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Ammo→Re!!のようです

670名も無きAAのようです:2017/05/05(金) 08:23:07 ID:NjkwanZg0
ゼロ距離で放つことを前提とされた左手の電撃は豪雨の中でも威力を損なう事はなく、確実に対象のバッテリー、電子機器を破壊することで動きを奪う。
それのみならず、高周波振動の武器に対する耐性も備えており、薄い装甲を守るほぼ唯一の楯としての機能も備えている。
電撃で身動きが取れなくなったところを杭打機が貫き、操る人間――棺桶持ち――を屠り去るという、単純かつ明確な運用設計はコンセプト・シリーズにこそ相応しい。
鎧を纏った二足歩行獣のような風貌のレオンに対して、洗練された車両の様な造形をした棺桶が豪雨の中身じろぎ一つせずに返答した。

深紅の装甲は雨に濡れていながらも、溶鉱炉のような赤々とした輝きを放っていた。
カバーに覆われたモノアイの光が雨粒に反射し、輝きがまるで火花のように散っている。

(::[ Y])『先ほども言った通り、私は私の目で正義を判断します。
    少なくとも今、私の目の前には悪が二人。 そして、どちらでもない貴女が一人。
    排除するに値するのは悪のみと、私は決めています』

舗装路を高速で移動することに特化して設計されたコンセプト・シリーズの“イージー・ライダー”を駆るのは、ジュスティア警察に所属するライダル・ヅー。
警察の最高責任者の傍らで静かに策謀を巡らせ、冷静沈着に行動する冷血な秘書。
これまでの彼女は感情で動くという愚は犯さず、命令には絶対服従する機械の様な人間だった。
鉄血の女秘書と陰で囁かれ、人間味を欠如したまま育った機械人形と恐れられた女。

法律に従って死刑宣告を下し、一切の慈悲なく電気椅子のスイッチを入れ、自らの手で絞首刑を執行することもあった女。
全ては定められたものに対しての絶対的な服従から来る行動であり、規律を重んじる組織からすれば理想的な人間だった。
彼女と仕事を共にした人間は皆口を揃えて彼女の事を冷徹な機械だと評するだろうが、今や彼女の言動は従順な機械とは明らかに異なり、人間的な物となっていた。
恐らくは彼女の人生で初めて、上官の命令に対して異議を唱えたのである。

正義とは何かを判断するのは自分自身の目であり、誰かの命令ではない。
そのため、判断は自分で下す、と。
かつての彼女を知る人間が聞いたら間違いなくその正気を疑う言葉だった。
衝撃的な言葉の直後、上空に現れた赤い信号弾に呼び寄せられるようにして敵が一人去り、彼女に命令を下した二人の上官はそれを追って消えた。

円卓十二騎士と呼ばれるジュスティアの最高戦力に属するショーン・コネリとダニー・エクストプラズマンの目的は眼前にいる罪人ではなく、脱獄犯の逮捕もしくは処刑だった。
信号弾が上がった理由についての説明を一切受けていなかったが、彼女からしたら命令違反で咎められる面倒が省ける幸運に恵まれた。
そして残された彼女は文字通り、自分で下した判断を実行し、その後処理をすることにした。
彼女に抱えられたままの男は不機嫌そうな視線を彼女に送り、そして次に皮肉めいた言葉を送った。

(=゚д゚)「そうかい、それは良いんだが。
    俺を降ろすってことを忘れるなよ」

トラギコ・マウンテンライトはそう言って、厚い装甲に覆われたヅーの胸を拳で叩いた。
彼のぎらついた眼は豪雨の中でもはっきりと分かる程に殺意に満ちていた。
その殺意は、茂みに隠れる飢えた虎から放たれるそれ。
戦いの瞬間を待ち、いつでも襲い掛かる事の出来る状態だ。

(=゚д゚)「そいつらは、お前の手に余るラギ」

大きな水たまりの上にゆっくりと降ろされ、トラギコは鼻の頭についた水滴を鋼鉄の籠手で覆われた親指で拭った。
降り注ぐ雨が再び彼の鼻を濡らしてしまうため、その行為自体に意味はない。
全くの無意味極まりない行為だ。
だがそれだけで、トラギコの顔つきが変わったのは事実。

覚悟を決める動作など、ほんの些細な、それこそ無意味と思われるような物でいいのだ。
優れたスポーツ選手が試合前にする動作と同じく、心を落ち着けるための一動作。
吐き出した溜息には熱がこもっており、その心臓はエンジンの様に激しい鼓動を刻んでいる。


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