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多層菓子にフォークを突き立てるようです
1
:
名も無きAAのようです
:2014/11/12(水) 18:56:15 ID:3EMWA04U0
※閲覧注意
殺傷・微グロ描写アリ
地の文多め
のんびり投下します
16
:
名も無きAAのようです
:2014/11/12(水) 19:37:25 ID:MOjz5r4Y0
少しずつ広がっていく罅。透明な硝子が砕け落ちるようなイメージを纏いながら現れたのは、
(; 、∩トソン「…ミセ…リ?」
ミセ*゚ー゚)リ「えへへ、ミセリちゃん参上!トソンちゃんひさしぶりー」
もう二度と見れなかったはずの輝くような笑顔。
ミセリのあたたかい腕の中でトソンはゆっくりと意識を手放した。
17
:
名も無きAAのようです
:2014/11/12(水) 19:55:09 ID:MOjz5r4Y0
capture 0 :歪み、歪め個々の恋心
18
:
名も無きAAのようです
:2014/11/12(水) 19:56:09 ID:MOjz5r4Y0
ミセ*゚ー゚)リ「トソンちゃん」
腕の中で気絶する少女はミセリの知る気丈で、皆の中心にいたかつての彼女ではない。
でも、それでいい。
たとえ誰にも認めてもらえなくても、たとえトソンが否定しようがミセリにとってはかつてのトソンもこのトソンもどちらとも同じ優しくて愛しいトソンなのだ。
ミセ* ー )リ「…今度こそ誰にも渡さないんだから」
19
:
名も無きAAのようです
:2014/11/12(水) 19:59:31 ID:MOjz5r4Y0
今回はここまで
ありがとうございました
20
:
名も無きAAのようです
:2014/11/12(水) 19:59:43 ID:772bAscc0
支援
21
:
名も無きAAのようです
:2014/11/12(水) 20:16:47 ID:7dauhYNs0
おつ
どうなるかわからんのだけど面白そう
22
:
名も無きAAのようです
:2014/11/12(水) 21:16:38 ID:dK/CpAOU0
タイトルがオシャレ
乙
23
:
名も無きAAのようです
:2014/11/12(水) 21:55:40 ID:FLpvjVy20
おつ 面白そうだなぁ
続き期待
24
:
名も無きAAのようです
:2014/11/13(木) 17:52:48 ID:F/dPzqZM0
これは期待
25
:
名も無きAAのようです
:2014/11/14(金) 19:13:55 ID:RkqQohJA0
capture 1:霞み煙る午睡のながめ
26
:
名も無きAAのようです
:2014/11/14(金) 19:17:33 ID:RkqQohJA0
雨が降っている。
灰色の空の下を黒い雨傘をさした少年が一人、帰路を急いでいた。
('A`)「…やっぱり暑いな」
額を伝う汗を手の甲で拭うとさっきまで赤だった信号を少年は渡り始める
。
そして自宅への近道である椿の生け垣と薄汚れたアパートの隙間にある路地へと足を踏み入れた瞬間、肩に強い衝撃を受けてよろめいた。
('A`)「…っ!」
川 - ) 「きゃっ!」
川;゚ -゚)「…っ、仲間がいたのか!」
27
:
名も無きAAのようです
:2014/11/14(金) 19:20:12 ID:RkqQohJA0
少年を認識した少女は懐から小刀を取り出してがむしゃらに一閃させる。
川;゚ -゚) 「…来るな」
('A`;)「いや、お、落ち着いて!」
両手を上げて敵意がないことを示すも疑わしげな表情のまま少女は動かない。
28
:
名も無きAAのようです
:2014/11/14(金) 19:24:54 ID:RkqQohJA0
しかし少年は視線を逸らし、場違いにも頬を仄かに染めた。
('A`)「…あのさ」
川 ゚ -゚) 「…なんだ?」
('A`;)「よかったらこれ、その…服が透けてる」
少年は器用に傘をさしたままブレザーを脱ぐと視線を逸らしたまま少女に投げて寄越す。
川;゚ -゚) 「…す、すまない」
受け取った少女は少し戸惑いながらもナイフを鞘に収め、そのブレザーを羽織った。
29
:
名も無きAAのようです
:2014/11/14(金) 21:35:21 ID:aWhz8Yko0
受け取った少女は少し戸惑いながらもナイフを鞘に収め、そのブレザーを羽織った。そして毒気を抜かれたのか少しだけ和らいだ視線を少年に送る。
川*゚**-゚) 「…感謝する」
('A`)「あ、あの…ストーカーなら警察に連絡した方が…」
川*゚**-゚) 「…いや、ストーカーではないんだ。訳あって事情は…」
('A`)「親には?」
川*゚**-゚) 「…いないな、頼れる人が私にはいない」
('A`;)「…当てを見つけるまで風呂と寝床くらいなら貸す。お前が嫌じゃなかったら、だけど…」
少女は暫く眉間に皺を寄せ悩んでいたが怖ず怖ずと少年の元へと歩み寄り、所在なさそうに少年のカッターシャツの裾を摘んだ。
川*゚**-゚) 「…宜しく、頼む」
30
:
名も無きAAのようです
:2014/11/14(金) 21:39:26 ID:aWhz8Yko0
文字化けしましたので投下し直します
31
:
名も無きAAのようです
:2014/11/14(金) 21:41:48 ID:aWhz8Yko0
受け取った少女は少し戸惑いながらもナイフを鞘に収め、そのブレザーを羽織った。そして毒気を抜かれたのか少しだけ和らいだ視線を少年に送る。
川 ゚ -゚)「…感謝する」
川 ゚ -゚) 川 - ) 川;゚ -゚)
('A`)「あ、あの…ストーカーなら警察に連絡した方が…」
川;゚ -゚) 「…いや、ストーカーではないんだ。訳あって事情は…」
('A`)「親には?」
川゚ -゚) 「いないな、頼れる人が私にはいない」
('A`;)「…当てを見つけるまで風呂と寝床くらいなら貸す。お前が嫌じゃなかったら、だけど…」
少女は暫く眉間に皺を寄せ悩んでいたが怖ず怖ずと少年の元へと歩み寄り、所在なさそうに少年のカッターシャツの裾を摘んだ。
川;゚ -゚) 「…宜しく、頼む」
32
:
名も無きAAのようです
:2014/11/14(金) 21:44:44 ID:aWhz8Yko0
少年は少女の傷だらけな素足に一瞬だけ視線を流し、見てはいけないものを見たかのように視線を背ける。
('A`)「…行けるか?」
川 ゚ -゚) 「ああ」
そして、二人揃って少年の家へと足を進めたのだった。
33
:
名も無きAAのようです
:2014/11/14(金) 21:48:18 ID:aWhz8Yko0
(ーAー) …
あの日の夢を未だに見る。
まだ幼かったクールと出会いナイフを突きつけられたこと。
白いワンピースを纏っていたこと。
彼女がしりもちをついた水溜まりが真っ赤に染まったこと。
それらは全てドクオの記憶にこびり付いて離れない。
川 ゚ -゚) 「朝だぞ、ドクオ」
(ーA`)「あと、一時間」
五年という年月が流れ、クールが隣にいることが当たり前となった今でも、クールの正体を知った今でもあの日の頼りなさげな少女の面影を忘れることができないでいる。
川 ゚ -゚) 「起きろ、不細工!」
('A`)「…うっせー」
川 - ) 「ほう、美少女クー様の好意を無碍にするとは…」
たとえ、当時の可憐で大人しげだった少女がドクオに向かってフライパンを構えていたとしても。
('A`)「だいたい、もう美少女って年齢でもないだろ…」
川 - ) 「…死にたいらしいな」
少女の殺気が一瞬で飽和し、風邪を切る音となって物思いに耽るドクオへと降り注いだ。
川 ゚ -゚) 「さあ、悔いるがいい!」
何か堅い物が金属にぶち当たった音が家に響き、青年の悲鳴と共に家の中が一気に騒がしくなる。
34
:
名も無きAAのようです
:2014/11/14(金) 21:51:31 ID:aWhz8Yko0
嘗ての少年、ドクオは備布大学に通い彼と出会った少女、クールと共に暮らしていた。
川 ゚ -゚) 「今日は一限からだったよな?」
('A`)「おう、茂名教授は出席を取らねぇんだよ」
川゚ -゚) 「たしか、小テスト…」
(゚A°)「忘れてた!なんで先に言わないんだよ」
川 ゚ -゚) 「忘れてたドクオが悪いな」
そんなクールを傍目にトーストを放り出してプリント類の詰め込んだままの鞄を手に取る。
川;゚ -゚) 「ドクオ!傘忘れてる」
('A`;)「すまん!」
玄関で見送るクールに視線だけ送り、ちょうどやってきた備布大学へのバスに飛び乗った。
35
:
名も無きAAのようです
:2014/11/14(金) 21:57:19 ID:aWhz8Yko0
窓の外を流れていく景色は五年前と殆どかわらない。
ただ、クールと出会ったあの小路とアパートはすでに取り壊され、今では立派な学生用マンションが立てられた。
いつもならそこに住む流石やミルナも同じバス停を利用しているが今日は一つ前のに乗ったらしく二人の姿は見当たらない。
('A`)「…」
('o`) ふぁー
(ーAー)
オレは一つ欠伸をして眠気に任せるようにゆっくりと瞼を落としたのだった。
36
:
名も無きAAのようです
:2014/11/14(金) 21:58:03 ID:aWhz8Yko0
.
37
:
名も無きAAのようです
:2014/11/14(金) 21:59:57 ID:aWhz8Yko0
夢を見た。
金色の夕暮れの中を五人の少年が騒ぎながら歩く夢だ。
38
:
名も無きAAのようです
:2014/11/14(金) 22:01:40 ID:aWhz8Yko0
前列にモララー、ジョルジュ、ブーン。その後ろに少し遅れてオレと兄者が並んで歩いている。
みんな馬鹿みたいに緩みきった笑顔で先を争うようにして何処かへ、確かオレ達の家に泊まる予定だったからそこへ向かっていたのだろう。
夕日に照らされた片田舎の風景、その中に混じり込む設楽波市に相応しくない風景。設楽波市への集客を期待して開発される未来の巨大レジャー施設。
鉄骨剥き出しな組立中の建物と鉄骨を持ち上げるクレーン。はためく緑十字の旗が安全第一を促している下を少年達が歩いている最中、それは起きた。
まず聞こえたのは嫌な金属音、そして叫び声。つられて見上げた空には落下してくる幾つもの鉄の塊。
そこから先は断片的なモノ。
茫然と皆が空を見上げているる中で兄者がオレを突き飛ばした。次の瞬間、目の前にあるのは不安定に積み上げられた鉄骨の山。
( <_ )「…兄…者?」
オレの声に応えるように鉄骨の隙間を縫って這いだしてきたのは赤色だった。
39
:
名も無きAAのようです
:2014/11/14(金) 22:06:52 ID:aWhz8Yko0
( ´∀`)「テスト終了モナ。氏名を確認して前に回すモナー」
つ <_ )
「せんせー、流石くんと長岡くんが寝てます」
( ´∀`)「テストだけ抜き取って寝かしておいてあげなさい」
「長岡、テスト解いてません」
( ´∀`)「再テストは受けさせてやるモナ…成績は知らん」
つ <_ )
つ<_` )「…」
つ <_ )
あれから10年。
設楽波市は嘗ての面影がないまでに変わってしまった。
山頂付近の破れ寺でかくれんぼをした小山は住宅地に変わり釣りをした川は暗渠に、モララーのとこの爺ちゃんを手伝ってスイカを収穫した畑は備布市と安名居市の等運寺を繋ぐ電車の駅が建っている。
あのレジャー施設も今では安名居市からやってきた人々で賑わっているらしい。
それでも、オレはあの日の風景を抱えたまま月日を過ごし、とうとう大学になっていた。
40
:
名も無きAAのようです
:2014/11/14(金) 22:11:27 ID:aWhz8Yko0
_
( ゚∀゚)「うっす。起こせよな、ミルナ」
( ^ω^)「ジョルジュ再テストだって聞いたおー」
_
( ゚∀゚)「モナーのだろ?受けてきたぜ」
金曜2限の荒巻はいつもきっかり15分の遅刻をしてくる。
開始のチャイムから13分後に滑り込んできたジョルジュはミルナの頭をテキストで叩きながらその隣に腰を下ろした。
( ゚д゚ ) 「起こしたさ。起きないのが悪い」
しかし一瞬早くミルナの足がジョルジュの椅子を蹴り飛ばし、ジョルジュは尻餅をつく。
(´<_` )「モナーの小テストは難しくないからな。あと、モナーは油断するとつい眠くなる」
( ^ω^)「おっ、おっ。ペニサスの演習を受けてみるがいいお!…死んだ!」
('A`)「…ペニサスの生き地獄は去年の基礎で知ってただろ、何でペニサスの演習を履修してんだよ」
( ・∀・)「ブーンはモナーの時間に外国語が入ってるからなー」
( ´ω`)「言わないお約束だお、去年履修登録忘れて…」
(´<_` )「あ、荒巻だ」
今年で退職する荒巻教授が杖を片手にのんびりと教台へと上がり、ゆっくりと教室を見渡した。
/ ,' 3 「長岡、東風。静かに」
( ゚д゚ ) 「すみませんでした」
(♯)∀゚)「すみません」
未だに喧嘩をしているのか、ギリギリとジョルジュに足を踏まれながらも涼しげな顔でミルナは謝り、荒巻の視線が逸れた後でもう一発ジョルジュの脇腹に拳を打ち込んだ。
/ ,' 3 「さて、先週の続きからはじめるとする。ページは…」
眠気を誘うのんびりとした荒巻の声に欠伸を噛み殺しながら窓へと視線を流した。
いつの間に降り出したのか、本降りの雨が窓ガラスを叩いている。備布市と設楽波村を隔てる桃板山が雨に煙って薄ぼんやりと灰色の市街地の向こうに見えていた。
41
:
名も無きAAのようです
:2014/11/14(金) 22:16:22 ID:aWhz8Yko0
今回は此処まで
途中で間が合いたり、IDが変わったりしてすみません
それから投下ミスもすみませんでした
以後、投下前の読み直しを徹底するようにします
42
:
名も無きAAのようです
:2014/11/14(金) 22:53:24 ID:VBCXnIpk0
乙
これからどうなっていくのか期待
44
:
名も無きAAのようです
:2014/11/26(水) 10:42:50 ID:pO0I.LVw0
乙!
45
:
名も無きAAのようです
:2014/11/27(木) 22:28:56 ID:Cpr6de6g0
カツカツとチョークの音が教室に響いている。
生徒がそわそわと落ち着きがないのは2限終了のチャイムが鳴ってから早5分経過しているからだろう。
( ・∀・)「鯖味噌定食、生姜焼き定食、日替わりランチ…」
( ゚д゚;)「多分、人気メニューは諦めた方がいいぞ」
( ;∀;)「カレーライス、蕎麦弁当、スタミナカツ丼…」
(´<_` )「この調子ならあと10分は続くからな」
昼食を前にして待てを強いられているモララーがブツブツと学食のメニューを呟くのをBGMに、オレは机の下でレポートを打っている。
46
:
名も無きAAのようです
:2014/11/27(木) 22:31:04 ID:Cpr6de6g0
( ;∀;)「昨日仕送りがきて久々にまともなものが食べられると…」
( ゚д゚;)「飯代くらいいつでも貸してやるから…」
/ ,' 3「…であるからしてギコ=ハニャーンの仮説は…」
生徒たちのざわめきを全く気にする様子もなく荒巻は授業を続行する。
大体ギコ=ハニャーンの仮説はギコ=フッサールによりフッサールの多軸同時存在論として完成させられているのだ。それだけわかればテストに支障は出ない。
本気で多軸同時存在論を学びたいならペニサスのゼミに入ればいい。
まあ、留年してでも学ぶ覚悟があるならの話だ。
( ・∀・)「だいたい、時間通りに開始してたら…」
_
( ゚∀゚)「俺が遅刻してた」
( ゚д゚ )「だから、テスト中寝てたお前が悪い」
47
:
名も無きAAのようです
:2014/11/27(木) 22:36:58 ID:Cpr6de6g0
いつの間にか小雨になっていた。
多分ロッカーに折り畳み傘は入れてあるだろうと願望に近い憶測でもってこの後の予定を思い描き、レポートを上書きする。
(´<_` )「さて、ミルナよ。…オレが何が言いたいかわかるな?」
( ゚д゚ )「…仕方がない。缶コーヒーで手を打とうではないか」
振り返ったオレにミルナは仰々しく頷く。そして、パチンといい音を立ててルーズリーフが綴じたファイルから今日の範囲が取り出された。
その音に一瞬荒巻が反応し、時計に目をやる。
/ ,' 3「ん?ああ、すまん。ここまでじゃ。この後学会があるのでな」
( ・∀・)「よし、昼飯!」
/ ,' 3「すまんが茂良くんと斉藤君。研究生として学会の付き添いを頼むぞ」
椅子を倒す勢いで立ち上がったモララーは荒巻の言葉に凍りつく。
荒巻は二人の返事を聞く素振りも見せず教室を後にした。
( ;∀;)「…ボクのお昼…」
(・∀ ・)「ドンマイ、モララー。爺さんがなんか奢ってくれるって」
ケラケラと笑うまたんきに引っ張られるようにモララーは肩を落としながら立ち去っていく。
('A`)「オレもTAの真似事で昼食前に茂名教授んとこだわ」
( ^ω^)「おっ、おっ。荷物運びならボクも手伝うお。ミルナ、弟者、ジョルジュ、ばいぶー」
48
:
名も無きAAのようです
:2014/11/27(木) 22:37:46 ID:Cpr6de6g0
( ゚д゚ )「オレは伊藤教授の課題で昼食後から図書館、4限に伊藤の演習だ」
_
( ゚∀゚)「お前、ペニサスのゼミだもんな。オレは3限に情報処理入ってるわ」
(´<_` )「午後は四回からゼミに受け入れてくれる教授探しだ」
突然決まった荒巻の退職のせいで、彼のゼミに入っていたオレやモララーは来年からゼミ生として受け入れてくれる教授を3回早々に探ささないといけない。
一応、モララーは荒巻の勧めでモナーのゼミに入り、またんきは気の毒にもペニサスのゼミに入れられたらしい。あんな女、オレなら絶対にお断りだ。
('、`*川『あんた、流石兄者の弟君でしょう?私のゼミに来なさい』
荒巻の紹介で彼女に会った際の一言目がこれだ。
換気のためか窓を開け放ち、紫煙を吐き出しながら彼女は退屈そうに言った。
なんで、小学生で死んだ兄を知ってるとか、研究楝は禁煙ですとかいろいろ思ったことはあるが、どうにもあの女はいけ好かない。
( ゚д゚ )「…昼飯、行くか!」
_
( ゚∀゚)「だな。モララーの代わりに鯖味噌食おう」
二人のわざとらしい大きな声に我に返ると、オレは差し出されたミルナのルーズリーフを受け取ってファイルに挟む。
そして一足先に歩き始めた二人を早足で追いかけた。
49
:
名も無きAAのようです
:2014/11/27(木) 22:43:56 ID:Cpr6de6g0
( ´∀`)「次はE館の三階の大講義室モナ」
('A`;)「は?オレ、三限はBで基幹科目入ってるんですが」
次の講義で使用する配付資料をブーンと共に持たされ、A館にある研究室を出たところでモナーはのんびりと言った。
(;^ω^)「和歌津教授は遅刻に厳しいんですお。第一、昼飯も食えてないですお!」
( ´∀`)「聞こえないモナー」
両腕に抱えた配付資料の束を茂名教授に叩きつけたい衝動に駆られながら、隣でもう半分の配付資料を抱えるブーンを振り返る。
('A`)「あとはオレが持ってくわ。和歌津教授には茂名教授にしょっぴかれたと伝えておいてくれ」
( ^ω^)「本当に大丈夫かお?重くないかお?」
よっこいしょと資料をドクオに渡すとブーンは購買部へと踵を返した。
( ^ω^)「ドクオにもなんか買っとくおー」
('A`)「おう、頼んだ」
去っていくブーンを視界の端で追い掛けながらモナーは小さく笑う。
そして荷物を抱え直すと少し早足で歩き出した。
( ´∀`)「仲いいモナね」
('A`)「悪くはないっすよ」
正直、この後の機材取り付けや移動時間を考えると、焼石に水程度の気遣いだ。
でものんびり屋のモナーなりにオレのことを心配してくれているらしい。
( ´∀`)「早く院に来てTAになるモナー。そしたら、レポートやテストの採点も任せることができるモナ」
なんて馬鹿なことを言っているがオレが院にはいけないことはモナーもよく知っている。
50
:
名も無きAAのようです
:2014/11/27(木) 22:46:17 ID:Cpr6de6g0
もともと、小学校5年の夏にオレは両親を亡くし、彼らが残した決して多くはない財産で生活している身だ。
オレに興味を示さなかった形ばかりの後見人の爺は去年亡くなったし、大学を出たらすぐにでも働かなくてはならないだろう。なんせオレひとりの問題ではなくクールの生活も掛かっているのだから。
('A`)「タダ働きはしない主義なんで。ところで茂名教授、新しい本は出されないんですか?」
( ´∀`)「む、TAになってくれるなら院は授業料免除されるはずモナ。あと、原稿はさっき渡したUSBに入れてあるモナ」
今は教授達の著書の添削をする事で彼らの授業の教科書を譲り受け、昼飯を奢って貰っている。
正直、クソ高い教科書を買う余裕なんてオレにはないのだ。ましてや院に行くなんて逆立ちしても無理だろう。
51
:
名も無きAAのようです
:2014/11/27(木) 22:48:04 ID:Cpr6de6g0
('A`)「そっちの方はまた考えておきます。で、原稿はいつまでですか?」
(;´∀`)「出来たら来週頭までにしてほしいモナ」
('A`;)「随分と忙しい話で」
(;´∀`)「…筆が乗らなかったモナー」
今週末までに仕上げるのはモナーと和歌津教授。
今月末までは諸本教授で来月10日までに荒巻教授。
しっかりと優先順位を頭の中のスケジュール帳へ書き込む。
鼻歌を歌いながら傘をクルリクルリと回すモナーの後ろ姿を見ていると、視界の端に見知った姿が映った。
( _ゝ )yー
('A`)(…弟者?)
学校の敷地を仕切る柵の向こう側、彼は白衣を羽織り紫煙をくゆらしている。
('A`)(…アイツ、タバコは嫌いとか言ってなかったか?)
声をかけようか迷ったがドクオがもたついている内にくるりと傘が回り、彼は気付くことなくこちらに背を向けた。
( ´∀`)「宇津宮くん、何してるモナー?」
('A`)「あ、すみません」
せっかくだから、後で弟者にお勧めの煙草の銘柄を聞こうと決めてオレはそこから走り出した。
モナーに倣って少しだけ早足で行ったおかげか、
はたまた投影機の故障で情報処理の事務員が呼び出されてドクオの仕事をやってくれたおかげなのか。
昼食こそ食べ損なったもののギリギリ和歌津教授の授業に間に合った。
('A`)(…?)
('A`)(誰に何を聞こうと思ったんだっけ?)
('A`)「…別にいいか」
( ^ω^)「何独りでブツブツ言ってんだお」
そのせいで弟者がタバコを吸っていたことをすっかり忘れてしまうのだが、ドクオは特に気にすることなく配布されたプリントに意識を戻す。
52
:
名も無きAAのようです
:2014/11/27(木) 22:49:04 ID:Cpr6de6g0
,
53
:
名も無きAAのようです
:2014/11/27(木) 22:58:48 ID:Cpr6de6g0
('、`*川「多軸同時存在論は多層同軸世界論とは異なるもの。それは2年次の基礎で学んだ範囲のことだから皆は既知だと思う。が、復習したいものは申し出てほしい」
ペラペラと指先でプリントを振りながらペニサスは教室を見渡した。
窓から帰宅する学生達の群れを横目で眺めていたミルナはその声で現実に引き戻され慌てて意味もなく立ち上がる。
( ゚д゚ )「伊藤教授、それは去年の学期末に配布されたプリントと同じですか?」
('、`*川「いや、内容にほとんど変わりはないが…欲しかったら取りに来なさい」
伊藤教授は意味もなく高圧的な女性だ。
正直なところ、弟者やジョルジュと同じ様にミルナも彼女のことが苦手である。
それでも、ミルナはどうしてもこのゼミで学びたいことがあった。
54
:
名も無きAAのようです
:2014/11/27(木) 23:09:40 ID:Cpr6de6g0
(゚A゚* )「教授の授業受けられへんかったのですが、頂けませんか?」
('、`*川「…キミは?」
(゚A゚* )「野尾申します。浦舎会大から編入してきました」
('、`*川「そう、…授業が終わったら研究室に来るといいわ。去年のプリントを渡すから」
(゚A゚* )「ありがとうございます」
(*゚д゚**)
にいつの間にか隣に座っていた彼女は少し訛りのある子だった。
頬が桃色で目がぱっちりとしたどちらかというと可愛いと分類されるタイプの子だろう。
僅かに高鳴る鼓動を認識しながらミルナは話しかけてきた彼女に無表情のまま対応する。
(゚A゚* )「悪いんやけど良かったら伊藤教授の研究室教えて頂けまへんやろか?」
( ゚д゚ )「構わない、なんなら案内する」
(゚A゚* )「おおきに、申し訳ないけど頼んます」
結局、野尾さんがいるからということで今回と次回で去年の大まかな復習することになった。
55
:
名も無きAAのようです
:2014/11/27(木) 23:11:03 ID:Cpr6de6g0
相変わらず伊藤教授の講義は進行が早く、要所要所での点呼を伴った問いは皆を悩ませる。
('、`*川「ところで、棺桶死オサム…は休みか。狐ヶ崎フォックス、ギコ=ハニャーンの提唱した論はどこに問題がある?」
爪'ー`)y‐「…時間の不可逆性を考慮していない点です」
('、`*川「…狐ヶ崎の解答に間違いや不足はあるか?隣」
ξ;゚⊿゚)ξ「照屋ツンです。…いえ、狐ヶ崎と同じです」
('、`*川「なら、…東風ミルナ」
( ゚д゚ ;)「…えっと、観測という行為により生じる影響を含んだ状態での理論だから?あとは、狐ヶ崎の言う通りです…?」
('、`*川「正解、ならギコ=ハニャーンの論に異論を唱えた論の著者は?隣」
(゚A゚* ;)「野尾のーです。たしかシィ=ハニャーン…?」
('、`*川「ええ、そうね。ギコ=ハニャーンの妻であり、共同研究者のシィ=ハニャーン。ところで、シィ=ハニャーンの執筆した書籍に…」
56
:
名も無きAAのようです
:2014/11/27(木) 23:19:08 ID:Cpr6de6g0
次々と生徒達がペニサスの毒牙に掛かりながら講義は進んでいく。元々10人に満たないのに、その中でも集中砲火を浴びた照屋は講義終了のベルと共に机へ崩れ落ちる。
ξ;ー⊿ー)ξ「あ、あ゙あ゙ぁー…疲れたー」
(*;゚∀゚)「えらい当てられてはりましたなぁ…えっと…」
ξ゚⊿゚)ξ「照屋ツンよ。ツンで構わないわ」
(*゚∀゚)「ほな、ウチはつーで構わへんよ。お疲れさんやね、ツンさん」
ξ゚⊿゚)ξ「ミルナー私がつーを伊藤の所へ案内するわ。あ、つーはこの後暇?夜、一緒に取らない?」
(*゚∀゚)「喜んで!こっち来たばっかりやし、おすすめの店とか教えてくれたら嬉しいわぁ」
きゃいきゃいと騒ぎながら楽しそうに去っていく二人にミルナはひらひらと手を振る。
57
:
名も無きAAのようです
:2014/11/27(木) 23:32:06 ID:Cpr6de6g0
爪'ー`)y‐「のーちゃんだっけ?可愛いこだね。ほいっと」
(*゚д゚**)「熱っ…そうだな」
狐ヶ崎から缶コーヒーをうけとると、渋々ミルナはノートを差し出す。
( ゚д゚ )「フォックス、いい加減ゼミくらいノートとれよ」
爪'ー`)y‐「次からとるよ、こっちみんな」
( ーдー;)「それ未だに言ってくんのお前くらいだよ…ん?」
マナーモードにするのを忘れていたらしいスマホから唐突に流れ出す剣の舞。
発信者は内藤ホライズンと表示されていた。
58
:
名も無きAAのようです
:2014/11/27(木) 23:33:22 ID:Cpr6de6g0
『おーん、ツンに今日の約束キャンセルされたおーっ』
( ーд゚;)「おう、それは災難だったが…もう少し声を…」
『すまんお。で、ジョルジュ誘って夕飯いこうお!ミルナは誰か呼ぶかお?』
視線を狐ヶ崎に送ると彼は首を横に振った。
やはりブーンの声は漏れているようだ。
( ゚д゚ )「いや、いい。オレD館だからオレがお前んとこ行くよ」
『ブーン達はAの学生課に居るおー』
荷物をまとめながら通話を終了する。狐ヶ崎はいつの間に買ってきたのか、湯気の立つ缶の紅茶をのんびり啜っていた。
( ゚д゚ )「来ないのか?」
爪'ー`)y‐「オレ雪苺待ちだから」
( ゚д゚ )「そうか、邪魔したな」
爪'ー`)y‐「おー。あ、ノートは人類学の時でいいか?」
( ゚д゚ )「構わない」
狐ヶ崎に彼女ができたことはジョルジュから聞いていたのでよかったなとだけ告げる。
爪'ー`)y‐「ご祝儀宜しくなー」
(撿゚д゚撿)「どうせ1ヶ月もたないことはわかってる」
爪'ー`)y‐「あははー、今度は何日保つか賭ける?」
(撿゚д゚撿;)「ふざけろよ、詐欺狐」
オレンジ色に染まった教室の中で狐ヶ崎の表情は影になっていて見えない。
それでも軽口を叩き合い、オレ達は手を振って別れる。
狐ヶ崎の持っていた紅茶は既に湯気を立てていなかった。
59
:
名も無きAAのようです
:2014/11/27(木) 23:47:18 ID:Cpr6de6g0
我がスマホで文字化けに定評のあるミルナさんが所々文字化けしてますね
他でテストしたときは問題なかったのに…不思議!
今日はここまで。
因みに御存知と思いますが、ペニサスの講義内容はオールでっち上げです。
一応元ネタはフッサールの可能世界論ですが私がちゃんと理解してないので元ネタと言っていいのか…
言い訳おわり。
読んで下さった皆様ありがとうございました。
60
:
名も無きAAのようです
:2014/11/27(木) 23:49:12 ID:Cpr6de6g0
,
61
:
名も無きAAのようです
:2014/11/27(木) 23:50:00 ID:Cpr6de6g0
あの日、私が出来るだけ雨に濡れないようにと肩を濡らしながらも傘を差し掛けてくれるた。
その日から私は彼に恋をしている。
川 ゚ -゚)「早かったな」
('A`)「おう、飯」
川 ゚ -゚)「出来てるよ」
(好きなら、尚更。お前がアイツに与えられるものは不幸でしかない)
昼間の会話がアイツの声で脳裏に蘇る。
嘲るような憐れむような、同時にどこか悲しそうな声は私を窘めるが私はその忠告を受け入れられなかった。
62
:
名も無きAAのようです
:2014/11/27(木) 23:50:44 ID:Cpr6de6g0
川 - )(…わかってる。それでも、私は…)
('A`)「クー?どうかしたのか」
川 ゚ -゚)「いや、すまない。ちょっと考え事だ」
私はドクオが好きなんだ。
川 ゚ -゚)「お茶煎れてくるよ」
('A`)「おー」
(…オレはお前を赦すつもりはない、お前は弟と世界一可愛い妹の仇なんだ)
川 ゚ -゚)(…私があの子を見捨てなかったら。あの子を助けていれば…)
川つ - ; )(…そうすれば私たちはあのままでいられたのか?)
('A`)「クー?」
コポコポと湯呑みに茶を淹れると私は涙を拭ってドクオにお茶を差し出した。
川 ゚ -゚)「ああ、お茶入ったぞ」
茶に映る自分の顔に涙の痕は見当たらない。
63
:
名も無きAAのようです
:2014/11/28(金) 07:43:13 ID:070OM9q.0
おつ?
64
:
名も無きAAのようです
:2014/11/28(金) 11:50:36 ID:.N6.4C4M0
続くの?
65
:
名も無きAAのようです
:2014/11/28(金) 19:05:28 ID:CeEglgZo0
>>1
です
これは仕様ですね
決して、試し書きしてたcapture2の文章をうっかり投下し、そのまま居眠りしてたわけではありません
予定は未定という言葉が云々…
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