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( ^ω^)達はアインクラッドを生きるようです。

1名も無きAAのようです:2015/06/28(日) 22:31:31 ID:k22M11bE0
立ったら投下がある。

614名も無きAAのようです:2015/12/27(日) 02:19:59 ID:YdwazdikO

今年中にまだ投下するなんて嬉しいこと言ってくれるじゃないの

615名も無きAAのようです:2015/12/27(日) 05:45:53 ID:FNvcDGfIO
そもそも血族後継の第一候補だったシャキンの後釜候補がショボンだから、本質的にはシャキンの方が万能なのかもしれないな

616名も無きAAのようです:2015/12/28(月) 09:47:29 ID:3vcUWt1A0
おつおつ

617名も無きAAのようです:2015/12/29(火) 18:02:36 ID:kOMmoSLI0
おむつー

618名も無きAAのようです:2015/12/29(火) 18:54:05 ID:Uco76CpM0
おつむ大丈夫か上げチキ

619名も無きAAのようです:2015/12/29(火) 21:42:50 ID:g/OXSzhQ0
おむつ必要だって自己申告してるくらいには大丈夫じゃなさそうだな

620 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 19:15:50 ID:jPuH2I2s0
どーも作者です。

冬コミも終わった年の瀬、
みなさんいかがお過ごしでしょうか。

それでは、今年最後の投下を始めさせていただきます。


よろしくお願いします。

.

621 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 19:17:59 ID:jPuH2I2s0






6.βテスター







.

622名も無きAAのようです:2015/12/31(木) 19:18:05 ID:.D4UzW.20
よろしくお願いします。

623 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 19:20:24 ID:jPuH2I2s0

《ホルンカ》

はじまりの街を早朝に出た五人は、
昼前に目的地である《ホルンカ》にたどり着いていた。

ξ゚⊿゚)ξ「なるほど。ここは『村』ね」

入り口から見える民家を見てツンが呟いた。

川 ゚ -゚)「映画や書物で見るような『中世の村』だな。
魔女狩りの時代を思わせる」

周囲を観察しながらクーも呟く。
その横でドクオとブーンは先頭で村に入ったショボンの背中を見ていた。

ショボンは無言で周囲を見ていた。

ξ゚⊿゚)ξ「私たちの服装もそんなイメージよね。
ドクオ、ずっとこんな感じなの?」

('A`)「おれが行ったところはこんな感じだったな」

(;^ω^)「つ、ツンもドクオも」

('A`)「あ……」

ξ゚⊿゚)ξ「まわりに誰もいないことぐらい確認してます」

川 ゚ -゚)「うむ。近くには誰もいないな。
だが、昨日の話に出てきた『聞き耳』スキルを使われたら」

ξ゚⊿゚)ξ「あっ」

(´・ω・`)「さすがに今のタイミングで
あのスキルをスロットに入れている人はいないと思うけどね。
ふつうは」

四人の会話も聞いていたショボンが振り返りつつ、
苦笑しながら会話に参加した。

.

624 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 19:22:36 ID:jPuH2I2s0

川 ゚ -゚)「それもそうだな。ふつうは」

( ^ω^)「だおねー。ふつうは」

ξ゚⊿゚)ξ「え、あ、そうか。そうね。ふつうはそうね」

意味ありげにドクオを見る四人。
少しだけ不機嫌そうに横を向くドクオ。

('A`)ゼッタイヤクニタツカライインダヨ

誰にも聞こえない声でぶつぶつと呟くドクオを見て笑顔を見せた四人だった。




(´・ω・`)「でも……確かに思ったよりも人が少ないね」

ドクオを先頭に歩く五人。
その横にショボン。
クーとツンが続き、その後ろをブーンが歩く。

('A`)「だろ?
まあこの時間だから、
この村にいるほとんどの奴は狩りに出てると思うけどな」

(´・ω・`)「そっか。今日の天気なら森でも明るいもんね」

('A`)「ああ。
今ここにいるってことは、
戦ってここに来たってことだし、
片手剣使いはあのクエストやってるだろうしな」

川 ゚ -゚)「ふむ。
今二人が持っている剣はそれほど強いのか?」

('A`)「この村までで手に入る剣の中では段違いだ。
それに強化回数もそれなりに多いから、
うまく鍛えれば3層か4層くらいまで使えるんじゃないかな」

ξ゚⊿゚)ξ「お得ね」

.

625 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 19:27:53 ID:jPuH2I2s0

川 ゚ -゚)「だが、失敗もあるんだろ?
その強化ってやつは」

('A`)「ああ。
しかも失敗した分も回数としてカウントされる。
強化の種類も何種類かあるから、
それも楽しみでもあるな」

そう言って笑ったドクオの笑みはスキルを決めるときの笑顔とほぼ同じで、
横で見たショボンは後ろの三人に見られなくてよかったと思った。

(´・ω・`)「強化回数は、武器ごとに異なる。
強い武器でも一回しかなかったり、
それなりの武器でも複数回強化できたら、
最終的には強い武器になる。
ってことでいいんだよね」

('A`)「ああ。そういうことだ。
強化の種類は耐久値や重さ、正確性や切れ味に速さがある。
どの武器にも好きな強化ができるはずだから、
どんな強化をするかによって同じ名前の武器でも個性が変わるだろうな」

川 ゚ -゚)「なるほどな。
基本の武器を自分好みに変えられるということか」

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ私の細剣をものすっごく重く硬くしたり、
ブーンの片手剣とかをものすごく軽くできたりするの?」

('A`)「回数が多い武器なら可能だろうけど、
かなり回数が多くないと難しいだろうな。
まあ基本となる武器の特性を損なうことはしない方が良いだろ」

( ^ω^)「スキルと同じでどんな強化をするか考えるのが楽しそうだおね」

('∀`)「だよな!」

ブーンの言葉に思わず振り向いたドクオ。

ツンとクーがその笑顔を見て眉間にしわを寄せた。
昨日のスキル設定を思い出したからだった。

.

626 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 19:31:38 ID:jPuH2I2s0

そしてその眉間のしわに気付いたドクオは慌てて前を向く。

('A`)「も、もうすぐ着くぞ。
ショボン、ここにはどれくらいいるつもりなんだ?」

(´・ω・`)「……五日。出来れば四日。
状況に応じても一週間くらいをめどにしたい」

( ^ω^)「お?」

(´・ω・`)「ここには転移門もないからね。
出来れば転移門のある街を拠点にして、
各村や街でのクエストをこなすのはもちろん、
あの《書庫》で進行を確認したりしたいし」

ショボンの言う《書庫》をどこの事か理解した四人。
男二名は壁一面の本を思い出し、心の中で苦笑いを浮かべた。

ξ゚⊿゚)ξ「で、今私達はどこに向かってるわけ?」

('A`)「ん?ああ。ここだよ」

ツンの問いかけとほぼ同時にドクオが歩みを止め、
四人も止まると彼の指さす方向を見た。

( ^ω^)「結構広くていい感じだったお」

村はずれまでやってきた五人。
村に入ってから見た見た家屋としては大きめの部類に入る家の前で歩みを止めた。

川 ゚ -゚)「農場?牧場か?」

('A`)「農場だな。
二階部分に泊まることができるんだ。
泊まると家主からクエストを受注できるようになるけど、
やらなくても別にペナルティはない。
最初の日に一度に借りられる最大日数の7泊分を借りてあるから、
まだおれが借主になってるはずだ」


.

627 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 19:38:35 ID:jPuH2I2s0

農家の入り口に進むドクオ。
無言でドアを開け、中に入る。
入ったすぐが大きな部屋になっており、
ソファーには中年の男女が座っていた。
しかしこちらを見ようとはせず、
男は黙って新聞のようなものを読んでおり、
女性は編み物を行っている。
ドクオの後ろを四人が続く。
三人は小さな声で「おじゃまします」と呟きながら周囲を見回していたが、
最後に入ったブーンは「またおせわになりますおー!」と、
元気よく挨拶をした。

思わず立ち止まる三人。
しかし部屋にいた男女はちらりとこちらを見ただけですぐに視線を元に戻した。

ドクオは部屋の隅の会談の前で振り返っていた。

('A`)「反応ないから声かけなくてもいいと思うんだけどよ」

( ^ω^)「挨拶は大事だお」

ξ゚⊿゚)ξ「挨拶は良いけど声が大きすぎるのよ」

( ^ω^)「おっおっお。
驚いたのならごめんだお」

まったく悪いと思っていないブーンの言葉に苦笑いを浮かべる四人。

階段を上がると短い廊下の先にドアがあった。

('A`)「二階全部を使ってるんだ。
風呂はないけど、それ以外は大体そろってる」

(´・ω・`)「最終日にまた連続で借りることが出来るの?」

('A`)「ん?ああ。大丈夫だ。
ただ一度借りるとキャンセルや、
途中で泊まらなくなっても返金はできないから、
そこら辺は注意して借りた方がよいな。
今回はあとで全員で来ることが決まってたから、
一週間分キープしたけど」

.

628 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 19:40:54 ID:jPuH2I2s0

(´・ω・`)「了解。
ここは宿屋じゃないから割引もないだろうしね」

('A`)「ああ。
一回クエストをクリアした後に借りたけど、
金額が結構ぎりぎりだった」

(´・ω・`)「あとで金額教えて」

('A`)「お、お、おお」

ξ゚⊿゚)ξ「(忘れてるわね)」

( ^ω^)「(こりゃ忘れてるおね)」

川 ゚ -゚)「(覚えていないな)」

(´・ω・`)「(忘れたなら言ってくれればいいのに)」

('A`;)「お、覚えてるぞちゃんと。
う、うん。ちょっと待ってくれ」

四人の視線にうろたえながらも、
扉を開いて中に四人を促した。





ξ゚⊿゚)ξ「ベッドルームは一つなのね」

川 ゚ -゚)「ベッドは二つあったが」

今日の朝まで泊まっていた宿よりは質素だが、
素朴な雰囲気を持つ部屋を一通りチェックしたツンとクーがソファーに座った。

部屋の隅のキッチンを自分のスペースと決めたショボンに
「とりあえず座ってて」
と言われ、ドクオとブーンもソファーに座っている。

.

629 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 19:43:18 ID:jPuH2I2s0

川 ゚ -゚)「手伝えることはあるか?」

(´・ω・`)「大丈夫だよ。
ありがとう。
今はお茶だけだからね、
まずは座って待ってて」

川 ゚ -゚)「……うむ」

立ち上がろうと腰を浮かせたクーだったが、
ショボンの言葉に座りなおした。

そのやり取りを複雑そうな表情で見守る三人。

(´・ω・`)「お待たせ」

木のトレイにカップを五つ乗せてやってくるショボン。

トレイをテーブルの上に乗せる。
席を譲ろうと立ち上がったブーンを制して、
部屋の隅にある小さな丸い木の椅子に近寄るショボン。

(´・ω・`)「どうぞ」

四人がトレイの上のカップを手に取ると、
ショボンは木の椅子をテーブルの横に置いてそれに座った。

その位置は四人と話すには都合の良い場所で、
リーダーとして会話を進めるにはちょうど良い場所であり、
四人は自分の座った場所を、座り心地の良い椅子をショボンに譲ることが出来なくなった。

(´・ω・`)「さて、とりあえずこれからだけど、
まずは先頭の訓練だね。
できれば二人がやったクエストもやってみたいけど、
それは僕らでも大丈夫かな?」

.

630 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 19:45:55 ID:jPuH2I2s0

('A`)「レベル的には問題ないと思う。
今日の戦いぶりを見ても、
よほどのへまをしなければ問題ないと思う。
ただ、おれとブーンがクリアしてるからクエストを制覇するって意味では
やる意味はないんじゃないか?」

(´・ω・`)「他のクエストもやりたいから、
それにかかりっきりになるようならまずは他のクエストをするつもりだけど、
戦闘の練習も何か目的があったほうがやりがいがあるだろうからさ」

ξ゚⊿゚)ξ「それもそうね。
報酬がある方が良いかもしれない」

('A`)「現金な奴だな」

ξ゚⊿゚)ξ「うるさい」

川 ゚ -゚)「だが報酬は片手剣なんだよな?
ドクオとブーンは持っているわけだし、
ショボンは武器を変えるつもりか?」

(´・ω・`)「何があるかわからないからね。
予備はあったほうが良いと思うんだ。
それに、そんな強い剣なら欲しがる人も多いだろうから」

('A`;)「おいおい、商売をするつもりか?」

(´・ω・`)「お金はあるにこしたことはないよ。
もちろんそのために命を懸けるのは馬鹿げてるから、
ほどほどにやるだけだけどね。
それに、できれば色々なパターンを知りたいから」

( ^ω^)「お?何のパターンだお?」

(´・ω・`)「クエストのパターン、
会話のパターン、
状況のパターン。
選択肢いかんによってはレアなパターンに進むことがあるってわかったからね」

.

631 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 19:48:15 ID:jPuH2I2s0

にっこりとほほ笑んだショボン。

はじまりの街でのショボンと女主人の会話を思い出し、
四人はこわばった笑顔でその微笑みに返した。

川;゚ -゚)「では、今から行くか?」

(´・ω・`)「……夕方まであと二時間ちょっとくらい。
本格的な戦闘練習は明日からにして、
とりあえず今日は受けれるクエストを全部受けてくるくらいにしようか。
そうすれば村もひと回りできるだろうし」

視界の隅のデジタル時計を確認しつつ、
ショボンが提案する。

(´・ω・`)「どうかな?」

ξ゚⊿゚)ξ「いいんじゃない」

( ^ω^)「賛成だお」

('A`)「おれもいいと思う」

川 ゚ -゚)「私も異論はない……。
だが、いいのか?」

三人が賛成する中、
ひとりクーは口ごもり、
逆にショボンに問いかけた。

(´・ω・`)「どうかした?」

川 ゚ -゚)「その、シャキンさんに会わなくて」

クーの言葉に目を見張る三人。
ショボンも瞬間的に表情がこわばったが、
すぐに穏やかな笑みを取り戻した

(´・ω・`)「ああ、うん。そう……だね」

.

632 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 19:50:15 ID:jPuH2I2s0

表情は先ほどまでと変わらないが、
少しだけ低くなった声で呟き、
ドクオに視線を向けた。

('A`)「……さっきメッセージは入れたけど、
今少し先まで狩りに出ているらしい。
暗くなる前には戻る予定だっていうから、
それこそ二時間くらいあとじゃないかな」

川 ゚ -゚)「そうか……」

(´・ω・`)「ありがと。ドクオ」

('A`)「いや別に……。
あ、で、例の奴らの方なんだけどさ」

ξ゚⊿゚)ξ「βテスターの?」

('A`)「そうそう。
そいつらは一時間くらいで戻ってくるっていうから、
戻ってきたら会ってやってくれないか?」

(´・ω・`)「うん。わかった。
会う時は僕とドクオだけで」

ξ゚⊿゚)ξ「あら、私達も行くわよ」

川 ゚ -゚)「ああ。行かせてくれ」

(´・ω・`)「え?うん……」

ξ゚⊿゚)ξ「会わせたくないの?」

(´・ω・`)「いや、話がどんな内容かわからないからなんとなくさ。
どちらにせよドクオとブーンの顔は知られていて、
これからこの村で会うこともあるだろうから、
仲間ってのはすぐ分かるから顔を隠す必要はないんだけど」

ξ゚⊿゚)ξ「話は私達も聞きたいから」

.

633 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 19:52:02 ID:jPuH2I2s0

(´・ω・`)「そうだね。
相手は女性みたいだし、
二人にもいてもらった方が良いかな」

( ^ω^)「女の子のプレイヤーどうし、
仲良くなれるといいおね」

ブーンの言葉を聞き、
ツンは軽くにらみ、
クーは呆れた顔をし、
ドクオは聞こえていないふりをして、
ショボンは苦笑いを浮かべた。




小さな村であるため設備を確認しつつ一周回るのにうはそれほど時間はかからなかった。
クエスト数もそれほど多くはなく、
全部のクエストを受注して地図に印をつけたころ、
やっと一時間が経過した。

川 ゚ -゚)「これで全部か?」

('A`)「そのはずだけど」

ショボンの顔を見るドクオ。

(´・ω・`)「うん。書庫の本に書いてあった数とは一致したよ。
ただページに空きがあったから、
隠しとかクエストをクリアすると出てくるような継続の物もあるかもね」

ξ゚⊿゚)ξ「そんなのもあるんだ」

( ^ω^)「狼を退治したら、その群れに長も倒してくれとか。
卵と小麦粉を届けたら、その卵と小麦粉で作ったケーキを他の人に届けてくれとか」

ξ゚⊿゚)ξ「自分で届けなさいよ」

.

634 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 20:05:32 ID:jPuH2I2s0

(;^ω^)「報酬がもらえなくなっちゃうお」

ξ゚⊿゚)ξ「楽な仕事でお金を稼ぐってことね」

川;゚ -゚)「ツン……」

('A`)「相変わらず見も蓋もないことをしれっと」

(´・ω・`)「間違ってもないけどね。
簡単なクエストを重ねてお金を稼いで装備を強くして、
できるだけ優位な状態で戦いに出るようにするわけだし」

川 ゚ -゚)「それはそうだが」

(´・ω・`)「受注回数制限があるクエストもあるみたいだけど、
ここやはじまりの街のお使い系は時間をおけば何度も出来るみたいだし、
初期装備の僕達にはいいクエストだよ」

ξ゚⊿゚)ξ「……何度も同じお使い……。いいかげ……」

呟きを耳にしてツンを見るブーンとクー。
その顔を見て、ツンは続きを口にするのはやめた。

('A`)「さて、そろそろ来る頃かな」

村の入り口の近く。
小さな広場にやってきた五人。

周囲を見回すドクオ。

( ^ω^)「メッセージは来てないのかお?」

('A`)「さっききて、もうすぐ村に着くって話だったんだけどよ」

ドクオが村の出入り口に視線を向け、
自然と四人もそちらを見た。

ξ゚⊿゚)ξ「女一人に男二人の三人組なのよね?」

.

635 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 20:07:26 ID:jPuH2I2s0

川 ゚ -゚)「……いないな」

(´・ω・`)「こないね」

( ^ω^)「影もないお」

('A`;)「お、おれはただあいつがそう言ってきたってことを告げただけで」

日は傾き始めており、五人の影は少しだけ長くなっていた。

四人の視線に耐え切れなくなったドクオが村の外をよく見ようと移動しようとした時、
背中から、つまり村の中心部の方から声が聞こえた。



「アルルッカバーくん!」



勢いよく振り返るドクオ。
つられて振り返った四人。

五人の視界に映る三人の人影。

背の高い男と、低い男。
二人の男に挟まれるように、
小柄な女性、いや少女が手を振っている。

('A`)「美影!おれはドクオだ!」

「なら私の事もちゃんと今の名前で呼んでよね。
ドクオくん!」

光の加減で顔が見えないが、
その声や口調から、笑顔でいることがうかがえた。

女の子らしい小走りで五人に近づく少女。
そして慌てて男二人がそのあとに続いて駆けて近寄った。

そして少女は迷わずショボンの前に立ち、
にっこりとほほ笑んだ。

.

636 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 20:11:04 ID:jPuH2I2s0




ミセ*゚ー゚)リ「こんにちは。ショボンさん。
元『MIKAGE(美影)』、今は『miSeri(ミセリ)』です。
よろしくね」




.

637 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 20:12:39 ID:jPuH2I2s0

握手を求めて右手を出したミセリ。

ミセ*゚ー゚)リ「……あれ?どこかで……」

(´・ω・`)「こ、こちらこそ」

その手を握ろうと右手を出そうとしたショボンの前に立ちふさがる二人の男。

( ∵)「おれがビコーズだ」

小柄な男がショボンの手を掴んで握手をし、

( ∴)「おれがゼアフォーだ」

大柄な男が横からショボンを上から見下ろす。

(´・ω・`)「こんにちは」

その二人の行動から逆に冷静さを取り戻したショボンが笑顔で握手をする。

男二人の背中にショボンとの対面を遮られたミセリは一瞬眉間に皺を寄せたが、
すぐに可愛らしく両頬を膨らませた。

ミセ*゚ー゚)リ「二人とも、ちゃんと挨拶させてくれなきゃだめだよ」

( ∵)「姫!なぜこんなやつらと!」

( ∴)「われら二人では姫を守るのに力不足とでもおっしゃるのですか!?」

少しだけ怒ったような口調に、
慌てて振り返る二人。
そして片膝をついてミセリの前に傅くと、
悲痛な声を上げた。

( ∵)「姫は我らが命に代えてお守りいたします!」

( ∴)「このような下賤の者達と親しくする必要などございません!」

声を荒げる二人を見て顔をこわばらせる五人。

.

638 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 20:14:15 ID:jPuH2I2s0

ミセリはビコーズとゼアフォーに微笑みを向けた。

ミセ*゚ー゚)リ「二人ともいつもありがとう。
二人のおかげで毎日が楽しいよ」

( ∵)「ならば姫!」

( ∴)「姫!」

ミセ*゚ー゚)リ「でもね、三人でもっと楽しくなるには他の人と仲良くなることも必要だと思うんだ。
まだ忍者になる方法も掴めてないし、
三人だけじゃ情報を集めるのも大変でしょ」

( ∵)「それは……」

( ∴)「ですが姫!」

ミセリが二人の前にしゃがみ、
二人の膝の上にのせている手をとる。

( ∵)「姫」

( ∴)「姫」

ミセ*゚ー゚)リ「二人ともありがとう。
この世界を生き抜くために、
頑張ろうね」

優しく微笑むミセリ。

その笑みは聖母の様で、
ビコーズとゼアフォーの心に暖かく染み渡った。

その一部始終を見ていた五人。
そのうちの四人はあからさまに唖然とた表情をしつつ、
程度は違えど心の中で『茶番劇』と同じような意味の言葉を思っていた。

しかし一人、ショボンだけはミセリを鋭い瞳で、
そしてどこか慈しむような優しさをもった光を帯びて、
見つめていた。

.

639 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 20:16:25 ID:jPuH2I2s0

( ∵)「わかりました。姫」

( ∴)「ですが、くれぐれも相手を信用しすぎぬようご注意ください!」

勢いよく立ち上がり、
ミセリの後ろに移動する二人。

二人の頬が赤く染まっていたが、
それを言葉にして指摘できる猛者は今ここにはいなかった。

ミセ*゚ー゚)リ「分かってくれてうれしいよ。
ありがとう。二人とも」

ゆっくりと立ち上がり、
二人に振り返るミセリ。

小首をかしげながら微笑みを向けると、
二人の顔はさらに赤くなった。

ξ゚⊿゚)ξ「……うざ」

川 ゚ -゚)「良くも悪くも『女』だな」

(;^ω^)「ちょっ。二人とも」

('A`)「でも、ああいうのが『女子力』って言うんじゃないか?」

ξ゚⊿゚)ξ「……むかつく」

( ^ω^)「まあまあ」

川 ゚ -゚)「ドクオは騙されないようにな」

('A`;)「そこまで女慣れしてないわけじゃないぞ」

ξ゚⊿゚)ξ「慣れてないから近寄らないだけでしょ」

('A`;)「うるせー」

(;^ω^)「三人とも聞こえちゃうお」

.

640 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 20:21:45 ID:jPuH2I2s0

五人だけに聞こえるように小さな声で呟いたツンとクー。
慌てるブーンとここぞとばかりに突っ込みを入れるドクオ。

ミセ*゚ー゚)リ「では改めて。
よろしくお願いします。
ショボンさん」

(´・ω・`)「こんにちは。
ミセリさん。
こちらによろしく出来る事があるかは分かりませんが、
まずはお話だけでも」

ミセ*゚ー゚)リ「お話だけでもさせていただけるなら光栄です」

お互いに柔らかく微笑んで挨拶し、
握手をする二人。

川 ゚ -゚)

ξ゚⊿゚)ξ

クーとツンはそれを少しだけ複雑な気分で見ていた。
しかし深い付き合いの二人は違う感想を抱いたようだった。

('A`)「しょうがないけど、警戒心バリバリだな。
ショボンの奴」

(;^ω^)「おー。
女の子相手にあれは……」

('A`)「仕方ないけどな。
充分怪しいし」

最後の声が聞こえていたのか、
ミセリがショボンと握手をしたままドクオを見る。

ミセ*゚ー゚)リ「ひどいなードクオくん。怪しいだなんて」

('A`)「実際怪しいだろうが。
っていうか、どこから聞こえてた?」

.

641 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 20:24:17 ID:jPuH2I2s0

ミセ*゚ー゚)リ「最後の『じゅうぶん怪しい』ってのだけだよ」

ショボンに向かってお辞儀をしながら握っていた手をほどくと、
ドクオの前に移動する。

身長はツンと同じくらいでドクオとそれほど変わらないのだが、
腰に手を当ててすこし前のめりになり、
上目遣いにドクオの顔を覗き込むミセリ。

ミセ*゚ー゚)リ「私のどこが怪しいのか、
聞かせてほしいな?
ドクオくん」

('A`*)「べ、別にどこが怪しいとかそういうことじゃなくてだな」

ミセ*゚ー゚)リ「じゃあどうして怪しいとか言うのー?」

('A`*)「そ、それはその、言葉のあやというかその」

ミセ*゚ー゚)リ「えー。ドクオくんって確証もないのにそういうこと言っちゃう人なんだー」

('A`*)「な、なに言ってんだよ」

ξ゚⊿゚)ξ「きもっ」

川 ゚ -゚)「ひどいなこれは」

('A`)「!」

ドクオに聞かせるようにツンとクーは言葉を吐き捨てる。

それにより冷静さを取り戻したドクオは数歩後ずさり、
頭を振った。

('A`)「と、とにかく、ショボンに話があるんだろ?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん。そうだよ」

('A`)「ならショボンと話せよ」

.

642 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 20:28:51 ID:jPuH2I2s0

ミセ*゚ー゚)リ「ドクオくんが変なこと言うから問い詰めただけなのに」

('A`)「さっさと話せ」

ミセ*゚ー゚)リ「はーい」

ドクオに微笑みかけ、その斜め後ろにいたツンとクーにも笑顔で会釈し、
最後にブーンに微笑んでからショボンに向き直すミセリ。

ξ゚⊿゚)ξイイカゲンニシロヨアノオンナ

川 ゚ -゚)「ツン、顔が怖い」

(*^ω^)「おっおっお。
どうしたんだお?ツン」

ξ゚⊿゚)ξ「にやけてんじゃないわよ」

(;^ω^)「に、にやけてなんかいないお」

ミセ*゚ー゚)リ「ショボンさん、
少し込み入ったお話になるかもしれないんですが、
お時間は大丈夫ですか?」

(´・ω・`)「時間は構いませんが、
それは今ここで話せるような内容ですか?」

少しだけ周囲を気にするような仕草をするショボン。
ミセリもそれに倣って視線だけで周囲をうかがう。

日の傾きが顕著になってきた広場には、
日中の狩りから帰ってきたプレイヤーがちらほらと通り過ぎていた。

女性プレイヤーは珍しく、
更に三人もいるため多少人目を引いているのが分かる。

ミセ*゚ー゚)リ「そう……ですね。
出来れば他の人に聞かれない場所の方が良いかと思います。
ただこの村の宿屋の部屋は広くありませんから、
適当な空き家があればいいんですが」

.

643 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 20:30:29 ID:jPuH2I2s0

四人の頭には今自分たちが確保している農場の二階が浮かんだが、
ショボンが何も言わない為、口を開かなかった。

(´・ω・`)「それでは、まずは話す場所を確保するということで、
今日は一度解散」

「ミセリ!ビコーズ!ゼアフォー!」

ショボンが会話を終わらせようとした瞬間、
ショボンの後ろからミセリたち三人を呼ぶ声が聞こえた!

その声を聞き、更に自分たちに向かって手を振る男を見て露骨にいやそうな顔をする三人。

ドクオとブーンもその声の主を見る。
すると二人の顔には笑みが浮かんだ。

ツンとクーが五人の表情の違いに怪訝な顔をしつつ声のした方を見ると、
手を振りながら走ってくる一人の男と、
その後ろに二人の男が見えた。

川 ゚ -゚)「え?」

ξ゚⊿゚)ξ「あれ?」

ミセ*゚ー゚)リ「何でこんな時に……ん?」

走ってくる男の顔を見て、同じタイミングで気付く三人。

川 ゚ -゚)「……似てるな」

ξ゚⊿゚)ξ「似てるわね」

ミセ*゚ー゚)リ「そうか、さっきどっかで見たような顔だと思ったけど」

駆け寄ってきた男が、
ショボンに後ろから抱き着いた。

川 ゚ -゚)「うわっ」

.

644名も無きAAのようです:2015/12/31(木) 20:32:05 ID:JWTXHizw0
追いついた支援

645 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 20:33:56 ID:jPuH2I2s0

ξ゚⊿゚)ξ「おっ」

ミセ**゚ー゚)リ「あらっ」

(`・ω・´)「ショボン!
元気そうでなによりだ!
会いたかったぞ!」

(´ ω `)「にい……さん……」

シャキンの声を聞いてから少しうつむき気味に動くことが出来なかったショボンが、
シャキンにだけ聞こえる小さな声で呟いた。





.

646 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 20:37:45 ID:jPuH2I2s0

ドクオたち五人が借りている農場の二階の部屋に、
シャキンたち三人とミセリたち三人が入り、
合計十一人が集まっていた。

二人掛けソファーの片方にはミセリとドクオが座り、
ミセリの後ろにはビコーズとゼアフォーがSPのように威圧的に立っている。
ドクオがソファーの隅に座っているように見えるのは、
見間違いではないだろう。

テーブルをはさんで反対側のソファーにはミルナとデミタスが座っており、
ひじ掛けにシャキンが座っている。

そしてシャキンの座るひじ掛けの横に置かれた木の椅子に、
ショボンが座っていた。

互いに譲り譲られながらそれぞれがその場所に収まったのちに、
それぞれのパーティーを代表してショボン、シャキン、ミセリは、
自分たちの現状とあの日からの行動を話し合った。

もちろんショボンたち五人が『はじまりの街』で手にした恩恵は内緒のままだったが。

そして話している間、シャキンの手はずっとショボンの頭を撫でていた。

ショボンの後ろ側に、ブーンとツンとクーが壁沿いに立っているが、
その光景を見て三者三様の表情を見せている。

(´・ω・`)「とにかく、状況を整理しよう」

最初のうちは頭を撫でる手を邪険にあしらっていたが、
今は諦めたのかそのままにいしてた。

( ゚д゚ )「(整理?)」

(´・_ゝ・`)「(この状況を?)」

(´・ω・`)「兄……シャキン達三人は」

(`・ω・´)「なんだよ、『兄さん』で良いんだぞ?」

.

647 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 20:39:49 ID:jPuH2I2s0

(´・ω・`)「うるさい。
パーティー三人は、
始まりの街でミセリさん達三人がホルンカに行く事を知って、
接触したと。
そこで意気投合して」

ミセ*゚ー゚)リ「してないよー」

( ∵)「してない」

( ∴)「するわけがない」

(`・ω・´)「なんだよ、仲良く六人でこの村にやってきたっていうのに」

( ゚д゚ )「すまんな。三人共」

(´・_ゝ・`)「助かったよ」

ミセ*゚ー゚)リ「ミルナさんとデミタスさんは良いんですよ」

(`・ω・´)「え?おれはダメなの?」

( ∵)「あたりまえ」

( ∴)「改めて聞くことのできるその性格が羨ましい」

(*`・ω・´)「褒められると照れるな」

(#∵)

(#∴)

(´・ω・`)「付いてきた三人を無下に扱うのも憚られ、
安全に連れてきていただいたんですね。
ありがとうございます」

ミセ*゚ー゚)リ「いいえー。
お二人はご兄弟なんですか?」

.

648 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 20:41:46 ID:jPuH2I2s0

(*`・ω・´)「血よりも熱く堅い絆で結ばれた」

(´・ω・`)「他人です」

(`・ω・´)「二人……」

(´・ω・`)「他人の空似です」

(`・ω・´)「……です」

ミセ;*゚ー゚)リ「あ、た、他人なんですね」

(´・ω・`)「分かっていただけて幸いです」

(`・ω・´)「です……」

ミセ;*゚ー゚)リ「あはははは」

(;゚д゚ )「(さっきまで『兄さん』と呼んでいたその口で)」

(;´・_ゝ・`)「(何の躊躇もなく『他人』と言い切れるとは)」

(´・ω・`)「話を戻します」

ミセ;*゚ー゚)リ「はい」

(`・ω・´)「はーい」

(´・ω・`)「その過程でシャキンたち三人は、
ミセリさん、ビコーズさん、ゼアフォーさんの三人が、
βテスターであったことを知った」

(`・ω・´)「特に隠してはいなかったな」

(´・ω・`)「今まではそれでいいと思いますが……」

ミセ*゚ー゚)リ「うん。
ショボン君の言う通りだと思う」

.

649 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 20:48:06 ID:jPuH2I2s0

(´・ω・`)「人の負の感情には、
警戒するに越したことはないです」

ミセ*゚ー゚)リ「私もそう思う。
これから気を付けるよ」

( ∵)「姫を危険に晒すわけにはいかない」

( ∴)「降りかかる火の粉は蹴散らすがな」

ミセ*゚ー゚)リ「二人とも、ありがと。
でも、二人もちゃんと気を付けてね」

( ∵)「はっ!」

( ∴)「かしこまりました」

(´・ω・`)「ミセリさん達とシャキンたちはホルンカに到着後別行動。
分かれた後にそれぞれドクオとブーンに出会い、
僕たちもホルンカに来る予定なのを知ったわけですね」

ミセ*゚ー゚)リ「もともとアルルっじゃない、
ドクオくんには連絡するつもりだったから。
連絡したらもうホルンカにいて、
更にアニールブレードのクエストまでクリアしてたなんてびっくりしたよ」

( ∴)「しかも二人分とは」

( ∵)「運がいいな」

('A`)「ああ。ほんとに運が良かった。
というか、多分おれ達が行く前に誰かがクリアしてたんだと思う。
一回目はかなり早く目当ての敵が出てきたから」

ξ゚⊿゚)ξ「どういうことよ」

ドクオの言葉に頷く元テスターの三人。
しかしそれ以外の七人は意味が通じなかったため疑問に思った瞬間、
それをツンが口にした。

.

650名も無きAAのようです:2015/12/31(木) 20:55:20 ID:F6m92yJ.0
大晦日に投下とか昔のブーン系思い出すぜ しかもこの作品とか発狂するレベル


しえんしえん

651 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 20:59:25 ID:jPuH2I2s0

('A`)「ああ、えっと……」

ミセ*゚ー゚)リ「この世界では、
基本的にそのエリアに出現する敵の量と、
時間で出てくる敵の量は決まっています」

あたまを掻いて言葉に詰まったドクオを見て、
ミセリが助け舟を出した。

ミセ*゚ー゚)リ「アニールブレードのクエストでは、
少女の病気を治すのに必要な実を取に行くんですが、
それはある敵を倒さないとドロップしません。
あ、クエストのネタバレになるけど良いですよね?」

(´・ω・`)「はい」

(`・ω・´)「ああ。大丈夫だ」

ミセ*゚ー゚)リ「では続けますね。
敵は植物系の怪物で、名前は『リトルネペント』。
見た目はそうですね……。
大きさは人の背丈より高いです。
名前に『リトル』ってあるけど大きいです。
移動や攻撃は根や葉を動かすことでします。
基本的にはそれほど素早くはありません。
はじまりの街の周辺やホルンカに来るまでの道で出会う猪型や狼型と違って、
かなり怪物、モンスターの色合いが強くなります。
βの時は、そういった見た目で腰が引けてまともに戦えないでいた
プレイヤーもかなりの数いたみたいなので、
注意した方が良いです」

壁際に立つツンとクーを見てにっこりと微笑むミセリ。

ミセ*゚ー゚)リ「先ほども言いましたが、
クエストクリアに必要なアイテムは『リトルネペント』を倒さないとドロップしません。
しかもどの『リトルネペント』でも良いわけでもなく、
頭に花を咲かせた『リトルネペント』を倒さないと、
ドロップしません」

.

652 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 21:02:43 ID:jPuH2I2s0

(´・ω・`)「頭に花がついた怪物……」

ミセ*゚ー゚)リ「はい。
そして花付きのリトルネペントはあまり出てこないため、
出すためには目の前のリトルネペントを倒す必要があります」

川 ゚ -゚)「?」

ξ゚⊿゚)ξ「?」

( ^ω^)「?」

ミセ*゚ー゚)リ「例えばエリアに出てくる数が5匹であり、
現時点で花付きが居ないのならば、
その5匹を倒して新しくリトルネペントをポップさせなければ、
花付きを見つけること、倒すことが出来なくなるわけです」

川 ゚ -゚)「なるほど。そういうことか」

ξ゚⊿゚)ξ「でも、その5匹を倒したたら花付きが出てくるってわけでもないんでしょ」

ミセ*゚ー゚)リ「その通りです。
だからその場合はまたその5匹を倒して、
更に新しくポップさせます」

川 ゚ -゚)「出てくるまで繰り返すってことか」

ミセ*゚ー゚)リ「はい」

( ^ω^)「おー。なるほどだお」

ξ゚⊿゚)ξ「って、なんでクエストクリアしたあんたが説明聞いて納得してるのよ」

(;^ω^)「あの時は戦うことと強くなることに必死で、
そんなことを気にしていられなかったんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「まったく」

.

653 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 21:06:38 ID:jPuH2I2s0

ミセ*゚ー゚)リ「花付きが出てくる確率は低いので、
ドクオくん達が行ってすぐ出会えたってことは、
誰かがその場所で先に倒しまくっていた可能性が高いってことです。
もちろん運が良かっただけかもしれませんけどね」

これで終わりとばかりにドクオに向かって微笑むミセリ。

('A`)「と、言うわけだ」

ドクオは笑顔は見ないようにして、
ミセリの言葉を引き継いだ。

(´・ω・`)「なるほどね。
その花付きが出るのはどれくらいの確率なのかな」

('A`)「出現率が固定か変動かって疑問もある」

(´・ω・`)「変動するなら厄介だね。
あまりにも出ないと心が折れそうだ」

(`・ω・´)「折れかかったぞ」

( ゚д゚ )「出なかったな」

(´・_ゝ・`)「何度、一回やめようと言ったか」

ミセ*゚ー゚)リ「私たちの時も出なかったですよ。ねっ」

( ∵)「思い出させないでくれ」

( ∴)「私の剣の為に、ありがとうございました。
この御恩は必ずやどこかで」

ミセ*゚ー゚)リ「はいはい」

心底疲れたように話すシャキン達三人。
それとは違ってどこか楽しそうに話すミセリ達三人。

少しだけ笑みが漏れ、
全員の表情が穏やかになる。

.

654 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 21:11:17 ID:jPuH2I2s0

( ゚д゚ )「ゲームなんだから裏ワザとかあってもよさそうだが」

(´・_ゝ・`)「そうだな。ワープポイントとかアイテムとか」

('A`)「裏ワザ……」

ミセ*゚ー゚)リ「ありますよ。お勧めはしませんけど」

ミルナとデミタスの雑談にドクオが表情を曇らせると、
ミセリはほがらかにほほ笑んだ。

( ゚д゚ )「あるのか?」

ミセ*゚ー゚)リ「はい」

(`・ω・´)「お勧めしないっていうのは?」

ミセ*゚ー゚)リ「リトルネペントには、ノーマルと花付きの他に、
頭に実を付けた『実付き』というのもいるんです」

(´・ω・`)「実付き……」

(´・_ゝ・`)「そいつが?」

ミセ*゚ー゚)リ「強さは普通と一緒なんですけど、
その身を割ると臭いを振りまいて、
仲間のリトルネペントを呼び寄せるんですよ」

ξ゚⊿゚)ξ「へー」

川 ゚ -゚)「つまり、数多くの敵を呼び寄せることが出来る。
そうすればその中に花付きがいる可能性が高いってことか」

ミセ*゚ー゚)リ「そういうことです」

(;^ω^)「おー。それってドクオが言ってた……」

('A`)「ああ。そうだ」

ブーンとドクオが表情を曇らせる。

.

655名も無きAAのようです:2015/12/31(木) 21:11:27 ID:F6m92yJ.0
ミセリはバーボンハウスで素知らぬ顔で浮かれてたと思うと感慨深いな


支援しえん

656 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 21:13:09 ID:jPuH2I2s0

ミセ*゚ー゚)リ「ただ良いことばかりじゃありません。
出てくるのは敵ですから、
私たちに襲い掛かってきます」

( ゚д゚ )!

(´・_ゝ・`)!

ξ゚⊿゚)ξ!

川 ゚ -゚)!

(`・ω・´)

(´・ω・`)

ミセ*゚ー゚)リ「この臭いで寄ってきたリトルネペントは、
エリア内の最大量や時間制限を飛び越えてやってきますし、
興奮しているのか動きも素早くなります。
つまり普段よりも手強い敵に囲まれてしまうわけです。
そして絶対花付きが出る確証もありません。
だからβの頃ならともかく、今やるのはお勧めしません」

( ゚д゚ )「に、逃げることはできないのか?」

ミセ*゚ー゚)リ「できますよ。
ただそれなりに鍛えてからでないと難しいと思うので、
今のレベルでは……」

あいまいな笑顔で言葉を濁すミセリ。
そして、少しだけ声を小さくして独り言のように呟いた。

ミセ*゚ー゚)リ「そうか……。
もしかするとドクオくんが行く前に、
誰かが実付きを倒していたのかもしれないのか。
それで出現数が増えて確率的に遭遇できたのかも」

.

657 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 21:15:20 ID:jPuH2I2s0

(´・ω・`)「ゼアフォーさんもアニールブレードは持たれているんですよね?」

( ∴)「ああ。昨日一日がかりだった」

(`・ω・´)「おれも持ってるぞ!」

(´・_ゝ・`)「おれらも一日とちょっとくらいだったか」

( ゚д゚ )「暗くなりかけてたな」

( ∴)「それでも一日で出たならば、まだ良い方だと思う。
今は一日以上かかることもあるみたいだ」

(`・ω・´)「日頃の行いが良いからな!」

(´・ω・`)「そして僕たちもこの村に来て、
あの広場で落ち合ったというわけですね」

(*`・ω・´)「なんだよー。
反応なしかよー。
可愛い奴だなーほんとに」

(; ゚д゚ )「(うわ……)」
(;´・_ゝ・`)「(うわ……)」
ξ;゚⊿゚)ξ「(うわ……)」
川;゚ -゚)「(うわ……)」
ミセ;*゚ー゚)リ「(うわ……)」
(;∵)「(うわ……)」
(;∴)「(うわ……)」

さらに激しくショボンの頭を撫でるシャキンに、
同じ思いを抱く七人。

しかし二人、ドクオとブーンは違う思いを抱いていた。

(;^ω^)「(お?シャキンさん?)」

.

658 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 21:19:21 ID:jPuH2I2s0

('A`;)「(シャキンさんとショボンの関係は分かってるつもりだったけど、
ここまで……?)」

(;^ω^)「(ど、どくお……はどう思ってるのかお)」

('A`;)「(ブーンも違和感感じてるよな?多分)」

思わずお互いの顔を見る二人。

シャキンは視界の隅にるドクオの表情を見て、
心の中で柔らかく笑った。

(´・ω・`)「さてミセリさん」

ミセ;*゚ー゚)リ「は、はい!」

(´・ω・`)「何かお話があるとのことでしたが、
どういったご用件でしょうか」

ミセ;*゚―゚)リ「え?あ、は、う、うん」

当事者であるはずのショボンに全く平然と質問され、
すぐに返事ができないミセリ。

大きく深呼吸するミセリを、
ショボンとシャキンはそうとは見えないように観察していた。

ミセ*゚ー゚)リ「相談……なんだけど、
私達とパーティーを組まない?」

( ∵)「姫!」

( ∴)「姫!?」

身を乗り出してソファーに座るミセリの顔を覗き込む二人。
ミセリはそんな二人に可愛らしく微笑むと、
少しだけ困ったような顔をして話しかける。

ミセ*゚ー゚)リ「二人とも落ち着いて。
今からちゃんと話すから」

.

659名も無きAAのようです:2015/12/31(木) 21:21:11 ID:F6m92yJ.0
しえしえ

660 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 21:21:20 ID:jPuH2I2s0

文字にすれば語尾にハートや音符が付きそうな声と話し方。
それは二人の感情を削ぐことに成功した。

( ∵)「……分かった」

( ∴)「うむ……」

ミセ*゚ー゚)リ「えっと……。
正直に言うと、
最初はドクオくんだけを誘うつもりだったの」

二人がまた背後で仁王立ちに戻ったのを感じてから、
ミセリは話を戻して続けた。

(´・ω・`)「僕達のパーティーから引き抜くつもりだったと」

ミセ*゚ー゚)リ「言葉が悪いけど、
結果的にはそうなるのかな」

ショボンに微笑みかけるミセリ。

ショボンは視線だけで話の続きを促した。

ミセ*゚ー゚)リ「…… ……。
私達もβテスターでこの世界の事は分かってるつもりだけど、
ドクオくんの知識はそれを超えると思う。
それに戦闘能力も高いし、
効率の良いレベルの上げ方やスキル設定なんかも、
頼りになるって思ったから」

隣に座るドクオに微笑むミセリ。

ドクオは逆側を向いて見ないふりをした。

.

661 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 21:23:32 ID:jPuH2I2s0

ミセ*゚ー゚)リ「だから最初はドクオくんにだけ話すつもりだった。
あの日はさすがに動けなくて、
次の日のお昼前くらいにやっと冷静になれて、
それでフレンド登録してあったことを思い出して連絡したんだけど、
正直驚いたよ。
もうホルンカにいるっていうんだもん。
三人で話したらアニールブレードのクエストの事も思い出したから、
早速こっちに来てドクオくんに会っていろいろ話を聞いたってわけ。
向こうで準備しているときに変な人に付いてこられちゃったけどね」

(`・ω・´)「なんだ。おれ達に会う前に何かあったのか?」

( ゚д゚ )「おれ達が『変な人』なんだと思うぞ」

(`・ω・´)「え!?」

(´・_ゝ・`)「素で驚けるポジティブさが羨ましいよ。
って、褒めてはないからな」

(`・ω・´)「なんだ」

ミセ;*゚ー゚)リ「ははは」

(´・ω・`)「それで、なぜ引き抜きから僕達とのパーティーに変わったんですか?」

ミセ*゚ー゚)リ「え?あ、うん。
ショボンくん、君がいるからだよ」

(´・ω・`)「僕ですか?」

ミセ*゚ー゚)リ「全員気になるけど、
特にショボンくんが気になるかな」

川 ゚ -゚)

後ろでクーのこめかみがひくひくと動いたが、
それに気付いたのは隣に立つツンだけだった。

.

662 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 21:26:54 ID:jPuH2I2s0

ミセ*゚ー゚)リ「あの日の当日に冷静さを取り戻して、
自分たちにとって最善の道を選ぶ冷静さは、
賞賛に値すると思うけど?」

(´・ω・`)

ミセ*゚ー゚)リ「それにブーンくんも強いよね」

壁際に立つブーンに微笑みかけるミセリ。

(*^ω^)「おっ?」

ξ#゚⊿゚)ξ

(;^ω^)「おっ。そ、そんなことないお」

ツンのこめかみが動いて眉間に皺が寄ったのは、
ほぼ全員が気付いた。

ミセ*゚ー゚)リ「強いよー。
もうこの近辺の敵なら一人で倒せるでしょ?」

( ^ω^)「それは多分……」

ミセ*゚ー゚)リ「ドクオくんの指導があったとはいえ、
この短期間にそこまで強くなれてるんだから、
この世界で戦うセンスもあるんだと思うよ」

(*^ω^)「おー」

ξ#゚⊿゚)ξ

(;^ω^)「おー」

横を気にしながら喜びつつ冷や汗を流しているブーン。

そこにいた三人以外にも二人の関係性は一目瞭然といってもよかった。

ミセ*゚ー゚)リ「それに、女の子が二人もいたし」

.

663 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 21:39:39 ID:jPuH2I2s0

ξ#゚⊿゚)ξ「?」

川 ゚ -゚)「?」

ブーンから視線を外し、
ツンとクーを見るミセリ。

それに対し、
ツンは不快感をあからさまに表して、
クーは不快感を隠しているがそれでも少し不審げに、
自分たちを見るミセリの顔を見た。

ミセ*゚ー゚)リ「最初会った時は女の子だったけど、
ゲームの中では性別を自分で決められるから。
本当に女の子かわからないからさ。
さっき広場で見た時に実はちょっと驚いたの」

にっこりと微笑むミセリ。
その微笑みは今までドクオやショボン、
そしてブーンに見せていた笑顔と同じで、
女同士であるけれど少し胸がときめいた。

ミセ*゚ー゚)リ「そのうえ、ここまでやってきた」

ξ゚⊿゚)ξ?

川 ゚ -゚)?

少しだけ寂しそうに呟いたミセリ。
ツンの眉間のしわは取れ、
クーの瞳の剣呑さも多少和らいでいる。

ミセ*゚ー゚)リ「多分だけど、
ここに来た女は私が一人目だと思う。
もしかしたらいるかもしれないけど、
見てないから。
多分……ね」

.

664 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 21:41:36 ID:jPuH2I2s0

('A`)「おれ達も見てないな」

( ^ω^)「見てないお」

ドクオの言葉にうなずくブーン。

ミセ*゚ー゚)リ「きっとプレイヤーの人数自体、
男女比はかなり男の人に傾いていると思う。
それに男女関係なく、
ほとんどの人はまだはじまりの街にいるんだろうしね」

( ゚д゚ )「まあ、そうだろうな」

(´・_ゝ・`)「おれ達だって、
シャキンに出会っていなかったらまだあの街にいたと思う」

ミセ*゚ー゚)リ「今ここにいるのは、
基本元βテスターだと思う。
それは知識云々もそうだけど、
自分の身で怪物と戦うということを知っていないと、
街を出る決心ってなかなかつかないと思うから」

(`・ω・´)「向こうでは、
剣を振って動物を殺したりしないからな」

(´・ω・`)「またそういうことを言う」

(`・ω・´)「はっはっは」

(´・ω・`)「笑ってごまかさない」

ミセ*゚ー゚)リ「でも、二人はいる。
ドクオくんがいて、
ショボンくんがいて、
ブーンくんがいて、
例えまわりに守ってくれる人がいたとしても、
ここまで歩いてきたのは自分だと思うから、
ちょっと……ううん。すごく嬉しい」

.

665 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 21:43:49 ID:jPuH2I2s0

( ∵)「確かに驚いたな」

( ∴)「ああ。姫以外にも勇敢な女性がいるものだと」

( ∵)「もちろん一番美しく聡明で勇敢で艶やかなのは姫だが」

( ∴)「ビコーズ、それはさすがに二人に悪い。
姫と比べるなど、すっぽんに月を見習えと言っているようなものだ」

( ∵)「それもそうだな」

( ∵)「はっはっは」(∴ )

ξ#゚⊿゚)ξ

川#゚ -゚)

(;^ω^)「ふ、二人とも落ち着いて」

ξ#゚⊿゚)ξ「べーつーにー」

川#゚ -゚)「怒ってなどいない」

ξ#゚⊿゚)ξ「ねっ!」

川#゚ -゚)「うむ」

(;^ω^)「な、ならいいお」

(´・ω・`)「つまり、僕達とパーティーを組むことにより、
自分の陣営を強化しようと思ったということですか?」

ミセ*゚ー゚)リ「陣営とかそんなのは考えていないよ?
ただ、力を合わせた方が、行動を共にした方が、
この世界で生き残る確率を高くできるんじゃないかなって思っただけ」

.

666 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 21:47:49 ID:jPuH2I2s0

(´・ω・`)「そうでしょうか。
ここに来るときにドクオと話しましたが、
この世界でレベルを上げるのはパーティーを組むよりも、
ソロで動いた方が効率がいいと。
ミセリさん達βテスターならそちらを選ぶんじゃないですか?
それこそレベルを上げれば生き残る確率を高くできるのではないかと思いますけど」

ミセ*゚ー゚)リ「レベルだけを考えたらそうかな。
でも、何があるかわからない以上、
ちからを合わせることは大事だと思う。
危険な状態になってしまった時に、フォローしあえるから」

そこで言葉で一呼吸おき、
後ろに立つ二人以外の顔を見回すミセリ。

ミセ*゚ー゚)リ「一つの失敗が命にかかわる、
些細なミスも許されない今のこの世界では」

真剣なミセリの表情に、そこにいたうちの六人は何も言えず、
それぞれに今まであった命の危険や恐怖を思い出していた。

(´・ω・`)「お話は分かりました」

ミセ*゚ー゚)リ「それじゃあパーティーを」

(´・ω・`)「ですが、システム的にパーティーの上限人数は6人のはずです。
同じパーティーを組むのは無理でしょう」

ミセ*゚ー゚)リ「うん。それは分かってる。だから」

(´・ω・`)「『ギルド』ですね」

ミセ*゚ー゚)リ「そう」

.

667 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 21:56:07 ID:jPuH2I2s0

(´・ω・`)「誰がギルドマスターになり、
ギルドを仕切るおつもりですか?」

ミセ*゚ー゚)リ「それは」

( ∵)「もちろん姫です」

( ∴)「もちろんです」

再び身を乗り出す二人。
今度も両サイドからミセリの顔を覗き込む。

ミセ*゚ー゚)リ「え、二人とも?
別に私はそんなこと」

( ∵)「我らは姫を守りし白と黒の風」

( ∴)「この剣は姫の為に振り、
この命は姫の為にある!」

( ∵)「姫以外の命令を聞くことなどできません!」

( ∴)「パーティーでもギルドでも!
我らに命じることが出来るのは姫のみ!」

( ∵)「我らが従うは姫のみ!」

( ∴)「姫!それをお忘れ無きように!」

ミセ*゚ー゚)リ「えっと……でも、ほら、ね」

( ∵)「姫!」

( ∴)「姫!」

ミセ;*゚ー゚)リ「……はーい」

積極的ではないが肯定したミセリの言葉にとりあえずは納得して姿勢を戻す二人。

.

668 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 21:57:52 ID:jPuH2I2s0

ミセリは少しだけ助けを求めるようにショボンを見た。

(´・ω・`)「決裂、ですね」

ミセ;*゚ー゚)リ「えっ!」

(´・ω・`)「ビコーズさんとゼアフォーさんが
ミセリさんにリーダーになってほしいように、
僕達は僕達で思うところ、
考えることがあります。
現時点でそれが重なることはないでしょう。
ですので……」

ミセ;*゚ー゚)リ「い、いやいやいやいやいや。
ちょっとまってちょっとまって。
結論そんな早く出さなくてもよいと思うんだけど」

(´・ω・`)「でしょうか」

ミセ;*゚ー゚)リ「そうそう。
ほら、まずは一度一緒に狩りとかいってみたりしちゃったりとか」

(´・ω・`)「しかし」

(`・ω・´)「いいな!
やっぱり一度行ってみないとな」

ミセ*゚ー゚)リ「ほらほら、彼もそう言って……」

(`・ω・´)「実は次の街に行く前に行ってみたいところがあってだな」

ミセ;*゚ー゚)リ「って、……いきなり出てきて何言ってくれちゃってんのこの人」

(`・ω・´)「良いだろショボン、みんなで行こうぜ」

(´・ω・`)「……まったく」

ミセ;*゚ー゚)リ「ちょ、二人とも?」

(`・ω・´)「いーこーうーぜー」

.

669 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 22:00:35 ID:jPuH2I2s0

(´・ω・`)「しょうがないな」

(`・ω・´)「よし!」

ミセ;*゚ー゚)リ「はあ!?」

(´・ω・`)「あ、でもこっちの戦闘練習が済んでからだよ。
だから早くても明後日、状況によっては更にその後だからね」

(`・ω・´)「分かってる分かってる。
おれ達はそっちも手伝うぞ」

(´・ω・`)「はいはい。ありがとう」

(`・ω・´)「遠慮すんなって。
おれたちの仲で」

(´・ω・`)「はいはい。ありがとう」

ミセ;*゚ー゚)リ「ちょいちょいちょいちょい。
何言っちゃってんのあんたたち」

(´・ω・`)?

(`・ω・´)?

ミセ;*゚ー゚)リ「なに二人してキョトンとした顔しちゃってるかな。
今誘ってたのは、わーたーし。
私。
わかってる?ねえ、わかってる?
わかってるわよね。わかってやってるわよね」

(´・ω・`)?

(`・ω・´)?

ミセ*゚ー゚)リ「だから不思議そうな顔をしてるんじゃないっつーの」

.

670 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 22:02:23 ID:jPuH2I2s0

(´・ω・`)?

(`・ω・´)?

ミセ#*゚ー゚)リ「だーかーら。
似た顔して同じような表情してるんじゃないって言ってるの。
先に誘ったのはこっちだっていうのに
その目の前で別の奴と一緒に行く約束するなっていうの!
大体あんたたち、他人だって言ってたわよね。
だったらその設定をちゃんと貫きなさい!」

立ち上がり、
腰に手を置いてショボンとシャキンを指さすミセリ。

ミセ#*゚ー゚)リ「だいたいあんたたちはねー……」

そして自分を見る自分以外の者、
目の前の二人以外の視線に気付いて動きを止めた。

ミセ;*゚ー゚)リ「え……あ……あれ?」

('A`;)
(;^ω^)
ξ;゚⊿゚)ξ
川;゚ -゚)
(;゚д゚ )
(;´・_ゝ・`)
(;∵)
(;∴)

ミセ*゚ー゚)リ「あれー?
みんなどうしたのかな?」

小首をかしげながら微笑むミセリ。

八人はその笑顔にこわばった笑顔で返す。

.

671名も無きAAのようです:2015/12/31(木) 22:02:25 ID:F6m92yJ.0
しえんしえん

672 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 22:04:03 ID:jPuH2I2s0

(;∵)「ひ、姫の言う通りだ!」

(;∴)「そ、そうだ!」

(;∵)「そうだそうだ!」

(;∴)「姫が正しい!」

ミセ;*゚ー゚)リ「二人ともありがとう」

(´・ω・`)「ミセリさん」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、は、はい!あ!
な、ななんな、なにかな?
ショボンくん」

(´・ω・`)「さっきまでのが素ってことでいいですか?」

ミセ*゚ー゚)リ「え、な、何のことかな?
私はいつも私だよ?
へんなの、ショボンくん」

全員に笑顔を振りまいてから可愛らしくソファーに座りなおす。

(´・ω・`)「あと、」

ミセ*゚ー゚)リ「え?まだ何かあるの?」

(´・ω・`)「?いや、先ほどの件ですが」

ミセ*゚ー゚)リ「先ほどのって?」

(´・ω・`)?

ミセ;*゚ー゚)リ?

(`・ω・´)「一緒に戦ってみるってことだろ」

(´・ω・`)「うん」

.

673 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 22:07:00 ID:jPuH2I2s0

ミセ*゚ー゚)リ「考え直してくれるの!?」

(´・ω・`)?

(`・ω・´)?

ミセ;*゚ー゚)リ「え、いやだから何でそんなキョトンとした顔を」

(´・ω・`)「ですので、シャキンに言われてとりあえず一緒に活動してみますかと」

ミセ*゚ー゚)リ「はあ?」

(`・ω・´)「みんなで行こうって言っただろ」

ミセ;*゚ー゚)リ「はあああああ?」

(´・ω・`)「とりあえず僕とそこの二人は
戦闘に慣れたいので明日はそちらメインになりますが、
明後日以降の日程で打ち合わせをしましょう」

ミセ*゚ー゚)リ

(´・ω・`)?

(`・ω・´)?

凍り付いた笑顔でショボンとシャキンを見るミセリ。

(´・ω・`)「どうしました?」

(`・ω・´)「どうした?」

ミセ##*゚ー゚)リ「あの話の流れでわかるかそんなもん!」

再び立ち上がってショボンとシャキンを睨みながら叫んだミセリ。

あまりの勢いに再び固まってしまう八人。

ショボンとシャキンは、そんなミセリを見て穏やかに笑っていた。



.

674 ◆dKWWLKB7io:2015/12/31(木) 22:15:07 ID:jPuH2I2s0

以上、本日及び2015年の投下を終了します。

いつも支援、感想、乙、おつむ、ありがとうございました。

また、よろしくお願いします。

なんとか彼女を出すことが出来てホッとしているところです。

が、二十話はまだ続きます。

また来年、よろしくお願いいたします。

ではではまたー。

良いお年をー。


.

675名も無きAAのようです:2015/12/31(木) 22:19:07 ID:F6m92yJ.0
おつおつ

色々な伏線回収がたのしみで仕方ない
来年も楽しみにまってますよっと


良いお年を!

676名も無きAAのようです:2015/12/31(木) 22:25:32 ID:I3IRRyrE0
乙乙

677名も無きAAのようです:2015/12/31(木) 22:26:06 ID:PH6HUmRM0
二十話の長さが凄いことになってくな……乙

678名も無きAAのようです:2015/12/31(木) 22:32:54 ID:JWTXHizw0
乙!

679名も無きAAのようです:2015/12/31(木) 22:46:33 ID:TFdB7/xo0
乙乙、よいお年を

680名も無きAAのようです:2015/12/31(木) 23:57:42 ID:nYIiN7WAO

年末は忙しくなるから無理だったかなと思ってたからこれは嬉しい更新
良いお年を!

681名も無きAAのようです:2016/01/03(日) 01:40:41 ID:VrczH2LE0
見返せばいいだけなんだけど、ミセリって前に出てた?

682名も無きAAのようです:2016/01/03(日) 01:54:02 ID:bOA5VnuYO
多分バーボンハウスでフィレンクトの彼女としてと兄弟の店にも来てたはず

683名も無きAAのようです:2016/01/03(日) 10:56:24 ID:861q9tfQ0
おつおつ

684名も無きAAのようです:2016/01/07(木) 14:13:47 ID:LntB6zKw0
ミセリとフィレンクトが急に気になってきた

685 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 22:23:46 ID:wbqeuKXw0

どーもです。

それでは投下を始めます。


よろしくお願いします。


.

686 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 22:25:38 ID:wbqeuKXw0





7.迷路







.

687 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 22:28:34 ID:wbqeuKXw0

『ミセ#*゚ー゚)リ「そこの二人、
明日からビシバシ鍛えるからな」』





ショボンとシャキンを睨みつつ、
小声で二人しか聞こえないように呟いたミセリを含む三人を見送った後、
シャキン達三人とショボンは農家を出て宿屋に向かった。

部屋は一人部屋を三つ、念のため三日分借り、それぞれに部屋に向かう。
一時間後にホテルのロビーで落ち合うことを約束してそれぞれに部屋に入る。

ショボンはシャキンの後ろに続いて部屋に入った。

(`・ω・´)「おつかれさん」

農家を出る前に頭から離した手を再びショボンの頭にのせ、
髪の毛を掻きまわすかのように撫でるシャキン。

身長はシャキンの方が少し高い。
けれどショボンが俯いていたため、ちょうどよい高さに頭があった。

上目遣いにシャキンを見るショボン。

しかしそこに可愛げといったものは無く、
出てきた言葉は恨み節だった。

(´・ω・`)「すぐ連絡くれなかったくせして」

(`・ω・´)「そう怒るなって。
理由は分かってるだろ?」

(´・ω・`)「分かってるつもりだけど、
とりあえず連絡をくれるくらいはしてくれてもいいと思うんだ」

(`・ω・´)「おれもあの二人とパーティー組んだりして大変だったんだよ」

.

688名も無きAAのようです:2016/01/20(水) 22:28:41 ID:pFC/LRvU0
待ってました!

689 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 22:30:50 ID:wbqeuKXw0

(´・ω・`)「嘘だね」

(`・ω・´)「なんだよ嘘って」

(´・ω・`)「ちょっとしか喋ってないけど、
ミルナさんもデミタスさんもちゃんとした人っぽいし、
あの二人を丸め込んで落ち着かせることくらいかず兄になら分けないよ」

嬉しそうにショボンの顔を見るシャキン。

(´・ω・`)「……なに?どうかした?」

(`・ω・´)「いや、『かずにい』って呼んでくれたなと思ってさ」

(´・ω・`)「……シャキンにならわけないでしょ」

(`・ω・´)「なんだよー。『かず兄』って呼んでくれよー」

(´・ω・`)「うるさい」

頭を撫でる手を乱暴に外し、木製の丸椅子に腰かけるショボン。
顔は少し赤らめて怒ったような顔をしているが、
怒っているというよりも恥ずかしさの方が大きいようだ。

それを見て、笑顔でベッドに腰かけるシャキン。

(´・ω・`)「一時間しかないし、さっさと打ち合わせをするよ」

すねたように軌道修正を試みるショボン。

(`・ω・´)「そうだな。まずは情報の整理からしよう」

シャキンはそれに付き合ったが、
表情はまだニヤニヤと笑っていたためショボンは少しだけ睨んだ。




.

690 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 22:33:06 ID:wbqeuKXw0



(`・ω・´)「なるほどな。そんなクエストとアイテムがあるのか」

(´・ω・`)「やっぱり街はそんな感じだったんだね。
この村ではどうだった?」

それぞれに得た情報や感じたことを交換する二人。

いきいきとした表情で話すショボンを見てシャキンは笑顔で話すが、
時折悲しそうに少しだけ眉をひそめた。

それに気付かないショボン。

(´・ω・`)「レベルを上げるのが大変だとしても、
当分はパーティーで行動した方が良いだろうね」

(`・ω・´)「そうだな。
通常戦闘はもちろん、連携の練習もしないとだし、
ある程度はその方が良いだろう」

(´・ω・`)「ある程度?」

(`・ω・´)「何があるかわからんからな。
一人での戦い方も学ぶべきだろう」

(´・ω・`)「……そう……だね」

考えながら口を開くショボン。

(`・ω・´)「どうした?」

(´・ω・`)「うん……」

(`・ω・´)「ドクオやブーンは守られているだけの男じゃないだろ?」

(´・ω・`)「それは、わかってる」

(`・ω・´)「それなら良いけどな」

.

691 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 22:36:45 ID:wbqeuKXw0

ショボンの態度に眉を顰めるシャキンだったが、
何事もなかったように話題を流した。

(`・ω・´)「とりあえずは明日からの合同練習だな」

(´・ω・`)「うん」

あからさまにほっとした表情をするショボン。

(`・ω・´)「あの子がどんな風におれ達を鍛えてくれるのか楽しみだ」

(´・ω・`)「ドクオが、
パーティーでの戦いは彼女の方がうまいって言ってたけど、
どうだった?ここに来るまでの戦いは」

(`・ω・´)「そうだな。うまかったと思う。
というか、一緒にいた男二人より強く見えたな。
ゼアフォーはそれでも戦ってたけど、
ビコーズの方は掛け声ばかりでそれほど動いているように見えなかった。
ミセリとゼアフォーの指示に合わせて動いていたように見えた」

(´・ω・`)「そうなんだ」

(`・ω・´)「あそこも色々ありそうだな。
ミセリの『姫キャラ』というか『ぶりっ子キャラ』も含めて」

(´・ω・`)「アバターの時と違って、
少し無理しているように見えた」

(`・ω・´)「そうか。
それであんなことを」

(´・ω・`)「そっちだって分かってやってたんでしょ?」

(`・ω・´)「おれは面白そうだなって思っただけだ。
そしたらお前がのってきたから」

(´・ω・`)「またそうやって人のせいにするし」

.

692 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 22:39:53 ID:wbqeuKXw0

(`・ω・´)「別にお前のせいにしたわけじゃないぞ。
おれ一人じゃうまく誘導できなかっただろうとは思うがな」

(´・ω・`)「まったくもう」

口調では避難しているように聞こえるが、
ショボンの表情は穏やかで明るかった。

(`・ω・´)「素の方が面白いし良いキャラしてそうだと思うんだけどな」

(´・ω・`)「別人になって、
女の子らしい女の子をやってみたかったのかもね。
三人共β出身だから、
その頃からの設定というか、
互いの役割的なものがあったんだろうし」

(`・ω・´)「それが壊れたと」

(´・ω・`)「あの程度でぼろを出すようじゃ、
遅かれ早かれ破綻してたよ。
早く素を出せて良かったって感謝してほしいくらいだって」

(`・ω・´)「おれに対してはキャラ壊れてたしな」

(´・ω・`)「そういえば最初からそんな感じだったよね。
……ここに来るまでになにしたのさ」

(`・ω・´)「なんもしてないぞ」

(´・ω・`)「あとでミルナさんとデミタスさんに聞くよ」

(`・ω・´)「なんもしてないって」

(´・ω・`)「何もしてないなら聞いてもいいよね?」

(`・ω・´)「いやいや、してないから時間の無駄だから」

(´・ω・`)「……なにしたの?」

.

693 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 22:44:21 ID:wbqeuKXw0

(`・ω・´)「……三人で打ち合わせしてるのを後ろから盗み聞きしたり、
出てきたモンスターに対して三人が陣形を整えている隙に特攻かけて、
結局ミセリに助けられたり。
まあ最初から付いてきたのも少しは強引だったかな。
それくらいだ」

(´・ω・`)「……充分だと思う」

(`・ω・´)「そうか?」

(´・ω・`)「うん」

(`・ω・´)「ならしょうがないな」

(´・ω・`)「まったく」

呆れたように、
少し困った顔をするショボン。
しかしすぐに笑顔に戻った。

(`・ω・´)「なんだよ」

(´・ω・`)「なんでもない」

ニヤニヤと笑うショボンを見てシャキンは肩をすくめる。
そして表情を引き締めてから口を開いた。

(`・ω・´)「彼女がお前にコンタクトをとってきたのは、
そのためだろうしな」

(´・ω・`)「ん?」

(`・ω・´)「ミセリがお前たちと一緒に動きたいといった理由だよ」

(´・ω・`)「やっぱり、そう思う?」

(`・ω・´)「一目瞭然だろ。あれは」

(´・ω・`)「だよね」

.

694 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 22:45:30 ID:wbqeuKXw0

(`・ω・´)「ビコーズもゼアフォーも、
ミセリに依存している」

(´・ω・`)「うん。僕もそう思った。
一見姫を護る騎士を装ってはいたけど、
『彼女を守る』という使命感に縋って自我を保っているようにね」

(`・ω・´)「おそらくそれが正解だろう。
二人とも気付いていないだろうが」

(´・ω・`)「彼女は、それを嫌がっているのかな」

(`・ω・´)「自分が休まる場所がないかもしれないな。
共依存の関係には見えなかった」

(´・ω・`)「……うん」

(`・ω・´)「今のお前と、同じだ」

(´・ω・`)「そう……だね」

(`・ω・´)「分かってはいるんだな」

(´・ω・`)「……うん。
僕が巻き込んでしまったのに、
僕は今『みんなを守る』っていう事を支えにしている。
すぐ連絡をくれなかったのだって、
それが分かっていたからでしょ?」

(`・ω・´)「ああ」

(´・ω・`)「僕が、兄さんに甘えない為」

(`・ω・´)「半分正解、半分間違い」

(´・ω・`)「え?」

.

695 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 22:57:54 ID:wbqeuKXw0

(`・ω・´)「おれに甘えるのは問題ない。
ただ、おれに『だけ』甘えるのはダメだ。
おれ『だけ』を心の支えにするな。
依存するんじゃない。
自分で立って、
それから甘えていい奴全員に甘えろ」

(´・ω・`)「……」

(`・ω・´)「さっきも言ったが、
お前の友達はただ守られているだけのような奴らじゃないだろ?
彼らの為にも、あの子たちを頼る強さを持て。
甘えることのできる余裕を作れ」

(´・ω・`)「分かってはいる。
分かってはいるんだ。
分かってはいるんだよ!
でも……
でも……」

(`・ω・´)「でも?
なんだ?」

(´・ω・`)「僕が誘ったから、
みんなを命の危険に晒してしまったんだ。
その責任は、取らなきゃいけない。
皆を生きてかえす。
それは、絶対にしなきゃいけない……。
だから僕は……」

(`・ω・´)「責任の所在だけを考えるのはおれたちの悪い癖だ。
そのうえお前は身内には優しいのに、
自分には厳しすぎる」

(´・ω・`)「今は仕事じゃないし、
命がかかってる」

(`・ω・´)「でも、『責任』や『自分の行動の結果』にとらわれすぎて、
そこに携わっている人間の思いを忘れてるんじゃないのか?」

.

696名も無きAAのようです:2016/01/20(水) 23:00:23 ID:6OSHSUBI0
http://ssks.jp/url/?id=348

697名も無きAAのようです:2016/01/20(水) 23:00:41 ID:ymbsM8JU0
きてる!

698 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 23:01:15 ID:wbqeuKXw0

(´・ω・`)「思い?」

(`・ω・´)「お前が一人で背負って苦しんでいる姿を見て、
何も思わないような奴らなのか?
ドクオとブーン、あの二人は。
あと、クーとツン。彼女たちは」

(´・ω・`)「それは……」

(`・ω・´)「おれには、違うように見えた。
ドクオとブーンはそういうやつらだって知っている。
彼女たちとは少ししか話せなかったが、
意志の強い瞳をしていた」

(´・ω・`)「……」

(`・ω・´)「すぐには無理だと思うけど、
もう一つ違う視線を持て。
今のお前は一つの思いに囚われすぎている」

(´・ω・`)「……うん」

(`・ω・´)「おれはいつでもいつまでも、
必ずお前の味方だ。
だから、もう少し勇気を持ってみろ」

(´・ω・`)「ありがとう……かず兄さん……。
でも、兄さんは誰に」

(`・ω・´)「ん?いろいろお前に甘えるつもりだけど?」

(´・ω・`)「へ?」

(`・ω・´)「ドクオにも甘えるし、
ブーンにも甘える。
ミルナやデミタスにだって甘える。
でも、あいつ等にも甘えてもらえるように、
甘えてもいい奴だって思ってもらえるように、
自分の位置を作るつもりだ」

.

699 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 23:02:57 ID:wbqeuKXw0

(´・ω・`)「兄さん……」

(`・ω・´)「お前はいろいろできる分だけ一人で背負いすぎる。
でも、お前以外の奴だって色々できるし、
モノによってはお前よりうまくできる奴だっている。
仕事と一緒だよ。
おまえは人の能力を見抜くのがおれよりうまいんだから、
こっちでもそれを活かせばいい」

(´・ω・`)「金儲けとは違うよ……」

(`・ω・´)「ああ、違う。
でも一緒だ」

(´・ω・`)「?」

(`・ω・´)「個人の得意を伸ばし、特異とする。
個人の苦手を集団で補い、悪手をなくす。
適材適所。
相互補完。
マシロがやってきた経営の基本は、
お前の得意技だろ?」

(´・ω・`)「仕事ではそうだけど……」

(`・ω・´)「一緒だよ。
同じように考えてみろ。
皆を守るために、
皆が生き残るために、
皆が笑顔で過ごせるように」

(´・ω・`)「!」

.

700 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 23:04:06 ID:wbqeuKXw0

(`・ω・´)「社員みんなに笑顔で働いてもらう。
マシロの経営者、幹部、役付きに徹底させる理念。
それはここでも同じじゃないのか?
みんなに笑顔で生活してもらう。
誰かの犠牲の上にそんな生活が出来たとして、
お前の友達はほんとに笑顔でいられるのか?」

(´・ω・`)「でも、命が……」

(`・ω・´)「戦うか戦わないかを決めるのは、
お前じゃない。
それに、お前が居なくなった時にどうするつもりだ」

(´・ω・`)「僕は、死なない。
皆を返すまでは決して……」

(`・ω・´)「テストタイプ」

(´・ω・`)「!
しって、るの……?」

(`・ω・´)「おじさんに聞いた。
ログインの前にお前たちの部屋を見に行った時にな。
テストタイプのナーヴギア。
プロトタイプ、汎用機と違って、
お前が使っているテストタイプにバッテリーは付いていない。
つまり、電源を切ればそれで接続は終わりだ」

シャキンの言葉に、
隠していた事実を知っていたという衝撃に、
言葉をなくすショボン。

ただじっとシャキンの顔を見る。

(`・ω・´)「だが、おそらくだが、
こちらの世界で死ねば、
バッテリーではなく配線から供給された電力で、
お前の脳味噌は沸騰させられる」

.

701 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 23:06:14 ID:wbqeuKXw0

静かな部屋に、シャキンの言葉だけが響く。

(`・ω・´)「今電源を切れば確実に助けることが出来る命が、
目の前にある。
しかもそれは、最愛の自分の子供だ。
お前の両親、大おじさんと千早おばさんは、
これからずっとその思いと戦うことになる。
でもあの二人なら、その思いにきっと勝つ。
お前がこっちで何を考えているか、
分かっているだろうからな。
お前の心を尊重して、電源を切るような真似はしないだろう。
でも、爺さんがそのことを知ったら……」

(´・ω・`)「……病室に乗り込んで、電源を引っこ抜くだろうね」

(`・ω・´)「ああ。
お前とおれ、二人だしな。
おれはともかく、お前はそうすれば助けられるわけだし」

沈黙。
じっとショボンを見るシャキン。
ショボンは俯き、膝の上で握ったこぶしをじっと見ていた。

数分の間、その状態が続いただろうか。
シャキンの表情が緩み、柔らかい瞳でショボンを見た。

(`・ω・´)「よく考えるといい。
時間があるのかないのかは分からないけれど、
ちゃんと考えて答えを出せばいい」

(´・ω・`)「兄さん……」

顔を上げたショボン。
その視線の先で、にやりとシャキンは笑った。

(`・ω・´)「さて、一時間たったな。
そろそろロビーに行くか」

.

702 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 23:08:16 ID:wbqeuKXw0

ショボンが視界の隅のデジタル時計を見ると、
予定の時間より10分すぎていた。

(´・ω・`)「う、うん」

慌てて立ち上がったショボンを座ったまま片手で制するシャキン。

(`・ω・´)「部屋に入る前に少し遅れるって連絡しておいた。
だから慌てなくていいぞ」

(´・ω・`)「……かなわないな」

(`・ω・´)「はっはっは」

ゆっくりと立ち上がり、両手を腰に当て、
胸を張って高らかに笑うシャキン。
ショボンは浮き出ていた涙をぬぐい、笑みを浮かべる。

(`・ω・´)「よし、じゃあ行くか」

扉へと向かうシャキン。
ドアに手をかけた時に、後ろからショボンが話しかけた。

(´・ω・`)「かず兄さん」

(`・ω・´)「ん?」

ノブに手をかけたまま振り返るシャキン。

(´・ω・`)「もしも、僕が先に消えてしまったら……」

(`・ω・´)「ああ。おれがお前の友達のそばにいるよ」

(´・ω・`)「……ありがとう」

(`・ω・´)「ただし」

.

703 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 23:09:58 ID:wbqeuKXw0

(´・ω・`)「ん?」

(`・ω・´)「突然消えてしまった場合だな。
無茶をしたり軽率な行動で死んでしまい消えた時は、知らん」

おどけた口調で軽々しく、
けれど真剣な瞳で告げるシャキン。

(`・ω・´)「だから、お前もちゃんと生きろよ」

そして重く呟くと、ショボンの返答を聞かずにドアを開けた。








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704 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 23:14:57 ID:wbqeuKXw0



ミセ*゚ー゚)リ「遅い!」

次の日、
ホルンカの村のそばの森。
クエストとは関係ない場所で、
11人は戦闘を重ねていた。

ミセ*゚ー゚)リ「待っている方はただ待つだけじゃなくて一緒に戦うの!
戦っている方は戦いながら次の手を考えて!
早めにタイミングを教えるのよ!」

朝から戦闘を開始し、休憩を挟んでそろそろ6時間が経とうとしているが、
ミセリの怒声はやむことを知らない。

ミセ#*゚ー゚)リ「遅い!もっと早く!」

(;∵)「は、はい!」

(;∴)「はい!」

叱られているのは、ビコーズとゼアフォーの二人。




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705 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 23:17:25 ID:wbqeuKXw0




その日の朝、広場に集まった十一人はミセリから今日のスケジュールを告げられた。

それは少し行った場所にある森の中の安全エリアを中心として、
戦闘訓練を行うということ。

そのエリアは東西南北に戦闘エリアを隣接しており、
3組が戦闘訓練を行うにはもってこいの場所だということだった。

そしてエリアまでの道はドクオとミセリが戦闘を行い、
それを見本、参考にするようにとミセリは告げた。

そして、その言葉に見合う見事な戦いぶりを見せ付けた。



森の中、
現れた熊型のモンスターと戦うミセリ。
何度も隙をついて懐に潜りこみ、
短刀を閃かせて熊のHPを削る。

(クマ)「ぐをおおおおおおおお!」

HPを半分まで削ると、熊が雄叫びをあげた。

再び懐に入ろうとするミセリ。
しかしクマが腕を振り、うまく入れなかった。

ミセリの後ろでドクオが片手剣を構える。

ミセ*゚ー゚)リ「そろそろ行くよ!」

('A`)「おう!」

バックステップで距離を置くと同時に光りはじめるミセリの持つ短刀。

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706 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 23:19:02 ID:wbqeuKXw0

そして次の瞬間、ミセリの体は熊の懐に潜りこんだ。
光る短刀熊の胸から肩にかけて攻撃を与える。

ミセリが繰り出したのは剣技による攻撃。

剣技の中には、武器の持つ攻撃力を高めるだけではなく、
自身の反応速度を上げる技も存在する。
更にミセリはβテスト時代の経験から、
助走と跳躍のタイミングを剣技の発動に合わせることによって熊の隙を突くことに成功した。

ミセ*゚ー゚)リ「スイッチ!」

(クマ)「ぐりゅああああああ!」

ミセリの声と、熊の叫びはほぼ同時。

威力の弱い短刀での攻撃ではあったが、
剣技による会心の一撃は熊を後ずさりさせ、
更にミセリは短刀の光が消える前に熊の体を蹴って後方上空に向かって跳躍し、
弧を描く途中で綺麗に一回転をして着地した。

片膝をつき、熊を見ながら剣技後の硬直を甘受するミセリ。

そしてドクオは、既に熊を攻撃していた。

ミセリの声とほぼ同時に動き出していたドクオは正面から通常攻撃を一度加えた後、
硬直を起こした熊を右から二回攻撃、
そのまま右を向いた熊の脇をすり抜けて後ろから一回攻撃。
自分を攻撃する者の姿を追って振り返りながら、熊は攻撃のための手を振り上げる。
ドクオはその手と熊の目線の間に移動して、更に一回攻撃を加え、バックステップで距離をとる。
熊の減ったHPが赤に色を変えた。

('A`)「決める!サポ頼む!」

ミセ*゚ー゚)リ「了解!」

後ろを見ずとも技後硬直が解けてこちらを見ているであろうミセリに指示を出し、
それとほぼ同時に駆けだすドクオ。

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707 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 23:25:43 ID:wbqeuKXw0

その先には、両手を上げて咆哮し、威嚇する熊。

怯むことなく繰り出したドクオの持つ光り輝く片手剣による攻撃は、
熊をポリゴンに変えた。

万が一今の一撃で倒せなかった時の為に短刀を構えていたミセリが構えを解いたのは、
ポリゴンのきらめきがすべて消え、
周辺に敵のポップが認められないのを確認した後だった。

全員が上げた感嘆の声がおさまった後に、
ミセリから注目する点を注意され、
奥へと進む一行。

目的の安全エリアに到着するまでにさらに四回ドクオとミセリは戦闘をこなした。





そしてエリアに着いた後、
まずは一度ずつ全員が戦ってみたのだが、
既に『彼等』は出来上がっていた。

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708 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 23:27:27 ID:wbqeuKXw0



ξ゚⊿゚)ξ「ブーン!」

( ^ω^)「だお!」

川 ゚ -゚)「ドクオ!」

('A`)「ん!」

(´・ω・`)「ツン!」

ξ゚⊿゚)ξ「任せなさい!」

( ^ω^)「クー!」

川 ゚ -゚)「心得た!」

('A`)「ショボ!」

(´・ω・`)「省略するな!」



ミセ*゚ー゚)リ「……え?」

ミセリは、リアルからの友人である五人の息がすぐさま合ったことは納得できた。



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709 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 23:28:50 ID:wbqeuKXw0



(`・ω・´)「行くぞ二人とも!」

( ゚д゚ )「おう!」

(´・_ゝ・`)「ああ!」

( ゚д゚ )「シャキン!」

(`・ω・´)「任せろ!」

(´・_ゝ・`)「次だ!」

(`・ω・´)「おりゃ!」

( ゚д゚ )「デミタース!」

(´・_ゝ・`)「変な伸ばし方するな!」

(´・_ゝ・`)「こっちミルナ!」

( ゚д゚ )「見なきゃ戦えないだろうが!」



ミセ*゚ー゚)リ「はあ?」

ミセリは、この三人は自分達とあの道をやってきて自分の戦いを見てきた経験があることと、
さらにシャキンの指示が的確であることを悔しながらも認めることにより、無理やり納得した。



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710 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 23:33:14 ID:wbqeuKXw0



ξ゚⊿゚)ξ「                     」
( ^ω^)「                     」
('A`)「     こっち(だ)!ミルナ!    」
(´・_ゝ・`)「                    」
(`・ω・´)「                    」
川 ゚ -゚)「                     」

(#゚д゚ )「ちゃんと『だ』を口にしろ!」

(´・ω・`)「すみません。うちのも一緒になって」

( ゚д゚ )「え?あ、ま、まあいいけどな。うん。
そこまで怒ってないから気にするな」

ξ゚⊿゚)ξ「                  」
( ^ω^)「                  」
('A`)「     こっちミルナ!    」
(´・_ゝ・`)「                」
(`・ω・´)「                」
川 ゚ -゚)「                」

(#゚д゚ )「その違いは分かるぞこのやろう!」





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711 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 23:37:59 ID:wbqeuKXw0

ミセ#*゚ー゚)リ

危なげはなく、
しかし見本になるかといえば口を濁すレベルの連携で一体の熊を倒した二人と共に、
モンスターの出ない安全エリアに戻っていたミセリ。

和気あいあいと戦闘準備を始めている八人を見て、
静かに怒りを湛えていた。

しかし戦闘そのものは真面目に行っており、
更に回数をこなすごとに精度を上げる連携に、
文句を言えないでいた。

そしてその鬱憤は、
成長しない連携しか行えない自分の仲間に向いてしまった。

だがそれは仕方のないことだろう。

βテスターであり、
本来ならばこの世界での戦闘に一日の長があるべきはずの二人が、
程度の低い連携しか行えていなかったのだから。

(;∴)「ひ、姫、どこが悪いのか教えていただけますか」

(;∵)「十分連携は取れていると思うのですが」

もちろん程度が低いといっても戦闘に問題があるわけではない。
無事に敵は倒しているし、危険な目にもあっていない。
しかし目の前で目に見えて成長する者達を見て、
何故かミセリは焦りに似た感情を覚えてしまっていた。

ミセ#*゚ー゚)リ「そんなこともわからないの!」

自分でも制御できない感情。
それをビコーズとゼアフォーの二人に分かれというのが酷な話であり、
二人は混乱していた。

更に言えば、今まで戦闘能力はあるものの『可愛く』自分たちに守られていたミセリの素の姿、
見た目からは思い描けない激しい叱咤に戸惑ってしまっていた。

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712 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 23:39:26 ID:wbqeuKXw0

ミセ*゚ー゚)リ「!!
ご、ごめんね二人とも。
でも、二人の方が強いのに彼らの方が
ちょっと連携が出来ているからっていい気になってるのが悲しくって」

二人の目に見えた戸惑いを見て我に返り、
ミセリは悲しそうな表情をつくって二人を見る。

( ∵)「姫」

( ∴)「姫」

(#∵)「あいつらめ……」

ミセ*゚ー゚)リ「で、でもね、仕方ないことだと思うの」

( ∵)「仕方ない?」

( ∴)「どういうことですか?」

ミセ*゚ー゚)リ「だって、自分よりも強いはずの二人よりも、
優れているかもしれないところを見つけたんだもん。
気分よくいい気になっても仕方ないよ」

βテスト時代の美影、
そして昨日までのミセリのような可愛らしい仕草で二人を見るミセリ。

( ∵)「それもそうだ。
連携、スイッチのタイミングが、
我らの足元にも及ばぬ奴らが見出した光芒。
そこに縋っていい気になっても仕方ない」

( ∴)「ふむ……。
それは一理あるかもしれませんが……」

ミセリの言葉にまんざらでもない顔をする二人。
それを見てから、満面の笑顔で二人の手を握るミセリ。

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713 ◆dKWWLKB7io:2016/01/20(水) 23:41:21 ID:wbqeuKXw0

(*∵)「ひ、姫」

(*∴)「姫」

二人の手を合わせて両手で包むように握るミセリ。
そして自分の胸元に引き寄せる。

ミセ*゚ー゚)リ「でもね、このままじゃいけないと思うんだ」

(*∵)「ひ、姫?」

(*∴)「姫!」

ミセ*゚ー゚)リ「だって、それは自分を過大評価するってことだと思うの。
モンスターとの戦いが命のやり取りであるこの世界で、
その思い上がりはきっと危険につながると思うから」

(*∵)「姫はなんて優しい」

(*∴)「それでこそ、我らが姫」

ミセリの手を挟んでいるが、
彼女の決して小さくない胸に手が当たっていることに、
心を半分持っていかれている二人は素直にミセリの言葉を受け止める。

ミセリは二人の手を、
胸に当てた二人の手を力強く一回握り、
二人の目を交互に見ながら手を放した。

(*∴)「姫!」

(*∵)「ひ、姫!」

そして両手を広げ、
飛びつくように二人に抱きついた。

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