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◆xh7i0CWaMo
:2014/10/10(金) 20:47:35 ID:bKltLt3M0
嗤われたんだ、とKは言った。
おれがいつも図書室にいて、貸し出しカードに俺の名前がたくさんあるって、嗤われたんだ、と。
ひ弱な彼の趣味は必然的にインドア系に偏り、中でも読書に関しては児童文学に飽き足らず、
明治時代の純文学にも手を出すような具合だった。
私にも時々、よく分からない作家や作品について話しかけてくることがあった。
そんなKが私に突きだした原稿用紙の右端には大きく『いちばんめ』と書かれていた。
そしてそこから続いているのは、いわば、彼が目一杯苦心して書いたと思われる小説的な文章だったのだ。
これ、どうしたの、と私が言うとKは、小説、とぶっきらぼうに言った。おれが書いたんだ。
短めに書いたつもりだから、ちょっと読んでみてくれよ。それで、感想が欲しいんだ。
言われるがままに私はKの小説を読み始めた。
その小説には小学生には読めないような漢字も多く含まれ、ところどころ判読不能だったが、
それでも全体のストーリーは何となく理解できるような内容だった。
それを踏まえた上で、読了した私は目の前で期待を輝かせているKに向かって、面白くない、といった。
だよな、とKは応答した。まるで私の答えを予想しているようでもあった。
彼は手に戻った小説を眺めながら、でも、いいんだ、と言った。
これ、おれが初めて書いた小説なんだ。おれ、小説家になりたいんだよ。
だから、これからたくさん書きまくるんだ。まだ面白くなくたって、そんなの当たり前のことなんだ。
『いちばんめ』というのはタイトルではなく、文字通りKがこれから書き連ねていくであろう作品の中での、
『いちばんめ』という意味なのだと、説明された。彼の表情からは悲哀が消えていた。
その目には、未だかつて無い未来への展望が映っているようだった。
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