したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

Ammo→Re!!のようです

182名も無きAAのようです:2015/05/10(日) 19:06:33 ID:EB3u4DHo0
支給されたライフルはダットサイトとフラッシュライト、そしてアングルドフォアグリップを装着したコルトM4カービンライフルで、背負うのは傑作強化外骨格“ソルダット”と重装備だ。
埠頭には三人一組の警備員が随時巡回を行い、不審者や不審物に細心の注意を払っていた。
彼らはジュスティアから派遣された兵士ではなく、オアシズが契約している警備員であり、その忠誠心と練度は軍人と比肩し得るだけのものを持っている。
軍帽の下から覗く双眸は闇を鋭く睨みつけ、安全装置の解除されたライフルのトリガーガードに指がかけられ、いつでも発砲出来る状態を整えている。

オアシズの厄日と呼ばれる連続殺人事件と海賊の襲撃以降、住人の命を守るという行為の重さに比べて銃爪を引く行為の軽さを実感した彼らの動きに躊躇はなくなった。
万が一不審者が現れた際には実力を持って対処することを誓い、銃把を握る手にも力がこもる。
離れた場所、グルーバー島の中央でグレート・ベルが“鐘の音街”の名に恥じぬ巨大な鐘の音を響かせた。
その美しい音色は数世紀以上も変わることなく島にあり続け、今なおその役割を果たし続けている。

警備員の一人が腕時計に目をやる。
夜光液で浮かび上がる文字盤が示す時刻は夜の五時五十五分。
六時五分前に鐘が鳴る習慣があるとは知らなかったが、そもそも島にある全ての風習を部外者が理解するなど不可能なのだ。
時計から目を上げ、警備員たちは歩哨の任務を再開した。

赤に染まった水平線の果ても、もう間もなく夜の帳に覆い隠されようとしている。
本格的な夜の到来に伴い、風が冷気を帯び始め、波の音と相まって夏の暑さを忘れさせてくれた。
避暑地としても知られているティンカーベルならではの気温変化だが、冬は川の水も凍るほどの寒さになる。
だからこそ発展したのが、アルコール度数の高い酒だ。

特にウィスキーの生産が盛んなのが、グルーバー島の西に位置するバンブー島である。
泥炭をふんだんに使って燻し香を身に纏った琥珀色の液体は、他に比類のない深みのある香りと味、そして中毒性を有している。
ティンカーベルの地で始まったとされるこのウィスキーは、スコッチ・ウィスキーと名付けられ、世界で愛飲されている。
しかしその輸出すらも禁止された今、何日間港が封鎖されるにしても、一日の遅れで生じる損害は相当な物だろう。

積み込みに勤しむ商業船などで賑わいを見せるはずの埠頭も、最低限の明かりだけで照らされて寂しげな印象を与える。
警備員が主に注視しなければならないのは海面だった。
埠頭に通じる橋を渡る者がいれば、島側の出入り口を封鎖している軍関係者たちから連絡があるはずだからだ。
橋の可能性をなくせば残りは海だけ。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板