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◆xh7i0CWaMo
:2014/09/29(月) 00:18:23 ID:NLjW9Fhg0
私たちは二十六階の妻の部屋へ戻った。
妻が先に歩いて行くのを、私は惨めな気分でついて行った。他にどうすることも出来なかったのだ。
妻の前で恥をさらしたからというよりも、実業家の言葉で揺さぶられた頭の整理が、今一つついていなかったのだ。
当然、会話は何一つ無かった。
部屋に戻り、妻は最初にそうしていたようにベッドへ座った。私はその傍に立っていた。
何か言いたかったが、何も言い出せなかった。そのうち、口火を切ったのはやはり妻だった。
ζ(゚ー゚*ζ「……ねえ、そろそろ教えてくれない?」
(´・ω・`)「何を?」
ζ(゚ー゚*ζ「貴方がここに来た理由」
振り返って私を見た妻の無表情は、私にある過去を思い出させた。
彼女と付き合いだして間もない頃、私は彼女の誕生日を、プレゼントを買い忘れたままに迎えてしまったことがある。どのように言い出すべきか迷いながら待ち合わせ場所に行き、そこで彼女と鉢合わせた時、
彼女はしばらく私を眺めた後、今と同じ顔で私に言ったのだ。ねえ、プレゼント、買い忘れたんでしょう。
それからもしばしば、彼女には妙に勘の冴える瞬間があった。
そしてそれは、大抵良い意味でも悪い意味でも重大な場面で発揮されてきたのである。
だが、今のこの隠し事だけは、彼女に知られたくなかった。
彼女に妙な心配をさせないためにも、この期に及んで未だ居丈高な自意識を守り続けるためにも。
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