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( `ハ´)『珀の心』のようです
1
:
名も無きAAのようです
:2015/07/19(日) 19:00:04 ID:C9k.8stQ0
ひゃあ現行を放り投げて書く飯テロはたまんねえ。
64
:
名も無きAAのようです
:2015/07/19(日) 21:17:32 ID:bkgKpQLo0
中華料理食いたくなった…
65
:
名も無きAAのようです
:2015/07/19(日) 21:31:04 ID:dcvwUmgY0
本気で美味しそう
近々彼女と四川料理食べに行くんだけどスッゴい楽しみ
66
:
名も無きAAのようです
:2015/07/19(日) 23:05:44 ID:1ETcmx3c0
正統派のグルメって感じで面白かった
おつおつ
67
:
名も無きAAのようです
:2015/07/19(日) 23:22:37 ID:HjfTG34k0
面白かった。グルメ物としても面白いし、人情物としても楽しめた。いろんな人が来店してシナーが悩みを解決していくストーリーとしてやっていけそうだ。そしてそれが見たい。
68
:
名も無きAAのようです
:2015/07/19(日) 23:38:04 ID:PEXIRX4s0
おつおつ
くそう腹減ってきたじゃないか
69
:
名も無きAAのようです
:2015/07/20(月) 00:40:41 ID:q7p9QY860
おつおつ!
シナー最高だった・・・!心温かくなった!
70
:
名も無きAAのようです
:2015/07/20(月) 01:33:07 ID:2/XMdqgQ0
いいなあちゃんとした中華食べたくなった
おつおつ
71
:
名も無きAAのようです
:2015/07/20(月) 04:28:58 ID:wLdbjDOk0
おつ
心があったかくなったよ( ´ ▽ ` )
続編書いて欲しいやつ
72
:
名も無きAAのようです
:2015/07/20(月) 06:29:23 ID:/3FNNEPU0
乙!自分もくたびれたリーマンだから心にくる物があったよ。年甲斐もなく少し泣いてしまった。こんな店見つけたいなあ。
73
:
名も無きAAのようです
:2015/07/20(月) 17:15:53 ID:tqfEXKQg0
乙乙乙
これ絶対トソンの征服の人の作品でしょ
面白かった
74
:
名も無きAAのようです
:2015/07/21(火) 06:23:54 ID:.fWqpjfE0
たくさんの感想ありがとうございます。
都内に店を構える友人の中国人をモチーフに書きました。
皆も行きつけの良い店を見つけられると良いですね。
現行のトソンの常に征服も頑張ります。
75
:
名も無きAAのようです
:2015/07/22(水) 05:56:20 ID:bOqldd9.0
乙
すごく良かった
友人の中国人の店知りたいわー
76
:
名も無きAAのようです
:2015/07/24(金) 14:59:52 ID:GbRp95Es0
すごくいい!出て来た料理どれもおいしそうだったし、シナーの話は心が温かくなった。
本当によかったよ。乙です!
77
:
名も無きAAのようです
:2015/07/25(土) 14:06:03 ID:j14sIVLw0
おつ
すごく良い人情話だったし出てくる料理出てくる料理どれも旨そうだった
78
:
名も無きAAのようです
:2015/08/03(月) 11:21:06 ID:0iBNmFYg0
良かった。良い話や
79
:
名も無きAAのようです
:2015/08/05(水) 21:14:50 ID:Nwhqvl1I0
中国人って小さい「つ」発音できないんだよね。
あと語尾が強いネ。流石にアルは言わないけれどw
上手く再現出来てるし話も面白いし感動したしお腹すいた。
80
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:15:39 ID:5vL5xMqw0
投下します。
二本立てだよ。
81
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:17:56 ID:5vL5xMqw0
百物語参加作品です。
82
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:23:08 ID:5vL5xMqw0
カッとした初夏の陽射し。
アスファルトジャングルにこれでもかと乱反射を繰り返し、そこに住む生き物達をじりじりと焦がした。
その陽ざしから逃げる様に駅前の暗い路地に入ると、ひっそりと営業する小料理屋『琥珀』を見つけることができるだろう。
熱さが和らぐ夕方頃。ひぐらしの声が暗い路地にまで響く。
(,, Д )「......ここだ。」
(* ー )「......」
キィ......キィ......シャラン......
揺れる彼女からは金属の軋む音と鈴を鳴らしたような澄んだ音が響く。
ガラガラガラ
ゆっくりと店内に入り見渡すと日本人から見ると少し不気味な真っ赤な蝋燭に照らされた3つの頭。
2つは驚き言葉を失い1つはニコニコとこちらを見る異様な光景があった
-----------------------------------------------------------------
------------------------------------------------------
-------------------------------------
--------------------------
----------------
83
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:24:37 ID:WE8z2WWY0
おお、これの続編が見られるのか。見たかったんだ。
84
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:25:05 ID:5vL5xMqw0
「そうだ、今度実家で子供たちと百物語って怪談会で話すんだけれどシナーさんは何か怖い話持ってないかお?」
『琥珀』での帰り際の何気ない会話。
それが先日。
その一言を聞くと彼は何やら長いこと考え「また来週来てほしいアル」とだけ告げた。
そして今日。
彼は真っ赤な蝋燭に火をつけ燭台に乗せると、ことり......とそれをカウンターに置いた。
( `ハ´)「おいちゃんが小さい頃の話アル。」
85
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:26:26 ID:5vL5xMqw0
.,、
(i,)
|_|
『恐怖の水餃子』
.
86
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:27:35 ID:5vL5xMqw0
おいちゃんの家族は水餃子を売て生計をたててたアル。
父が皮をこねて肉を詰め、母が時間を計り茹でる。昔ながらの手作業の水餃子屋さんネ。
当時は貧乏だたから貧乏な所にしか住めなくて、さらにそこで貧乏相手に水餃子を売るから全くお金が稼げなかたヨ。
でも近所ではうちの水餃子の肉は他の店よりも美味しいと評判だたネ。
儲けが殆どでないから良い材料を買える筈が無いのに、何故だか家の水餃子の肉は美味しいと評判......
違和感はあたけどおいちゃんはまだ小さかたからそんな矛盾に気付けなかたアル。
87
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:29:05 ID:5vL5xMqw0
貧乏だったから食事は朝と夜の2食だけ。
それでも毎日父と母とおいちゃんの3人で食卓を囲んで食べるのはとても楽しかったアル。
2人はとても優しくて貧乏なんて気にならかった。
一つだけ不満だったのは水餃子屋さんの子供なのにその水餃子を食べた事が無かった事。
いくら頼んでも両親は頑なに首を横に振り水餃子を食べさせてくれなかった。
88
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:30:02 ID:5vL5xMqw0
('A`)「既に不安しかないんだけど。」もそもそもそ
( ^ω^)「絶対あかん肉やそれ。」はむはふはふ
( `ハ´)「あ、お酒切れたネ。新しいのもて来るネ。」
すたすたと厨房の奥に消える。
('A`)「この野菜炒め美味しすぎる。」もそもそ
( ^ω^)「この野菜何?滅茶苦茶うまいカイワレみたいなやつ。」
( `ハ´)「豆苗とマコモダケの野菜炒めネ。」
奥から冷凍庫で冷やした青島ビールを2本持ち出し良く冷えたグラスに注ぎながら言う。
( `ハ´)「カイワレみたいなのは豆苗て言う高級食材ネ。エンドウ豆の若い葉ぱね。マコモダケは......ってモー、料理の説明よりもおいちゃんの話を聞いて欲しいネ。」
( ^ω^)「美味しすぎるのが悪いんだお。」
('A`)「ごめんね。」
ごほんと1つ咳払いの後語りを続ける。
89
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:31:22 ID:5vL5xMqw0
おいちゃんが小学校に上がると年に数回お弁当を持参する日があたアル。
普段家で昼食は食べなかたからその日母は弁当を作るのを忘れてたネ。
おいちゃんが両親の水餃子を食べたいて事もあたけれど、何より学校の友達に美味しい水餃子を食べさせてあげたかたネ。
魔が差したアル。
アルミ製のおいちゃんのお弁当箱に10個。
配達に行てる母の目を盗んで店の厨房に忍び込み、出来立ての水餃子を入れたアル。
昼の時間を楽しみにしながら登校したネ。
90
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:33:22 ID:5vL5xMqw0
あまりにも楽しみすぎて全速力したら登校途中にド派手に転んだヨ。
膝をすりむいたけれどそれよりも水餃子の事が気になてお弁当を開けて確認したアル。
驚いたネ。
10個あた筈の餃子が8個になてたアル。
でもおいちゃん子供だたから深くは考えなかたネ。
ここで気付いていればあんな恐怖を味合わなかったのに。
.
91
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:34:38 ID:5vL5xMqw0
外国語を喋りすぎたのか息継ぎのために口に水を含む。
('A`)「......そういえば気になってたんだけれどなんで今日は蝋燭なんか立ててるの?」
( ;`ハ´)「今更アルか......あれから百物語について調べたらこうやて蝋燭を付けるて書いてあたネ。」
(;^ω^)「あ、忘れてたお......これ怖い話だたのか。邪魔してごめんだお。」
( `ハ´)「和蝋燭なんて無かたからうちの国の赤いの使たネ。でもこの蝋燭て旧正月のイメージだからなんか変な感じアル。」
92
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:36:36 ID:5vL5xMqw0
学校に着くと早速友達に昼食で最高に美味しい水餃子を食べさせてあげると言いふらしたネ。
授業が始まても水餃子が気になて仕方がなかたアル。
まだ9時前なのにまだかまだかと弁当箱をちらちら見てたネ。
誰かに盗まれていないかと心配になて開けてみるとまた餃子が減ていたアル。
6個。
流石のおいちゃんも分かたネ。
何か恐ろしい事が起きている。
誰が盗んでるわけじゃないとしたら水餃子が勝手に動いているのだ。
93
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:37:32 ID:5vL5xMqw0
勝手に消える水餃子はとても怖かたネ。
机の中を探しても床に這いつくばて探しても見当たら無かたアル
見間違いじゃなかたヨ
確かめる様にもう一度開ける。
4個。
おいちゃんもうこの時点で泣きそうだたネ。
怖かたこともあるけど両親の水餃子が食べられなくなることが悲しかたネ。
94
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:38:26 ID:5vL5xMqw0
もうすぐ昼の時間。
休み時間はいつもなら外で遊ぶのに今日は教室の中で弁当箱を見つめていたネ。
仲の良い友達にあげる分と自分の食べる分くらいは残てて欲しかたヨ。
それは突然の出来事だったアル。
ぐちゃり.......
小さな音だったが確かに聞こえた。
肉が蠢くような音が。
驚き体が動かない。
が
子供特有の好奇心からかすぐに手を伸ばしてゆっくりと蓋を開ける。
95
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:39:29 ID:5vL5xMqw0
やっぱり無くなっている。
2個。
これ以上減らないようにすぐに蓋をしめた。
友達に上げる分すら無くなってしまった。
後で謝ろう。
次に餃子を食べることができるチャンスはいつだろうか。
1つだけでも食べたい。
1つだけ......
弁当箱の中で起こっている異変には気付けるはずもなかった。
96
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:40:53 ID:5vL5xMqw0
待ちに待った昼食の時間。
誰よりも早く弁当箱を開ける。
0個
酷く落胆した。
自分の食べる分さえ無くなっていた。
97
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:42:00 ID:5vL5xMqw0
次食べる機会が訪れるのは何時だろうか……
でもこれ以上恐怖は起こらない。どこか安堵感もあった。
うな垂れたまま弁当箱をしまうために蓋をして持ち上げる。
が気がついてしまった。
98
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:42:50 ID:5vL5xMqw0
重い。
.
99
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:43:33 ID:5vL5xMqw0
アルミの弁当箱にしては重すぎる。
中に何かがいる。
驚き床に落としそうになるが持ちこたえる。
そして未知のものに刺激を与えないようにゆっくりと机に置きなおした。
恐る恐る上蓋を持ち上げアルミの弁当箱の中を覗く
やはり何もいない。
弁当箱の中身は空。
何だ一体何が……
違和感を感じる。
弁当箱が重いわけではない。
蓋を開けた腕がとても重い
重いのは腕の先。
100
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:44:52 ID:QbRPzEA60
おいまさか・・・
101
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:44:58 ID:5vL5xMqw0
そう、上蓋が異様に重いのだ。
上蓋を恐る恐るひっくり返す。
心臓が止まりそうになった。
102
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:45:44 ID:5vL5xMqw0
そこには
蓋の裏に
びっしりと
張り付いた
103
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:46:26 ID:5vL5xMqw0
10個の水餃子があった......
.
104
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:47:12 ID:5vL5xMqw0
(
)
i フッ
|_|
105
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:47:51 ID:WE8z2WWY0
フッ
じゃねえよwwwwwwギャグじゃねえかwwww
106
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:47:52 ID:mrEfIoJA0
なんだギャグか
107
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:48:31 ID:QbRPzEA60
何がフッだwwww
108
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:48:46 ID:cRcSEBvoO
乙
おいオチ!!!って、リアルに叫んだわ
109
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:49:58 ID:5vL5xMqw0
1本目は以上です。
2本目はまじめにやるから許して。
訂正
>>91
×( ;`ハ´)「今更アルか......あれから百物語について調べたらこうやて蝋燭を付けるて書いてあたネ。」
○( ;`ハ´)「今更アルか......あれから百物語について調べたらこうやて蝋燭を点けるて書いてあたネ。」
110
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:50:49 ID:xsDjgfog0
乙
くっそ、やられたww
111
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:52:05 ID:5vL5xMqw0
2本終わったら本スレにまとめて報告します。
以下幕間
112
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:52:54 ID:5vL5xMqw0
( `ハ´)「終わりアル。」
( ^ω^)「......」
(゚A゚)「......」
( `ハ´)「......終わりアル。」
113
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:53:36 ID:5vL5xMqw0
(#^ω^)「ギャグじゃねえかああああああああ!!!」
(゚A゚)「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」プルプルプル
(#^ω^)「目を覚ませドクおおおおおおおお全く怖くねえおおおおおおお!!!」バシッバシッバシッ
(゚A゚)ガクガクガクガク
( `ハ´)「でも水餃子......」
(#^ω^)「餃子はいらんおおおおおおおおお」
pipipipipipipipi
ブーンの叫びを裂くように厨房からアラームが鳴る。
114
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:55:02 ID:5vL5xMqw0
( `ハ´)「餃子蒸しあがたアル。あ、内藤さん餃子はいらないネ......残念アル。」
(#^ω^)「すんませんでしたああああああああああ!!!!」
(゚A゚)「シナーさんの手こねの皮めちゃくちゃおいしいんですううううううう!!!」
(#^ω^)「小籠包もおいしいんですううううううううう!!!!」
小料理屋『琥珀』は今日も常連客と共に賑わう。
115
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:56:00 ID:5vL5xMqw0
1話、1本目終わり。
2本目行きます。
116
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:56:57 ID:5vL5xMqw0
恐怖?の水餃子を聞き終え、残りのコース料理を全て平らげた後。
( ´ω`)「は〜今日も美味しかったお。」
( `ハ´)「ありがとアル。」
('A`)「お酒結構飲んだね。大丈夫?」
( ´ω`)「余裕余裕。そういえばシナーさんの国には幽霊とか妖怪とかいないのかお?」
( `ハ´)「中国の幽霊は子どもを驚かせるための迷信みたいなもんアル。大人になてからは全く聞かないネ......」
('A`)「妖怪は?」
( `ハ´)「基本的に中国には妖怪はいないアルね。」
('A`)「そうなの?日本みたいに沢山いるのかと思った。」
( `ハ´)「龍とかの幻獣は聞くけれど妖怪とは違うネ。あ、妖怪はいないけどキョンシーは有名ネ。」
( ^ω^)「あれは......妖怪?ゾンビ?」
('A`)「人間が作ったから妖怪ではないのかな?」
( `ハ´)「おいちゃんはそこらへんよーわからんネ。日本には幽霊も妖怪もいて想像力豊かな国ネ。」
(;^ω^)「神様も八百万柱いるからね......」
( `ハ´)「おいちゃんの国はそんな幽霊とかよりも人間の方が怖いネ。」
117
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:58:52 ID:5vL5xMqw0
貧しい地区ご飯を食べられず餓死なんて当たり前。
生きるために必死に物を盗む子供もいる。
1日の食費を稼ぐために人を殺す人もいた。
と、顔に影を落とし続けた。
( `ハ´)「ま、そんなこと言てもそん時おいちゃんは子供だたからネ。」
( ^ω^)「おうふ.......」
( `ハ´)「それはそうともう一つとておきの怪談話があるネ。幽霊なんかは出ないけれどけこう怖いと思うアル。」
( ^ω^)「楽しみだおー。」
('A`)「今度はちゃんとしたやつか。」
( `ハ´)「あれ、いつも間にか蝋燭消えちゃてるネ。風も無いのに不思議アル。」
118
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:59:39 ID:5vL5xMqw0
( `ハ´)「おいちゃんの友人の話アル。」
雰囲気を出すために声色を低くし再び蝋燭に火を灯す。
119
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:01:17 ID:5vL5xMqw0
.,、
(i,)
|_|
『達磨女』
120
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:02:07 ID:5vL5xMqw0
新婚の夫婦がいた。
女は整った顔立ちをしていた。物静で優雅な振る舞いが絵になっていた。
だが笑った時の人懐っこい笑顔はまるどあどけなさが残る子供のようだった。
彼女は優しい目をしていた中国人。
男は身長が高くがっちりとした筋肉質の体型。
現職の消防士であり日々の鍛錬は欠かさなかった。
彼は顔は強面だがとても心優しい日本人。
121
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:03:35 ID:5vL5xMqw0
2人の出会いは中国本土。
彼が旅行先で持ち前の経験を活かして彼女を村の火災から助け出したのが始まりだ。
それは彼の仕事が忙しく遅れてしまった新婚旅行で中国に行った時の話。
夏のむしむしした夕方の繁華街を彼女を前にして彼は歩く。
(*゚ー゚)「久しぶりの里帰りだけれど......故郷も家族も友達もいないから特に行きたい場所も無いわね。」
(,,゚Д゚)「まあまあ、俺が君の故郷をもっと知りたいって我儘に付き合ってくれ。」
むすっとする彼女の頭に手を置いてなだめる。
(,,゚Д゚)「あと中華料理なんて友人の店でしか食べたこと無いし是非本場の味を食べたいんだ。」
(*゚ー゚)「もう。貴方ったらそればっかりね。」
シャラン......
彼女が振り向くと耳につけた銀の多重リングのピアスが鈴のような澄んだ音を奏でた。
122
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:05:07 ID:5vL5xMqw0
たくさんの屋台を横目にどこか落ち着ける店を探す。
(,,゚Д゚)「何か食べたいものはあるか?」
(*゚ー゚)「ふふ、なんでもいいわよ。」
(,,゚Д゚)「うーむ.......」
ぶつぶつとああでもないこうでもないと一人唸る優柔不断を見かねた彼女が一言。
(*゚ー゚)「......甘いもの食べれるところが良いわ。」
(,,゚Д゚)「ずいぶんと可愛らしい要望だな。」
(#゚ー゚)「もう!あなたが決めるのが遅いからアドバイスしたのよ。」
彼女は怒って必死に手を伸ばすが、1歩離れるだけでそれは届かない。
ぷりぷりと怒る彼女に合わせシャランシャランとピアスが揺れる。
表情豊かな彼女にとても似合っているピアスだ。
プレゼントしてよかった。
なんとか許してもらい再び歩き出すと、急に後ろから日本語の女性の声が聞こえる。
123
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:06:20 ID:5vL5xMqw0
川д川「あなた。達磨好きか?」
.
124
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:07:13 ID:5vL5xMqw0
うつむいて表情が窺えない和服姿。
どこか浮世絵離れしている女性がいた。
一瞬訝しげに見たがうきうき気分の新婚旅行で深くは考えなかった。
(,,゚Д゚)「ん?だるま?」
少し下を向き言葉の意味を考える。
(,,゚Д゚)「だるま......ダルマ.......ああ、達磨か。好きだが......ん?」
目をこする。
(,,゚Д゚)「んんん?」
女性の姿は既に無かった。
(*゚ー゚)「どうしたの、あなた?」
(,,゚Д゚)「いや、すまない。腹減ったし早く店に入ろう。」
中国には変な人もいるんだな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
125
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:09:09 ID:5vL5xMqw0
なかなか雰囲気の良い北京ダックの店を出て満足気に繁華街を歩く。
(,,゚Д゚)「本場の料理も美味しいが、やっぱり友人の店の方が美味しいしサービスも良いなあ。」
食後の杏仁豆腐には彼女も満足してくれたようだ。日本のコンビニに売っている物とは別物だった。
(*゚ー゚)「中国の人は冷たいと言うけれど確かに他人には冷たいわね。」
(,,゚Д゚)「ん?」
(*゚ー゚)「でも日本はサービスが仕事の一つだけれど本心で笑顔で他人にサービスしたいなんて人はいないでしょ。ましてや繁華街の安い賃金のアルバイトでね。」
(;゚Д゚)「あっ......」
(*゚ー゚)「中国にはサービスが給料に含まれて無いだけ。もちろん沢山給料が貰える高い店に行けば日本並みのサービスは受けられるわよ。」
どうやら何らかの地雷を踏み抜いてしまったらしい。
(*゚ー゚)「中国人は自国を含め国籍問わず初めて会う人には冷たいけれど、仲良くなるとガラリと変わって友達のために何でもするようになるほど深い関係築けるのよ。」
饒舌をふるう彼女だが何度か聞いたことある話なのでテキトーに相槌を打つ。
(*゚ー゚)「私達からしたら日本の『建前』って文化は信じられないわ。なんで知らない人に気を使わなきゃいけないのよ。だいたい日本の女性達の友情なんかは......」
彼女は彼の前にいるため話を全く聞いていない事には気が付かない。
126
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:10:03 ID:5vL5xMqw0
彼女は彼にまくしたてる様に散々喋った後。
「中国人は良くも悪くも正直なのよ?」
最後にそう締めくった。
(,,゚Д゚)「......さいですか。」
(*゚ー゚)「さいですわよ!」
何故かその小さな胸を張った。
(,,゚Д゚)「ジャパニーズタテマエね、確かに煩わしいと感じることが何度もあるな。でもあの店は本当に良い店だ。中国人のマスターも良い人だしな。」
(*゚ー゚)「あなたがそう言うなんてよっぽどなのね。」
(,,゚Д゚)「国に帰ったら連れて行く。」
127
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:10:44 ID:5vL5xMqw0
ぎゅるるるるる。
じわりじわりと嫌な汗が流れる。
(;゚Д゚)「うっ......」
先ほどの店で食べ過ぎたのか急に腹痛が起こる。
(;゚Д゚)「すまんちょっとそこの信号のところで待っててくれないか?」
(*゚ー゚)「えっ?」
(; Д )「......トイレ......すぐ戻るから。」
(*゚ー゚)「はいはい行ってらっしゃい。」
(; Д )「気を付けるんだぞ......知らない人についていっちゃ......」
(*゚ー゚)「はよいけ。」
よろよろとトイレへ行く彼を見送る。
(*゚ー゚)「はぁ......顔と性格が全く合ってないわね......」
128
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:11:47 ID:5vL5xMqw0
.
129
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:12:34 ID:5vL5xMqw0
川゚д川
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
130
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:13:33 ID:WE8z2WWY0
ヒェッ……
131
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:14:07 ID:5vL5xMqw0
(,,゚Д゚)「......」スッキリ
急ぎ足で戻る
(,,゚Д゚)「おーい!もどったぞー。どこだー。」
待ち合わせ場所には誰もいない。
(;゚Д゚)「あ......れ?」
先ほどとは違い今度は滝の様な汗がどっと流れる
(;゚Д゚)「ど......ど、ど、どどこだあああああああああああああああああああああ!!!!」
通路の人たちが驚き一斉にこちらを向く。
(;゚Д゚)「しいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」
待ち合わせ場所の信号付近にいる人に片言の英語で話しかける。
(;゚Д゚)『あの、ここらへん、小さな女性、見ませんでしたか?』
特徴があってわかりやすい彼女だ。誰かしら見ているはずだ。
しかし
<丶;`∀´>「アイゴオオオオオオオオmkfdsafiaop@mg9io0^aamfopa!!!!!jgioas!!!」
話しかけた人全員が必死な形相の彼を怖がって逃げていく。
生まれて初めて強面に生まれた事を後悔した。
132
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:15:16 ID:5vL5xMqw0
恥を捨て大声で叫びながら彼女を探した。
この広い人混みの中で見失ったら再び見つけるのはとても困難だろう。
叫び続けるが暫く経つと周りの人の関心は薄れたようで、ちらちらと振り向く程度になった。
自分が繁華街の日常に飲み込まれていく感覚を覚えた。
彼女の言う通りやはり中国人は他人にはとても冷たいのだろう。
(; Д )「あ......ああ......」
だめだ。落ち着け俺......ツーリスト・ポリスは中国には無かったはず。まずは警察に走ろう。
息をつくことも忘れて走る。
転がるように警察署に飛び込むと幸い日本語がわかる警察官に出会えた。
藁にもすがる思いだった。
お役所仕事の様な雑な対応にイラッとしたがこれで一先ずは捜索願いは出せた。
133
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:16:26 ID:5vL5xMqw0
ふらふらとホテルに戻る。あたりはすっかりと暗くなっていてどう帰ったのかも覚えていない。
直ぐに自国の消防署に連絡し訳を話すと休みの延長を貰うことができた。
幸い普段の仕事ぶりを上司が知っていてくれてよかった。
それからの1週間はあっという間だった。
食べることも寝ることも最小限にし繁華街を歩き回りPCで誘拐記事を調べる毎日。
顔はやつれ無精ひげは生え放題。鏡を見ると一気に10歳は老けこんだのではないかと思う。
中国は何か月もビザなしで滞在できた筈だ。
しかし残念なが俺には生活がある。戻ってきたときに職が無いなんて聞いたら彼女が悲しむだろう。
次の週。歯を食いしばりながら帰国した。
134
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:18:02 ID:5vL5xMqw0
中国警察には大使館を通しすぐに連絡をしてもらうように言ってある。
帰国してからマスコミに質問責めにされる事態が起こったが報道してもらって目撃証言を集められるのは幸いだった。
世間ではちょっとした有名人だ。
1ヶ月後再び1週間の休みを取ることができた。
この1ヶ月は仕事が手に付かず気が気では無かった。
彼女には両親や友達はいない。故郷も既に焼き払われた。
いなくなっても心配するのは自分だけだ。
自分......1人だけ......
踏み出すのに時間がかかってしまった。
中国警察からの連絡は無し。
捜索してくれているのかも怪しい。
休めるのはこれが最後だろう。これ以上続けるとクビになってしまうかもしれない。
それでも構わない。彼女がいなければ仕事なんてする意味がない。
以前と同じホテルへチェックインし、中国語で書かれた捜索願いのビラを両手に繁華街へと繰り出した。
135
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:18:46 ID:5vL5xMqw0
受け取ってもらうのは簡単だった。そりゃ数年分の給料を報酬としてかけているんだから当たり前だ。
3日間繰り返すが全く情報は入って来なかった。
あの日待ち合わせた信号の前でうなだれる。
(; Д )「俺の......大切な人なんだ......頼む......無事でいてくれよ......」
どれくらいそうしていただろうか。
136
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:19:26 ID:5vL5xMqw0
川д川「あなた。達磨好きか?」
.
137
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:20:20 ID:5vL5xMqw0
突如声をかけられた。
見上げると浮世絵離れ離れした和服を着た髪の長い女性。
いや、声をかけられたと言うよりもただ目の前に立ち誰にでもなく話しかけている様に感じられた。
(;゚Д゚)「きっ、君は!あの時もいた......」
かすかな希望をもち立ち上がる。
川д川「......」
(;゚Д゚)「なあ!!!あの時もいた子だろう?」
川д川「......」
(;゚Д゚)「俺の彼女がここの信号の近くで誘拐されたんだ、何か知らないか?」
川д川「......」
無言。
138
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:21:05 ID:5vL5xMqw0
(;゚Д゚)「......聞いているのか?」
川д川「あなた。達磨好きか?」
うつむき表情は窺えない。
(;゚Д゚)「おい!聞いてくれよ。もう頼るあてが無いんだ!」
川д川「あなた。達磨好きか?」
俺を無視して淡々と呟く女性にイラつき声が大きくなる。
(#゚Д゚)「ああ、俺は達磨は好きだ!だから彼女に心当たりが無いか教えてくれ!見ればすぐに分かるはずだ。だって彼女は......」
139
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:22:06 ID:5vL5xMqw0
川゚д川「付いてきて......」
.
140
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:23:13 ID:5vL5xMqw0
急に踵を返し人ごみをすり抜けるようにスルスルと移動を始める。
(;゚Д゚)「お、おい!」
見失わない様に人にぶつかりながら追いかける。
いつの間にかいかにも治安が悪そうな暗い裏路地に差し掛かる。
(,,゚Д゚)「何処へ行ったんだ......」
見失ってしまった。
(#゚Д゚)「糞っっ!!!!」
裏路地の出口を探そうとあたりを見渡す。
途端、視界の端に奇妙な建物が映る。
141
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:24:09 ID:5vL5xMqw0
中華式のロールケーキの様な瓦屋根が錆びついていて汚らしい。
嫌味なほど紅と金の装飾が施されているぎらぎらとした館の様な建物。
『達磨館』
看板にはそう書いてあった。
気味が悪い。
率直な感想だった。
だが日本を感じられる建物に惹かれゆっくりと彼は吸い寄せられる。
何か手がかりがあるかも知れない。
まともに言葉が通じる人がいるかもしれない。
淡い希望を抱く。
暖簾をくぐると異質な光景が広がっていた。
142
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:25:21 ID:5vL5xMqw0
日本のものと思われる達磨がずらっと並べられており店員らしき人物はいない。
恐る恐る奥へ進むと達磨が敷き詰められた壁以外に幾つか檻がはめ込まれている。
「うう......」
「うぅ......ぐ」
中からは呻き声の様なものが聞こえる。
檻の中の一つを覗く。何も入っていないと思ったが部屋の隅に肌色の肉塊が転がっていた。
(;゚Д゚)「ッッッ!?!?!?!?!?」
焼けて爛れて赤黒くなった顔。目が開けないほと癒着しているのだろう。
手足は付いておらず腕と足の付け根には汚らしい包帯が雑に巻きつけられていた。
衣服は身につけておらず毛は伸び放題。
どのくらい此処にいるのだろう。
体つきからみて30代の男性だろうか。
(;゚Д゚)「見世物小屋......」
そんな言葉が頭自然と漏れる。
気持ち悪くなり目を反らす。
他の檻にも同じ様に小さな肉塊が閉じ込められているだろうか?
143
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:26:20 ID:5vL5xMqw0
くらっと目眩がし、隣の檻へ手をかけ倒れそうになるのを堪える。
顔をあげると先ほどよりも髪の長い肉塊が部屋の隅で震えているのか目に入った。
やはり同じ様に手足が根元から切り取られ包帯が巻かれていた。
まだ新しいのか巻きつけられている包帯はまだ綺麗だ。
これは女性だろうか。
「う......うぐぐ、ぐがだずげぐごでがが」
檻の中の女が口を開く。
見えてしまった。
144
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:27:06 ID:5vL5xMqw0
口の中にあるべきものがない。
舌と半分ほど切り取られているのかうまく喋れていないようだった。
歯もいくつか抜かれている。
ズル……ズル......と肉の擦れる音を立ててこちらに近づく。
(; Д )「惨すぎる......」
もう限界だ。
他の檻なんて見る気も起きない。
早くここを出て彼女を探しに戻ろう。
こんなものを見るために中国に来たんじゃない
俺は何も見なかった。
すぐにでも離れたかった。
振り向きふらふらと檻を後にする。
145
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:28:17 ID:5vL5xMqw0
どさっ......
後ろの肉塊が倒れたのであろうか。
そんな音を無視して振り向かずに離れようとした。
146
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:29:01 ID:5vL5xMqw0
が
倒れる音の後に今、この瞬間。
世界で1番聞きたくない音が聞こえてしまった。
147
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:29:42 ID:5vL5xMqw0
シャラン
.
148
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:30:32 ID:5vL5xMqw0
大好きな音が聞こえてしまった。
絶望に染まっていく顔で彼はゆっくりと振り向く。
心臓がうるさいほど激しく胸を内側から叩く。
焦点が定まらない。
149
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:31:13 ID:5vL5xMqw0
ズル......ズル......
シャラン
ゆっくりとこちらに近寄って来ている。
150
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:32:06 ID:5vL5xMqw0
「うぐ、うう......」
ズル……ズル……
シャラン
金縛りにあったかのように目が離せない。
151
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:33:40 ID:5vL5xMqw0
ズル......ズル......
シャラン
「うぐ、ぐぐ.......」
次第に音が大きくなる。
152
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:34:15 ID:mrEfIoJA0
うへぇ…
153
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:34:21 ID:5vL5xMqw0
ズル......ズル......
「......ど......ぐ」
シャラン
(; Д )「違う......」
死にかけの芋虫の様な動きが次第に早くなる
154
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:35:02 ID:5vL5xMqw0
ズル......ズル……
「や............うぐ」
シャラン
(; Д )「そんな訳は無い。」
あるはずが無い。
155
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:35:42 ID:5vL5xMqw0
ズル......ズル......
「やっど......」
シャラン
(; Д )「やめろ!こっちに来るな!」
お願いだ......やめてくれ......
156
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:36:22 ID:WE8z2WWY0
まじか、、、
157
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:36:41 ID:5vL5xMqw0
ガシャン!!!!!
158
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:37:32 ID:5vL5xMqw0
突然の大きな音に驚き現実に引き戻される。
目の前には檻に倒れかかった達磨の様な女性がいた。
目が......合ってしまった。
159
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:39:17 ID:5vL5xMqw0
女は整った顔立ちをしていた。物静で優雅な振る舞いが絵になっていた。
顔は傷だらけで見るに堪えない。ぱたぱたと感情に合わせて動く手足は既に切り取られ可愛らしい動きは二度とできない。
だが笑った時の人懐っこい笑顔はまるどあどけなさが残る子供のようだった。
彼女は笑っているがうまく笑う事が出来ないのかニタニタと気味悪く笑う。引き抜かれた下の歯の隙間からだらだらと子供の様にヨダレを垂らしている。
彼女は優しい目をしていた中国人。
その目の片方はくり抜かれ優しさなんて言葉とは遠い所にいる。まるで目を書き込む前の達磨の様だ。
「やっど......やっど......」
160
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:39:57 ID:5vL5xMqw0
(メ*”ー゚)「やっどむがえにぎでぐれたあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
.
161
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:40:37 ID:5vL5xMqw0
ガシャンガシャンとぶつかり檻を揺らす。
檻に噛みつき嬉しそうに歪む。
(メ*”ー゚)「ああああああいだがっだああああああああああああああ!!!!」
嗚呼......夢なら覚めてくれ。
目が覚めたらきっとまた2人で......
162
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:41:42 ID:5vL5xMqw0
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
泣いている様な......喜んでいる様な......彼女の声が耳から離れなかった。
163
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:42:22 ID:5vL5xMqw0
その男性は壊れてしまった彼女を車椅子に乗せ一緒に今も裏路地を彷徨っていると聞く。
丁度この店の外の様な暗い路地を。
彼女を壊した犯人を見つけるために。
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