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Last Album

328 ◆xh7i0CWaMo:2014/10/09(木) 01:46:31 ID:ft4TltCY0
霊柩車……死が幾重にも折り合わさった特異点、その中は思っていたよりも遙かに騒々しい場所でした。
絶えず何らかの音が鳴っていました。例えるならば鉄くずが歩いているような、
カシャン、カシャンという耳障りな音……私には、それが何を意味するのか今もって分かりません。

しかし思い出したことがあります。
それはやはり私の架空の弟についての、遠い昔に存在もしなかったはずの情景でした。

私は金属の擦れる音が何よりも苦手でした。
何だか口の中いっぱいにアルミホイルを含まされたような気分になるのです。

しかしその日弟は、どこからか拾ってきた金属のボウルと鋼色の破片を、
鬼ごっこの間中ずっと触れ合わせていたのです。

「やめろや」と私は不快感をあらわにして要求しました。
しかし弟はにへらにへらと笑いながら、より激しくその二つを擦りつけるのです。
そしてずっと同じ逃げ道をついてくるのでした。

日ごろから私はこの弟が嫌いでした。
その時には既に、自分の母親が弟を出産したせいで死んだことを理解していたのでしょう。
大人の手前良い顔をし続け、可愛がっている振りをしていたものの、私にとって弟は明確な敵でした。

それも真っ当な人間としての敵ではなく、コミュニケーション困難な怪物としての敵でした。


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