レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。
(*‘ω‘ *)ブーン系小説&イラスト練習総合案内所のようです
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(*‘ω‘ *) チ●コの日が近いっぽね
(*‘ω‘ *) ここはブーン系小説&イラスト練習総合案内所だっぽ!
初めての方や馴染みのない方は以下のブーン系wiki、テンプレ等をよく読んで
ご理解とご協力をお願いします
・総合スレにおける最低限のルール、マナー
・よくあるQ&A
・荒らしについて
・進行中の企画・創作板の特殊スレ一覧
・AAテンプレ一覧
ブーン系wiki
http://www43.atwiki.jp/boonkei/
ttp://boonkei.wiki.fc2.com/
↑が見れない、AAがコピー出来ない方の為の予備サイト
ttp://boonkei.web.fc2.com/top.html
ttp://boonkei.m.web.fc2.com/top.html(携帯用)
兄弟スレ
( ^ω^)ブーン系小説シベリア図書館のようです★51
ttp://mastiff.2ch.net/test/read.cgi/siberia/1391693128/l50
前スレ
ζ(゚ー゚*ζブーン系小説&イラスト練習総合案内所のようです
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1421944325/
( ^ω^)ブーン系小説板のようです(旧避難所、スレ立て上限に達した)
ttp://jbbs.shitaraba.net/sports/37256/
( ^ω^) ブーン系小説板2のようです
ttp://jbbs.shitaraba.net/internet/16305/
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>>294
注射器
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>>294
赤黒い白衣
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わずか100レス前も読まずに書き込む奴等がいるんだなぁ
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まったくだな
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で何がしたかったの?釣り()?
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>>289のことじゃな?
全く同じ流れのお題にしたかったわ
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なお顔真っ赤な模様
それはそうとお題下さい
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>>301
斜に構えた中学生
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>>302
ニーイチ先生を悪く言うのはやめろ!!
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意味わからないこの人……
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荒らしはほっとけ
冬に相応しいお題頼む
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>>305
壊れた暖房
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ホワイトアウトした車窓
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ニーイチ先生の作品は全部見たら多分面白い多分
ただまとめられてないから見れないんだなー
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最近のVIPは賑わってるな
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あ
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VIPが使えるならこんな隔離板に篭ってる必要もないしな
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先日話していたお題30コ募集の件です。
スレ立てたので、よかったらお願いいたします。
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1423984052/
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( ^ω^)ブーンが前世の罪のせいで100回脱糞するようです
http://viper.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1424001990/
最近VIP多い素晴らしい
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無事30コ集まりました、ありがとうございます。
スレ汚し失礼しました
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僕もお題二つください
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>>315
ファイアウォール
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>>315
アイスエイジ
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お題下さい
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迫撃砲
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アハトアハト
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「そいつぁ素敵だ、大好きだ」
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最近VIPが賑わってるみたいだけど、明らかに全盛期が終わってるブーン系をわざわざあっちでやる意味ってあるのかね?なんせやる夫が……
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やる夫とかもはや関係ないレベル
ブーン系の忘れられ具合とやる夫の忘れられ具合がほぼ同じだし、やる夫系の台頭によりブーン系が脅かされた過去について今更何か考えてるのなんて歴史の研究家くらいのもん
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>>323
やる夫もオワコン化したのか……教えてくれてありがとう。ってことは今じゃ住みわけする必要もないわけか
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個人の勝手さ
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そもそもやる夫系が台頭してきたからここに移住してきた訳でもないしな
粘着荒らしがVIPでしつこくなってきたのが始まりだろ?
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規制が厳しいからシベリアやしたらばに移るようになった
小説板の管理者が居なくなって新たにスレ立て出来なくなったから他のしたらば掲示板に移った
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マイナーカップリング祭り
投票のおしらせ
祭りの作品投下期間を終えました!
合計20作品の中からあなたのお気に入りの作品にどうか票を入れてください!
1人3作品まで投票可能です!
投票期間は2/16(月)〜2/21(土)
作品一覧はマイナーカップリング祭りスレの>>473>>475にまとめて頂いてます
投票は1レスにまとめ、名前欄に
#投票
でトリップを作ってレスをお願い致します
以下投票の必要事項まとめです
名前欄に
【#投票】
レス内に
【作品名】
【感想の一言】
どうかよろしくお願い致します!
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あちゃー
なんで投票なんかやっちゃうかなあ
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この前の熱が冷めてないんだろ
カプ厨はどのカプが一番か決めたがるし
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投票じゃなくて感想だけでいいのにな
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真面目なムードでの巨匠演出は作品の雰囲気が引き立っててかっこいいな
シナリオがシリアスかギャグかでここまで変わる人も中々珍しい
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お題をくれお題を!!!
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ラベル
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誤爆
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>>329-331
何にせよ読んでもいないしレスも投下もしてない人間が口出ししていいものじゃないな
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読んでないし投下もしてないって何で分かったんだ?
言論統制かよ
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投下したけど何を基準に投票するのかもイマイチよく分からないし感想で良くねと思ったわ
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>>337
青筋たててんじゃねーよwww
疎ガー過疎ガーって騒いでたんですね分かります
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ちょっと何が言いたいのかサッパリだな
どの作品も作者が大事に書いたものなんだろうし、投票とかで優劣つけるんじゃなく感想がいいんじゃないかって言ってる人の意見はおかしいのか?
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俺たちは戦うしか出来ないソルジャーだからな……
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正直ここじゃなくて祭りのスレで言ってこいよ……とは思う。
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以下も引き続き単発IDの煽りがはいります
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>>334-335
センクス
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個人の勝手さ
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お題下さい
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>>346
チャーハン
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>>346
転ばぬ先の杖
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お前下さい
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やらぬ
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>>340
祭りの>>1に投票があるって言ってんのに優劣つけられたくないとかいうのが投下するかよ分かったか
低能は黙ってろ
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>>351みたいな無駄に喧嘩腰なやつが荒らしを活性化させるんだよね
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>>352
祭りの>>1様のレスで御投票がございますと仰ってございますのに御優秀であらせられるかどちらかと言えば良であらせられるかというのを御判断頂きたくないと仰る方が御投下するとはとても考えがたいでございますお分りいただけましたでしょうか
低能は黙ってくださいまし
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御御御御うるせよゴゴゴゴーレムかお前は
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30レスくらい投下します
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いらっしゃいませ商店街、右へ左へ立ち寄って。
金を払わにゃ客じゃない、泥棒決して許すまじ。
泥棒決して許すまじ──
('、`;川「──なぁああい!!!!!」
朝も早くの午前6時。
とある商店街に、うら若き乙女の絶叫が轟いた。
何だ何だと様子を窺いに、あちこちから店主が集まり出す。
その中でも素早く動く男が1人。
立派な眉を吊り上げ、その男は叫び声の主──伊藤ペニサスへ駆け寄った。
_
(;゚∀゚)「どうした伊藤さん!!」
('、`;川「ない! ないの!」
男、長岡ジョルジュは、ペニサスが地団駄を踏むごとに揺れる胸元を凝視しながら首を捻った。
_
( ゚∀゚)「いや、充分『ある』んじゃないかなあ」
('、`;川「花がない! 花がないよぉお!!」
(´・_ゝ・`)「君に華がないのはいつものことだと思うんだが……」
のっそりと現れたノッポの男が、やかましそうな顔をして言い放つ。
今のところ一つも話が噛み合っていないが、平常運転だ。
ノッポこと盛岡デミタスの左手、ボウルに入ったホイップクリームの山には泡立て器が突き刺さっている。
この場にいる店主達の大半がそうであるように、彼もまた、現在仕込みの真っ最中であった。
-
(,,゚Д゚)「どうしたペニちゃん、花盗まれたか」
──商店街のまとめ役である会長の問い掛けで、ようやく話が進んだ。
皆の目が、ペニサスの背後を見遣る。
「伊藤フラワーショップ」。華やかな看板のかかった小ぢんまりとした店には、
いつも色とりどりの花々が飾られ、見る者の心を和ませている──のだが。
(´・_ゝ・`)「こりゃまた、派手にやられたな」
この日の店は空っぽだった。
いや、「空っぽ」というのは大袈裟だが、そういった印象を受けても仕方のないような有様だったのだ。
店頭に置かれたプランターから始まり、店内の鉢までごっそりなくなっていた。
種苗が無事なところを見るに、花だけが綺麗さっぱりなくなったらしい。
店内に荒らされた様子はなく、何も知らない人間が見たら「店じまいするのかな」とでも思うだろう。
(;、;*川「私のパンジーが! カトレアが! スイセンが! スノードロップがあ!!」
_
(;゚∀゚)「伊藤さん泣かないでくれ、俺の胸が張り裂けそうだ!」
(;、;*川「もうやだあ、デミさんがプリン作ってくんなきゃ死ぬう!」
(´・_ゝ・`)「うるさいなあ」
( ・∀・)「えー何々、今度は伊藤ちゃんのとこやられたの?」
川 ゚ -゚)「3日ぶりか。束の間の平和だった」
(゚、゚トソン「あらまあ、すっかり店先が寂しくなっちゃって」
野次馬が増えてきた。
被害者のペニサスとついでに騒ぐジョルジュを除き、皆は落ち着き払っている。
まるで日常茶飯事だとでもいうように──
というか日常茶飯事である。
-
( ФωФ)「まあ落ち着け。この商店街に店を構えている以上、こんなの想定内であろう?」
J( 'ー`)し「そうよ、今まで何百件も泥棒騒ぎを見てきたでしょ」
(´・_ゝ・`)(おっそろしい会話だなあ)
(;、;*川「でも、でもっ、いざ自分が被害に遭うとっ、しかもこんなにいっぺんにっ、うっ、うううっ。
手間暇かけてたっぷり愛情注いだお花達がいなくなって……ひぐっ、えううっ」
_
(#゚∀゚)「うおおおお! おのれ泥棒! 貴重なおっぱい……いや伊藤さんを悲しませやがって!
捕まえてとっちめてやる!!」
奮起するジョルジュ、それに同意するペニサス。
2人の気合いに、会長が満足げに手を叩いた。
(*,゚Д゚)「おお、やる気満々だな。それでこそ『くたばれ盗っ人商店街』の一員だ!」
──くたばれ盗っ人商店街。
ソーサク町のど真ん中に位置する巨大な商店街は、
その名の通り、どういうわけか泥棒騒ぎが後を絶たない。
昔は普通の名前だったが、あまりに事件が多すぎて商店街の名前が変更された程だというのだから、そりゃ多い。
いい加減うんざりした警察の捜査が投げやりになっているのを危惧した会長により、
10年ほど前、とある制度が導入された。
その名も「一蓮托生制度」。
泥棒被害に遭った店舗とその両隣の店が一丸となり、
一週間以内に解決しなければ、3店共に商店街から退去せねばならぬという踏んだり蹴ったり糞システムである。
だが人間、追い込まれると底力が発揮されるというもので。
この制度が導入されて以降、事件解決率は上がり、発生率が下がり、
何だかんだ全体の売り上げも伸びているという結果オーライぶりだった。
-
(,,゚Д゚)『──と、いうわけでえ!!』
さてさて時間を早送り。
主婦学生サラリーマンでごった返す夕方まで時間を飛ばそう。
商店街の中心にこしらえたステージの上で、マイクを手にした会長が声を張り上げる。御年66歳。
(,,゚Д゚)『今回の被害店舗は「伊藤フラワーショップ」、
店主は今年24歳恋人募集中Gカップの伊藤ペニサスちゃんだゴルァ!!』
('、`*川「何でカップ知ってるの」
川 ゚ -゚)「モナーさんとこの服屋で下着買ったろう。
あそこで買うとサイズ諸々の情報が垂れ流されるぞ」
('、`*川「泥棒よりそっち取り締まってほしい」
(,,゚Д゚)『彼女のサポートを務めるは、右隣「長岡スタジオ」の二枚目カメラマン、長岡ジョルジュ30歳!
そして左隣「デミタスカップ」の店主盛岡デミタス27歳だあ!
皆々様、地味顔2人とがっかりイケメンのトリオをどうぞ応援してやって!!』
J( 'ー`)し「今回の3人は若手ばっかりねえ」
( ・∀・)「心配だなあ」
_
(#゚∀゚)「この身に代えても、おっぱ……伊藤さんを救ってみせる!」
(´・_ゝ・`)(面倒臭い……)
(,,゚Д゚)『もしも一週間以内に犯人を捕まえられなければ、
この3店は一ヶ月に渡り全商品99%引きの閉店セールを行った後に
この商店街から出ていってもらうからなあ! 弱者は要らぬ!!』
(´・_ゝ・`)「っざけんなクソジジイ」
群衆から沸き上がる大歓声。大半がペニサス達に対する「失敗しろ」コールだ。
前回、杉浦おもちゃ店が一蓮托生制度に巻き込まれたときは酷かった。小学生からの捜査妨害まであった程だ。
鳴り止まぬコールの中、会長は高らかに右手を挙げ、そして振り下ろした。
-
(,,゚Д゚)『それではこれより7日間! ターゲットは花泥棒!
せいぜい励めよ若者よ! ──ファイッ!』
くたばれ盗っ人商店街のようです
【1日目】
_
( ゚∀゚)「……7日間っつったって、今日の内に出来ることってあるかあ?」
──「デミタスカップ」。
洋菓子を中心に甘味を販売している店内には、テーブル席が3つある。
その内の一つを囲んでいるのは、今回の被害者ペニサスとサポート役のジョルジュ、そしてデミタスだ。
会長による晒し上げタイムが終了してすぐ、作戦会議のためにここへやって来た。
既に暗くなり始めた2月の寒空を窓越しに見上げて、ジョルジュが溜め息をつく。
(´・_ゝ・`)「まあ現状の把握から。盗まれたのは花だけなのか?」
('、`*川「デミさんの作るプリンが一番好き……美味しい……癒される……」
_
( ゚∀゚)「俺は伊藤さんの胸元に付いてる大きなプリンが今まで見てきた中で最高のプリンだよ」
(´・_ゝ・`)「ぬ、す、ま、れ、た、も、の、は?」
('、`;川「いひゃひゃひゃひゃひゃひゃい。
お、お金は無事れす、お花だけ……」
2個目のプリンを完食したばかりの口をトングで引っ張られ、ペニサスは慌てて両手を振った。
解放された口を摩る。裂けたらどうしてくれるのか。
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_
( ゚∀゚)「店内の花まで盗まれたんだろ? それなら犯人はレジも物色できた筈……」
(´・_ゝ・`)「にも関わらず、盗まれたのは花だけ。泥棒の目当ては花だったんだな」
('、`*川「変な話。あれだけたくさんのお花盗むの、大変よ。
それならレジからお金盗んで、他所の花屋で買った方がリスク低そう」
(´・_ゝ・`)「……ペニちゃんは普段ぼうっとしてるけど、たまにいいことを言うな」
感心したようにデミタスが頷いた。
たまに、とは失礼な。
泥棒はプランターや鉢ごと花を盗んだ。運ぶのに一苦労だし、時間もかかる。
毎日花を相手にしているペニサスには、その労力がどれほどのものかよく分かる。
それよりは、レジを抱えて持って帰った方が楽だ。
(´・_ゝ・`)「犯人はペニちゃんのとこの花が欲しかった。……何故だろう?」
_
( ゚∀゚)「伊藤さんのことが好きなんじゃないか!?」
(´・_ゝ・`)「ないな」
('、`*川「なぜ一刀両断」
(´・_ゝ・`)「動機はひとまず置いとこう。捕まえてから聞き出せばいい。
──ペニちゃんのとこは監視カメラとか付けてないの?」
('、`*川「付けてない」
露骨に呆れられた。とてもとても露骨に。
-
(´・_ゝ・`)「監視カメラは付けない、店頭の花は出しっぱなし……防犯意識ゼロか。
ここで商売やる意味分かってる?」
('、`*川「だって、うちは一回も狙われたことないし……隣のジョルさんが泥棒ホイホイだったし……」
_
( ゚∀゚)「うちの機材高いからなあ。まあ防犯しっかりしてるから泥棒が忍び込んでも撃退できてるんだけどね」
('、`*川「私も今度から気を付けよっと」
(´・_ゝ・`)「おい。おい。もしかして全く反省してないのか。
僕は結構怒ってるんだよ。ペニちゃんが防犯対策してれば、こんな面倒なことにならなかったんだ。
君のせいで無関係なうちまで閉店の危機に陥ってるって分かってる?」
('、`*川「ごめんねデミさん……。
あ、わたし次はショートケーキ食べたい」
_
( ゚∀゚)「俺ミルフィーユ」
(´・_ゝ・`)
ぶちぎれたデミタスに追い出され、本日の活動は終了した。
店先で様子を窺っていた主婦達がガッツポーズを決めていたことも、一応記しておこう。
#
【2日目】
('、`*川「昨日はごめんねデミさん」
(´・_ゝ・`)「今後真面目に取り組む姿勢が見られない場合は貴様らを殺して僕も死ぬ」
_
( *゚∀゚)「伊藤さんの部屋はお花のいい香りがするなあ」スーハー スーハー
「伊藤フラワーショップ」の2階、居住スペース。
そのリビングに3人は集まっていた。
3人共、店の営業は午前中だけで午後は休業している。(ペニサスは午前も休業中だ)
どうせ一週間は客など碌に来ない。99%引き閉店セールに備えているだろうから。
-
_
( *゚∀゚)「ああ、この可憐な花なんか伊藤さんにそっくりだ! なんて素敵な匂い……」スハー
('、`*川「シクラメンは香りがないのよ、ジョルさん」
(´・_ゝ・`)「約束通り死んでもらう」
_
( ゚∀゚)「冗談です。みんなで協力して花泥棒を捕まえましょう」
部屋の隅、ちょこんと置かれたシクラメンの鉢から顔を離して
ジョルジュはテーブルへと戻ってきた。
溜め息をつきつつ、持参した箱からショートケーキとミルフィーユを取り出すデミタス。
ペニサスは機嫌を良くしていいものか悩みながらコーヒーの準備をした。
「ティータイムのお供に」が菓子作りの信条だというデミタスが作る洋菓子は、
たしかに紅茶とも日本茶とも合うが、その実コーヒーとの相性が一番いい。
(´・_ゝ・`)「ペニちゃんは自分の住まいには、あまり花を飾らないんだな。意外だ」
コーヒーの入ったマグカップをそれぞれに渡していると、デミタスが呟いた。
どうでもよさげな声音だったので、実際どうでもいいのだろう。
彼の言うように、リビングに飾られている花といえば、
机上の花瓶に挿したオンシジウムと先程ジョルジュが反応を示したシクラメンのみだ。
('、`*川「お花はみんなに見てもらいたいから、自分には最低限。
──あのシクラメンは、飾ってるっていうか避難させてるだけ」
(´・_ゝ・`)「避難?」
('、`*川「あの日お店に置いてた花の中で、あの子だけ盗られてなかったの」
_
( ゚∀゚)「あれ、そうだったのか。てっきり全部盗られてたのかと。……何で残したんだろう」
('、`*川「どうしてだろ。シクラメンは好きじゃなかったのかしら」
(´・_ゝ・`)「手当たり次第の犯行に見えたけどね」
ううん、と3人で唸る。
頭を捻っても、これぞ、という理由には思い至らなかった。
-
_
( ゚∀゚)「ま、分からないことは後回し。他に情報あるかな伊藤さん」
('、`*川「んっと……シクラメンの鉢の下に、メッセージカードがあった」
(´・_ゝ・`)「カード? 何か書いてあった?」
('、`*川「うん。『また来る』って」
壁に掛けてあるエプロンのポケットから、そのメッセージカードを取り出してみせると
無言でデミタスに引ったくられた。
「また来る」。走り書きの4文字。
カードは店に置いてある備品なので、持ち主の特定に意味はない。
_
( ゚∀゚)「……犯行予告? これ結構重要じゃないか?」
(´・_ゝ・`)「何ですぐに言わなかった」
('、`*川「昨日言おうとしたけどデミさんが追い出したじゃない」
(´・_ゝ・`)「僕のプリンが好きとかケーキが食いたいとかいう
どうでもいい報告よりも優先してくれていれば、追い出さなかったよ」
_
( ゚∀゚)「まあまあ。──しかし、また来る、ってことは……」
(´・_ゝ・`)「張っていれば、犯人を捕まえられるかも──」
──インターホンが鳴った。
3人が、一斉に顔を見合わせる。
('、`;川「……まさか……」
(;´・_ゝ・`)「犯人が来たか……?」
誰からともなく、リビングを飛び出し階段を駆け下りた。
そうしてデミタスが真っ先にドアを開けると──
-
ミセ;゚ー゚)リ「あ……やっぱり皆ここにいた!」
(;`・ω・´)「良かった、大事な話がある!」
よく商店街を訪れる女子高生と、本屋の店主が立っていた。
どちらも、ひどく焦っている。
落胆する間もなく、続いて彼女らが発した言葉に一同は目を丸くさせた。
ミセ;゚ー゚)リ「あのね、事件を目撃したっていう人がいたの!」
(;´・_ゝ・`)「何だって!」
(;`・ω・´)「今なら布団屋のところにいる筈だ、急げ!」
_
(;゚∀゚)「行こう伊藤さん!」
('、`;川「うん!」
布団屋というと、商店街の東通りであるこことは正反対の、西通りにある店だ。
靴を履くのももどかしい思いで、3人は西通りへと駆けていった。
J( 'ー`)し「──あら、お漬物屋さんに用があるって言って、あっち行っちゃったわよ。
引き留めておくべきだったわねえ、ごめんなさい」
(;´・_ゝ・`)「漬物屋!?」ゼーゼー
('、`;川「南通りじゃない!」
_
(;゚∀゚)「しかも端っこだ畜生!」
/ ,' 3「──さっき来たお客さんなら、魚屋に行ったようじゃが」
_
(;゚∀゚)「今度は北かよ!」
ミ,,゚Д゚彡「──総菜屋さんに行ったみたいだから」
('、`;川「また南……」ハァ、ハァ
-
(*゚∀゚)「──文房具買うって言ってたぞー!」
(;´・_ゝ・`)「……なあ……」フゥ、フゥ
( ・∀・)「──服を買って帰るって言ってたかな」
_
(;゚∀゚)「これって……」ヒィ、ヒィ
──あちこち走り回されて、息も絶え絶えになりつつ。
東通りに戻ってきたペニサスは、東通りの端っこ、服屋の近くに立つ男を見て目を輝かせた。
('、`;川「いた!」フラフラ
_
(;゚∀゚)「ああ良かった! 疑ってごめんなさい商店街のみんな!」ヘロヘロ
(;´・_ゝ・`)「す、すいませーん!!」ヨロヨロ
(;^ω^)「……お!? なっ、何だお、どうしましたお……?」
('、`;川「あ、内藤さんだ……」
男はスーツを着ていた。いかにも仕事帰りという風体。
ペニサスとは顔見知りだ。内藤という。
自宅と職場の間にこの商店街があるらしく、帰宅途中でよく花を買ってくれる。
彼ならたしかに、通勤中に事件を目撃しているかもしれない。
('、`;川「お久しぶりです……最近奥様と一緒に来ないですね……
奥様とは趣味が合うから、話すの楽しみにしてるのに……」
_
(;゚∀゚)「おっ、ついに別れたか……いつかそうなると思ってたんだ……」
( ^ω^)「何でいきなり虫の息でプライベート抉られてるの僕」
(;´・_ゝ・`)「あ、あの、目撃した件についてお話を聞きたいんですけど」
( ^ω^)「目撃?」
「何のことだお」、と。
内藤が首を傾げたのと同時に、スピーカー付きの宣伝用ワゴン車が
ゆっくりと3人の後ろを進んでいった。
-
(,,゚Д゚)『毎度商店街をご利用いただきありがとうございますー。本日の捜査状況ー。
情報操作により無駄な時間と体力を消費したため今日はもう動けない模様ー。
99%引き閉店セールまであと5日ーあと5日でございます。毎度商店街をご利用いただき……』
_
( ゚∀゚)(´・_ゝ・`)('、`*川
ミセ*゚ー゚)リ「わーい引っ掛かった? 引っ掛かった?
ごめんねー、クラスの子達もケーキいっぱい食べたいって言うからさあ」
(`・ω・´)「すまんな! うちのかかあがシュークリーム好きなんだ、まあ許せ!」
(´・_ゝ・`)「この町の人間は血も涙もないのか」
#
【3日目】
(´・_ゝ・`)「ともかくメッセージカードは間違いなく犯人が置いていったものなので、
犯人がもう一度ペニちゃんの店に来る可能性に賭けて
昨夜からペニちゃんの店先に監視カメラを仕掛けたわけだが」
('、`*川「昨日の映像を確認する限り、特に異常なしねえ」
「長岡スタジオ」の一角。
立派なモニターを前に、ペニサスとデミタスは肩を竦めた。
-
('、`*川「……あれ、ねえ巻き戻しってどうやるの」
(´・_ゝ・`)「僕は機械は駄目なんだ。何だこれボタン多すぎだろ。
あのう長岡さん、ちょっと……──」
从 ゚∀从「あー、何か暑いなあ。まだ2月だってのに」ポヨンポヨン
∬´_ゝ`)「上着脱いじゃいましょうよ」タユンタユン
从 ゚∀从「でも脱いじまうと寒いかなあ」
_
( *゚∀゚)=3「暖房の設定上げます! 上げます!!」
∬´_ゝ`)「喉渇いたわあ」
_
( *゚∀゚)「お茶淹れてきます!」
(´・_ゝ・`)「……長岡さーん」
('、`*川「聞いてないわ」
ペニサスと共に「くたばれ盗っ人商店街巨乳3人娘」に数えられる駄菓子屋の娘と肉屋の娘に挟まれて、
ジョルジュは完全に舞い上がっていた。
ペニサスすら目に入っていない御様子。
从 ゚∀从「南通りの斉藤さんが売ってる茶葉がいいな」
∬´_ゝ`)「その斉藤さんから聞いたんだけど、2駅隣の町に、上等な茶葉だけを仕入れてる店があるんですって」
从 ゚∀从「ああ、いいね。5駅向こうで手に入る名水で飲みたいところだ」
_
( *゚∀゚)「行ってきます!!」
∬´_ゝ`)「あのお水を抱えてお寺巡りすると、お水がますます美味しくなるそうよ」
_
( *゚∀゚)「やってきます!!」
(´・_ゝ・`)「おい眉毛いい加減にしろ」
('、`*川「デミさんも眉毛よ」
-
从*゚∀从「ジョルジュさんは優しいなあ。来週うちの息子の誕生日だから、とびきりの写真よろしくな」
∬*´_ゝ`)「来月に妹者の卒業式があるんだけど私出られないの、
だから一番いいカメラで映像残してほしいのよ。いい具合に編集しておいてね」
_
( *゚∀゚)「お安いご用ですとも! 長岡スタジオはおっぱいの味方です!」
(´・_ゝ・`)「……ペニちゃん、仕方ないから適当にボタン押そう」
('、`*川「巻き戻しはどれかな」ポチポチ
(´・_ゝ・`)「そこの赤いボタンやばそうだから押しといて」
('、`*川「はあい」ポチポチポチポチポチ
#
【4日目】
_
( ゚∀゚)「昨日からうちの機材の一部が挙動おかしいんだけど何か知らない?」
('、`*川「知らない」
(´・_ゝ・`)「アップルパイ食べます?」
_
( ゚∀゚)「おっパイがいい」
(´・_ゝ・`)「ところで2日目の最初に僕が何て言ったか覚えてますかね」
_
( ゚∀゚)「さあ頑張ろう! あと3日しかないぞ!」
('、`*川「おー」
「デミタスカップ」。
今日も今日とて、3人に目覚ましい活躍はない。
-
(´・_ゝ・`)「監視カメラは何も映ってなかった?」
('、`*川「特には」
(´・_ゝ・`)「そうか……」
──現時点で分かっていることを確認しよう、とデミタスが提案した。
賛同し、まずはペニサスが口を開く。
('、`*川「花泥棒さんは種や苗には興味がなかった」
(´・_ゝ・`)「シクラメンだけ残した」
_
( ゚∀゚)「犯行時刻は夜中から夜明けまでの間」
('、`*川「たぶん車で来た。あの量を抱えて歩いたり自転車乗ったりっていうのは無理だし」
(´・_ゝ・`)「『また来る』とメッセージを残した」
_
( ゚∀゚)「犯人はメッセージカードの置き場所が分かる奴」
ペニサスとデミタスは同時に顔を上げ、ジョルジュを見た。
あまりに勢いが良かったので、ジョルジュがびくりと肩を跳ねさせる。
_
(;゚∀゚)「な、何だよ?」
(´・_ゝ・`)「なあペニちゃん、メッセージカードってどこに置いてるんだ?」
('、`*川「カウンターの中の棚、上から3つ、左から2つ目。
汚れたり日に焼けたりしないよう奥の方にしまってるから、ぱっと見じゃ気付かないと思う」
(´・_ゝ・`)「……店内は荒らされてなかったよな。
じゃあ犯人は長岡さんの言う通り、カードの場所を知っていたんだ」
_
( ゚∀゚)「──ってことは?」
('、`*川「お客さんとして、うちに来たことがあるんだわ!」
自信満々に言い放って。
ペニサスは、がっくりと肩を落とした。
一瞬期待しただけに、落差が激しい。
-
('、`;川「だから何だっていうのよう……うちに来たことあるひと全員調べろっていうの……」
(´・_ゝ・`)「それしかないよね」
('、`*川「デミさん馬鹿なの」
_
( ゚∀゚)「非現実的だなあ」
デミタスの目が据わる。
ペニサスとジョルジュは視線を逸らし、アップルパイ美味しいねと感想を言い合った。
#
【5日目】
('、`*川「連絡先が分かるお客さんに一通り連絡とったけど収穫なかった」
_
( ゚∀゚)「伊藤さん頑張ったね……ていうかお客さんの中に犯人がいたとしても
白状する可能性は著しく低いよね」
(´・_ゝ・`)「何で直接連絡とるんだよ」
「伊藤フラワーショップ」。
今回はリビングではなく、一階の店舗内で
各自適当に店内をチェックしながら話していた。
ペニサスは店主として、ジョルジュとデミタスは捜査の一環として。
_
( ゚∀゚)「伊藤さん、掃除とかした?」
('、`*川「現場保持ー」
(´・_ゝ・`)「見事に片付いてるよなあ。
やっぱり犯人は手際よく事を済ませたわけだ」
一頻り見て回ったが、結局進展はなかった。
ぐったりと椅子に腰を下ろしたデミタスが悲痛な面持ちで口を開く。
-
(´・_ゝ・`)「……もう駄目なのかな」
('、`*川「まだ2日あるわよ」
(´・_ゝ・`)「もう2日しかないよ」
_
( ゚∀゚)「今さら言うのも何だけど、無茶な制度だよなあ」
(´・_ゝ・`)「本当ですよ。あのクソジジイ。ペニちゃん、会長の家宛てに輪菊と小菊送っといて」
('、`*川「送ったところで元気いっぱいそうだけどね」
(´・_ゝ・`)「ここ毎日クソジジイに砂糖5倍のお菓子差し入れてるから寿命は縮まってくれてると思う」
_
( ゚∀゚)「陰湿だなー」
陰湿にもなるさとデミタスが吐き捨てるように言った。
それから、もう何度目になるか分からない、深い深い溜め息。
(´・_ゝ・`)「……ここを出ていく羽目になったらどうしよう……
どこで商売したらいいんだろう……」
('、`*川「何だかんだ、ここで商売すると売り上げいいから離れがたいわね」
_
( ゚∀゚)「今まで『一蓮托生制度』で失敗したお店ってないんだよなあ。
俺たち失敗したら笑い物だぞ。笑われた上に追い出されるなんて最悪だ」
(´;_ゝ;`)「……ああああ、何でお菓子屋なんて始めたんだろう!
普通にサラリーマンやっとけば良かった!」
('、`*川「デミさん泣かないで。よしよし」
(´;_ゝ;`)「考えてみたらペニちゃんのせいじゃないか!
ペニちゃんが僕の作ったプリン褒めるから何となくお菓子の道に進んじゃったんじゃないか!
そして今ペニちゃんのせいでその道を断たれそうになってるんじゃないか! 悪女か貴様!」
_
( ゚∀゚)「あー盛岡君が壊れた」
('、`*川「デミさん昔は苛められっ子だったから……
小学生のときなんか、苛められると、こうやってよく私に泣きついてきたものだわ」
_
( ゚∀゚)「3歳下の女の子にか……すこぶる情けないな……」
-
(´;_ゝ;`)「商店街の真ん中で死んでやるう!
化けて出て商店街から客足を遠のかせてシャッター街にしてやるんだあ!!」
_
( ゚∀゚)「犯人捕まえたとしても、盛岡君のこの姿をお客さんに見られたら終わりじゃないかな」
('、`*川「冷静沈着で大人な振る舞いが売りの一つだったものね……」
(´;_ゝ;`)「わああああああん」
#
【6日目】
(´・_ゝ・`)「昨日は取り乱してすみませんでした」
_
( ゚∀゚)「途中からカメラ回してごめんな」
('、`*川「面白がってごめんねデミさん」
「長岡スタジオ」。
モニターの前に座るジョルジュとペニサス、床に正座するデミタスの3人の姿があった。
妨害娘達はいない。ペニサスとデミタスにより、「巨乳立入禁止(ペニサス除く)令」が出されたのである。
(´・_ゝ・`)「いっぱいお菓子作ってきたので動画消してください」
_
( ゚∀゚)「忠実な色サイズ形を再現した伊藤さんのおっぱいプリンで手をうつ」
('、`*川「デミさんの泣き乱し動画は一生消してもらえないんだね」
(´・_ゝ・`)「無慈悲」
ぽろぽろ零れる菓子は機材の前で食うな、とジョルジュに言われたので
プリンをちまちま食べながら、ペニサスはモニターに目をやった。
4分割された画面に、あまり鮮明でない映像が表示されている。
-
('、`*川「これ何?」
_
( ゚∀゚)「商店街の入口にある監視カメラの映像。それぞれ北口と南口、東口に西口……」
('、`*川「入口にカメラなんてあったんだ」
_
( ゚∀゚)「まあ最近設置されたから、知らない人が多いと思うよ」
('、`*川「存在知らせとかないと防犯にならないんじゃないの?」
_
( ゚∀゚)「いや、存在がバレると盗っ人どもに壊される。
最悪の場合は盗まれる。
これは防犯じゃなくて証拠を記録するためのものだな」
正座し項垂れていたデミタスが、がばと立ち上がった。
興奮した様子でペニサスとジョルジュの間に顔を突っ込む。
(*´・_ゝ・`)「犯行日の映像を見れば犯人が分かるんじゃないか!?」
_
( ゚∀゚)「……このカメラって、家電の素直さんの店が管理してるんだ」
('、`*川「? はい」
_
( ゚∀゚)「直近5日間しか記録してないらしい。それ以前の映像は自動で消える」
(´・_ゝ・`)「はあ」
_
( ゚∀゚)「このデータ今日の昼に渡された」
('、`*川「びっくりするほど何の意味もないデータね」
(´・_ゝ・`)「奴ら本気で盗っ人の味方してやがるな」
('、`*川「デミさんのお菓子もジョルさんの写真も人気あるもの」
(´・_ゝ・`)「僕のお菓子が好きなら何故商店街から追い出そうとするんだ……」
_
( ゚∀゚)「一ヶ月食べ放題できれば未練なくなるレベルなんじゃないか」
(´・_ゝ・`)「深刻に胸が痛い」
-
_
( ゚∀゚)「あと素直さんは伊藤さんが咲かせる胡蝶蘭が目当てらしい」
('ー`*川「わーい。嬉しい。丁度良かった、他所で栽培してるのが綺麗に咲いたんだ」
(´;_ゝ;`)「嫌だよお嫌だよお、一ヶ月もほぼ無料配付した後に退去させられるとか嫌だよお」メソメソ
_
( ゚∀゚)「諦めムードがすごい」
実際問題、どうしようもないのだ。
監視カメラの映像をチェックしているジョルジュの目にも、期待の色は一切ない。
ペニサスの店に仕掛けたカメラにも動きはなかったし。
3つ目のプリンの蓋を開ける。
このプリンとお別れする日も近いかもしれない。
ふと、ペニサスは東口の映像に目を留めた。
('、`*川「ジョルさん、これっていつの映像?」
_
( ゚∀゚)「ん? あー……一昨日だな。一昨日の夕方」
('、`*川「……この5日間の、同じ時間帯の映像出して。東口」
訝しそうな顔をしつつも、ジョルジュは何か操作をして、
モニターいっぱいに指定通りの映像を表示させた。
最初は1日目、事件発覚から半日経った頃。
たくさんの人々が商店街の奥を指差しながら歩いていく様子が、俯瞰する形で映っている。
会長が商店街の中央で晒し上げを行っていた時間だろう。
次に2日目。
へとへとのペニサス達が東口へと走ってくる姿。
そして3日目、4日目、5日目──
いずれも共通するものがあった。
ジョルジュとデミタスも、それに気付いたようだった。
-
('、`*川「内藤さん……」
_
(;゚∀゚)「こいつ何してんだ?」
【 ( ^ω^) 】
内藤が、商店街に入るかどうか迷うような仕草を見せては
諦めて帰っていく──というのを、この5日、夕方になる度に繰り返しているのだ。
以前は普通に商店街を通って、用があればペニサス達の店で気軽に商品を買って帰っていたのに。
('、`*川「……3ヵ月くらい前から内藤さんをあんまり見なくなったけど……」
_
( ゚∀゚)「この様子だと、そもそも商店街に入らなくなったって感じか?」
(´・_ゝ・`)「いや、週に一、二回は僕の店に来てましたよ」
('、`*川「私のとこには月に一回くらい……
奥様と一緒だったときはもっと多かった。奥様がお花好きだから」
_
( ゚∀゚)「そういや、前に伊藤さんも言ってたが、嫁さんの姿が見えないよなあ。
どうしちまったんだろ? マジで別れたとか……」
──不意に。
ペニサスの頭に、花の姿が浮かんだ。
俯くようにしてその顔を開く、いじらしい花。
ああ。
こんな、単純なことだったのか。
('、`*川「──デミさんのプリン、明日からもまた食べられるね」
(´・_ゝ・`)「え?」
空になった容器を重ねて、ペニサスは花開くように、にこりと笑んだ。
('ー`*川「これ、泥棒騒ぎなんかじゃなかったんだ」
#
-
【7日目】
( ^ω^)「……」
内藤は、商店街の入口に掛かるアーチを見上げていた。
「くたばれ盗っ人商店街」。ポップな書体で記された、夕焼けに染まる名前。
アーチと商店街の道路を幾度も交互に眺め、やがて、溜め息をついて踵を返した。
('、`*川「──内藤さん」
背後から掛かる声に、身を竦ませる。
恐る恐る振り返る彼へ、声の主は手招きしてみせた。
('、`*川「デミさんの美味しいプリンが出来たとこです。食べていきません?」
#
('、`*川「お花持っていったの、内藤さんですよね」
「デミタスカップ」。
口内に広がる甘みをコーヒーの苦味で優しく流して、
ペニサスは向かいに座る内藤へ、単刀直入に言ってのけた。
俯き沈黙する内藤を、ペニサスの隣からジョルジュが、カウンターの向こうからデミタスが見つめている。
-
('、`*川「……『花泥棒』さんは──まあ泥棒じゃなかったんですけど──
お花を必要としていました。たくさん。いっぱい」
('、`*川「ただお花が欲しかったのなら、ちゃんと花屋で買えばいい。
でも、花泥棒さんはそのとき、とっても急いでたんです。
『すぐに』、たくさんお花を用意しなきゃいけなかった」
('、`*川「真夜中にね」
( ^ω^)「……」
_
( ゚∀゚)「開店の時間まで待ってられなかったから、忍び込んで盗んだってこと?」
('、`*川「そう。
まあ、お店の裏手からインターホン押してくれれば、私もお相手できたと思うんですけど」
( ^ω^)「──伊藤さんの家って、お店にあるんですかお」
('、`*川「2階に住んでます」
( ^ω^)「……2階は、お花の栽培室かと思ってましたお」
ようやく内藤はぽつぽつと喋って、しかしまた口を閉じてしまった。
その数少ない発言が、ペニサスの推理を否定するものではなかったのが救いだった。
('、`*川「どうしてお花が必要だったのかは、何となく分かります。
奥様が来なくなったこと、奥様と違ってお花が好きじゃない内藤さんがそれでも何度か私のお店に来たこと、
デミさんのお店には結構な頻度で通っていたこと、
──シクラメンだけが持ち出されなかったこと」
('、`*川「……シクラメンは、お見舞いには向きませんものね」
その名が「死」と「苦」を連想させるとして、見舞品にするのを避けられている花。
かつてペニサスの店で、内藤にシクラメンをそう説明したのは──彼の妻だった。
-
('、`*川「でも内藤さん、シクラメンに限らず、鉢のお花もお見舞いには好まれないんですよ」
( ^ω^)「そう──なんですかお。……僕、そういうのに本当疎くて。
……だから家内に笑われちゃうんですおね」
(´・_ゝ・`)「奥さん、入院なさってるんですか」
( ^ω^)「……今は、もう……。
──元から体が弱かったんですお。それで、風邪をひどくこじらせて入院して……」
内藤の妻は、ゆっくりと、着実に。
病魔に冒されていったという。
好きだった花を飾っても、好きだった菓子を食べさせても、
一向に回復の兆しを見せなかった。
そしてとうとう、6日前──
( ^ω^)「真夜中にひどい発作を起こして。
駆けつけた僕に、医者は『覚悟を決めてください』と言いましたお」
妻の意識は朦朧としていた。
手を握り呼び掛ける内藤に、彼女は、震える唇で小さく呟いた。
ξ ⊿ )ξ『……おはな……』
か細い声。それが、そのたった一語が、彼女の最後の懇願に思えた。
( ;ω;)『持ってきてやるお! この部屋いっぱいの花を持ってくるから──
だから、だから……元気になってくれお……!』
.
-
( ;ω;)「それで僕は──ごめんなさい……ごめんなさい、伊藤さんの大事なお花を
勝手に持っていったんですお……。
でも! お金はちゃんと後で払うつもりだったんですお!」
語りながら、内藤は涙を流していた。
ぽつり、ぽつり、雫がテーブルの上に溜まっていく。
('、`*川「『また来る』っていうメッセージは、『お金を払いに来る』って意味だったんですね」
_
( ゚∀゚)「でも、来なかったじゃねえか」
( ;ω;)「商店街が大騒ぎになってて……恐かったんですお。
何度も来ようとしたけど、勇気が出なくて……」
_
(;゚∀゚)「……『くたばれ盗っ人商店街』だもんなあ」
(´・_ゝ・`)「それで、奥さんは……?」
( ;ω;)「……僕が約束通り花を持ってくるまで、懸命に待っててくれましたお。
花を見て、彼女は笑って──それで、そのまま……」
_
( ;∀;)「お、お゙ゔっ……そうかあ……気の毒になあ……」
しばらく、内藤とジョルジュがしゃくり上げる声だけが店内に響いた。
机上の涙が面積を広げる。
コーヒーを一口飲み込んだ内藤は、深々と頭を下げた。
-
( ;ω;)「ごめんなさいお、もう、観念しました。
お金は払います。それから警察に──」
('、`*川「いいんです」
え、と。
弱々しい声を漏らし、内藤は視線を上げた。
いいんです。
もう一度繰り返し、ペニサスは内藤の手を握る。
──「くたばれ盗っ人商店街」。
この商店街は、泥棒には厳しいが──
('ー`*川「最初からお金、払うつもりだったんでしょう?
なら、内藤さんは泥棒じゃなくて、お客様だもの」
お客様には、とびきり優しい。
#
-
ξ;゚⊿゚)ξ「本当に主人が迷惑かけました、もう馬鹿で馬鹿で」ペコペコ
(;^ω^)「つ、ツン、あんまりそう言ってくれるなお……」
ξ#゚⊿゚)ξ「どの立場で言ってんの! ほら、あんたも頭下げる!」
('、`*川「……ええと……」
翌日。
「伊藤フラワーショップ」には、元気に謝罪する内藤夫妻の姿があった。
_
( ゚∀゚)「……嫁さん死んだんじゃなかったの?」
ξ゚⊿゚)ξ「え? 死人に見えます?」
( ^ω^)「縁起でもないこと言わないでくださいお」
_
(;゚∀゚)「だって言ったじゃん!? 花を見た嫁さんは笑ってそのまま死んだって!!」
( ^ω^)「いや、だから、僕が大量の花を持っていったら──」
-
ξ;⊿;)ξ『ぶひょっwwwwwwwwwwwww
ちょwwwwwwwばっwwお前wwwwは???wwwwwwwwww
マジかよwwwwwwww花好きでもこれは引くわwwwwwwwwwwwwwww』
( ^ω^)「って笑い転げて、そのまま奇跡的に回復して退院したんですお」
ξ゚⊿゚)ξ「何なら入院する前より元気になりましたわ」
_
( ゚∀゚)「……あー……そう。良かったね」
('、`*川「ジョルさん、顔が引き攣ってるわよ」
気持ちは分からないではないが、まあ、「良かった」ことには変わりない。
店内に溢れる花々を見渡し、ペニサスは頷いた。
自分の花たちが彼女を元気にさせたのだと思えば、とても清々しい気分になれる。
閉店セールがなくなったことで町中からブーイングが沸き上がったが、
夜には商店街全体を巻き込んで祝賀会が開かれるので、
そちらを喜ぶ声の方が大きい。諸々引っくるめてハッピーエンド。それでいい。
さて、祝賀会に向けてペニサスは花束の準備(どうせ受け取るのは自分だが)、
ジョルジュはカメラの手入れをしなければならない。
デミタスも今頃お菓子をたくさん作っているだろう。巨大プリンを作ると約束してくれた。楽しみだ。
-
(´・_ゝ・`)
('、`*川「いらっしゃ……あ、デミさん」
自動ドアが開く音に振り返ると、デミタスが無言で立っていた。
よう、と挨拶するジョルジュを無視し、つかつかとペニサスに歩み寄る。
そうして彼は、膝をつくとペニサスの腰にしがみついて──
(´;_ゝ;`)「うわああああああペニちゃああああああああん!!!!!
集団で食い逃げと万引きされたよおおおおお一週間で全員捕まえるとか無理だよおおおおお!!!!!
助けてえええええ!!!!!」
('、`*川「……あらまあ」
_
( ゚∀゚)「……盛岡君の店が被害者なら、俺は関係ないよな。なっ。じゃあなっ。健闘を祈る!」シュタッ
('、`*川「あ、逃げた」
(´;_ゝ;`)「もう嫌だよおおおおおお!!!!!
助かったと思ったのにいいいいいい!!!!!」
こりゃ祝賀会は中止かな、なんて思いながら、ペニサスはとりあえずデミタスの頭を撫でた。
泣き叫ぶ声の合間に、外から、マイク越しの会長の声が聞こえてくる。
『──さあさあ一難去ってまた一難! 果たしてこの商店街に平和は訪れるのか!?
今回の被害店舗は「デミタスカップ」!
巻き添え喰うのは右隣の花屋「伊藤フラワーショップ」と左隣の怪しい雑貨屋「貞子の館」だあ!
ひたすら地味ーなメンツだぞ! さてさて一体どうなることやら──』
.
-
いらっしゃいませ商店街、右へ左へ立ち寄って。
毎度ありがとお客様、またのお越しをお待ちします。
またのお越しをお待ちします。
終わり
-
おしまい
お題は前スレ
>>987 花泥棒
>>988 プリン
>>989 カメラ
でした。ありがとうございました
-
乙。
マイカプ作品の延長かな?
楽しませていただきました
-
乙
設定も住民も皆イキイキして面白かった
-
よし書こう
お題くれ
-
>>389
似顔絵
-
面白かった!乙
-
>>389 メール
-
乙!
こっちにもお題下さい
-
>>393 さとう
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