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Ammo→Re!!のようです

323名も無きAAのようです:2015/07/19(日) 21:33:54 ID:6KurIn5.0
閉じられた扉の向こうを見て、アサピーもベンチから腰を上げた。
少し屈んでから巨大なレンズが付いたカメラをバックから取り出し、構える。
鐘楼とは反対側の街並みに対してレンズを向け、精度と自らの手振れの程度を把握する。
距離感覚を掴みつつ、力の入れ具合を体に覚え込ませる。

フォーカスリングの固さを確かめ、体に染みついている距離感覚を頼りに焦点を合わせる練習を行う。
オートフォーカス機能のついていないカメラを使用している理由は、対象が移動した際にフォーカスを手動で合わせた方が早い場合があるからだ。
勿論、機械に任せた方が早い場合が多い。
しかし、遠距離ともなれば手動で予め合わせておいて微調整をした方が確実な場合がある。

特に今回は相手の位置が決まっているため、撮影の度に距離を測定するシステムは必要なくなる。
フォーカスを固定する方法もあるが、万が一の際にはやはり手動の方が速度的には勝る。
試しに一枚撮影し、その手応えを記憶する。
焦点が合っているか否かは、感覚的に指先と目が覚えてくれている。

十枚ほど試しにシャッターを切り、指先に感覚を覚え込ませる。
自己評価としては、申し分はない。
そして望遠性能については予想以上に鮮明に映り、グレート・ベルに最も近い距離の建築物に掲げられた看板の文字がはっきりと読み取れた。
この性能ならば、人間の表情や輪郭も申し分ない程度に撮影出来る事だろう。

風の強さが一層増し、頭上を通り過ぎる雲に灰色のそれが混ざりはじめた。
天候が悪化するのは明らかだ。
また、この雲の色と肌に感じるひんやりとした感覚は激しい通り雨を予感させる。
悠長なことはしていられない。

練習を終え、本番に備えてベンチの影からグレート・ベルに向き直る。
そこで問題が発生した。
シーツの数と位置、そしてグレート・ベルとの高低差が構図に大きな影響を与えていた。
レンズ内に鐘の上部しか映らず、その下にいるはずの狙撃手が入り込まない事が分かった。


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