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( ^ω^)達はアインクラッドを生きるようです。
-
立ったら投下がある。
-
二人はミセリの両側にしゃがんだ。
(´・ω・`)「ミセリさん」
二回名前を呼ぶと、伏せていた顔を上げてゆっくりとショボンを見た。
(´・ω・`)「ここは安全エリアですが休めません。
まずはホルンカまで戻りましょう」
ミセ*゚ー゚)リ
( ^ω^)「ミセリ……」
ブーンの優し気な声に釣られるように向きを変えるミセリ。
( ^ω^)「おっおっ。
一緒にホルンカへ戻るお」
柔和な笑みを浮かべたブーン。
その顔を見たミセリの目から、涙がこぼれ落ちた。
ミセ*;ー;)リ「ゼアフォーが、姫じゃなくて、ミセリって……呼んだの」
( ^ω^)「そうなのかお」
ミセ*;ー;)リ「それで、私の事が好きだって」
( ^ω^)「ゼアフォーはミセリの事がすきなんだお」
ミセ*;ー;)リ「私……全然知らなくて……。
姫って呼ばれるのも、ただのキャラ設定で……。
とりあえず女の子とゲームをするのが楽しいだけなんだろうって……。
思ってて……」
( ^ω^)「そうだったのかお……」
ミセ*;ー;)リ「こんな、ゲームの世界で、好きとか、言われても、
アバターだし、現実とは性格だって違うし。
こんなに、わたし、しゃべることなんて……」
.
-
( ^ω^)「ゼアフォーは、
そんなのも全部ひっくるめて、
ミセリの事が好きなんだお」
ミセ*;ー;)リ「私なんか……」
( ^ω^)「ゼアフォーが好きな人の事を、
『なんか』なんて言っちゃだめだお」
ミセ* ー )リ!
( ^ω^)「ゼアフォーはかっこいいお。
好きな人を守ってるんだお。
だから、そんなかっこいいゼアフォーが好きになった人の事を、
『なんか』なんて言っちゃだめだお」
ミセ* ー )リ「ブーン……くん……」
( ^ω^)「ホルンカにかえるお」
ミセ* ー )リ「もう……少しだけ……。
今は星は見えないけど、ゼアフォーが、
ここで見る星が、好きだったから……」
( ^ω^)「そうだったのかお……」
再び俯いたミセリ。
ブーンがショボンの顔を見ると、ショボンは一度頷いた。
( ^ω^)「分かったお。
もう少しだけ、ここにいると良いお」
ミセ* ー )リ「ありがとう……」
ミセリが涙を流したまま顔を伏せる。
二人のした会話は決して大きな声ではなかったが、
そこにいる全員の耳に届いていた。
そう。彼にも。
.
-
( ∵)「ふざけるな!」
ふらりと立ち上がったビコーズ。
そして両足で大地を踏みしめ、
こぶしを握って叫んだ。
( ∵)「ふざけるな!!」
その声は強く激しく、
けれど震えていた。
( ^ω^)「ビコーズ!?」
ビコーズがミセリの前に立った。
(´・ω・`)「ビコーズさん?」
( ∵)「ふざけるな!
あいつはずっとお前のことが好きだったんだ!」
ミセ*゚ー゚)リ!
顔を上げるミセリ。
その目の前には、怒りによって顔を赤くしたビコーズ。
( ∵)「ずっと、ずっと、ずっと!
βで会った時からずっと!
おれと二人で!お前が好きだったんだ!」
ミセ*゚ー゚)リ「ビコーズ……」
( ∵)「おれたち二人はゲーム初心者で、
名前のモチーフが似てて、
知り合ってから名前の事で盛り上がって!
はじまりの街から出ることが出来なかったけど!
話しているだけで楽しかった!
でもお前と会って、ゲームの進め方や戦い方を教えてもらって、
お前の事を二人で姫って言いだして!
守るって決めて!」
.
-
苦しそうに言葉をつづけるビコーズ。
その激しさと悲しみと怒りで、
誰も近寄れない。
( ∵)「だから、だから、だから!
お前に誘われたから!
だから正式サービス後も始めたんだ!
誘われなかったらやらなかった……。
おれ達は……」
(´・ω・`)!
( ^ω^)!
('A`)!
ξ゚⊿゚)ξ!
川 ゚ -゚)!
(`・ω・´)!
ミセ*゚ー゚)リ「え、で、でも、二人とも、またここで会おうって……」
( ∵)「おまえにゲームの中でリアルの事を聞くのはマナー違反だって言われた!
おれ達がお前にまた会おうには、ここに来るしかなかった!
三人共βで止めるのならば他で会おうってことになったかもしれない。
でも、おれ達よりもゲームを楽しめるお前がこの世界に残るなら、
会うなら、おれ達はここに来るしかなかったんだ!」
肩を震わせ、涙でぐしゃぐしゃの顔で叫んだビコーズ。
その告白は、だれもが固唾を飲んで見つめる事しかできなかった。
ミセ*゚ー゚)リ「ビコーズ……くん……」
( ∵)「……おれ達が、この世界に来たのは、お前のためだ」
ミセ*゚ー゚)リ!
.
-
( ∵)「おれ達が、この世界に囚われたのは、お前のせいだ」
ミセ* ー )リ!
( ∵)「あいつがこんなことになったのはおまえのせい」
川 - )「ふざけるな!」
駆けだしていたクーが、
ビコーズが言い終わる前にその胸ぐらを掴む。
(´・ω・`)「クー!」
ξ゚⊿゚)ξ「クー!」
(;^ω^)「クー!?」
川 - )「ここに来ると決めたのは好きな人のせいじゃ無い!
自分で決めたからだ!」
ξ゚⊿゚)ξ「クー」
川 - )「自分で決めたことを誰かのせいにするな!
経緯はどうであれ自分で決めた自分でナーヴギアをかぶったんだ!
自分の行いの責任は自分で取れ!
人のせいにするな!
しかも惚れた相手のせいにするなんて言語道断だ!」
ビコーズの胸元を掴んだまま激しく揺するクー。
その剣幕に誰も動けない中、
一人ツンは彼女に近付き、
その背中に優しく抱きついた。
ξ゚⊿゚)ξ「クー」
川 - )「ツン……」
強く抱きつき、その背中に頬を当てて彼女の名を呼んだ。
.
-
ξ゚⊿゚)ξ「クー。落ち着いて」
川 ゚ -゚)「ツン……」
クーが動きを止める。
胸倉は掴んだままだが、
ビコーズも力をなくし立ち尽くしている。
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫みたいね」
手の力を緩めるツン。
ξ゚⊿゚)ξ「クーもその手、早く離した方が良いわよ。
クズに触ってると手が腐るから」
川 ゚ -゚)「そうだな……」
(;^ω^)(おー)
('A`;)(安定のツンだな)
(;゚д゚ )(ん?いまさらっとひどいことを)
(;´・_ゝ・`)(うわぁ……)
そっと身体を離したツンにあわせるように、
クーも手を離し、振り返った。
川 ゚ -゚)「ありがとう、ツン」
ξ゚⊿゚)ξ「パフパフ一回分貸しね」
川 ゚ -゚)「私は良いが、ツンが悲しくならないか?」
ξ゚⊿゚)ξ「うるさい」
軽口をたたきつつ、クーと位置を入れ替えるツン。
そして振り上げた右手を振りぬいた。
.
-
(;^ω^)(お!)
('A`;)(うわっ)
(´・ω・`)(あっ)
(;`・ω・´)「おっ」
(;゚д゚ )(え?)
(;´・_ゝ・`)(いたい……)
(アルゴ)(あれくらいなら攻撃判定に入らない……と)
左頬を平手打ちされたビコーズがよろめいて座り込む。
そんな彼を、軽蔑した目で見降ろすツン。
ξ゚⊿゚)ξ「あんた、最低よ」
そして踵を返すと、クーの手を取ってミセリの前に立った。
ξ゚⊿゚)ξ「ミセリ、こんなのとのパーティーはさっさと解消して、
私達のパーティーに入りなさい」
ミセ*゚ー゚)リ「……え?」
ξ゚⊿゚)ξ「『え』じゃなくって、
パーティーは基本六人までいけるんでしょ」
ミセ*゚―゚)リ「あ、うん。そのはずだけど」
ξ゚⊿゚)ξ「ならいいじゃない」
ミセ*゚ー゚)リ「で、でも……」
ξ゚⊿゚)ξ「でももくそもないわよ」
ミセ*゚ー゚)リ「くそって……」
.
-
ξ゚⊿゚)ξ「こんなのとパーティー組んでても良いことないわよ」
川 ゚ -゚)「それは私も同意見だ」
ミセ*゚ー゚)リ「で、でも……」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたは私たち。
あいつはシャキンのところにでも入れて鍛えなおしてもらえばいいでしょ」
(`・ω・´)「え?そこでおれ登場?」
ξ゚⊿゚)ξ「良いわよね?」
(`・ω・´)「え、でも」
ξ゚⊿゚)ξ「い、い、わ、よ、ね?」
(`・ω・´)「はい」
( ゚д゚ )
(´・_ゝ・`)
ξ゚⊿゚)ξ「これでよし」
満足げに周囲を見回すツン。
ほぼ全員が呆気にとられているのを確認しつつも、
得意げに笑うだけだ。
ξ゚⊿゚)ξ「さ、とりあえず戻るわよ。
鼠さん」
アルゴを見て、彼女に向かって数歩近付くツン。
突然のことに戸惑うアルゴ。
ξ゚⊿゚)ξ「?鼠さん?」
(アルゴ)「えっと……わたしのことかナ?」
ξ゚⊿゚)ξ「他に誰がいるのよ」
(アルゴ)「……『アルゴ』って名前があるんだけどネ」
.
-
ξ゚⊿゚)ξ「じゃあアルゴ、帰り道の先導もよろしく」
(アルゴ)「……あいヨ」
('A`;)(ツンすげー)
ツンが話を進める中、
クーがミセリの前にしゃがんだ。
川 ゚ -゚)「ミセリ、立てるか?」
ミセ*゚ー゚)リ「……うん」
戸惑いながらも頷いたミセリに笑いかけ、
クーが立ち上がる。
そして差し出される右手。
ミセ*゚ー゚)リ!
川 ゚ -゚)
にっこりとほほ笑んだクーを見ながら、
ミセリがその手を取り、
ゆっくりと立ち上がった。
ショボンが、うずくまったままのビコーズに近付く。
(´・ω・`)「ビコーズさん……」
( ∵)「おれは悪くない……
おれは悪くない……
おれは悪くない……」
(´・ω・`)「ビコーズさん」
( ∵)「おれは悪くない……
おれは悪くない……
……悪いのは……」
ゆっくりと立ち上がるビコーズ。
その目は虚ろで『何も見ていない』ようで、
けれど視線の先はミセリに向いていた。
.
-
そしてフラフラと歩きだす。
( ∵)「みせり……」
近寄るビコーズの前に立ちふさがるツンとクー。
だがミセリは二人をゆっくりと押して間を開け、
間に立った。
ξ゚⊿゚)ξ「ミセリ……」
川 ゚ -゚)「ミセリ」
ミセ*゚ー゚)リ「ふたりとも、ありがとう」
小さな声で二人感謝を告げてから、
一歩前に出るミセリ。
ミセ*゚ー゚)リ「ビコーズ……」
( ∵)「悪いのはおれじゃない……。
あの噂だ……。
あんな噂があったから……」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたっ!」
前に出ようとしたツンの前に手を出すミセリ。
ξ゚⊿゚)ξ「ミセリ」
ミセ*゚ー゚)リ「ごめんね。
ずっと二人の思いに気付かなくて……。
私が誘ったから、こんな目に合わせてしまって……」
川 ゚ -゚)「ミセリ!」
ミセ*゚ー゚)リ「私が誘ったのは事実だよ。
また、この世界で会いたいって。
強要はしてなくても、誘ったのは事実」
川 ゚ -゚)「……ミセリ」
.
-
ミセ*゚ー゚)リ「だから、ビコーズがもう戦いたくないなら、
私が戦って、ビコーズを守るから。
ビコーズははじまりの街で、助けが来るのを待っていてくれれば、
それまで私が支えるから」
ξ゚⊿゚)ξ「ミセリ!何言ってんのよ!」
川 ゚ -゚)「ミセリ!それは違う!」
ミセ*゚ー゚)リ
小さく首を振るミセリ。
ビコーズを見るその表情を見て、
二人は二の句をつなげることが出来なかった。
ミセ*゚ー゚)リ「ビコーズ」
( )「姫……」
俯いたまま、
ビコーズがミセリの前に立つ。
( )「姫は、ゼアフォーの事が、好きですか?」
ミセ*゚ー゚)リ「……うん。好き。
恋じゃないかもしれないけど、大事な人」
( )「……『ビコーズ』、の、ことは?」
ミセ*゚ー゚)リ「好きだよ。
大事な、友達だよ。
だから……え?」
ビコーズが、握手をするように手を差し出した。
( )「ぼくも、二人が好きだ。
やっとできた友達。
ずっと、一緒に居たいと思ってる」
ミセ*゚ー゚)リ「ビコーズ……」
.
-
差し出された手を、両手で握るミセリ。
ミセ*゚ー゚)リ「うん……」
( )「だから……」
ミセリの手が、強く握られた。
( ∵)「一緒に行こう」
ミセ*゚ー゚)リ!
上げたビコーズの顔は笑顔だった。
ミセ*゚ー゚)リ「ビコーズ?」
ミセリが困惑しながら名前を呼び終わる前に、
腕を引っ張られて思わず足を動かす。
( ∵)「いこう!」
ビコーズの勢いに釣られてそのまま歩くミセリ。
ミセ*゚ー゚)リ「ビコーズ?どこに……!」
ビコーズの視線の先には、何もない空間。
ただ『空』があるだけ。
ミセ*゚ー゚)リ「ビコーズ!」
( ∵)「行こう姫!
ゼアフォーのところへ!」
ミセ*゚ー゚)リ「!」
空に向かって、
崖の先に向かって走り出そうとするビコーズ。
ミセリは必死にその場にとどまろうとし、
かつビコーズの手を強く握った。
( ∵)「姫!」
ミセ*゚ー゚)リ「だめ!ビコーズだめ!」
.
-
(;^ω^)「だめだお!」
('A`)「ビコーズ!」
慌てて駆け寄ったブーンとドクオがビコーズの身体を押さえる。
しかしその動きを完全には止められない。
ミセ*゚ー゚)リ「ビコーズ!
やめて!」
(;^ω^)「おちつけお!」
('A`;)「おい!やめろ!」
(;´・ω・`)「みんな!」
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン!」
川;゚ -゚)「おい!気を付けろ!」
ショボンをはじめとする全員が動き出そうとしたその時。
(`・ω・´)「とや!」
いつの間に背後に回ったシャキンが膝の後ろを蹴り、
ビコーズのバランスを崩した。
(;^ω^)「おっ」
('A`;)「うわっ」
ブーンとドクオも一緒にバランスを崩し身体を重ねるように倒れ、
結果的にビコーズを止めることに成功した。
.
-
(;´・ω・`)「シャキン……危ないよ」
(`・ω・´)「ん?大丈夫大丈夫」
シャキンは口元に笑みを浮かべながら崖に向かう道を見ると、
ミルナとデミタスが姿勢を低くして、
万が一誰かが転がってきても止めることが出来るように準備していた。
( ゚д゚ )
(´・_ゝ・`)
(`・ω・´)
(´・ω・`)「どや顔されても」
立ち上がりながらやってくる二人とシャキンに向かって悪態をつきつつも、
ホッとした笑顔を見せたショボン。
( ∵)「なんでだ!」
ミセ*゚ー゚)リ「ビコーズ……」
四つん這いになり、
下を向いたまま地面を叩くビコーズ。
ドクオとブーンはビコーズのそばに立ち、
ツンとクーはミセリのそばに寄っている。
ショボン達四人は、少し離れた場所に立っていた。
( )「なんでだ!」
ミセ*゚ー゚)リ「ビコーズ?」
( )「なぜおれが生きていて!
ゼアフォーが死んだんだ!」
ミセ* ー )リ!
.
-
それは、だれもが分かっていて口にすることが出来なかったこと。
ゼアフォーの死。
( )「何でおれが生きていて、
ゼアフォーが死んだんだ……。
死ぬのは、おれの方だろ……。
あんな噂を信じた、おれの方だろ…………」
涙声で叫びながら地面をたたくビコーズ。
( )「なんであんな噂を信じまったんだ!
おれはバカだ!バカだ!バカなんだ!
だから死ぬのはおれなんだ!
なんで!なんで!なんで!」
ミセ* ー )リ「ビコーズ……」
( )「だからせめて、
ゼアフォーが寂しくないように、
ミセリを連れて、
おれの顔なんか見たくないだろうけど、
でも、謝りたくて……」
ξ#゚⊿゚)ξ「あんた!」
川#゚ -゚)「貴様!」
ミセ*゚ー゚)リ「ふたりとも」
ミセリを支えるように寄り添っていたツンとクーがビコーズに怒声を浴びせようとするが、
ミセリに止められた。
ξ゚⊿゚)ξ「ミセリ、あんた」
川 ゚ -゚)「ここはしっかりと!」
ミセ*゚ー゚)リ「二人ともありがとう」
.
-
きてるー!
楽しみにしてるよ!
-
にっこりとほほ笑んだミセリ。
その微笑みをみて、二人は何も言えなくなった。
ミセ*゚ー゚)リ「ビコーズ」
四つん這いのビコーズの前にしゃがむミセリ。
ミセ*゚ー゚)リ「私は、死ねない」
( ∵)!
顔を上げるビコーズ。
ミセ*゚ー゚)リ「ゼアフォーは、私を守ってくれた。
……命を懸けて、守ってくれた」
苦しそうに、けれど微笑んでビコーズに話すミセリ。
ミセ*゚ー゚)リ「だから、ね。
ゼアフォーが守ってくれた、
この命を、ね。
自分の手で、捨てる事なんか、できないの」
ξ゚⊿゚)ξ「ミセリ……」
川 ゚ -゚)「ミセリ……」
ミセ*;ー;)リ「ごめんね、ビコーズ。
でもね、きっとね、ゼアフォーはね、
ビコーズが……死ぬことも、望んでなんかね、ないと思うんだ」
ミセリの両眼からポロポロと涙がこぼれる。
ミセ*;ー;)リ「ごめんね。ビコーズ。
こんなところに連れてきちゃって。
わたし、……わたし……。
がんばるから。
がんばって、生きて、いつか帰れる日まで、がんばるから。
だから、ビコーズも、頑張って、生きて……ね……ビコーズ……」
.
-
苦しそうに、泣きながら、けれど精一杯の微笑みを見せて、
右手をビコーズに差し出すミセリ。
( ∵)「ミセリ……」
だがビコーズは名を呼んだだけでその手は取らず、
ゆっくりと立ち上がった。
ミセ*;ー;)リ「ビコー……ズ」
( ∵)
立ち上がったビコーズと、
しゃがんだままのミセリ。
泣き続けるミセリと、
涙を流し果てたようなビコーズ。
ミセ*;ー;)リ「ビコー……ズ?」
ビコーズは、笑った。
表情としては、『笑み』
だがそこには嬉しさも喜びも楽しさも無く、
かといって怒りや苦しみを隠すための笑みでもない。
無感情な、
ただ、顔の筋肉を動かしただけのような、
虚ろな、
『笑い顔』
ミセ*;ー;)リ「ビコー……ズ?」
ミセリがビコーズの名を再度呼ぶと、
彼が口を開いた。
( ∵)「独りで、やってくれ。
おれは無理だ」
.
-
早口で呟いた後、
踵を返して走りだしたビコーズ。
そばにいたドクオとブーンに対応が出来ないほどの素早い動き。
もしもショボンとシャキンがそばに居れば、
その表情の怖さをリアルの世界で知っている二人がそばにいたのなら、
もしかしたら止められたかもしれない。
けれどそれはすべて可能性。
現実は、
笑いながら崖から空に向かって飛んだビコーズと、
その背中を見守ることしかできなかった十人。
も何も言えず、
ガラスの砕けるような音が、
ポリゴンが砕け散る音が、
耳に届くまで、
誰も、
動けなかった。
その音がする直前まで聞こえたビコーズの声を、
笑い声とするのか、
叫び声とするのか、
泣き声とするのかは、
十人それぞれの心の中だった。
.
-
以上、『9.境界線』でした。
支援、ありがとうございます!
まだもう少し続く二十話、
よろしくお願いします!
それでは次回、またよろしくお願います。
ではではまたー。
.
-
乙乙
-
続き楽しみ
-
乙でした
続きを楽しみにしてます
-
こりゃツンとクーはマジでお花畑やなぁ・・・
-
こりゃツンとクーはマジでお花畑やなぁ・・
-
分かりきってる正論言って、殴って、余計な暴言吐いて
ビコーズを自殺させて満足かよ
-
どんなに追い詰められようが、どんなに辛かろうが、男として、人として絶対に口にしちゃいけない言葉ってのがあるからな。
甘さとか未熟さとかで許されるレベルの発言じゃない。
ツンクーが切れてなかったらシャキンあたりが殴ってたんじゃないか
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クーのパフパフは一回いくらですか
-
クーはビコーズを自分と重ねたからの態度でしょ
ツンは擁護できないくらい空気読めてないけど
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まあどうせ他人のせいにするやつなんて遅かれ早かれ死ぬしなww
心に傷を残せてある意味最高に死でいいんじゃね!?www
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おつおつ
-
おつ
今までといい今回のビコーズ、ツンやクー含めて、キャラクターに人物としての考え方の違いがそれぞれ出ているのが凄い。
それによるキャラの好き嫌いは人それぞれだけど、その人物の性格や考え方がしっかりみせてくれるの本当良いね
-
どちらかといえばビコやミセリの状態のほうがよっぽど普通に思える
ショボンたちのほうが怖いわ
-
精神崩壊寸前の奴にクズ呼ばわり、暴力ですか。
まあ学生だから仕方ない所もあるけどこれは流石に・・・
-
今までの話だとギコしぃがいたからってのもあるけど未熟なところも悪いところもちゃんとあるのな。
クーはドクオの事だとしてツンは良くも悪くもそういう性格だって事かな、仲間以外にはキレると容赦がないというか
-
あとあれか、まだSAOに来たばかりの頃の話だっけか
-
ミセリって普段本編に出てきてるっけ?ごめんねあたし忘れちゃったよ…
-
ミセリに言い始めたから殴ったんだろ、黙らせなかったらミセリのほうが壊れてたんじゃないの…
言い方はもっとあっただろうけどさ、勝手に惚れられて依存されてそして責任を全部押し付けられたらミセリのほうが壊れるだろ
-
>ミセ*゚ー゚)リ「また来ますね!いこ!フィレフィレ!」
>(‘_L’)「ミセミセ。今日も食べすぎだぞ」
>ミセ*゚3゚)リ「ぶーー。たっておいしいんだぽん」
こんな役で出てるぞ 精神崩壊してるやんけ
-
>>855
女性陣はミセリ視点だった訳だな
女性からみたら女性の肩を持つのは当然だし男性が悪いように見えるよな
男女で視点が違う事をよく忘れる
男性視点で読むからツンが酷く思えるだけか
でもビンタはやりすぎ
-
http://is.gd/bM4zjX
-
「この世界に来たのはお前のせい」なんていう
この世界、特に5人におけるタブーを言ってしまったんだから殴るしかねぇ
-
5人におけるタブーを5人に対して言ってないのに殴られたらたまんねーよ
-
嘘か本当か判断できない噂におどらされて仲間死なせて、しまいにゃその責任を惚れた女に負わせようってんだからたまんねぇよな
まだ混乱期の話だからツンも若気のいたりって感じか。これを匂わすようなエピソードがあったかどうか
-
噂に踊らされたのはゼアフォーだけだけどな
-
いやビコーズであってるぞ
-
ショボン組は全員それぞれ生まれながらに非凡な才能を持っていたり特殊な環境で生活したりしてる「強い人間」「いわゆる“勝ち組”」なわけで、世の中にはそこまで強い力や心を持っている人間ばかりじゃないということを理解していないんだろうな
そもそも正義の味方を目指してるわけでもないので弱者の気持ちを解ろうとしているわけでもないしする必要はない
一番の目的は「自分と友人達が無事に帰れること」なんだから
中途半端な正義感が先走って他人を平気で傷つけるようなことも時には言ったりしたりするわな
って書いて今まで自分がショボン達5人に感じていた不気味さというか気持ち悪さはこれだったことに気付いた
天上人じみてるというか、他人との接し方に上級市民と平民みたいな態度を所々で感じる
-
まぁ全員高校生なのに既に、職場にこんな人材が一人は欲しいと思える位の思考力、判断力、行動力だからな。ドクオ位じゃないか?普通に高校生らしいの。
こんな集団が実際いたら不気味に感じるわなぁ。
-
http://is.gd/4twCxM
-
ツンクーのビコーズに対しての言動が理解できない奴の頭御花畑でワロエナイ
命のやり取りの重みが解らない学生にはまだ難しいのかな
-
>>864が俺の思ってたこと整理してくれた感じ。
それがつまらんとかではなくむしろこの作品好きでずっと見てるけど
今回のエピソードは上手くいえないが、誰が悪いとかじゃなくタイミングの悪さとか不運とか全部重なったって感じで、キャラの誰にとってもつらい話だなあと思う
こんなことがあっちゃミセリがショボン達とギルド一緒にやってくのはきつそうだ
-
>>867
ただゲームをやりにきただけなのにいきなり死んだらリアルでも死にますみたいな状況になって
短期間できっちり受け入れきってる時点で正直常人離れだとおもうぞ
受け入れてると思ってる人間もいざ目の前で本当に死んでしまったら取り乱すだろうに
-
http://is.gd/4twCxM
-
もっとも一番怖いというか不気味なのはシャキンだけどな
ショボン達のような浮世離れした臭いを感じさせないのに本気の能力はショボン以上(恐らく)というね
こういう愚者の皮を被れる賢者は一番敵に回したくない
-
ツンもクーもこの時期まだ冷静じゃないってのが良くわかるよね。
実際に酷い言葉を吐いてしまったとはいえ結局ビコーズのことは考えてやらずにそれをギャーギャー攻めてるだけだし。
ツンはまあ駄目そうだけど少なくとも物語後半のクーならもっと考えをめぐらせて冷静に諌めることも出来ただろうからな
-
全て自分でとった行動の責任は自分にあるものだよ。
ゲーム始めるのも自殺するのも全て自分の管理下で、他の環境のせいではない。
どう考えたってビコーズが自分で選んで人のせいにして自分で死んだだけ。
被害者意識高すぎて共感してる奴大杉。
-
>>873
そんな事読んでるやつ皆分かってるだろうしその上でツンやクーの対応について語ってんだろ
自分の気にそぐわない意見もあるだろうけど考え方は人それぞれなんだからいちいち人を下に見たような言い方すんな
語りたいなら語るだけにしろよ、無駄に荒らすな
-
>>856
おお!ありがとう!
確かにこんなバカップルいたわwww
-
クーが叩かれてんのはよく分からんな
あの場面で誰かがきっちり言っとかないと今度はミセリが極限まで追い込まれる
ツンはうん、まぁ……間違いなく無用な追撃だったね
-
ツンは当時はそういう性格だったって事だよな、ミセリの味方なのもあるけどクーが発言したからってのもありそう。ブーンやドクオはツンのそういうところについて分かってるようだし。
読者が思うようなところはミルナとデミタスが代弁しているように思える。
そんなツンが読者から責められるのは仕方ないとして、当時のクーに関してはもうあの言葉が仲間の誰よりもトラウマになっているだけじゃないか?もう聞きたくないし言わせたくないみたいな。
-
ミセリぶっ壊れっぽくなってるけど、15話最後に居たのもミセリじゃないのかな
何となくだし、こういう話していいのか分からんけど
-
>>878
アルルッカバー=ドクオが判明した時点で今まで読んできた人なら普通に思いつくことだろ
-
過去編長くて本編どんな状況だったか忘れたわ
読み直す時間ないから誰か本編を産業で
-
>>880
P
K
K
-
優秀でも精神的にまだまだ未熟なお子様に、発狂寸前で自己防衛のために形振り構わず責任転嫁してるような奴の心情を汲み取って対応することなんか出来ないだろ…jk
-
どっちもどっち
-
http://jump.cx/I7R2D
-
次まだかな?
-
面白いのう
-
10.謀略と攻略
.
-
ホルンカに辿り着いた10人。
気を失ったミセリを連れて帰ることが出来たのは、
ひとえにアルゴの知識だった。
(アルゴ)「これに彼女を入れれば、
引きずって連れ帰ることができると思う」
そう言いながら彼女がショボンに送ったのは、
アイテム名『寝袋』が2つだった。
どうやら次の町で手に入るアイテムらしく、
ドクオは一人納得していた。
その『寝袋』にミセリを入れ、
筋力パラメーターを比較的高くしていた
シャキン、ミルナ、デミタス、ドクオが三人ずつ交代で引き摺ってホルンカに戻ってきた。
辿り着いたのは本当にギリギリで、
ホルンカの門を通り過ぎて少し引き摺った時に、
耐久値が無くなった寝袋がポリゴンとなって砕け散った。
その砕け散る音が『あの時』の『あの音』に似ていて、
その音が響いた瞬間全員が横たわるミセリを確認し、
存在していることを視認したのちに胸をなでおろした。
2つ目の寝袋を使って農場の間借りしている部屋に辿り着いたときは、
全員が疲れ切っていた。
('A`)「あ……アルゴ……」
いつの間にか届いていたフレンド申請のメッセージを見つつ、
ドクオが部屋を見回す。
いつものリビングにいるのは男が五人だけだった。
(´・ω・`)「村の入り口で分かれたよ。
アルゴさんにはお礼をしないとだよね」
.
-
既に彼女のフレンド登録を済ませたショボンが何事もなく告げる。
('A`)「気付いていたなら言えよ」
(´・ω・`)「アルゴさん、
声をかけられたくなさそうだったから」
(`・ω・´)「お、おれにもフレンド申請が来てる」
( ゚д゚ )「とりあえずは昔の知り合いと、
特殊な奴を押さえたってところか?」
(´・_ゝ・`)「だろうな」
(´・ω・`)「特殊って」
(`・ω・´)「はっはっは。
おれはともかくお前は当たってるな」
(´・ω・`)
( ゚д゚ )
(´・_ゝ・`)
('A`)
四人の視線を受け止めつつも、
何もわからないふりをして小首をかしげるシャキン。
(´・ω・`)「かわいくないよ」
(´・_ゝ・`)「それが似合うのは二次の少年だけだ」
('A`)「せめて三次の少女も入れてください」
( ゚д゚ )「どちらにせよ変態だがな」
(´・_ゝ・`)「お前に言われたくない」
.
-
今まで通りのような会話をつなげていく五人。
しかしその笑顔は、完璧に笑顔を見せているシャキン以外、
すこし強張っていた。
会話を続けていると、寝室のドアが開く。
('A`)「……どうだ?」
( ^ω^)「目を覚ます様子はないお」
('A`)「そっか……」
(´・_ゝ・`)「あの時からずっと気を失ったままか」
( ゚д゚ )「仲間が二人とも……だからな。
しかも、ビコーズは……」
口を閉ざし、それぞれにあの瞬間を思い出す。
(`・ω・´)「ツンとクーは?」
( ^ω^)「……元気、だお」
(`・ω・´)「無理矢理?」
( ^ω^)「……うん。
だから、僕が居たら休めないかと思って、
出てきたんだお」
(`・ω・´)「おつかれさん」
小さな声でねぎらいの言葉をかけるシャキンに、
黙って少しだけ首を横に振るブーン。
ドクオに促されてソファーに座ると、
ショボンが目の前にカップを置いた。
(´・ω・`)「まずは少し落ち着こう」
.
-
( ^ω^)「……お」
見ればいつの間にか全員に行き渡っており、
ショボン自身もトレイを置いた後一つカップを持っていた。
(´・_ゝ・`)「おれ達がミセリを運ぶ要員だったから
後ろから戦闘を見てるだけなことが多かったけど、
彼女たち二人、少し危険だったな」
( ゚д゚ )「ショボンが槍を投げたり短剣や石を投げつけたのは驚いたけど、
あんなふうにモンスターの意識を自分に向けさせることが出来たんだな」
('A`)「ショボンがひきつけないと、
危険な場面がいくつかあった」
(`・ω・´)「……二人とも、
猪突猛進に突っ込んでいっていたからな。
空回りしていた」
( ^ω^)「ツンも、クーも、
ビコーズが死んだのは自分のせいだって思ってるんだお」
('A`)「はあ?」
(´・_ゝ・`)「あー。そっか」
( ゚д゚ )「少しきついことは言ってしまっていたから、
気にしているか……。
間違ったことは言っていなかったんだけどな」
('A`)「い、いや、でも」
(´・_ゝ・`)「ああ。ビコーズが死を選んだのは二人のせいじゃないってことは分かってる。
でもそれは、見ているおれ達が分かっているだけで、
二人は自分があんなことを言ったからって思ってるんじゃないか?」
( ^ω^)「……そうだと思うお」
('A`)「だ、だってあれくらいあいつらなら普通だし」
.
-
( ゚д゚ )「クーが激昂した理由は分からないが、
言っていたことは間違っていない。
ツンが言ったことは多少行き過ぎだったが、
お前たち仲間内なら許容範囲だったんだろ。
ただ、今は通常の状態じゃない。
ビコーズは特に、あの時は、な。
そして、あいつはおれ達の事を『仲間』とは思っていなかったのかもしれない」
('A`)「そんな……」
(´・_ゝ・`)「殴ったのは少しいただけないが、
もし彼女がなにもせず、
あいつがあのままあんなことを言い続けていたら……。
おれが殴ってたかもしれん」
( ゚д゚ )「おれもだ。
というか、本来ならばおれ達が同性として、
おそらくは年上の男として、
あいつを正してやらなきゃいけなかったんだ」
(`・ω・´)「うむ。そうだな。
おれ達がやらなきゃいけなかった。
そばにいたんだから、ちゃんと諫めなければいけなかったんだ。
……二人には、嫌な役目をさせてしまった」
(;^ω^)「そ、そんなことはないお!」
(´・ω・`)「責任は、僕にある」
シャキン達三人が首を垂れるなか、
ずっと黙っていたショボンがぼそりと呟いた。
(`・ω・´)「おい?」
(´・ω・`)「僕がちゃんと話をして、説明して、
別行動をとらなければ。
一緒にはじまりの街に戻れば、
こんなことにはならなかった」
.
-
( ゚д゚ )「おいおい」
(´・_ゝ・`)「そこまで遡らなくても」
('A`)「それにはそうするだけの理由があっただろ」
( ^ω^)「そうだお!
だからそんなこと!」
(´・ω・`)「理由は確かにあったよ。
でもそれは、どうしてもじゃない。
彼らのプライドなんて気にせず、
優位な情報を渡せばよかったんだ」
('A`)「ショボン……」
( ^ω^)「ショボン……」
(`・ω・´)「いい加減にしろ!」
立ち上がったシャキンが、
ショボンの頭に拳骨を落とす。
(´・ω・`)「に、兄さん!?」
(`・ω・´)「お前は何様のつもりだ!」
(´・ω・`)「え?」
シャキンの一喝。
それは拳骨と相まって雷と呼ぶにふさわしい衝撃となり、
ショボンは呆然とした。
そして呆然としたのはショボンだけではなく、
それを見ていた四人も目を丸くして見守っていた。
(`・ω・´)「確かにゼアフォーとビコーズの事は残念だし、
後悔もある。
特にビコーズの事は他にやり方もあったかもしれない。
けれど、それを自分のせいだなんていうのはおこがましい!
人の命を何だと思っているんだ!」
.
-
(´・ω・`)「で、でも……」
(`・ω・´)「でももくそもあるか!
何でも自分のせいにして収めようとするな!
物事はそんなに簡単じゃない!
しかも命にかかわることなんだからな!」
(´・ω・`)「それは……」
(`・ω・´)「だいたいな、お前の今持っている情報、
はじまりの街でのことは、今は混乱しか招かない!」
(´・ω・`)!
(`・ω・´)「おれ達はいい。
ミルナもデミタスもある程度の恩恵を受けることが出来たし、
おれ達はお前たちと一緒に行動することを選べるからな。
だがミセリ達、そしてその後に続くプレイヤーが、
同じレベルの恩恵を受け取れるかどうか分からないだろうが!」
(´・ω・`)「そ、それは……」
(`・ω・´)「今お前が持っている情報はそういった部類の情報だ。
お前だってそれが分かっているから、
まずはおれ達で試したんだろう?」
(´・ω・`)「……うん」
(`・ω・´)「これ以上情報を広めることは禁止だ。
お前の命が狙われる。」
(´・ω・`)「でも!
手帳はともかくそれ以外のアイテムとスロットは!」
(`・ω・´)「使いこなせないアイテムは身を亡ぼす。
不平等なアイテムは、それをめぐって争いが起きる」
(´・ω・`)「でも……」
.
-
(`・ω・´)「情報を広めたいのなら、もっともっと考えろ」
(´・ω・`)!
(`・ω・´)「より良い方法を、均等な方法を、暴動が起きない方法を、
そして、自分と仲間たちが危機にさらされない方法を」
(´・ω・`)「それは……」
(`・ω・´)「それが出来ないのならば、諦めろ」
(´・ω・`)「兄さん……」
二人を見守る四人。
そのうちの二人、特にブーンとドクオは驚いていた。
ショボンとシャキン、二人をよく知っているつもりだったが、
こんな二人を見るのは初めてだったからだ
(´・_ゝ・`)「お前は思いつかないのか?」
(`・ω・´)「ん?」
不思議そうにシャキンに問いかけるデミタス。
(´・_ゝ・`)「いや、『ん?』じゃなくて、
シャキン、お前がその情報をうまく使いこなす、
広める方法は思いつかないのか?」
(`・ω・´)「そういうのはおれよりこいつの方がうまい」
(´・_ゝ・`)「は?」
( ゚д゚ )「はあ?」
デミタスと同じことを考えていたミルナも思わず声を漏らした。
(`・ω・´)「そういったことを考えるのは、
おれよりショボンの方が上手いし早いし確実だ。
ただこいつは自分が泥をかぶる方法を考えがちだから、
それは矯正してやらんといけないけどな」
.
-
(;´・_ゝ・`)「へー」
(; ゚д゚ )「ほー」
言葉の外で『おれは考えない』と断言したシャキン。
唖然とするデミタスとミルナ。
( ^ω^)「おっおっお」
('A`)「あー。うん」
そしてブーンとドクオは、
自分たちの知っているシャキンを見て少し落ち着いた。
(´・ω・`)「……誰も傷つけない、
情報の広めかた……」
そんな五人を意識しないでぼそぼそと呟いていたショボンだったが、
一階天井を見てから俯くと、大きくため息をついて正面をみた。
(´・ω・`)「思いつかないや」
(`・ω・´)「なら、考えるんだな」
(´・ω・`)「……うん」
辛そうに、けれど決意を込めた引き締めた表情で頷くショボン。
それを見た五人は、五人それぞれに思いを含んだ笑顔を見せた。
('A`)「……これから、どうする?」
ほんの少しだけゆったりとした空気が流れたが、
ドクオの問いかけに全員の表情が引き締まった。
(`・ω・´)「彼女が目を覚ますまでは、
ここを拠点にするのが一番だろう」
(´・ω・`)「うん」
.
-
( ゚д゚ )「なあ、もしかして彼女は今病院に運ばれているってことはないか?」
(´・_ゝ・`)「あ、なるほど」
( ^ω^)「お!それなら目を覚まさない理由もわかるお!」
('A`)「現実世界の身体が病院に運ばれるまでの間は接続が切られる。
その間の身体はシステムで保護されるけど、
時間が過ぎたら自動的にナーヴギアが……」
(´・ω・`)「この前送られてきたアナウンスだよね。
多分、違うと思う。
ここに連れてくる間に彼女の身体にはほんの少しだけどダメージがあったらしく、
HPが少しだけ減っていたんだ」
(´・_ゝ・`)「『システムで保護』されていなかったってことか」
(´・ω・`)「はい」
( ゚д゚ )「心を閉ざしている。
ということか。やはり」
(`・ω・´)「彼女はここで保護するとして、
その間のおれ達だな」
( ゚д゚ )「交代で出るか?
コルは稼がないとだし、
レベル上げもしたいし」
( ^ω^)「……だおね。
ミセリさん、ツンとクーにはここにいてもらって……でも……」
(´・ω・`)「ここには六人います。
女の子三人は少し不用心な気もするから一人残って、
五人でパーティーを組んで出るのが一番じゃないかと」
( ^ω^)「それが良いと思うお!」
( ゚д゚ )「そうだな。
ミセリもだが、二人も当分は外に行かない方が良いだろ」
.
-
ショボンの提案にうなずく五人。
その後明日からのスケジュールを決めていると夜も更けたため、
シャキン達三人は街の宿に一度引き上げた。
ミセリの目は、まだ開かれなかった。
夜。
視界の隅の時刻表示が23時を告げる頃、
リビングにはブーンがいた。
一つ目の寝室にはミセリとツンとクーがいる。
二つ目の寝室をブーンとドクオとショボンで使っているのだが、
念のため一人はリビングで休むことにした。
三人が三人共、自分がリビングで休むと主張したため、
話し合いの結果時間で交代することにして、
まずはブーンがリビングにいることになった。
ショボンに入れてもらったお茶を飲みつつ、
ショボンが作った、
彼の記憶の中のSAOの説明書を書き起こした本をペラペラと捲っていると、
一つ目の寝室のドアがゆっくりと開いた。
( )「ブーン」
( ^ω^)「ツン……」
ブーンは二人掛けのソファーに腰かけていたが、
自分を呼んだツンの声に立ち上がる。
しかしツンがその横に移動して黙って座ったため、
また腰かけた。
.
-
( ^ω^)「ツン……」
ξ゚⊿゚)ξ「私が、殴ったから……。
ひどいことを言ったから、死んじゃった……」
前を見ながら。
隣にいるブーンを視界に入れず、
背筋を伸ばし、
何もない壁を見ながら、
呟いたツン。
( ^ω^)「!」
ξ゚⊿゚)ξ「私が、あんなことを……、
ビコーズに言ったから……」
( ^ω^)「違うお!
ツンが言ったから死んだわけじゃないお!」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン……。ありがと……」
( ^ω^)「あの時ビコーズはずっと呟いていたお!
『おれのせいじゃない』って。
けれど、ときどき、つらそうに、
『おれがいなければ』って、言っていて!
きっとビコーズは、僕達が来るより前から、きっと……」
ξ゚⊿゚)ξ「もし、ビコーズが最初からそうするつもりだったとしても、
私がしたのことが、きっと、引き金になっちゃったんだよ」
( ^ω^)「違うお!
ツンは悪くないお!」
ブーンは座ったまま腰を捻って隣に座るツンを見つめている。
しかしツンはブーンの顔は見ておらず、
ただじっと、目の前の壁を見続けている。
ξ゚⊿゚)ξ「だめだな……わたし。
自分の事しか考えられない」
.
-
( ^ω^)「ツン!あれはクーやショボンの事を!」
ξ゚⊿゚)ξ「辛そうなクーを見ていられなかった。
ショボンだって苦しくなると思った。
……あのまま言われていたら、ミセリだって……」
( ^ω^)「そうだお!」
ξ゚⊿゚)ξ「でもそれは、私が、辛そうな三人を見たくなかった。だけ。
自分の為に、クーを止めて、二度と同じようなことを言わないように、
ビコーズを止めたくて、あんなことをした。
私が、私の為に、したこと」
( ^ω^)「ツン……」
ξ;⊿゚)ξ「ひどいことをした、とは思う。
反省しているし、悔やんでる。
もっと、うまいやり方があったんじゃないかって、思ってる」
黙ってツンの肩を抱くブーン。
けれどツンは寄り添おうとはせず、
身体をこわばらせただけだった。
ξ;⊿;)ξ「でも、
言った内容を間違っていたとは思わない。
違う伝え方があったし、
言わなくてよかったことかもしれないけど、
許せなかったから。
あれで、
怒って、
けんかして、
思ってること言いあって、
思い直して、
ごめんって言って、
また、
みんなで、
レベル上げとか、
戦闘とかを、
出来るって、
思った……のに……」
.
-
( ^ω^)「ツン……。
ちょっと言い方はきつかったけど、
ツンは、……悪くないお。
間違ってないお。
きっと、タイミングが悪かっただけだお……」
肩を抱く手を強め、
自分に引き寄せるブーン。
ツンは一瞬拒んだが、
すぐにその力に負けて体を寄り添った。
そしてブーンの肩に頭をのせる。
ξ;⊿;)ξ「わたしは、ずるい……。
ブーンならそう言ってくれるってわかってて、
こんなこと言って、
甘えてる」
( ^ω^)「ツンは悪くないお」
ξ;⊿:)ξ「わたしは、ずるい……。
でも、だから、全部、受け止めて、
でも、私は、生きる。
みんなと、生きて、みせる。
ビコーズの、事を、抱えて」
( ^ω^)「……ツンが抱えなきゃいけないことだとは思わないお。
でも、どうしても抱えてしまうなら、
僕も一緒に抱えるお」
ξ;⊿:)ξ「ブーン……」
ツンの両目からポロポロと涙がこぼれ、
ブーンの肩を濡らす。
.
-
ξ;⊿:)ξ「明日は、自分で立つから。
全部抱えて、ちゃんと立つから。
忘れない。
自分のしてしまったことは、忘れない。
でも、今日だけは、今だけは、
こうさせて……。
ブーン…………」
( ^ω^)「ツン……。
僕はずっと、ここにいるお」
二人の夜は更け、
時刻は12時を過ぎていった。
時は深夜2時を少し回っていた。。
二つあるベッドの上で、
彼女は瞼を開いた。
見慣れない、
けれど見たことのある天井を見た彼女は、
ゆっくりと顔を右に向けた。
隣のベッドには、一人少女が上に何もかけずに横たわっている。
視線をずらすと、窓際の簡素な木の机に、
同じく簡素な木の椅子に座った少女が、
枕にした両手に額をのせて寝息を立てていた。
すべてを自分なりに理解した少女は、
ほんの少しだけ、
二人を起こさないように身動ぎをした。
.
-
時計は4時を告げていた。
リビングに一人座っているドクオ。
テーブルの上にはカップと本が置かれている。
('A`)「いつの間にこんな説明書をつくっていたんだよ」
感心しつつ呆れた風にペラペラと捲り、
けれどすぐにソファーに横たわった。
少しだけ身体を抱えるように横になると、
ソファーに身体がすっぽりとおさまった。
('A`)「……ふぅ……」
身体を包まれるような心地よさに一息つくと、
背凭れの後ろのドアがゆっくりと開いた。
結果的にソファーに隠れるような体勢でいたドクオに気付くことなく、
開かれたドアから出た人影はがテーブルに近付いた。
川 ゚ -゚)「ドクオか」
('A`;)「うをっ!」
川 ゚ -゚)「こんなところで何をしているんだ?」
テーブルの横の水差しからカップに水を灌ぐクー。
('A`)「お、おはよう」
慌てて起き上がるドクオ。
川 ゚ -゚)「ん?ああ。そうか。もうそんな時間なんだな」
そのままドクオの正面のソファーに座る。
.
-
支援
-
川 ゚ -゚)「私は喉が渇いて目が覚めただけだが、
ドクオは早いんだな。
もしかして、寝てないのか?」
('A`)「い、いや、そんなわけではないんだけど」
川 ゚ -゚)「ん?
……なるほどな」
ドクオの気まずそうな顔と、
テーブルに置かれたカップを見て表情を緩めるクー。
川 ゚ -゚)「交代で、この部屋の番をしていてくれたのか。
ありがとう」
('A`)「べ、別にお礼を言われるようなことは」
川 ゚ -゚)「いや、体を休める時間を減らして私達を守っていてくれたんだからな。
言わせてほしい」
('A`)「ああ……。うん」
川 ゚ -゚)「どうした?」
('A`)「あ、いや……」
川 ゚ -゚)「あんなことがあったのに、普通に見えるのが不思議か?」
('A`)「そ、そんなことは……」
徐々に声を小さくするドクオに、
悲しげな笑顔を見せるクー。
川 ゚ -゚)「……ビコーズにしてしまった事に、
後悔をしていないわけではない。
あの時は我を忘れてしまっていた。
ツンが止めてくれなかったら、
ツンがああやって彼を叩いていなかったら、
私がもっと酷いことを言って、してしまっていたかもしれない。
それくらい、感情に身を委ねてしまっていた」
.
-
('A`)「クー?」
川 ゚ -゚)「きっとツンは、私以上に苦しんでいる。
彼に対してひどいことを言ったことを、
叩いたことを悔やみ、悩み、
彼の死を抱えてしまっている」
目の前のテーブルに置いたカップ。
その中の水を一気に飲み干すクー。
そして立ち上がり、水差しに向かった。
川 ゚ -゚)「だから私は、泣いてなんかいられないんだ。
悔やむ暇があったら、次にあんなことをしないように考えなければいけない。
そして私の代わりに大きなものを抱えてしまったツンを支えたい」
水を注ぎ、一気に飲み干す。
そしてもう一度注ぐと、
ソファーに改めて座った。
川 ゚ -゚)「そしてミセリは、私はもちろん、ツンよりもつらいはずだ。
目の前で自分を守ってゼアフォーが、
そしてビコーズが……。
自分の周りで二人も消えてしまったんだ。
辛くない、わけがない。
だから私なんかが、悲劇のヒロインぶって、
泣いたり、苦しんだりしていたらいけないんだ」
水を注いだグラスに手を伸ばすクー。
しかし掴んだ瞬間にすぐ手を離し、
座りなおした。
川 ゚ -゚)「……もしも、ミセリが許してくれるなら、
私は彼女のそばにもいたいと思う。
何ができるというわけでもなくても、
そばに居れば何かできる時があるかもしれない」
('A`)「クー……」
.
-
ただずっとクーの独り言を聞いていたドクオだったが、
辛そうに口を開いた。
('A`)「クー。
おれの父さんが死んだのは、
小学生の時だったんだ」
川 ゚ -゚)?
('A`)「ショボンとはまだ知り合う前だったけど、
ブーンがいてくれて、
そのころはまだツンも家が近かったから、
そばにいてくれた」
川 ゚ -゚)「ドクオ?」
('A`)「おれさ、父さんが死んだとき、
最初、泣かなかったんだ。
なんか実感がなくってさ。
目の前で寝ている父さんがもう起きないってことも、
火葬場で焼かれて、もうその姿を見ることもないってなった時も、
涙は出なかった。
なんとなく、それでも、いつかまた会えるような気がしてたんだ
いや、いつかじゃなくて、明日にでも、
ただいまって言って帰ってきてくれるような気がしてた。
でもさ、なんか、少し経ったときに、急に分かったんだ。
もう会えないってことに。
母さんが頑張ってる姿とか、
学校に行ってまわりが腫れ物に触るみたいに接してきた時に。
急に、わかったんだ。
でもなんか日が経ちすぎてて、泣くことが出来なかった。
体の中が空っぽになって、
穴が出来て、
埋める事なんかできなくて、
それに母さんの手伝いしなきゃとか、
父さんが言ってたことをいろいろ思い出したりして」
川 ゚ -゚)
.
-
('A`)「空回りして、
なんとなく友達も少なくなって。
でもさ、隣にブーンがいてくれた。
ツンがこっちを見てた。
そしたらさ、ああ、こいつらの前では頑張らなくてもいいんだって、
弱音を言ってもいいんだって、
なんか、そんなことを思ったら、
おれ、泣いてた。
ブーンは黙って隣にいてくれて、
ツンも黙ってそばにいてくれた」
川 ゚ -゚)「ドクオ……」
('A`)「ごめん、何言ってんのかわからないよな」
川 ゚ -゚)「い、いや……」
('A`)「でさ、何が言いたいかっていうと、
クーもさ、一人じゃないと思うんだ。
確かにツンも責任とか感じているとおもうけど、
だからと言って、クーよりも私の方が辛いとか言うやつじゃないし。
だから、さ。
ここには、ブーンもいるし、ショボンだっている。
シャキンさんもいい人だし、
ミルナさんやデミタスさんだっていい人だと思う。
……頼りないけど、おれだっている」
川 ゚ -゚)「……ドクオ」
('A`)「辛かったり、
苦しかったりするときは、
言っていいと思うんだ。
むやみやたらには言えないけど、
せめて、おれ達にはさ。
ツンに言えないなら、
おれ達に」
川 ゚ -゚)「ドクオ……別にわたしは」
('A`)「だって、手が震えてる」
.
-
川 ゚ -゚)!
膝に置いていた手を後ろに隠すクー。
ドクオはそれを悲しげな眼で見てから、
口を開いた。
('A`)「苦しかったり、辛かったりするときは、
泣いた方が良いと、おれは思うんだ。
泣けば何が変わるわけじゃないし、
泣けない時もあるのは知ってる。
でも、泣きたいときは、泣いていいと思う。
辛いときや苦しいときは、そう言っていいんだと思う。
誰よりは辛くないとか、
誰々に悪いとかじゃなくて、
今、自分が、どう感じているかを、ちゃんと、分かるためにも」
川 )「ドクオ……だが……私は……」
俯くクー。
長い黒髪が顔を隠す
('A`)「おれはさ、多分だけどさ、
一番ビコーズの気持ちが分かってると思う。
同じβテスターで、
βテスト時代もそれほど強かったりしたわけじゃないし、
参加したボス戦はすぐ死んだし。
ただ、おれとビコーズの違いは、
βテストの後、もう一度この世界に来たいって、
戻ってきたいって本気で思ったのと、
リアルの世界に友達がいた事だと思う。
もしビコーズのような状態でこの世界に来てしまって、
自分のせいでやっとできた友達を死なせてしまったら、
自分を許せなくなる。
きっと、ビコーズは、ゼアフォーを死なせてしまった時点で……」
川 )「やめてくれ!
私がいけないんだ!
私が我を忘れてあんなことを言ってしまったから!
だからビコーズはあんなことを選んでしまったんだ!」
.
-
声を荒げるクー。
下を向いたままだが首を横に振り、
肩を震わせていた。
('A`)「そうおもうなら、それでもいいと思う。
でも、おれはそう思ってないし、
きっとあそこにいた全員が、そんな風には思ってない」
川 )「私の、わたしのせいで!」
クーの膝の上で握られた量のこぶし。
その上にぼたぼたとしずくが落ちるが、
ドクオは気付かないふりをした。
('A`)「クーがそう思うなら、
それも正解なんだと思う。
でもおれは、おれの思っていることが正しいと思うし、
そうやってクーに接する。
もちろんツンも悪くない。
ミセリだって、悪くない。
……ビコーズが、自分自身で、選んだんだと、
おれは思う。
うん……。そうだな。
きっと、何もなかったら、
おれもビコーズと同じ道を選んだ」
川 )「……?」
('A`)「現実の世界には、友達がいて、
母さんがいて、辛いこともあるけど、
楽しいこともある。
夢だってある。
もしそれが何もなくて、
別の世界を求めてこの世界に来て、
こんな状況になっていて、
自分のせいでやっとできた友達が死んでしまったら……。
ビコーズと同じことをするかもしれない」
川 )「!」。
.
-
('A`)「そうだな……。
おれが一番ビコーズの気持ちが分かったはずなのに。
おれが本気で考えていたら、
あいつが何をしでかすか分かったかもしれない。
それは近い立場のおれしか、分からなかったのに。
おれは、止めることが出来なかった。
あいつが死んだのは、おれのせいだな」
川 ゚ -゚)「ち!違う!そんなことはない!」
顔を上げるクー。
涙に濡れた瞳が、悲し気に歪んでいた。
('A`)「ショボンも悔やんでいた。
別行動をしなければって。
ブーンもきっと悔やんでる。
もっと早く動くことが出来たらって。
あの場にいた皆が悔やんでると、
おれは思う」
川 ゚ -゚)「ドクオ……」
('A`)「だから……その……。
一人で、抱え込まなくていいんじゃないかな。
みんなが、いるから」
川 ゚ -゚)「ドクオ……」
('A`)「なんか……ごめん。
もっとうまく、いろいろ言えたらいいのに」
川 ゚ -゚)「いや。
ありがとう。ドクオ。
ドクオは、やさしいな」
('A`)「べ、べべべべべべべべべべべべべえ別に優しくなんか」
顔を赤くして動揺するドクオ。
それを見たクーは、
ほんの少しだけ微笑んだ。
.
-
朝。
時計は8時を告げている。
簡単に食事を済ませた後、
今日の行動を決めるために
昨日と同じ位置に座っている六人。
(´・ω・`)「それじゃあ午前中の留守番はブーンで、
一回戻った後、午後はドクオってことで」
( ^ω^)「わかったお」
('A`)「りょうかいー」
(`・ω・´)「いいのか?」
( ^ω^)「レベル上げはまたできるけど、
ここにいるのは今が良いお」
( ゚д゚ )「おれ達がいるよりは、
彼女達も良いだろ」
('A`)「いや、別に二人の事を……」
(´・_ゝ・`)「わかってる。
でも、まだ知り合って間もないからな。
今は気心が知れた相手の方が良いだろってことだ」
(`・ω・´)「二人とも、彼女たちくらいの女には興味ないしな」
( ゚д゚ )「女は熟してからだ」
(´・_ゝ・`)「言っておくが、
二次の少年が至高の存在であるというだけで、
女に興味がないわけではないからな」
.
-
( ^ω^)「その発言だけで二人をそういう目で見たことがないのが分かるお」
(´・_ゝ・`)「それは正しい」
('A`)「何を話しているんだこの二人は」
(´・ω・`)「ほんとだね」
(`・ω・´)「お前はこういうネタには弱いよな」
(´・ω・`)「うるさいよ」
('A`)「そういえば下ネタは苦手だよな」
(´・ω・`)「ドクオまで」
( ゚д゚ )「ショボンにも苦手なものがあったのか。
それならばまずは熟女の良さを……」
(´・ω・`)「ミルナさん?」
(´・_ゝ・`)「まずは二次、少年の良さからだろう。常考」
(;´・ω・`)「デミタスさん!?」
( ^ω^)「おっおっお。
そういえば、去年もらったラブレターはどうしたんだお?」
(;´・ω・`)「ブーン!!」
(`・ω・´)「なに!?
聞いてないぞ!」
(;´・ω・`)「話す必要ないでしょ!」
('A`)「学校帰りに時々寄るお店の店員からもらってたあれな」
(;´・ω・`)「ドクオ!?」
.
-
(`・ω・´)「なんだ。うちの店以外にも寄るところがあるのか。
浮気だな」
( ^ω^)「そこのお店は夕方のケーキセットが安いんだお」
(`・ω・´)「スイーツかー。
やはり甘いものがないとだめか。
うちの店はパンケーキとアイスクリームくらいしかおいて無いからな」
('A`)「店の雰囲気も落ち着いてて、
自然と客も静かにしてていい感じで」
(`・ω・´)「それはいいな!」
ξ゚⊿゚)ξ「何の話をしているのよ」
川 ゚ -゚)「まったくだ」
( ^ω^)「ツン!クー!」
いつの間にか開いていた寝室のドア。
ツンとクーの二人が仁王立ちで六人を見ていた。
ξ゚⊿゚)ξ「ミセリの看病は交代にして、
私達も行くわよ」
川 ゚ -゚)「最初にブーンが留守番なら、
まずは私が先だな」
ξ゚⊿゚)ξ「なによそれ。
私が行くわよ」
川 ゚ -゚)「……それでもいいが?」
ξ゚⊿゚)ξ「なんかその間がムカつく」
現れた二人を見て、
その会話を聞いて呆気にとられる六人。
.
-
( ゚д゚ )「お、おい」
(´・_ゝ・`)「二人とも?」
川 ゚ -゚)「ん?」
ξ゚⊿゚)ξ「何?」
( ゚д゚ )「いや、その」
(´・_ゝ・`)「なんだ、その」
川 ゚ -゚)「どうした?」
ξ゚⊿゚)ξ「どうしたのよ」
( ゚д゚ )「あ、いや、その、あれだ」
(´・_ゝ・`)「うん、その、あれだ」
川 ゚ -゚)「?」
ξ゚⊿゚)ξ「?」
思わず心配を口にしてしまったミルナとデミタス。
しかし『普段通り』のように返すツンとクーを見て、
その次をつなげずにいた。
( ^ω^)「昨日の帰りみたいな戦い方をするなら、
連れていけないお」
ξ゚⊿゚)ξ!
川 ゚ -゚)!
ブーンの言葉はミルナとデミタスを助けただけではなく、
戦闘をする上での重大な懸念点だったため、
ツンとクーはもちろんのこと全員が息をのんだ。
.
-
( ^ω^)「あんな無謀な戦い方をしちゃ、ダメだお。
僕もまだうまく戦っているわけじゃないけど、
昨日は、見ていてい凄く怖かったお」
('A`)「そうだな」
(`・ω・´)「ああ。その通りだ」
川 ゚ -゚)「昨日は、すまなかった」
ξ゚⊿゚)ξ「クー」
頭を下げるクー。
そしてゆっくりと顔を上げる。
川 ゚ -゚)「私は、これからもっと冷静になろうと思う。
少なくとも、戦いの場では」
('A`)「クー」
ξ゚⊿゚)ξ「私も、ごめんなさい。
昨日は、周りが見えてなかった」
ツンも頭を下げ、すぐに顔を上げて六人を見た。
ξ゚⊿゚)ξ「だから、もうあんなことにならないように、
戦い方を知りたい。
どんな時でも、自然に動けるように、
身に付けたい」
( ^ω^)「ツン……」
(`・ω・´)「そこまで戦いに身を投じなくてもいいと思うが……」
二人の真剣な顔とその言葉にうなずくことしかできない面々であったが、
シャキンは軽く、けれど少し困惑しているような表情で口にした。
('A`)「え?」
.
-
( ゚д゚ )「シャキン?」
(`・ω・´)「いや、基本的には生きるための狩り、
生活のための戦いをするわけだから、
できる時にやればいいし、
調子が悪いときは休めばいい。
折角のチーム、パーティーなんだから」
( ゚д゚ )「あー。
まあ、そうだな」
ξ゚⊿゚)ξ「いやなの」
シャキンの言葉にうなずいたミルナ。
その言葉にかぶさるようにツンが言葉を吐き捨てる。
( ^ω^)「ツン?」
ξ゚⊿゚)ξ「それじゃ、いや。
生きるために戦う。
レベルを上げる。
お金を稼ぐために戦う。
もちろんそれが一番かもしれないけど、
でも、それだけじゃ、いやなの。
何かの時に、逃げるだけの女になりたくない。
ただ守られるだけじゃなくて、
守ることは出来なくても、
せめて、隣で戦えるようになりたい」
川 ゚ -゚)「私もそうだ。
危険な目に合わないのが理想だが、
何かあった時に、足手まといになりたくない。
守られるだけじゃなく、
ともに戦える者になりたい」
( ^ω^)「ツン……」
('A`)「クー」
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