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Ammo→Re!!のようです
325
:
名も無きAAのようです
:2015/07/19(日) 22:27:43 ID:XwtdpWiY0
今よりもわずかに高い場所に上がることが出来れば、とアサピーは焦った。
そこまで深刻にならなかったのは、こうなることは予想の範疇にあったからだ。
こうなった以上、使える手は一手しかない。
脚立以上に目立たず、そして高さを確保できる手段。
それは、屋上に通じる唯一の階段室だ。
十分な高さを持つ階段室を利用すれば、間違いなく今目の前にある問題は解決できる。
それだけでいい。
目の前の問題が全てなのだから。
シーツを一枚掴み、それを頭から被って顎の下で結んだ。
改めてカメラを構え、鐘楼との焦点を合わせておく。
腕時計を見て、後一分弱で正午になる事を確認する。
続いてカメラを腰に回し、痛む体に鞭打って階段室によじ登る。
芋虫じみた動きで登りきると、アサピーはしばらくその場に静止し、安全を確かめた。
伏せた状態では高所にいる被写体を撮影できない。
そこで膝を立て、左腕でレンズの下部を抱くようにして固定して右手を添えた。
呼吸に合わせてカメラが僅かに動く程度で、手振れは殆ど感じられない。
グレート・ベルに向けたレンズを覗いて、今の態勢で生じる手振れの大きさを確認した。
殆ど動いていないのにもかかわらず、中心点は大きく動いている。
呼吸を止めてみると、少しだがそれが和らいだ。
全身でカメラを固定させるようにして、ようやく手振れはなくなった。
次にアサピーはフォーカスリングを動かし、金色の鐘に合わせた焦点を微調整し始めた。
距離的に考えれば、狙撃手はあの鐘とほぼ同じ位置にいるはず。
焦ってはいけない。
今のアサピーは、布と一体となり、地面と一体となり、環境の一つとして溶け込まなければならないのだ。
レンズの向こうには、読み通りに鐘が正面から浮かんでいた。
他に見えるのは、木製の箱とその上に積まれたぼろ布だけだ。
人影などありはしない。
また、銃のシルエットもありはしない。
狙撃手は一度使用した狙撃ポイントを二度使うことはない。
だがアサピーとトラギコは、狙撃手が移動していないと確信していた。
相手は己の技量に過信したからこそ、何度も同じ手段を使っている。
こちらが気付いたと悟られない限り、その場所を変えることはないだろう。
ズームリングを最大まで回し、揺れる像の中から狙撃手らしきものを探す。
ちらりと見やった腕時計の秒針が、残り時間一分を切った事を告げる。
分かっていても焦りが指先に伝わってしまう。
深呼吸をして、精神を統一する。
全ては、この糞を極めた混迷の状況――tinker――を打破するために。
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