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ξ゚⊿゚)ξツンちゃん夜を往くようです
241
:
名も無きAAのようです
:2015/11/13(金) 11:34:30 ID:Lf3c2Q7sO
乙
せっかくツンちゃんがお馬鹿じゃなくなったのにAにしたらまたギャグになっちゃうな
Aでお願いします
242
:
名も無きAAのようです
:2015/11/13(金) 11:51:43 ID:R20GNmKc0
どっちにしろ気絶しそう
B
243
:
名も無きAAのようです
:2015/11/13(金) 17:07:22 ID:e/MOZ.Og0
BだBだ
244
:
名も無きAAのようです
:2015/11/13(金) 18:08:56 ID:WOhb2wNk0
乙
同数狙いのAで
245
:
名も無きAAのようです
:2015/11/13(金) 18:26:37 ID:yCDti2mA0
A
246
:
名も無きAAのようです
:2015/11/13(金) 19:04:38 ID:aR1E4PeA0
A
247
:
名も無きAAのようです
:2015/11/13(金) 19:44:58 ID:9PRSbrk.0
A
248
:
名も無きAAのようです
:2015/11/13(金) 20:03:09 ID:Q88p5W2oO
B
249
:
名も無きAAのようです
:2015/11/13(金) 20:12:24 ID:Ef7Q81KMO
おバカなツンちゃんはもう見れないんです?
Aでオナシャス!
250
:
名も無きAAのようです
:2015/11/13(金) 21:29:59 ID:XyYdEKCs0
抱け!!抱け!!A!!
251
:
名も無きAAのようです
:2015/11/13(金) 21:36:42 ID:fZ6V74rk0
>>250
ノスタル爺乙
252
:
名も無きAAのようです
:2015/11/13(金) 23:06:04 ID:4MlRHRog0
B
253
:
名も無きAAのようです
:2015/11/14(土) 01:55:59 ID:B7YWQR0Y0
A 11票
B 8票
成し遂げたぜ。
254
:
名も無きAAのようです
:2015/11/16(月) 13:05:25 ID:Bkhm/dLg0
追いついた
楽しみにしてます
255
:
名も無きAAのようです
:2015/11/16(月) 15:04:06 ID:JUeJLKp20
ツッコミ役ツンちゃんええぞ~
256
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 02:31:11 ID:DgMvPhKk0
――私は決心した。
この女を抱き、その上でシリアス展開に持って行く。
ぶっちゃけ私は非処女でレズなので特に問題ないだろう。
エロゲでもよくある感じの流れだろうから、それで作品の体裁は――
ξ;゚⊿゚)ξ(くそぉ! 私の一人称が捏造されていく!)
ξ;゚⊿゚)ξ(抱いてたまるか! 私は処女でノーマルなのよ!!)
ξ; ⊿ )ξ(チクショーなんとかしてくれ魔王パワー!!)ピカー
その時、不思議なことが起こった。
目の前の景色が暗転し、次の瞬間、私の視界は閃光に包まれた。
そして低く唸るような声が一言、私に向かって命令する。
,、,,..._
ノ ・ ヽ 『――抗うな』
/ ::::: i
/ ::::: ゙、
限りなく広がる純白の世界。
そこはサブレ時空――ツンちゃんを司る神の領域だった。
.
257
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 02:31:52 ID:DgMvPhKk0
普段の教室から一転、意味不明な場所に来てしまった。
しかしこれも魔王パワーが成せる業であり、特に不思議ではない自然な流れだった。
ξ;゚⊿゚)ξ(……よし、地の文の支配権を取り戻した!)
ξ;゚⊿゚)ξ(明らかに不自然な流れでも、地の文さえ味方にできれば何とでもなる!)
,、,,..._
ノ ・ ヽ 『我はサブレ――鳩サブレ。
/ ::::: i 魔王の子よ、よもやこの神域にまで手を出すとは――』
/ ::::: ゙、
ξ;゚⊿゚)ξ「魔王パワーが絶対無敵の世界観で、神様がなんだってのよ!」
,、,,..._
ノ ・ ヽ 『その傲慢、まさに魔王の気質と見たり。
/ ::::: i なれば我が眼前に立ちはだかるも必然か……』
/ ::::: ゙、
鳩サブレはゆっくりと翼を広げ、鳩サブレの破片を撒き散らしながら飛翔した。
.
258
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 02:32:52 ID:DgMvPhKk0
,、,,..._
ノ ・ ヽ 『剣を持て。ここで決着をつけようぞ、魔王の子よ』
/ ::::: i
/ ::::: ゙、
ξ;゚⊿゚)ξ「……え? 戦うの?」
,、,,..._
ノ ・ ヽ 『無論だ。まさか、我が鳩サブレだから戦えぬとでも?』
/ ::::: i
/ ::::: ゙、
ξ;゚⊿゚)ξ「いや、ていうかそもそも鳩サブレじゃなくて――じゃない、それ」
瞬間、私は自分の口に手を当てた。
今確かにハッキリと――と言ったはずだ。
奴の真名である――を、確かに言った。
,、,,..._
ノ ・ ヽ 『フハハハトサブレ』
/ ::::: i
/ ::::: ゙、
それは奴の笑い声だった。
.
259
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 02:34:32 ID:DgMvPhKk0
,、,,..._
ノ ・ ヽ 『魔王の血であろうと台詞部分への介入は不可能だ。
/ ::::: i その名は既に破却した。故に我が鳩サブレである事は揺らがぬ――』
/ ::::: ゙、
,、,,..._
ノ ・ ヽ 『さあゆくぞ魔王の子よ!
/ ::::: i その血肉、我が手中に収めてくれよう!』
/ ::::: ゙、
大きく羽ばたき、鳩サブレが咆哮する。
共鳴したサブレ空間が小刻みに震動し、ラスボス戦めいたBGMが流れ始める。
https://www.youtube.com/watch?v=8VDKVSXMas0
ξ;゚⊿゚)ξ(え、マジで戦うの!? これと!?)
,、,,..._ ビャクレンジン
ノ ・ ヽ 『――【冥火 白煉塵】』
/ ::::: i
/ ::::: ゙、
言葉の後、鳩サブレの周囲に無数の魔方陣が展開された。
魔方陣が灼熱を帯び、ツンちゃんに向けて巨大な火炎弾を連射し始める。
ξ;゚⊿゚)ξ(――ギャグシリアスか!!)
納得した私は魔王パワーを全開にして大きく後ろに飛び退いた。
しかし火炎弾は私を追って次々と発射された。その度に私は身体を翻し、奴の追撃から身を守る。
.
260
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 02:35:30 ID:DgMvPhKk0
,、,,..._
ノ ・ ヽ 『さすがは魔王の血筋という訳か。
/ ::::: i まともな戦闘描写もなかったのに、よく避ける――!』
/ ::::: ゙、
ξ;゚⊿゚)ξ(アイツの言う通り、私にはまともな戦闘描写がない!
でも、私になくとも他のみんなにはある!)
思い出すのは全カットされたあの女の姿。
黒髪をなびかせた白い鎧の、素直四天王最速の剣士――!
『――私の動きに、ついて来れるか』
脳裏に響く声と、目の前に浮かび上がる素直クールの後ろ姿。
それは幻影だったが、私は彼女の幻影を必死で追いかけた。
他の事は何も考えなかった。
勝つ為には今まで見てきた他者の力を模倣するしかない。
正規ルートに入らず魔王化を覚えられなかった私に出来るのは、ただそれだけだ。
,、,,..._
ノ ・ ヽ 『成程。地の文の記録を再生するか、小賢しい』
/ ::::: i
/ ::::: ゙、
鳩サブレの嘲笑など聞き流した。
火炎弾から逃げる為の道は彼女が示してくれる。
あとは、その背中に私が追いつくだけなのだから――――
.
261
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 02:38:51 ID:DgMvPhKk0
,、,,..._ スカーレット・サザンクロス
ノ ・ ヽ 『――【冥火 卍紅耀】』
/ ::::: i
/ ::::: ゙、
展開された魔方陣はそのままに、更に攻撃用の魔方陣が空中に出現する。
火炎弾に続いて始まったのは十字を描いた炎の弾幕。
幾重にもなったそれは火炎で編んだ網のように、私に向かってゆっくり前進してくる。
ξ;゚⊿゚)ξ(――――)
ここは無限のサブレ空間。逃げ場などいくらでもある。
足場の概念があるだけで、前後にも上空にも無限に距離をとれる。
逃げるだけならひたすら後ろに下がればいい。
だが、しかし。
川 - )
ついて来れるかと言った彼女の背中は、炎の弾幕に立ち向かっていく。
ξ;゚⊿゚)ξ(――――当然、追いかける!!)
私は固唾を飲み下して火炎弾に立ち向かった。
しかしその途端、視界を覆いつくすほど巨大な火炎弾が私の目の前に飛来する。
突然現れた火炎弾に私は思わず足を止め、一瞬前の決意を忘却してしまった。
,、,,..._
ノ ・ ヽ 『終わりだ、小娘!』
/ ::::: i
/ ::::: ゙、
.
262
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 02:39:58 ID:DgMvPhKk0
ξ;゚⊿゚)ξ(――――)
避けられない、と思考停止した私の目の前には素直クールの背中がある。
瞬間、素直クールは剣をおさめて身構えた。
逃げるのではなく、この火炎を切り裂く為に。
ξ;゚⊿゚)ξ(なにそれ、見たことない……)
それはドクオ戦では決して見せなかった彼女の全力。
風を斬り、風を纏い、風と共に吹き抜ける必殺無双の抜剣術――
川 - )『――ついて来れるか』
構えたまま僅かに振り返った彼女は同じ事を呟く。
迫り来る隕石のような火炎弾を前に、私に出来ることは変わらず一つだけ。
ξ; ⊿ )ξ(――当然、追いかけるッッ!!)
その決意と同時、頭の中に知らない言葉が浮かび上がった。
私の口は、勝手にその言葉を囁いた。
.
263
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 02:41:10 ID:DgMvPhKk0
ξ ⊿ )ξ「――私の剣は此処に在る」
その時、固いスイッチがパチン! と切り替わるような感覚を帯びて、私の思考は一掃された。
身体は私ではない別の何かに突き動かされ、素直クールと同じ構えを取る。
一瞬前まで在りもしなかった剣を、その手に持って。
川 - )『八刀剣撃――――』
私と素直クールの幻影が重なり、同化する。
これから始まる技の名を、私は既に知っていた。
ξ ⊿ )ξ「――――八重小太刀」
抜剣の刹那、火花を散らして打ち出された八つの剣撃。
一瞬に凝縮された八回分の剣撃は、次の瞬間爆風を放って火炎弾に直撃する。
炎と風の激突――先に消滅したのは、鳩サブレの火炎弾だった。
.
264
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 02:41:50 ID:DgMvPhKk0
,、,,..._
ノ ・ ヽ 『――バ、バカな!!』
/ ::::: i
/ ::::: ゙、
狼狽した鳩サブレの火炎弾が一点集中して私に降り注ぐ。
しかし、それが私の肌を焦がすことはなかった。
次の一撃で鳩サブレを斬る。
そのイメージを実現するため、私は――私達は疾走する。
ξ ⊿ )ξ「五刀剣撃――――」
,、,,..._
ノ ・ ;ヽ 『おのれ! 【冥火 紅いもタルト】!!』
/ ::::: i
/ ::::: ゙、
殺人的な紅いもタルトが飛び出してツンちゃんを襲う!
ツンちゃん死亡! 大勝利!
.
265
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 02:42:56 ID:DgMvPhKk0
ξ ⊿゚)ξ「今更地の文をとったところで――」
私は鳩サブレを無視し、剣を構えたまま空中に跳び上がった。
鳩サブレと同じ高さに到達したところで、私は決着の一撃を振り下ろした。
ξ# ⊿゚)ξ「――――轟断、燕殺し」
,、,,..._
ノ ・ ;ヽ 『や、やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』
/ ::::: i
/ ::::: ゙、
鳩サブレはなおも火炎弾を発射してきたが、私はそれらの隙間をすり抜けて奴に差し迫る。
五撃五方向から始まり一点に収束するこの技は、威力・手数よりも命中率に重きを置いている。
まさに必中必殺――たとえ相手が神であろうと、この一撃は確実に相手を斬り刻む。
,、,,..._
ノ ・ ;ヽ 『こうなれば本編ごと終わらせてくれる!
/ ::::: i 我が消えればギャグ要素は消え去る! そんな事、あってはならぬのだ!』
/ ::::: ゙、
音速を超えた五撃一刀の必殺剣が空中に奔る。
――瞬間、鳩サブレの肉体に五つの亀裂が走り抜けた。
.
266
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 02:43:50 ID:DgMvPhKk0
\
 ̄ヽ、 _ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
`'ー '´
○
O
,、,,..._
ノ ・ ヽ と思う鳩サブレであっ――――
/ ::::: i
/ ::::: ゙、 サクッ
,i :::::: / /⌒`ー-、
| :::::: / / i
! ::::::::../ / ノ
`ー―" "―――――‐ "
鳩サブレの言葉は、そこで途切れた。
己の行く先を知ったのか、その表情はどこか切ない。かなしい。
,、,,..._
ノ ・ ヽ 『……もう、よいのか……ツンちゃん……』
/ ::::: i
/ ::::: ゙、
,i :::::: / /⌒`ー-、
| :::::: / / i
! ::::::::../ / ノ
`ー―" "―――――‐ "
ξ゚⊿゚)ξ「……ええ。今までありがとう。
私をギャグ時空で守ってくれて……」
ξ゚⊿゚)ξ「でももう往くわ。
年末年始は忙しいもの、早く完結させなくちゃね……」
私は剣をおさめ、サクサクと崩れ始めた鳩サブレを見つめる。
今まで誰よりも私を守り、傍に居てくれた銘菓――その最期を、私は見届ける。
.
267
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 02:44:31 ID:DgMvPhKk0
,、,,..._
ノ ・ ヽ 『……ひとつ、本編のネタバレをしよう』
/ ::::: i
/ ::::: ゙、
,、,,..._
ノ ・ ヽ 『本当の敵は正義でも悪でもない。
/ ::::: i 善悪を生み出すのは人間。真の敵は、人間なのだ』
/ ::::: ゙、
ξ゚⊿゚)ξ「……ありがちね……」
,、,,..._
ノ ・ ヽ 『ふふ、せいぜいシリアス世界を生きるがよい。
/ ::::: i 伏線はある。貴様は世界の残酷さを思い知るだろう』
/ ::::: ゙、
,、,,..._
ノ ・ ヽ 『我はその姿を見ているぞ。
/ ::::: i いつでも、1,080円(9枚入箱)の鳩サブレとしてな……』
/ ::::: ゙、
https://hato.co.jp/toshimaya/
.
268
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 02:45:19 ID:DgMvPhKk0
鳩サブレは、やがて風に吹かれて消え去った。
粉々になり、広大なサブレ空間に散っていった。
私は一体どうして鳩サブレと戦っていたんだろう。
そんな疑問さえ、この感動的な別れの前に消えていく。
ξ゚⊿゚)ξ「さようなら、ひよこ饅頭……」
ξ゚⊿゚)ξ「……いいえ、鳩サブレ……」
奴が消えた今、きっとこれが最後のギャグシーンなのだろう。
私の頭上に悲しみの鳩サブレが降り注ぐ。
私はそっと手の平を差し出す。
そこに舞い降りた鳩サブレの破片を、私は静かに口に運んだ。
ξ゚⊿゚)ξ サクッ
ξ゚⊿゚)ξ「……やっぱ、もみじ饅頭だわ……」
その一言でサブレ空間は崩壊した。
私の意識は日常に戻っていく。
さて、あのメス教師の事が何も解決していないぞ――
.
269
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 02:46:34 ID:DgMvPhKk0
\
 ̄ヽ、 _ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
`'ー '´
○
O
スヤスヤ
ξ´⊿`)ξ という夢を見ているツンちゃんであった。
ミセ*゚ー゚)リ「よっ、と」
ツンに催眠術をかけたミセリは、清々しい顔で彼女を抱きかかえた。
ミセ*゚ー゚)リ「みなさんは自習を続けてください。
先生は魔王城さんを介抱するので保健室に行きます」
ミセ*゚ー゚)リ「あとドクオ君も来なさい。以上、みんな始めて」
さっぱりとした物言いで教師としての仕事を終えると、ミセリはドクオに一瞥を送って教室を出て行った。
('A`)「あー……?」
( ^ω^)
('A`)「……まぁとりあえず行ってくるわ。
マジであいつ襲われたらシャレになんねぇしな……」ガタッ
気だるそうに溜め息を一つ。
ドクオはミセリに続いて保健室に歩いていった。
( ^ω^)「……潮時かもNE」
静けさが戻った教室にぽつんと呟く。
育ての親をとるか、友人をとるか。
この時、ブーンはそういう選択を頭に浮かべていた。
.
270
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 02:47:14 ID:DgMvPhKk0
\
 ̄ヽ、 _ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
`'ー '´
○
O
と思う鳩サブレは、もう居ない
また次回
271
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 02:56:40 ID:lJz6VkHM0
乙!
鳩サブレ…
272
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 07:42:31 ID:DzeoVH.w0
サブレェ……
おつ!
273
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 10:06:45 ID:txSLJzAI0
話進んでねえwww
274
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 10:42:22 ID:C370Widk0
技名が恥ずかしすぎて悶えた
275
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 11:17:50 ID:VVvAB.pA0
ひよこーっ!!
276
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 18:43:04 ID:.gWkoInU0
鳩サブレでシリアスやってやがる...
277
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 19:22:38 ID:eUJefdfw0
鳩サブレはひよこ饅頭でもみじ饅頭でシリアルだったのか
278
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 19:31:04 ID:vAXKHS7Y0
もしや
>>1
は、昨今の和菓子の売れ行きの伸び悩みを解消すべく作品を投下している和菓子業界からの刺客……
279
:
名も無きAAのようです
:2015/11/20(金) 20:14:26 ID:NOBk8hno0
フハハハトサブレでツボった
280
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 22:58:24 ID:IabClKNc0
【interlude:6】
――VIP高校、保健室。
ミセ*゚ー゚)リ「連れてきたわよー」ガラリ
ξ´⊿`)ξ スヌーピー
('A`)「……」
川д川 「……おつかれ。そこのベッドに寝かせといて」
ミセリ達を保健室で迎えたのは白衣の校医、貞子だった。
ドクオが知る限り、身の回りに居る魔界関係の人物は彼女で最後だ。
しかし、なんだか違和感がある。
二人ともツンが魔王の子孫だと知らないはずなのだが、知った今でも存外に驚いていない。
どこかから情報が漏れた、とも考えたが、敵に知られて味方に知られていないのもおかしいなと合点する。
('A`)(なんか別の命令でもあったのか……?)
.
281
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 22:59:05 ID:IabClKNc0
('A`)「ミセリ、お前どこで知った?」
ミセ*゚-゚)リ「どこでって、ロマネスク様から直接聞かされたわ」
ミセリはツンをベッドに寝かせると、ツンの寝顔を見つめながらドクオに答えた。
彼女の表情は、ツンのことを憂うように暗く沈んでいる。
('A`)「……なんか冷静だな。
お前の事だから、すぐさまそいつに求愛すると思ってたが」
ミセ*゚ー゚)リ「……実際に会って気が変わったのよ。
そんな事をしてる場合じゃないって。ドクオは気付いてないみたいだけど」
川д川 「どいて。診るから」グイ
ツンとミセリの間に貞子が割り込む。
彼女はツンの頭に手をかざすと、瞑目してその手に魔力を集中した。
紫がかった陽炎が貞子の手に灯る。
貞子は魔力を帯びた手をツンの頭から喉元、胸部、下腹部、脚部爪先へと順に当てていった。
('A`)「……どこか悪いのか?」
ミセ*゚ー゚)リ「私でも分かるくらいにはね。
ドクオ、人間界に慣れて色々鈍った?」
.
282
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:00:07 ID:IabClKNc0
('A`)「……どうなんだ、貞子」
ミセリの小言から逃れるように、ドクオは貞子に話し掛ける。
貞子が行っているのは一種の健康診断のようなもので、対象の状態を正確に把握する意味がある。
診断を終えると、貞子は結果を脳内でまとめてから口を開いた。
川д川 「……抑圧と錯誤の呪術が掛けられてる。
これはロマネスク様の言ったとおりだった。覚えのある呪術式だし」
(;'A`)「なッ……!」
川д川 「呪い自体は半分くらいが解けている。
ロマネスク様の魔力が上手く作用したんだろう。問題無い」
川д川 「だけど呪いの副作用がすごく深刻だ。
単純に言って、彼女の身体は呪われている状態に慣れすぎた。
このまま抑圧・錯誤の呪いが解けて魔力が全開になれば、彼女の心身は自壊する」
(;'A`)「――ま、待て! その呪い、誰がやりやがった!?」
貞子は気だるそうに振り返り、長く伸ばした前髪の隙間から、じと、とドクオを見つめた。
川д川 「決まってるだろハインリッヒ高岡だ。
呪術式は私が作った『妖刀・首断ち』のそれと一致する。
ゆえに解除は容易だし、ロマネスク様にもそれを頼まれてるんだけど……」
ミセ*゚ー゚)リ「それをすれば、ツンちゃんを死なせかねない」
川д川 「その通り。時間があれば魔王化の修練も可能だけど、参ったな……」
.
283
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:01:05 ID:IabClKNc0
(;'A`)「……すまない。何も、気付いてなかった……」
ミセ*゚ー゚)リ「いえ、貴方は十分やっていたと思う。
私達が呪術に関してもう少し教えておけば、って感じ」
川д川 「ロマネスク様も人がよすぎるんだ。裏切り者は何度だって裏切る。
ハインリッヒなんかを信用するから……」
(;'A`)「……これからどうする? 何か言われてるんだろ」
ドクオは二人を一瞥し、脳裏に浮かんだ最悪の事態を予感した。
それは内藤ホライゾンの抹殺。魔王軍はどこまでも行っても悪である。
魔王の娘に手出ししたとあらば、親族皆殺しなど当然の処置に過ぎない。
ブーンをどうにかする、というのは十分ありうる話だった。
ミセ*゚ー゚)リ「……そうね。まずは、内藤ホライゾンの確保かな。
ツンちゃんにはもう少し寝ててもらうとして、そっちは今すぐやりに行く」
川д川 「殺しまでは言われてない。ただ少し、状況が変わりつつある」
(;'A`)「状況、って……?」
川д川 「……その話は後だ」
ふと、貞子が天井を見上げた。
彼女はじっと天井を見つめた後、ドクオとミセリに向けて言った。
川д川 「間もなくこの学校に結界が張られる。
内藤ホライゾンも分かっているらしい――――」
【interlude:out】
.
284
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:01:46 ID:IabClKNc0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
世界の色が変わる。
あらゆる風景が灰色を帯び、現実との乖離を象徴する。
結界――無害な人間達に被害を出さぬよう、最低限の配慮として勇者軍が行う術式。
これで、何が起ころうと現実に影響は出ない。
戦う場所が用意された以上、ドクオは彼との戦闘を考えねばならない。
魔王軍の一人として、ツンを守る任務の一環として。
必要とあらば、彼は内藤ホライゾンを殺さねばならなかった。
( ^ω^)「……」
そして、それはブーンにとっても同じこと。
もしも彼らが自分を殺しに来るのなら、そこで始まるのは単なる殺し合い。
生きていなければ何も成し遂げられない――彼は、その事をよく理解していた。
.
285
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:03:03 ID:IabClKNc0
――VIP高校、屋上。
もぬけの殻になったテントが、風になびく。
灰色の世界に一人立つブーンは、既に臨戦態勢をとって彼女達の攻撃に備えていた。
( ^ω^)「……」グッ・・・
両手でやっと構えられる巨大な一振り。
その大剣を一言にまとめるなら、それは血肉と臓物の塊だった。
剥き出しの臓物がドクドクと脈打ち、血を巡らせ、剣自体が一つの生命のように脈動している。
切先から柄にかけては常に血が滴っている。その乾いた血が、持ち主とこの剣をべっとりと繋ぎ止めていた。
しかしあくまで一つの剣として、その肉塊は、己の異質・異様さを外界に吐き出し続ける。
ブーンが投薬によって獲得できる激化能力は『復元』。
いま復元したこの剣は、彼が知りうる中で最も凶悪な武器――勇者喰らいの大剣、グランギニョル。
先の戦争において、魔王が勇者を殺すのに用いた曰くつきの魔剣である。
ミセ*゚ー゚)リ「……こっちは話し合いの用意があるけど、どうする?」
大剣を向けられたミセリは、最後の勧告として尋ねる。
ぶつかり合う両者の視線。平和的和解など、とても考えられない。
( ^ω^)「言っとくけど、勇者軍に関しての情報量はそっちと大差ないお。
むしろ、お爺ちゃんがどうなったか教えて欲しいくらいだお」
ミセ*゚ー゚)リ「あの人は死んだ。死んで改造されて、手駒にされた」
( ^ω^)「……まあ、だろうとは思ってたお」
ミセリの言葉で確信を得たのか、ブーンはさして大仰な反応もせず納得する。
.
286
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:03:43 ID:IabClKNc0
ミセ*゚ー゚)リ「命令は確保だけなの。殺せとまでは言われてない。
一応ツンちゃんのお友達だしね、どうする?」
( ^ω^)「悪いけどどっち側にもつく気はないお。
お爺ちゃんはそっちに味方してたけど、最終的にはどっちも潰すつもりだったお」
ミセ*゚ー゚)リ「……その考えは、貴方も同じなの?」
( ^ω^)「そうだお。僕の敵は魔王でも勇者でもないお。
敵の敵は味方でも、あんたらは敵ですらない。関わる理由がないんだお」
ミセ*゚ー゚)リ「だからと言って無関係になれる訳じゃない。
確保の命令は遂行される。いい?」
( ^ω^)「僕を殺さずに捕まえるつもりなら、死ぬお」
ブーンは血肉の大剣を肩に担ぎ、グッと腰を低くした。
.
287
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:05:08 ID:IabClKNc0
ミセ*゚ー゚)リ(……グランギニョルの性質は融合。
斬撃は二の次。問題は、あれに触れれば肉体を喰い取られる事)
ミセ*゚ー゚)リ(レプリカ版とはいえその性質は変わらないはず。
さて厄介だけど、剣を除けばやりようはある……)
あの剣は魔王が使えば脅威だが、子供が使ったところで十分な性能は発揮できない。
ならば必ず扱いきれずに隙ができる。その一点を見逃さなければ攻略は容易い。
――その早合点が、間違いだった。
( ^ω^)
ブーンはただ、剣を持ってそれを支えていればよかった。
確かにこの剣を従えるのは至難だ。それこそ魔王でなければ不可能だろう。
でなければ、従えなければいい。
ブーンはただ、この凶器のオンオフさえできればよかった。
あとの事は勝手に剣が終わらせる。無尽の食欲に任せて動き始める。
故に、彼には最初から制御という考えは無かった。
.
288
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:07:00 ID:IabClKNc0
ミセ*゚ー゚)リ「ッ?」
それはほんの一瞬、まばたきする間の出来事だった。
どちゅ、という音がミセリの腹を貫いていた。
己の身体を見直す余裕もない。
ミセリの意識は、その音を聞き届けた時点で潰えていた。
( ^ω^)「……」
彼女に血肉の大剣を突き刺したブーンは、剣で彼女の中身をぐちぐちと掻き混ぜてからそれを引き抜いた。
グランギニョルの能力は融合。
ミセリの体内と融合したこの剣は、彼女の臓物を連れて外に引きずり出てきた。
人体丸々一体分の内臓が血肉まみれでアスファルトに落ちる。
その血と肉の塊を、グランギニョルは貪るように啜って己の一部に変えていった。
絶命したミセリが膝をついて崩れ落ちる。
臓物の大剣は、その残りカスすらもしっかりと食べ尽くした。
.
289
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:08:55 ID:IabClKNc0
( ^ω^)「――お?」
しかし、捕食を見守っている最中、唐突にブーンの足元が強烈に光り輝いた。
屋上いっぱいに広がる閃光。
(; ^ω^)「あっぶ――ッッ!!」
それが攻撃の前兆だと察した瞬間、ブーンは咄嗟にフェンス際まで退避した。
(; ^ω^)「もう一人居たのかお……!」
回避を見せると、その閃光は何事もなく収まっていった。
当たらない攻撃などする必要がない、という事だろう。
ブーンはもう一度グランギニョルを構え直し、フェンスを足場にして空中に跳び出した。
着地地点はグラウンド中央。
重量級の大剣を持ったブーンが地に落ちるとズドンと音が響き、空高く砂煙が舞い上がった。
川д川 「……人間というのは、相変わらずその剣のように醜いな」
( ^ω^)「……生みの親はそっちだお」
川д川 「担い手の話だ。勘違いするな」
砂煙の向こうの声と軽口を飛ばしあう。
次の相手はさっきのように油断してくれないだろう。
ブーンは一度グランギニョルの復元を止め、使い慣れた無銘の長剣を手に持った。
.
290
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:09:35 ID:IabClKNc0
( ^ω^)「言っとくけど、逃がしてくれるなら戦わないお」
そう言い、長剣で砂煙を振り払う。
晴れた視界の先――捉えた敵は三人。
川д川 「……」
('A`)「……」
ξ;゚⊿゚)ξ「……」
( ^ω^)「……あーあ」
無表情の一言。しかし、それにはあらゆる感嘆が込められていた。
せめてツンには知られないままお別れしたかったが、それも駄目になってしまった。
まあとりあえず平和的に進めてみよう、とブーンは剣を捨てて両手を上げた。
( ^ω^)「話し合う気になったお。身の安全を要求するお」
川д川 「……たった五分で心変わりか、裏切り者らしい振る舞いだ」
川д川 「だけど、今この場にお前の話を聞く者が居ると思う?
二人にもしかと見せておいたぞ。あの剣と、殺しの瞬間をな」
.
291
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:10:34 ID:IabClKNc0
( ^ω^)「……ドクオ」
('A`)「……俺は魔王軍の一員だ。貞子さんの判断に従う。
事情が何であれ、戦うことも厭わない」
ドクオに助け舟を求めても、彼は冷徹に自身の宿命に準じていた。
魔王軍と勇者軍はそもそも相容れない存在。友人関係も簡単に瓦解する。
( ^ω^)「じゃあ、ツンはどうだお?」
ξ;゚⊿゚)ξ「……私は……」
しかしドクオから言質は頂いた。貞子はドクオの上司だが、ツンは更に上の魔王の娘。
それが確たる判断を下した場合、二人はそれに従わざるをえない。
卑怯だという自覚はある。
が、切り抜けるなら一番弱い所を突くのが一番なのだ。
ブーンはツンを言い包め、なんとかこの場を乗り切ろうと考えていた。
( ^ω^)「確かに僕はあの人の勧告を無視して殺したお。
でも、話し合いが嘘だったら殺されてたのは僕だお?」
( ^ω^)「お爺ちゃんはツンを洗脳して何かをしようとしてた。
それは事実だし、僕もそれに加担してたお」
( ^ω^)「でも信じて欲しいお。僕もお爺ちゃんも、ツンに危害を加える気はなかったお。
もっと言えば魔王にも勇者にも用はないお」
川д川 「回りくどいぞ。そんな嘘だらけの説得、聞くだけ無駄だ」
貞子が空に手をかざす。と同時、空中いっぱいに無数の円が描かれた。
魔界文字を円形に束ねた最高位魔術式の大群。ひとたび起動すれば、この学校など塵芥も残らない。
.
292
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:11:43 ID:IabClKNc0
( ^ω^)「ツン。僕のお父さんのこと、知らないお?」
ξ;゚⊿゚)ξ「……え、うん……」
( ^ω^)「僕のお父さん、勇者なんだお。
人造じゃない本物の、最後の勇者」
( ^ω^)「お父さん、先代魔王と一回戦ってるんだお。
でもその戦いでは死なずに、生きて帰ってきてるんだお」
( ^ω^)「そうだお? ドクオ」
ξ;゚⊿゚)ξ「……そうなの?」
('A`)「……あいつが勇者の息子かは知らんが、あの戦いではどちらも死ななかった。
痛み分けっていう形で決着して、勇者は魔界を去っていったよ」
川д川 「お嬢様、聞く耳を持たないように。結論は既に出ています」
今にも火蓋を切って落としそうな貞子。
残された時間は少ない。ブーンは急いで話の続きを口走る。
.
293
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:12:31 ID:IabClKNc0
( ^ω^)「お父さんは一度帰ってきた後、治療の為に入院したお。
国が秘密裏に作った専用の医療施設に、今も入院中だお」
ξ;゚⊿゚)ξ「……」
( ^ω^)「……でも不思議じゃないかお?
一度は魔王を倒しかけた男を無視して、なんで勇者軍は勇者を作り始めたお?」
( ^ω^)「簡単な話、勇者軍は人間に 『勇者は死んだ』 と教えられたんだお。
ある意味そこが分岐点。勇者軍が狂い始めた原因がそれだお」
川# д川「いい加減にッ――」
ξ#゚⊿゚)ξ「――黙ってて」
川; д川「っ……!」
( ^ω^)
話に乗ってきた、と心の中でほくそ笑む。
ブーンは、最後の一押しを語り始めた。
.
294
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:13:16 ID:IabClKNc0
( ^ω^)「ハッキリ言うお。僕のお父さんは今、その施設で研究材料にされてるお。
僕とお爺ちゃんはそれを何とかする為に、正義と悪を利用したんだお」
( ^ω^)「敵は人間。奴らの目的は、勇者と魔王の完全排除。
この事を知ってるのは僕とお爺ちゃん、そしてツンたち三人だけ……」
( ^ω^)「……正義と悪の小競り合いで時間を無駄にしたいなら、信じなくていいお。
もし僕を信じて協力してくれるなら、僕は魔王軍の一人として戦うお」
( ^ω^)「……何にせよ捕まる気はないお。だから、捕まえたいなら戦うことになるお。
あとの事は、もうツンの判断に任せるお」
( ^ω^)「……」
ξ;゚⊿゚)ξ「……」
沈黙が渦を巻く。ツンはしばし、頭の中で情報を整理した。
この場の決定権はツン一人に押し付けられた。
彼女自身もそれを理解し、焦燥に追われている。
だから、一刻も早く答えなければならない。
ブーンを信用するか否か。ツンは迷いを振り切れないまま、もごもごと口を開いた。
.
295
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:14:10 ID:IabClKNc0
ξ;゚⊿゚)ξ「わ、私は……」
A:ブーンを信用する。
B:ブーンを信用しない。
しかしふと、その二択を脳裏に浮かべた瞬間、ツンは鳩サブレの言い分を想起した。
ξ;゚⊿゚)ξ(……あいつ言ってた! 敵は人間って、確かに夢で言ってた!)
ξ;゚⊿゚)ξ(もし本当ならブーンの話とも一致する! だったら――)
.
296
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:15:09 ID:IabClKNc0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆アンケート☆
A・鳩サブレを信じ、ブーンを信じる。
B・鳩サブレを信じない。ブーンも信じない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
297
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:17:32 ID:IabClKNc0
\
 ̄ヽ、 _ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
`'ー '´
○
O
,、,,..._
ノ ・ ヽ と思う鳩サブレであった また次回
/ ::::: i
/ ::::: ゙、 アンケートはこれが最後です 今日中で締め切りです
,i :::::: `ー-、
| :::: i 同票の時は沈黙 THIS WAY
! :::::.. ノ
`ー――――― '"
298
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:21:12 ID:4ZJHjui60
A
299
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:28:02 ID:NnKyRwQ60
A
300
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:30:30 ID:G4R7xjVE0
乙
シリアルな展開だな
鳩サブレを騙るひよこまんじゅうなんて信じられるわけないからBだB
301
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:34:44 ID:0USaXWJc0
乙!
Aで
302
:
名も無きAAのようです
:2015/11/26(木) 23:40:12 ID:uPWSoHOs0
乙!今回も面白かった!
A
303
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 00:22:23 ID:TR.wEzJk0
B
304
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 00:24:23 ID:H0LSJ.T20
>>303
時間切れっっっっでぇ〜〜〜〜〜〜す
305
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 00:25:38 ID:q2ey3gsw0
アンケ終わってたけどAになってよかった
306
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 03:51:55 ID:5h9yDtFE0
あっという間にミセリが死んでた
307
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 10:25:20 ID:vWscmJsw0
ツンちゃんミセリのこと完全スルーしてんな
哀れ
308
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 22:29:03 ID:itsNRXGA0
初対面の印象が最悪だったからしょうがない
309
:
◆9mGdTa8gSo
:2015/12/03(木) 04:47:43 ID:Ip8umvoQ0
,、,,..._
ノ ・ ヽ 鳩サブレです
/ ::::: i
/ ::::: ゙、 今日の21時頃に投下します
,i :::::: `ー-、
| :::: i たまごボーロでした
! :::::.. ノ
`ー――――― '"
310
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 09:07:36 ID:41zDWU/M0
ひよこ 生きとったんかワレ!
311
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:05:51 ID:Ip8umvoQ0
【interlude:7】
私は、ブーンの言葉を信じることにした。
一歩前に出て振り返り、私はドクオと貞子さんに言った。
ξ゚⊿゚)ξ「私、ブーンの話を聞こうと思う」
川д川 「……それは認められません。お下がりください」
ξ゚⊿゚)ξ「イヤ。要は仲間だって確証があればいいんでしょ?
それぐらい簡単よ。全裸にしてこっち連れてくるから」
私は彼女達への視線を切り、ブーンに向かって歩き出した。
迷いはない。テクテクよりザッザッの歩き方でどんどん彼に近付いていく。
川;д川 「待って! 我侭を仰らないでください!」
('A`)「貞子さん、放っておきましょう。
ツンはバカだけど無駄死にするような奴じゃないです」
('A`)「いざという時に動けるよう構えてて下さい。空の魔術式もそのままで……」
川;д川 「……当たり前だ! クソ、お転婆が過ぎるぞ……!」
312
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:08:34 ID:Ip8umvoQ0
私はブーンと向かい合い、すこし沈黙した。
ふだん平然としている対面だが、今ばかりは嫌な汗が滲み出てくる。
もしも、と考えると不安で堪らない。
私もあんな風に殺されるかもしれないなんて、微塵も考えたら駄目だ。
( ^ω^)「……とりあえず、どうすればいいお?」
ξ゚⊿゚)ξ「……えっ?」
( ^ω^)「そっちの話し合いに応じる、って言ったお?
場所変えたりするのかお?」
ξ;゚⊿゚)ξ「……あ、そっか。
話があるのは貞子さんだし、私が来ても意味ないのか……」
(; ^ω^)「何しに来たんだお……」
ξ;゚⊿゚)ξ「うーん……とりあえず全裸で」
(; ^ω^)「全裸!?」
ξ;゚⊿゚)ξ「うん。全裸で連れてくるって言っちゃったから……」
(; ^ω^)「なんでまた全裸なんだお……」
ξ;゚⊿゚)ξ「決意の表れというか」
(; ^ω^)「すごい傍迷惑だお……」
.
313
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:10:39 ID:Ip8umvoQ0
「――――ここらが、好機か」
不意に、どこかで声がした。
.
314
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:11:19 ID:Ip8umvoQ0
(; ^ω^)「――――ツン、後ろだお!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「え、なに――――」
ブーンの絶叫と同時に私は振り返る。
爪'ー`)「――――」
一瞬、誰かの顔。
しかし思い出している間もなく、私は巨大な衝撃に体を薙ぎ払われた。
(; ^ω^)「ドクオ! ツンを頼むお!」
弾き飛ばされる最中、辛うじてブーンの背中を捉えられた。
ブーンは私を庇って前に出ると、次の瞬間、先の男と剣を打ち合い始めた。
爪'ー`)「ほう、私に構ってくれるのかね」
(; ^ω^)「どっちでもいい! 急いでツンを――」
.
315
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:12:42 ID:Ip8umvoQ0
衝撃のあまり地面を転がり続ける私。
かれこれ100メートルは転がったかというところで、ようやく何かにぶつかって勢いが収まった。
ξ; ⊿ )ξ「い、いたい……すごい痛い……」
(;'A`)「我慢しろ! ほら掴まれ、逃げるぞ!」
ξ; ⊿ )ξ「わ、わかった……」
私は朦朧とした意識のまま、ドクオの声に従って彼の腕に抱きついた。
私とて女の端くれ。胸はそこそこあるのでドクオにとっても役得だろう。ウィンウィンと言える。
――などと、思っている場合ではなかった。
(;'A`)「ツン、今すぐ『俺』から離れろッ!!」
爪'ー`)「余所見する余裕は無いだろうに――ッ!」
ξ; ⊿゚)ξ「……なんか、声遠くない?」
声の方向に違和感を覚え、私は目を凝らして周囲を見る。
すると、吹き飛ばされる直前まで私が居た辺りにドクオ達の姿があった。
ドクオはブーンに加勢したのか、今はブーンと一緒にあの男と戦っている。
しかし、だったならば、いま私が抱きついている方のドクオは――
.
316
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:15:24 ID:QpqfWib.0
なんだなんだ
317
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:16:00 ID:Ip8umvoQ0
川 ゚ 々゚)「よっ、久し振り」
ξ; ⊿゚)ξ「……」
見直してみるとドクオの顔は消えており、かわりにどこか見覚えのある顔が私を見下ろしていた。
素直クール、のような、でも違う……そういう曖昧な感覚が、私の判断を鈍らせる。
その間に、ふわ、と私の体に細い糸が巻きついた。
ξ;゚⊿゚)ξ(これ、ヤバッ――!!)
私は咄嗟に体を起こして糸の輪から逃げ出した。
しかし、どうしても急所の糸だけが解けない。
間もなく首と太ももに巻きついた糸がギチ、と音を立てて締まり始める。
全身二ヶ所をぐるっと一周する鋭い痛みは段々強くなっていき、皮膚を切って肉の深部にえぐり込んでくる。
ξ; ⊿ )ξ「ッ……!」
川#д川「――動かないでください!」
その声と同時だった。
ガトリングガンのような絶え間ない炸裂音と一緒に、灰色に染まった結界空間に紫色の閃光が弾けた。
最初ブーンに対して展開していた空の魔術式が向きを変え、私達に1メートル大の魔力の弾丸を発射し始めたのだ。
川 ゚ 々゚)「おおっ」
それは無数に降り注ぎ、謎の女を私から引き離した。
もちろん魔力弾は私には一発も当たらず、私を殺しかけた糸を的確に断ち切ってくれた。
ξ; ⊿゚)ξ「ハッ……ハッ……」
私は一度大きく呼吸してから、魔力弾の隙間をぬって駆け寄ってくる貞子さんに目を向けた。
.
318
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:17:19 ID:OU1/Ee9A0
しえーん
319
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:17:44 ID:Ip8umvoQ0
川;д川 「お嬢様、すぐに退避します!
あれは『王座の九人』のフォックスです! 今は倒す準備がない!」
ξ; ⊿゚)ξ「え、なに……王座がなに……?」
川;д川 「とにかく逃げるんです! この場は余りにも危険すぎる!」
貞子さんに抱き上げられた途端、貞子さんは私ごと空高くに跳躍した。
彼女は跳んだ先にも魔術式を用意し、さらに上空へと駆け上がっていく。
ξ;゚⊿゚)ξ「――ま、待って! ドクオとブーンはどうするの!?」
川;д川 「……足止めが必要です……」
苦しい表情で、貞子はハッキリと答えた。
川;д川 「もって数分です。その間にロマネスク様のところへ……!」
.
320
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:18:56 ID:Ip8umvoQ0
ξ;゚⊿゚)ξ「それじゃあ二人はどうなるの!?
助けに戻るのよね!?」
川;д川 「約束します! ……ですが……」
そこまで言って貞子は口ごもった。
しかし、言われなくても既に分かっている。
フォックスと呼ばれた男の強さは桁違いだ。
先日見たお父さんの魔力量も大概だったが、奴はその何倍もの覇気を放っていた。
そして、あれと対峙しているブーンとドクオは、きっと私以上に奴の力量を理解している筈だ。
ξ;゚⊿゚)ξ「――貞子さん、急いでウチに帰って!
お父さんなら何とかできるんでしょ!?」
川;д川 「はい! 結界を抜けます、舌を噛まないように――!」
貞子さんが上空に一際大きな魔術式を展開する。
私達はそこを通り、現実の世界へと帰っていった。
私は、当然のように舌を噛んだ。
.
321
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:20:23 ID:Ip8umvoQ0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
爪'ー`)「……ふむ、本命は逃げたか」
フォックスは空を見上げて淡々と言った。
(# ^ω^)「おおッ!!」
爪'ー`)「今回は偵察だけと思っていたが」
ブーンの長剣がフォックスの胴元を薙ごうと風を斬る。
フォックスはそれを片手間に弾き、がら空きになったブーンの腹を前蹴りした。
蹴りの威力は絶大。ブーンはその衝撃に嗚咽し、グラウンドの隅まで吹き飛んでいった。
爪'ー`)「君らが仲間割れをしていて気が変わったよ。
漁夫の利というのかな? それを狙ったのさ」
爪'ー`)「しかし良い話を聞いた! 勇者が生きていたとは朗報じゃないか!
本物を使えばより強大な勇者を作れる! フフ……」
途端フォックスは剣を下ろし、自分の顔に手を当てた。
醜悪な笑みを晒すまいと手で隠したのだろうが、その邪悪さは片手で収まりきるものではない。
爪'ー`)「――フハハハハ!! 本当に笑いが止まらない!
まずここで勇者の血を回収、その次は魔王の娘!」
爪'ー`)「この二つが揃えばまさに磐石! この世はおろか、魔界すら他愛ない!
内藤ホライゾン、すべてキミのおかげだぞ!」
.
322
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:20:29 ID:Zhqd36nQ0
いつも二転三転の急展開を用意してるな
支援
323
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:22:25 ID:Ip8umvoQ0
(; ω )「ぐっ……ううっ……」
グラウンドに響き渡る愉悦の笑い声。
ブーンは軋む体に鞭打ち、ゆっくりと立ち直る。
(;'A`)「おい、大丈夫か!?」
ブーンの元にドクオが駆け寄ってくる。
しかしブーンはそれを拒み、鋭い目付きでドクオを一瞥した。
(; ω゚)「ドクオはさっさと邪龍化するんだお!
僕の時間稼ぎを無駄にさせる気かお!?」
(;'A`)「……ッ!」
ドクオはぐっと踏み止まり、フォックスに視線を戻した。
今、ドクオの身体は邪龍化しつつあった。
既に両手足は鈍色の鱗に覆われ、血肉も人間のそれではなくなっている。
あとはとにかく魔力を高めて邪龍化を進行させるだけ。その為の時間稼ぎはブーンがやってくれている。
しかし、完全な邪龍化にはまだ時間が掛かる。
現状40%程度、五分もすれば変身可能な70%には達するが、それまでブーンが無事でいられる訳がない。
(;'A`)「相手は四天王クラスの化物だぞ!? 半端でも二人でやった方が」
(# ^ω^)「僕は生きて帰りたいんだお! ドクオは違うのかお!?」
(;'A`)「だからお前一人じゃ今すぐ死ぬって言ってんだろうが!
邪龍化したところでお前が死んでたら――――」
(# ^ω^)「だから、死なない為に戦ってるんだお!!」
ブーンは叫び、ポケットから無数の錠剤を握りとって自分の口に放り込んだ。
ガリガリと音を立てて噛み砕いていくそれは、激化能力を発動する為の薬。
本来一つも飲めば十分な物を滅茶苦茶に喰って飲み下す。
今この瞬間を生き残る為に、ブーンは己の未来を捨てる気でいた。
副作用など考えない。
今は目の前の敵を、いずれ来る破滅はいずれ考えればいい――――
【interlude:out】
324
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:23:45 ID:Ip8umvoQ0
【interlude:8】
https://www.youtube.com/watch?v=1ErwgLxBNL0
内藤ホライゾンは己の激化能力を発動し、その能力を行使した。
彼の能力は思い描いたものの『復元』だが、しかし今度は単なる『復元』ではない。
グランギニョルの時も実物に迫る性能ではあったが、あれが偽物である事実はどうしても変わらない。
本物が実在するものを復元した所で、それはどう足掻いても本物の劣化品にしかなり得ないのだから。
ならば――と、内藤ホライゾンは考える。
そもそも完成しなかったもの、製作段階で完成を諦められたもの。
想像はしたが実際には作成されなかったもの――この世に無数と存在する、未完の剣。
もし偽物が本物に勝るものを作れるとすれば、その方法は一つ。
未完成のものを自分の手で完成させ、自分の物とする事だけ。
他者に生み出され、しかし完成しなかった剣の『未完成部分』のみを復元能力で補う。
それが内藤ホライゾンがクスリの過剰摂取で獲得した『補完』という能力だった。
ブーンは、ポツンと脳裏に浮かんだ言葉を呟く。
起動の合言葉は、とても静かに告げられた。
リベレイター
(# ω゚)「――――≪原典乖離≫」
.
325
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:24:52 ID:Ip8umvoQ0
瞬間、ブーンは記憶の一部を喪失した。
思い出せない――という事すら自覚できないほど、綺麗サッパリに記憶が消滅する。
しかし、それを燃料にして補完能力が発動――
(# ω゚)「おおおおおおおお!!」
絶叫と共に振り上げた右手に、細長い光が収束した。
その光の正体は、彼の記憶から捏造された未完の剣。
爪'ー`)「……ははあ、なるほど。死ぬ気か。
過剰摂取は命取りだと、その薬を使うなら分かっているだろうに……」
ブーンの鬼気迫る様子を見ながら、なおも余裕を損なわないフォックス。
彼は悠然と剣を構え、ブーンが戦闘準備を終えるのを待つ。
爪'ー`)「……フフ、しかし随分と悠長に戦ってくれるのだなぁ?
まさか、時間を稼いでいるのが君達だけだと思っているのかね?」
(# ω゚)「――ッ」
フォックスの一言に、ブーンの眉がピクンと跳ねる。
爪'ー`)「結界の外に敵が居てもおかしくないと、想像しなかったかな?
我々は常に全力で敵を討伐する。魔王が敵なら尚更だ」
爪'ー`)「ツンも、ロマネスクも、君達も……皆殺しだ」
.
326
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:25:33 ID:Ip8umvoQ0
(# ω゚)「――今すぐ、殺すッッ!!」
急いで殺すならこれじゃ駄目だ、とブーンは記憶を犠牲にして更に能力を行使する。
同時、ブーンの頭上に数十の剣影が具現化し、その切先がフォックスに向けられる。
(# ω )「お、おおお……ッ!!」
記憶の中身を洗いざらい篩に掛け、復元補完できる剣を全て具現化していく。
検索、照合、補完、具現化――記憶の消却。その工程を刹那に縮めて実行。
補完対象は自分が知る物だけに止まらない。
この世界に残された可能性の残滓。ブーンはそれすら掬い取り、己の剣として実体化させた。
(# ω゚)「お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙ッッッ!!」
具現化した剣を一つ手に、ブーンは百の剣を従えてフォックスに迫った。
地を蹴った次の瞬間、ブーンはフォックスの眼前で剣を振り下ろしていた。
爪'ー`)「――っと」 スッ
フォックスが防御としてかざした剣と、ブーンが完成させた未完の剣が激突する。
一度巨大な金属音が響いた後、空気が炸裂。二人を中心にして地面が大きく陥没した。
ギリギリと音を立てて拮抗する両者の剣。
その拮抗を壊したのは、空から飛来する無数の剣影達だった。
爪'ー`)「良いものを作る。味方に欲しいくらいだ」
戯言を刻み潰すように、フォックスに百の剣影が降り注ぐ――!
.
327
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:28:12 ID:Ip8umvoQ0
巻き起こる砂煙――その中から先に飛び出してきたのはフォックス。
続いたのは彼を追跡してきた一振りの剣。
遠隔操作の剣がフォックスに斬りかかり、彼の剣と互いの刃を弾き合う。
爪'ー`)「持ち手なしでも、存外しっかりしているッ!」
(# ω゚)ズザザザザザッ!!
フォックスがその剣と打ち合っている隙に、ブーンは彼の背後に一気に滑り込んでいた。
爪'ー`)「む、」
背後のブーンに気を取られた瞬間、遠隔操作の剣がフォックスの剣を空に弾き飛ばす。
記憶を犠牲に作り上げた勝機――それを逃がす訳が無い。
(# ω゚)(補完、具現化……【流麗刀 舞姫】ッ!)
次に作り上げた剣は、かつてツンちゃんがモンハン二次創作を書いていた頃に考えた最強の剣。
これで斬るとリオレウスとかが死ぬ。すごい。
ブーンの補完能力で作れる最強の剣は、とどのつまり『ぼくがかんがえたさいきょうそーど』である。
そしてツンちゃんは上記の剣の他にも沢山の最強ソードを妄想していた。
そして大半が掲示板閉鎖により未完で終わっていた。
結果、ブーンの剣製に限界はない――――!
.
328
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:28:52 ID:Ip8umvoQ0
(# ω゚)(もらったお!)
フォックスの背後から高速で斬りかかるブーン。
その手にはツンちゃんが考えた最強ソード、【流麗刀 舞姫】。
太刀の切先が地面を削り、一気にフォックスの背中を斬り上げる。
爪;'ー`)「――やってくれたな、小僧ッ!」 ズオッ!
しかし相手は王座の九人。
背中を斬られてなお、フォックスは振り返ってブーンに反撃を仕掛けた。
武器を用いない近接戦闘。ここまで剣同士だったせいか、感覚が噛み合わない。
(; ゚ω゚)「ッ!?」
フォックスの行動に虚を突かれ、ブーンは彼の拳戟を急所に受けてしまった。
鳩尾――その深部の内臓に、フォックスの拳がメコ、と抉り込まれる。
(; ゚ω゚)「……お゙っ……!」
爪;'ー`)「――ッッッ!!」
フォックスが力強く一歩踏み込む。
瞬間、彼の拳で衝撃が爆発し、ブーンを再びグラウンドの端へとブッ飛ばした。
.
329
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:29:32 ID:Ip8umvoQ0
爪;'ー`)「……あー。ビックリした」
休息も束の間、ブーンを吹き飛ばした方向から数本の剣がフォックスに向かって飛んできた。
遠隔操作はされていないようだが、その威力は想像するまでもなく必殺であった。
爪;'ー`)「ああもうッ」
フォックスは一本目の剣をその場で跳んで回避。
続く二、三本目を徒手で弾き、四本目は肘と膝で挟み取って真っ二つに砕いて見せた。
爪;'ー`)「あーメンドくせっ」
しかし、なおも飛来する剣に痺れを切らしたフォックスは、
四本目を掴み取り、残りの攻撃を全てその剣で打ち払った。
放った剣は全滅。
だが、時間は十分に稼いだ。
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330
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:30:14 ID:Ip8umvoQ0
(# ω゚)「検索、原典定義、規定、【大長刀・アハト】――『補完』」
(# ω゚)「――『過程再現』――【最大長刀・アハト=アハト】」
ブーンが次に作り上げるは数メートルを超える巨木のような大刀。
最早それは人間が扱う域を超えた規模。
それもツンちゃんが二次創作で考えたモンハンの大剣。
とにかく馬鹿でかい剣。これならアカムも真っ二つだ!という説明文があるような一振りだ。
しかしこの大剣が出てきた物語は未完。故に、最終形態はブーンによって補完される――
爪;'ー`)「……ああ?」
(# ω゚)「――――『最終定義』、【無限大長刀・アハト=インフィニティ】」
瞬間、ブーンの真上に空を突き刺す果てしない刀身がそびえ立った。
月ごと切り裂いて振り下ろされそうな化物染みた大剣を、ブーンはフォックスに向け――
(# ω゚)「死ねおォォォォォォォォ!!」 ズァァァァァッッ!!
――なんの策略もなく、振り下ろした。
爪;'ー`)(避けるとか、じゃない。学校どころか、街ごと潰される――!)
フォックスに到来するのは人を斬るという目的を無視した圧倒的な破壊。
結界内でなければ数万という人間を同時に殺しかねない一刀が、フォックスの視界を暗転させる。
.
331
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:30:54 ID:Ip8umvoQ0
――次の瞬間、地球上に一筋の斬撃が奔り抜けた。
.
332
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:31:34 ID:Ip8umvoQ0
……刀の一振りが引き起こした大地震が、次第に収まっていく。
この攻撃でブーン自身も大きく吹き飛ばされ、学校や町という風景は剥き出しの大地に成り果てていた。
もはや質量の暴力――木端微塵に破壊し尽くされた光景に、文明の跡形は一切ない。
(; ω゚)「……化物はどっちだお」
しかし、ここまでやってなお――
爪;'ー`)「……あーもうしんどい。帰りたい……」
怨敵は健在、肢体にも傷一つなかった。
(; ω )「――ぐッ!」パキッ
途端、ブーンの視界に致命的な亀裂が走った。
それが切欠になったのか、補完復元した剣も光の粒になって一斉に消滅してしまった。
(; ω )(まだ、駄目だお。倒れる訳には……!)
だが、思いとは真逆にブーンの体からはふっと力が抜けていった。
思わず膝が折れ、体がそのまま地面に倒れていく。
(; ω ) ドサッ・・・
.
333
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:32:16 ID:Ip8umvoQ0
爪;'ー`)「……終わった? じゃあもういい?」
ブーンが倒れたのを見るや、彼はすぐさま錠剤を一つ取り出して飲み込んだ。
爪;;;;;;;:)「身代わりやんのも大変じゃんか。ったくよお……」 グチ、ネチョ・・・
フォックス――の形をしていたその顔、その肉体が、グチャグチャと音を立てて変形していく。
その様子を視界の片隅で見ていたブーンは、ここでようやく自分がミスを犯したのだと理解した。
(; ω゚)「お前、誰だお……ッ!?」
川 ゚ 々゚)「――はいっ! つーわけで、くるうちゃんでした!」
川 ゚ 々゚)♭「残念ッ! 本物は、あっち!」
正体を晒した女は空を指して微笑する。
(; ω゚)「……お?」
ぐっと顔を上げると、ひび割れた視界に不自然な黒い点が映った。
黒点は徐々に大きく――いや、ここに向かって落ちて来ている。
(; ω゚)「……ド、クオ……」
能力の対価にならず、おぼろげに残っていた名前を呟く。
今や顔も声も思い出せないが、あの黒点がドクオという名前だった事だけは確信できた。
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334
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:33:39 ID:Ip8umvoQ0
爪'ー`)「代役ご苦労、こちらも済んだ」 トッ
川 ゚ 々゚)「あ、おかえんなさい」
くるうの傍らに本物のフォックスが先んじて着地する。
彼は刀剣に付着した紫色の血液を振り払うと、剣を収めてブーンを見た。
爪'ー`)「いや、すまないね。
邪龍の方が厄介だと思って、先にやらせてもらったよ」
(; ω゚)
烈風を巻き起こす漆黒の両翼、するりと伸びた尻尾。
そのどちらもが致命傷を受け、原形を留めないまでに破壊されている。
フォックスの剣に鱗ごと斬り裂かれたであろう胴体には、内臓に達するほどの深い斬撃が刻まれていた。
邪龍の巨躯が地に落ち、灰色の世界に横たわる。
ブーンは、その姿を見て阿鼻を零すことしか出来なかった。
(; ω )「お、おお……!!」
腹の中で不快感がのた打ち回る。
名前しか覚えていない筈なのに、あらゆる感情が理性を超えてぐちゃぐちゃに混ざり合う。
混ざり、次々とその色を変えていく感情は次第に純粋な一色に落ち着いていく。
それは色んな絵の具を混ぜて、最後に行き着く色彩と同じ。
.
335
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:34:19 ID:Ip8umvoQ0
(# ゚ω゚)「――――」
殺意を表す無明の黒。
しかし、一瞬真っ黒に染まった感情はすぐさま熱を失った。
内藤ホライゾンが次に対価に差し出した記憶は、今必要な記憶以外の全てだった。
( ω )
目の前の二人を殺す。
彼はその指向性だけを肉体に残し、『内藤ホライゾン』という個性を放棄した。
爪'ー`)「……くるう、次からは即座に止めを刺せ」
川 ゚ 々゚)「あーい」
一度は収めた剣を抜き、ブーンの動きに集中する。
彼はもう一度立ち上がる――フォックスの予感は、間もなく的中した。
.
336
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:35:55 ID:Ip8umvoQ0
( ω )
――立ち上がり、思考を展開する。
相手は二人。通常火力では太刀打ちできない圧倒的な格上達
しかし残された記憶は僅か。それも失う訳にはいかない最後の記憶だ。
記憶を材料にして剣を生み出すこの能力に、使える記憶はもう無い。
ならばリスク無しで使える『復元』の能力を使うしかない。
そして『復元』の対象は自分自身―― 一度は消却した記憶を、復元の能力で再構築する。
当然それは元の記憶に比べれば劣化品になる。
『元々あった記憶』ではなくなり、『後付された他人の記憶』に成り下がってしまう。
だが今は、それこそが必殺の武器を剣製する為の鍵であった。
『補完』の能力は元の情報が曖昧で不安定であればあるほど独自性を付加できる。
元が70%の完成度なら30%のオリジナルを――
元の数字が低いほど、この能力は原典を捻じ曲げて強力な剣を捏造できる。
具現化、記憶の消却、記憶の劣化復元、具現化、記憶の消却、劣化復元――
これを繰り返す度に剣は独自性を増し、ブーンは己の記憶を完全に失っていく。
.
337
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:36:00 ID:Z4H0F3no0
どう見てもFateです本当に
338
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:36:42 ID:Ip8umvoQ0
破滅と引き換えの片道切符――行き着く先は、無限の剣製。
――――今ここに、『原典』は完成した。
.
339
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:37:29 ID:Ip8umvoQ0
灰色の結界世界、一面荒野に変えられた大地。
そこに立つ男達は、戦いの前に言葉を交わす。
( ^ω^)「……もう、何も覚えていないんだ、」
( ^ω^)「自分の名前も、ここに居る理由も。
過程で一度は記憶を取り戻しても、それが自分の記憶だという実感はない、」
爪'ー`)「……ならばどうだろう? 我々の仲間になるというのは」
フォックスは軽く手を差し出し、彼に微笑みかけた。
彼はその手をしばし見つめた後、鼻で笑って問い掛けに答えた。
( ^ω^)「残された記憶は三つだ、。
お前達を殺せ。後ろの邪龍を何としてでも助けろ、剣を作れ」
( ^ω^)「俺はこの記憶を絶対に果たす気でいる。
ならば、お前の仲間になるというのは無理な話だ、」
爪'ー`)「……いや残念。本当に、残念だ……。
その意気で分かる。君は本物の勇者になりえた。実に、惜しい……」
手を下ろし、ポケットから薬のケースを取り出したフォックス。
彼は激化を促す薬を一粒、二粒と飲み下し、ふたたび剣を握りなおした。
爪'ー`)「だが嬉しい事もある。戦いの勝敗はどうであれ、君はここで終わりだ。
その能力、もう二度と使うことはできまい?」
爪'ー`)「勇者軍を壊滅しかねないその力、ここで使い果たして往け」
爪'ー`)「相手は『王座の九人』、フォックスが承った。
存分に、命を削りあうとしよう……」
.
340
:
名も無きAAのようです
:2015/12/03(木) 21:38:18 ID:Ip8umvoQ0
――そのとき、空から一振りの剣が落ちてきた。
剣は大地に突き刺さり、静寂する。
爪'ー`)「くるう、君は戻ってモララー達の援護だ」
川 ゚ 々゚)「え、いいの? 死ぬよ?」
爪'ー`)「君が居ても同じだよ。それに、これの足止めは私以外には出来ない。
あとの事はモララーが仕切るだろう。問題ないさ」
爪'ー`)「それより、先代勇者の居場所を絶対に突き止めるんだ。
ハインリッヒは上等な素材だったが、魔界を攻め落とすにはまだ足りない」
フォックスは、最後にくるうを一瞥した。
川 ゚ 々゚)「……なんか言い残す?」
爪'ー`)「……新参が気を遣う必要は無い。早く行け」
しばしフォックスの背中を見つめると、やがてくるうは意を決し、結界空間の果てへと駆け出した。
これで邪魔はない。あとは始まりの合図があれば、それで火蓋は落とされる――
.
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