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ξ゚⊿゚)ξツンちゃん夜を往くようです

538名も無きAAのようです:2016/04/17(日) 07:13:39 ID:voff0Dl60


(,,゚Д゚)「元気そうだな」

(*゚ー゚)「……あれ、シスコン訂正しないの?」

(,,゚Д゚)「もう手遅れなくらい広まってるから訂正しない。諦めた」

(*゚ー゚)「噂って怖いね!」

(,,゚Д゚)「お前が広めたんだけどな」

(*´ー`)「でへへ……。愛ゆえに、ってヤツですなあ」

(,,゚Д゚)「そうだな。ありがとうよ」

 しぃの枕元に立ち、ギコは彼女の手を取った。
 シスコンかな? 看護婦は思った。

(,,゚Д゚)「……今日も元気か、しぃ」


 薄く、透き通るような綺麗な手。
 だが、それは決して彼女を褒める言葉には成りえなかった。

(*゚ー゚)「ん? 元気元気、顔色もバッチリでしょ!」

 しぃが外出や激しい運動を禁止されて十年余り。
 かけっこで転んで出来た傷も、勉強を頑張るあまり出来てしまったペンダコも、友達と喧嘩をした思い出も。
 彼女が一人の人間として生きてきた過去は、この十年の療養生活に真っ白に塗り替えられてしまった。

 綺麗な手だが、この手が彼女の望む平穏な日常を掴む事は二度とない。
 死を約束された命、空白に塗り替えられた体。
 急がなければ彼女はいずれ本当に全てを失ってしまう。
 ギコは彼女の手を見るたび、己の無力さと確固たる決意を思い出す――

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