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( ^ω^) 共有1レスお題遊びスレ

10「 氷 」:2014/09/30(火) 01:29:50 ID:Nvj68Hx.0
城から城下町を見下ろす二つの影がある

( <●><●>)「本当に、よろしかったのですか?」

( ΦωΦ)「あぁ、悔いはないのである」

活気に満ちていた町は消え、今はどこをみても純白の雪と氷に覆われている

小さい城と町であったが、城を中心にとても栄えていた
事の発端は、城下町の片隅に住む老夫婦の怪死であった
その病は驚異的な感染力で瞬く間に蔓延し、町を飲み込んでいった

とどめは、領主の娘の感染だった
全てを諦めた領主は、自分が抱える魔術師に一つの命令を下した

( ΦωΦ)「「領外に病が出る前に、この町ごと凍らせてくれ」……とは、まったく骨の折れる命令である」

ふぅ、と嘆息を漏らしたロマネスクは、自分が召喚した使い魔 ワカッテマスを一瞥した
彼は、まだ町に息づいていた尊い命達を、三日三晩かけて全て葬り去った張本人である
命令を下したロマネスク以外、町にはもう誰もいない

ロマネスクに命令を下した領主は、病に罹った娘を抱いて、城の中で永遠の眠りについた

( <●><●>)「悔いているのはわかっています。貴方は自分の家族だけでも逃がすことも出来た」

( ΦωΦ)「言うな、領主様の命令なのである。」

ロマネスクは自分の家族が氷漬けになる瞬間も、目を逸らすことはなかった

( ΦωΦ)「これで……これでいいのである」

これで自分は役目を果たしたことになる。
誰一人として逃がさず殺した。
どんな病であろうと、氷に覆われたこの町から外に出ることは、もうない。

あとはこの使い魔を魔界に還せば、全てが終わる。

( ΦωΦ)「ご苦労であったな。ありがとう」

ワカッテマスの姿があやふやになり、やがて見えなくなった
これで正真正銘、ひとりぼっちである
命令を達成した喜びなどはなく、虚しさだけが胸を支配している
遣る瀬無い思いが零れそうになるが、そんなことは許されない気がした

熱い溜息を吐き出し、その場に倒れこむ
使い魔の残した雪は冷たく、悲しいほどに優しく体を包み込んだ

( ΦωΦ)「……さむいのである」

悲壮な囁きは、誰にも届かない


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