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Ammo→Re!!のようです

94名も無きAAのようです:2015/03/15(日) 22:17:10 ID:J8kdJ1IQ0
部屋には五つの机があり、その内の四つは向かい合わせで一つの島を作り、残った一つはその島を離れた位置から見守るようにして配置されていた。
本来であれば向かい側に座る人間の顔が見えるようにと配慮されているのだが、山のように積み重なった書類によってそのささやかな配慮は無意味なものとなっていた。
互いに作り上げたごみのバリケード、もしくは目張りから分かるのは働いている人間の行動パターンだ。
それは、彼らが社内にあまり滞在せず、頻繁に外部に足を伸ばしていることの表れでもある。

普段はタバコをふかしながら雑談にふける時もあるが、いざとなれば彼らはコミュニケーションよりも優先すべきことのために動く。
朝日が昇り、朝刊が発行され、配達され、そして得られた反応は彼らの埃を被っていた闘争心に火を点けた。
いち早く情報を手に入れ、いち早く公にするという闘争心。
即ち、記者魂と呼ばれる闘争心に他ならない。

部屋に一人残るアサピー・ポストマンは今朝の朝刊で掲載されたビッグニュースがもたらした反響を全身で感じ、そして感動していた。
自分の書いた記事が一面に載るという事は、新聞を読む人間の目に真っ先に止まり、真っ先に読まれるという事だ。
それは、アサピーの言葉を人々が読み、飲み込み、信じ、そして口にするという事。
モーニング・スター新聞が世界で最も読まれている新聞である以上、今、自分が世界の流れを作っていると言っても過言ではない。

偶然手に入れた情報がアサピーに与えたのは、その感動だけではなかった。
本社の最上階にある最も高価な椅子に座る“新聞王”から、今後に期待していると電話をもらったのだ。
これはつまり、昇進が約束されたような物なのだ。
来年にはどこかで優雅に旅行特集の記事を担当できるかもしれない。

旅行記事は記者にとって、有休のようなものだ。
期間が長ければ長いだけその観光地で羽を伸ばせるし、費用は全て会社持ち。
心行くまで旅行を楽しんだ後に書く記事が魅力的になるのは、当然のことだろう。
その地位に就くには、ビッグニュースになり得る記事を数本書かなければならない。

アサピーは今の自分が、その一歩手前であると判断していた。
何もないはずの島から、世界一正義に五月蠅い街の失態を手に入れたのだ。
このスクープは必ずや、後世に語り継がれることだろう。
支部長には先ほど、ボーナスの約束を取り付けたところだ。


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