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◆xh7i0CWaMo
:2014/09/29(月) 00:10:23 ID:NLjW9Fhg0
……彼が口を動かすたびにその表情に希望を増していくのとは対照的に、私は徐々に憂鬱な気分になっていった。
その一因は、未だ表情を動かさぬ隣の妻にある。どうやら、彼女の意見は変わっていないようなのだ。
僕がこれだけ弁舌を、正論を振りかざしても、何一つ揺らいではいない。私は果たして無力なのだろうか。
それも敗因であろう。しかし、それ以上に不合理な概念が私たちを支配していた。
老人に何を言っても論破は出来まい。
にも関わらず私は彼に屈服するつもりになれないどころか、その理屈を飲み込むことさえ叶わないのだ。
このまま引き下がるべきだろうか。それは、公平に見ても敗退ではあるまい。
戦略的撤退とでも表現すべきものだ。しかし、今の私にはどうしてもそう出来なかった。
私はまるで、自分こそが常識へ立ち向かう意固地な少年であるような錯覚さえ感じ始めていた。
(´・ω・`)「……ならば、もう一つだけ伺います。
私は、貴方がこの世界の主人公であるとどうしても認めることが出来ません。
常識的にも、そんなことは有り得ないと思うからです。
そんな私に対して、貴方は一体どのような説得をするのです?」
/ ,' 3「そもそも、私は誰かを説得する義務を持っていない。
だから、私は全世界の人々にその身の危険を通告したりもしていない。
だが、君には随分話を聞いて貰っている。そのお礼として言うならば――」
私はじっと待ち構えていた。目の前の妄想狂に恐怖し、狭い頭であらゆる予想と反論を立てながら。
/ ,' 3「あらゆる一般的な人々は、死が目前に迫ってきたとき、様々な方法で抵抗する。
怒りや交渉、頭ごなしの否定などによって……。しかし、最終的にはどうするだろう。
全てが無意味だと悟り、目前の死が真実でしかないと自覚したとき、最終的には――受容するわけだね。
どうしようもなく、受け入れてしまうのさ。極めて消極的に、死を仕方ないものとして待つことにする。
頭の中で更なる惨めな言い訳をしながらね。死後の世界は素晴らしいだとか、
死んでも魂は残留するとか、宗教じみた言説を……。
それ自体が敗北だ。また、自分が世界の主人公でなかったという証でもある」
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