運が良かったというわけですね。

村には二十年前に住んでなかった人や関わっていなかった人も少なからず居ます。村娘と同年齢の子や村娘彼氏など、そもそも生まれてなかった人も。
ただ関わっていた人が大勢居たため纏めてこのような悲惨なことに。

纏めなくても、とか、関係ない人を巻き込まなくとも、と、普通なら考えますが。そういう普通で理性的な判断・思考能力はもう勇者の中にないからね。
仕方無いね。
以上補足終わり!

合いのヒャッホウ入れてくれた人ありがとね!

151以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 13:45:40 ID:e3xHNmdc
村娘はどこに行ったんだ?

152以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 13:50:06 ID:doHWgVgk
正しいとは言えんがやられた事からして仕方ないね
元仲間共と王族の処分が楽しみだね

153以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 13:52:10 ID:ffZG1jVE
ゾンビまで造れるなんて勇者様ってやっぱり天才!

この才能を20年も埋もれさせるとか世界マジ大罪

スーパー断罪タイムひゃっほう!(乙裏声)

154以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 16:07:44 ID:jKwKLFw.
子供は即死させてあげるなんて勇者様優し過ぎィ!

155以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/24(日) 21:24:56 ID:vO7ufoQE
おつん

156以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/25(月) 13:34:05 ID:bL2OI1oo
勇者マークだっけ思い出した

157以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/28(木) 13:20:55 ID:YwyAVb9Q
やったね勇者ちゃん!軍団が増えるよ!(ひゃっほう)



旅の同志だった人たちは一人づつ闇討ちすれば恐るるに足らずだね!

158以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/29(金) 00:44:13 ID:WFouwJxA
まだ魔王ほったらかしにしておいた方が幾分かマシだったろうなぁ

159以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 03:54:08 ID:cttYuro6
私なんかがこんなにご声援や応援を頂いてしまって良いのか!? 嬉しいから良いや!
書き足しにひゃっほうしにきた!

160以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 03:55:15 ID:cttYuro6
――勇者と村娘が出会ってから、一月後――


勇者「睡眠や食糧の補給が要らず、死ぬことを恐れず、頭や心臓など急所を貫かれても術者の魔力があれば動き、当然命令には絶対服従(裏声)」

勇者「とっても便利! ゾンビへーい!」

勇者「しかし一番便利なのはこの一点!」

勇者「低コスト(裏声)」

勇者「そう! 死体とちょっとした技能とちょっとした魔力さえあればいいですから!」

勇者「魔王軍との大戦において彼等より面倒くさいものは四天王と魔王ぐらいでした!」

161以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 03:57:51 ID:cttYuro6

勇者「魔王軍のゾンビ兵はそれに付け加えて、術者の魔力がなくとも瘴気さえあれば自動修復する機能を備えていましたが(裏声)」

勇者「僕のゾンビ兵には自動修復機能がないんですよねぇ残念ながら!」

勇者「瘴気とか操れませんし! 操っちゃ駄目でしょ勇者なんだから!」

勇者「そ・の・か・わ・りぃ!」

162以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 04:00:10 ID:cttYuro6

勇者「魔王軍のゾンビ兵のような自動修復機能がないかわりに! 女神の加護が一つ『蘇生』機能を付けてみましたー!」

勇者「四肢をもぎ取られるなりしてにっちもさっちも行かなくなった場合に限り一度だけ! 五体満足で復活しますよ!」

勇者「僕や昔の仲間達は何度でも復活できましたが!」

勇者「これだけ大人数になると流石に効能薄いです!」

勇者「ゾンビ兵勇者エディションはこれだけではありませんよ! 自爆機能も搭載しております! 結構強力なやつを!」

163以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 04:01:17 ID:cttYuro6

勇者「……だからこうやって、何人か集めて、一箇所に集めて、ボンっとすれば、分厚〜い外壁もあら簡単茹でたトマトみたくペロッといけます」

勇者「ごきげんよう? ソギャン街の皆々様」

勇者「お勤めご苦労、ソギャン街警備隊諸君」

勇者「アッチにコッチ、ドッチにドッカと色〜んな村々+αを全〜部ゾンビ兵にしちゃって驀進中の勇者で〜っす」

164以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 04:02:41 ID:cttYuro6

勇者「流石に村四つも集団失踪なんて事件起こしてればどれだけ愚鈍な国の連中でも腰を上げますよねぇ」

勇者「腰を上げ調べてみたら集団失踪じゃなくてゾンビにされて兵隊代わりに使われてるんですからねぇ」

勇者「しかもソレやらかしてるのはな〜んとこの僕」

勇者「かつて世界を救ったが魔王との戦い以後悪に心を蝕まれて正気を失いつつあった為、ため、えーと」

勇者「ああそうだ、自ら封印されることを望んだってことになっている勇者ときたもんだから驚きですよ」

165以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 04:05:24 ID:cttYuro6

勇者「ああ、途中で立ち寄った村で教えてもらったんですよ、これには僕は僕で驚かされましたけどね。まさかそんな風説を流されていたとは」

勇者「どうでもいいですけどね」

勇者「貴方達からしてみれば今の僕は完璧に悪に呑まれて正気を失ってるってことになるんでしょうねぇ」

勇者「どうでもいいですけどね、ホント」

166以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 04:06:27 ID:cttYuro6

勇者「兎にも角にも今貴方達が防衛線を敷いている相手はこの僕であるということが大事なところです」

勇者「ああ、そうだ、褒めなければいけませんよね?」

勇者「情報がいつこの街に届いたのかは知りませんが」

勇者「わざと中に入れて狭い場所に誘い込んで数で押し潰そう作戦、悪く無いですよ、というか、とてもいいですよ、短い時間でよく考えました」

勇者「精密な動作ができないから狭い場所での戦闘は避けたかったし、自爆もこれじゃ同士討ちすることのほうが多くなりそうだから使えません」

167以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 04:07:52 ID:cttYuro6

勇者「こっちはたかだか村4つ分と一人、そっちはこっちの五倍強、油断しそうなもんですけどね、油断せずに数の理をちゃんと活かそうとする」

勇者「ソレに付け加えて、まぁ、うん、虚を突いたと思ってたんですけどね。四方の門からじゃそうされると思って外壁ぶち抜いたっていうのに」

勇者「あっという間に取り囲まれちゃってこっちが虚を突かれてしまいました、ぶち抜かれそうな壁の薄い所最初から張ってたとはねぇ〜……?」

勇者「貴方の入れ知恵かなぁ〜?」

勇者「せ・ん・し、さ〜ん」

勇者「……ヒャッホウ」

168以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 04:09:53 ID:cttYuro6
ゾンビ兵団が村一個分から村四個分に増えた! そしてお待たせ戦士登場! 今日はここまで。続きはそのうち。
最近またペース遅いから速められるよう頑張ります。

169以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 04:12:28 ID:tOaux3JY
ボス戦だ〜ヒャッホウ

170以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 04:36:57 ID:vIPZOWug
(正気失ってるのは事実だと思うの)

171以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 10:25:40 ID:C4XBq3OI

まぁ、封印したから失ったわけだが

172以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 10:38:06 ID:aRmzbIOw
やったー勇者印のゾンビ兵、出血無料大サービスぅ!

173以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 10:40:33 ID:aRmzbIOw
あ、ひゃっほうし損ねた……

汚い戦士さすがきたない……ひゃっほう

174以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 13:09:17 ID:E04colVs
でも、たぶん余裕だよね、この勇者様、とりあえずゾンビ兵の特性生かせば簡単に数も逆転可能だし

175以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 21:09:19 ID:cttYuro6
ヒャッホウ!

あの、別に無くてもいいけど有っても困るもんじゃないど〜でもいい登場人物一覧が! 何故かパワーアップ(リメイク)されて帰ってきた!
そんなことより本編書けって? すいません書いてます頑張ります!

176以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 21:10:22 ID:cttYuro6
登場人物そのいち。

『勇者』
二十年前、世界を手中に収めんと侵攻してきた魔王軍を討ち果たした英雄たちの一人でありそのリーダー。
しかしその大戦中多くの瘴気に触れ、魔王の悪のカリスマに触れ、正気を失いつつあった為大戦以後は自ら望んで封印された……
ということになっているが実際は世界を救ったという影響力や凄まじい武力を疎ましく思った勇者出生の地アノオー国の国王、
およびその王に金銀財宝や酒池肉林の日々を約束されて目が眩んだ仲間達やその他多くに裏切られて投獄されていた。

二十年後、裏切った面子の一部がうっかりとそのことを忘れて出してしまい、セカンドライフがはじまる。
二十年の獄中生活の間で色々意識の変化が起こったらしく、変化は外見にまで及び白髪レイプ目に、ついでにハスキーボイスになった。おソバ大好き。

現在ソギャン街まで侵攻中。


『裏声さん』
合いの手担当。綺麗なハイトーンボイス。
意外とハスキーボイスな勇者は裏声さんを安定させるのに大分苦労した歴史があるらしい。勇者が他の人間と接触しているときは基本出番がない。


『軍団さん』
そりゃもう軍団相当の多大な合いの手担当。
台詞は少ないが彼等が合いの手を打つ時大地が震える、声がデカすぎて。あと英語で喋る。勇者が他の人間と接触しているときは基本出番がない。

177以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 21:11:32 ID:cttYuro6
登場人物そのに


『村娘』
ドッカ村出身の十四歳と七ヶ月と三日目の処女。
勇者を助けたため勇者に助けられた、ドッカ村最後の生き残り。現在は傭兵衆に護衛されて傭兵ギルドに一時身を寄せたようだ。


『傭兵衆』
ドッカ村がゴブリン討伐のために呼び寄せた傭兵集団の取り纏め役の五人組。
村娘に護衛が必要とのことで生かされている。村娘に暴行を加えるのではと一部で心配の声があがっていたが、何もしていない。


アッチ、ソッチ、ドッチ、ドッカ村の村人衆
ゾンビ兵勇者エディションにされて勇者の手駒として働かされている。
一度だけの蘇生機能付き、数人集まれば分厚い防壁をペロンと剥けるほど強力な自爆機能も搭載。

178以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 21:12:52 ID:cttYuro6
登場人物そのさん


戦士
勇者がレイプ目になった原因その一。勇者の手により右腕と左足をたたっ斬られているため、義腕義足。周りには魔王大戦で失ったと言ってある。
二十年前の推定戦力は(かなり控えめに言って)魔物一軍団相当だったが今は多少衰えている。

二十年後、魔王大戦の功績を買われ、また、自身たっての希望もあり国内の兵士たちに剣術や兵法の指導に力を入れている、アノオー国の〝剣聖〟
五体不満足でありながら常軌を逸したと謳われる剣の腕と、どんなに要領の悪い兵士にも諦めず罵らず付きっきりで指導してくれる性根の正しい性格で人気者。
鍛錬は欠かしていないようで多少の衰えはありハンデがあっても未だムキムキマッチョメンのおじさん。甘いもの大好き。

現在、勇者復活の一報を受け、かつ、たまたま近くにいたためソギャン街へと駆け付けて防衛戦の指揮を採ることに。


僧侶
原因その二。練り物大好き。
魔法使い
原因その三。粉物大好き。
王様
原因その四。フルーツ大好き。


四天王と魔王
かつて世界を脅かした者達。その役は現在勇者に取られた。死体は魔王城に封印されている。魔王はおソバ大好き。四天王はおうどん大好き。

179以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 21:14:15 ID:cttYuro6
しもうた……そのさんだけ人物に『』つけ忘れた……。
ともかく今日はこれだけ。本編はまたそのうち。

180以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 21:40:16 ID:981GxK8I

つまりかつて勇者&魔王VS四天王によるおソバVSおうどんの仁義なき戦いが繰り広げられた…?

181以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 22:54:35 ID:MUmA6hik
片腕片足切られて生きてるのか
色々痛めつけがいが有って良いね

182以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/30(土) 22:54:48 ID:C4XBq3OI
ほう、死体は封印されてるのか

183以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/31(日) 13:41:18 ID:rKDcxuUM
悪のカリスマ(おソバ大好き)ヒャッホウ!

裏声さんの一歩下がって勇者を支える慎ましやかさが好きです

村娘と傭兵衆はラッキー命拾いしたなぁ
戦士の反応がすごく楽しみ
てか裏切者たちはフルーツ白玉ぜんざいでも食べればいいよ

ひゃっほう!(乙)

184以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/31(日) 15:15:38 ID:qackMTWg
乙乙

185以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/01(月) 01:38:00 ID:XBQn0CTM
とりあえず傭兵ギルド達が良心的(?)で良かったね、村娘ちゃん!ひゃっほう!(乙)

186以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/01(月) 14:19:21 ID:fcFCPC3U
あれも死体 これも死体

187以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/01(月) 18:29:52 ID:NUVAiX4.
もっと死体

188以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/01(月) 19:25:23 ID:Mz4fZpJc
もっともっと死体〜(裏声)

189以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 00:53:23 ID:1h4dh4DI
フルーツ白玉ぜんざい……す、全ての要望を満たしているっ? 天才か……。
あ、書き足しのお時間です。ヒャッホウ。

190以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 00:55:45 ID:1h4dh4DI

戦士「……勇者……」

警備隊長「……お久しぶりです勇者様」

勇者「はいはいお久しぶりです警備隊長、二十年ぶりですね、老けましたねぇ、戦士も」

勇者「というか僕のこと覚えてんですね警備隊長。戦士達は兎も角あの頃の人間がよく覚えて、まぁ、ソギャン街は結構長く滞在してましたけど」

191以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 00:57:27 ID:1h4dh4DI

戦士「……」

警備隊長「……あなたに受けたご恩を考えれば当然のことです」

勇者「い、いや、お気になさらず」

勇者「今ちょっと、つい、本気でイラッとしちゃって言葉が詰まりましたが。関係のない貴方は無残に殺したりしませんからね〜。約束します〜」

192以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 00:59:19 ID:1h4dh4DI

勇者「ドッカ村のゾンビ兵以外は綺麗なもんでしょう? なるべく苦しまないよう一撃で仕留めてますからね」

勇者「ドッカ村のゾンビ兵はあっちこっち継ぎ接ぎだらけですけどこれは仕方ないでしょう」

勇者「パーツが足りなくて他の人間から移植したりSAN値チェック必須な外見の方居ますけども、ああほらあれ、全身の皮膚無いの、あれは村長なんですけどね」

勇者「僕の腹の虫が収まりませんでしたから仕方ないでしょう」

193以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:01:17 ID:1h4dh4DI

勇者「まぁ、それはさておいて」サッサッ

勇者「戦(や)りましょうか?」ハイオキマシター

戦士「やはり、そうだろうな」

警備隊長「……考えなおしていただくわけには」

勇者「いきませんねえ。あと、問答には付き合いませんよ?」

勇者「付き合ってると、ほら、色々言われそうです」



勇者「僕みたいな聖人君子がどうしてこんなんなっちゃったか、とか」

勇者「二十年前お助けできなかったことを今でも悔やんでます、とか」

勇者「次はあなたが世界を滅ぼす気ですか、とか。魔王はもう居ないのをいいことに魔王として君臨する気ですか、とか。闇に進まず戻ってこい、とか」

勇者「どうしてもっていうなら言ってもいいですけど付き合いませんからね。いいんですよ、事情なんて知らなくても。知らないまま、死ねばいいです」

194以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:02:48 ID:0.cmmbBI
考え直せって事情知りながら言えるもんなのな

195以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:03:58 ID:1h4dh4DI

勇者「寧ろそちらの方が自然じゃありませんか? 人間なんて死ぬとき死ぬ理由を悟れることなんてそうそうありません」

勇者「たいていは事情も知らず知らないままに死んじゃいます、病気だ災害だなんだってのはソレを見てた人間がそう言うだけで」

勇者「……」

勇者「う〜ん、どうもいけませんね」

196以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:05:28 ID:1h4dh4DI

勇者「自分以外の人間と喋るのは久しぶりでなんだかんだやっぱり嬉しいんですかね、ご主人様のときもそうでしたが喋りすぎで」

勇者「喋りすぎついでに言っておきますが、馬鹿なことをしましたよ」

勇者「馬鹿正直に平原でゾンビ兵と戦り合ってりゃあいいものを……」

勇者「こんなコトされたら僕が剣を抜かざるを得ないじゃないですか」

197以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:07:29 ID:1h4dh4DI

勇者「戦士はいいですよ、別に。元からこの剣でお相手しようと思っていましたからね、ゾンビ兵じゃとてもじゃないけど無理だ」

勇者「けれど何も他の人間までこの剣で相手させるなんて、んもう、兵士にとっちゃ最上級の屈辱じゃないですかね、こういうの」

勇者「襲ってくる相手に、為す術もなく、藁のように刈り取られるだなんて――」

警備隊長「……ゾンビ兵が満足に動けぬ今、脅威として残るのは貴方お一人です」

警備隊長「貴方のお力が尋常でないのは存じておるがこの人数を相手に藁のように刈り取る、とは、些か誇張が過ぎるのではありませぬか」

198以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:09:18 ID:1h4dh4DI

勇者「……」

勇者「戦って死なせてあげたいじゃないですか、仮にも兵士なんだから。ゾンビ兵となら戦って死ねたのに、戦士さんときたら」

勇者「相変わらず鬼畜なんだからぁ〜。僕これでも貴方みたいな人以外は苦しませずに死なせてあげようと思ってるんですよ」

勇者「何もそんなプライドずったぼろにされるような苦しい死に方させることないのにね」

戦士「たしかに、お前の相手はこの場にいる者の中では私以外に務まらぬだろうさ」

戦士「たしかに、お前の力量を鑑みてみればこの場にいる者など私以外稲穂のようなものだ」

警備隊長「……」

199以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:12:06 ID:1h4dh4DI

戦士「しかし、勇者。それはあくまで、すべて、仮定の話だよ」

勇者「ほう」

戦士「お前が彼等の命を刈り取ることなど出来ない、私が居るからだ」

勇者「ふむ」

戦士「そして私はお前に殺されることなど無い。あれから今に至るまでの二十年間、鍛錬を欠かしたことはない」

勇者「おじさんになっちゃってもすっごいムキムキですよね貴方。〝剣聖〟なんていう大層な称号まで貰っちゃって実はちょっと感心してます」

200以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:12:59 ID:1h4dh4DI

戦士「二十年間鍛錬をし続けてきた私と、二十年もの間幽閉されていたお前では、しかしそれでもお前は特別だ、戦いにこそなるだろうが、勝ちはないと思え」

戦士「お前を私が今度こそ討ち倒し、術者の居なくなった哀れなゾンビ共を根切りにして、この馬鹿げた戦争ごっこは終わりにするつもりだ」

勇者「幽閉されていた、とか、他人事みたいに。いや、他人事ですけどよく言うますねーこの子ってば」

勇者「まぁ、公衆の面前ではとても言えませんよね、まぁまぁ、いいですいいです、まぁまぁまぁ、好きなだけ戯言をのたまえばいいですよ」

勇者「それでは、いざ」

201以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:16:19 ID:1h4dh4DI

勇者が、ボロ布のような囚人服に巻いたポロキレのような布のベルトに差してある剣を抜く。

かつて手に携えた聖剣でもなければ大戦期の冒険中に手に入れた魔剣でも無く、なんの変哲もない数打ちの剣。
ゾンビ兵を調達しているときに回った村々の、小さな小さな武器屋から持って来たのだろう。

対して。

戦士が抜くソレは大戦期後半より今の今まで持ち堪えてきた、四天王の一人に止めをくれてやったこともある、魔王の片腕を落としてやったこともある、
彼のために用意された彼のためだけの豪剣にして世界一とも言われる鍛冶師渾身の一作であった。

勇者の身体は、二十年もの間幽閉されていたにしては骨張ることもない、いや、それどころか非常に血色もよく均整の取れた肢体である。
着ているもののせいでその筋肉が如何に発達しているかも見て取れるが、そして、何故かあの頃と殆ど変わらぬ容姿であるがしかし、細い。

戦士の身体は、二十年の歳月があるせいか流石に大戦期よりは多少体格が小さくなったものの、それは誤差の範囲内。
分厚い衣類と鎧越しでもわかるほど、これでもかと言わんばかりに人体に肉を詰め込みバランスを取らせればこうなるという極限の修練が見て取れる肉体。


現代まで積み重ねてきた修練の差と、単純に物の良し悪しという装備の差は、歴然である。
――傍目には、だが。

202以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:20:28 ID:1h4dh4DI

戦士「!」

警備隊長「――」


近づくために踏み込んで、斬るために振る。
剣術がどうというより、武器を振る上で基本である。その基本動作を勇者が行ったことを認識出来たのは戦士、唯一人であったが。戦士でさえ、反応は出来なかった。

一太刀目は、足払い。
戦士の、人間というよりは野生動物染みた太い足を、鋼鉄が仕込まれた義足を、溶けたバターを削ぐように切り払った。
返す太刀は逆袈裟である。
これによって警備隊長の胴体もまた紙切れのように裂き、続く、三の太刀四の太刀と続く、続く続く、風よりも尚疾く――……
警備隊長が絶命するまでに、戦士の足から血が吹き上がる前に、彼等の周りを取り囲む親衛隊達も全て、斬り殺されたと覚える間もなく、切断された。

203以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:22:39 ID:1h4dh4DI

勇者「……」

勇者「プフゥ」

勇者「良い汗かきました」

勇者「お水が欲しいところですが、大丈夫。僕、水分不足には慣れてます。にしても、まぁ」

勇者「わざわざこんなところまで来るのに一ヶ月近く掛かるとか本気で思ってたんですかね」


時間にしておおよそ五分後。
勇者が爽やかな笑顔を浮かべ、額に浮かぶ汗を拭いながら一息つく頃には、彼の他には戦士以外そこに生きているものは居なかった。

204以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:24:42 ID:1h4dh4DI

勇者「ゾンビ兵の作成に時間が掛かった?」

勇者「ノンノン」

勇者「一作目は三日もかかりましたがコツは掴めましたからもう半日もあれば街一つぐらいは軽く」


勇者「ゾンビ兵を連れているから道行に時間が掛かる?」

勇者「ノンノン」

勇者「無理して走らせればこんな整備された街道一週間で走破出来ます。壊れたら直せばいいのです、自動修復機能こそありませんが、作者ここに居るんですから」


勇者「僕の力が衰えた?」

勇者「ハーフノン、ハーフイエス」

205以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:27:03 ID:1h4dh4DI

勇者「僕はたしかに衰えましたが、ならば力を取り戻せばよいだけの話」

勇者「ただ幸いにもこの身体はあの頃の儘、あの大戦を戦い抜いたあの時の儘、今もこうしてここにある」

勇者「身体は問題ないなら技量の問題ですが、一度は覚えた自転車の乗り方を二十年乗ってないからって忘れる人は居やしませんから」

勇者「覚束なくはなりますがね。それを確りさせるだけなのでたいした時間は掛かりやしませんよ。一週間ちょっとぐらいだったかな」

206以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:28:19 ID:1h4dh4DI

勇者「ここで問題」ザクッ

戦士「ぐぁ……!」ブシュッ

勇者「問題っつってんですから答える努力しましょうね〜戦士〜」

勇者「何そっちのけで止血作業して転送魔法使おうとしてんです」

勇者「足ぶった斬られるのは二回目ですからさすがに慣れてるところは褒めますけどね。太腿を穴だらけにされたくなかったら無視しなーいのっと」ズボッ

207以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:29:43 ID:1h4dh4DI
勇者「ああ、そうだそうだ、忘れてた。ゾンビ兵共、邪魔者は居なくなったんで食事してらっしゃい」ユビパッチン

ゾンビ兵「あ゛ー……」ゾロゾロ

戦士「な!? ま、まて、止めろ! この街にどれだけの人間が居ると……!?」

勇者「はーい、いってらっしゃい。いいですかー。生きたまま食べちゃ駄目ですよー。殺してから食べなさいねー」

ゾンビ兵「あ゛い゛ー……」

戦士「勇者! 止めさせろ! こ、答える! 問題でも何でも答えるから!」

208以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:31:57 ID:1h4dh4DI

勇者「はい? 出血多量でただでさえ回転悪い頭が余計悪くなってません?」

勇者「別に貴方が答える答えないに関わらず最初からこうしますって」

勇者「戦争ごっこだって言ってたじゃないですか、ご自分で。負けたら滅ぼされる、ごっこにありがちな安っぽい結末で実に申し訳ない、ハッハッハ」

勇者「何話してたんでしたっけ?」

勇者「ああそうそう!」

勇者「ここで問題!」

勇者「僕は今まで何してってあの戦士さん。そんな顔で睨まないで問題に答えないとって話進まないでしょーが!」ザクッ

戦士「ぐぅぅぅっ!」

209以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:33:42 ID:1h4dh4DI

勇者「わかってます!? 何のかんの人と話せて嬉しいって! 言ってるじゃないですか! 貴方相手でも結構嬉しいんですよ! 話させて下さいよ!?」ザクザクザクザクザクッ!

戦士「ぐ、ぎ、ぎぃぃぃ、っぁ!」

勇者「僕あんまり回復魔法得意じゃないし! あんまり刺してると死にそうだし! 加減して刺すの結構難しいんですよ! 軟弱な人間相手だと尚更ね!」ザクゥッ

戦士「ぎぃぃぃぁぁぁあああああ!?」

勇者「あ、ごめんなさい、狙い違えて金的刺しちゃった」

勇者「そ〜れ回復魔法〜」パァァァ

戦士「っは! は……!」シュゥゥゥ

210以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:35:58 ID:1h4dh4DI

勇者「まったく手の掛かる人ですねぇ」ナオシタラー

勇者「もういいです、戦士の馬〜鹿〜」スカサズサスーザクー

勇者「他の人と話すからもういいです。それに答えの一部これから呼びますし。ええと、そうですねぇ、最後に何か言うことはと……」

戦士「ぐっくぅ! ……ふぅ……フゥ……最後……フ、フフ……殺すということか……?」

211以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:38:01 ID:1h4dh4DI

勇者「二十年っていうのは本当に、本当に本当に怖いですよね。いやあ、覚えててもらったのはいいことなんですけれどもね」

勇者「思い出が美化されすぎじゃないですか、戦士」

勇者「一人じゃ四天王一人も殺せない男が」

勇者「裏切る筈がないとのほほ〜んと油断してた馬鹿一人を、三人掛かりで不意打ちしてようやっと動きを封じるのが精一杯だったうちの一人が」

勇者「よくもまあ、たった一人で立ち向かおうと思ったものですよ。圧倒したみたいな感じで記憶書き換えてません?」

戦士「……くっ」

212以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:39:17 ID:1h4dh4DI

勇者「正直、いやまあ、嬉しいは嬉しいんですよ、これからも恙無く戦争ごっこ出来ますけどね。ただなんていうか警戒してた僕が馬鹿みたいだな〜って」

勇者「僕が警戒してたのはあの時より強くなってる可能性のある貴方達三人であって、こうなったら、もう、ねぇ?」

勇者「……わざわざ彼等蘇らせる必要無かったかな」

戦士「……彼、等、だと? ど、どういう、ことだ」

勇者「ああ、いいですいいです、直ぐに紹介しますから。で、貴方の処遇ですが殺しますけど楽には死ねませんよ?」

勇者「とりあえず〜」

213以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:41:29 ID:1h4dh4DI

勇者「改造しましょう!」

勇者「手駒にしちゃいましょう!」

勇者「僧侶あたりにはかなり効くんじゃないですかね!? 今もまだ続いてるんでしょ〜!? 貴方達!」

214以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:42:52 ID:1h4dh4DI

勇者「今も戦士の右耳についてるイヤリングからこっちのこと伺ってますもんね!? 遠視ですか! 此処に来てないってことは間に合わなかったのかな!?」

勇者「それとも戦士みたいにチョコラテ並の甘い脳みそになってて! 戦士一人で十分だと思ったかな!?」

戦士「な!? い、いつ、いつから気付いて……」

勇者「ハハハハハハ! どっちでもいいですけど! 僧侶! ちゃ〜んと見てなさいね!」

勇者「では貴方を改造します! 貴方ほど強い人間を改造するのは僕一人では手に余るのでお越しいただいたのはこちら!」ハイ、ココデテンソウジンッ

215以下、名無しが深夜にお送りします:2015/06/03(水) 01:45:39 ID:1h4dh4DI

勇者「大戦期においてゾンビ兵を作って作って造りまくった、ちょっと認めるのは癪ですけど、流石に僕とは年季の違う人体改造のエキスパ〜ト!」

勇者「元魔王軍!」

勇者「の大将軍!」

勇者「ていうか幹部の!」

勇者「土の四天王!」ジャジャーン

土の四天王「うぃーす! おぃーす! ひっそしぶりデッス戦士=サン!」センスフルイッスネ、デモ、ジャジャーン

戦士「んなぁぁぁっ!?」

戦士「つ、つ、つ……!?」


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