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川 ゚ -゚)ネカフェライターのようです
69
:
名も無きAAのようです
:2016/02/07(日) 10:06:34 ID:W2DzMIFI0
Σ(- - 川「はっ!」
がたりという物音と、机にぶつけた右膝の痛みで覚醒した。いつの間にか眠っていたらしい、周りの席から呻き声と控えめないびきが聞こえる。
7時20分、時刻を確認して大きく伸びをした。じっとりとした汗と首の凝りが酷い、目覚めはよくない。
店内は入った時となんら変わらない様子で、照明とディスプレイの明るさに頭がじんじんした。
私は一息ついて静かに席を立ち、伝票を手にした。
それから、空いている方の手でマウスを操作し、切り取ったネカフェライターの文章を元通りに貼り付けた。
上書き保存をしてからファイルを閉じ、シャットダウンを確認して席を出た。
川 ゚ -゚)「………」
私は店員の話も大して聞かずに精算をすませて、さっさと外に出た。朝日の眩しさに目を細める。
絶望に耐えかねた人間が捌け口に選んだのは小説、あるいはエッセイだった。
何故わざわざネットカフェに書いたのかは分からないが、心の痛みを、とかく書かずにはいられなかった人がいた。
最初のネカフェライターだ。
70
:
名も無きAAのようです
:2016/02/07(日) 11:31:53 ID:Mqgu8EKA0
しばらくはこの人が書き続けた、感想をもらって良い気になったのかもしれない。胸もスッとしただろう。
それを見ていたネカフェライターのファン達は次第に違和感を覚える、絶望に共感していたはずが、そうでなくなっていたのだから当然だ、そこで現れたのが第二のネカフェライターだ。
「違う、そうじゃないんだよ」
先の私と同じ気持ちになった第二のネカフェライターは、自らの絶望を書き綴る。彼もネカフェライターに救われていた部分があったから、なおさら力が入ったに違いない。
しかし、これが奇妙さを増すことになる。なぜなら新たに書かれたのは第二のネカフェライター、彼自身固有の絶望で、ファン達は二つの異なる絶望を目にしてさらに違和感を強めたからだ。
しかも、彼らがネカフェライターに癒してもらいたいと強く願う、心の沈んだときに限って、それは顕著に表れた。
人それぞれ深い絶望の形態は様々で、経緯や性格によってその姿を変える。しかし、一見すると絶望は絶望で、私たちは湿った日陰に群生する苔のように、自然と18番の席に集まっていた。
自分以外にも孤独を感じている人間を確認して、安心しに来ていたんだ。そうして始まった奇妙でネガティブなリサイクルに私や、あの不良は巻き込まれていったのだ。
利用者の多い席で、文体がころころ変わる、不特定多数のダメ人間が、不器用にリレーしていく絶望小説、それがネカフェライターの正体だ。
71
:
名も無きAAのようです
:2016/02/07(日) 11:33:57 ID:You2.AUw0
http://urx.red/rNLl
72
:
名も無きAAのようです
:2016/02/07(日) 11:36:30 ID:Mqgu8EKA0
ξ゚⊿゚)ξ「あら、あらら」
聞き慣れた声に振り向いた。「ツン」と自然に名前を呼ぶ。
ξ゚⊿゚)ξ「今バイト終わったの、あんたネカフェに泊まったの? ばかねえ」
彼女は片腕を空にうん、と伸ばして近づく。
ξ゚⊿゚)ξ「また向こう見ずな顔」
私は答える。
川 ゚ -゚)「妄想してた」
ξ゚⊿゚)ξ「ばかだ」
川 ゚ -゚)「ネカフェライターが」
私の言葉を彼女は「はいはい」と遮った。
ξ゚⊿゚)ξ「安っぽい」
おうむ返しで聞き返す。
ξ゚⊿゚)ξ「結論づけばつくほど、安っぽい」
川 ゚ -゚)「ふうん」
ξ゚⊿゚)ξ「実は私も見てたの、あれ」
彼女の顔を見た。あの真面目な表情だ。
ξ゚⊿゚)ξ「多分、あんたと同じ気持ち」
あれ見てから、元気なさそう人は無理にでも18番に入れてた、と淡々と話す。
川 ゚ -゚)「そっか」
私は改めてネカフェライターを思った、結局の正体は分からなかったが、もはや心残りはない。
川 ゚ -゚)「早く、シャワー浴びたい」
ξ゚⊿゚)ξ「もう、帰って寝る、レポートも、まだだし」
歩き始めた彼女の後を私は歩いた。なにげなしに振り返ると、長く伸びた黒い影が重なったり離れたりして、とても綺麗だった。
73
:
名も無きAAのようです
:2016/02/07(日) 11:37:10 ID:Mqgu8EKA0
終わりです、凄く時間かかった、ありがとうございました
74
:
名も無きAAのようです
:2016/02/07(日) 12:36:07 ID:sW52E9zA0
おつ!
完結してくれて良かった
陳腐かもしれないけど、妙に納得できた
75
:
名も無きAAのようです
:2016/02/07(日) 13:10:34 ID:Jg.h2b/Q0
乙乙!すごいよかった!こういうの好きだよ
76
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名も無きAAのようです
:2016/02/07(日) 18:09:24 ID:fUw5cJm60
何気なく
>>1
見たら
1 名も無きAAのようです sage 2014/12/06(土) 23:18:29 ID:LkgG9Vm60
明日には完結させたい
とか書いてあってワロタ
77
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名も無きAAのようです
:2016/02/07(日) 18:10:09 ID:fUw5cJm60
こういう話好きなので楽しめました
78
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名も無きAAのようです
:2016/02/07(日) 18:29:52 ID:dwuXbSAc0
ずっと追ってたから完結してくれて嬉しい
ストンと納得出来る結末が気持ち良かった
乙乙
79
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名も無きAAのようです
:2016/02/08(月) 00:00:08 ID:9D5qqiPg0
乙だああああああ
80
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名も無きAAのようです
:2016/02/09(火) 16:10:42 ID:ghGSQJlA0
乙!
もしかして「ぬるい毒」とか好きじゃない?
81
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名も無きAAのようです
:2016/02/09(火) 21:33:14 ID:nEXzqlDc0
乙ありがとうございます
ぬるい毒は知らなかったです、最近の人だと飛鳥井千砂とか好きです
82
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名も無きAAのようです
:2016/02/10(水) 01:08:24 ID:uC56Bk4Y0
この投下ペース、この投下ペースなんだよな
でもなんとなく最後までいきそうだとは思ってた
乙
83
:
名も無きAAのようです
:2016/02/10(水) 02:05:32 ID:VwqKRqUI0
いい小説だった、好き
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