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305 ◆xh7i0CWaMo:2014/10/08(水) 23:52:48 ID:cxCxhwjA0
無論N君は同じ鬼から逃げる仲間でしたから、
私は規則破りの同志として密やかににやつきながら彼に近づきました。

数歩前まで迫ったとき、N君が右腕で何かを掴んでいるのが分かりました。
その真っ黒い球形の塊が人の頭だと気付くまでに数秒かかりました。私は恐怖以前に唖然として立ち止まりました。

それに気付いたN君は事も無げに私のほうへ振り向きました。
頭は耳から前が水に浸っており、もう少しも動いていませんでした。
私が発見した際には、殺人は既に完了していたのです。

(●●●)「ごめんな」

とN君が言った気がします。

(●●●)「鬱陶しかってん」

とも言った気がします。
はっきりはしませんが、まだ私は彼の掴んでいる頭が弟のものだと気付いていませんでした。

人を殺す重要性について九歳の私が承知していたとも考えられないのですが、
N君の行為がテストで0点を取る以上にとんでもないことであるのには薄々感づいていました。
だから僕は「あかんで」と言ったはずです。「あかんでN、そんなことしたら……」

N君は未だ現実に帰ってきていない顔でずずっと掴んでいるものを引き上げました。
独特の生臭さが鼻腔に広がり、私は思わず瞬きました。

そして直後、何かの拍子でその物体が自分の弟であることを深く認識したのです。
私は何かに押し出されたようにして駆け寄りましたが、それ以上何をすればいいのか全く分かりませんでした。

するとN君は他人に目の前の状況を押し付けるようにして弟の顎を持ち、
ぐいと首をねじらせてその顔を私に直面させたのです。
その顔面には目鼻がなく、代わりに一輪の紅い花が咲いていました。


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