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◆xh7i0CWaMo
:2014/10/08(水) 23:40:11 ID:cxCxhwjA0
躁から鬱への揺り戻しが思いの外早く訪れていたのかも知れません。
その時の私は今でさえ考えられないほど気が滅入っていました。
その証拠に、私は顔を上げてその場に弟がいないか探し求めたのです。
当然、それらしき人物は見当たりませんでした。
しかし私の思考はどうしようもなく不合理化していたわけで、
ですから現在の私がこんな事になってしまっているんですけれども、
ともかく信頼を築いてきた現実の失踪がこれほど悲壮であるとは思いませんでした。
何せ、私の周りには現実以外何もなかったのですから。
そしてそれに依拠していた私自身の真実味も、次第にネガティヴな妄想に上書きされて影を潜めていったのです。
虚妄は時として事実さえ殺してしまいます。
私が私以外の何者でもない以上、即ち私が自分自身の精神と共に歩んでいる限り、
それはどうしようもない運命なのです。
あれほど旺盛だった食欲は一片も残らず喪失し、食べ物を見ることにすら生理的嫌悪を催しました。
気付けば、私の傍に居たはずの母がいなくなっていました。
そう言えば、母は通夜の間どこにいたのでしょうか。父の傍にも、弔問客の中にも居なかったはずです。
考えるよりも先に嘔吐の衝動が全身に染み渡りました。
周りが自分に注目していないか確認するために眼だけキョトキョトと動かしながら立ち上がりトイレに向かいました。
そして便器に跪いて上半身を蠕動させても、出てくるのは恨み言のような呻きと唾液ばかり。
どうやら吐瀉物など存在しないらしく、吐き気のみが私の臓腑を蹂躙しているようでした。
全部吐いてしまい、楽になることも私には許されないらしいのです。
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