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Ammo→Re!!のようです

1名も無きAAのようです:2015/02/08(日) 19:35:24 ID:F94asbco0
前スレ
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1369565073/

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【Low Tech Boon】→ttp://lowtechboon.web.fc2.com/ammore/ammore.html

【Boon Bunmaru】→ttp://boonbunmaru.web.fc2.com/rensai/ammore/ammore.htm

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2名も無きAAのようです:2015/02/08(日) 19:36:15 ID:F94asbco0
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好奇心で猫が死ぬ?        ヽ、   l          ヽ ,ィ
Cat has nine lives?               `ー.,′        _, イト
                        ,'         ..;;;;;;;;ィ  ジョルジュ・マグナーニ
まさか。                    /     ,ィ   ..,,;;;;'',.ィ仁   Georges・Magnanni
You're kidding me.             `ー--r‐、 ;;;;;:'' ,イ'.__ノ_イ
                             _,メリl__,ィニィ'ノ‐ ´
                         ,ィイメ` `r‐}l'´ , -イ
                        ,fリ′!、_ ..| ト∠- ′
                          Ⅷ  ー‐' ノ `リli|;;;;;;;;;;;;;
                    その猫が弱かっただけだろうよ。
                 That cat was so weak that it can't be alive.
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速度、信号、細かな道路規則を完璧に守るヴォルクスワーゲン社製の白いセダンは現代的で、そして厳めしい表情と堅牢な作りの洗練された美を有している。
低電力のライトは僅かに青みがかり、明るすぎず、だが暗く感じることのない適度な明るさで地面を照らしていた。
辺りには街灯が多く並び、仄かな白い光がアスファルトで舗装された道に光を落としている。
日中の太陽光と波力、そして風力で作られた電力を使用して発電しているため、その明るさは日によって違うと言う。

巨大な街が持つような発電施設はないが、自然の力を借りた発電施設は周囲の島々に散っており、この街には十分すぎるほどの電気が供給されている。
大嵐が島を襲ったとしても停電の心配はないと言われており、余った電力で得た金は街の重要な収入源の一つだ。
むしろ問題があるとすれば、建物の方だ。
嵐の度に昔ながらの作りをした家屋が新しくなるのは、この島の伝統的な風景とも言える。

3名も無きAAのようです:2015/02/08(日) 19:39:55 ID:F94asbco0
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L|  .ヘ‐'      >''"    _,,,............,,_    `'マ〜く
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    {       |ニニニ7    〃⌒ヽ.   マニニ|x-‐─《.
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鏡のように磨かれたスモークガラスのセダンを運転するのは、フレームレスの眼鏡によって知的な印象を与える鳶色の瞳を持つ若い女性だった。
美人に分類される顔の造形だが、彼女をよく知る人間からはそのような評価は一度たりとも下ったことがない。
一目彼女を見た人間もまた、その眼光に射竦められて評価を覆す。
もっとも、その女性は自分の容姿が異性に与える影響など眼中にはないのだが。

世界における正義の使者とも言えるジュスティア警察の長官専属秘書、ライダル・ヅーはハンドルを左手で掴み、右手は常にシフトレバーに添えている。
ギアを変える時に車が不自然に振動することもなく、車と搭乗者に負担をかけることのない運転を日頃から心掛けていることが分かる。
速度に応じてギアが変わっているのに気付くには、僅かなエンジン音の変化に耳を傾け続けるしかない。
時折ヅーの目は右側の助手席に座る男に向けられていたが、向けられた当の本人はそれに気付いていながらも無視を決め込んでいた。

助手席に座るのは整った服装のヅーとは対照的に、皺だらけのスーツを着てワイシャツのボタンを二つ外し、白髪だらけの乱れた髪の男だ。
右の頬にある大きな二本の傷は、人相の悪い彼をより一層悪人に思わせた。
落ち着きなく車外に目を向け、通行人や対向車、建物の上を観察する様は正に不審者そのものだ。
男の名前はトラギコ・マウンテンライト、ジュスティア警察のベテラン刑事である。

4名も無きAAのようです:2015/02/08(日) 19:42:00 ID:F94asbco0
車は人通りの多い道から、ウィンカーを出して細い道に左折した。
すれ違う車は錆だらけ、もしくは土埃だらけの地元の人間が運転する車だけだった。
ヅーの車はいわゆる高級車で、地元民のそれとは明らかにかけ離れた美しさを持っているために、明らかに目立っている。
地味な見た目ながらも確かな質の品で彩られた車内に会話はなく、ラジオすら流れていない。

トラギコは気まずいとは思わなかったが、心地よい沈黙とも思えなかった。
目的地は本人の言葉が正しければ、ティンカーベルを代表する観光スポットであるグレート・ベル近辺のブライアンホテルだという。
ブライアンホテルという名前のホテルが実在するかどうか、実のところトラギコは知らなかった。
この島について、そこまで詳しくは知らないのだ。

閉鎖的な土地が好きな人間はそういないだろうし、トラギコもそういった人間の内の一人であり、ティンカーベルと関わる仕事の記憶がほとんどないのが原因だ。
何よりトラギコの記憶に強烈に焼き付いているのが島の雰囲気や地形よりも、捜査に非協力的な人間の多さだった。
そう云った経験も含め、この島での聞き込みはあまり実りあるものにはならないだろうとトラギコは確信していた。
だからこそ、自分の足を使って情報を手に入れて回るしかないのだ。

しかし、それはこのまま無事にホテルについて行動が出来るようになってからの話だ。
ヅーが大人しくトラギコの捜査の協力をするとは、どうしても考えられなかった。
規則一筋だからこそ優秀であり、ジュスティア警察の最高権力者であるツー・カレンスキーの専属秘書になったのだ。
世界で五指に入る優秀な秘書、とはよく言ったものだ。

トラギコに言わせれば、世界で五指に入る融通の利かない糞女である。
そのヅーが、己の独断で軍と警察の意向に反してトラギコを自由に行動させるなど、あまりにも非現実的すぎる話だった。
見え透いた罠だ。
彼女の目的はトラギコから情報を聞き出すことであり、保護することはその過程でしかない。

結果として情報を聞き出せれば、トラギコが殺されようとも気にも留めないだろう。
これまでに何度も彼女の行動を見てきたからこそ、彼女の言動の裏を考えざるを得ない。
ある意味で信頼と言えるだろう。
善意ある行動などなく、必ず裏に何かしらの目的を潜ませて動く女だという信頼。

5名も無きAAのようです:2015/02/08(日) 19:45:28 ID:F94asbco0
このドライブも裏があると考えれば、常に首筋に剃刀を当てられているようなものだ。
脚の一本が使えなくてもヅーに力で勝つ自信はあるが、この女がトラギコとの体力的な差を考慮せずに拘束しようと画策しているとは考えられない。
ある地点に部隊が控えてあるか、この車に罠を仕込んでいるかもしれない。
テーザーガンで人をショック死させるような女なら、有り得る。

さりげなくルームミラーを見ると、後部座席に男女の対格差を無意味にする代物が鎮座していた。
強化外骨格――“棺桶”――だ。
彼女の使う棺桶は逃亡者を追い詰めるのに最適な物で、徒歩の人間は絶対に逃げきることが出来ない。
車内での争いは意味をなさないと考え、トラギコは再び視線を外に向けた。

車は、見覚えのある通りへと戻ってきた。
尾行車がいないか、それを見定めるための行動だ。
ヅーは意図的に細い道を選んだり、カーブを曲がる際に速度を上げたりと教本通りの対応をしている。
細かなハンドル操作と速度変化が多い中、ギアを変更する際、信号に従って車を止める際、どのような時もトラギコの体が前にのめり込むことはなかった。

車内には、エンジンが上げる低く小さな音だけがBGMとして流れていた。

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       '.      jニニニ{     {{QQQ}}    }ニニ!::::::::::::::::.    Ammo for Tinker!!編
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6名も無きAAのようです:2015/02/08(日) 19:49:58 ID:F94asbco0
走り始めて一時間以上が経過したが、ホテルに到着する気配は一向になかった。
尾行車を警戒しての行動だとしたら、いささか時間をかけすぎている。
先ほどから後方を見てはいるが、それらしき車両を見かけてはいない。
何かを考えているのだろう。

トラギコをどこかに連れ込み、拷問をする算段でも立てているかもしれない。
セダンは似た景色の道を繰り返し通りながらも、確実に島の奥へと向かっている。
流石に我慢が出来なくなってきたトラギコは、運転席に仏頂面で座るヅーの方を向いた。

瓜゚ー゚)「何ですか?」

相変わらず、この顔が腹立たしい。
何もかもを知っている人間だけが出来る、落ち着き払った表情。
忌々しいこの女は常にその表情を顔に貼り付け、接してくる。
自分が上位にいることを示すかのような表情は、己の知識と技量の裏返しだ。

それだけ自分に自信があり、相手よりも勝っているという確信があるのだ。
上司でなければ殴っているところだ。

(=゚д゚)「どこに向かっているラギ?」

視線を窓の外に戻し、トラギコは質問をした。
思えば、このセダンに乗車してから初めての発言だった。

瓜゚∀゚)「ホテルです、遠回りですが」

返答したヅーもまた、視線を前に固定したままそれに応じた。、
表情は微塵も変化がなかった。

(=゚д゚)「あんまり時間をかけてほしくないラギ」

7名も無きAAのようです:2015/02/08(日) 19:52:51 ID:F94asbco0
瓜゚∀゚)「構いませんが、島の地図は頭にありますか?」

成程、とトラギコはヅーの発言の意図を理解した。
トラギコにこの事件を担当させるのであれば、当然、捜査を行うことになる。
捜査に必要なのは根気と土地勘、情報、そして暴力だ。
島の形を理解し、島にある街並みとその細かな道を覚え、どこにどのような店があるのかを覚えておく必要がある。

特に、酒場は情報収集には最も適した場所だ。
酒精を摂取した人間は多かれ少なかれ、必ず集中力が落ちる。
その隙に付け入り、情報を手に入れるのは容易な話だ。
現にトラギコは、この一時間で四件の酒場を記憶していた。

やはり、抜け目のない女である。

(=゚д゚)「……やっぱり、もう少しだけ付き合うラギ」

街の案内をしながら送迎されているとは、思ってもみなかった。
しかし、罠である可能性は微塵も減っていない。
再び、無言のドライブが始まった。

8名も無きAAのようです:2015/02/08(日) 19:55:57 ID:F94asbco0
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Ammo→Re!!のようです
Ammo for Tinker!!編
              _,,斗zセニ二..,,,_ ̄ ̄三二ニ丶、
     ,.. -─=≦=ー-  .,,_     )'´,.斗-‐t━=ミ\   _
    _(ハ,_,,..二{》二二...,,,,_/.ノ__,,.. ィ゙ <∠..,,___,ハ,.-‐\\にl}   第五章【drive-ドライブ-】
  〃) ∨__リ____  {!に二¨¨:ア´ ̄ ̄ ̄``マニ==ー<∠....,,,,__
  |:i' c |[「 ̄ ̄ ̄ ̄|/ r‐ュ.  |::;′     ∠.,`ヽ     `ヽ   `>、
  U n   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    n ∪     / , -、'vハ        °/,:'ヽ',
  ∨_    0O           ____    /     ',Ⅵ',     l|  / ;  }|
  にニヽ. .....,,,,,,_ _ __ ___f'´-----‐\/ l{    }}ノ人      リ August 10th AM00:32
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ブライアンホテルに着いたのは日付が変わってからだった。
それまで徹底して口を利かないでいたトラギコは、この段階でもまだヅーを疑いの目で見ていた。
八階建てのホテルはペンキが塗り替えられて間もなく、内装は小奇麗に整っていた。
受付のあるラウンジも掃除が行き届いており、赤い絨毯は柔らかく足を負傷しているトラギコにとってはありがたく感じた。

ホテルの入り口近くには飲食や談話の出来る小さな丸テーブルと一人掛けのソファが三つあり、ラウンジの奥にはカウンターバーもあった。
ヅーは受付に立ち寄り、名前を告げてから鍵を受け取った。
その動作が生んだ僅かな時間の中で、トラギコはラウンジに不審な人間や物がないことを確認していた。
柱の陰や植木の陰にも目を向け、影や異常な動きがないかを見る。

入り口が密かに施錠されていないこと、その扉の近くに何か罠のような物がないことを確認した。
警察とジュスティア軍が好む手口は、標的が目的の建物に入った時に捕える方法だ。
瞬間的な油断の数値で言えば最も高いからだそうで、真っ先に行うのが出入り口の封鎖なのである。
別の手段で捕えに来るとしたら、部屋に入った瞬間か睡眠の際だろう。


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