したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

みんなで文才晒そうぜ part2

665「目薬」:2019/02/02(土) 17:23:49 ID:AXDv511Q
 花粉症の辛さは多くの人がわかってくれると思う。そして多くの花粉症患者は花粉症じゃない人を

羨み、嫉妬しているはずだ。別に心が狭いとかそういうのじゃない。たぶん。

「そんなあなたに」こちら。といって紹介された魔法の目薬(パン屋のポイントカードと交換)を手に

私は迷っていた。この目薬を一滴垂らした瞳で相手を見れば、たちまちその相手は花粉症になってし

まうという魔法(呪い)の目薬。

 本当に使ってもいいのだろうか。確かに私は毎年のように、この辛さを皆も味わえばいいんだと思った。でも、思ったこととそれを実行することとは別だ。この目薬を使えば、沢山の人が地獄を味わう。
 悩んだ末、私はその目薬をそっと机の引き出しに仕舞いこんだ。この辛さを知らない人の幸せを奪

う権利は誰にもない。私の分まで春を謳歌して欲しい。きっと、これでいいのだ――

 後日、

「あんたの机にあった目薬いつの? 全然効き目ないんだけど」

「わぁああ゛あ゛っ!? 何してんの糞姉貴ぃいい!!」

666以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/11(月) 00:13:10 ID:DY/2TerY
かわいいお話ですね
ただ説明や補足がどの設定にも無いから話全体が薄っぺらいと感じちゃいました
次のお題は隣でお願いします

667「隣」(1/2):2019/04/09(火) 18:46:46 ID:/aAF7he6
 事故物件に住むバイトという都市伝説をご存じだろうか。家賃どころか住んでてお金が貰えるなんて凄い話だが、冷静に考えるとまずありえない。法的なことに目を瞑ってもまだ問題があるのだ。
 問題となるのは期間。ひと月か二か月か、それくらい住んで何もなければ晴れて何もなかったと言い張れるとか。でも、住居が欲しくて始めたバイトなのに二か月住んだら職も住居も失う。バイトを続けても二か月ごとの引っ越し、不便すぎる。だから、私はそんなバイトが実在するなんて思いもしなかった……

「ここがそうです。一階につき四部屋、計八部屋。まずは102号室からお願いしますね」

 まさか今時あの程度の地震で部屋が倒壊するとは思っていなかった私はダメ元で後輩君に相談した。どこかミステリアス君だとは思っていたけど、割とすぐにこんな怪しげなバイトを見つけてくれた。正直怪しすぎるのだが、今の私に頼れる伝手は少ないし都合もよかった。
 まずバイト先の物件、なんとこのアパート全室が訳あり。101を除き一部屋二か月ずつ住んで、計一年と二か月。大学卒業までは足りないけど、住むこと自体が仕事なら他のバイトも掛け持ち可能。家賃は問題なく稼げる。
 不気味さはあったけど私から後輩君に持ち掛けた相談だということもあり、このバイトを受けてしまった。

 バイトを始めてから二週間目。何の怪現象も起きない。ただ、管理人室すらも人の気配がない。詳細は聞いてないけどそれ相応の何かはあったのだろう。気にはなるけどこれからも聞かないほうがよさそうだ。
 バイトを始めてから一か月目。心配になったのか後輩君が様子を見に来た。もっと早く来て荷物整理手伝ってくれるようだったら後輩君もモテただろうに。あと清めの塩とかいらないから。

 バイトを始めてから二か月、「この調子でよろしくお願いしますね」と不動産の人が隣の鍵を渡しにきた。103号室に移ってから一週間もすると早速102号室に入居者がきたらしい。何も怪現象は起きなかったし部屋は中々よかったから不思議ではない。
 三か月目、やっぱり怪現象なんて起きない。もしかして私に霊感がないだけ? ちなみにまた後輩君が来たけど後輩君も今までの人生で心霊体験とかはないらしい。

 バイト生活四か月目。新しく始めたバイトで覚えることが多くてすっかり忘れてたけど、不動産の人が隣の部屋の鍵を渡しに来た。隣の部屋に移る、104はないので105号室。履歴書に部屋番書けないよねこれ。
 バイト生活四か月と三日目。102の人は私が普通に103号室に住んでると思ってたらしく妙に驚かれた。バイト内容聞いても気分悪くするだけだろうし、単に全部屋に欠陥がないか実際に住んで試すバイトしてますとだけ言っておいた。

 バイト六か月目。今回は私が105号室に住んでる間に103号室の入居者は決まらなかったらしい。今回は隣に移るんじゃなくて二階だ。今回も何事もなく201号室の鍵を渡された。
 バイト六か月と一日目。荷物二階に上げるのがつらい。でも後輩君が覚えててくれて手伝いに来てくれた。後輩君最高ご飯奢ってあげる。あと手土産のおはぎ美味しかった。

 八か月目。このアパートの階段は何故か奥にあって、201号室が一番歩く。疲れたバイト帰りには設計者に殺意すら覚える。相変わらず怪現象起きないし、この適当日記も書くことないけど、一応変わったバイト経験談として記録しておく。隣の202号室に移ろう。
 八か月と一週間目。誕生日ということで腐れ縁どもが押し寄せてきた。事故物件だと知っていながら酔って騒ぐ馬鹿どもだ。下に人住んでるのに、102の人ごめんなさい。幸いリバースした奴もいないし、騒ぎで霊が怒って怪現象が起きたりもしなかった。102の人にはバイト先のアイスを渡してお詫びに行く。あと後輩君に強いの飲ませた馬鹿、アルハラで訴えられたら負けるぞ。

 十か月。いつの間にか101号室に管理人さんがいた。問題なさそうだからと住み始めたらしい。今回は管理人さんに鍵を渡された。あと103号室と105号室にも入居者が決まったらしい。下の部屋に誰も住んでない間は騒ぎ放題じゃね? とか言う馬鹿は首を絞めておく。あと隣の203に荷物を移すのを手伝わせる。今回は後輩君も手伝ってくれたのでかなり早く終わった。後輩君はこの馬鹿たちに染まらないで。

 今日で丁度一年。最後の部屋、205号室の鍵を渡される。正直管理人さんよりも102の人の方が付き合い長いから「折角仲良くなれたのに寂しくなるねぇ」とか言われても微妙だけどあと二か月でこのアパートからお別れだというのは事実だ。家賃払って住み続けてもいい気もしてきたけど、事故物件じゃなくなったらそんなに家賃は安くならないだろう。安い物件探さないと。

668「隣」(2/2):2019/04/09(火) 18:47:48 ID:/aAF7he6
 一年と、二日。102の人が亡くなったらしい。それで何故か管理人さんは私を疑ってる。事故が起こればまたこのバイトができるから? 流石に本当に人が死ぬような場所には住みたくない。警察の人は普通にお風呂での事故だといってたけど変に疑われるのも嫌だし、というか私にバイト続行の指示が出るとは思えないし予定通り二か月後には出ていくと宣言。
 一年と、六日。103の人も亡くなったらしい。さすがに変だと鑑識さんとかがドラマみたいに色々調べてたけど、結果は密室での事故。それでも私が合鍵作ったのではとか疑われ、警察に任意同行を求められた。断るなら断る理由があるとみなす、とか、行くしかないじゃん……
 一年と一週間。私の取り調べ中、また密室で105の人が亡くなったらしい。もう流石に私も偶然だとは思えない。一応、取り調べ中という完全なアリバイができた私は無事解放された。帰ると101号室に管理人さんはいなかった。正直もうここには住みたくなかったけど、不動産の人から電話で「バイトを降りたら違約金を払ってもらう」とか一方的に宣告される。いくらグレーゾーンとはいえバイトなのだから辞める権利はあるはずだけど、私はもう冷静ではいられなかった。怖かった。

 気づいたら、泣きながら後輩君に泊めてほしいと頼み込んでいた。

「先輩……あの、先輩は特に何もなかったんですよね? つまり、先輩は安全のための条件を満たしていた、ということなんじゃないんですか?」

 自分以上に取り乱している人を前にすると冷静になるというのは本当なのか、意外なほどに後輩君は頼りになった。何故私が無事だったのか、何故亡くなった人たちは今までは大丈夫だったのか、それがわかれば安全を確保できるかもしれない。私はその言葉に必死になってこの一年を思い返すけど、何も心当たりはなかった。
 私はいつ死ぬのだろう。最近はそんなことばかり考えながら怯えている毎日だ。もう少しの間は後輩君の所にお世話になれるけどいつまでも居るわけにはいかない……

 あれから三週間。私はいまだ無事に生きていたけど、恐怖は消えない。私が無事な理由、他の人が死んでしまった理由を考え続けていた。そんな有様ではバイトで接客中も上の空、クビかと思ったら店長さんと先輩たちに囲まれて何かあったのかと訊かれた。どうにも私より前にバイトしてた高校生の男の子がストーカー被害で重い後遺症を、ということがあったらしい。事情を説明すると皆が違約金払ってでも引っ越しなさいという。お金より命だと。

 後日、店長さんたちが事故にあった。トラックがお店に突っ込んだらしい。お店に突っ込んだトラックは思っていたよりも形が残っていて、逆にお店は外から見ても酷いことになっていた。トラックの運転手は病院で亡くなって、店長さんたちはまだ意識が戻っていないとか。私は、これが偶然だなんて思えなかった。

 事故物件バイト最終日、だったはずの日。一年と二か月の間、私は無事だった。きっとこのアパートは私を逃がしたくないんだ。別の不動産で新しく安い部屋を借りようとしたら火事でその部屋が駄目になったし、今まで住んでも私に直接被害はなかった。そして私が出ていくときになって新しく事故が起きて、違約金を払ってでも出ていくべきだと話した店長さんたちが事故にあった。きっとそういうことだろう。
 バイト最終日だというのに、ヤクザみたいな人を連れて事故物件バイトをまた初めから頼もうとしてきた不動産の人にそのことを話す。不気味で現実的ではない話。私はもうこんな事故物件とは関わりたくないけど、また周囲の人が傷つくかもしれない。

「だから、バイトじゃなくていいです。家賃を安くしてくれたら、住みますから……」

 結局私は、一応もう一回事故部屋を経て101号室に住むことになった。その後の入居者も含めあれから事故なんて起きていない。

「……先輩、ごめんなさい……あんなバイトを紹介したから、」

「大丈夫、きっと何とかなるって」

 不動産の人が言うにはこのアパートは近々取り壊して一軒家を建てるそうだ。取り壊し中に事故が起きず、アパートがなくなれば私は解放されるのだろうか。何にせよ一軒家なんて私には荷が重いから、そこからはもう私は関わらないほうがいいだろう。たとえ、その後一軒家で不審死している人をお隣さんが発見するようになったとしても……
 バイト前は大学卒業したら上京でもしようかと思っていたし、後輩君と、単位足りなくてまだ大学生やってる馬鹿どもの卒業に合わせて皆で上京するってのも、悪くはないかもしれない。今日も私は後輩君を隣に引き連れ店長さんたちのお見舞いに行く。

669以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/09(火) 18:49:25 ID:/aAF7he6
>>666
感想どうもです。遅くなりましたけど今回のお題は薄っぺらいと言われないよう意識して書いてきました。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板