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Ammo→Re!!のようです

514名も無きAAのようです:2017/01/01(日) 19:36:16 ID:OQQmnSoU0
それまでの間は勉強とトラギコの看病がブーンの役割だった。
勉強は好きだ。
知らない事を知り、少しでも足りない部分を補うことが出来る。
簡単に成長を実感できるため、ブーンは自分が確かに成長しているのだという自覚と共にデレシアとヒートの役に立てる日が近付いていると誇らしく思った。

すぐに眠り始めたトラギコを見て、その眠りが深いことを寝息から悟った。
暫くの間は起きないだろう。
テントの中には二人の呼吸と鉛筆が紙上を走る音だけが流れている。
静かな、そして有意義な時間の流れにブーンは表現し難い安心感を覚えていた。

クロスワードの大部分が埋まって来た時、ブーンの耳が跫音を捉えた。
近付いてくる二足歩行生物――人間――の跫音だった。
女性で、何か金属の物を持っている。
音の次に、匂いが届いた。

それは甘く、糖蜜のような香りだった。
その香りにブーンは覚えがあった。
海上都市ニクラメンで嗅いだことのある香りだ。
死の匂いを隠すための偽装か、それとも死の匂いそのものなのか。

断言できるのは、この香りの持ち主は山の様な死体を生み出してきた人間だということ。
友好的な人間性はなく、残虐非道な生活の持ち主であるという事だ。
そしてブーンは思い出す。
この匂いの持ち主を。

(∪;´ω`)「……お?!」

――ワタナベ・ビルケンシュトック。
間違いない。
この匂いは、彼女の物だ。
不運にも、眠っているトラギコはまだ彼女の接近に気付いていない。

甘い死の匂いを漂わせる彼女の存在に気付けているのは、優れた嗅覚と聴覚を持つブーンだけ。
この場を守れるのは、ブーンだけだ。
どうすればいい。
背筋が冷え、体が震えてその場に跪かせようとしてくるのを強引に拒み、考えた。

守らなければならない。
守るためには抗わなければならない。
例え敵わない相手だとしても、抗う事を諦めてはならないのだ。
抗うためには考え続けなければならない。

思考を止めればそこで終わってしまう。


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