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( ^ω^)達はアインクラッドを生きるようです。

1名も無きAAのようです:2015/06/28(日) 22:31:31 ID:k22M11bE0
立ったら投下がある。

844名も無きAAのようです:2016/03/25(金) 10:37:54 ID:beXcIwBYO
どんなに追い詰められようが、どんなに辛かろうが、男として、人として絶対に口にしちゃいけない言葉ってのがあるからな。
甘さとか未熟さとかで許されるレベルの発言じゃない。
ツンクーが切れてなかったらシャキンあたりが殴ってたんじゃないか

845名も無きAAのようです:2016/03/25(金) 11:47:19 ID:FgE/u1d20
クーのパフパフは一回いくらですか

846名も無きAAのようです:2016/03/25(金) 12:36:54 ID:mPnZWtxAO
クーはビコーズを自分と重ねたからの態度でしょ
ツンは擁護できないくらい空気読めてないけど

847名も無きAAのようです:2016/03/25(金) 20:06:09 ID:nvW2AgHk0
まあどうせ他人のせいにするやつなんて遅かれ早かれ死ぬしなww
心に傷を残せてある意味最高に死でいいんじゃね!?www

848名も無きAAのようです:2016/03/25(金) 23:00:49 ID:FCVPpaYc0
おつおつ

849名も無きAAのようです:2016/03/25(金) 23:48:52 ID:Gr/2K8NY0
おつ
今までといい今回のビコーズ、ツンやクー含めて、キャラクターに人物としての考え方の違いがそれぞれ出ているのが凄い。
それによるキャラの好き嫌いは人それぞれだけど、その人物の性格や考え方がしっかりみせてくれるの本当良いね

850名も無きAAのようです:2016/03/26(土) 00:39:27 ID:smiN1xRU0
どちらかといえばビコやミセリの状態のほうがよっぽど普通に思える
ショボンたちのほうが怖いわ

851名も無きAAのようです:2016/03/26(土) 01:47:21 ID:Gjitm6QY0
精神崩壊寸前の奴にクズ呼ばわり、暴力ですか。
まあ学生だから仕方ない所もあるけどこれは流石に・・・

852名も無きAAのようです:2016/03/26(土) 02:19:37 ID:BxDd8W7o0
今までの話だとギコしぃがいたからってのもあるけど未熟なところも悪いところもちゃんとあるのな。
クーはドクオの事だとしてツンは良くも悪くもそういう性格だって事かな、仲間以外にはキレると容赦がないというか

853名も無きAAのようです:2016/03/26(土) 03:01:27 ID:BxDd8W7o0
あとあれか、まだSAOに来たばかりの頃の話だっけか

854名も無きAAのようです:2016/03/26(土) 09:02:05 ID:5CT.3IUg0
ミセリって普段本編に出てきてるっけ?ごめんねあたし忘れちゃったよ…

855名も無きAAのようです:2016/03/26(土) 09:22:04 ID:dACbDCms0
ミセリに言い始めたから殴ったんだろ、黙らせなかったらミセリのほうが壊れてたんじゃないの…
言い方はもっとあっただろうけどさ、勝手に惚れられて依存されてそして責任を全部押し付けられたらミセリのほうが壊れるだろ

856名も無きAAのようです:2016/03/26(土) 09:46:21 ID:b/yUO6v.0
>ミセ*゚ー゚)リ「また来ますね!いこ!フィレフィレ!」

>(‘_L’)「ミセミセ。今日も食べすぎだぞ」

>ミセ*゚3゚)リ「ぶーー。たっておいしいんだぽん」

こんな役で出てるぞ 精神崩壊してるやんけ

857名も無きAAのようです:2016/03/26(土) 10:42:37 ID:BxDd8W7o0
>>855
女性陣はミセリ視点だった訳だな
女性からみたら女性の肩を持つのは当然だし男性が悪いように見えるよな

男女で視点が違う事をよく忘れる
男性視点で読むからツンが酷く思えるだけか
でもビンタはやりすぎ

858名も無きAAのようです:2016/03/26(土) 12:07:18 ID:oYBcjqoA0
http://is.gd/bM4zjX

859名も無きAAのようです:2016/03/26(土) 22:55:39 ID:G4fkvfyk0
「この世界に来たのはお前のせい」なんていう
この世界、特に5人におけるタブーを言ってしまったんだから殴るしかねぇ

860名も無きAAのようです:2016/03/27(日) 01:16:55 ID:gCdfxGv60
5人におけるタブーを5人に対して言ってないのに殴られたらたまんねーよ

861名も無きAAのようです:2016/03/27(日) 02:24:29 ID:ZWDimTIo0
嘘か本当か判断できない噂におどらされて仲間死なせて、しまいにゃその責任を惚れた女に負わせようってんだからたまんねぇよな

まだ混乱期の話だからツンも若気のいたりって感じか。これを匂わすようなエピソードがあったかどうか

862名も無きAAのようです:2016/03/27(日) 11:29:22 ID:UxUoh7co0
噂に踊らされたのはゼアフォーだけだけどな

863名も無きAAのようです:2016/03/27(日) 13:30:35 ID:36AiMRC.0
いやビコーズであってるぞ

864名も無きAAのようです:2016/03/27(日) 23:52:03 ID:MUWenynoO
ショボン組は全員それぞれ生まれながらに非凡な才能を持っていたり特殊な環境で生活したりしてる「強い人間」「いわゆる“勝ち組”」なわけで、世の中にはそこまで強い力や心を持っている人間ばかりじゃないということを理解していないんだろうな
そもそも正義の味方を目指してるわけでもないので弱者の気持ちを解ろうとしているわけでもないしする必要はない
一番の目的は「自分と友人達が無事に帰れること」なんだから
中途半端な正義感が先走って他人を平気で傷つけるようなことも時には言ったりしたりするわな

って書いて今まで自分がショボン達5人に感じていた不気味さというか気持ち悪さはこれだったことに気付いた
天上人じみてるというか、他人との接し方に上級市民と平民みたいな態度を所々で感じる

865名も無きAAのようです:2016/03/28(月) 07:47:55 ID:55aBMgzsO
まぁ全員高校生なのに既に、職場にこんな人材が一人は欲しいと思える位の思考力、判断力、行動力だからな。ドクオ位じゃないか?普通に高校生らしいの。
こんな集団が実際いたら不気味に感じるわなぁ。

866名も無きAAのようです:2016/03/28(月) 15:51:51 ID:KRkpWZ1.0
http://is.gd/4twCxM

867名も無きAAのようです:2016/03/28(月) 16:23:54 ID:lC45GYl20
ツンクーのビコーズに対しての言動が理解できない奴の頭御花畑でワロエナイ
命のやり取りの重みが解らない学生にはまだ難しいのかな

868名も無きAAのようです:2016/03/28(月) 16:54:48 ID:MtuuuR8YO
>>864が俺の思ってたこと整理してくれた感じ。
それがつまらんとかではなくむしろこの作品好きでずっと見てるけど
今回のエピソードは上手くいえないが、誰が悪いとかじゃなくタイミングの悪さとか不運とか全部重なったって感じで、キャラの誰にとってもつらい話だなあと思う
こんなことがあっちゃミセリがショボン達とギルド一緒にやってくのはきつそうだ

869名も無きAAのようです:2016/03/28(月) 18:55:08 ID:YebT7j7Q0
>>867
ただゲームをやりにきただけなのにいきなり死んだらリアルでも死にますみたいな状況になって
短期間できっちり受け入れきってる時点で正直常人離れだとおもうぞ
受け入れてると思ってる人間もいざ目の前で本当に死んでしまったら取り乱すだろうに

870名も無きAAのようです:2016/03/28(月) 20:14:31 ID:KRkpWZ1.0
http://is.gd/4twCxM

871名も無きAAのようです:2016/03/29(火) 00:31:42 ID:q9VPBxqQO
もっとも一番怖いというか不気味なのはシャキンだけどな
ショボン達のような浮世離れした臭いを感じさせないのに本気の能力はショボン以上(恐らく)というね
こういう愚者の皮を被れる賢者は一番敵に回したくない

872名も無きAAのようです:2016/03/29(火) 00:55:28 ID:TeKDJGJ60
ツンもクーもこの時期まだ冷静じゃないってのが良くわかるよね。
実際に酷い言葉を吐いてしまったとはいえ結局ビコーズのことは考えてやらずにそれをギャーギャー攻めてるだけだし。
ツンはまあ駄目そうだけど少なくとも物語後半のクーならもっと考えをめぐらせて冷静に諌めることも出来ただろうからな

873名も無きAAのようです:2016/03/29(火) 03:38:38 ID:dS2eWT4g0
全て自分でとった行動の責任は自分にあるものだよ。
ゲーム始めるのも自殺するのも全て自分の管理下で、他の環境のせいではない。
どう考えたってビコーズが自分で選んで人のせいにして自分で死んだだけ。
被害者意識高すぎて共感してる奴大杉。

874名も無きAAのようです:2016/03/29(火) 16:30:03 ID:T6HT6hG.0
>>873
そんな事読んでるやつ皆分かってるだろうしその上でツンやクーの対応について語ってんだろ
自分の気にそぐわない意見もあるだろうけど考え方は人それぞれなんだからいちいち人を下に見たような言い方すんな
語りたいなら語るだけにしろよ、無駄に荒らすな

875名も無きAAのようです:2016/03/29(火) 18:13:04 ID:BtYb.ylY0
>>856
おお!ありがとう!
確かにこんなバカップルいたわwww

876名も無きAAのようです:2016/03/29(火) 21:19:41 ID:s2flBIt2O
クーが叩かれてんのはよく分からんな
あの場面で誰かがきっちり言っとかないと今度はミセリが極限まで追い込まれる
ツンはうん、まぁ……間違いなく無用な追撃だったね

877名も無きAAのようです:2016/03/30(水) 02:42:35 ID:3nc.OrF60
ツンは当時はそういう性格だったって事だよな、ミセリの味方なのもあるけどクーが発言したからってのもありそう。ブーンやドクオはツンのそういうところについて分かってるようだし。
読者が思うようなところはミルナとデミタスが代弁しているように思える。

そんなツンが読者から責められるのは仕方ないとして、当時のクーに関してはもうあの言葉が仲間の誰よりもトラウマになっているだけじゃないか?もう聞きたくないし言わせたくないみたいな。

878名も無きAAのようです:2016/04/05(火) 19:31:23 ID:..EOuTuA0
ミセリぶっ壊れっぽくなってるけど、15話最後に居たのもミセリじゃないのかな
何となくだし、こういう話していいのか分からんけど

879名も無きAAのようです:2016/04/06(水) 07:29:36 ID:4HBDV6WI0
>>878
アルルッカバー=ドクオが判明した時点で今まで読んできた人なら普通に思いつくことだろ

880名も無きAAのようです:2016/04/10(日) 18:13:05 ID:EjjO4JjA0
過去編長くて本編どんな状況だったか忘れたわ
読み直す時間ないから誰か本編を産業で

881名も無きAAのようです:2016/04/10(日) 22:06:05 ID:K6tpmLOc0
>>880




882名も無きAAのようです:2016/04/11(月) 08:50:07 ID:o2xFK56A0
優秀でも精神的にまだまだ未熟なお子様に、発狂寸前で自己防衛のために形振り構わず責任転嫁してるような奴の心情を汲み取って対応することなんか出来ないだろ…jk

883名も無きAAのようです:2016/04/12(火) 02:36:21 ID:kSdLtm4A0
どっちもどっち

884名も無きAAのようです:2016/04/16(土) 20:32:36 ID:m/g0VNcI0
http://jump.cx/I7R2D

885名も無きAAのようです:2016/04/28(木) 00:30:36 ID:poQdsSCk0
次まだかな?

886名も無きAAのようです:2016/05/08(日) 20:07:15 ID:YVsF4Ml20
面白いのう

887 ◆dKWWLKB7io:2016/05/08(日) 23:50:23 ID:iSJsU6I20





10.謀略と攻略





.

888 ◆dKWWLKB7io:2016/05/08(日) 23:51:33 ID:iSJsU6I20

ホルンカに辿り着いた10人。

気を失ったミセリを連れて帰ることが出来たのは、
ひとえにアルゴの知識だった。

(アルゴ)「これに彼女を入れれば、
引きずって連れ帰ることができると思う」

そう言いながら彼女がショボンに送ったのは、
アイテム名『寝袋』が2つだった。

どうやら次の町で手に入るアイテムらしく、
ドクオは一人納得していた。

その『寝袋』にミセリを入れ、
筋力パラメーターを比較的高くしていた
シャキン、ミルナ、デミタス、ドクオが三人ずつ交代で引き摺ってホルンカに戻ってきた。

辿り着いたのは本当にギリギリで、
ホルンカの門を通り過ぎて少し引き摺った時に、
耐久値が無くなった寝袋がポリゴンとなって砕け散った。

その砕け散る音が『あの時』の『あの音』に似ていて、
その音が響いた瞬間全員が横たわるミセリを確認し、
存在していることを視認したのちに胸をなでおろした。

2つ目の寝袋を使って農場の間借りしている部屋に辿り着いたときは、
全員が疲れ切っていた。

('A`)「あ……アルゴ……」

いつの間にか届いていたフレンド申請のメッセージを見つつ、
ドクオが部屋を見回す。

いつものリビングにいるのは男が五人だけだった。

(´・ω・`)「村の入り口で分かれたよ。
アルゴさんにはお礼をしないとだよね」

.

889 ◆dKWWLKB7io:2016/05/08(日) 23:52:37 ID:iSJsU6I20

既に彼女のフレンド登録を済ませたショボンが何事もなく告げる。

('A`)「気付いていたなら言えよ」

(´・ω・`)「アルゴさん、
声をかけられたくなさそうだったから」

(`・ω・´)「お、おれにもフレンド申請が来てる」

( ゚д゚ )「とりあえずは昔の知り合いと、
特殊な奴を押さえたってところか?」

(´・_ゝ・`)「だろうな」

(´・ω・`)「特殊って」

(`・ω・´)「はっはっは。
おれはともかくお前は当たってるな」

(´・ω・`)

( ゚д゚ )

(´・_ゝ・`)

('A`)

四人の視線を受け止めつつも、
何もわからないふりをして小首をかしげるシャキン。

(´・ω・`)「かわいくないよ」

(´・_ゝ・`)「それが似合うのは二次の少年だけだ」

('A`)「せめて三次の少女も入れてください」

( ゚д゚ )「どちらにせよ変態だがな」

(´・_ゝ・`)「お前に言われたくない」

.

890 ◆dKWWLKB7io:2016/05/08(日) 23:53:47 ID:iSJsU6I20

今まで通りのような会話をつなげていく五人。
しかしその笑顔は、完璧に笑顔を見せているシャキン以外、
すこし強張っていた。

会話を続けていると、寝室のドアが開く。

('A`)「……どうだ?」

( ^ω^)「目を覚ます様子はないお」

('A`)「そっか……」

(´・_ゝ・`)「あの時からずっと気を失ったままか」

( ゚д゚ )「仲間が二人とも……だからな。
しかも、ビコーズは……」

口を閉ざし、それぞれにあの瞬間を思い出す。

(`・ω・´)「ツンとクーは?」

( ^ω^)「……元気、だお」

(`・ω・´)「無理矢理?」

( ^ω^)「……うん。
だから、僕が居たら休めないかと思って、
出てきたんだお」

(`・ω・´)「おつかれさん」

小さな声でねぎらいの言葉をかけるシャキンに、
黙って少しだけ首を横に振るブーン。

ドクオに促されてソファーに座ると、
ショボンが目の前にカップを置いた。

(´・ω・`)「まずは少し落ち着こう」

.

891 ◆dKWWLKB7io:2016/05/08(日) 23:54:55 ID:iSJsU6I20

( ^ω^)「……お」

見ればいつの間にか全員に行き渡っており、
ショボン自身もトレイを置いた後一つカップを持っていた。

(´・_ゝ・`)「おれ達がミセリを運ぶ要員だったから
後ろから戦闘を見てるだけなことが多かったけど、
彼女たち二人、少し危険だったな」

( ゚д゚ )「ショボンが槍を投げたり短剣や石を投げつけたのは驚いたけど、
あんなふうにモンスターの意識を自分に向けさせることが出来たんだな」

('A`)「ショボンがひきつけないと、
危険な場面がいくつかあった」

(`・ω・´)「……二人とも、
猪突猛進に突っ込んでいっていたからな。
空回りしていた」

( ^ω^)「ツンも、クーも、
ビコーズが死んだのは自分のせいだって思ってるんだお」

('A`)「はあ?」

(´・_ゝ・`)「あー。そっか」

( ゚д゚ )「少しきついことは言ってしまっていたから、
気にしているか……。
間違ったことは言っていなかったんだけどな」

('A`)「い、いや、でも」

(´・_ゝ・`)「ああ。ビコーズが死を選んだのは二人のせいじゃないってことは分かってる。
でもそれは、見ているおれ達が分かっているだけで、
二人は自分があんなことを言ったからって思ってるんじゃないか?」

( ^ω^)「……そうだと思うお」

('A`)「だ、だってあれくらいあいつらなら普通だし」

.

892 ◆dKWWLKB7io:2016/05/08(日) 23:56:35 ID:iSJsU6I20

( ゚д゚ )「クーが激昂した理由は分からないが、
言っていたことは間違っていない。
ツンが言ったことは多少行き過ぎだったが、
お前たち仲間内なら許容範囲だったんだろ。
ただ、今は通常の状態じゃない。
ビコーズは特に、あの時は、な。
そして、あいつはおれ達の事を『仲間』とは思っていなかったのかもしれない」

('A`)「そんな……」

(´・_ゝ・`)「殴ったのは少しいただけないが、
もし彼女がなにもせず、
あいつがあのままあんなことを言い続けていたら……。
おれが殴ってたかもしれん」

( ゚д゚ )「おれもだ。
というか、本来ならばおれ達が同性として、
おそらくは年上の男として、
あいつを正してやらなきゃいけなかったんだ」

(`・ω・´)「うむ。そうだな。
おれ達がやらなきゃいけなかった。
そばにいたんだから、ちゃんと諫めなければいけなかったんだ。
……二人には、嫌な役目をさせてしまった」

(;^ω^)「そ、そんなことはないお!」

(´・ω・`)「責任は、僕にある」

シャキン達三人が首を垂れるなか、
ずっと黙っていたショボンがぼそりと呟いた。

(`・ω・´)「おい?」

(´・ω・`)「僕がちゃんと話をして、説明して、
別行動をとらなければ。
一緒にはじまりの街に戻れば、
こんなことにはならなかった」

.

893 ◆dKWWLKB7io:2016/05/08(日) 23:57:42 ID:iSJsU6I20

( ゚д゚ )「おいおい」

(´・_ゝ・`)「そこまで遡らなくても」

('A`)「それにはそうするだけの理由があっただろ」

( ^ω^)「そうだお!
だからそんなこと!」

(´・ω・`)「理由は確かにあったよ。
でもそれは、どうしてもじゃない。
彼らのプライドなんて気にせず、
優位な情報を渡せばよかったんだ」

('A`)「ショボン……」

( ^ω^)「ショボン……」

(`・ω・´)「いい加減にしろ!」

立ち上がったシャキンが、
ショボンの頭に拳骨を落とす。

(´・ω・`)「に、兄さん!?」

(`・ω・´)「お前は何様のつもりだ!」

(´・ω・`)「え?」

シャキンの一喝。
それは拳骨と相まって雷と呼ぶにふさわしい衝撃となり、
ショボンは呆然とした。

そして呆然としたのはショボンだけではなく、
それを見ていた四人も目を丸くして見守っていた。

(`・ω・´)「確かにゼアフォーとビコーズの事は残念だし、
後悔もある。
特にビコーズの事は他にやり方もあったかもしれない。
けれど、それを自分のせいだなんていうのはおこがましい!
人の命を何だと思っているんだ!」

.

894 ◆dKWWLKB7io:2016/05/08(日) 23:59:08 ID:iSJsU6I20

(´・ω・`)「で、でも……」

(`・ω・´)「でももくそもあるか!
何でも自分のせいにして収めようとするな!
物事はそんなに簡単じゃない!
しかも命にかかわることなんだからな!」

(´・ω・`)「それは……」

(`・ω・´)「だいたいな、お前の今持っている情報、
はじまりの街でのことは、今は混乱しか招かない!」

(´・ω・`)!

(`・ω・´)「おれ達はいい。
ミルナもデミタスもある程度の恩恵を受けることが出来たし、
おれ達はお前たちと一緒に行動することを選べるからな。
だがミセリ達、そしてその後に続くプレイヤーが、
同じレベルの恩恵を受け取れるかどうか分からないだろうが!」

(´・ω・`)「そ、それは……」

(`・ω・´)「今お前が持っている情報はそういった部類の情報だ。
お前だってそれが分かっているから、
まずはおれ達で試したんだろう?」

(´・ω・`)「……うん」

(`・ω・´)「これ以上情報を広めることは禁止だ。
お前の命が狙われる。」

(´・ω・`)「でも!
手帳はともかくそれ以外のアイテムとスロットは!」

(`・ω・´)「使いこなせないアイテムは身を亡ぼす。
不平等なアイテムは、それをめぐって争いが起きる」

(´・ω・`)「でも……」

.

895 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:00:31 ID:E4SpJ5.o0

(`・ω・´)「情報を広めたいのなら、もっともっと考えろ」

(´・ω・`)!

(`・ω・´)「より良い方法を、均等な方法を、暴動が起きない方法を、
そして、自分と仲間たちが危機にさらされない方法を」

(´・ω・`)「それは……」

(`・ω・´)「それが出来ないのならば、諦めろ」

(´・ω・`)「兄さん……」

二人を見守る四人。

そのうちの二人、特にブーンとドクオは驚いていた。
ショボンとシャキン、二人をよく知っているつもりだったが、
こんな二人を見るのは初めてだったからだ

(´・_ゝ・`)「お前は思いつかないのか?」

(`・ω・´)「ん?」

不思議そうにシャキンに問いかけるデミタス。

(´・_ゝ・`)「いや、『ん?』じゃなくて、
シャキン、お前がその情報をうまく使いこなす、
広める方法は思いつかないのか?」

(`・ω・´)「そういうのはおれよりこいつの方がうまい」

(´・_ゝ・`)「は?」

( ゚д゚ )「はあ?」

デミタスと同じことを考えていたミルナも思わず声を漏らした。

(`・ω・´)「そういったことを考えるのは、
おれよりショボンの方が上手いし早いし確実だ。
ただこいつは自分が泥をかぶる方法を考えがちだから、
それは矯正してやらんといけないけどな」

.

896 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:01:40 ID:E4SpJ5.o0

(;´・_ゝ・`)「へー」

(; ゚д゚ )「ほー」

言葉の外で『おれは考えない』と断言したシャキン。
唖然とするデミタスとミルナ。

( ^ω^)「おっおっお」

('A`)「あー。うん」

そしてブーンとドクオは、
自分たちの知っているシャキンを見て少し落ち着いた。

(´・ω・`)「……誰も傷つけない、
情報の広めかた……」

そんな五人を意識しないでぼそぼそと呟いていたショボンだったが、
一階天井を見てから俯くと、大きくため息をついて正面をみた。

(´・ω・`)「思いつかないや」

(`・ω・´)「なら、考えるんだな」

(´・ω・`)「……うん」

辛そうに、けれど決意を込めた引き締めた表情で頷くショボン。

それを見た五人は、五人それぞれに思いを含んだ笑顔を見せた。

('A`)「……これから、どうする?」

ほんの少しだけゆったりとした空気が流れたが、
ドクオの問いかけに全員の表情が引き締まった。

(`・ω・´)「彼女が目を覚ますまでは、
ここを拠点にするのが一番だろう」

(´・ω・`)「うん」

.

897 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:03:50 ID:E4SpJ5.o0

( ゚д゚ )「なあ、もしかして彼女は今病院に運ばれているってことはないか?」

(´・_ゝ・`)「あ、なるほど」

( ^ω^)「お!それなら目を覚まさない理由もわかるお!」

('A`)「現実世界の身体が病院に運ばれるまでの間は接続が切られる。
その間の身体はシステムで保護されるけど、
時間が過ぎたら自動的にナーヴギアが……」

(´・ω・`)「この前送られてきたアナウンスだよね。
多分、違うと思う。
ここに連れてくる間に彼女の身体にはほんの少しだけどダメージがあったらしく、
HPが少しだけ減っていたんだ」

(´・_ゝ・`)「『システムで保護』されていなかったってことか」

(´・ω・`)「はい」

( ゚д゚ )「心を閉ざしている。
ということか。やはり」

(`・ω・´)「彼女はここで保護するとして、
その間のおれ達だな」

( ゚д゚ )「交代で出るか?
コルは稼がないとだし、
レベル上げもしたいし」

( ^ω^)「……だおね。
ミセリさん、ツンとクーにはここにいてもらって……でも……」

(´・ω・`)「ここには六人います。
女の子三人は少し不用心な気もするから一人残って、
五人でパーティーを組んで出るのが一番じゃないかと」

( ^ω^)「それが良いと思うお!」

( ゚д゚ )「そうだな。
ミセリもだが、二人も当分は外に行かない方が良いだろ」

.

898 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:06:22 ID:E4SpJ5.o0

ショボンの提案にうなずく五人。

その後明日からのスケジュールを決めていると夜も更けたため、
シャキン達三人は街の宿に一度引き上げた。

ミセリの目は、まだ開かれなかった。







夜。

視界の隅の時刻表示が23時を告げる頃、
リビングにはブーンがいた。

一つ目の寝室にはミセリとツンとクーがいる。
二つ目の寝室をブーンとドクオとショボンで使っているのだが、
念のため一人はリビングで休むことにした。
三人が三人共、自分がリビングで休むと主張したため、
話し合いの結果時間で交代することにして、
まずはブーンがリビングにいることになった。

ショボンに入れてもらったお茶を飲みつつ、
ショボンが作った、
彼の記憶の中のSAOの説明書を書き起こした本をペラペラと捲っていると、
一つ目の寝室のドアがゆっくりと開いた。

(  )「ブーン」

( ^ω^)「ツン……」

ブーンは二人掛けのソファーに腰かけていたが、
自分を呼んだツンの声に立ち上がる。

しかしツンがその横に移動して黙って座ったため、
また腰かけた。

.

899 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:07:28 ID:E4SpJ5.o0

( ^ω^)「ツン……」

ξ゚⊿゚)ξ「私が、殴ったから……。
ひどいことを言ったから、死んじゃった……」

前を見ながら。
隣にいるブーンを視界に入れず、
背筋を伸ばし、
何もない壁を見ながら、
呟いたツン。

( ^ω^)「!」

ξ゚⊿゚)ξ「私が、あんなことを……、
ビコーズに言ったから……」

( ^ω^)「違うお!
ツンが言ったから死んだわけじゃないお!」

ξ゚⊿゚)ξ「ブーン……。ありがと……」

( ^ω^)「あの時ビコーズはずっと呟いていたお!
『おれのせいじゃない』って。
けれど、ときどき、つらそうに、
『おれがいなければ』って、言っていて!
きっとビコーズは、僕達が来るより前から、きっと……」

ξ゚⊿゚)ξ「もし、ビコーズが最初からそうするつもりだったとしても、
私がしたのことが、きっと、引き金になっちゃったんだよ」

( ^ω^)「違うお!
ツンは悪くないお!」

ブーンは座ったまま腰を捻って隣に座るツンを見つめている。
しかしツンはブーンの顔は見ておらず、
ただじっと、目の前の壁を見続けている。

ξ゚⊿゚)ξ「だめだな……わたし。
自分の事しか考えられない」

.

900 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:08:27 ID:E4SpJ5.o0

( ^ω^)「ツン!あれはクーやショボンの事を!」

ξ゚⊿゚)ξ「辛そうなクーを見ていられなかった。
ショボンだって苦しくなると思った。
……あのまま言われていたら、ミセリだって……」

( ^ω^)「そうだお!」

ξ゚⊿゚)ξ「でもそれは、私が、辛そうな三人を見たくなかった。だけ。
自分の為に、クーを止めて、二度と同じようなことを言わないように、
ビコーズを止めたくて、あんなことをした。
私が、私の為に、したこと」

( ^ω^)「ツン……」

ξ;⊿゚)ξ「ひどいことをした、とは思う。
反省しているし、悔やんでる。
もっと、うまいやり方があったんじゃないかって、思ってる」

黙ってツンの肩を抱くブーン。
けれどツンは寄り添おうとはせず、
身体をこわばらせただけだった。

ξ;⊿;)ξ「でも、
言った内容を間違っていたとは思わない。
違う伝え方があったし、
言わなくてよかったことかもしれないけど、
許せなかったから。
あれで、
怒って、
けんかして、
思ってること言いあって、
思い直して、
ごめんって言って、
また、
みんなで、
レベル上げとか、
戦闘とかを、
出来るって、
思った……のに……」

.

901 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:09:39 ID:E4SpJ5.o0

( ^ω^)「ツン……。
ちょっと言い方はきつかったけど、
ツンは、……悪くないお。
間違ってないお。
きっと、タイミングが悪かっただけだお……」

肩を抱く手を強め、
自分に引き寄せるブーン。

ツンは一瞬拒んだが、
すぐにその力に負けて体を寄り添った。

そしてブーンの肩に頭をのせる。

ξ;⊿;)ξ「わたしは、ずるい……。
ブーンならそう言ってくれるってわかってて、
こんなこと言って、
甘えてる」

( ^ω^)「ツンは悪くないお」

ξ;⊿:)ξ「わたしは、ずるい……。
でも、だから、全部、受け止めて、
でも、私は、生きる。
みんなと、生きて、みせる。
ビコーズの、事を、抱えて」

( ^ω^)「……ツンが抱えなきゃいけないことだとは思わないお。
でも、どうしても抱えてしまうなら、
僕も一緒に抱えるお」

ξ;⊿:)ξ「ブーン……」

ツンの両目からポロポロと涙がこぼれ、
ブーンの肩を濡らす。

.

902 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:10:46 ID:E4SpJ5.o0

ξ;⊿:)ξ「明日は、自分で立つから。
全部抱えて、ちゃんと立つから。
忘れない。
自分のしてしまったことは、忘れない。
でも、今日だけは、今だけは、
こうさせて……。
ブーン…………」

( ^ω^)「ツン……。
僕はずっと、ここにいるお」

二人の夜は更け、
時刻は12時を過ぎていった。




時は深夜2時を少し回っていた。。

二つあるベッドの上で、
彼女は瞼を開いた。

見慣れない、
けれど見たことのある天井を見た彼女は、
ゆっくりと顔を右に向けた。

隣のベッドには、一人少女が上に何もかけずに横たわっている。
視線をずらすと、窓際の簡素な木の机に、
同じく簡素な木の椅子に座った少女が、
枕にした両手に額をのせて寝息を立てていた。

すべてを自分なりに理解した少女は、
ほんの少しだけ、
二人を起こさないように身動ぎをした。





.

903 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:11:53 ID:E4SpJ5.o0


時計は4時を告げていた。

リビングに一人座っているドクオ。

テーブルの上にはカップと本が置かれている。

('A`)「いつの間にこんな説明書をつくっていたんだよ」

感心しつつ呆れた風にペラペラと捲り、
けれどすぐにソファーに横たわった。

少しだけ身体を抱えるように横になると、
ソファーに身体がすっぽりとおさまった。

('A`)「……ふぅ……」

身体を包まれるような心地よさに一息つくと、
背凭れの後ろのドアがゆっくりと開いた。

結果的にソファーに隠れるような体勢でいたドクオに気付くことなく、
開かれたドアから出た人影はがテーブルに近付いた。

川 ゚ -゚)「ドクオか」

('A`;)「うをっ!」

川 ゚ -゚)「こんなところで何をしているんだ?」

テーブルの横の水差しからカップに水を灌ぐクー。

('A`)「お、おはよう」

慌てて起き上がるドクオ。

川 ゚ -゚)「ん?ああ。そうか。もうそんな時間なんだな」

そのままドクオの正面のソファーに座る。

.

904名も無きAAのようです:2016/05/09(月) 00:12:24 ID:tdKUX1ew0
支援

905 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:12:53 ID:E4SpJ5.o0

川 ゚ -゚)「私は喉が渇いて目が覚めただけだが、
ドクオは早いんだな。
もしかして、寝てないのか?」

('A`)「い、いや、そんなわけではないんだけど」

川 ゚ -゚)「ん?
……なるほどな」

ドクオの気まずそうな顔と、
テーブルに置かれたカップを見て表情を緩めるクー。

川 ゚ -゚)「交代で、この部屋の番をしていてくれたのか。
ありがとう」

('A`)「べ、別にお礼を言われるようなことは」

川 ゚ -゚)「いや、体を休める時間を減らして私達を守っていてくれたんだからな。
言わせてほしい」

('A`)「ああ……。うん」

川 ゚ -゚)「どうした?」

('A`)「あ、いや……」

川 ゚ -゚)「あんなことがあったのに、普通に見えるのが不思議か?」

('A`)「そ、そんなことは……」

徐々に声を小さくするドクオに、
悲しげな笑顔を見せるクー。

川 ゚ -゚)「……ビコーズにしてしまった事に、
後悔をしていないわけではない。
あの時は我を忘れてしまっていた。
ツンが止めてくれなかったら、
ツンがああやって彼を叩いていなかったら、
私がもっと酷いことを言って、してしまっていたかもしれない。
それくらい、感情に身を委ねてしまっていた」

.

906 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:14:48 ID:E4SpJ5.o0

('A`)「クー?」

川 ゚ -゚)「きっとツンは、私以上に苦しんでいる。
彼に対してひどいことを言ったことを、
叩いたことを悔やみ、悩み、
彼の死を抱えてしまっている」

目の前のテーブルに置いたカップ。
その中の水を一気に飲み干すクー。
そして立ち上がり、水差しに向かった。

川 ゚ -゚)「だから私は、泣いてなんかいられないんだ。
悔やむ暇があったら、次にあんなことをしないように考えなければいけない。
そして私の代わりに大きなものを抱えてしまったツンを支えたい」

水を注ぎ、一気に飲み干す。
そしてもう一度注ぐと、
ソファーに改めて座った。

川 ゚ -゚)「そしてミセリは、私はもちろん、ツンよりもつらいはずだ。
目の前で自分を守ってゼアフォーが、
そしてビコーズが……。
自分の周りで二人も消えてしまったんだ。
辛くない、わけがない。
だから私なんかが、悲劇のヒロインぶって、
泣いたり、苦しんだりしていたらいけないんだ」

水を注いだグラスに手を伸ばすクー。

しかし掴んだ瞬間にすぐ手を離し、
座りなおした。

川 ゚ -゚)「……もしも、ミセリが許してくれるなら、
私は彼女のそばにもいたいと思う。
何ができるというわけでもなくても、
そばに居れば何かできる時があるかもしれない」

('A`)「クー……」

.

907 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:16:35 ID:E4SpJ5.o0

ただずっとクーの独り言を聞いていたドクオだったが、
辛そうに口を開いた。

('A`)「クー。
おれの父さんが死んだのは、
小学生の時だったんだ」

川 ゚ -゚)?

('A`)「ショボンとはまだ知り合う前だったけど、
ブーンがいてくれて、
そのころはまだツンも家が近かったから、
そばにいてくれた」

川 ゚ -゚)「ドクオ?」

('A`)「おれさ、父さんが死んだとき、
最初、泣かなかったんだ。
なんか実感がなくってさ。
目の前で寝ている父さんがもう起きないってことも、
火葬場で焼かれて、もうその姿を見ることもないってなった時も、
涙は出なかった。
なんとなく、それでも、いつかまた会えるような気がしてたんだ
いや、いつかじゃなくて、明日にでも、
ただいまって言って帰ってきてくれるような気がしてた。
でもさ、なんか、少し経ったときに、急に分かったんだ。
もう会えないってことに。
母さんが頑張ってる姿とか、
学校に行ってまわりが腫れ物に触るみたいに接してきた時に。
急に、わかったんだ。
でもなんか日が経ちすぎてて、泣くことが出来なかった。
体の中が空っぽになって、
穴が出来て、
埋める事なんかできなくて、
それに母さんの手伝いしなきゃとか、
父さんが言ってたことをいろいろ思い出したりして」

川 ゚ -゚)

.

908 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:18:30 ID:E4SpJ5.o0

('A`)「空回りして、
なんとなく友達も少なくなって。
でもさ、隣にブーンがいてくれた。
ツンがこっちを見てた。
そしたらさ、ああ、こいつらの前では頑張らなくてもいいんだって、
弱音を言ってもいいんだって、
なんか、そんなことを思ったら、
おれ、泣いてた。
ブーンは黙って隣にいてくれて、
ツンも黙ってそばにいてくれた」

川 ゚ -゚)「ドクオ……」

('A`)「ごめん、何言ってんのかわからないよな」

川 ゚ -゚)「い、いや……」

('A`)「でさ、何が言いたいかっていうと、
クーもさ、一人じゃないと思うんだ。
確かにツンも責任とか感じているとおもうけど、
だからと言って、クーよりも私の方が辛いとか言うやつじゃないし。
だから、さ。
ここには、ブーンもいるし、ショボンだっている。
シャキンさんもいい人だし、
ミルナさんやデミタスさんだっていい人だと思う。
……頼りないけど、おれだっている」

川 ゚ -゚)「……ドクオ」

('A`)「辛かったり、
苦しかったりするときは、
言っていいと思うんだ。
むやみやたらには言えないけど、
せめて、おれ達にはさ。
ツンに言えないなら、
おれ達に」

川 ゚ -゚)「ドクオ……別にわたしは」

('A`)「だって、手が震えてる」

.

909 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:19:39 ID:E4SpJ5.o0

川 ゚ -゚)!

膝に置いていた手を後ろに隠すクー。

ドクオはそれを悲しげな眼で見てから、
口を開いた。

('A`)「苦しかったり、辛かったりするときは、
泣いた方が良いと、おれは思うんだ。
泣けば何が変わるわけじゃないし、
泣けない時もあるのは知ってる。
でも、泣きたいときは、泣いていいと思う。
辛いときや苦しいときは、そう言っていいんだと思う。
誰よりは辛くないとか、
誰々に悪いとかじゃなくて、
今、自分が、どう感じているかを、ちゃんと、分かるためにも」

川   )「ドクオ……だが……私は……」

俯くクー。
長い黒髪が顔を隠す

('A`)「おれはさ、多分だけどさ、
一番ビコーズの気持ちが分かってると思う。
同じβテスターで、
βテスト時代もそれほど強かったりしたわけじゃないし、
参加したボス戦はすぐ死んだし。
ただ、おれとビコーズの違いは、
βテストの後、もう一度この世界に来たいって、
戻ってきたいって本気で思ったのと、
リアルの世界に友達がいた事だと思う。
もしビコーズのような状態でこの世界に来てしまって、
自分のせいでやっとできた友達を死なせてしまったら、
自分を許せなくなる。
きっと、ビコーズは、ゼアフォーを死なせてしまった時点で……」

川   )「やめてくれ!
私がいけないんだ!
私が我を忘れてあんなことを言ってしまったから!
だからビコーズはあんなことを選んでしまったんだ!」

.

910 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:20:39 ID:E4SpJ5.o0

声を荒げるクー。
下を向いたままだが首を横に振り、
肩を震わせていた。

('A`)「そうおもうなら、それでもいいと思う。
でも、おれはそう思ってないし、
きっとあそこにいた全員が、そんな風には思ってない」

川   )「私の、わたしのせいで!」

クーの膝の上で握られた量のこぶし。
その上にぼたぼたとしずくが落ちるが、
ドクオは気付かないふりをした。

('A`)「クーがそう思うなら、
それも正解なんだと思う。
でもおれは、おれの思っていることが正しいと思うし、
そうやってクーに接する。
もちろんツンも悪くない。
ミセリだって、悪くない。
……ビコーズが、自分自身で、選んだんだと、
おれは思う。
うん……。そうだな。
きっと、何もなかったら、
おれもビコーズと同じ道を選んだ」

川   )「……?」

('A`)「現実の世界には、友達がいて、
母さんがいて、辛いこともあるけど、
楽しいこともある。
夢だってある。
もしそれが何もなくて、
別の世界を求めてこの世界に来て、
こんな状況になっていて、
自分のせいでやっとできた友達が死んでしまったら……。
ビコーズと同じことをするかもしれない」

川   )「!」。

.

911 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:21:50 ID:E4SpJ5.o0

('A`)「そうだな……。
おれが一番ビコーズの気持ちが分かったはずなのに。
おれが本気で考えていたら、
あいつが何をしでかすか分かったかもしれない。
それは近い立場のおれしか、分からなかったのに。
おれは、止めることが出来なかった。
あいつが死んだのは、おれのせいだな」

川 ゚ -゚)「ち!違う!そんなことはない!」

顔を上げるクー。
涙に濡れた瞳が、悲し気に歪んでいた。

('A`)「ショボンも悔やんでいた。
別行動をしなければって。
ブーンもきっと悔やんでる。
もっと早く動くことが出来たらって。
あの場にいた皆が悔やんでると、
おれは思う」

川 ゚ -゚)「ドクオ……」

('A`)「だから……その……。
一人で、抱え込まなくていいんじゃないかな。
みんなが、いるから」

川 ゚ -゚)「ドクオ……」

('A`)「なんか……ごめん。
もっとうまく、いろいろ言えたらいいのに」

川 ゚ -゚)「いや。
ありがとう。ドクオ。
ドクオは、やさしいな」

('A`)「べ、べべべべべべべべべべべべべえ別に優しくなんか」

顔を赤くして動揺するドクオ。

それを見たクーは、
ほんの少しだけ微笑んだ。

.

912 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:22:52 ID:E4SpJ5.o0




朝。
時計は8時を告げている。

簡単に食事を済ませた後、
今日の行動を決めるために
昨日と同じ位置に座っている六人。

(´・ω・`)「それじゃあ午前中の留守番はブーンで、
一回戻った後、午後はドクオってことで」

( ^ω^)「わかったお」

('A`)「りょうかいー」

(`・ω・´)「いいのか?」

( ^ω^)「レベル上げはまたできるけど、
ここにいるのは今が良いお」

( ゚д゚ )「おれ達がいるよりは、
彼女達も良いだろ」

('A`)「いや、別に二人の事を……」

(´・_ゝ・`)「わかってる。
でも、まだ知り合って間もないからな。
今は気心が知れた相手の方が良いだろってことだ」

(`・ω・´)「二人とも、彼女たちくらいの女には興味ないしな」

( ゚д゚ )「女は熟してからだ」

(´・_ゝ・`)「言っておくが、
二次の少年が至高の存在であるというだけで、
女に興味がないわけではないからな」

.

913 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:24:17 ID:E4SpJ5.o0

( ^ω^)「その発言だけで二人をそういう目で見たことがないのが分かるお」

(´・_ゝ・`)「それは正しい」

('A`)「何を話しているんだこの二人は」

(´・ω・`)「ほんとだね」

(`・ω・´)「お前はこういうネタには弱いよな」

(´・ω・`)「うるさいよ」

('A`)「そういえば下ネタは苦手だよな」

(´・ω・`)「ドクオまで」

( ゚д゚ )「ショボンにも苦手なものがあったのか。
それならばまずは熟女の良さを……」

(´・ω・`)「ミルナさん?」

(´・_ゝ・`)「まずは二次、少年の良さからだろう。常考」

(;´・ω・`)「デミタスさん!?」

( ^ω^)「おっおっお。
そういえば、去年もらったラブレターはどうしたんだお?」

(;´・ω・`)「ブーン!!」

(`・ω・´)「なに!?
聞いてないぞ!」

(;´・ω・`)「話す必要ないでしょ!」

('A`)「学校帰りに時々寄るお店の店員からもらってたあれな」

(;´・ω・`)「ドクオ!?」

.

914 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:25:33 ID:E4SpJ5.o0

(`・ω・´)「なんだ。うちの店以外にも寄るところがあるのか。
浮気だな」

( ^ω^)「そこのお店は夕方のケーキセットが安いんだお」

(`・ω・´)「スイーツかー。
やはり甘いものがないとだめか。
うちの店はパンケーキとアイスクリームくらいしかおいて無いからな」

('A`)「店の雰囲気も落ち着いてて、
自然と客も静かにしてていい感じで」

(`・ω・´)「それはいいな!」

ξ゚⊿゚)ξ「何の話をしているのよ」

川 ゚ -゚)「まったくだ」

( ^ω^)「ツン!クー!」

いつの間にか開いていた寝室のドア。

ツンとクーの二人が仁王立ちで六人を見ていた。

ξ゚⊿゚)ξ「ミセリの看病は交代にして、
私達も行くわよ」

川 ゚ -゚)「最初にブーンが留守番なら、
まずは私が先だな」

ξ゚⊿゚)ξ「なによそれ。
私が行くわよ」

川 ゚ -゚)「……それでもいいが?」

ξ゚⊿゚)ξ「なんかその間がムカつく」

現れた二人を見て、
その会話を聞いて呆気にとられる六人。

.

915 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:27:17 ID:E4SpJ5.o0

( ゚д゚ )「お、おい」

(´・_ゝ・`)「二人とも?」

川 ゚ -゚)「ん?」

ξ゚⊿゚)ξ「何?」

( ゚д゚ )「いや、その」

(´・_ゝ・`)「なんだ、その」

川 ゚ -゚)「どうした?」

ξ゚⊿゚)ξ「どうしたのよ」

( ゚д゚ )「あ、いや、その、あれだ」

(´・_ゝ・`)「うん、その、あれだ」

川 ゚ -゚)「?」

ξ゚⊿゚)ξ「?」

思わず心配を口にしてしまったミルナとデミタス。
しかし『普段通り』のように返すツンとクーを見て、
その次をつなげずにいた。

( ^ω^)「昨日の帰りみたいな戦い方をするなら、
連れていけないお」

ξ゚⊿゚)ξ!

川 ゚ -゚)!

ブーンの言葉はミルナとデミタスを助けただけではなく、
戦闘をする上での重大な懸念点だったため、
ツンとクーはもちろんのこと全員が息をのんだ。

.

916 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:28:47 ID:E4SpJ5.o0

( ^ω^)「あんな無謀な戦い方をしちゃ、ダメだお。
僕もまだうまく戦っているわけじゃないけど、
昨日は、見ていてい凄く怖かったお」

('A`)「そうだな」

(`・ω・´)「ああ。その通りだ」

川 ゚ -゚)「昨日は、すまなかった」

ξ゚⊿゚)ξ「クー」

頭を下げるクー。
そしてゆっくりと顔を上げる。

川 ゚ -゚)「私は、これからもっと冷静になろうと思う。
少なくとも、戦いの場では」

('A`)「クー」

ξ゚⊿゚)ξ「私も、ごめんなさい。
昨日は、周りが見えてなかった」

ツンも頭を下げ、すぐに顔を上げて六人を見た。

ξ゚⊿゚)ξ「だから、もうあんなことにならないように、
戦い方を知りたい。
どんな時でも、自然に動けるように、
身に付けたい」

( ^ω^)「ツン……」

(`・ω・´)「そこまで戦いに身を投じなくてもいいと思うが……」

二人の真剣な顔とその言葉にうなずくことしかできない面々であったが、
シャキンは軽く、けれど少し困惑しているような表情で口にした。

('A`)「え?」

.

917 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:29:56 ID:E4SpJ5.o0

( ゚д゚ )「シャキン?」

(`・ω・´)「いや、基本的には生きるための狩り、
生活のための戦いをするわけだから、
できる時にやればいいし、
調子が悪いときは休めばいい。
折角のチーム、パーティーなんだから」

( ゚д゚ )「あー。
まあ、そうだな」

ξ゚⊿゚)ξ「いやなの」

シャキンの言葉にうなずいたミルナ。
その言葉にかぶさるようにツンが言葉を吐き捨てる。

( ^ω^)「ツン?」

ξ゚⊿゚)ξ「それじゃ、いや。
生きるために戦う。
レベルを上げる。
お金を稼ぐために戦う。
もちろんそれが一番かもしれないけど、
でも、それだけじゃ、いやなの。
何かの時に、逃げるだけの女になりたくない。
ただ守られるだけじゃなくて、
守ることは出来なくても、
せめて、隣で戦えるようになりたい」

川 ゚ -゚)「私もそうだ。
危険な目に合わないのが理想だが、
何かあった時に、足手まといになりたくない。
守られるだけじゃなく、
ともに戦える者になりたい」

( ^ω^)「ツン……」

('A`)「クー」

.

918 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:31:11 ID:E4SpJ5.o0

(`・ω・´)「なるほどな」

( ゚д゚ )「ふむ……」

(´・_ゝ・`)「言いたいことは分かるが……」

自然と全員の視線がショボンに向かった。

(´・ω・`)「ん?どうしたの?」

(;^ω^)「え、あ、いや」

('A`;)「いや、今のを聞いてどう思ったのかとか」

(´・ω・`)「どうって言われても……」

不思議そうに首を傾げたショボン。

(´・ω・`)「僕のスタンスは変わらないよ。
『元の世界に戻るまで、
皆でこの世界を出来るだけ笑って過ごす』
その為になら、何でもする」

(;゚д゚ )「それはまた」

(;´・_ゝ・`)「なかなか難しそうだな」

二人の言葉に微笑むショボン。

(´・ω・`)「ここにいる皆が無事に生きて帰ることが、
僕のしたいことです。
その為に出来る事なら何でもするし、
皆のしたいことの為に力を貸す」

( ^ω^)「僕も頑張るお」

('A`)「もちろんだな」

ξ゚⊿゚)ξ「私も」

.

919 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:32:32 ID:E4SpJ5.o0

川 ゚ -゚)「自分のできるすべてを」

ショボンの言葉に追随する四人。

(´・ω・`)「……ありがとう。
だから、ツンとクーがそれを望むなら、
僕は出来る限り力を貸すよ」

ショボンは少しだけ躊躇した後に、
そのすべてを拭い去るように笑顔で四人に語り掛けた。

そして視線をシャキン達三人に向ける。

(`・ω・´)「おれはおれのやりたいようにやる。
その中にはお前たちと遊ぶってのも含まれる。
遊ぶためには、やるときはやらないとな」

にやりと口の端で笑った後に、
満面の笑みを浮かべるシャキン。

それをみて全員が苦笑いを浮かべた後、
ショボンの視線はミルナとデミタスに向かった。

( ゚д゚ )!?

(´・_ゝ・`)!?

(`・ω・´)「残念ながら、既にこいつの中ではお前たちも『みんな』に含まれるみたいだぞ」

(´・ω・`)「『残念ながら』?」

(;`・ω・´)「ほ、ほら、ミルナ、デミタス、どうするよ」

慌てたように二人を促すシャキンだったが、
ミルナとデミタスは輪をかけて慌てていた。
いや、戸惑っていた。

( ゚д゚ )「いや、いや、おれは、その」

(;´・_ゝ・`)「仲間とか、ほら、まだ数日だし」

.

920 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:34:09 ID:E4SpJ5.o0

(´・ω・`)「僕達の事が嫌いですか?」

( ゚д゚ )「そんなことはないが、その」

(´・_ゝ・`)「おれ達まで守ってもらうとか……」

(´・ω・`)「本当は、ここにいる四人は圏内の安全な場所で、
ただじっとしていてほしかったんです。
でも、残念ながら四人共それをよしとはしない」

悲しそうに四人を見るショボン。
視線の先では四者四様の表情でその視線を受け止めていた。

小さくため息をつくショボンだったが、
すぐに表情を引き締めた。

(´・ω・`)「ただ、
もしかするとこの世界に『安全な場所』なんてないかもしれないと、
今回の事で思いました」

('A`)「圏内とか、モンスターの出ないエリアはあるだろ?」

(´・ω・`)「……所詮システムで決められたことならば、
いつそのシステムが書き換えられてもおかしくはないよ」

ショボンの言葉に全員が顔をこわばらせる。

(`・ω・´)「何故、そう思うんだ?」

(´・ω・`)「今回のトラップ。
滅多にないことだとしても、
今回のように力量が足りないプレイヤーが
間違ってやってしまうことがないとは言い切れない。
そんなイベントがあるなら、
システムが書き換わるイベントがあったとしても、
不思議じゃない」

(`・ω・´)「可能性は?」

.

921 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:35:51 ID:E4SpJ5.o0

(´・ω・`)「現時点では、ゼロではないレベル」

(`・ω・´)「つまり、現時点ではないと思うってことか?」

(´・ω・`)「今のところはね」

(`・ω・´)「『今のところ』は?」

(´・ω・`)「……考えた。
天才、『茅場晶彦』になったつもりで、
色々考えたんだ。
彼の目的を、何をしたいのかを」

(`・ω・´)「……分かったのか?」

(´・ω・`)「どうだろう。
天才の考える事なんてわからないよ。
でも、頑張って想像した。
時間はあったから。
彼のインタビュー記事や、実際会った時の雰囲気を、思い出した。
僕の中の彼の情報を総動員して、考えた。
この、自分が作った世界に、意思を持ったプレイヤーを閉じ込めたら、
何をしてほしいかって考えた」

(`・ω・´)「……おい?」

(´・ω・`)「この世界を生きてほしい。
満喫してほしい。
ゲームの世界じゃなく、
現実の世界として、生きてほしい。
そしてそれと同時に、遊んでほしい。
戦って、攻略して、命のギリギリで、
上の層を目指してほしい……」

うっすらと笑みを浮かべ始めたショボン。
シャキンが立ち上がろうとした瞬間、

( ^ω^)「ショボン!」

.

922 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:37:28 ID:E4SpJ5.o0

ブーンが名前を呼んだ。

(´・ω・`)「え、あ、うん。
ごめん、ちょっとぼっとした」

瞬きをして、
首を横に振るショボン。

そして話をつづけた。

(´・ω・`)「……だから、
もし、プレイヤーがはじまりの街に籠って外に出ようとしなかったら、
或いは、攻略をしようとせず第一層だけをだらだらと過ごしていたら……」

('A`)「街を戦闘エリアにしてしまうってことか?」

(´・ω・`)「可能性はあると思う」

ドクオの言葉に工程をするショボン。

その内容に、全員の顔に緊張が走った。

(´・ω・`)「ま、大丈夫だと思うけどね。
既にこうやってはじまりの街を出て先に進もうとしているプレイヤーがいるわけだし」

ξ゚⊿゚)ξ「でも、
システムを変えることが出来るあの男が何をしでかすかは、
分からないってことよね」

(´・ω・`)「……うん」

ξ゚⊿゚)ξ「ほんとムカつく。あの男」

川 ゚ -゚)「可能性はあると思うか?」

(´・ω・`)「さっきも言ったけど、ゼロではないレベルだよ。
茅場晶彦の目的がこの世界を楽しむことならば、
プレイヤーは生きていてくれないと意味がない。
この試みは、一回失敗したらもう次はないからね」

.

923 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:39:59 ID:E4SpJ5.o0

(´・_ゝ・`)「二度も三度もこんな事件が起きたら社会が崩壊するな」

(´・ω・`)「そうですね。
VR技術の普及がどうなってしまうか……」

(`・ω・´)「そんなことを今おれ達が気にしてもしょうがない」

シャキンが一回柏手を打ち、
視線を自分に集めた。

(`・ω・´)「つまり、今の状況なら『圏内』や『安全エリア』がちゃんと機能しているが、
茅場晶彦の機嫌を損ねたら、無くなる可能性がある。
その時に備えて、自分を鍛えて置く必要がある。
それを抜きしても、
この世界を生き抜くためには、
自分が戦えることが重要だ。
ってことでいいか?」

(´・ω・`)「……。
うん。僕は、そう思う」

(`・ω・´)「そのうえで、
どう考えているんだ?」

(´・ω・`)「?」

(`・ω・´)「一緒にこの世界にやってきた四人以外、
おれと、ミルナと、デミタスも守るって言ったお前の気持ちだよ」

(´・ω・`)「……。
全員が戦えるのなら、
戦える仲間なら、
多い方が良い」

シャキンとショボンを順に見ていた六人の視線が、
ショボンで止まった。

.

924 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:41:26 ID:E4SpJ5.o0

(´・ω・`)「もちろん、
誰でもいいわけじゃない。
お人よしが良い。
この、今のこの世界で、
自分以外の誰かを気にすることのできる人が良い。
……仲間を、大事に思ってくれる人が良い。
自分の命を大事にしてくれる人が良い。
そして、
……僕達を、仲間だと思ってくれる人……」

( ^ω^)

('A`)

ξ゚⊿゚)ξ

川 ゚ -゚)

(`・ω・´)

自分を見る友人と、
兄と慕う血縁者を、
一人ずつ見つめ返すショボン。

そして、彼らを見た。

( ゚д゚ )!

(´・_ゝ・`)

(´・ω・`)「ミルナさん、
デミタスさん、
僕達の仲間になってもらえませんか?」

( ゚д゚ )「……んー」

(´・_ゝ・`)「?」

腕を組み、顔をしかめるミルナ。

.

925 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:43:00 ID:E4SpJ5.o0

(´・_ゝ・`)「ミルナ?」

( ゚д゚ )「なあデミタス、
おまえ、どう思う?」

横を向いたミルナ。
ショボンからは見えない口の端を、
ほんの少しだけ釣り上げて笑みを浮かべる。

(´・_ゝ・`)「……うむ。そうだなあ」

横を向いていたデミタスは、
同じようにショボンからは見えない顔半分で少しだけ呆れつつ、
けれど同じように口の端を上げた。

(´・_ゝ・`)「……うむ」

腕を組み、ショボンを見る二人。
その表情は険しい。

( ゚д゚ )「おれは君が言うようなお人よしではないからな。
デミタスはどうだ?」

(´・_ゝ・`)「そうだな。
おれもお人よしではない」

( ゚д゚ )「自分の命が大事だしな」

(´・_ゝ・`)「うむ。
その通りだ」

じっとショボンを見る二人。

ショボンの表情が、悲しみゆがむ。

( ゚д゚ )「ここに来たのも、
シャキンに救われたからで、
成り行きだしな」

.

926 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:45:19 ID:E4SpJ5.o0

(´・_ゝ・`)「ああ。
あの時シャキンに会わなかったら、
お前等に会うこともなかっただろう」

( ゚д゚ )「なりゆきで一緒に行動していただけだ」

(´・_ゝ・`)「なんとなくだな」

(´・ω・`)「……そう……ですか……」

( ゚д゚ )「ああ。
だから、悲しい」

(´・ω・`)「え?」

ミルナの言葉に一度は俯いたショボンだったが、
すぐに顔を上げた。

その視界に飛び込む、ミルナとデミタスの笑顔。

( ゚д゚ )「なりゆきで行動を共にしたとはいえ、
もう『仲間』のつもりだったんだがな」

(´・ω・`)!

(´・_ゝ・`)「みずくさいな。
確かにまだあって日数はそれほどだが、
濃厚な時間を過ごしたつもりだぞ」

(´・ω・`)「あ、で、でも」

( ゚д゚ )「どうせまたその頭でっかちな脳味噌で、
色々考えたんだろ?」

(´・ω・`)「それは……」

.

927 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:47:49 ID:E4SpJ5.o0

( ゚д゚ )「おれもデミタスも、お前を、
お前たちをすげえって思ってる。
仲間になれてうれしいよ。
守ってもらうとかいうのは冗談じゃないが、
ともに戦うというのなら、願ってもない」

(´・ω・`)「ミルナさん……」

(´・_ゝ・`)「お前たちは信用できるからな。
でも、おれ達を信用していいのか?」

(´・ω・`)「今まで一緒に居てそう思いました。
それに、シャキン兄さんに付き合える人ですから」

(´・_ゝ・`)「なるほど」

(`・ω・´)「え?」

シャキンに注がれる全員の視線。

( ゚д゚ )「そうだな。おれとデミタスはシャキンのお守りをしてやろう」

(`・ω・´)「え?」

(´・_ゝ・`)「突然変なことをしでかすからな。
ストッパーやお守りは必要だろ?」

( ゚д゚ )「すーぐ敵に突っ込んでくし」

(´・_ゝ・`)「なんでも触るし」

('A`)「あの宝箱がトラップだったら厳しかった」

ξ゚⊿゚)ξ「そういえば、
見るからに怪しいキノコを採取してたわよね」

( ゚д゚ )「金額見ないで買おうとするし」

(´・_ゝ・`)「持てる容量考えないで買い込もうとするし」

( ^ω^)「おっおっお。
結局みんなで分けたおね」

.

928 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:48:51 ID:E4SpJ5.o0

川 ゚ -゚)「しかも、
次の店の方が安かったな」

笑顔でワイワイと話し始める六人。

(`・ω・´)「……解せない」

(´・ω・`)「……ありがと、シャキン」

眉間に皺を寄せて眉をひそめたシャキンの顔は、
いつも以上にショボンによく似ていて、
笑いを誘った。



ひとしきり会話をすると、
自然にショボンに視線が集まり、
波が引くように部屋に静けさが訪れた。

(´・ω・`)「みんな、ありがとう」

笑顔で全員の顔を見るショボン。

それぞれがその笑顔に答える。

そしてショボンの視線は寝室への扉に向かった。

(´・ω・`)「僕は、君の事も仲間だと思ってる。
一緒に、この世界を生きてくれないかな?」

全員の視線が扉に向くと、
静かに扉が開いた。

ミセ*゚ー゚)リ「私は……君たちの仲間にふさわしくないよ」

ξ゚⊿゚)ξ「ミセリ!」
川 ゚ -゚)「ミセリ!」

.

929 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:50:58 ID:E4SpJ5.o0

扉を支えにしてフラフラとした足取りで出てくるミセリ。
ツンとクーは両側からその体を支え、
立ち上がったドクオとブーンの座っていたソファーにミセリを座らせた。

ξ゚⊿゚)ξ「ミセリ……」

川 ゚ -゚)「大丈夫なのか?」

ミセ*゚ー゚)リ「ありがとう……。
うん。……大丈夫だよ」

ドクオとデミタスがショボンの顔を見た。

(´・ω・`)「結構最初の段階で、扉が開いたのが見えたから。
僕の気持ちを聞いてもらったんだ。
みんなも良いよね?」

ξ゚⊿゚)ξ「ええ」

川 ゚ -゚)「もちろんだ」

ツンとクーが声に出して答え、
他の五人は無言で頷いた。

ミセ*゚ー゚)リ「だめ……だよ……」

俯くミセリ。
日罪に置いた両手は強く握られ、
細かく震えている。

ミセ*゚ー゚)リ「私を守ろうとしてゼアフォーとビコーズが……。
私がいたから……。
私があの二人を誘ったから……」

ミセリの両手に涙が落ちる。

.

930 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:52:15 ID:E4SpJ5.o0

ミセ*゚ー゚)リ「私が行くって言わなかったら……。
もっと二人の思いを考えてたら、
たとえあんな嘘の情報を信じてしまっていても、
私が行くって言わなければ……。
あんな熊に二人が……」

肩を震わせ、涙をこぼし続けるミセリ。

(´・ω・`)「ミセリさん……。
いや、ミセリ。
僕は君が悪いとは思わない。
ミセリは、二人の為に頑張っていたと思うから。
ゼアフォーはともかくビコーズは戦いを怖がっていたように見えた。
でも、それじゃあこの世界で生きていくのは厳しいから、
ミセリは、三人で狩りに出て、
皆で生きていこうって言外で伝えていたと思う。
違うかな?」

ミセ*゚ー゚)リ「ショボン……くん」

顔を上げたミセリ。

涙に濡れた瞳に映るのは、自分に向かって優しげにほほ笑むショボンの顔。

それを見て、ミセリの顔がほんの少しだけ歪んだ。

(´・ω・`)「ミセリ、どうかな」

ミセ*゚ー゚)リ「すごいね……ショボンくんは……。
その通りだよ。
ビコーズは、
戦闘は得意じゃなかった。
アバターの時は良かったけど、
リアルと同じ体型になったら、ダメだったみたい。
でも、それじゃあこの世界では生き抜くことが難しいかもしれないと思った。
それに、彼も三人で動くことを選んだから……。
けど、違ったんだね。
それじゃあ、ダメだったんだ……」

.

931 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:55:27 ID:E4SpJ5.o0

歪んだ笑みを浮かべるミセリ。
瞳には涙が浮かんでいる。

ミセ*゚ー゚)リ「βテストで出会って、
またこの世界で出会いたいって言って。
噂で聞いた体術スキルを使った忍者プレイなんか楽しそうって話して……」

歪んだ笑顔を浮かべたまま涙をこぼす。

ミセ*゚ー゚)リ「それが全部、間違いだった。
私の独りよがりで、二人を……。
私なんかを守るために、二人があんな熊なんかに……」

ξ゚⊿゚)ξ「ミセリ……」

川 ゚ -゚)「ミセリ……」

両側からそれぞれにミセリの手に自分の手を重ねたツンとクー。

ミセ*゚ー゚)リ「え?」

ξ゚⊿゚)ξ「『わたしなんか』なんて言わないで。
ミセリは、頑張ったと思う。
わたしには想像もつかないくらい、
戦っていたと思うから」

川 ゚ -゚)「今度は、私達も一緒に戦いたいんだ。
生きるために、
生き残って戻るために」

ミセリの手が更に強く握られる。

ξ;⊿;)ξ「ミセリ……」

川 ; -;)「ミセリ……」

ミセ*゚ー゚)リ「二人とも……」

静かに涙を流す二人。

.

932 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 00:57:57 ID:E4SpJ5.o0

ゆっくりと首を動かして二人を見た後に、
ミセリは俯いた。

肩が細かく震えている。

(´・ω・`)「ミセリ」

ミセ   )リ「……なに?ショボンくん」

(´・ω・`)「今日一日、ゆっくり考えてもらえるかな?
僕達とともに戦うということを」

川 ; -;)「ミセリ!」

ξ;⊿;)ξ「ミセリ!」

ミセ   )リ「……うん。わかった」

立ち上がるミセリ。

それに合わせてツンとクーも立ち上がるが、
ミセリが二人に向かって首を横に振ると、
ゆっくりと手を離した。

ミセ   )リ「部屋、貸してもらうね」

(´・ω・`)「うん」

俯いたまま寝室に移動するミセリ。

扉がしっかりと閉まったのを見てから、
ドクオが口を開いた。

('A`)「どういうことだ?」

( ゚д゚ )「二人が、
ゼアフォーとビコーズが、
ミセリを守って死んだ?」

.

933 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 01:00:05 ID:E4SpJ5.o0

(`・ω・´)「精神的に酷い衝撃があると、
記憶が混同することがあると聞いたことはあるが……」

横目でショボンを見るシャキン。

ブーンたち四人の視線もショボンに向かう。

(´・ω・`)「……いくら医者の息子だからって、
そこまで詳しくはないよ」

( ^ω^)「おー。でもおじさんは」

(´・ω・`)「専門は精神科じゃなくて、脳外科。
他にも色々手は出しているみたいだけど。
で、まあ、僕も事例は聞いたことがある。
辛い出来事を忘れてしまったり、
自分以外の人に起きたことだと記憶したり。
今の彼女が本当にその状況かどうかは分からないけど、
そう考えれば辻褄はあうと思う。
ただ……」

(´・_ゝ・`)「どうした?」

(´・ω・`)「いや、……うん。
なんでもない」

(`・ω・´)「ま、そこら辺の考えることはこいつに任せておけばいい。
調べる手段がない以上、調べようがないし、
知識を持っている可能性のあるこいつに考えさせておけばいいさ」

(´・ω・`)「なんかムカつくんだけど」

(`・ω・´)「はっはっは」

笑いながら、
ショボンの頭を右手でガシガシと撫でるシャキン。

それを見て六人の顔に少しだけ笑みが浮かんだ。

.

934 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 01:02:39 ID:E4SpJ5.o0

ξ゚⊿゚)ξ「……仲間になって、くれるかなぁ」
 
ソファーに座ったツンがぽつりと呟く。

( ^ω^)「きっと、なってくれるお」

斜め後ろに立ったブーンが肩に手を置いた。

( ^ω^)「大丈夫だお」

ξ゚⊿゚)ξ「……うん」

肩にのせられたその手に、そっと自分の手を重ねるツン。

('A`)「あつい、あつい。
それで、今日はどうする?」

ドクオの言葉で慌てて手を離す二人。

(´・_ゝ・`)「全員で行くか?」

(´・ω・`)「大丈夫だと思うけど、
ミセリを一人にするのは……」

( ゚д゚ )「うむ。そうだな」

川 ゚ -゚)「……すまない、私に残らせてもらえないか?
先程ということが変わって申し訳ないが」

ξ゚⊿゚)ξ「あ、私も!」

(´・ω・`)「クー。ツン」

(`・ω・´)「それが良いんじゃないか?ショボン」

(´・ω・`)「そう……だね。
一度お昼には戻るから」

川 ゚ -゚)「ああ」

ξ゚⊿゚)ξ「ええ」

二人が頷き、
残りの六人もそれぞれに言葉を交わしながら、
出発の準備を始めた。

.

935 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 01:04:39 ID:E4SpJ5.o0




その後、悩んでいたミセリをツンとクーが説得し、
彼ら九人は仲間として過ごし始めた。




最初は流されるままに戦闘や生活をしていたミセリであったが、
徐々に活動的になっていった。

ミセ*゚ー゚)リ「ブーンくん!一歩目をもう少し早く!
ツンちゃん!二歩後ろに!」

戦闘時の指示は、ある点においてドクオよりも優れていた。

ミセ*゚ー゚)リ「シャキン!出すぎ!
ミルナさんとデミタスさんはあと一歩ずつ左右に!」

それは連携。

ミセ*゚ー゚)リ「ショボンくん!後ろすぎ!
槍の長さを考えて!
クーちゃんも槍の長さを考えて移動!」

ソロとしての戦い方はドクオの方が優れていたが、
複数戦での連携に優れていた。

ミセ*゚ー゚)リ「ドクオくんはアルルッカバーくんの時と戦い方を変えたんだよね。
でもなんか、今の方が『ハマってる』感じがする」

決まった形ではなく、
どの相手でも連携が取れるように、
戦うことが出来るように練習を重ねていった。

ミセ*゚―゚)リ「ここのモンスターは、
相手の武器を落とさせるスキルを使ってくるから注意だよ」

知識もドクオに引けを取らず、
二人の記憶によって一層を進んだ。

.

936 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 01:06:44 ID:E4SpJ5.o0

ミセ*゚ー゚)リ「武器を落とされても慌てないで!
下を向いたら襲ってくる!
まずは一歩下がって相手の動きと武器を視界に入れるの!」

敵に合わせたその指示は的確で、
無理をしないその歩みは、
彼らの糧となり、
レベル以上の経験を与えた。





そしてゲームに閉じ込められてからひと月が過ぎた。

ミセ*゚ー゚)リ「!フロアボス戦!?もう!?」

('A`)「『もう』といっても一か月過ぎてるから、
βの時に比べたらかなり遅いけどな。」

ミセ*゚ー゚)リ「あの時と一緒にしないでよ」

('A`)「とりあえず参加者を募る集会をするみたいだ」

ミセ*゚ー゚)リ「……どう思う?」

('A`)「レベル的には、問題ないと思う」

(´・ω・`)「そうなの?」

('A`)「まあ。
参加しようって奴なら、
βテストの時に攻略した時よりはレベルは上がってるだろ」

( ^ω^)「βの時はドクオも参加したんだおね?」

.

937 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 01:08:10 ID:E4SpJ5.o0

('A`)「最初はな。
今よりレベルは低かったし、すぐ倒されたけど。
そして結局一層のボスを倒したときは、
パーティーに入れなかった。
だから二層の時にリベンジした」

ξ゚⊿゚)ξ「入れなかった?」

('A`)「ボス戦は最大参加人数が決まってるんだよ」

川 ゚ -゚)「人数無制限ならのんびり交代で戦えるのにな」

('A`;)「ゲームとしてはなかなかつまらないから。それ」

ミセ*゚ー゚)リ「そんなことどうでもいい!
……まだ早いよ。私は止めた方が良いと思う。
フロアごとのレベル上限なんてないはずだから、
もっと上げてからやれば良いのよ」

('A`)「……とりあえずその集会を見に行こうかと思うんだけど」

ミセ*゚ー゚)リ「まさかドクオくん、やるつもり?」

(´・ω・`)「ドクオ?」

(`・ω・´)「なんだ、βテストのリベンジ狙ってるのか?」

('A`)「い、いや、やらないけどさ。
どんな話し合いをするのか見に行こうかなって」

ミセ*゚ー゚)リ「反対」

(´・ω・`)「僕も」

('A`;)「え?べ、別に聞きに行くくらい」

ミセ*゚ー゚)リ「……私達はβテスターだよ。
今テスターがどんな風に言われてるか知ってるでしょ?」

.

938 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 01:09:23 ID:E4SpJ5.o0

('A`;)「知ってるよ。
流石におれもそれをばらしたりはしない」

(´・ω・`)「何かの拍子に聞かれたときに、
挙動不審になりそうだから反対。
リスクは避けるべきだよ」

ミセ*゚ー゚)リ「その通り」

(´・_ゝ・`)「あー。墓穴掘りそう」

( ゚д゚ )「想像できるな」

('A`;)「みんなして……。
でも、さ。気にならないか?」

(´・ω・`)「それは……」

ミセ*゚ー゚)リ「気にならないと言えばうそになるけど」

('A`;)「だろ?きになるよな?
でも聞き耳とか鍛えてないから、
そばに行けないと聞けないし」

(´・_ゝ・`)「聞き……」

( ゚д゚ )「……耳?」

(´・ω・`)「あっ」

(`・ω・´)「ふっふっふ。
おれの出番のようだな。
安心しろ、鍛えてあるから」

ミセ*゚ー゚)リ「え?持ってるの?聞き耳スキルを?え?」

ξ゚⊿゚)ξ「聞き耳スキルを……」

川 ゚ -゚)「鍛えてる?」

.

939 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 01:11:23 ID:E4SpJ5.o0

(´・ω・`)「そういえばそうだったよね」

('A`)「おれも鍛えるかな……」

ξ゚⊿゚)ξ「え?」

川 ゚ -゚)「え?」

('A`)「え?」

川 ゚ -゚)「その聞き耳ってのは、
聞き耳スキルの事だよな?
人の会話を盗み聞きする」

('A`;)「そういわれると身も蓋もないというか」

川 ゚ -゚)「私たちには知らない使い方があるのかもしれないが……」

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオが鍛えてるっていうとね……」

('A`;)「なんでだよ!」

(`・ω・´)「……(良かった。おれから話がそれた)」

ミセ*゚ー゚)リ

(`・ω・´)「ん?ミセリ、どうした?」

ミセ*゚ー゚)リ「別に。
鍛えてるんだーと思って」

(`・ω・´)「まあ、ちょろちょろと」

ミセ*゚ー゚)リ「ふーん」

(`・ω・´)「なんだよ」

ミセ*゚ー゚)リ「いや、シャキンはそういうのも覚えてるんだなって思って。
ま、これでドクオくんも参加しなくていいし。
ショボンくん、それならいいよね」

.

940 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 01:12:33 ID:E4SpJ5.o0

(´・ω・`)「そうだね。
一応一人だと目立つかもだから、
三人か四人くらいで聞けるギリギリで打ち合わせをしているふりでもして」

( ゚д゚ )「近くにフリーの建物でもあればいいんだがな」

('A`)「それならおれもそのカモフラージュ役に」

ミセ*゚ー゚)リ「却下」

(´・ω・`)「不許可」

('A`)「……ハーイ」





集会が行われた直後に、第一層ボス戦は
行われた。
その最初の戦いでボスに勝利した知らせは、
全てのプレイヤーに喜びを与えた。

そして、
その戦いで一人死亡したことは、
大多数のプレイヤーに衝撃をもたらした。

更に、その戦いの場である言葉が生まれた。

('A`)「『ビーター』ね……」

第二層の最初の街で拠点となる部屋を借りた九人は、
一つの部屋に集まっていた。

ミセ*゚ー゚)リ「『ベータテスター』と『チーター』で『ビーター』か。
内容はともかく、うまいこと言うわね」

('A`)「感心している場合じゃないだろ」

.

941 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 01:13:56 ID:E4SpJ5.o0

ミセ*゚ー゚)リ「あら。私とドクオくんだって、
充分『ビーター』と呼ばれる立場にいると思うけど」

('A`)「だからだよ」

ミセ*゚ー゚)リ「今まで通り隠し通せばいいだけよ。
目立たず、ひっそりとね」

('A`)「……だな」

一つの書類を回し読みしている九人。
最初に読んだショボン、ドクオ、ミセリが会話の口火を切った。

(´・ω・`)「この『キリト』って人は、すごい人だね」

('A`)「ああ。話によればこいつともう一人の女の子で、
ほぼ二人でヒットポイントのラスト一本を削ったみたいだ」

ξ゚⊿゚)ξ「女の子?」

('A`)「ああ。しかもレイピア使いって話だよ。
名前は……『アスナ』だったかな。
あ、一応買った情報だから、他言は無用だぞ」

川 ゚ -゚)「買った?」

('A`)「アルゴから買った」

ξ゚⊿゚)ξ「アルゴって、あの……」

ミセ*゚ー゚)リ「情報屋のアルゴさん。
あの時、私を助けてくれた人だよ。
そして、店で無料配布している『攻略本』の製作者。
明言はしてないけど、おそらくは『βテスター』」

ξ゚⊿゚)ξ「βテスター……。
ビーター……」

.

942 ◆dKWWLKB7io:2016/05/09(月) 01:14:55 ID:E4SpJ5.o0

( ゚д゚ )「βテスターへの風当たりは強いからな。
一部では、βテスターがテスト時の知識を利用して、
自分達だけが生き残るために私益を得ているなんて話まで流れてる」

川 ゚ -゚)「……ひどい話だ」

ミセ*゚ー゚)リ「私たちの知ってる情報なんて、
アルゴさんが配ってる攻略本と大差ないのに」

( ^ω^)「ショボンが前に言っていた通りになったおね」

(´・ω・`)「当たってほしくなかったけど」

(`・ω・´)「今のところβテスターであることを公言しているのは、
この『キリト』だけなのか?」

ミセ*゚ー゚)リ「多分。
テスター同士では分かっている人たちもいると思うけど。
アルゴさんを含めて明言したのは彼だけだと思う」

(´・ω・`)「アルゴさんもβテスター絡みの情報は渋るしね」

( ^ω^)「お?何か買ったのかお?」

(´・ω・`)「うん。現時点で亡くなった方のうち、
βテスターだった人はどれくらいいるか」

ミセ*゚ー゚)リ「は?」

('A`;)「おまっ。そんなデータ買ったのか!?」

(´・ω・`)「うん」

(´・_ゝ・`)「だが、
βテスターかどうかだなんて、
分かるのか?」

.

943名も無きAAのようです:2016/05/09(月) 01:14:59 ID:tdKUX1ew0
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