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( ^ω^)達はアインクラッドを生きるようです。

1名も無きAAのようです:2016/05/27(金) 22:01:24 ID:mYwEn/c20
立ったら投下できる。

102 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:20:33 ID:oGAfG2hk0

(-@∀@)「ございませんか?」

大き目な厚い眼鏡をかけた優男で学者然とした目の前の男が、
実はかなりのやり手だったのは、
嬉しい誤算というよりも、
意外過ぎて「驚いた」などという言葉では言い表せないほどだった。

特に伊達や流石家の夫婦、
そして実子ではないが甥の為にその場にいた渋澤といった、
一部の地域の一部の者の中では有名人な者達と対等に、
時には上回って渡り合うその姿は一部の者には驚きを隠せないほどだった。

<(' _'<人ノ「あ、あの。よろしいでしょうか」

(-@∀@)「はい。高崎さん。どうぞ」

<(' _'<人ノ「あ、その、前もお聞きしたんですが、
本当に、その、費用の方は宜しいんでしょうか」

(-@∀@)「はい。大丈夫ですよ。
すべて国からのお金で賄っております。
あとで皆さんに請求するようなことはありませんので、
ご安心ください」

<(' _'<人ノ「あ、で、でも、他の病院の方からお話を聞くと、
こちらほどの看護は受けていないようなので」

(-@∀@)「皆さんのご家族に使用している機器や諸々のものは、
私のつてで仕入れた最新鋭の物です。
平たく言えば、日本以外では実用化されていたり、
研究室の中では問題なく動作が確認できているものを、
特別に使用させていただいています。
もちろん最初は私の愚息やご家族に承認をしていただいた何名かでテストをしてからですが。
ここまでは、よろしいですか」

<(' _'<人ノ「は、はい。お聞きしておりますので」

(-@∀@)「重複した内容で申し訳ありません。
そこでですが、ここで得たデータ。
つまり機器を使うことによってどのような変化が起きているかというデータを、
研究室や開発会社に送ることになっています」

.

103 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:24:32 ID:oGAfG2hk0

<(' _'<人ノ「え、そ、それは!」

朝日の言葉でざわつく会議室。

しかし彼は、室内を微笑みながら見回す。

次第に波が引くように静かになった。

(-@∀@)「もちろん、送るデータも私の愚息と、
先にご家族に了承をいただいている数名の方の分だけです」

全体的に安堵の吐息が漏れた中、
朝日は続ける。

(-@∀@)「データを渡すことにより、
『研究』や『試験』という意味合いを持たせることが出来、
費用を抑えることが出来ております。
これは余談ですが、そのデータを活用することにより日本での認可が早まったり、
他の病院に広めることも可能になるかもしれません」

朝日は続ける。

(-@∀@)「と、言うわけで、費用に関してはお気になさらないでください」

<(' _'<人ノ「は、はい。ありがとうございます」

|(●),  、(●)、|「ま、足りない分はマシログループが出してくれているんだろうけどな」

伊達の呟きは朝日の耳にも届いたが、
質問とは受け取らなかったため表立ったの反応はしなかった。

∬´_ゝ`)「あの、よろしいですか?」

(-@∀@)「はい、流石さん」

∬´_ゝ`)「送るデータには、個人情報は含まれているのでしょうか?」

.

104 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:25:43 ID:oGAfG2hk0

(-@∀@)「名前や外観、写真等ですね。
そういった物は送りません。
あとは機器の種類によって違います。
例えば筋肉量を減らさないための装置ならば、
性別、年齢、血液型。体重や筋肉量、血流のデータなどを送ります。
ご要望なら表にしてお見せしますが中には極秘の内容もありますのでお渡しすることは……」

∬´_ゝ`)「もしよろしければ、うちの二人のデータも利用していただければと思いまして」

(-@∀@)「!よろしいのですか?」

∬´_ゝ`)「この病院にはよくしていただいておりますから、
それくらいはご協力できればと思いまして。
それに、一人はそういうのが好きでしたから、喜んで協力しそうでして」

l从・∀・ノ!リ人「おっきい兄者はまっどさいえんてぃすとってのになりたいって言ってたのじゃ!」

∬;´_ゝ`)「ちょ、未花、変なこと言わないの!」

l从・∀・ノ!リ人「だってほんとなのじゃ!」

∬;´_ゝ`)「小学校の文集に書いてあった夢だから!
高三にもなってそんなこと言ってたら色々危険だから!」

慌てて未花の口を押える市香。

笑いに包まれる会議室。

∬;´_ゝ`)「と、とにかく、一度詳しくお話を聞かせてくださいますか」

(-@∀@)「そうですね。
本日は準備が整っておりませんので、
早急に資料を用意いたします。
準備が出来ましたらまたご連絡をさせていただきます」

∬´_ゝ`)「はい、よろしくお願いします」

|゚ノ ^∀^)「あ、宜しければこちらもお願いします」

.

105 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:27:58 ID:oGAfG2hk0

(-@∀@)「森本さん。はい。わかりました」

市香の発言に怜奈が追従すると、
参加者のほとんどが同じように説明を求めた。

<(' _'<人ノ「あ、あの、私もお願いいたします」

(-@∀@)「皆さんありがとうございます」

深く頭を下げる朝日。

(-@∀@)「それでは準備が出来次第ご連絡させていただきます。
先程も申しました通り極秘としている内容もありますので、
個別、もしくは幾つかのグループに分けて説明をさせていただきます。
皆様同士でご相談していただくのは問題ありませんが、
外には漏らさぬようお願いいたします。
また、データの提供はもちろん強制ではありませんので、
少しでも納得のできない点がありましたらお申し出ください。
説明は、説明。
データ提供の有無は説明を聞いた後にゆっくりと判断してください。
もちろんデータ提供の有無で看護に優劣なども付けませんので、
その点についてはご安心ください」

流れるように話す朝日。

その淀みない口調にほぼ全員が大きく頷いた。
 _、_
( ,_ノ` )「一つ、聞いていいか?」

(-@∀@)「はい。渋澤さん」
 _、_
( ,_ノ` )「今のあいつらの状態で、何年生かすことが出来る算段を立ててる?」

渋澤の質問に、部屋の空気が凍った。

しかし朝日は全く気にせず、
先程と同じように滑らかに話し始めた。

(-@∀@)「『生かせる』という言葉に沿うかわかりませんが、
『生きている』だけならば老衰まで、寿命まで可能です」

.

106 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:29:02 ID:oGAfG2hk0

朝日の言葉に息をのむ会議室の面々。

(-@∀@)「しかし、それは『生命活動を行っている』だけです。
目が覚めたその日に手を握り、上半身を起き上がらせ、
膝を曲げることが出来るようにするのは、
今の技術では……。
もともとの筋肉量にも寄りますが、最長で五年。
それが、限度だと私は考えます」

今までどこか優しげだった朝日が、
表情を引き締め、
声すらもきつめに断言した。

驚きを隠せないでいる者たちの中で、
声をかけたのはやはりこの男だった。

|(●),  、(●)、|「五年。たった五年なのか?」

(-@∀@)「はい。これでも長くなった方だと思いますが、
『今の技術』では、限度です」
 _、_
( ,_ノ` )y━・「『今の技術』ってことは」

∬´_ゝ`)「おじさん、タバコ」

思わず手にしたタバコを見咎める市香。
渋澤は口にする前にテーブルに置いた。

(-@∀@)「はい。技術が進歩すればもっと長くできると思います」

再び表情と口調を緩める朝日。

室内の雰囲気も穏やかになった。

(-@∀@)「ですが、実は私はそれほど心配しておりません」

朝日を除く、
いや、前々から聞いている徳永を除いた全員が不思議そうに朝日を見た。

.

107 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:31:23 ID:oGAfG2hk0

(-@∀@)「あと四年、いや、あと二・三年で全員起きると思っていますので」

ニッコリとほほ笑んだ朝日。

驚愕の中、再びこの男が口にした。

|(●),  、(●)、|「何故、そう思う?」

(-@∀@)「それだけあれば、
うちの馬鹿息子とその大事な仲間がゲームをクリアしますから」

先程とは違った意味で空気が凍った室内。

J( 'ー`)し「あらあら。
医院長ったら言っちゃった。
あれでいて親バカなのよねぇ」

l从・∀・ノ!リ人「おっきい兄者とちっさい兄者もクリアするのじゃ!」

呆れたように呟いた徳永と、
元気よく叫んだ未花以外が、
唖然として朝日を見ていたのは致し方無いことだろう。







.

108 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:33:52 ID:oGAfG2hk0

アインクラッド



バーボンハウスを目指して歩いている四人。

爪'ー`)「『バーボンハウス』、か……」

|  ^o^ |「どうしたのですか?」

爪'ー`)「いや、最初見た時には同じ名前だなって思っただけだったけどよ」

( ´ー`)「おれは向こうの店には行ったことないだーよ」

爪'ー`)「お、そうなのか?」

|  ^o^ |「私も入ったことはないです」

爪'ー`)「そうだったのか」

|  ^o^ |「フォックスは常連だったのですか?」

爪'ー`)「いや、常連って程通っては無いな。
シャキンとちゃんと会ったことなかったし」

( ´ー`)「プギャーはシャキンと面識があっただーよ」

爪'ー`)「そうなのか?」

( ^Д^)「……ああ、まあな」

|  ^o^ |?

( ´ー`)?

爪'ー`)「どうした、口淀んで」

( ^Д^)「ホント空気読まないなお前は」

.

109 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:35:09 ID:oGAfG2hk0

爪'ー`)「読んで聞かなくって勝手な想像されるのとどっちが良い?」

( ^Д^)「はいはい」

爪'ー`)「で?」

( ^Д^)「……姉貴が働いてるからよ、その関係で何回か会ったことがあるってだけだ」

|  ^o^ |「え!?」

( ´ー`)「え!?」

爪'ー`)「ほう。って、なんだ、
ブームとシラネーヨも知らなかったのか」

( ´ー`)「初耳だーよ」

|  ^o^ |「初めて会った時に親し気に話しかけられていたから知り合いだとは思っていましたが」

( ^Д^)「まあな」

爪'ー`)「ギルド名を学校名のあだ名、
店の名前を『バーボンハウス』にして、
知り合いや関係者、地域からこの世界に来た奴を集めたみたいだしな」

|  ^o^ |「それはなんとなく分かっていました」

( ´ー`)「でも何でそんなことをしているのかは知らないだーよ」

爪'ー`)「『みんなで帰るため』だってよ」

( ^Д^)!

( ´ー`)!

|  ^o^ |!

( ^Д^)「それはいったい?」

.

110 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:38:23 ID:oGAfG2hk0

爪'ー`)「そのまんまの意味だよ。
ショボンいわく、『全員で帰りたい』んだってさ。
でも、自分の手は小さいから、
せめてかかわりのある人だけでも無事に一緒に帰りたいって」

( ^Д^)「そんなことを……」

爪'ー`)「だから学校名や店名で集まってきたやつらを、
片っ端からまとめ上げてチームにしている。
部屋を作り、そこに住まわせ、希望者には店をやらせてる。
けれど、ギルドに入れない。
そして何故か、戦闘にはそれほど力を入れていなかった」

( ^Д^)「ああ……。
何度かVIPに入れてほしいって言ったけど、
入れてもらえなかった。
ギコの時だって、あとで散々怒られた。
渡されている『攻略可能クエストリスト』以外のクエストを何故やったって」

|  ^o^ |「あのクエストをちゃんとクリアできれば、
ショボンに認めてもらえるって思ったから……。
今思えば、短慮極まりないことです」

( ´ー`)「でもあの時は、認められたくて必死だっただーよ」

爪'ー`)「けれど、今は?」

( ^Д^)「ん?」

爪'ー`)「おれ等よりかなり強いだろ?」

( ^Д^)「まあな……。
ショボンがカリキュラム組んでくれたから」

爪'ー`)「こちらもだ。
生産組は今まで以上に生産を、
戦闘組には能力や技を伸ばすような流れになっている。
今までは『楽しく戦う』ことがメインだったのに、
素質とやる気がありそうな奴には『より強くなる戦い方』を与えられ始めた」

.

111 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:40:55 ID:oGAfG2hk0

( ^Д^)「どういうことだ?」

爪'ー`)「わからん。だから、今日はそれを聞こうと思ってる」

( ´ー`)「ショボンが答えてくれるとは思えないだーよ」

爪'ー`)「いや、答えてくれるさ。
答えに対するちゃんとした質問を、
今話したような実例を示せば、
あいつは答える。
そういうやつだよ」

|  ^o^ |「……よくわかってますね」

爪'ー`)「おじさんから色々聞いてたしな。
若様の事も、摂政のことも」

|  ^o^ |「摂政?何のことですか?」

爪'ー`)「居るだろ?
ショボンに真っ向意見できる『年上』が」

( ^Д^)「まさか、シャキン?」

爪'ー`)「大人にならないと分からないこともあるからな。
そんな汚い面や『経験』をサポートするのがシャキンだって話だ」

( ´ー`)「ショボンの血縁ってことは、
シャキンだってマシログループなんじゃねーの?」

爪'ー`)「ああ、そのはずだ」

( ´ー`)「ならシャキンが継げばいいんじゃねーのかよ?」

|  ^o^ |「そうですね。
マシロは『一族』で継いでいるだけで、
『一家』で直系が継いでいるわけではなかったはずです」

爪'ー`)「ああ、それはおれも気になって伯父さんに聞いたんだけどよ、
伯父さんも知らないらしい」

.

112 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:41:56 ID:oGAfG2hk0

肩をすくめたフォックス。
彼を挟んで歩くシラネーヨとブームも眉間に皺をよせた。

爪'ー`)「それで、プギャーは何で青ざめてんだ?」

フォックスが立ち止まって振り返る。
二人も同じ様に振り返ると、
数メートル後ろに立ち止まって何かしらを呟いているプギャーがいた。

( ´ー`)?

|  ^o^ |?

爪'ー`)

( ^Д^)「あいつが……ましろの……。
姉ちゃんの……あいつが……」

(`・ω・´)「お、なんだなんだ?
四人お揃いで何してる?」

(´・ω・`)「お疲れさま。
お願いしておいた件かな?」

そんなプギャーの後ろから、
シャキンとショボンが声をかけたのは、
タイミングが良かったのか、悪かったのか。

(  Д )「……シャキン、聞きたいことがある……」

ゆっくりと振り返ったプギャーが、
睨むようにシャキンを見た。

(`・ω・´)「お!なんだなんだ?」

(  Д )「おまえ、本当に童貞か?」

(;`・ω・´)「ど、どどどどどどど童貞ちゃうわ!」

.

113 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:42:59 ID:oGAfG2hk0

(´・ω・`)

突然の質問に慌てるシャキンと硬直するショボン。

(  Д )「本当か?」

(;`・ω・´)「あ、ああ当たり前だろうが!
元の世界じゃやりまくってたぞこのやろう!」

(;´・ω・`)「ね、ねえ、何の話をして。
というか、こんなところでする会話じゃないからさ、二人とも」

(  Д )「じゃあ姉さんともやったのか!!?」

(;`・ω・´)「はあ?」

(;´・ω・`)「ね、ねえ二人とも!」

(  Д )「やったのか!!!!」

(`・ω・´)「やるわけねえだろ!」

(;´・ω・`)「二人とも!
そっちの三人も見てないで止めて!」

(  Д )「嘘をつけー!!
あんなに可愛いのにやらないわけないだろうが!」

(`・ω・´)「やらねえよ!」

(  Д )「やってるに決まってる!」

(`・ω・´)「おまえはおれとあいつを、
やらせたいのかやらせたくないのかどっちだ!」

(  Д )「しるかー!」

(`・ω・´)「なんだお前は!」

.

114 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:44:29 ID:oGAfG2hk0

(  Д )「でもあんなに可愛い姉ちゃんと付き合ってるのに
やらないわけないだろうが!!」

(`・ω・´)「付き合ってないし!」

(  Д )「……え?」

(`・ω・´)「付き合ってないし、そんな関係でもない!」

(  Д )「……え?」

(`・ω・´)「なんだプギャー。
おまえおれとあいつが付き合ってると思ってたのか?」

( ^Д^)「……付き合ってないのか?」

(`・ω・´)「付き合ってない」

( ^Д^)「やっても、ない?」

(`・ω・´)「やってない」

(;´・ω・`)「だから二人とも、ね」

( ^Д^)「マジで?」

(`・ω・´)「マジマジ大マジ」

( ^Д^)「ホントに?」

(`・ω・´)「ホントホント。神に誓って付き合ってないしやってない」

( ^Д^)「……なんだ……」

.

115 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:46:10 ID:oGAfG2hk0

緊張の糸が解けたように座り込むプギャー。

いつの間にかその後ろに移動していたシラネーヨとブームが、
慌ててその体を支えた。

( ^Д^)「だってシャキンがマシロの跡継ぎ関係とか言われたら、
姉ちゃん絶対捨てられると思って……。
おれの家、あんまり良い家じゃないし……。
姉ちゃんだって頭は良いし見た目も良いけど、
そういうところの嫁が務まるとは思えないし……。
そっか……違うのか……。
良かった……」

( ´ー`)「シス……」

|  ^o^ |「……コン?」

それほど多くは無いが、
道を行き交うプレイヤーの視線を集めた六人だった。







.

116 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:50:14 ID:oGAfG2hk0

某都市



本城総合病院。

別館の入院病棟に、誰かのくしゃみがこだました。

l从・∀・ノ!リ人「風邪なのじゃ!」

∬´_ゝ`)「大丈夫ですか?」

流石兄弟が眠る部屋。
兄弟のベッドにはそれぞれ市香と美香がそばに立っており、
向かいのベッドの枕元にもそれぞれに人がいた。

|゚ノ ^∀^)「す、すみません。
なんか急に鼻がムズムズして」

l从・∀・ノ!リ人「お大事になのじゃ!」

|゚ノ ^∀^)「ありがと、未花ちゃん」

<(' _'<人ノ「気を付けてくださいね」

|゚ノ ^∀^)「す、すみません。
ちゃんと手は口に当てましたから」

<(' _'<人ノ「そういう事じゃなくて、
この子たちが目を覚ました時に私達が元気じゃないと、
リハビリとかちゃんと手伝ってあげられませんから。ね」

|゚ノ ^∀^)「あ、……そう……ですね。
はい、そうですね。
うん。気を付けなきゃ」

∬´_ゝ`)「そうですね。
こいつらが起きた時に、
私達が病気してたらこいつらだったら……。
うわっ……想像したらムカついた」

.

117 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:51:13 ID:oGAfG2hk0

|゚ノ;^∀^)「い、市香さん」

∬´_ゝ`)「いや、こいつらの事だから、
多分私を指さしながら笑うんだろうなって思ったら……。
あとで手の甲つねっておこう」

|゚ノ ^∀^)「ちょ、ちょ、それは止めた方が」

l从・∀・ノ!リ人「大丈夫なのじゃ!
徳永のおばちゃんもそれくらいなら良いって言ってたのじゃ!」

|゚ノ;^∀^)「確認して遂行済みだった!」

<(' _'<人ノ「私もあとでやろうかな」

|゚ノ;^∀^)「高崎さんまで!」

<(' _'<人ノ「だって、絶対この子向こうの世界で思う存分遊んでますもの。
こちらでこんなに心配してるなんて、あんまり考えないで」

∬´_ゝ`)「うちもです」

l从・∀・ノ!リ人「遊んでるのじゃ!」

|゚ノ ^∀^)「……うちの弟も、遊んでると思います」

じっと目の前に横たわる血縁者の手を見る女性三人。
未花はすでに悌悟の手で遊んでいる。

|゚ノ ^∀^)「(そういえばさっき、
何故だかなんかものすごくムカついたのよね)」

三人の手が、それぞれの手の甲に向かった。





.

118 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:53:54 ID:oGAfG2hk0

アインクラッド




(;`・ω・´)

(;^Д^)

(;´ー`)

|; ^o^ |

爪;'ー`)

ギルドVIPホームのリビングルーム。

疲れた顔をした男五人が、
床に正座していた。

川 ゚ -゚)「このバカ者共が」

ξ゚⊿゚)ξ「往来で何叫んでるのよ」

(;^Д^)「それはその……」

(`・ω・´)「おれは被害者だ」

爪;'ー`)「何でおれまで……」

(;´ー`)「本当だーよ」

|; ^o^ |「ショボンに叱られるのは一度で懲りたのですが」

川 ゚ -゚)「それほど人通りがなかったのが救いだが……」

眉間に皺を寄せるクー。
その言葉にかぶさるようにドアが開き、
ドクオが現れた。

.

119 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:55:04 ID:oGAfG2hk0

('A`)「とりあえず大丈夫っぽい。
時間的に帰る奴も多かったみたいで、
それほど注目されてなかったみたいだ」

川 ゚ -゚)「ふむ。
しかし往来で女とやったとかやってないとか言うべきではないからな」

ξ*゚⊿゚)ξ「クー、さすがにそこまで言ってないみたいだから」

川 ゚ -゚)「そうなのか?」

( ^Д^)「そこまであからさまには言ってない……。多分」

( ^ω^)「おっおっ。ショボンの方はなだめたお」

続いて入ってきたのはブーン。

('A`)「ご苦労。
あいつは下ネタにもう少し寛容になるべきだな」

( ^ω^)「ショボンはあんまり……」

(`・ω・´)「箱入り息子だからな!」

ξ゚⊿゚)ξ「あんたは反省してなさい」

(`・ω・´)「はーい」

( ^ω^)「おっお。
フォックス、ショボンが呼んでたお。
話があるんだおね?」

爪'ー`)「あ、ああ」

正座したままブーンを見上げるフォックス。

.

120 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:55:52 ID:oGAfG2hk0

( ^ω^)「エギルさんにお願いしてたアイテムに関しては僕が受け取るお。
プギャーで良いかお?」

( ´ー`)「今日はおれが持ってるだーよ」

( ^ω^)「了解だお」

自分のウインドウを開くブーン。
シラネーヨも立ち上がり、自分のウインドウを開く。

|  ^o^ |「?フォックス、行かないのですか?」

爪;'ー`)「……」

( ^Д^)「フォックス?」

爪;'ー`)「……足がしびれて立てない」

『アインクラッドでも正座をすると足がしびれる』
その情報は瞬く間に全フロアに広がった。







.

121 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:57:09 ID:oGAfG2hk0

某都市




本城総合病院 別館院長室。

院長室はもともと本館にあるのだが、
事件以来別館に詰めることが多くなったため、
こちらにも院長室が作られた。

本館の院長室とは院内の独立回線で繋げてあり、
基本的にはどちらに居ても院長としての仕事が出来るようになっている。

(-@∀@)「さて、お二人ともお話とは?」

『院長 本城朝日』
と書かれたプレートの置かれた大きな机。
エンターキーを跳ねるように押した朝日が、
目の前のソファーに座る二人の男を見ながら専用の椅子から立ち上がった。

|(●),  、(●)、|「……」
 _、_
( ,_ノ` )y━「……」

細長いローテーブル。
それを挟んで長辺には三人掛けのソファー。
短辺の片方には一人掛けのソファー。

三人掛けにはそれぞれ伊達と渋澤が一人で座っている。

一人掛けに座る朝日。

(-@∀@)「伊達さん?渋澤さん?」

|(●),  、(●)、|「……」
 _、_
( ,_ノ` )y━「ふむ。それでは私からにしましょうか」

.

122 ◆dKWWLKB7io:2016/09/04(日) 23:58:17 ID:oGAfG2hk0

(-@∀@)「はいはい。どうぞどうぞ」
 _、_
( ,_ノ` )y━「まずは、今日は内藤さんと宇佐木さん、
そして来島さんが来られていなかったようだが?」

(-@∀@)「内藤さんと宇佐木さんはお時間の都合がつかなかったようで、
連絡をもらっています。
後日今日の議事録は送らせていただきますよ」
 _、_
( ,_ノ` )y━「来島の女傑は?」

(-@∀@)「……プライバシーにかかわることですが、
お二方ならば良いでしょうかね。
実は昨日から本館に入院されています」

|(●),  、(●)、|!
 _、_
( ,_ノ` )y━「おい、それは」

(-@∀@)「昨日浅間神社の境内で転んだそうで、
骨折などはしておりませんし頭も打っていませんでしたが、
打ち身と打撲はありましたので、
念のため精密検査の為に入院していただきました」

|(●),  、(●)、|
 _、_
( ,_ノ` )y━

あからさまに安堵の吐息を漏らす二人。
それを見て朝日の口元が緩む。

(-@∀@)「精密検査の方が問題なければすぐにでも退院できるほどの軽傷ですが、
仕事で海外にいるご家族が戻るのが2週間後との事でしたので、
打撲の方の様子も見て、もう少し入院していただこうかと思っています。
本館にいた方が、ここにいる久美子ちゃんのお見舞いにも来やすいですから」

|(●),  、(●)、|「ああ、そうしてくれ」
 _、_
( ,_ノ` )y━「よろしく頼む」

.

123 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:00:02 ID:m6v2ZR4Y0

(-@∀@)「はい」
 _、_
( ,_ノ` )y━「それでだな、さっきの話に出た『協力している家族』というのは」

(-@∀@)「徳永さん、内藤さん、宇佐木さん、来島さんです」
 _、_
( ,_ノ` )y━「やはりそうか」

(-@∀@)「うちの愚息で試した後、親類、俊雄君、武君、
そして朋美ちゃんや久美子ちゃんに付けさせてもらい、
その後随時皆さんに広めています。
もちろんその中には途中で止めて、
誰にも使用していないモノもあります」
 _、_
( ,_ノ` )y━「ふむ……」

(-@∀@)「最先端機器ですので数をそろえるのも難しいものがあります。
基本的には各人の状況をもとに、それが有益な方にまずいくようにしております。
ただテストや効果を試さないといけないモノもありますので、
その辺に関しては……」
 _、_
( ,_ノ` )y━「ああいや、それは良い。
あんたが『公明正大』だってのは、
ここ一年でよく知っているつもりだ。
だから甥っ子の身体を、完全に任せている」

(-@∀@)「ありがとうございます」
 _、_
( ,_ノ` )y━「欲を言えばもっと早く言って欲しかったと思うが、
あんたのやっていることは、
違う角度から見れば自分の息子やその友人たちを、
家族の許可のもと試験の検体にしていると言われかねない内容だからな。
あんたを信頼し、落ち着いて聞けるようになった今で、
ちょうど良いだろう」

(-@∀@)「……ありがとうございます」
 _、_
( ,_ノ` )y━「それで……だな……」

.

124名も無きAAのようです:2016/09/05(月) 00:00:10 ID:hhSJu9Nc0
しえしえ

125 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:01:17 ID:m6v2ZR4Y0

(-@∀@)「はい」
 _、_
( ,_ノ` )y━「おれが情報を集めるのは、ただの好奇心だ。
大事なものを守るために使うことはあっても、
金や名誉なんてものにつなげようとは思わない」

(-@∀@)「はあ」
 _、_
( ,_ノ` )y━「だからいつも結果だけでいいと思ってる。
そこに至る理由や情なんてのは、気にしない。
想像することはあっても、そこまでは正解を知ろうとは思わない」

(-@∀@)「……」
 _、_
( ,_ノ` )y━「だからこれは、おれにとってはかなりのイレギュラーだ。
単刀直入に聞く。
あんたの息子のかぶっているナーヴギアはテスト品で、
バッテリー、補助電源が組み込まれていない。
だから今すぐ電源を切れば、助けることが出来る」

|(●),  、(●)、|!?
 _、_
( ,_ノ` )y━「そうだな?」

(-@∀@)「……はい」

|(●),  、(●)、|「!な、なぜすぐ助けない!?」
 _、_
( ,_ノ` )y━「おれもそれが知りたい」

(-@∀@)「妻とも相談はしましたが、
二人して同じ意見でした。
自然に目を覚ますまで、このままにしよう。と」

|(●),  、(●)、|!?
 _、_
( ,_ノ` )y━!?

.

126 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:04:35 ID:m6v2ZR4Y0

(-@∀@)「息子は一人で仮想世界に行ったのではありません。
友人たちと行きました。
身内ももう一人、行っています。
その仲間を残して一人で帰ることを、
息子はよしとしないでしょう。
何とかして、全員で帰る道を探しているはずです」
 _、_
( ,_ノ` )y━「だが、もう二年経つんだぞ?」

(-@∀@)「この事件では、数千人の人が亡くなっています」
 _、_
( ,_ノ` )y━「ならば!」

(-@∀@)「ほとんどの病院で、何名かの方がお亡くなりになっています」
 _、_
( ,_ノ` )y━「?」

(-@∀@)「当院では、この地域で事件に巻き込まれた方、
ほぼ全員を預からせていただいております」
 _、_
( ,_ノ` )y━「ああ。で、それが?」

(-@∀@)「ですが、当院では亡くなった方はいません。
収容人数の規模から考えれば、全国で見ても珍しい。
もしかすると、当院だけかもしれません」
 _、_
( ,_ノ` )y━「お、おい、おまえまさか?」

(-@∀@)「私は確信しています。
息子は、それに何かしら関わっていると」
 _、_
( ,_ノ` )y━!

|(●),  、(●)、|!

(-@∀@)「ま、さすがに親バカ発言なので大っぴらには言えませんけどね」
 _、_
( ,_ノ` )y━「……いやはや……」

.

127 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:06:02 ID:m6v2ZR4Y0

(-@∀@)「うちの息子は、良くも悪くも「そういう風に」育てられています。
もし一人だとしても、まずは地域の人間がいないか探しているでしょう。
ましてや今は、友人がそばにいる。
一人で帰ることなんて微塵も考えていないはずです。
その状態で息子一人助けたら、私達が息子に何をされるかわかったもんじゃ……」
 _、_
( ,_ノ` )y━「何をされるっていうんだ?」

(-@∀@)「……頭が良い人間を、敵に回したらいけない」

|(●),  、(●)、|「……おいおい」
 _、_
( ,_ノ` )y━「……」

言葉を濁す朝日。
引きつった彼の笑顔を見て、
同じように表情筋を引きつらせる二人だった。







.

128 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:08:11 ID:m6v2ZR4Y0

アインクラッド




ギルドVIPホームの執務室を出たフォックスは、
数歩歩いた後にうずくまった。

爪;'ー`)「まじかー」

そしてそのまま頭を抱える。

爪;'ー`)「あいつ頭良いくせしてばかじゃねーの。
んなこと考えるよりもっと考えることあるだろうが。
もしもの時にはおれがギルドを作ってみんなを?
むりむりむりむりむりむりむりむり」

床に向かって話しかける。

爪;'ー`)「VIPはともかく、
あいつがいなくなったら
確かにこっちは色々と不安定になるだろうけどよ。
だからっておれ?
おれ?
おれ?
おれじゃないだろおれじゃ。
他にいるだろ。
……
……
……
……
……いないのか。
三バカも生産者のいるギルドのギルマスって器じゃないし、
生産者組の奴らの中にもギルマスのできそうな奴はいない……か。
……
……
いやいやいやいや。
だからっておれじゃないだろおれじゃ。
確かにこっちのグループで一番冷静に見てるのはおれかもしれないけどよ、
それだってあいつに誘導されて色々とやってるだけだろうが。
……もしかして最初からそのつもりだったのか?
……
……
あーもうだからおれより頭のいい奴と話すの嫌なんだよ。
結局丸め込まれるし。
つーか『もし』なんて起きてくれるなよこんちくしょう」

.

129 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:09:24 ID:m6v2ZR4Y0

大きくため息をつくフォックス。

|; ^o^ |「どうしたのですか?」

爪;'ー`)「うをっ」

頭の上から声をかけられ、
驚いて立ち上がったフォックス。

声をかけた方も驚いていた。

|; ^o^ |「ど、どうしたのですか?」

爪;'ー`)「ブームか。いや、なんでもない。
ちょっと色々考えてただけだ。
おまえはどうしたんだ?」

|; ^o^ |「そろそろ帰ろうかと思ったので、
フォックスに声かけとショボンにも挨拶をと思いまして」

爪'ー`)「お前ひとりで?」

.

130 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:10:27 ID:m6v2ZR4Y0

|; ^o^ |「……プギャーとシラネーヨは止めておくと言っていまして」

爪'ー`)「ははは。
……ま、帰るときにはショボンも顔を出すだろうからな。
今ならまだそこの部屋にいるはずだぞ」

|  ^o^ |「はい、わかりました。
ありがとうございます」

フォックスの横を通って執務室のドアをノックするブーム。

『開いてるよー』

ドアノブに手をかけたブームが、フォックスを見る。

爪'ー`)?

|  ^o^ |「フォックス、
あなたがギルマスをやるのならば、
協力しますので安心してください」

爪;'ー`)!

ドアを開けて部屋に入るブーム。

爪'ー`)「……とぼけた面していても、
あいつもあの人の息子ってことか」

その姿を固まった状態で見つめていたフォックスだったが、
ため息交じりに呟くと応接室に向かって歩き出した。







.

131 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:13:01 ID:m6v2ZR4Y0

某都市



本城総合病院 別館院長室

(-@∀@)「それで、伊達さんのお話というのは?」

|(●),  、(●)、|「こちらの話は……」

ちらっと渋澤を見る伊達。
その視線を受けて、渋澤はにっこりとほほ笑んだ。

|(●),  、(●)、|「……はぁ。どうせ知ってることだな」

その笑顔を見て、心底嫌そうに顔をゆがめた伊達だったが、
諦めて一呼吸置くと、朝日に身体を向けた。

|(●),  、(●)、|「先日、ここから出ていくスーツの男を見た」

(-@∀@)「はい。
病院にはスーツの男性は患者さん、
関係者の方といっぱいいらっしゃいますから」

|(●),  、(●)、|「名前は菊岡という男だ」

(-@∀@)

伊達を見ながら薄く口元に笑みを浮かべる朝日。

その顔を見て、渋澤は少しだけ驚いた顔をした。
 _、_
( ,_ノ` )y━「(こんな風に笑うのは初めて見たな)」

|(●),  、(●)、|「知っているな?」

(-@∀@)「『菊岡誠二郎』さんのことですか?
総務省、SAO事件被害者救出対策本部の」

.

132 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:14:39 ID:m6v2ZR4Y0

|(●),  、(●)、|「そうだ、菊岡だ。
だが、総務省?今総務省って言ったか?」

(-@∀@)「ええ。総務省です。
今回の事件での対応は総務省の管轄ですから」

|(●),  、(●)、|「おいおい、どういうことだ……」
 _、_
( ,_ノ` )y━「伊達さんの顔がいくら大きいと言っても、
自衛隊畑の伊達さんが総務省の役人さんの顔を知っている。
それは、それは……」

|(●),  、(●)、|「おい、誰にも言うなよ」
 _、_
( ,_ノ` )y━「言いませんよ。
いや、『言えませんよ』の方が正しいですが」

|(●),  、(●)、|「院長、あいつはいったい何をしているんだ?」

(-@∀@)「今回の事件の本当の責任者……だと思われます。
肩書はありませんでしたし、明言もされていませんが」

|(●),  、(●)、|「なんだと」

(-@∀@)「解決に向けて尽力を注いでいらっしゃいますよ」

|(●),  、(●)、|「ちょっとまて!」

(-@∀@)「こちらとしても、解決に向けて協力を惜しまないでいく」

|(●),  、(●)、|「やめろ!
あいつには関わらない方が良い!」

(-@∀@)「そう言われましても、
彼の持つ情報はこちらにも有益なものが多いので」
 _、_
( ,_ノ` )y━「!伊達さん、もうそれくらいで」

.

133 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:17:29 ID:m6v2ZR4Y0

|(●),  、(●)、|「渋澤は黙っていてくれ。
院長、悪いことは言わない。
あいつとは関わらない方が良い。
あいつは……」

(-@∀@)「防衛省、自衛隊、キャリア……」

|(●),  、(●)、|!
 _、_
( ,_ノ` )y━「……あー」

(-@∀@)「私は、彼が『どういった方』かを知っています。
そして彼は、『私が彼の事を知っていること』を知っています。
伊達さん、渋澤さん、正直なところ、日本で認可されていないモノや、
実務ベースまで持ってきているとはいえまだ研究段階の物を実際に使用するのは、
色々と大変なんですよ。
集めることは私のコネで出来ても、
そこから先の役所仕事の点ではなかなかね。
しかし彼は、そのあたりを可能にしてくれる力をもっています」

表情筋だけで笑う朝日。
その笑っていない目を見て、
渋澤が顔をひきつらせた。

(-@∀@)「ウィンウィンの関係には、対価が必要です。
うちの息子を含めた六名には、
脳波の採取を目的とした電極を数多く着けています。
ナーブギアをかぶった後に付けた方に比べて、
より多くの情報を得ることが出来ます。
アインクラッドに囚われた方の中で、
このような状態の方は多くない」

|;(●),  、(●)、|「おい、おまえは……」

.

134 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:18:25 ID:m6v2ZR4Y0

(-@∀@)「もちろんご家族の方には了承を得ています。
そして私の妻をはじめ、
来島のご夫婦、マシロの会長といった顔のきく方には、
それなりのご協力もお願いし、
万全の体制を作っているつもりです」
 _、_
( ,_ノ` )y━「……あ」

ぽかんと口を開けた渋澤。
電子タバコが口からこぼれる。

それを横目で見た伊達が怪訝な顔をした。

そんな二人を視界に収めた朝日が、
心の底からの笑顔を見せた。

(-@∀@)「いやしかし、お二方から水を向けていただいてよかったです。
正直、いつ巻き込むいえ、相談しようか時期を探していましたので」

|(●),  、(●)、|「……!」
 _、_
( ,_ノ` )「い、嫌おれは別に!」

(-@∀@)「渋澤さんが『外に言えないこと』を知ってしまったことを、
私は知っています」
 _、_
(;,_ノ` )y「!」

(-@∀@)「お二方の人脈と情報力をもって、
ご協力をお願いします」

立ち上がり、腰を折って頭を下げる朝日。
官僚の謝罪のような心の感じないお辞儀だが、
その姿は綺麗だった。

言葉をなくす二人の目の前で、朝日が体を起こした。

.

135 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:19:25 ID:m6v2ZR4Y0

(-@∀@)「伊達さん、渋澤さん。
正直に言いましょう。
私は、息子はもちろんこの別館にいる全ての方が、
無事に目を覚ますために尽力を尽くすつもりです。
中で息子が頑張っている以上、
こちら側は私がどうにかするのが、
私の使命だとおもっております。
目を覚めた後に、出来るだけ早く今までに戻るための、
考え得る全てを行うつもりです。
ギリギリの事もするつもりです。
その為には、清濁飲み干すつもりです。
でも最後には、絶対に笑います。
みんなで、笑ってみせます
伊達さん、渋澤さん。
その為に、ぜひ、ご協力をお願いします」

|(●),  、(●)、|「本城院長……」
 _、_
( ,_ノ` )y━・~「……吸わせてもらうよ」

(-@∀@)「どうぞ」

ローテーブルの上の、
今まで一度も使われていないガラスの灰皿を、
渋澤の前に置く朝日。
 _、_
( ,_ノ` )y━・~「こんなのは、本物を吸わなきゃやってられない」

(-@∀@)「渋澤さん」
 _、_
( ,_ノ` )y━・~「伊達さんも、腹を括った方が良いぞ。
知っちまった以上、逃げられない処におれ達は連れてこられたみたいだ」

|(●),  、(●)、|!

.

136 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:20:24 ID:m6v2ZR4Y0

(-@∀@)「人聞きが悪いですね。
まるで私が企んだみたいじゃないですか。
今日、この場を作ってほしいと言われたのはお二方ですよ」

困惑した表情で二人を見る朝日。

そんな彼を、
疲れた表情で見返す伊達と渋澤。

|(●),  、(●)、|「……ああ。腹を決めるとしよう。
首を突っ込んだ以上仕方ない。
息子の為にも、それが最善だろうからな」

(-@∀@)「ありがとうございます。伊達さん」

伊達が差し出した手を握る朝日。

それを冷めた目で見ていた渋澤が、
ぼそりと呟いた。
 _、_
( ,_ノ` )y━・~「だから自分より頭のいい奴と話すのは嫌なんだ」







.

137 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:22:35 ID:m6v2ZR4Y0

アインクラッド




バーボンハウスを出た四人は、
とぼとぼと転移門に向かって歩いていた。

( ^Д^)「はぁ……」

爪'ー`)「ふぅ……」

( ´ー`)「二人してため息とか気持ち悪いだーよ」

|  ^o^ |「ホントですよ」

( ^Д^)「うるさい」

爪'ー`)「そっとしておいてくれ」

前を歩く二人の肩が極限まで落ちており、
猫背気味に歩いているため声をかける後ろの二人。

しかし無下にされてしまった。

('A`)「心配してくれてる仲間にそれはないだろ」

(;^Д^)「うをっ」

|; ^o^ |「わっ」

(;´ー`)「ドクオ!?」

爪'ー`)「今日はもう何も考えたくないだけだ」

突然前の二人の横に現れて普通に歩きながら話しかけたドクオ。

それに驚いた三人は思わず立ち止まってしまうが、
気にしなかったフォックスは数歩そのまま歩いた。

.

138 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:25:21 ID:m6v2ZR4Y0

('A`)「だめだぞお前ら。
ちゃんと鍛えたんだから街でもスキル使っておかないと」

( ^Д^)「ちょっと見てなかっただけだ」

('A`)「ま、そういう事にしておいてやるよ。
フォックスは驚かなかったな」

爪'ー`)「驚いた。
でも今日はもう何も考えたくない」

('A`)「多分そういうところをショボンは認めてるんだと思うけどな」

爪'ー`)「……止めてくれ」

|  ^o^ |「そ、それで突然どうしたんですか?」

('A`)「ん、いや転移門までの周辺警戒のつもりだったんだけど、
店を出てからここまで歩いても特に誰もいなかったからもういいかなって」

ドクオが身振りで促し、
再び転移門まで歩き始める五人。

( ´ー`)「そういえば、今回は隠れて出入りしなくて良かったのかーよ」

('A`)「おれ等がつながっているのは知られているからな。
知られたくないことに関わらない所は別にいいだろ」

|  ^o^ |「そういうものですか」

('A`)「らしい」

( ´ー`)「お前の意見じゃねーのかよ」

( ^Д^)「なにをばかな」

爪'ー`)「こいつの意見であるわけないだろうが」

('A`)「……事実だけど人に言われるとムカつくな」

.

139 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:26:44 ID:m6v2ZR4Y0

|  ^o^ |「まあまあ」

( ´ー`)「しかたないだーよ」

眉間に皺を寄せたドクオを見て、
ブームとシラネーヨが笑う。

('A`)「まったく……」

ドクオは笑っていないプギャーとフォックスを見て肩をすくめた。

爪'ー`)「ドクオ、ショボンはどこまで本気なんだ?」

('A`)「ん?どれに関してだ?」

爪'ー`)「『みんなで帰る』ってやつだよ」

('A`)「100パーセント本気だ。
実際いまのところ誰も死んでないだろ?」

( ^Д^)「……だが……」

('A`)「ま、最初は目標程度だったけどな。
プギャー、シラネーヨ、ブーム、あいつが本気になったのはあの後だよ」

( ^Д^)?

( ´ー`)?

|  ^o^ |?……!

('A`)「そ、ギコと一緒にお前らが死ぬかもしれなかったあのクエストの時だ」





( ^ω^)「ショボンはあの時、自分の甘さを痛感したんだお」

.

140 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:27:41 ID:m6v2ZR4Y0

ξ゚⊿゚)ξ「甘さ?」

雑貨屋Booon店内。
カウンターの中にブーン。
鑑定待ちをする人用に設置されている、
カウンター沿いの長椅子にツンが座っている。

( ^ω^)「そうだお。
『これだけやっておけば大丈夫だろう』って思っていたことが、
あの時あの三人が死にそうになったことで、
『今のままじゃダメなんだ』に変わったんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「あれって、あの三人の独断行動でしょ。
ショボンは止めていた内容なわけだから」

( ^ω^)「だお。でも、ショボンはそう思わなかったんだお。
『それを想定しなかった自分』を責めたんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「……ほんと馬鹿ね」

( ^ω^)「ギコとしぃをギルドにいれたのも、
そんな自分を忘れないため、
戒めるためってのもあったかもしれないおね」

ξ゚⊿゚)ξ「え、ちょっとそれって」

( ^ω^)「もちろん二人が優しい人間だったから。
っていうのが誘った一番の理由だお。
でも、あの二人ならVIPに入らなくても生きて行けたと思うから、
あの時すぐに入れなくても良かったと思うお」

ξ゚⊿゚)ξ「……そうね」

( ^ω^)「まだ話すかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「……うん。
あ、そうだ。
お茶入れるね」

.

141 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:28:41 ID:m6v2ZR4Y0

( ^ω^)「お……?」

ツンがウインドウを操作してティーポットとカップを二つ取り出した。

ξ゚⊿゚)ξ「この前アシュレイとコラボしてワンセット作った時に、
お客さんからもらったのよ。
誰でも淹れることのできる茶葉だって」

(;^ω^)「それはこの前飲まされた謎の実とは……」

ξ*゚⊿゚)ξ「ば、ばか、コカオの実とは関係ないわよ。
えっと、ここをタップして……」

誰でもお茶を淹れることのできる『トライアのティーポット』に、
水色の小さなたわしのような形をした茶葉を入れ、
ティーポットの蓋を二回タップするツン。

途端にティーポットの中がお湯で満たされ、
きっかり25秒後にさわやかな香りが漂った。

ξ゚⊿゚)ξ「よし、出来上がり」

そしてテーブルの上に三つのカップに注ぐ。

ξ゚⊿゚)ξ「ん?三つ?」

川 ゚ -゚)「私には淹れてくれないのか?」

ξ゚⊿゚)ξ「ってクー!いつの間に!」

ツンの隣に腰かけているクー。

川 ゚ -゚)「?ちゃんと声はかけたぞ?」

(;^ω^)「返事をしないなーとは思ったけど、
気付いていなかったとは」

川 ゚ -゚)「初めての手料理ごちそうだからな。
緊張して当然だ」

.

142 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:29:50 ID:m6v2ZR4Y0

ξ*゚⊿゚)ξ「ば、な、なに言ってるのよ!
それに手料理は今迄にだって食べてもらってるし!
おにぎりとか、家庭科で作ったバウンドケーキとか!
だしまき玉子焼きとか!
ね、ブーン!」

(;^ω^)「おー。具がドンパッチのおにぎりとか、
噛めないくらい堅いケーキとか、
おもちゃの山車が一緒に焼かれた味のないスクランブルエッグの事かお?」

川 ゚ -゚)「訂正しよう。
『初めて美味しいと言ってもらえるかもしれない』手料理の披露だからな。
緊張して当然だ」

ξ#゚⊿゚)ξ「うるさい!」





( ^Д^)「あの時?」

('A`)「ああ」

転移門広場までもう少しということころで立ち止まったプギャー。

ドクオはそのまま数歩進んだが、
自分以外は立ち止まったことに気付いて振り返った。

('A`)「……最初から話すか。
フサギコのバーボンハウスに行こう。
今日はフサギコはいないはずだし、
あそこならゆっくり話せる」





( ^ω^)「もともと『バーボンハウス』はシャキンのやってるお店ってことはしってるおね?」

.

143 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:30:47 ID:m6v2ZR4Y0

ξ゚⊿゚)ξ「うん。聞いた」

川 ゚ -゚)「ああ。実際に行ったことは無いが」

ξ゚⊿゚)ξ「というか、お店の存在も知らなかった」

( ^ω^)「おっお。でもゲーマーの間では結構有名なんだお」



('A`)「スタッフにゲーマーがいたらしくて、
小規模な交流会とかやってたから」

|  ^o^ |「一度行きたいと思っていました」

( ´ー`)「同じくだーよ」

爪'ー`)「おれはそっちも二回くらい参加した。
プギャーも一回あったよな」

( ^Д^)「ああ。一回だけ参加したことある」

('A`)「そっちはシャキンは出てないみたいだけど、
地域の大人のゲーマーにとっては静かに遊べるところだって
噂になっていたって話だ」



ξ゚⊿゚)ξ「へー」

( ^ω^)「だからショボンは『バーボンハウス』にしたんだお。
『ホンジョー』でもなく、『マシロ』でもなく、
『バーボンハウス』に」

川 ゚ -゚)「地域のナーヴギアを買うくらいの大人でゲーム好きなら、
『バーボンハウス』という名に反応すると考えたわけだな」

( ^ω^)「だおだお」

.

144 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:32:54 ID:m6v2ZR4Y0

ξ゚⊿゚)ξ「そして高校生から下くらいは『VIP』、
『ビップ』で反応するかもと」

川 ゚ -゚)「うちの学校は良くも悪くもそれなりに有名だからな」

( ^ω^)「いや、ギルド名は決める相談をしてる時に
『学校名でいいじゃない。メンドクサイ』って言ったからだおね。
二人が」

ξ゚⊿゚)ξ「あらそうだったかしら」

川 ゚ -゚)「覚えてないな」

(;^ω^)「(この二人、こういう時は更に息がぴったりだおね)」



爪'ー`)「それでも、病院の名前やマシロの方が人は寄ってきたんじゃないか?」

('A`)「……最初の頃は、そこまで人を集めるつもりは無かったから。
もともとは、シャキンがプギャーを見かけて、
探し始めてからだよ」

( ^Д^)「は?」

('A`)「お前を見かけたシャキンが、
お前を探し始めてから『NS』がすこしギクシャクしたんだ。
「後輩の弟が来てる!」って言って、それに集中しだして」

( ^Д^)「おれを……探して?」

('A`)「シャキンとショボンは一度見た人の顔は忘れない。
シャキンは今までの学校生活はもちろん、
店にやってきた客は全員覚えているらしい」

|  ^o^ |「それは……」

.

145 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:33:53 ID:m6v2ZR4Y0

('A`)「で、その事態を危険視したショボンが、
他にもいるかもしれない地域の人達を探そうって言いだした。
まああいつのことだから、早い段階で思ってはいただろうけど、
そのことを皆に言いだしたのはその時が始めてだ。
ギルドが出来て、仲間も増えて少し経った頃だな」



ξ゚⊿゚)ξ「兄者と弟者が入ったころよね。
バーボンハウスの屋台を引き始めたの」

川 ゚ -゚)「ああ。最初から『屋台』に拘っていたのを覚えてる」

( ^ω^)「食べ物を下に置くのは嫌だってショボンが言ったんだおね」

ξ゚⊿゚)ξ「……おぼっちゃまね」

川 ゚ -゚)「おぼっちゃまだな」

(;^ω^)「否定はしないお」




('A`)「この世界の人を探すのは、名前が分かるかよほどの特徴がないと難しい。
そこで『バーボンハウス』を餌にして、これに反応する人を探そうってことになったんだ」

( ^Д^)「おれを探すため……」

爪'ー`)「で、おれ達がわらわらと集まってきたわけか」

('A`;)「言葉は悪いけど、そういうことだな」

( ´ー`)「でも、なんでVIPには入れてくれないんだーよ」

|  ^o^ |「はい。それが不思議です」

('A`)「……VIPは……」

.

146 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:35:01 ID:m6v2ZR4Y0

爪'ー`)「『友達』の集まりが、VIPってことだろ?」

('A`)「フォックス……」

爪'ー`)「地域とか関係なくつながっている仲間。
ってことじゃないのか?
若様……ショボンがそう思ってるメンバー。
実際半数以上は出身バラバラだよな」

('A`)「……友達だし、仲間だけど、ちょっと違うかな」

爪'ー`)「なにがだ?
あ、別に非難はしてないぞ。
ここでの戦闘は命のやり取りだ。
信頼できる仲間で固めた方が良い」

('A`)「それはそうだけど……。
……いまVIPにいるやつらは……さ、
身近にこの世界での死を実感したり、
人の黒い部分を見てしまったりして、
この世界でうまいこと生きていくことが出来なかったん……だよな。
もし、一人だったら、自ら死を選んでしまったかもしれない奴ら……なんだよ」

( ^Д^)「それは……」

爪'ー`)「おまえ達五人もか?」

('A`)「……おれは、さ、結構冷めてるから、
正直最初はホントにブーンとショボンとツンとクー、
んでシャキンが無事ならそれで良いって思ってたかな。
一人でいても、まあ、大丈夫だったかもしれない。
けれど色々あって、今は全員大事だって思えるようになった。
でもツンとクーは、一時期はホントに危うかった。
ブーンはそうだな……。多分、おれ達がいたから大丈夫だったけど、
一人だったらやばかったな。
ショボンは……もしかすると、一人にしたら一番やばかったかもしれない」

( ´ー`)「……しんじられないだーよ」

.

147 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:36:04 ID:m6v2ZR4Y0

('A`)「ま、おれ達にも色々あったってことさ。
それで、何故かおれ達の作ったギルドはそういう思いを抱えた奴と次々と出会っていって、
いつの間にかこんなギルドに成長していた」

|  ^o^ |「みなさんが……」

('A`)「それなりに有名になった分、
うちのギルドは注目されている。
攻略組からのスカウトはもちろん、
中層プレイヤーからは嫉妬みたいな負の感情をぶつけられることもある。
ショボンも最初はギルドに入ってもらおうかと思っていたみたいだけど、
ギルドに入ることのメリットとデメリットを考えると、
VIPに入ることは断ることにしたみたいだ。
ただ、同じ地域から来た者の繋がりとして、
出来る限りのバックアップはさせてもらうって言っていた」

爪'ー`)「無償で部屋の提供。
生産組にはそのノウハウや儲けの仕組み。
戦闘組にはスキルの組み立てやレベル上げのやり方。
他のギルドに入るのならば共同体から抜けるっていうルールと、
指定されている『危険』には近寄らないっていう約束以外は完全自由。
……この世界を楽しむ余裕を作ってくれたのはお前たちなんだよな」

('A`)「……ショボンの考えさ」

爪'ー`)「けれどここにきて、
戦闘組はより実践的な戦いを教えられるようになった。
そしておれはあんなことを言われた。
……何があったんだ?」

('A`)「……自分が居なくなった時のことを考えたのさ」




( ^ω^)「ショボンの言う『みんなで帰る』の『みんな』には、
自分が含まれてないんだおね」

ξ゚⊿゚)ξ「ほんと馬鹿よね……。ほんとに……」

.

148 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:37:00 ID:m6v2ZR4Y0

川 ゚ -゚)「もっと自分を大事にしてほしいが……」

ξ゚⊿゚)ξ「今日フォックスに言ったんでしょ。
自分がいなくなったらそっちはフォックスがギルマスのギルドを作ってどうにかしてほしいって」

川 ゚ -゚)「フォックスがギルマスのギルド自体はまあ何とかなるだろうが、
その前提が……。ショボンめ……」

( ^ω^)「僕達で、ショボンを助けるんだお。
この前は何もできなかったけど、
もしもの時は、僕達が……」

川 ゚ -゚)「そんなことがもう無いよう、
ショボンの監視ももっとちゃんとしないとだな」

.

149 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:38:16 ID:m6v2ZR4Y0

ξ゚⊿゚)ξ「ホントよね。
頭脳系のギルマスなんだから、
ずっと部屋に閉じ込めてドアを固めるか」

川 ゚ -゚)「いやそれは……」

ξ゚⊿゚)ξ「いや、もちろん冗談だからね」

川 ゚ -゚)「転移結晶ですぐ外に」

ξ゚⊿゚)ξ「だから、冗談です」

川 ゚ -゚)「ギルマス権限でドアとか開きそうだし」

ξ゚⊿゚)ξ「だから冗談だってば!」

( ^ω^)「おっおっお」





( ^Д^)「なんだよ……それ……」

('A`)「あいつは、自分が生きて帰ることには執着していない。
『みんな』が帰ることに尽力を惜しまないけれど、
そのなかに自分は含まれていないんだ。
だから、自分が居なくなった時のことを考えて、
フォックスにそんなことを言ったんだろう」

爪'ー`)「……流石若殿さま……」

|  ^o^ |「フォックス……」

爪'ー`)「民草の事が一番だってか……クソが」

,

150 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:39:07 ID:m6v2ZR4Y0

( ´ー`)「フォックスが怒ってるとこ初めて見ただよ」

爪'ー`)「別に怒っちゃいねーよ。
ただムカついているだけだ」

( ^Д^)「それを怒ってるって言うんだけどな」

爪'ー‘)「これくらいで怒ったりしねーよ」

('A`)「……『キレてないですよ』……」

( ^Д^)

|  ^o^ |

( ´ー`)

爪'ー`)「お前にキレる」

('A`)「ごめん」







.

151 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:40:12 ID:m6v2ZR4Y0

某都市



本城総合病院

本館と別館をつなぐ渡り廊下。

二つのセキュリティチェックを通り過ぎ、
車いすの女性を押した看護師が通り過ぎた。

来島「……こんな時間にすみません」

J( 'ー`)し「いいえ。基本別館はお見舞い24時間可能ですから。
でも来島さんの自由時間は消灯までですから、
それまでには戻りますからね」

看護師はドクオの母。
車いすに座っているのはクーの祖母であった。

来島「ふふふ」

J( 'ー`)し「笑っても駄目ですよー。
伊達さんや渋澤さんと違って、
わたしはルールを守りますからね」

来島「あのイタズラ坊主がいまや地元の有力者ですから。
ほんと、年を取るというのは不思議なものですね」

J( 'ー`)し「まだ来島さんはお若いですよ」

来島「徳永さんに言われてもねぇ」

J( 'ー`)し「あら、私じゃ不満ですか?」

来島「私より年齢がかなり若く、
さらに年より若く見える方に言われても、
お世辞か嫌味にしか聞こえませんから」

.

152 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:41:06 ID:m6v2ZR4Y0

J( 'ー`)し「ダメですよ。
褒め殺しをされても消灯前には戻りますからね」

来島「あら残念」

二人はくすくす笑いながら、
病室に辿り着いた。



クーの手を握る来島。
細く皺だらけの手だが、
その手は生気に満ちて優しく孫娘の手を握っている。

来島「息子さんの所に行ってあげてくださいな」

J( 'ー`)し「……はい。
ありがとうございます」

.

153 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:42:03 ID:m6v2ZR4Y0

ゆっくりと車いすから離れ、
気にしつつドクオのそばに向かう。

来島「私は……間違っていたのでしょうか」

J( 'ー`)し「来島さん?」

来島「久美子には、清く正しく生きることを教えてきたつもりです」

来島の呟きは、誰に対する者でもなく、
けれど一人で呟くのは苦しい呟きだった。

来島「間違えず、間違わず。
間違えた時には正しき道に戻れるよう。
時に厳しく、けれど愛情は持って、接してきたつもりです。
けれど、久美子は、違う世界に行ってしまった。
自分ではない自分になるために、
こんなものをかぶって、行ってしまった。
私がもっと違う風に接していたら、
久美子は、こんなものを被らずに済んだのでは……」

J( 'ー`)し「来島さん……」

来島「花も、踊りも、長刀も、
その心を強くするための物でした。
凛々しく、一人でも立てるように。
何事にも負けない心を持つように……」

J( 'ー`)し「うちの息子は、
コンプレックスの塊でしてね」

来島「え?」

J( 'ー`)し「身長も低いし、顔もたいしたことない。
頭も悪くはないけど決して良くはない。
運動も苦手ってことは無いけど得意では決してない。
女の子と話すのは苦手だし、
男の友達もすごく多いわけじゃない。
自分のとりえって何だろうって、悩んでいました」

.

154 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:43:01 ID:m6v2ZR4Y0

来島「徳永さん?」

J( 'ー`)し「でも、一個だけ自信があって、
そしてそれを守るために、必死に頑張ってました」

来島「……それは?」

J( 'ー`)し「ブーンくんとショボンくん、そしてツンちゃん。
内藤武君と、本城祥大君と、宇佐木朋美ちゃんと友達だってことです。
そして、最近はそこに来島久美子ちゃんも加わっていました」

来島「!」

J( 'ー`)し「私は、自分の息子を信じます。
その友達と一緒にいるんだから、
うちの子は絶対に友達を守るし、
四人と友達だって胸を張るために、
頑張っているって」

来島「徳永さん……」

J( 'ー`)し「そして、きっとこの子たちは、
別人になりたいからこれを被ったんじゃない。
面白そうなゲームだから、やってみただけなんですよ。
子供なんて、そんなもんです。
多分、うちの子はゲームの中では背の高い筋肉隆々のマッチョマンにでも変身して、
遊んでいるんだと思います。
小さいときにちゃんと牛乳飲めば大きくなれたかもしれないのに。
好き嫌いしてたから身長が伸びなかったんです。
帰ってきたら、今からでも飲ませないとですね」

ニッコリとほほ笑んだ徳永。

.

155 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:45:26 ID:m6v2ZR4Y0

J( 'ー`)し「今はこの子たちが帰ってくるのを待ちましょう。
帰ってきたら、がっつり叱りましょう。
子どもが親に心配かけさせるのはしょうがないけど、
これはひどいってね。
そして、抱きしめてやりましょう」

来島「……ええ……ええ……ええ……」

来島の嗚咽が部屋に響く。
それを聞こえないふりをして、
じっとわが子の口元を見る徳永。

J( 'ー`)し「(俊雄、信じてるからね。
ちゃんと帰ってくるんだよ)」

浮かんだ涙を築かれないようにぬぐい、
そっと息子の手の甲をつねってから来島に向かう。

J( 'ー`)し「さて、そろそろ消灯ですね。
戻りましょうか」

来島「……はい。
久美子、また明日来るからね」

もう一度ぎゅっと孫娘の手を握る来島だった。





(-@∀@)「ああ。うん。分かってる。
もちろんだよ。……ああ、ああ。
会長には昨日お願いをしておいた。
うん。伊達さんと渋澤さんも引き入れたよ。
……分かってる。ああ。
ああ、祥大の為になんとしても……うん。
…………おれも愛してるよ……」

別館院長室。
電話を切った朝日は一度大きく深呼吸をしてから席を立った。




.

156 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:46:54 ID:m6v2ZR4Y0

アインクラッド



執務室の自分の席に座るショボン。
目の前の応接セットには、シャキンが座っている。

(`・ω・´)「で、準備は万端なのか?」

(´・ω・`)「僕が想像できる状況に対しての、
出来る限りの対策という話でなら、
ほぼ終了しているよ。
はい、これ」

シャキンの目の前にウインドウが現れ、
一つのアイテムが表示された。

(`・ω・´)「おれが確認するの?」

(´・ω・`)「他に誰がするの?」

(`・ω・´)「ですよねー」

アイテムをクリックすると、
見ただけでゆうに100ページを超えているであろうことが分かる、
A4サイズの本が現れた。

(`・ω・´)「前の時からどれくらい増えた?」

(´・ω・`)「指摘された分と、そこから派生する流れとか諸々。
50は無いと思うけど、
細かい点の修正はしてあるから全部に目を通してみて」

(`・ω・´)「はいはい」

ローテーブルの上に現れたその本の表紙をめくるシャキン。
するとかなりのスピードでページを捲っていく。
とても『読んで内容を把握している』様には見えないのだが、
ショボンは気にすることなく別の作業をしていた。

.

157 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:48:16 ID:m6v2ZR4Y0

十数分後全てのページを捲り終えたシャキンが聞こえるように息を吐いた。

(´・ω・`)「どう?」

(`・ω・´)「こんなもんだろ。
ただ34と167の前回と変えた個所はもう少し検討してみてもいいかもしれん。
あと、54と132はほぼ同じように思えた」

(´・ω・`)「分かった」

(`・ω・´)「これ、他の奴らにも見せるのか?」

(´・ω・`)「もちろん。
といっても各人に必要な部分を抜き出したのも渡すけどね。
とりあえずクーとモナーには全体図の把握をお願いしたいから、
二人には全部目を通してもらうつもり。
出来れば兄者とツンにも全体の流れは見てもらいたいけど、
二人は嫌っていうだろうからなー」

(`・ω・´)「ブーンとジョルは?」

(´・ω・`)「ブーンは本能で動いてもらった方が事態は好転しそうだから、
とりあえず話して渡すけど、まあ渡すだけかな。
問題はジョルジュだけど……」

(`・ω・´)「……おれが言うか?」

(´・ω・`)「いや、これは僕が話すよ。
それにこれは僕の杞憂で終わる話かもしれない内容だからね」

(`・ω・´)「そうか……」

(´・ω・`)「それよりも、そっちの事をお願いしたいんだけど」

(`・ω・´)「こちらはサポートだからな。
その時に誰の指示に従うかだけ間違わなければ大丈夫じゃないか?」

(´・ω・`)「そう……かな」

.

158 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:49:31 ID:m6v2ZR4Y0

(`・ω・´)「ミルナとデミタスは言わなくても、
ハインだってそうだな。
エクストとトソンもお前の信者だから問題ないだろ」

(´・ω・`)「そうかなー」

(`・ω・´)「大丈夫大丈夫。
他の奴らは?」

(´・ω・`)「プギャー達三人には話してある。
もしもの時は力を貸してほしいって」

(`・ω・´)「喜んでただろ」

(´・ω・`)「……うん。
あの三人も不思議だよね」

(`・ω・´)「あの三人を含め、チームマッシロの奴らはみんなお前に感謝してるからな」

(´・ω・`)「その『チームマッシロ』も止めてって言ったんだけどなー」

(`・ω・´)「『チームマシロ』を却下されたからだから、諦めろ」

(´・ω・`)「まったく……」

(`・ω・´)「フォックスがギルド作ったら、
名前は決定だな」

(´・ω・`)「やーめーてー」

机に顔をうずめるショボンとそれを見て笑うシャキン。

.

159 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:51:20 ID:m6v2ZR4Y0

(`・ω・´)「ミルナとデミタスは言わなくても、
ハインだってそうだな。
エクストとトソンもお前の信者だから問題ないだろ」

(´・ω・`)「そうかなー」

(`・ω・´)「大丈夫大丈夫。
他の奴らは?」

(´・ω・`)「プギャー達三人には話してある。
もしもの時は力を貸してほしいって」

(`・ω・´)「喜んでただろ」

(´・ω・`)「……うん。
あの三人も不思議だよね」

(`・ω・´)「あの三人を含め、チームマッシロの奴らはみんなお前に感謝してるからな」

(´・ω・`)「その『チームマッシロ』も止めてって言ったんだけどなー」

(`・ω・´)「『チームマシロ』を却下されたからだから、諦めろ」

(´・ω・`)「まったく……」

(`・ω・´)「フォックスがギルド作ったら、
名前は決定だな」

(´・ω・`)「やーめーてー」

机に顔をうずめるショボンとそれを見て笑うシャキン。

.

160 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:52:21 ID:m6v2ZR4Y0

すると二人の視界の隅にランプがともり、
自分にしか聞こえないチャイムが鳴った。

(`・ω・´)「おっ」

(´・ω・`)「ああ。ブーンからだね。
時間だからドアを開けてくれたみたい」

(`・ω・´)「了解」

立ち上がり、執務室のドアを開けるシャキン。

(´・ω・`)「ありがと」

すると数分後、ショボンが視界に空間の歪みをかすかに感じると、
自然にドアが閉まった。

(`・ω・´)「おれの耳でもかろうじて足音のような音が聞こえるくらいか」

(´・ω・`)「来てくれてありがとう」

(`・ω・´)「久しぶりだな」

『おひさしぶり』

マントを脱ぐ電子音が、二回二人の耳に聞こえた。






.

161 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:53:52 ID:m6v2ZR4Y0

某都市



本城総合病院 別館

24時間体制で看護はしているが、
基本的には全て医療機器に任せているため、
別館に常駐する看護師は少ない。

今日も詰め所にいた二人の看護師に声をかけた後に、
朝日は病室に向かった。

息子の眠るベッドの横に立つ朝日。

タブレットを開いてわが子の脳波を確認する。

(-@∀@)「祥大。今日はいっぱい笑ったみたいだな」

そう言いながら、ナーヴギアを撫でる。
慈しむようなその手つきから、愛情がうかがえた。

(-@∀@)「祥大。
とうとうだ。
そっちで死んだ時に起きる脳波の波形を完全に解明できた。
そして、その脳波を測定してからナーブギアが脳を焼くまでの時間もわかった。
俊雄君が報告してくれていたデータと、
亡くなられた方が残してくれたデータのおかげでな。
あとは、その電磁波を無効化する為のシステム作りだ。
そっちも見通しは立っている。
一番は水没法だが、ナーブギアの持つ電力を考えるとプールが必要かもしれん。
……本当に、このナーブギアは、様々な意味で完璧だよ」

悲しげに、けれどしっかりと呟く。
それは息子に語り掛けるようでもあり、
自身に向けての決意のようでもあった。

そして電源ケーブルに目をやる。

.

162 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:56:36 ID:m6v2ZR4Y0

(-@∀@)「本当は、今すぐにでも切りたい。
システムの実用化はまだかかりそうだ。
もしも明日、いや、今、目の前で、
お前が死ぬかもしれないなんて、
考えたくもない。
でも、電源切ったら、お前は怒るんだろうな。
それでも、何度も、何度も、切ろうと思った。
でも、お前に怒られるのは、嫌だからな。
お前は、お前を助けてくれた内藤君と徳永君と、
離れたくないだろうからな。
……だから、父さんはこっちで頑張るから、
お前も頑張るんだぞ。
そして、ちゃんと帰って来い。
分かったか。祥大」

タブレットを仕舞い、
眼鏡をはずして目頭を押さえる朝日。

その目は、ショボンとよく似ていた。







.

163 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 00:57:22 ID:m6v2ZR4Y0


第二十一話







.

164 ◆dKWWLKB7io:2016/09/05(月) 01:07:39 ID:m6v2ZR4Y0
以上、二十一話でした。

乙、感想、突っ込み、支援、本当にありがとうございます!


今回は短めだったのと、
リアル側メインの為閑話にしようかとも思いましたが、
これも『アインクラッドとの戦い』ということで、
こちら側にしました。

少しだけ二十二話以降につながることも織り込みつつ。


ではまた次回、よろしくお願いします。


ではではまた!

.

165名も無きAAのようです:2016/09/05(月) 01:17:25 ID:pI6I9Dbc0

面白かった

166名も無きAAのようです:2016/09/05(月) 01:28:04 ID:hhSJu9Nc0
乙乙

167名も無きAAのようです:2016/09/05(月) 03:16:08 ID:F9t2tpW20
マントを二回だと?
一回だったらあいつかと思ったけど『』だし二人居るのか?

168名も無きAAのようです:2016/09/06(火) 21:46:04 ID:vXfCkKAA0
二次創作の作品ではピカイチだなぁ。

169名も無きAAのようです:2016/09/10(土) 23:59:25 ID:1M3WUgEk0

あと誤字いくつか

>>90
怒られるますよ
>>142
バウンドケーキ
>>155
築かれないように

170名も無きAAのようです:2016/09/11(日) 01:22:13 ID:6QKZqE.M0
>>169
跳ねるケーキが有るかもしれないじゃないか!

171名も無きAAのようです:2016/09/11(日) 11:32:39 ID:WOI8rsPg0
いつも楽しみにしてます!

172名も無きAAのようです:2016/09/11(日) 18:13:54 ID:7HkGNUN.0
おつ
現実の話も出てきてそろそろ終わりなのかと思ったけど、まだまだ展開が進みそうな予感。
携帯で読んだせいか改行に目がいく、PCで改めて読もうかな。

バウンドケーキってエネミー側にいそう
見た目まんまのやつ

173名も無きAAのようです:2016/09/11(日) 18:33:02 ID:ImKVsJQI0
ケーキだと思って近づいたら飛びかかってくるミミック的な?

174名も無きAAのようです:2016/09/11(日) 19:49:56 ID:sZ07S4Co0
倒すとケーキミックスやお菓子の素がドロップするんですね

175名も無きAAのようです:2016/09/11(日) 20:31:47 ID:WdpAN22.0
イベントモンスターか ありだな!

176名も無きAAのようです:2016/09/12(月) 07:44:54 ID:MURHGnk20
>>174
ツン、クーあたりがおいしいかもとか言って1回は必ず狩りそうだなw

177名も無きAAのようです:2016/09/14(水) 22:12:51 ID:C5Rb1wXg0
2人目の忍者、か

一瞬だけぃょぅかと思ったが
流石にないよな、すまん

178名も無きAAのようです:2016/09/18(日) 08:41:14 ID:XY/1YB6g0
息子の死の可能性を口に出した後、句読点増やすのずるい。泣いた

179 ◆dKWWLKB7io:2016/09/27(火) 20:05:36 ID:tv3/xvQw0

リアルでパウンドケーキをバウンドケーキと勘違いしていた作者が通りますよ。

   /⌒ヽ
  / ´_ゝ`)すいません、ちょっと通りますよ・・・
  |    /
  | /| |
  // | |
 U  .U


orz


乙と感想と突っ込みありがとうございます。
おかげで色々と沸いてきます!
主にやる気とかネタとか。
ということでつながったので、近々閑話を投下します。


ではではまたー。

.

180 ◆dKWWLKB7io:2016/09/27(火) 23:43:22 ID:tv3/xvQw0
ということで投下します。

宜しくお願いします。

.

181 ◆dKWWLKB7io:2016/09/27(火) 23:44:21 ID:tv3/xvQw0

( ^ω^)達はアインクラッドを生きるようです。




閑話 白い約束





.

182 ◆dKWWLKB7io:2016/09/27(火) 23:45:41 ID:tv3/xvQw0

VIP牧場の一角にある建物は、二階建てである。
最初建てた時は何人かが休むことが出来る寝室が二つとリビングが一つ、
そして牧場を管理するための設備があるだけだった。

それが今やモナーの個室はもちろん、
クックルの個室、
二人用の寝室が四つ、
設備を整えたキッチン、
四人程度がゆっくりと浸かれる浴場、
そして十人以上がくつろげるリビングが備わった建物へと変わっていた。

牧場と農場の売り上げ、
そしてギルドマスターがかき集めたコルを使った結果だが、
誰一人「こんな設備必要か?」と疑問に思っていないのは、
ちゃんと活用しているからだった。

今日も彼らが、リビングに集まっている。

('A`)「同士諸君、
今日はおれの呼びかけに集まってくれてありがとう」
 _
( ゚∀゚)「おー!」

(,,゚Д゚)「あたりまえだぞゴルァ!」

( ´∀`)「ここはモナーが管理してるからいるのは当然もな」

( ゚∋゚)「緊急の案件って呼ばれたんだが」

('A`)「ああ。緊急だ」

沈痛な面持ちで集まった全員の視線を集めるドクオ。

(´・ω・`)「どうしたのいったい?」

ミ,,゚Д゚彡「早く話すといいから!」

( ´_ゝ`)「めずらし……くはないのか」

(´<_` )「ドクオは暗い顔がデフォだからな」

.

183 ◆dKWWLKB7io:2016/09/27(火) 23:46:54 ID:tv3/xvQw0

( ・∀・)「同意はするが、容赦してやれよ」

( ゚д゚ )「同意はするんだな」

(´・_ゝ・`)「ま、平常営業だな」

<_プー゚)フ「なんだなんだ。戦いに行くんじゃないのか?」

(`・ω・´)「しかし、ドクオがおれたち全員を集めるとはよほど緊急なんだな」

思い思いに話す集められたメンバー。

しかしドクオは暗い顔をつづけるだけのため、
視線はブーンに向けられた。

(;^ω^)「おー。ぼくも知らないんだお。
昨日の夜死にそうな顔をしたドクオがやってきて、
皆を集めてくれって頼まれたから手配しただけなんだお」

全員の顔に戸惑いが生まれ、
再びドクオに視線が集まる。

('A`)「……おれがふがいないばっかりに、みんなすまない」

全員の顔にさらなる大きな戸惑いが浮かぶ。

(´・ω・`)「えっと……ドクオ?どうしたのいったい?」

( ゚д゚ )「そういえばツン、クー、しぃはどうしたんだ?
ハインとトソンも呼ばれてないが」

目に見えて体を震わせたドクオ。

( ^ω^)「ドクオ?」

('A`)「……みんな、知っているか?
今日は3月16日なんだ」

消え入るような細い声で呟いたドクオ。
しかしその声はちゃんと全員に届いていた。

(´・ω・`)「……ああ」

全員が小首をかしげるが、
一人ショボンがすぐに何かを納得した。

.

184 ◆dKWWLKB7io:2016/09/27(火) 23:48:25 ID:tv3/xvQw0

そしてその声をきっかけに、
半分くらいは何かを思いついていた。

(;・∀・)「もしかして、お前……」

(;゚∋゚)「忘れていたのか?」

( ´∀`)「だめもなねぇ」

('A`)「!お、お前たちもしや……」

( ・∀・)「アクセサリー作った」

( ゚∋゚)「花束を」

( ´∀`)「とっておきのA級食材を何点か提供したもな」

(´・ω・`)「それを使ってぼくとふさでディナーをご馳走した」

ミ,,゚Д゚彡「!ケーキは最高の自信作だったから!」

(´<_` )「話題になってたカフェで奢った」

( ゚д゚ )「おれとデミタスでちょっと話題になってるレストランに」

(´・_ゝ・`)「けっこう高かったけどうまかったぞ」
 _
(;゚∀゚)「!」

(;´_ゝ`)「!」

(,,゚Д゚)「!」

<_プー゚;)フ「!」

(`・ω・´)「!あ、そういえばそうか」

ドクオの沈痛な面持ちに憐みの視線を向ける何人かと、
顔を引きつらせる数名。
そしてのんきな一人。

そして視線が最後の一人に向けられる。

.

185 ◆dKWWLKB7io:2016/09/27(火) 23:49:35 ID:tv3/xvQw0

(;^ω^)「ツンとは当日に二人でご飯に。
ほかの皆にはその前に前から欲しがってたアイテムとかを」

ブーンの言葉を聞き、
この世の終わりだとばかりに表情をゆがめるドクオ。

('A`)「な、な、な、なんで忠告してくれないんだよ!
ホワイトデーの事を!」

ドクオの叫びが、部屋をこだました。





ソファーの上で膝を抱えているドクオ。

ブーンやクックルは戸惑いの視線で見ているが、
それ以外のほとんどの面子は気にしていない。

(´・ω・`)「これが指定されたクエストか……」

ドクオから渡さられた資料に目を通すショボン。

(´・ω・`)「ま、この程度のクエストならメンバーそろえれば構わないけど……」

言葉を濁すショボン。

クエストの申請でショボンがこのような状態になるときは、
『何か』あることが多いことが分かっているため、
その場にいる者のほとんどがドクオと数人を見る目が、
可哀想なものをみる目に変わった。

<_プー゚;)フ「お、おれも参加しないとだめなのか?」

('A`)「ホワイトデーノオカエシヲシテイナインダロ?」

<_プー゚;)フ「……してない」
 _
( ゚∀゚)「で、でもよう、あれって作ったのフサギコだろ?」

.

186 ◆dKWWLKB7io:2016/09/27(火) 23:50:43 ID:tv3/xvQw0

ミ,,゚Д゚彡「調理はフサがしたけど、
素材は全部みんなが集めてきたやつだから!
その思いがあの美味しいケーキになったから!」
 _
(;゚∀゚)「フサギコお前どっちの味方だ」

ミ,,゚Д゚彡「これに関してはツンとクーとしぃとハインとトソンの味方だから」
 _
( ゚∀゚)「言いきったぞこいつ」

( ´_ゝ`)「なあ弟者、何故おれも誘ってくれなかったんだ?」

(´<_` )「その方が面白いかと思ったからな」

(#´_ゝ`)「よーしわかった、表で勝負だ」

(´<_` )「まぁまぁ落ち着け」

( ゚д゚ )「しかしシャキンはこういう事はちゃんとやっているかと思ったが」

(`・ω・´)「最近忙しかったからすっかり忘れてた。
というか、ハインやトソンからもらってもどうせ義理だからなぁ」

(´・_ゝ・`)「それはそうだが、義理でもちゃんと返すべきだろ」

(`・ω・´)「それは反省する」

( ・∀・)「でもギコがお返しをしてないっていうのも驚きだな。
指輪の事にあれだけ頑張ったやつだから、
そういったことにはちゃんとしているのかと思った」

( ゚∋゚)「ああ。しぃちゃんと食事でも行ってるかと思った」

(,,゚Д゚)「あ、いや、しぃにはお返しした」

( ・∀・)「え?」

( ゚∋゚)「しぃには……ってことは」

(,,゚Д゚)「他の四人にはしてない」

(;・∀・)「それはまあ、正しいと言えば正しいのか」

(;゚∋゚)「そうだな。ちゃんと決まった相手にはしたわけだから」

.

187 ◆dKWWLKB7io:2016/09/27(火) 23:58:52 ID:tv3/xvQw0

( ・∀・)「でもなー。義理とはいえもらったモノのお返しはしないとだな」

( ゚∋゚)「しぃの知らない女の子から貰ったとかなら問題だが、
ツン達だからな」

(;,,゚Д゚)「そういうものなのか……」

('A`)「はぁ……」

(;^ω^)「でもドクオ、リアルの方ではお返ししてたおね」

( ´∀`)「なんで今回は忘れちゃったもな?」

('A`)「……ハインから飲まされたあのお茶が、
まさかバレンタインのプレゼントだとは思わなかった」

(;^ω^)「おー。あれは大変だったおね。
一時間くらいして目を覚ましたけど、
寝るまでなんかずっと支離滅裂な状態だったし」

(;´∀`)「の、飲むとき言われなかったもな?」

('A`)「飲む前三時間くらいと次の日の朝までの記憶が無い」

(;^ω^)

(;´∀`)

('A`)「ツン達からケーキをもらってたことに気付いたのも次の日だったし、
フサが作った料理だったからいつもの味見かと思ってた」

(;^ω^)「……色々誘わなくてごめんだお」

(;´∀`)「も、モナーもあのお茶に関しては責任を少し感じるもな」

('A`)「モウイイヨ……」

(´・ω・`)「ふむ。やっぱり。
このクエスト、アルゴさんから調査依頼の来てたクエストだった……よ?
どうしたのみんな?
なにかあった?」

一人思考の海に潜っていたショボンだったが、
ふとまわりを見て混沌とした状況に気付き、
眉間に皺をよせた。
.

188 ◆dKWWLKB7io:2016/09/28(水) 00:00:32 ID:Sdp8424Y0




第47層フローリア フラワーガーデン

一年を通して可憐な花が咲き誇り、
時折吹く優しい風に花弁が舞う、
夢のようなエリアに降り立ったドクオ達。

(;^ω^)「それで、ここでアイテムゲットなのかお?」

(´・ω・`)「うん。
45層の民家で引き受けるこのクエスト、
『おじいちゃんに食べてもらいたいケーキ』
のスタートがここなんだよ」

ショボンを先頭に、11人の男がぞろぞろと歩いていた。

('A`;)「しかしなんでツン達はこんなクエストをやれなんて」

(;´_ゝ`)「クリアアイテムが、その『ケーキ』なんだよな?」

ミ,,゚Д゚彡「『ケーキ』の味は気になるから」

(;,,゚Д゚)「ど、どこに行けばいいんだゴルァ」

(`・ω・´)「あの先の黄色い花……か?」

(´・ω・`)「うん。そう。そこで花弁を取って。
あと右のエリアの水色の小さな花の蜜」
  _
(;゚∀゚)「こ、こっちだな」

(´・ω・`)「あ、こっちの花弁が無いと蜜は取れないんだ」

(;゚∋゚)「な、なあ。
ここには全員で来ないとだめなのか?」

(´・ω・`)?

(`・ω・´)?

.

189 ◆dKWWLKB7io:2016/09/28(水) 00:02:08 ID:Sdp8424Y0

(´<_`;)「そ、そうだな。他にも取りに行くアイテムあるんだろ?」

<_プー゚;)フ「お、おれはそっちを取りに行くぞゴルァ」

(´・ω・`)「ここの三種の花の蜜を取らないと行っても意味ないし、
折角だから全員で一つずつ持っておこうかなと」

<_プー゚;)フ「そ、それじゃあさっさと採ろう」

(`・ω・´)「どうしたエクスト。
そんなに慌てて」

(´・ω・`)「皆もなんかそわそわしてない?」

ミ,,゚Д゚彡「落ち着かないから」

(;゚∋゚)「おれにしてみれば、落ち着ているお前たちの方が不思議だ」

(`・ω・´)?

(´・ω・`)?

ミ,,゚Д゚彡?

('A`;)「ダメだぞクックル、この三人にそういった空気を読む力を求めたら」

(´・ω・`)「えー。ひどいなぁ」

(´<_`;)「喋ってないで、さっさと採取しよう」

(;´_ゝ`)「おれもこの視線はキツイ」

(;,,゚Д゚)「なんであんまりこのクエストがやられてないか分かるぞ」

(´・ω・`)「え?ギコ分かるの?
不思議だったんだよね。
データだけ見たらそれほどきつくないし、
報酬もまあそれなりなのにクリアしたって話を聞かないから」
.

190 ◆dKWWLKB7io:2016/09/28(水) 00:03:09 ID:Sdp8424Y0

ミ,,゚Д゚彡「凄いから!」

(;゚∋゚)「いや、お前ら以外は全員分かっていると思うぞ」

(`・ω・´)「なんだよー。
おれ等だけ仲間外れなのか?」

<_プー゚;)フ「お前らはこの視線が気にならないのか!?」

(`・ω・´)「視線?」
(´・ω・`)「ああ」
ミ,,゚Д゚彡「え?」

周囲を見るシャキンとフサギコ。
ショボンは一人納得したように頷いた。

(女)「男だけでここに来るんだー」

(男1)「やめとけシアン。
なにされるかわからないぜ。
どうせ……女の子でもナンパしに来たんだろ」

(女1)「えー。ヒッターくん。
流石にそれは寂しすぎるよ」

(甲冑男)「寂しい奴らだな。こんなところに男だけでぞろぞろと」

(マント女性)「ダメだよシヴァタくん、そんなこと言っちゃあ。
この先の迷宮に行きたいのかもだし」

(甲冑男)「それならば次の街の転移門に行けばいい」

.

191 ◆dKWWLKB7io:2016/09/28(水) 00:04:32 ID:Sdp8424Y0

ミセ*゚ー゚)リ「あれ?
ねぇフィレフィレ、あそこにいるのっていつも連れてってくれるお店の人だよね?
挨拶しておく?
ケーキ美味しいし」

(‘_L’)「ちょ、ミセミセ。
それは、ちょっと、止めて置こう」

ミセ*゚ー゚)リ「えー。なんでー。今度行ったらサービスしてくれるかもよ?」

(;‘_L’)「い、いや、多分、嫌がられると思うし」

ミセ*゚ー゚)リ「そうなの?なんで?」

(;‘_L’)「そ、それはその……。
こんなところに男だけで来てるとか……。ほら」

ミセ*゚ー゚)リ「?」

(男2)「フラワーガーデンに男だけで来るとか」

(女2)「ダメだよ、そんな指さして笑ったら」

(男2)「ヘイシャオさんは優しいね。
そんなところも大好きだよ」

(女2)「やだもうイーユウ君ったら。
まだ会ったばかりなのに」

(男2)「この赤い花。
君の長い黒髪によく似合うよ。
ああ、でも君の美しさの前では、
全ての花を束にしてもかなわないな」

(女2)「イーユウ君……」

(男2)「ヘイシャオさん……」

見つめ合う二人と、それを囲む花々。

ここフラワーガーデンは、恋人達のデートコースとして有名だった。

.

192 ◆dKWWLKB7io:2016/09/28(水) 00:06:35 ID:Sdp8424Y0

よく見なくても、男だけでこの場にいるのは彼等だけ。
このフロアにしか出現しない敵や、このフロアで初出のモンスターもいるため、
フィールドや迷宮に行くために通り過ぎる男だけのパーティーはいるが、
この場に留まっているのは彼等だけだった。

しかも花をじっと見つめたり花弁を取ったりしているのだから、
目立つことこの上なかった。

(`・ω・´)「注目されてるな」

視線を感じ、なんとなく決めポーズをするシャキン。

(´<_`;)「強心臓だなシャキンは」

ミ,,゚Д゚彡「クエスト攻略の為だから気にすることないから」

(;゚∋゚)「そうは言ってもだな」

(;^ω^)「なんか憐れむような視線とともに、
優越感を感じているような視線もかんじるおね」

(´・ω・`)「まあいいんじゃない。
その程度でしか優越感を感じることが出来ない人達なんだし。
気にしなければ」

( ´_ゝ`)「なかなか辛辣なことを言うな」

(;,,゚Д゚)「兄者もなんか普通だぞ」

(*´_ゝ`)「こういう視線も気持ちよくなってきた」

(´<_`;)「オーケー兄者。
あからさまに変態だから静かにしているんだ」

(*´_ゝ`)「なんだよー」

(;゚∋゚)「だがまあ、今のアインクラッドを考えると、
彼女持ちの男が優越感に浸るのも分からないでもない」

(`・ω・´)「おっ。クックルも大人な発言だな」

.

193 ◆dKWWLKB7io:2016/09/28(水) 00:07:52 ID:Sdp8424Y0

(;゚∋゚)「いやVIPやNSは女性がいるが、
ギルドによっては全然いないところもあるからな」

(;^ω^)「そうなのかお?」

('A`;)「女の子すくないからな」

現在のアインクラッドにおいて男女比はかなり不均等になっており、
女性の数は極端に少なかった。

その為女性プレイヤーは少しでも容姿に華があるともてはやされて大事にされ、
ギルドやパーティーのマスコットのように扱われることもあった。

(´・ω・`)「さ、そんなことよりサクサク進めよう」

視線に耐えつつアイテム採取を進める七人。

全員が一回ずつ済んだ後、フサギコが最後に採取を行う。
_
(;゚∀゚)「フサギコ、さっき失敗したのか?」

ミ,,゚Д゚彡「パーティーごとに6個採れるみたいだから、
一応予備で採っておくから」

(´・ω・`)「モナーが来れなくなっちゃったからね」

(´<_`;)「あいつ絶対ここが分かってて来なかったよな」

( ´_ゝ`)「ビーストテイマー同士の会合なんだろ?
竜使いのシリカちゃんも来てるんだよな。
良いよなー。モナー」

(;゚∋゚)「今回のメンバーが決まってから急に行くとか言い始めてたからな」
  _
(;゚∀゚)「ちくしょう!」

(´・ω・`)「はいはい。
終わったから行くよー」

.

194 ◆dKWWLKB7io:2016/09/28(水) 00:09:04 ID:Sdp8424Y0

早歩きで転移門に向かう7人と、
ゆっくりと歩く4人。

('A`;)「早くいくぞー。
まだ他にも採りに行くんだろ!」

ドクオの呼びかけに、
苦笑しつつ少しだけ早歩きになる四人だった。





魔女の森

最終目的地の森の前で、
11人中7人はぐったりとしていた。

('A`;)「なんであんな所ばかり……」

(;^ω^)「採取するところが全部有名デートスポットとか、
このクエストを設定したひと頭が沸いてるお」

('A`;)「ツンのやろう、ぜってー知ってたな。
精神的攻撃だ」
_
(;゚∀゚)「で、でもここでラストなんだよな!」

(;゚∋゚)「ここはデートスポットでもないし、普通の戦闘なんだろ?」

<_プー゚;)フ「や、やっとおれの出番だ……」

(;,,゚Д゚)「暴れるぞゴルァ」

疲れた顔をしながらも頷きあうエクストとギコ。

(*´_ゝ`)「さっきのエリアでの視線もなかなか良かったな」

(´<_`;)「オーケー兄者。
おれの斧が兄者の頭を胴体から切り離す前に黙ろう」

.

195 ◆dKWWLKB7io:2016/09/28(水) 00:09:54 ID:Sdp8424Y0

早歩きで転移門に向かう7人と、
ゆっくりと歩く4人。

('A`;)「早くいくぞー。
まだ他にも採りに行くんだろ!」

ドクオの呼びかけに、
苦笑しつつ少しだけ早歩きになる四人だった。





魔女の森

最終目的地の森の前で、
11人中7人はぐったりとしていた。

('A`;)「なんであんな所ばかり……」

(;^ω^)「採取するところが全部有名デートスポットとか、
このクエストを設定したひと頭が沸いてるお」

('A`;)「ツンのやろう、ぜってー知ってたな。
精神的攻撃だ」
_
(;゚∀゚)「で、でもここでラストなんだよな!」

(;゚∋゚)「ここはデートスポットでもないし、普通の戦闘なんだろ?」

<_プー゚;)フ「や、やっとおれの出番だ……」

(;,,゚Д゚)「暴れるぞゴルァ」

疲れた顔をしながらも頷きあうエクストとギコ。

(*´_ゝ`)「さっきのエリアでの視線もなかなか良かったな」

(´<_`;)「オーケー兄者。
おれの斧が兄者の頭を胴体から切り離す前に黙ろう」

.

196 ◆dKWWLKB7io:2016/09/28(水) 00:11:10 ID:Sdp8424Y0

( ´_ゝ`)「むー」

(`・ω・´)「で、ショボン、どうすればいいんだ」

(´・ω・`)「最奥まではいかなくていいみたい。
途中の休憩地点で持ってきたアイテムを使うと、
新しいルートが開けるみたいだね。
そのあとはその道を行けばよし」

( ゚∋゚)「敵の種類は聞いていた通りか?」

(´・ω・`)「うん。『魔女の森』の名前の通り、
魔女の使い魔とされる骸骨剣士とケルベロス系の獣。
後はマントを付けて杖を持った骸骨」
  _
( ゚∀゚)「そのマントを付けたっていうのが……」

(´・ω・`)「うん、魔女の死んだ姿って設定だね。
攻撃力は弱いけど、杖をふるって回復を仲間にするから、
出てきたらマントの骸骨を先に倒すのを心がけて」

( ´_ゝ`)「骸骨はおれと弟者が担当だな」

(´・ω・`)「お願いするよ。
あとは両手剣のエクストとジョルジュもお願い。
シャキンは後ろで控えててよ。
このエリアは後ろからも出てくるから。
クックルも後ろで」

( ゚∋゚)「了解した」

(`・ω・´)「むー。仕方ない」

(´・ω・`)「2パーティーいるんだし、
無理せずスイッチしていこう」

全員の顔を見るショボン。
それぞれが頷いたり武器を掲げたりして答えた。

(´・ω・`)「僕も今日は『チャクラム』をメインにするからよろしくね」

その後細かいフォーメーションを決め、
11人は森を進んだ。

.

197 ◆dKWWLKB7io:2016/09/28(水) 00:12:17 ID:Sdp8424Y0







「なにこれ?」

順調に森を突き進んだ彼らがある『モノ』を見た瞬間、
誰かがポツリとつぶやいたそれは、
全員が思ったことだった。

エリア移動で飛び込んだ先は、
半径5メートルほどの、木々に囲まれた円形広場。

そしてその先に続く幅2メートルほどの道があるのだが、
その『モノ』が道を塞いでいた。
『モノ』の大きさは、目算で高さ3メートル、
横幅2メートル、長さは5メートルを超えている。

更に言うと、円形広場に『モノ』は1メートルほど飛び出していた。

<_プー゚)フ「大きさは電車くらいか?」

(´<_` )「道の奥が木に隠れていて見えない。
見える所だけで、車両一つ分は確実ってところか」
 _
( ゚∀゚)「道いっぱいに広がってて横は通れないぞ」

( ゚∋゚)「よじ登ることは出来そうだが……」

( ^ω^)「跳んでみるかお?」

助走をするために後ろに移動するブーン。

(´・ω・`)「ブーン、ストップ」

( ^ω^)「お?」

(´・ω・`)「これ、クエストのデータに乗ってないから調査対象なんだ」

.

198 ◆dKWWLKB7io:2016/09/28(水) 00:13:38 ID:Sdp8424Y0

('A`)「え?」

(´<_` )「あー。やっぱりそうか」

ウインドウを開いていた弟者だったが、
ショボンの言葉ですぐに閉じた。

(;゚∋゚)「(しかしこのギルドはそういうの多いな)」

(,,゚Д゚)「普通のクエスト攻略と何が違ったんだゴルァ」

(´・ω・`)「多分だけど、僕とフサギコの存在かな」

ミ,,゚Д゚彡!

(`・ω・´)「お前とフサギコ?」

(´・ω・`)「おそらくだけど、『調理スキル』がキーだったんじゃないかなと。
もともとアルゴさんから調査が依頼されたのも、
クエストの同時攻略人数の多さとか、
色んな層を渡るわりには簡単な戦闘だとか、
最終的に受け取れるアイテムのレベルが低いとか、
色々おかしな点があったからなんだ。
そして食材集めみたいだから調理スキルを極めてる僕とフサギコをメインして、
念のため各パーティーを最大人数の6人にして、マックスの12人にして挑んだんだけど」

<_プー゚)フ「でも11人になっちまったわけか」

(´・ω・`)「あ、うん。そうだね。
そうしたら、こんなものが出てきたわけ……」

じっとその『モノ』を見つめるショボン。

(´・ω・`)「ちょっと厄介だな」
_
( ゚∀゚)「どうした?」

(´・ω・`)「うん……。みんな、とりあえず下がって」

.

199 ◆dKWWLKB7io:2016/09/28(水) 00:14:47 ID:Sdp8424Y0

『モノ』の正面、そして円形広場の一番端に移動したショボン。

それに倣って全員が広場の端、
『モノ』から遠い位置に移動する。

ショボンがチャクラムを腰に留め、
大ぶりのスローイングダガーを取り出した。

(´・ω・`)「……ドクオ」

('A`)「ん?」

(´・ω・`)「ここってクローズされてるよね」

('A`)「ああ。道は戻れるけど、
最大人数がここにいるからこのエリア自体は閉じて、
誰も入れないはずだ」

(´・ω・`)「了解。
えっと……エクスト」

<_プー゚)フ「なんだ?」

(´・ω・`)「パーティーの共通フォルダから回復クリスタル取り出して、
回復して」

<_プー゚)フ「!おい、3ドットくらいだぞ欠けてるの。
この程度にクリスタルを!?」

(´・ω・`)「念のため、クリスタルを使えるエリアなのかを試したいんだ。
既に出してあるクリスタルは戦闘の時に使う可能性があるから、
フォルダから出して使って」

<_プー゚)フ「!わ、分かった」

ウインドウを開いてクリスタルを出す。

<_プー゚)フ「ヒール!」

.

200 ◆dKWWLKB7io:2016/09/28(水) 00:15:56 ID:Sdp8424Y0

クリスタルが砕け、エクストのHPが満タンになった。

<_プー゚)フ「使えたぞ!
……トソンが居たら発狂しそうな使い方だな」

(`・ω・´)「ブフッ」

( ゚∋゚)「笑いごとなんだな」

(`・ω・´)「いや、発狂しているトソンが想像できて」

(´・ω・`)「クリスタルも使える……と」

クスクスと笑うシャキンを横目にダガーを構えるショボン。

それを見て全員が武器を構えた。

(,,゚Д゚)「フサギコ」

ミ,,゚Д゚彡「なにだから」

(,,゚Д゚)「……どうみてもこれ、アレだよな。
まえに食わしてもらった、ほら、あのケーキ」

ミ,,゚Д゚彡「……パウンドケーキ」

(,,゚Д゚)「そう、それ。うまかった」

( ゚∋゚)「やっぱそう見えるよな?」

(´<_` )「クックルもそう思うか」

ミ,,゚Д゚彡「確かによく似てるから……」

ぼそぼそと話すショボンを除く全員。

(´・ω・`)「攻撃するよー」

「「「おう!」」」
「「「はい!」」」

穏やかなショボンの声に反応して気を引き締める。

.

201 ◆dKWWLKB7io:2016/09/28(水) 00:18:23 ID:Sdp8424Y0

そしてショボンが白く光るナイフを投げた。





( ^ω^)「……刺さってるおね」

('A`)「ああ、刺さってる」

茶色いスポンジの側面に当たったダガーは、
そのままナイフの部分だけ刺さった状態で止まっていた。

(`・ω・´)「どうすんだこれ?」

全員が横目でショボンを見る。

(´・ω・`)「くるよみんな。構えて!」

チャクラムを構えるショボン。

その声と姿に、慌てて武器を構えて巨大パウンドケーキを見る。

するとパウンドケーキの右上に四本のHPバーが生まれ、
ケーキが震え出した。

そしてその上部に浮かぶ文字。

『The Bound Cake』

('A`;)「!冠詞付き!?」

ドクオの叫びと同時に飛び上がるバウンドケーキ。

(;´・ω・`)「ジャンプ!」

思わず叫んで飛び上がるショボン。

完全に出遅れたエクストと、重い武器を構えていた兄者と弟者のタイミングが少し遅れた。

.




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