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Ammo→Re!!のようです

327名も無きAAのようです:2015/07/19(日) 22:29:58 ID:XwtdpWiY0
周囲に明かりが必要だ。
フラッシュを焚いてもこの距離では大した意味はない。
湿った生ぬるい風が雨の気配を知らせる。
天候の更なる悪化の兆候に、ますますアサピーは焦る事となった。

一眼レフのカメラは水に弱い。
用途に合わせたレンズの交換という利点を得た代わりに失ったのは、防水性だった。
霧雨の中でならまだいいが、豪雨となればカメラ本体だけでなくフィルムにまで影響が出てしまう。
一刻を争う事態だ。

残された時間まで、後一分もない。
トラギコが病院から姿を現し、狙撃手が正面を向くその一瞬を狙わなければならないというのに。
どうしても、光が足りない。
顔にも施された暗色の迷彩ペイントが、アサピーをあざ笑うかのようだ。

この段階で写真に収めることは出来ても、顔が分からなければ写真としての価値はほとんどない。
どうすればいいのだろうか。
強烈な明かり。
輪郭すら浮かび上がらせる明かりを狙撃手に当てるにはどうすれば――

(;-@∀@)「そうかっ……」

――たった一つだけ、考えが浮かんだ。
狙撃手自身が生み出す明かり。
つまり、発砲炎。
トラギコが撃たれる一瞬にのみ生じる炎ならば、狙撃手の顔を照らしてくれるに違いない。

だがそれは、トラギコを撃たせるという事だ。
正面から喧嘩を売る形で相対するトラギコは急所を穿たれ、即死するだろう。
絶対に被弾させてはならない。
満身創痍である以上、銃弾を回避するような無理は出来ない。

バッグからフラッシュを取り出し、カメラの上部に装着する。
フラッシュはほとんど意味がないが、相手の注意を逸らすことは可能だ。
あえてこちらに注意を向けさせれば、銃弾はトラギコを貫かない。
それしかない。

残り十秒となった時、アサピーは呼吸を徐々に浅くし始めた。
そして三秒前で呼吸を止め、カメラを全身で固定する。
フォーカスは完璧。
後は、正面を向き、発砲してくれるだけでいい。

‥…━━ August 11th AM11:55 ━━…‥

アサピーが位置に着く少し前。
大雑把に説明を終えてヅーと分かれたトラギコは、彼女が予定通りに行動起こしてくれていることを願っていた。
ヅーに依頼したのは、隔離病棟でトラギコが何か調べているのを発見した、という情報を全体で共有してほしいという事だった。
勿論、それは警察だけでなく、協力体制にある軍の人間にも話をするという事だ。


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