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( ^ω^)ブーン系小説&イラスト練習総合案内所のようです

131( ФωФ)”闘将”ロマネスクは亡国の英雄だったようです:2015/08/08(土) 02:31:06 ID:ePwrKRQw0
小石が小刻みに震えるほどの地鳴り。遥か彼方に巻き上がる砂煙と、蠢く黒い影。
全てを照らす陽光をも遮る黄塵万丈にかすむ大地。
暗雲が垂れ込め、まだ真昼だというのに日が暮れたように薄暗くなる。
まるでかの魔のものたちによる時代の幕開けである、と言わんばかりに。

この世のものとは思えぬ光景に連合軍の士気が下がりかけた瞬間、一陣の風が吹き抜ける。

(#ФωФ)「――聞けい、皆の者ォ! これは天地開闢以来の大戦である!!」

そして空気が震えるほどの勇ましい大声。その声の主に兵士たちの視線が注がれる。

(#ФωФ)「魔王軍何するものぞッ! 我ら人間の底力を見せてやれ!
                   さあ、刮目して見よ! 天も我らを味方しておるッッ!」

“闘将”ロマネスクが馬上で優に二間を超える長さの大身槍をぶん回しながら、雄叫びを上げる。
その大身槍を天に掲げると、どす黒い雲間から光芒がロマネスクを照らす。
爛々と輝く目には寸分の迷いもなかった。ただ、勝利という二文字のみを見据えていた。

その様子に、兵士たちは戦の神として崇める神話の英雄を幻視した。
戦の神が自分たちに味方している――そう受け止めた兵士たちはあらん限りの雄叫びを上げ、自らの武器も同じく天に掲げる。



朦朧としていた意識がわずかに覚醒する。身体が鉛のように重い。
疲れ果てた精神は、眼前にいる亡者どもしか把握できていない。
長年の相棒だった大身槍は、かの”憤怒の巨人”を突き殺した際、使い物にならなくなった。

日が暮れ、日が昇り、再び日が暮れた。斬った首は千を超えてからは数えていない。
闘争心が枯れる気配はない。むしろ油と薪をくべたように、なお燃え滾っている。
だが鍛えぬいたはずの肉体が、この業火のような闘争心についていかない。
返り血が体中に付着し、そのわずかな重みが全身を蝕んでいく。
剣を振るう腕の感覚は、血をせき止めたかのように鈍い。足も棒のように凝り固まっている。

地には無数の死体、体液でまみれている。これを戦場と口にするのも憚られるほどの惨状。
まさしく地獄絵図である。一息の休息すら許されない阿鼻叫喚の真っ只中で、ただただ剣を振るい続ける。

己の誇りと共に、王より受け賜られた名剣。それを手にした腕から、重みが消える。

(;Фω )「う、ぬ――」

そして甲高い音が耳に届いたとき、己の「国を護る」という誓約も砕け散った事を悟った。




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