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Ammo→Re!!のようです

615名も無きAAのようです:2017/03/28(火) 21:02:46 ID:2nMT7N0s0
嵐がティンカーベルを襲うのは珍しいことではない。
夏場ともなれば気まぐれに発達した入道雲が豪雨と暴風を伴い、島に潤いと新鮮な空気をもたらしてくれる。
これがティンカーベルで栽培される野菜の力の源であり、豊かな自然を形成している秘訣でもあった。
しかし、それはあくまでも自然界における嵐の話であり、気象の嵐である。

人間が生み出す混沌を比喩した嵐が島にやって来たのは、一世紀以上前に起こったデイジー紛争以来の事だった。
街の空気が変異していることに気付いた人間はごく僅かしかいなかったが、島民の中に本質を理解できている人間は一人もいなかった。
一部の島民はこの街に何やら不穏な空気が流れ込んでいる事には気付けていたが、その正体には気付けていない。
また、その嵐は二種類の勢力が対立して生まれたものではなく、三種類の勢力が関係して発生したことに気付いているのは、一人だけ。

嵐の中心に位置する一人の旅人。
変わっていく世界を旅し、多くを見てきた一人の旅人。
黄金の髪と空色の瞳を持つ一人の旅人。
心情を一切読ませない微笑みを湛え、島で起こっている騒動を見守る一人の旅人。

ζ(゚ー゚*ζ「……」

デレシア、ただ一人だけ。
彼女の瞳が見通すのは破滅の未来か、それとも逆転の未来か。
いや、或いは。
或いは、彼女だけが見ている別の未来か。

答えは、彼女しか知らない。

ζ(゚ー゚*ζ「流石、男の子ね。
      意地の張り所が分かっているじゃない」

満足そうなその声と優しげな表情は、その視線の先で奮闘した男に向けての物だった。
世界の正義たらんとするジュスティア警察に所属する刑事、トラギコ・マウンテンライトは事前に話した全ての工程を見事に完了させた。
後は、彼がデレシアの期待を裏切らない働きを見せてくれれば、事態は彼女の考えた通りの展開になる。
尤も、彼に限ってデレシアの期待を裏切ることはないだろう。

ζ(゚ー゚*ζ「……ふふ、やっぱり男の子はこうでなくっちゃ。
       あの子の教育に役立ったし、その頼み、任されてあげる」

トラギコが望んだのは事件の解決。
島全体を舞台にデレシアを追うティンバーランドの連中を黙らせ、撤退させ、あわよくば脱獄犯が逮捕されればトラギコの望みは果たされる。
彼は根っからの警察官だ。
彼の上司が望んでいる物とは若干形が異なるが、彼が望むのもまた正義。

ルールを破る悪を打ち倒す存在たらんとしているのだ。
きっと彼は認めないだろう。
その昔、トラギコによく似た男がいた。
デレシアが認めた数少ない警察官、ジョルジュ・マグナーニはティンバーランドに堕ち、昔持っていたぎらついた情熱は失われた。


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