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◆xh7i0CWaMo
:2014/10/08(水) 23:22:13 ID:cxCxhwjA0
その時初めて私は、自分の締めているネクタイが葬儀の席には相応しくない色味を帯びていることに気付きました。
就活用に買いそろえたものですから当然の話です。
それでも、他人に指摘されると必要以上に屈辱的であるように感じました。
私が黙り込むと父は皮肉っぽく笑い、
( ´∀`)「しっかりせえよ、お前ももうすぐ社会人やねんから」
と言いました。完全に出鼻を挫かれた私が小さく頷くと、
父は近くに待機していた参列者と話すためにさっさと離れていきました。
手持ち無沙汰になった私は再び遺影を見遣りました。
相変わらずの空白……しかしこの時、私はある程度合理的な理由をもって説明してみようと試みていました。
即ち、故人が自分の写真を一枚も所持していなかった可能性が考えられたのです。
そんなことが実際にあり得るのかどうかはともかく、またそんな状態で額縁だけを飾る不自然さも関係なしに、
私にとってはそれが説明できる事態であると判ぜられたのが大きな救いでした。
その説明を誰かにするわけでもありませんから合理性など二の次で構わず、
自らのざわついた心境に平静を取り戻すことが最優先だったのです。
そして一旦そう考えてしまえば全てに納得出来た気分になれました。
その時、私は祭壇前の棺には当然、
一度も写真を撮らなかった同情すべき誰かしらの遺体が納められていると信じて疑わなかったのです。
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