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Ammo→Re!!のようです

44名も無きAAのようです:2015/02/08(日) 22:05:25 ID:F94asbco0
今後も店を運営していくためにも品薄を理由に値段をつり上げるわけにはいかず、店を閉める訳にもいかなかった。
髪を降ろしたトラギコは最も安いコーヒーと最も安いホットドッグ、そして無料で手に入る水を三杯頼んで二階に上がり、階段に近い窓際の二人席に陣取っていた。
鉄製の小さな机の上にはトレイに載ったプラスチックのタンブラーと、山のように積み重ねたスティックシュガーがあった。
この店のいいところ探しをするとすれば、このタンブラーだとトラギコは考える。

コーヒーの購入者に必ず渡されるタンブラーを使えば、以降の会計から三ドル割引される。
しかし所詮は三ドル。
十五ドルのコーヒーから三ドル引いたところで、トラギコの財布が受ける恩恵は微々たるものだ。
朝食として買ったホットドッグは値段の割には小さく、あまりコストパフォーマンスがいいとは思えない。

白い紙ナプキンの上に鎮座する作り立てのホットドッグは湯気を纏い、どこか気品さえ感じさせた。
パンはどちらかと言えば小さな方で、挟んであるソーセージは割と太めだ。
ソーセージの下にケチャップと粒マスタードが敷かれていて、彩は地味極まりない。
彩があるからと言って美味いわけでもないのだが、面白みに欠けた。

十ドルの価値がその姿からは見出せず、トラギコは少しだけ落胆した。
店の前にあるパラソルの広げられたテラス席、その少し先に広がる市場を見下ろしながら、トラギコは無関心の状態でホットドッグにかぶりついた。
最初に感じたのは意外にも強めの酸味で、トラギコは思わず目を見開いた。
次いで、粒マスタードの甘みを伴った刺激と熱い肉汁が口の中に広がる。

酸味の正体は濃厚なケチャップだ。
見た目に反して歯応えのあるソーセージから溢れ出した肉汁は二種類のソースによって冷却され、瞬く間に口の中で一つの濃厚な味と成る。
主体はトマトの酸味だが、マスタードとソーセージもそれぞれの味を主張していて複雑かつ大胆な味となっているが、他の味も感じられた。
噛み砕く中、トラギコの嗅覚が別種の酸味を嗅ぎ分け、触感が予想を確信へと変え、味覚がその正体を導いた。

酢の香りだ。
もう一口食べると、その正体が分かった。
――みじん切りにしたピクルスだ。
それも、キュウリと玉ねぎの二種類を程よく混ぜたものを、ケチャップとマスタードで覆い隠すという小技まで使っている。


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