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( ^ω^)達はアインクラッドを生きるようです。
-
立ったら投下がある。
-
川 ゚ -゚)「今の私ではショボンの助けにはなれないが、
もし何かあるのなら、教えてほしい」
ξ゚⊿゚)ξ「クー」
('A`)「クー」
( ^ω^)「クー」
川 ゚ -゚)「頼む」
三人に見られながら、
そのまま頭を下げようとするクー。
(;^ω^)「は、話すお!
だから頭とか下げないでほしいお!」
川 ゚ -゚)!
(;^ω^)「友達にそういう真似をされるのは、苦手だお」
泣き出す前のように表情を曇らせたブーン。
ドクオは腹を決めたのか、
ソファーに座りなおしてお茶をすすった。
('A`)「シャキンさんに、頼まれたんだ。
ショボンがシャキンさんの事を聞いて取り乱したら、
すぐにシャキンさん達ははじまりの街に戻るって」
川 ゚ -゚)「いま、十分に取り乱していたように見えるが?」
( ^ω^)「……まだまだだお。
ショボンは本当はもっと感情表現が豊かなんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「あいつが?」
('A`)「ああ。
笑うし、泣くし、はしゃぐし。
おれから見たらブーンにならぶ」
(;^ω^)「おっおっお。
三人でいるときは、
ドクオがストッパーだおね」
.
-
('A`)「まあおれのテンションがおかしくなる時は、
ショボンは冷静なことが多いから、
三人のうち一人は冷静って感じだけどな」
川 ゚ -゚)「それで、なぜそのシャキンさんはそんなことを。
気にしているのなら、すぐに会いに来てくれれば……」
('A`)「シャキンさんの真意はわからない」
( ^ω^)「……だお」
川 ゚ -゚)「そんな……」
首を横に振ったドクオ。
ブーンも悲しげに視線を下に向けた。
クーはそんな二人を見て表情を曇らせたが、
一人ツンは二人に意見を聞く。
ξ゚⊿゚)ξ「でも、思い当たるところはあるんじゃない?」
('A`)「……なぜそう思う?」
ξ゚⊿゚)ξ「幼馴染をバカにするなってことよ。
って、まあ勘だけどね。
でもあんたがそういう返しをするってことは、
あるんでしょ?」
( ^ω^)「ツンにはかなわないおね」
ξ゚⊿゚)ξ「で、予想でいいから聞かせなさい」
川 ゚ -゚)「頼む」
互いの顔を見るドクオとブーン。
そして頷きあうと、先に前を向いたドクオが口を開いた。
('A`)「多分だぞ?
予想だからな?
それこそ勘だぞ?」
ξ゚⊿゚)ξ「さっさと言いなさい」
.
-
('A`)「ん〜。
今のあいつはさ、やっぱり責任を感じていて、緊迫状態なんだと思う。
おれ達がいるから、おれたちの前では冷静な顔をしているけど、
多分今向こうの部屋ではシャキンさんが生きていた喜びと、
シャキンさんがこっちの世界に来てしまっていたという絶望と、
シャキンさんがショボンと会おうとしないことに対する悲しみで、
ものすごいことになってるんじゃないかな」
川 ゚ -゚)!
立ち上がるクー。
しかし今度はツンがその手を掴んで引き留めた。
川 ゚ -゚)「ツン?」
ξ゚⊿゚)ξ「目の前のバカ二人はそれをわかっていて後を追ってない。
今はあいつにとって一人にさせた方が良いってことだと思う」
川 ゚ -゚)!
自分を見上げる親友の悲しげな瞳。
テーブルをはさんだ友人二人も少しだけ悲しそうに頷いた。
川 ゚ -゚)「でも……」
ξ゚⊿゚)ξ「まだ続きがあるみたいだから、
とりあえず座って聞きましょ。
ほらドクオ、続きを言いなさい」
('A`)「なんでおれには命令なんだよ」
ぶつぶつと文句を言う友人を見ながら再び腰を下ろすクー。
隣のツンと手をつなぎ、先ほどよりもさらに寄り添うように座った。。
( ^ω^)「僕やドクオの前では感情を表に出すし、
シャキンさんの前でも出してる。
多分僕たちに対するよりも、泣き言とかは言ってると思うお」
川 ゚ -゚)「……今は、私達がいるから……」
(;^ω^)「ち、違うと思うお!」
.
-
('A`)「多分ここに二人が居なくても、
今はおれたちの前でも、
弱音を吐いたり取り乱したりはしないと思う」
ξ゚⊿゚)ξ「それだけ思い詰めてるってこと?」
( ^ω^)「そう思うお」
ξ゚⊿゚)ξ「……ばっかみたい」
三人が悲しげな表情をする中、
一人怒りに似た感情を表に出すツン。
川 ゚ -゚)「ツン……」
ξ゚⊿゚)ξ「一人で全部背負ってるんじゃないわよ……。
私が言ったこと、何にもわかってないじゃない」
川 ゚ -゚)「……ツン」
吐き捨てるようにつぶやいた親友の言葉に、
最初の夜にその苦しみを聞いていたクーは言葉が出ず、
ただ握った手を強く握りしめることしかできなかった。
ξ゚⊿゚)ξ「で、結局そのシャキンってのはショボンと会うわけ?
時期とかなんとか言ってたbたいだけど」
( ^ω^)「シャキンさんもきっと会いたいと思ってると思うお。
ショボンの事が心配だろうし、
自分の元気な姿を見せてやりたいって思ってるんじゃないかお」
ξ゚⊿゚)ξ「ならさっさと来ればいいのに」
('A`)「いまシャキンさんに会ったら、
ショボンはシャキンさんに心のよりどころを求める。
おれ達を守ることにすべてをささげ、
自分の心はシャキンさんに頼ると思う」
ξ゚⊿゚)ξ
川 ゚ -゚)
ドクオの言葉に息をのむ二人。
.
-
( ^ω^)「でも、シャキンさんはそれじゃだめだと思ったんだと思うお。
そして、僕もそんなのは嫌だお」
--例えそれでもショボンの心が楽になるのなら--
そんなことを考えて口にしようとしたツンとクーだったが、
ブーンの言葉に何も言えなくなった。
( ^ω^)「だからシャキンさんの言う通り、
シャキンさんの事を伝えるのは今にしたんだお」
川 ゚ -゚)「まだ私達はショボンに頼ってしまっている……」
('A`)「ああ。けれど正直、
さっきのスキル設定なんかは自分達でやれるけど、
これからの事を一番考えていてくれるのはショボンなんだよ」
ξ゚⊿゚)ξ「……そうね。
それは私も反省しなきゃね。
いくらなんでもあいつに任せっぱなしだし」
川 ゚ -゚)「今の私たちが考えつくようなことは既にショボンは考え尽してくれているから、
どうしてもそうなってしまう。
それではいけないのは分かっているつもりなんだが……」
('A`)「……ああ。
βテスターとしての知識も、
あいつがいるから最大限に生かせてる気がする」
自分たちを省みて、気を引き締めつつも首を垂れる三人。
( ^ω^)「僕たちも、ショボンが安心して頼ってくれるように、
頑張らないとだお」
しかしブーンは笑顔でそう言い放った。
('A`)!
ξ゚⊿゚)ξ!
川 ゚ -゚)!
.
-
( ^ω^)「ショボンが一人で背負っちゃうのはそういう性格だし、
今の状況から考えたらそうなっちゃうのは仕方ないと思うお。
でも、それじゃだめだから、何か一つでも僕たちに頼ってもらえたら、
きっと変わるような気がするお」
('A`)「ブーン」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン」
川 ゚ -゚)「ブーン」
( ^ω^)「それに、今のショボンは必死に色々考えて、
それで僕たちが笑顔になることが一番の喜びなんだ思うお。
だから今は甘えて、でも着実に力をつけて、
出来るだけ早く頼ってもらえるように頑張るのが一番いいと思うお」
('A`)
ξ゚⊿゚)ξ
川 ゚ -゚)
満面の笑みを浮かべて三人に話すブーン。
その笑顔を眩しそうに見るドクオとツン。
クーは一人驚いたようにその笑顔を見つめていた。
( ^ω^)「そう思わないかお?」
('A`)「ああ、そうだな」
ξ゚⊿゚)ξ「悩んでも仕方ないわね。
ああいうやつなんだし」
( ^ω^)「おっおっお」
('A`)「ま、おれは戦闘とかで頼ってもらえると思うから、
三人はがんばれ」
ξ゚⊿゚)ξ「今それほど頼ってもらってないのに、
この先あいつも戦闘のコツを掴んだらさらに頼ってもらえないんじゃないの?」
.
-
すみません。
後少しなんですが、
PCとつながりが悪くて
投下できなくなってしまったので、
残りはまた後日投下します。
乙や支援ありがとうございます。
またよろしくお願いします。
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今更新来てたのか、乙です
-
乙
スキルスロット3個追加とかチートすぎるwww
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カーディナル先生激怒不可避
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おつおつ
-
おむつー
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乙乙
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失礼しました。
それでは続きを投下します。
.
-
('A`)「……まだβの知識がある」
ξ゚⊿゚)ξ「はやっ!
切り替えはやっ!」
('A`)「良いんだよ別に!
そういうお前はなんかあるのかよ」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたにお前とか呼ばれたくありませんー」
('A`)「うっわ。マジむかつく」
( ^ω^)「ちょ、二人ともやめるお」
('A`)「でもそうやって話を逸らすってことは、
まだ何にも浮かんでないってことだな」
ξ゚⊿゚)ξ「うっ」
('A`)「へっへっへ」
ξ゚⊿゚)ξ「うるさい!
あんたにはない私の女子力で目にもの見せてやるわよ」
('A`)「女子力?
誰に?
え?ツンに?
え?女子力って意味わかってるか?」
ξ゚⊿゚)ξ「こいつ素で聞きやがった」
( ^ω^)「おっおっお」
ξ゚⊿゚)ξ「見てろよこの野郎」
('A`)「ま、おれが一番最初だな」
ξ゚⊿゚)ξ「あーら。
こっちにはクーがいるのをお忘れかしら?
生徒会での片腕!
事務処理の鬼!
和服のお嬢様!」
.
-
('A`)「結局他力本願かよ!
つーかお嬢様とか関係ねー!」
ξ゚⊿゚)ξ「どちらのチームが先に頼られるか勝負よ!」
('A`)「主旨が変わってるぞおい!」
ξ゚⊿゚)ξ「結果が一緒ならいいのよ」
('A`)「よかねえよ!」
( ^ω^)「おっおっお」
ξ゚⊿゚)ξ「クー!頑張るわよ!」
川 ゚ -゚)「え?あ、ああ。
うん。そうだな。頑張ろう。
ショボンの片腕になれるように。
倒れる前の杖となれるように」
ξ゚⊿゚)ξ「いや、そこまでは」
('A`)「とりあえず目指せよ!」
( ^ω^)「おっおっおっ」
和気あいあいと話す四人。
それはまるで数日前まで過ごしていたお昼の生徒会室のようで、
四人の心を温かくした。
そして今ここにもう一人が欠けていることを全員が悲しく思い、
それぞれに決意を胸に秘めた。
.
-
以上、『4.スキル』でした。
二十話はまだまだ続きます。
次回、『5.彼等』
よろしくお願いします。
いつも支援と乙とおむつ、ありがとうございます。
またいただけると嬉しいです。
ではではまたー。
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-
乙乙
-
おつ!
スキル決め楽しいのスゲー分かるw
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乙
本当に少しだったなwww
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乙!
期待してる
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おむつー
-
おつおつ
-
追いついたー
面白くて読み始めたら止まらないな
出来ることなら全員がリアルに帰るまで、いや帰った後の話まで読んでみたいな
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やっと追いついた
-
こんばんは。
それでは投下を始めます。
よろしくお願いします。
.
-
5.彼等
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-
時は少し遡る。
茅場晶彦のアバターが空から消えてから数時間後。
今なお中央広場は悲鳴と怒声に彩られていた。
それは当然のことで、
瞬間的に『先』を考えることができた十数名を除けば、
広場で泣き叫ぶか運営を呼ぶか、
あるいは現実を直視できず街をさまようものが大半だった。
そして一部には強制的にログアウトすれば戻れると思う者もいた。
彼らは崖から飛び降りてその身をポリゴンに変え、
あるいは街の外にいる魔獣にその身を差し出す者もいた。
その混乱の中、彼はまず冷静に自分の置かれた状況を理解し、
次の一手を考えつつ、
目の前の喧嘩を面白そうに見ていた。
(`・ω・´)「やばいぞ。
面白い奴らを見つけてしまった」
彼の名はシャキン。
(`・ω・´)「この状況で……。
スゲー面白い奴らだ」
今の状況下でそんな他人の喧嘩を『面白い』とみている時点で、
彼も充分『面白い』部類に入ると思うのだが、
彼はそんなことは全く考えていなかった。
とはいえ、シャキンも最初から目の前の喧嘩を見ていたわけではない。
とりあえず重要施設を確認しようと《黒鉄宮》と呼ばれる施設に入ると、
そこには漆黒の、黒曜石のような輝きを放つ大きな石の壁、
碑が存在していた。
そしてそこに書かれたアルファベットを見て、
それがプレイヤーの名前だと知った彼はまず自分の名前を探し、
そしてこの世界に来ているはずの弟同然の親類の名を探した。
.
-
(`・ω・´)「……『Shobon』。ま、これが祥大だろうな。
ってことは……『DOKUO』と……『Boon』これがあの二人か。
名前に取り消し線が入ってないってことは、
生きてるってことだよな」
既に取り消し線が上に引かれた名前が目に付く。
シャキンが名前を探している間にも、
いくつかの名前に線が引かれていた。
(`・ω・´)「命を粗末にするなバカ野郎」
ボソッと呟くと、踵を返し黒鉄宮を出るために出口へと足を進めた。
(`・ω・´)「さて、多分この三人であってると思うけど、
連絡はどうするか……。
おれが『Shakin』で来ているのは教えてないし、
多分、いま祥大はおれの事を考えている状態じゃないだろうからな。
ドクオかブーンに連絡するのが良いかもしれないな……」
そして黒鉄宮を出たシャキンはいろいろと考えながらプレイヤーの少なそうな路地に入った。
そこで、彼は見付けてしまった。
.
-
( ゚д゚ )「だから熟女の方が良いに決まっているだろう!」
(´・_ゝ・`)「二次の少年こそ至高だ!」
.
-
リアルの世界で叫んでいたら、
いやこの世界でも通常の状態なら通報されそうなことを叫んでいる二人の男。
どうやら最初は肩がぶつかった程度であったらしいが、
そのぶつかった理由が片方は店先にいた店員(熟女)に目を奪われていたからで、
もう片方がその店に買い物に来ていた少年に目を奪われていたから、
このような怒鳴りあいに発展したようだった。
(`・ω・´)「アホだ」
思わず近寄り、少しだけ隠れて二人を観察するシャキン。
最初は面白がっていただけだったが、
途中で気付いてしまった。
二人は、どうでもいいことで争うことで自我を保っているということに。
出来るだけ『普段の自分』を装うことで、
何とかして『自分』を繋ぎ止めているということを。
(`・ω・´)「……そりゃ、そうだよな。
おれとか祥大の方が特殊だろう」
自分が状況を冷静に観察していることを更に客観的に判断するシャキン。
そして自分と同じような環境下で育った弟のように思っている身内も、
この状況下でも冷静でいることを確信していた。
(`・ω・´)「ま、これも何かの縁か。
祥大達にはあとで連絡しよう」
街の中では通常の戦闘は出来ないよう設定されている。
しかし一歩街の外、圏外に出れば命のやり取りができる。
そして決闘システムを使えば街の中でも、
圏内でも命のやり取りができることを知っていたシャキンは、
軽い足取りで二人に近づいた。
シャキンが近づいてくることにも気付かずに言い争いを続ける二人。
.
-
(# ゚д゚ )「よし!外に出ろ!」
(#´・_ゝ・`)「決着をつけてやる!」
(`・ω・´)「おいおい、いい加減にしろよ二人とも」
(# ゚д゚ )「ああ!?」
(#´・_ゝ・`)「だれだてめぇ!?」
.
-
(`・ω・´)「おれの初一人エッチのおかずは20歳離れた(親類の)お姉ちゃんで、
更に(昔は)人目もはばからないブラコンだ!おれはあいつを愛してる!」
.
-
( ゚д゚ )
(´・_ゝ・`)
.
-
( ゚д゚ )
(´・_ゝ・`)
.
-
( ゚д゚ )「(お姉ちゃん?20歳離れた?
近親相姦的な熟女好き変態?)」
(´・_ゝ・`)「(人目をはばからないブラコン?
実の弟を愛でる系?え?マジの人?)」
( ゚д゚ )
(´・_ゝ・`)
( ゚д゚ )
(´・_ゝ・`)
(`・ω・´)
( ゚д゚ )「あ、そうなんだ」
(´・_ゝ・`)「へ、へー」
(`・ω・´)「いろいろ話そうぜ二人とも!」
『がしっ』というような擬音が聞こえそうな勢いで二人の肩を抱くシャキン。
( ゚д゚ )「え、あ、いや、おれはそろそろ」
(´・_ゝ・`)「あ、うん。おれもそろそろ」
.
-
(`・ω・´)「なんだよ、二人とならいい酒が飲めそうなのに!
どうせウロウロしてただけなんだろ?
バーでも探して一杯やろうぜ!なっ!」
力が強いわけではないがうまく首元に手を回され、
更に体勢を崩された二人はシャキンの動きに合わせて歩き出した。
(`・ω・´)「仲良くしようぜ!兄弟!」
( ゚д゚ )「いや……」
(´・_ゝ・`)「その……」
(`・ω・´)「おれはシャキン!お前ら名前は!?」
( ゚д゚ )「み、ミルナ……」
(´・_ゝ・`)「……デミタス」
これが、後にギルドN-Sを結成した三人の出会いであった。
更に言うと、ギルド名はこの時『バー』を探して東に西に歩いたことに由来する。
そして後に彼の言う『ブラコン』の対象であるショボンに、
シャキンとの出会いを聞かれ二人はこう言った。
「自分を上回る変態に出会うと、一瞬で正気に戻るもんだぞ」
ショボンが頭を抱えてうずくまったのを見たシャキンは、
豪快に笑っていた。
.
-
支援
-
次の日の朝。
同じ宿に泊まった三人は宿の隣の店で朝食をとっていた。
(`・ω・´)「二人はこれからどうするんだ?」
朝食といっても硬いパンを二つと、
謎の飲み物である。
( ゚д゚ )
(´・_ゝ・`)
シャキンの問いかけに答えられず、
顔を見合わせる二人。
(`・ω・´)「?二人はこれからどうするんだ?」
( ゚д゚ )「あ〜。まだ決めてない」
(´・_ゝ・`)「おれもだ」
(`・ω・´)「そっか。
おれは昨日話した弟と合流しようかと思う。
そっちはそっちで友達四人と一緒だから、
良ければ一緒に動いてみないか?」
( ゚д゚ )「え?」
(´・_ゝ・`)「で、でも」
(`・ω・´)「向こうは既に五人だからパーティーは組まないだろうけど、
何かしら一緒に行動するのはいいだろ」
(´・_ゝ・`)「五人なら、シャキンを入れればちょうど六人だろ?
それでパーティー組めばいいんじゃないか?」
(`・ω・´)「ずっと一緒だとあいつを甘やかしちまうからな」
( ゚д゚ )「(ブラコンだった)」
(´・_ゝ・`)「(ブラコンだった)」
.
-
追い付いた
支援
-
にやりと笑ったシャキンを見て、
同じことを考えた二人。
(`・ω・´)「どうだ?」
( ゚д゚ )「おれは……正直ありがたい」
(´・_ゝ・`)「おれもだ。ありがとう」
(`・ω・´)「何言ってんだ。
誘ったのはおれだぞ。
じゃあパーティーに誘うな。
えっと、こうしてこれで……。
お、ミルナの名前が出た。
どうだこれで!」
シャキンが独り言ちながら自分のウインドウを操作すると、
ミルナの目の前にシャキンからパーティーに誘われたウインドウが現れた。
( ゚д゚ )「よろしく頼む」
(`・ω・´)「よしよし。
じゃあこうしてこうすれば……。
よし、デミタス出た」
続いてデミタスの前に現れたウインドウ。
(´・_ゝ・`)「よろしく」
こうして三人は行動を共にすることとなった。
.
-
(´・_ゝ・`)「シャキン、聞いていいか?」
(`・ω・´)「ん?なにをだ?」
路地を歩く三人。
先頭を進むシャキンの後ろを、ミルナとデミタスが並んで歩く。
(´・_ゝ・`)「道、覚えてるのか?」
(`・ω・´)「ああ。はじまりの街は説明書にマップも載ってたしな」
( ゚д゚ )「え?あれを覚えてるのか?」
(`・ω・´)「?あれだけじゃないぞ?
こっちに来て中央広場に詳細な地図があったし、
通った場所は自動でマッピングされてるし」
(´・_ゝ・`)「でも今それを見てないよな?」
(`・ω・´)「黒鉄宮は昨日も行ったしな。
まぁ中央広場のそばだし、わかりやすいだろ」
(´・_ゝ・`)「はぁ……」
( ゚д゚ )「あの分厚い説明書も読んだのか?」
(`・ω・´)「さすがに二回は読まないとちゃんと覚えられなかったな」
(;゚д゚ )「覚えた!?」
(;´・_ゝ・`)「あれを!?」
(`・ω・´)「ん?ああ。
お、着いたぞ」
目の前には大きな広場。
茅場晶彦とその言葉を思い出し、顔をしかめるミルナとデミタス。
昨日の事であるはずなのに、なぜか遠い過去のような、
それでいてつきさっきの事のように脳裏に浮かぶ。
.
-
来てるー!!
-
(`・ω・´)「ん?どうした?」
足を止めた二人を不思議そうに見るシャキン。
(`・ω・´)「黒鉄宮に行くぞー」
自分たちが感じているような感覚を全く持っていないように見えるシャキンを、
二人は少しだけ羨ましく感じていた。
黒鉄宮につくと、シャキンは入り口付近を見渡せることができ、
なおかつ隠れることのできる場所を探した。
( ゚д゚ )「何故隠れる?」
(`・ω・´)「突然現れて驚かそうと思って」
(´・_ゝ・`)「待ち合わせをしてるんだろ?」
そしてうまいことそんな場所を見つけると、
二人とともに隠れた。
(`・ω・´)「いや、してない」
( ゚д゚ )「は?」
(´・_ゝ・`)「え、じゃあなんでここに?」
(`・ω・´)「いや、あいつの事だから来るだろうと思って」
( ゚д゚ )「いやいやいやいや」
(´・_ゝ・`)「さすがに無理だろそれは」
(`・ω・´)「んー。あいつの思考を考えると、
多分今日の朝ここに来ると思うんだよな。
友達と一緒に」
.
-
柱の陰に押し込まれ、二人に詰め寄られるシャキン。
( ゚д゚ )「この状況でそんな悠長なことを」
(´・_ゝ・`)「名前もわかってるんだろ?
そのショートメッセージってのなら、
名前さえわかればメッセージを送れるんだろ?
送ってみろよ」
(*`・ω・´)「もし間違ってたら恥ずかしいじゃないか」
(´・_ゝ・`)「今更そんなことで恥ずかしがるな」
( ゚д゚ )「……あ……れ?」
呆れる二人。
なんとかしてメッセージを送らせようと考えつつ、
ちらりと黒鉄宮を見たミルナの動きが止まった。
(´・_ゝ・`)「どうしたミルナ?」
( ゚д゚ )「シャキン、弟は顔が似てるのか?」
(*`・ω・´)「おれに似てかっこ可愛いぞ。
怒られるからあいつには言えないけど」
( ゚д゚ )「もしかして、彼か?」
(´・_ゝ・`)「なに!?」
慌ててデミタスがそれでもこっそりと柱の陰から顔を出す。
そしてその後ろからシャキンも続いた。
(´・ω・`)
川 ゚ -゚)
ξ゚⊿゚)ξ
(`・ω・´)「おっショボンだ」
.
-
リアルタイム記念
クリスマスに投下しなかったのは意地かリア充か…
-
(´・_ゝ・`)「ほんとに来やがった」
( ゚д゚ )「マジか」
振り返り、ニヤニヤとショボンを見ているシャキンを見る二人。
(`・ω・´)「あいつの事だから無茶はしていないと思ったが、
無事で何より。
けどドクオとブーンがいないな……。
あの三人がこの状況下で別行動をするとは考えにくいが……」
呟いている内容はまじめだが、
その顔はにやにやとした笑顔で正直気持ち悪いと二人は思った。
( ゚д゚ )「で、で、でだ。
出て行って声はかけないのか?」
(`・ω・´)「んー。ちょっと考える。
多分あいつ等も生命の碑を見に来たんだろうから、
そのあとおれも確認して……。
ミルナ、デミタス、どちらか頼まれてくれるか?」
( ゚д゚ )「何をだ?」
(`・ω・´)「生命の碑を見に行ってきてもらいたい。
そこで、『Boon』と『DOKUO』の名前を確認してきてほしい。
……線が引かれていたりはしないと思うが」
(´・_ゝ・`)?
(`・ω・´)「あいつ、『Shobon』は、その二人とこの世界に来たはずなんだ」
.
-
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
っと思って喜んだシャキンほ変人っぷりに泣けたwww
とはいえ能力てきにはさすがに(´・ω・`)と同族なんだな
-
(´・_ゝ・`)「彼女たちは?」
(`・ω・´)「さらに一緒に来た友達だとは思うが。
会ったことはない」
( ゚д゚ )「分かった。おれが行ってこよう」
(`・ω・´)「頼む」
ミルナが柱の陰から出て黒鉄宮の入り口に向かう。
(´・_ゝ・`)「だが、それと今顔を出さないのは意味があるのか?」
(`・ω・´)「今のあいつは何か追い込まれているように見える。
もし二人のうちのどちらかに何かがあったんだとしたらすぐに飛び出すが、
そうでなければ少し様子を見たい」
(´・_ゝ・`)「……」
まじまじとシャキンの顔を見るデミタス。
(`・ω・´)「どうした?」
(´・_ゝ・`)「いや、ブラコンなのに甘やかすだけじゃないんだなと思った」
(`・ω・´)「甘やかすだけが愛じゃないのさ」
(´・_ゝ・`)「はいはい」
瞬間的に表情を引き締めたシャキン。
しかしすぐにニヤニヤとした笑いに戻ってしまったため、
デミタスはまた心の中でため息をつくこととなった。
.
-
(`・ω・´)「お。出てきたな」
しばらくするとシャキンが心なしか弾んだ声で呟いた。
(´・ω・`)
ξ゚⊿゚)ξ
川 ゚ -゚)
少年を先頭に、少女が二人続く。
その歩き方は先ほどまでの自分達のようで、
デミタスは少しだけ恥ずかしくなった。
(´・_ゝ・`)「み、ミルナが遅いな。
後は付けなくていいのか?」
(`・ω・´)「んー。多分、これが使えるから」
ウインドウを出していたシャキンが、
流れるように指を動かしている。
(´・_ゝ・`)「なにしてるんだ?」
(`・ω・´)「『追跡』ってスキルを使うと対象の跡を追えるらしいんだ。
レベルを上げればその場に居なくても足跡とかを追えるらしいけど、
まあ目の前にいる奴の後ろを追うだけなら、
付け焼刃で設定したスキルでも大丈夫だろ。
本当なら『聞き耳』スキルであいつらの会話も聞きたいところだけど、
さすがに武器のスキルを外すのは心もとないからな」
(´・_ゝ・`)「…………シャキン、
おれがその『追跡』を付けて追うから、
お前はその『聞き耳』ってのをつけろ」
(`・ω・´)「え?いやそれは」
(´・_ゝ・`)「少しは役に立たせろ。
パーティーなんだから」
.
-
(`・ω・´)「……ありがとう。
それじゃあ頼む」
既に開いていたウインドウを操作し始めるデミタス。
そしてショボンの後姿を注目する。
(´・_ゝ・`)「……なるほど。足跡が見えるようになるんだな。
ん?もう黒鉄宮の入り口近辺の足跡は消えかけてる。
おれの顔はばれてないはずだし、
先に行くぞ」
(`・ω・´)「ありがとう」
(´・_ゝ・`)「見失わなかったら、
後でまとめて聞くさ」
ショボンの後姿が路地の角を曲がったのを確認した後、
柱の陰から出て歩き始めるデミタス。
それと同時にミルナが黒鉄宮から外に出た。
( ゚д゚ )「?」
一人歩くデミタスを見て不思議そうな顔をするミルナ。
シャキンが駆け寄る。
(`・ω・´)「ミルナ」
.
-
( ゚д゚ )「デミタスは一人でどうしたんだ?」
(`・ω・´)「いまスキルを使ってショボンを追ってくれているんだ。
おれ達はデミタスの後ろを少し空けてついていこう」
( ゚д゚ )「そんなスキルがあるんだな」
歩き始めたシャキンの隣に駆け寄るミルナ。
そして歩調を合わせて歩き始める。
( ゚д゚ )「『Boon』と『DOKUO』に線は引かれていなかった」
(`・ω・´)「そうか…よかった」
( ゚д゚ )「あと、彼が彼女たちの名前を呼んでいるのを聞いた。
背の高い方が『クー』。小さい方が『ツン』だ。
字は分からないが、対応しそうな名前としては『KuU』、『COO』、『Qoo』。
『TUNN』、『T.U.N.』なんてのがあった。
そこらへんも見ていたら遅れた。すまん」
(`・ω・´)「!そ、そうか。
ありがとう。助かるよ」
驚いたようにミルナの横顔を見るシャキン。
( ゚д゚ )「……助けてもらってばかりってのも、
いやだからな」
ミルナは前を向いたまま、
少し照れくさそうにつぶやいた。
.
-
時間は二時間ほどが過ぎようとしており、
時計の針はお昼へと向かっていた。
シャキンたち三人の視界の隅にいるのはクーとツン。
ショボンは二人より少し前にいて、
屋台のような店先で中の女性と話をしている。
(´・_ゝ・`)「で、どうなんだ?」
(`・ω・´)「普通にクエストをしているみたいだな。
さっきも今も物を届けるお使いの話をしている」
( ゚д゚ )「ならそろそろ話しかけたらどうだ?」
(`・ω・´)「それなんだけどな……」
( ゚д゚ )「どうした?」
(`・ω・´)「三人の会話が、不自然なんだ。
一見普通に会話しているけど、
ショボンがおかしい。
あいつは友達に対してああいう喋り方はしないと思う」
(´・_ゝ・`)「友達じゃないとか?」
(`・ω・´)「いや、三人の会話の中に『ブーン』と『ドクオ』が出てくることと、
その内容からこっちに一緒に来たことは間違いない。
全部で五人で遊ぶってのも、向こうで聞いたしな」
( ゚д゚ )「ふむ。
それで、どうするんだ?」
.
-
(`・ω・´)「……先にドクオとブーンに会いたいな。
話をしたい。
出来ればメッセージより直接会いたいが、
どうやら二人は先行して次の町に行っているみたいなんだ」
少しうつむき加減で眉間にしわを寄せるシャキン。
こめかみや眉間を数回人差し指でたたくと、
ミルナとデミタスの顔を見た。
(`・ω・´)「二人ともすまない、
せっかくパーティーを組んだ…」
( ゚д゚ )「なんて街に行くんだ?」
(´・_ゝ・`)「パーティーとしての初陣だ、
腕が鳴るな」
(`・ω・´)「のに……え?」
( ゚д゚ )「行くんだろ?次の町に。
パーティーとして、一緒に行くぞ」
(´・_ゝ・`)「どちらにせよいつかは外には出なきゃいけなくなる。
それなら信用できる奴らと数人で出た方が安心だろ?」
(`・ω・´)「二人とも……。ありがとう」
頭を下げたシャキンに慌てる二人。
しかしすぐにミルナがショボンたちを再び見た。
( ゚д゚ )「ん?おい、シャキン、一人近づいてくる奴がいるぞ?
あれはドクオとかブーンじゃないんだよな?」
(`・ω・´)「え?」
ミルナの横、隠れていた角から顔を出すシャキン。
デミタスも後ろから顔を覗かせる。
.
-
(`・ω・´)「いや……違うな。二人のどちらでもない。
会話も……仲間にしてほしいとか話しているな。
それでショボンが断ったところだ」
(´・_ゝ・`)「そうか」
( ゚д゚ )「一人でいるのは心細いからな」
デミタスとミルナは互いの顔を見たあと少しだけ笑いあい、
そして二人してシャキンを見た。
(`・ω・´)「……今はしょうがないな。
だが、あの断り方は……やはり追い詰められているのか……」
そんな視線には気付かず、スキルによって会話を聞いているシャキン。
デミタスとミルナも視線を再びショボンたちに向ける。
既に話はついたのか、ショボンたち三人は歩き始めていた。
話しかけていた青年が、一人たたずんでいる。
(´・_ゝ・`)
( ゚д゚ )
(`・ω・´)「……この街にとどまるなら声をかけてもいいが、
これから外に出るつもりである以上、
話しかけるわけにはいかない」
(´・_ゝ・`)「……うん」
( ゚д゚ )「ああ。そうだな」
たたずむ青年を見つめるデミタスとミルナに、
そして自分に言い聞かせるように話すシャキン。
二人は無言でうなずいた。
.
-
そしてデミタスが慌てて声をかける。
(´・_ゝ・`)「シャキン、どうする?まだ後をつけるか?」
追跡スキルを発動させるデミタス。
(`・ω・´)「いや、大丈夫だ。ありがとう。
あの様子ならショボンたちはとりあえず大丈夫だろうから。
次の街に行く準備をしよう。
回復POTとかポーション類をそろえたり、行き方、道を調べないと」
( ゚д゚ )「本当にいいのか?」
(`・ω・´)「ああ。とりあえずは顔を見ることができたから満足だ」
ウインドウを開くシャキン。
そして街の地図を開くと、道具屋の位置を確認する。
(`・ω・´)「ここから北に行ったところに道具屋があるはずだ。
まずはそこで揃えよう」
(´・_ゝ・`)「分かった」
( ゚д゚ )「おう」
それぞれの顔を見る三人。
そして頷きあうとシャキンの先導で進もうとするが、
そのシャキンが急に足を止める。
その視線の先には、男女の三人組がいた。
( ゚д゚ )?
(´・_ゝ・`)?
不思議そうに声をかけようとした二人に対し、
左手を上げて声を出さないように指示するシャキン。
.
-
そして右手を右耳に当て、声を聴きとれるような仕草をする。
( ゚д゚ )「(聞き耳?)」
(´・_ゝ・`)「(スキル?)」
そしてその三人を追い始めるシャキン。
慌てて二人もそれに続く。
(´・_ゝ・`)「どうした?」
(`・ω・´)「どうやらあの三人も次の街《ホルンカ》に行く予定らしい。
ちょっとついて行ってみよう」
二人に向かっていたずらっ子のような笑顔をするシャキン。
それに対し二人は呆れながらも笑顔で返し、
シャキンに続いて視線の片隅に映る三人を追う。
デミタスはそっと追跡スキルを発動した。
.
-
以上、本日の投下を終了します。
支援や感想、ありがとうございます。
二十話と今年の投下はもう少し続く予定なので、
よろしくお願いします。
因みに昨日投下をしなかったのは、
M○テと検○ちゃんを見ていて投下のタイミングを忘れてました。
次もちゃんと予定を立てて投下させていただきます。
ではではまたー。
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乙!
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乙乙
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やっぱシャキンも優秀なんだなぁ
-
乙
今年中にまだ投下するなんて嬉しいこと言ってくれるじゃないの
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そもそも血族後継の第一候補だったシャキンの後釜候補がショボンだから、本質的にはシャキンの方が万能なのかもしれないな
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おつおつ
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おむつー
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おつむ大丈夫か上げチキ
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おむつ必要だって自己申告してるくらいには大丈夫じゃなさそうだな
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どーも作者です。
冬コミも終わった年の瀬、
みなさんいかがお過ごしでしょうか。
それでは、今年最後の投下を始めさせていただきます。
よろしくお願いします。
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6.βテスター
.
-
よろしくお願いします。
-
《ホルンカ》
はじまりの街を早朝に出た五人は、
昼前に目的地である《ホルンカ》にたどり着いていた。
ξ゚⊿゚)ξ「なるほど。ここは『村』ね」
入り口から見える民家を見てツンが呟いた。
川 ゚ -゚)「映画や書物で見るような『中世の村』だな。
魔女狩りの時代を思わせる」
周囲を観察しながらクーも呟く。
その横でドクオとブーンは先頭で村に入ったショボンの背中を見ていた。
ショボンは無言で周囲を見ていた。
ξ゚⊿゚)ξ「私たちの服装もそんなイメージよね。
ドクオ、ずっとこんな感じなの?」
('A`)「おれが行ったところはこんな感じだったな」
(;^ω^)「つ、ツンもドクオも」
('A`)「あ……」
ξ゚⊿゚)ξ「まわりに誰もいないことぐらい確認してます」
川 ゚ -゚)「うむ。近くには誰もいないな。
だが、昨日の話に出てきた『聞き耳』スキルを使われたら」
ξ゚⊿゚)ξ「あっ」
(´・ω・`)「さすがに今のタイミングで
あのスキルをスロットに入れている人はいないと思うけどね。
ふつうは」
四人の会話も聞いていたショボンが振り返りつつ、
苦笑しながら会話に参加した。
.
-
川 ゚ -゚)「それもそうだな。ふつうは」
( ^ω^)「だおねー。ふつうは」
ξ゚⊿゚)ξ「え、あ、そうか。そうね。ふつうはそうね」
意味ありげにドクオを見る四人。
少しだけ不機嫌そうに横を向くドクオ。
('A`)ゼッタイヤクニタツカライインダヨ
誰にも聞こえない声でぶつぶつと呟くドクオを見て笑顔を見せた四人だった。
(´・ω・`)「でも……確かに思ったよりも人が少ないね」
ドクオを先頭に歩く五人。
その横にショボン。
クーとツンが続き、その後ろをブーンが歩く。
('A`)「だろ?
まあこの時間だから、
この村にいるほとんどの奴は狩りに出てると思うけどな」
(´・ω・`)「そっか。今日の天気なら森でも明るいもんね」
('A`)「ああ。
今ここにいるってことは、
戦ってここに来たってことだし、
片手剣使いはあのクエストやってるだろうしな」
川 ゚ -゚)「ふむ。
今二人が持っている剣はそれほど強いのか?」
('A`)「この村までで手に入る剣の中では段違いだ。
それに強化回数もそれなりに多いから、
うまく鍛えれば3層か4層くらいまで使えるんじゃないかな」
ξ゚⊿゚)ξ「お得ね」
.
-
川 ゚ -゚)「だが、失敗もあるんだろ?
その強化ってやつは」
('A`)「ああ。
しかも失敗した分も回数としてカウントされる。
強化の種類も何種類かあるから、
それも楽しみでもあるな」
そう言って笑ったドクオの笑みはスキルを決めるときの笑顔とほぼ同じで、
横で見たショボンは後ろの三人に見られなくてよかったと思った。
(´・ω・`)「強化回数は、武器ごとに異なる。
強い武器でも一回しかなかったり、
それなりの武器でも複数回強化できたら、
最終的には強い武器になる。
ってことでいいんだよね」
('A`)「ああ。そういうことだ。
強化の種類は耐久値や重さ、正確性や切れ味に速さがある。
どの武器にも好きな強化ができるはずだから、
どんな強化をするかによって同じ名前の武器でも個性が変わるだろうな」
川 ゚ -゚)「なるほどな。
基本の武器を自分好みに変えられるということか」
ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ私の細剣をものすっごく重く硬くしたり、
ブーンの片手剣とかをものすごく軽くできたりするの?」
('A`)「回数が多い武器なら可能だろうけど、
かなり回数が多くないと難しいだろうな。
まあ基本となる武器の特性を損なうことはしない方が良いだろ」
( ^ω^)「スキルと同じでどんな強化をするか考えるのが楽しそうだおね」
('∀`)「だよな!」
ブーンの言葉に思わず振り向いたドクオ。
ツンとクーがその笑顔を見て眉間にしわを寄せた。
昨日のスキル設定を思い出したからだった。
.
-
そしてその眉間のしわに気付いたドクオは慌てて前を向く。
('A`)「も、もうすぐ着くぞ。
ショボン、ここにはどれくらいいるつもりなんだ?」
(´・ω・`)「……五日。出来れば四日。
状況に応じても一週間くらいをめどにしたい」
( ^ω^)「お?」
(´・ω・`)「ここには転移門もないからね。
出来れば転移門のある街を拠点にして、
各村や街でのクエストをこなすのはもちろん、
あの《書庫》で進行を確認したりしたいし」
ショボンの言う《書庫》をどこの事か理解した四人。
男二名は壁一面の本を思い出し、心の中で苦笑いを浮かべた。
ξ゚⊿゚)ξ「で、今私達はどこに向かってるわけ?」
('A`)「ん?ああ。ここだよ」
ツンの問いかけとほぼ同時にドクオが歩みを止め、
四人も止まると彼の指さす方向を見た。
( ^ω^)「結構広くていい感じだったお」
村はずれまでやってきた五人。
村に入ってから見た見た家屋としては大きめの部類に入る家の前で歩みを止めた。
川 ゚ -゚)「農場?牧場か?」
('A`)「農場だな。
二階部分に泊まることができるんだ。
泊まると家主からクエストを受注できるようになるけど、
やらなくても別にペナルティはない。
最初の日に一度に借りられる最大日数の7泊分を借りてあるから、
まだおれが借主になってるはずだ」
.
-
農家の入り口に進むドクオ。
無言でドアを開け、中に入る。
入ったすぐが大きな部屋になっており、
ソファーには中年の男女が座っていた。
しかしこちらを見ようとはせず、
男は黙って新聞のようなものを読んでおり、
女性は編み物を行っている。
ドクオの後ろを四人が続く。
三人は小さな声で「おじゃまします」と呟きながら周囲を見回していたが、
最後に入ったブーンは「またおせわになりますおー!」と、
元気よく挨拶をした。
思わず立ち止まる三人。
しかし部屋にいた男女はちらりとこちらを見ただけですぐに視線を元に戻した。
ドクオは部屋の隅の会談の前で振り返っていた。
('A`)「反応ないから声かけなくてもいいと思うんだけどよ」
( ^ω^)「挨拶は大事だお」
ξ゚⊿゚)ξ「挨拶は良いけど声が大きすぎるのよ」
( ^ω^)「おっおっお。
驚いたのならごめんだお」
まったく悪いと思っていないブーンの言葉に苦笑いを浮かべる四人。
階段を上がると短い廊下の先にドアがあった。
('A`)「二階全部を使ってるんだ。
風呂はないけど、それ以外は大体そろってる」
(´・ω・`)「最終日にまた連続で借りることが出来るの?」
('A`)「ん?ああ。大丈夫だ。
ただ一度借りるとキャンセルや、
途中で泊まらなくなっても返金はできないから、
そこら辺は注意して借りた方がよいな。
今回はあとで全員で来ることが決まってたから、
一週間分キープしたけど」
.
-
(´・ω・`)「了解。
ここは宿屋じゃないから割引もないだろうしね」
('A`)「ああ。
一回クエストをクリアした後に借りたけど、
金額が結構ぎりぎりだった」
(´・ω・`)「あとで金額教えて」
('A`)「お、お、おお」
ξ゚⊿゚)ξ「(忘れてるわね)」
( ^ω^)「(こりゃ忘れてるおね)」
川 ゚ -゚)「(覚えていないな)」
(´・ω・`)「(忘れたなら言ってくれればいいのに)」
('A`;)「お、覚えてるぞちゃんと。
う、うん。ちょっと待ってくれ」
四人の視線にうろたえながらも、
扉を開いて中に四人を促した。
ξ゚⊿゚)ξ「ベッドルームは一つなのね」
川 ゚ -゚)「ベッドは二つあったが」
今日の朝まで泊まっていた宿よりは質素だが、
素朴な雰囲気を持つ部屋を一通りチェックしたツンとクーがソファーに座った。
部屋の隅のキッチンを自分のスペースと決めたショボンに
「とりあえず座ってて」
と言われ、ドクオとブーンもソファーに座っている。
.
-
川 ゚ -゚)「手伝えることはあるか?」
(´・ω・`)「大丈夫だよ。
ありがとう。
今はお茶だけだからね、
まずは座って待ってて」
川 ゚ -゚)「……うむ」
立ち上がろうと腰を浮かせたクーだったが、
ショボンの言葉に座りなおした。
そのやり取りを複雑そうな表情で見守る三人。
(´・ω・`)「お待たせ」
木のトレイにカップを五つ乗せてやってくるショボン。
トレイをテーブルの上に乗せる。
席を譲ろうと立ち上がったブーンを制して、
部屋の隅にある小さな丸い木の椅子に近寄るショボン。
(´・ω・`)「どうぞ」
四人がトレイの上のカップを手に取ると、
ショボンは木の椅子をテーブルの横に置いてそれに座った。
その位置は四人と話すには都合の良い場所で、
リーダーとして会話を進めるにはちょうど良い場所であり、
四人は自分の座った場所を、座り心地の良い椅子をショボンに譲ることが出来なくなった。
(´・ω・`)「さて、とりあえずこれからだけど、
まずは先頭の訓練だね。
できれば二人がやったクエストもやってみたいけど、
それは僕らでも大丈夫かな?」
.
-
('A`)「レベル的には問題ないと思う。
今日の戦いぶりを見ても、
よほどのへまをしなければ問題ないと思う。
ただ、おれとブーンがクリアしてるからクエストを制覇するって意味では
やる意味はないんじゃないか?」
(´・ω・`)「他のクエストもやりたいから、
それにかかりっきりになるようならまずは他のクエストをするつもりだけど、
戦闘の練習も何か目的があったほうがやりがいがあるだろうからさ」
ξ゚⊿゚)ξ「それもそうね。
報酬がある方が良いかもしれない」
('A`)「現金な奴だな」
ξ゚⊿゚)ξ「うるさい」
川 ゚ -゚)「だが報酬は片手剣なんだよな?
ドクオとブーンは持っているわけだし、
ショボンは武器を変えるつもりか?」
(´・ω・`)「何があるかわからないからね。
予備はあったほうが良いと思うんだ。
それに、そんな強い剣なら欲しがる人も多いだろうから」
('A`;)「おいおい、商売をするつもりか?」
(´・ω・`)「お金はあるにこしたことはないよ。
もちろんそのために命を懸けるのは馬鹿げてるから、
ほどほどにやるだけだけどね。
それに、できれば色々なパターンを知りたいから」
( ^ω^)「お?何のパターンだお?」
(´・ω・`)「クエストのパターン、
会話のパターン、
状況のパターン。
選択肢いかんによってはレアなパターンに進むことがあるってわかったからね」
.
-
にっこりとほほ笑んだショボン。
はじまりの街でのショボンと女主人の会話を思い出し、
四人はこわばった笑顔でその微笑みに返した。
川;゚ -゚)「では、今から行くか?」
(´・ω・`)「……夕方まであと二時間ちょっとくらい。
本格的な戦闘練習は明日からにして、
とりあえず今日は受けれるクエストを全部受けてくるくらいにしようか。
そうすれば村もひと回りできるだろうし」
視界の隅のデジタル時計を確認しつつ、
ショボンが提案する。
(´・ω・`)「どうかな?」
ξ゚⊿゚)ξ「いいんじゃない」
( ^ω^)「賛成だお」
('A`)「おれもいいと思う」
川 ゚ -゚)「私も異論はない……。
だが、いいのか?」
三人が賛成する中、
ひとりクーは口ごもり、
逆にショボンに問いかけた。
(´・ω・`)「どうかした?」
川 ゚ -゚)「その、シャキンさんに会わなくて」
クーの言葉に目を見張る三人。
ショボンも瞬間的に表情がこわばったが、
すぐに穏やかな笑みを取り戻した
(´・ω・`)「ああ、うん。そう……だね」
.
-
表情は先ほどまでと変わらないが、
少しだけ低くなった声で呟き、
ドクオに視線を向けた。
('A`)「……さっきメッセージは入れたけど、
今少し先まで狩りに出ているらしい。
暗くなる前には戻る予定だっていうから、
それこそ二時間くらいあとじゃないかな」
川 ゚ -゚)「そうか……」
(´・ω・`)「ありがと。ドクオ」
('A`)「いや別に……。
あ、で、例の奴らの方なんだけどさ」
ξ゚⊿゚)ξ「βテスターの?」
('A`)「そうそう。
そいつらは一時間くらいで戻ってくるっていうから、
戻ってきたら会ってやってくれないか?」
(´・ω・`)「うん。わかった。
会う時は僕とドクオだけで」
ξ゚⊿゚)ξ「あら、私達も行くわよ」
川 ゚ -゚)「ああ。行かせてくれ」
(´・ω・`)「え?うん……」
ξ゚⊿゚)ξ「会わせたくないの?」
(´・ω・`)「いや、話がどんな内容かわからないからなんとなくさ。
どちらにせよドクオとブーンの顔は知られていて、
これからこの村で会うこともあるだろうから、
仲間ってのはすぐ分かるから顔を隠す必要はないんだけど」
ξ゚⊿゚)ξ「話は私達も聞きたいから」
.
-
(´・ω・`)「そうだね。
相手は女性みたいだし、
二人にもいてもらった方が良いかな」
( ^ω^)「女の子のプレイヤーどうし、
仲良くなれるといいおね」
ブーンの言葉を聞き、
ツンは軽くにらみ、
クーは呆れた顔をし、
ドクオは聞こえていないふりをして、
ショボンは苦笑いを浮かべた。
小さな村であるため設備を確認しつつ一周回るのにうはそれほど時間はかからなかった。
クエスト数もそれほど多くはなく、
全部のクエストを受注して地図に印をつけたころ、
やっと一時間が経過した。
川 ゚ -゚)「これで全部か?」
('A`)「そのはずだけど」
ショボンの顔を見るドクオ。
(´・ω・`)「うん。書庫の本に書いてあった数とは一致したよ。
ただページに空きがあったから、
隠しとかクエストをクリアすると出てくるような継続の物もあるかもね」
ξ゚⊿゚)ξ「そんなのもあるんだ」
( ^ω^)「狼を退治したら、その群れに長も倒してくれとか。
卵と小麦粉を届けたら、その卵と小麦粉で作ったケーキを他の人に届けてくれとか」
ξ゚⊿゚)ξ「自分で届けなさいよ」
.
-
(;^ω^)「報酬がもらえなくなっちゃうお」
ξ゚⊿゚)ξ「楽な仕事でお金を稼ぐってことね」
川;゚ -゚)「ツン……」
('A`)「相変わらず見も蓋もないことをしれっと」
(´・ω・`)「間違ってもないけどね。
簡単なクエストを重ねてお金を稼いで装備を強くして、
できるだけ優位な状態で戦いに出るようにするわけだし」
川 ゚ -゚)「それはそうだが」
(´・ω・`)「受注回数制限があるクエストもあるみたいだけど、
ここやはじまりの街のお使い系は時間をおけば何度も出来るみたいだし、
初期装備の僕達にはいいクエストだよ」
ξ゚⊿゚)ξ「……何度も同じお使い……。いいかげ……」
呟きを耳にしてツンを見るブーンとクー。
その顔を見て、ツンは続きを口にするのはやめた。
('A`)「さて、そろそろ来る頃かな」
村の入り口の近く。
小さな広場にやってきた五人。
周囲を見回すドクオ。
( ^ω^)「メッセージは来てないのかお?」
('A`)「さっききて、もうすぐ村に着くって話だったんだけどよ」
ドクオが村の出入り口に視線を向け、
自然と四人もそちらを見た。
ξ゚⊿゚)ξ「女一人に男二人の三人組なのよね?」
.
-
川 ゚ -゚)「……いないな」
(´・ω・`)「こないね」
( ^ω^)「影もないお」
('A`;)「お、おれはただあいつがそう言ってきたってことを告げただけで」
日は傾き始めており、五人の影は少しだけ長くなっていた。
四人の視線に耐え切れなくなったドクオが村の外をよく見ようと移動しようとした時、
背中から、つまり村の中心部の方から声が聞こえた。
「アルルッカバーくん!」
勢いよく振り返るドクオ。
つられて振り返った四人。
五人の視界に映る三人の人影。
背の高い男と、低い男。
二人の男に挟まれるように、
小柄な女性、いや少女が手を振っている。
('A`)「美影!おれはドクオだ!」
「なら私の事もちゃんと今の名前で呼んでよね。
ドクオくん!」
光の加減で顔が見えないが、
その声や口調から、笑顔でいることがうかがえた。
女の子らしい小走りで五人に近づく少女。
そして慌てて男二人がそのあとに続いて駆けて近寄った。
そして少女は迷わずショボンの前に立ち、
にっこりとほほ笑んだ。
.
-
ミセ*゚ー゚)リ「こんにちは。ショボンさん。
元『MIKAGE(美影)』、今は『miSeri(ミセリ)』です。
よろしくね」
.
-
握手を求めて右手を出したミセリ。
ミセ*゚ー゚)リ「……あれ?どこかで……」
(´・ω・`)「こ、こちらこそ」
その手を握ろうと右手を出そうとしたショボンの前に立ちふさがる二人の男。
( ∵)「おれがビコーズだ」
小柄な男がショボンの手を掴んで握手をし、
( ∴)「おれがゼアフォーだ」
大柄な男が横からショボンを上から見下ろす。
(´・ω・`)「こんにちは」
その二人の行動から逆に冷静さを取り戻したショボンが笑顔で握手をする。
男二人の背中にショボンとの対面を遮られたミセリは一瞬眉間に皺を寄せたが、
すぐに可愛らしく両頬を膨らませた。
ミセ*゚ー゚)リ「二人とも、ちゃんと挨拶させてくれなきゃだめだよ」
( ∵)「姫!なぜこんなやつらと!」
( ∴)「われら二人では姫を守るのに力不足とでもおっしゃるのですか!?」
少しだけ怒ったような口調に、
慌てて振り返る二人。
そして片膝をついてミセリの前に傅くと、
悲痛な声を上げた。
( ∵)「姫は我らが命に代えてお守りいたします!」
( ∴)「このような下賤の者達と親しくする必要などございません!」
声を荒げる二人を見て顔をこわばらせる五人。
.
-
ミセリはビコーズとゼアフォーに微笑みを向けた。
ミセ*゚ー゚)リ「二人ともいつもありがとう。
二人のおかげで毎日が楽しいよ」
( ∵)「ならば姫!」
( ∴)「姫!」
ミセ*゚ー゚)リ「でもね、三人でもっと楽しくなるには他の人と仲良くなることも必要だと思うんだ。
まだ忍者になる方法も掴めてないし、
三人だけじゃ情報を集めるのも大変でしょ」
( ∵)「それは……」
( ∴)「ですが姫!」
ミセリが二人の前にしゃがみ、
二人の膝の上にのせている手をとる。
( ∵)「姫」
( ∴)「姫」
ミセ*゚ー゚)リ「二人ともありがとう。
この世界を生き抜くために、
頑張ろうね」
優しく微笑むミセリ。
その笑みは聖母の様で、
ビコーズとゼアフォーの心に暖かく染み渡った。
その一部始終を見ていた五人。
そのうちの四人はあからさまに唖然とた表情をしつつ、
程度は違えど心の中で『茶番劇』と同じような意味の言葉を思っていた。
しかし一人、ショボンだけはミセリを鋭い瞳で、
そしてどこか慈しむような優しさをもった光を帯びて、
見つめていた。
.
-
( ∵)「わかりました。姫」
( ∴)「ですが、くれぐれも相手を信用しすぎぬようご注意ください!」
勢いよく立ち上がり、
ミセリの後ろに移動する二人。
二人の頬が赤く染まっていたが、
それを言葉にして指摘できる猛者は今ここにはいなかった。
ミセ*゚ー゚)リ「分かってくれてうれしいよ。
ありがとう。二人とも」
ゆっくりと立ち上がり、
二人に振り返るミセリ。
小首をかしげながら微笑みを向けると、
二人の顔はさらに赤くなった。
ξ゚⊿゚)ξ「……うざ」
川 ゚ -゚)「良くも悪くも『女』だな」
(;^ω^)「ちょっ。二人とも」
('A`)「でも、ああいうのが『女子力』って言うんじゃないか?」
ξ゚⊿゚)ξ「……むかつく」
( ^ω^)「まあまあ」
川 ゚ -゚)「ドクオは騙されないようにな」
('A`;)「そこまで女慣れしてないわけじゃないぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「慣れてないから近寄らないだけでしょ」
('A`;)「うるせー」
(;^ω^)「三人とも聞こえちゃうお」
.
-
五人だけに聞こえるように小さな声で呟いたツンとクー。
慌てるブーンとここぞとばかりに突っ込みを入れるドクオ。
ミセ*゚ー゚)リ「では改めて。
よろしくお願いします。
ショボンさん」
(´・ω・`)「こんにちは。
ミセリさん。
こちらによろしく出来る事があるかは分かりませんが、
まずはお話だけでも」
ミセ*゚ー゚)リ「お話だけでもさせていただけるなら光栄です」
お互いに柔らかく微笑んで挨拶し、
握手をする二人。
川 ゚ -゚)
ξ゚⊿゚)ξ
クーとツンはそれを少しだけ複雑な気分で見ていた。
しかし深い付き合いの二人は違う感想を抱いたようだった。
('A`)「しょうがないけど、警戒心バリバリだな。
ショボンの奴」
(;^ω^)「おー。
女の子相手にあれは……」
('A`)「仕方ないけどな。
充分怪しいし」
最後の声が聞こえていたのか、
ミセリがショボンと握手をしたままドクオを見る。
ミセ*゚ー゚)リ「ひどいなードクオくん。怪しいだなんて」
('A`)「実際怪しいだろうが。
っていうか、どこから聞こえてた?」
.
-
ミセ*゚ー゚)リ「最後の『じゅうぶん怪しい』ってのだけだよ」
ショボンに向かってお辞儀をしながら握っていた手をほどくと、
ドクオの前に移動する。
身長はツンと同じくらいでドクオとそれほど変わらないのだが、
腰に手を当ててすこし前のめりになり、
上目遣いにドクオの顔を覗き込むミセリ。
ミセ*゚ー゚)リ「私のどこが怪しいのか、
聞かせてほしいな?
ドクオくん」
('A`*)「べ、別にどこが怪しいとかそういうことじゃなくてだな」
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあどうして怪しいとか言うのー?」
('A`*)「そ、それはその、言葉のあやというかその」
ミセ*゚ー゚)リ「えー。ドクオくんって確証もないのにそういうこと言っちゃう人なんだー」
('A`*)「な、なに言ってんだよ」
ξ゚⊿゚)ξ「きもっ」
川 ゚ -゚)「ひどいなこれは」
('A`)「!」
ドクオに聞かせるようにツンとクーは言葉を吐き捨てる。
それにより冷静さを取り戻したドクオは数歩後ずさり、
頭を振った。
('A`)「と、とにかく、ショボンに話があるんだろ?」
ミセ*゚ー゚)リ「うん。そうだよ」
('A`)「ならショボンと話せよ」
.
-
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオくんが変なこと言うから問い詰めただけなのに」
('A`)「さっさと話せ」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい」
ドクオに微笑みかけ、その斜め後ろにいたツンとクーにも笑顔で会釈し、
最後にブーンに微笑んでからショボンに向き直すミセリ。
ξ゚⊿゚)ξイイカゲンニシロヨアノオンナ
川 ゚ -゚)「ツン、顔が怖い」
(*^ω^)「おっおっお。
どうしたんだお?ツン」
ξ゚⊿゚)ξ「にやけてんじゃないわよ」
(;^ω^)「に、にやけてなんかいないお」
ミセ*゚ー゚)リ「ショボンさん、
少し込み入ったお話になるかもしれないんですが、
お時間は大丈夫ですか?」
(´・ω・`)「時間は構いませんが、
それは今ここで話せるような内容ですか?」
少しだけ周囲を気にするような仕草をするショボン。
ミセリもそれに倣って視線だけで周囲をうかがう。
日の傾きが顕著になってきた広場には、
日中の狩りから帰ってきたプレイヤーがちらほらと通り過ぎていた。
女性プレイヤーは珍しく、
更に三人もいるため多少人目を引いているのが分かる。
ミセ*゚ー゚)リ「そう……ですね。
出来れば他の人に聞かれない場所の方が良いかと思います。
ただこの村の宿屋の部屋は広くありませんから、
適当な空き家があればいいんですが」
.
-
四人の頭には今自分たちが確保している農場の二階が浮かんだが、
ショボンが何も言わない為、口を開かなかった。
(´・ω・`)「それでは、まずは話す場所を確保するということで、
今日は一度解散」
「ミセリ!ビコーズ!ゼアフォー!」
ショボンが会話を終わらせようとした瞬間、
ショボンの後ろからミセリたち三人を呼ぶ声が聞こえた!
その声を聞き、更に自分たちに向かって手を振る男を見て露骨にいやそうな顔をする三人。
ドクオとブーンもその声の主を見る。
すると二人の顔には笑みが浮かんだ。
ツンとクーが五人の表情の違いに怪訝な顔をしつつ声のした方を見ると、
手を振りながら走ってくる一人の男と、
その後ろに二人の男が見えた。
川 ゚ -゚)「え?」
ξ゚⊿゚)ξ「あれ?」
ミセ*゚ー゚)リ「何でこんな時に……ん?」
走ってくる男の顔を見て、同じタイミングで気付く三人。
川 ゚ -゚)「……似てるな」
ξ゚⊿゚)ξ「似てるわね」
ミセ*゚ー゚)リ「そうか、さっきどっかで見たような顔だと思ったけど」
駆け寄ってきた男が、
ショボンに後ろから抱き着いた。
川 ゚ -゚)「うわっ」
.
-
追いついた支援
-
ξ゚⊿゚)ξ「おっ」
ミセ**゚ー゚)リ「あらっ」
(`・ω・´)「ショボン!
元気そうでなによりだ!
会いたかったぞ!」
(´ ω `)「にい……さん……」
シャキンの声を聞いてから少しうつむき気味に動くことが出来なかったショボンが、
シャキンにだけ聞こえる小さな声で呟いた。
.
-
ドクオたち五人が借りている農場の二階の部屋に、
シャキンたち三人とミセリたち三人が入り、
合計十一人が集まっていた。
二人掛けソファーの片方にはミセリとドクオが座り、
ミセリの後ろにはビコーズとゼアフォーがSPのように威圧的に立っている。
ドクオがソファーの隅に座っているように見えるのは、
見間違いではないだろう。
テーブルをはさんで反対側のソファーにはミルナとデミタスが座っており、
ひじ掛けにシャキンが座っている。
そしてシャキンの座るひじ掛けの横に置かれた木の椅子に、
ショボンが座っていた。
互いに譲り譲られながらそれぞれがその場所に収まったのちに、
それぞれのパーティーを代表してショボン、シャキン、ミセリは、
自分たちの現状とあの日からの行動を話し合った。
もちろんショボンたち五人が『はじまりの街』で手にした恩恵は内緒のままだったが。
そして話している間、シャキンの手はずっとショボンの頭を撫でていた。
ショボンの後ろ側に、ブーンとツンとクーが壁沿いに立っているが、
その光景を見て三者三様の表情を見せている。
(´・ω・`)「とにかく、状況を整理しよう」
最初のうちは頭を撫でる手を邪険にあしらっていたが、
今は諦めたのかそのままにいしてた。
( ゚д゚ )「(整理?)」
(´・_ゝ・`)「(この状況を?)」
(´・ω・`)「兄……シャキン達三人は」
(`・ω・´)「なんだよ、『兄さん』で良いんだぞ?」
.
-
(´・ω・`)「うるさい。
パーティー三人は、
始まりの街でミセリさん達三人がホルンカに行く事を知って、
接触したと。
そこで意気投合して」
ミセ*゚ー゚)リ「してないよー」
( ∵)「してない」
( ∴)「するわけがない」
(`・ω・´)「なんだよ、仲良く六人でこの村にやってきたっていうのに」
( ゚д゚ )「すまんな。三人共」
(´・_ゝ・`)「助かったよ」
ミセ*゚ー゚)リ「ミルナさんとデミタスさんは良いんですよ」
(`・ω・´)「え?おれはダメなの?」
( ∵)「あたりまえ」
( ∴)「改めて聞くことのできるその性格が羨ましい」
(*`・ω・´)「褒められると照れるな」
(#∵)
(#∴)
(´・ω・`)「付いてきた三人を無下に扱うのも憚られ、
安全に連れてきていただいたんですね。
ありがとうございます」
ミセ*゚ー゚)リ「いいえー。
お二人はご兄弟なんですか?」
.
-
(*`・ω・´)「血よりも熱く堅い絆で結ばれた」
(´・ω・`)「他人です」
(`・ω・´)「二人……」
(´・ω・`)「他人の空似です」
(`・ω・´)「……です」
ミセ;*゚ー゚)リ「あ、た、他人なんですね」
(´・ω・`)「分かっていただけて幸いです」
(`・ω・´)「です……」
ミセ;*゚ー゚)リ「あはははは」
(;゚д゚ )「(さっきまで『兄さん』と呼んでいたその口で)」
(;´・_ゝ・`)「(何の躊躇もなく『他人』と言い切れるとは)」
(´・ω・`)「話を戻します」
ミセ;*゚ー゚)リ「はい」
(`・ω・´)「はーい」
(´・ω・`)「その過程でシャキンたち三人は、
ミセリさん、ビコーズさん、ゼアフォーさんの三人が、
βテスターであったことを知った」
(`・ω・´)「特に隠してはいなかったな」
(´・ω・`)「今まではそれでいいと思いますが……」
ミセ*゚ー゚)リ「うん。
ショボン君の言う通りだと思う」
.
-
(´・ω・`)「人の負の感情には、
警戒するに越したことはないです」
ミセ*゚ー゚)リ「私もそう思う。
これから気を付けるよ」
( ∵)「姫を危険に晒すわけにはいかない」
( ∴)「降りかかる火の粉は蹴散らすがな」
ミセ*゚ー゚)リ「二人とも、ありがと。
でも、二人もちゃんと気を付けてね」
( ∵)「はっ!」
( ∴)「かしこまりました」
(´・ω・`)「ミセリさん達とシャキンたちはホルンカに到着後別行動。
分かれた後にそれぞれドクオとブーンに出会い、
僕たちもホルンカに来る予定なのを知ったわけですね」
ミセ*゚ー゚)リ「もともとアルルっじゃない、
ドクオくんには連絡するつもりだったから。
連絡したらもうホルンカにいて、
更にアニールブレードのクエストまでクリアしてたなんてびっくりしたよ」
( ∴)「しかも二人分とは」
( ∵)「運がいいな」
('A`)「ああ。ほんとに運が良かった。
というか、多分おれ達が行く前に誰かがクリアしてたんだと思う。
一回目はかなり早く目当ての敵が出てきたから」
ξ゚⊿゚)ξ「どういうことよ」
ドクオの言葉に頷く元テスターの三人。
しかしそれ以外の七人は意味が通じなかったため疑問に思った瞬間、
それをツンが口にした。
.
-
大晦日に投下とか昔のブーン系思い出すぜ しかもこの作品とか発狂するレベル
しえんしえん
-
('A`)「ああ、えっと……」
ミセ*゚ー゚)リ「この世界では、
基本的にそのエリアに出現する敵の量と、
時間で出てくる敵の量は決まっています」
あたまを掻いて言葉に詰まったドクオを見て、
ミセリが助け舟を出した。
ミセ*゚ー゚)リ「アニールブレードのクエストでは、
少女の病気を治すのに必要な実を取に行くんですが、
それはある敵を倒さないとドロップしません。
あ、クエストのネタバレになるけど良いですよね?」
(´・ω・`)「はい」
(`・ω・´)「ああ。大丈夫だ」
ミセ*゚ー゚)リ「では続けますね。
敵は植物系の怪物で、名前は『リトルネペント』。
見た目はそうですね……。
大きさは人の背丈より高いです。
名前に『リトル』ってあるけど大きいです。
移動や攻撃は根や葉を動かすことでします。
基本的にはそれほど素早くはありません。
はじまりの街の周辺やホルンカに来るまでの道で出会う猪型や狼型と違って、
かなり怪物、モンスターの色合いが強くなります。
βの時は、そういった見た目で腰が引けてまともに戦えないでいた
プレイヤーもかなりの数いたみたいなので、
注意した方が良いです」
壁際に立つツンとクーを見てにっこりと微笑むミセリ。
ミセ*゚ー゚)リ「先ほども言いましたが、
クエストクリアに必要なアイテムは『リトルネペント』を倒さないとドロップしません。
しかもどの『リトルネペント』でも良いわけでもなく、
頭に花を咲かせた『リトルネペント』を倒さないと、
ドロップしません」
.
-
(´・ω・`)「頭に花がついた怪物……」
ミセ*゚ー゚)リ「はい。
そして花付きのリトルネペントはあまり出てこないため、
出すためには目の前のリトルネペントを倒す必要があります」
川 ゚ -゚)「?」
ξ゚⊿゚)ξ「?」
( ^ω^)「?」
ミセ*゚ー゚)リ「例えばエリアに出てくる数が5匹であり、
現時点で花付きが居ないのならば、
その5匹を倒して新しくリトルネペントをポップさせなければ、
花付きを見つけること、倒すことが出来なくなるわけです」
川 ゚ -゚)「なるほど。そういうことか」
ξ゚⊿゚)ξ「でも、その5匹を倒したたら花付きが出てくるってわけでもないんでしょ」
ミセ*゚ー゚)リ「その通りです。
だからその場合はまたその5匹を倒して、
更に新しくポップさせます」
川 ゚ -゚)「出てくるまで繰り返すってことか」
ミセ*゚ー゚)リ「はい」
( ^ω^)「おー。なるほどだお」
ξ゚⊿゚)ξ「って、なんでクエストクリアしたあんたが説明聞いて納得してるのよ」
(;^ω^)「あの時は戦うことと強くなることに必死で、
そんなことを気にしていられなかったんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「まったく」
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