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Ammo→Re!!のようです

668名も無きAAのようです:2017/05/05(金) 08:19:41 ID:NjkwanZg0
人類が開発した兵器の中でも最高傑作と言われるのが軍用強化外骨格、通称“棺桶”だ。
人間を殺し、兵器に対抗するための兵器。
無人機が人間にとって代わると言われた時代もあったが、それは結局幻想のまま終わった。
結局、手段はどうあっても人を殺すのは人だったのだ。

無人機同士での破壊は所詮、互いの財政を圧迫するだけで大した効果は得られなかったのである。
経済的な圧迫が戦争終結に結び付くこともあるが、憎しみが増大し、それまで市民だった人間がテロリストに転じる事が増えた。
テロリストと化した人間は難民として世界中に散り、そして、神の偉大さやその他諸々の言葉を口にして凶行に走った。
その時、無人機は全く意味を成さず、人々は命だけでなく他者に対する信頼までも失う結果となった。

失った物はあまりにも大きすぎた。
そして理解した。
恐れるべきは無人機などではなく、やはり人間なのだと。
無人機は生産するのに時間と金、手間と材料がかかるが人間は日に日に増え続け、更に機械では実行不可能な臨機応変な行動をすることが出来る。

勿論、そんなことは無人機開発の段階で分かっていた。
機械が人間を殺しても、人間は機械に対する信頼を失わない。
人工知能を恐れて人が暴動を起こすこともないが、同じ人間が殺しをしたとなれば、それは信頼問題に発展する。
移民の全てをテロリスト予備軍と恐れるようになった人間は暴動を起こすようになったが、国内に長らく潜伏していたテロリスト細胞の努力によってその暴動は内戦へと昇華された。

無人機を作る事の出来ない貧困国では、子供をある程度の年齢まで育てたら爆弾の運び手として様々な場所に移動させることで、大国の無人機に対抗することに注力した。
それが無人機戦争にとどめを刺した。
どのような機械でも、人の心の中身、爆弾を将来的に抱いて死ぬ人間を見つけ出すことは不可能だ。
子供たちはまるで無人機のように世界中に散らばり、死んでいった。

近所に越してきた移民たちを住民達は恐れ、排除し、それを差別と声高に叫ぶ人間達との間に決して埋まることの無い亀裂が生まれた。
やがて時が流れ、大きな時代の分水嶺が訪れ、無人機は無用の長物となった。
戦争は一周し、人同士の殺し合いへと戻ってきた。
こうして戦争の花形は無人機から人へ、そして、人が操る兵器へと移行していった。

人間が自己判断で動ける上に、装甲を身に纏う事から安全性を確保し、更には個人携行が可能になった事は戦場に大きな変化をもたらした。
それまで陸上最強だった戦車に対して、歩兵が正面から立ち向かう異様な構図が生まれたのだ。
正に、これこそが強化外骨格の本質だった。
新兵を猛者以上の存在へと変えるそれは、人と人との殺し合いをより激化させた。

訓練はほぼ無用であり、必要なのは、俊敏さと応用力、そして無慈悲な決断力。
強化外骨格、“棺桶”を身に付けられたならば、例えそれが十歳にも満たない少年であっても、兵士を素手で殺すことが出来る。
必要なのは人間だけであり、経験は機械が補ってくれるのだ。
世界が戦場と化し、戦場はやがて地獄と化し、そして焦土と化した。

時は流れ、現代になってもその姿は維持され続け、強化外骨格は最高の殺し道具として存在している。
常識で考えるならば、強化外骨格を身に纏っている人間と生身の人間では殺し合いに発展すらしない。
一方的な殺し。
それが一般的だ。

棺桶を破壊する武器があっても、使う人間の技量と度量、そして経験値が無ければその武器は通常の武器と何ら変わりのない物でしかない。
鎧の有無は殺し合いに於いてはかなり重要な意味を持ち、鎧を持たない人間は常に死と隣り合わせの状況を味合わなければならない。
そのため、小型であるAクラスの棺桶は少しでも使用者が戦闘で生き残れるようにと、対棺桶戦闘に特化した設計をしている。
設計者の考えと執念がよく表れているのがAクラスの特徴でもある。


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