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ζ(゚ー゚*ζお姉ちゃんは強いようです

1名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 20:05:40 ID:dkSqExrY0
はじまるよー

こわくないよー

よっといでー

10名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 20:30:53 ID:dkSqExrY0
その時、家の玄関で物音がしました。
扉が開く音と共に、大好きなお姉ちゃんの声がします。

「ただいまー」

        おっ! 。・゚・
      て     。・゚・。・゚・
 (; ^ω^)て   //
 /   o━ヽニニフ
 しー-J    彡

一瞬の油断が、ブーンの集中力を削ぎました。
宙高く舞うチャーハン。
それはブーンのコントロールできる範囲を超え、自由を求めて空を飛びます。

        ・ ゚ ・ :。 ・
         ゚・。 ・゚ ・
          //
 (    )
 /   oニフ
 しー-J

11名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 20:35:39 ID:dkSqExrY0
まるで桜の花が風で散るかのように、チャーハンが舞い吹きます。
ですが、ブーンにとって予想外だった事態に対応できた人間がいました。
――お母さんです。

ξ゚ー゚)ξ「はい、ご苦労様」

飛んでいったはずのチャーハンが落下する地点に大皿を持って待ち構え、皿で全てのチャーハンを受け止めたのです。
何事もなかったかのように平然とそれを食卓へと運びます。

( ^ω^)「流石お母さんだお!」

フライパンを置いて、その後に続きます。
リビングには、待ち焦がれたお姉ちゃんがいました。
胸が一気に熱くなり、その胸に抱き付きます。

(〃^ω^)「お帰り! おねーちゃんお帰りなさいだお!」

ζ(゚ー゚*ζ「ただいま、ブーン!
       大きくなったわね! 身長伸びたでしょ!」

(*^ω^)「7センチ伸びたお!」

12名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 20:38:50 ID:dkSqExrY0
ζ(^ー^*ζ「すごいわねー! このままだとお姉ちゃんよりも大きくなるわねー!」

(*^ω^)「うん! おっきくなって、お姉ちゃんと結婚するんだお!」

ζ(゚ー゚*ζ「そっかー、じゃあお姉ちゃんも頑張らないとね」

ξ゚⊿゚)ξ「ほら、感動の再会を楽しむのはいいけど、せっかくブーンが作ったチャーハンが冷めちゃうわよ」

お姉ちゃんの腕を握りながら、ブーンが席に案内します。

ζ(゚ー゚*ζ「ブーンが作ったの?」

(*^ω^)「そうだお! 頑張ったお!
      ねぇ、食べて食べて!」

ζ(゚ー゚*ζ「そうね、せっかくだから冷めない内に食べちゃうわね。
       いただきまーす」

(*^ω^)ワクワク

お姉ちゃんがレンゲを使って一口食べます。
数回咀嚼して、すぐに目を大きく見開きます。

ζ(^ー^*ζ「あら、美味しい! ブーン、これすっごい美味しいわ!
       外国で食べたどんな料理よりも美味しいわ!」

13名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 20:41:31 ID:dkSqExrY0
(*^ω^)「やったー!」

ξ゚ー゚)ξ「よかったわね。 さ、私たちも食べちゃいましょ」

こうして楽しい昼食が始まりましたが、ブーンは終始お姉ちゃんの傍を離れようとはしません。
何度も感想を聞いて、何度も喜びます。
仔犬のようだなと、お母さんは密かに思いました。

昼食が終わり、一息といた時、お姉ちゃんから提案がありました。

ζ(゚ー゚*ζ「そう言えば、前に私のバイクに乗りたいって言ってたわよね?」

( ^ω^)「おっ、言ったお!」

ζ(゚ー゚*ζ「ブーンも大きくなったことだし、ちょっと一緒にお出かけしましょうか」

ξ゚⊿゚)ξ「あんた、帰って来たばかりで疲れてないの?」

ζ(゚ー゚*ζ「ブーンの顔見たら疲れなんて吹っ飛んじゃったわ」

ξ゚⊿゚)ξ「まぁそう言うなら私は止めないけど」

(*^ω^)「バイクだー! バイクだおー!」

14名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 20:45:41 ID:dkSqExrY0
こうして、二人はお出かけをすることになりました。
家の車庫に行き、お姉ちゃんがバイクカバーをめくります。
航空力学を応用し、更なる速度を追求したカワサキH2が、カーボンブラックに輝く車体を露わにしました。
             __
 _   ζ(゚ー゚*ζ \\ _\  さ、後ろに乗って
[H2 ̄// ___⊃ ─)へ\ |ヘ
 \_人  |// ̄_\_| |_)
 ヘ_ / ) ノ/ kwsk=/| ̄/
γ\\(__)|  _/ / | |⌒\
( ([×\/   ┐ ( \| |/ ̄/
 \_ノ/__ロ___|( (*)  )
※参考動画
https://www.youtube.com/watch?v=gi5_GQ78wM8

喜んで後ろに跨り、ヘルメットを被ります。
そして、二人乗り用のベルトを取り付けました。
これで安全な旅が約束されます。

そして家を飛び出した二人は、風のように街中を走ります。

15名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 20:49:19 ID:dkSqExrY0
(*^ω^)「すごいお! 速いお!」

ζ(゚ー゚*ζ「しっかりと掴まってるのよ」

言われなくても、ブーンはしっかりとしがみつきます。
お姉ちゃんの温もりが伝わってきます。
バイクは素晴らしい乗り物です。

風を感じ、人を感じられるのです。

ζ(゚ー゚*ζ「……アウトバーンを走ってみましょうか」

(*^ω^)「YEAAHH!!」

速度制限のないアウトバーンをバイクで走ったらどうなるのか、ブーンには想像もできません。
ただ分かるのは、もっと楽しいことになるという事です。
アウトバーンに入った途端、周囲の景色が一変しました。

流れていた景色は線のようになり、ものすごい風圧が襲います。
ですが、お姉ちゃんの背中がブーンを守ってくれました。
時折お姉ちゃんはミラーで後方を確認しながら、車の間を縫うように走り抜けます。

それは稲妻の様であり、風のようでもあり、光のようでもありました。
どこまで走るのか、見当もつきませんがお姉ちゃんと一緒ならどこに行っても怖くありません。
こうしてスリル満点のドライブはニューソクICを降りるまで続きました。

一般道に戻った時、ブーンは目的地を尋ねました。

16名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 20:50:03 ID:nzmlE9uY0
シエン

17名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 20:52:30 ID:dkSqExrY0
( ^ω^)「どこに行くお?」

ζ(゚ー゚*ζ「ヴィップモールに行きましょ! 一回行ってみたかったの!」

国内最大のアウトレットモールとして名高いヴィップモールは、ブーンも一度は行ってみたいと思った場所です。
見知らぬ街を走り、ブーンたちはヴィップモールに到着しました。
休日というだけあって、家族連れや恋人同士で来ている客が多く見られます。

ζ(゚ー゚*ζ「迷子にならないように手を繋いでいきましょ!」

( ^ω^)「おっ! 繋ぐお!」

   ヽ    \> 、          //    /
    ヽ       /         /         '
             / \      _〈       /
` 、        /   \ /´   ∨          /
  \       /      丶    ∨      /_/
    ヽ   /         \ ノ ヽ     /
      \_∧             ヽ.    >、   /
         ',            ',._/  \ノ
          、             , l |
          〈 ',       ノ 〈 |ノ
          | >、 \    {  ',.ノ
         しi lヽ  ヽ  '、_ノ
.           し'しヘ  }\__〉
              )_,ノ

18名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 20:56:27 ID:dkSqExrY0
柔らかくて、細くて、優しいお姉ちゃんの指がブーンの指を包みます。
手を通じてお姉ちゃんの温もりが伝わってきます。
とても幸せな気持ちになりました。

何か具体的な買い物があるわけではありませんでしたが、こうして歩いているだけで十分楽しい物でした。
一年間もお姉ちゃんに会えなかったのはとてもつらい日々でした。
それを取り戻すかのようにこの時間を過ごします。

        _
.   (⌒⌒⌒).)   /⌒ヽ
    |    |:|.  (^ω^ ) おっ?
──|    |:|‐─○──○──
    ̄ ̄ ̄~

パン屋には変わったパンがありました。
大きな食パンのようにも見えますが、よく見てみると顔が付いているのです。

19名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 20:59:44 ID:dkSqExrY0
        _
   (⌒⌒⌒).)   /⌒ヽ
    |^ω^ |:|   (^ω^ ) おっおー♪
──|   :::|:|‐─○──○──
    ̄ ̄ ̄~

ちょっと並んでみました。

                __        __
.        (⌒⌒⌒)::)   .(⌒⌒⌒)::) ____
        | ^ω^ |:::| /⌒| ^ω^ |:::| | SALE |
        |____|__(^ω^|____|;;;|  ̄~||~ ̄
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄|
       |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::::|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

その後、服を売っているお店に行きました。

ζ(゚ー゚*ζ「ブーン、これちょっと着てみてよ」

( ^ω^)「おっ! 分かったお!」

       i,!'; ,!i';
       ; lj: ;,リ;'
      ;' "´゙ヽ
      ;' ;. ‘,,λ )
     ;' ((´^ω^)  ふわふわだお
    ,.;゙; (ノ   ';)
    `'ヾ;,(つ;,;,(つ

20名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 21:04:36 ID:dkSqExrY0
おもちゃ屋さんに行くと、変わった列車があったので乗ってみました。

        ∩  ∩
       い,,c'_ノ   / ̄`>O  __l>o<l__.
        c/・ ・`っ   {,,,,,,,,,,,,,,,,,}  _|__〈ハ〉__|_  ドナドナドーナドーナドーナ
        (''● ''' )   (^ω^ )   |///| |///|  荷物がゆーれーるおー
       O┬Oノ )∽[ ̄てノ ̄]∽[ ̄ ̄ ̄ ̄]
      ◎┴し'◎  ◎──‐◎ ◎───◎   =3  =3

特に何かを買ったという事もありませんが、ブーンはこの時間がとても好きでした。
これからはお姉ちゃんが一緒にいてくれる。
それが何よりも嬉しいのです。

ブーンはお姉ちゃんが大好きです。
優しくて美人で、そして強いのです。
悪いことをしたら真っ先に叱るのもお姉ちゃんですが、良いことをしたら褒めてくれるのもお姉ちゃんです。

歳は離れていますが、そんなことは問題ではありません。
ブーンにとってお姉ちゃんはお姉ちゃんなのです。
どのような背景があろうが年齢が離れていようが、関係ありません。

今一緒にいてくれるお姉ちゃんこそが全てなのです。
産まれた時からずっと愛情を注いでくれるお姉ちゃんが全てなのです。

21名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 21:08:16 ID:dkSqExrY0
ζ(゚ー゚*ζ「あら、もう3時ね。
       ちょっとおやつでも食べない?」

時間が経つのは早いものです。
特にそれが楽しい時間ともなれば尚更です。

(*^ω^)「食べるお! ケーキ食べたいお!」

ζ(゚ー゚*ζ「じゃあそうしましょう。
      美味しいケーキ屋さんがあるらしいから、そこに行きましょう」

(*^ω^)「お姉ちゃんと一緒ならどこでもいいお!」

ζ(^ー^*ζ「もう! 嬉しいこと言ってくれるわね」

ぎゅーっと抱きしめられ、そのまま抱っこしてもらいました。
久しぶりに抱っこされて、ブーンは嬉しさのあまりお姉ちゃんにしがみつきました。
高い目線で世界を見るのはとても気持ちがいいものです。

それがお姉ちゃんの腕の中ならば最高です。
ケーキ屋に着いた時、店内は人でごった返していました。

ζ(゚ー゚*ζ「ブーン席取っておいてくれる?
      その間に私が買ってくるから」

(*^ω^)「わーい。 待ってるおー」

22名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 21:12:06 ID:dkSqExrY0
言われた通り、ブーンは席に着いてお姉ちゃんを待つことにしました。
人ごみの中に消えていくお姉ちゃんを見送り、ブーンは早くお姉ちゃんが戻ってくるのを待ちます。

( ・∀・)「ねぇちょっと、君」

( ^ω^)「お?」

見知らぬ人が声をかけてきたのは、お姉ちゃんが列に並んでから少ししてからの事でした。
少しだけ浅黒い肌の男の人は、ちょっと変わったイントネーションで英語を話します。

( ・∀・)「デレデレさんの弟、だよね?」

( ^ω^)「そうだお! おじさんは誰だお?」

( ・∀・)「おじさんはお姉ちゃんのお友達でね。
      ちょっとお姉ちゃんに頼まれて、君を向こうの席に連れていく事になったんだ」

不思議な話です。
この場所ではいけないのでしょうか。

( ・∀・)「ここは人が多いから、あんまり衛生上よくないからね。
      実はね、おじさんはこのお店の偉い人だから、特別な部屋を用意したんだ」

23名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 21:17:50 ID:dkSqExrY0
( ^ω^)「おじさん偉い人なの?」

( ・∀・)「あぁ、社長よりもすごいんだ」

( ^ω^)「でも、僕お姉ちゃんに席を取っておいてって言われたからここで待つお」

( ・∀・)「そのお姉ちゃんから頼まれたんだよ」

( ^ω^)「えー、でも……
      知らない人に付いて行っちゃいけないって言われてるもん」

( ・∀・)「……仕方ないな」

その言葉を聞いた瞬間、ブーンの首筋に何かが触れました。
そしてそのまま、ブーンは気を失いました。

24名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 21:18:59 ID:w7bULYXs0
ブーンかわいいと思ったらなんか不穏だな
支援

25名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 21:20:19 ID:dkSqExrY0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Now Loading...
       /⌒ヽ
  \ ⊂[(_ ^ω^)     お姉ちゃんに結婚を申し込む!
    \/ (⌒マ´
    (⌒ヽrヘJつ
      > _)、
      し' \_) ヽヾ\
            丶.o゜*。o
            /⌒ヽ*゜*
          /ヽ    )。*o (
          ゛ ̄ ̄' ゜   (⌒
              ⌒Y⌒
現在スレッドの環境を確認しています。 しばしお待ちください。
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26スレッドの環境がView Point Bの要件を満たしました:2016/01/01(金) 21:23:50 ID:dkSqExrY0
( ´ω`)「お?」

再び目を覚ました時、ブーンは机の上に突っ伏して眠っていました。
どうやら気付かない内に眠ってしまっていたようです。

ζ(゚ー゚*ζ「起きた?」

( ´ω`)「あ、あれ? 僕、寝ちゃってたの?」

ζ(゚ー゚*ζ「ちょっと疲れちゃったみたいね。
      ショートケーキだけど大丈夫?」

(*^ω^)「ショートケーキ!? やったー!!」

ブーンはイチゴがたっぷりと乗ったショートケーキを前にして、眠気がすっかり消え去りました。
湯気の立ち上る紅茶と共に、さっそく食べ始めます。
生クリームの絡まったイチゴをフォークで指して一口にします。

甘酸っぱいイチゴの果汁と生クリームが合わさり、とても何とも言えない幸福感が口の中に広がります。
口の周りにクリームが付きますが、それを気にせずに堪能します。
そんなブーンの様子を、お姉ちゃんはニコニコと微笑みながら見守っています。

27名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 21:27:16 ID:dkSqExrY0
ζ(゚ー゚*ζ「美味しい?」

(*^ω^)「美味しいお! お姉ちゃんも食べてみるお!」

フォークで一口分をお姉ちゃんに差し出します。
お姉ちゃんはそれを食べて、満足そうな声を出しました。

ζ(^ー^*ζ「うん、美味しい」

楽しいおやつの時間は、こうして過ぎていきました。

ζ(゚、゚*ζ「あら、もうそろそろ五時だわ。
      帰らないとねー」

(*^ω^)「はーい」

名残惜しいですが、駐車場に向かいます。
すると、H2の前に3人の男達がたむろしていました。
どうやら鍵を壊して窃盗を試みているようです。

人目がある中での大胆な犯行ですが、大胆すぎるが故に誰も窃盗だとは思わないのです。

ζ(゚、゚*ζ「ちょっとここで待ってなさい」

28名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 21:30:25 ID:CKPrJnvA0
物理も強いお姉ちゃんか
しえしえん

29名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 21:31:30 ID:ZQd9Xr.20
あれっ展開が
しえんぬ

30名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 21:31:39 ID:dkSqExrY0
十メートル手前の柱の前で言われた通りに待ちます。

ζ(゚、゚*ζ「何やってるの?」

('A`)「あ? 関係ねぇーだろ」

( ´∀`)「すっこんでるモナ」

(,,゚Д゚)「いや、待てよ…… へぇ、美人じゃねぇかよ。
    なぁねーちゃん、これあんたのバイク?」

ζ(゚、゚*ζ「質問に質問で返さないで。
      私のバイクに何をやってるの?」

(,,゚Д゚)「俺たちバイクが好きでさ、おまけに美人も好きなんだよ。
    なぁ、俺たちとドライブしない?」

3人はバイクから離れて、お姉ちゃんを取り囲みます。
その距離は2メートルほど。
これでは逃げることはできません。

ζ(゚、゚*ζ「心の底からお断り。 今日はちょっと虫の居所が悪いの。
      怪我しない内に消え失せなさい」

('∀`)「ひゃはは!! 聞いたかよ!!
   怪我しない内にだってさ!! この状況でよく言うな!!
   世間知らずの美人はいう事がちげぇや!! ボコってからめちゃくちゃに犯してぇ!!」

31名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 21:36:12 ID:dkSqExrY0
最初に口を閉ざすことになったのは、下品な笑い声を上げた男でした。
マニュアルのバイクに乗る人間は、必然的に爪先が固いブーツをはきます。
お姉ちゃんのワークブーツの爪先は正確に男の股間を直撃し、優に2メートルは飛翔させました。

                  ∵. ∵. ・ _ ∩
              |!    ∵. ・ ⊂/  ノ )
           、 从 /     /   /ノ
           _ _,ノ `ー,     し'⌒∪
           `)   r'  ̄
           '´⌒Y

人が飛ぶのを、ブーンはテレビ以外で初めて見ました。
太古より人は空に焦がれ、想いを馳せてきました。
その想いは飛行機械を作り上げ、空の彼方である宇宙にまで人は進出しました。

しかしそれでも、人は飛行機械の改良と開発を止めません。
最終目的は道具を用いずに空を飛ぶこと。
鳥が道具を使わないのと同じように、彼らも自力で飛びたいのです。

それを今、一人の若者が実現させました。
不幸なことに彼は意識を失い、浮遊感も優越感も味わうことはありませんでした。
ですが紛れもなく、彼は空を飛んだのです。

32名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 21:36:57 ID:gg44S5l20
こっちから見るぞ

33名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 21:41:47 ID:dkSqExrY0
呆気にとられる残党ですが、彼らの運命は破滅に向けて走り出していました。
両睾丸破裂、恥骨の粉砕骨折によって生殖機能を完全に奪われた男が地面に落ちる前に、残った2人はお姉ちゃんの必殺の間合いから逃げるべきでした。
ですが、逃げることの出来ない距離を作ってしまったのは彼ら自身でした。

正確に人中に打ち込まれたジャブは電光石火の一撃で、回避は勿論ですが認識することも出来ませんでした。
一瞬にして意識を失った2人は、短い空中旅行から帰ってきた男と同時に地面に転がります。
ウェットティッシュで両手を拭いて、それを倒れた男の口の中に丸めて捨てました。

戦闘開始から2秒の出来事でした。

ζ(゚ー゚*ζ「お待たせー。 さ、帰りましょ」

(*^ω^)「おー! お姉ちゃん強いお!」

ζ(^ー^*ζ「相手が弱すぎるだけよ」

帰りにちょっとしたトラブルがありましたが、無事にドライブは終わりました。
家への帰り道、来た時よりもバイクはゆっくりとした速度でアウトバーンを走り、沈みゆく夕日を眺めながらの帰宅となりました。
少し風が冷たかったので、お姉ちゃんにしっかりとしがみつきます。

家に着くと、カレーのいい匂いがしてきました。

(*^ω^)「カレーだお! お母さんのカレー大好きだお!」

ζ(^ー^*ζ「よかったわね」

(*^ω^)「ただいまー! カレーだお!」

34名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 21:45:33 ID:dkSqExrY0
ξ゚⊿゚)ξ「お帰りなさい、先に手を洗ってきなさいよ」

(*^ω^)「はーい」

食卓に並んだ皿の上には香ばしいスパイスの香りを漂わせるカレーとサラダが並んでいました。
勿論、福神漬けとラッキョウもあります。
これはとてもご機嫌な夕飯です。

(*^ω^)「いただきまーす!」

ζ(^ー^*ζ「いただきます」

ξ゚ー゚)ξ「いただきます」

銅色のルーと米が混ざった中立地点をスプーンですくい取り、口に運びます。
広がるのはルーに秘められた数多くのスパイス、そして辛み、甘み、僅かな酸味。
具として入れられた人参、ジャガイモ、肉、あめ色になるまで炒められた玉ねぎなどが作り出すうまみ成分。

それらの複雑な味が混ざり、食欲を沸立てます。

(*^ω^)「お母さんのカレー美味しいお!」

ξ゚ー゚)ξ「ふふん、そうでしょう」

35名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 21:51:31 ID:dkSqExrY0
福神漬けとラッキョウを皿に乗せます。
これがあるとないとでは、カレーの楽しみが変わってしまいます。
酸味や甘みの更なる追加だけでなく、口の中の味を一変させる大切な要素なのです。

間にサラダを挟みながら、ブーンは胃袋を満たしていきます。

  /⌒ヽ  ゲフー
  ( ^ω^)∩)) ポンッ
  /   ⌒ヽ
 (人___つ_つ

お腹いっぱいになりました。
テレビの前でくつろぎながら、ブーンはお姉ちゃんの傍を離れません。
1年ぶりの再会なのですから、その間に枯渇していたお姉ちゃん成分を補充しなければなりません。

ζ(゚ー゚*ζ「今日は随分甘えん坊さんなのね」

(*^ω^)「だって、お姉ちゃんに会うの久しぶりなんだもん!
      今日は一緒にお風呂に入って、一緒に寝ようお!」

ζ(゚ー゚*ζ「えぇ。 いいわよ」

ξ゚⊿゚)ξ「あんた達仲がいいのはいいんだけど、ほどほどにね」

ζ(゚、゚*ζ「分かってるわよ。 あ、そうだお母さんちょっと話があるの」

36名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 21:54:25 ID:dkSqExrY0
ブーンの頭を軽くなで、お姉ちゃんはお母さんの方に向かいます。

ξ゚⊿゚)ξ「ひょっとしてお客さんの事?」

ζ(゚、゚*ζ「あら、やっぱりウチにも来たの?」

ξ゚⊿゚)ξ「来たけど帰ってもらったわ」

ζ(゚、゚*ζ「大丈夫? しつこくなかった?」

ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫に決まってるでしょ。
      一応お土産は送っておいたわ」

ζ(゚、゚*ζ「ごめんねー、面倒かけちゃって」

ξ゚⊿゚)ξ「いいわよ、別に」

ζ(゚ー゚*ζ「ありがと、お母さん。
       ブーン、お風呂はいろっか!」

(*^ω^)「わーい」

37名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 22:08:09 ID:dkSqExrY0
お風呂場に向かいます。
まずは二人でシャワーをして、それから洗いっこをします。
お姉ちゃんがブーンの体を洗って、ブーンがお姉ちゃんの体を洗います。

お姉ちゃんの背中は大きく、ブーンは一生懸命に洗わなければなりません。
強すぎてもいけませんし、弱すぎてもいけません。
この絶妙な力加減が難しいのです。

その後で髪を洗ってもらいます。
ブーンはこれが一番好きでした。
お姉ちゃんの指は優しく髪を梳くようにして洗ってくれるので、痛くないのです。

何より、マッサージを兼ねて頭皮を揉んでくれるので、洗い終わった後にはすごくすっきりするのです。
でもブーンがお姉ちゃんの髪を慣れた手つきで洗うのはまだ難しく、どうしても不器用にしか洗えません。
それでもお姉ちゃんは喜んでくれました。

体を洗った後は二人で湯船に浸かります。
この一時がたまりません。
お姉ちゃんの胸に寄りかかって、ゆっくりとします。

(*^ω^)「ふぃー」

ζ(゚ー゚*ζ「やっぱりお風呂はいいわねー」

(*^ω^)「向こうにはなかったの?」

ζ(゚ー゚*ζ「一応あったけど、湯船が浅くてねー。
      肩まで浸かれなかったのよ」

( ^ω^)「おー、不便だおー。
      なんて言う国なんだお?」

38名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 22:10:43 ID:dkSqExrY0
ζ(゚ー゚*ζ「ブリテンっていうの。 料理も酷いけど、お酒と朝食は美味しかったわ」

( ^ω^)「ブリテン?」

ζ(゚ー゚*ζ「いつか行く時があったら、私が案内してあげるわね」

( ^ω^)「おっ! 約束だお!」

ζ(^ー^*ζ「勿論」

浴槽の中でお姉ちゃんがブーンをぎゅっと抱き寄せます。
柔らかいお姉ちゃんの体を肌で感じます。
お風呂から上がったのは、20分後でした。

ほかほかと湯気の上がる内にパジャマに着替えます。

ζ(゚ー゚*ζ「あまり遅くまで起きてたら湯冷めするから、もう寝よっか」

( ^ω^)「うん! でも、寝る前にお話してくれる?」

ζ(゚ー゚*ζ「いいわよ。 じゃあ、布団の中でお話してあげるわ」

ブーンの部屋に二人で向かい、同じベッドの中に入ります。
電気を消して、すぐに寝る準備を整えました。
でも、ブーンはまだ興奮が冷めていないので眠れなさそうです。

39名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 22:14:14 ID:dkSqExrY0
お姉ちゃんと向き合い、抱き合った状態でお話が始まるのを待ちます。
布を隔ててお姉ちゃんの鼓動がブーンに。
ブーンの鼓動がお姉ちゃんに伝わります。

二人の体温は一つとなり、体の内側から温かさが溢れてきます。

(*^ω^)ワクワク

ζ(゚ー゚*ζ「それじゃあ、狼さんのお話をしてあげるわね」

お姉ちゃんはお話を始めてくれました。
小さな声で。
囁くような声で、お話が始まります。

それは昔のお話でした。

ζ(゚ー゚*ζ「昔々――」

今よりもずっと昔、ある村の話でした。
村にいた病弱な少年と狼さんの交流のお話でした。
狼さんの強さに憧れた少年は最終的に村から出て行き、狼さんと幸せに暮らしたそうです。

ブーンは不思議に思いました。
どうして村人は少年を悪く言ったのでしょうか。
狼さんと一緒に暮らして、何が悪いのでしょうか。

40名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 22:21:33 ID:dkSqExrY0
ブーンとしてはこの少年の味方でいたい気持ちがありました。

( ´ω`)「どうして、男の子は悪者って言われちゃったの?」

ζ(゚ー゚*ζ「人はね、自分と違う物を怖がるの。
      だから、狼さんと仲良くしている男の子を怖がったのよ」

( ´ω`)「かわいそうだお……」

ζ(゚ー゚*ζ「そうね。 だけどね、この男の子が偉かったのはそれでも変えたことなのよ」

( ´ω`)「変えたこと?」

ζ(゚ー゚*ζ「そう。 何でもそうだけど、変えるためにはいつだって何か犠牲が付いて回ってくるの。
      安定したものにすがるのも一つの考え方だけど、それじゃあ何も起こらないわ。
      より良くしたいのなら、行動するしかないの。

      たとえ一人っきりでも、ね」

( ´ω`)「おー……」

ζ(゚ー゚*ζ「この男の子は、一人でも変えようと行動したのよ。
       周りから何と言われようとも、一人でね。
       だから偉いの」

41名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 22:26:03 ID:dkSqExrY0
( ´ω`)「大変……だお……」

ζ(゚ー゚*ζ「えぇ、大変よ。
      だけど自分の事を理解してくれる人が一人でもいれば、その人は無敵よ。
      ブーンもいつかそういう人を見つけられるといいわね」

お姉ちゃんの声と甘い香りはとても心地よく、自然とブーンを眠りに誘います。
お話が終わり、しばしの静寂。
瞼が完全に閉じ、柔らかい胸の中で静かに寝息をたてはじめました。

ζ(゚ー゚*ζ「おやすみなさい、ブーン」

眠りの中で、ブーンは思います。
お姉ちゃんを越えるだけの強さを手に入れたいと渇望します。
ですがそれはとても難しいことでしょう。

42名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 22:28:59 ID:dkSqExrY0
強さとは力だけではありません。
気持ち、感情、あらゆる部分に強さがあります。
どれも簡単に鍛えられるものではありません。

人と出会い、何度も傷ついて初めて手に入れられるものなのです。
痛みを恐れず、自分から変える必要があるのです。
それはお姉ちゃんとの関係にも言えることです。

いつの日か、ブーンはお姉ちゃんを越えるだけの強さを身につけなければなりません。
いつまでもその背中に隠れていては、お姉ちゃんに相応しい人間になれないからです。
きっと。

きっと、強くなって見せる。
守られ続けるのではなく、守れるぐらいに。
だけどもう少しの間は、こうして甘えてもいいだろうとも思います。

( ´ω`)「……おねー……ちゃん」

ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、ここにいるわよ……」

43名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 22:35:16 ID:dkSqExrY0
そんなブーンの気持ちを、お姉ちゃんはよく分かっていました。
まだ甘えん坊な歳なのだから、今は甘えてほしいと思います。
ですがそれがいつまでも続かないよう、少しずつブーンには強くなってもらわなければなりません。

いつか自分を追い越し、そして一人でも強く生きて行けるようになってもらわなければいけないのです。
人はいつ死ぬか分かりません。
明日かもしれないし、10年後かもしれません。

ブーンの傍にいられるのも、後何年もないかもしれないのです。
だからこそ、お姉ちゃんは強くなければなりません。
弟を導き、そして独り立ちできるようにすることこそが務めなのです。

甘やかすだけなら誰にでも出来ます。
そこに目的を持ち、見守ることが難しいのです。
時には厳しく接し、その過程で心が痛む時があります。

しかし、それでも痛みを堪えなければならないのです。
いつか訪れる別れの日のために。
心を痛め、見守らなければなりません。

愛すれば愛するほど、その痛みは強くなります。
心臓を握り潰される方がまだ優しいぐらいの痛みです。
愛する人を置いて去ることの痛みは、想像を絶するほどのものなのです。

44名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 22:38:35 ID:dkSqExrY0
痛みが怖ければ、優しくしなければいいだけです。
ですが、それはあまりにも安易な発想です。
厳しさが愛情だと誤解した、思考を停止させた愚者の発想なのです。

愛情とはそんなに単純な感情ではありません。
それを理解し、体現するのは容易ではありません。
お姉ちゃんはそれが出来る人です。

別れることの痛みを知ってもなお、過剰なまでに愛情を注いでいるのです。
そうでなければここまでブーンを甘やかせるはずがありません。
そうでなければ、ここまでブーンの事を愛せるはずがありません。

これを強さと言わずに、何というのでしょうか。
これこそがお姉ちゃんの強さなのです。
膂力ではなく、人間的な純粋な強さなのです。

45名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 22:40:21 ID:.WscPvfc0
最近は素敵なデレが多いな支援

46名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 22:42:11 ID:dkSqExrY0
お姉ちゃんは強くあろうとし続け、そうあり続けているのです。
これこそがブーンの目指す理想の人間像であり、追い越すべき人間の正体なのです。
それを理解した時に初めて、ブーンは本当の意味で声高らかに言うことが出来るのです。






――ブーンのお姉ちゃんは強いのだと。






ζ(゚ー゚*ζお姉ちゃんは強いようです
            The END

47名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 22:45:27 ID:dkSqExrY0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ゚        (_ヽ      +
 ' *  /⌒ヽ.| |  +
   . ( ^ω^ / /       。
  +  y'_    イ    *
   〈_,)l   | *      。
ガタン lll./ /l | lll    +
→『View:D』がVIPにて解放されました
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

48名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 22:47:23 ID:w7bULYXs0
D?

49名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 22:47:32 ID:dkSqExrY0
支援ありがとうございました

この作品はView:Dと一緒に読んでいただければ幸いです

50名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 22:48:06 ID:w7bULYXs0
あ、そういうことか
どっちも読んだよ乙乙

51名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 22:52:35 ID:6/xCzVvc0
vipだけじゃなくてこっちでも解放してね

52名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 22:58:07 ID:dkSqExrY0
>>51
申し訳ございません
一期一会を大切にしたいので、解放はできません……

53名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 23:09:16 ID:nL3Lb07E0
まだVIPにあるから読みたいやつは読みに行こうぜ
俺はこれから読む

54名も無きAAのようです:2016/01/01(金) 23:13:43 ID:4qPd6whQ0
まぁ落ちた後でもログ速で見られますし

55名も無きAAのようです:2016/01/02(土) 00:00:18 ID:w4dDZKmU0

見てくるよ

56名も無きAAのようです:2016/01/02(土) 19:34:27 ID:XvxJMNuM0
∬´_ゝ`)は帰ってくるようですの人かな?

57名も無きAAのようです:2016/01/02(土) 19:35:14 ID:XvxJMNuM0
sage忘れすまん

58名も無きAAのようです:2016/01/02(土) 21:13:07 ID:vKP5WPyU0
>>56
∬´_ゝ`)が帰ってくるようです
(∪^ω^)おっ! のようです
( ^ω^)はじめてのおつかいのようです
( ^ω^)狼少年のようです
ノパ⊿゚)One-Chance(^ω^ )のようです

とかの人です

59名も無きAAのようです:2016/01/14(木) 16:45:30 ID:uclJ4Dk60
乙乙
H2にふたりのりロマンだ……


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