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( ・∀・)キルルイ参上のようです
1
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 01:18:59 ID:BdmKPJjY0
.
その大陸の地図を開くと、北東部に複雑に入り組んだ海岸線を確認できる
ジュニア・ハイスクールで習った方も多いとは思うが、所謂リアス式海岸と言うやつだ
海岸線の周囲には大小問わず有象無象の島々が点在しているのだが
元々潮の満ち引きが激しい地域で、水が地を何億年とかけて侵食した結果
その殆どが断崖絶壁となっている。
その特性を活かし、昔は「どうしようもないほどに」荒れ狂った囚人を閉じ込める
要は囚人島としての役割を専ら果たしていたのだが
では現在はどうなのか、と問われると、あながち変わっているとも言えないのである
.
2
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 01:19:45 ID:BdmKPJjY0
.
彼―そう、パトリック・モララーツはその有象無象の島々の中の一つ
「ワッドストック島」で暮らしていた
正確に言ってしまえば、暮らしていた―ではなく、閉じ込められていた。彼は囚われの身だ
( ・∀・)「……」
彼の目の前には頑丈な鉄格子がしっかりと下ろされている。極めて普遍的な牢屋だ
ただ、彼が与えられているのは他の囚人が押し込められているような狭苦しく冷たい雑居房ではなく、独房だった
冷暖房も完備され、ベッドも備え付けられ、居心地は悪くない
バスタブ完備トイレ別、液晶テレビ備え付け、ルームサービス有り…中々の待遇を受けているのだ
それだけに、彼は時々「脱獄」という二文字を失念しそうになる
(・∀・ )「あー」
(・∀・ )「もう一生このままで良くね?」
だが、我々は彼に再び気付いてもらわなければならない
彼はその昔、世界を魅了する偉大なるロックスターであった、ということに
そして彼は今、「有害性激騒電子音楽取締法」―即ち「ロック禁止令」という
何とも馬鹿馬鹿しい罪で囚われの身となっている、という事実に
.
3
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 01:20:28 ID:BdmKPJjY0
.
( ・∀・)キルルイ参上のようです / #1「Mr. Roboto!!(1)」
.
4
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 01:21:13 ID:BdmKPJjY0
.
現況を伝える前に、彼がどれほど偉大なロックスターだったか
というところから説明しなければならない
彼―パトリック・モララーツは今から約30年ほど前に大陸南部で生を受け
靴職人の父とピアノ調律師の母の元で育つ
良心共に音楽愛好家でもあり、リビングには小さいながらも立派なステレオが
その横には百枚足らずのレコードが「五十音順に」収納されていた
幼少時代の記憶を、後に彼はこのように話している
─
( ・∀・)「親父はまた几帳面な人間でさ、『手垢が付くから触るな』って、触らせてくれないんだ、レコードをね」
( ・∀・)「でもどうしても聴きたくなるのが子供ってもんでさ、ある日にこっそり聴いちゃったんだよね」
(・∀・ )「あれは確か、なんだっけな?多分ビーチボールズの『ベッド・サウンズ』だったと思うんだけどさ」
( ・∀・)「そしたらそれが簡単にバレてさ、どうして分かったのかって。親父カンカンなんだけどさ、聞いたんだ」
(・∀・ )「そしたら親父、『俺はいつも五十音順にレコードを片付けているのに、お前ときたら『K』のところにそれを片付けやが
─
.
5
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 01:22:08 ID:BdmKPJjY0
.
彼は十四歳の誕生日に、母からギターをプレゼントされた
当時としても相当高価な、「レス・モールジュニアスペシャル」のワインレッドカラーであるが
彼にとって初のギターであり、プロデビュー後も使用し続けた愛着深いモデルである
ギターにのめり込んだ彼は友人達とバンドを結成
地元のパブで、既存のブルースを高速で演奏する、といったスタイルで活動を行っていた
高校を卒業し、音楽一本に生活の道を絞った彼は、その頃よりステージネームとして「キルルイ」を使用し始める
バンドの生活は過酷なものであった
酒場に行けば酔った観客からの罵声、時には酒瓶を投げつけられもする
スタジオを借りる金も捻出できず、時にはだだっ広い田舎の一本道で、アンプも繋がずに練習した
寝床もまともに用意できず、車の中で眠る生活が幾日にもわたって続き、展望は見えない
そんな彼らに転機が訪れたのは結成から五年過ぎたある日のこと
いつものようにパブのステージでブルースを弾いていると、太い葉巻を咥えた男が一人、こちらに向かってきた
( ´曲`)「よう、君らいい演奏をするじゃないか。ソウルフルってもんさ」
( ´曲`)「カーラジオから君らの曲を聴いた時、こりゃあ一大事だって思ったもんさ」
彼は契約書を一枚彼らの元に残し、キャデラックに乗って去って行った
その後の彼ら―特にキルルイ―の活躍は言うまでもない
続きを聞きたいという貴方方の要望も分かるが、何より私が話し疲れたのだ
.
6
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 01:23:05 ID:BdmKPJjY0
.
そう、その頃の栄光に比べ、彼―キルルイの現況は何たることか
あの「ロックスター然」とした凛々しい眉毛も今では生え放題、おまけに垂れ下がっている
あの「ロックスター然」とした凛々しい瞼も今では眠たげに緩み、おまけに垂れ下がっている
あの「ロックスター然」とした凛々しい口元も今では締まりなく、おまけに垂れ下がっている
あの「ロックスター然」とした―
キルルイの独居房は
「いくらロックという有害音楽を垂れ流す罪人とは言え
その社会的貢献度はその他の連中とは別格、優遇すべし」
という、「団体」側による特別措置である
勿論それは上辺の理由であって、このような「甘やかし」とも取れる待遇を与えることで
彼を「牙が抜かれた犬」にする、というのが真の団体側の目論見である
実際のところ、その目論見は「あまりにも」うまく運ばれていた
彼を―キルルイを見よ
.
7
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 01:23:53 ID:BdmKPJjY0
.
( ・∀・)「……」
( ・∀・)「まあ、ね」
(・∀・ )「ほら、こうやってグータラするのも悪くないよね」
(-∀- )「長い人生の中でね、こういう時間もね…」
などとほざきつつ、ベッドの上を芋虫のように転がり続けている
この、ある種の達観とも言える諦めの感情は数週間に一回、彼の脳髄の奥底からふつふつと湧き上がってくる
ここ数ヶ月はその頻度が増し、間隔も徐々に徐々に狭くなりつつある
ふいに、ベルが鳴り響いた。始業十分前の合図だ
キルルイはベッドからおもむろに起き上がり、作業服に着替え、監視役の到着を待った
監視役は数分後にやって来て、キルルイの部屋の錠を開ける
この監視役という者、実はロボットである。背格好こそ人間のそれだが、頭部だけ金属製である
顔の部分にはアルミを薄く引き伸ばしたような仮面が備え付けられているのだが、それが何とも言えず不細工なのだ
.
8
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 01:24:40 ID:BdmKPJjY0
.
( ・∀・)「不細工野郎め」
( `¥´)「……」
( ・∀・)「キツネ目の不細工ロボットめ」
返事は無い
このロボット、元々発声機能は搭載されていない
さて、キルルイの作業場であるが
この絶海の孤島、数年後には島丸ごとが「国際ロック博物館」となる予定だ
偉大なるロックミュージックの系譜を―と言った大層なものではなく
団体によって「いかにロックミュージックが野蛮で下品で非理知的で有害か」を知らしめるために計画されたのだ
キルルイは地下三階を作業場に割り当てられていた
最近は仕事という仕事も特になく、フローリングが施されただだっ広いフロアを延々とワックス掛けするという
極めて非生産的なルーチンワークを、少なくともここ一週間は繰り返している
この時ばかりは、流石のキルルイもくたびれる
彼の元には常に監視役のロボットが付きまとうのだが、あまりに退屈を持て余すとき、キルルイはロボットに話しかける
例え発声機能が搭載されていないと知っていようとも、尚だ
.
9
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 01:25:22 ID:BdmKPJjY0
.
( ・∀・)「おい、キツネ目」
( `¥´)「……」
( ・∀・)「お前、メイドインシャパンなんだろ?」
返事は無い
( ・∀・)「海の向こうじゃ、どんな音楽が流行ってんのかね」
(・∀・ )
( `¥´)
( ・∀・)「応えねぇよな、知ってるよ」
( -∀-)「このキルルイ、お前とも三年の付き合いだ」
.
10
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 01:26:09 ID:BdmKPJjY0
.
その時だった
( `¥´)「…貴方、キルルイさんですか?」
(・∀・ )「えっ」
( `¥´)「あの、世界的ロックスターのキルルイさんなんですか?」
( ・∀・)「えっ、あっ」
( ・∀・)「…えっ、いっ一応、そうだけど」
.
11
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 01:27:06 ID:BdmKPJjY0
.
┌──────
│ 良かった…
└────v──
ギ ギ ギ
/V\
〈{ (`¥´ r^) }〉
n /
┌──ヘ─────────
│やっと、やっと会えましたよ
└────────────
.
12
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 01:27:57 ID:BdmKPJjY0
.
┌─────────────
│見つけるのに手こずりましたよ
└────v─────────
从 /V\ そ
て (・-・ )\、_ _
O つr'`¥´j
┌──ヘ───────────
│キルルイさん…
│いや、パトリック・モララーツさん
└──────────────
.
13
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 01:28:57 ID:BdmKPJjY0
.
∧_∧
( ・∀・)
〈 J J
〈 |
\|_,ノ_ _
 ̄ ̄ ̄  ̄ ̄
/V\
(・ ,)
n つ
.
14
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 01:29:41 ID:BdmKPJjY0
.
┌─────
│ ……は?
└─v────
∧_∧
( ・∀・)
〈 J J
〈 |
\|_,ノ_ _
 ̄ ̄ ̄  ̄ ̄
/V\
(・ ,)
n つ
( ・∀・)キルルイ参上のようです / #1「Mr. Roboto!!(1)」
.
15
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 01:30:30 ID:BdmKPJjY0
ここまで
16
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 01:44:23 ID:yVg4stWc0
読みやすい文章だ。結構好き。期待乙。
17
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 02:07:06 ID:GUJDKauc0
おつおつ
久々の音楽もの期待
18
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 02:30:37 ID:qO7Z4rLY0
乙期待
19
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 10:27:42 ID:6l6cIeYg0
乙
面白いシエンヌ
20
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 12:52:26 ID:7dHTOWkY0
乙
気になるわ
21
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 14:14:01 ID:SUoUUKOE0
乙、すげーワクワクする導入だな
やっぱりロックは有害で下品で自由で魅力的なんだよな!
22
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 19:36:15 ID:WUR9gTtI0
+ +
∧_∧ +
(0゜・∀・) ワクワク
(0゚ つと) +テカテカ
と__)__) +
23
:
名も無きAAのようです
:2015/12/11(金) 12:18:35 ID:DoJcOTnQ0
これ元ネタとかない?
24
:
名も無きAAのようです
:2015/12/17(木) 08:28:38 ID:qDZ6dF5Q0
面白い
25
:
名も無きAAのようです
:2015/12/19(土) 13:55:28 ID:ZizPcsWs0
robotではなくrobotoなのは何か意味が?
26
:
名も無きAAのようです
:2015/12/19(土) 21:15:12 ID:p/XgaH2o0
>25
Mr. ROBOTO!
27
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:20:53 ID:zUZ6WrLc0
>>16-26
イエス、ロケンロー
28
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:21:34 ID:zUZ6WrLc0
.
( ・-・)「いつ追手のロボットが来るかも分からない、話は手短に済ませますよ」
( ・∀・)「はあ」
( ・-・)「僕の名前はシーン・ガラース。職業は貴方と同じロックミュージシャンです」
( ・∀・)「はあ」
( ・-・)「こうしてお目にかかることができて嬉しいです。貴方は僕の長年の憧れだったんです」
( ・∀・)「はあ」
(・-・ )「そう、僕も貴方と同じ大陸の南部出身でしてね。よく貴方のレコードがラジオからかかって」
( ・∀・)「はあ」
.
29
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:22:23 ID:zUZ6WrLc0
.
(・-・ )「貴方の曲を…キルルイさんの曲を聴いたのは丁度僕が15の頃でした」
( ・∀・)「はあ」
( ・-・)「貴方の天を裂くような歌声を聴いた時にですね」
( ・∀・)「はあ」
( ・-・)「それこそ…そう、稲妻が僕の身体を駆け抜けてですね、全ての夢が走り出しまして」
( ・∀・)「はあ」
(・-・ )「貧しさとか恋の辛さとか、受け止められたんですよ、真っす」
( ・∀・)「ねえ、君手短に話すって言ったよね!?」
.
30
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:23:06 ID:zUZ6WrLc0
.
( ・∀・)キルルイ参上のようです / #2「Mr. Roboto!!(2)」
.
31
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:23:49 ID:zUZ6WrLc0
.
幸いなことに追手は来なかったが、シーンの話はあまりに長ったらしいもので、キルルイを辟易とさせた
かいつまんで言うならば、こうだ
現在我々の国は、独裁政府及び彼らが取り仕切る団体によって、あらゆる娯楽が完全に統制されている
特にロックミュージックにおいては存在自体がアンチモラル、有害として、その一切を禁止されている
世界最高峰のロックスターであったキルルイの逮捕以降は、ロックに対する迫害がますます強まりつつある
我々は団体の管理が及ばないアンダーグラウンドで活動していたが、やがて限界も来るだろう
しかし、ロックを愛する者として団体には強い意志を以て対抗せねばなるまい
そこで、我々は反政府レジスタンス組織「キック・アウト・ザ・ジャムス(KOJ)」を結成した
.
32
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:24:29 ID:zUZ6WrLc0
.
( ・-・)「つきましては、世界のロックスターである貴方にレジスタンスへの協力を」
( ・∀・)「要請したいと?」
( ・-・)「その通りです」
( ・∀・)「そのためだけにわざわざここまで来たの?」
( ・-・)「その通りです」
( ・∀・)「馬鹿だねぇ、君って!!」
( ・-・)「ここのことは、徹底的に調べ尽くしました。ロボットの顔を分析して、3Dプリンターで仮面も作りました」
( ・-・)「半島から出ている作業用ロボット専用の船に乗り込んで、ここに辿り着いたんですよ。勿論仮面を付けてね」
( ・∀・)「それで、バレないの?」
( ・-・)「その通りです」
(・∀・ )「そんなザルなの、ここって」
.
33
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:25:13 ID:zUZ6WrLc0
.
( ・∀・)「で、俺の居場所を見つけた?このフロアには、ロボットが数台くらい付いてるはずだけど」
( ・-・)「そんなもの、不意打ちすれば一発でぶっ壊れますよ。それに、僕も仮面を付けているんでね」
( ・∀・)「壊れた?」
( ・-・)「その通りです」
( ・∀・)「シーン、君、ひょっとして!?」
キルルイは一目散にフロア内を駆け始める
すると、隅の方に倒れて動かなくなった一台のロボットの残骸を見た
.
34
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:25:57 ID:zUZ6WrLc0
.
i
l
|
|
|
_ __ ______________________|
\
\
r ヘ r' ^) 、
∧_ ,./l /
O(tj皿tij゚^つ
∧_∧
(・ ,) /V\
と O (・ ,)
┌───ヘ─────────
│ おい、あれだよ!あれだよ!
└─────────────
.
35
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:26:40 ID:zUZ6WrLc0
┌────────────────────
│あああああ壊したな君
│俺の獄中生活三年間の相棒だったルシールを
└─────────────v───────
/V\ ∧_∧
( ・-・) :: ( ・∀・) ::
〈 ∽ 〈 J J
┌────ヘ─
│ ルシール?
└──────
┌──ヘ───────────
│ うるせぇな、今名付けたんだよ
└──────────────
.
36
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:27:28 ID:zUZ6WrLc0
┌────────────────────
│しかも仮面取れてるじゃない
│中身の配線とか見えちゃってんぞ、気持ち悪い
└───v─────────────────
/V\ ∧_∧
( ・-・) (∀・ ,)
〈 J J n つ
┌──ヘ──────────────
│ 剥いだんですよ、キルルイさん用にと
└─────────────────
┌─ヘ────
│ ……………
└──────
.
37
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:28:12 ID:zUZ6WrLc0
.
( `¥´)「……」
( ・-・)「お似合いですよ、ルシールの仮面」
( `¥´)「馬鹿にしてんのか、お前」
( ・-・)「貴方は僕と一緒に、仮面を付けてロボットに成りすます」
( ・-・)「そして帰りのロボット船に乗り込んで、半島へ行くんだ」
( `¥´)「話飛び過ぎだよ、飛び過ぎだよ話、ねえ」
( `¥´)「第一君、脱走すんぞって得体の知れない人間にいきなり言われて、簡単に付いて行くと思う?」
( ・-・)「……」
( ・-・)「えっ、でもシーン・ガラースですよ?あのシーンですよ?」
( `¥´)「知るか馬鹿」
.
38
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:28:57 ID:zUZ6WrLc0
.
┌──────────────────
│ 一応ベルボートトップ50には
│ 4曲くらいは送り込んでいるはずなのに…
└───v───────────────
ケッコウ ショックダゾ
/V\ ∧_∧
(・-・ ) (`¥´ )
〈 O n n ノ
┌──ヘ─────────────
│だってさ、いきなりそんな
│レジスタンスとか言われても、ねぇ?
└────────────────
┌────────ヘ───
│そういうものを騙った
│誘拐とか、ありそうじゃない
└────────────
.
39
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:31:25 ID:zUZ6WrLc0
.
( ・-・)「そっ、そんなことは」
( ・-・)「そんなことはあり得ません!貴方の力が必要なんだ」
( ・-・)「時代を変えなければ、僕も貴方もロックできないんだ…ギターをかき鳴らせないんだ」
( ・-・)「喉を絞って、デタラメなフレーズをシャウトすることだってできないんだ」
( `¥´)「……」
( ・-・)「サマータイムブルースだって、トレインケプトアローリンだって」
( ・-・)「ジョニーBグッドだって歌えなくなるんだ!!」
.
40
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:32:05 ID:zUZ6WrLc0
.
人从人从人从人从人从人从人从人从人从人
そ 転がる岩のように、地べたを這いずりながら て
て コソコソとギターを弾く、そんなのは嫌なんだ そ
YWY⌒YWY⌒YWY⌒YWY⌒YWY⌒YWY⌒YWY
/V\
( ・-・ )
と O
从人从人从人从人从人从人从人从人
そ どうか僕の戦いを協力してください て
て ロックンロールを取り戻す戦いに そ
YWY⌒YWY⌒YWY⌒YWY⌒YWY⌒YWY
.
41
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:33:20 ID:zUZ6WrLc0
.
/V\ ∧_∧
( ・-・)^) (`¥´ )
〈 つ / ∽ 〉
┌──ヘ──────
│……………………
└─────────
.
42
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:34:03 ID:zUZ6WrLc0
.
キルルイは仮面を外し、シーンの眼差しを見つめる
彼の濃いブロンドの瞳には、一点の曇りも、僅かな揺らぎさえ、無かった!
(・∀・ )「よし」
(・∀・ )「…俺は申し訳ないが、君のことを知らない。どれだけヒットを飛ばしていたとしても、だ」
( ・∀・)「だけど、ロックが好きだってことは分かったさ。俺と同じくらいにはな」
( ・-・)「…ってことは」
( ・∀・)「ひとまず、ここを出よう。仮面を被らないとな…」
.
43
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:35:12 ID:zUZ6WrLc0
.
仮面を取り付け、シーンから渡された紫色のワークスーツを羽織る
( `¥´)「凄いですよキルルイさん、ロボットまんまだ」
( `¥´)「そういう君も、まんまじゃないか。区別が付かない」
( `¥´)「本当だ、僕が話しているみたいだ。まるで僕が僕じゃないみたいだ」
( `¥´)「話すのやめろ、セリフがゴッチャになる」
キルルイはふと思い出し、フロア隅に依然として横たわったまま動けない「ルシール」の元へと駆け寄った
三年間、毎日毎日毎日過ごしてきた監視役はその役目を終え
彼の顔の仮面は丁寧に剥がされ、それを今、監視対象であったキルルイが付けている―
( `¥´)「ありがとよ、ロボットさん」
.
44
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:36:20 ID:zUZ6WrLc0
.
i
l
|
|
|
_ __ ______________________|
\
\
r ヘ r' ^) 、
∧_ ,./l /
O(tj皿tij゚^つ
∧_∧
( `¥´)
と ノ
( ・∀・)キルルイ参上のようです / #2「Mr. Roboto!!(2)」
.
45
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:36:58 ID:zfHcFDI.0
ルシールか、弾痕だらけのギター思い出すな
46
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:37:01 ID:zUZ6WrLc0
.
★このお話の大まかな元ネタ
アメリカのロックバンド「Styx」が1983年に発表したアルバム「Kilroy Was Here」
ロックが独裁政権により法で禁止された世界を描いたコンセプトアルバムとなっている
荒唐無稽なストーリーにオペラ仕立てのコンサートと、ボーカルのデニス・デ・ヤングの趣味が悪い意味で暴走した
この作品の発表直後に、Styxは長い長い活動休止期間に入る
★登場人物の名前の大まかな元ネタ
・キルルイ…上記のアルバム及びそこから派生した映像作品、コンサートにおける主人公「Kilroy」から
・パトリック・モララーツ…一時期イギリスのロックバンド「イエス」に在籍していたキーボーディスト
「パトリック・モラーツ」から
・シーン・ガラース…HR/HMを中心として活躍するカナダ出身のドラマー「シェーン・ガラース」から
日本ではB'zのサポートメンバーとして有名
.
47
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:38:35 ID:zUZ6WrLc0
.
★「#1」の大まかな元ネタ
>>2
・「ワッドストック島」…ロックの祭典として名高い「ウッドストック・フェスティバル」から
>>4
・「『ビーチボールズ』の「ベッドサウンズ』」…アメリカのバンド「Beach Boys」の「Pet Sounds」から
ビーチボーイズ名義だが、実質的にはメインバーのブライアン・ウィルソンのソロ作品。名盤
>>5
・「レス・モールジュニアスペシャル」…ギターメーカー「ギブソン」から発売された
「レス・ポールジュニアスペシャル」から。著名な使用ギタリストにボブ・マーリー等
・レコード会社の男の台詞
アメリカのバンド「ボストン」のデビュー盤に収録されている楽曲「Rock N Roll Bad」の歌詞から
.
48
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:39:21 ID:zUZ6WrLc0
今日のロケンローはここまで
読んでくれてドモアリガット
49
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:40:17 ID:zfHcFDI.0
おつおつ
次来るのを待ってるよ
50
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:40:26 ID:VVaZP44A0
シーンがかわいく見えてきた
51
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 01:41:10 ID:lCsTJ1Tk0
乙
ロックバンドそこまで分からないから解説入れてくれるのはうれしい
52
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 03:43:56 ID:EfkFePo60
おつおつ
ルシール……B.B.KINGなんで死んじまったんだよ……
53
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 12:51:42 ID:bUvf1RK.0
乙乙!
54
:
名も無きAAのようです
:2015/12/20(日) 14:53:41 ID:6bbJHU0Q0
なんか熱いな
期待
55
:
名も無きAAのようです
:2015/12/21(月) 04:27:50 ID:Hy8vKGC20
最高だぜクソ野郎!乙!
56
:
名も無きAAのようです
:2015/12/21(月) 20:34:36 ID:liYJlnHY0
これがあまりにも面白いので元ネタがあると決めつけられていた話ですか
57
:
名も無きAAのようです
:2015/12/21(月) 22:37:00 ID:MEQmzCbo0
導入からひきこまれる、面白い
58
:
名も無きAAのようです
:2016/01/04(月) 21:50:06 ID:.zCFUM/Y0
まだー?
59
:
名も無きAAのようです
:2016/01/05(火) 00:04:40 ID:En3pETgQ0
まだだよ!!
これでも聴いてろ!!!!
あみん「待つわ」
https://www.youtube.com/watch?v=yNDiGjqOopw
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