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Ammo→Re!!のようです

42名も無きAAのようです:2015/02/08(日) 21:57:26 ID:F94asbco0
古着屋であったり雑貨屋であったりと、聞き込みをするのにも絶好の店ばかりが揃っている。
取り分け好都合なのが、全世界一位の人気を誇るチェーン店の“スタードッグス・カフェ”という喫茶店だ。
二階建てで客席数も多く、四人掛けのテラス席が五つもある。
そこならば余裕をもって人を観察できるため、早朝から二階席の窓際で陣取ろうと考えていた。

問題は、値段だった。
スタードッグス・カフェのコーヒーは一番安くて十五ドル、サイドメニューにあるホットドッグはなんと十ドルもする。
レシートがあれば二杯目は三ドルで飲めるのだが、予算を考えると非常に厳しい。
朝食を最も安く済ませても二十五ドルを使うことになり、残りの予算は半分の二十五ドルとなってしまう。

最近出来たばかりの街、カルディコルフィファームからコーヒー豆を従来よりも安く仕入れているのに値段は据え置きというのが、この店の恐ろしいところだ。
その強気な経営から、世界二位の内藤財団が経営する“ド・ゴール”に客層を奪われ、そう遠くない将来には逆転するだろうと予想されていた。
金の心配をしながら捜査をするのはいい気分がしないが、現実から目を逸らしてもいられない。
端金で真実に近づく事が出来るのなら、金は支払うべきだ。

店については後で改めて考えることにして、トラギコはコーヒーを一気に飲み干してカップをサイドテーブルに置いた。
明かりを消して布団をかぶり、そのまま瞼を下ろした。
眠気が体の奥、瞼の奥、脳の髄から沁み出すようにしてトラギコの体を包み込んだ。
そのまま眠りに落ちたいのが本音だが、どうしても耳だけはそれを許してくれなかった。

秒針が時を刻む音が聞こえる。
意識が眠りに近づくにつれて、耳が音に敏感になって行く。
廊下を歩く人の跫音、窓の外から聞こえる車の音、人の話し声。
次第に意識が黒く染まり、音だけの世界にトラギコは立ち尽くしていた。

無論、それはトラギコの脳が作り出したイメージだ。
音を頼りに脳が物を配置し、動きを想像し、記憶を辿って建物を作り出し、やがては世界を作り出す。
捜査が始まるまで、後二時間。
物事を考える時間は、まだある。


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