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月明かりのネコのようです
12
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:06:46 ID:O305c2PI0
なら、と何かを言いかけた青年をドクオが制した。
(;'A`)「いや今日は無理。遅いし…。報酬の件もあるからまた今度だ」
(;・∀・)「あ、そうですよねー。スラム街の…どの辺りですか?」
('A`)「どの辺りっていうか…この道真っ直ぐ。看板出てるから分かると思う」
( ´_ゝ`)「じゃあまたお願いします」
('A`)「こちらこそ」
川 ゚ -゚)「さあ、帰るぞ」
クーに促され、重くなった台車を押して歩く。
川 ゚ -゚)「何するんだろうな、彼ら」
('A`)「さあ。仕事の依頼来たら聞くけどな」
青年達の服装や様子からして、この辺りに不慣れな雰囲気が伝わってきていた。
何かどうしようもない理由でもあったのだろうと適当に結論付け、帰路につく。
何にせよ、そのうち分かる。
13
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:08:26 ID:eeR82nAI0
しえん
14
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:08:48 ID:O305c2PI0
ーーーーーー
盛岡工業、と書いているそれなりに大きな工場。
その事務所のインターホンを押した。
時刻は8時だが、問題ない筈だ。
「はい」
('A`)「こんばんはー、お荷物ですー」
ドクオは今、とある運送会社の制服を着ている。
スラムで迷っていた哀れなアルバイトから剥ぎ取ったものだが、便利極まりない。
依頼主以外が出て来てもいいというのは安心できた。
(´・_ゝ・`)「ああ、鬱田さん」
('A`)「こちら部品です。一応梱包してますから、明日また箱を取りに来ます。報酬もその時で」
(´・_ゝ・`)「ええ、本当にありがとうございました…こんな夜に」
('A`)「いえ…」
(´・_ゝ・`)「最近通り魔が出るらしいですから、夜は気をつけて…」
('A`)「…」
つい、右腕を隠した。
軽く頭を下げ、空の台車を持って帰る。
あとは金を受け取れば晴れてこの仕事が終了する。
15
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:10:44 ID:O305c2PI0
('A`)「…」
工場からしばらく歩き、スラムに戻る。
人気のない場所に入って振り向いた。
警戒を解かないドクオ、その手には大振りのナイフ。
目の前にはスーツを着た男。
('A`)「さっきから何だ?コソコソと…強盗なら他を当たれよ」
(`・ω・´)「…すみません。少し、内密な話がしたくて」
男が丸腰なのを確認し、ナイフを下ろした。
('A`)「仕事の話なら事務所まで来てくれ。ここじゃ困るんだ」
(`・ω・´)「月虎、という組織をご存知ですか」
('A`)「…知ってる」
月虎。
最近月の街で活動し始めた組織だ。
「人民の平等」を掲げ、政府の要人暗殺を目論むという過激な組織らしい。
らしい、というのは、まだ活動をはじめていない為だ。
男は自分をその幹部だと名乗った。
16
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:11:06 ID:owUzxm/20
…ほほう支援!!
17
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:12:52 ID:eeR82nAI0
wktk
18
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:13:18 ID:O305c2PI0
(`・ω・´)「この世界は、格差に満ちています。とりわけこの貧民街が―――」
('A`)「要件」
演説めいた台詞を遮る。
ナイフを下ろしても、握りしめた手には力が入っている。
(`・ω・´)「………近々、仕事の依頼に向かうかと」
('A`)「碌な仕事じゃなさそうだな」
(`・ω・´)「現段階では、何とも。しかし…」
('A`)「いや分かった、受けよう。ただ場合が場合なら…金はかかるぞ」
二つ返事に近いドクオの答えに男は少し驚いたようだった。
しかしすぐに落ち着き払った様子に戻る。
(`・ω・´)「問題ありません。証明ではありませんが、まずこれを」
('A`)「これをやるから断るなよ、ってことか。何の心配してんだかな」
男から封筒を受け取る。
中には高級紙幣が十枚。
('A`)「…よしよし。またいつか事務所に来てくれ、細かい話をしないとな」
(`・ω・´)「ええ、それでは」
19
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:14:44 ID:O305c2PI0
ーーーーーー
猫が扉を引っ掻く。
クーが出てきて、待ち切れないという風に撫で回す。
川*゚ -゚)「来る頃だと思っていたぞ」
「にゃー」
川 ゚ -゚)「ご飯はまだだ。ドクオがもうじき帰ってくるからな」
「…」
川 ゚ -゚)「仕方ないだろう、そういうものだ」
ふと猫を撫でる手を止め、クーは少し考え込んだ。
その間も猫はじっとクーを見つめている。
川 ゚ -゚)「……そういうもの、か」
川 ゚ -゚)「…」
川 ゚ -゚)「私は、甘えてはいないかな」
「…?」
川*゚ -゚)「……やっぱり可愛いなあ」
20
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:15:28 ID:O305c2PI0
足音が近づいて来る。
クーと猫がそちらを見た。
一人と一匹の予想通りの人物がやってきた。
('A`)「ただいま」
川 ゚ -゚)「待ちわびたぞ。クロにご飯をやるんだ」
(;'A`)「いや休ませろよ…。飯も人間が先だろうが」
ドアを開けたドクオとクーが屋内に入っていく。
ちゃっかりと黒猫もついて行っていた。
('A`)「お前も来るのか」
作り置きを温める。
そのうちから少しを小皿に分け、床に置いた。
猫が寄り、食べ始める。
('A`)「うちに来ない日はどうしてんだろうな、こいつ」
川 ゚ -゚)「さあ。極端に痩せてる訳でもないから別のとこで貰ってるんだろう」
21
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:16:16 ID:O305c2PI0
川 ゚ -゚)「…腕、大丈夫なのか。膿んでないか」
ドクオの右腕を指差す。
長袖の端から薄汚れた包帯が覗いていた。
('A`)「問題ない」
川 ゚ -゚)「お前がそんなに無理をしなくても…」
('A`)「……あと、近く大きな仕事が入る」
川 ゚ -゚)「…どういう」
('A`)「分からん。でも、もうすぐだ」
川 ゚ -゚)「別に、そんな…」
('A`)「ここまで来てそれは無いだろ。あと少しだからな」
川 ゚ -゚)「………すまん」
('A`)「何を謝んだよ」
川 ゚ -゚)「なら、絶対に無理はしないでくれ」
('A`)「ああ。死んだら元も子もないしな」
二人のやりとりを、貰ったものを食べながら猫はしばらく見ていた。
やがてそれも食べ終わり、一声鳴いて扉の隙間から路地に繰り出していった。
22
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:17:35 ID:O305c2PI0
第一話でした
とある訳で明日全ての書き溜めが消えるという事件が起こるので、今日のうちに書いてるところまで全部投下するよー
23
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:19:06 ID:1a.uYGno0
とりあえず乙!
とある事情と黒猫が気になる
24
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:19:08 ID:cnSo3H7s0
面白くなりそうだな
25
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:19:46 ID:O305c2PI0
『挑戦その1』
煌々とした明かりの街、その一角の居酒屋の中、奥の団体用部屋のテーブル。
数人の男女が嬌声を上げていた。
(*・∀・)「それでは!VIP大学地球研究部、新入生歓迎会を始めます!!乾杯!!!」
(*´_ゝ`)(*゚∀゚)「かんぱーい!!」ζ(゚ー゚*ζ(゚、゚*トソン(´・ω・`*)
彼らは大学生。
地球に関する活動をするという部活の、言うなれば飲み会の真っ只中。
(*´_ゝ`)「それでは部長のモララーさん、一回生向けに活動内容をどうぞ!!」
(*゚∀゚)「やんややんやー!」
始めに喋っていた、モララーと呼ばれる男が再度立ち上がる。
酒が入っているのか、顔が紅潮している。
26
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:20:26 ID:O305c2PI0
(*・∀・)「えー、改めまして!三回生の徳田モララーです!」
(*・∀・)「我々の目的は地球とのコンタクト!!」
(*・∀・)「資料によると、昔の地球の人口は80億人オーバー!そして現在の月の人口は10億人!!」
(*・∀・)「つまり、人々が移動を開始した時代に、単純計算ですがゆうに70億の人間は地球に残っていたのです!!」
(*・∀・)「そしてお空に見えるあの地球は非常に綺麗!地球ヤバイ!!真っ青!!!」
(*・∀・)「それは地球の『本物』の樹木、青い海、白い雲の元で人が生きている可能性を示唆してます!」
(*・∀・)「だったらどうにかしてコンタクトとりゃいいじゃない!!」
(*・∀・)「宇宙を超えて会話して、向こうの暮らしとかこっちの暮らしとか語らえばいいじゃない!!」
(*・∀・)「そんな感じです!!」
ζ(゚ー゚*ζ「おー!」
27
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:21:46 ID:O305c2PI0
(*・∀・)「じゃ、一回生もいるから自己紹介!上からな!」
モララーが手を向けた先の一人、髪を結んだ女性が立つ。
どうにも口下手なようで、周りを見渡しては口ごもる。
(゚、゚;トソン「…、あ、えー、あ……………………あれ、あの…………」
( ・∀・)「頑張れトソン!!」
(゚、゚*トソン「………つ、つ、都村、トソン、です…。え、と、三回生ですよろしくおねがいします…」
最後は早口になり俯きながら座った女性と入れ替わりに、痩身の男が勢いよく起立した。
すでに随分酔っているようだ。
(*´_ゝ`)「二回生、流石兄者ですっ!自分こう見えてかなーりオタクなんで、話分かる方よろしく!」
(*゚∀゚)「んな奴いねーよ!」
(*´_ゝ`)「うっせー!レトロゲー好きなんだけど誰か分かって!!」
28
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:23:24 ID:O305c2PI0
次は、茶々を入れた小柄な女性。
またも元気良く立ち上がる。
(*゚∀゚)「はい!二回生、猫田つーです!気軽につーって呼んでね!!」
(*´_ゝ`)「つーちゃん可愛い!!」
(*゚∀゚)「うわあキッモ」
(;´_ゝ`)「辛辣ゥ…」
(;・∀・)「はい一回生どうぞ!二人だけどよろしく!」
二人の間でどちらが先に自己紹介をするか、という視線の相談が起きる。
程なく解決したようで、男性のほうが頷いて立ち上がった。
(´・ω・`)「呉島ショボンです、よろしくお願いします」
( ・∀・)「しっかり者オーラがヤバイ」
ζ(゚ー゚*ζ「井出デレです!お願いします!」
( ´_ゝ`)「かわい子ちゃんオーラがヤバイ」
29
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:24:05 ID:O305c2PI0
( ・∀・)「まー今日は先輩のオゴリだから、遠慮せず飲み食いしなよ!」
ζ(゚ー゚*ζ「はい!」
( ´_ゝ`)「まぁ俺の財布のヒットポイントはもうないんだが」
(゚、゚トソン「…な、なんか、使ったの?」
( ´_ゝ`)「ちょっと昔の化石ハードを」
(;*゚∀゚)「またかよ…」
( ´_ゝ`)「化石といってもグラもかなり進化してんだぞ。今でもギリギリ通用すると思う」
(´・ω・`)「へー…」
( ´_ゝ`)「2250年ちょっと過ぎにできたもんだがな、あるとこにはあるもんだ」
(゚、゚;トソン「…、いつも思うんだけど、使えるの、それ?150年前の機械だよ…」
( ´_ゝ`)「使えますよ、マニアが改装して丈夫にしたらしいんで。だからこそ骨董品としての価値はありませんけど」
ζ(゚ー゚*ζ「すごいっすね!」
30
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:24:54 ID:O305c2PI0
(;*゚∀゚)「もういいよーお前の話わかんねーもん…」
( ´_ゝ`)「ゲームとかやんないっけお前。今度何か貸してやるよ、最近のを」
(*゚∀゚)「そういって前借りたの卑猥なのだったからな、信用できねー」
( ´_ゝ`)「じゃお前好きなジャンルとか言えよ、例えばファンタジーなら、最近随分昔のがリメイクされててな―――」
熱く自分の趣味を語り始めた兄者をよそに、モララーが一回生の近くに寄る。
( ・∀・)「いやー新入生が来るとはなー。来なかったらこのサークル潰れてたかも」
(´・ω・`)「地球に興味がありまして…」
ζ(゚ー゚*ζ「楽しそうだったんで!」
( ・∀・)「こんなご時世だもんねー、就職もアレだし大学ぐらい好きなことしたいよね!」
(゚、゚トソン「卒業さえしとけばいいしね…」
31
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:26:04 ID:O305c2PI0
(´・ω・`)「今はどんな事してるんですか?」
( ・∀・)「今ねー、通信機作ってるよ」
(´・ω・`)「通信機」
ζ(゚ー゚*ζ「地球とお話できるんですか?」
(゚、゚トソン「………、向こうに、あの、あれ、そ、じ、受送信の、方法があればね…」
( ・∀・)「僕と兄者がそういう学部だから割とできるけどね、なかなか出力が出ないんだ。部品も足りない」
(゚、゚トソン「…あ、あと、あんまり出力大きすぎる通信機は、規制されてるんだ。まあ、まだ、作ってないからセーフなだけで」
( ・∀・)「まぁバレないように作るんだけどね。バレないだろうし」
大変ですね、と言おうとしてショボンが口を開こうとしたところに兄者が割り込む。
(*´_ゝ`)「なーに辛気臭い話してんですか!」
(;・∀・)「酔い過ぎだよ…活動の概要さ」
(*゚∀゚)「あーそれな。どっかで部品拾えねーかなマジで。金ねーってな」
ζ(゚ー゚*ζ「大変ですねー」
( ・∀・)「まー有り余るロマンでようやくチャラだね」
32
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:27:09 ID:O305c2PI0
(*´_ゝ`)「ま、それについても追い追いな。まずはホラ、飲め」
(´・ω・`)「頂きます。あと、通信機の部品足りないんですか?」
(*゚∀゚)「足りないよー、手にいれようにも最近あんまし手に入らないんだなあ。売ってないったら」
酒を一口飲み、ショボンが少し考える素振りを見せた。
彼は未成年なのだが、あまり気にしていないようだ。
(´・ω・`)「僕の家、中流なんですよ。皆さん大抵上流ですよね」
( ・∀・)「ま、そうだろうね。中流の方々が大学に来るのは少ないよ」
(;´・ω・`)「…あ、すみません、嫌味ったらしくて」
(;・∀・)「いやいやいや、大学も中層にあるんだから。で、どうしたの」
(;´・ω・`)「僕も噂に聞いただけなんですが…」
(´・ω・`)「最下層に、機械の墓場があるそうなんです。いつか行ってみたくて」
(*´_ゝ`)「その話、詳しくお聞かせ願おうか…」
(*゚∀゚)「お前は寝てろ」
(*´_ゝ`)「あれ、今の俺マジモードだったのに…」
(゚、゚トソン「顔、真っ赤…」
33
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:28:12 ID:O305c2PI0
―――――――――
それから四日後。
動きやすい服装で広い部室に集まるいくつかの姿があった。
( ・∀・)「皆の者、準備はいいかー!」
( ´_ゝ`)「おー!」
( ・∀・)「いい返事だ!じゃ、これから機械の墓場に行くぞ!」
彼らが向かうのは、件の墓場。
衛生画像で位置を調べ、足りない部品を書き出し、準備は万端のようだ。
窓が鳴った。
誰かが軽く叩いたような音。
(゚、゚トソン「あ」
トソンが急いで寄り、開け放つ。
するりと入ってきたのは、一匹の黒猫だった。
「にゃー」
ζ(゚ー゚*ζ「ねこ!可愛いー!!」
(*゚∀゚)「お、ダストだ」
トソンが持ってきたキャットフードを、一声鳴いてから食べはじめた。
猫はここではダストと呼ばれている。
34
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:29:27 ID:O305c2PI0
(´・ω・`)「ダスト?」
( ´_ゝ`)「猫の名前だよ。ゴミ置き場の近くに住んでるからダストにした」
( ・∀・)「英語にするだけでオシャレになんだから不思議だよな、本来ゴミ猫だぞ」
(*゚∀゚)「兄者の命名にしちゃ普通な感じだよな」
( ´_ゝ`)「猫者にしようか丸一日悩んだからな、そう言われると迷った甲斐があるってもんだ」
ζ(゚ー゚*;ζ「それは…どうでしょう…」
(´・ω・`)「キャットフードあげてますけど…飼ってるんですか?」
(゚、゚トソン「いや…野良。わ、私の自腹」
(;´・ω・`)「あ、やっぱし野良なんですね」
(゚、゚*トソン「だ、だって…可愛いよ」
ζ(゚ー゚*ζ「確かに可愛いですね!」
(;・∀・)「猫もいいけど行くぞー」
35
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:30:30 ID:O305c2PI0
大学を出て、バスに乗り、降りた終点で中層の街の端を歩いていく。
だんだんと雑多な建物が出てきて、景色も灰色が増えていく。
ある地点で、デレが何かに気づいた。
ζ(゚ー゚*;ζ「なんか…ここから急に、何と言うか」
( ´_ゝ`)「汚いな」
デレの言うとおり、彼らの立つ目の前からあからさまに景色の質が変わっている。
地面で眠る者、ゴミを漁る野良犬などはこれまでの場所では見られなかった。
まるで見えない壁が空間を隔てているかのようだった。
( ・∀・)「ここから最下層ってことだ。そして、こっからがややこしいんだ。何が起こるか分かったもんじゃない」
(*゚∀゚)「写真で見たら入り組んでましたよね」
( ´_ゝ`)「この辺分かる?」
(´・ω・`)「いや、流石に来たこともないですね…」
( ・∀・)「まー余裕余裕。財布スられんなよ」
少し迷いながらも、わいわいと進んでいく。
36
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:31:41 ID:O305c2PI0
歩くにつれ、口数が減ってきた。
やがてモララーが立ち止まり、言い放つ。
( ・∀・)「迷ったわ」
(゚、゚トソン
( ´_ゝ`)
(*゚∀゚)
(;´・ω・`)
ζ(゚ー゚*;ζ
(;・∀・)「なんだよその目は!!」
( ´_ゝ`)「余裕余裕…」
(;・∀・)「ここまでとは思わなかったんだよ!見ろこの写真!最早ダンジョンだぞ!!」
(゚、゚トソン「みんな、飴あげる」
(;・∀・)「聞けや!チクショウ!」
37
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:33:16 ID:O305c2PI0
その後全員で衛生写真を見てみたが、位置は分からない。
誰ともなしに座り込んだ。
( ・∀・)「あーあ、現在地が分からないんじゃなー。あーしかもここ圏外だ。汚ねーし電波ねーし最悪だなクソ」
( ´_ゝ`)「残念みたいに言ってるけどそれモララーさんのせいですからね」
(゚、゚トソン「…よし」
トソンが立ち上がる。
全員の目線が自然と集まった。
(゚、゚トソン「…だ、あー、ダストに聞いてみよう…」
(;*゚∀゚)「いるんすか?」
(゚、゚トソン「いる…何故か私たちより先に」
(;´_ゝ`)「何でだよ…俺らバス乗ってきたのに、こいつ凄いな」
トソンが指差した先には、先程見た黒猫。
人の言葉が話せれば、僕?とでも言いそうなきょとんとした顔をしている。
トソンがしゃがみ、猫に顔を近づける。
(゚、゚トソン「…機械の墓場っていう、とこ…。たっ、たくさん鉄があるんだ」
38
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:34:35 ID:O305c2PI0
( ・∀・)「無理無理、猫なんだから…」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、どっか行きますよ!」
(*゚∀゚)「ついて行くぞー!」
( ´・∀・)
( ´_ゝ`)「元気出して下さい」
(*゚∀゚)「よし行けダスト!」
猫はゆっくりと歩き、人間を連れて行く。
路地を何回か曲がり、汚れた水たまりを飛び越える。
人間はようやく着いていく。
やがて、数枚の薄汚れた段ボールの上に飛び乗った。
「ぐおぅ!」
(゚、゚;トソン「!?」
段ボールの下から浮浪者らしき者が出てきた。
不機嫌そうに頭を掻いている。
【+ 】ゞ゚)「…んだ、この猫ぁ…?……おう、飼い主か」
(゚、゚;トソン「え!…あの、あ、え、えっと、あー…ち、ち違い、ます…」
【+ 】ゞ゚)「…どんだけ驚くんだ…」
39
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:35:28 ID:O305c2PI0
【+ 】ゞ゚)「全く…ん、あぁこいつか…またかよ」
( ´_ゝ`)「その猫知ってるんですか?」
【+ 】ゞ゚)「たまに見る…」
( ・∀・)「へー…あ、そうだ。機械の墓場って知りません?」
【+ 】ゞ゚)「…は?」
(´・ω・`)「鉄の廃材が沢山あるとこです」
【+ 】ゞ゚)「…あー。そんな名前なのかあそこ…。そこを曲がれば遠くに見えた筈だが」
意外な方法で、墓場の場所を知ることができた。
礼を言って、そこを去ろうとする。
トソンが振り返り、浮浪者に向き直った。
(゚、゚;トソン「あ、あの」
【+ 】ゞ゚)「…?」
(゚、゚;トソン「飴、どうぞ」
【+ 】ゞ゚)「……貰おうか」
40
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:36:18 ID:eeR82nAI0
トソンが吃りキャラとは珍しい
41
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:37:08 ID:O305c2PI0
(*゚∀゚)「…着きましたね」
彼らの目の前に、鉄の山。
ふわふわとした不安定な足元だ。
他にも、何人か作業をしている者がいた。
ζ(゚ー゚*;ζ「じゅ、重力が…弱いんですかね。おっとと」
( ´_ゝ`)「行政は何をしてんだかな。まぁこんなゴミみたいなとこに金かけるのも無駄っちゃ無駄か」
( ・∀・)「好都合だ。いらん物をどかしやすい」
( ・∀・)「とにかく、配った紙にそれぞれ担当の部品があるからな。二人一組になって頑張ってな」
(*゚∀゚)「うーっす」
( ・∀・)「兄者はデレちゃんとで、トソンとショボンで、俺とつーで組んでな」
( ・∀・)「じゃ、解散ーっ!」
威勢良く返事をして、めいめい散りはじめた。
スラムには全く不似合いな、明るい雰囲気だ。
42
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:38:50 ID:O305c2PI0
ーーーーーー
三時間後。
墓場の入り口に座り込む彼らの姿があった。
休憩をとっているようだ。
心なしか、雰囲気が暗い。
( ・∀・)「はい、中間発表ーっ…まずは俺たちから…」
(*゚∀゚)「…銅線8本」
( ´_ゝ`)「壊れたラジエータ一つ」
(´・ω・`)「パラボラ一つです」
( ・∀・)「うん、皆よくやったよ……でもな」
( ・∀・)「…キリがねぇな、これ…」
(;*゚∀゚)「三時間でこれじゃ終わらないですね…」
( ・∀・)「無理だろ…何だよもう…」
(´・ω・`)「案外見つかりませんよね…」
(゚、゚トソン「…も、もっとあっさり見つかるかと思ったら、壊れてるの、ばっかだったね…」
( ´_ゝ`)「墓場ですし、一応」
( ・∀・)「もういいよ、帰ろうぜ…帰って寝よう…」
( ´_ゝ`)「メンタル弱過ぎるでしょう」
43
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:40:06 ID:O305c2PI0
ζ(゚ー゚*ζ「あの、思うんですけど」
(*゚∀゚)「ん?」
ζ(゚ー゚*ζ「あの人に聞いてみたらどうでしょうか」
デレが指差す先にいるのは、手慣れた感じで作業を進める男。
誰かと話しているようだが、よく見えない。
(゚、゚トソン「あ…、成る程、先人に聞くわけだね…」
( ・∀・)「その発想はなかった。兄者、行くぞ」
(;´_ゝ`)「俺すか!?」
( ・∀・)「お前だよ。助力を頼むのもお前だよ」
(;´_ゝ`)「えー…」
( ・∀・)「部長命令」
(;´_ゝ`)「えー!!最低!!!」
( ・∀・)「はははははっ!何とでも言うがいい!」
(;´_ゝ`)「…一応ついて来て下さいよ」
( ・∀・)「ああうん、そんぐらいはするよ」
44
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:40:51 ID:O305c2PI0
再び鉄の山を登る二人を不安気に見送り、ややあってデレが言った。
ζ(゚ー゚*;ζ「なんか普通に送り出しちゃいましたが大丈夫でしょうか…」
(*゚∀゚)「身包み剥がれるんじゃね?」
(;´・ω・`)「あり得るんですけど…」
(゚、゚トソン「…だ、うん、大丈夫…多分、おそらく…」
二人が話しているようだが、死角になって見づらい。
ややあって、二人がまた鉄の山を降りてきた。
少し浮かない顔だ。
(;・∀・)「ダメだった!」
(゚、゚トソン「あー…」
( ´_ゝ`)「いや、向こうもそういう商売でやってるらしく…また事務所来てって言われました」
(*゚∀゚)「商売かー。儲かるのかこれ」
( ´_ゝ`)「なんでも金ですねー」
( ・∀・)「金取れる程面倒だって事だな。帰ろう、疲れたよ」
45
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:41:51 ID:O305c2PI0
( ・∀・)「…」
(゚、゚トソン「…?か、帰ろうよ」
( ・∀・)「どっちだっけ、帰り道」
( ´_ゝ`)「え、あっちから来ましたよね?」
兄者が通りを指差す。
確かに、見覚えのある道。
( ・∀・)「そうそう。で、そこ曲がったら汚ねーホームレスいたじゃん?そこからは?」
ζ(゚ー゚*ζ「…あれ…」
(*゚∀゚)「ダストの後をつけてきただけだから…わかんないですね」
(´・ω・`)「え、猫いないんですか?」
ショボンの声に全員が周りを見渡す。
黒猫の姿はない。
(゚、゚トソン「……いないね…」
(*゚∀゚)「本格的に迷子っすねー」
(;´_ゝ`)「いや…例のホームレスに聞けば…」
(;・∀・)「また?」
(;´_ゝ`)「仕方ないですよ…」
46
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:42:54 ID:O305c2PI0
ほんの少し増えた荷物を持ちいざ出発、という時に何かの音が近づいてきた。
ゆっくりとした足音だ。
ζ(゚ー゚*;ζ「誰でしょう…」
( ・∀・)「この辺の住人だろ」
角を曲がって彼らの方にやってきたのは、一人の女性。
若いようだが、ぼさぼさと伸びた髪や汚れた服に女性らしさなどは感じられない。
黙ってそちらを見つめていたのが悪かったのかもしれない。
その女性の姿にモララーがほんの少し顔を顰めたのを見られていたのかもしれない。
原因はともかく、女性ははたと立ち止まり、彼らの姿をじっと舐めるように見た。
イ从゚ ー゚ノi、「……」
(;・∀・)「…何ですか」
モララーの問いには答えずに、小さな声で呟く。
イ从゚ ー゚ノi、「………この辺の奴じゃない」
47
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:44:19 ID:O305c2PI0
答えない他の者の代わりに兄者が返事をする。
モララーは女の青白い腕をじっと見ていた。
( ´_ゝ`)「はい、そうですけど…あ、中層ってどっちか知ってますか?」
イ从゚ ー゚ノi、「知ってるよ」
(;´_ゝ`)「え」
兄者は後ずさった。
ふらふらと女性が近づいてくる。
その手に、何か光るものが見えた気がした。
(;・∀・)「兄者!!」
モララーが叫び、乱暴に兄者の腕を掴んで引き倒した。
兄者が姿勢を崩したことにより、その首筋を狙った大振りのナイフは、少し外れて彼の肩を切り裂いた。
尻餅をついた兄者は状況を理解できていない。
(;´_ゝ`)「痛ってぇ!?」
(;*゚∀゚)「こいつヤバイ!!逃げるぞ!!」
咄嗟の判断でつーが落ちていた酒瓶を投げつける。
緑色の瓶はまともに顔面に命中し、鈍い音を上げた。
イ从;゚ -゚ノi、「っく…」
たまらず女性がしゃがみ込んだ隙をついて、全員一目散に駆け出す。
48
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:46:03 ID:O305c2PI0
しばらく走り続け、デレやトソンの体力に限界がきたのをきっかけに、女性が追って来ないのを確認してから足を緩める。
後ろをちらちらと振り返りながら歩き、程なく先程の浮浪者を見つけることができた。
兄者の血はまだ止まらず、少し辛そうだ。
【+ 】ゞ゚)「…あ?出口?」
(;・∀・)「ええ…」
【+ 】ゞ゚)「……出口か知らんが、…中層はあっちの方だ…」
浮浪者が汚らしい路地を指差す。
兄者の負傷に触れない辺り、よくあることなのかもしれなかった。
(;・∀・)「ありがとうございます!!」
【+ 】ゞ゚)「うるさい…」
ζ(゚ー゚*ζ「でも本当ありがとうございます…もう大変で…」
【+ 】ゞ゚)「…目当てのものは…あったのか」
(*゚∀゚)「ありませんでした。だから何でも屋さん?みたいのに頼むことにしたんすよ…」
【+ 】ゞ゚)「………あれに…」
(゚、゚トソン「…?」
含みのある言い方だ。
トソンの方をちらりと見て、ゆっくりと話し始めた。
49
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:47:29 ID:O305c2PI0
【+ 】ゞ゚)「鬱田ドクオ……あいつ、気をつけろ。金が入るたびに上層に行ってる……何のためかは知らん」
(;´・ω・`)「え、ちょ、何ですか?」
(;´_ゝ`)「いや……早く行きましょうよ…恐いし痛いし…」
【+ 】ゞ゚)「そもそも、俺たちみたいな奴らは上層には入れない筈だ…身なりで弾かれる…」
ζ(゚ー゚*;ζ「そんな事ないですよ」
男は少し笑った。
嘲るような、可笑しがるような笑い方だ。
【+ 】ゞ゚)「ま、普通は知らない…」
( ・∀・)「だから、その…何でも屋さんが入ってるのは変だと」
【+ 】ゞ゚)「…良いやつではあるがな……まあ、仕事なら大丈夫だろうさ…」
(゚、゚;トソン「え、な、何でそんな…」
【+ 】ゞ゚)「…飴の礼だ」
包み紙を見せ、また笑う。
今度は、その汚らしい容姿に似合わない程の純粋な笑みだった。
50
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:48:09 ID:O305c2PI0
はい次
51
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:49:28 ID:O305c2PI0
『スラムその2』
ドクオの家のソファーに、汚い身なりをした女性が足を組んで深く座っている。
襤褸のような服から伸びる足は泥で汚れ、髪も伸び放題という出で立ちだ。
にやにやとした笑みを湛える目には隈ができ、白い腕には青痣が見える。
ここ最下層でも、ここまでの者はあまりいない。
ドクオが包帯の巻かれた腕を見せる。
('A`)「…ともかく、俺は警察にも行った。こっちはここまでだ」
イ从゚ ー゚ノi、「そうかいそうかい」
('A`)「そっちはメインの方は始末した訳だ。下層と中層のターゲットは?」
イ从゚ ー゚ノi、「下層は殺った。中層はこの辺の馬鹿そうな大学生をちょっと。死んでないけどまあいい、騒ぐだろうしな」
('A`)「殺し損なったのかよ」
イ从゚ ー゚ノi、「うるせえよ」
('A`)「にしても思い切った政治家もいたもんだな…。ライバルを殺すカモフラージュに他のもやるか」
イ从゚ ー゚ノi、「いいだろ、どうせ受けるのは私だ」
52
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:50:07 ID:/CcVIN060
おつしえん
クールが気になるねえ
53
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:50:16 ID:O305c2PI0
イ从゚ ー゚ノi、「なあ、ほら…」
彼女に名前はない。
最下層を徘徊する宿無しの浮浪者だが、ドクオと同じく頼まれたことは何でもする事で金を得ている。
違うところがあるとすれば、殺人などの過激な仕事も二つ返事で請け負うこと。
もう一つは管理能力の低さ故、ドクオに依頼や金銭関係の全てを委ねていること。
イ从*゚ ー゚ノi、「ともかくホラ、金と!あれ!」
(;'A`)「ああ…」
まず封筒を渡す。
今回の仕事の報酬だ。
封筒を奪い取り中身を改め、途端に女が不機嫌になる。
イ从゚ ー゚ノi、「…今回てめーどれだけハネた?」
('A`)「俺は最下層のターゲット役やって腕怪我したんだぞ。それでも十分だ」
女は露骨に舌打ちをした。
が、次に細長い箱を見せるとぱっと笑顔になった。
イ从*゚ ー゚ノi、「よし!寄越せ!!」
54
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:52:25 ID:roiUGs9Y0
支援
55
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:52:34 ID:O305c2PI0
('A`)「おい、毎回ここでやんな。出ろ」
イ从゚ ー゚ノi、「いいだろ別に」
('A`)「くたばれ」
勝手に戸棚を漁りコップと水を用意する女は聞く耳を持たない。
震える手で箱を開けて、中の粉末をコップに溶かした。
手荒く混ぜた後注射器で吸い上げ、左腕の痣の中心に打ち込む。
イ从*゚ ー゚ノi、「よし…じゃ…ふふ……」
イ从* ー ノi、「…ふ……」
何か意味不明な事を少し呟き、恍惚とした表情になる。
程なくその目を閉じ、軋むソファに沈みこんだ。
眠ったようだ。
(;'A`)「くそ…」
ドクオが仕入れ、彼女に渡しているものは麻薬だ。
彼女からの依頼であるため、その分の報酬もしっかり取ってある。
彼女や売人曰く、「これを打って眠った時に見る夢で最高の体験ができる」そうだが、真相は定かではない。
ただ、こういった薬自体も最下層にしか流れていないため、上層などからの依頼がドクオに来ることも稀にある。
イ从 ‐ ‐ノi、 …
(;'A`)「…」
だらしなく脚を開いたまま眠る浮浪者を一瞥し、部屋の奥に声をかける。
('A`)「行くぞ」
56
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:53:46 ID:O305c2PI0
――――――――――――
川 ゚ -゚)「…あいつは毎回ああだな」
('A`)「放っておけ」
川 ゚ -゚)「それにしても通信機、か」
汚らしい路地を二人で歩いている。
ドクオとクーは、大学生の依頼を受けて廃材置き場に向かうところだ。
通信機を作りたい、と言っていた。
('A`)「地球と通信ね。物好きだ」
川 ゚ -゚)「夢があると言ってやれ。…あ、あいつらじゃないか?」
クーが指差す先には、大学生の一団。
その足元に黒猫もいた。
モララーというリーダーの男が手を振っている。
以前仕事の話をしにきたうちの一人がいないが、特に支障はない。
川*゚ -゚)「おお、クロも手伝うのか」
('A`)「誰にでも懐くな、この猫は」
( ・∀・)「こんにちは。この猫、知ってるんですか?」
('A`)「たまに事務所に来る。どこの猫かは知らん」
(*゚∀゚)「野良ですよこいつ」
('A`)「まあ飼い猫じゃないだろうな。…さて、探すぞ」
(;´・ω・`)「は、はい!」
57
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:56:03 ID:O305c2PI0
本来、廃材探しの時に限らず、仕事の現場に依頼主は来ない。
わざわざ犯罪現場に居合わせる事もない。
しかし彼らはここにいる。
やり方を知りたい、と言っていた。
構わないので見させておく。
('A`)「まず導線だとよ」
川 ゚ -゚)「よし。お前らもしっかり見ているがいい」
( ・∀・)「お願いしまーす」
ドクオがやることはいつも通り、機械を蹴り飛ばし、こじ開けて中を改める。
クーも変わらず、鉄くずに見当をつけて指差すだけ。
ζ(゚ー゚*ζ「なんか無駄がないですねー」
(゚、゚トソン「な、慣れてるね、やっぱ」
皆、同じ事を考えていた。
やっていることはほぼ同じなのに、格段に二人の方が速い。
弱重力下においてもしっかり足を踏みしめているあたりに違いが顕著に現れている。
川 ゚ -゚)「アンテナ…」
('A`)「それは必要ないってよ。マイクは…流石にないか」
川 ゚ -゚)「…あれ、放送機器じゃないか」
(;'A`)「おー…本当に何でもあるな、ここは…」
背中の袋に戦利品を放り込んでいく。
少しづつ紙の項目に横線を引いて、消して行った。
58
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:57:32 ID:O305c2PI0
――――――――――――
鉄の山を歩き回り、目当てのものを見つけて行く。
何度か溜まった荷物を置きに戻り、そろそろ時間も遅くなってきた頃、作業も終わりに差し掛かった。
こじ開けた中から錆びた鉄の箱を拾い上げる。
('A`)「発電機、四つ目と。終わりだな?」
川 ゚ -゚)「終わりだ、今日は時間かかったな」
('A`)「量が多かったしな。帰るぞ」
廃材から降りていき、置いてある戦利品に最後のパーツを足す。
確認していたモララーが立ち上がった。
( ・∀・)「…よし、ありがとうございます!助かりました」
('A`)「報酬は明日取りに行くからな。台車も貸そうか」
( ・∀・)「いえ、台車あるんで大丈夫ですよ」
川 ゚ -゚)「用意周到なことだ」
59
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:58:52 ID:O305c2PI0
('A`)「…通信機って、これだけのもんでできるのか?」
足元にはかなりの部品が転がっている。
が、地球まで電波を飛ばそうとなると、それも膨大なものになりそうなものだ。
( ・∀・)「これまで僕らが集めてきたものとか、市販品も使いますから」
川 ゚ -゚)「なるほどな」
( ・∀・)「よかったら見にきます?多分一週間ちょいでできますから」
川 ゚ -゚)「どうする?」
('A`)「暇なら行ってみるか」
( ・∀・)「分かりました。なら試験放送は十日後にしますよ」
(*゚∀゚)「あ、大学の場所、分かります?」
川 ゚ -゚)「私は知らないが」
('A`)「ああ、知ってる。大丈夫だ」
( ・∀・)「じゃ、僕らはこれで…。ありがとうございました」
ζ(゚ー゚*ζ「ありがとうございました!」
60
:
名も無きAAのようです
:2015/03/30(月) 23:59:55 ID:O305c2PI0
路地に消えていく数人を、その場で見送る。
猫はクーの足元に寄り添ったままだ。
川 ゚ -゚)「帰れるんだろうか」
('A`)「金持ちだろうし、そこらでタクシーでも拾うだろ」
川 ゚ -゚)「地球と通信か。まぁ誰もやってない事はないんだろうが…本当に見に行くのか?」
('A`)「お前が見たいんだろ」
川 ゚ -゚)「流石だな。よく分かっている」
('A`)「分かりやすい」
狭い路地を二人で歩く。
頭上に見える地球は、綺麗な青と白のマーブル模様だ。
人が住んでいると言われると確かに納得できるが、実感は湧かない。
皆、綺麗な天体程度にしか思っていない。
川 ゚ -゚)「海というのは、間近で見てみたいな。一度画像を見たことがある」
('A`)「諦めな」
川 ゚ -゚)「いや別に地球に行きたいとは思わないが」
61
:
名も無きAAのようです
:2015/03/31(火) 00:00:47 ID:dud1U5co0
川 ゚ -゚)「さあ、帰ろう。クロもお腹を空かせている」
呼応するように猫が一声鳴いた。
廃材置き場で作業していた他のスラムの住人も帰ったようで、もういない。
('A`)「いや…先に帰ってくれ。他にすることがある」
川 ゚ -゚)「何を…」
('A`)「いいから帰れ」
クーが溜息をついた。
追及は無駄だと悟ったらしい。
川 ゚ -゚)「早く帰って来いよ。私は料理ができないんだ」
クーと猫が連れ立って路地の向こうへ去って行く。
ドクオはそれと逆方向に歩く。
やがて行き止まりにたどり着き、振り向いた。
('A`)「…どうしても事務所には来たくないんだな」
刺すような視線の先には、一人の男。
スラムに不似合いなスーツに、何かのケースを持っている。
(`・ω・´)「…」
いつか見た、テロ組織の幹部だった。
62
:
名も無きAAのようです
:2015/03/31(火) 00:01:54 ID:dud1U5co0
(`・ω・´)「あそこは、人の出入りがあります。姿はあまり見られたくない」
('A`)「臆病だな。…いや…臆病でなければ、一つの組織の頭は務まらないか」
('A`)「呉島シャキン。月虎のトップで間違いないな」
呉島と呼ばれた男は感心したように息をついた。
少し置いて、話し始める。
(`・ω・´)「なるほど、スラムも侮れない。正体に関しては今日明かすつもりでしたが、もう知っていたとは」
('A`)「何でわざわざお前が出てきたんだ。仕事の依頼は下っ端でいいだろうに」
(`・ω・´)「私なりの誠意です。つまり、それほど確実に仕事をこなして頂きたい」
('A`)「…まあいい。仕事の内容を聞こう」
静かに二人が話している。
周りには一切の人気がなく、空気は張り詰めている。
63
:
名も無きAAのようです
:2015/03/31(火) 00:03:37 ID:dud1U5co0
(`・ω・´)「住むところもない。重力制御はおろか、道の整備もされていない。人の意識も私達を見下すものに尽きる」
手を広げ、朗々と話し出す。
堂々としたその様子は、さながら演説のようだった。
(`・ω・´)「最下層への差別はあんまりだ。あなたもそう思いませんか?」
(`・ω・´)「私は最下層の出です。私の兄が中層に行ったようですが、はじめは差別がひどかったとか」
(`・ω・´)「…私達がやるのは、公の場での首相の殺害。それと声明発表です!」
('A`)「…」
(`・ω・´)「私達は何代もの首相に、メッセージを送り続けてきました。民衆間の格差を是正しろと!」
(`・ω・´)「しかし、誰もそれをしない…!マニフェストにそれを掲げていたとしても平気でねじ曲げ、なかったことにする始末!」
(`・ω・´)「もう、限界です。一度私達の存在を大きく示す必要がある!」
呉島は一度息をついた。
さっきまでとは正反対に落ち着いた声でまた話す。
(`・ω・´)「……今度、首相の演説がありますね。中層の放送塔に首相が来て、それが全国に中継されます」
(`・ω・´)「そこを乗っ取り、テレビに映った前で首相を殺します。そして直接、差別について訴える」
64
:
名も無きAAのようです
:2015/03/31(火) 00:04:32 ID:dud1U5co0
('A`)「それでいいのか」
黙って話を聞いていたドクオが割り込むように意見を述べた。
('A`)「そのままお前がトップに立つとでも言うのか?それじゃ単なる恐怖政治だろう」
(`・ω・´)「話は最後まで聞いてください。私が政治に関わろうとは思いません。こんな考えの人間が政治をしてはいけない事ぐらい、分かります」
(`・ω・´)「私達は、そのまま消えます。そうすることで、真に民衆の事を考えている政治家が活動しやすくなる」
(`・ω・´)「今の首相に裏から潰されている者もたくさんいるんですよ。…警察とも繋がっていますから、それだけでもなくせればと」
('A`)「…まあ、いいけどな。何にせよ仕事は受ける」
(`・ω・´)「では、これを…」
呉島がケースを差し出す。
大きく、地面に置いた際に重い音がした。
65
:
名も無きAAのようです
:2015/03/31(火) 00:06:27 ID:ZFxe55vU0
良いわ
66
:
名も無きAAのようです
:2015/03/31(火) 00:06:43 ID:dud1U5co0
('A`)「これは何だ」
(`・ω・´)「爆弾です」
ドクオの表情が固まった。
慎重にケースを持ち上げ、重さを確かめる。
(`・ω・´)「貴方にして頂きたいのは、首相の逃げ道を奪うこと。車を爆破して下さい」
('A`)「車を…」
(`・ω・´)「どうです?」
ドクオは答えない。
ただ、何かを思案している。
(`・ω・´)「問題は、周りの人間です。陽動や道路の破壊も兼ねていて、その爆発の規模はかなり大きい。つまり…」
(;'A`)「………関係ない人が巻き込まれるかもしれない」
(`・ω・´)「可能性の話ですが…こちらとしても遺憾ですが、そういうことです」
(`・ω・´)「…ただ、断る選択肢はありません。首相の放送…つまり十日後に決行です」
(`・ω・´)「細かい手段は問いません」
呉島は、さらに厚い封筒を差し出す。
中には普段の彼の稼ぎからは到底想像もつかない金額の紙幣が詰まっていた。
(`・ω・´)「仕事を終えて頂ければ、倍は払えます。では…」
(;'A`)「…」
呉島は去って行く。
ドクオは、封筒をじっと見たまま動けない。
67
:
名も無きAAのようです
:2015/03/31(火) 00:07:51 ID:dud1U5co0
――――――――――――――――――
建て付けの悪い扉を開く。
('A`)「ただいま」
川 ゚ -゚)「ああ、お帰り」
クーと猫が出迎えてくれた。
いつものことだ。
ソファーで眠る薬物中毒者を蹴落とし、そこに座る。
寝言は上がるが、起きる気配はない。
('A`)「夕飯までは…まだ少しあるな」
川 ゚ -゚)「まあな。ただどこかに出かける程はないと思う」
('A`)「今日はどうしようか。卵はあったよな」
川 ゚ -゚)「…」
クーの視線に気付き、少し黙る。
何を聞きたいのかは分かっていた。
('A`)「…十日後だ」
川 ゚ -゚)「何をするんだ。そのケースは何だ」
68
:
名も無きAAのようです
:2015/03/31(火) 00:09:19 ID:dud1U5co0
('A`)「…」
川 ゚ -゚)「何だ」
('A`)「……、爆弾だ。今度の演説の日、車を爆破しろ、だと」
川 ゚ -゚)「…そうか。大学に行くのと同じ日だったか」
('A`)「どうでもいい」
川 ゚ -゚)「私はよくない。あと」
クーが詰め寄る。
見つめられた彼は視線を逸らした。
川 ゚ -゚)「…できるのか、仕事」
('A`)「…」
ごまかすように猫を撫でるドクオにさらに近づく。
その目を強引に覗き込む。
川 ゚ -゚)「…なあ」
('A`)「何だ鬱陶しい」
川 ゚ -゚)「これまで、殺人が絡む仕事は全部この女に丸投げだったな」
('A`)「今回はそこらの依頼とは違う…失敗できない」
川 ゚ -゚)「人を殺したこと、ないだろう」
('A`)「…どうにかなる。どうにかする」
69
:
名も無きAAのようです
:2015/03/31(火) 00:10:06 ID:dud1U5co0
('A`)「この金は逃せない」
('A`)「全部、全部、お前の為だ」
川 ゚ -゚)
猫はただじっと撫でられながら、何か不穏なものを感じていた。
何か大きな事が起こるような気がした。
.
70
:
名も無きAAのようです
:2015/03/31(火) 00:11:30 ID:dud1U5co0
ここまでじゃ
オムニバスというか、そういう感じ。もう一視点ぐらい増やすかもじゃ
ここから少しずつ投下という形になるから気長に待って欲しいのじゃ
71
:
名も無きAAのようです
:2015/03/31(火) 00:12:41 ID:4ImwKwic0
乙
待つのは任せろ
72
:
名も無きAAのようです
:2015/03/31(火) 00:18:29 ID:.l5C16M20
乙
おもしろい
73
:
名も無きAAのようです
:2015/03/31(火) 00:23:46 ID:LGvfkQDQ0
引き込まれた
乙、待ってる
74
:
名も無きAAのようです
:2015/03/31(火) 00:36:28 ID:NatQvGdc0
読みやすいね
おもしろいし続き気になる乙!
75
:
名も無きAAのようです
:2015/03/31(火) 02:18:16 ID:y4.e4vmk0
おつ
期待値高い
76
:
名も無きAAのようです
:2015/03/31(火) 04:43:13 ID:BnGPU/Fw0
いいね!
薄汚れたダークさが良いかんじ
77
:
名も無きAAのようです
:2015/03/31(火) 08:06:51 ID:NatQvGdc0
しかしモララー達勇気あるな
いきなり友達切られて、そんなおっかないとこ二度と行きたくねぇよ
78
:
名も無きAAのようです
:2015/04/03(金) 10:24:37 ID:Gdnxffc20
乙
いいSF
79
:
名も無きAAのようです
:2015/04/06(月) 19:51:08 ID:0wAG8pQA0
『正義その1』
(,,゚Д゚)「えーーーっ、と。話をまとめますよ、鬱田さん」
中層。
警察署で、二人の男が書類を挟んで話している。
片方は警察官の根子ギコ。
もう片方は、鬱田と名乗るスラム出身の汚い男だった。
('A`)「はい」
(,,゚Д゚)「鬱田さんが夜、お仕事の帰りにVIP街のはずれを歩いていたところに通り魔が来たと」
(,,゚Д゚)「ナイフを持っていたのを見た鬱田さんは、咄嗟に腕で防御、と。顔は見てないんですね」
('A`)「はい、暗かったので」
(,,゚Д゚)「ナイフは見えたんですか」
('A`)「大きなナイフでしたし、少しの明かりに反射してましたから」
鬱田の腕を見る。
薄汚れた包帯が袖から見える。
傷自体は先程見せてもらったが、あの包帯で妙な菌が入らないかが心配になる。
80
:
名も無きAAのようです
:2015/04/06(月) 19:51:51 ID:0wAG8pQA0
(,,゚Д゚)「顔じゃなくても、背格好の特徴とかは」
('A`)「え…髪が長かったです。身長は僕より高かったですけど、女性かもしれません」
(,,゚Д゚)「なるほど」
あまり参考にならない。
これまでに目撃されている通り魔と同一人物であることは分かったが、それまでだ。
あのスラムで、人物の断定には至らないだろう。
(,,゚Д゚)「とりあえず…これで結構です。また調査に伺うかもしれませんので、住所など聞いてもいいですか」
聞いた途端、鬱田は申し訳なさそうに言った。
(;'A`)「あー…住所ですか」
(,,゚Д゚)「?」
(;'A`)「ないです、住所」
スラム出身。
ありがちな話だ。
(,,゚Д゚)「あ、なるほど。じゃあ…そうですね、結構です」
81
:
名も無きAAのようです
:2015/04/06(月) 19:52:36 ID:0wAG8pQA0
そのあと二、三の事柄を確認し、鬱田への質問は終わった。
鬱田を帰し、事前に集めていた情報と照らし合わせる。
(,,゚Д゚)「………」
やはり、思うことがある。
上司に報告しなければ、と思ったところで、ちょうど扉が開く。
ミ,,゚Д゚彡「おう」
男が入ってきた。
髭面で強面、という子供が泣きそうな面構えの男は彼の上司にあたる。
(,,゚Д゚)「あ、フサさん、例の通り魔でちょっと気になることが」
ミ;,゚Д゚彡「帰ってきて一発目にそれか…ちょっと茶だけでも飲ませろ」
フサが休憩とばかりに熱い茶を入れて座り込んだところに近づく。
机に資料を置くと、少し渋い顔をされた。
(,,゚Д゚)「四人目の最下層の人にも話を聞いたんですけど」
ミ,,゚Д゚彡「あー」
82
:
名も無きAAのようです
:2015/04/06(月) 19:53:25 ID:0wAG8pQA0
(,,゚Д゚)「無差別通り魔の話、生きている被害者と目撃者に話を聞きましたが、犯人は共通の一人です」
(,,゚Д゚)「で、恐らくはスラムの住人です。目撃者もいますし、大学生の被害者がやられたのは普通は辿り着けないスラムの奥でした」
(,,゚Д゚)「ここまでは話しましたね」
ミ,,゚Д゚彡「おう。ただ『髪の長い恐らく女性のスラムの住人』なんてキリがない。髪に至っては切られたらそこまでだ」
ミ,,゚Д゚彡「…まだなんかあんのか?」
(,,゚Д゚)「前々から思っていたんですが、これは無差別ではないと思います」
ミ,,゚Д゚彡「…」
フサの表情は読めない。
返事もないので、話を続けることにした。
83
:
名も無きAAのようです
:2015/04/06(月) 19:54:06 ID:0wAG8pQA0
(,,゚Д゚)「わざわざ上層、中層、下層、最下層に住む人々を一人づつ。そもそもここからおかしいんです」
(,,゚Д゚)「ただ無差別に人を殺したいのなら、人口の多い中層か犯行が見つかりづらい最下層に行くはずです」
(,,゚Д゚)「最下層の人を見つけ次第マークするような上層に行くこと自体が危険なのに、何故か犯人は行きました。で、殺したのが偶然にも政治家だった」
(,,゚Д゚)「明らかに不自然じゃないですか」
ミ,,゚Д゚彡「……」
(,,゚Д゚)「……政治家を殺したときの目撃者は一人いましたが、『執拗に切り刻んでいた』そうです」
(,,゚Д゚)「下層の被害者の傷跡は一つでした。最下層と中層の被害者に対しては殺意すら見えない!」
フサはまだ喋らない。
資料に目を落としてはいるが、読んでいる様子もない。
反応の無さに焦れ、ギコの口調も荒くなる。
84
:
名も無きAAのようです
:2015/04/06(月) 19:55:06 ID:0wAG8pQA0
(,,゚Д゚)「こんなの、子供でも分かりますよ!」
(,,゚Д゚)「他の三件はカモフラージュです!本命は政治家一人!!どうせ対抗する別の政治家の仕業でしょうよ!!」
(,,゚Д゚)「なのに何で警察が大きく動かないんですか!!」
フサが大きな溜息をついた。
座り直して、ゆっくりと話し出す。
ミ,,゚Д゚彡「……」
ミ,,゚Д゚彡「……いや、な」
ミ,,゚Д゚彡「……今日は本部に行ってきたんだが」
ミ,,゚Д゚彡「それに関する捜査を打ち切れ、と言われた。テレビには只の無差別通り魔として公表したようだ」
(,,゚Д゚)
(,,゚Д゚)「え」
85
:
名も無きAAのようです
:2015/04/06(月) 19:56:14 ID:0wAG8pQA0
驚いて間抜けな声が出た。
どういうことか知りたかったが、それを察したフサがまた話し出す。
ミ,,゚Д゚彡「金が動いたんだろ、どうせ」
(;,゚Д゚)「それって、政治家が金で揉み消したって事ですか!?」
ミ;,゚Д゚彡「そんなはっきり言うんじゃねぇよ」
ミ,,゚Д゚彡「……世の中、金だな」
(;,゚Д゚)「…………」
何を言っていいか分からなかった。
自分の調査全てをかき消されたこともさることながら、身近にそのような事が起こっているという事実が信じられなかった。
ミ,,゚Д゚彡「……言っておくが、お前一人で調べても無駄だ。テレビ局にも手は回してるだろうし、最悪クビだぞ」
(,,゚Д゚)「…フサさんは、それでいいんですか」
ミ,,゚Д゚彡「慣れた。生憎お前より色々経験してるんでな」
ミ,,゚Д゚彡「まあ、養う家族が居るんなら、逆らわないほうが得だ」
すぱりと言い切られた。
少し悲しげに聞こえたのは、気のせいだろうか。
86
:
名も無きAAのようです
:2015/04/06(月) 19:57:23 ID:0wAG8pQA0
今日はもう帰れ、と言われたので、正直に帰宅することにした。
(,,゚Д゚)
あったことが理解できない訳ではなかった。
街のビルにある、大きなスクリーンがニュースを映し出す。
今は新技術の開発やら、芸能人の不倫やら、他愛もないことを映している。
あそこに、いずれ通り魔のニュースも映る。
犯人は依然捕まっておりません、で済むのだろうと思った。
ただぼうっとしながらバスに乗り、やがて家に帰り着いた。
ドアを開けると、料理の匂いが漂ってくる。
(,,゚Д゚)「ただいま」
(*゚ー゚)「おかえり!」
笑顔で出迎えてくれたのは、恋人のしぃだ。
まだ結婚はしていないが、数ヶ月前から同棲している。
(*゚ー゚)「今日はカレーだよー」
(,,゚Д゚)「おっ、嬉しいな」
少し気が楽になった。
理由は分からない。
87
:
名も無きAAのようです
:2015/04/06(月) 19:58:32 ID:0wAG8pQA0
食卓を二人で囲む。
少し辛いカレーを食べていると、視線が気になった。
顔を上げると、しぃがじっとこちらを見ている。
(*゚ー゚)「何があったの、今日は?」
(,,゚Д゚)「……何もないぞ」
(*゚ー゚)「いーや、あるねっ」
しぃは視線を外さない。
内心で情けなくなった。
隠し事ができない性格は、昔から変えられていないようだ。
そこが好きだと言われたが、ギコ自身としては直したいところではある。
(,,゚Д゚)「こういうのは言っちゃいけないんだよ」
(*゚ー゚)「へえ…」
そのまま黙り込んでしまった。
申し訳ない気持ちになる。
(;,゚Д゚)「…」
(*゚ー゚)「…」
88
:
名も無きAAのようです
:2015/04/06(月) 19:59:30 ID:0wAG8pQA0
(*゚ー゚)「何かあるんなら、相談乗りたいんだけどなぁ」
小さく呟かれた。
大きく心が揺れる。
(;,-Д-)「…………ああ、もう」
(;,゚Д゚)「話すよ」
(*゚ー゚)「ふふ」
頭を撫でられた。
恥ずかしい。
『相手』は、犯罪ひとつの真相を隠すような反則を行っている。
ならば、こちらも話すぐらいの反則を行ってもいいのかもしれない。
無理やりそう思うことにした。
ただ、ばれることはないだろうが、少し怖い。
(*゚ー゚)「あれだね、警察組織の闇ってヤツ。こう言っちゃ何だけど、仕方ないかも」
(,,゚Д゚)「覚悟はしてたんだがなあ」
当たり前だが、話すことで解決はしない。
しかし、心なしかすっきりした。
89
:
名も無きAAのようです
:2015/04/06(月) 20:00:27 ID:0wAG8pQA0
(*゚ー゚)「そういえばね」
今度はしぃの話を聞く。
最近来る野良猫の話が熱いようで、今日もそれだった。
黒い毛並みの猫で、どこから来るのかも分からない。
ただやたらと人懐っこく、しぃも餌をやることがあるとか。
(,,゚Д゚)「俺は見たことないなあ」
(*゚ー゚)「だいたいお昼なんだよねー、ほんとかわいいの」
携帯の写真を見せられる。
猫だ。
(,,゚Д゚)「猫だな」
(;*゚ー゚)「わかってないなー」
(,,゚Д゚)「名前は?」
(*゚ー゚)「わかんない。野良だし」
(,,゚Д゚)「病気とかもらうなよ」
(*゚ー゚)「もらわないよー」
くだらない会話に力を貰い、明日も頑張ろうと思える。
我ながら単純だが、これでいいと思う。
90
:
名も無きAAのようです
:2015/04/06(月) 20:01:15 ID:0wAG8pQA0
今日はここまで
勝手にギコとか出して大丈夫なのか、本来のプランにないぞ
でもこれが書き溜めなしの醍醐味だよね、きっとそうに違いない
91
:
名も無きAAのようです
:2015/04/06(月) 20:51:08 ID:UIIzn.iM0
乙
予定との脱線もブーン系の醍醐味だと思う
ぬこが今後どうなるか気になるぜ
92
:
名も無きAAのようです
:2015/04/06(月) 21:08:56 ID:PfmqmLrA0
おつおつ
新キャラが出て来るとわくわくするもんだよな
93
:
名も無きAAのようです
:2015/04/06(月) 22:15:53 ID:LE4oz7N.0
乙
話の基盤がちょっとずつ出来てきてるな
94
:
名も無きAAのようです
:2015/04/06(月) 22:19:15 ID:mG9HFcWY0
おつ
95
:
名も無きAAのようです
:2015/04/08(水) 23:52:24 ID:.7T4o3yE0
『挑戦その2』
スラムに行って一週間。
(;・∀・)「ふーーむ……」
モララーが唸っている。
目の前には、部室の半分を埋め尽くす大きな機械。
ところどころ配線が剥き出しになり、ランプが明滅している。
モララーをはじめとする全員が困っている理由はそこではない。
スピーカーから断続的に出ている、ざざあ、という音にある。
その音しか出ていない。
(;´_ゝ`)「出力かな…」
(;・∀・)「月から出てるその辺のラジオとかを拾わないようにしたから、それは成功してるってことだけど……」
携帯にメッセージが入った。
部室棟の屋上にいるつーとショボンからだ。
『アンテナ問題ありません』
屋上には自作のアンテナを設置してある。
学校にばれたら撤去されるだろうが、誰も屋上に行かないことが幸いしてか今のところはばれていない。
96
:
名も無きAAのようです
:2015/04/08(水) 23:53:27 ID:.7T4o3yE0
(;・∀・)「パワーが足りない」
ζ(゚ー゚*;ζ「こんなに大きいのに、ですか?」
(;・∀・)「…地球は遠いな」
(゚、゚;トソン「こ、これ以上、機械増やすの?」
(;´_ゝ`)「そうなりますね」
全員が黙り込んだ。
もはや言わずとも分かることだが、場所が足りない。
これだけ大きな機械を置けて、かつ隠せそうところ。
今の部室では後者をクリアしていなかったが、今や前者も怪しくなってくる。
ζ(゚ー゚*;ζ「地球と交信って、どれだけの大きさが要るんでしょう…」
(;´_ゝ`)「やってるところがないんだよね…偉い人達は地球に人はいないって言ってるし」
(゚、゚;トソン「そもそも、あの、地球に通信機があるのか…って」
(;・∀・)「それなんだよなーーーーーーーーーーー……」
97
:
名も無きAAのようです
:2015/04/08(水) 23:54:52 ID:dWOWBBHc0
(;´_ゝ`)「いや、そこはあるものとして考えましょうよ」
(;・∀・)「ううーーん……確証がないのは怖い……」
話が行き詰まりかけ、モララーが菓子に手を伸ばした、その時だった。
小さく断続的に流れていた砂嵐の音が、揺れた。
全員が息を呑み、目が自然と機械に集中する。
「ーーーーーーーーーーーー…カ…ーーーーーー」
「ーーーー、、、ァーーーーーーーーーーーーー」
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
一様に呆気にとられていたが、すぐさまモララーが叫ぶ。
(;・∀・)「音量あげろ!!」
兄者がボリュームを捻ると、砂嵐の音は耳が痛くなる程に大きくなる。
隣の部室が苦情代わりに壁を殴るが、お構いなしに雑音を聞く。
98
:
名も無きAAのようです
:2015/04/08(水) 23:56:05 ID:dWOWBBHc0
(;・∀・)「……………………」
それからは、変化はなかった。
兄者がボリュームを下げていく。
ζ(゚ー゚*;ζ「今の………」
モララーがファイルをひっくり返し、中の資料を手に取る。
菓子の皿が床に落ちたが、モララーは気にも留めない。
(;・∀・)「月から出てる放送は全部弾いたよな?そうだよな!?」
(;´_ゝ`)「はい、何回もみんなで確認しましたよ!」
(;・∀・)「まさか、まさか…」
(゚、゚;トソン「え、え、じゃ、じゃあ、今のって」
ζ(゚ー゚*;ζ「あー、おかしが…」
ちょうどショボンとつーが帰ってきた。
ただならぬ部室の雰囲気に目を丸くしている。
(;´_ゝ`)「おまえら、アンテナに触れたか!?」
(;´・ω・`)「触れてません、えっと、なんですか…?」
(;*゚∀゚)「分からんけど決定的瞬間を逃したことは分かる」
99
:
名も無きAAのようです
:2015/04/08(水) 23:57:08 ID:dWOWBBHc0
(*・∀・)「決定的だ!!!!!」
モララーが両手を挙げて飛び跳ねる。
子供のように、感情のままに。
(*・∀・)「地球には、少なくとも電波を出す機械がある!!!!それも、月まで届く…おそらく、月と話すためのものが!!!!!」
(;*゚∀゚)「は!?」
(゚、゚;トソン「あの、ち、地球から、ちょっとだけ音が入ったの。多分ね」
(;´・ω・`)「え!?」
ζ(゚ー゚*;ζ「そんなにすごいんですか?」
(;´_ゝ`)「割とヤバい事ではある」
付いていけない部員を置き去りに、モララーは一人騒いでいた。
(*・∀・)「ついにだ!!!ついに見つけたーー!!!!!!」
(*・∀・)「もっと大きな場所が要る!!あと、ここからは電波制限法をぶっちぎることになるから…見つからないような!!そんな場所が要る!!!」
(*・∀・)「機械もだ!!部品!!もっと!!!!」
100
:
名も無きAAのようです
:2015/04/08(水) 23:58:43 ID:dWOWBBHc0
五分かけて騒ぎまわるモララーをどうにか全員でなだめ、これからの方針を考え直すことにした。
まず、場所が要る。
(*゚∀゚)「倉庫とかレンタルします?」
(;´_ゝ`)「うーん…すごい大規模な倉庫借りないといけないだろうから、金が…」
(;´・ω・`)「それに、見つかっちゃいそうですね」
( ・∀・)「場所…場所…………」
(;・∀・)「…」
(;・∀・)「スラム?」
(;*゚∀゚)「スラム…」
ζ(゚ー゚*;ζ「イメージ的に空き地自体はありそうですけどー…」
(;´_ゝ`)「もう行きたくない…」
(゚、゚;トソン「でも、そっ、そこ以外ないような…」
(;´・ω・`)「またあの人に相談してみます?行って…」
(;・∀・)「……だな」
101
:
名も無きAAのようです
:2015/04/09(木) 00:00:16 ID:szvJOWe20
*
('A`)「置き場所?」
その日の午後、すぐにモララーと兄者がスラムへ向かった。
兄者は終始びくびくしている。
無理もないことだが。
何故かこの家にいた黒猫が足元に寄ってくるので、それを撫でてどうにか気を落ち着けている。
(;・∀・)「ないですかねー」
(;´_ゝ`)「…」
('A`)「あー…アレか、地球と通信だっけ、ついこの前の」
鬱田という男は椅子に座り、二人にも座るよう促した。
二人が慎重にソファにかける。
壊れそうに軋むのが不安だ。
('A`)「割と広いなー…」
考え込んでいる。
伝えた広さに見合う立地を、脳内のスラムの中で探しているのだろう。
102
:
名も無きAAのようです
:2015/04/09(木) 00:01:24 ID:szvJOWe20
(;・∀・)「そもそも、そういうのって…いいんですか?」
('A`)「何が」
(;・∀・)「置いたり…」
('A`)「いいんじゃない?あのゴミ山が放置されてんだし」
(;・∀・)「あー…確かに」
(;'A`)「まあ、探しておくよ。多分見つかる。三日後にまた来てくれ、今日は帰りな」
(;´_ゝ`)「はい!帰ります!」
二人が立ち上がったところで、家のドアが開いた音がした。
黒猫が走って見に行き、すぐに帰ってきた。
ぺたぺたと裸足で歩く音で、ゆっくりと一人の人が入ってくる。
後ろのドクオの顔が少し曇ったが、二人は知る由もない。
103
:
名も無きAAのようです
:2015/04/09(木) 00:02:42 ID:szvJOWe20
イ从゚ ー゚ノi、「?」
(;´_ゝ`)「あ……」
忘れもしない、あの女。
怖がりこそすれ、まさか遭うとはおもっていなかった。
遭いたくもなかった。
(;'A`)「あー…」
(;・∀・)「え、あ、あの、鬱田さん、あの人って…お知り合い…とか……?」
兄者の顔が恐怖に歪む。
(;´_ゝ`)「うっ、うわああああああああああああ!!!!!!!」
震える手で鞄を探り、包丁を取り出した。
(;´_ゝ`)「くく、来るな!ああ、えっと、さ、刺すぞ!」
イ从゚ ー゚ノi、「あー、あの時の!」
女はやっと思い出すことができたようで、少し笑った。
余裕がある。
104
:
名も無きAAのようです
:2015/04/09(木) 00:04:02 ID:szvJOWe20
(;'A`)「えーっと…今は無害だから大丈夫だぞ」
(;´_ゝ`)「も、も、モララーさん!通報!!」
(;・∀・)「けっ、携帯つながんない……」
イ从゚ ー゚ノi、
イ从゚ ー゚ノi、「あの時はよくもやってくれたね」
(;´_ゝ`)「うわああああああ!!ごめんなさい!!!ごめんなさい!!!でも俺じゃないです!!!」
(;'A`)「怖がらせんな!めんどくさい!!」
イ从*゚ ー゚ノi、「ふふふっ」
狭い家の中が大混乱に陥る。
意外にも、女に殺意はない。
兄者を見て面白そうに笑う姿は、この前とは大違いだ。
そう観察するモララーは、兄者が真横で騒ぐために逆に冷静になれていた。
(;´_ゝ`)「たすけてダスト!!」
「にゃー」
(;・∀・)「鬱田さん、これは……」
(;'A`)「とりあえず座れ」
105
:
名も無きAAのようです
:2015/04/09(木) 00:06:13 ID:szvJOWe20
十五分後。
通り魔と被害者が対面に座る、奇妙な絵面が出来上がった。
鬱田より、事のあらましを話された。
(;´_ゝ`)「………仕事?通り魔が?」
イ从゚ ー゚ノi、「そうだよ、細かいことは言えないけどね」
('A`)「話したくはなかったが…当たり前だが内密にしろよ。バレたらお前達を真っ先に疑うからな」
(;´_ゝ`)「犯罪じゃないですか…それで俺怪我したんですか…下手したら死んでたんですか……」
イ从゚ ー゚ノi、「殺す気ならもっと追ってた」
('A`)「そもそもここをどこだと思ってる」
( ・∀・)「兄者、この際順応しよう」
(;´_ゝ`)「何でお前平気なのぉ…」
( ・∀・)「なんか逆に」
('A`)「とにかく、俺たちのすることに口を出すな。お前らの使う場所を見つけてやる対価はそれだ」
(;´_ゝ`)「はい…」
今度こそ帰れ、と言われて二人で家を出る。
兄者は終始震えていた。
106
:
名も無きAAのようです
:2015/04/09(木) 00:07:58 ID:szvJOWe20
鬱田の店を出る。
一応、道はもう覚えた。
(;´_ゝ`)「もう散々ですよ…」
( ・∀・)「これからもここに通うことになるんだぞ」
(;´_ゝ`)「えーーー…」
( ・∀・)「逆にあの女の人はもう安全ってことだろ?」
(;´_ゝ`)「そうですけどぉ………」
(;´_ゝ`)「モララーさんはそう言えますけど…俺にとってはトラウマもんなんですよ…」
話しながらいくつかの角を曲がる。
黒猫もついてきていた。
( ・∀・)「兄者は怖がりだなー、ダスト。俺はもう慣れたよ」
(;´_ゝ`)「もう来たくない…」
そうは言っても、また来る必要はあるのだが。
話をするうちに、だんだん兄者も落ち着いてきた。
107
:
名も無きAAのようです
:2015/04/09(木) 00:09:14 ID:szvJOWe20
一つの角を曲がった時だった。
同じく向かいから曲がってきた男と、モララーがぶつかってしまった。
(;・∀・)「あ、すんません…」
(;,゚Д゚)「あ、こちらこそ申し訳な……あ」
(;´_ゝ`)「あ」
ミ,,゚Д゚彡「お?」
いつかの警察官だ。
兄者の通り魔事件を調べていた人だった。
が、もう一人は知らない。
(;´_ゝ`)「あ、根子さん…と、」
ミ,,゚Д゚彡「房田フサだ。誰だ?」
(,,゚Д゚)「えーっと、件の通り魔の被害者の方です」
ミ,,゚Д゚彡「あー」
( ・∀・)「犯人、捕まりそうですか」
(,,゚Д゚)「…捜査中だ」
108
:
名も無きAAのようです
:2015/04/09(木) 00:09:57 ID:szvJOWe20
ミ,,゚Д゚彡「今はちょっとな、別件だ」
( ・∀・)「別件?」
(,,゚Д゚)「指名手配……とまではいかないが、呉島シャキンというやつを探している」
(;´_ゝ`)「知らないですね…」
ミ,,゚Д゚彡「この辺で目撃報告があったもんでな、見回りさ」
( ・∀・)「誰ですか、その人」
(,,゚Д゚)「テロリストだよ。月虎とかいう」
( ・∀・)「あーー、聞いたことあるような…でも知らないですね……」
( ・∀・)「じゃ、僕らこれで」
(,,゚Д゚)「待て」
(;・∀・)
(,,゚Д゚)「最近、お前らの大学からよく分からん電波が検出されてる」
(,,゚Д゚)「お前ら、どこ行ってた?何故こんなとこにいる?」
109
:
名も無きAAのようです
:2015/04/09(木) 00:10:54 ID:szvJOWe20
(;・∀・)「…探検です」
(;´_ゝ`)「……」
ミ,,゚Д゚彡「…」
(,,゚Д゚)「…」
嫌な沈黙が流れた。
根子が横の、おそらくは上司に視線をやった。
こいつらどうしますか、といったところか。
房田は少し笑った。
その意図は分からない。
ミ,,゚Д゚彡「……」
ミ,,゚Д゚彡「…ま、いいだろ」
(,,゚Д゚)「いいんですか」
ミ,,゚Д゚彡「探検なら仕方ない」
(;・∀・)「あ、ありがとうございます…信じてくれて」
(;´_ゝ`)「なんで、そんな…」
兄者が聞くと、房田が顎をかきながら悩む。
ミ,,゚Д゚彡「そうだなあ」
110
:
名も無きAAのようです
:2015/04/09(木) 00:11:36 ID:szvJOWe20
ミ,,゚Д゚彡「抵抗だな」
(;・∀・)「え?」
ミ,,゚Д゚彡「いや。あ、近いうちに大学に電波の調査に行く予定だぞ」
(;´_ゝ`)「え、え」
訳が分からない。
呆気にとられているうちに、二人はさっさと行ってしまった。
取り残されたモララー達は、ただ立ち尽くしていた。
何かから助けられたのかも、と気づいたのは、随分後の事だった。
111
:
名も無きAAのようです
:2015/04/09(木) 00:12:19 ID:szvJOWe20
ミ,,゚Д゚彡「房田フサだ」
フサさん適当な苗字にしてごめんなさい
狐娘が可愛く見えてきたよ
今日はここまで
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