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Ammo→Re!!のようです

460名も無きAAのようです:2016/10/03(月) 21:19:04 ID:slfccTV.0
旅はまだ途中。
果てしのない旅を足止めする者があるのならば、デレシアのすることはただ一つ。
路傍の石ころと同じように処理するだけだ。
蹴り飛ばすか、踏み潰すか。

あまり二人には迷惑をかけたくないが、同じ旅をする以上、多少は手を貸してもらった方が助かる。
恐らくだが、敵はデレシアを直接狙うのではなくその周囲から切り崩しにかかってくるだろう。
直接的な対決ではデレシアに勝てないと知る者がいれば、間違いなくそうしてくる。
そうなると真っ先に狙われるのはブーンだ。

なるほど。
相手の狙いは二つだ。
一つはブーンの命、もしくはそれを利用してデレシアを動揺させる。
そしてもう一つは、ヒートの持つ棺桶だ。

ほぼ全ての強化外骨格の天敵である“レオン”は、ティンバーランドが是が非でも手に入れたいものだろう。
実際、オセアンで狙われていたのは“ハート・ロッカー”と“レオン”だった。
そのために街一つを犠牲にするような作戦を展開したが、まるで焦った様子も躊躇う様子もなかった。
彼らが強化外骨格を手に入れるために文字通り手段を選ばないのは、オアシズでも証明されている。

シュールがブーンを攫い、デミタスが棺桶を盗む。
そしてこちらが混乱している隙を突いて、デレシアに攻撃を加えるつもりだろう。
コーヒーを新たに口に含み、胃に収める。
夜明け前まではまだ時間がある。

それまでの間、デレシアは無言で星空を満喫することにした。
星は何も語らない。
数百年前の輝きを見るデレシアは、その輝きが生まれた時、地球がどうなっていたのかを想った。
今の文明レベルに到達するまで、人類はとてつもなく長い時間を要した。

スカイブルーと紫の帯を背景に散らばる星々の歴史を想像すると、あまりにも現実離れした規模の自然現象に圧倒されかける。
その昔、デレシアは彗星が夜空に美しい光景を作り出したのを見たことがあった。
美しい尾を引いて現れた彗星が、空中で無数の小さな隕石へと分裂し、夜空に百を超える流れ星を作り出したのだ。
圧倒的な光景だった。

主となる彗星に追随するようにして、数百の小さな星が赤い尾を引いて空を支配した。
素晴らしく感動的な光景。
忘れられるはずのないその夜空を、デレシアはよく覚えている。
いつか、その空を二人にも見せたかった。

コーヒーを飲みつつ、デレシアはテントの中の二人について考えた。
ヒートは何故、あそこまでブーンに愛情を注いでいるのだろうか。
確かに、この世の中には耳付きに嫌悪感を抱かない人間が少数だがいる。
ヒートもその類の人間だろうが、愛情の注ぎ方が明らかに強い。

出会った初日から、ヒートがブーンを見る目は明らかに異なっていた。
ただの耳付きとして見ているのではなく、別の誰かを重ねて見ているようだった。
誰を見ているのか。
それは、彼女の過去に関係がありそうだった。


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