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▼・ェ・▼その男、所詮、『犬』のようです。
381
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 02:12:27 ID:HiScNp2.0
<ヽ`∀´>「スニフィ」
ニダーは杖を支えにおぼつかない脚でゆっくりと立ち上がり、スニフィの前までよたよたと歩みを進め、やがて静かに頭を下げた。
<ヽ`∀´>「娘が、失礼な事をしたニダ。許して欲しい」
Σz; ゚ー )リ「あっ……いや、私は別に」
親愛なる父が、裏切者である筈のスニフィに、頭を深々と下げている。
一瞬、ポカンとした表情で停止していたヒートだったが、状況を飲み込んだ瞬間、先程のような激憤が沸き上がり、抗議の叫びをあげた。
382
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 02:14:20 ID:HiScNp2.0
ノハ#゚⊿゚)「何でだよ親父いいぃぃ!?」
興奮のあまり、父にも食ってかかろうとするヒートに割って入るようにクールが遮りながら、冷めたような口調で口を開く。
川 ゚ -゚)「いい加減に落ち着けヒート」
ノハ#゚⊿゚)「姉貴……だってよお……?」
川 ゚ -゚)「ヒート」
ノハ#゚⊿゚)「だって……だってよお!?」
我を通さんと訴え続ける妹にクールは顔をしかめながら、底冷えするような低い声色で静かに怒りを露わにした。
383
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 02:16:00 ID:HiScNp2.0
川#゚ -゚)「お父様の声が聞こえなかったのか? 我が妹、ラーセン・ヒート……!」
姉の射殺さんばかりの冷たい眼差しを至近距離で浴びたヒートは、バツが悪そうな顔で何か言いたそうにモゴモゴと口を動かし、頭を掻きむしる。
やがて声にならない唸り声を上げながらその場で地団駄を踏み始めたかと思うと癇癪を起こすように「ああー!!」と大声を出しながら、氷の槍の輪郭を一瞬で消失させた。
そしていかにも機嫌が悪いとアピールするような乱雑な動作で、落とした葉巻をむんずと拾いあげると舌打ち1つ残して姉に背を向け、ズンズンと扉の方に歩みを進めた。
384
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 02:18:12 ID:HiScNp2.0
川#゚ -゚)「おい! 話の途中で何処に行くつもりだ!」
ノハ#゚⊿゚)y‐「るっせえ!! 腹が冷えたから便所行くんだよ!!」
呼び止める姉の声を無視して扉を勢いよく蹴飛ばして開くと、ヒートは大きな足跡を鳴らしながらそのまま退室していってしまった。
蹴りの反動で品の良さそうな赤茶色の、木製扉がキィッと悲鳴のような音を立てながら内側に戻り、やがて静かに閉じた。
妹の粗暴な態度にクールは頭が痛いと言わんばかりに大袈裟に頭を抱えながら「オマエが腹を冷やす訳が無いだろうが……」呟きと同時に小さなため息をもらす。
そしてスニフィの方に向き直ると父の動作に習うように彼女に深々と頭を下げた。
385
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 02:20:07 ID:HiScNp2.0
川; ー -ー)「申し訳無い、スニフィ嬢。妹の不躾な態度、姉の私が代わりに詫びさせて頂く」
Σz; ゚ー )リ「ニダー様もクール様も頭を上げて下さいよ! 元々失礼な事を言ったのはこちらなんですから!!」
深々と頭を下げるニダーてクールに、スニフィは少し困ったような顔でわたわたと頭を上げるように懇願する。
今でこそ違えど、彼女もまたイエローモンキーのファミリーだった人間。
ヒートの心情も、十分に理解していたし、イエローモンキーのファミリーがどれ程に深い絆で結ばれているかも知っていた。
なぜなら彼女自身も、この家族がたまらなく好きだったのだから。
386
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 02:21:36 ID:HiScNp2.0
<ヽ`∀´>「スニフィ」
クールの手を借りながら再び席についたニダーが、彼女に顔をしっかりと向けて口を開いた。
<ヽ`∀´>「敵の目星はついているニダ?」
ニダーのその言葉にスニフィは短く、はい。とだけ答えた。
多くを語らないあたり、やはりニダーに仇の正体を教えるつもりは無いようだ。
<ヽ`∀´>「その、敵についての情報源はどこからニダ?」
Σz ゚ー )リ「それはいくらニダー様でも教えられません」
<ヽ`∀´>「ジョニーウォーカーか?」
Σz ゚ー )リ「……」
<ヽ`∀´>「そうか」
387
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 02:22:36 ID:HiScNp2.0
無言を貫くスニフィの態度に、1人納得したような、態度で静かにニダーは頷いた。
そして、自分の顎髭を弄りながら何か考えるような動作をしたあと、またスニフィの方向に顔を向け、口を開いた。
<ヽ`∀´>「スニフィ。君の言う通り、この老いぼれは大人しく傍観させて頂く事にするニダ」
<ヽ`∀´>「けれど、1つだけ。1つだけ約束して欲しい事があるニダ。」
ニダーは真剣な声色でスニフィに語りかける。
彼女の方に顔を向けるニダーの瞳はもちろん閉じられている。
それでも、スニフィはまるでニダーから心の奥底まで見詰められているような気がして、なんとも言えないプレッシャーが彼女の身体を覆った。
388
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 02:34:25 ID:HiScNp2.0
<ヽ`∀´>「シナーのように生き急ぐな。我武者羅に突っ走って、どうか、どうかその命を散らすような事だけはしないでくれ」
<ヽ`∀´>「それだけニダ。それだけでいいニダ。どうかそれだけは、この死に損ないの爺の我儘を聞き入れて、どうか約束してくれ」
祈るようなニダーの言葉にスニフィは彼の瞳をじっと見つめる。
絡み合う事の無い視線が今、確かに繋がりあった気がした。
Σz ^ー )リ「ご心配は無用です」
スニフィは笑顔で、ニダーに答えた。
389
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 02:36:32 ID:HiScNp2.0
彼女はまるで踊るようにその場で勢いよく回転すると、太股に隠していた第3のホルスターから拳銃を取りだし、右手にしっかりと握ってニダーの見えない瞳に見せつけるかのように突きだした。
彼女の手に握られた、黄金に輝くリボルバー。
今は亡き、父親の形見。その名は……
<ヽ`∀´>「……黄龍」
龍が彫られた黄金色のシナーの忘れ形見は、ニダーの言葉に呼応するかのようにキラリと輝いた。
そしてニダーの言葉に肯定の意味を込め微笑みを見せたスニフィは、真剣な眼差しで声高らかに宣言する。
390
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 02:40:41 ID:HiScNp2.0
Σz#゚ー )リ「『ドラゴン』が首領、『杏露・シナー』が娘『杏露・スニフィ』」
Σz#゚ー )リ「その志、引き継ぎ、私は弱い自分と決別します!!」
Σz#゚ー )リ「我が名は『アブソリュート・スニフィ』! 『ウルボロス』が首領、アブソリュート・スニフィ!」
Σz#゚ー )リ「決して潰える事の無い、誇り高き龍の魂をここに示さんが為に!!」
Σz#゚ー )リ「そして万物をも屈伏させる絶対的な龍の力を示す為に!!私は……私は……!!」
Σz#゚Д )リ「父の仇を討ってみせる!!」
暗闇に飲み込まれた瞳の奥、ニダーの瞳は確かにその姿を見た。
蒼い息吹を小さく漏らし、見るもの全てを屈服させる、黄金に輝く、龍の姿を。
そしてその龍を従える、誇り高き彼女の姿。
天高く届けと黄金の拳銃を突き上げる、まさに、戦乙女の姿を。
391
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 02:42:17 ID:HiScNp2.0
Σz ゚ー )リ「再見、翁翁(さようなら、お祖父様)」
チャイナドレスを小さく翻し、足音を鳴らしながらスニフィは颯爽と歩き出して行く。
その、凛々しき佇まいは、まるで龍の如く、気品高く、美しいものであった。
<ヽ`∀´>「また会おう、愛しき孫娘」
ニダーはゆっくりと瞳を閉じながら静かに呟く。
龍の魂を引き継ぐ、親愛なる『孫娘』を。
スニフィを信じ、そして、小さく、強く、願った。
<ヽ`∀´>(龍の魂を持つ戦士に、神の御加護があらんことを……)
.
392
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 02:44:11 ID:HiScNp2.0
―――その願いが、無惨に破れさる事も知らずに。
.
393
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 02:44:59 ID:HiScNp2.0
―――――――――――――――――
.
394
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 03:05:51 ID:HiScNp2.0
雲がかかった三日月照らすスラム街。
とある西部の薄汚れた路地裏で1人の年老いたホームレスがディナーを探し、ダストボックスを漁っていた。
汚物を掻き分ける事、約10分。
殆ど形の残っているチキンの残骸に顔をほころばせる浮浪者に、小さく黒い影が飛び掛かる。
/# ,' 3「うわっ……この糞ねずみが!!」
食い物の匂いに釣られ路地裏にやってきた1匹のドブネズミがチキン目掛けて飛び出したのだ。
/# ,' 3「このっ! このっ! どっか行けや!!」
395
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 03:07:07 ID:HiScNp2.0
しかし身体の大きい人間には敵わず、チュウチュウとかん高い鳴き声をあげながらと逃げ出していく。
ダストボックスから離れたネズミは道なりにスラムの路地裏チョロチョロと音を立てながらを突き進む。
そしてゴミ山の辺りを通りかかったところで……
―――暗がりから矢のように飛び出した人間の手によって一瞬で握り潰された。
.
396
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 03:09:26 ID:HiScNp2.0
叫び声を上げる事すら許されなかったドブネズミの亡骸は吸い込まれるようにゴミ山の中へと消えていく。
やがてゴミ山の奥に広がる、腐臭ただよう暗がりから、ボリボリと何かを噛み砕くような音が鳴り出す。
やがてその音が、ぐちゅぐちゅと言った生々しいものに変わると同時に、小さな鳴き声のようなものが微かに響いた。
―――――わふぅん。
と。
397
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 03:10:18 ID:HiScNp2.0
以上、後半に続く。
ありがとうございました。
398
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 03:38:45 ID:RVbECozcO
乙。面白いよ
399
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 06:57:08 ID:ebWx9iMI0
おつ
400
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 13:16:38 ID:W044AsTI0
犬の出番が少ないことが不穏でしかない
401
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 14:32:33 ID:uUO.3mPc0
漫画でも主人公不在は多いからな
402
:
名も無きAAのようです
:2015/03/04(水) 19:08:40 ID:J9s8HNg20
今回も乙
ビーグル怖いです
403
:
名も無きAAのようです
:2015/03/05(木) 05:01:48 ID:SVoDhe0s0
乙や感想ありがとうございます。
2日以内に後編を投下します。
また2話完結後に番外編についての投票or安価を行いますのでご了承下さい
404
:
名も無きAAのようです
:2015/03/06(金) 19:31:25 ID:09HVQ3sE0
お、番外編もあるのか!
楽しみ。待ってるぜ
405
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 03:45:52 ID:3GImjMyI0
1です。
今夜の深夜0〜1時に後編を投下します。
またこれにて第2話完結となりますので予告していた番外編の投票を開始します。
番外編は前後編無しの1話完結。
本編で拾い切れなかったキャラを中心にやって来たいと思います。
今回は、東、南&北、交差点の3択になりますので、よろしかったら投票お願いいたします。
406
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 03:49:05 ID:ynTTJU7s0
乙
楽しみにしてる
東に投票しよう
407
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 03:49:53 ID:3GImjMyI0
東…1.5話 拷問
ハインリッヒ、ツー、フィレンクト
アマレット・ツーが目覚めると、そこは薄暗い地下室のようだった。
自分の両手両脚は壁に張り付けられるように完全に拘束され、口にはギャグボール。
混乱するツーの目の前に、やがて2人の男女が現れる。
それはサディストと恐れられた女、東のクリムゾンヘッドが首領ハインリッヒと、その右腕のフィレンクトだった。
次第に状況を把握し、己の運命にすすり泣くツー。
そしてハインリッヒはそんなツーを宥めるかのように、落ち着いた表情でこう告げる。
「まあ、実のところ、お前は今から死ぬんだけどよお」
ソウサクシティ1のサディストによる悪夢のような拷問が、今、始まる……
ギャグ☆
シリアス☆☆☆
エロ☆
グロ☆☆☆☆☆
408
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 03:52:15 ID:3GImjMyI0
南&北…2.5話 龍
スニフィ、ペニサス
とある筋から父、シナーの仇は北のナインテールの者だと掴んだスニフィ。
ドラゴンの残党の中でも、誇り高く、また強者のみを厳選し新しく発足した新グループ『ウルボロス』の面々を引き連れ、北の領土に仇討ちに向かう。
圧倒的な力を見せ付け、全てを焼き払わんとする龍の魂を胸に突き進むウルボロスの前に、偶然にもある1人の女が立ち塞がる。
ボサボサの黒髪にすっぴん。あくび混じりの何ともやる気の無い表情を見せるジャージ姿の女『カリラ・ペニサス』。
ナインテールの幹部だと名乗る女に対し、闘志を剥き出しで襲いかかるウルボロスの面々。
50対1という圧倒的な戦力差。だがスニフィの胸には漠然とした、嫌な予感が広がっていた……
ギャグ☆
シリアス☆☆☆☆
エロ☆
グロ☆
409
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 03:53:33 ID:3GImjMyI0
交差点…2.5話 紳士
デミタス、ドルシア、ニュックン
ジョニーウォーカーことデミタスに不思議な力を見せ付けられ、すごすごと逃げ帰ったニュックン。
だが逆恨みした彼はジョニーウォーカーと、彼と親しい女性であるドルシアを抹殺する計画を立てる。
そしてその夜、ドルシアが1人で店仕舞いをしているのを確認したニュックンは大勢の仲間達と共に報復に向かう。
だが彼はまだ知らなかったのだ。
コーヒーと平和と秩序を愛する、黒い紳士を敵に回すことが、どれだけ恐ろしいかと言う事を……
ギャグ☆☆
シリアス☆☆☆☆
エロ☆
グロ☆☆
410
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 03:54:52 ID:3GImjMyI0
以上の3択になります。
投票よろしくお願いいたします。
411
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 06:37:18 ID:tAwus6aA0
交差点
412
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 07:07:03 ID:n.McMSOs0
東に一票
413
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 07:11:56 ID:xXD/MTTo0
交差点!!
414
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 07:47:44 ID:Oe8lhscM0
交差点
いつも楽しみに見てるよ
415
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 08:02:53 ID:tq.8jyIg0
交差点に一票
416
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 08:08:52 ID:y.20NHD20
おお、ニュッくんは無事逃げて生き延びてたのか。
交差点で
417
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 08:50:37 ID:45N8lII60
交差点!
418
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 09:44:49 ID:j93vH49E0
ヤバい全部見たい
2話前編見た後にシナー生存ルートがあったぐらいのさらっとでいいからボツになった話教えて欲しい
419
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 10:28:28 ID:RcNfU/LY0
交差点に一票
420
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 10:35:59 ID:RGOVKMGM0
交差点!
421
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 10:37:14 ID:qM6HKVwYO
リョナリョナ期待の東一択
422
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 10:44:33 ID:43pyUaI.0
南&北が読みたいです
423
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 12:51:16 ID:LbMyB8Gc0
南北
424
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 13:26:16 ID:XASJMEoA0
交差点に一票
425
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 14:57:33 ID:pb1Gf4h60
>>418
第3話まで西ルートですので、そこまで完結したらザックリと説明致します。
登場キャラの関係で今はまだ詳しくは……申し訳ありません。
ちなみに第4話以降はまた投票で決める予定です。
1です。
仕事の関係で投下が丸1日遅れます、申し訳ありません。
投票に関しましては本日の21時を〆切とさせて頂きます。
426
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 17:12:42 ID:HPqvlYuQ0
東
427
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 19:18:30 ID:zTx18nJQ0
ひがし
428
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 20:23:51 ID:Eb7Y8wM.0
交差点
429
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 21:22:37 ID:43pyUaI.0
趣向ってあると思うけど
安価で1回目は西
>>277
の安価では2
今回のは南&北を見たいって思った俺はどんだけ西が好きなんだよと思う
430
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 21:44:24 ID:GN3mGkH20
スニフィの良さも分かる。
ペニサスが気になるのも分かる。
ツーリョナに心惹かれるも分かる。
だがな、俺はどうしてもドルシアの笑顔とジョニーウォーカーの本気がみたいんだ。
悪いな兄弟。
431
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 21:54:54 ID:PnGgqBYYO
だいぶ迷ったけど交差点で
432
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 22:53:31 ID:XYM1QxMo0
つーのリョナ見たいんで東で
433
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 22:55:15 ID:qb.FD8Ng0
東
434
:
名も無きAAのようです
:2015/03/07(土) 23:29:40 ID:RZiQzZU20
これはスニフィ
435
:
名も無きAAのようです
:2015/03/08(日) 00:06:35 ID:B.r6.niI0
東
436
:
名も無きAAのようです
:2015/03/08(日) 00:51:03 ID:05IwwxK20
交差点で頼む
437
:
名も無きAAのようです
:2015/03/08(日) 04:21:08 ID:V7OJHe8Y0
東
ネタがあるなら人気ある順にどれも書いても大丈夫じゃね?
と言うかお願いしますお願いします
438
:
名も無きAAのようです
:2015/03/08(日) 06:59:52 ID:4AnMlR8.0
もう締め切ってんぞ
439
:
名も無きAAのようです
:2015/03/08(日) 07:16:45 ID:3paBfXzk0
>>437
私もやりたいのは山々なのですが、そうすると本編がいつまで経っても終わらない計算になってしまうのでちょっと無理っぽいです。
沢山の投票ありがとうございました。
番外編は交差点が舞台の2.5話『紳士』に決定致しました。
第2話投下完了後に少し短めですが投下させて頂きます。
ご協力ありがとうございました。
440
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 02:36:24 ID:ahzEFXIY0
朝5〜6時から投下します。
441
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:00:55 ID:ahzEFXIY0
長くなりますのでゆっくりと投下します。
442
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:02:58 ID:ahzEFXIY0
青空の下、小鳥のさえずりが響く。
吹きだまりのスラム街と言えど、永遠に曇り空が覆っている訳もなく、その日の空模様は快晴。
くすんだ町並みに同化するソウサクシティの住人達もどこか晴れやかな気分だった。
そんな爽やかな晴天の下、小さな少年がヨタヨタとふらつきながら大通りを歩いている。
(;><)「あうあうー……ちょっと貰い過ぎちゃったんです……」
背丈は150あるか、無いかと言ったところ。
その腕もその脚も、強く握ってしまえば折れてしまいそうな程に細く、くすみの無い白に染められた肌の色が、その儚さみたいなものを強調している。
443
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:04:28 ID:ahzEFXIY0
頭にはかなりオーバーサイズと思われる茶色のキャスケットをすっぽり被り、そこから、はみ出るようにして顔を出すくるくるとカールしたふわふわの金髪は、まるで童話やら神話やらに出てくる小さな天使を思わせるそれで、お日様の輝きに応えるようにきらきらと輝いている。
顔つきは幼く、どことなく女性っぽい。
細目の奥からは宝石のように青い瞳が小さく輝き、目元から羽のように生える長めの睫の色はヘアーと同色のきらきらとした小麦のような金。
鼻は少々低めで、唇はぷっくりとふくらみ、わずかにピンク色をおびている。
頬はぷっくりと膨らみ、リンゴほっぺという形容詞がぴったりで、この天使のような少年の幼さを全体的に強調させているようだ。
444
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:05:44 ID:ahzEFXIY0
ところどころに汚れが目立つ白いシャツに、サスペンダー付きのチェックのハーフパンツ。
首もとにはチープな服装とは対照的に高級感の溢れるワインレッドとシルバーのロザリオが垂れ下がるように輝いている。
しっかりとふくらはぎの辺りまで伸ばした白いソックス、それからパッと見ても少し傷みが目立つ黒いスニーカー。
そして両手で抱えるようにしてしっかりと抱えた大きめの茶色い紙袋。
その口の方からは少年が歩く度にひょこひょこと焦げ茶色のクロワッサンが顔を出し、危うく落っこちそうにならないかと見ているものを不安にさせることだろう。
まるで天使のように愛らしい。と皆が口を揃えながら庇護欲や母性を掻き立てる。
そんな魅力が、この金髪の小さな少年『フランジェリコ・ビロード』には確かにあった。
445
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:06:31 ID:ahzEFXIY0
(;><)「ベーカリーのお姉さん、優しくていっぱいオマケしてくれるのは嬉しいんですけど……」
2、3歩進めば右によろよろと寄り。
2、3歩進めば今度は左によろよろと。
すれ違ったスラムの住人の張り積めた顔が思わずほころんでしまうような微笑ましい光景。
だが、本人的にかなりはいっぱいいっぱいの状況のようで、額からは汗も浮かんでいる。
(;><)「いくらなんでも多すぎるんです! 100ドル分のクロワッサンを下さいって言ったのに、これは明らかに300ドル分ぐらい入ってるんです!」
446
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:07:17 ID:ahzEFXIY0
いきつけのベーカリーのお姉さんは気前がいい。
彼女にショタコンの気質があるのか、それとも単に幼い顔つきのビロードに母性をくすぐられるのかは定かでは無いが、いつもいつもビロードがパンを買いに行くたびに沢山のオマケをして貰う。
だが、今回ばかりはお姉さんの善意が裏目に出てしまったらしく、紙袋にほとんど遮られた視界を必死に凝らしながはビロードはヨタヨタと歩みを進めていた。
しかし、前へ前へと注意を向けていると足下がお留守になるもので、彼の右足がレンガの窪みに引っ掛かる。
(;><)そ「ふみゃああ!?」
バタンと音を立てながらスッ転ぶ。
せっかくの美味しいクロワッサンを落とさん、と両手で紙袋をしっかりと庇っていたものだから顔面から勢いよく大地にキス。
幸い大きな怪我は無かったものの、鼻の辺りを打ち付け軽く擦り傷を作ってしまった。
447
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:09:00 ID:ahzEFXIY0
(;><)「あうあうー……痛いんです……」
小さめな鼻の頭を擦りながら涙目で立ち上がるビロード。
ただでさえ低めの鼻がさらに潰れたりしてないだろうか。
そんな心配事に頭を悩ませている時、彼の視界にころころと転がる茶色い物体が横切った。
(;><)「あっ!? クロワッサン!!」
ビロードの必死のファインプレーのお陰で奇跡的に紙袋内の戦利品には大きな被害が出なかったようだが、それでも勢いあまって1匹だけころころと逃げ出してしまったらしい。
不規則に揺らめくように転がっていくこんがりクロワッサンは斜面に従って下に下にと転がり、やがて引き寄せられるかのように小さな路地裏に入ってしまった。
448
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:10:02 ID:ahzEFXIY0
(;><)「あぁ!? 待って欲しいんです!」
ビロードはパタパタと慌てた様子で曲がり角に消えたクロワッサンを追いかけていった。
.
449
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:10:49 ID:ahzEFXIY0
(;><)「あうう……汚れちゃったんです」
路地裏に入って5メーター程のところでようやく停止したクロワッサンは全体に砂ぼこりを被っており、とても食べられる品物ではなかった。
ガックシといった表情で両手でクロワッサンを優しく掴み、引き返そうとするビロードだったが、彼の足は聞きなれない大声に引き留められる事となった。
「目障りなんだよこの死に損ないが!!」
若い、男の声だった。
路地裏の奥の方から、男の怒鳴り声。
450
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:12:12 ID:ahzEFXIY0
( ><)「今のは……?」
一瞬、怒気を孕んでいるだろう大声に恐怖で固まったビロードだったが胸元のロザリオを左手でぎゅっと掴むと、恐る恐る声のした方向に進んで行った。
声のする方に近づく度に、若い男達の笑い声と、何かを打ち付けるような鈍い音が聞こえてきた。
足音を立てないよう、道なりに進むと、やがて薄暗く、滅多に人が近寄らないであろう曲がり角に突き当たった。
( ><)(この先から声がするんです)
壁に身体を張り付けるようにして支え、恐る恐る覗き込む。
451
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:13:50 ID:ahzEFXIY0
彼の視線の先には3人の若い男、それからボロボロの黒いローブに身を包んだ男がうずくまっているのが見えた。
( ノAヽ)「おら! 悲鳴の1つでもあげてみろよホームレス!!」
( `ー´)「俺ら楽しませないと殺しちゃうよーん?」
( )「……!」
暴力だった。
純粋な少年の目に写っていたのは、鉄パイプやらナイフやらを持った若者が、無抵抗のホームレスを殴り、蹴り、いたぶる。
まさに純粋なる暴力の現場だった。
(;><)(何であんな事……!?)
452
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:15:47 ID:ahzEFXIY0
このような事は大して珍しい事ではない。
晴れやかな青空の下でも街の何処かでは銃声が鳴り響き、また何処かでは若い女が強姦されて捨てられる。
そういった、どす黒い日常が当たり前になったこのソウサクシティでは暴力行為などまさに日常茶飯事。
さらに言うなら住所も市民権も剥奪されたホームレスは理不尽な暴力の対象にはうってつけで、ほぼ毎日のペースで誰かしらがリンチにあい、殺され、放置される。
それが、腐りきった吹き溜まりの『当たり前』の光景だった。
しかしそれでも、暴力から遠ざけられ、スラム街の数少ない良心によって育てられた無垢なる少年、ビロードにとってその光景はあまりにもショッキングで、あまりにも赦しがたい光景だった。
453
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:16:36 ID:ahzEFXIY0
(;><)(酷過ぎるんです……このままだったらあの人、死んじゃうかもしれないんです!)
恐怖でカタカタと小さい身体を震わせながら、必死で目の前の悪行から目を背けまいと葛藤するビロード。
しかし、まさに最悪のタイミングで男の1人が笑いながらこう言った。
( ゚¥゚)「うーし。飽きてきたし、そろそろ殺すか」
ビロードは自分の耳を疑った。
あんな何でもないような笑顔で、今あの男は目の前の弱者を殺すと言ったのだ。
そして男はうずくまるホームレスにサッカーボールを蹴飛ばすようなキックを1発入れると、右手に握っていた鉄パイプのようなものをゆっくりと振り上げた。
454
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:17:21 ID:ahzEFXIY0
(;><)(嘘……嘘……!)
(;><)(止めてよ……止めてよ……!!)
やがて若者の手にしっかりと握られた、その細長い鉄の固まりがゆっくりと浮かび上がり、やがて宙で静止した。
そして得物を握り締めた男は自身の足元に無様に崩れ落ちる浮浪者に、まさに汚物を見るような表情で吐き捨てるように死刑宣告を告げた。
( ゚¥゚)「死ね」
男の右腕に力が入り、うずくまる男の脳天をかち割る為に勢いよく鉄パイプを降り下ろす。
その瞬間……
455
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:21:11 ID:ahzEFXIY0
(# ><)「止めて下さい!!」
薄汚い路地裏に、少年の天使のようなボーイソプラノが響き渡った。
目の前で繰り広げられる明らかに理不尽な暴力の現場に、信仰深き少年、フランジェリコ・ビロードは堪えきれずに飛び出したのだ。
(# ><)「何でそんな酷いことをするんですか!! 僕にはわかんないんです!!」
(# ><)「あなた達の兄弟に謝りなさい! あなた達の両親にあやまりなさい! 偉大なる父にあやまりなさい!」
(# ><)「それから何よりも! その男の人にいっぱい謝りなさい!!」
456
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:22:38 ID:ahzEFXIY0
うずくまるホームレスを指差し、幼い顔立ちに必死に怒りの形相を浮かべ男達に詰め寄るビロード。
いきなり登場して、かん高い声で必死に叫ぶ少年に、最初はポカンとした様子で停止していた男達だったが次第にその表情が怒りで赤く染まり、ビロードを取り囲むように近付いていった。
(# ノAヽ)「テメェ、ガキ、こら? 誰に向かって口聞いてんだ?」
(# ><)「僕はガキじゃないんです! 『平和な交差点(クロスロード)』にある教会の1人息子のフランジェリコ・ビロードなんです!!」
(# `ー´)「交差点? あのボロボロの馬小屋みたいな教会のガキか」
(;><)「馬小屋じゃないんです!! た……確かにちょっと古いけど、お馬さんはいないんです!!」
(# ゚¥゚)「あーうるせうるせ!」
457
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:23:27 ID:ahzEFXIY0
痺れを切らした男の1人が持っていた鉄パイプを地面に激しく打ち付けた。
骨に響くような無機質な打撃音と、大地を通して伝わるその衝撃にビロードの身体が小さく震えた。
( # ゚¥゚)「テメェが安全地帯の交差点に住んでるガキだからって、俺らが手出し出来ないと思ってる訳?」
もう一度、打撃音。
今度は先程よりも大きく、そして怒りを込めた一撃。
男達と少年の距離が、また1歩縮っていく。
458
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:25:12 ID:ahzEFXIY0
( ノAヽ)「つーかよ? このガキ女みてえな顔してんな? バラす前に廻す?」
(;><)「なっ……なにを!?」
( `ー´)「いいねいいねー。汁まみれにした生首だけ教会の前にプレゼントってどうよ?」
( ノAヽ)「おっ! それいいじゃん!! んじゃ……」
( ゚¥゚)「決まりだな」
男達の鋭い眼光にビロードは声にならない悲鳴を上げながら後ずさる。
だが2、3歩後退したところで自分自身の足にもつれ、そのまま引っ掛かるように尻餅をついてしまう。
小さな悲鳴を上げるも、獣のような表情と色欲を露わにした男達の歩みは止まらない。
459
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:26:37 ID:ahzEFXIY0
(。><)「や……止めて下さい!! そんな愚かな行為は父が悲しみます!!
だから、だからとにかく止めて下さい!!」
精一杯の虚勢をあげるビロードだったが、その身体はガクガクと震え、涙目で男達を見上げるばかり。
少女と見間違えてもおかしくない美少年のその表情や仕種は、男達のサディズムを煽るだけで下品な笑い声が小さく漏れた。
( `ー´)「んじゃ、まあ、とりあえずは」
( ゚¥゚)「お楽しみって事で」
(。><)「やっ……やだぁ……!」
ニヤついた笑みを浮かべる男の腕がゆっくりとビロードの肩にかかる、その瞬間……
460
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:27:28 ID:ahzEFXIY0
―――男の身体は弾丸の如くぶっ飛んでいた。
.
461
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:30:59 ID:ahzEFXIY0
(。><)「え?」
( ノAヽ)「は?」
( `ー´)「あ?」
唖然。
その瞬間、見事に、唖然。
ビロードに手を伸ばそうとした鉄パイプを構えた若者は、何かの衝撃に強く弾かれ顔面からキスをするように向かいの壁にぶっ飛び、そのまま激突。
何かが砕けるような轟音をたて、壁に血しぶきを撒き散らし、ずるりと間抜けな顔で地面に横たわる。
462
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:31:57 ID:ahzEFXIY0
男は吹き飛んだ衝撃で気を失い、鼻は無様に陥没。
前歯を始め、何本もの白い歯が所々に四散している。
激突した壁には部分的ながら小さなクレーターが生まれていて、その速度の異常さを物語っている。
(。><)「……ふぇ?」
男2人も、ビロードもあまりに突飛で現実離れした光景に固まっていた。
この世界、特に不法地帯の吹き溜まりのソウサクシティには不思議な力を持つ人間が数多く集まる。
例を上げるなら『赤い悪魔』と恐れられるクリムゾンヘッドの女首領、『MM・ハインリッヒ』を始め、平和の交差点の秩序を守る謎の『紳士』であるジョニーウォーカーこと『デミタス』。
南の新勢力として名を轟かすウルボロスがリーダー『龍戦士』の『アブソリュート・スニフィ』など。
463
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:32:52 ID:ahzEFXIY0
彼らは理屈で片付けられない、非化学的な『超能力』とでも言えるべき力を扱う。
その存在はアウトローの住人達に、噂や都市伝説のような不確かな存在として伝わっていた。
現にマフィア同士の抗争では、選ばれた力を持つ者達が、圧倒的な力をもって戦場を死地へと変貌させる光景を何度も繰り広げて来た。
だがしかし、キャスケットをかぶった小さな少年、フランジェリコ・ビロードにはそんな驚異的な力は無い。
ただ人より、ほんの少しだけ正義感が強く、幼い頃から教会で育てられた為、人よりも信仰心が厚いだけの、ひ弱で無垢な少年だ。
おまけに今年で15才に迎えたというのに、その背丈は150あるか無いかで手足も棒っ切れのように細く、見るからに重いものを持ち上げるような筋力など無い。
464
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:33:36 ID:ahzEFXIY0
そんな少女のような見た目の彼が、自分より明らかに30センチ近く背の高い荒くれものの男を、自分の後方に勢いよくぶん投げるような荒業が出来るわけが無い。
では他の2人はどうだろうか?
ぶっ飛んだ男の仲間である2人は、ガタイも良ければ、腐ってもソウサクシティ育ちの人間、そこら辺のチンピラよりもよっぽどケンカ慣れしており、実のところ既に5人以上の人間を殺害している立派な悪人である。
とは言え、大の大人を弾丸のような速度でぶっ飛ばす人間離れした筋力を持っている訳でも無ければ武道の心得も無い彼らにそのような芸当は出来るはずも無いし、そもそもこのタイミングで仲間割れを起こし、わざわざ相棒を再起不能にする理由が無い。
465
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:46:51 ID:ahzEFXIY0
つまり少し考えれば、この場にいる3人には大の大人を一瞬で吹き飛ばし、壁にぶち当てるという奇妙な荒業は不可能という事になる。
では、この異様な蛮行の犯人は誰なのか?
ビロードに若者2人、さらに間抜け面を晒しながら気絶している被害者を除き、この場にいた人間。
これらの条件を考慮した上で必然的に導き出される解答は?
( ><)「あ……」
466
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:47:38 ID:ahzEFXIY0
ビロードが掠れた声を搾り出しながら、何か恐ろしいものを見るように男達の後方をゆっくりと指差した。
それにつられるように勢いよく振り向いた男達の視線の先にいたのは、もぞもぞと蠢きながら立ち上がる何か黒い塊。
( )「……」
そう。
先ほどまで彼らが暴行をはたらいていた、黒いローブに身を包んだホームレス。
所々に血や砂ぼこりにまみれたボロボロのローブに顔をスッポリと隠した細身の男が、ゆらゆらと不規則に揺らめく陽炎のように立ち尽くしていた。
その表情をしっかりと目視する事は出来なかったが恐らく口元であろう部分から、童話に出てくるチェシャ猫のようなギザギザとした白い牙が妖しく輝き、かすかに左右に揺れるその身体はどこか笑いに身を震わせているようにも見える。
それを認識した男達の行動は速かった。
467
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:48:24 ID:ahzEFXIY0
(# `ー´)「テメェ!!」
いち早く男の犯行に気付いた、細身の若者が右手にナイフを構え、懐に飛び込もうと構えをとる。
そして跳躍するかのように大股の1歩を踏み出すと同時に構えた右腕を横に振り払い、浮浪者の喉元を切り裂こうと狙いを定める。
だが伸びきった若者の右腕に握られたバタフライナイフが黒いローブの喉元に触れる直前に、ローブを翻しながら矢のような勢いで伸ばされた青白く筋ばった細腕がその右手首をしっかりと掴み上げ、瞬時に異様な力で内側に思いっきり捻り上げた。
468
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:49:22 ID:ahzEFXIY0
(;`ー゚)「いぎゃっ!?」
身体ごと持ってかれるような怪力を間接の1点に受けた若者はあまりの激痛にかん高い声で鳴く。
あっという間にナイフを落とし、そのまま倒れるかのように体勢を崩した男の鳩尾に、まるで突き刺さるかのように浮浪者の右膝が打ち込まれる。
その威力、強大。
平均的な成人男子以上の体つきをした若者の身体が膝蹴りの衝撃だけで、身体をくの字に折り曲げながら霧のように吐血。
足下はちょうど50センチ程、地面から浮いており、出血の具合と白目を向いた表情から察するに彼の内臓の一部は確実に破裂している事だろう。
469
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:50:24 ID:ahzEFXIY0
(; ゚ 3゚)「ごぶっ……!!」
豚のような悲鳴を上げながら、ローブの男の膝を台座にするように宙に浮く男。
1秒にも満たないその僅かな虚をつくように浮浪者の皮を被った怪物の追撃が始まった。
まるでスローモーションのように浮かび上がる若者の首根っこをがっちりと左手で掴むと
、既に宙に浮いている身体をさらに高く浮かび上がらせるように力任せに引っ張り上げる。
そして彼のリーチの限界と思われる、約2メーター弱の高さまで失神寸前の若者の身体を持ち上げた瞬間、引力をターボ代わりに、伸びきった左腕をまるでバレーのスマッシュのように勢いよく振り下ろし、そのまま後方の地面に叩き付けるようにぶん投げた。
470
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:51:46 ID:ahzEFXIY0
(####゚)「……!!」
その衝撃で辺りの大地は地震が起きたかのように僅かに軋み、肝心の若者の顔面はもはや生死を判別する事が不可能な程に崩壊。
辺りに血しぶきが舞い、崩れたレンガ状の地面の一部が衝撃で埃のように立ち上がる。
(;ノAヽ)「ひぃっ!?」
仲間の身体が一瞬で破壊された光景を目の当たりにした、もう1人の若者は小さく悲鳴を上げながら身を翻し逃亡を図る。
表情は恐怖一色に染まり、左手に構えていた金属バットも投げ捨て、一目散に逃げ出そうとする。
471
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:53:28 ID:ahzEFXIY0
( )「……」
ローブの男はまるで大地を滑るように、必死の形相でスタートダッシュを切った若者との距離を一瞬でつめる。
低くした体勢を跳ね上げるかのような加速をつけながら、背を向ける男の股間を右足で思いっきり蹴り上げる。
『黒いベルトブーツ』におおわれたその爪先は薄汚い若者の大ぶりの睾丸の右側を見事に捉え、ぐちゅっと生々しい音を立て、文字通り潰してみせた。
(; ノA゚)「ぺぎょっ……!!」
もはや声にならない悲鳴を上げながら股間を庇おうと四つん這いになる若者。
だがこの隙だらけの瞬間を見逃す訳もなく、ローブの男は崩れ落ちる若者の右足をがっちりと掴む。
瞬間、まるで農家が根菜を思いっきり引っこ抜くかのようなフォームで、右腕1本で強引に若者の身体を持ち上げてみせた。
472
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:54:27 ID:ahzEFXIY0
(; ノA゚)「ひぃ……!?」
ローブの男は右足を軸に身体を大きくツイストさせる。
悲鳴を上げる若者をまるで棒切れでも振り回すかのような勢いのまま、自身を中心に宙に弧を描くかのように振り下ろし、後方の地面に思いっきり叩き付けた。
地面がわずかに抉れ、前歯と思われる白い物がその光景をただ茫然と眺めるビロードの目の前に飛んでいった。
一方的な蹂躙を見せ付けてみせた妖しいローブの男。
ゆっくりと振り向き、茫然と立ちすくむ無垢なる少年ビロードの方へ視線を向ける。
473
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:55:43 ID:ahzEFXIY0
(;><)「……」
( )「……」
やがて路地裏に大きな風が吹く。
辺りに転がる汚物やゴミが宙に舞い、腐臭が立ち込める。
そして、そのスラムの風は顔をスッポリと覆っているローブさえも拐って行った。
フードに隠れた怪人の素顔が、立ちすくむビロードの眼下に、晴天の下に、静かに晒された。
474
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:58:50 ID:ahzEFXIY0
▼・ェ・▼
犬。
▼・ェ・▼
犬だった。
475
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 06:59:38 ID:ahzEFXIY0
( ><)「……」
▼・ェ・▼「……」
( ><)「……」
▼・ェ・▼「……」
( ><)「……」
▼・ェ・▼「……」
風が吹く。
カラカラと、金属製の何か小さいパーツのような物が転がる音だけが響き、風が止むと共にまた静寂が訪れる。
476
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 07:00:29 ID:ahzEFXIY0
( ><)「……」
「……」
無言。
この2人、無言。
やがてその静寂に、少年のボーイソプラノが響いた。
(* ><)「ワンちゃんなんです!!」
▼・ェ・▼「……」
(* ><)「貴方はワンちゃんの妖精さんなんですか!?」
▼・ェ・▼「……」
( ><)「……」
▼・ェ・▼「……」
▼・ェ・▼「……ちがうよ?」
(;><)そ「違ったんです!!」
477
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 07:01:27 ID:ahzEFXIY0
後に、ソウサクシティに嵐と混乱を巻き起こす事になる希代の変態『犬』。
後に、ソウサクシティに恐怖と不幸をもたらす事になる無垢なる少年『フランジェリコ・ビロード』
腐った吹き溜まりであるこの街に、自身が大きな衝撃を引き起こす事を彼らはまだ知らない。
これが、『天使』と『狂犬』、2人の出会いだった。
.
478
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 07:02:26 ID:ahzEFXIY0
――――――――――――――――――――
.
479
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 07:16:58 ID:ahzEFXIY0
ソウサクシティの東側。
娼館が数多く立ち並ぶ事で有名な東でも、最低限必要な店というものはある。
コンビニやドラッグストアに酒場、銃器の専門販売店などだ。
腐りきったこの街では武器や薬なしでは出歩けない。
そこらで鉛玉と血飛沫が飛び交うこの街では当然、怪我人の数も半端ではない。
つまり、必然的に怪我人を治療する大きな施設が必要になるのである。
.
480
:
名も無きAAのようです
:2015/03/10(火) 07:18:17 ID:ahzEFXIY0
室内は白で統一されており、スモークガラス状の窓ガラスからわずかに日の光が射し込んでいる。
治療器具の電子音が規則的に小さく鳴り響く室内に1人の怪我人と1人の見舞い客が会話をしていた。
<_プー゚)フ「なあなあビコったん。俺さあ、ものスッゴい不思議な事に気付いたんだ」
( ∵)「……」
<_プー゚)フ「ほら、俺ってさあ、言うまでもなく超ROCKでROLLなイケメンな訳じゃん?」
( ∵)「……」
<_プー゚)フ「なのになーんでいつまでもガールフレンドが出来ねーんだろ? 俺ってばこんなにROCKでROLLなバリヤバなミュージシャンだっつーのにさー」
( ∵)「……」
<_プー゚)フ「マジで不思議だよな? やっぱりあれか?
俺ってばあんまりにもROCK'N ROLL極め過ぎちゃって眩しすぎる存在になっちまった系かな?」
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