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Last Album

345 ◆xh7i0CWaMo:2014/10/10(金) 21:11:12 ID:bKltLt3M0
僕の為のコロスが謳う……。

('A`)『誰かが僕の書いたものを読んで自殺してくれればいいと思っていた。
    たった一人だけでも構わない、自分で選んだ死の形見に僕の小説を持って行ってくれればいいと思っていた。
    
    そうしたら、心の中で大きな墓を建てて弔うつもりだった。
    不謹慎かもしれないけれど、それはたぶん、僕にとって至上の喜びとなっただろう。

    小説を読んで落涙させても、心を揺り動かしても、所詮その後の現実に物語は負けてしまう。
    けれど、死ぬことだけはどうしたって取り返しがつかない。
    そういう、致命傷を与えるようなものを書くために、僕は一所懸命に努力をしてきた。

    だって、死後には天国も地獄もない。
    人は死ねばみんな、独り独り離ればなれになって、それぞれが暗くて寂しい場所に送り込まれるだけだから。
 
    けれども、愈々それが不可能であるということに気付いてしまった。
    意図をしようがするまいが、僕の小説が呼ぶのは病んだ人だ。

    病んだ人は病んだ物語を読み、病んだ歌を聴き、病んだ絵を見て人生を過ごす。
    それこそ、古今東西のありとあらゆる病んだ物達を体験していくんだ。

    そうやって彼らは成長する。本当に追い詰められてしまうことなんて早々ない。
    病んだ人たちは次第次第に病を消化して、免疫をつくる。そうしてより力強く人生を歩くんだ。

    僕の書く物語は、そこに殺意を込めれば込めるほど、むしろ全く逆の作用を働かせてしまうんだ。
    それは、免疫を形作る一塊のブロックか、
    或いはもう既に出来上がってしまっている免疫への哀れな特攻隊に過ぎない。
 
    だってほら、見てごらんよ。みんなみんな、こんなにも元気じゃないか……』

※ ※ ※


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