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( ^ω^)オッサンズオーシャンのようです
190
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:40:10 ID:e536vKjQ0
( ・∀・)「“死体じゃオッサンにならない”から……」
(;^ω^)「……どういう……意味だお……」
( ・∀・)「見りゃわかるだろ? 僕は、オッサンの軍隊を作ってんだよ」
ξ;゚⊿゚)ξ「……オッサンの……軍隊……?」
( ・∀・)「ああ。奴らは結構知能があるからな。ほら見てみろよ、ちゃんと俺が話し終えるのを待ってるぜ?」
Ω「……チャントマツ……チャントマツ……」
( ・∀・)「おい、あっちの二人は食っちまっていいぞ」
Ω「ウガァァアアア!!」ダダダッ
(*;゚ー゚)「きゃぁぁぁぁ!!!」
(;^ω^)「や、やめろお!!!」スチャッ
( ・∀・)「……ガスガン? そんなもんでどうにかできると思ってんのか?」シュン
(;^ω^)「ぐっ!!」ドンッ
カラン
191
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:40:56 ID:e536vKjQ0
( ・∀・)「残念だったな」
(;^ω^)「……ううっ……離せお……!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーンを離しなさい!!」ブンッ
( ・∀・)「おっと」パシッ
( ・∀・)「……鉄パイプじゃ、殺せねぇぞ?」ブンッ
ξ;゚⊿゚)ξ「きゃぁ!!」ドサッ
(;^ω^)「ツン!!」
(*;゚ー゚)「いやぁぁぁあ!! やめて!! 離して!!!」
少し離れたところでは、しぃさんがオッサン達に犯されている。
そして、ギコさんは食われている。
その光景はあまりにも無残で、とても目を当てていられなかった。
192
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:41:37 ID:e536vKjQ0
( ・∀・)「……いいこと思いついたぜ」
( ・∀・)「こいつを押さえつけろ」
Ω「ハイ!!!!!」ダダダッ
(;^ω^)「なっ、何する気だお!! 離せお!!!」
( ・∀・)「お前は見物人だ。ただ食われて死んでオッサンになるのもつまんないだろ?」
( ・∀・)「だから、俺が舞台を公演してやるよ――」
「――――愛しのあの子が犯される、そういう舞台をな」
.
193
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:42:20 ID:e536vKjQ0
(;^ω^)「なっ……!!!」
(;^ω^)「それだけはやめろお!!!」
ΩΩΩ「ワカイオンナァァァァァア!!! イェーイ!!!!」ガシッ
ξ;゚⊿゚)ξ「きゃぁぁあああ!! 離してよ!!!」
(;゚ω゚)「やめろっ……やめろおおお!!!!!」
( ・∀・)「どうだ、どんな気分だ? ほらよく見ろよ!!」
(; ω )「やめてくれお……!!」
( ・∀・)「目ぇ閉じんなよ」
Ω「アケロォ!!!」グイッ
(;゚ω゚)「おっ……」
ξ;゚⊿゚)ξ「いやっ……いやぁぁあああああ!!!」
Ω「オラッ!!! イレルゾォ!!!!!」
194
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:43:25 ID:e536vKjQ0
(;゚ω゚)「……ツン……!!」
ξ ⊿ )ξ「……いやぁ……だめ……」
Ω「オラァッ!!!」パンパン
(;゚ω゚)「…………ツン…………」
vξ(゜)Q(゜)ξv「あああああッ!!!」
(*゚ω゚)「…………」
( ・∀・)「さて、もういいだろ。この男も食っちまえ」
Ω「メシダァァァアアア!!!」ガブッ
( ω )「ッ…………」
痛い。
195
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:44:31 ID:e536vKjQ0
Ω「ウメェ!!! ワカイオトコウメェェェェェ!!!!」ガブガブ
( ω )
痛い。
Ω「シンセンダァァァァァァァ!!!!」ガブガブ
( ,,ω )
心も、身体も、酷く痛い。
Ω「ゼイニク!!!! アブラ!!!!」ガブガブ
( ,,ω,”)
でも、もうこれでいい。
死んでしまいたい。
これが運命というのなら、受け入れよう――――。
.
196
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:45:12 ID:e536vKjQ0
( ・∀・)「……死んだな」
( ,,ω,")
( ,ω")
( ω )
( ω )「……ァ…………」
( ・∀・)「きっかり三秒、オッサン化おめでとう」
( ω )「……ラァ…………」
( ・∀・)「あ?」
(#゚ω゚)「……モララァァァァァァァアアアア!!!!!!」
自我。
自分は自我を保っている。
死ねないというのなら、殺してやる――――。
.
197
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:47:42 ID:e536vKjQ0
第7話、以上になります。
次回もよろしくお願いします!
198
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 03:50:20 ID:EZFsXc6U0
乙!
アへ顔Wピースで不意討ち食らったわwwwww
199
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 09:35:38 ID:NAqVCW9I0
乙
いけブーンやっちまえ!
200
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 17:18:58 ID:Cj2AvNeo0
逆にオッサンを犯したらどうなるの?
201
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 18:41:12 ID:pO3afz1I0
乙 アヘ顔から熱い展開に
202
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 18:52:07 ID:b0iDbiCQ0
アヘ顔からのブーン赤面でシリアスが台無しである
203
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:34:06 ID:zIn6aV3I0
レスありがとうございます!
>>200
その発想はなかった
どうなるんでしょう……多分犯した側が感染して死ぬor発症するんじゃないでしょうか……
第8話投下します!
204
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:34:52 ID:zIn6aV3I0
□オッサン病
・オッサン病は、男性のみが発症する伝染病である。
・オッサン病に感染した男性を“オッサン”と呼ぶ。
オッサンは基本的に身体能力と自然治癒能力が高く、知能は低いが会話はできる程度である。
・ オッサンに食べられる(噛まれる)事で感染し、その後数分で死を迎える。
オッサン病に感染し死ぬと、死後三秒で生き返り、オッサンになる。(オッ三秒ルール)
オッサンになると同時に、食べられた肉体は回復し、身体は四十代程度まで老化する。
・オッサンは、男性を餌、女性を性処理の相手として捉える。
オッサンに犯された女性はオッサン病に感染するが、発症する事なく死を迎える。
205
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:35:49 ID:zIn6aV3I0
第8話「彼女の冷たい掌に」
.
206
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:36:35 ID:zIn6aV3I0
(;・∀・)「……お前……まさか……」
(#゚ω゚)「ぶっ殺してやるお……!!!」シュン
ドンッ
(;・∀・)「ガハッ……!!」
神経が、脳の信号を伝達する。
その速度は、以前と比べて体感できるほどの差があった。
まるで、自分の身体ではないみたいに。
(#゚ω゚)「おおおおおおおおおっ!!!!」
(;・∀・)「ぐっ……驚いたぜ……まさかお前もとはな……ッ!!」グググッ
バッ
(#・∀・)「ハハハッ……殺し合おうじゃねーか!!!」
『ちょっと待ったァァァァァ!!!』バリーン
(;・∀・)「誰だ!?」
( ゚ω゚)「誰だお!?」
『……フッフッフッ……』スタッ
207
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:37:18 ID:zIn6aV3I0
('A`)「スーパーヒーローどっくん、ここに参上!!!」バァーン
( ^ω^)
( ・∀・)
(* ー )
Ω
vξ(゜)Q(゜)ξv
('A`)「……あれ?」
208
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:38:19 ID:zIn6aV3I0
( ゚ω゚)「来るのが遅すぎだお!!」
('A`)「え?」
(#・∀・)「お前……あの時の奴か……」
('A`)「状況が飲み込めない」
( ゚ω゚)「モララーに騙されてツンが死んでブーンの力が目覚めたんだお」
('A`)「わかりにくいあらすじだな」
(#・∀・)「わっけわかんねぇ……殺してやるよ!!」
( ゚ω゚)「させないお!!」
『ちょっと待ったァァァ!!』
(;・∀・)「今度は誰だよ」
『フフ……フフフフフ……』
209
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:39:11 ID:zIn6aV3I0
(´・ω・`)「このショボン様さ!!」バァーン
(;^ω^)「なっ……」
(:'A`)「まじかよ」
(;・∀・)「誰だよ」
(´・ω・`)「アァ……すごい運命だとは思わないかい……?」
(´・ω・`)「α型、β型、γ型の全てがここに集うなんてさ……!」
(;・∀・)「α……?」
(;^ω^)「どういう意味だお……」
(´・ω・`)「ふふ……説明しないとね……」
(´・ω・`)「……おじいちゃん、説明してやってよ」
(;'A`)「おじいちゃん……?」
ザッザッ
『そうじゃな……』
ザッザッ
210
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:40:25 ID:zIn6aV3I0
/ ,' 3「ひとまず、教えておこうかの」
(;^ω^)「なっ……あんたは……!!」
(;'A`)「おもちゃのマキマキの店主、荒巻さん!!!」
(;^ω^)「ブーンに言わせろお!!」
(;・∀・)「誰だよ」
/ ,' 3「……ブーンと言ったか……若いの」
(;^ω^)「…………」
/ ,' 3「相変わらずいい目をしておるな」
(;^ω^)「いいから説明しろお……」
/ ,' 3「そうじゃったな……」
/ ,' 3「この国に広まる“オッサン病”は、儂が作ったものじゃ」
(;^ω^)「なっ……」
/ ,' 3「……そしてオッサン病には、4種類存在するんじゃ」
/ ,' 3「通常型とα型とβ型とγ型。それぞれ、人によってどのタイプが発症するかはわからんのじゃ」
211
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:41:08 ID:zIn6aV3I0
/ ,' 3「外にうようよしているのが通常型。そして、ショボンがα型。そこのモララーとやらとブーンが、β型とγ型じゃろう」
( ・∀・)「……話が見えねぇな」
/ ,' 3「まあ待て。……α型からγ型までの特異型が発症するのは非常に稀でな。研究段階で存在は確認できても、それらの細かい情報までは得られんかった」
/ ,' 3「……だから、この国にばらまいたんじゃよ」
/ ,' 3「α型からγ型までの遺伝子情報を手に入れるために……!!」
(;'A`)「なっ……。なんでそんな事を……!?」
/ ,' 3「ほっほっほっ」
/ ,' 3「……α型からγ型までの、三種類の持つ遺伝子情報を組み合わせると、すごい事が出来るんじゃよ」
(;^ω^)「すごい事……?」
/ ,' 3「……“不老不死”。不老不死の人間を、作り出せるんじゃ」
(;・∀・)「不老不死……だと……?」
/ ,' 3「そうじゃ、そうじゃ」
/ ,' 3「儂らはこう呼んでおる……」
「“オッサンズオーシャン計画”と……!」
.
212
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:42:02 ID:zIn6aV3I0
( ・∀・)「……はっ、よくわかったぜ」
( ・∀・)「なあ荒巻さんよ、オッサン病になった奴は治せんのか?」
/ ,' 3「……無理じゃな。一度オッサン化した者は、治せん」
( ・∀・)「……チッ、そうかよ」
( ・∀・)「……残念だったな……親父……」
( ^ω^)「……?」
不意に、思い出した。
以前モララーと会ったあの日、彼は父親と行動していた事を。
そして彼の父親の行動が、不自然だった事を。
(;^ω^)「…………」
辻褄が合う。
あの日避難所で起きた騒動は、モララーの仕業だったという仮定を立てると、辻褄が合ってしまう。
モララーの父親は、あの時すでにオッサン化していたのだ。
213
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:42:45 ID:zIn6aV3I0
( ^ω^)「……ヒッキーさん……」
こいつが、ヒッキーさんとツンを殺したのだ。
( ・∀・)「…………」
この、男が。
( ω )「……モララー……あんた……」
/ ,' 3「……女なら、生き返らせられるかもしれんの」
( ^ω^)「!?」
/ ,' 3「ほっほっほっ、あくまで可能性の話じゃがなぁ」
( ω )「…………」
もし、本当に出来るとしたら。
( ω )「……ツン…………」
214
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:43:41 ID:zIn6aV3I0
ξ゚⊿゚)ξ『死ね、このデブ!! 酒池肉林!!!』
( ω )「…………」
ξ*゚⊿゚)ξ『べ、別にあんたの事なんてなんとも思ってないんだから!!』
( ω )「…………」
vξ(゜)Q(゜)ξv『 あっ……ブーンのが……奥まで……来てる……のぉ……!!』※ブーンの妄想です
(* ω )「…………」
可能性でもなんでもいい。
彼女が、また自分の前に現れるかもしれないんだ。
そのためなら、なんだってしてやる――。
( ω )「……荒巻……」
/ ,' 3「なんじゃ?」
( ω )「……遺伝子情報は、死体からでもとれるかお」
/ ,' 3「ほっほっ、もちろん可能じゃよ」
215
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:44:32 ID:zIn6aV3I0
( ω )「……じゃあ、決まりだお」シュン
ドンッ
(;・∀・)「ぐッ……!!」
(;'A`)「なっ……おい、こいつらの言う事を信じるのかよ!」
( ω )「…………」グググッ
(;・∀・)「あがっ……ぐあぁぁぁぁアアアッ!!!」バキバキ
(;・∀・)(くそ……なんて力だよ……ッ!!)
( ω )「……お前が……ヒッキーさんも……ツンも……」グッ
(;・∀・)「や、やめろ!! 俺とお前で協力すれば、黒幕をぶっ潰せるぞ!? 俺はその為に軍隊だって作ったんだ……!!!」
( ω )「……おっおっ、それは立派な事だお……。でも――――」
「――――お前はお遊びが過ぎたお」
.
216
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:45:15 ID:zIn6aV3I0
グッ
バキバキ
( ∀ )「……ガッ……アァァアアアアア!!!!」
(;'A`)「……力の差が……歴然じゃないか……」
(´・ω・`)「本当だね。なんでだろ?」
(;'A`)「……お前、なんか知ってんだろ?」
(´・ω・`)「さあねぇ……」
(; ∀ )「……やめ……ロ……」
( ^ω^)「……さよならだお」グッ
グシャァ
( ∀ )
ポタ……ポタ……
シュイーン
/ ,' 3「……?」
217
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:45:57 ID:zIn6aV3I0
( ^ω^)
(;'A`)「……ブーン……お前……」
(;'A`)「どうしちまったんだよ……」
( ^ω^)「お? ブーンは普通だお?」
(;'A`)「――ッ」
/ ,' 3「ほっほっほっ。さてブーン、儂らについてくるんじゃな?」
( ^ω^)「……ついていくお」
/ ,' 3「よかったよかった。さ、こっちじゃ」
('A`)「待てよ」
/ ,' 3「……なんじゃ。お前さんもついてきたいのか?」
('A`)「……ああ」
/ ,' 3「勝手にするといいわい」スタスタ
('A`)「…………」
(´・ω・`)「……ふふ、力も魅力もないくせに、僕らについてくるのかい?」
218
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:46:47 ID:zIn6aV3I0
('A`)「……勝手だろ」
(´・ω・`)「ああ、べつに構わないよ? ただ僕には、君が金魚の糞にしか見えないというだけでね」
(#'A`)「……んだと……?」ズイッ
( ^ω^)「待つお」
(#'A`)「…………」
( ^ω^)「……ドクオは、ブーンの大切な友達だお」
('A`)「…………」
(´^ω^`)「……ハハハハッ!! ただの冗談じゃあないか」
(´^ω^`)「ぜひ僕とも、“おホモだち”になってほしいねぇ……。クハハハハハハッ!!!!」スタスタ
( ^ω^)「……嫌なやつだお」
('A`)「…………ブーン……」
( ^ω^)「……ほら行くお、置いてかれちゃうお!」
('A`)「……ああ」
スタスタ
219
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:47:46 ID:zIn6aV3I0
――――
車で移動して一時間。
自分達は、また生まれ育った街まで戻ってきていた。
(´・ω・`)「君たちは、よく知ってるんだろうね」
( ^ω^)「……おもちゃのマキマキ……。ここで、研究してたのかお?」
/ ,' 3「そうじゃよ。まあ、入ってみればわかるわい」
ガチャ
店内は、自分達が知っているものと何も変わっていない。
だが、客が本来足を踏み入れることのない扉の奥には、地下へ繋がる小さな階段があった。
('A`)「暗いな……」スタスタ
そして階段を降りた先に、幾つかの部屋があった。
荒巻はそのうちの一つの扉を開けて、自分達を招き入れた。
/ ,' 3「なんてことのない、普通の研究施設じゃろ?」
220
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:48:32 ID:zIn6aV3I0
( ^ω^)「……この店の地下にこんなものがあっただけでも、驚きだお」
/ ,' 3「ほっほっほっ。まあ時間はたっぷりあるんじゃ。茶でも飲むか」
/ ,' 3「すまんが、茶を持ってきてくれんかの」
荒巻がそう言うと、部屋の奥から小さく“はい”と返事が聞こえた。
自分達以外にもこの部屋に人がいた事に気づいたのは、その時だった。
('A`)「誰かいるのか?」
/ ,' 3「ああ。うちの立派な研究員じゃよ」
/ ,' 3「“彼女”のお父さんは、それはもう優秀でな。彼はもう亡くなってしまったが、今は彼女が代わりを努めてくれている」
/ ,' 3「紹介が、必要かの?」
「…………」スタスタ
川 ゚ -゚)「――お待たせしました」コトッ
(;'A`)「――ッ!?」
(;^ω^)「おっ……!?」
(;'A`)「……なっ……なんで……クーが……」
221
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:49:14 ID:zIn6aV3I0
川 ゚ -゚)「……君は、ドクオか」
(;'A`)「…………」
川 ゚ -゚)「……ふっ、荒巻さんの言った通りさ。私の父はここの研究員で、私はその跡を引き継いだ。それだけの事だ」
('A`)「……だから……あの時……」
――あの時――
('A`)「クー、君のことが好きだ。付き合ってください」
川 ゚ -゚)「無理だ」
('A`)「なんで!?」
川 ゚ -゚)「無理なものは無理なんだ」
('A`)「俺と君じゃ合わないって思ってるの!?」
川 ゚ -゚)「そうだな、合わないだろう」
('A`)「そんなことないよ! 君が毎晩家でポテトチップスコンソメ味の大袋を食べてる事も知ってる!! だから俺の家にはポテトチップスコンソメ味の大袋をいっぱい用意してあるよ!!」
川 ゚ -゚)「そうか」
('A`)「夕方に再放送されているドラマを毎日見てたことも知ってる!! だから俺の家にはあのドラマのDVD-BOXを用意してあるよ!!」
川 ゚ -゚)「……そうか」
222
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:49:57 ID:zIn6aV3I0
('A`)「コスプレが趣味で毎日自分の写真を撮っていたことも知ってる!! だから俺の家には猫耳メイドの衣装を用意してあるよ!!」
川 ゚ -゚)「…………」
('A`)「毎日放課後にはゲームセンターに行って音ゲーをやっていた事も知ってる!! だから俺の家には筐体が用意してあるよ!!」
川*゚ -゚)「なに、筐体……!?」
('A`)(お、揺れたぞ……)
('A`)「ネットワークに繋ぐために、法人契約も結ぶつもりなんだ!!」
川*゚ -゚)「なんだと……!? ドクオ、す――」
川 ゚ -゚)(――はっ、いかんいかん。好きでもないのに好きだと言いそうになった)
川 ゚ -゚)「……コホン。君の熱意は認めよう。よっぽど私のことが好きなんだな」
('A`)「うん!!」
川 ゚ -゚)「ならば問おう。私のどこが好きなんだ?」
('∀`)「おっぱい!!!!」
川 ゚ -゚)「死ね」
223
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:50:42 ID:zIn6aV3I0
――――
('A`)「……だから……あの時……俺の告白を断ったのか……」
(;^ω^)「盗撮しすぎだお」
川 ゚ -゚)「……いや、あれは別に関係ないな」
('A`)「じゃあ何!?」
川 ゚ -゚)「君は不細工すぎる。クラス一……いや、学校一の美少女と言われている私とは釣り合わないだろう」
('A`)「ああなるほど」
('A`)「…………」
(*^ω^)「ぶひひwwwwwwwwww」
('A`)「なあ俺そんなに不細工かよ……」
( ^ω^)「おっおっ、ブーンよりひどいお」
('A`)「そっかぁ……」シュン
( ^ω^)「そんな落ち込むなおwwww」
/ ,' 3「話を戻していいかな」
( ^ω^)「おっおっ」
224
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:51:55 ID:zIn6aV3I0
/ ,' 3「後でお前さんとモララーから血液を取って、ショボンの遺伝子情報と組み合わせてみる。さほど時間はかからんじゃろうが……」
( ^ω^)「呑気にしてられるほど時間はないお」
/ ,' 3「ほっほっ、わかっておるわい」
ツンの死体が、あとどれくらいもつのか。素人にはわかるはずもない。
だが、できるだけ早いほうがいい。
/ ,' 3「どうじゃ、できそうか?」
川 ゚ -゚)「……やってみないと、なんとも言えません」
/ ,' 3「……だそうじゃよ」
( ^ω^)「……わかってるお」
クーに渡されたお茶を啜る。
温かいものを口にしたのは久しぶりだ。
( ^ω^)(……ツン…………)
ツンはもう、自分の名前を呼んでくれない。
自分の瞳を見つめてくれない。
自分の手を握ってくれない。
彼女の冷たい掌に、再び熱が戻る事はあるのだろうか。
期待してはならない、と何度自分に言い聞かせても、期待せずにはいられなかった――。
225
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:55:28 ID:zIn6aV3I0
第8話、以上になります。
次回も一週間後あたりに投下したいです…!
226
:
名も無きAAのようです
:2016/01/15(金) 17:08:32 ID:Q8zfz5/.0
意地でもシリアスにしないのな
乙
227
:
名も無きAAのようです
:2016/01/15(金) 17:35:00 ID:UtFbtsWc0
その意地は嫌いじゃない
228
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:28:28 ID:rjUT5Q8.0
レスありがとうございます!
第9話、投下します。
229
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:29:10 ID:rjUT5Q8.0
□オッサン病
・オッサン病は、男性のみが発症する伝染病である。
・オッサン病に感染した男性を“オッサン”と呼ぶ。
オッサンは基本的に身体能力と自然治癒能力が高く、知能は低いが会話はできる程度である。
・ オッサンに食べられる(噛まれる)事で感染し、その後数分で死を迎える。
オッサン病に感染し死ぬと、死後三秒で生き返り、オッサンになる。(オッ三秒ルール)
オッサンになると同時に、食べられた肉体は回復し、身体は四十代程度まで老化する。
・オッサンは、男性を餌、女性を性処理の相手として捉える。
オッサンに犯された女性はオッサン病が発症する事なく死を迎える。
・オッサン病には、通常型に加え、α型からγ型までの計四種類が存在する。
α型からγ型までの感染者は老化しないが、身体能力の向上、自然治癒能力の向上などは通常のオッサン病と変わらない。
230
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:29:51 ID:rjUT5Q8.0
第9話「口から零れた呻き声」
.
231
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:30:38 ID:rjUT5Q8.0
('A`)「……で、どうなんだ?」
川 ゚ -゚)「……どうと言われてもな。α型からγ型までの遺伝子情報が揃った今、不老不死の薬を作るのはさほど難しくないが……」
川 ゚ -゚)「君達の望むように、ツンを生き返らせるというのは……どうだろうか」
( ^ω^)「…………」
('A`)「おいおい、あの爺さんが不老不死になろうが俺達には関係ないんだよ。何のために俺の血液を取らせたってんだ」
(#^ω^)「血を抜かれたのはブーンだお」
川 ゚ -゚)「……随分と考えが甘いようだな。まあいい」
川 ゚ -゚)「結果が出るまで、お茶でも飲んでいてくれ」
('A`)「…………この茶は美味いんだよな……」
ドクオが、クーから受け取った湯呑みを持ち上げてそう言った。
確かに、クーが淹れるお茶は美味しかった。
232
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:31:20 ID:rjUT5Q8.0
( ^ω^)「……ひとつ気になるんだお」
川 ゚ -゚)「なんだ?」
( ^ω^)「オッサン病になると、四十代まで老けることはわかったお。でも、四十代を過ぎている男性がオッサンに噛まれると、どうなるんだお?」
川 ゚ -゚)「……いいとこに目をつけたな。……だが、それを説明するには、いろいろと追って話さなければならないんだ」
( ^ω^)「……平気だお」
川 ゚ -゚)「私が面倒なんだ。……まあいい、話してやろう」
」
川 ゚ -゚)「結論から言うと、オッサン病は発症せずに死ぬ」
川 ゚ -゚)「――いや……発症するが、身体が耐えきれず死に至る、と言ったほうが正しいか」
( ^ω^)「……α型はどうなんだお」
川 ゚ -゚)「……ヘイフリック限界、という言葉を知っているか?」
233
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:32:22 ID:rjUT5Q8.0
(;^ω^)「ヘイフ……? さっぱりだお……」
('A`)「あれか、細胞分裂の回数の限界ってやつ」
川 ゚ -゚)「そう、それだ。君は盗撮しか能がないと思っていたが……考えを改める必要があるな」
(*'∀`)「へへへ」
(;^ω^)「多分褒められてないお」
川 ゚ -゚)「人間の細胞には、分裂回数の限界があるんだ。それがなくなれば、死ぬ。寿命というのはそういうものだ」
川 ゚ -゚)「オッサン病は、先に老化させることによって、細胞の分裂可能回数を多く余らせるんだ。だから身体能力も高くできるし、自然治癒能力も高くできる」
川 ゚ -゚)「ただし、その分寿命は短くなるわけだが……。まあ、記憶や知能に影響が出ている以上、そんな事は関係ないな」
('A`)「じゃあつまりオッサン病って……」
川 ゚ -゚)「そう、不老不死の薬の失敗作だ」
川 ゚ -゚)「だが研究段階で、ブーンやモララーのような“特異型”が現れる可能性が見えてきた。そこで登場するのがショボンさ」
234
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:33:15 ID:rjUT5Q8.0
川 ゚ -゚)「彼は自ら望んでオッサン病に感染し、見事α型を発症させた。となると、β型やγ型の存在も確信できたわけだ」
川 ゚ -゚)「そして、“オッサンズオーシャン計画”が始動した」
クーは回していたペンを机において、そう言った。
“オッサンズオーシャン計画”。そんなものがなければツンも母も、今頃は。
( ^ω^)「……そんな経緯があったのかお……」
川 ゚ -゚)「ああ……。α型からγ型までの特異型は、細胞の分裂可能回数に限りが無いんだ。だから、ブーン達は発症しても老けなかった。老けさせる必要がなかったんだ」
(;'A`)「ちょ、ちょっと待てよ。それじゃ、ブーンは不老不死ってことか!?」
(;^ω^)「!?」
川 ゚ -゚)「……厳密には、違うな。不死というわけではない。不死だったら、モララーは死なないだろう」
('A`)「それもそうか……」
235
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:34:27 ID:rjUT5Q8.0
川 ゚ -゚)「まあ、不老なんだがな」
(;^ω^)「まじかお」
川 ゚ -゚)「一生ガキのままさ」
(;^ω^)「それはそれでありがたいお、ピーターパン症候群に悩まされずに済むお」
('A`)「それで、肝心のところが……」
川 ゚ -゚)「通常型を発症するか、特異型を発症するかは、その人の持つ遺伝子によって異なるんだ。詳しいことは省くが……まあ、そうそう見つかるもんじゃない」
川 ゚ -゚)「……そうだな、仮に四十歳の人が特異型を発症する遺伝子を持っていたとしよう。そして、オッサン病に感染する。すると――」
――若返り続けるんだ、と彼女は言った。
彼女のこれまでの説明は、自分には容易く理解出来るようなものではなかったが、若返るというのがこれまでの研究を覆すようなイレギュラーである事はわかった。
そして、彼女の表情が少しだけ暗くなっている事も。
236
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:35:10 ID:rjUT5Q8.0
(;'A`)「若返る……?」
川 ゚ -゚)「それも、結構なスピードでな。一週間もすれば、胎児になってしまう」
川 ゚ -゚)「こればっかりは、理由がわかっていないんだ。私も調べてはいるんだがな……まあ、その理由がわかる前に、不老不死の薬が完成してしまうだろう」
川 - )「…………」
川 ゚ -゚)「それだけだ」
( ^ω^)「…………?」
川 ゚ -゚)「……とまあ、長い説明パートを挟んだ甲斐はあったか?」
(;^ω^)「……なんとなく理解できたお」
川 ゚ -゚)「それならよかった。……ちょうど結果が出たようだ、私は研究に戻らないとな」
('A`)「じゃあ、俺達は部屋に戻ってるぜ」スッ
川 ゚ -゚)「ああ、そうしてくれ」
237
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:35:52 ID:rjUT5Q8.0
( ^ω^)「ありがとだお、よろしくだお」スッ
川 ゚ -゚)「……気にするな」
ガチャ
('A`)「……ふーっ、やっぱかわいいんだよなぁ、クー。惚れ直したぜ」
(;^ω^)「ブーンはここ数日でドクオの人間性を疑い始めたお」
('A`)「そいつぁ光栄だ。……さて、とりあえず寝られるうちに寝とくかな……」
( ^ω^)「ブーンもそうするかお……」
238
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:36:35 ID:rjUT5Q8.0
――――
「――い、起きろ二人共」
( -ω-)「……んん……まだ5つめのおっぱいだお……」
川 ゚ -゚)「なんの夢を見ていたんだ……。大事な話がある」
( ^ω^)「……おっ?」
川 ゚ -゚)「ついさっき、不老不死の薬が完成した。荒巻さんに渡してきたところだ」
('A`)「完成? それほんとに大丈夫なのか?」
川 ゚ -゚)「さあな、こればっかりは試してみないとわからん」
( ^ω^)「それで、大事な話ってなんだお」
川 ゚ -゚)「…………」
川 ゚ -゚)「……私は君たちに、嘘をついていた」
('A`)「……嘘?」
川 ゚ -゚)「……ああ」
239
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:37:18 ID:rjUT5Q8.0
( ^ω^)「……まさか、ツンを生き返らせることは……」
川 ゚ -゚)「…………すまない……。できないんだ」
( ^ω^)「……そう……かお……」
川 ゚ -゚)「…………君たちに、協力してもらうしかなかったんだ……」
('A`)「……おい、随分と自分勝手だな。まさかクーも不老不死をお望みだってのか?」
川 ゚ -゚)「……そうじゃない。そうじゃないんだ」
川 ゚ -゚)「私は不老不死になろうなんて思わない。普通に生きて、普通に死にたいと思っている」
('A`)「だったら何でこんなことしてんだよ!」バンッ
(;^ω^)「お、落ち着けおドクオ」
('A`)「お前はなんで黙ってんだよ!! 荒巻のじーさんはともかく、俺の大好きなクーまで俺らに嘘ついてたんだぞ!!」
( ^ω^)「……仕方ないことだお」
240
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:38:05 ID:rjUT5Q8.0
( ^ω^)「……きっと、クーにもちゃんとした理由があるんだお。だから、仕方ないお……」
川 ゚ -゚)「…………」
('A`)「……だったら、理由を説明しろよ」
川 ゚ -゚)「……そうだな。この際だ、話しておこう」
川 ゚ -゚)「……私の父は、とある研究所のメンバーだったんだ。そこで様々な研究をしている時に、不意に出来上がったのがオッサン病」
川 ゚ -゚)「父は正義感の強い人だったからな、危険だと思ったんだろう。それをすぐに隠したんだ、誰の手にも渡らないように」
川 ゚ -゚)「……しかし、見つかってしまった。研究所のリーダーだった荒巻さんに」
川 ゚ -゚)「そこからはもう、ひどい目にあった。家族まるごと研究所の奴らに誘拐されて、監禁されて……」
241
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:38:47 ID:rjUT5Q8.0
川 ゚ -゚)「家族を普通の生活に戻す条件として、こんな研究室に押しこまれ、不老不死の研究をさせられたわけだ」
( ^ω^)「…………」
川 - )「…………」
川 - )「……父は、特異型を発症する遺伝子を持っていたんだ」
(;'A`)「……おい、まさか……」
川 - )「……そのまさかさ。自分で実験し……、一週間と保たずに父は死んだよ」
「……赤ん坊の姿で」
( ^ω^)「…………」
('A`)「……っざけんじゃねぇよ……なんだよそれ……」
川 ゚ -゚)「……すまないな、こんな話をして」
川 ゚ -゚)「私が言いたいのはこんな事じゃないんだ」
( ^ω^)「……なんだお……?」
242
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:39:28 ID:rjUT5Q8.0
川 ゚ -゚)「……荒巻さんが不老不死になったら、もう君達は必要なくなってしまう。――いや、それどころか、危険視されるだろう」
川 ゚ -゚)「逃げてくれ、今のうちに。ショボンと荒巻さんがいては、勝ち目がない」
('A`)「……そんな話を……」
(#'A`)「……そんな話を聞いて逃げられるわけねぇだろうが!!」
(;^ω^)「ドクオはただの人間なんだから落ち着けお、戦うのはブーンなんだお」
('A`)「なんだよ、じゃあお前は逃げるってのか?」
( ^ω^)「…………」
川 ゚ -゚)「いいんだ、私の事は気にするな。それよりもはやく――――ッ!!」
バァーン
(;'A`)「!?」
(´・ω・`)「……余計な事を喋っちゃって……本当にもう……」
(´・ω・`)「殺したくなっちゃうじゃないか」
(;^ω^)「ショボン……!!」
243
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:40:12 ID:rjUT5Q8.0
(´・ω・`)「……っと、いけない……」
「――――もう、殺しちゃってたか」
川 - )
('A`)「……クー?」
('A`)「おい、クー……」
(´・ω・`)「無駄だよ。だって……“首が取れてる”じゃないか」
('A`)「嘘だろおい……クー……そんな……ッ!!」
(#^ω^)「……ショボン……!!」
(´・ω・`)「おいおい、怒るなよ。君たちも用済みなんだ、今なら見逃してあげるからさ」
(#゚ω゚)「ふざけんなお……!!」
(´・ω・`)「何、もしかしてクーを殺されて怒ってるの? 君なんかクーの事なんてなんにも知らないくせに」
244
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:40:54 ID:rjUT5Q8.0
(#^ω^)「……ブーンは、クーの事をよく知らないお。だから、クーのためにどうこうしようなんて、簡単には思えないお」
(#^ω^)「……でも…………」
(#゚ω゚)「…………親友を悲しませる奴は、許せないんだお……!!!」
(´・ω・`)「……ククク…………」
(´゚ω゚`)「……クハハハハハッ!!!」
(´・ω・`)「面白い……受けて立とうじゃないか……ッ!!」
ドクオが、首のない死体を抱きかかえて叫んでいる。
その光景はあまりにも痛々しく、そして切なかった。
245
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:41:37 ID:rjUT5Q8.0
( ゚ω゚)
許せない。
これだけの事をしておいて、真顔でいられるこの男が許せなかった。
殺してやる。
殺してやル。
コイツハ絶対ニ殺シテヤル――。
.
246
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:42:19 ID:rjUT5Q8.0
( ゚ω゚)シュン
ドッ
(´・ω・`)「おっと……そう簡単には……いかないよ……ッ!!」グググッ
バッ
( ゚ω゚)「殺してやるお!!!」
(´・ω・`)「威勢だけはいいみたいだねェ……ッ!!!」ヒュッ
( ゚ω゚)パシッ
ググッ
( ゚ω゚)「……こんなもんかお……大したことないお……」
(´・ω・`)「はっ、まだまださ」グッ
(;゚ω゚)「ッ!?」
――なんて力だ。
ショボンの手を抑える自分の両手も、さっきまでの自信も、まるごと覆されてしまう。
247
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:43:13 ID:rjUT5Q8.0
(´・ω・`)「君はまだ知らないもんねぇ、オッサン病の秘密をッ!!」ドンッ
(;゚ω゚)「おっ!!!」ドガッ
ガラガラ
勢い良く押された自分の身体は、机や椅子ごと壁まで吹き飛ばされた。
(;゚ω゚)「ガハッ……」
背中から腹に突き抜けた何か。
よく見るとそれは、自分の血で染まった机の足だった。
痛い。
痛みは感じる。
(;゚ω゚)「ぐっ………おおおっ……」グイッ
ズブッ
痛い痛い痛い――。
あまりの痛さに、意識が飛んでしまいそうになる。
この身体の事はあまり知らない。この状態でよく息ができるものだと感心してしまう。
248
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:44:05 ID:rjUT5Q8.0
(;゚ω゚)「がっ……ハァ…………ハァ……」ヨロッ
グチャグチャ
傷口ははあっという間に治癒していく。
痛みも気づいた時にはなくなっていた。
( ゚ω゚)「……秘密って、なんの事だお……!」
(´・ω・`)「……ははっ、教えて欲しいかい? でもこれを知っちゃうと、自信をなくしちゃうと思うんだよなぁ」
( ゚ω゚)「いいから言えお」
(´・ω・`)「わかったよ、しょうがない。……いいかい、オッサン病は……」
(´・ω・`)「発症した時の年齢が若ければ若いほど、強力な身体能力と自然治癒能力が得られるんだ」
(´・ω・`)「そして僕が発症したのは一年前さ」
(;゚ω゚)「……ッ!?」
(´・ω・`)「……つまりね……」
「君じゃ、僕に勝てないってことだよ」
.
249
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:44:49 ID:rjUT5Q8.0
(;゚ω゚)「…………」
冗談じゃない。
どういう理屈かは知らないがそれが本当なら、赤しかないルーレットで、黒にしかベットできないようなものだ。
勝ち目が、ない。
(´・ω・`)「怯えてるのかい? はは、いいよそれでも。無駄に疲れなくて済む」
(´・ω・`)「終わりだ」シュン
(;゚ω゚)「ッ!!」バシッ
(´・ω・`)「無駄だって言ってるだろうぬるぽ!!!」グッ
ドスッ
(;゚ω゚)「……ガッ…………」
先程とは逆に、胸から背中へと何かが突き抜ける。
――それは、ショボンの左手だった。
250
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:45:50 ID:rjUT5Q8.0
(´・ω・`)「力の差は、歴然だろう?」
(;゚ω゚)「…………ゴフッ……」ポタポタ
声が出ない。
ショボンのあまりの強さに圧倒されているからか?
――いや、違う。
肺を潰されて、呼吸すらできないのだ。
(;゚ω゚)「……お…………」
やはり、勝てないのだ。
この圧倒的すぎる力を前にしては、勝利などを望むことすら、馬鹿らしい事だったのだ。
自分の口から零れた呻き声も、やがて自分の耳に届かなくなる。
それまではっきりとしていたはずの意識が、薄れていく。
.
251
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:46:32 ID:rjUT5Q8.0
(´・ω・`)「……このまま頭も潰せば、君でも死ねるはずだ」
息ができない。
(´・ω・`)「不老不死の薬が完成したのは、君のおかげだよ。感謝してる」
苦しい。
(´・ω・`)「じゃあね」グッ
終わる。
グシャァ
何もできずに、終わってしまった――――。
.
252
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:47:35 ID:rjUT5Q8.0
第9話、以上になります。
次回、最終話です!
最後までよろしくお願いします…!
253
:
名も無きAAのようです
:2016/01/22(金) 03:55:14 ID:ZAvcUxuA0
乙
たとえシリアスに盛り上がってきても無理やりギャグをねじ込む根性が好き
254
:
名も無きAAのようです
:2016/01/22(金) 17:35:22 ID:exbKPydo0
ショボン様つっよ
乙です
255
:
名も無きAAのようです
:2016/01/22(金) 21:13:50 ID:OLNuNM360
乙
次で最終話か
どうなるかワクワクだ
256
:
名も無きAAのようです
:2016/01/22(金) 21:28:06 ID:MYfMTK/Y0
乙
ぬるぽじゃないガッ
257
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:46:39 ID:muWxWyDs0
レスありがとうございます!!
最終話、投下します!
258
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:47:21 ID:muWxWyDs0
□オッサン病
・オッサン病は、男性のみが発症する伝染病である。
・オッサン病に感染した男性を“オッサン”と呼ぶ。
オッサンは基本的に身体能力と自然治癒能力が高く、知能は低いが会話はできる程度である。
・ オッサンに食べられる(噛まれる)事で感染し、その後数分で死を迎える。
オッサン病に感染し死ぬと、死後三秒で生き返り、オッサンになる。(オッ三秒ルール)
オッサンになると同時に、食べられた肉体は回復し、身体は四十代程度まで老化する。
・オッサンは、男性を餌、女性を性処理の相手として捉える。
オッサンに犯された女性はオッサン病が発症する事なく死を迎える。
・オッサン病には、通常型に加え、α型からγ型までの特異型を含め、計四種類が存在する。
特異型の感染者は老化しないが、身体能力の向上、自然治癒能力の向上などは通常のオッサン病と変わらない。
・発症した年齢が若ければ若いほど、身体能力や自然治癒能力は高くなる。
259
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:49:23 ID:muWxWyDs0
最終話「全てが終わるその時に」
.
260
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:50:08 ID:muWxWyDs0
(´・ω・`)「あーあ、暇つぶしにもならなかったな」
ポタポタ
(´・ω・`)「服も手も汚れちゃったよ……。シャワーでも浴びようかな……」
ズリ
(´・ω・`)「ん?」
(´・ω・`)「…………」
(´・ω・`)「気のせいか……」
('A`)「気のせいじゃねぇよ」バスッ
グチャッ
(;´・ω・`)「ぐっ……ッ!! ガスガンか……!!」
(;´・ω・`)「びっくりしたよ……君って影が薄いから忘れてた」
('A`)「俺の特権だ」
(´・ω・`)「だけど、そんなもんじゃ僕には勝てないよ? ほら、もう傷も治り始めてる」グチャグチャ
261
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:50:50 ID:muWxWyDs0
(;'A`)「チッ……くそっ!!」バスッバスッ
グチャッ
(;´・ω・`)「いっ、痛いなァ……」
(´・ω・`)「あんまり僕を怒らせないでくれよ」
('A`)「うるせぇ!! もうどうだっていいんだ!!」バスッ
(´・ω・`)ヒョイッ
(´・ω・`)「避ける事くらい、簡単なんだから」
(;'A`)「ッ…………」
(´・ω・`)「じゃあそろそろ……」スッ
262
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:51:49 ID:muWxWyDs0
/フフ ム`ヽ
/ ノ) ∧∧ ) ヽ
゙/ | (´・ω・`)ノ⌒(ゝ._,ノ
/ ノ⌒7⌒ヽーく \ /
丶_ ノ 。 ノ、 。|/
`ヽ `ー-'_人`ーノ
丶  ̄ _人'彡ノ
ノ r'十ヽ/
/`ヽ _/ 十∨
「お仕置きといこうか」
263
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:52:32 ID:muWxWyDs0
(;'A`)「ヒィッ……!」
(´・ω・`)「生かしておいても面倒そうだしね」ザッザッ
(;'A`)「クソッタレ!!」バスッ
(´・ω・`)ヒョイッ
三ω・`)シュン
ドガッ
(;'A`)「ウグッ……!!」
(´・ω・`)「さよなら」
グシャァ
.
264
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:53:17 ID:muWxWyDs0
('∀`)
(´・ω・`)
(´・ω・`)「…………えっ……?」
('A`)「ケッ、ざまぁみろホモ野郎が」
(;´・ω・`)「……あ、足が……」
(;´・ω・`)「足がァァァァあああああ!!!」
(;´・ω・`)「なんでだ……なんで、なんでなんでなんでぇぇ!!!!」
「なんで“君”が生きてるんだよぉぉぉ!!!」
( ^ω^)「おっおっおっ」
.
265
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:53:59 ID:muWxWyDs0
両足の膝から下をなくしたショボンが、床に転げて叫んでいる。
傷口から溢れ出す血によって、床が真っ赤に染まっていく。
(;´・ω・`)「返せ、返せ返せ返せ!!! 僕の足を返せェェェェ!!!!」
( ^ω^)⊃ii「これかお?」
(;´・ω・`)「それだよ!!! 早く、早くしないと繋がらなく――」
( ^ω^)「おっおっおっ」
( ^ω^)⊃ミii
[ゴミ箱]
「――こんなもんポイだお」
.
266
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:54:41 ID:muWxWyDs0
(;´・ω・`)「ぶち殺すぞ!!!」
( ^ω^)⊃o カチッカチッ
[ゴミ箱]
(;´・ω・`)「お、おい何してる!!」
( ^ω^)⊃d シュボッ
[ゴミ箱]
炎
炎炎炎 ゴォォォ
[ゴミ箱]
(;´・ω・`)「う、うわァァァァァァぁぁあああ!!! 僕の足が!!!! 燃えてる!!!!」
267
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:55:57 ID:muWxWyDs0
( ^ω^)「いい気味だお」
(;´・ω・`)「くそっ、傷口も塞がってる……!! くっそぉぉぉぉぉ!!!」
( ^ω^)「じゃあ、死ねお」ドガッ
(;´・ω・`)「アガッ……!!」
( ^ω^)ドガッドガッ
(;´・ω・`)「グッ……ぶぅ…………」
( ^ω^)ググッ
(;´・ω・`)「や……やめ……ッ」
グシャァ
ポタポタ
(´,ω.;,
( ^ω^)「…………」
握りつぶした頭部。
もはや元がどんな形だったのかもわからないほど、変形してしまっている。
自分は頭を潰されても死ななかったが、ショボンがモララーと同じなら、これで死んだだろう。
268
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:56:40 ID:muWxWyDs0
('A`)「……ブーン……」
( ^ω^)「おっおっ」
シュイーン
( ^ω^)「おっ?」
(;'A`)「お、おい、背中がなんか光ってるぞ」
ザッザッ
「……やはりかのぉ……」
/ ,' 3「……まだ、オッサン病には謎が多いというわけか……」
(;'A`)「じ、ジジィ!!」
( ^ω^)「……どういう事だお」
/ ,' 3「ほっほっほ。今の光は、ショボンを殺した事によって得られたものじゃ」
('A`)「……ショボンを……?」
269
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:57:32 ID:muWxWyDs0
/ ,' 3「儂以外はどうも気づいていないようじゃったが、モララーを殺した時にも光っておったんじゃよ」
( ^ω^)「…………」
/ ,' 3「……恐らく、α型とβ型の力を吸収したんじゃろう」
( ^ω^)「……おっ……?」
('A`)「待てよ、それじゃあブーンが死ななかったのって……」
/ ,' 3「ほっほっ、以前より死ににくくなっておったと言う訳じゃろうな」
('A`)「じゃあまさか……今のブーンは……」
('A`)「不老不死ってことか……?」
/ ,' 3「……恐らくはのぉ」
( ^ω^)「まじかお……」
/ ,' 3「というわけでラスボス戦開始するか?」
(*^ω^)「おっおっ」
(#゚ω゚)「あんたのせいで……!! カーチャンもツンもクーもヒッキーさんも……!!! 許さないお!!!!」
('A`)「切り替え早いな、可変抵抗器くらいの緩やかさをもとうよ」
270
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:58:19 ID:muWxWyDs0
(#゚ω゚)「死ねお……!!!」シュン
/ ,' 3「うっ」ドンッ
ガシャーン
(#゚ω゚)「おおおおおおおっ!!!」ドガドガッ
/ ,' 3「へぐっ……ウブッ……!!」グシャァ
/ ,' 3「つ、強い」
('A`)「あんた弱すぎだろ」
/ ,' 3「不老不死なだけで力とかないからのぉ」
/ ,' 3「勝ち目はない」
('A`)「意味ないじゃん」
/ ,' 3「じゃが……」
/ ,' 3「負ける事もないという事じゃ」
271
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:59:01 ID:muWxWyDs0
(#゚ω゚)「おっ!!! おっ!!!」ドガッドガッ
/ ,;;3「ほっほっ…………効くわ……」
('A`)「めっちゃ効いてる」
/ ,' 3「じゃが、すぐに回復できる」グチャグチャ
/ ,' 3「どうした? 小僧」
( ゚ω゚)「…………」
/ ,' 3「こうなった儂は殺せんよ。何度殴っても、回復するだけじゃ」
(#゚ω゚)「……じゃあ……回復が追いつかなくなるまで殴り続けるだけだお!!!!」ドゴッ
/ ,;;3「痛い」
(#゚ω゚)ドゴッドガドガッ
/ ,;;
(#゚ω゚)ググッ
/ ,;; ブヂィ
('A`)「あ、手が取れた」
272
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:59:52 ID:muWxWyDs0
ブヂィ
('A`)「足も取れた」
/ ,;;3「……無駄じゃよ。数十秒で生えてきおるわい」
(#゚ω゚)「……じゃあ――――」
「――――この身体ごと机の引き出しにでも押し込むかお」
/ ,' 3「えっ」
ガララ
(#゚ω゚)グイッ
ギュッギュッ
/ ,' 3「ちょっ、やめて」
グシャ
/ ,' 3「狭っ」
バタン
『あ、開けてくれぃ!! 出せ!!』
273
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:00:37 ID:muWxWyDs0
( ゚ω゚)「おっおっ」
『出すんじゃ!!! 早く!!』
('A`)「賢いなブーン」
『これじゃ生えてこんじゃろ!!』
('∀`)「手も足も出ねーってか、はは」
( ゚ω゚)「地面にでも埋めてやるかお」
('∀`)「いやいや、この建物ごと埋めちまおうぜ」
( ゚ω゚)「それいいお、採用するお」
『馬鹿、やめるんじゃ!!』
( ゚ω゚)「ドクオ、外へ行っててくれお」
('A`)「おう、わかった。……クーの死体だけ……連れてくわ……」
( ゚ω゚)「そうしてくれお」
('A`)「気をつけろよ」ザッザッ
バタン
274
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:01:25 ID:muWxWyDs0
――――
('A`)「……ふう……この辺でいいか……」
首と胴体の離れたクーの死体をゆっくりと地面に置き、おもちゃのマキマキを眺める。
これで、終わるんだ。
('A`)「……ごめんな……」
('A`)「ごめんな、クー……」
何度謝っても、返事が返ってくることは無い。
たとえ叶うことのない一方的な好意だったとしても、俺は彼女の事が好きだった。
('A`)「もう終わるからな……。ブーンが、終わらせてくれるからな……」
やがて地鳴りのような轟音が響き、小さな建物がゆっくりと崩れていく。
それが収まった頃に、俺はその建物へと戻った。
ブーンのいる場所へ。
275
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:02:06 ID:muWxWyDs0
('A`)「ブーン!!! どこだー!!」
もう、姿を現してもいい頃だ。
('A`)「おーい!! ブーン!!!」
だが、彼は一向に現れない。
――まさか、ブーンも建物の下敷きに?
そんな事を考えた頃に、彼は現れた。
いつもと変わらない表情で。
276
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:02:53 ID:muWxWyDs0
――――
( ^ω^)ザッザッ
('A`)「よかった……死んだのかと思ったぜ……」
死んだ?
――いやいや、自分としてはそのほうが良かった。
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「ガスガン、返してくれお」
('A`)「あ、ああ……」スッ
( ^ω^)「…………」カチャ
空を見上げる。
しかし眩しい太陽が自分の顔を照らすだけで、何も得られるものはない。
空の下に、何があるのか。
海。
大地。
それを踏みしめる人。
オッサン。
どれも、それら見下ろす空にとっては等しく価値のない物だ。
277
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:03:39 ID:muWxWyDs0
( ^ω^)「……ブーンはもう……」
しかし、自分にとってはどうなのだろうか。
等しく価値がない? 冗談じゃない。
人を人として括ること自体、馬鹿馬鹿しい。
ならオッサンは?
彼らは、オッサンとして括るべきなのか。
それこそ、難題だ。
( ^ω^)「…………」
……無駄な事だ。
こんなこと考えても、無意味じゃないか。
自分に何も利益をもたらさない。
決して自分の心が救われるようなことは無い。
( ^ω^)「…………」チャキ
――もう、終わりにしよう。
グチャッ
.
278
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:04:31 ID:muWxWyDs0
(;'A`)「ッ!?」
( ,.;: ω, .)
( ,. ω, )グチャグチャ
( ω, )グチャグチャグチャ
( ω )「…………」
肉体は、再生する。
脳を潰しても、心臓を潰しても、すぐに再生する。
( ω )「……どうしてだお……」
( ω )「……どうして死なせてくれないんだお……!!」
('A`)「…………ブーン……」
ツン。
君に会いたい。
死ねば、君に会えるというのに。
この身体は、自分を死なせてはくれない。
279
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:05:16 ID:muWxWyDs0
( ω )「…………う……ぁ…………」
( ゚ω゚)「うあああぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ――」ダッ
('A`)「――待てよっ!!」ガシッ
( ω )「離せお……すぐ振りほどけるんだお……」
('A`)「ああ、そうするといいさ」
('A`)「だがよ……何か忘れてねぇか……」
( ω )「…………」
('A`)「…………別れの言葉くらい、言ってけよ」
( ω )「…………」
( ω )「……さよな――」
('A`)「――違うだろ!」
( ω )「ッ……」
.
280
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:05:58 ID:muWxWyDs0
('A`)「……また会おうな」
( ω )「……おっ……」
( ;ω;)「また会うお……」
('A`)「ああ、その面忘れねーからな」
( ω )ダッ
ダッダッダッ
――自分はどこへ、行けばいいのだろう。
――ただひたすらに、
――ただひたすらに、走り続けた――――。
.
281
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:06:57 ID:muWxWyDs0
――――
('A`)「身分証を」
('A`)「……はい、ありがとうございます」
('A`)「では腕を出してください」
('A`)「…………」ピピッ
('A`)「……、入っていいですよ」
('A`)「……ふぅ…………」
ブーンがいなくなってから、三年の月日が流れた。
俺は隔離区域のゲートで、門番を担当している。
隔離区域に暮らしていても、ろくな仕事がないのだ。
飯にありつくには、政府のボランティアに参加した方がいいとわかっていた。
_
( ゚∀゚)「交代だ、ドクオ。お疲れさん」
('A`)「あ、どもっす……」
_
( ゚∀゚)「今日の飯はピザだぞ」
('A`)「ピザ!? なんでまた」
_
( ゚∀゚)「避難民の中にピザ作ってた奴がいたらしくてな。まあ食材もある程度確保できてきたからだろう」
282
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:07:39 ID:muWxWyDs0
('A`)「まじっすかぁ……! 食ってきます!」
_
( ゚∀゚)「ああ、そんじゃーな」
('A`)「……ピザかぁ……」スタスタ
ピザなんて食べるのは何年ぶりだろうか。
おそらく肉は入っていない。だが、それでもピザはピザだ。
楽しみになってくる。
('A`)「…………」
ブーンも、ピザが好きだった。
あいつは今、どこでどうしているのだろうか。
('A`)「……生きてんのかも、わかんねぇな……」
いや、あいつのあの身体じゃ死ぬことはないだろう。
生きているのなら、何故会いに来てくれないのだ。
そろそろ顔を出してもいい頃だ。
('A`)「……そういう感じじゃなかったのかねー……」
('A`)「……まあいいけどよ」
どうやったって、こっちからあいつを探すことはできないのだ。
もしも俺の身体があいつと同じように、再生能力や身体能力が桁違いだったら別の話だが。
283
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:08:28 ID:muWxWyDs0
('A`)「……いつまで続くんかな……こんな生活……」
隔離区域が出来てから、もう二年になる。
それまでの一年間、俺は様々なところを転々とした。
しかし、どこもかしこもオッサンだらけで、落ち着いて過ごせる場所など皆無だった。
隔離区域が出来、国民が安心して過ごせるようになった頃、政府はようやっと重い腰を上げて軍隊を動かした。
それからオッサンの数は、次第に減っているらしい。
軍隊のおかげだろうか。
――いや、俺はどこかでこう思っている。
きっとブーンが、オッサン達を殺しているのだと。
('A`)「……ブーン……。いつかまた、一緒にピザ食おうぜ」
いつか。
いつかきっと。
全てが終わるその時に――――。
284
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:09:10 ID:muWxWyDs0
『おおおおおおおおおッ!!! 全員ぶっ殺してやるお!!!!』
.
285
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:10:05 ID:muWxWyDs0
―――――――――――――――――――――
( ^ω^)オッサンズオーシャンのようです
―終―
―――――――――――――――――――――
286
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:12:30 ID:muWxWyDs0
( ^ω^)オッサンズオーシャンのようです、以上になります。
思っていたよりも短くなっちゃいました。
本当はもっとサバイバルさせたり、普通の人間同士の戦いなんかも書きたかった……。
ドクオとジョルジュが荒れ果てた街に出ていろいろする続編が書けそうですが、多分書きません。
次に連載ものを書くときは、登場するヒロイン全員を殺さないようにしたいです。
読んでいただきありがとうございました!
287
:
名も無きAAのようです
:2016/01/29(金) 09:56:04 ID:N8vNBfX60
乙!
288
:
名も無きAAのようです
:2016/01/29(金) 11:04:09 ID:M3O/1LpQ0
乙でした!
長過ぎず面白かった
もうちょい最後の方濃くても良かったかもだけど
そういや女みんな死んでたな...
ブーンがいつかドクオと会えればいいなぁ
289
:
名も無きAAのようです
:2016/01/29(金) 11:58:36 ID:BsuxC/Zk0
乙!!
切り替え早いなで笑った
面白かったぜ!
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