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◆xh7i0CWaMo
:2014/10/09(木) 01:07:12 ID:ft4TltCY0
残された回避の可能性は棺に遺体が横たわっていることでしたが無論そんなわけもなく、
随分重たい蓋をどけてみると中には誰にもいませんでした。
既に花などは鏤められており、後は私がそこへ入り込めばちょうど良いようです。
靴を脱ぎ、半身を中に入れるまでは良かったものの蓋を閉めるのには相当手間取りました。
彼はまだ私を監視しているようでしたが、手伝ってはくれませんでした。
自力で蓋を持ち上げて角度を調整しながら、私はボロボロと涙を零していました。
何が哀しかったわけでもありません。
ただ、真夜中に独りぼっちでこんな作業をしている自分が酷く空しい存在に感じられたのです。
そしてようやく型通りに嵌め込んで真っ暗闇と再会したとき、私は殆ど噎び泣きを泣いていました。
泣き続ける体力を失ってもなお、水滴が頬を濡らし続けました。
通過儀礼として考えるならば、それが私の死化粧だったのかもしれません。
自殺教唆程度の罪でなら彼を告訴出来ると思います。しかしそれすら笑いものでしょう。
監視する彼が去った後、私はこの蓋を押し上げての脱出も出来たかも知れません。
しかし出涸らしの気力ではそんな発想など出てこず、その代わり一刻も早い安眠を求めていました。
ともかく私は、休みたかったのです。それ以外、何も考えられませんでした。
その時ばかりは、肉体の疲労が精神のそれを上回っていました。
そのため私は、後悔してもしきれない、しかし最も素晴らしい安らぎを伴った眠りについたのです。
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