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( ^ω^)オッサンズオーシャンのようです
90
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:42:11 ID:VfomURQA0
(´・_ゝ・`)「生存者ですか?」
( ^ω^)「おっおっ、そうですお」
(´・_ゝ・`)「間違いなさそうですね。ではこちらに」スタスタ
('A`)「えっ、そんな適当なんですか? これって、感染症か何かじゃ……」
(´・_ゝ・`)「え? ああ、大丈夫ですよ。今問題になっている病気は、感染するとすぐに死に至りますから」スタスタ
(´・_ゝ・`)「一分前に噛みつかれた、などでなければ、特に問題はありません」スタスタ
(-_-)「ああ、そうなんですね……。僕の同僚は、みんな食い殺されてましたから……」スタスタ
(´・_ゝ・`)「まあ殆どが食い殺されてしまいますけどね。稀にいるみたいですよ、噛みつかれたけどオッサンを倒した、とか」スタスタ
(´・_ゝ・`)「こんな事話してもしょうがないんですが、オッサンに噛みつかれた男性は、死後3秒で生き返ります。“オッ3秒ルール”なんて、僕らは言ってますけど」
( ^ω^)「オッ3秒ルールwwwwwwwwwww」
(;^ω^)「おっ」
(-_-)「…………」
91
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:42:55 ID:VfomURQA0
そうだった。
彼は、同僚がオッサンになるところを目の当たりにしているのだ。
こんなことで笑ってしまうなんて、自分はどうしようもないやつだ。
(-_-)「……気にすることないよ。仕方ない事なんだ」
(-_-)「しかしオッ3秒ルールはちょっとww」
( ^ω^)「おっ……」
無理をしているのだろうか。
自分には彼の心の中を読むことは出来ないが、何故だがひどく悲しくなった。
(´・_ゝ・`)「……さて、こちらです――――おっと!」ドンッ
( ・∀・)「いてっ……」
(´・_ゝ・`)「ああ、すみません。大丈夫ですか?」
( ・∀・)「ああ、平気ですよ。こちらこそすみません……。あ、そっちは新入り?」
警官とぶつかった青年は、自分の方を向いてそう言った。
整った顔立ちだ。年齢は、二十歳前後だろうか。
92
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:43:44 ID:VfomURQA0
( ^ω^)「おっ、新入りですお」
( ・∀・)「おー、よろしくな。俺はモララーってんだ。……あ、よければ僕が彼らを案内しておきますよ」
(´・_ゝ・`)「ああ、本当ですか。すみませんねなんだか……」
( ・∀・)「いいんすよ俺らは暇ですし。あなた方のおかげでこうしていられるんですしね」
(´・_ゝ・`)「ふふ。じゃあ、私は持ち場に戻らせていただきます。……あ、これを」スッ
警官はそう言うと、胸のポケットから三枚の紙を取り出して自分たちに手渡した。
(´・_ゝ・`)「ここでの身分証だと思ってください」
(-_-)「……数字が書いてあるだけですね」
(´・_ゝ・`)「はは、数字を印刷したただの紙ですけどね……。では、あとはよろしくお願いします」スタスタ
( ・∀・)「……というわけだ。あ、君達にも紹介しなくちゃな」
彼はそう言って、後ろを振り返った。
よく見ると、彼の後ろにはもう一人小柄の男性がいたのだ。
93
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:44:28 ID:VfomURQA0
_、_
( ,_ノ` )「…………」
( ・∀・)「……あー、無口だけど、俺の親父」
_、_
( ,_ノ` )「…………」
(;^ω^)「おっおっ……。よろしくお願いしますお」
そう言うと、彼の父に鋭い目つきで睨まれる。
だが何も言わず、視線をドクオやヒッキーさんへと移して、そのまま俯いた。
( ・∀・)「ってなわけで、行くか」
('A`)「どこへですか?」
( ・∀・)「腹減ってるだろ? 配給をもらいに行くんだよ」
('A`)「……ああ、それでさっきの紙か……」
( ・∀・)「そういうこった。一日一回しか貰えねーらしいけどなぁ。俺はもう食っちまったから、明日まで食えねーんだよ」
(-_-)「まあ、これだけの人数がいればね……」
この広いフロアには、大勢の人がいる。
床が絨毯なので、皆座り込んだり寝転んだり、割と自由気ままに過ごしているようだ。
94
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:45:18 ID:VfomURQA0
フロアを抜けた先にある小さな机の前に、数人の警官が立っていた。
彼らに先ほど貰った紙を提示すると、手に持っているバインダーに何やら記入してから、缶詰を渡された。
( ^ω^)「おっおっ……これは……」
('A`)「……乾パンって……」
(-_-)「…………」
( ・∀・)「まあまあそんな落ち込むなよ。今は準備が間に合わなかっただけで、何日かすりゃ乾燥してないパンも食えるようになるだろうよ」
(-_-)「……今はこれで我慢しよう……」
( ・∀・)「そんじゃま、後は戻って適当なとこに座ってろよ。寝転んでもいい。俺も親父のとこに戻るわ」
('A`)「あ、ありがとうございました」
( ・∀・)「ちなみにトイレはあそこな。じゃ、もし何かわからん事あったら聞いてくれ」スタスタ
乾パンを受け取ってから、自分達はまた元のフロアへと戻った。
自分は待ちきれずに缶詰を開けて、乾パンを一つ口の中に放り込んでいた。
95
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:46:00 ID:VfomURQA0
('A`)「……さて、このへんでいいかな」ドサッ
(-_-)「ふぅ、やっと座れるね……」スッ
( ^ω^)「おっおっ、ホントだお……」ズシーン
('A`)「乾パン食うか……」
(-_-)「そうしよう……」
( ^ω^)「おっおっ、じゃあブーンはちょっと一回りしてくるお」
('A`)「え? お前食わないの?」
( ^ω^)「もう食べちゃったお。ほら空っぽ」カンカン
(;'A`)「うわっ、マジだよ……だから太るんだよ……」
(;-_-)「すごいね……。まあでも、お友達を探すんだろう? 行ってきな」
('A`)「あー、じゃあ俺も」
( ^ω^)「いいお、ドクオはゆっくり食べてろお。ガリガリだし」スタスタ
('A`)「うっせデブ!」
(*^ω^)「おっおっ」スタスタ
96
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:46:42 ID:VfomURQA0
( ^ω^)「…………」スタスタ
(^ω^三^ω^)「…………」キョロキョロ
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「ツン……」
( ^ω^)「どこにいるんだお……」
ξ゚⊿゚)ξ「呼んだ?」
( ^ω^)「おいすー」
ξ゚⊿゚)ξ「乾パン食べた? 何よあれ、不味すぎでしょ」
( ^ω^)「ブーンもそう思うお……」
(;^ω^)「おっ!?」ズシーン
ξ゚⊿゚)ξ「驚きすぎでしょ……。ま、当たり前か……」
なんという、ご都合展開だろうか。
必死で探していた相手が、いとも簡単に見つかってしまった。
これが小説なら、作者が書いていてあんまり面白くなくて、展開を早めてしまったような感じだ。
97
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:47:24 ID:VfomURQA0
ξ゚⊿゚)ξ「よかった、生きてて」
( ^ω^)「……おっおっ……」
( ^ω^)「……ほんとに……よかったお……」
ξ゚⊿゚)ξ「何泣きそうになってんのよ……。さっき見えたけど、ドクオもいるんでしょ?」
( ^ω^)「おっ、そうだお! こっちだお」スタスタ
ξ゚⊿゚)ξ「よくここまで来れたわね」スタスタ
( ^ω^)「それはツンもだお。そういえば、なんでライン返してくれなかったんだお?」
ξ゚⊿゚)ξ「ああ……携帯は落としちゃったのよ」
( ^ω^)「おっ……そうだったのかお……」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ時期に使えなくなるだろうし、別にいいかなって感じよね……」
('A`)「……おいおい、もう見つけたのか?」
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオー、随分と久しぶりじゃない。見ない間に痩せたわね」
('A`)「一日ぶりだし体型は元々だわ」
( ^ω^)「二人ともブーンくらい肉つけろお!」
ξ;゚⊿゚)ξ(;'A`)「いや……それは遠慮しておくわ……」
98
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:48:06 ID:VfomURQA0
つい数日前にも同じような会話をしたというのに、何故だかとても懐かしく感じた。
ξ゚⊿゚)ξ「……そちらの方は……?」
(-_-)「ああ、僕はヒッキー。ここに来る途中で、二人に会ったんだ。おかげで辿りつけたよ」
( ^ω^)「ヒッキーさんのおかげで、こんな場所があるって知ったんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「なるほど、そうだったのね。私は二人の同級生のツンです」
(-_-)「うん、話は聞いてるよ。でも良かったね、見つかって」
( ^ω^)「ホントですお……ありがとうございますお!」
(-_-)「いやいや。じゃあ僕はお邪魔に――――!?」
ウワー
バタン
(;'A`)「なんだ!?」
突然、フロアに響いた叫び声。
驚きながら声のする方へ視線を向けると、そこには――
99
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:48:49 ID:VfomURQA0
Ω「ウウウウガアァァァアア!!」
――1人のオッサンが、男性を襲っていた。
ξ;゚⊿゚)ξ「なっ、なんでオッサンがいるのよ!?」
(;-_-)「わ、わからない……とにかく逃げよう……!!」
自分達は急いで、出口に向かおうとする。
しかし、ここにいる人達は皆同じことを考えている。
すぐに人の波に飲まれ、思うように動けなくなった。
(;^ω^)「おっ……!?」ドンッ
ドサッ
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン!?」
(;^ω^)「あ……脚が……」
(;'A`)「大丈夫か!? ほら、肩貸せ……って重!!!!」
100
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:49:36 ID:VfomURQA0
(;^ω^)「ブーンは大丈夫だから、逃げるんだお!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「でも……って、きゃぁあああ!!」
Ω「ウウゥゥアアアアア!!!!」
(;-_-)「危ないッ!!」ドンッ
Ω「アアアアァ!!」ガブッ
(;-_-)「ぐぅっ……!!」
(;^ω^)「ヒッキーさん!!!」
(;'A`)「ヒッキーさんから離れろクソジジイ!!」ドカッ
Ω「グッ……」バタッ
(;-_-)「……す、すまない……」
(;^ω^)「ヒッキーさん……」
(;-_-)「……噛まれてしまったよ……」
ヒッキーさんの腕には、大きな歯型がついていた。
そこからポタポタと、涙のように血が溢れ出ている。
101
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:53:59 ID:VfomURQA0
(;'A`)「なんとかなりますよ!! 逃げましょうヒッキーさん!!」
(;-_-)「……無理だよ……僕は置いていくんだ……」
(;^ω^)「…………そんな……」
Ω「イテェゾコラァァアア!!!」スクッ
(;-_-)「ほら、行くんだ!! こいつは僕が足止めする!!」
(;'A`)「…………」
( ω )「…………ごめんなさいですお……ヒッキーさん……」
(;-_-)「……年上は、年下を守らないとね……!」
('A`)「さようなら……ヒッキーさん……」ダッ
( ω )「……ありがとうございますお……」ダッ
ダダダッ
102
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:54:42 ID:VfomURQA0
(-_-)「…………」
(-_-)(僕は……死ぬのか……)
(;-_-)(――ッ!!)
(((;-_-)))(死にたくない……まだ死にたくない……!!)
(;-_-)(……でも……僕みたいな奴でも……)
(-_-)(……誰かの役に立てたんだ……)
Ω「オオオアアァァァァァァッ!!!!」
(-_-)「…………」
(-_-)「さぁ来いよオッサン……ッ!!」
103
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:55:24 ID:VfomURQA0
――――
( ^ω^)「…………」
ヒッキーさんと別れてから、一時間後。
自分達は、ひたすら駅の方角へと歩いていた。
('A`)「…………」
ξ゚⊿゚)ξ「……ねぇ……」
('A`)「なんだよ……」
ξ゚⊿゚)ξ「……何も言いたくない気持ちはわかるわ……。でも、これからどうするのか、考えないと……」
( ^ω^)「……わかってるお……」
('A`)「……ああ……」
ξ゚⊿゚)ξ「……とりあえず、どこかに逃げ込まないと……」
( ^ω^)「……あれとか、どうだお?」
('A`)「……ショッピングモールか……。一階に食料品売場があったな」
( ^ω^)「衣料品なんかもあるお。布団もあるし、しばらく泊まれるかもしれんお」
104
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:56:07 ID:VfomURQA0
ξ*゚⊿゚)ξ「あー、着替えたいわ……!」
ξ゚⊿゚)ξ「……でも、シャワーも浴びたい……」
('A`)「贅沢だな」
( ^ω^)「ブーンと一緒に入るかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「気持ち悪いこと言わないでよデブ」
( ^ω^)「おっおっ…………」
('A`)「まあ、従業員用のシャワールームくらいあんだろ」
ξ゚⊿゚)ξ「あるといいなー……」
スタスタ
目の前にそびえ立つ、小型のショッピングモール。
自分達は、三つしかない入口のうち、北側の入口の前に立っていた。
(;^ω^)「…………」
('A`)「自動ドアは流石に動いてないか……」
( ^ω^)「どうするんだお?」
105
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:56:49 ID:VfomURQA0
('A`)「いや、電気が来てないだけなら」グッ
ウィーン
('A`)「手でも開くんだよ」
( ^ω^)「なるほど……さすがドクオだお」
ξ゚⊿゚)ξ「鍵とかかかってないのね……意外だわ……」
('A`)「しかしまぁ、鍵がかかってないってことは……」
( ^ω^)「だれもいない……?」
('A`)「……どうだろうな。オッサンが入ってくることを考えりゃ、鍵くらいしめそうなもんだが……」
('A`)「中にオッサンがいた場合、逃げ道がなくなるってことにもなる」
( ^ω^)「なるほどだお……」
('A`)「ま、俺の予想じゃ誰もいないだろうな。大方死んだか、逃げたか」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ、避難所があるならそっちに行ったほうがいいわよね」
106
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:57:43 ID:VfomURQA0
( ^ω^)「……でも……」
('A`)「……ああ」
Ω「ギャァアアアアア!!!!」
('A`)「こいつらは、いてもおかしくないな」
ξ;゚⊿゚)ξ「勘弁してよ、まったく……」
( ^ω^)「……おっおっ……」
複数のオッサンが、店内から自分達を睨みつけている。
勝てない数じゃない。不思議と自信が湧いてきた。
(;'A`)「俺らに逃げ場はねぇ、わかってるな?」カチャ
全員が店内に入ると、ドクオはそう言いながらドアの鍵をしめた。
右手に、畑で拾った鎌を持ちながら。
ξ;゚⊿゚)ξ「わかってるわよ……。ああ、怖い……」
路地裏で拾った鉄パイプを両手で構えて、ツンはそう言う。
( ^ω^)「覚悟は出来てるお……」
107
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:58:28 ID:VfomURQA0
自分は、ガスガンを握りしめてそう言った。
疲れからか、脚が竦みそうになる。
だがここを乗り越えれば、好きなだけご飯が食べられるだろう。
そう思うと自然と力が湧いてくる。
('A`)「……“お客様”が“お還り”だ。失礼のねーようにな」ダッ
( ^ω^)「おっおっ!」スッ
Ω「オンナダァァアアア!!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「寄らないでよ気持ち悪い!!」ドガッ
Ω「ウグッ……!!」
( ^ω^)「ナイスだおツン!」バスッ
Ω「ガッ……」ドサッ
('A`)「ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!!!」ブンブン
( ^ω^)「ドクオ、そういうのいらないお」
(;'A`)「そ、そうか」
Ω「メシダァアアアア!!!!」ダダダッ
('A`)「誰が飯だ!!」グサッ
108
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:59:11 ID:VfomURQA0
Ω「イギャァァァ!!!」バタバタ
('A`)「死ねよくそったれ……!!」グサグサ
Ω「ギャ……ァァ……」
(;'A`)「うっ…………グロテスクだな……」
( ^ω^)「次が来てるお!」バスッ
(;'A`)「お、おう!」ブンッ
殺しても殺しても、オッサンは現れる。
( ^ω^)「おおおおおおっ!!」バスッバスッ
殺し尽くすしかないのだ。
自分達が生き残るためには。
殺し尽くすしかないのだ。
もう、誰も死なせないためには。
殺せ。
109
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:59:54 ID:VfomURQA0
殺せ。
殺セ。
殺セ――
殺セ――――
.
110
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 11:00:36 ID:VfomURQA0
「――――い! おいブーン!!」
( ^ω^)「おっ?」
(;'A`)「何してんだよ……死んでんのかと思ったぞ……」
( ^ω^)「おっ……」
自分は、何をしていたのだろうか。
両手にはガスガンを握っており、それをしっかりと構えている。
どうやら痺れてしまっているようだ。
しばらくの間、両腕を動かす事が出来なかった。
( ^ω^)「…………」
この数分間の出来事が、記憶に殆ど残っていない。
まるで、何か夢を見ていたはずなのに思い出せないような、そんな気分だ。
('A`)「大体殺したみてーだ。行くぞ」
( ^ω^)「おっおっ……わかったお……」
ゆっくりと立ち上がる。
もう両腕の痺れもなくなり、自由に動かすことができる。
忘れよう。
いや、どうせ思い出せもしないのだ。
自分はガスガンを腰にしまいながら、ドクオとツンの後を追いかけた。
111
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 11:01:31 ID:VfomURQA0
第4話、以上になります。
次回もよろしくお願いします!
112
:
名も無きAAのようです
:2015/12/12(土) 11:18:31 ID:mvoAwxMo0
乙!
113
:
名も無きAAのようです
:2015/12/13(日) 00:07:27 ID:2uZfJZqg0
Ω「乙だああああああああああ」
114
:
名も無きAAのようです
:2015/12/13(日) 19:35:50 ID:TXyoV85Y0
ひょっとしてスキップされたイベントにはツンの貞操の危機イベントが入っていたのでは!?
115
:
名も無きAAのようです
:2015/12/15(火) 00:10:51 ID:.qXw.lzw0
真顔でウヒャヒャヒャ(ブンブン)で不覚にも
116
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:35:33 ID:GepO/Xh20
レスありがとうございます!
第5話投下します!
117
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:36:18 ID:GepO/Xh20
□オッサン病
・オッサン病は、男性のみが発症する伝染病である。
・オッサン病に感染した男性を“オッサン”と呼ぶ。
・ オッサンに食べられる(噛まれる)事で感染し、その後数分で死を迎える。
オッサン病に感染し死ぬと、死後三秒で生き返り、オッサンになる。(オッ三秒ルール)
オッサンになると同時に、食べられた肉体は回復し、身体は四十代程度まで老化する。
・オッサンは、男性を餌、女性を性処理の相手として捉える。
オッサンに犯された女性はオッサン病が発症する事なく死を迎える。
118
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:37:00 ID:GepO/Xh20
第5話「さよならを告げたその後に」
.
119
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:37:53 ID:GepO/Xh20
('A`)「…………これでよし……と」カチャ
北側、東側、そしてここ南側。すべてのドアの鍵を締め、自分達は少しだけ安堵に包まれた。
ξ;゚⊿゚)ξ「なんとかなるものね……疲れたわ……」
( ^ω^)「ブーンは全然だお」
(;'A`)「お前は撃ってるだけだからな。それよこせよ」
( ^ω^)「いやだお!! 荒巻さんからもらった大事なものだお!!」
('A`)「そうかよ。まあいいけどな」
ξ゚⊿゚)ξ「とりあえず、どうする? 一階にはもうオッサンはいなさそうだし、この様子だと上の階にもいないわよ?」
このショッピングモールの中央部分には小さなイベントスペースがあり、三階まで吹き抜けになっている。
つまり一階で騒ぎが起これば、上の階にいるオッサン達もそれを聞いて一階に集まっていたはずなのだ。
( ^ω^)「ご飯にするお!!」
('A`)「……まあ、それだよな。でもその前に、着替えとシャワールーム探さねぇ?」
120
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:38:49 ID:GepO/Xh20
( ^ω^)「おっ……」
ξ゚⊿゚)ξ「あんた乾パン食べたでしょうが」
( ´ω`)「……おっ……」
('A`)「さーて二階の衣料品店行くか」スタスタ
ξ゚⊿゚)ξ「行きましょ」スタスタ
(;^ω^)「わ、わかったお……!」ダッ
('A`)「動かないエスカレーターってのも妙なもんだな」
ξ゚⊿゚)ξ「ほんとよね……変な感覚だわ」
(;^ω^)「自分で登ってて酔いそうだお」
('A`)「わからんでもないな。……っと、さーてショッピングといくか」
ξ゚⊿゚)ξ「なんか物を盗むようで抵抗があるけど……」
(;'A`)「オッサン殺しといてよく言うよ」
ξ;゚⊿゚)ξ「し、しょうがないじゃない! あんなのに犯されるなんてごめんだし!!」
121
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:39:56 ID:GepO/Xh20
(;^ω^)「まあ、仕方ない事だお……。オッサンを殺すのも、服を盗むのも、ご飯を盗むのも」
( ^ω^)「……こんな事にならなければ……そんな事をする必要なんて……ないんだお……」
ξ゚⊿゚)ξ「……そうね…………」
('A`)「……なーにしんみりさせてんだよ! ほら、好きな服選ぶぞ! 出来るだけ動きやすいものにしておけよ!」
( ^ω^)「おっおっ! このポロシャツなんてどうだお!」
(;'A`)「お前は休日にゴルフをする中年サラリーマンかよ……」
( ^ω^)「だってこのワニのマーク、なんかよく見るし大手ブランドだおきっと!!」
(;'A`)「まあよく見かけるけどな……好きにしろ……」
( ^ω^)「この帽子もいいお!」
(;'A`)「ハンチング帽て……うわっ似合うなお前」
( ^ω^)「おっおっ! 下は丈夫そうなジーンズにするお!」
122
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:40:47 ID:GepO/Xh20
('A`)「緩めにしとけよ、デブでキツくて動きにくいじゃ困るぜ」
( ^ω^)「おっおっ、じゃあジャージの方がいいかお……」
('A`)「……ただのピザデブになりたくなきゃ、それはやめとけ……」
( ^ω^)「寒そうだからこっちの長袖ポロシャツの方がいいかお……?」
('A`)「ああ、そのほうがいいな」
('A`)「あーでもこうやって見ると、ポロシャツも悪くないんだよなぁ……」
( ^ω^)「後はこのパーカー着るお!」
('A`)「うわ、ちょっといい感じになりそうだな。ってかそろそろ一人で選べよ」
ξ゚⊿゚)ξ「私はもう選んだわよ」
('A`)「はやっ! 女子って買い物長いイメージだったわ」
ξ゚⊿゚)ξ「財布と相談しなくていいなら、こんなものよ。お洒落するわけじゃないし」
123
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:41:30 ID:GepO/Xh20
( ^ω^)「ブーンはお洒落しようとしてたお……」
ξ*゚⊿゚)ξ「ハンチング帽似合い過ぎでしょあんたwwwww」
(*^ω^)「おっおっwwww」
('A`)「俺も選んでくるか……」
( ^ω^)「ドクオはこの下着似合いそうだお」
(;'A`)「よりにもよってなんで下着なんだよ! 見える部分にしろよ!」
(*^ω^)「おっおっ」
124
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:42:12 ID:GepO/Xh20
――――
('A`)「……うーん……シャワールーム……」
ξ゚⊿゚)ξ「……どこかしら…………あっ!」
('A`)「従業員用の更衣室か……おっ、シャワールームもあるみたいだぞ!」
( ^ω^)「おっおっ、よかったお!」
('A`)「ちょっと中見てくるわ」ガチャ
ξ゚⊿゚)ξ「お湯出るといいなぁ……」
( ^ω^)「電気来てないから不安になるお……」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ水くらいは出るんじゃない? この季節になると流石に寒いだろうけど……」
(;^ω^)「それは浴びないほうがマシだお」
ガチャ
('A`)「おっけー、お湯も出るぜ」
ξ*゚⊿゚)ξ「ほんと!? じゃ、私からね!」
125
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:42:55 ID:GepO/Xh20
('A`)「おう、俺らはそこの事務所で待ってるわ」
ξ゚⊿゚)ξ「……覗かないでよ?」
('A`)「こんな時にそんな事するかっての……」
( ^ω^)「当たり前だお」
ξ゚⊿゚)ξ「覗いたら殺すから。じゃ、また後で」ガチャ
(;'A`)「おー、こえー」
(;^ω^)「おっおっ、じゃあブーン達も行くかお」
('A`)「そうだな」スタスタ
ガチャ
('A`)「さてと」
事務所の中に入ると、ドクオはすぐに椅子に腰掛けて、いそいそとスマホを取り出した。
自分も隣の椅子に腰を降ろして、ドクオのスマホ画面を覗き込んだ。
126
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:43:38 ID:GepO/Xh20
('A`)「誰が覗きなんかするってんだよなぁ」ポチポチ
( ^ω^)「なにしてんだお?」
('A`)「んー、なんつーかなぁ」
( ^ω^)「おっおっ、ウェブサイトじゃ無さそうだお」
('A`)「まあ、見りゃわかるぜ」スッ
( ^ω^)「……?」
(;^ω^)「ッ……なんだおこれ?」
ドクオのスマホに映し出されたもの。
それは写真でもなく、動画でもない。
しかし確かに何かが映されていた。
('A`)「もう一個のスマホを、シャワールームに隠してきた」
( ^ω^)「おっ……?」
(;^ω^)「おっ!?!???」
('A`)「いまテレビ通話が繋がってっから、ツンの裸が見れるな」
127
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:44:21 ID:GepO/Xh20
(;^ω^)「な、何なやってんだお!! ダメだお!!!」
('A`)「お? なんでダメなんだ? ひょっとして、ドクオには見られたくないおー……とか???」
(;^ω^)「おっ……それは……」
('A`)「なんだよ言ってみろよ。お前がそう思ってんなら、俺は見るのをやめる」
(;^ω^)「……おっ……」
よく、わからない。
だが何故か、ツンの裸を自分ではない誰かに見られるのは嫌だと感じた。
(;^ω^)「……ブーンだけが……見るお……」
('∀`)「ははっ、まあ勝手にしろよ」
そう言うとドクオは椅子から立ち上がって、画面の見えない位置まで移動して、床に座り込んだ。
今、ツンの裸を見られるのは自分だけだ。
(;^ω^)「……」
⊃□⊂
どうしたものか。
このまま自分も見るのをやめてもいいのだが、それも勿体無い気がする。
128
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:45:24 ID:GepO/Xh20
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)⊃□ スッ
彡
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「――――やっぱ見るおッ!!」
⊃□⊂彡
('∀`)「…………」
(*^ω^)「おっおっおっ……!!」
(*^ω^)「まだかお……!!」
(;^ω^)「――ッ!!!!!」
突然、映像が目まぐるしく動いた。
そして画面には――――
――――ツンの顔が映し出された。
.
129
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:46:06 ID:GepO/Xh20
ξ#゚⊿゚)ξ『どういう事かしら????』
(;^ω^)「おおおおおおおっ!!!!!」
ξ#゚⊿゚)ξ『ブーン……あんた……』
ξ#゚⊿゚)ξ『殺しに行くから』
(;^ω^)「ど、ドクオ! なんでバレたんだお!!」
('A`)「しし、しらねーよ! お前があそこに置けって言ったんだろ!」
(;^ω^)「は??????」
ξ#゚⊿゚)ξ『白を切っても無駄よドクオ』
('A`)「え?」
ξ#゚⊿゚)ξ『さっきの会話も全部聞こえてたわよ』
(;'A`)「……聞こえてたか……」
ξ#゚⊿゚)ξ『……あんた達……』
ガチャ
ξ#゚⊿゚)ξ「何回死にたい?」
(;^ω^)(;'A`)「ひっ、ヒィィィィ!!!!」
130
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:46:50 ID:GepO/Xh20
――――
(;^ω^)「あいたたた……」
ξ゚⊿゚)ξ「…………」
(;^ω^)「ま、まだ怒ってるかお……?」
ξ゚⊿゚)ξ「いや、あれだけ殴れば気は済んだわ」
(;^ω^)「そ、そうかお」
ξ゚⊿゚)ξ「…………」
自分と入れ替えにドクオがシャワーを浴びているため、ツンと自分は食料品売場に来ていた。
( ^ω^)「おっ、これ美味しそうだお」スッ
ξ゚⊿゚)ξ「缶詰は後にしなさいよ。先に賞味期限の近いものから食べるのよ」
( ^ω^)「おっおっ、それもそうかお」コトン
ξ゚⊿゚)ξ「まあ、とりあえずはお惣菜とお弁当ってところかしらね」
自分達よりも前に食料を漁りに来た人達がいたのか、売場の缶詰やパック類は数が少なかった。
しかし弁当など日持ちしない物は多く残っている。
131
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:47:33 ID:GepO/Xh20
(*^ω^)「す、寿司があるお!!」
ξ゚⊿゚)ξ「あらほんとね。まだ食べられるかしら……」
(*^ω^)「きっと大丈夫だお! ブーンは食べるお!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「私は遠慮しておくわ……あんた全部食べなさいよ」
(*^ω^)「おっおっ、やったお! 全部食うお!!」ゴソゴソ
ξ;゚⊿゚)ξ「ほんとに全部食べる気なのね……何人前よ……」
ぱっと見、十人分はあるだろうか。
自分の腹を満たすには十分な数だと思えた。
('A`)「おー、どうだ何か食えそうか」
132
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:48:14 ID:GepO/Xh20
( ^ω^)「おっ、ドクオおかえりだお」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンが寿司全部食べるって言うから、私達はお弁当でも食べましょ」
(;'A`)「寿司って……これ全部か??」
( ^ω^)「当たり前だお!」
(;'A`)「お前の身体どうなってんだよ……。ってか、鮮度的に食えるのかこれ」
( ^ω^)「余裕だお!」
(;'A`)「腹壊しても知らんぞ……」
( ^ω^)「大丈夫だお!!」
133
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:48:58 ID:GepO/Xh20
――――
(;^ω^)「お腹いたいおぉぉ……」
('A`)「だから言っただろうが……」
事務所で食事を取ってから数時間後、二階から持ってきた布団で眠りにつこうという時に、自分の腹は悲鳴を上げた。
(;^ω^)「トイレは……どこだお……」
('A`)「ここ出てまっすぐ行けばあるぞ。さっき俺がうんこしたから臭いかもしれん」
(;^ω^)「平気だおんなもん!!」ダダダッ
ガチャ
ダダダッ
ダッダッ
(;^ω^)「懐中電灯あっても暗くてわからんお……」
(;^ω^)「ここかお……?」ガチャ
プーン
(;゚ω゚)「くっさwwwwwwwww」バタン
134
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:49:44 ID:GepO/Xh20
(;^ω^)「……弱ったお……」
(;^ω^)「こうなったら女子トイレに……」
ガチャ
(;^ω^)「……?」
(;^ω^)「…………」
(;゚ω゚)「――――ッ!!」
――自分は、忘れていたのだ。
ここが、母のパート先だということを。
母がパートに行ったきりだったということを――。
J( ー )し
(;゚ω゚)「か……カーチャン……」
そこにあったのは、天井からぶら下がった一つの物体。
それは紛れもなく、母親の肉体そのものであった。
135
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:50:30 ID:GepO/Xh20
(;゚ω゚)「…………どうして……」
(; ω )「……どうしてなんだお……」
(; ω )「……自殺なんて…………」
ブリブリ
( ゚ω゚)ブリブリブリィ
( ゚ω゚)
( ω )
( ω )「……カーチャン……」
( ω )「…………」
ブリィ……
136
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:52:13 ID:GepO/Xh20
――――
ガチャ
( ω )「…………」
('A`)「おう、早かったな――って臭ッ!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「臭っ!! どうしたの!?」
( ω )「…………」
( ^ω^)「……漏れちゃったお」
(;'A`)「……おいおい。早く風呂入ってこい」
( ^ω^)「……そうするお。先に寝ててくれお」
('A`)「ああ。おやすみ」
ξ゚⊿゚)ξ「…………」
ガチャ
バタン
スタスタ
( ^ω^)「…………」
137
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:53:04 ID:GepO/Xh20
ガチャ
バタン
( ^ω^)「…………」
スッスッ
スタスタ
ジャー
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「……シャワー……温かいお……」
( ^ω^)「…………」
( ω )「……ひっ……ぐ……」
( ;ω;)「……おっ…………おっ……」
「…………さよなら……だお……カーチャン…………」
涙なのか、シャワーなのかはわからない。
しかし温かなそれは確かに、頬を伝って床へと落ちていく。
さよならを告げたその後に訪れた感情は、心を押し潰すのには十分過ぎる代物だった。
138
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:54:22 ID:GepO/Xh20
――――
ガチャ
( ^ω^)「…………」ソローリ
(-A-)スースー
バタン
ソローリ
スッ
( ^ω^)「……ふぅ……」
( ^ω^)「お布団も暖かいお……」
ξ゚⊿゚)ξ「……おかえり」
( ^ω^)「おっ、起こしちゃったかお……?」
ξ゚⊿゚)ξ「ううん、起きてたわ。ドクオは寝ちゃったみたいだけど……」
( ^ω^)「それならよかったお……。眠れないのかお?」
139
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:55:05 ID:GepO/Xh20
ξ゚⊿゚)ξ「……そうじゃないけど……」
ξ゚⊿゚)ξ「……ただ……その……」
( ^ω^)「?」
ξ*゚⊿゚)ξ「……あんたの様子がおかしかったから、心配だったのよ!」
(*^ω^)「おっおっ、心配してくれたのかお」
ξ*゚⊿゚)ξ「うっさいわね!」
ξ゚⊿゚)ξ「…………で、やっぱ何かあったわけ?」
( ^ω^)「……ちょっと……あったお……」
ξ゚⊿゚)ξ「……泣くほど?」
(;^ω^)「な、なんでわかったんだお!?」
ξ゚⊿゚)ξ「声聞きゃわかるわよ。何年一緒にいると思ってんのよ」
(;^ω^)「おっおっ……」
ツンとドクオとは、長い付き合いだ。
小学生の頃から、ずっと同じ学校だった。
クラスが違っても、自分達はいつも一緒に遊んでいた。
今も、それは変わらない。
140
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:55:49 ID:GepO/Xh20
ξ゚⊿゚)ξ「まさか漏らしたから泣いてたわけ?」
(;^ω^)「違うお」
( ^ω^)「……その……」
( ω )「…………」
ξ゚⊿゚)ξ「……ゆっくりでいいわよ」
( ω )「……おっ……」
ツンツンとした態度を取る割に、彼女の根は優しいのだ。
自分は彼女のそんなところが好きだった。
( ^ω^)「…………、カーチャンが……死んでたんだお」
ξ;゚⊿゚)ξ「……えっ……?」
( ^ω^)「……女子トイレで……首を吊って」
ξ゚⊿゚)ξ「…………そう……おばさんが……」
( ^ω^)「怖かったんだお、きっと。だから、自ら……死を選んで……」
( ω )「…………」
141
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:56:32 ID:GepO/Xh20
ξ゚⊿゚)ξ「……もういいわ、もういいから……」
( ω )「…………ツン……」
自分の布団に入り込んだ何かに気づき、手を伸ばす。
それは温かな、手のひらだった。
自分はその手に指を絡めるようにして、ぎゅっと握りしめた。
ξ゚⊿゚)ξ「…………今日はゆっくり休んで、明日は冷凍のピザでも食べましょ。もうとっくに溶けてるだろうけど」
( ω )「…………そうするお……」
(-A-)「…………」
ξ゚⊿゚)ξ「……じゃあおやすみね、ブーン」
( ω )「……おやすみだお……ツン……」
彼女の温かな手。温かな言葉。
それが自分にとって、どれだけ救いとなったか。
彼女に伝えるときは来ないだろう。
けれど、それでもいいと思った。
この手を再び握りしめられるなら、それだけで十分だ。
そう思った。
142
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:59:13 ID:GepO/Xh20
第5話、以上になります。
書き溜めが進んで絶好調です。
最後までよろしくお願いします!
143
:
名も無きAAのようです
:2015/12/23(水) 05:11:44 ID:p6Vibvoc0
60歳のおっさんが感染したら40代に若返るの?
144
:
名も無きAAのようです
:2015/12/23(水) 05:28:16 ID:5nElOxZk0
おっつ!
145
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 05:48:08 ID:GepO/Xh20
>>143
まだまだ先になりますが、本編中で説明する機会がやってきます
しばしお待ちを……
146
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:32:37 ID:bOqe.tGc0
レスありがとうございました。
第6話、投下します。
147
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:33:42 ID:bOqe.tGc0
□オッサン病
・オッサン病は、男性のみが発症する伝染病である。
・オッサン病に感染した男性を“オッサン”と呼ぶ。
・ オッサンに食べられる(噛まれる)事で感染し、その後数分で死を迎える。
オッサン病に感染し死ぬと、死後三秒で生き返り、オッサンになる。(オッ三秒ルール)
オッサンになると同時に、食べられた肉体は回復し、身体は四十代程度まで老化する。
・オッサンは、男性を餌、女性を性処理の相手として捉える。
オッサンに犯された女性はオッサン病に感染するが、発症する事なく死を迎える。
148
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:34:37 ID:bOqe.tGc0
第6話「彼女に告げないその理由」
.
149
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:35:23 ID:bOqe.tGc0
このショッピングモールに来てから、四日が経過した。
スマートフォンの回線は繋がらなくなり、自分達に出来ることはラジオを聞きながら残った食料を食いつぶすくらいだった。
民間の電力は止まっても、ラジオ局や電波塔の電力はなんとか動かしているようだ。
( ^ω^)「ここはこんなに平和なのに……外は酷そうだお……」
ラジオからは、現状を伝える声が聞こえてくる。
死んだ政治家も多いようだ。これからこの国はどうなっていくのだろうか。
('A`)「……まぁ、この国をリセットするって言う意味では、いいのかも知んねーな」
( ^ω^)「リセットって……」
ξ゚⊿゚)ξ「言いたい事はわかるけど、それ他の人の前で言わないでよ?」
('A`)「はっ、他の人がどこにいるかもわかりゃしねーのに」
( ^ω^)「おっおっ…………」
150
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:36:07 ID:bOqe.tGc0
『本日より、ソウサク展示場が避難所として開放され――』
( ^ω^)「おっ! 噂をすれば、だお!」
('A`)「ソウサク展示場か……。歩いて行ける距離か?」
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと、遠いわよね……。でも、この辺りに避難所は無さそうだし……」
('A`)「まあ、ここの食料もいずれ尽きるからな。国の保護下にいないと生きてけねーよ」
ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ、行く?」
('A`)「ああ。もうしばらくここに留まって、そこが安全なようならな……。線路沿いを歩いていけば、迷うこともない」
( ^ω^)「じゃあその時に、ツンの家に寄って行くかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「……そうね。できれば、寄っていきたいけど……」
('A`)「……こう言っちゃ悪いが、期待はしないほうがいい」
151
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:36:53 ID:bOqe.tGc0
ξ゚⊿゚)ξ「……うん、わかってるわ。でももしかしたら、お母さんが書き置きしてくれてたりするかもしれないし」
( ^ω^)「……じゃあ、いつ行くかお?」
('A`)「……まあ、三日くらいか。あと三日様子見て、問題なければ出発し――」
ガシャーン
(;^ω^)「おっ!!??」
(;'A`)「……おいおい、冗談だろ?」
ξ;゚⊿゚)ξ「まさか……オッサンたちが……?」
(;'A`)「武器とまとめておいた食料を持て! とりあえずこの部屋を出るぞ……」
ガチャ
ソロソロ
(;^ω^)「これまで平和だったのに……なんでだお……」
(;'A`)「わかんねぇ。ただ、あいつらは多少の知性があるみたいだからな。誰かいると踏んだんだろう……」
152
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:37:36 ID:bOqe.tGc0
ガチャ
(;'A`)「いるとしたら……」
アガァァアアアアアア
ξ;゚⊿゚)ξ「あ、あそこ……」
(;^ω^)「やっぱりかお……」
自分達のいた事務所から一番近い、南側の入口。
そこのドアが破られ、何人ものオッサンが中へと入り込んできていた。
久々の恐怖。
手のひらが汗で濡れていくのを感じた。
(;^ω^)「なんとか倒せないかお?」
(;'A`)「まあ、やれない数じゃないか……。よしブーン、狙える――」
ガシャーン
イキャアアアアアアア
(;'A`)「北側か!?」
153
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:38:19 ID:bOqe.tGc0
ξ;゚⊿゚)ξ「そうみたい……。ねぇ、どうするのよ!」
(;'A`)「チッ……流石に倒せねえか……」
(;^ω^)「じゃ、じゃああそこから逃げるお……!」
(;'A`)「この中突っ切って東側から出るってのか? 無理だろ」
ξ;゚⊿゚)ξ「なら、どうするのよ」
('A`)「……非常口しかねぇな。あそこなら安全だ。戻るぞ」
( ^ω^)「非常口なんてあったかお?」
('A`)「ああ、この前見つけたんだ。ついてこい」
バタン
スタスタ
('A`)「ここだ。ブーン、俺が開けるからお前はガスガンを構えててくれ」
154
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:39:01 ID:bOqe.tGc0
( ^ω^)「わかったお」
('A`)「いくぞ」
ガチャ
('A`)「……あれ? 開かねぇ」
ガチャガチャ
(;'A`)「……どうなってんだ?」
(;^ω^)「ど、どうするんだお!」
(;'A`)「くっそ……事前に調べておくんだった。仕方ねぇ……あそこだな……」
ξ;゚⊿゚)ξ「あそこって……?」
(;^ω^)「……おっ、二階の非常口かお?」
(;'A`)「……ああ。あそこが開くことは事前に調べてある。ただ……」
(;'A`)「エレベーターが動かない以上、エスカレーターを登るしかない」
(;^ω^)「か、階段は……東側かお……」
155
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:39:47 ID:bOqe.tGc0
(;'A`)「ああ。東側に向かうよりは、エスカレーターを登ったほうが安全だ。それに階段は、この前扉を閉めて開かないようにしただろうが」
(;^ω^)「おっ……そうだったお……」
何を思ったのか、先日ドクオは階段を使えないようにした。
逃げ道を減らしているようなものだ。
だが、自分は彼を信頼している。彼の言葉を、疑う気はなかった。
(;'A`)「こっち側のドアからなら、エスカレーターも近い。腹をくくって、行くぞ」
(;^ω^)「わかったお……」
(;'A`)「素早く、でも慎重にな」
ガチャ
(;'A`)「行くぞ!」
タッタッタッ
エスカレーターまでは、数十メートルだ。その道のりに、オッサンはいない。
北側の入口付近にいるオッサン達にさえ見つからなければ、自分達は無事に脱出できるのだ。
156
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:40:29 ID:bOqe.tGc0
(;^ω^)(頼むお……! 見つけないでくれお……!!)
タッタッタッ
Ω「……ウ……?……イタゾオォオオオオオ!!!!」
――だが、そうはいかなかった。
(;'A`)「クソッ!! 走れ!!!」
ΩΩΩ「ウガアアアアアアアァァァァァ!!!!!」
(;^ω^)「おおおおおおおっ!!!」
ダダダッ
全力。これほど全力に走ったのは、オッサン達が現れたあの日以来だ。
痛めた足も、もう問題なく動く。
エスカレーターに先に到着したのは、自分達だった。
(;'A`)「急げ!!!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「わかってるわ――キャッ!!」ドタッ
(;^ω^)「ツン!?」
157
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:41:13 ID:bOqe.tGc0
しかしエスカレーターを駆け上っていると、先頭でツンがつまずいてしまった。
それもそのはずだ。普段自動で動いているはずのエスカレーターを、階段と同じ要領で駆け上るのは難しい。
脳が、エスカレーターだと認識しているからだ。
(;'A`)「おい、何やってんだ!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「ごめん!!」スクッ
Ω「マテヤコラアアアアア!!!!」ダダダッ
(;'A`)「くそ、もう来やがった!!!」スッ
一番後ろにいたドクオが取り出したのは、先日畑で拾った鎌と、ここで手に入れた短い鉄の棒だ。
それらを両手に構えて、ドクオは振り返った。
(;'A`)「俺が食い止める!! お前らは行け!!」ブンッ
ドゴッ
Ω「ギャァァァ!!!」
(;^ω^)「何言ってんだお!! ドクオが戦うならブーン達も戦うお!!!」スッ
158
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:41:55 ID:bOqe.tGc0
(;'A`)「わかってねぇな……! 一人分の幅しかないエスカレーターで食い止めさえすりゃ、お前らは逃げ切れるだろうが!!」ブンッ
(;^ω^)「ッ……そのために……階段を……」
(;'A`)「行け!! 全員ぶっ殺して、生き延びるからよ!! 俺はクーもまだ見つけてねぇんだ!!」ブンッ
グサッ
Ω「アガッ……!」ドサッ
ξ;゚⊿゚)ξ「ドクオ……」
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「……行くお、ツン」
ξ;゚⊿゚)ξ「……でも……」
( ^ω^)「……ドクオ、必ずまた会うお……!!」
(;'A`)「ああ!! 死ぬなよ!!」
( ^ω^)「おっ!」
159
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:42:38 ID:bOqe.tGc0
ξ;゚⊿゚)ξ「ドクオ、ありがとう……!」
(;'A`)「お礼に今度裸見せろよ!!」
ξ゚⊿゚)ξ「死ね!!!!」ダッダッダッ
(;^ω^)「…………」
( ^ω^)「……また……」ダッダッダッ
('A`)「…………」
Ω「ウグルルルルルル……」
('A`)「…………ハッ、怖くねえぞお前らなんて……」
Ω「ウウウウウウウウゥゥゥ!!!!」
('A`)「……くんじゃねぇよクソジジィ!!!」ブンッ
('A`)「全員ぶっ殺す!!!!!」
160
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:43:23 ID:bOqe.tGc0
――――
ガチャ
( ^ω^)「……階段は大丈夫そうだお……」
ξ゚⊿゚)ξ「一応、静かに降りるわよ……」
非常口を開けると、大きな階段があった。
外からなら何度も見たことがある。だが、実際に使うことになるとは思いもしなかった。
カンカン
ξ゚⊿゚)ξ「……ドクオ……大丈夫かしら……」
( ^ω^)「……きっと大丈夫だお……。あのエスカレーターなら、掴まれさえしなければ生き残れるお」
ξ゚⊿゚)ξ「それなら、三人で戦った方が確実なんじゃないの……?」
( ^ω^)「……ドクオは言ってたんだお。クーを探さなきゃならないから、俺は途中で別れる、って」
ξ゚⊿゚)ξ「……そうなんだ……。って、クー?」
161
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:49:38 ID:bOqe.tGc0
( ^ω^)「まだドクオはクーのこと好きなんだおwwww」
ξ゚⊿゚)ξ「嘘でしょwwwwあいつなんかじゃ無理に決まってるじゃないwwwwwwww」
( ^ω^)「ほんとだおwww」
カンカン
カン
ξ゚⊿゚)ξ「やっとおわったー」
( ^ω^)「おっ、とりあえずどこかに隠れるお」
階段を降りてすぐ、目の前にはリサイクルショップがあった。
そこの陰に隠れ、自分達は荷物を取り出した。
ξ゚⊿゚)ξ「あっ、ラジオ持ってくればよかったー」
(;^ω^)「おっ、急いでたから仕方ないお」
ξ゚⊿゚)ξ「食料は……まあ数日はもつか……」
( ^ω^)「一日で食べ切れるお」
162
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:54:16 ID:bOqe.tGc0
ξ;゚⊿゚)ξ「それだけは勘弁してよね」
荷物を片付けながら、これからの進路を決めた。
線路まではそう遠くない。ここからなら歩いて数十分で着くだろう。
( ^ω^)「じゃあ行くかお」スクッ
ξ゚⊿゚)ξ「とりあえず私の家ね……。まあ遠くないから、すぐ着くわよ」
( ^ω^)「わかったお!」
スタスタ
以前に比べて、外を徘徊するオッサン達が少ないように思える。
外にいても食べ物にありつけないと判断したのだろうか。それなら、ショッピングモールに入ってきたのも頷ける。
それでも、オッサンが全くいないわけではない。
警戒を怠ることは許されなかった。
163
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:54:58 ID:bOqe.tGc0
( ^ω^)「いまは十四時かお……」
ξ゚⊿゚)ξ「ソウサク展示場に着くのは、明日か明後日ってとこかしら……」
( ^ω^)「途中で泊まる所を探さないとだお」
ξ゚⊿゚)ξ「そうね…………あっ、見えてきたわよ」
( ^ω^)「おっ、懐かしい家だお」
ξ゚⊿゚)ξ「一応鍵持ってるけど……かかってるかしら……」
スタスタ
ガチャ
ξ゚⊿゚)ξ「……鍵、開いてる……」
ξ゚⊿゚)ξ「…………」スタ
( ^ω^)「……ブーンも入るお」スタ
バタン
カチャ
164
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:55:40 ID:bOqe.tGc0
ξ゚⊿゚)ξ「……お母さーん?」
シーン
ξ゚⊿゚)ξ「……そうよね……いないわよね……」スタスタ
( ^ω^)「…………」
ξ゚⊿゚)ξ「……書き置きもない……か……」
( ^ω^)「……ツン……」
ξ゚⊿゚)ξ「……いいの。期待はしてなかったわ。でも……」
ξ゚⊿゚)ξ「…………」
( ^ω^)「……避難所に、行くお。もしかしたらいるかもしれないし、来るかもしれないお」
ξ゚⊿゚)ξ「……そうね……」
ξ゚⊿゚)ξ「ごめんね。ちょっと、自分の部屋に行ってくるわ。……その辺に缶詰が入ってたはずだから、食べてもいいわよ」
( ^ω^)「……わかったお」
ξ゚⊿゚)ξ「……うん……」タタタッ
( ^ω^)「…………」
165
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:56:28 ID:bOqe.tGc0
期待はしてなかった。
それは、彼女の本当の言葉ではない。
もしそうだとしたら、彼女が自分の部屋で隠れて泣く必要などないのだから。
( ^ω^)「…………」
自分にできることはあるのだろうか。
( ^ω^)スッ
スタスタ
(^ω^ )キョロ
( ^ω^)「……?」
(;^ω^)「――ッ!!」
ツンの元へと向かおうと、家の中を歩き回ったその時。
自分は、見てしまったのだ。
ツンの、母親の死体を。
.
166
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:57:12 ID:bOqe.tGc0
(;^ω^)「なっ……」
それは、死体とは思えないほど綺麗で。
そこから察するに、彼女が亡くなったのは昨日今日の事なんだろう。
(;^ω^)「…………」
ツンは、気づいているのだろうか。
いや、真っ先にリビングに向かい、そのまま二階へ駆け上っていったのだ。
恐らくまだ、見てはいない。
自分はツンの部屋がどこにあるのかわからない。
ひとまず二階へ上り、彼女を探した。
( ^ω^)スタスタ
( ^ω^)「……?」
『……ひぐっ……お母さん……どこにいるの……』
ドア越しに部屋の外へと漏れ出す、悲痛な声。
自分にはそれが、とても苦しかった。
167
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:57:59 ID:bOqe.tGc0
( ´ω`)「…………」ガチャ
( ´ω`)「……ツン……」
ξ;⊿;)ξ「……えっ……?」
( ´ω`)「…………」
彼女に悲しい顔を見せてはダメだ。
余計に悲しませるような事は、してはいけない。
( ^ω^)「……外にオッサンがいたお。長居はできないお」
ξ⊃⊿;)ξ「……うん……」
( ^ω^)「……さあ行くお」スッ
ξ゚⊿゚)ξ「…………」
何も、言わなかった。
彼女に告げないその理由は、自分にもよくわからない。
ただ度し難い感情が、自分の心を埋め尽くしていくだけだった。
168
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:59:53 ID:bOqe.tGc0
第6話、以上になります。
良いお年を!
169
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 04:54:05 ID:Ql0TZlj60
乙
ドクオ…
170
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 05:46:08 ID:N5ZiyQLo0
テイルズの何か思い出したわ
171
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 08:59:17 ID:veYbVp1o0
ドクオ生きてくれぇ
乙
172
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 15:44:53 ID:PH6HUmRM0
乙
173
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:27:22 ID:e536vKjQ0
レスありがとうございます!
第7話、投下します!
174
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:28:03 ID:e536vKjQ0
□オッサン病
・オッサン病は、男性のみが発症する伝染病である。
・オッサン病に感染した男性を“オッサン”と呼ぶ。
・ オッサンに食べられる(噛まれる)事で感染し、その後数分で死を迎える。
オッサン病に感染し死ぬと、死後三秒で生き返り、オッサンになる。(オッ三秒ルール)
オッサンになると同時に、食べられた肉体は回復し、身体は四十代程度まで老化する。
・オッサンは、男性を餌、女性を性処理の相手として捉える。
オッサンに犯された女性はオッサン病に感染するが、発症する事なく死を迎える。
175
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:28:49 ID:e536vKjQ0
第7話「これが運命というのなら」
.
176
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:29:32 ID:e536vKjQ0
ツンの家を出てから、数時間が経過した。
自分達は、ひたすら線路沿いを歩いている。
辺りは暗くなり始め、いよいよ本格的に泊まる場所を探さなくてはいけない。
( ^ω^)「狭い所の方がいいかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「どうかしら……。裏口があるなら、コンビニとかでも大丈夫だと思うけど……。久々にベッドで寝たいなぁ……」
( ^ω^)「おっおっ、じゃああそこはどうかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「どこ……? って、ラブホじゃない!!」ドゴッ
(#)^ω^)「いったいお……いきなりパンチはひどいお」
ξ#゚⊿゚)ξ「あんたがふざけてるからでしょうが」
( ^ω^)「おっ……」
ξ゚⊿゚)ξ「もういいわ。そこのコンビニにしましょ」
( ^ω^)「おっおっ、了解だお」
スタスタ
177
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:30:21 ID:e536vKjQ0
( ^ω^)「よいしょっ」グググッ
ウィーン
ξ゚⊿゚)ξ「良かった、鍵は開いてるのね」
( ^ω^)「みたいだお」スタスタ
( ^ω^)「おー……」
ξ゚⊿゚)ξ「うーん……まあ、缶詰は流石にもう無いわね……」
( ^ω^)「残念だお……」
ξ゚⊿゚)ξ「ま、食べるものがない訳じゃないし。あんたも少しは我慢しなさい」
(>^ω^)「ガリガリになっちゃうお」
ξ゚⊿゚)ξ「それで十分なくらいよ」スタスタ
ガチャ
ξ゚⊿゚)ξ「……事務室に裏口もあるわね」
( ^ω^)「おっ! じゃあここで決定だお!」
178
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:31:03 ID:e536vKjQ0
決して広くない事務室だが、二人眠れる程度のスペースはある。
もしもオッサンが表から入ってきても、すぐに逃げ出す事も可能だ。
店内の食料品はほとんどなくなっているが、雑貨類はまだまだ残っている。
自分達はバスタオルや肌着などを事務室に持って来た。
ξ゚⊿゚)ξ「ソファくらい置いてあればいいのに」
(;^ω^)「どんなコンビニだお」
バスタオルを床に敷いて、その上に寝転ぶ。
硬い床に寝転ぶよりはましだが、先日まで寝ていた布団に比べると、随分と寝心地が悪かった。
ξ゚⊿゚)ξ「とりあえず夕飯にしましょっか」ゴソゴソ
( ^ω^)「おっおっ、何があるんだお?」
ξ゚⊿゚)ξ「ツナ缶」
(;^ω^)「ツナ缶」
ξ゚⊿゚)ξ「鯖缶」
(;^ω^)「鯖缶」
179
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:31:45 ID:e536vKjQ0
ξ゚⊿゚)ξ「なによなんか文句ありそうな顔して」
(;^ω^)「そ、そんな事ないお!」
ξ゚⊿゚)ξ「仕方ないじゃない……。むしろ美味しい物が食べられていいじゃないの。どうせ今だけよ」
( ^ω^)「……それもそうかお……」
他にも焼き鳥やら蟹やらがゴロゴロと出てきたが、今日は鯖を食べることにした。
この量だと、一日一食もしくは二食食べても、数日しか保たないだろう。
( ^ω^)「…………」グゥゥ
ξ゚⊿゚)ξ「…………」グゥゥ
一人分食べても満たされない腹を、店内に残っていたお菓子で誤魔化しながら、自分達はその日を終えた。
180
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:32:27 ID:e536vKjQ0
――――
『――て! ねぇ、起きて!』
( -ω-)「お……?」
( ^ω^)「どうしたんだお?」
ξ゚⊿゚)ξ「外、見てみなさいよ」
ツンにそう言われて、事務室の扉を開けた。
すでに夜は明け、日の光が店内へと射し込んでいる。
( ^ω^)「おっ……? 生存者かお……?」
ξ゚⊿゚)ξ「うん、多分。女性もいるし……」
( ^ω^)「ちょっと声かけて見るかお」
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫? もし過激な人達だったら……」
( ^ω^)「ガスガンは持っててくれお。ブーンが一人で行ってくるお」
ξ゚⊿゚)ξ「わ、わかった」
181
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:33:18 ID:e536vKjQ0
スタスタ
ウィーン
( ^ω^)「す、すみませんお」
(,,゚Д゚)「あ? ……っておい、あんた生存者か?」
(*゚ー゚)「生存者ね! だって若いもん!」
( ^ω^)「生存者ですお!」
(*゚ー゚)「この辺りにもいたなんてびっくり。ここで寝泊まりしてたの?」
( ^ω^)「そうですお。昨日だけですお」
(,,゚Д゚)「……つまり、この辺転々としてるわけか? だったら運がいいぜあんた」
( ^ω^)「おっ? どういう意味ですかお?」
(,,゚Д゚)「この辺りで避難所を開いてる人がいるんだよ。俺らもその人に声をかけられてな」
(,,゚Д゚)「聞いた話じゃ、なかなか安全そうだ。食料もある程度あるって言うから、そこに行くつもりなんだよ」
( ^ω^)「な、なるほどだお……!」
182
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:34:04 ID:e536vKjQ0
避難所、とは言っても国の運営するものではない。
だが、ソウサク展示場へはまだまだ距離があるのだ。
そこで他の生存者と合流し、もし誰か他にもソウサク展示場へ向かう人がいるのなら、一緒に行くのも悪くない。
集団での行動なら、生存率も上がる。
( ^ω^)(……いや……、集団になると行動しにくいかお……?)
( ^ω^)(そういう意味では、二人のほうが生存率が高いかもしれんお……)
( ^ω^)(……うーん……)
(,,゚Д゚)「おい、どうした?」
( ^ω^)「おっ、なんでもないですお!」
( ^ω^)(悩んでも仕方ないお、とりあえず行ってみるかお)
( ^ω^)「中に連れが一人いるんですお、ちょっと相談してきますお」
(,,゚Д゚)「おーわかった。もうそろそろ、その人が来ると思うからここで待ってるぜ」
183
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:34:45 ID:e536vKjQ0
スタスタ
ガチャ
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫みたいね。何話してたの?」
( ^ω^)「なんか、この辺りで避難所を開いてる人がいるらしいんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「避難所? こんなとこで?」
( ^ω^)「そうだお。ちょっと行ってみるかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「……うーん、そうね。もしかしたら、お母さんもいるかもしれないし」
( ^ω^)「おっおっ、じゃあ行くかお!」
スタスタ
( ^ω^)「おっ?」
事務室を出てガラス越しに見えたのは、さっき話した二人と、見覚えのある一人の顔だった。
( ・∀・)「……あれ? どっかで見た顔だな」
( ^ω^)「おっ!! 避難所で会ったモララーさんじゃないですかお!!」
184
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:35:42 ID:e536vKjQ0
( ・∀・)「ああ、あの時の奴か! ……って、連れの二人はどうしたんだ? その子は?」
( ^ω^)「……おっ……ヒッキーさんは……」
自分は、モララーさんにヒッキーさんとドクオ、そしてツンの話をした。
モララーさんは親身になって話を聞いてくれた。少しでも顔を知っている人に話せて、心が救われた気がした。
その後避難所に向かいながら、そこの詳しい話を聞いた。
どうやらモララーさんが父親と避難所を開いているらしい。
食料を大量に見つけたため、生存者がいるなら少しでも分け合えるように始めた、と彼は言っていた。
( ・∀・)「着きましたよ」
(,,゚Д゚)「思ってたよりも広そうだな」
( ・∀・)「自分もここに入った時、まさかあんなに食料があるとは思わなくて。他の生存者の方にも手伝ってもらって、余計な入り口はバリケードで塞いでありますから、安全なはずですよ」
(*゚ー゚)「よかったー、これで一安心だね、ギコくん」
185
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:36:24 ID:e536vKjQ0
(,,゚Д゚)「ああ。ほんとありがとうな、モララーさん」
( ・∀・)「いえいえ、よかったです。じゃ、入りましょうか」
スタスタ
ガチャ
ξ゚⊿゚)ξ「……暗くてよく見えないわね……」
( ・∀・)「低い位置にある窓も塞いじゃってるから、こればっかりはね。もうちょっと奥に進めば、明るくなるさ」
( ^ω^)「おっ……なんか怖いですお……」
( ・∀・)「……よいしょっと」ドサッ
( ^ω^)「何やってるんですかお?」
( ・∀・)「ああ、この入り口は塞いどかないと危険なんだよ。緊急時の避難口は別にあるから、後で教えるよ」
186
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:37:18 ID:e536vKjQ0
スタスタ
ガチャ
( ・∀・)「さ、ここだ。入ってくれ」
( ^ω^)「おっおっ」
広々としたホール。
天井から日の光が射し込み、中の様子はすぐに分かった。
――――そこに、誰もいない事も――――。
.
187
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:38:03 ID:e536vKjQ0
( ^ω^)「おっ? 他の人たちはどこですかお?」
( ・∀・)「よいしょっと」ドサッ
(,,゚Д゚)「お、おいおい。何やってんだよ」
( ・∀・)「え? そりゃ出口を塞いでるんですよ」
(*゚ー゚)「えー? ほかに出口あるの?」
( ・∀・)「無いですね」
ξ;゚⊿゚)ξ「……ちょっと、どういう意味ですか?」
( ・∀・)「まあ待ってくれよ、他の人たちはちゃんといるからさ――」
「――――ほら、大勢の人たちが」
ゾロゾロ
ΩΩΩ「ヴゥゥゥゥゥゥ………」
(;^ω^)「おっ!?!?」
陰からぞろぞろ足を揃えて現れたのは。
これまで一度も相手にしたこともないような数の、オッサン達だった。
188
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:38:48 ID:e536vKjQ0
(*;゚ー゚)「きゃぁ!!! なっ、なんで!?」
ξ;゚⊿゚)ξ「オッサンが……いっぱい……?」
(,,゚Д゚)「……どういう事だゴラァ!!」
( ・∀・)「やだなぁ慌てないでくださいよ」
( ・∀・)「彼らの食事の時間なんですから」
Ω「メシダァァァアアアアアア!!!!」
(*;゚ー゚)「き、きた!!!」
(,,゚Д゚)「下がってろ、しぃ!! 俺が、守る……!!」
( ・∀・)「おやおや、戦うんですか? この数と??」
(,,゚Д゚)「てめぇ……後でぶっ殺す……」
( ・∀・)「はは、怖いなぁ」
( ・∀・)「オッサン達は一人も殺させないよ?」
( ・∀・)「もちろん、僕もね――」シュン
(;^ω^)「――ッ!?」
消えた。
自分達を騙したモララーという男は、文字通り自分の目の前から消えたのだ。
そして次の瞬間、その男は別の場所にいた。
189
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:39:29 ID:e536vKjQ0
(;゚Д゚)「――ガハッ!!!」ドンッ
(*;゚ー゚)「ギコくんっ!?」
モララーは、その手でギコさんの首を握り、壁に押し付けていたのだ。
この動きは、見たことがある。
(;^ω^)「あんた……何者だお……!!」
( ・∀・)「なんだ、あんま驚かねーのな」
(;^ω^)「……同じような奴を、見たことがあるんだお……」
( ・∀・)「そりゃまた。似たような奴がいるとは驚きだ」グググッ
(;゚Д゚)「ウッ……グッ……」バタバタ
ξ;゚⊿゚)ξ「や、やめなさいよ!! 死んじゃうわ!!」
( ・∀・)「おーっといけない、死んじゃ困るんだよなぁ」バッ
ドサッ
(;゚Д゚)「がっ……ハァ……ハァ……」
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